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特開2024-163246基地局、User Equipment、及びこれらの方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163246
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】基地局、User Equipment、及びこれらの方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/0833 20240101AFI20241114BHJP
   H04W 4/70 20180101ALI20241114BHJP
   H04W 48/10 20090101ALI20241114BHJP
【FI】
H04W74/0833
H04W4/70
H04W48/10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024152096
(22)【出願日】2024-09-04
(62)【分割の表示】P 2023103227の分割
【原出願日】2016-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2015217963
(32)【優先日】2015-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】二木 尚
(57)【要約】
【課題】カバレッジ向上レベルのための無線リソース設定を基地局からUser Equipment(UE)に知らせるために必要なデータサイズを削減する。
【解決手段】NB-IoTに従って無線通信を行うよう構成されたUEは、ra-ResponseWindowSizeの第1の値とカバレッジ向上レベルに対応する乗数とを含むシステム情報を基地局から受信する。UEは、カバレッジ向上レベルにおいてランダムアクセス(RA)プリアンブルを送信し、ra-ResponseWindowSizeの第2の値によって示される長さのRAレスポンス・ウインドウ内で、基地局からRAレスポンス(RAR)を受信する。ここで、第2の値は、システム情報に含まれる第1の値に乗数を乗算することによって導出され、当該乗数はランダムアクセス手順のRARの繰り返し回数に対応する値としても設定される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ra-ResponseWindowSizeの第1の値とカバレッジ向上レベルに対応する少なくとも1つの乗数とを含むシステム情報をブロードキャストする手段と、
Narrow Band-Internet of Things(NB-IoT)に従って無線通信を行うUser Equipment(UE)から、前記カバレッジ向上レベルにおいてRandom Access(RA)プリアンブルを受信する手段と、
前記受信したRAプリアンブルに応答して、前記UEにRAレスポンス(RAR)を送信する手段と、
を備え、
前記RARは、前記ra-ResponseWindowSizeの第2の値によって示される長さのRAレスポンス・ウインドウ内で受信され、
前記ra-ResponseWindowSizeの前記第2の値は、前記カバレッジ向上レベルに対応する前記少なくとも1つの乗数を前記ra-ResponseWindowSizeの前記第1の値に乗算することによって導出され、
前記少なくとも1つの乗数は、ランダムアクセス手順の前記RARの繰り返し回数に対応する値としても設定される、
基地局。
【請求項2】
ra-ResponseWindowSizeの第1の値とカバレッジ向上レベルに対応する少なくとも1つの乗数とを含むシステム情報をブロードキャストすること、
Narrow Band-Internet of Things(NB-IoT)に従って無線通信を行うUser Equipment(UE)から、前記カバレッジ向上レベルにおいてRandom Access(RA)プリアンブルを受信すること、及び
前記受信したRAプリアンブルに応答して、前記UEにRAレスポンス(RAR)を送信すること、
を備え、
前記RARは、前記ra-ResponseWindowSizeの第2の値によって示される長さのRAレスポンス・ウインドウ内で受信され、
前記ra-ResponseWindowSizeの前記第2の値は、前記カバレッジ向上レベルに対応する前記少なくとも1つの乗数を前記ra-ResponseWindowSizeの前記第1の値に乗算することによって導出され、
前記少なくとも1つの乗数は、ランダムアクセス手順の前記RARの繰り返し回数に対応する値としても設定される、
基地局のための方法。
【請求項3】
User Equipment(UE)であって、
ra-ResponseWindowSizeの第1の値とカバレッジ向上レベルに対応する少なくとも1つの乗数とを含むシステム情報を基地局から受信する手段と、
Narrow Band-Internet of Things(NB-IoT)に従って無線通信を行う前記UEによって、前記カバレッジ向上レベルにおいてRandom Access(RA)プリアンブルを送信する手段と、
前記RAプリアンブルの送信に応答して、前記ra-ResponseWindowSizeの第2の値によって示される長さのRAレスポンス・ウインドウ内で、前記基地局からRAレスポンス(RAR)を受信する手段と、
を備え、
前記ra-ResponseWindowSizeの前記第2の値は、前記カバレッジ向上レベルに対応する前記少なくとも1つの乗数を前記ra-ResponseWindowSizeの前記第1の値に乗算することによって導出され、
前記少なくとも1つの乗数は、ランダムアクセス手順の前記RARの繰り返し回数に対応する値としても設定される、
UE。
【請求項4】
User Equipment(UE)のための方法であって、
ra-ResponseWindowSizeの第1の値とカバレッジ向上レベルに対応する少なくとも1つの乗数とを含むシステム情報を基地局から受信すること、
Narrow Band-Internet of Things(NB-IoT)に従って無線通信を行う前記UEによって、前記カバレッジ向上レベルにおいてRandom Access(RA)プリアンブルを送信すること、及び
前記RAプリアンブルの送信に応答して、前記ra-ResponseWindowSizeの第2の値によって示される長さのRAレスポンス・ウインドウ内で、前記基地局からRAレスポンス(RAR)を受信すること、
を備え、
前記ra-ResponseWindowSizeの前記第2の値は、前記カバレッジ向上レベルに対応する前記少なくとも1つの乗数を前記ra-ResponseWindowSizeの前記第1の値に乗算することによって導出され、
前記少なくとも1つの乗数は、ランダムアクセス手順の前記RARの繰り返し回数に対応する値としても設定される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カバレッジ向上の為の通信制御を行う無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
3rd Generation Partnership Project (3GPP(登録商標))では、近年のモバイルトラフィックの急激な増大による通信品質の低下の改善及びさらなる高速通信の実現のための技術の標準化が行われている。さらに、今後予想される膨大な数のMachine to Machine (M2M) 端末のLong Term Evolution(LTE)ネットワーク又はLTE-Advancedネットワークへの接続による制御シグナリング負荷の増大を回避する技術の標準化も行われている。ここで、M2M端末は、例えば人が介在せずに通信を行う端末を指す。M2M端末は、機械(e.g., 自動販売機、ガスメータ、電気メータ、自動車、鉄道車両、船舶)及びセンサ(e.g., 環境、農業、交通等に関するセンサ)等の様々な機器に搭載される。LTE及びLTE-Advancedでは、M2M端末による通信をMachine Type Communication (MTC) と呼び、MTCを行う端末をMTC端末 (MTC User Equipment (MTC UE)) と呼ぶ。
【0003】
M2Mのサービス事業者は膨大な数のM2M端末を市場に配布する必要があるが、M2M端末1台あたりにかけられるコストに制限がある。この為に、M2M端末は、低コストで実装されること、低消費電力で通信が行えること、等が要求される。また、MTC UEの1つのuse caseとして、建物内(例えばビル内)に固定的又は静的に設置されたまま通信を行う場合が想定される。この場合、MTC UEの無線品質が常に低い可能性があり、一般的に移動性を有する通常のUE(e.g., 携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートブック・パーソナルコンピュータ(ノートブックPC))に比べカバレッジ向上の為の技術が必要となる。また、低コスト化する為の機能制限としては、例えば最大送信電力が小さい、受信アンテナ数が少ない(e.g., 1つの受信アンテナのみ)、高次変調方式(e.g., 64 quadrature amplitude modulation(64QAM))をサポートしない、使用可能な無線帯域幅が狭帯域(e.g.、 1.4 MHz)である、などが考えられ、これによりMTC UEの最大伝送レートが低下する。
【0004】
そこで、3GPPでは、通常UEのそれに比べ劣ることが予想されるMTC UEの通信特性(つまり、カバレッジ)を改善(improve)又は向上(enhance)する為の技術の標準化が行われている(非特許文献1)。以下では、3GPPで検討されているMTC UEのカバレッジを向上する為の技術の一例を説明する。尚、以下に説明されるMTC UEのためのカバレッジ向上技術(カバレッジ向上処理)は、MTC UEの通信特性又は通信品質を改善又は向上する為の処理と言うこともできる。これらの特別なカバレッジ向上技術を適用するUEの状態は、カバレッジ向上モード(Coverage Enhancement (CE)Mode)、カバレッジ拡張モード(Coverage Extension (CE)Mode)、向上されたカバレッジ・モード(Enhanced Coverage Mode(ECM))、又は拡張されたカバレッジ・モード(Extended Coverage Mode(ECM))と呼ばれる。
【0005】
カバレッジ向上技術により改善される特性は、Physical Broadcast Channel(PBCH)の受信特性、Physical Random Access Channel(PRACH)プリアンブルの送信特性(つまり無線基地局(evolved NodeB(eNB))における検出特性)、Physical Downlink Control Channel(PDCCH)の受信特性、Physical Downlink Shared Channel(PDSCH)の受信特性、Physical Uplink Control Channel(PUCCH)の送信特性、Physical Uplink Shared Channel(PUSCH)の送信特性、等がある。PBCHは、eNBによるセル内共通の報知情報の送信に用いられる下り報知チャネルである。PRACHは、UEによるeNBへの初期アクセス(i.e., ランダムアクセス)に用いられる上り物理チャネルである。PDCCHは、例えばeNBによる下りデータのスケジューリング情報(DL assignment)、および上りデータの無線リソース割り当て情報(UL grant)の送信に用いられる下り物理チャネルである。PDSCHは、UEによるシステム情報およびデータ受信に用いられる下り物理チャネルである。PUSCHは、UEによるデータ送信に用いられる上り物理チャネルである。
【0006】
PBCHの受信特性を改善するために検討されている処理の1つは、通常よりも所定回数だけ余分にPBCHによる報知情報の送信を繰り返すことである(非特許文献2を参照)。PRACHの送信特性を改善するために検討されている処理の1つは、PRACH(つまりプリアンブル)の送信を所定回数だけ繰り返すことである(非特許文献3を参照)。また、PDSCHの受信特性、並びにPUCCH及びPUSCHの送信特性を改善するために検討されている処理の1つは、複数サブフレームに亘りPDSCH、PUCCH、及びPUSCHを繰り返し送信することである(非特許文献4を参照)。さらに、MTC UE用のL1/L2制御情報を送信するPDCCHであるM-PDCCHの受信特性を改善するために検討されている処理の1つは、複数サブフレームに亘りM-PDCCHを繰り返し送信することである。これらの処理により、通常UEよりも劣化することが予想されるMTC UEの通信特性が改善することが期待される。なお、下りリンクのデータがM-PDCCHの繰り返し送信によりスケジューリングされる場合、当該データはM-PDCCHの最後の繰り返し送信が行われるサブフレームより後のサブフレームで送信されることが検討されている。さらに、M-PDCCHに含まれる下りリンクの制御情報(DL Control Information)に、当該M-PDCCHの繰り返し回数(実際に行われる予定の繰り返し回数)を含めることも検討されている。
【0007】
通信特性の改善のために必要な送信繰り返し回数及び受信繰り返し回数は、各MTC UEが設置されている場所に依存し、各MTC UEとeNBの間の伝搬損失(pathloss)に依存する。したがって、カバレッジ向上技術は、複数のカバレッジ向上レベル(coverage enhancement(CE)levels)を提供する。カバレッジ向上レベル(coverage enhancement(CE)levels)は、enhanced coverage levels、coverage extension levels、extended coverage levels、又はrepetition levels(e.g., PRACH repetition levels)と呼ばれることもある。さらに、CE levelとRepetition levelの間には1対1の関係、または所定の相対関係が予め設定されることもある。
【0008】
例えば、カバレッジ向上技術は、通常のカバレッジ(normal coverage, zero coverage extension)に加えて、3つのCEレベルを提供する。複数のCEレベルは、互いに異なる送信繰り返し回数及び受信繰り返し回数に対応付けられる。高いCEレベルで使用される送信繰り返し回数及び受信繰り返し回数は、低いCEレベルで使用されるそれらに比べて大きい。各MTC UEは、当該MTC UEとeNBの間の伝搬損失が大きくなるほど、高いCEレベルに割り当てられる。幾つかの実装において、MTC UEは、eNBからの参照信号の受信電力(Reference Signal Received Power(RSRP))又はMTC UEとeNBの間の推定される伝搬損失を計測し、計測されたRSRP又は伝搬損失に基づいて必要とされるCEレベルを決定(推定)し、決定されたCEレベルに対応付けられた最大送信繰り返し回数に従ってランダムアクセス・プリアンブル(RACH)プリアンブルを送信する(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2015/021315号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】3GPP TR 36.888 V12.0.0 (2013-06), “3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Study on provision of low-cost Machine-Type Communications (MTC) User Equipments (UEs) based on LTE (Release 12)”, 2013年6月
【非特許文献2】3GPP R1-135943, Vodafone, “Way Forward on P-BCH for MTC enhanced coverage”, 3GPP TSG RAN WG1 #75, San Francisco, USA, 11-15 November 2013
【非特許文献3】3GPP R1-135944, Vodafone, “Way Forward on PRACH for MTC enhanced coverage”, 3GPP TSG RAN WG1 #75, San Francisco, USA, 11-15 November 2013
【非特許文献4】3GPP R1-136001, Vodafone et al. “Way forward on PDCCH, PDSCH, PUCCH and PUSCH for MTC enhanced coverage”, 3GPP TSG RAN WG1 #75, San Francisco, USA, 11-15 November 2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
eNBは、カバレッジ向上技術をサポートするMTC UEに対して複数のCEレベルの無線リソース設定を知らせる必要がある。例えば、eNBは、アイドル状態のMTC UEによる初期アクセス(i.e., ランダムアクセス)に関する無線リソース設定をMTC UE用のシステム情報(i.e., System Information Block x-bis(SIB x-bis))、例えば、SIB 1-bis又はSIB2-bis、に含めてセル内において送信する。仮にシステム情報が複数のCEレベルのための複数の無線リソース設定を明示的に含む必要があるならば、システム情報のデータサイズが増加してしまう。
【0012】
本明細書に開示される実施形態が達成しようとする目的の1つは、複数のカバレッジ向上レベルのための複数の無線リソース設定を基地局から無線端末に知らせるために必要なデータサイズ(i.e., シグナリング・オーバヘッド)を削減することに寄与する装置、方法、及びプログラムを提供することである。なお、この目的は、本明細書に開示される複数の実施形態が達成しようとする複数の目的の1つに過ぎないことに留意されるべきである。その他の目的又は課題と新規な特徴は、本明細書の記述又は添付図面から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様では、基地局は、メモリ、及び前記メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサを含む。前記少なくとも1つのプロセッサは、第1の無線リソース設定情報要素についての通常カバレッジ又は第1のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第1の値と、変換因子に関する情報とを、無線端末に送信するよう構成されている。前記変換因子に関する情報から得られる前記変換因子の値は、前記第1の無線リソース設定情報要素についての第2のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第2の値を前記第1の値から導出するために前記無線端末によって使用される。
【0014】
第2の態様では、基地局における方法は、第1の無線リソース設定情報要素についての通常カバレッジ又は第1のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第1の値と、変換因子に関する情報とを、無線端末に送信することを含む。前記変換因子に関する情報から得られる前記変換因子の値は、前記第1の無線リソース設定情報要素についての第2のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第2の値を前記第1の値から導出するために前記無線端末によって使用される。
【0015】
第3の態様では、無線端末は、メモリ、及び前記メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサを含む。前記少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのモジュールを実行するよう構成されている。前記少なくとも1つのモジュールは、受信モジュール及び計算モジュールを含む。前記受信モジュールは、第1の無線リソース設定情報要素についての通常カバレッジ又は第1のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第1の値を、基地局から受信するよう構成されている。前記計算モジュールは、変換因子の値を用いて前記第1の値を変換することによって、前記第1の無線リソース設定情報要素についての第2のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第2の値を導出するよう構成されている。
【0016】
第4の態様では、無線端末における方法は、(a)第1の無線リソース設定情報要素についての通常カバレッジ又は第1のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第1の値を、基地局から受信すること、及び(b)変換因子の値を用いて前記第1の値を変換することによって、前記第1の無線リソース設定情報要素についての第2のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第2の値を導出すること、を含む。
【0017】
第5の態様では、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、上述の第2又は第4の態様に係る方法をコンピュータに行わせるための命令群(ソフトウェアコード)を含む。
【発明の効果】
【0018】
上述の態様によれば、複数のカバレッジ向上レベルのための複数の無線リソース設定を基地局から無線端末に知らせるために必要なデータサイズ(i.e., シグナリング・オーバヘッド)を削減することに寄与する装置、方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】いくつかの実施形態に係る無線通信ネットワークの構成例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係るシステム情報の送信動作の一例を示すシーケンス図である。
図3】RACHプリアンブルの繰り返し送信の一例を示す図である。
図4】複数のCEレベルのための無線リソース設定情報要素の値の例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係る無線端末の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】第1の実施形態に係る無線端末による無線リソース設定情報要素の導出のための計算の第1の例を示す図である。
図7】第1の実施形態に係る無線端末による無線リソース設定情報要素の導出のための計算の第2の例を示す図である。
図8】第1の実施形態に係る無線端末による無線リソース設定情報要素の導出のための計算の第3の例を示す図である。
図9】第1の実施形態に係る無線端末による無線リソース設定情報要素の導出のための計算の第4の例を示す図である。
図10】第1の実施形態に係るランダムアクセス手順の一例を示す図である。
図11】いくつかの実施形態に係る無線端末の構成例を示すブロック図である。
図12】いくつかの実施形態に係る基地局の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0021】
以下に説明される複数の実施形態は、独立に実施されることもできるし、適宜組み合わせて実施されることもできる。これら複数の実施形態は、互いに異なる新規な特徴を有している。したがって、これら複数の実施形態は、互いに異なる目的又は課題を解決することに寄与し、互いに異なる効果を奏することに寄与する。
【0022】
以下に示される複数の実施形態は、LTE及びSAE(System Architecture Evolution)を収容するEvolved Packet System(EPS)を主な対象として説明される。しかしながら、これらの実施形態は、EPSに限定されるものではなく、他のモバイル通信ネットワーク又はシステム、例えば3GPP UMTS、3GPP2 CDMA2000システム(1xRTT, HRPD (High Rate Packet Data))、global system for mobile communications(GSM(登録商標))/ General packet radio service(GPRS)システム、及びWiMAXシステム等に適用されてもよい。
【0023】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態を含むいくつかの実施形態に係る無線通信ネットワークの構成例を示している。図1の例では、無線通信ネットワークは、1又は複数の無線端末(i.e., MTC UE)1及び基地局(eNB)2を含む。各MTC UE1は、少なくとも1つの無線トランシーバを有し、eNB2とのセルラー通信を行うよう構成されている。eNB2は、セル21を管理し、セルラー通信技術(e.g., Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) technology)を用いて複数のMTC UE1の各々とセルラー通信を行うよう構成されている。
【0024】
図1に示されたeNB2は、Centralized Radio Access Network(C-RAN)アーキテクチャで使用されるBaseband Unit(BBU)であってもよい。言い換えると、図1に示されたeNB2は、1又は複数のRemote Radio Head(RRH)に接続されるRANノードであってもよい。いくつかの実装において、BBUとしてのeNB2は、コントロールプレーン処理とユーザプレーンのデジタルベースバンド信号処理を担当する。一方、RRHは、アナログRadio Frequency(RF)信号処理(e.g., 周波数変換および信号増幅)を担当する。なお、C-RANは、Cloud RANと呼ばれることもある。また、BBUは、Radio Equipment Controller(REC)又はData Unit(DU)と呼ばれることもある。RRHは、Radio Equipment(RE)、Radio Unit(RU)、又はRemote Radio Unit(RRU)と呼ばれることもある。
【0025】
図1の例では、MTC UE1Aは、MTC UE1Bに比べeNB2からの距離が離れているために、伝搬損失が大きく無線品質が劣化することが想定される。MTC UE1Cは建物(例えばビル)内に設置されており、屋外に設置される場合に比べて無線品質が劣化することが想定される。また、仮に各MTC UE1が、音声通話及びwebブラウジング等のヒューマンタイプ通信を行うUEs、例えば、スマートフォン及びタブレットコンピュータ、に比べて限られた能力又は機能のみを持つ場合、無線品質の劣化が更に顕著になると予想される。したがって、本実施形態に係るMTC UE1は、上述したカバレッジ向上技術をサポートする。
【0026】
既に説明したように、ダウンリンク(DL)でのセルカバレッジを向上するためには、DL送信の繰り返し、例えばシステム情報、M-PDCCH、及びPDSCHの繰り返し送信が用いられることができる。アップリンク(UL)のセルカバレッジを向上するためには、UL送信の繰り返し、RACHプリアンブル、PUCCH、及びPUSCHの繰り返し送信が用いられることができる。
【0027】
MTC UE1は、複数のCE modes(又はECMs)をサポートしてもよい。幾つかの実装において、MTC UE1は、RRC_IDLE状態のためのCE modes(又はECMs) とRRC_CONNECTED状態のための別のCE modes(又はECMs)をサポートしてもよい。さらに又はこれに代えて、MTC UE1は、RRC_IDLE状態のための複数のCE modes(又はECMs)をサポートしてもよいし、RRC_CONNECTED状態のための複数のCE modes(又はECMs)をサポートしてもよい。幾つかの実装において、各CE mode(又は各ECM)に複数のバレッジ向上レベルが定義される。さらに又はこれに代えて、幾つかの実装において、複数のCE modesは、互いに異なるカバレッジ向上レベルを提供する。
【0028】
図2は、本実施形態に係るシステム情報の送信動作の一例(処理200)を示している。ステップ201では、eNB2は、セル21内においてシステム情報(e.g., SIB1-bis, SIB2-bis)を送信する。eNB2は、セル21のDLのためのカバレッジ向上設定に従って、システム情報( SIB1bis, SIB2-bis)を繰り返し送信してもよい。
【0029】
ステップ201で送信されるシステム情報は、セルでカバレッジ向上技術(Coverage enhancement solution)がサポートされていることを明示的または暗示的に示す情報、及び、カバレッジ向上技術に必要な制御情報(Coverage enhancement configuration)を包含する。特に、当該システム情報は、第1の無線リソース設定情報要素(IE)についての通常カバレッジ(normal coverage, zero coverage extension)又は第1のカバレッジ向上(CE)レベル(e.g., CE level 1)に関連付けられた値(以下では「基礎値(base value)」と呼ぶ)を包含する。第1の無線リソース設定IEは、CEレベル毎に異なる値に設定されることが必要なIEである。例えば、第1の無線リソース設定IEは、ランダムアクセス手順において繰り返し送信されるULメッセージ、UL物理チャネル、DLメッセージ、及びDL物理チャネルのうち少なくとも1つに関係してもよい。
【0030】
いくつかの実装において、第1の無線リソース設定IEは、以下に列挙されたRACH設定に関する複数のIEsのうち少なくとも1つを含んでもよい:
・numberOfRA-Preambles;
・maxNumPreambleAttemptCE;
・numRepetitionPerPreambleAttempt;
・ra-ResponseWindowSize;
・mac-ContentionResolutionTimer;
・maxHARQ-Msg3Tx;及び
・numRepetitionPerRA-Response。
【0031】
“numberOfRA-Preambles”IEは、contention based random accessに使用できるランダムアクセス・プリアンブル(RACHプリアンブル)の総数を示す。“maxNumPreambleAttemptCE”IEは、PRACHアテンプトの最大試行回数(CEレベル毎)を示す。“numRepetitionPerPreambleAttempt”IEは、PRACHアテンプト当たりのプリアンブル送信の繰り返し回数(CEレベル毎)を示す。“ra-ResponseWindowSize”IEは、ランダムアクセス(RA)・レスポンス・ウインドウの継続時間(duration)を示す。“mac-ContentionResolutionTimer”IEは、ランダムアクセス手順の第3メッセージ(Msg3)、つまりRRC Connection RequestメッセージをeNB2に送信した後にeNB2からのRA Contention ResolutionのためのMedium Access Control (MAC) Contention Resolutionメッセージの受信を待つためのMACコンテンション解決タイマのタイマ値を示す。“maxHARQ-Msg3Tx”IEは、ランダムアクセス手順の第3メッセージ(Msg3)、つまりRRC Connection Requestメッセージ、のHybrid Automatic Repeat Request(HARQ)再送信(retransmissions)の最大回数を示す。“numRepetitionPerRA-Response”IEは、ランダムアクセス手順の第2のメッセージ(Msg2)、つまりランダムアクセス・レスポンス(RAR)メッセージの送信に使用されるM-PDCCH送信の繰り返し回数(CEレベル毎)、またはRARメッセージ送信の繰り返し回数を示す。なお、これらのIE名称は例示であって、これらのIEに関して他の名称が使用されてもよい。
【0032】
図3は、カバレッジ向上技術をサポートするMTC UE1によって行われるRACHプリアンブルの繰り返し送信の一例を示している。図3の例では、MTC UE1は、1回のPRACHアテンプト当たり4回のプリアンブル送信を繰り返し、最大で20PRACHアテンプトを実行する。MTC UE1は、1回のアテンプトを失敗するとパワーランピング・スキームに従ってRACHプリアンブルの送信電力を増加して次のアテンプトを開始する。
【0033】
図4は、複数のCEレベルのための無線リソース設定情報要素の値の例を示している。図4の例では、最小のCEレベル(i.e., CE level 1)に関連付けられた“maxNumPreambleAttemptCE”IEの値は20であり、“numRepetitionPerPreambleAttempt”IEの値は4である。これは、図3に示された例に相当する。一方、高次のCEレベルでは、PRACHアテンプトの最大試行回数及びPRACHアテンプト当たりのプリアンブル送信の繰り返し回数が共に増加する。すなわち、CE level 2に関連付けられた“maxNumPreambleAttemptCE”IEの値は60であり、“numRepetitionPerPreambleAttempt”IEの値は10である。さらに、CE level 3に関連付けられた“maxNumPreambleAttemptCE”IEの値は120であり、“numRepetitionPerPreambleAttempt”IEの値は20である。
【0034】
いくつかの実装において、第1の無線リソース設定IEは、以下に列挙されたPRACH設定に関する複数のIEsのうち少なくとも1つを含んでもよい:
・prach-ConfigIndex;及び
・prach-FreqOffset。
【0035】
“prach-ConfigIndex”IEは、MTC UE1がfrequency/time grids内でランダムアクセス・プリアンブルをいつ送信するべきかを定義するための値(i.e., R_Slot)を示す。“prach-FreqOffset”IEは、RACHアクセスに利用可能な物理リソースブロック(Physical Resource Block(PRB))を特定するための周波数オフセット値を示す。
【0036】
3GPP仕様書は、各無線リソース設定IEに設定されることができる所定数(e.g., 8個)の値の集合又は1次元配列を定義している。これらの値は例えば昇順又は降順で配列され、各値は昇順又は降順での順位を示すインデックス値に対応付けられる。したがって、各無線リソース設定IEは、これらの集合又は1次元配列に含まれるいずれかの値を表すインデックス値を示す。例えば、3GPP Release 12では、RAレスポンス・ウインドウサイズはサブフレーム単位であり、 2、3、4、5、6、7、8、及び10サブフレームの8通りの値を設定されることができる。したがって、“ra-ResponseWindowSize”IEは、3ビット長を持ち、3ビットのインデックス値でこれらの8通りの値のいずれかを示す。
【0037】
MTC UE1は、第1の無線リソース設定IEについての通常カバレッジ(zero coverage extension, CE level 0)又は第1のCEレベル(e.g., CE level 1)に関連付けられた基礎値をeNB2から受信し、当該第1の無線リソース設定IEについての他のCEレベル(第2のCEレベル(e.g., CE level 2))に関連付けられた値(第2の値)を受信した基礎値から導出する。したがって、MTC UE1は、第1の無線リソース設定IEについての第2のCEレベルに関連付けられた第2の値を明示的に示す追加のIEをeNB2から受信する必要がない。
【0038】
より具体的に述べると、MTC UE1は、eNB2から受信した基礎値から第2のCEレベル(e.g., CE level 2)に関連付けられた第2の値を導出するために変換因子(conversion factor)の値を使用する。変換因子は、単にファクターと表現されてもよい。MTC UE1での第2の値の導出をサポートするため、いくつかの実装において、eNB2は、図2のステップ201で送信されるシステム情報の中に、変換因子の値をさらに含めてもよい。これに代えて、幾つかの実装において、eNB2は、変換因子の値を間接的に示す情報又は変換因子の値を導出するための情報を、図2のステップ201で送信されるシステム情報の中にさらに含めてもよい。例えば、変換因子の値を間接的に示す情報は、予め定められた複数の候補値を含むセットの中からいずれか1つの値を指定するインデックスであってもよい。例えば、変換因子の値を導出するための情報は、予め定められた変換因子の計算式に代入される1又は複数のパラメータを含んでもよい。すなわち、eNB2は、変換因子に関する情報(e.g., 変換因子の値それ自体、変換因子の値を間接的に示す情報、変換因子の値を導出するための情報)をMTC UE1に送信してもよい。変換因子に関する情報は、変換因子の値を得るためにMTC UE1によって使用される。この場合、変換因子及びこれを用いた第2の値の導出(計算)手順は、1又は複数の無線リソース設定IEについての第2のCEレベルに関連付けられた値をeNB2からMTC UE1に明示的に送信するために必要なデータサイズよりも変換因子に関する情報のデータサイズが小さくなるように定義される。
【0039】
ステップ201に先立って、eNB2は、MTC UE1に送信される変換因子の値を計算してもよい。具体的には、eNB2は、1又は複数の第2のCEレベル(e.g., CE levels 1-3)の各々のための第1の無線リソース設定IEの値を決定し、決定されたIE値と当該第1の無線リソース設定IEの基礎値(e.g., CE level 0のためのIE値)を用いて各第2のCEレベルのための変換因子の値を計算してもよい。
【0040】
他の実装において、MTC UE1は、変換因子のデフォルト値をメモリ内に予め保持するよう構成され、eNB2から変換因子が明示的に送信されない場合、第1の無線リソース設定IEの基礎値から第2の値を導出するために当該デフォルト値を用いてもよい。
【0041】
図5は、MTC UE1の動作の一例(処理500)を示すフローチャートである。ステップ501では、MTC UE1は、第1の無線リソース設定IEについての基礎値を包含するシステム情報をeNB2から受信する。既に説明したとおり、第1の無線リソース設定IEについての基礎値は、通常カバレッジ(zero coverage extension)又は第1のCEレベル(e.g., CE level 1)関連付けられた第1の無線リソース設定IEの値である。当該システム情報は、当該第1の無線リソース設定IEについての第2のCEレベルに関連付けられた第2の値を当該基礎値から導出するために使用される変換因子をさらに包含してもよい。
【0042】
ステップ502では、MTC UE1は、通常カバレッジ(又は第1のCEレベル)に関連付けられた第1の無線リソース設定IEの基礎値を変換因子の値を用いて変換することにより、第2のCEレベルに関連付けられた第1の無線リソース設定IEの値を導出する。例えば、第1の無線リソース設定IEは、1又は複数のRACH設定IE(e.g., ra-ResponseWindowSize、及びmac-ContentionResolutionTimer)を含む。この場合、MTC UE1は、通常カバレッジ(又は第1のCEレベル)に関連付けられた1又は複数のRACH設定IEの基礎値から第1のCEレベル(又は第2のCEレベル)に関連付けられた第2の値を導出するために変換因子の値を使用する。
【0043】
MTC UE1は、eNB2からの参照信号の受信電力(RSRP)又はMTC UE1とeNB2の間の推定される伝搬損失を計測し、計測されたRSRP又は伝搬損失に基づいて必要とされるCEレベルを決定してもよい。ステップ503では、もしMTC UE1が第2のCEレベルを必要とする場合、MTC UE1は、ステップ502で導出された第1の無線リソース設定IE(e.g., ra-ResponseWindowSize、及びmac-ContentionResolutionTimer)の第2の値に従って、ランダムアクセス手順を行う。
【0044】
続いて以下では、変換因子の幾つかの例と、及び無線リソース設定IEの基礎値から変換因子を用いてその第2の値を導出(計算)する手順の幾つかの例が説明される。図6に示された第1の例では、変換因子は乗数(multiplier factor)を表す。さらに、当該第1の例では、1つの変換因子(乗数)の値が、2以上の無線リソース設定IE(e.g., ra-ResponseWindowSize、及びmac-ContentionResolutionTimer)についての第2のCEレベルに関連付けられた2以上の値を導出するために兼用される。したがって、当該第1の例では、eNB2は、2以上の無線リソース設定IEについての第2のCEレベルに関連付けられた2以上の値を送信する代わりに、1つの変換因子の値を送信すればよい。これにより、当該第1の例は、複数のCEレベルのための複数の無線リソース設定を基地局から無線端末に知らせるために必要なデータサイズを削減することができる。なお、第1の例での変換因子は、スケーリング因子(factor)、係数(coefficient)、又はスケーリング係数と呼ぶこともできる。
【0045】
詳しく説明すると、図6の例では、MTC UE1は、通常カバレッジ(i.e., zero coverage extension又はCE level 0)のための“ra-ResponseWindowSize”IE及び“mac-ContentionResolutionTimer”IEの値をeNB2からSIBで受信する(601)。図6では、通常カバレッジのためのRAレスポンス・ウインドウサイズ(ra-ResponseWindowSize)が2サブフレーム(sf2)であり、通常カバレッジのためのコンテンション解決タイマの長さ(mac-ContentionResolutionTimer)が8サブフレーム(sf8)である。
【0046】
MTC UE1は、さらに、3つのCEレベル(CE level 1, 2, 3)に関連付けられた3つの変換因子(i.e., 乗数)の値をeNB2から受信する(602)。図6では、CEレベル1、2、及び3のための変換因子(乗数)の値は、それぞれ2、3、及び4である。なお、MTC UE1は、3つのCEレベルのうち必要とされる1つのCEレベルに対応する変換因子の値のみをeNB2から受信してもよい。
【0047】
MTC UE1は、通常カバレッジのための2以上のIE値(601)のそれぞれに変換因子(乗数)の値を乗算する(603)。これにより、MTC UE1は、CEレベル1、2、又は3のための2以上のIEの値を導出することができる(604)。なお、MTC UE1は、3つのCEレベルのうち必要とされる1つのCEレベルに対応する値のみを計算してもよい。
【0048】
図7に示された第2の例では、1つの変換因子の値を用いて2つ以上のCEレベルのためのIE値が計算される。すなわち、MTC UE1は、無線リソース設定IEの基礎値と変換因子の値を用いて第2のCEレベルに関連付けられた当該無線リソース設定IEの第2の値を計算するだけでなく、当該基礎値と当該変換因子の値を用いて第3のCEレベルに関連付けられた当該無線リソース設定IEの第3の値をさらに計算する。したがって、当該第2の例では、eNB2は、第1の無線リソース設定IEについての第2及び第3のCEレベルに関連付けられた2以上の値を送信する代わりに、1つの変換因子の値を送信すればよい。これにより、当該第2の例は、複数のCEレベルのための複数の無線リソース設定を基地局から無線端末に知らせるために必要なデータサイズを削減することができる。
【0049】
詳しく説明すると、図7の例では、MTC UE1は、通常カバレッジ(i.e., zero coverage extension又はCE level 0)のための“ra-ResponseWindowSize”IEの値をeNB2からSIBで受信する(701)。図7では、通常カバレッジのためのRAレスポンス・ウインドウサイズ(ra-ResponseWindowSize)が2サブフレーム(sf2)である。
【0050】
MTC UE1は、さらに、3つのCEレベル(CE level 1, 2, 3)のためのIE値を求めるために使用される1つの変換因子(i.e., 基礎乗数(base multiplier factor))の値をeNB2から受信する(702)。図7では、変換因子(基礎乗数)の値は2である。
【0051】
MTC UE1は、通常カバレッジのための無線リソース設定IEの値(701)に変換因子(基礎乗数)の値を乗算する(703)。これにより、MTC UE1は、CEレベル1のためのIE値を導出することができる(704)。さらに、CEレベル2のためのIE値を求める場合、MTC UE1は、CEレベル1のためのIE値に変換因子(基礎乗数)の値を乗算する。すなわち、図7の例では、変換因子(基礎乗数)の値は、通常カバレッジのためのIE値と2つ以上のCEレベルIE値の間のスケール比を直接的または間接的に指定する。これにより、MTC UE1は、1つの変換因子(基礎乗数)の値に基づいて、2つ以上のCEレベルのためのIE値を計算することができる。
【0052】
図8に示された第3の例では、変換因子はオフセットを表す。当該第3の例では、上述の第1の例と同様に、1つの変換因子(オフセット)の値が2以上の無線リソース設定IE(e.g., ra-ResponseWindowSize、及びmac-ContentionResolutionTimer)についての第2のCEレベルに関連付けられた2以上の値を導出するために兼用される。したがって、当該第3の例は、上述の第1の例と同様に、複数のCEレベルのための複数の無線リソース設定を基地局から無線端末に知らせるために必要なデータサイズを削減することができる。
【0053】
詳しく説明すると、図8の例では、MTC UE1は、通常カバレッジ(i.e., zero coverage extension又はCE level 0)のための“ra-ResponseWindowSize”IE及び“mac-ContentionResolutionTimer”IEの値をeNB2からSIBで受信する(801)。図8では、通常カバレッジのためのRAレスポンス・ウインドウサイズ(ra-ResponseWindowSize)が2サブフレーム(sf2)であり、通常カバレッジのためのコンテンション解決タイマの長さ(mac-ContentionResolutionTimer)が8サブフレーム(sf8)である。
【0054】
MTC UE1は、さらに、3つのCEレベル(CE level 1, 2, 3)に関連付けられた3つの変換因子(i.e., オフセット)の値をeNB2から受信する(802)。図8では、CEレベル1、2、及び3のための変換因子(オフセット)の値は、それぞれ2、4、及び6である。なお、MTC UE1は、3つのCEレベルのうち必要とされる1つのCEレベルに対応する変換因子の値のみをeNB2から受信してもよい。
【0055】
MTC UE1は、通常カバレッジのための2以上のIE値(801)のそれぞれに変換因子(オフセット)の値を加算する(803)。これにより、MTC UE1は、CEレベル1、2、又は3のための2以上のIEの値を導出することができる(804)。なお、MTC UE1は、3つのCEレベルのうち必要とされる1つのCEレベルに対応する値のみを計算してもよい。
【0056】
図9に示された第4の例では、上述の第2の例と同様に、1つの変換因子の値を用いて2つ以上のCEレベルのためのIE値が計算される。したがって当該第4の例は、上述の第2の例と同様に、複数のCEレベルのための複数の無線リソース設定を基地局から無線端末に知らせるために必要なデータサイズを削減することができる。ただし、第4の例では、基礎オフセット(base offset)が変換因子として使用される。
【0057】
詳しく説明すると、図9の例では、MTC UE1は、通常カバレッジ(i.e., zero coverage extension又はCE level 0)のための“ra-ResponseWindowSize”IEの値をeNB2からSIB(e.g., SIB2-bis)で受信する(901)。図9では、通常カバレッジのためのRAレスポンス・ウインドウサイズ(ra-ResponseWindowSize)が2サブフレーム(sf2)である。
【0058】
MTC UE1は、さらに、3つのCEレベル(CE level 1, 2, 3)のためのIE値を求めるために使用される1つの変換因子(i.e., 基礎オフセット)の値をeNB2から受信する(902)。図9では、変換因子(基礎オフセット)の値は2である。
【0059】
MTC UE1は、通常カバレッジのための無線リソース設定IEの値(901)に変換因子(基礎オフセット)の値を加算する(903)。これにより、MTC UE1は、CEレベル1のためのIE値を導出することができる(904)。さらに、CEレベル2のためのIE値を求める場合、MTC UE1は、CEレベル1のためのIE値に変換因子(基礎オフセット)の値を加算する。すなわち、図9の例では、変換因子(基礎オフセット)の値は、通常カバレッジのためのIE値と2つ以上のCEレベルIE値の間のスケール比を間接的に指定する。これにより、MTC UE1は、1つの変換因子(基礎オフセット)の値に基づいて、2つ以上のCEレベルのためのIE値を計算することができる。
【0060】
第5の例は、上述した第1の例の変形であり、変換因子は除数(divisor factor)を表す。当該第5の例では、第1の例と同様に、1つの変換因子(除数)の値が、2以上の無線リソース設定IEについての第2のCEレベルに関連付けられた2以上の値を導出するために兼用される。いくつかの実装において、MTC UE1は、通常カバレッジのための2以上のIE値のそれぞれを各CEレベルのための変換因子(除数)の値によって除算する。これにより、MTC UE1は、各CEレベルのための2以上のIEの値を導出することができる。当該第5の例は、CEレベルが高くなるほど減少するIE(e.g., maxNumPreambleAttemptCE)の値を求めるために使用されてもよい。
【0061】
第6の例は、上述した第2の例の変形であり、変換因子は基礎除数(base divisor factor)を表す。当該第6の例では、第2の例と同様に、1つの変換因子の値を用いて2つ以上のCEレベルのためのIE値が計算される。いくつかの実装において、MTC UE1は、通常カバレッジのためのIE値を変換因子(i.e., 基礎除数)の値によって除算する。これにより、MTC UE1は、1つの変換因子(基礎除数)の値に基づいて、2つ以上のCEレベルのためのIE値を計算することができる。当該第6の例は、CEレベルが高くなるほど減少するIE(e.g., maxNumPreambleAttemptCE)の値を求めるために使用されてもよい。
【0062】
第7の例は、上述した第1の例の変形であり、変換因子は整数mの累乗(mのべき)の指数(exponent)を表す。変換因子が正の整数kであるとき、無線リソース設定IEの第2の値は、無線リソース設定IEの基礎値をmのk乗を掛けて得られる値である。なお、累乗の底mの値は3GPP仕様書等に規定されてもよい。つまり、累乗の底mの値は、MTC UE1のメモリ内に予め格納されてもよい。例えば、累乗の底mが2であり、CE level 1のための変換因子の値が3であるとき、CE level 1のための無線リソース設定IEの値は、通常カバレッジ(CE level 0)のための当該無線リソース設定IEの基礎値に2の3乗を乗じた値、つまり基礎値の8倍の値である。当該第7の例では、第1の例と同様に、1つの変換因子(指数)の値が、2以上の無線リソース設定IEについての第2のCEレベル(e.g., CE level 1)に関連付けられた2以上の値を導出するために兼用される。
【0063】
なお、上述した第1~第7の例は、適宜変形されることができる。また、無線リソース設定IEの基礎値から変換因子を用いてその第2の値を導出するために第1~第6の例の例とは異なる手法が使用されてもよい。
【0064】
例えば、上述の第1~第7の例では、変換因子の値は、無線リソース設定IEの基礎値(i.e., インデックス値)が示す具体的な値(e.g., サブフレーム数)の乗算、加算、又は除算のための乗数、オフセット、除数、又は累乗の指数である。これに代えて、変換因子の値は、無線リソース設定IEの基礎値それ自体(i.e., インデックス値)の乗算、加算、又は除算のための乗数、オフセット、除数、又は累乗の指数であってもよい。例えば、無線リソース設定IEの基礎値それ自体(i.e., インデックス値)は、変換因子としての乗数の値によって乗算されてもよい。この場合、変換された後のインデックス値によって表される具体的な値(e.g., サブフレーム数)が各CEレベルのために使用される。
【0065】
上述した第1~第7の例は、適宜組合せ使用されてもよい。例えば、同じ変換因子を用いて複数のIEの値が計算される場合、IE毎に変換因子の役割(i.e., IE値を導出するための計算方法)が異なってもよい。例えば、あるIEの値を求めるために変換因子の値が乗算のための乗数として使用され、他のIEの値を求めるために当該変換因子の値が加算のためのオフセットとして使用されてもよい。
【0066】
幾つかの実装において、第1の無線リソース設定IEについての第2のCEレベルに関連付けられた値を求めるための変換因子の値は、当該第1の無線リソース設定IEとは異なる第2の無線リソース設定IEについての第2のカバレッジ向上レベルに関連付けられた値と兼用されてもよい。例えば、MTC UE1は、eNB2から受信した第2のCEレベルでのプリアンブル繰り返し回数(PRACH preamble repetition level)を示す“numRepetitionPerPreambleAttempt”IEの値及び第2のCEレベルでのRAレスポンスの繰り返し数(RAR repetition level)を示す“numRepetitionPerRA-Response”IEの値のいずれか又は両方を、“ra-ResponseWindowSize”IE及び“mac-ContentionResolutionTimer”IEについての第2のCEレベルに関連付けられた値を求めるための変換因子として使用してもよい。さらに又はこれに代えて、MTC UE1は、eNB2から受信した第2のCEレベルでのランダムアクセス手順の第3メッセージ(RRC Connection Requestメッセージ)のrepetition level(繰り返し数)を示すIEの値及び第4メッセージ(Contention Resolutionメッセージ)のrepetition level(繰り返し数)を示すIEの値のいずれか又は両方を、“mac-ContentionResolutionTimer”IEについての第2のCEレベルに関連付けられた値を求めるための変換因子として使用してもよい。これらの2つの例において、PRACH preamble repetition level及びRAR repetition levelのいずれか又は両方とra-ResponseWindowSizeとの間を関係づける係数(比例係数)は、第3メッセージのrepetition level及び第4メッセージのrepetition levelのいずれか又は両方とmac-ContentionResolutionTimerとの間を関係づける係数(比例係数)と同一であってもよい。
【0067】
幾つかの実装において、必要なCEレベルに対応するIEの値をMTC UE1において求めるために、変換因子に加えて他の値がさらに使用されてもよい。例えば、対応する信号(preamble, メッセージ)のrepetition level(繰り返し数)及び変換因子を用いてIEの値を導出してもよい。例えば、第1のCEレベル(e.g., CE level 0)のためのra-ResponseWindowSizeの値に第2のCEレベル(e.g., CE level 1, 2, or 3)のためのPRACH preamble repetition levelの値を乗算し、更にこれに変換因子の値を乗算(または加算、除算)することによって、第2のCEレベルのためのra-ResponseWindowSizeの値を導出してもよい。このとき、変換因子の値は、RACHプリアンブルの繰り返し送信の間隔の値、またはRARメッセージの繰り返し送信(M-PDCCH又はPDSCH)の間隔の値でもよい。
【0068】
さらに、同じ変換因子を複数のIEに適用する場合、それぞれに対応する信号(preamble, メッセージ)のrepetition level(繰り返し数)及び当該同じ変換因子を用いてIEの値を導出してもよい。例えば、第1のCEレベル(e.g., CE level 0)のためのra-ResponseWindowSizeの値に第2のCEレベル(e.g., CE level 1, 2, or 3)のためのPRACH preamble repetition levelの値またはRAR repetition levelの値を乗算し、更にこれに変換因子の値を乗算(または加算、除算)することによって、第2のCEレベルのためのra-ResponseWindowSizeの値を導出してもよい。同様に、第1のCEレベル(e.g., CE level 0)のためのmac-ContentioResolutionTimerの値に第2のCEレベル(e.g., CE level 1, 2, or 3)のための第3メッセージ(RRC Connection Requestメッセージ)のrepetition levelの値及び第4メッセージ(Contention Resolutionメッセージ)のrepetition levelの値のいずれか又は両方を乗算し、更にこれに同じ変換因子を乗算(または加算、除算)することによって、第2のCEレベルのためのmac-ContentioResolutionTimerの値を導出してもよい。
【0069】
幾つかの実装において、変換因子の値は、CEレベル値であってもよい。例えば、変換因子の値は、必要とされるCEレベル(e.g., CEレベル1)を示す値(e.g., 1)又はこれを所定の変換式に従って変換することにより得られる値であってもよい。
【0070】
幾つかの実装において、複数のCEレベルのうちの一部のCEレベル(e.g., CE level 1)に関してのみ変換因子を用いたIE値の導出が行われ、残りのCEレベル(e.g., CE level 1 and CE level 2)のためのIE値は、当該一部のCEレベル(e.g., CE level 1)のためのIE値から所定のルールに従って導出されてもよい。例えば、CE level 2のためのIE値はCE level 1のためのIE値の2倍の値とされ、CE level 3のためのIE値はCE level 1のためのIE値の3倍の値とされてもよい。これに代えて、CE level 2のためのIE値はCE level 1のためのIE値に“オフセット+2”を加算した値とされ、CE level 3のためのIE値はCE level 1のためのIE値に“オフセット+3”を加算した値とされてもよい。あるいは、CE level間のrepetition level(繰り返し回数)の違い(e.g., 比率、差分)に相当する値を用いてIE値が導出されてもよい。例えば、CE level 1のrepetition levelが2、CE level 2のrepetition levelが4なら、CE level 2のIEの値はCE level 1の値の4/2倍の値、つまり2倍の値とされてもよい。
【0071】
上述した第1、第3、第5、および第7の例では、1つの変換因子の値が、2以上の無線リソース設定IE毎に設定される(又は使用される)例を示した。第2、第4、及び第6の例では、1つの変換因子の値が、2以上のCEレベル毎に設定される(又は使用される)例を示した。これらに代えて、幾つかの実装において、1つの変換因子の値は、無線リソース設定IE毎かつCEレベル毎に設定(又は使用)されてもよい。この場合、変換因子は、変換因子を示すIEのビット長が無線リソース設定IEのビット長よりも小さくなるように定義されることが好ましい。
【0072】
図10は、本実施形態に係るランダムアクセス手順の一例(処理1000)を示す図である。ステップ1001では、MTC UE1は、eNB2からの信号の受信品質(e.g., RSRP)の計測値、又はUE1とeNB2の間の伝搬損失の計測値(推定値)に基づいて必要とされるCEレベルを決定(推定)する。
【0073】
ステップ1002では、MTC UE1は、決定されたCEレベルに対応するカバレッジ向上技術(e.g., システム情報(SIB)の繰り返し送信)を適用しながら、eNB2から送信されるシステム情報(SIB)を受信する。当該システム情報は、第1の無線リソース設定IE(e.g., 1又は複数のRACH設定IE)についての通常カバレッジ又は第1のCEレベル(e.g., CE level 1)に関連付けられた基礎値を包含すると共に、第2のCEレベル(e.g., CE level 2)に関連付けられた第1の無線リソース設定IEの値を導出するための変換因子に関する情報をさらに包含する。既に説明したように、変換因子に関する情報は、例えば、変換因子の値それ自体を含んでもよいし、変換因子の値を間接的に示す情報又は変換因子の値を導出するための情報であってもよい。
【0074】
ステップ1003では、MTC UE1は、通常カバレッジ(又は第1のCEレベル)に関連付けられた第1の無線リソース設定IEの基礎値を変換因子の値を用いて変換する。変換因子の値は、eNB2から受信した変換因子に関する情報から得ることができる。これにより、MTC UE1は、決定された必要なCEレベルに関連付けられた第1の無線リソース設定IEの値を導出する。
【0075】
その後、MTC UE1は、導出された第1の無線リソース設定IE(e.g., 1又は複数のRACH設定IE)の値に従って、ランダムアクセス手順を行う(ステップ1004~1006)。
【0076】
ステップ1004において、MTC UE1は、決定(推定)したCEレベル(e.g., CE level 1)に対するRACHプリアンブルの最大アテンプト数に達してもランダムアクセスに成功しない場合、次のCEレベル(e.g., CE level 2)に対する設定を用いて、RACHプリアンブルの送信を開始してもよい。このとき、MTC UE1は、次のCEレベル(e.g., CE level 2)に対応する設定、例えば“ra-ResponseWindowSize”IEおよび“mac-ContentionResolutionTimer” IEの値を、当該CEレベルの変更時に導出してもよいし、予め複数のCEレベルに対応する値をまとめて導出しておいてもよい。
【0077】
なお、MTC UE1は、ステップ1004でのRACHプリアンブル送信の1試行内の繰り返し送信の最初または最後から3サブフレーム後から“ra-ResponseWindowSize”IEに従ってRAレスポンス・ウインドウの計測を開始してもよい。“ra-ResponseWindowSize”IEは、MTC UE1が、ステップ1004のRACHプリアンブルを送信した後にステップ1006のランダムアクセス・レスポンス(RAR)の受信を待つべき時間を示す。また、MTC UE1は、ランダムアクセス手順の第3メッセージ(Msg3)の繰り返し送信の最初または最後のいずれかから“mac-ContentionResolutionTimer”IEに従ってMACコンテンション解決タイマの計測を開始してもよい。“mac-ContentionResolutionTimer” IEは、MTC UE1が、第3メッセージ(Msg3)を送信した後にContention Resolution messageの受信(及びコンテンツの確認)を待つべき時間を示す。
【0078】
ステップ1005において、eNB2は、MTC UE1から送信されたランダムアクセス(RA)プリアンブル(RACHプリアンブル)を検出する。例えば、eNB2は、RAプリアンブルが検出された無線リソースに基づいてMTC UE1のCEレベルを判定する。そして、eNB2は、判定されたMTC UE1のCEレベルに対応する複数のIE(e.g., “numRepetitionPerPreambleAttempt”IE、“ra-ResponseWindowSize”IE)の値に従って、RAプリアンブルの繰り返し受信およびRAレスポンスの繰り返し送信を含むカバレッジ向上のための動作を実行する。幾つかの実装において、eNB2は、判定されたMTC UE1のCEレベルのための変換因子の値に基づいて、当該MTC UE1のCEレベルに対応する複数のIEの値を計算してもよい。他のいくつかの実装において、eNB2は、各CEレベルに対応する複数のIEの値を記憶しているルック・アップ・テーブルを参照することによって、判定されたMTC UE1のCEレベルに対応する複数のIEの値を計算してもよい。
【0079】
上述の具体例では、ランダムアクセス手順における既存の無線パラメータ(RRC messageの IE)に対して、各CEレベルに対応した値の導出方法について説明した。これと同様に、上述の導出方法は、カバレッジ向上技術のために新たに規定される無線パラメータ(RRC messageのIE)に対して各CEレベルに対応した値を導出するために使用されてもよい。例えば、上述の導出方法は、CEレベル毎のRACHプリアンブルの最大試行回数を示すIE(i.e., maxNumPreambleAttemptCE)、及びRACHプリアンブルの試行毎の最大繰り返し数を示すIE(i.e., numRepetitionPerPreambleAttempt)に適用されてもよい。この場合、eNB2は最低のCEレベル(e.g., CE level 1)に対応するIE値をシステム情報で送信し、UE1は1又は複数の高次のCEレベル(e.g., CE level 2またはそれ以上)に対応するIE値を上述の変換因子を用いて導出してもよい。
【0080】
上述のランダムアクセス手順は、UEがRRC_IDLE状態からRRC_CONNECTED状態になる際の初期アクセス(Initial Access)だけでなく、RRC_CONNECTED状態におけるランダムアクセスにも適用されてもよい。さらに、eNB2からの実行指示(PDCCH Order)によるランダムアクセスの場合、当該実行指示が基礎値および変換因子の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0081】
続いて以下では、本実施形態に係るMTC UE1及びeNB2の構成例について説明する。図11は、MTC UE1の構成例を示すブロック図である。Radio Frequency(RF)トランシーバ1101は、eNB2と通信するためにアナログRF信号処理を行う。RFトランシーバ1101により行われるアナログRF信号処理は、周波数アップコンバージョン、周波数ダウンコンバージョン、及び増幅を含む。RFトランシーバ1101は、アンテナ1102及びベースバンドプロセッサ1103と結合される。すなわち、RFトランシーバ1101は、変調シンボルデータ(又はOFDMシンボルデータ)をベースバンドプロセッサ1103から受信し、送信RF信号を生成し、送信RF信号をアンテナ1102に供給する。また、RFトランシーバ1101は、アンテナ1102によって受信された受信RF信号に基づいてベースバンド受信信号を生成し、これをベースバンドプロセッサ1103に供給する。
【0082】
ベースバンドプロセッサ1103は、無線通信のためのデジタルベースバンド信号処理(データプレーン処理)とコントロールプレーン処理を行う。デジタルベースバンド信号処理は、(a) データ圧縮/復元、(b) データのセグメンテーション/コンカテネーション、(c) 伝送フォーマット(伝送フレーム)の生成/分解、(d) 伝送路符号化/復号化、(e) 変調(シンボルマッピング)/復調、及び(f) Inverse Fast Fourier Transform(IFFT)によるOFDMシンボルデータ(ベースバンドOFDM信号)の生成などを含む。一方、コントロールプレーン処理は、レイヤ1(e.g., 送信電力制御)、レイヤ2(e.g., 無線リソース管理、及びhybrid automatic repeat request(HARQ)処理)、及びレイヤ3(e.g., アタッチ、モビリティ、及びパケット通信に関するシグナリング)の通信管理を含む。
【0083】
例えば、LTEおよびLTE-Advancedの場合、ベースバンドプロセッサ1103によるデジタルベースバンド信号処理は、Packet Data Convergence Protocol(PDCP)レイヤ、Radio Link Control(RLC)レイヤ、MACレイヤ、およびPHYレイヤの信号処理を含んでもよい。また、ベースバンドプロセッサ1103によるコントロールプレーン処理は、Non-Access Stratum(NAS)プロトコル、RRCプロトコル、及びMAC CEの処理を含んでもよい。
【0084】
ベースバンドプロセッサ1103は、デジタルベースバンド信号処理を行うモデム・プロセッサ(e.g., Digital Signal Processor(DSP))とコントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサ(e.g., Central Processing Unit(CPU)、又はMicro Processing Unit(MPU))を含んでもよい。この場合、コントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサは、後述するアプリケーションプロセッサ1104と共通化されてもよい。
【0085】
アプリケーションプロセッサ1104は、CPU、MPU、マイクロプロセッサ、又はプロセッサコアとも呼ばれる。アプリケーションプロセッサ1104は、複数のプロセッサ(複数のプロセッサコア)を含んでもよい。アプリケーションプロセッサ1104は、メモリ1106又は図示されていないメモリから読み出されたシステムソフトウェアプログラム(Operating System(OS))及び様々なアプリケーションプログラム(例えば、メータリングデータ又はセンシングデータを取得する通信アプリケーション)を実行することによって、MTC UE1の各種機能を実現する。
【0086】
いくつかの実装において、図11に破線(1105)で示されているように、ベースバンドプロセッサ1103及びアプリケーションプロセッサ1104は、1つのチップ上に集積されてもよい。言い換えると、ベースバンドプロセッサ1103及びアプリケーションプロセッサ1104は、1つのSystem on Chip(SoC)デバイス1105として実装されてもよい。SoCデバイスは、システムLarge Scale Integration(LSI)またはチップセットと呼ばれることもある。
【0087】
メモリ1106は、揮発性メモリ若しくは不揮発性メモリ又はこれらの組合せである。メモリ1106は、物理的に独立した複数のメモリデバイスを含んでもよい。揮発性メモリは、例えば、Static Random Access Memory(SRAM)若しくはDynamic RAM(DRAM)又はこれらの組み合わせである。不揮発性メモリは、マスクRead Only Memory(MROM)、Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、若しくはハードディスクドライブ、又はこれらの任意の組合せである。例えば、メモリ1106は、ベースバンドプロセッサ1103、アプリケーションプロセッサ1104、及びSoC1105からアクセス可能な外部メモリデバイスを含んでもよい。メモリ1106は、ベースバンドプロセッサ1103内、アプリケーションプロセッサ1104内、又はSoC1105内に集積された内蔵メモリデバイスを含んでもよい。さらに、メモリ1106は、Universal Integrated Circuit Card(UICC)内のメモリを含んでもよい。
【0088】
メモリ1106は、上述の複数の実施形態で説明されたMTC UE1による処理を行うための命令群およびデータを含む1又は複数のソフトウェアモジュール(コンピュータプログラム)1107を格納してもよい。いくつかの実装において、ベースバンドプロセッサ1103又はアプリケーションプロセッサ1104は、当該ソフトウェアモジュール1107をメモリ1106から読み出して実行することで、上述の実施形態で説明されたMTC UE1の処理を行うよう構成されてもよい。
【0089】
図12は、上述の実施形態に係る基地局(eNB)2の構成例を示すブロック図である。図12を参照すると、eNB2は、RFトランシーバ1201、ネットワークインターフェース1203、プロセッサ1204、及びメモリ1205を含む。RFトランシーバ1201は、無線端末1と通信するためにアナログRF信号処理を行う。RFトランシーバ1201は、複数のトランシーバを含んでもよい。RFトランシーバ1201は、アンテナ1202及びプロセッサ1204と結合される。RFトランシーバ1201は、変調シンボルデータ(又はOFDMシンボルデータ)をプロセッサ1204から受信し、送信RF信号を生成し、送信RF信号をアンテナ1202に供給する。また、RFトランシーバ1201は、アンテナ1202によって受信された受信RF信号に基づいてベースバンド受信信号を生成し、これをプロセッサ1204に供給する。
【0090】
ネットワークインターフェース1203は、ネットワークノード(e.g., Mobility Management Entity (MME)およびServing Gateway (S-GW))と通信するために使用される。ネットワークインターフェース1203は、例えば、IEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインターフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0091】
プロセッサ1204は、無線通信のためのデジタルベースバンド信号処理(データプレーン処理)とコントロールプレーン処理を行う。例えば、LTEおよびLTE-Advancedの場合、プロセッサ1204によるデジタルベースバンド信号処理は、PDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、およびPHYレイヤの信号処理を含んでもよい。また、プロセッサ1204によるコントロールプレーン処理は、S1プロトコル、RRCプロトコル、及びMAC CEの処理を含んでもよい。
【0092】
プロセッサ1204は、複数のプロセッサを含んでもよい。例えば、プロセッサ1204は、デジタルベースバンド信号処理を行うモデム・プロセッサ(e.g., DSP)とコントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサ(e.g., CPU又はMPU)を含んでもよい。
【0093】
メモリ1205は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。揮発性メモリは、例えば、SRAM若しくはDRAM又はこれらの組み合わせである。不揮発性メモリは、例えば、MROM、PROM、フラッシュメモリ、若しくはハードディスクドライブ、又はこれらの組合せである。メモリ1205は、プロセッサ1204から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1204は、ネットワークインターフェース1203又は図示されていないI/Oインタフェースを介してメモリ1205にアクセスしてもよい。
【0094】
メモリ1205は、上述の複数の実施形態で説明されたeNB2による処理を行うための命令群およびデータを含むソフトウェアモジュール(コンピュータプログラム)1206を格納してもよい。いくつかの実装において、プロセッサ1204は、当該ソフトウェアモジュール1206をメモリ1205から読み出して実行することで、上述の実施形態で説明されたeNB2の処理を行うよう構成されてもよい。
【0095】
図11及び図12を用いて説明したように、上述の実施形態に係るMTC UE1及びeNB2が有するプロセッサの各々は、図面を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを実行する。このプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、Programmable ROM(PROM)、Erasable PROM(EPROM)、フラッシュROM、Random Access Memory(RAM))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0096】
<その他の実施形態>
上述の実施形態は、主にランダムアクセスに関する無線リソース設定IE(e.g., RACH設定IE及びPRACH設定IE)に関して説明した。しかしながら、上述の実施形態で説明された変換因子を用いて特定のCEレベルのためのIE値を導出する手法は、カバレッジ向上(CE)レベルに応じて異なる無線リソース設定が必要とされる場合に広く利用することができる。上述の実施形態で説明された手法は、例えば、RRC_CONNECTED状態のMTC UE1が、PUSCHでのULユーザデータ送信、PUCCHでのL1/L2制御情報の送信、PDSCHでのシステム情報またはDLユーザデータ受信、及びM-PDCCHでのL1/L2制御情報の受信を特定のCEレベルにおいて行う際に必要な無線リソース設定IEの値(e.g., 送信(受信)繰り返し回数)を導出するために使用されてもよい。
【0097】
上述の実施形態は、主にeNB2が変換因子に関する情報をシステム情報で送信する場合に関して説明した。しかしながら、変換因子に関する情報は、eNB2がMTC UE1に対して個別の制御情報を送信する信号(e.g., RRC signaling, MAC signaling)で送信されてもよい。例えば、変換因子に関する情報は、RRC Connection ReconfigurationメッセージやMAC Control ElementでeNB2からMTC UE1に送信されてもよい。なお、MTC UE1がシステム情報および個別の制御情報で変換因子に関する情報を受信した場合、個別の制御情報で通知された変換因子に関する情報から得られる変換因子の値を優先的に(つまり、システム情報から得られる変換因子の値を個別の制御情報から得られる変換因子の値で上書きして)使用してもよい。
【0098】
上述の実施形態で説明された変換因子を用いたIE値の導出に関するMTC UE1及びeNB2の動作は、カバレッジ向上(CE)レベルに応じて異なる長さが必要とされるタイマの値を導出するために利用されてもよい。複数のCEレベルに異なるタイマ値を使用するタイマの具体例は、例えば、(1)呼処理などの制御(i.e., RRC, NAS)に関連するタイマ、(2)Layer 2(i.e., PDCP, RLC, MAC)制御に関連するタイマ、及び(3)RRC_IDLE状態において計測するタイマを含む。
【0099】
例えば、上述の(1)のタイマは、RRC接続確立の成功または失敗を判定するために使用されるタイマ(i.e., タイマT300)であってもよい。MTC UE1は、RRC Connection Reestablishment Requestメッセージを送信した時点から当該タイマ(i.e., タイマT300)をスタートし、eNB2からの応答(i.e., RRC Connection Setupメッセージ又はRRC Connection Rejectメッセージ)を受信した場合に当該タイマを停止する。
【0100】
さらに又はこれに代えて、上述の(1)のタイマは、適したセル(suitable cell)の検出の成功または失敗を判定するためのタイマ(i.e., タイマT311)であってもよい。MTC UE1は、RRC Connection Reestablishment procedureを開始した時点から当該タイマ(i.e., タイマT311)をスタートし、適したセルを検出(選択)した場合に当該タイマを停止する。
【0101】
さらに又はこれに代えて、上述の(1)のタイマは、ハンドオーバの成功または失敗を判定するためのタイマ(i.e., タイマT304)であってもよい。MTC UE1は、MobilityControlInfo IEを含む(つまりハンドオーバ指示となる)RRC Connection Reconfigurationメッセージを受信した時点から当該タイマ(i.e., タイマT304)をスタートし、ターゲットセルへのランダムアクセス手順を成功して完了した場合に当該タイマを停止する。
【0102】
例えば、上述の(2)のタイマは、MAC レイヤの制御に使用されるタイマであってもよい。MAC レイヤの制御に使用されるタイマの具体例は、UEにおける間欠受信制御(Discontinuous Reception(DRX))に関連するタイマ(e.g., OnDurationTimer, drx-InactivityTimer, drx-RetransmissionTimer, HART RTT Timer)、スケジューリング要求(Scheduling Request(SR))が禁止される期間を計測するタイマ(e.g., sr-ProhibitTimer, logicalChannelSR-ProhibitTimer)、上りリンクバッファ量の報告(Buffer Status Report(BSR))に関連するタイマ(e.g., PeriodicBSR-Timer, RetxBSR-Timer)、及び上りリンク送信電力の残量の報告(Power Headroom Report(PHR))に関連するタイマ(e.g., periodicPHR-Timer, prohibitPHR-Timer)を含む。
【0103】
さらに又はこれに代えて、上述の(2)のタイマは、RLCレイヤの制御に使用されるタイマであってもよい。RLCレイヤの制御に使用されるタイマの具体例は、DLデータ受信においてRLC PDUの欠落(loss)の検出および順序制御に用いるタイマ(T-Reordering)、並びにDLデータの受信状況を示す情報(STATUS PDU)の送信が禁止される期間を計測するタイマ(T-StatusProhibit)を含む。
【0104】
さらに又はこれに代えて、上述の(2)のタイマは、PDCPレイヤの制御に使用されるタイマであってもよい。PDCPレイヤの制御に使用されるタイマの具体例は、ULデータ送信において未送信データを廃棄するか否かを判定するタイマ(discardTimer)を含む。
【0105】
例えば、上述の(3)のタイマは、RRC_IDLE状態のMTC UE1によるセル再選択の処理において使用されるタイマであってもよい。具体的には、上述の(3)のタイマは、セル再選択をトリガするための条件式が満足される継続期間(duration)(i.e., T-Reselection)を測定するタイマであってもよい。
【0106】
上述のタイマの計測は、それぞれに関連する(つまりトリガとなる)信号(メッセージ)の繰り返し送信の最初または最後のいずれかから開始されてもよい。あるいは、タイマの計測は、それぞれに関連する信号(メッセージ)の繰り返し受信の最初または最後のいずれかから開始されてもよい。
【0107】
上述した実施形態では、無線端末1は非MTC UEであってもよい。つまり、上述した実施形態は、繰り返し送信(又は受信)を含むカバレッジ向上技術をサポートするUEとeNBとの間の通信に広く適用することができる。
【0108】
さらに、上述の実施形態は、LTE、LTE-Advanced 及びこれらの改良に限定されるものではなく、他の無線通信ネットワーク又はシステムにおけるカバレッジ向上技術をサポートする無線端末と基地局と間の通信に適用されてもよい。
【0109】
例えば、上述の実施形態は、3GPPで検討されているNarrow Band - Internet of Things(NB-IoT)というシステムにおけるカバレッジ向上技術に適用されてもよい。NB-IoTは、低コストおよび超低消費電力(例えばバッテリ交換無しで10年稼動など)のIoT端末をセルラネットワークで収容することを目的としている。NB-IoT は目的および対象端末の特性の観点からRel-13 MTCと非常に類似しており、3GPP Release 13 (Rel-13) MTCの技術をNB-IoTのために再利用することが検討されている。したがって、上述の実施形態は、NB-IoTに適用されてもよい。なお、Rel-13 MTC UEはランダムアクセスにおいてRACHプリアンブルを送信するが、NB-IoTではUEがPRACHでプリアンブルの代わりにメッセージ(e.g., contention-based message)を送信することが検討されている。このように、Rel-13 MTCをNB-IoTのために改良すること又はRel-13 MTCに無い機能をNB-IoTに導入することも検討されているが、上述の実施形態は当該違いに関わらずNB-IoTに適用可能である。
【0110】
さらに、上述した実施形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない。すなわち、当該技術思想は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
【0111】
例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0112】
(付記A1)
基地局であって、
メモリと、
前記メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、第1の無線リソース設定情報要素についての通常カバレッジ又は第1のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第1の値と、変換因子に関する情報とを、無線端末に送信するよう構成され、
前記変換因子に関する情報から得られる前記変換因子の値は、前記第1の無線リソース設定情報要素についての第2のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第2の値を前記第1の値から導出するために前記無線端末によって使用される、
基地局。
【0113】
(付記A2)
前記第1の無線リソース設定情報要素は、2以上の無線リソース設定情報要素を含み、
前記第2の値は、前記2以上の無線リソース設定情報要素についての前記第2のカバレッジ向上レベルに関連付けられた2以上の値を含み、
前記変換因子の値は、前記2以上の値を前記第1の値から導出するために共通して前記無線端末によって使用される、
付記A1に記載の基地局。
【0114】
(付記A3)
前記変換因子の値は、前記第2の値に加えて、前記第1の無線リソース設定情報要素についての第3のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第3の値を前記第1の値から導出するために前記無線端末によって使用される、
付記A1に記載の基地局。
【0115】
(付記A4)
前記変換因子の値は、前記第1の値、前記第2の値、及び前記第3の値の間のスケール比を直接的または間接的に指定する、
付記A3に記載の基地局。
【0116】
(付記A5)
前記変換因子の値は、乗数値を含み、
前記第2の値は、前記第1の値に前記乗数値を乗じることによって計算される、
付記A1~A4のいずれか1項に記載の基地局。
【0117】
(付記A6)
前記変換因子の値は、オフセット値を含み、
前記第2の値は、前記第1の値に前記オフセット値を足すことによって計算される、
付記A1~A4のいずれか1項に記載の基地局。
【0118】
(付記A7)
前記変換因子の値は、前記第1の無線リソース設定情報要素とは異なる第2の無線リソース設定情報要素についての前記第2のカバレッジ向上レベルに関連付けられた値と兼用される、
付記A1~A4のいずれか1項に記載の基地局。
【0119】
(付記A8)
前記第1の無線リソース設定情報要素は、ランダムアクセス手順に関する少なくとも1つのパラメータを含み、
前記少なくとも1つのパラメータは、
(a)ランダムアクセス・プリアンブルの送信のために使用可能な周波数及び時間リソースを定義するパラメータ、(b)ランダムアクセス・プリアンブルの総数を示すパラメータ、(c)ランダムアクセス・プリアンブルの送信試行(attempts)の最大回数を示すパラメータ、(d)ランダムアクセス・プリアンブルの送信試行当たりのランダムアクセス・プリアンブル送信の繰り返し回数、(e)ランダムアクセス・レスポンス・ウインドウの継続時間(duration)を示すパラメータ、(f)コンテンション・レゾリューション・タイマの継続時間(duration)を示すパラメータ、(g)前記基地局によるランダムアクセス・レスポンス送信の最大繰り返し回数、並びに(h)ランダムアクセス・レスポンスの受信に応答した第3メッセージの最大再送回数を示すパラメータ、のうち少なくとも1つを含む、
付記A1~A7のいずれか1項に記載の基地局。
【0120】
(付記A9)
前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに、前記無線端末に送信されるための前記変換因子の値を前記第1の値および前記第2の値を用いて計算し、前記計算された変換因子の値を前記無線端末に送信するよう構成されている、
付記A1~A8のいずれか1項に記載の基地局。
【0121】
(付記B1)
無線端末であって、
メモリと、
前記メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは少なくとも1つのモジュールを実行するよう構成され、
前記少なくとも1つのモジュールは、
第1の無線リソース設定情報要素についての通常カバレッジ又は第1のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第1の値を、基地局から受信するよう構成された受信モジュールと、
変換因子の値を用いて前記第1の値を変換することによって、前記第1の無線リソース設定情報要素についての第2のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第2の値を導出するよう構成された計算モジュールと、
を備える、
無線端末。
【0122】
(付記B2)
前記第1の無線リソース設定情報要素は、2以上の無線リソース設定情報要素を含み、
前記第2の値は、前記2以上の無線リソース設定情報要素についての前記第2のカバレッジ向上レベルに関連付けられた2以上の値を含み、
前記計算モジュールは、前記2以上の値を前記第1の値から導出するために前記変換因子の値を共通して使用する、
付記B1に記載の無線端末。
【0123】
(付記B3)
前記計算モジュールは、前記第2の値に加えて、前記第1の無線リソース設定情報要素についての第3のカバレッジ向上レベルに関連付けられた第3の値を前記第1の値から導出するために前記変換因子の値を共通して使用する、
付記B1に記載の無線端末。
【0124】
(付記B4)
前記変換因子の値は、前記第1の値、前記第2の値、及び前記第3の値の間のスケール比を直接的または間接的に指定する、
付記B3に記載の無線端末。
【0125】
(付記B5)
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記変換因子の値を得るための前記変換因子に関する情報を前記基地局から受信するよう構成されている、
付記B1~B4のいずれか1項に記載の無線端末。
【0126】
(付記B6)
前記変換因子の値は、乗数値を含み、
前記第2の値は、前記第1の値に前記乗数値を乗じることによって計算される、
付記B1~B5のいずれか1項に記載の無線端末。
【0127】
(付記B7)
前記変換因子の値は、オフセット値を含み、
前記第2の値は、前記第1の値に前記オフセット値を足すことによって計算される、
付記B1~B5のいずれか1項に記載の無線端末。
【0128】
(付記B8)
前記変換因子の値は、前記第1の無線リソース設定情報要素とは異なる第2の無線リソース設定情報要素についての前記第2のカバレッジ向上レベルに関連付けられた値と兼用される、
付記B5に記載の無線端末。
【0129】
(付記B9)
前記少なくとも1つのモジュールは、さらに、
前記無線端末が従うべきカバレッジ向上レベルを推定するよう構成された推定モジュールと、
前記推定されたカバレッジ向上レベルに関連付けられた前記第1の無線リソース設定情報要素の値に従って前記基地局と通信する通信モジュールと、
を備え、
前記計算モジュールは、前記推定されたカバレッジ向上レベルに関連付けられた前記第1の無線リソース設定情報要素の値としての前記第2の値を計算する、
付記B1~B8のいずれか1項に記載の無線端末。
【0130】
(付記B10)
前記第1の無線リソース設定情報要素は、ランダムアクセス手順に関する少なくとも1つのパラメータを含み、
前記少なくとも1つのパラメータは、
(a)ランダムアクセス・プリアンブルの送信のために使用可能な周波数及び時間リソースを定義するパラメータ、(b)ランダムアクセス・プリアンブルの総数を示すパラメータ、(c)ランダムアクセス・プリアンブルの送信試行(attempts)の最大回数を示すパラメータ、(d)ランダムアクセス・プリアンブルの送信試行当たりのランダムアクセス・プリアンブル送信の繰り返し回数、(e)ランダムアクセス・レスポンス・ウインドウの継続時間(duration)を示すパラメータ、(f)コンテンション・レゾリューション・タイマの継続時間(duration)を示すパラメータ、(g)前記基地局によるランダムアクセス・レスポンス送信の最大繰り返し回数、並びに(h)ランダムアクセス・レスポンスの受信に応答した第3メッセージの最大再送回数を示すパラメータ、のうち少なくとも1つを含む、
付記B1~B9のいずれか1項に記載の無線端末。
【0131】
この出願は、2015年11月5日に出願された日本出願特願2015-217963を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0132】
1 無線端末(UE)
2 基地局(eNB)
1101 radio frequency(RF)トランシーバ
1103 ベースバンドプロセッサ
1104 アプリケーションプロセッサ
1106 メモリ
1201 RFトランシーバ
1204 プロセッサ
1205 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12