IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2024-163282電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池
<>
  • -電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池 図1
  • -電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池 図2
  • -電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池 図3
  • -電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池 図4
  • -電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池 図5
  • -電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池 図6
  • -電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池 図7
  • -電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池 図8
  • -電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池 図9
  • -電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池 図10
  • -電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池 図11
  • -電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163282
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/103 20210101AFI20241114BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20241114BHJP
   H01M 50/169 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/169
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024157639
(22)【出願日】2024-09-11
(62)【分割の表示】P 2022043910の分割
【原出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】谷本 晃一
(72)【発明者】
【氏名】梅村 幸司
(57)【要約】
【課題】封口板をケース本体の開口に装着するときの組付け性を向上させる。
【解決手段】ここで開示される電池ケースは、略矩形状の開口41a1を有する有底角型のケース本体41aと、該開口に装着される封口板と、を備えている。ケース本体41aの開口41a1は、長辺部44aと、短辺部46aと、R部47cと、短辺部46aの内側面に突き出た段差48bと、を有している。R部47cには、R部47cに沿って長辺部44aに向かうにつれて、段差48bの形状が、長辺部44aの内側面の形状に徐々に近づくように変化する徐変領域47c3が設けられている。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に対向する一側面に略矩形状の開口を有する有底角型のケース本体と、
前記開口に装着され、該開口の上縁に応じた外径形状を有する略矩形状の封口板と、
を備え、
前記ケース本体の開口は、
互いが対向する一対の長辺部と、
前記一対の長辺部の両端に配置され、互いに対向する一対の短辺部と、
前記長辺部と前記短辺部との間の四隅にそれぞれ設けられたR部と、
前記一対の短辺部の内側面に突き出た段差と、
を有し、
前記R部には、前記R部に沿って前記長辺部に向かうにつれて、前記段差の形状が、前記長辺部の内側面の形状に徐々に近づくように変化する徐変領域が設けられた、電池ケース。
【請求項2】
前記対向する一対の長辺部の内側面が、下方に向かうにしたがって内方に傾斜したテーパ面であり、
前記徐変領域では、前記段差の形状が、前記長辺部に向かうにつれて前記テーパ面に徐々に近づくように変化するように構成された、請求項1に記載された電池ケース。
【請求項3】
前記開口に前記封口板を装着したとき、前記テーパ面が形成された部位と前記封口板との間に、該開口の上縁に向かって広がった隙間が形成されている、請求項2に記載された電池ケース。
【請求項4】
前記対向する一対の長辺部の内側面が、平坦であり、
前記徐変領域では、前記段差の形状が、前記R部に沿って前記長辺部に向かうにつれて平坦な形状に徐々に近づくように変化するように構成された、請求項1に記載された電池ケース。
【請求項5】
前記徐変領域は、前記R部と前記短辺部との境界を起点として、前記R部の中心から45度以上90度以下の範囲に設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載された電池ケース。
【請求項6】
前記封口板の下面の縁が面取りされている、請求項1~5のいずれか一項に記載された電池ケース。
【請求項7】
前記下面の縁のうち、前記開口に前記封口板を装着したときに前記徐変領域と重ね合わせられる領域は、該徐変領域の形状に応じて面取りされている、請求項6に記載された電池ケース。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載された電池ケースを備える、二次電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池ケース、および該電池ケースを備える二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001-135282号公報には、電池缶の上部の開口部に蓋体を設けて溶接によって封口した密閉型電池が開示されている。同公報では、電池缶の上部の開口部の内面の曲面状の四隅に蓋体を嵌合させる四隅段差部を形成するとともに、開口部の少なくも長辺側の内面に四隅段差部と結合した長辺段差部を形成し、電池蓋を段差部に嵌入して溶接することが提案されている。同公報で提案されている技術では、電池缶の四隅段差部のみならず長辺側にも段差部を形成したことによって、電池蓋を所望の位置に嵌入して確実に溶接できる、とされている。
【0003】
特開2013-93119号公報には、長辺側側面部および短辺側側面部を有する側壁と底面と開口部とを有する角型のケース本体と、開口部を封口する蓋板と、を有する電池ケースが開示されている。同公報では、ケース本体の短辺側側面部に段差部を形成し、長辺側側面部の蓋板との接触部分よりも下方にテーパ部を形成することが提案されている。同公報で提案されている技術では、長辺側側面部の所定部位にテーパ部を形成することによって、長辺側側面のレーザ光の浸入を抑制できる、とされている。
【0004】
特開2013-222705号公報には、大略直六面体に形成されたケースと、該ケースの開口を覆うキャッププレートとを備えた二次電池が開示されている。同公報では、ケースの4つのコーナー部に、三角柱状の支持部を設けることが提案されている。同公報で提案されている技術では、コーナー部にかかる支持部を形成することによって、コーナー部の厚さが増加するため、ケースの変形を低減できる、とされている。
【0005】
特開2014-10936号公報には、矩形状の開口部を有する、有底角筒状の本体部材と、矩形板状の蓋部材とを有する電池ケースを備えた角型電池が開示されている。かかる本体部材は、一対の開口長辺部、一対の開口短辺部、および、開口長辺部と開口短辺部との間をそれぞれ結んで弧状に曲がる4つの開口R部を有している。同公報では、ケース本体部の内側に向けて突出した、支持突出部と低位突出部とを設けることが提案されている。支持突出部は、開口R部全体にわたって設けられた部位である。低位突出部は、開口短辺部全体にわたって支持突出部よりも低位に設けられた部位である。かかる低位突出部には、蓋部材は接触しない。同公報で提案されている技術では、低位突出部によって、電池ケースの溶接のためにエネルギービーム(レーザビーム等)を照射したとき、かかるエネルギービームが本体部材内に侵入して不具合を発生させるのを抑制できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-135282号公報
【特許文献2】特開2013-93119号公報
【特許文献3】特開2013-222705号公報
【特許文献4】特開2014-10936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
封口板をケース本体の開口に装着するときの組付け性を向上させたい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここで開示される電池ケースは、底面に対向する一側面に略矩形状の開口を有する有底角型のケース本体と、開口に装着され、該開口の上縁に応じた外径形状を有する略矩形状の封口板と、を備えている。ケース本体の開口は、互いが対向する一対の長辺部と、一対の長辺部の両端に配置され、互いに対向する一対の短辺部と、長辺部と短辺部との間の四隅にそれぞれ設けられたR部と、一対の短辺部の内側面に突き出た段差と、を有している。R部には、R部に沿って長辺部に向かうにつれて、段差の形状が、長辺部の内側面の形状に徐々に近づくように変化する徐変領域が設けられている。
【0009】
かかる構成によると、ケース本体の開口に封口板を装着する際に、徐変領域において封口板が当たる部位が生じ、開口に封口板を軽い力で圧入する軽圧入が実現されやすい。軽圧入が実現されることにより、封口板をケース本体の開口に装着するときの組付け性が向上する。
【0010】
対向する一対の長辺部の内側面が、下方に向かうにしたがって内方に傾斜したテーパ面であってもよい。徐変領域では、段差の形状が、長辺部に向かうにつれてテーパ面に徐々に近づくように変化するように構成されていてもよい。この場合、開口に封口板を装着したとき、テーパ面が形成された部位と封口板との間に、開口の上縁に向かって広がった隙間が形成されていてもよい。
【0011】
あるいは、対向する一対の長辺部の内側面が、平坦であってもよい。この場合、徐変領域では、段差の形状が、R部に沿って長辺部に向かうにつれて平坦な形状に徐々に近づくように変化するように構成されていてもよい。
【0012】
徐変領域は、R部と短辺部との境界を起点として、R部の中心から45度以上90度以下の範囲に設けられていてもよい。
【0013】
封口板の下面の縁が面取りされていてもよい。この場合、下面の縁のうち、開口に封口板を装着したときに徐変領域と重ね合わせられる領域は、該徐変領域の形状に応じて面取りされていてもよい。
【0014】
上記電池ケースは、二次電池に適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、二次電池10の部分断面図である。
図2図2は、ケース本体41aの平面図である。
図3図3は、図2のIII-III断面図である。
図4図4は、図2のIV-IV断面図である。
図5図5は、図2の部分拡大図である。
図6図6は、図5のA矢視図である。
図7図7は、徐変領域47c3の断面図である。
図8図8は、徐変領域47c3の断面図である。
図9図9は、封口板41bを装着した二次電池10の平面図である。
図10図10は、封口板41bの背面図である。
図11図11は、封口板41bが装着された開口41a1の断面図である。
図12図12は、封口板41bが装着された開口41a1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、ここでの開示の一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら開示を限定することを意図したものではない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、数値範囲を示す「A~B」などの表記は、特に言及されない限りにおいて「A以上B以下」を意味するとともに、「Aを上回り、かつ、Bを下回る」の意味をも包含する。なお、以下に説明する図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
【0017】
本明細書において「二次電池」とは、電解質を介して一対の電極(正極と負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じる蓄電デバイス一般をいう。かかる二次電池は、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池の他に、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなども包含する。以下では、上述した二次電池のうち、リチウムイオン二次電池を例にして、ここで開示される電池ケース、および、該電池ケースを備える二次電池の実施形態を説明する。ここでの開示は、特に言及されない限りにおいて、リチウムイオン二次電池に限定されず、他の二次電池にも適用されうる。
【0018】
《第1実施形態》
〈二次電池10〉
図1は、二次電池10の部分断面図である。図1では、略直方体の電池ケース41の片側の幅広面に沿って、内部を露出させた状態が描かれている。図1に示された二次電池10は、電極体20が収容された電池ケース41が密閉された、いわゆる密閉型電池である。上、下、左、右、前、後の向きは、図中、U、D、L、R、F、Rrの矢印でそれぞれ表されている。本明細書では、二次電池10の幅広面部43に対向する幅広面部44(図1,2参照)が「前(F)」(正面)と定められており、幅広面部43が「後(Rr)」、封口板41b側が「上(U)」、底部42側が「下(D)」、幅狭面部45側が「左(L)」、および、幅狭面部46側が「右(R)」と定められている。
【0019】
二次電池10は、図1に示されているように、電極体20と、電池ケース41とを備えている。電池ケース41は、開口41a1を有するケース本体41aと、ケース本体41aの開口41a1を塞ぐ封口板41bとを有している。ケース本体41aには、電極体20が収容されている。封口板41bには、ガスケット70およびインシュレータ80を介して内部端子55,65と外部端子51,61とが取り付けられている。この実施形態では、内部端子55は、電極体20の正極集電箔21aに接続されている。外部端子51は内部端子55に接続されており、電池ケース41の外部において正極端子50を構成している。また、内部端子65は、電極体20の負極集電箔22aに接続されている。外部端子61は内部端子65に接続されており、電池ケース41の外部において負極端子60を構成している。
【0020】
〈電極体20〉
電極体20は、絶縁フィルム(図示は省略)などで覆われた状態で、電池ケース41に収容されている。電極体20は、正極要素としての正極シート21と、負極要素としての負極シート22と、セパレータとしてのセパレータシート31,32とを備えている。正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長尺の帯状の部材である。
【0021】
正極シート21は、予め定められた幅および厚さの正極集電箔21a(例えば、アルミニウム箔)に、幅方向の片側の端部に一定の幅で設定された未形成部21a1を除いて、正極活物質を含む正極活物質層21bが両面に形成されている。正極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、リチウム遷移金属複合材料のように、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸収しうる材料である。正極活物質は、一般的にリチウム遷移金属複合材料以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0022】
負極シート22は、予め定められた幅および厚さの負極集電箔22a(ここでは、銅箔)に、幅方向の片側の縁に一定の幅で設定された未形成部22a1を除いて、負極活物質を含む負極活物質層22bが両面に形成されている。負極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、天然黒鉛のように、充電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時に吸蔵したリチウムイオンを放電時に放出しうる材料である。負極活物質は、一般的に天然黒鉛以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0023】
セパレータシート31,32には、例えば、所要の耐熱性を有する電解質が通過しうる多孔質の樹脂シートが用いられる。セパレータシート31,32についても種々提案されており、特に限定されない。
【0024】
ここで、負極活物質層22bの幅は、例えば、正極活物質層21bよりも広く形成されている。セパレータシート31,32の幅は、負極活物質層22bよりも広い。正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、幅方向において互いに反対側に向けられている。また、正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長さ方向に向きを揃えられ、順に重ねられて捲回されている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32を介在させた状態で正極活物質層21bを覆っている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32に覆われている。正極集電箔21aの未形成部21a1は、セパレータシート31,32の幅方向の片側からはみ出ている。負極集電箔22aの未形成部22a1は、幅方向の反対側においてセパレータシート31,32からはみ出ている。
【0025】
上述した電極体20は、図1に示されているように、電池ケース41のケース本体41aに収容されうるように、捲回軸を含む一平面に沿った扁平な状態とされる。そして、電極体20の捲回軸に沿って、片側に正極集電箔21aの未形成部21a1が配置され、反対側に負極集電箔22aの未形成部22a1が配置されている。
【0026】
〈電池ケース41〉
電池ケース41は、電極体20を収容している。電池ケース41は、ケース本体41aと、封口板41bとを有している。ケース本体41aは、底面に対向する一側面に開口41a1を有する有底の部材である。この実施形態では、ケース本体41aは、一側面が開口した略直方体の角形形状を有している。封口板41bは、ケース本体41aの開口41a1に装着される板材である。この実施形態では、ケース本体41aと封口板41bは、軽量化と所要の剛性を確保する観点で、それぞれアルミニウムまたはアルミニウムを主とするアルミニウム合金で形成されている。なお、図1に示されている実施形態では、捲回型の電極体20が例示されているが、電極体20の構造はかかる形態に限定されない。電極体20の構造は、例えば、正極シートと負極シートとが、セパレータシートとを介在させて交互に積層された積層構造でもよい。また、電池ケース41内には、複数の電極体20が収容されていてもよい。
【0027】
電池ケース41は、電極体20と一緒に、図示しない電解液を収容していてもよい。電解液としては、非水系溶媒に支持塩を溶解させた非水電解液を使用できる。非水系溶媒の一例として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒が挙げられる。支持塩の一例として、LiPF等のフッ素含有リチウム塩が挙げられる。
【0028】
〈ケース本体41a〉
図2は、ケース本体41aの平面図である。ケース本体41aは、底面に対向する一側面に開口41a1を有する有底角型の部材である。この実施形態では、ケース本体41aは、一側面が開口した略直方体の角形形状を有している。図1,および図2に示されているように、ケース本体41aは、略矩形の底面を構成する底部42と、一対の幅広面部43,44と、一対の幅狭面部45,46とを有している。一対の幅広面部43,44は、それぞれ底部42のうち長辺から立ち上がっている。一対の幅狭面部45,46は、それぞれ底部42のうち短辺から立ち上がっている。ケース本体41aの一側面には、一対の幅広面部43,44と一対の幅狭面部45,46で囲まれた開口41a1が形成されている。図2に示されているように、ケース本体41aの開口41a1は、R部47a~47dが円弧状である略矩形の開口である。
【0029】
図2に示されているように、ケース本体41aの開口41a1は、対向する一対の長辺部43a,44aと、対向する一対の短辺部45a,46aと、四隅のR部47a~47dと、を有する。長辺部43a,44aは、幅広面部43,44の上縁である。短辺部45a,46aは、幅狭面部45,46の上縁である。短辺部45a,46aは、一対の長辺部43a,44aの両端に配置されている。R部47a~47dは、幅広面部43,44と幅狭面部45,46を繋ぐ、外側に膨らんだ曲面の上縁である。R部47a~47dは、ケース本体41aの開口41a1の四隅において、長辺部と短辺部とを繋ぐ曲線に沿って設けられている。この実施形態では、ケース本体41aの開口41a1は、封口板41bが取り付けられる前の状態では、開口41a1の長辺部43a,44aが少し外側に膨らむように成形されている。なお、開口41a1に封口板41bが装着される際、封口板41bの短辺部93,94(図9図10参照)が開口41a1の段差48a,48bに載せられる。これにより、ケース本体41aの開口41a1が、封口板41bによって閉じられる。この状態で、ケース本体41aの開口41a1の長辺部43a,44aがクランプされる。これにより、ケース本体41aの開口41a1の長辺部43a,44aに封口板41bが挟まれた状態で保持される。封口板41bとケース本体41aとの境界部位に周方向にレーザが照射され、走査されることによって、封口板41bとケース本体41aとが溶接される。これにより、ケース本体41aの開口41a1が、封口板41bによって封止される。
【0030】
図3は、図2のIII-III断面図である。図2,および図3に示されているように、ケース本体41aの開口41a1は、対向する一対の短辺部45a,46aの内側面に、段差48a,48bを有している。段差48a,48bは、ケース本体41aの開口41a1に装着される封口板41bを支持する部位である。段差48a,48bは、短辺部45a,46aの上縁から予め定められた位置に設けられている。この実施形態では、ケース本体41aの開口41a1に、封口板41bが装着された際に、ケース本体41aの開口41a1の上縁と、封口板41bの上面の高さが合うように、短辺部45a,46aの内側面に段差48a,48bが設けられる位置が定められている。具体的には、短辺部45a,46aの上縁から封口板41bの厚さに応じた高さに、段差48a,48bが、設けられている。この実施形態では、ケース本体41aの短辺部45a,46aは、段差48a,48bよりも下側の肉厚が、上縁側の肉厚よりも厚い。ケース本体41aの短辺部45a,46aを上縁側から見ると、段差48a,48bは、ケース本体41aの上縁からケースの内側に突き出ている。段差48a,48bは、図3に示された実施形態では、底部42に向かうにつれて内側に傾斜したテーパ面を有している。テーパの角度は、40度~55度でもよい。短辺部45a,46aの段差48a,48bは、R部47a~47dの一部にまで連続している。なお、この実施形態では、封口板41bの下面41b2の縁にC面が設けられている。短辺部45a,46aの段差48a,48bのテーパ面は、面取りされた部位の角度に合わせられているとよい。
【0031】
図4は、図2のIV-IV断面図である。図2および図4に示された形態では、対向する一対の長辺部43a,44aの内側面には、下方に向かうにしたがって内方に傾斜したテーパ面49cが設けられている。テーパ面49cの角度は、ケース本体41aの開口に封口板41bを装着する際に、軽い力で押し込まれる、軽圧入となるように設定されているとよい。この実施形態では、ケース本体41aの開口の鉛直方向に対して、長辺部43a,44aの上縁から角度θ1で傾斜している。角度θ1は、5度~20度(例えば、15度程度)でもよい。
【0032】
図5は、図2の部分拡大図である。図5には、図2のR部47cが部分的に拡大された図が示されている。図5に示されているように、R部47cには、R部47cに沿って長辺部44aに向かうにつれて、段差48bの形状が長辺部44aの内側面の形状に徐々に近づくように変化する徐変領域47c3が設けられている。なお、R部47a,47b,47dも、R部47cと同様の構成を有しているため、図示および説明は省略することがある。
【0033】
図2図4および図5に示された形態では、対向する一対の長辺部43a,44aの内側面は、下方に向かうにしたがって内方に傾斜したテーパ面49cである。この場合、徐変領域47c3では、段差48bの形状が、R部47cに沿って長辺部44aに向かうにつれてテーパ面49cに徐々に近づくように変化するように構成されているとよい。
【0034】
この実施形態では、徐変領域47c3は、R部47cと短辺部46aとの境界B1を起点として、R部47cの中心Rcから45度以上90度以下の範囲に設けられている。図5に示されているように、中心Rcと境界B1とを結んだ直線L1を基準(0度)としたときに、中心Rcを中心として直線L1から45度~90度(例えば、50度~70度)の範囲に、徐変領域47c3が配置されうる。図5では、徐変領域47c3は、直線Laと直線Lbとで挟まれた領域である。特に限定するものではないが、直線Laと直線Lbとが成す角αは、例えば3度~10度に設定されうる。
【0035】
図5に示された形態では、R部47cは、第1領域47c1と、第2領域47c2と、徐変領域47c3と、を備えている。第1領域47c1は、短辺部46aに隣接する領域である。図5では、第1領域47c1は、直線L1と直線Laとで挟まれた領域である。第2領域47c2は、長辺部44aに隣接する領域である。図5では、第2領域47c2は、直線Lbと直線L2とで挟まれた領域である。直線L2は、中心Rcと、R部47cと長辺部44aとの境界B2と、を結んだ直線である。図5に示されているように、第1領域47c1には、段差48bが設けられている。段差48bは、短辺部46aから第1領域47c1まで設けられている。
【0036】
図5に示されているように、第2領域47c2には、テーパ面49cが設けられている。この実施形態では、第2領域47c2から長辺部44aまで、テーパ面49cが設けられている。また、図5に示された形態では、徐変領域47c3は、第1領域47c1と第2領域47c2との間に設けられている。ここでは、徐変領域47c3では、第1領域47c1における段差48bの形状が、R部47cに沿って第2領域47c2および長辺部44aに向かうにつれてテーパ面49cに徐々に近づくように変化するように構成されているとよい。
【0037】
図6は、図5のA矢視図である。図7図8は、徐変領域47c3の断面図である。徐変領域47c3は、内側面の形状が変化する領域である。このため、徐変領域47c3の断面形状は定まっていない。図6には、R部47cをケース本体41aの内側からみた図が示されている。図6図8には、徐変領域47c3で、第1領域47c1の段差48bから、第2領域47c2のテーパ面49cに向かって内側面の形状が変化する過程が示されている。
【0038】
この実施形態では、徐変領域47c3は、2つのテーパ面を有している。例えば、2つのテーパ面の形状が、第1領域47c1から第2領域47c2に向かって徐々に変化することで、段差48bとテーパ面49cとが連続している。2つのテーパ面は、この実施形態では、段差48bのテーパ面と、テーパ面47tと、から構成されている。テーパ面47tの形状は、例えば、第1領域47c1の終端E1から第2領域の始端E2に向かって変化する。テーパ面47tは、図7図8に示されているように、下方に向かうにしたがって内方に傾斜している。図6に示されているように、テーパ面47tは、第1領域47c1の終端E1から第2領域47c2の始端E2に向かって徐々に大きくなり、始端E2でテーパ面49cとなる。また、段差48bのテーパ面は、終端E1から始端E2に向かって徐々に小さくなり、始端E2ではテーパ面49cに吸収される。
【0039】
図6図8に示されているように、テーパ面47tの上端X1は、段差48bと開口41a1の上縁との間に設けられている。図3図8に示されているように、終端E1から始端E2に向かうにしたがって、上端X1は、終端E1における段差48bの上端から徐々に開口41a1側に設けられていき、始端E2では開口41a1の上縁に到達する。一方、図3図7に示されているように、終端E1から始端E2に向かうにしたがって、テーパ面47tの下端X2は、終端E1における段差48bの上端から徐々に底部42側(図1参照)に設けられていき、始端E2ではテーパ面49cの下端に到達する。
【0040】
また、この実施形態では、テーパ面47tは、開口41a1の鉛直方向に角度θ2で傾斜している。角度θ2は、例えば、5度~30度であってもよい。徐変領域47c3では、例えば、終端E1から始端E2に向かうにしたがって、角度θ2が5度~30度の範囲で徐々に変化し、段差48bとテーパ面49cとが連続している。
【0041】
徐変領域47c3において2つのテーパ面(テーパ面47tおよび段差48bのテーパ面)の形状が上記のように徐々に変化し、段差48bとテーパ面49cとが連続する。これによって、部分的な過干渉を抑制し、組付け性を向上させることができる。
【0042】
〈封口板41b〉
図9は、封口板41bを装着した二次電池10の平面図である。封口板41bは、図1および図9に示されているように、ケース本体41aの開口41a1に装着され、該開口41a1の上縁に応じた外径形状を有する略矩形状の板材である。この実施形態では、封口板41bは、ケース本体41aの開口41a1の内側面に沿って開口41a1の内側に装着され、開口41a1を封口する。
【0043】
この実施形態では、封口板41bに注液孔40aと安全弁40bとが設けられている。注液孔40aは、封口板41bがケース本体41aの開口41a1に取り付けられ、ケース本体41a内に電解液が注入された後で封止部材が取り付けられて閉じられる。なお、図9には、封口板41bがケース本体41aの開口41a1に組付けられ、溶接された状態が示されている。図9では、封口板41bに封止部材は取り付けられていない。安全弁40bは、薄肉になっており、電池ケース41内が予め定められた圧力よりも大きくなったときに破断する部位である。
【0044】
封口板41bの上面41b1には、正極端子50と、負極端子60とが取り付けられている。封口板41bは、正極端子50と負極端子60とをそれぞれ取り付ける端子取付孔5,6を備えている(図10参照)。図1図9に示されているように、正極端子50は、外部端子51と、内部端子55とを備えている。負極端子60は、外部端子61と、内部端子65とを備えている。内部端子55,65は、それぞれインシュレータ80を介して封口板41bの内側に取り付けられている。外部端子51,61は、それぞれガスケット70を介して封口板41bの外側に取り付けられている。内部端子55,65は、それぞれケース本体41aの内部に延びている。電極体20の正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、封口板41bの長辺方向の両側部にそれぞれ取り付けられた内部端子55,65に取り付けられている。
【0045】
この実施形態では、図9に示されているように、封口板41bは、一対の長辺部91,92と、一対の短辺部93,94と、四隅に設けられたR部95~98を有している。一対の長辺部91,92は、互いに対向している。一対の短辺部93,94は、一対の長辺部91,92の両端に配置されており、互いに対向している。R部95~98は、長辺部91,92と短辺部93,94との間の四隅にそれぞれ設けられている。R部95~98は、図9に示されているように、長辺部91,92と短辺部93,94との間にそれぞれ設けられており、封口板41bの外側に膨らむように湾曲している。
【0046】
図1図9に示されているように、封口板41bがケース本体41aに装着される際に、封口板41bの上面41b1は、二次電池10の外側に向けて配置される。図1に示されているように、封口板41bの下面41b2は、二次電池10の内側に向けて配置される。上面41b1は、例えば、ケース本体41aの開口41a1に装着されたときに、ケース本体41aの外部に向けられる面である。下面41b2は、例えば、ケース本体41aの開口41a1に装着されたときに、ケース本体41aの内部に向けられる面である。
【0047】
図10は、封口板41bの背面図である。図10に示されているように、封口板41bの下面41b2の縁は、面取りされている。この実施形態では、封口板41bの下面41b2の縁には、C面41cが形成されている。
【0048】
図示は省略しているが、下面41b2のうち、開口41a1に封口板41bを装着したときに、徐変領域47c3と重ね合わせられる領域は、徐変領域47c3の形状に応じて面取りされているとよい。
【0049】
図11図12は、封口板41bが装着された開口41a1の断面図である。図11図12には、いずれも、封口板41bが装着された状態のケース本体41aの開口41a1の部分的な断面図が示されている。図11は、ケース本体41aのうちの、段差48bが形成された部位(例えば、短辺部46aまたは第1領域47c1)の断面図である。この実施形態では、当該部位においてケース本体41aの開口41a1に装着された封口板41bは、段差48bによって支持されている。図11に示されているように、封口板41bのC面41cは、段差48b上に配置されている。
【0050】
図12は、ケース本体41aのうちの、テーパ面49cが形成された部位(例えば、長辺部44aまたは第2領域47c2)の断面図である。図12に示されているように、テーパ面49cが形成された部位と封口板41bとの間に、隙間Sが形成されている。隙間Sは、ケース本体41aの開口41a1の上縁に向かって広がった隙間である。
【0051】
ここで開示される電池ケース41では、短辺部45a,46aの内側面に段差48a,48bを設けられている。また、R部47a~47dに、該R部に沿って長辺部43a,44aに向かうにつれて、段差48a,48bの形状が長辺部43a,44aの内側面の形状に徐々に近づくように変化する徐変領域が設けられている。換言すれば、電池ケース41では、R部47a~47dに徐変領域が設けられることで、短辺部45a,46aの段差48a,48bの形状が、徐々に長辺部43a,44aの内側面の形状に近づけられている。この場合、ケース本体41aの開口41a1に封口板41bを装着する際に、ケース本体41aの開口41a1のR部47a~47dの徐変領域において封口板41bが当たる部位が生じる。かかる当たる部位が生じることで、ケース本体41aの開口41a1に封口板41bを軽い力で圧入すること(軽圧入)が実現できる。このため、ケース本体41aの開口41a1に封口板41bを装着する際に、封口板41bがズレにくくなるため、組付け生を向上させることができる。このように、R部47a~47dに徐変領域が設けられていることによって、ケース本体41aの開口41a1や封口板41bの寸法にばらつきがある場合でも、上述した軽圧入が実現できる。また、軽圧入が実現するための、ケース本体41aの開口41a1や封口板41bの寸法精度を緩和できるので、封口板41bをケース本体41aの寸法管理が容易になる。さらに、徐変領域がある場合には、徐変領域がない場合に比べて、ケース本体41aの開口41a1と封口板41bとに生じる隙間が小さくなる。このため、レーザ抜けが生じ難い。
【0052】
この実施形態では、長辺部44aの内側面がテーパ面49cである。長辺部44aの内側面がテーパ面49cであることで、長辺部44aのうちの、R部47cと隣接する部位の内側面がテーパ面になりうる。このため、徐変領域47c3に加えて、上記隣接する部位でも軽圧入が可能である。さらに、かかる構成の開口41a1に封口板41bを装着すると、テーパ面49cが形成された部位と封口板41bとの間に、隙間Sが形成される。隙間Sが形成されると、封口板41bをより軽圧入しやすくなる。このため、かかる構成によって、上記組付け性向上効果をよりよく実現することができるとともに、寸法管理をより容易とすることができる。
【0053】
この実施形態では、徐変領域47c3は、R部47cと短辺部46aとの境界B1を起点として、中心Rcから45度以上90度以下の範囲に設けられている。封口板41bを装着するときに、寸法管理しにくい領域に徐変領域47c3を形成できる。このため、当該領域での軽圧入を実現し、上記組付け性向上効果がよりよく実現されうる。これに加えて、中心Rcから少なくとも45度未満の範囲には、段差48bを設けてられている。このため、封口板41bの寸法精度によって、R部47cの中心Rcから少なくとも45度未満の範囲に隙間が生じているような場合でも、R部47cの中心Rcから少なくとも45度未満の範囲におけるレーザ抜けを抑止できる。
【0054】
この実施形態では、封口板41bの下面41b2の縁が面取りされている。これによって、ケース本体41aの開口41a1に合った形状を有する封口板41bでも、ケース本体41aの開口41a1の上縁に対して封口板41bの下面41b2の形状が小さくなる。このため、ケース本体41aの開口41a1に封口板41bを嵌め込みやすい形状となる。その上で、ケース本体41aの開口41a1において軽圧入が実現されるので、開口41a1に封口板41bが装着される際、両部材間の干渉が生じにくくなる。このため、電池ケース41では、ケース本体41aに対して封口板41bが嵌め込みやすい構成が実現されうる。
【0055】
この実施形態では、封口板41bの下面41b2の縁のうち、装着後に徐変領域47c3と重ね合わせられる領域に、徐変領域47c3の形状に応じて面取りされている。このため、封口板41bを開口41a1に、より嵌め込みやすくすることができる。
【0056】
また、二次電池10は、電池ケース41を備えている。電池ケース41では、上述のとおり、封口板41bをケース本体41aの開口41a1に装着するときの組付け性が向上されている。このため、電池ケース41を備える二次電池10では、好ましい寸法精度が実現されている。
【0057】
《第2実施形態》
上記第1実施形態では、長辺部43a,44aの内側面がテーパ面49cであった。しかし、これに限定されない。図示は省略するが、対向する一対の長辺部43a,44aの内側面は、段差やテーパのない平坦な面であってもよい。この場合、徐変領域47c3は、段差48a,48bの形状が、R部47a~47dに沿って長辺部43a,44aに向かうにつれて平坦な形状に徐々に近づくように変化するように構成されている。長辺部43a,44aが平坦であっても、上記組付け性向上効果を実現することができる。なお、特に限定するものではないが、必要に応じてR部47cの第2領域47c2にテーパ面49cを設けてもよい。
【0058】
《その他の実施形態》
また、例えば、封口板41bの下面41b2の縁における面取り形状は、C面に限定されない。C面に替えて、例えば、R面が形成されてもよい。
【0059】
以上、ここで開示される技術の具体的な実施形態を説明したが、かかる実施形態は例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10 二次電池
20 電極体
21 正極シート
22 負極シート
31,32 セパレータシート
41 電池ケース
41a ケース本体
41a1 開口
41b 封口板
43a,44a 長辺部
45a,46a 短辺部
47a~47d R部
49c テーパ面
47c1 第1領域
47c2 第2領域
47c3 徐変領域
48a,48b 段差
50 正極端子
60 負極端子
70 ガスケット
80 インシュレータ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12