(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163269
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241114BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G08G1/00 D
B65G61/00 530
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024157132
(22)【出願日】2024-09-11
(62)【分割の表示】P 2022581111の分割
【原出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】土方 誠
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 智博
(57)【要約】
【課題】業務遅延を生じないように複数の配達員の配送を管理する。
【解決手段】依頼配達員の配送ルートと、他の配達員の配送ルートと、に基づいて、前記依頼配達員が配送する荷物の一部を代わりに配送する代理配達員を決定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
依頼配達員の配送ルートと、他の配達員の配送ルートと、に基づいて、前記依頼配達員が配送する荷物の一部を代わりに配送する代理配達員を決定する代理配達員決定部を有する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の配達員の配送を管理する技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配送の途中で、交通事故などによる交通渋滞が生じ、業務終了時間までに配送を終えることができない配達員が生じることがある。しかしながら、特許文献1に開示された技術では、このような業務遅延の発生を考慮されていない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、業務遅延を生じないように複数の配達員の配送を管理することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、依頼配達員の配送ルートと、他の配達員の配送ルートと、に基づいて、前記依頼配達員が配送する荷物の一部を代わりに配送する代理配達員を決定する代理配達員決定部を有する。
【0007】
請求項7に記載の発明は、コンピュータで実行される情報処理方法であって、依頼配達員の配送ルートと、他の配達員の配送ルートと、に基づいて、前記依頼配達員が配送する荷物の一部を代わりに配送する代理配達員を決定する代理配達員決定工程を有する。
【0008】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の情報処理方法を、コンピュータにより実行させる。
【0009】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の情報処理プログラムを記憶している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例に係る情報処理装置100を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る制御部110を示す図である。
【
図3】配送管理データベースの一例を示す図である。
【
図4】配達員予定位置データベースの一例を示す図である。
【
図5】配送予定荷物データベースの一例を示す図である。
【
図6】トリガーイベントが発生したときに、情報処理装置100において行われる処理動作の一例を示す図である。
【
図7】依頼配達員と他の配達員の配送ルートとの関係を説明する図である。
【
図8】代理配達員を決定する際に制御部110において行われる処理動作の一例を示す図である。
【
図9】依頼配達員以外の配達員の各々に対して最接近時刻を算出する際に最接近時刻算出部118において行われる処理動作の一例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施例に係る合流位置決定部114を示す図である。
【
図12】合流位置決定部114における処理動作の一例を示す図である。
【
図13】受渡荷物決定部115における処理動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、依頼配達員の配送ルートと、他の配達員の配送ルートと、に基づいて、前記依頼配達員が配送する荷物の一部を代わりに配送する代理配達員を決定する代理配達員決定部を有する。このように、本実施形態では、所定のイベントが発生したとしても、代理配達員、代理配達員との合流位置、代理配達員に受け渡す荷物が決定される。このため、本実施形態では、たとえ依頼配達員の業務遅延の発生が予測されたとしても、依頼配達員が配送する荷物の一部を、依頼配達員が代理配達員に受け渡すことが可能であり、依頼配達員の業務遅延を防ぐことが可能である。結果、本実施形態では、業務遅延を生じないように複数の配達員の配送を管理することが可能である。
【0012】
前記代理配達員決定部は、所定のイベントの発生が検知されたときに、前記代理配達員を決定するようにしても良い。このようにすることで、所定のイベントが発生したときに、代理配達員を決定することが可能になる。
【0013】
前記所定のイベントは、配達員の業務遅延であり、前記依頼配達員は、前記依頼配達員は、業務遅延が生じている配達員、または業務遅延が生じることが予測される配達員であるであるようにしても良い。このようにすることで、依頼配達員に業務遅延が生じているときや、依頼配達員に業務遅延が生じることが予測されるときに、代理配達員を決定することが可能になる。
【0014】
前記代理人配達員決定部は、前記所定のイベントが発生した後の配送予定において、前記依頼配達員に最も近づく配達員を、代理配達員として決定するようにしても良い。このようにすることで、決定される代理配達員が、依頼配達員に最も近づく配達員となる。結果、依頼配達員が代理配達員に合流するために移動する距離を短くすることが可能になり、依頼配達員から代理配達員への荷物の受け渡しを効率的に行うことが可能になる。
【0015】
前記情報処理装置は、代理配送を行うことが可能な配達員のリストである代理配達員候補リスト作成する代理配達員候補リスト作成部をさらに有し、前記代理配達員決定部は、前記代理配達員候補リストに含まれる配達員のうちから、前記代理配達員を決定するようにしても良い。このようにすることで、代理配送を行うことが可能な配達員のうちから代理配達員を決定することが可能になる。
【0016】
前記代理配送を行うことが可能な配達員は、業務遅延が生じていない配達員であるようにしても良い。このようにすることで、業務遅延が生じている配達員が代理配達員として決定されることを防ぐことが可能になる。
【0017】
また、本発明の一実施形態にかかる情報処理方法は、コンピュータで実行される情報処理方法であって、依頼配達員の配送ルートと、他の配達員の配送ルートと、に基づいて、前記依頼配達員が配送する荷物の一部を代わりに配送する代理配達員を決定する代理配達員決定工程を有する。このように、本実施形態では、所定のイベントが発生したとしても、代理配達員、代理配達員との合流位置、代理配達員に受け渡す荷物が決定される。このため、本実施形態では、たとえ依頼配達員の業務遅延の発生が予測されたとしても、依頼配達員が配送する荷物の一部を、依頼配達員が代理配達員に受け渡すことが可能であり、依頼配達員の業務遅延を防ぐことが可能である。結果、本実施形態では、業務遅延を生じないように複数の配達員の配送を管理することが可能である。
【0018】
また、本発明の一実施形態に係る情報処理プログラムは、上記の情報処理方法を、コンピュータに実行させる。このため、本実施形態では、コンピュータを用いて、業務遅延を生じないように複数の配達員の配送を管理することが可能である。
【0019】
また、本発明の一実施形態に係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記の情報処理プログラムを記憶している。このため、本実施形態では、上記の情報処理プログラムを、機器に組み込む以外にも単体で流通することが可能であり、バージョンアップ等を容易に行うことが可能である。
【実施例0020】
<情報処理装置100>
図1は、本発明の一実施例に係る情報処理装置100を示す図である。情報処理装置100は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、を有する。制御部110は、コンピュータにより構成される。記憶部120は、情報を記憶する記憶する記憶装置であり、例えば、ハードディスクやメモリである。通信部130は、他の装置との間で情報の送受信を行うための通信装置である。
【0021】
情報処理装置100は、複数の配送員の配送を管理するための配送管理情報を記憶部120に記憶しており、配達員の配送状況を通信部130により受信し、受信した配送状況に基づいて、配送管理情報を制御部110により更新する。そして、本実施例に係る情報処理装置100は、配送する荷物の一部を代わりに他の配達員に配送してもらう必要がある配達員(依頼配達員)が生じたときに、制御部110により、依頼配達員が配送する荷物の一部を代わりに配送する代理配達員を決定し、依頼配達員から代理配達員に受け渡す荷物と、依頼配達員から代理配達員に荷物を受け渡すための合流位置と、を決定する。
【0022】
図2は、本発明の一実施例に係る制御部110を示す図である。制御部110は、配送状況取得部111と、配送管理情報更新部112と、代理配達員決定部113と、合流位置決定部114と、受渡荷物決定部115と、受渡情報送信処理部116と、を有する。
【0023】
配送状況取得部111は、複数の配達員から、配送状況を取得する。配送状況は、例えば、配達員の現在位置と配送が完了した荷物に関する情報を含む。配送状況は、配達員の現在位置からの配送ルートを含むようにしても良い。配送状況取得部111は、例えば、配達員が使用する端末装置(例えば、配達員が携帯する端末装置や、車両に搭載された端末装置)から配達員の配送状況を受信することで、配達員の配送状況を取得する。
【0024】
配送管理情報更新部112は、配送状況取得部111により取得された配送状況に基づいて、記憶部120に記憶された配送管理情報を更新する。配送管理情報は、複数の配達員の配送を管理するための情報であり、例えば、配送管理データベースと、配送ルートデータベースと、配送予定荷物データベースと、を含む。
【0025】
図3は、配送管理データベースの一例を示す図である。配送管理データベースは、配達員ごとの配送予定や配送状況を関するためのデータベースであり、例えば、配達員が業務を終了する時間である業務終了時刻や、配達員の配送が終了する予定の時間である配送完了予定時刻、配達員が配送予定の荷物のうちの配達の遅延が予測される荷物の数である配達遅延予測個数を含む。
図3に示した例では、配送管理データベースは、本日の配送数、配送完了数、配送完了予定時刻、退勤時間(業務終了時刻の一例)、配達遅延予測個数を含でいる。
図3に示した例の場合、配送管理情報更新部112は、取得された配送状況に基づいて、配送完了数、配送完了予定時刻、配達遅延予測個数を更新する。
【0026】
図4は、配達員予定位置データベースの一例を示す図である。配達員予定位置データベースは、配達員の位置の予定、つまり、配達員の現在位置からの配送ルートである。配達員予定位置データベースは、例えば、
図4に示すように、配達員の各々が各時刻にどの位置にいるのかの予定を示した情報(時刻、緯度、経度)を含んでいる。配送管理情報更新部112は、例えば、配達員から取得した配達状況のうちの配達員の現在位置と残りの配送先などの情報に基づいて配送ルートを作成しなおすことで、配達員予定位置データベースを更新する。
図4は、例えば、13時30分に配送状況が取得されたときの配達員予定位置データベースを示している。
【0027】
図5は、配送予定荷物データベースの一例を示す図である。配送予定荷物データベースは、配送がまだ完了していない荷物に関する情報である。配送予定荷物データベースは、例えば、
図5に示すように、荷物を特定するための番号(荷物番号)と、荷物の配送先に到着する予定の時刻(到着予定時刻)と、荷物の配送先の位置に関する情報(配送先緯度、配送先経度)と、を含む。配送管理情報更新部112は、取得された配送状況に基づいて、この配送予定荷物データベースを更新する。
【0028】
代理配達員決定部113は、所定のイベント(トリガーイベント)が発生したときに、代理配達員を決定する。
【0029】
トリガーイベントは、例えば、配達員の業務遅延である。このとき、例えば、代理配達員決定部113は、業務遅延が生じている配達員や、業務遅延が生じることが予測される配達員が検知されたときに、この検知された配達員を依頼配達員とする。また、このとき、情報処理装置100は、配達員の業務遅延を検知する業務遅延検知部117を有すると良い。業務遅延検知部111は、例えば、配送管理情報に基づいて、業務遅延の検知を行うようにする。業務遅延検知部111は、例えば、配達の遅延が生じている荷物があるときや、配達の遅延が予測される荷物があるときや、配達員の配送完了予定時刻が業務終了時間より遅いときに、業務遅延が生じていると判断するようにすると良い。
【0030】
また、トリガーイベントは、依頼配達員からの依頼であっても良い。つまり、例えば、代理配達員決定部113は、依頼配達員が使用する端末装置から、代理配達の依頼を示す情報を受信したときに、代理配達員を決定するようにしても良い。このようにすることで、業務遅延が生じることを依頼配達員が自らの判断で予測した際にも、依頼配達員が配送する荷物の一部を代理配達員に受け渡すことが可能になる。
【0031】
合流位置決定部114は、依頼配達員から、代理配達員決定部111により決定された代理配達員に荷物を受け渡すための合流位置を決定する。
【0032】
受渡荷物決定部115は、依頼配達員から、代理配達員決定部111により決定された代理配達員に受け渡す荷物を決定する。
【0033】
受渡情報送信処理部116は、依頼配達員、代理配達員、合流位置、受け渡し荷物に関する情報を含む受渡情報を、依頼配達員と代理配達員に送信する。つまり、受渡情報送信処理部116は、受渡情報を、依頼配達員が使用する端末装置、代理配達員が使用する端末装置に通信部130により送信する。
【0034】
このように、本実施例では、所定のイベントが発生したとしても、代理配達員、代理配達員との合流位置、代理配達員に受け渡す荷物が決定される。このため、本実施例では、たとえ依頼配達員の業務遅延の発生が予測されたとしても、依頼配達員が配送する荷物の一部を、依頼配達員が代理配達員に受け渡すことが可能であり、依頼配達員の業務遅延を防ぐことが可能である。結果、本実施例では、業務遅延を生じないように複数の配達員の配送を管理することが可能である。
【0035】
図6は、トリガーイベントが発生したときに、情報処理装置100において行われる処理動作の一例を示す図である。代理配達員決定部113が、代理配達員を決定する(ステップS601)。合流位置決定部114が、依頼配達員から代理配達員に荷物を受け渡すための合流位置を決定し、受渡荷物決定部115が、依頼配達員から代理配達員に受け渡す荷物を決定する(ステップS602)。受渡情報送信処理部116は、依頼配達員、代理配達員、合流位置、受け渡し荷物に関する情報を含む受渡情報を、依頼配達員と代理配達員に送信する(ステップS603)。
【0036】
<代理配達員の決定>
代理配達員決定部113は、依頼配達員の配送ルートと、他の配達員の配送ルートと、に基づいて、代理配達員を決定する。代理配達員決定部113は、例えば、トリガーイベントが発生した後の配送予定において、依頼配達員に最も近づく配達員を、代理配達員として決定する。
【0037】
このとき、制御部110は、依頼配達員以外の配達員の各々に対して、トリガーイベントが発生した後の配送予定において、依頼配達員と最も近づく時刻である最接近時刻を算出する最接近時刻算出部118を有するようにすると良い。そして、代理配達員決定部114は、依頼配達員以外の配達員の各々に対して、最接近時刻における依頼配達員との距離を算出し、最接近時刻における依頼配達員との距離が最も短い配達員を、代理配達員として決定すると良い。
【0038】
図7は、依頼配達員と他の配達員の配送ルートとの関係を説明する図である。
図7に示す例では、依頼配達員の荷物の一部を配送することができる配達員が配達員A、Bの二人いる場合を示している。依頼配達員と配達員Aは、時刻TAで最接近し、このときの距離はDAであり、依頼配達員と配達員Bは、時刻TBで最接近し、このときの距離はDBである。
図7で示す例では、配達員Aの最接近時刻TAにおける依頼配達員との距離DAの方が、配達員Bの最接近時刻TBにおける依頼配達員との距離DBよりも短いため、配達員Aが代理配達員として決定される。
【0039】
このように、本実施例では、代理配達員は、依頼配達員に最も近づく配達員である。このため、依頼配達員が代理配達員に合流するために移動する距離を短くすることが可能であり、依頼配達員から代理配達員への荷物の受け渡しを効率的に行うことが可能である。
【0040】
また、制御部110は、代理配送を行うことが可能な配達員のリストである代理配達員候補リスト作成する代理配達員候補リスト作成部119をさらに有するようにし、代理配達員決定部113は、代理配達員候補リストに含まれる配達員のうちから、代理配達員を決定するようにしても良い。このようにすることで、代理配送を行うことが可能な配達員のうちから代理配達員を決定することが可能になる。
【0041】
このとき、業務遅延が生じていない配達員を、代理配送を行うことが可能な配達員とすると良い。代理配達員候補リスト作成部119は、例えば、荷物の配達に遅延が生じない予測される配達員や、配送完了予定時刻が業務終了時間より早い配達員を、業務遅延が生じていない配達員とすると良い。また、代理配達員候補リスト作成部119は、例えば、配送管理情報が更新されるごとに、代理配達員候補リスト作成するようにすると良い。このようにすることで、業務遅延が生じている配達員が代理配達員として決定されることを防ぐことが可能になる。
【0042】
図8は、代理配達員を決定する際に制御部110において行われる処理動作の一例を示す図である。最接近時刻算出部118が、依頼配達員以外の配達員の各々に対して、トリガーイベントが発生した後の配送予定において、依頼配達員と最も近づくときの時刻である最接近時刻を算出する(ステップS801)。代理人配達員決定部114が、依頼配達員以外の配達員の各々に対して、最接近時刻における依頼配達員との距離を算出し、最接近時刻における依頼配達員との距離が最も短い配達員を、代理配達員として決定する(ステップS802)。
【0043】
図9は、依頼配達員以外の配達員の各々に対して最接近時刻を算出する際に最接近時刻算出部118において行われる処理動作の一例を示す図である。時刻Tを現在時刻に設定し、最接近時刻Tminの初期値を設定する(ステップS901)。ここで、最接近距離Lminの初期値は、適宜設定する。最接近距離Lminの初期値は、例えば、管理する配送エリアのスケールより大きい値にすると良い。時刻Tでの依頼配達員と代理配達員との間の距離Lを算出する(ステップS902)。距離Lは、配送管理情報から時刻Tでの依頼配達員と代理配達員の位置を取得することで算出するようにすると良い。このとき、距離Lは、依頼配達員の位置と代理配達員の位置との間の直線距離でも良いし、依頼配達員の位置と代理配達員の位置とを結ぶ最適ルートにおける道のり距離でも良い。
【0044】
その後、距離Lが最接近距離Lminより小さいのか否かを確認する(ステップS903)。この算出された距離Lが最接近距離Lminより小さいならば(ステップS903、YES)、最接近時刻Tminを時刻Tに設定し、最接近距離Lminを距離Lに設定し(ステップS904)、時刻Tを進め、T+ΔTとする(ステップS905)。算出された距離Lが最接近距離Lmin以上であるならば(ステップS903、NO)、時刻Tを進め、T+ΔTとする(ステップS905)。
【0045】
その後、時刻Tが配送完了予定時刻より大きいのか否かを確認する(ステップS906)。時刻Tが配送完了予定時刻より大きいならば(ステップS906、YES)、処理を終了する。時刻Tが配送完了予定時刻以下であるならば(ステップS906、NO)、ステップS902に戻る。
【0046】
<合流位置の決定>
図10は、本発明の一実施例に係る合流位置決定部114を示す図である。合流位置決定部114は、依頼配達員の位置と、代理配達員の位置と、を結ぶルートを作成するルート作成部1141と、ルートを移動する際の所要時間に基づいて、依頼配達員と代理配達員とが合流する合流位置を、ルート作成部1141により作成されたルート上に決定する決定部1142と、を有する。
【0047】
このとき、決定部1142は、依頼配達員の位置から代理配達員の位置までの所要時間の半分の時間で依頼配達員が到達する位置である中間位置を、合流位置として決定するようにすると良い。このようにすることで、依頼配達員から代理配達員への荷物の受け渡しをできる限り早く行うことが可能になる。
【0048】
ルート作成部1141は、
図11(A)に示すように、トリガーイベントが発生したときの依頼配達員の位置と代理配達員の位置とを結ぶルートを作成しても良いし、
図11(B)に示すように、トリガーイベントが発生した後に依頼配達員と代理配達員とが最も近づく時刻(最接近時刻算出部118により算出された最接近時刻)での依頼配達員の位置、代理配達員の位置とを結ぶルートを作成しても良い。ルートを作成する方法は、依頼配達員の位置と代理配達員の位置との間を結ぶ最適なルートを作成できる方法であるならば、どのような方法であっても良い。
【0049】
ルート作成部1141が、トリガーイベントが発生したときの依頼配達員の位置と代理配達員の位置とを結ぶルートを作成する場合、合流位置決定部114により決定される合流位置は、
図11(A)に示すように、このルート上にある。このため、依頼配達員と代理配達員とがトリガーイベントが発生した後にできる限り早く合流することが可能である。
【0050】
一方、ルート作成部1141が、最接近時刻での依頼配達員の位置と代理配達員とを結ぶルートを作成する場合、合流位置決定部114により決定される合流位置は、
図11(B)に示すように、このルート上にある。このため、トリガーイベントが発生した後も最接近時刻までは依頼配達員と代理配達員が配送を続け、最接近時刻の後に合流することが可能である。よって、本実施例では、効率的な配送を行いつつ、業務遅延を防ぐことが可能である。特に、代理配達員が最接近時刻に基づいて決定される場合は、ルート作成部1141が、最接近時刻での依頼配達員の位置と代理配達員とを結ぶルートを作成するようにし、合流位置が最接近時刻に基づいて決定されるようにすると良い。
【0051】
中間位置が荷物の受け渡しに適した場所でない場合がある。そこで、決定部1142は、中間位置が第1の条件を満たす、かつ/または第2の条件を満たさないならば、当該中間位置を、合流位置として決定するようにしても良い。このとき、第1の条件は、「荷物を受け渡しに適した場所である」ことであり、例えば、「(1)所定の道幅以上の道である」、「(2)駐車場がある道である」、のうちの少なくとも1つの条件を含む。また、第2の条件は、「荷物の受け渡しに適していない場所である」ことであり、例えば、「(1)第2の道幅以下の道である」、「(2)駐停車禁止の道である」、のうちの少なくとも1つの条件を含む。つまり、決定部1142は、中間位置が荷物の受け渡しに適した場所であるならば、当該中間位置を、合流位置として決定する。よって、このようにすることで、荷物の受け渡しに適した場所のみを、合流位置とすることが可能になる。
【0052】
ルート作成部1141により作成されるルートにおいて、位置をノードとリンクで表現するようにしても良い。このとき、合流位置の位置は、リンクで表現される。このようにすることで、荷物の受け渡しに適した道に対応するリンクのみを、合流位置とすることが可能になる。
【0053】
また、決定部1142は、中間位置が第1の条件を満たさない、または第2の条件を満たすならば、中間位置と依頼配達員の位置との間にあり、第1の条件を満たす、および/または第2の条件を満たさない位置のうち、合流地点候補に最も近い位置を、合流地点として決定する。このようにすることで、依頼配達員の負担を軽減した上で、荷物の受け渡しに適した場所で、荷物の受け渡しを行うことが可能になる。
【0054】
図12は、合流位置決定部114における処理動作の一例を示す図である。ルート作成部1141が依頼配達員の位置と代理配達員の位置とを結ぶルートを作成する(ステップS1201)。このとき、作成されるルートにおいて、位置をノードとリンクで表現するようにする。決定部1142は、依頼配達員の位置から前記代理配達員の位置までの所要時間の半分の時間Tmiddleを算出し、この時間Tmiddleに到着するリンクLjを導出する(ステップS1202)。
【0055】
その後、リンクLjに対応する道が第1の条件を満たすのか否かを確認する(ステップS1203)。リンクLjに対応する道が第1の条件を満たし(ステップS1203、YES)、リンクLjに対応する道が第2の条件を満たさないならば(ステップS1204、YES)、リンクLjを合流位置として決定し(ステップS1205)、処理を終了する。リンクLjに対応する道が第1の条件を満たさない(ステップS1203、NO)、または、リンクLjに対応する道が第2の条件を満たすならば(ステップS1204、NO)、
作成されたルートにおいてリンクLjに接続する2つのリンクのうち、依頼配達員の現在位置側のリンクを新たなリンクLjとし(ステップS1206)、ステップS1203に戻る。
【0056】
<受け渡し荷物の決定>
受渡荷物決定部115は、例えば、依頼配達員の業務遅延が解消するように、依頼配達員が配達する予定の荷物のうちから、依頼配達員から代理配達員に受けた渡す荷物を決定する。
【0057】
このとき、受渡荷物決定部115は、依頼配達員が配達する予定の荷物の一部を除いた際に業務遅延が発生するか否かの判定を、除く荷物の数を増やしながら業務遅延の発生がなくなるまで繰り返し、業務遅延の発生がなくなった際に除かれた荷物を、代理配達員に受け渡す荷物として決定する。依頼配達員が配達する予定の荷物の一部を除いた際の業務遅延が発生するか否かの判定は、例えば、依頼配達員が配達する予定の荷物の一部を除いたときの依頼配達員のルートを作成し、この作成されたルートで依頼配達員が配送したときに、業務遅延が発生するのか否かを確認することで行うようにすると良い。
【0058】
このように、本実施例では、依頼配達員の業務遅延が解消するように、代理配達員に受け渡す荷物が決定される。このため、本実施例では、依頼配達員の業務遅延を解消することが可能であり、結果、業務遅延を生じないように複数の配達員の配送を管理することが可能である。また、本実施例では、代理配達員の負担を過度に増やすことなく、依頼配達員の業務遅延を解消することが可能である。
【0059】
トリガーイベントが発生したときの依頼配達員の位置と代理配達員の位置とを結ぶルート上に合流位置がある場合、受渡荷物決定部115は、トリガーイベントが発生した後に依頼配達員が配達する予定の荷物のうちから、依頼配達員から代理配達員に受けた渡す荷物を決定するようにすると良い。つまり、受渡荷物決定部115は、依頼配達員がトリガーイベント後に配達する予定の荷物の一部を除いた際に業務遅延が発生するか否かの判定の判定に基づいて、受け渡す荷物を決定すると良い。
【0060】
一方、トリガーイベントが発生した後に依頼配達員と代理配達員とが最も近づく時刻(最接近時刻算出部118により算出された最接近時刻)での依頼配達員の位置と代理配達員の位置とを結ぶルート上に合流位置がある場合、受渡荷物決定部115は、依頼配達員が最接近時刻以降に配達する予定の荷物のうちから、依頼配達員から代理配達員に受けた渡す荷物を決定するようにすると良い。つまり、受渡荷物決定部115は、依頼配達員が最接近時刻以降に配達する予定の荷物の一部を除いた際に業務遅延が発生するか否かの判定に基づいて、受け渡す荷物を決定すると良い。
【0061】
図13は、受渡荷物決定部115における処理動作の一例を示す図である。P=1とする(ステップS1301)。P個の荷物を除外したときの依頼配達員の配送ルートを作成し、配送完了予定時刻と配達遅延予測個数を算出する(ステップS1302)。このとき、例えば、依頼配達員が最接近時刻Tmin以降に配達する荷物のうち、配送される予定が早い方からP個の荷物を、依頼配達員が配達する荷物から除外する。
【0062】
配送完了予定時刻が業務終了時刻より早く(ステップS1303、YES)、配達遅延予測個数がゼロであるならば(ステップS1304、YES)、除外されたP個の荷物を、依頼配達員から代理配達員に受け渡す荷物として決定し(ステップS1305)、処理を終了する。配送完了予定時刻が業務終了時刻より早くなく(ステップS1303、NO)、または、配達遅延予測個数がゼロでないならば(ステップS1304、NO)、P=P+1とし(ステップS1306)、ステップS1302に戻る。
【0063】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。