(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016323
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】板金製ルアーの成形具
(51)【国際特許分類】
A01K 97/00 20060101AFI20240131BHJP
B21D 11/10 20060101ALI20240131BHJP
B21D 22/02 20060101ALI20240131BHJP
B21D 31/06 20060101ALI20240131BHJP
A01K 85/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
A01K97/00 M
B21D11/10
B21D22/02 C
B21D31/06
A01K85/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118338
(22)【出願日】2022-07-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】321011295
【氏名又は名称】株式会社草加ネジ
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】英 利昭
【テーマコード(参考)】
2B307
4E137
【Fターム(参考)】
2B307BA47
4E137AA28
4E137BB01
4E137CA03
4E137CA09
4E137CA24
4E137EA01
4E137GA02
4E137GA08
4E137GB20
4E137HA06
4E137HA08
(57)【要約】
【課題】板金製のルアーの最終成形又は修正等をユーザーの手元で簡単にできる成形具を提供する。
【解決手段】この発明の板金製ルアーの成形具は、携帯可能な重量及びサイズで、上面が平坦面に形成された金属製の金敷であって、上面に板金製のルアー部材の曲げ加工,絞り加工又は打ち出し加工のための凹部と凸部のいずれか一方又は両方よりなる当て部を設けており、複数種の当て部の内一部がV字形断面の凹溝と、周面が該凹溝の谷面に沿って凹溝に挿入配置され、この嵌合挿入時に上部が凸部として金敷の表面側に突出する当て金とで構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な重量及びサイズで、上面が平坦面に形成された金属製の金敷であって、上面に板金製のルアー部材の曲げ加工,絞り加工又は打ち出し加工のための凹部と凸部のいずれか一方又は両方よりなる当て部を設けてなる板金製ルアーの成形具。
【請求項2】
複数種の当て部の内一部がV字形断面の凹溝と、周面が該凹溝の谷面に沿って凹溝に挿入配置され、この嵌合挿入時に上部が凸部として金敷の表面側に突出する当て金とで構成される請求項1に記載の板金製ルアーの成形具。
【請求項3】
凹溝の長さを金敷の縦方向又は横方向の幅内に納め、長さ方向の両端に当て金の長さ方向の移動を規制する規制部を設けてなる請求項2に記載の板金製ルアーの成形具。
【請求項4】
凹部からなる当て部が球面状又は丸底状断面よりなる丸孔又は丸溝である請求項1又は2に記載の板金製ルアーの成形具。
【請求項5】
凸部からなる当て部が金敷の表面より上端が突出するように金敷に移動及び姿勢変動を規制して取付けられるピン状,プレート状又は横長の棒状部材よりなる当て金である請求項1又は2に記載の板金製ルアーの成形具。
【請求項6】
金敷の表面側に突出する当て金の断面上端が所定角度のコーナー角を備え又はアールに形成された請求項2に記載の板金製ルアーの成形具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スプーンやスピナーのブレードのようにそれ自体が、又は部品の一部が板金加工された部材を含む板金製ルアーの成形具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例えばスプーン型のルアーを板金加工によって製造する方法としては特許文献1が公知である。上記ルアーは金属薄板をプレス加工により打ち抜き成形するもので、多量生産による既製品を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
釣り人であるルアーのユーザーは、一般に釣り場の条件や環境又は目的とする魚種や好み等に応じてルアーを変更できるように多種類のルアーを用意するが、上記のような既製品を好みのタイプ毎に揃えようとすると、多種多量のルアーを用意する必要がある。
【0005】
これに対しアルミやアルミ合金その他加工性に富む軟質の軽金属の板金製ルアーは、既製品でもユーザーの手元である程度好みの形状や構造に変更して使用できる利点はあるものの、既製品の変更幅には限度がある。
【0006】
この発明は上記課題に対応するため、ユーザーの手元で比較的自由にルアー形状を成形できるように、カット済の素材や途中まで加工された半製品のものを最終製品に加工することが可能な板金製ルアーの成形具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の成形具は第1に、携帯可能な重量及びサイズで、上面が平坦面に形成された金属製の金敷であって、上面に板金製のルアー部材の曲げ加工,絞り加工又は打ち出し加工のための凹部と凸部のいずれか一方又は両方よりなる当て部を設けてなることを特徴としている。
【0008】
第2に、複数種の当て部の内一部がV字形断面の凹溝と、周面が該凹溝の谷面に沿って凹溝に挿入配置され、この嵌合挿入時に上部が凸部として金敷の表面側に突出する当て金とで構成されることを特徴としている。
【0009】
第3に、凹溝の長さを金敷の縦方向又は横方向の幅内に納め、長さ方向の両端に当て金の長さ方向の移動を規制する規制部設けてなることを特徴としている。
【0010】
第4に、凹部からなる当て部が球面状又は丸底状断面よりなる丸孔又は丸溝であることを特徴としている。
【0011】
第5に、凸部からなる当て部が金敷の表面より上端が突出するように金敷に移動及び姿勢変動を規制して取付けられるピン状,プレート状又は横長の棒状部材よりなる当て金であることを特徴としている。
【0012】
第6に、金敷の表面側に突出する当て金の断面上端が所定角度のコーナー角を備え又はアールに形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成される本発明のルアー成形具によれば、カット済の板金素材や半製品を釣り場の条件やその時々の環境、対象魚の種類やサイズ等に応じて高い自由度で完成品に仕上げることができる。
【0014】
特に金敷上面の凹凸からなる当て部にルアー部材を当て、ポンチとハンマーを用い又は直接ハンマーで折り曲げ・湾曲加工,たたき出し,絞り等の加工により最適な形状,構造に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】(A),(B)は共に金敷のV字形断面の凹溝に挿入される当て金の異なる実施形態の例を示す端面図である。
【
図6】同じく異なる実施例を示す金敷の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図4はこの発明の1実施例を示し、軟鉄又はステンレス鋼等よりなるブロック((直方体)状の金敷1は、成形具の本体部を構成し、この例では20×80×125(mm)のサイズに形成され、全体が蓋付の箱状容器(図示しない)に納められてユーザーにとって携帯持運びが容易な重量及びサイズに形成されている。
【0017】
金敷1の上面には図示されるように例えば半径3mm,深さ2.5mm程度の球面(丸底)状の凹部(穴)からなる当て部2a,略同径の前後方向の丸溝からなる当て部2b,略直角なV字形断面の凹溝3が形成されている。
【0018】
上記凹溝3は深さが約8.5mm程度で、この凹溝3は前後長が50mm程度に形成され、前後端内面は次に述べる同一長さの当て金4を挿入した際の前後移動を規制する規制部(内壁面)3aとなっている。
【0019】
上記当て金4は、
図1,
図4(A),(B)に示すように、略正方形断面で鋼材その他の金属材料からなる柱状材として形成され、前記凹溝3内にそのV字形の谷面に沿って挿入嵌合され、左右方向はV字形谷面により、前後方向は上記規制部3aにより、当て金4は移動規制される。凹溝3内に挿入された状態で当て金4の金敷表面より突出した上記コーナー部は、後述する当て部2cを形成する。
【0020】
上記のように構成されるルアーの成形具は、
図1に例示するように平坦面からなる床面上に安定的に載置した状態で、この例ではルアーとなる板金製で楕円形のスプーンブレードとなるルアー部材(の素材又は半加工材)6を、湾曲,折り曲げ,絞り,打出し等の加工形態に応じて上記当て部2a~2cのいずれかの上から当てがい、上面からポンチ(又はたがね)7の先端を押接してハンマーで叩きながら加工成形する。また、ポンチを用いないで直接板金用ハンマー(図示しない)でルアー部材を叩いて加工形成しても良い。
【0021】
この時ルアー部材6に球面状の凹部を形成する場合は当て部2aを用い、円弧状断面の溝状の凹部や単純な湾曲部を形成する場合は丸溝状の当て部2bを用いる等適宜選択する。
【0022】
またルアー部材6の一部をアングル状に折り曲げ加工する場合は、凹溝3内に移動や姿勢変動を規制した状態で挿入されている当て金4の突出測頂点であって所定のコーナー角(本例では90°)を有する当て部2cに、ルアー部材6を当てがってハンマーで叩きながら目的に沿った加工を行う。
【0023】
尚、V字形の溝からなる凹溝3はこれを当て部として利用し、その上からルアー部材6を当てがってV字形の先端断面を有するポンチ(図示しない)を押接しながらハンマーで叩くことにより、V字形の折り曲げ加工を施すことも可能である。したがってポンチ7はその先端の大きさや形状を、使用目的に応じて複数種類用意しておくことが望ましい。
【0024】
図4(A),(B)は上記当て金4と当て金4のその他の実形態を示す断面図で、同図(A)は既述の通り略正方形断面(90°のコーナー角)のものを示し、同図(B)は正方形断面の各コーナー部にアールを付したものを示している。(A)の場合、ルアー部材6を直角又はその前後の角度に折り曲げ形成する場合に有用で、(B)の場合は折り曲げコーナー部にアールを付す場合に適する。上記当て金4の当て部2cの断面形状は、求めるルアー形状に応じて自由に選択できる。
【0025】
上記当て金4は、必ずしも正方形断面を基本とする必要はなく、また当て金4のみを利用する場合は、凹溝3はV字形断面に限らず、当て金4を挿入して位置決めするものであれば足りる。その他1本の当て金の各コーナーの断面形状を異なるものとして、多種用途に用いることが可能なものとしても良く、棒状,プレート状,円形断面のものでも良い。
【0026】
図5,
図6はこの発明の他の実施例を示す成形具の平面図及び断面図で、この例では当て部2cを構成する凹溝3と当て金4は上記実施例と共通するものの、当て部2d,2eが共に金属製のスパイク状又はコーン状のピンから構成される当て金であり、2つの当て金2d,2eは突出した先端のアールの大小が異なる。
【0027】
上記当て部2d,2eは、金敷1の上方より差し込まれ、底面側に挿入される取付ビス8によって着脱交換可能に取付けられている。この当て金(ピン)2d,2eも各種先端形状のものや異なる寸法のものを用意することができる。そしてこの当て部2d,2eはその突出端にルアー部材6を当てがい、ハンマーで叩くことにより下向きの凹面加工等を行うのに適している。
【符号の説明】
【0028】
1 金敷
2a 当て部(丸孔)
2b 当て部(丸溝)
2c 当て部
2d,2e 当て部(当て金)
3 凹溝
4 当て金
6 ルアー部材6
7 ポンチ
8 取付ビス