(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163238
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】入出力装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20241114BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241114BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241114BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20241114BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G02F1/1333
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G09F9/00 366A
G02F1/1368
G06F3/041 412
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024151718
(22)【出願日】2024-09-03
(62)【分割の表示】P 2024010954の分割
【原出願日】2016-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2015110612
(32)【優先日】2015-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 英明
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(72)【発明者】
【氏名】豊高 耕平
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一徳
(72)【発明者】
【氏名】兼安 誠
(57)【要約】
【課題】入出力装置の薄型化を図る。信頼性の高い入出力装置を提供する。
【解決手段】第1の画素電極、第2の画素電極、第1の共通電極、第2の共通電極、液晶
、第1の絶縁膜、第2の絶縁膜、及びトランジスタを有する入出力装置である。第1の共
通電極は、検知素子の一方の電極として機能する。第2の共通電極は、検知素子の他方の
電極として機能する。トランジスタは、第1のゲート、第2のゲート、及び半導体層を有
する。画素電極と、共通電極と、第2のゲートは、それぞれ異なる面上に位置する。第2
のゲートは、半導体層に含まれる金属元素を1種類以上含む。好ましくは、第2のゲート
、画素電極、及び共通電極が、半導体層に含まれる金属元素を1種類以上含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画素電極、第2の画素電極、第1の共通電極、第2の共通電極、液晶、第1の絶縁膜、第2の絶縁膜、及びトランジスタを有し、
前記第1の共通電極は、検知素子の一方の電極として機能し、
前記第2の共通電極は、前記検知素子の他方の電極として機能し、
前記トランジスタは、第1のゲート、第2のゲート、及び半導体層を有し、
前記半導体層は、チャネル形成領域に酸化物半導体を有し、
前記第2のゲートは、酸化物導電体を有し、
前記酸化物導電体は、前記酸化物半導体に含まれる金属元素を一種類以上有し、
前記第1のゲート上に、前記半導体層を有し、
前記半導体層上に、前記第2のゲートを有し、
前記第2のゲート上に、前記第1の絶縁膜を有し、
前記第1の絶縁膜上に、前記第1の画素電極、前記第2の画素電極、前記第1の共通電極、及び前記第2の共通電極を有し、
前記第1の画素電極及び前記第1の共通電極は、前記第2の絶縁膜を介して互いに重なる部分を有し、
前記第2の画素電極及び前記第2の共通電極は、前記第2の絶縁膜を介して互いに重なる部分を有し、
前記第1の画素電極、前記第2の画素電極、前記第1の共通電極、及び前記第2の共通電極上に、前記液晶を有し、
前記第1の画素電極と前記第2の画素電極とは、同一面上に離間して位置し、
前記第1の共通電極と前記第2の共通電極とは、同一面上に離間して位置する、入出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、入出力装置及び電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電
子機器、照明装置、入力装置(例えば、タッチセンサなど)、出力装置、入出力装置(例
えば、タッチパネルなど)、それらの駆動方法、又は、それらの製造方法、を一例として
挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
液晶表示装置や発光表示装置に代表されるフラットパネルディスプレイの多くに用いられ
ているトランジスタは、ガラス基板上に形成されたアモルファスシリコン、単結晶シリコ
ン又は多結晶シリコンなどのシリコン半導体によって構成されている。また、該シリコン
半導体を用いたトランジスタは、集積回路(IC)などにも利用されている。
【0004】
近年、シリコン半導体に代わって、半導体特性を示す金属酸化物をトランジスタに用いる
技術が注目されている。なお、本明細書中では、半導体特性を示す金属酸化物を酸化物半
導体と記すこととする。例えば、特許文献1及び特許文献2には、酸化物半導体として、
酸化亜鉛、又はIn-Ga-Zn系酸化物を用いたトランジスタを作製し、該トランジス
タを表示装置の画素のスイッチング素子などに用いる技術が開示されている。
【0005】
また、表示装置に、ユーザインターフェイスとして画面に指などで触れることで入力する
機能を付加した、タッチパネルが望まれている。
【0006】
タッチセンサが搭載された表示装置又は表示モジュールは、タッチパネル又はタッチスク
リーンなどと呼ばれている。また、タッチセンサを有し、表示素子を有していない装置を
タッチパネルと呼ぶ場合もある。そのため、タッチセンサが搭載された表示装置又は表示
モジュールを、タッチセンサ付き表示装置、タッチパネル付き表示装置、表示装置付きタ
ッチセンサ、又は表示装置付きタッチパネルなどということがある。なお、以下では、タ
ッチセンサが搭載された表示装置をタッチパネルと記すこととする。
【0007】
例えば、特許文献3~特許文献6には、液晶素子を表示素子として用いたタッチパネルが
開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-123861号公報
【特許文献2】特開2007-96055号公報
【特許文献3】特開2011-197685号公報
【特許文献4】特開2014-44537号公報
【特許文献5】特開2014-178847号公報
【特許文献6】米国特許出願公開第2008/0158183号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、入出力装置の薄型化を課題の一とする。または、本発明の一態様は、
入出力装置の軽量化を課題の一とする。または、本発明の一態様は、部品点数の少ない入
出力装置を提供することを課題の一とする。
【0010】
または、本発明の一態様は、信頼性の高い入出力装置を提供することを課題の一とする。
または、本発明の一態様は、検出感度の高い入出力装置を提供することを課題の一とする
。または、本発明の一態様は、新規な入出力装置等を提供することを課題の一とする。
【0011】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、明細書、図面、請
求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、第1の画素電極、第2の画素電極、第1の共通電極、第2の共通電極
、液晶、第1の絶縁膜、第2の絶縁膜、及びトランジスタを有する入出力装置である。第
1の共通電極は、検知素子の一方の電極として機能することができる。第2の共通電極は
、検知素子の他方の電極として機能することができる。トランジスタは、第1のゲート、
第2のゲート、及び半導体層を有する。半導体層は、チャネル形成領域に酸化物半導体を
有する。第2のゲートは、酸化物導電体を有する。酸化物導電体は、酸化物半導体に含ま
れる金属元素を一種類以上有する。本発明の一態様の入出力装置は、第1のゲート上に、
半導体層を有し、半導体層上に、第2のゲートを有し、第2のゲート上に、第1の絶縁膜
を有し、第1の絶縁膜上に、第1の画素電極、第2の画素電極、第1の共通電極、及び第
2の共通電極を有する。第1の画素電極及び第1の共通電極は、第2の絶縁膜を介して互
いに重なる部分を有する。第2の画素電極及び第2の共通電極は、第2の絶縁膜を介して
互いに重なる部分を有する。第1の画素電極、第2の画素電極、第1の共通電極、及び第
2の共通電極上に、液晶を有する。第1の画素電極と第2の画素電極とは、同一面上に離
間して位置する。第1の共通電極と第2の共通電極とは、同一面上に離間して位置する。
【0013】
表示部又は駆動回路部の少なくとも一方が、上記のトランジスタを有する。例えば、本発
明の一態様の入出力装置は、上記のトランジスタを2つ有し、2つのトランジスタのうち
、1つでは、ソース又はドレインが、第1の画素電極と電気的に接続され、もう1つでは
、ソース又はドレインが、第2の画素電極と電気的に接続されていてもよい。または、上
記のトランジスタは、駆動回路部に位置していてもよい。
【0014】
または、上記各構成において、第2のゲートは、第1のゲートと電気的に接続されていて
もよい。
【0015】
または、上記各構成において、第1の画素電極及び第2の画素電極上に、第2の絶縁膜を
有し、第2の絶縁膜上に、第1の共通電極及び第2の共通電極を有していてもよい。また
は、上記各構成において、第1の共通電極及び第2の共通電極上に、第2の絶縁膜を有し
、第2の絶縁膜上に、第1の画素電極及び第2の画素電極を有していてもよい。
【0016】
または、上記各構成において、第1の画素電極及び第2の画素電極は、それぞれ、酸化物
半導体に含まれる金属元素を少なくとも一つ有していてもよい。さらに、第1の共通電極
及び第2の共通電極は、それぞれ、酸化物半導体に含まれる金属元素を少なくとも一つ有
していてもよい。
【0017】
または、上記各構成において、酸化物半導体及び酸化物導電体は、それぞれ、インジウム
を含む酸化物を有していてもよい。さらに、第1の画素電極及び第2の画素電極は、それ
ぞれ、インジウムを含む酸化物を有していてもよい。さらに、第1の共通電極及び第2の
共通電極は、それぞれ、インジウムを含む酸化物を有していてもよい。
【0018】
または、上記各構成において、酸化物半導体及び酸化物導電体は、それぞれ、In-M1
-Zn酸化物(M1はAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、Sn又はHf)
を有していてもよい。さらに、第1の画素電極及び第2の画素電極は、それぞれ、上記I
n-M1-Zn酸化物を有していてもよい。さらに、第1の共通電極及び第2の共通電極
は、それぞれ、上記In-M1-Zn酸化物を有していてもよい。
【0019】
または、上記各構成において、第1の画素電極、第2の画素電極、第1の共通電極、及び
第2の共通電極は、それぞれ、可視光を透過する機能を有していてもよい。
【0020】
または、上記各構成において、第1の絶縁膜と第1の共通電極の間に、第1の導電膜を有
し、第1の導電膜の抵抗率は、第1の共通電極の抵抗率よりも低く、第1の導電膜は、第
1の共通電極と電気的に接続されてもよい。さらに、第1の絶縁膜と第2の共通電極の間
に、第2の導電膜を有し、第2の導電膜の抵抗率は、第2の共通電極の抵抗率よりも低く
、第2の導電膜は、第2の共通電極と電気的に接続され、第1の導電膜と第2の導電膜は
、同一面上に離間して位置していてもよい。
【0021】
または、上記各構成において、遮光膜を有し、遮光膜は、第1の導電膜又は第2の導電膜
の少なくとも一方と、液晶を介して重なる部分を有していてもよい。
【0022】
また、本発明の一態様は、上記の入出力装置に、FPC(Flexible print
ed circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)
などのコネクタが取り付けられたモジュール、又はCOG(Chip On Glass
)方式、COF(Chip On Film)方式等によりICが実装されたモジュール
等のモジュールである。
【0023】
または、本発明の一態様は、上記のモジュールと、アンテナ、バッテリ、筐体、スピーカ
、マイク、操作スイッチ、又は操作ボタンの少なくともいずれか一と、を有する電子機器
である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様により、入出力装置の薄型化が可能となる。または、本発明の一態様によ
り、入出力装置の軽量化が可能となる。または、本発明の一態様により、部品点数の少な
い入出力装置を提供することができる。
【0025】
または、本発明の一態様により、信頼性の高い入出力装置を提供することができる。また
は、本発明の一態様により、検出感度の高い入出力装置を提供することができる。または
、本発明の一態様により、新規な入出力装置等を提供することができる。
【0026】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、明細書、図面、請求
項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図15】タッチパネルモジュールの一例を示すブロック図。
【
図17】トランジスタ等の作製方法の一例を示す断面図。
【
図18】トランジスタ等の作製方法の一例を示す断面図。
【
図19】トランジスタ等の作製方法の一例を示す断面図。
【
図20】トランジスタ等の作製方法の一例を示す断面図。
【
図22】トランジスタの一例を示す上面図及び断面図。
【
図26】CAAC-OS及び単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図、並びにCAAC-OSの制限視野電子回折パターンを示す図。
【
図27】CAAC-OSの断面TEM像、並びに平面TEM像及びその画像解析像。
【
図28】nc-OSの電子回折パターンを示す図、及びnc-OSの断面TEM像。
【
図30】In-Ga-Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。
【
図36】試料のXRDスペクトルの測定結果を説明する図。
【
図37】試料のTEM像、及び電子線回折パターンを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し
得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の
記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0029】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同
一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の
機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0030】
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実
際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必
ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0031】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じ
て、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電膜」という用語を、「導電層」
という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁層」という用語
を、「絶縁膜」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0032】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置さ
れている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平
行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。ま
た、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態を
いう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二
つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0033】
また、本明細書において、結晶が三方晶又は菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
【0034】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の入出力装置について
図1~
図16を用いて説明する
。
【0035】
本発明の一態様の入出力装置は、画像を表示する機能と、タッチセンサとしての機能と、
を有する、インセル型のタッチパネルである。
【0036】
本発明の一態様の入出力装置が有する表示素子に限定は無い。液晶素子、MEMS(Mi
cro Electro Mechanical System)を利用した光学素子、
有機EL(Electro Luminescence)素子や発光ダイオード(LED
:Light Emitting Diode)等の発光素子、電気泳動素子など、様々
な素子を、表示素子として適用することができる。
【0037】
本実施の形態では、横電界方式の液晶素子を用いた透過型の液晶表示装置を例に挙げて説
明する。
【0038】
本発明の一態様の入出力装置が有する検知素子(センサ素子ともいう)に限定は無い。指
やスタイラスなどの被検知体の近接又は接触を検知することのできる様々なセンサを、検
知素子として適用することができる。
【0039】
例えばセンサの方式としては、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式
、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。
【0040】
本実施の形態では、静電容量方式の検知素子を有する入出力装置を例に挙げて説明する。
【0041】
静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。また、投影
型静電容量方式としては、自己容量方式、相互容量方式等がある。相互容量方式を用いる
と、同時多点検知が可能となるため好ましい。
【0042】
本発明の一態様の入出力装置は、表示素子を支持する基板のみに、検知素子を構成する電
極等を設けた構成である。本発明の一態様の入出力装置は、フルインセル型のタッチパネ
ルということができる。インセル型のタッチパネルとしては、ほかに、表示素子を支持す
る基板と対向基板の両方又は対向基板のみに、検知素子を構成する電極等が設けられた構
成がある。これらの構成に比べて、フルインセル型のタッチパネルは、対向基板の構成を
簡略化できるため、好ましい。
【0043】
本発明の一態様の入出力装置は、表示素子を構成する電極が、検知素子を構成する電極を
兼ねるため、作製工程を簡略化でき、かつ、作製コストを低減でき、好ましい。
【0044】
本発明の一態様を適用することで、別々に作製された表示パネルと検知素子とを貼り合わ
せる構成や、対向基板側に検知素子を作製する構成に比べて、入出力装置を薄型化もしく
は軽量化することができる、又は、入出力装置の部品点数を少なくすることができる。
【0045】
本発明の一態様の入出力装置は、画素を駆動する信号を供給するFPCと、検知素子を駆
動する信号を供給するFPCの両方を、一方の基板側に配置する。これにより、電子機器
に組み込みやすく、また、部品点数を削減することが可能となる。なお、一つのFPCに
より、画素を駆動する信号と検知素子を駆動する信号が供給されてもよい。
【0046】
以下では、本発明の一態様の入出力装置の構成について説明する。
【0047】
[入出力装置の断面構成例1]
図1(A)に、入出力装置300の上面図を示し、
図1(B)に、
図1(A)における一
点鎖線A-B間及び一点鎖線C-D間の断面図を示す。
【0048】
図1(A)に示すように、入出力装置300は、表示部301及び走査線駆動回路302
を有する。表示部301は、複数の画素303、複数の信号線、及び複数の走査線を有し
、画像を表示する機能を有する。また、表示部301は、入力部でもある。つまり、表示
部301は、被検知体の入出力装置300への接触又は近接を検知する複数の検知素子を
有し、タッチセンサとしての機能を有する。走査線駆動回路302は、表示部301が有
する走査線に、走査信号を出力する機能を有する。画素303は複数の副画素を有する。
図1(A)では、画素303が3つの副画素を有する例を示すが、本発明の一態様はこれ
に限られない。
【0049】
図1(A)では、入出力装置300が、走査線駆動回路を有する例を示すが、本発明の一
態様はこれに限られない。入出力装置300は、走査線駆動回路、信号線駆動回路、及び
センサ駆動回路の全てを有していなくてもよいし、いずれか一以上を有していてもよい。
【0050】
入出力装置300では、IC268がCOG方式などの実装方式により、基板211に実
装されている。IC268は、例えば、信号線駆動回路、走査線駆動回路、及びセンサ駆
動回路のうち、いずれか一以上を有する。
【0051】
また、入出力装置300には、FPC269が電気的に接続されている。FPC269を
介して、IC268及び走査線駆動回路には外部から信号が供給される。また、FPC2
69を介して、IC268から外部に信号を出力することができる。
【0052】
FPC269には、ICが実装されていてもよい。例えば、FPC269には、信号線駆
動回路、走査線駆動回路、及びセンサ駆動回路のうち、いずれか一以上を有するICが実
装されていてもよい。例えば、COF方式やTAB(Tape Automated B
onding)方式などの実装方式により、FPC269にICを実装することができる
。
【0053】
例えば、IC268が、信号線駆動回路及びセンサ駆動回路を有していてもよい。または
、例えば、IC268が、信号線駆動回路を有し、FPC269に実装されたICが、セ
ンサ駆動回路を有していてもよい。
【0054】
図1(B)に示すように、入出力装置300は、基板211上に、トランジスタ201a
、トランジスタ203a、接続部205a、及び液晶素子207a等を有する。
【0055】
図1(B)では、表示部301の例として、1つの副画素の断面を示している。例えば、
赤色を呈する副画素、緑色を呈する副画素、及び青色を呈する副画素によって1つの画素
が構成されることで、表示部301ではフルカラーの表示を行うことができる。なお、副
画素が呈する色は、赤、緑、及び青に限られない。画素には、例えば、白、黄、マゼンタ
、又はシアン等の色を呈する副画素を用いてもよい。
【0056】
トランジスタ201a、203aは、ゲート電極221、絶縁膜213、酸化物半導体膜
223、ソース電極225a、及びドレイン電極225bを有する。トランジスタ201
aは、さらに、導電膜226、絶縁膜215、及び酸化物導電膜227を有する。なお、
絶縁膜215を、トランジスタ203aの構成要素とみなすこともできる。
【0057】
ゲート電極221及び酸化物導電膜227は、それぞれ、ゲートとして機能することがで
きる。トランジスタ201aは、チャネルが形成される酸化物半導体膜を2つのゲートで
挟持する構成である。ゲート電極221と酸化物導電膜227は、導電膜226を介して
電気的に接続されている。このように2つのゲートが電気的に接続されている構成のトラ
ンジスタは、他のトランジスタと比較して電界効果移動度を高めることが可能であり、オ
ン電流を増大させることができる。その結果、高速動作が可能な回路を作製することがで
きる。さらには回路部の占有面積を縮小することが可能となる。オン電流の大きなトラン
ジスタを適用することで、入出力装置を大型化又は高精細化して配線数が増大したとして
も、各配線における信号遅延を低減することが可能であり、表示ムラを抑制することが可
能である。また、このような構成を適用することで、信頼性の高いトランジスタを実現す
ることができる。
【0058】
トランジスタ201a、203aは、同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。
つまり、駆動回路部が有するトランジスタと、表示部が有するトランジスタが、同じ構造
であっても、異なる構造であってもよい。また、駆動回路部が、複数の構造のトランジス
タを有していてもよいし、表示部が、複数の構造のトランジスタを有していてもよい。例
えば、走査線駆動回路が有するシフトレジスタ回路、バッファ回路、及び保護回路のうち
、一以上の回路に、2つのゲートが電気的に接続されている構成のトランジスタを用いる
ことが好ましい。
【0059】
トランジスタ201a、203aは、絶縁膜217及び絶縁膜219に覆われている。な
お、絶縁膜217、さらには絶縁膜219を、トランジスタ201a、203aの構成要
素とみなすこともできる。絶縁膜217は、トランジスタを構成する半導体への不純物の
拡散を抑制する効果を奏することが好ましい。例えば、絶縁膜217には、水や水素等の
不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。絶縁膜219には、トランジスタ起
因の表面凹凸を低減するために平坦化機能を有する絶縁膜を選択することが好適である。
【0060】
トランジスタ201aは、半導体層として酸化物半導体膜223を用い、ゲートとして酸
化物導電膜227を用いた構成である。このとき、酸化物半導体膜223と酸化物導電膜
227を、酸化物半導体を用いて形成することが好ましい。
【0061】
酸化物半導体は、入出力装置の作製工程において、抵抗率を容易に制御することができる
ため、半導体膜及び導電膜の材料として好適に用いることができる。特に、同一の金属元
素を有する酸化物半導体を、入出力装置を構成する層のうち2層以上に用いることで、製
造装置(例えば、成膜装置、加工装置等)を2以上の工程で共通で用いることが可能とな
るため、製造コストを抑制することができる。
【0062】
また、酸化物半導体は、可視光を透過する材料であるため、可視光を透過する素子に好適
に用いることができる。
【0063】
また、酸化物半導体膜223と、酸化物導電膜227を同一の金属元素で形成することで
、製造コストを低減させることができる。例えば、同一の金属組成の金属酸化物ターゲッ
トを用いることで製造コストを低減させることができる。また、同一の金属組成の金属酸
化物ターゲットを用いることによって、酸化物半導体膜を加工する際のエッチングガス又
はエッチング液を共通して用いることができる。ただし、酸化物半導体膜223と、酸化
物導電膜227は、同一の金属元素を有していても、組成が異なる場合がある。例えば、
入出力装置の作製工程中に、膜中の金属元素が脱離し、異なる金属組成となる場合がある
。
【0064】
トランジスタ201a、203aは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導
体膜223を有することが好ましい。これにより、トランジスタのオフ状態における電流
値(オフ電流値)を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を
長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレ
ッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
【0065】
また、トランジスタ201a、203aは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、
高速駆動が可能である。このような高速駆動が可能なトランジスタを入出力装置に用いる
ことで、表示部のトランジスタと、駆動回路部のトランジスタを同一基板上に形成するこ
とができる。すなわち、駆動回路として、別途、シリコンウェハ等により形成された半導
体装置を用いる必要がないため、入出力装置の部品点数を削減することができる。また、
表示部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供
することができる。
【0066】
液晶素子207aは、FFS(Fringe Field Switching)モード
が適用された液晶素子である。液晶素子207aは、導電膜251、導電膜252、及び
液晶249を有する。導電膜251と導電膜252との間に生じる電界により、液晶24
9の配向を制御することができる。導電膜251は、画素電極として機能することができ
る。導電膜252は、共通電極として機能することができる。
【0067】
導電膜251及び導電膜252に、可視光を透過する導電性材料を用いることで、入出力
装置300を、透過型の液晶表示装置として機能させることができる。また、導電膜25
1に、可視光を反射する導電性材料を用い、導電膜252に可視光を透過する導電性材料
を用いることで、入出力装置300を、反射型の液晶表示装置として機能させることがで
きる。
【0068】
可視光を透過する導電性材料としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫
(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いるとよい。具体的には、酸化インジウム
、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、インジウム亜鉛
酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム
亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物
、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛な
どが挙げられる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜
は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。
【0069】
導電膜251に酸化物導電膜を用いることが好ましい。また、導電膜252に酸化物導電
膜を用いることが好ましい。酸化物導電膜は、酸化物半導体膜223に含まれる金属元素
を一種類以上有することが好ましい。例えば、導電膜251は、インジウムを含むことが
好ましく、In-M-Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、La、Ce
、Sn、Mg、Nd、又はHf)膜であることがさらに好ましい。同様に、導電膜252
は、インジウムを含むことが好ましく、In-M-Zn酸化物膜であることがさらに好ま
しい。
【0070】
なお、導電膜251と導電膜252のうち、少なくとも一方を、酸化物半導体を用いて形
成してもよい。上述の通り、同一の金属元素を有する酸化物半導体を、入出力装置を構成
する層のうち2層以上に用いることで、製造装置(例えば、成膜装置、加工装置等)を2
以上の工程で共通で用いることが可能となるため、製造コストを抑制することができる。
【0071】
例えば、絶縁膜253に水素を含む窒化シリコン膜を用い、導電膜251に酸化物半導体
を用いると、絶縁膜253から供給される水素によって、酸化物半導体の導電率を高める
ことができる。
【0072】
可視光を反射する導電性材料としては、例えば、アルミニウム、銀、又はこれらの金属材
料を含む合金等が挙げられる。
【0073】
画素電極として機能する導電膜251は、トランジスタ203aのソース又はドレインと
電気的に接続される。ここでは、導電膜251がドレイン電極225bと電気的に接続さ
れている例を示す。
【0074】
導電膜252は、櫛歯状の上面形状(平面形状ともいう)、又はスリットが設けられた上
面形状を有する。導電膜251と導電膜252の間には、絶縁膜253が設けられている
。導電膜251は、絶縁膜253を介して導電膜252と重なる部分を有する。また、導
電膜251と着色膜241とが重なる領域において、導電膜251上に導電膜252が配
置されていない部分を有する。
【0075】
絶縁膜253上には、導電膜255が設けられている。導電膜255は、導電膜252と
電気的に接続されており、導電膜252の補助配線として機能することができる。共通電
極と電気的に接続する補助配線を設けることで、共通電極の抵抗に起因する電圧降下を抑
制することができる。また、このとき、金属酸化物を含む導電膜と、金属を含む導電膜の
積層構造とする場合には、ハーフトーンマスクを用いたパターニング技術により形成する
と、工程を簡略化できるため好ましい。
【0076】
導電膜255は、導電膜252よりも抵抗値の低い膜である。導電膜255は、例えば、
モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、銀、ネオジ
ム、スカンジウム等の金属材料又はこれらの元素を含む合金材料を用いて、単層で又は積
層して形成することができる。
【0077】
入出力装置の使用者から視認されないよう、導電膜255は、遮光膜243等と重なる位
置に設けられることが好ましい。
【0078】
接続部205aは、走査線駆動回路302に外部からの信号(ビデオ信号、クロック信号
、スタート信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子と電気的に接続す
る。ここでは、外部入力端子としてFPC269を設ける例を示している。
【0079】
接続部205aは、絶縁膜213上に導電膜231を有し、導電膜231上に導電膜23
3を有し、導電膜233上に導電膜235を有する。導電膜231は導電膜233を介し
て導電膜235と電気的に接続されている。そして、導電膜235は、接続体267を介
してFPC269と電気的に接続されている。
【0080】
導電膜231は、トランジスタ201a、203aが有するソース電極225a及びドレ
イン電極225bと同一の材料、同一の工程で形成することができる。導電膜233は、
液晶素子207aが有する導電膜251と同一の材料、同一の工程で形成することができ
る。導電膜235は、液晶素子207aが有する導電膜252と同一の材料、同一の工程
で形成することができる。このように、接続部205aを構成する導電膜を、表示部や駆
動回路部に用いる電極や配線と同一の材料、同一の工程で作製すると、工程数の増加を防
ぐことができ好ましい。
【0081】
基板261には、着色膜241、遮光膜243、及び絶縁膜245が設けられている。図
1(B)では、基板261の厚さが基板211の厚さよりも薄い例を示すが、本発明の一
態様はこれに限られない。基板261と基板211は、一方が他方よりも薄くてもよいし
、同一の厚さであってもよい。表示面側(被検知体に近い側)の基板を薄くすると、検知
素子の検出感度を上げることができ、好ましい。
【0082】
着色膜241は、液晶素子207aと重なる部分を有する。遮光膜243は、トランジス
タ201a、203aのうち、少なくとも一方と重なる部分を有する。
【0083】
絶縁膜245は、着色膜241や遮光膜243等に含まれる不純物が液晶249に拡散す
ることを防ぐオーバーコートとしての機能を有することが好ましい。絶縁膜245は、不
要であれば設けなくてもよい。
【0084】
なお、液晶249と接する配向膜が設けられていてもよい。配向膜は、液晶249の配向
を制御することができる。例えば、
図1(B)において、導電膜252を覆う配向膜を形
成してもよい。また、
図1(B)において、絶縁膜245と液晶249の間に、配向膜を
有していてもよい。また、絶縁膜245が、配向膜としての機能と、オーバーコートとし
ての機能の双方を有していてもよい。
【0085】
また、入出力装置300は、スペーサ247を有する。スペーサ247は、基板211と
基板261との距離が一定以上近づくことを防ぐ機能を有する。
【0086】
図1(B)では、スペーサ247は、絶縁膜253上及び導電膜252上に設けられてい
る例を示すが、本発明の一態様はこれに限られない。スペーサ247は、基板211側に
設けられていてもよいし、基板261側に設けられていてもよい。例えば、絶縁膜245
上にスペーサ247を形成してもよい。また、
図1(B)では、スペーサ247が、絶縁
膜253及び絶縁膜245と接する例を示すが、基板211側又は基板261側のいずれ
かに設けられた構造物と接していなくてもよい。
【0087】
スペーサ247として粒状のスペーサを用いてもよい。粒状のスペーサとしては、シリカ
などの材料を用いることもできるが、樹脂やゴムなどの弾性を有する材料を用いることが
好ましい。このとき、粒状のスペーサは上下方向に潰れた形状となる場合がある。
【0088】
基板211及び基板261は、接着層265によって貼り合わされている。基板211、
基板261、及び接着層265に囲まれた領域に、液晶249が封止されている。
【0089】
なお、入出力装置300を、透過型の液晶表示装置として機能させる場合、偏光板を、表
示部を挟むように2つ配置する。偏光板よりも外側に配置されたバックライトからの光は
偏光板を介して入射される。このとき、導電膜251と導電膜252の間に与える電圧に
よって液晶249の配向を制御し、光の光学変調を制御することができる。すなわち、偏
光板を介して射出される光の強度を制御することができる。また、入射光は着色膜241
によって特定の波長領域以外の光が吸収されるため、射出される光は例えば赤色、青色、
又は緑色を呈する光となる。
【0090】
また、偏光板に加えて、例えば円偏光板を用いることができる。円偏光板としては、例え
ば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。円偏光板によ
り、入出力装置の表示の視野角依存を低減することができる。
【0091】
なお、ここでは液晶素子207aとしてFFSモードが適用された素子を用いたが、これ
に限られず様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例えば、VA(V
ertical Alignment)モード、TN(Twisted Nematic
)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、ASM(Axia
lly Symmetric aligned Micro-cell)モード、OCB
(Optically Compensated Birefringence)モード
、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AF
LC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード等
が適用された液晶素子を用いることができる。
【0092】
また、入出力装置300にノーマリーブラック型の液晶表示装置、例えば垂直配向(VA
)モードを採用した透過型の液晶表示装置を適用してもよい。垂直配向モードとしては、
MVA(Multi-Domain Vertical Alignment)モード、
PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV
モードなどを用いることができる。
【0093】
なお、液晶素子は、液晶の光学変調作用によって光の透過又は非透過を制御する素子であ
る。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界又
は斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子に用いる液晶としては、
サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Pol
ymer Dispersed Liquid Crystal)、強誘電性液晶、反強
誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック
相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0094】
また、液晶材料としては、ポジ型の液晶又はネガ型の液晶のいずれを用いてもよく、適用
するモード及び設計に応じて最適な液晶材料を用いることができる。
【0095】
また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい
。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリッ
ク相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現
しないため、温度範囲を改善するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成
物を液晶249に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答
速度が短く、光学的等方性である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶
組成物は、配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよ
いのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を
防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良又は破損を軽減することができる
。
【0096】
ここで、基板261よりも上部に、指又はスタイラスなどの被検知体が直接触れる基板を
設けてもよい。またこのとき、基板261と当該基板との間に偏光板又は円偏光板を設け
ることが好ましい。その場合、当該基板上に保護層(セラミックコート等)を設けること
が好ましい。保護層は、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、イ
ットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの無機絶縁材料を用いることができる。また、
当該基板に強化ガラスを用いてもよい。強化ガラスは、イオン交換法や風冷強化法等によ
り物理的又は化学的な処理が施され、その表面に圧縮応力を加えたものを用いることがで
きる。
【0097】
また、
図2(A)に、隣り合う2つの画素の断面図を示す。
図2(A)に示す2つの副画
素はそれぞれ異なる画素が有する副画素である。
【0098】
図2(A)に示す入出力装置では、左の副画素が有する導電膜252と、右の副画素が有
する導電膜252との間に形成される容量を利用して、被検知体の近接又は接触等を検知
することができる。すなわち本発明の一態様の入出力装置において、導電膜252は、液
晶素子の共通電極と、検知素子の電極と、の両方を兼ねる。
【0099】
このように、本発明の一態様の入出力装置では、液晶素子を構成する電極が、検知素子を
構成する電極を兼ねるため、作製工程を簡略化でき、かつ作製コストを低減できる。また
、入出力装置の薄型化、軽量化を図ることができる。
【0100】
導電膜252は、補助配線として機能する導電膜255と電気的に接続されている。導電
膜255を設けることで、検知素子の電極の抵抗を低減させることができる。検知素子の
電極の抵抗が低下することで、検知素子の電極の時定数を小さくすることができる。検知
素子の電極の時定数が小さいほど、検出感度を高めることができ、さらには、検出の精度
を高めることができる。
【0101】
また、検知素子の電極と信号線との間の容量が大きすぎると、検知素子の電極の時定数が
大きくなる場合がある。そのため、トランジスタと検知素子の電極との間に、平坦化機能
を有する絶縁膜を設け、検知素子の電極と信号線との間の容量を削減することが好ましい
。例えば、
図2(A)では、平坦化機能を有する絶縁膜として絶縁膜219を有する。絶
縁膜219を設けることで、導電膜252と信号線との容量を小さくすることができる。
これにより、検知素子の電極の時定数を小さくすることができる。前述の通り、検知素子
の電極の時定数が小さいほど、検出感度を高めることができ、さらには、検出の精度を高
めることができる。
【0102】
例えば、検知素子の電極の時定数は、0秒より大きく1×10-4秒以下、好ましくは0
秒より大きく5×10-5秒以下、より好ましくは0秒より大きく5×10-6秒以下、
より好ましくは0秒より大きく5×10-7秒以下、より好ましくは0秒より大きく2×
10-7秒以下であるとよい。特に、時定数を1×10-6秒以下とすることで、ノイズ
の影響を抑制しつつ高い検出感度を実現することができる。
【0103】
[入出力装置の断面構成例2]
図2(B)に、
図2(A)とは異なる、隣り合う2つの画素の断面図を示す。
図2(B)
に示す2つの副画素はそれぞれ異なる画素が有する副画素である。また、この場合の
図1
(A)における一点鎖線A-B間及び一点鎖線C-D間の断面図を、
図3(A)に示す。
【0104】
図2(B)及び
図3(A)に示す構成例2は、導電膜251、導電膜252、絶縁膜25
3、及び導電膜255の積層順が、
図1(B)及び
図2(A)に示す構成例1と異なる。
なお、構成例2において、構成例1と同様の部分に関しては、上記を参照することができ
る。
【0105】
具体的には、構成例2は、絶縁膜219上に導電膜255を有し、導電膜255上に導電
膜252を有し、導電膜252上に絶縁膜253を有し、絶縁膜253上に導電膜251
を有する。
【0106】
図2(B)に示す液晶素子207bのように、上層に設けられ、櫛歯状又はスリット状の
上面形状を有する導電膜251を画素電極とし、下層に設けられる導電膜252を共通電
極として用いることもできる。導電膜251は、トランジスタ203aのソース又はドレ
インと電気的に接続される。
【0107】
図2(B)では、左の副画素が有する導電膜252と、右の副画素が有する導電膜252
との間に形成される容量を利用して、被検知体の近接又は接触等を検知することができる
。すなわち本発明の一態様の入出力装置において、導電膜252は、液晶素子の共通電極
と、検知素子の電極と、の両方を兼ねる。
【0108】
なお、構成例1(
図1(B)、
図2(A))では、検知素子の電極と共通電極を兼ねる導
電膜252が、画素電極として機能する導電膜251よりも表示面側(被検知体に近い側
)に位置する。これにより、導電膜251が導電膜252よりも表示面側に位置する構成
例2よりも、構成例1では、検出感度が向上する場合がある。
【0109】
また、構成例2は、導電膜251、導電膜252、絶縁膜253、及び導電膜255の積
層順が、構成例1と異なることから、接続部の構成も構成例1とは異なる。
【0110】
図3(A)に示す接続部205bは、絶縁膜213上に導電膜231を有し、導電膜23
1上に導電膜233を有し、導電膜233上に導電膜235を有する。導電膜233は、
液晶素子207bが有する導電膜252と同一の材料、同一の工程で形成することができ
る。導電膜235は、液晶素子207bが有する導電膜251と同一の材料、同一の工程
で形成することができる。
【0111】
また、本発明の一態様の入出力装置が有するトランジスタの他の構成例について、
図3(
B)、(C)に示す。
図3(B)に示すように、2つのゲートを有するトランジスタにお
いて、該2つのゲートは、電気的に接続されていなくてもよい。また、
図3(C)に示す
ように、駆動回路部と表示部とのうち、少なくとも一方に、トップゲートのトランジスタ
を有していてもよい。
【0112】
また、本発明の一態様の入出力装置が有する液晶素子の他の構成例について、
図3(D)
、~(F)に示す。導電膜251及び導電膜252の双方が、櫛歯状の上面形状(平面形
状ともいう)、又はスリットが設けられた上面形状を有していてもよい。
【0113】
例えば、上面から見て、一方の導電膜のスリットの端部と、他方の導電膜のスリットの端
部が重なる形状であってもよい。この場合の断面図を
図3(D)に示す。
【0114】
または、上面から見て、導電膜251及び導電膜252の双方が設けられていない部分を
有していてもよい。この場合の断面図を
図3(E)に示す。
【0115】
または、上面から見て、導電膜251及び導電膜252が互いに重なる部分を有していて
もよい。この場合の断面図を
図3(F)に示す。
【0116】
[入出力装置の断面構成例3]
図4に、
図1(B)及び
図3(A)とは異なる、
図1(A)における一点鎖線A-B間及
び一点鎖線C-D間の断面図を示す。
【0117】
図4に示す構成例3は、表示部301が有するトランジスタと、走査線駆動回路302が
有するトランジスタの構成が、それぞれ、
図1(B)及び
図2(A)に示す構成例1と異
なる。なお、構成例3において、構成例1と同様の部分に関しては、上記を参照すること
ができる。
【0118】
トランジスタ201bは、チャネルが形成される酸化物半導体膜を2つのゲートで挟持す
る構成である。トランジスタ201bは、ゲート電極221と酸化物導電膜227が直接
接している点で、トランジスタ201aと異なる。このように、2つのゲートは、他の層
を介さずに電気的に接続されていてもよい。
【0119】
トランジスタ203bは、トランジスタ201bと同様に、チャネルが形成される酸化物
半導体膜223を2つのゲートで挟持する構成である。このように、駆動回路部だけでな
く、表示部にも、2つのゲートを有するトランジスタを適用することができる。なお、図
示しないが、トランジスタ203bにおいても、ゲート電極221と酸化物導電膜227
が電気的に接続されていることが好ましい。
【0120】
なお、酸化物導電膜227と、検知素子の電極の距離が近いほど、酸化物導電膜227の
影響を受けて、検知素子の電極の電位が変化する不具合が生じやすくなる。本発明の一態
様では、酸化物導電膜227と検知素子の電極が別の層に設けられているため、検知素子
の電極が、酸化物導電膜227の影響を受けにくく、好ましい。
【0121】
[入出力装置の断面構成例4]
図5に、
図1(B)、
図3(A)、及び
図4とは異なる、
図1(A)における一点鎖線A
-B間及び一点鎖線C-D間の断面図を示す。
【0122】
図5に示す構成例4は、走査線駆動回路302が有するトランジスタの構成と、スペーサ
247が設けられている基板が、
図1(B)及び
図2(A)に示す構成例1と異なる。な
お、構成例4において、構成例1と同様の部分に関しては、上記を参照することができる
。
【0123】
トランジスタ201cは、チャネルが形成される酸化物半導体膜を2つのゲートで挟持す
る構成である。トランジスタ201cは、酸化物導電膜227の形成位置が、トランジス
タ201aと異なる。具体的には、絶縁膜215上に絶縁膜217を有し、絶縁膜217
上に、平坦化機能を有する絶縁膜218を有し、絶縁膜218上に、酸化物導電膜227
を有する。このように、酸化物導電膜227は、平坦化機能を有する絶縁膜上に設けられ
ていてもよい。トランジスタ201cは、平坦化機能を有する絶縁膜219に覆われてい
る。なお、
図5では、酸化物導電膜227が導電膜226を介してゲート電極221と電
気的に接続されている例を示すが、
図4で示したように、酸化物導電膜227とゲート電
極221が直接接続されていてもよい。
【0124】
また、
図5では、スペーサ247が、絶縁膜245上に設けられている例を示す。このよ
うに、基板261側にスペーサ247を配置してもよい。
【0125】
[入出力装置の断面構成例5]
図6に、
図1(B)、
図3(A)、
図4、及び
図5とは異なる、
図1(A)における一点
鎖線A-B間及び一点鎖線C-D間の断面図を示す。
【0126】
図6に示す構成例5は、着色膜241の形成位置が、
図1(B)及び
図2(A)に示す構
成例1と異なる。なお、構成例5において、構成例1と同様の部分に関しては、上記を参
照することができる。
【0127】
着色膜241は対向基板(基板261)側に形成される構成に限られない。
図6に示すよ
うに、トランジスタ等が形成される基板211上に形成されてもよい。これにより、入出
力装置の表示の高精細化に伴う、基板211と基板261のアライメント精度の低下によ
る、歩留まりの低下及び表示品位の低下を抑制することができる。
【0128】
[入出力装置の断面構成例6]
図34に、上記各構成例とは異なる入出力装置の断面図を示す。本発明の一態様の入出力
装置は、表示素子を支持する基板のみに、検知素子を構成する電極等を設けた構成(フル
インセル型)のタッチパネルに限られない。
図34に示す入出力装置のように、対向基板
側に検知素子を構成する電極が設けられていてもよい。
【0129】
図34では、基板261の、着色膜241等が形成されている面と対向する面上に、導電
膜254が形成されている例を示す。導電膜254には、接続体257を介してFPC2
59が電気的に接続されている。
図34に示す入出力装置300では、導電膜252と、
導電膜254との間に形成される容量を利用して、被検知体の近接又は接触等を検知する
ことができる。すなわち本発明の一態様の入出力装置において、導電膜252は、液晶素
子の共通電極と、検知素子の一方の電極と、の両方を兼ねる。このように、液晶素子の共
通電極は、検知素子の一方の電極を兼ねていてもよいし、検知素子の一対の電極を兼ねて
いてもよい。
【0130】
また、
図34では、導電膜252上に導電膜255を有する例を示す。液晶素子の電極と
、該電極の補助配線として機能することができる導電膜は、どちらが上であっても構わな
い。
【0131】
次に、本実施の形態の入出力装置の各構成要素に用いることができる材料等の詳細につい
て、説明を行う。なお、既に説明した構成要素については説明を省略する場合がある。ま
た、後の実施の形態で示す入出力装置及びその構成要素にも、以下の材料を適宜用いるこ
とができる。
【0132】
≪基板≫
入出力装置300が有する基板の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処
理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基
板、石英基板、サファイア基板等を用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンからな
る単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、
SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたも
のを、基板として用いてもよい。なお、基板として、ガラス基板を用いる場合、第6世代
(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代
(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世
代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大型の表示装置を作
製することができる。また、基板211として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接
、トランジスタ、容量素子等を形成してもよい。
【0133】
厚さの薄い基板を用いることで、入出力装置の軽量化、薄型化を図ることができる。さら
に、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有する入出力装置を実現
できる。
【0134】
これらの他にも、基板211、261として、様々な基板を用いて、トランジスタを形成
することができる。基板の種類は、特定のものに限定されることはない。その基板の一例
としては、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル
・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性
基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどがある。ガラ
ス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソ
ーダライムガラスなどがある。可撓性基板の一例としては、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)
に代表されるプラスチック、又はアクリル等の可撓性を有する合成樹脂などがある。貼り
合わせフィルムの一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又
はポリ塩化ビニルなどがある。基材フィルムの一例としては、ポリエステル、ポリアミド
、ポリイミド、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶基板
、又はSOI基板などを用いてトランジスタを製造することによって、特性、サイズ、又
は形状などのばらつきが少なく、電流能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造す
ることができる。このようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力
化、又は回路の高集積化を図ることができる。
【0135】
なお、ある基板を用いてトランジスタを形成し、その後、別の基板にトランジスタを転置
し、別の基板上にトランジスタを配置してもよい。トランジスタが転置される基板の一例
としては、上述したトランジスタを形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロファ
ン基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、
ポリウレタン、ポリエステル)もしくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再
生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板などがある。これらの基板を用
いることにより、特性のよいトランジスタの形成、消費電力の小さいトランジスタの形成
、壊れにくい装置の製造、耐熱性の付与、軽量化、又は薄型化を図ることができる。
【0136】
≪トランジスタ≫
本発明の一態様の入出力装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、
プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆
スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいず
れのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられて
いてもよい。トランジスタに用いる半導体材料は特に限定されず、例えば、酸化物半導体
、シリコン、ゲルマニウム等が挙げられる。
【0137】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結
晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域
を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジ
スタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0138】
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、例えば、第14族の元素、化合物半導
体又は酸化物半導体を半導体層に用いることができる。代表的には、シリコンを含む半導
体、ガリウムヒ素を含む半導体又はインジウムを含む酸化物半導体などを適用できる。
【0139】
特に、トランジスタのチャネルが形成される半導体に、酸化物半導体を適用することが好
ましい。特にシリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を適用することが好ま
しい。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用
いると、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0140】
例えば、上記酸化物半導体として、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn)
を含むことが好ましい。より好ましくは、In-M-Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga
、Ge、Y、Zr、La、Ce、Sn、Mg、Nd、又はHf等の金属)で表記される酸
化物を含む。
【0141】
特に、半導体層として、複数の結晶部を有し、当該結晶部はc軸が半導体層の被形成面、
又は半導体層の上面に対し概略垂直に配向し、且つ隣接する結晶部間には粒界を有さない
酸化物半導体膜を用いることが好ましい。
【0142】
このような酸化物半導体は、結晶粒界を有さないために表示パネルを湾曲させたときの応
力によって酸化物半導体膜にクラックが生じてしまうことが抑制される。したがって、可
撓性を有し、湾曲させて用いる入出力装置などに、このような酸化物半導体を好適に用い
ることができる。
【0143】
また半導体層としてこのような酸化物半導体を用いることで、電気特性の変動が抑制され
、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
【0144】
また、その低いオフ電流により、トランジスタを介して容量に蓄積した電荷を長期間に亘
って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用することで、各表
示領域に表示した画像の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。その
結果、極めて消費電力の低減された表示装置を実現できる。
【0145】
≪酸化物半導体膜≫
酸化物半導体膜223は、少なくともインジウム(In)、亜鉛(Zn)及びM(Al、
Ti、Ga、Ge、Y、Zr、La、Ce、Sn、Mg、Nd、又はHf等の金属)を含
むIn-M-Zn酸化物で表記される膜を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を
用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザー
を含むことが好ましい。
【0146】
スタビライザーとしては、上記Mで記載の金属を含め、例えば、ガリウム(Ga)、スズ
(Sn)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、又はジルコニウム(Zr)等が
ある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、ランタン(La)、セ
リウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウ
ロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy
)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Y
b)、ルテチウム(Lu)等がある。
【0147】
酸化物半導体膜223を構成する酸化物半導体として、例えば、In-Ga-Zn系酸化
物、In-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物
、In-La-Zn系酸化物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、
In-Nd-Zn系酸化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、I
n-Gd-Zn系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In
-Ho-Zn系酸化物、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-
Yb-Zn系酸化物、In-Lu-Zn系酸化物、In-Sn-Ga-Zn系酸化物、I
n-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-
Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を用
いることができる。
【0148】
なお、ここで、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する
酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn
以外の金属元素が入っていてもよい。
【0149】
なお、酸化物半導体膜223がIn-M-Zn酸化物である場合、In及びMの和を10
0atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic%より高く、Mが75
atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より高く、Mが66a
tomic%未満とする。
【0150】
酸化物半導体膜223は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上
、より好ましくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導
体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0151】
酸化物半導体膜223の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上10
0nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
【0152】
酸化物半導体膜223がIn-M-Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Ge、Y、Zr
、La、Ce、Sn、Mg、Nd、又はHf)の場合、In-M-Zn酸化物を成膜する
ために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを
満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比とし
て、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=
3:1:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6等が挙げられる
。なお、成膜される酸化物半導体膜223の原子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパ
ッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含
む。
【0153】
酸化物半導体膜223としては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。例えば、
酸化物半導体膜223は、キャリア密度が1×1017個/cm3以下、好ましくは1×
1015個/cm3以下、さらに好ましくは1×1013個/cm3以下、より好ましく
は1×1011個/cm3以下の酸化物半導体膜を用いる。
【0154】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果
移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いることができる。また、必要
とするトランジスタの半導体特性を得るために、酸化物半導体膜223のキャリア密度や
不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものと
することが好ましい。
【0155】
酸化物半導体膜223において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると
、酸化物半導体膜223において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、酸化
物半導体膜223におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:S
econdary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度
)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm
3以下とする。
【0156】
また、酸化物半導体膜223において、SIMSにより得られるアルカリ金属又はアルカ
リ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016a
toms/cm3以下にする。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結
合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうこと
がある。このため、酸化物半導体膜223のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を
低減することが好ましい。
【0157】
また、酸化物半導体膜223に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャ
リア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を用い
たトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、当該酸化物半導体膜におい
て、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、SIMSにより得られる
窒素濃度は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
【0158】
また、酸化物半導体膜223は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば
、後述するCAAC-OS(C Axis Aligned-Crystalline
Oxide Semiconductor)、多結晶構造、後述する微結晶構造、又は非
晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAA
C-OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0159】
酸化物半導体膜223は、例えば非晶質構造でもよい。非晶質構造の酸化物半導体膜は、
例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜
は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
【0160】
なお、酸化物半導体膜223が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領
域、CAAC-OSの領域、単結晶構造の領域の二種以上を有する混合膜であってもよい
。混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAA
C-OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域を有する単層構造の場合が
ある。また、混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領
域、CAAC-OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域の積層構造を有
する場合がある。
【0161】
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体に、シリコンを用いることが好まし
い。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリコ
ンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン
などを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で
形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える
。このような多結晶半導体を画素に適用することで画素の開口率を向上させることができ
る。極めて高精細な入出力装置を作製する場合であっても、ゲート駆動回路とソース駆動
回路を画素と同一基板上に形成することが可能となり、電子機器を構成する部品数を低減
することができる。
【0162】
≪酸化物半導体の抵抗率の制御方法≫
酸化物半導体は、膜中の酸素欠損又は/及び膜中の水素、水等の不純物濃度によって、抵
抗を制御することができる半導体材料である。そのため、酸化物半導体膜へ酸素欠損又は
/及び不純物濃度が増加する処理、又は酸素欠損又は/及び不純物濃度が低減する処理を
選択することによって、酸化物導電膜の有する抵抗率を制御することができる。
【0163】
なお、このように、酸化物半導体膜を用いて形成された酸化物導電膜は、キャリア密度が
高く低抵抗な酸化物半導体膜、導電性を有する酸化物半導体膜、又は導電性の高い酸化物
半導体膜ということもできる。
【0164】
具体的には、ゲートとして機能する酸化物導電膜227となる酸化物半導体膜にプラズマ
処理を行い、酸化物半導体膜中の酸素欠損を増加させる、又は/及び酸化物半導体膜中の
水素、水等の不純物を増加させることによって、キャリア密度が高く、低抵抗な酸化物半
導体膜とすることができる。また、酸化物半導体膜に水素を含む絶縁膜217を接して形
成し、該水素を含む絶縁膜217から酸化物半導体膜に水素を拡散させることによって、
キャリア密度が高く、低抵抗な酸化物半導体膜とすることができる。
【0165】
一方、酸化物半導体膜223上には、酸化物半導体膜223が上記プラズマ処理に曝され
ないように、絶縁膜215を設ける。また、絶縁膜215を設けることによって、酸化物
半導体膜223が水素を含む絶縁膜217と接しない構成とする。絶縁膜215として、
酸素を放出することが可能な絶縁膜を用いることで、酸化物半導体膜223に酸素を供給
することができる。酸素が供給された酸化物半導体膜223は、膜中又は界面の酸素欠損
が低減され高抵抗な酸化物半導体となる。なお、酸素を放出することが可能な絶縁膜とし
て、例えば、酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜を用いることができる。
【0166】
また、抵抗率が低い酸化物半導体膜を得るために、イオン注入法、イオンドーピング法、
プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いて、水素、ボロン、リン
、又は窒素を酸化物半導体膜に注入してもよい。
【0167】
また、酸化物導電膜227に行うプラズマ処理としては、代表的には、希ガス(He、N
e、Ar、Kr、Xe)、リン、ボロン、水素、及び窒素の中から選ばれた一種を含むガ
スを用いたプラズマ処理が挙げられる。より具体的には、Ar雰囲気下でのプラズマ処理
、Arと水素の混合ガス雰囲気下でのプラズマ処理、アンモニア雰囲気下でのプラズマ処
理、Arとアンモニアの混合ガス雰囲気下でのプラズマ処理、又は窒素雰囲気下でのプラ
ズマ処理などが挙げられる。
【0168】
上記プラズマ処理によって、酸化物導電膜227は、酸素が脱離した格子(又は酸素が脱
離した部分)に酸素欠損が形成される。当該酸素欠損は、キャリアを発生する要因になり
得る場合がある。また、酸化物導電膜227の近傍、より具体的には、酸化物導電膜22
7の下側又は上側に接する絶縁膜から水素が供給され、上記酸素欠損に水素が入ると、キ
ャリアである電子を生成する場合がある。したがって、プラズマ処理によって酸素欠損が
増加された酸化物導電膜227は、酸化物半導体膜223よりもキャリア密度が高い。
【0169】
一方、酸素欠損が低減され、水素濃度が低減された酸化物半導体膜223は、高純度真性
化、又は実質的に高純度真性化された酸化物半導体膜といえる。ここで、実質的に真性と
は、酸化物半導体のキャリア密度が、1×1017/cm3未満であること、好ましくは
1×1015/cm3未満であること、さらに好ましくは1×1013/cm3未満であ
ることを指す。または、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)こ
とを高純度真性又は実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性又は実質的に高純度真性であ
る酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる
。従って、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電
圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)になりやすい。また、高純
度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜223は、欠陥準位密度が低いため
、トラップ準位密度を低減することができる。
【0170】
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜223は、オフ電流が著
しく小さく、チャネル幅が1×106μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソ
ース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オ
フ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10-13A以下
という特性を得ることができる。したがって、酸化物半導体膜223にチャネル領域が形
成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
【0171】
絶縁膜217として、例えば、水素を含む絶縁膜、換言すると水素を放出することが可能
な絶縁膜、代表的には窒化シリコン膜を用いることで、酸化物導電膜227に水素を供給
することができる。水素を放出することが可能な絶縁膜は、膜中の含有水素濃度が1×1
022atoms/cm3以上であると好ましい。このような絶縁膜を酸化物導電膜22
7に接して形成することで、酸化物導電膜227に効果的に水素を含有させることができ
る。このように、上述したプラズマ処理と合わせて、酸化物半導体膜(又は酸化物導電膜
)に接する絶縁膜の構成を変えることによって、酸化物半導体膜(又は酸化物導電膜)の
抵抗を任意に調整することができる。
【0172】
酸化物導電膜227に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になると共
に、酸素が脱離した格子(又は酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。当該酸素欠
損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部
が金属原子と結合する酸素と結合することで、キャリアである電子を生成する場合がある
。したがって、水素が含まれている酸化物導電膜227は、酸化物半導体膜223よりも
キャリア密度が高い。
【0173】
トランジスタのチャネル領域が形成される酸化物半導体膜223は水素ができる限り低減
されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体膜223において、SIMSによ
り得られる水素濃度を、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019
atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、より好
ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms
/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下、さらに好ましくは
1×1016atoms/cm3以下とする。
【0174】
一方、ゲートとして機能する酸化物導電膜227は、酸化物半導体膜223よりも水素濃
度又は/及び酸素欠損量が多く、低抵抗化されている。
【0175】
酸化物導電膜227には、酸化物半導体膜223に用いることができる材料及び酸化物半
導体膜223の形成方法を適用することができる。なお、酸化物半導体膜223及び酸化
物導電膜227は、透光性を有する。
【0176】
なお、酸化物導電膜227に用いることができる材料、及び酸化物導電膜227の形成方
法は、導電膜251及び導電膜252にもそれぞれ適用することができる。
【0177】
≪絶縁膜≫
入出力装置が有する各絶縁膜、オーバーコート、スペーサ等に用いることのできる絶縁材
料としては、有機絶縁材料又は無機絶縁材料を用いることができる。樹脂としては、例え
ば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド
樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。無
機絶縁膜としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シ
リコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニ
ウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化
セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等が挙げられる。
【0178】
≪導電膜≫
トランジスタのゲート、ソース、ドレインのほか、入出力装置が有する各種配線及び電極
等の導電膜には、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコ
ニウム、モリブデン、銀、タンタル、又はタングステンなどの金属、又はこれを主成分と
する合金を単層構造又は積層構造として用いることができる。例えば、アルミニウム膜上
にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、モリ
ブデン膜上に銅膜を積層した二層構造、モリブデンとタングステンを含む合金膜上に銅膜
を積層した二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構
造、チタン膜又は窒化チタン膜と、そのチタン膜又は窒化チタン膜上に重ねてアルミニウ
ム膜又は銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜又は窒化チタン膜を形成する三層構造、
モリブデン膜又は窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜又は窒化モリブデン膜上に重ね
てアルミニウム膜又は銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜又は窒化モリブデン膜
を形成する三層構造等がある。例えば、ソース電極225a及びドレイン電極225bを
三層構造とする場合、一層目及び三層目には、チタン、窒化チタン、モリブデン、タング
ステン、モリブデンとタングステンを含む合金、モリブデンとジルコニウムを含む合金、
又は窒化モリブデンでなる膜を形成し、2層目には、銅、アルミニウム、金又は銀、或い
は銅とマンガンの合金等の低抵抗材料でなる膜を形成することが好ましい。なお、インジ
ウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むイン
ジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫
酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性
を有する導電性材料を用いてもよい。
【0179】
なお、上述の酸化物半導体の抵抗率の制御方法を用いて、導電膜を形成してもよい。
【0180】
≪接着層≫
接着層265としては、熱硬化樹脂、光硬化樹脂、2液混合型の硬化性樹脂などの硬化性
樹脂を用いることができる。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、又は
シロキサン結合を有する樹脂などを用いることができる。
【0181】
≪接続体≫
接続体としては、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Co
nductive Film)又は異方性導電ペースト(ACP:Anisotropi
c Conductive Paste)などを用いることができる。
【0182】
≪着色膜≫
着色膜は特定の波長帯域の光を透過する有色層である。着色膜に用いることのできる材料
としては、金属材料、樹脂材料、顔料又は染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0183】
≪遮光膜≫
遮光膜は、隣接する着色膜の間に設けられている。遮光膜としては、例えば、金属材料、
顔料又は染料を含む樹脂材料を用いてブラックマトリクスを形成することができる。なお
、遮光膜は、駆動回路部など、表示部以外の領域にも設けると、導波光などによる意図し
ない光漏れを抑制できるため好ましい。
【0184】
[入出力装置の動作方法の例]
次に、本発明の一態様の入出力装置の動作方法の例などを示す。
【0185】
図7(A)は、本発明の一態様の入出力装置の表示部に設けられる画素回路の一部におけ
る等価回路図である。
【0186】
一つの画素は少なくともトランジスタ3503と液晶素子3504を有する。トランジス
タ3503のゲートには、配線3501が電気的に接続されている。また、トランジスタ
3503のソース又はドレインの一方には、配線3502が電気的に接続されている。
【0187】
画素回路は、X方向に延在する複数の配線(例えば、配線3510_1、配線3510_
2)と、Y方向に延在する複数の配線(例えば、配線3511_1)を有し、これらは互
いに交差して設けられ、その間に容量が形成される。
【0188】
また、画素回路に設けられる画素のうち、一部の隣接する複数の画素は、それぞれに設け
られる液晶素子の一方の電極が電気的に接続され、一つのブロックを形成する。当該ブロ
ックは、島状のブロック(例えば、ブロック3515_1、ブロック3515_2)と、
X方向又はY方向に延在するライン状のブロック(例えば、Y方向に延在するブロック3
516)の、2種類に分類される。なお、
図7(A)では、画素回路の一部のみを示して
いるが、実際にはこれら2種類のブロックがX方向及びY方向に繰り返し配置される。こ
こで、液晶素子の一方の電極としては、例えば共通電極などが挙げられる。一方、液晶素
子の他方の電極としては、例えば画素電極などが挙げられる。
【0189】
X方向に延在する配線3510_1(又は3510_2)は、島状のブロック3515_
1(又はブロック3515_2)と電気的に接続される。なお、図示しないが、X方向に
延在する配線3510_1は、ライン状のブロックを介してX方向に沿って不連続に配置
される複数の島状のブロック3515_1を電気的に接続する。また、Y方向に延在する
配線3511_1は、ライン状のブロック3516と電気的に接続される。
【0190】
図7(B)は、X方向に延在する複数の配線(配線3510_1乃至配線3510_6、
まとめて配線3510とも記す)と、Y方向に延在する複数の配線(配線3511_1乃
至配線3511_6、まとめて配線3511とも記す)の接続構成を示した等価回路図で
ある。X方向に延在する配線3510の各々、及びY方向に延在する配線3511の各々
には、共通電位を入力することができる。また、X方向に延在する配線3510の各々に
は、パルス電圧出力回路からパルス電圧を入力することができる。また、Y方向に延在す
る配線3511の各々は、検出回路と電気的に接続することができる。なお、配線351
0と配線3511とは入れ替えることができる。
【0191】
図8(A)、(B)を用いて、本発明の一態様の入出力装置の動作方法の一例について説
明する。
【0192】
ここでは1フレーム期間を、書き込み期間と検知期間とに分ける。書き込み期間は画素へ
の画像データの書き込みを行う期間であり、配線3501(ゲート線、又は走査線ともい
う)が順次選択される。一方、検知期間は、検知素子によるセンシングを行う期間である
。
【0193】
図8(A)は、書き込み期間における等価回路図である。書き込み期間では、X方向に延
在する配線3510と、Y方向に延在する配線3511の両方に、共通電位が入力される
。
【0194】
図8(B)は、検知期間における等価回路図である。検知期間では、Y方向に延在する配
線3511の各々は、検出回路と電気的に接続する。また、X方向に延在する配線351
0には、パルス電圧出力回路からパルス電圧が入力される。
【0195】
図8(C)は、相互容量方式の検知素子における入出力波形のタイミングチャートの一例
である。
【0196】
図8(C)では、1フレーム期間で各行列での被検知体の検知を行うものとする。また、
図8(C)では、検知期間における、被検知体を検知しない場合(非タッチ)と被検知体
を検知する場合(タッチ)との2つの場合について示している。
【0197】
配線3510_1乃至配線3510_6は、パルス電圧出力回路からパルス電圧が与えら
れる配線である。配線3510_1乃至配線3510_6にパルス電圧が印加されること
で、容量を形成する一対の電極間には電界が生じ、容量に電流が流れる。この電極間に生
じる電界が、指やペンなどのタッチによる遮蔽等により変化する。つまり、タッチなどに
より、容量の容量値に変化が生じる。このことを利用して、被検知体の近接又は接触を検
知することができる。
【0198】
配線3511_1乃至配線3511_6は、容量の容量値の変化による、配線3511_
1乃至配線3511_6での電流の変化を検出するための検出回路と接続されている。配
線3511_1乃至配線3511_6では、被検知体の近接又は接触がないと検出される
電流値に変化はないが、検出する被検知体の近接又は接触により容量値が減少する場合に
は電流値が減少する。なお、電流の検出は、電流量の総和を検出してもよい。その場合に
は、積分回路等を用いて検出を行えばよい。または、電流のピーク値を検出してもよい。
その場合には、電流を電圧に変換して、電圧値のピーク値を検出してもよい。
【0199】
なお、
図8(C)において、配線3511_1乃至配線3511_6については、検出さ
れる電流値に対応する電圧値とした波形を示している。なお、
図8(C)のように、表示
動作のタイミングと、検知動作のタイミングとは、同期させて動作することが望ましい。
【0200】
配線3510_1乃至配線3510_6に与えられたパルス電圧にしたがって、配線35
11_1乃至配線3511_6での波形が変化する。被検知体の近接又は接触がない場合
には、配線3510_1乃至配線3510_6の電圧の変化に応じて配線3511_1乃
至配線3511_6の波形が一様に変化する。一方、被検知体が近接又は接触する箇所で
は、電流値が減少するため、これに対応する電圧値の波形も変化する。
【0201】
このように、容量値の変化を検出することにより、被検知体の近接又は接触を検知するこ
とができる。なお、指やペンなどの被検知体は、入出力装置に接触せず、近接した場合で
も、信号が検出される場合がある。
【0202】
なお、
図8(C)では、配線3510において、書き込み期間に与えられる共通電位と、
検知期間に与えられる低電位が等しい例を示すが、本発明の一態様はこれに限られず、共
通電位と低電位は異なる電位であってよい。
【0203】
またパルス電圧出力回路及び検出回路は、例えば1個のICの中に形成されていることが
好ましい。当該ICは、例えば入出力装置に実装されること、もしくは電子機器の筐体内
の基板に実装されることが好ましい。また可撓性を有する入出力装置とする場合には、曲
げた部分では寄生容量が増大し、ノイズの影響が大きくなってしまう恐れがあるため、ノ
イズの影響を受けにくい駆動方法が適用されたICを用いることが好ましい。例えばシグ
ナル-ノイズ比(S/N比)を高める駆動方法が適用されたICを用いることが好ましい
。
【0204】
このように、画像の書き込み期間と検知素子によるセンシングを行う期間とを、独立して
設けることが好ましい。これにより、画素の書き込み時のノイズに起因する検知素子の感
度の低下を抑制することができる。
【0205】
本発明の一態様では、
図8(D)に示すように、1フレーム期間に書き込み期間と検知期
間をそれぞれ1つ有する。または、
図8(E)に示すように、1フレーム期間に検知期間
を2つ有していてもよい。1フレーム期間に検知期間を複数設けることで、検出感度をよ
り高めることができる。例えば、1フレーム期間に検知期間を2つ以上4つ以下有してい
てもよい。
【0206】
[検知素子の上面構成例]
次に、本発明の一態様の入出力装置が有する検知素子の上面構成例について、
図9~
図1
1を用いて説明する。
【0207】
図9(A)に、検知素子の上面図を示す。検知素子は、導電膜56a及び導電膜56bを
有する。導電膜56aは、検知素子の一方の電極として機能し、導電膜56bは、検知素
子の他方の電極として機能する。検知素子は、導電膜56aと、導電膜56bとの間に形
成される容量を利用して、被検知体の近接又は接触等を検知することができる。なお、導
電膜56a及び導電膜56bは、櫛歯状の上面形状、又はスリットが設けられた上面形状
を有している場合があるが、ここでは省略する。
【0208】
本発明の一態様において、導電膜56a及び導電膜56bは、液晶素子の共通電極として
の機能も有する。
【0209】
Y方向に複数配設された導電膜56aは、それぞれX方向に延在して設けられている。ま
た、Y方向に複数配設された導電膜56bは、Y方向に延在して設けられた導電膜58に
よって、電気的に接続されている。
図9(A)では、m本の導電膜56aと、n本の導電
膜58を有する例を示す。
【0210】
なお、導電膜56aは、X方向に複数配設されていてもよく、その場合、Y方向に延在し
て設けられていてもよい。また、X方向に延在して設けられた導電膜58によって、X方
向に複数配設された導電膜56bが電気的に接続されていてもよい。
【0211】
図9(B)に示すように、検知素子の電極として機能する導電膜56は、複数の画素60
にわたって設けられる。導電膜56は、
図9(A)の導電膜56a、56bのそれぞれに
相当する。画素60は、それぞれ異なる色を呈する複数の副画素からなる。
図9(B)で
は、3つの副画素60a、60b、60cにより、画素60が構成されている例を示す。
【0212】
また、検知素子が有する一対の電極は、それぞれ、補助配線と電気的に接続されているこ
とが好ましい。
図10では、導電膜56aが補助配線57aと電気的に接続されており、
かつ、導電膜56bが補助配線57bと電気的に接続されている例を示す。なお、
図10
では、導電膜上に補助配線が重ねて設けられている例を示すが、補助配線上に導電膜が重
ねて設けられていてもよい。
【0213】
可視光を透過する導電膜の抵抗値は比較的高い場合がある。そのため、補助配線と電気的
に接続させることで、検知素子が有する一対の電極の抵抗をそれぞれ低減することが好ま
しい。
【0214】
検知素子が有する一対の電極の抵抗を低減することで、一対の電極の時定数をそれぞれ小
さくすることができる。これにより、検知素子の検出感度を向上させ、さらには、検知素
子の検出精度を向上させることができる。
【0215】
書き込み期間では、
図11(A)に示すように、X方向に延在する導電膜56aと、Y方
向に延在する導電膜58(及び導電膜58と電気的に接続される導電膜56b)の両方に
、共通電位VCOMが入力される。一方、検知期間では、
図11(B)に示すように、Y
方向に延在する導電膜58(及び導電膜58と電気的に接続される導電膜56b)の各々
は、検出回路と電気的に接続される。また、X方向に延在する導電膜56aはパルス電圧
出力回路と電気的に接続され、パルス電圧が入力される。
【0216】
[画素の上面構成例]
次に、本発明の一態様の入出力装置が有する画素の上面構成例について、
図12~
図14
を用いて説明する。
【0217】
図12は、画素の上面図であり、
図13は、
図12における導電膜252を点線で示した
場合の図である。なお、各層の積層順は、断面構成例1(
図1(A)及び
図2(A))も
参照することができる。
【0218】
複数の導電膜251は、それぞれ島状の上面形状を有し、マトリクス状に配置されている
。導電膜251は、トランジスタ203aが有するソース又はドレインと電気的に接続さ
れている。
【0219】
導電膜252は、複数の導電膜251と重なるように配置されている。導電膜252には
、スリットが設けられている。また、導電膜252は、トランジスタ203aと重なる位
置に開口を有する。
【0220】
ここで、導電膜251は、液晶素子の画素電極として機能し、導電膜252は、液晶素子
の共通電極として機能する。なお、
図12及び
図13では、上側の導電膜252が共通電
極であり、下側の導電膜251が画素電極である例を示すが、上側の導電膜が画素電極で
あり、下側の導電膜が共通電極であってもよい。
【0221】
導電膜252は、検知素子の電極として機能する。
【0222】
破線で示す領域277では、導電膜275と導電膜255が電気的に接続されている。導
電膜255は、導電膜252の補助配線としての機能を有し、導電膜252と電気的に接
続している。導電膜275は、トランジスタ203aのソース及びドレインと同一の材料
、同一の工程で形成することができる。
【0223】
Y方向に複数配設された導電膜252は、
図9(A)等における導電膜56bに相当する
。また、Y方向に延在して設けられた導電膜275は、
図9(A)等における導電膜58
に相当する。Y方向に複数配設された導電膜252は、Y方向に延在して設けられた導電
膜255を介して、導電膜275と電気的に接続されている。このとき、導電膜252に
酸化物導電膜を用いる場合は、導電膜252と導電膜275を直接接続させるよりも、金
属や合金等で形成された導電膜255と導電膜275を接続し、導電膜255を介して、
導電膜252と導電膜275を電気的に接続させる方が、接触抵抗を低減することができ
、好ましい。
【0224】
図12及び
図13では、画素273が3つの副画素を有する例を示すが、本発明の一態様
はこれに限られない。
【0225】
また、
図14(A)、(B)に、液晶素子の電極の上面形状の例を示す。
【0226】
液晶素子207が有する画素電極と共通電極とは、それぞれ、平板状に限られず、様々な
開口パターン(スリットともいう)を有していてもよいし、屈曲部や枝分かれした櫛歯状
を含む形状であってもよい。
【0227】
図14(A)、(B)に示す液晶素子207は、画素電極として機能することができる導
電膜251と、共通電極として機能することができる導電膜252と、を有する。
【0228】
図14(A)、(B)に示すトランジスタ203は、ゲート電極221、酸化物半導体膜
223、ソース電極225a、及びドレイン電極225bを有する。導電膜251は、ド
レイン電極225bと電気的に接続されている。
【0229】
図14(A)では、導電膜251がスリットを有する例を示し、
図14(B)では、導電
膜251が櫛歯状を含む形状である例を示す。なお、
図14(A)、(B)では、導電膜
251が導電膜252よりも上側に位置する例を示したが、導電膜252が導電膜251
よりも上側に位置していてもよい。
【0230】
[タッチパネルモジュール]
次に、本発明の一態様の入出力装置と、ICと、を有するタッチパネルモジュールについ
て、
図15及び
図16を用いて説明する。
【0231】
図15に、タッチパネルモジュール6500のブロック図を示す。タッチパネルモジュー
ル6500は、タッチパネル6510と、IC6520を有する。タッチパネル6510
には、本発明の一態様の入出力装置を適用することができる。
【0232】
タッチパネル6510は、表示部6511と、入力部6512と、走査線駆動回路651
3を有する。表示部6511は、複数の画素、複数の信号線、及び複数の走査線を有し、
画像を表示する機能を有する。入力部6512は、被検知体のタッチパネル6510への
接触又は近接を検知する複数の検知素子を有し、タッチセンサとしての機能を有する。走
査線駆動回路6513は、表示部6511が有する走査線に、走査信号を出力する機能を
有する。
【0233】
ここでは説明を容易にするため、タッチパネル6510の構成として、表示部6511と
入力部6512を分けて明示しているが、画像を表示する機能と、タッチセンサとしての
機能の両方の機能を有する、いわゆるインセル型のタッチパネルとすることが好ましい。
本発明の一態様の入出力装置は、インセル型のタッチパネルであるため、好適である。
【0234】
表示部6511は、HD(画素数1280×720)、FHD(画素数1920×108
0)、WQHD(画素数2560×1440)、WQXGA(画素数2560×1600
)、4K(画素数3840×2160)、8K(画素数7680×4320)といった極
めて高い解像度を有していることが好ましい。特に4K、8K、又はそれ以上の解像度と
することが好ましい。また、表示部6511に設けられる画素の画素密度(精細度)が、
300ppi以上、好ましくは500ppi以上、より好ましくは800ppi以上、よ
り好ましくは1000ppi以上、より好ましくは1200ppi以上であることが好ま
しい。このように高い解像度で且つ高い精細度を有する表示部6511により、携帯型や
家庭用途などのパーソナルユースにおいては、より臨場感や奥行き感などを高めることが
可能となる。
【0235】
IC6520は、回路ユニット6501、信号線駆動回路6502、センサ駆動回路65
03、及び検出回路6504を有する。回路ユニット6501は、タイミングコントロー
ラ6505と、画像処理回路6506等を有する。
【0236】
信号線駆動回路6502は、表示部6511が有する信号線に、アナログ信号である映像
信号(ビデオ信号ともいう)を出力する機能を有する。例えば信号線駆動回路6502と
して、シフトレジスタ回路とバッファ回路を組み合わせた構成を有することができる。ま
た、タッチパネル6510は、信号線に接続するデマルチプレクサ回路を有していてもよ
い。
【0237】
センサ駆動回路6503は、入力部6512が有する検知素子を駆動する信号を出力する
機能を有する。センサ駆動回路6503としては、例えばシフトレジスタ回路とバッファ
回路を組み合わせた構成を用いることができる。
【0238】
検出回路6504は、入力部6512が有する検知素子からの出力信号を回路ユニット6
501に出力する機能を有する。例えば検出回路6504として、増幅回路と、アナログ
デジタル変換回路(ADC:Analog-Digital Convertor)を有
する構成を用いることができる。このとき検出回路6504は、入力部6512から出力
されるアナログ信号を、デジタル信号に変換して回路ユニット6501に出力される。
【0239】
回路ユニット6501が有する画像処理回路6506は、タッチパネル6510の表示部
6511を駆動する信号を生成して出力する機能と、入力部6512を駆動する信号を生
成して出力する機能と、入力部6512から出力された信号を解析して、CPU6540
に出力する機能と、を有する。
【0240】
より具体的な例としては、画像処理回路6506は、CPU6540からの命令に従い、
映像信号を生成する機能を有する。また画像処理回路6506は、表示部6511の仕様
に合わせて映像信号に信号処理を施し、アナログ映像信号に変換し、信号線駆動回路65
02に供給する機能を有する。また画像処理回路6506は、CPU6540からの命令
に従い、センサ駆動回路6503に出力する駆動信号を生成する機能を有する。また、画
像処理回路6506は、検出回路6504から入力された信号を解析し、位置情報として
CPU6540に出力する機能を有する。
【0241】
またタイミングコントローラ6505は、画像処理回路6506が処理を施した映像信号
等に含まれる同期信号を基に、クロック信号、スタートパルス信号などの信号を生成し、
走査線駆動回路6513及びセンサ駆動回路6503に出力する機能を有する。またタイ
ミングコントローラ6505は、検出回路6504が信号を出力するタイミングを規定す
る信号を生成し、出力する機能を有していてもよい。ここで、タイミングコントローラ6
505は、走査線駆動回路6513に出力する信号と、センサ駆動回路6503に出力す
る信号とに、それぞれ同期させた信号を出力することが好ましい。特に、表示部6511
の画素のデータを書き換える期間と、入力部6512でセンシングする期間を、それぞれ
分けることが好ましい。例えば、1フレーム期間を、画素のデータを書き換える期間と、
センシングする期間とに分けてタッチパネル6510を駆動することができる。また、例
えば1フレーム期間中に2以上のセンシングの期間を設けることで、検出感度及び検出精
度を高めることができる。
【0242】
画像処理回路6506としては、例えばプロセッサを有する構成とすることができる。例
えばDSP(Digital Signal Processor)、GPU(Grap
hics Processing Unit)等のマイクロプロセッサを用いることがで
きる。またこれらマイクロプロセッサをFPGA(Field Programmabl
e Gate Array)やFPAA(Field Programmable An
alog Array)といったPLD(Programmable Logic De
vice)によって実現した構成としてもよい。プロセッサにより種々のプログラムから
の命令を解釈し実行することで、各種のデータ処理やプログラム制御を行う。プロセッサ
により実行しうるプログラムは、プロセッサが有するメモリ領域に格納されていてもよい
し、別途設けられる記憶装置に格納されていてもよい。
【0243】
なお、タッチパネル6510が有する表示部6511もしくは走査線駆動回路6513、
IC6520が有する回路ユニット6501、信号線駆動回路6502、センサ駆動回路
6503、もしくは検出回路6504、又は外部に設けられるCPU6540等に、チャ
ネル形成領域に酸化物半導体を用い、極めて低いオフ電流が実現されたトランジスタを利
用することもできる。当該トランジスタは、オフ電流が極めて低いため、当該トランジス
タを記憶素子として機能する容量素子に流入した電荷(データ)を保持するためのスイッ
チとして用いることで、データの保持期間を長期にわたり確保することができる。例えば
この特性を画像処理回路6506のレジスタ及びキャッシュメモリの少なくとも一方に用
いることで、必要なときだけ画像処理回路6506を動作させ、他の場合には直前の処理
の情報を当該記憶素子に待避させることにより、ノーマリーオフコンピューティングが可
能となり、タッチパネルモジュール6500、及びこれが実装される電子機器の低消費電
力化を図ることができる。
【0244】
なお、ここでは回路ユニット6501がタイミングコントローラ6505と画像処理回路
6506を有する構成としたが、画像処理回路6506自体、又は画像処理回路6506
の一部の機能を有する回路を、外部に設けてもよい。または、画像処理回路6506の機
能、又は一部の機能をCPU6540が担ってもよい。例えば回路ユニット6501が信
号線駆動回路6502、センサ駆動回路6503、検出回路6504、及びタイミングコ
ントローラ6505を有する構成とすることもできる。
【0245】
なお、ここではIC6520が回路ユニット6501を含む例を示したが、回路ユニット
6501はIC6520に含まれない構成とすることもできる。この時、IC6520は
信号線駆動回路6502、センサ駆動回路6503、及び検出回路6504を有する構成
とすることができる。例えばタッチパネルモジュール6500にICを複数実装する場合
には、回路ユニット6501をタッチパネルモジュール6500の外部に設け、回路ユニ
ット6501を有さないIC6520を複数配置することもできるし、IC6520と、
信号線駆動回路6502のみを有するICを組み合わせて配置することもできる。
【0246】
このように、タッチパネル6510の表示部6511を駆動する機能と、入力部6512
を駆動する機能と、を1つのICに組み込んだ構成とすることで、タッチパネルモジュー
ル6500に実装するICの数を減らすことができるため、コストを低減することができ
る。
【0247】
図16(A)、(B)、(C)は、IC6520を実装したタッチパネルモジュール65
00の概略図である。
【0248】
図16(A)では、タッチパネルモジュール6500は、基板6531、対向基板653
2、複数のFPC6533、IC6520、IC6530等を有する。また基板6531
と対向基板6532との間に表示部6511、入力部6512、及び走査線駆動回路65
13を有している。IC6520及びIC6530は、COG方式などの実装方式により
基板6531に実装されている。
【0249】
IC6530は、上述したIC6520において、信号線駆動回路6502のみ、又は信
号線駆動回路6502及び回路ユニット6501を有するICである。IC6520及び
IC6530には、FPC6533を介して外部から信号が供給される。またFPC65
33を介してIC6520及びIC6530の少なくとも一方から外部に信号を出力する
ことができる。
【0250】
図16(A)では表示部6511を挟むように走査線駆動回路6513を2つ設ける構成
の例を示している。またIC6520に加えてIC6530を有する構成を示している。
このような構成は、表示部6511として極めて高解像度の場合に、好適に用いることが
できる。
【0251】
図16(B)は、1つのIC6520と1つのFPC6533を実装した例を示している
。このように、機能を1つのIC6520に集約させることで、部品点数を減らすことが
できるため好ましい。また
図16(B)では、走査線駆動回路6513を表示部6511
の2つの短辺のうち、FPC6533に近い側の辺に沿って配置した例を示している。
【0252】
図16(C)は、画像処理回路6506等が実装されたPCB(Printed Cir
cuit Board)6534を有する構成の例を示している。基板6531上のIC
6520及びIC6530と、PCB6534とは、FPC6533によって電気的に接
続されている。ここで、IC6520には、上述の画像処理回路6506を有さない構成
を適用することができる。
【0253】
なお
図16の各図において、IC6520及びIC6530は、それぞれ、基板6531
ではなくFPC6533に実装されていてもよい。例えばIC6520及びIC6530
をCOF方式またはTAB方式などの実装方式によりFPC6533に実装することがで
きる。
【0254】
図16(A)、(B)に示すように、表示部6511の短辺側にFPC6533及びIC
6520(及びIC6530)等を配置する構成は狭額縁化が可能であるため、例えばス
マートフォン、携帯電話、又はタブレット端末などの電子機器に好適に用いることができ
る。また、
図16(C)に示すようなPCB6534を用いる構成は、例えばテレビジョ
ン装置、モニタ装置、タブレット端末、又はノート型のパーソナルコンピュータなどに好
適に用いることができる。
【0255】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0256】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の入出力装置の作製方法について
図17~
図21を用
いて説明する。本実施の形態では、トランジスタの作製方法を主に説明する。なお、各層
の材料については、実施の形態1の記載を参照することができる。
【0257】
まず、基板211上にゲート電極221を形成する。その後、基板211及びゲート電極
221上に絶縁膜106、107を含む絶縁膜213を形成する(
図17(A))。
【0258】
本実施の形態では、基板211としてガラス基板を用い、ゲート電極221としてタング
ステン膜を用い、絶縁膜106として、水素を放出することが可能な窒化シリコン膜を用
い、絶縁膜107として、酸素を放出することが可能な酸化シリコン膜を用いる。
【0259】
絶縁膜106は、酸素の透過を抑制するブロッキング膜としての機能を有する。例えば、
絶縁膜107、絶縁膜215、絶縁膜217、及び酸化物半導体膜223の少なくともい
ずれか一層に過剰の酸素を供給する場合において、絶縁膜106は酸素の透過を抑制する
ことができる。
【0260】
なお、トランジスタのチャネル領域として機能する酸化物半導体膜223と接する絶縁膜
107は、酸化物絶縁膜であることが好ましく、化学量論的組成よりも過剰に酸素を含有
する領域(酸素過剰領域)を有することがより好ましい。別言すると、絶縁膜107は、
酸素を放出することが可能な絶縁膜である。なお、絶縁膜107に酸素過剰領域を設ける
には、例えば、酸素雰囲気下にて絶縁膜107を形成することができる。または、成膜後
の絶縁膜107に酸素を導入して、酸素過剰領域を形成してもよい。酸素の導入方法とし
ては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズ
マ処理等を用いることができる。
【0261】
また、絶縁膜106及び絶縁膜107の一方又は双方に、酸化ハフニウムを用いる場合、
以下の効果を奏する。酸化ハフニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘
電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて、絶縁膜106及び絶縁膜
107の一方又は双方の膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さ
くすることができる。すなわち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる
。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比
べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには
、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単
斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない
。
【0262】
なお、本実施の形態では、絶縁膜106として窒化シリコン膜を形成し、絶縁膜107と
して酸化シリコン膜を形成する。窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜と比較して比誘電率
が高く、酸化シリコン膜と同等の静電容量を得るのに必要な膜厚が大きい。トランジスタ
のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜213として、窒化シリコン膜を含むことで絶縁膜
を物理的に厚膜化することができる。よって、トランジスタの絶縁耐圧の低下を抑制、さ
らには絶縁耐圧を向上させて、トランジスタの静電破壊を抑制することができる。
【0263】
ゲート電極221は、基板211上に導電膜を成膜後、該導電膜の所望の領域が残るよう
にパターニングし、その後不要な領域をエッチングすることで形成できる。
【0264】
次に、絶縁膜213上のゲート電極221と重畳する位置に酸化物半導体膜223を形成
する(
図17(B))。
【0265】
本実施の形態では、酸化物半導体膜223として、In-Ga-Zn酸化物膜(In:G
a:Zn=1:1:1.2[原子数比]の金属酸化物ターゲットを使用。)を用いる。
【0266】
また、酸化物半導体膜223は、絶縁膜213上に酸化物半導体膜を成膜後、該酸化物半
導体膜の所望の領域が残るようにパターニングし、その後不要な領域をエッチングするこ
とで形成できる。
【0267】
酸化物半導体膜223を形成後、熱処理を行うと好ましい。該熱処理は、250℃以上6
50℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、より好ましくは350℃以上450
℃以下の温度で、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気、又は減圧
雰囲気で行えばよい。また、熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で熱処理を行った後に
、酸化物半導体膜223から脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上含む
雰囲気で行ってもよい。ここでの熱処理によって、絶縁膜106、107、及び酸化物半
導体膜223の少なくとも1つから水素や水などの不純物を除去することができる。なお
、該熱処理は、酸化物半導体膜223を島状に加工する前に行ってもよい。
【0268】
なお、酸化物半導体膜223をチャネル領域とするトランジスタに安定した電気特性を付
与するためには、酸化物半導体膜223中の不純物を低減し、酸化物半導体膜223を真
性又は実質的に真性にすることが有効である。
【0269】
次に、絶縁膜213及び酸化物半導体膜223上に導電膜を成膜し、該導電膜の所望の領
域が残るようにパターニングし、その後不要な領域をエッチングすることで、絶縁膜21
3及び酸化物半導体膜223上にソース電極225a及びドレイン電極225bを形成す
る(
図17(C))。
【0270】
本実施の形態では、ソース電極225a及びドレイン電極225bとしては、タングステ
ン膜と、アルミニウム膜と、チタン膜との3層の積層構造を用いる。
【0271】
また、ソース電極225a及びドレイン電極225bの形成後に、酸化物半導体膜223
の表面を洗浄してもよい。当該洗浄方法としては、例えば、リン酸等の薬液を用いた洗浄
が挙げられる。リン酸等の薬液を用いて洗浄を行うことで、酸化物半導体膜223の表面
に付着した不純物(例えば、ソース電極225a及びドレイン電極225bに含まれる元
素等)を除去することができる。なお、当該洗浄を必ずしも行う必要はなく、場合によっ
ては、洗浄を行わなくてもよい。
【0272】
また、ソース電極225a及びドレイン電極225bを形成する工程及び上記洗浄工程の
いずれか一方又は双方において、酸化物半導体膜223のソース電極225a及びドレイ
ン電極225bから露出した領域が、薄くなる場合がある。
【0273】
次に、絶縁膜213、酸化物半導体膜223、ソース電極225a、及びドレイン電極2
25b上に絶縁膜114、116を含む絶縁膜215を形成する。そして、絶縁膜215
の所望の領域が残るようにパターニングし、その後不要な領域をエッチングすることで開
口141を形成する(
図17(D))。
【0274】
なお、絶縁膜114を形成した後、大気に曝すことなく、連続的に絶縁膜116を形成す
ることが好ましい。絶縁膜114を形成後、大気開放せず、原料ガスの流量、圧力、高周
波電力及び基板温度の一以上を調整して、絶縁膜116を連続的に形成することで、絶縁
膜114と絶縁膜116との界面において大気成分由来の不純物濃度を低減することがで
きるとともに、絶縁膜114、116に含まれる酸素を酸化物半導体膜223に移動させ
ることが可能となり、酸化物半導体膜223の酸素欠損量を低減することが可能となる。
【0275】
また、絶縁膜116の形成工程において、絶縁膜114が酸化物半導体膜223の保護膜
となる。したがって、酸化物半導体膜223へのダメージを低減しつつ、パワー密度の高
い高周波電力を用いて絶縁膜116を形成することができる。
【0276】
本実施の形態では、絶縁膜114、116として、酸素を放出することが可能な酸化窒化
シリコン膜を用いる。
【0277】
トランジスタのチャネル領域として機能する酸化物半導体膜223と接する絶縁膜114
は、酸化物絶縁膜であることが好ましく、酸素を放出することが可能な絶縁膜を用いる。
酸素を放出することが可能な絶縁膜を別言すると、化学量論的組成よりも過剰に酸素を含
有する領域(酸素過剰領域)を有する絶縁膜である。なお、絶縁膜114に酸素過剰領域
を設けるには、例えば、酸素雰囲気下にて絶縁膜114を形成することができる。または
、成膜後の絶縁膜114に酸素を導入して、酸素過剰領域を形成してもよい。酸素の導入
方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法
、プラズマ処理等を用いることができる。
【0278】
絶縁膜114として、酸素を放出することが可能な絶縁膜を用いることで、トランジスタ
のチャネル領域として機能する酸化物半導体膜223に酸素を移動させ、酸化物半導体膜
223の酸素欠損量を低減することが可能となる。例えば、昇温脱離ガス分析(以下、T
DS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析とする
。)によって測定される、膜の表面温度が100℃以上700℃以下、又は100℃以上
500℃以下の範囲における酸素分子の放出量が、1.0×1018分子/cm3以上で
ある絶縁膜を用いることで、酸化物半導体膜223に含まれる酸素欠損量を低減すること
ができる。
【0279】
また、絶縁膜114は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により
、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が
3×1017spins/cm3以下であることが好ましい。これは、絶縁膜114に含
まれる欠陥密度が多いと、当該欠陥に酸素が結合してしまい、絶縁膜114における酸素
の透過量が減少してしまうためである。また、絶縁膜114と酸化物半導体膜223との
界面における欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、酸化物半
導体膜223の欠陥に由来するg値が1.89以上1.96以下に現れる信号のスピン密
度が1×1017spins/cm3以下、さらには検出下限以下であることが好ましい
。
【0280】
なお、絶縁膜114においては、外部から絶縁膜114に入った酸素が全て絶縁膜114
の外部に移動する場合がある。または、外部から絶縁膜114に入った酸素の一部が、絶
縁膜114にとどまる場合もある。また、外部から絶縁膜114に酸素が入ると共に、絶
縁膜114に含まれる酸素が絶縁膜114の外部へ移動することで、絶縁膜114におい
て酸素の移動が生じる場合もある。絶縁膜114として酸素を透過することができる酸化
物絶縁膜を形成すると、絶縁膜114上に設けられる、絶縁膜116から脱離する酸素を
、絶縁膜114を介して酸化物半導体膜223に移動させることができる。
【0281】
また、絶縁膜114は、窒素酸化物に起因する準位密度が低い酸化物絶縁膜を用いて形成
することができる。なお、当該窒素酸化物に起因する準位密度は、酸化物半導体膜の価電
子帯の上端のエネルギー(EV_OS)と酸化物半導体膜の伝導帯の下端のエネルギー(
EC_OS)の間に形成され得る場合がある。上記酸化物絶縁膜として、窒素酸化物の放
出量が少ない酸化窒化シリコン膜、又は窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化アルミニウ
ム膜等を用いることができる。
【0282】
なお、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、TDS分析において、窒素酸
化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニア分子の放出
量が1×1018分子/cm3以上5×1019分子/cm3以下である。なお、アンモ
ニアの放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550
℃以下の加熱処理による放出量とする。
【0283】
窒素酸化物(NOx、xは0より大きく2以下、好ましくは1以上2以下)、代表的には
NO2又はNOは、絶縁膜114などに準位を形成する。当該準位は、酸化物半導体膜2
23のエネルギーギャップ内に位置する。そのため、窒素酸化物が、絶縁膜114及び酸
化物半導体膜223の界面に拡散すると、当該準位が絶縁膜114側において電子をトラ
ップする場合がある。この結果、トラップされた電子が、絶縁膜114及び酸化物半導体
膜223界面近傍に留まるため、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向にシフトさせ
てしまう。
【0284】
また、窒素酸化物は、加熱処理においてアンモニア及び酸素と反応する。絶縁膜114に
含まれる窒素酸化物は、加熱処理において、絶縁膜116に含まれるアンモニアと反応す
るため、絶縁膜114に含まれる窒素酸化物が低減される。このため、絶縁膜114及び
酸化物半導体膜223の界面において、電子がトラップされにくい。
【0285】
絶縁膜114として、上記酸化物絶縁膜を用いることで、トランジスタのしきい値電圧の
シフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することがで
きる。
【0286】
なお、トランジスタの作製工程の加熱処理、代表的には400℃未満又は375℃未満(
好ましくは、340℃以上360℃以下)の加熱処理により、絶縁膜114は、100K
以下のESRで測定して得られたスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以
下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値
が1.964以上1.966以下の第3のシグナルが観測される。なお、第1のシグナル
及び第2のシグナルのスプリット幅、並びに第2のシグナル及び第3のシグナルのスプリ
ット幅は、XバンドのESR測定において約5mTである。また、g値が2.037以上
2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナ
ル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルのスピンの密度の合計が
1×1018spins/cm3未満であり、代表的には1×1017spins/cm
3以上1×1018spins/cm3未満である。
【0287】
なお、100K以下のESRスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の
第1シグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.
964以上1.966以下の第3のシグナルは、窒素酸化物(NOx、xは0より大きく
2以下、好ましくは1以上2以下)起因のシグナルに相当する。窒素酸化物の代表例とし
ては、一酸化窒素、二酸化窒素等がある。即ち、g値が2.037以上2.039以下の
第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1
.964以上1.966以下の第3のシグナルのスピンの密度の合計が少ないほど、酸化
物絶縁膜に含まれる窒素酸化物の含有量が少ないといえる。
【0288】
また、上記酸化物絶縁膜は、SIMSで測定される窒素濃度が6×1020atoms/
cm3以下である。
【0289】
基板温度が220℃以上350℃以下であり、シラン及び一酸化二窒素を用いたPECV
D法を用いて、上記酸化物絶縁膜を形成することで、緻密であり、且つ硬度の高い膜を形
成することができる。
【0290】
絶縁膜114に接するように形成される絶縁膜116は、化学量論的組成を満たす酸素よ
りも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成する。化学量論的組成を満たす酸素より
も多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により酸素の一部が脱離する。化学量論的組成
を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、TDS分析にて、酸素原子に換算
しての酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1
020atoms/cm3以上である酸化物絶縁膜である。なお、上記TDS分析におけ
る膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、又は100℃以上500℃以下の範
囲が好ましい。
【0291】
また、絶縁膜116は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により
、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が
1.5×1018spins/cm3未満、更には1×1018spins/cm3以下
であることが好ましい。なお、絶縁膜116は、絶縁膜114と比較して酸化物半導体膜
223から離れているため、絶縁膜114より、欠陥密度が多くともよい。
【0292】
絶縁膜114の厚さは、5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下
、好ましくは10nm以上30nm以下とすることができる。絶縁膜116の厚さは、3
0nm以上500nm以下、好ましくは150nm以上400nm以下とすることができ
る。
【0293】
また、絶縁膜114及び絶縁膜116は、同種の材料の絶縁膜を用いることができるため
、絶縁膜114と絶縁膜116の界面が明確に確認できない場合がある。したがって、本
実施の形態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の界面は、破線で図示している。な
お、本実施の形態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の2層構造について説明した
が、これに限定されず、例えば、絶縁膜114の単層構造、絶縁膜116の単層構造、又
は3層以上の積層構造としてもよい。
【0294】
また、絶縁膜114、116を成膜した後に、加熱処理(以下、第1の加熱処理とする)
を行うと好適である。第1の加熱処理により、絶縁膜114、116に含まれる窒素酸化
物を低減することができる。または、第1の加熱処理により、絶縁膜114、116に含
まれる酸素の一部を酸化物半導体膜223に移動させ、酸化物半導体膜223に含まれる
酸素欠損量を低減することができる。
【0295】
第1の加熱処理の温度は、代表的には、400℃未満、好ましくは375℃未満、さらに
好ましくは、150℃以上350℃以下とする。第1の加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥
空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、さらに好ましくは10p
pb以下の空気)、又は希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお
、上記窒素、酸素、超乾燥空気、又は希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。
該加熱処理には、電気炉、RTA(Rapid Thermal Anneal)等を用
いることができる。
【0296】
開口141としては、ドレイン電極225bが露出するように形成する。開口141の形
成方法としては、例えば、ドライエッチング法を用いることができる。ただし、開口14
1の形成方法としては、これに限定されず、ウエットエッチング法、又はドライエッチン
グ法とウエットエッチング法を組み合わせた形成方法としてもよい。なお、開口141を
形成するためのエッチング工程によって、ドレイン電極225bの膜厚が減少する場合が
ある。
【0297】
次に、開口141を覆うように、絶縁膜116上に、後に酸化物導電膜227となる酸化
物半導体膜を形成する(
図18(A)、(B))。
【0298】
なお、
図18(A)は、絶縁膜116上に酸化物半導体膜を形成する際の、成膜装置内部
の断面模式図である。
図18(A)では、成膜装置としてスパッタリング装置を用い、当
該スパッタリング装置内部に設置されたターゲット193と、ターゲット193の下方に
形成されたプラズマ194とが、模式的に表されている。
【0299】
まず、酸化物半導体膜を形成する際に、第3の酸素ガスを含む雰囲気にてプラズマを放電
させる。その際に、酸化物半導体膜の被形成面となる絶縁膜116中に、酸素が添加され
る。また、酸化物半導体膜を形成する際に、第3の酸素ガスの他に、不活性ガス(例えば
、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガスなど)を混合させてもよい。例えば、アル
ゴンガスと、第3の酸素ガスと、を用い、アルゴンガスの流量よりも第3の酸素ガスの流
量を多くするのが好ましい。第3の酸素ガスの流量を多くすることで、好適に絶縁膜11
6に酸素を添加することができる。一例としては、酸化物半導体膜の形成条件としては、
成膜ガス全体に占める第3の酸素ガスの割合を、50%以上100%以下、好ましくは、
80%以上100%以下とすることができる。
【0300】
なお、
図18(A)において、絶縁膜116に添加される酸素又は過剰酸素を模式的に破
線の矢印で表している。
【0301】
また、酸化物半導体膜を成膜する際の基板温度としては、室温以上340℃未満、好まし
くは室温以上300℃以下、より好ましくは100℃以上250℃以下、さらに好ましく
は100℃以上200℃以下である。酸化物半導体膜を加熱して成膜することで、酸化物
半導体膜の結晶性を高めることができる。一方で、基板211として、大型のガラス基板
(例えば、第6世代~第10世代)を用いる場合、酸化物半導体膜を成膜する際の基板温
度を150℃以上340℃未満とした場合、基板211が変形する(歪む又は反る)場合
がある。よって、大型のガラス基板を用いる場合においては、酸化物半導体膜の成膜する
際の基板温度を100℃以上150℃未満とすることで、ガラス基板の変形を抑制するこ
とができる。
【0302】
本実施の形態では、In-Ga-Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:3
:6[原子数比])を用いて、スパッタリング法により酸化物半導体膜を形成する。
【0303】
次に、該酸化物半導体膜を所望の形状に加工することで、島状の酸化物半導体膜227a
を形成する(
図18(C))。
【0304】
酸化物半導体膜227aは、絶縁膜116上に酸化物半導体膜を成膜後、該酸化物半導体
膜の所望の領域が残るようにパターニングし、その後不要な領域をエッチングすることで
形成できる。
【0305】
次に、絶縁膜116及び酸化物半導体膜227a上に絶縁膜217を形成する(
図19(
A))。
【0306】
絶縁膜217は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等をブロッキングで
きる機能を有する。絶縁膜217を設けることで、酸化物半導体膜223からの酸素の外
部への拡散と、絶縁膜215に含まれる酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体膜
223への水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の入り込みを防ぐことができる
。
【0307】
絶縁膜217は、水素及び窒素のいずれか一方又は双方を有することが好ましい。絶縁膜
217としては、例えば、窒化シリコン膜を用いると好適である。また、絶縁膜217と
しては、例えば、スパッタリング法又はPECVD法を用いて形成することができる。例
えば、絶縁膜217をPECVD法で成膜する場合、基板温度は400℃未満、好ましく
は375℃未満、さらに好ましくは180℃以上350℃以下である。絶縁膜217を成
膜する場合の基板温度を、上述の範囲にすることで、緻密な膜を形成できるため好ましい
。また、絶縁膜217を成膜する場合の基板温度を、上述の範囲にすることで、絶縁膜1
14、116中の酸素又は過剰酸素を、酸化物半導体膜223に移動させることが可能と
なる。
【0308】
なお、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する
窒化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を
設けてもよい。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜としては、酸
化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イット
リウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
【0309】
また、絶縁膜217の形成後に、先に記載の第1の加熱処理と同等の加熱処理(以下、第
2の加熱処理とする)を行ってもよい。このように、酸化物導電膜227となる酸化物半
導体膜の成膜の際に絶縁膜116に酸素を添加した後に、400℃未満、好ましくは37
5℃未満、さらに好ましくは180℃以上350℃以下の温度で、加熱処理を行うことで
、絶縁膜116中の酸素又は過剰酸素を酸化物半導体膜223中に移動させ、酸化物半導
体膜223中の酸素欠損を補填することができる。
【0310】
ここで、酸化物半導体膜223中に移動する酸素について、
図20を用いて説明を行う。
図20は、絶縁膜217成膜時の基板温度(代表的には375℃未満)、又は絶縁膜21
7の形成後の第2の加熱処理(代表的には375℃未満)によって、酸化物半導体膜22
3中に移動する酸素を表すモデル図である。
図20中において、酸化物半導体膜223中
に移動する酸素(酸素ラジカル、酸素原子、又は酸素分子)を破線の矢印で表している。
なお、
図20は絶縁膜217成膜後の、トランジスタ近傍の断面図である。
【0311】
図20に示す酸化物半導体膜223は、酸化物半導体膜223に接する膜(ここでは、絶
縁膜107及び絶縁膜114)から酸素が移動することで、酸素欠損が補填される。特に
、本発明の一態様の入出力装置において、酸化物半導体膜223となる酸化物半導体膜の
スパッタリング成膜時に、酸素ガスを用い、絶縁膜107中に酸素を添加する場合、絶縁
膜107は過剰酸素領域を有する。また、酸化物導電膜227となる酸化物半導体膜のス
パッタリング成膜時に、酸素ガスを用い、絶縁膜116中に酸素を添加するため、絶縁膜
116は過剰酸素領域を有する。よって、該過剰酸素領域を有する絶縁膜に挟まれた酸化
物半導体膜223は、酸素欠損が好適に補填される。
【0312】
また、絶縁膜107の下方には、絶縁膜106が設けられており、絶縁膜114、116
の上方には、絶縁膜217が設けられている。絶縁膜106、217を酸素透過性が低い
材料、例えば、窒化シリコン等により形成することで、絶縁膜107、114、116中
に含まれる酸素を酸化物半導体膜223側に閉じ込めることができるため、好適に酸化物
半導体膜223に酸素を移動させることが可能となる。
【0313】
また、絶縁膜217は、酸化物導電膜227の抵抗率を低下させる機能を有することが好
ましい。
【0314】
水素及び窒素のいずれか一方又は双方を有する絶縁膜217を形成することで、絶縁膜2
17に接する酸化物半導体膜227aは、水素及び窒素のいずれか一方又は双方が添加さ
れる。これにより、酸化物半導体膜227aは、キャリア密度が高くなり、酸化物導電膜
として機能することができる。
【0315】
なお、酸化物半導体膜227aの抵抗率の低下に伴い、
図19(A)以降は、酸化物導電
膜227として図示している。
【0316】
酸化物導電膜227の抵抗率は、少なくとも酸化物半導体膜223よりも低く、好ましく
は、1×10-3Ωcm以上1×104Ωcm未満、さらに好ましくは、1×10-3Ω
cm以上1×10-1Ωcm未満であるとよい。
【0317】
次に、絶縁膜217上に絶縁膜219を形成し、絶縁膜217、219の所望の領域が残
るようにパターニングし、その後不要な領域をエッチングすることで開口142を形成す
る(
図19(B))。
【0318】
本実施の形態では、絶縁膜219としてアクリル樹脂を用いる。
【0319】
開口142としては、ドレイン電極225bが露出するように形成する。開口142の形
成方法としては、例えば、ドライエッチング法を用いることができる。ただし、開口14
2の形成方法としては、これに限定されず、ウエットエッチング法、又はドライエッチン
グ法とウエットエッチング法を組み合わせた形成方法としてもよい。なお、開口142を
形成するためのエッチング工程によって、ドレイン電極225bの膜厚が減少する場合が
ある。
【0320】
なお、前述の開口141を形成する工程を行わずに、開口142の形成する工程において
絶縁膜114、116、217、219に開口を連続して形成してもよい。このような工
程とすることで、本発明の一態様の入出力装置の作製工程を減らすことが可能となるため
、製造コストを抑制することができる。
【0321】
次に、開口142を覆うように、絶縁膜219上に導電膜を成膜し、該導電膜の所望の領
域が残るようにパターニングし、その後不要な領域をエッチングすることで、導電膜25
1を形成する。さらに、導電膜251上に絶縁膜253を形成する。次に、絶縁膜253
上に導電膜を成膜し、該導電膜の所望の領域が残るようにパターニングし、その後不要な
領域をエッチングすることで、導電膜255を形成する。そして、絶縁膜253及び導電
膜255上に導電膜を成膜し、該導電膜の所望の領域が残るようにパターニングし、その
後不要な領域をエッチングすることで、導電膜252を形成する(
図19(C))。
【0322】
本実施の形態では、導電膜251及び導電膜252としてITO膜を用い、絶縁膜253
として窒化シリコン膜を用い、導電膜255として銀とパラジウムと銅の合金(Ag-P
d-Cu、APCとも記す)膜を用いる。
【0323】
導電膜252と導電膜255との形成順序は問わないが、導電膜255を、導電膜252
よりも先に形成することが好ましい。導電膜255のエッチングにより、導電膜252が
ダメージを受けること等を抑制することができる。
【0324】
なお、酸化物導電膜227と同様の方法で、酸化物半導体膜を用いて導電膜251を形成
してもよい。このとき、導電膜251上に形成する絶縁膜253としては、絶縁膜217
に用いることができる材料を適用することができる。また、酸化物半導体膜を形成し、該
酸化物半導体膜の抵抗率を低下させる処理を施すことで、導電膜252を形成してもよい
。
【0325】
以上の工程によって、
図4に示すトランジスタ203bと、液晶素子の一対の電極と、を
作製することができる。
【0326】
なお、
図19(C)には絶縁膜219を設ける構成を示したが、絶縁膜219を設けない
構成としてもよい(
図21)。
【0327】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0328】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の入出力装置に用いることができるトランジスタにつ
いて
図22~
図25を用いて説明する。なお、各層の材料については、実施の形態1の記
載を参照することができる。
【0329】
<トランジスタの構成例1>
図22(A)は、トランジスタ270の上面図であり、
図22(B)は、
図22(A)に
示す一点鎖線A1-A2間の断面図であり、
図22(C)は、一点鎖線B1-B2間の断
面図である。なお、一点鎖線A1-A2方向をチャネル長方向、一点鎖線B1-B2方向
をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0330】
トランジスタ270は、基板502上の第1のゲート電極として機能する導電膜504と
、基板502及び導電膜504上の絶縁膜506と、絶縁膜506上の絶縁膜507と、
絶縁膜507上の酸化物半導体膜508と、酸化物半導体膜508に電気的に接続される
ソース電極として機能する導電膜512aと、酸化物半導体膜508に電気的に接続され
るドレイン電極として機能する導電膜512bと、酸化物半導体膜508、導電膜512
a及び導電膜512b上の絶縁膜514、516と、絶縁膜516上の酸化物導電膜51
1bと、を有する。また、酸化物導電膜511b上に絶縁膜518が設けられる。
【0331】
トランジスタ270において、絶縁膜514及び絶縁膜516は、トランジスタ270の
第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。また、酸化物半導体膜511aは、絶縁膜5
14及び絶縁膜516に設けられる開口部552cを介して、導電膜512bと接続され
る。酸化物半導体膜511aは、例えば、表示素子の画素電極としての機能を有する。ま
た、トランジスタ270において、酸化物導電膜511bは、第2のゲート電極(バック
ゲート電極ともいう)として機能する。
【0332】
また、
図22(C)に示すように酸化物導電膜511bは、絶縁膜506、507、絶縁
膜514及び絶縁膜516に設けられる開口部552a、552bにおいて、第1のゲー
ト電極として機能する導電膜504に接続される。よって、導電膜504と酸化物導電膜
511bとは、同じ電位が与えられる。
【0333】
なお、本実施の形態においては、開口部552a、552bを設け、酸化物導電膜511
bと導電膜504を接続する構成について例示したが、これに限定されない。例えば、開
口部552a又は開口部552bのいずれか一方の開口部のみを形成し、酸化物導電膜5
11bと導電膜504を接続する構成、又は開口部552a及び開口部552bを設けず
に、酸化物導電膜511bと導電膜504を接続しない構成としてもよい。なお、酸化物
導電膜511bと導電膜504を接続しない構成の場合、酸化物導電膜511bと導電膜
504には、それぞれ異なる電位を与えることができる。
【0334】
また、
図22(B)に示すように、酸化物半導体膜508は、第1のゲート電極として機
能する導電膜504と、第2のゲート電極として機能する酸化物導電膜511bのそれぞ
れと対向するように位置し、2つのゲート電極として機能する導電膜に挟まれている。第
2のゲート電極として機能する酸化物導電膜511bのチャネル長方向の長さ及びチャネ
ル幅方向の長さは、酸化物半導体膜508のチャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の
長さよりもそれぞれ長く、酸化物半導体膜508の全体は、絶縁膜514及び絶縁膜51
6を介して酸化物導電膜511bに覆われている。また、第2のゲート電極として機能す
る酸化物導電膜511bと第1のゲート電極として機能する導電膜504とは、絶縁膜5
06、507、絶縁膜514及び絶縁膜516に設けられる開口部552a、552bに
おいて接続されるため、酸化物半導体膜508のチャネル幅方向の側面は、絶縁膜514
及び絶縁膜516を介して第2のゲート電極として機能する酸化物導電膜511bと対向
している。
【0335】
別言すると、トランジスタ270のチャネル幅方向において、第1のゲート電極として機
能する導電膜504及び第2のゲート電極として機能する酸化物導電膜511bは、ゲー
ト絶縁膜として機能する絶縁膜506、507及び第2のゲート絶縁膜として機能する絶
縁膜514及び絶縁膜516に設けられる開口部において接続すると共に、ゲート絶縁膜
として機能する絶縁膜506、507並びに第2のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜5
14及び絶縁膜516を介して酸化物半導体膜508を囲む構成である。
【0336】
このような構成を有することで、トランジスタ270に含まれる酸化物半導体膜508を
、第1のゲート電極として機能する導電膜504及び第2のゲート電極として機能する酸
化物導電膜511bの電界によって電気的に囲むことができる。トランジスタ270のよ
うに、第1のゲート電極及び第2のゲート電極の電界によって、チャネル領域が形成され
る酸化物半導体膜を電気的に囲むトランジスタのデバイス構造をsurrounded
channel(s-channel)構造と呼ぶことができる。
【0337】
トランジスタ270は、s-channel構造を有するため、第1のゲート電極として
機能する導電膜504によってチャネルを誘起させるための電界を効果的に酸化物半導体
膜508に印加することができるため、トランジスタ270の電流駆動能力が向上し、高
いオン電流特性を得ることが可能となる。また、オン電流を高くすることが可能であるた
め、トランジスタ270を微細化することが可能となる。また、トランジスタ270は、
第1のゲート電極として機能する導電膜504及び第2のゲート電極として機能する酸化
物導電膜511bによって囲まれた構造を有するため、トランジスタ270の機械的強度
を高めることができる。
【0338】
<トランジスタの構成例2>
図23(A)、(B)は、
図22(B)、(C)に示すトランジスタ270の変形例の断
面図である。また、
図23(C)、(D)は、
図22(B)、(C)に示すトランジスタ
270の変形例の断面図である。
【0339】
図23(A)、(B)に示すトランジスタ270Aは、
図22(B)、(C)に示すトラ
ンジスタ270が有する酸化物半導体膜508を3層の積層構造としている。より具体的
には、トランジスタ270Aが有する酸化物半導体膜508は、酸化物半導体膜508a
と、酸化物半導体膜508bと、酸化物半導体膜508cと、を有する。
【0340】
図23(C)、(D)に示すトランジスタ270Bは、
図22(B)、(C)に示すトラ
ンジスタ270が有する酸化物半導体膜508を2層の積層構造としている。より具体的
には、トランジスタ270Bが有する酸化物半導体膜508は、酸化物半導体膜508b
と、酸化物半導体膜508cと、を有する。
【0341】
ここで、酸化物半導体膜508、及び酸化物半導体膜508に接する絶縁膜のバンド構造
について、
図24を用いて説明する。
【0342】
図24(A)は、絶縁膜507、酸化物半導体膜508a、508b、508c、及び絶
縁膜514を有する積層構造の膜厚方向のバンド構造の一例である。また、
図24(B)
は、絶縁膜507、酸化物半導体膜508b、508c、及び絶縁膜514を有する積層
構造の膜厚方向のバンド構造の一例である。なお、バンド構造は、理解を容易にするため
絶縁膜507、酸化物半導体膜508a、508b、508c、及び絶縁膜514の伝導
帯下端のエネルギー準位(Ec)を示す。
【0343】
また、
図24(A)は、絶縁膜507、514として酸化シリコン膜を用い、酸化物半導
体膜508aとして金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1.2の金属酸化
物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜508bとして
金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=4:2:4.1の金属酸化物ターゲットを用い
て形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜508cとして金属元素の原子数比
をIn:Ga:Zn=1:1:1.2の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物
半導体膜を用いる構成のバンド図である。
【0344】
また、
図24(B)は、絶縁膜507、514として酸化シリコン膜を用い、酸化物半導
体膜508bとして金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=4:2:4.1の金属酸化
物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜508cとして
金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1.2の金属酸化物ターゲットを用い
て形成される酸化物半導体膜を用いる構成のバンド図である。
【0345】
図24(A)、(B)に示すように、酸化物半導体膜508a、508b、508cにお
いて、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化又
は連続接合するともいうことができる。このようなバンド構造を有するためには、酸化物
半導体膜508aと酸化物半導体膜508bとの界面、又は酸化物半導体膜508bと酸
化物半導体膜508cとの界面において、トラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を
形成するような不純物が存在しないとする。
【0346】
酸化物半導体膜508a、508b、508cに連続接合を形成するためには、ロードロ
ック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜を
大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。
【0347】
図24(A)、(B)に示す構成とすることで酸化物半導体膜508bがウェル(井戸)
となり、上記積層構造を用いたトランジスタにおいて、チャネル領域が酸化物半導体膜5
08bに形成されることがわかる。
【0348】
なお、酸化物半導体膜508a、508cを設けることにより、酸化物半導体膜508b
に形成されうるトラップ準位を酸化物半導体膜508bより遠ざけることができる。
【0349】
また、トラップ準位がチャネル領域として機能する酸化物半導体膜508bの伝導帯下端
のエネルギー準位(Ec)より真空準位から遠くなり、トラップ準位に電子が蓄積しやす
くなってしまうことがある。トラップ準位に電子が蓄積されることで、マイナスの固定電
荷となり、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。したがって、
トラップ準位が酸化物半導体膜508bの伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)より真空
準位に近くなるような構成にすると好ましい。このようにすることで、トラップ準位に電
子が蓄積しにくくなり、トランジスタのオン電流を増大させることが可能であると共に、
電界効果移動度を高めることができる。
【0350】
また、酸化物半導体膜508a、508cは、酸化物半導体膜508bよりも伝導帯下端
のエネルギー準位が真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体膜508bの伝導帯下端
のエネルギー準位と、酸化物半導体膜508a、508cの伝導帯下端のエネルギー準位
との差が、0.15eV以上、又は0.5eV以上、かつ2eV以下、又は1eV以下で
ある。すなわち、酸化物半導体膜508a、508cの電子親和力と、酸化物半導体膜5
08bの電子親和力との差が、0.15eV以上、又は0.5eV以上、かつ2eV以下
、又は1eV以下である。
【0351】
このような構成を有することで、酸化物半導体膜508bが主な電流経路となる。すなわ
ち、酸化物半導体膜508bは、チャネル領域としての機能を有し、酸化物半導体膜50
8a、508cは、酸化物絶縁膜としての機能を有する。また、酸化物半導体膜508a
、508cは、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜508bを構成する金属元素の
一種以上から構成される酸化物半導体膜であるため、酸化物半導体膜508aと酸化物半
導体膜508bとの界面、又は酸化物半導体膜508bと酸化物半導体膜508cとの界
面において、界面散乱が起こりにくい。従って、該界面においてはキャリアの動きが阻害
されないため、トランジスタの電界効果移動度が高くなる。
【0352】
また、酸化物半導体膜508a、508cは、チャネル領域の一部として機能することを
防止するため、導電率が十分に低い材料を用いるものとする。そのため、酸化物半導体膜
508a、508cを、その物性及び/又は機能から、それぞれ酸化物絶縁膜とも呼ぶこ
とができる。また、酸化物半導体膜508a、508cには、電子親和力(真空準位と伝
導帯下端のエネルギー準位との差)が酸化物半導体膜508bよりも小さく、伝導帯下端
のエネルギー準位が酸化物半導体膜508bの伝導帯下端のエネルギー準位と差分(バン
ドオフセット)を有する材料を用いるものとする。また、ドレイン電圧の大きさに依存し
たしきい値電圧の差が生じることを抑制するためには、酸化物半導体膜508a、508
cの伝導帯下端のエネルギー準位が、酸化物半導体膜508bの伝導帯下端のエネルギー
準位よりも真空準位に近いことが好ましい。例えば、酸化物半導体膜508bの伝導帯下
端のエネルギー準位と、酸化物半導体膜508a、508cの伝導帯下端のエネルギー準
位との差は、0.2eV以上、好ましくは0.5eV以上であることが好ましい。
【0353】
また、酸化物半導体膜508a、508cは、膜中にスピネル型の結晶構造が含まれない
ことが好ましい。酸化物半導体膜508a、508cの膜中にスピネル型の結晶構造を含
む場合、該スピネル型の結晶構造と他の領域との界面において、導電膜512a、512
bの構成元素が酸化物半導体膜508bへ拡散してしまう場合がある。なお、酸化物半導
体膜508a、508cがCAAC-OSである場合、導電膜512a、512bの構成
元素、例えば、銅元素のブロッキング性が高くなり好ましい。
【0354】
酸化物半導体膜508a、508cの膜厚は、導電膜512a、512bの構成元素が酸
化物半導体膜508bに拡散することを抑制することのできる膜厚以上であって、絶縁膜
514から酸化物半導体膜508bへの酸素の供給を抑制する膜厚未満とする。例えば、
酸化物半導体膜508a、508cの膜厚が10nm以上であると、導電膜512a、5
12bの構成元素が酸化物半導体膜508bへ拡散するのを抑制することができる。また
、酸化物半導体膜508a、508cの膜厚を100nm以下とすると、絶縁膜514か
ら酸化物半導体膜508bへ効果的に酸素を供給することができる。
【0355】
また、本実施の形態においては、酸化物半導体膜508a、508cとして、金属元素の
原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1.2の金属酸化物ターゲットを用いて形成され
る酸化物半導体膜を用いる構成について例示したが、これに限定されない。例えば、酸化
物半導体膜508a、508cとして、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]、I
n:Ga:Zn=1:3:2[原子数比]、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]
、又はIn:Ga:Zn=1:3:6[原子数比]の金属酸化物ターゲットを用いて形成
される酸化物半導体膜を用いてもよい。
【0356】
なお、酸化物半導体膜508a、508cとして、In:Ga:Zn=1:1:1[原子
数比]の金属酸化物ターゲットを用いる場合、酸化物半導体膜508a、508cは、I
n:Ga:Zn=1:β1(0<β1≦2):β2(0<β2≦3)となる場合がある。
また、酸化物半導体膜508a、508cとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子
数比]の金属酸化物ターゲットを用いる場合、酸化物半導体膜508a、508cは、I
n:Ga:Zn=1:β3(1≦β3≦5):β4(2≦β4≦6)となる場合がある。
また、酸化物半導体膜508a、508cとして、In:Ga:Zn=1:3:6[原子
数比]の金属酸化物ターゲットを用いる場合、酸化物半導体膜508a、508cは、I
n:Ga:Zn=1:β5(1≦β5≦5):β6(4≦β6≦8)となる場合がある。
【0357】
また、トランジスタ270が有する酸化物半導体膜508と、トランジスタ270A、2
70Bが有する酸化物半導体膜508cと、は図面において、導電膜512a、512b
と重畳しない領域の酸化物半導体膜が薄くなる、別言すると酸化物半導体膜の一部が凹部
を有する形状について例示している。ただし、本発明の一態様はこれに限定されず、導電
膜512a、512bと重畳しない領域の酸化物半導体膜が凹部を有さなくてもよい。こ
の場合の一例を
図25(A)、(B)に示す。
図25(A)、(B)は、トランジスタの
一例を示す断面図である。なお、
図25(A)、(B)は、先に示すトランジスタ270
Bの酸化物半導体膜508が凹部を有さない構造である。
【0358】
また、
図25(C)、(D)に示すように、酸化物半導体膜508cの膜厚を、予め酸化
物半導体膜508bよりも薄く形成し、さらに酸化物半導体膜508c及び絶縁膜507
上に絶縁膜519を形成してもよい。この場合、絶縁膜519には酸化物半導体膜508
cと導電膜512a及び導電膜512bとが接するための開口を形成する。絶縁膜519
は、絶縁膜514と同様の材料及び形成方法によって形成できる。
【0359】
また、本実施の形態に係るトランジスタは、上記の構造のそれぞれを自由に組み合わせる
ことが可能である。
【0360】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0361】
(実施の形態4)
本実施の形態では、酸化物半導体について
図26~30を用いて説明する。
【0362】
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
【0363】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けら
れる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(c-axis-aligned
crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物
半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semicond
uctor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-l
ike oxide semiconductor)及び非晶質酸化物半導体などがある
。
【0364】
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半
導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-
OS、多結晶酸化物半導体及びnc-OSなどがある。
【0365】
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置
が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さな
い、などといわれている。
【0366】
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous
)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構
造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a-li
ke OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。
不安定であるという点では、a-like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近い
。
【0367】
<CAAC-OS>
まずは、CAAC-OSについて説明する。
【0368】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半
導体の一種である。
【0369】
CAAC-OSをX線回折(XRD:X-Ray Diffraction)によって解
析した場合について説明する。例えば、空間群R-3mに分類されるInGaZnO
4の
結晶を有するCAAC-OSに対し、out-of-plane法による構造解析を行う
と、
図26(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピー
クは、InGaZnO
4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC-OSで
は、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC-OSの膜を形成する面(被形成面ともい
う。)、又は上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°近
傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍
のピークは、空間群Fd-3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC-
OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
【0370】
一方、CAAC-OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin-pla
ne法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、I
nGaZnO
4の結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し
、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を
行っても、
図26(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZ
nO
4に対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、
図26(C)に示すよ
うに(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、X
RDを用いた構造解析から、CAAC-OSは、a軸及びb軸の配向が不規則であること
が確認できる。
【0371】
次に、電子回折によって解析したCAAC-OSについて説明する。例えば、InGaZ
nO
4の結晶を有するCAAC-OSに対し、CAAC-OSの被形成面に平行にプロー
ブ径が300nmの電子線を入射させると、
図26(D)に示すような回折パターン(制
限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、In
GaZnO
4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回
折によっても、CAAC-OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面
又は上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂
直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを
図26(E)に
示す。
図26(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プローブ
径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC-OSに含まれるペレッ
トのa軸及びb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、
図26(E)における第1リ
ングは、InGaZnO
4の結晶の(010)面及び(100)面などに起因すると考え
られる。また、
図26(E)における第2リングは(110)面などに起因すると考えら
れる。
【0372】
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Mi
croscope)によって、CAAC-OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像
(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる
。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウ
ンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAAC
-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0373】
図27(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC-OSの断面の高分解能T
EM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Ab
erration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分
解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、
例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fなどによ
って観察することができる。
【0374】
図27(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することが
できる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわ
かる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこと
もできる。また、CAAC-OSを、CANC(C-Axis Aligned nan
ocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC
-OSの被形成面又は上面の凹凸を反映しており、CAAC-OSの被形成面又は上面と
平行となる。
【0375】
また、
図27(B)及び
図27(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC-
OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。
図27(D)及び
図27(E)は、それ
ぞれ
図27(B)及び
図27(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理の方法
について説明する。まず、
図27(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fou
rier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得したF
FT像において原点を基準に、2.8nm
-1から5.0nm
-1の間の範囲を残すマス
ク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inv
erse Fast Fourier Transform)処理することで画像処理し
た像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフィルタ
リング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子配列を
示している。
【0376】
図27(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、
一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部であ
る。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレ
ットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
【0377】
図27(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間を点線
で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近
傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形又は\及び七角形な
どが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制している
ことがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において原子配列が稠密でない
ことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪み
を許容することができるためと考えられる。
【0378】
以上に示すように、CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複
数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CA
AC-OSを、CAA crystal(c-axis-aligned a-b-pl
ane-anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもでき
る。
【0379】
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混
入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(
酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
【0380】
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属
元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素
との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を
乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二
酸化炭素などは、原子半径(又は分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱
し、結晶性を低下させる要因となる。
【0381】
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合があ
る。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリ
ア発生源となる場合がある。例えば、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップと
なる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
【0382】
不純物及び酸素欠損の少ないCAAC-OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体である
。具体的には、8×1011個/cm3未満、好ましくは1×1011個/cm3未満、
さらに好ましくは1×1010個/cm3未満であり、1×10-9個/cm3以上のキ
ャリア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性
又は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC-OSは、不純物濃度が低く、
欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0383】
<nc-OS>
次に、nc-OSについて説明する。
【0384】
nc-OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc-OSに対し
、out-of-plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない
。即ち、nc-OSの結晶は配向性を有さない。
【0385】
また、例えば、InGaZnO
4の結晶を有するnc-OSを薄片化し、厚さが34nm
の領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、
図28
(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測され
る。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナ
ノビーム電子回折パターン)を
図28(B)に示す。
図28(B)より、リング状の領域
内に複数のスポットが観測される。したがって、nc-OSは、プローブ径が50nmの
電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入
射させることでは秩序性が確認される。
【0386】
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、
図28(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンが観測
される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc-OSが秩序
性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているた
め、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
【0387】
図28(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc-OSの断面のCs補正高分
解能TEM像を示す。nc-OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所など
のように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない
領域と、を有する。nc-OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさで
あり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが1
0nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(micro
crystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがある
。nc-OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合が
ある。なお、ナノ結晶は、CAAC-OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性が
ある。そのため、以下ではnc-OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
【0388】
このように、nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に
1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは
、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見ら
れない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質
酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0389】
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc-OSを、
RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物
半導体、又はNANC(Non-Aligned nanocrystals)を有する
酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0390】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、
nc-OSは、a-like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる
。ただし、nc-OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため
、nc-OSは、CAAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0391】
<a-like OS>
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半
導体である。
【0392】
図29に、a-like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、
図29(A)は
電子照射開始時におけるa-like OSの高分解能断面TEM像である。
図29(B
)は4.3×10
8e
-/nm
2の電子(e
-)照射後におけるa-like OSの高
分解能断面TEM像である。
図29(A)及び
図29(B)より、a-like OSは
電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また、
明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆又は低密度領
域と推測される。
【0393】
鬆を有するため、a-like OSは、不安定な構造である。以下では、a-like
OSが、CAAC-OS及びnc-OSと比べて不安定な構造であることを示すため、
電子照射による構造の変化を示す。
【0394】
試料として、a-like OS、nc-OS及びCAAC-OSを準備する。いずれの
試料もIn-Ga-Zn酸化物である。
【0395】
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料
は、いずれも結晶部を有する。
【0396】
なお、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-
O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている
。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同
程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、以
下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZn
O4の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa-b面に対応す
る。
【0397】
図30は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である
。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。
図30より、a-like
OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなってい
くことがわかる。
図30より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさ
だった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e
-)の累積照射量が4.2×10
8e
-
/nm
2においては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc
-OS及びCAAC-OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
8e
-/nm
2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。
図30より
、電子の累積照射量によらず、nc-OS及びCAAC-OSの結晶部の大きさは、それ
ぞれ1.3nm程度及び1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射及びTE
Mの観察は、日立透過電子顕微鏡H-9000NARを用いた。電子線照射条件は、加速
電圧を300kV、電流密度を6.7×10
5e
-/(nm
2・s)、照射領域の直径を
230nmとした。
【0398】
このように、a-like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合があ
る。一方、nc-OS及びCAAC-OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見
られない。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、不安
定な構造であることがわかる。
【0399】
また、鬆を有するため、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて
密度の低い構造である。具体的には、a-like OSの密度は、同じ組成の単結晶の
密度の78.6%以上92.3%未満である。また、nc-OSの密度及びCAAC-O
Sの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満である。単結晶の密
度の78%未満である酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
【0400】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱
面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3である。よっ
て、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において
、a-like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満である。また
、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、
nc-OSの密度及びCAAC-OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未
満である。
【0401】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わ
せることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所
望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、
加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組
み合わせて見積もることが好ましい。
【0402】
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。な
お、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、
CAAC-OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0403】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0404】
(実施の形態5)
<CACの構成>
以下では、本発明の一態様に用いることができるCAC(Cloud Aligned
Complementary)-OSの構成について説明する。
【0405】
CACとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が0.5nm以上10nm以下、好ま
しくは1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。
なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該
金属元素を有する領域が0.5nm以上10nm以下、好ましくは1nm以上2nm以下
、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状またはパッチ状ともいう。
【0406】
例えば、In-Ga-Zn酸化物(以下、IGZOともいう。)におけるCAC-IGZ
Oとは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)
またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、及びZ2は
0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0より
も大きい実数)とする。)またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(
X4、Y4、及びZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離すること
でモザイク状となり、モザイク状のInOX1またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に
均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0407】
つまり、CAC-IGZOは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ
2またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導
体である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数
比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、
第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0408】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、及びOによる1つの化合物をいう場合
がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)またはIn(1+
x0)Ga(1-x0)O3(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表され
る結晶性の化合物が挙げられる。
【0409】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、
CAAC構造とは、複数のIGZOナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面においては
配向せずに連結した結晶構造である。
【0410】
一方、CACは、材料構成に関する。CACとは、In、Ga、Zn、及びOを含む材料
構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを
主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散し
ている構成をいう。従って、CACにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
【0411】
なお、CACは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば
、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
【0412】
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2またはInOX1が主
成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0413】
<CAC-IGZOの解析>
続いて、各種測定方法を用い、基板上に成膜した酸化物半導体について測定を行った結果
について説明する。
【0414】
≪試料の構成と作製方法≫
以下では、本発明の一態様に係る9個の試料について説明する。各試料は、酸化物半導体
を成膜する際の基板温度、及び酸素ガス流量比が異なる条件で作製する。なお、試料は、
それぞれ、基板と、基板上の酸化物半導体と、を有する構造である。
【0415】
各試料の作製方法について、説明する。
【0416】
まず、基板として、ガラス基板を用いる。続いて、スパッタリング装置を用いて、ガラス
基板上に酸化物半導体として、厚さ100nmのIn-Ga-Zn酸化物を形成する。成
膜条件は、チャンバー内の圧力を0.6Paとし、ターゲットには、酸化物ターゲット(
In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いる。また、スパッタリング装置
内に設置された酸化物ターゲットに2500WのAC電力を供給する。
【0417】
なお、酸化物を成膜する際の条件として、基板温度を、意図的に加熱しない温度(以下、
R.T.ともいう。)、130℃、または170℃とした。また、Arと酸素の混合ガス
に対する酸素ガスの流量比(以下、酸素ガス流量比ともいう。)を、10%、30%、ま
たは100%とすることで、9個の試料を作製する。
【0418】
≪X線回折による解析≫
本項目では、9個の試料に対し、XRD測定を行った結果について説明する。なお、XR
D装置として、Bruker社製D8 ADVANCEを用いた。また、条件は、Out
-of-plane法によるθ/2θスキャンにて、走査範囲を15deg.乃至50d
eg.、ステップ幅を0.02deg.、走査速度を3.0deg./分とした。
【0419】
図36にOut-of-plane法を用いてXRDスペクトルを測定した結果を示す。
なお、
図36において、上段には成膜時の基板温度条件が170℃の試料における測定結
果、中段には成膜時の基板温度条件が130℃の試料における測定結果、下段には成膜時
の基板温度条件がR.T.の試料における測定結果を示す。また、左側の列には酸素ガス
流量比の条件が10%の試料における測定結果、中央の列には酸素ガス流量比の条件が3
0%の試料における測定結果、右側の列には酸素ガス流量比の条件が100%の試料にお
ける測定結果を示す。
【0420】
図36に示すXRDスペクトルは、成膜時の基板温度を高くする、または、成膜時の酸素
ガス流量比の割合を大きくすることで、2θ=31°付近のピーク強度が高くなる。なお
、2θ=31°付近のピークは、被形成面または上面に略垂直方向に対してc軸に配向し
た結晶性IGZO化合物(CAAC(c-axis aligned crystall
ine)-IGZOともいう。)であることに由来することが分かっている。
【0421】
また、
図36に示すXRDスペクトルは、成膜時の基板温度が低い、または、酸素ガス流
量比が小さいほど、明確なピークが現れなかった。従って、成膜時の基板温度が低い、ま
たは、酸素ガス流量比が小さい試料は、測定領域のa-b面方向、及びc軸方向の配向は
見られないことが分かる。
【0422】
≪電子顕微鏡による解析≫
本項目では、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料を、
HAADF(High-Angle Annular Dark Field)-STE
M(Scanning Transmission Electron Microsc
ope)によって観察、及び解析した結果について説明する(以下、HAADF-STE
Mによって取得した像は、TEM像ともいう。)。
【0423】
HAADF-STEMによって取得した平面像(以下、平面TEM像ともいう。)、及び
断面像(以下、断面TEM像ともいう。)の画像解析を行った結果について説明する。な
お、TEM像は、球面収差補正機能を用いて観察した。なお、HAADF-STEM像の
撮影には、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fを用い
て、加速電圧200kV、ビーム径約0.1nmφの電子線を照射して行った。
【0424】
図37(A)は、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料
の平面TEM像である。
図37(B)は、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量
比10%で作製した試料の断面TEM像である。
【0425】
≪電子線回折パターンの解析≫
本項目では、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料に、
プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで、電子線
回折パターンを取得した結果について説明する。
【0426】
図37(A)に示す、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した
試料の平面TEM像において、黒点a1、黒点a2、黒点a3、黒点a4、及び黒点a5
で示す電子線回折パターンを観察する。なお、電子線回折パターンの観察は、電子線を照
射しながら0秒の位置から35秒の位置まで一定の速度で移動させながら行う。黒点a1
の結果を
図37(C)、黒点a2の結果を
図37(D)、黒点a3の結果を
図37(E)
、黒点a4の結果を
図37(F)、及び黒点a5の結果を
図37(G)に示す。
【0427】
図37(C)、
図37(D)、
図37(E)、
図37(F)、及び
図37(G)より、円
を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測できる。また、リング状の領域に複数
のスポットが観測できる。
【0428】
また、
図37(B)に示す、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作
製した試料の断面TEM像において、黒点b1、黒点b2、黒点b3、黒点b4、及び黒
点b5で示す電子線回折パターンを観察する。黒点b1の結果を
図37(H)、黒点b2
の結果を
図37(I)、黒点b3の結果を
図37(J)、黒点b4の結果を
図37(K)
、及び黒点b5の結果を
図37(L)に示す。
【0429】
図37(H)、
図37(I)、
図37(J)、
図37(K)、及び
図37(L)より、リ
ング状に輝度の高い領域が観測できる。また、リング状の領域に複数のスポットが観測で
きる。
【0430】
ここで、例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC-OSに対し、試料面に平行
にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、InGaZnO4の結晶の(009
)面に起因するスポットが含まれる回折パターンが見られる。つまり、CAAC-OSは
、c軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわか
る。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させ
ると、リング状の回折パターンが確認される。つまり、CAAC-OSは、a軸及びb軸
は配向性を有さないことがわかる。
【0431】
また、微結晶を有する酸化物半導体(nano crystalline oxide
semiconductor。以下、nc-OSという。)に対し、大きいプローブ径(
例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折を行うと、ハローパターンのような回
折パターンが観測される。また、nc-OSに対し、小さいプローブ径の電子線(例えば
50nm未満)を用いるナノビーム電子線回折を行うと、輝点(スポット)が観測される
。また、nc-OSに対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くように(リング状に
)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域に複数の輝点が観測
される場合がある。
【0432】
成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の電子線回折パタ
ーンは、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点を有する。従って、成
膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料は、電子線回折パタ
ーンが、nc-OSになり、平面方向、及び断面方向において、配向性は有さない。
【0433】
以上より、成膜時の基板温度が低い、または、酸素ガス流量比が小さい酸化物半導体は、
アモルファス構造の酸化物半導体膜とも、単結晶構造の酸化物半導体膜とも明確に異なる
性質を有すると推定できる。
【0434】
≪元素分析≫
本項目では、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersiv
e X-ray spectroscopy)を用い、EDXマッピングを取得し、評価
することによって、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試
料の元素分析を行った結果について説明する。なお、EDX測定には、元素分析装置とし
て日本電子株式会社製エネルギー分散型X線分析装置JED-2300Tを用いる。なお
、試料から放出されたX線の検出にはSiドリフト検出器を用いる。
【0435】
EDX測定では、試料の分析対象領域の各点に電子線照射を行い、これにより発生する試
料の特性X線のエネルギーと発生回数を測定し、各点に対応するEDXスペクトルを得る
。本実施の形態では、各点のEDXスペクトルのピークを、In原子のL殻への電子遷移
、Ga原子のK殻への電子遷移、Zn原子のK殻への電子遷移及びO原子のK殻への電子
遷移に帰属させ、各点におけるそれぞれの原子の比率を算出する。これを試料の分析対象
領域について行うことにより、各原子の比率の分布が示されたEDXマッピングを得るこ
とができる。
【0436】
図38には、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の断
面におけるEDXマッピングを示す。
図38(A)は、Ga原子のEDXマッピング(全
原子に対するGa原子の比率は1.18乃至18.64[atomic%]の範囲とする
。)である。
図38(B)は、In原子のEDXマッピング(全原子に対するIn原子の
比率は9.28乃至33.74[atomic%]の範囲とする。)である。
図38(C
)は、Zn原子のEDXマッピング(全原子に対するZn原子の比率は6.69乃至24
.99[atomic%]の範囲とする。)である。また、
図38(A)、
図38(B)
、及び
図38(C)は、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製し
た試料の断面において、同範囲の領域を示している。なお、EDXマッピングは、範囲に
おける、測定元素が多いほど明るくなり、測定元素が少ないほど暗くなるように、明暗で
元素の割合を示している。また、
図38に示すEDXマッピングの倍率は720万倍であ
る。
【0437】
図38(A)、
図38(B)、及び
図38(C)に示すEDXマッピングでは、画像に相
対的な明暗の分布が見られ、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作
製した試料において、各原子が分布を持って存在している様子が確認できる。ここで、図
38(A)、
図38(B)、及び
図38(C)に示す実線で囲む範囲と破線で囲む範囲に
注目する。
【0438】
図38(A)では、実線で囲む範囲は、相対的に暗い領域を多く含み、破線で囲む範囲は
、相対的に明るい領域を多く含む。また、
図38(B)では実線で囲む範囲は、相対的に
明るい領域を多く含み、破線で囲む範囲は、相対的に暗い領域を多く含む。
【0439】
つまり、実線で囲む範囲はIn原子が相対的に多い領域であり、破線で囲む範囲はIn原
子が相対的に少ない領域である。ここで、
図38(C)では、実線で囲む範囲において、
右側は相対的に明るい領域であり、左側は相対的に暗い領域である。従って、実線で囲む
範囲は、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1などが主成分である領域である。
【0440】
また、実線で囲む範囲はGa原子が相対的に少ない領域であり、破線で囲む範囲はGa原
子が相対的に多い領域である。
図38(C)では、破線で囲む範囲において、左上側の領
域は、相対的に明るい領域であり、右下側の領域は、相対的に暗い領域である。従って、
破線で囲む範囲は、GaO
X3、またはGa
X4Zn
Y4O
Z4などが主成分である領域
である。
【0441】
また、
図38(A)、
図38(B)、及び
図38(C)より、In原子の分布は、Ga原
子よりも、比較的、均一に分布しており、InO
X1が主成分である領域は、In
X2Z
n
Y2O
Z2が主成分となる領域を介して、互いに繋がって形成されているように見える
。このように、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域は、クラ
ウド状に広がって形成されている。
【0442】
このように、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInO
X1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有するIn-Ga-Zn酸化
物を、CAC-IGZOと呼称することができる。
【0443】
また、CACにおける結晶構造は、nc構造を有する。CACが有するnc構造は、電子
線回折像において、単結晶、多結晶、またはCAAC構造を含むIGZOに起因する輝点
(スポット)以外にも、数か所以上の輝点(スポット)を有する。または、数か所以上の
輝点(スポット)に加え、リング状に輝度の高い領域が現れるとして結晶構造が定義され
る。
【0444】
また、
図38(A)、
図38(B)、及び
図38(C)より、GaO
X3が主成分である
領域、及びIn
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域のサイズは、
0.5nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下で観察される。なお、好まし
くは、EDXマッピングにおいて、各金属元素が主成分である領域の径は、1nm以上2
nm以下とする。
【0445】
以上より、CAC-IGZOは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構
造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-IGZOは、GaO
X3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分で
ある領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有
する。従って、CAC-IGZOを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する
性質と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する性質とが、相補的に作用
することにより、高いオン電流(Ion)、及び高い電界効果移動度(μ)を実現するこ
とができる。
【0446】
また、CAC-IGZOを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC-IGZ
Oは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0447】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0448】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の入出力装置を有するタッチパネルモジュール及び電
子機器について、
図31~
図33を用いて説明する。
【0449】
図31に示すタッチパネルモジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー80
02との間に、FPC8003に接続されたタッチパネル8004、フレーム8009、
プリント基板8010、及びバッテリ8011を有する。
【0450】
本発明の一態様の入出力装置は、例えば、タッチパネル8004に用いることができる。
【0451】
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチパネル8004のサイズに合わせ
て、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0452】
また、透過型の液晶素子を用いた場合には、
図31に示すようにバックライト8007を
設けてもよい。バックライト8007は、光源8008を有する。なお、
図31において
、バックライト8007上に光源8008を配置する構成について例示したが、これに限
定されない。例えば、バックライト8007の端部に光源8008を配置し、さらに光拡
散板を用いる構成としてもよい。なお、有機EL素子等の自発光型の発光素子を用いる場
合、又は反射型パネル等の場合においては、バックライト8007を設けない構成として
もよい。
【0453】
フレーム8009は、タッチパネル8004の保護機能の他、プリント基板8010の動
作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレ
ーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0454】
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号
処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても
良いし、別途設けたバッテリ8011による電源であってもよい。バッテリ8011は、
商用電源を用いる場合には、省略可能である。
【0455】
また、タッチパネル8004は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加し
て設けてもよい。
【0456】
図32(A)~(H)及び
図33は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐
体5000、表示部5001、スピーカ5003、LEDランプ5004、操作キー50
05(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子5006、センサ5007(
力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質
、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、にお
い又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン5008、等を有することが
できる。
【0457】
図32(A)はモバイルコンピュータであり、上述したものの他に、スイッチ5009、
赤外線ポート5010、等を有することができる。
図32(B)は記録媒体を備えた携帯
型の画像再生装置(たとえば、DVD再生装置)であり、上述したものの他に、第2表示
部5002、記録媒体読込部5011、等を有することができる。
図32(C)はテレビ
ジョン装置であり、上述したものの他に、スタンド5012等を有することができる。ま
た、テレビジョン装置の操作は、筐体5000が備える操作スイッチや、別体のリモコン
操作機5013により行うことができる。リモコン操作機5013が備える操作キーによ
り、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部5001に表示される映像を操作
することができる。また、リモコン操作機5013に、当該リモコン操作機5013から
出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
図32(D)は携帯型遊技機
であり、上述したものの他に、記録媒体読込部5011、等を有することができる。
図3
2(E)はテレビ受像機能付きデジタルカメラであり、上述したものの他に、アンテナ5
014、シャッターボタン5015、受像部5016、等を有することができる。
図32
(F)は携帯型遊技機であり、上述したものの他に、第2表示部5002、記録媒体読込
部5011、等を有することができる。
図32(G)は持ち運び型テレビ受像器であり、
上述したものの他に、信号の送受信が可能な充電器5017、等を有することができる。
図32(H)は腕時計型情報端末であり、上述したもののほかに、バンド5018、留め
金5019、等を有することができる。ベゼル部分を兼ねる筐体5000に搭載された表
示部5001は、非矩形状の表示領域を有している。表示部5001は、時刻を表すアイ
コン5020、その他のアイコン5021等を表示することができる。
図33(A)はデ
ジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)である。
図33(B)
は円柱状の柱に取り付けられたデジタルサイネージである。
【0458】
図32(A)~(H)及び
図33に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。
例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッ
チパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プ
ログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコ
ンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は
受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に
表示する機能、等を有することができる。さらに、複数の表示部を有する電子機器におい
ては、一つの表示部を主として画像情報を表示し、別の一つの表示部を主として文字情報
を表示する機能、又は、複数の表示部に視差を考慮した画像を表示することで立体的な画
像を表示する機能、等を有することができる。さらに、受像部を有する電子機器において
は、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を自動又は手動で補正す
る機能、撮影した画像を記録媒体(外部又はカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画
像を表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、
図32(A)~(H)及び
図33に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有
することができる。
【0459】
本実施の形態の電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有することを特徴と
する。該表示部に、本発明の一態様の入出力装置を適用することができる。
【0460】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【実施例0461】
本実施例では、本発明の一態様の入出力装置について説明する。
【0462】
まず、本実施例の入出力装置の仕様を説明する。サイズは、対角4.3インチとした。有
効画素数は、1080(H)×1920(V)のFHD(Full High Defi
nition)とした。画素サイズは、49.5μm(H)×49.5μm(V)とした
。パネル外寸は、69.76mm(H)×141.4mm(V)とした。表示領域及びセ
ンサ領域は、それぞれ、53.46mm(H)×95.04mm(V)とした。解像度は
513ppiとした。トランジスタには、チャネル形成領域に酸化物半導体を有する、C
E(チャネルエッチ)型のトランジスタを用いた。
【0463】
本実施例の入出力装置は、透過型の液晶表示装置として機能させることができる。表示素
子としては、FFSモードの液晶素子を用いた。カラー化方式としては、CF(カラーフ
ィルタ)方式を用いた。また、開口率は48.0%とした。また、駆動周波数は60Hz
とした。また、映像信号形式としては、アナログ線順次を用いた。
【0464】
また、ゲートドライバは内蔵とした。また、ソースドライバは、COFを用いた。
【0465】
また、検知素子は、投影型静電容量方式(相互容量方式)とした。液晶素子の共通電極は
検知素子の電極を兼ねる構成とした。センサユニット数は、18(H)×32(V)とし
た。具体的には、
図9(A)における導電膜56aを32本有し、導電膜58を18本有
する。1つのセンサユニットのサイズは、2.970mm×2.970mmとした。
図9
(A)における1つの導電膜56bは、30×60個の画素分の大きさであり、1つの導
電膜56aは、30×1080個の画素分の大きさである。
【0466】
図8(E)に示す1フレーム期間は、16.667msであり、書き込み期間は8.33
3ms、2つの検知期間はそれぞれ4.167msである。
【0467】
本実施例の入出力装置の断面模式図は、
図1(B)に相当し、詳細は実施の形態1を参照
できる。
【0468】
基板211には、厚さ約0.7mmのガラス基板を用いた。基板261には、厚さ約0.
1mm、約0.2mm、又は約0.3mmのガラス基板を用いた。ゲート電極221は、
窒化タングステン膜と銅膜の積層構造とした。絶縁膜213は、窒化シリコン膜と酸化窒
化シリコン膜の積層構造とした。酸化物半導体膜223には、CAAC-OSの一つであ
る、CAAC-IGZOを用いた。酸化物半導体膜223は、金属元素の原子数比が異な
るスパッタリングターゲットをそれぞれ用いて形成された2層構造とし、2層を合計した
厚さは、約25nmとした。酸化物半導体膜223及び酸化物導電膜227は、In-G
a-Zn酸化物を用いて形成した。酸化物導電膜227は、単層構造とし、その厚さは約
100nmとした。ソース電極225a及びドレイン電極225bは、タングステン膜、
アルミニウム膜、及びチタン膜の積層構造とした。絶縁膜215には、酸化窒化シリコン
膜を用いた。絶縁膜217には、窒化シリコン膜を用いた。絶縁膜219には、アクリル
膜を用いた。導電膜251及び導電膜252には、それぞれ、厚さ約100nmの珪素を
含むインジウム錫酸化物膜を用いた。絶縁膜253には、窒化シリコン膜を用いた。液晶
249には、ネガ型液晶を用いた。また、基板261の表面には、厚さ約200μmの偏
光フィルムを貼り付けた。本実施例では、導電膜255に厚さ約100nmのAPCを用
いた入出力装置と、厚さ約200nmのTiを用いた入出力装置の2種類を作製した。
【0469】
図35は、本実施例の入出力装置の表示状態を示す写真である。
図35における表示領域
の右側及び上側(図示しない)にはそれぞれFPCが接続されている。
図35に示す入出
力装置では、基板261に、厚さ約0.3mmのガラス基板を用いた。また、導電膜25
5には、厚さ約100nmのAPCを用いた。
図35に示すように、本発明の一態様を適
用することで、良好な表示が可能な入出力装置を作製することができた。また、
図35に
示す入出力装置は、タッチセンサの検出感度も良好であり、同時多点検知も可能であった
。
【0470】
導電膜56aの幅(
図9(A)におけるY方向の長さ)とほぼ同じ間隔で、縞状の表示ム
ラが確認されることがあった。そこで、導電膜56aと導電膜56bの寄生容量が揃うよ
うに、導電膜56aと導電膜56bの幅を変更した。変更後、1つの導電膜56bは、2
1×60個の画素分の大きさであり、1つの導電膜56aは、39×1080個の画素分
の大きさである。これにより、導電膜56bの抵抗値は、1.66kΩから1.19kΩ
となり、導電膜56bの容量は534pFから674pFとなった。導電膜56aの抵抗
値は、0.86kΩから1.35kΩとなり、導電膜56aの容量は930pFから68
4pFとなった。導電膜56aと導電膜56bの寄生容量を揃えることで、表示ムラを低
減し、より良好な表示を行うことができた。また、タッチセンシングの信号を導電膜56
bに入力する場合に比べて、導電膜56aと導電膜56bに交互に入力する場合の方が、
表示ムラが低減され、より良好な表示を行うことができた。