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2024-163251流体袋装置及び流体袋装置を備えた乗物用シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163251
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】流体袋装置及び流体袋装置を備えた乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/22 20060101AFI20241114BHJP
   B60N 2/64 20060101ALI20241114BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B60N2/22
B60N2/64
A47C7/40
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024152231
(22)【出願日】2024-09-04
(62)【分割の表示】P 2020114675の分割
【原出願日】2020-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 貢載
(72)【発明者】
【氏名】朴 喜赫
(57)【要約】
【課題】流体袋装置において、膨張時の形状を多様化させる。
【解決手段】流体袋装置50は、第1方向に沿った支持面51Aを有する支持部材51と、支持面上に配置された流体袋組立体52と、流体袋組立体に接続された流体供給装置53とを有する。流体袋組立体は、支持面上に配置された第1流体袋56と、第1側の端部に第1流体袋に結合される第1結合部61を有し、第1流体袋に連通する第2流体袋57と、第1側の端部に第2流体袋に結合される第2結合部62を有し、第2流体袋に連通する第3流体袋58とを有する。流体袋組立体が収縮した状態において、支持面に直交する方向から見て、第1結合部の第2側の側縁である第1側縁61Aと、第2結合部の第2側の側縁である第2側縁62Aとは、それぞれ直線状に延び、互いに異なる方向に延びている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用シートにおいてフレームと表皮材との間に配置され、膨張及び収縮する流体袋装置であって、
前記フレームに設けられ、第1方向に沿った支持面を有する支持部材と、
前記支持面上に配置された流体袋組立体と、
前記流体袋組立体に接続された流体供給装置とを有し、
前記第1方向における一方側を第1側、他方側を第2側とし、
前記流体袋組立体は、
前記支持面上に配置された第1流体袋と、
前記第1側の端部に前記第1流体袋に結合される第1結合部を有し、前記第1流体袋に連通する第2流体袋と、
前記第1側の端部に前記第2流体袋に結合される第2結合部を有し、前記第2流体袋に連通する第3流体袋とを有し、
前記流体袋組立体が収縮した状態において、前記支持面に直交する方向から見て、前記第1結合部の前記第2側の側縁である第1側縁と、前記第2結合部の前記第2側の側縁である第2側縁とは、それぞれ直線状に延び、互いに異なる方向に延びている流体袋装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体袋装置及び流体袋装置を備えた乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗物用シートのシートクッション及びシートバックの内部に設けられた流体袋装置が記載されている。流体袋装置は、膨張することによってシートクッション及びシートバックの表面形状を変更する。流体袋装置は、複数の流体袋を互いに結合することによって形成されている。各流体袋は、2枚のシートの縁部を互いに溶着することによって形成されている。ある流体袋装置では、各流体袋は、厚み方向に積層され、それぞれの中央部において互いに溶着されている。この流体袋装置は、流体袋の厚み方向に膨張する。また、他の流体袋装置は、各流体袋が厚み方向に積層され、互いに対応する側縁において互いに溶着されている。この流体袋装置は、溶着された側縁を中心とした周方向に膨張する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63-5846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
着座者の形状に適合できるように、流体袋装置の膨張時の形状を多様化させたいという要望がある。例えば、流体袋装置を複数の方向に膨張させたいという要望や、膨張が進むにつれて膨張方向を変化させたいという要望がある。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、流体袋装置において、膨張時の形状を多様化させることを課題とする。また、膨張時の形状を多様化させることができる流体袋装置を備えた乗物用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、乗物用シート(1)においてフレーム(20)と表皮材(13、17)との間に配置され、膨張及び収縮する流体袋装置(50)であって、前記フレームに設けられ、第1方向に沿った支持面(51A)を有する支持部材(51)と、前記支持面上に配置された流体袋組立体(52)と、前記流体袋組立体に接続された流体供給装置(53)とを有し、前記第1方向における一方側を第1側、他方側を第2側とし、前記流体袋組立体は、前記支持面上に配置された第1流体袋(56)と、前記第1側の端部に前記第1流体袋に結合される第1結合部(61)を有し、前記第1流体袋に連通する第2流体袋(57)と、前記第1側の端部に前記第2流体袋に結合される第2結合部(62)を有し、前記第2流体袋に連通する第3流体袋(58)とを有し、前記流体袋組立体が収縮した状態において、前記支持面に直交する方向から見て、前記第1結合部の前記第2側の側縁である第1側縁(61A)と、前記第2結合部の前記第2側の側縁である第2側縁(62A)とは、それぞれ直線状に延び、互いに異なる方向に延びている。
【0007】
この態様によれば、第1側縁と第2側縁とが互いに異なる方向に延びているため、第2流体袋の膨張方向と第3流体袋の膨張方向とを変化させることができる。これにより、膨張時の流体袋組立体の形状を多様化させることができる。
【0008】
上記の態様において、前記第2側縁は前記第1側縁よりも前記第2側に配置されているとよい。
【0009】
この態様によれば、膨張時の流体袋組立体の形状を多様化させることができる。
【0010】
上記の態様において、前記第2流体袋の前記第1方向における長さが、前記第3流体袋の前記第1方向における長さよりも長いとよい。
【0011】
この態様によれば、膨張時の流体袋組立体の形状を多様化させることができる。
【0012】
上記の態様において、前記流体供給装置は前記第1流体袋に接続し、前記第1流体袋と前記第2流体袋は、前記第1結合部を通過する第1連通孔(61B)によって接続され、前記第2流体袋と前記第3流体袋は、前記第2結合部を通過する第2連通孔(62B)によって接続されているとよい。
【0013】
この態様によれば、空気供給装置と流体袋組立体との接続構造を簡素にすることができる。
【0014】
上記の態様において、前記第1流体袋、前記第2流体袋、及び前記第3流体袋は、前記第1方向に延在しているとよい。
【0015】
この態様によれば、収縮時の流体袋組立体の形状を簡素にすることができる。
【0016】
上記の態様において、前記第1流体袋は、側方に突出したタブ(56D)を有し、前記タブは、前記支持部材の前記支持面と直交する側面に締結されているとよい。
【0017】
この態様によれば、支持部材を小型化することでき、流体袋装置を小型化することができる。
【0018】
本発明の他の態様は、流体袋装置(50)を有する乗物用シート(1)であって、乗員の臀部を支持するシートクッション(3)と、前記シートクッションの後部から上方に延び、乗員の背部を支持するシートバック(4)とを有し、前記支持部材及び前記流体袋組立体のそれぞれは、左右一対設けられ、左右の前記支持部材は、それぞれの前記支持面が前方を向き、前記第1側が左右内側かつ下方となるように、前記シートバックの上部における左部及び右部に配置され、前記流体袋組立体が収縮した状態において、前方から見て、前記第1側縁及び前記第2側縁のそれぞれは、左右外方に向けて下方に傾斜して延びているとよい。
【0019】
この態様によれば、流体袋装置は、シートバックにおいて着座者の肩に対応する部分を、左右方向内方かつ下方に向けて膨出させることができる。これにより、着座者の肩の位置及び形状に応じたシートバックを提供することができる。
【0020】
上記の態様において、前記シートバックの上部における中央部には送風装置(35)が設けられ、左右の前記支持部材は、前記送風装置の左右側方に配置されているとよい。
【0021】
この態様によれば、流体袋装置と送風装置とを互いに干渉しないようにシートバック内に配置することができる。
【0022】
上記の態様において、前記送風装置は、羽根車を備えた送風装置本体(36)と、前記送風装置本体から延びるダクト(37)とを有し、前記送風装置本体は、前記シートバックの上部における中央部に配置され、前記ダクトは、前記送風装置本体の側方を上下に延び、左右の前記支持部材の一方は、前記ダクトの左右側方に配置されているとよい。
【0023】
この態様によれば、流体袋装置と送風装置とを互いに干渉しないようにシートバック内に配置することができる。
【0024】
上記の態様において、前記シートバックの下部には、乗員の腰部を支持するためのランバーサポート部材(31)が設けられ、前記ランバーサポート部材は、支持板(32)と、前記支持板を前記フレームに接続する弾性部材(33)とを有し、左右の前記支持部材の下端のそれぞれは、前記支持板の上端よりも上方に配置されているとよい。
【0025】
この態様によれば、流体袋装置とランバーサポート部材とを互いに干渉しないようにシートバック内に配置することができる。
【0026】
上記の態様において、前記シートバックの左右の側部の一方には第1サイドエアバッグ(41)が設けられ、前記シートバックの左右の側部の他方には第2サイドエアバッグ(42)が設けられ、前記第1サイドエアバッグ及び前記第2サイドエアバッグのそれぞれは、上下に延び、前記第1サイドエアバッグの上端は、前記第2サイドエアバッグの上端よりも上方に配置され、左右の前記支持部材の下端のそれぞれは、前記第2サイドエアバッグの上端よりも上方に配置されているとよい。
【0027】
この態様によれば、流体袋装置とサイドエアバッグとを互いに干渉しないようにシートバック内に配置することができる。
【0028】
上記の態様において、左右の前記流体袋組立体は、左右内方の側縁に左右外方に凹んだ凹部を有し、前記凹部のそれぞれに前記送風装置の左右の側部が配置されているとよい。
【0029】
この態様によれば、流体袋装置と送風装置とを高密度に配置することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様は、乗物用シート(1)においてフレーム(20)と表皮材(13、17)との間に配置され、膨張及び収縮する流体袋装置(50)であって、前記フレームに設けられ、第1方向に沿った支持面(51A)を有する支持部材(51)と、前記支持面上に配置された流体袋組立体(52)と、前記流体袋組立体に接続された流体供給装置(53)とを有し、前記第1方向における一方側を第1側、他方側を第2側とし、前記流体袋組立体は、前記支持面上に配置された第1流体袋(56)と、前記第1側の端部に前記第1流体袋に結合される第1結合部(61)を有し、前記第1流体袋に連通する第2流体袋(57)と、前記第1側の端部に前記第2流体袋に結合される第2結合部(62)を有し、前記第2流体袋に連通する第3流体袋(58)とを有し、前記流体袋組立体が収縮した状態において、前記支持面に直交する方向から見て、前記第1結合部の前記第2側の側縁である第1側縁(61A)と、前記第2結合部の前記第2側の側縁である第2側縁(62A)とは、それぞれ直線状に延び、互いに異なる方向に延びている。この態様によれば、第1側縁と第2側縁とが互いに異なる方向に延びているため、第2流体袋の膨張方向と第3流体袋の膨張方向とを変化させることができる。これにより、膨張時の流体袋組立体の形状を多様化させることができる。
【0031】
上記の態様において、前記第2側縁は前記第1側縁よりも前記第2側に配置されているとよい。この態様によれば、膨張時の流体袋組立体の形状を多様化させることができる。
【0032】
上記の態様において、前記第2流体袋の前記第1方向における長さが、前記第3流体袋の前記第1方向における長さよりも長いとよい。この態様によれば、膨張時の流体袋組立体の形状を多様化させることができる。
【0033】
上記の態様において、前記流体供給装置は前記第1流体袋に接続し、前記第1流体袋と前記第2流体袋は、前記第1結合部を通過する第1連通孔(61B)によって接続され、前記第2流体袋と前記第3流体袋は、前記第2結合部を通過する第2連通孔(62B)によって接続されているとよい。この態様によれば、空気供給装置と流体袋組立体との接続構造を簡素にすることができる。
【0034】
上記の態様において、前記第1流体袋、前記第2流体袋、及び前記第3流体袋は、前記第1方向に延在しているとよい。この態様によれば、収縮時の流体袋組立体の形状を簡素にすることができる。
【0035】
上記の態様において、前記第1流体袋は、側方に突出したタブ(56D)を有し、前記タブは、前記支持部材の前記支持面と直交する側面に締結されているとよい。この態様によれば、支持部材を小型化することでき、流体袋装置を小型化することができる。
【0036】
本発明の他の態様は、流体袋装置(50)を有する乗物用シート(1)であって、乗員の臀部を支持するシートクッション(3)と、前記シートクッションの後部から上方に延び、乗員の背部を支持するシートバック(4)とを有し、前記支持部材及び前記流体袋組立体のそれぞれは、左右一対設けられ、左右の前記支持部材は、それぞれの前記支持面が前方を向き、前記第1側が左右内側かつ下方となるように、前記シートバックの上部における左部及び右部に配置され、前記流体袋組立体が収縮した状態において、前方から見て、前記第1側縁及び前記第2側縁のそれぞれは、左右外方に向けて下方に傾斜して延びているとよい。この態様によれば、流体袋装置は、シートバックにおいて着座者の肩に対応する部分を、左右方向内方かつ下方に向けて膨出させることができる。これにより、着座者の肩の位置及び形状に応じたシートバックを提供することができる。
【0037】
上記の態様において、前記シートバックの上部における中央部には送風装置(35)が設けられ、左右の前記支持部材は、前記送風装置の左右側方に配置されているとよい。この態様によれば、流体袋装置と送風装置とを互いに干渉しないようにシートバック内に配置することができる。
【0038】
上記の態様において、前記送風装置は、羽根車を備えた送風装置本体(36)と、前記送風装置本体から延びるダクト(37)とを有し、前記送風装置本体は、前記シートバックの上部における中央部に配置され、前記ダクトは、前記送風装置本体の側方を上下に延び、左右の前記支持部材の一方は、前記ダクトの左右側方に配置されているとよい。この態様によれば、流体袋装置と送風装置とを互いに干渉しないようにシートバック内に配置することができる。
【0039】
上記の態様において、前記シートバックの下部には、乗員の腰部を支持するためのランバーサポート部材(31)が設けられ、前記ランバーサポート部材は、支持板(32)と、前記支持板を前記フレームに接続する弾性部材(33)とを有し、左右の前記支持部材の下端のそれぞれは、前記支持板の上端よりも上方に配置されているとよい。この態様によれば、流体袋装置とランバーサポート部材とを互いに干渉しないようにシートバック内に配置することができる。
【0040】
上記の態様において、前記シートバックの左右の側部の一方には第1サイドエアバッグ(41)が設けられ、前記シートバックの左右の側部の他方には第2サイドエアバッグ(42)が設けられ、前記第1サイドエアバッグ及び前記第2サイドエアバッグのそれぞれは、上下に延び、前記第1サイドエアバッグの上端は、前記第2サイドエアバッグの上端よりも上方に配置され、左右の前記支持部材の下端のそれぞれは、前記第2サイドエアバッグの上端よりも上方に配置されているとよい。この態様によれば、流体袋装置とサイドエアバッグとを互いに干渉しないようにシートバック内に配置することができる。
【0041】
上記の態様において、左右の前記流体袋組立体は、左右内方の側縁に左右外方に凹んだ凹部を有し、前記凹部のそれぞれに前記送風装置の左右の側部が配置されているとよい。この態様によれば、流体袋装置と送風装置とを高密度に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】実施形態に係るシートの斜視図
図2】実施形態に係るシートのフレームの斜視図
図3】シートバックフレームの正面図
図4】流体袋組立体及び支持板を示す斜視図
図5】流体袋組立体の分解斜視図
図6】流体袋組立体の(A)収縮状態、(B)一部膨張状態、(C)膨張状態を示す説明図
図7】流体袋組立体の膨張状態の断面図
図8】流体袋組立体の膨張状態の断面図
図9】流体袋組立体の膨張状態の断面図
図10】一部変形実施形態に係るシートバックフレームの正面図
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して、本発明に係る乗物用シートを自動車のシートに適用した実施形態について説明する。以下の説明では、上下方向は鉛直方向に沿った方向とする。また、前後方向は鉛直方向に直交する方向であり、シートクッションを基準として、シートバックが位置する方向を後方、後方と相反する方向を前方とする。また、左右方向は、上下方向及び前後方向に垂直な方向であり、前方を基準として定められる。
【0044】
図1に示すように、シート1は、自動車のフロア2に設けられたシートクッション3と、シートクッション3の後部から上方に延びるシートバック4とを有する。シートクッション3は乗員の臀部を支持し、シートバック4は乗員の背部を支持する。図2に示すように、シートクッション3は、スライドレール5を介してフロア2に設けられてもよい。スライドレール5は、フロア2に結合された左右のロアレール5Aと、左右のロアレール5Aのそれぞれにスライド移動可能に支持された左右のアッパレール5Bとを有する。シートクッション3は、左右のアッパレール5Bに結合されている。シートクッション3とアッパレール5Bの間には、昇降装置が介装されてもよい。
【0045】
シートクッション3は、骨格をなすシートクッションフレーム11と、シートクッションフレーム11に支持されるパッド12と、パッド12の表面を覆う表皮材13とを有する。シートバック4は、骨格をなすシートバックフレーム15と、シートバックフレーム15に支持されるパッド16と、パッド16の表面を覆う表皮材17とを有する。シートクッションフレーム11とシートバックフレーム15とは、リクライニング装置19を介して互いに連結され、シート1のフレーム20を構成する。以下の説明では、シートバック4は上下に延びる初期位置に配置されている。
【0046】
図2及び図3に示すように、シートバックフレーム15は、上下に延びる左右のバックサイドメンバ22と、左右に延び、左右のバックサイドメンバ22の上端のそれぞれに結合したアッパメンバ23と、左右に延び、左右のバックサイドメンバ22の下部のそれぞれに結合したロアメンバ24と、アッパメンバ23とロアメンバ24との間を左右に延び、左右のバックサイドメンバ22のそれぞれに結合したミドルメンバ25とを有する。
【0047】
左右のバックサイドメンバ22の下部は、面が左右を向く板金部材によって形成されている。左右のバックサイドメンバ22の上部及びアッパメンバ23は、連続したパイプ材によって形成されている。パイプ材は、左右に延びる中央部と、中央部に対して屈曲され、下方に延びる左右の端部とを有する。パイプ材の左右の端部は、左右の板金部材の左右内方を向く面に結合されている。
【0048】
アッパメンバ23には、左右一対のヘッドレスト支持部材27が設けられている。ヘッドレスト支持部材27のそれぞれは、筒形に形成され、上下に延びている。ヘッドレスト支持部材27のそれぞれは、アッパメンバ23の前面に溶接等によって結合されている。ヘッドレスト支持部材27のそれぞれは、アッパメンバ23の左右方向における中央部において左右に間隔をおいて配置されている。ヘッドレスト支持部材27のそれぞれには、樹脂製のカラー(不図示)がそれぞれ装着される。ヘッドレスト29から延びる左右一対のピラー29A(図1参照)は、カラーを介してヘッドレスト支持部材27に挿入され、支持される。
【0049】
図2及び図3に示すように、シートバック4の下部には、乗員の腰部を支持するためのランバーサポート部材31が設けられている。ランバーサポート部材31は、板状の支持板32と、支持板32とシートバックフレーム15とを接続する弾性部材33とを有する。弾性部材33は、例えば複数の線ばねであり、ミドルメンバ25、ロアメンバ24、及び左右のバックサイドメンバ22の少なくとも2つの間に掛け渡されているとよい。本実施形態では、弾性部材33は左右一対の線ばねであり、それぞれ上下に延び、ミドルメンバ25とロアメンバ24とに結合されている。左右の弾性部材33は、ミドルメンバ25の左右の端部に結合され、下方に延びる上端部33Aと、上端部33Aの下端から左右内方かつ下方に傾斜して延びる上側中間部33Bと、上側中間部33Bの下端から下方に延びる下側中間部33Cと、下側中間部33Cの下端から左右外方かつ下方に延び、ロアメンバ24に結合された下端部33Dとを有する。左右の下端部33Dが連結部33Eによって互いに結合され、弾性部材33が1本の線ばねから形成されてもよい。支持板32は、左右の弾性部材33の下側中間部33C及び下端部33Dに結合されているとよい。支持板32は、樹脂から形成され、可撓性を有する。
【0050】
シートバック4の上部における中央部には送風装置35が設けられている。送風装置35は、羽根車を備えた送風装置本体36と、送風装置本体36から延びるダクト37とを有する。送風装置35は、アッパメンバ23及びミドルメンバ25の少なくとも一方に結合されたブラケット38に結合されている。本実施形態では、ブラケット38は上下に延び、アッパメンバ23の左右方向における中央部に結合された上端と、ミドルメンバ25の左右方向における中央部に結合された下端とを有する。送風装置本体36は、例えば遠心ファンであってよい。送風装置本体36は、扁平な円柱形に形成され、軸線が前後を向くようにブラケット38の前面に固定されている。送風装置本体36は、シートバック4の上部における中央部に配置されている。より具体的には、送風装置本体36は、アッパメンバ23とミドルメンバ25との間に配置されている。また、送風装置本体36は、左右方向において、左右のヘッドレスト支持部材27の間に配置されているとよい。ダクト37は、送風装置本体36の後面の中央部に結合された一端と、吸気口37Aを形成する他端とを有する。ダクト37は、一端からブラケット38及び右側のヘッドレスト支持部材27の後方を右方に延びた横部37Bと、横部37Bの右端から下方かつ前方に延びた縦部37Cとを有する。すなわち、ダクト37は、送風装置本体36の側方を上下に延びている。吸気口37Aは、縦部37Cの下端に設けられている。縦部37Cは、送風装置本体36の右方を上下に延び、吸気口37Aは送風装置本体36の下端よりも下方に配置されている。他の実施形態では、横部37Bが一端から左方に延び、縦部37Cが送風装置本体36の左方に配置されてもよい。本実施形態では、送風装置本体36は、ダクト37を介して中央部から空気を吸入し、外周部から吐出する。送風装置本体36の外周部には吐出される空気が流れるダクト(不図示)が接続されてもよい。他の実施形態では、ダクト37が省略され、送風装置本体36は直接に空気を吸入してもよい。
【0051】
シートバック4の左右の側部の一方には第1サイドエアバッグ41が設けられ、シートバック4の左右の側部の他方には第2サイドエアバッグ42が設けられている。本実施形態では、右側のバックサイドメンバ22の右側面に第1サイドエアバッグ41が設けられ、左側のバックサイドメンバ22の左側面に第2サイドエアバッグ42が設けられている。第1サイドエアバッグ41及び第2サイドエアバッグ42のそれぞれは、上下に延びている。第1サイドエアバッグ41の上端は、第2サイドエアバッグ42の上端よりも上方に配置されている。また、第1サイドエアバッグ41は、第2サイドエアバッグ42よりも上下に長く形成されている。本実施形態では、シート1は車両の左側席であり、第1サイドエアバッグ41は車両の側壁から離れたファーサイドエアバッグであり、第2サイドエアバッグ42は車両の側壁に近いニアサイドエアバッグである。
【0052】
シート1において、フレーム20と表皮材13、17との間には膨張及び収縮する流体袋装置50が配置されている。流体袋装置50は、支持面51Aを有する支持部材51と、支持面51A上に支持された流体袋組立体52と、流体袋組立体52に接続された流体供給装置53とを有する。本実施形態では、流体袋装置50は、左右一対の支持部材51及び流体袋組立体52の組と、左右の流体袋組立体52に接続した1つの流体供給装置53とを有する。左右の支持部材51及び流体袋組立体52の組は、支持部材51とパッド12との間に配置されている。本実施形態では、流体袋組立体52に供給される流体は、空気であり、流体供給装置53はエアポンプを含む。他の実施形態では流体が、水や油等の液体であってもよい。流体供給装置53は、左右のバックサイドメンバ22の一方の内側面に設けられているとよい。左右のバックサイドメンバ22の他方の内側面には、リクライニング装置19を駆動する駆動装置19Aが設けられているとよい。すなわち、流体供給装置53と駆動装置19Aとは、それぞれ異なるバックサイドメンバ22の内側面に設けられている。駆動装置19Aは、電動モータと減速機構とを含むとよい。
【0053】
支持部材51は、例えば樹脂によって形成され、板状に形成されている。左右の支持部材51は、フレーム20に設けられている。左右の支持部材51は、例えばミドルメンバ25及びバックサイドメンバ22の少なくとも一方に設けられている。また、左右の支持部材51は、弾性部材33を介してフレーム20に設けられてもよい。支持部材51は、例えば弾性部材33に結合され、ミドルメンバ25及びバックサイドメンバ22に当接することによって位置が固定されている。左右の支持部材51の一部は、左右において対応する弾性部材33の上端部33A、ミドルメンバ25の左右の端部、及びバックサイドメンバ22の前方に配置されている。また、支持部材51の一部は、左右のバックサイドメンバ22とミドルメンバ25との結合部の前方に配置されているとよい。
【0054】
支持部材51の支持面51Aは、第1方向に沿い、前方を向いている。ここで、第1方向における一方側を第1側、他方側を第2側とする。本実施形態では、左右の支持部材51は、それぞれの支持面51Aが前方を向き、第1側が左右内側かつ下方となるように、シートバック4の上部における左部及び右部に配置されている。支持部材51は、支持面51Aと直交する側面51Bを有する。本実施形態では、支持部材51は、第1方向に延在している。
【0055】
左右の支持部材51は、送風装置35の左右側方に配置されている。また、左右の支持部材51の一方は、ダクト37の左右側方に配置されている。右側の支持部材51はダクト37の右側に配置され、左側の支持部材51はダクト37の左側に配置されている。また、左右の支持部材51の下端のそれぞれは、支持板32の上端よりも上方に配置されているとよい。また、左右の支持部材51の下端のそれぞれは、第2サイドエアバッグ42の上端よりも上方に配置されているとよい。
【0056】
図4及び図5に示すように、流体袋組立体52は、第1流体袋56、第2流体袋57、及び第3流体袋58を有する。第1流体袋56は、支持面51A上に配置されている。第2流体袋57は、第1側の端部に第1流体袋56に結合される第1結合部61を有し、第1流体袋56に連通している。第3流体袋58は、第1側の端部に第2流体袋57に結合される第2結合部62を有し、第2流体袋57に連通する。第1~第3流体袋56~58のそれぞれは、積層されたシート材の縁部を溶着することによって形成されている。例えば、2枚のシート材が互いに積層され、それらの縁部が互いに結合されることによって流体袋が形成されてもよい。また、1枚のシート材が折り返されることによって積層され、縁部が互いに結合されることによって流体袋が形成されてもよい。
【0057】
第1流体袋56は、互いに積層された第1シート56A及び第2シート56Bを有する。第1シート56A及び第2シート56Bは、それぞれの縁部によって延び、閉環状をなす第3結合部56Cによって互いに結合されている。第3結合部56Cは、第1シート56A及び第2シート56Bが互いに溶着された部分又は接着された部分であるとよい。第1シート56Aと第2シート56Bとの縁部の間には第3結合部56Cを横切るように両端が開口した管である導入管63が介装されている。導入管63の外周面と第1シート56A及び第2シート56Bとは、空密にシールされている。
【0058】
第1流体袋56は、第1シート56Aにおいて支持面51Aに接触し、第1方向に延在している。第1シート56A及び第2シート56Bの少なくとも一方は、第1方向における中間部において側方に突出したタブ56Dを有する。本実施形態では、タブ56Dは、第1シート56A及び第2シート56Bの第1方向における中間部の左右方向における内側の側縁に設けられている。第1シート56A及び第2シート56Bのタブ56Dは互いに結合されているとよい。タブ56Dは、支持部材51の側面51Bに沿うように屈曲し、クリップやリベット等の締結部材65によって側面51Bに締結されている。第1流体袋56は、タブ56Dによって支持部材51に固定されている。支持面51Aと直交する方向から見て、第1流体袋56の第1側の端部は支持部材51の第1側の端部と一致する位置に配置され、第1流体袋56の第2側の端部は支持部材51の第2側の端部と一致する位置に配置されている。
【0059】
第2流体袋57は、互いに積層された第3シート57A及び第4シート57Bを有する。第3シート57A及び第4シート57Bは、それぞれの縁部に沿って延び、閉環状をなす第4結合部57Cによって互いに結合されている。第4結合部57Cは、第3シート57A及び第4シート57Bが互いに溶着された部分又は接着された部分であるとよい。第2流体袋57は、第1方向に延在し、第1流体袋56に重なって配置されている。第2流体袋57の第3シート57Aは、第1流体袋56の第2シート56Bに接触する。支持面51Aと直交する方向から見て、第2流体袋57の第1側の端部は第1流体袋56の第1側の端部と一致する位置に配置され、第2流体袋57の第2側の端部は第1流体袋56の第2側の端部と一致する位置に配置されている。
【0060】
第3シート57Aの第1側の端部と第2シート56Bの第1側の端部とは、第1結合部61によって互いに結合されている。第1結合部61は、第3シート57Aと第2シート56Bとが互いに溶着された部分又は接着された部分であるとよい。第1結合部61は、第2側の側縁である第1側縁61Aを有する。第1側縁61Aは、直線状に延びている。第1流体袋56と第2流体袋57は、第1結合部61を通過する第1連通孔61Bによって接続されている。第1連通孔61Bは、第2シート56B及び第3シート57Aに形成されている。
【0061】
第3流体袋58は、互いに積層された第5シート58A及び第6シート58Bを有する。第5シート58A及び第6シート58Bは、それぞれの縁部に沿って延び、閉環状をなす第5結合部58Cによって互いに結合されている。第5結合部58Cは、第5シート58A及び第6シート58Bが互いに溶着された部分又は接着された部分であるとよい。第3流体袋58は、第1方向に延在し、第2流体袋57に重なって配置されている。第3流体袋58の第5シート58Aは、第2流体袋57の第4シート57Bに接触する。支持面51Aと直交する方向から見て、第3流体袋58の第1側の端部は第2流体袋57の第1側の端部に対して第2側にオフセットして配置され、第3流体袋58の第2側の端部は第2流体袋57の第2側の端部と一致する位置に配置されている。すなわち、第2流体袋57の第1方向における長さが、第3流体袋58の第1方向における長さよりも長い。
【0062】
第5シート58Aの第1側の端部と第4シート57Bの第1方向における中間部とは、第2結合部62によって互いに結合されている。第2結合部62は、第4シート57Bと第5シート58Aとが互いに溶着された部分又は接着された部分であるとよい。第2結合部62は、第2側の側縁である第2側縁62Aを有する。第2側縁62Aは、直線状に延びている。第2流体袋57と第3流体袋58は、第2結合部62を通過する第2連通孔62Bによって接続されている。第2連通孔62Bは、第4シート57B及び第5シート58Aに形成されている。
【0063】
左右の流体袋組立体52の導入管63は、チューブ67を介して流体供給装置53に接続されている。流体袋組立体52は流体の供給を受けることによって膨張し、流体を排出することによって収縮する。
【0064】
図3及び図6(A)に示すように、流体袋組立体52が収縮した状態において、支持面51Aに直交する方向から見て、第1側縁61Aと第2側縁62Aとは互いに異なる方向に延びている。すなわち、支持面51Aに直交する方向から見て、第1側縁61Aと第1方向とがなす角度は、第2側縁62Aと第1方向とがなす角度と相違する。また、第2側縁62Aは第1側縁61Aよりも第2側に配置されている。
【0065】
第1側縁61A及び第2側縁62Aは、送風装置本体36の中心軸よりも下方に配置されているとよい。また、第1側縁61A及び第2側縁62Aは、第1サイドエアバッグ41の上端よりも下方に配置されているとよい。また、流体袋組立体52の上端は送風装置本体36の中心軸よりも下方に配置されているとよい。また、流体袋組立体52の上端は第1サイドエアバッグ41の上端よりも下方に配置されているとよい。
【0066】
第1~第3流体袋56~58のそれぞれは、収縮状態において平面状をなし、互いに積層されている。流体供給装置53が駆動され、空気が流体袋組立体52に供給されると流体袋組立体52が膨張する。流体供給装置53からチューブ67を介して供給された空気は、導入管63を通過して第1流体袋56内に流れ、第1流体袋56から第1連通孔61Bを通過して第2流体袋57内に流れ、第2流体袋57から第2連通孔62Bを通過して第3流体袋58内に流れる。これにより、流体袋組立体52が膨張する。
【0067】
膨張状態において、第1~第3流体袋56~58のそれぞれの厚みは、縁部から中央部にかけて漸増する。そのため、図7に示すように、膨張状態では、第2流体袋57は第1側縁61Aを中心として屈曲し、第2流体袋57の第2側の端部は第1流体袋56の第2側の端部から離れる。また、第3流体袋58は第2側縁62Aを中心として屈曲し、第3流体袋58の第2側の端部は第2流体袋57の第2側の端部から離れる。これにより、流体袋組立体52の第2側の端部は、第1側の端部より支持面51Aと直交する方向に広がった状態になる。
【0068】
左右の流体袋組立体52が収縮した状態において、前方から見て、第1側縁61A及び第2側縁62Aのそれぞれは左右外方に向けて下方に傾斜して延びている。これにより、第2流体袋57の第2側の端部は、膨張時に第1側縁61Aを中心として左右内方かつ下方に移動又は回動する。同様に、第3流体袋58の第2側の端部は、膨張時に第2側縁62Aを中心として左右内方かつ下方に移動又は回動する。第1側縁61Aと第2側縁62Aとは互いに異なる方向に延在しているため、第2流体袋57の第2側の端部と、第3流体袋58の第2側の端部とは移動する方向が異なる。本実施形態では、膨張時に第2流体袋57の第2側の端部のそれぞれは、前方かつ左右内方かつ下方に移動し、第3流体袋58の第2側の端部のそれぞれは、前方かつ左右内方に移動する。これにより、流体袋組立体52は、図6(A)~(C)に示すように膨張する。
【0069】
本実施形態に係る流体袋装置50によれば、第1側縁61Aと第2側縁62Aとが互いに異なる方向に延びているため、第2流体袋57の膨張方向と第3流体袋58の膨張方向とを変化させることができる。これにより、膨張時の流体袋組立体52の形状を多様化させることができる。第1~第3流体袋56~58は第1結合部61及び第2結合部62において結合され、第1結合部61及び第2結合部62に第1連通孔61B及び第2連通孔62Bが形成されているため、構造が簡素である。第1流体袋56のタブ56Dが屈曲され、支持面51Aと直交する側面51Bに締結されているため、支持部材51の小型化が可能になる。
【0070】
流体袋装置50は、シートバック4において着座者の肩に対応する部分を、左右方向内方かつ下方に向けて膨出させることができる。これにより、着座者の肩の位置及び形状に応じたシートバック4を提供することができる。左右の流体袋組立体は、それぞれ前方かつ左右内方かつ下方に膨張するため、着座者の体格に応じて流体袋装置50は、送風機装置、ランバーサポート部材31、及びニアサイドエアバッグ等の他の装置と干渉しない位置に配置されている。
【0071】
図2に示すように、シートクッションフレーム11は、前後に延びる左右のクッションサイドメンバ71と、左右に延び、左右のクッションサイドメンバ71の前端どうしを連結する前メンバ72と、左右に延び、左右のクッションサイドメンバ71の後端どうしを連結する後メンバ73と、前メンバ72に前後移動可能に支持された可動フレーム74とを有する。前メンバ72と後メンバ73との間には乗員の臀部を支持する支持部材75が架け渡されている。支持部材75は、樹脂から形成された板状部材と、板状部材に結合された複数の線ばねとを含むとよい。
【0072】
可動フレーム74は、前メンバ72の上面上に設けられ、前メンバ72に対して前側及び後側に移動可能に支持された上板74Aと、上板74Aの前端から下方に延び、前メンバ72の前方に配置される前板74Bとを有する。上板74Aの後部は、中央部に対して左端及び右端が後方に延出している。前板74Bは、左右側方から見て前方に向けて凸となる円弧状に形成されている。
【0073】
図8及び図9に示すように、前メンバ72の上面の左右方向における中央部には、下方に向けて凹んだ収容凹部72Aが形成されている。収容凹部72Aの前端及び後端は、前メンバ72の前端及び後端に達していてもよい。前メンバ72の上面の収容凹部72Aの左右側方には、前後に延びる左右一対のレール77Aが設けられている。左右のレール77Aのそれぞれには、レール77Aに対して前後に移動可能にスライダ77Bが設けられている。前メンバ72の上板74Aは、ボルト78によって左右のスライダ77Bに結合されている。これにより、可動フレーム74は、スライダ77B及びレール77Aを介して前メンバ72に前後に移動可能に設けられている。収容凹部72Aは前メンバ72の上板74Aの下方に配置されている。
【0074】
上板74Aが前後に変位することによって、可動フレーム74は前メンバ72に対して初期位置と突出位置との間で移動する。可動フレーム74は、初期位置から前側に移動することによって、突出位置に到達する。また、可動フレーム74は、突出位置から後側に移動することによって、初期位置に復帰する。
【0075】
シートクッション3のパッド12は可動フレーム74の上面及び前面を覆うように配置される。可動フレーム74が初期位置から突出位置に移動するとき、可動フレーム74はパッド12に対して摺動する。パッド12は可動フレーム74が突出位置にあるときにも可動フレーム74の前板74Bを覆うことができるように十分な長さを有する。可動フレーム74が初期位置にあるときに、パッド12の前縁は可動フレーム74の前板74Bの下縁よりも下方に延出していることが好ましい。
【0076】
シート1は、前メンバ72に対して可動フレーム74を前側及び後側に移動させるアクチュエータ80を更に有する。アクチュエータ80は、可動フレーム74を前側に付勢する第1アクチュエータ81と、可動フレーム74を後側に付勢する第2アクチュエータ82と、第1アクチュエータ81及び第2アクチュエータ82を収容するケース85と、第1アクチュエータ81及び第2アクチュエータ82のそれぞれが発生する付勢力を制御する制御装置(不図示)とを有する。
【0077】
図8に示すように、第1アクチュエータ81及び第2アクチュエータ82のそれぞれは、圧縮空気が供給されることによって膨張し、かつ圧縮空気を排出することによって収縮する流体袋組立体によって形成されている。制御装置は、圧縮空気を生成するコンプレッサ、コンプレッサと第1アクチュエータ81とを接続する接続管、コンプレッサと第2アクチュエータ82とを接続する接続管、各接続管に設けられた制御弁、コンプレッサ及び制御弁を制御する電子制御装置(ECU)、電子制御装置に信号を入力する操作スイッチ等を有するとよい。
【0078】
ケース85は、収容凹部72Aに配置され、前後に延びる底壁85Aと、底壁85Aの前端から上方に延びる前壁85Bと、底壁85Aの後端から上方に延びる後壁85Cとを有する。底壁85Aは収容凹部72Aの底部に締結されている。また、ケース85は、底壁85Aの左右の側縁のそれぞれに沿って前後に延び、前壁85B及び後壁85Cのそれぞれに結合した左右の端壁85Dを有するとよい。底壁85A、前壁85B、後壁85C、及び左右の端壁85Dは、互いに協働して上方に開口した箱構造を形成する。
【0079】
可動フレーム74の上板74Aの後端の中央部には、下方に延びる受圧板74Cが設けられている。受圧板74Cは、前壁85Bと後壁85Cとの間に配置されている。また、受圧板74Cは、左右の端壁85Dの間に配置されている。第1アクチュエータ81は前壁85Bと受圧板74Cとの間に配置され、第2アクチュエータ82は受圧板74Cと後壁85Cとの間に配置されている。
【0080】
第1アクチュエータ81及び第2アクチュエータ82が伸縮することによって、前壁85B及び後壁85Cに対して受圧板74Cが移動し、前メンバ72に対して可動フレーム74が前後に移動する。
【0081】
圧縮空気が対応する第1アクチュエータ81及び第2アクチュエータ82に供給されることによって、第1アクチュエータ81及び第2アクチュエータ82が膨張する。制御弁が保持状態であるとき、対応する第1アクチュエータ81及び第2アクチュエータ82への空気の流通が遮断され、第1アクチュエータ81及び第2アクチュエータ82は大きさを維持する。制御弁が排出状態であるとき、対応する第1アクチュエータ81及び第2アクチュエータ82内の圧縮空気は外部に排出され、第1アクチュエータ81及び第2アクチュエータ82が収縮する。
【0082】
収容凹部72Aの後部には、カバー部材86の後端が結合されている。カバー部材86は、収容凹部72Aにおけるケース85の後壁85Cより後方の部分に締結されたフランジ86Aと、フランジ86Aの前縁から後壁85Cの後方を上方に延びる縦板部86Bと、縦板部86Bの上端から前方に延び、可動フレーム74の上板74Aの上方に配置される横板部86Cとを有する。横板部86Cは、上板74Aの後部を覆う。横板部86Cは、パッド12を下方から支持する。
【0083】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。流体袋装置50は、シートクッション3やヘッドレスト29に設けられてもよい。また、流体袋装置50は、3つの流体袋56~58に限られず、4以上の流体袋を含んでもよい。例えば、流体袋装置50は、第3流体袋58に結合された第4流体袋や、第4流体袋に結合された第5流体袋を含んでもよい。
【0084】
実施形態の一部を変更した実施形態では、図10に示すように、流体袋組立体52を送風装置35の周囲に近接して配置してもよい。この場合、流体袋組立体52は、左右内方の側縁に左右外方に凹んだ凹部101を有し、凹部101のそれぞれに送風装置35の左右の側部が配置されているとよい。凹部101は送風装置35の外縁に沿った形状に形成されるとよい。例えば、送風装置100は円筒形に形成され、凹部101は送風装置100と等しい半径を有する弧状に形成されるとよい。これにより、流体袋組立体52と送風装置35との干渉を避けつつ流体袋組立体52を大型化することができる。また、ランバーサポート部材31の支持板102は左右に延在し、左端及び右端が左右のバックサイドメンバ22に到達していてもよい。送風装置35は支持板102に支持されてもよい。また、ランバーサポート部材31の支持板102が流体袋装置50の支持部材を構成してもよい。この場合、流体袋組立体52は支持板102に結合されるとよい。
【符号の説明】
【0085】
1 :シート
3 :シートクッション
4 :シートバック
15 :シートバックフレーム
20 :フレーム
22 :バックサイドメンバ
23 :アッパメンバ
24 :ロアメンバ
25 :ミドルメンバ
31 :ランバーサポート部材
32 :支持板
33 :弾性部材
35 :送風装置
36 :送風装置本体
37 :ダクト
41 :第1サイドエアバッグ
42 :第2サイドエアバッグ
50 :流体袋装置
51 :支持部材
51A :支持面
51B :側面
52 :流体袋組立体
53 :流体供給装置
56 :第1流体袋
56D :タブ
57 :第2流体袋
58 :第3流体袋
61 :第1結合部
61A :第1側縁
61B :第1連通孔
62 :第2結合部
62A :第2側縁
62B :第2連通孔
63 :導入管
65 :締結部材
67 :チューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10