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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001633
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】切削加工機
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/157 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
B23Q3/157 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100409
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】317009525
【氏名又は名称】DGSHAPE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】長屋 将光
【テーマコード(参考)】
3C002
【Fターム(参考)】
3C002AA03
3C002HH06
3C002HH08
3C002KK04
(57)【要約】
【課題】複数の切削ツールが収納されたツールストッカを用いるときに切削ツールの交換をより早く行うこと。
【解決手段】切削加工機10は、ツールストッカ60に収納された切削ツール6を把持する把持部33および把持部33を回転させる回転ユニット32を有するスピンドル31を備えた切削装置30と、切削装置30を移動させる移動装置40と、を備え、ツールストッカ60は、回転軸61に接続され、回転軸61を中心に回転可能であり、切削ツール6を収納可能な複数の収納孔65が形成された本体部63と、本体部63の上面63Uに設けられ、切削ツール6が接触したことを検知するツールセンサ64と、を有し、複数の収納孔65は円環状に配置され、ツールセンサ64は、複数の収納孔65の内側に配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状に形成された複数の切削ツールを収納可能なツールストッカと、
前記ツールストッカに収納された前記切削ツールを把持する把持部および前記把持部を回転させる回転ユニットを有するスピンドルを備え、前記切削ツールによって被切削物を切削する切削装置と、
前記切削装置を移動させる移動装置と、を備え、
前記ツールストッカは、
回転軸と、
前記回転軸に接続され、前記回転軸を中心に回転可能であり、前記切削ツールを収納可能な複数の収納孔が形成された本体部と、
前記本体部の上面に設けられ、前記切削ツールが接触したことを検知するツールセンサと、を有し、
複数の前記収納孔は円環状に配置され、
前記ツールセンサは、複数の前記収納孔の内側に配置されている、切削加工機。
【請求項2】
前記ツールセンサから複数の前記収納孔までの距離はそれぞれ等しい、請求項1に記載の切削加工機。
【請求項3】
複数の前記収納孔は、等間隔に配置されている、請求項1または2に記載の切削加工機。
【請求項4】
前記移動装置を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記切削ツールの下端部が前記ツールセンサに接触したことが前記ツールセンサによって検出されたときの前記スピンドルの位置に基づいて、前記切削ツールの長さを取得するツール長さ取得部を備えている、請求項1または2に記載の切削加工機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記ツールストッカに収納された前記切削ツールを把持するとき、および、前記ツールストッカに前記切削ツールを収納するとき、および、前記ツールセンサに前記切削ツールの下端部を接触させるときに、前記移動装置を制御して、前記切削装置を上下方向および前記上下方向と直交する所定の方向にのみ移動させる移動制御部を備えている、請求項4に記載の切削加工機。
【請求項6】
前記ツールストッカは、前記回転軸を回転させる駆動源を備え、
前記本体部は、前記回転軸と一体となって回転するように構成されている、請求項1または2に記載の切削加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、切削ツールを軸回りに回転させて被切削物を切削加工する切削加工機が知られている。この種の切削加工機として、例えば、特許文献1には、被切削物を切削加工する切削ツールを把持する把持部を有するスピンドルと、被切削物を保持する保持部とを備えた切削加工機が開示されている。切削加工機は、一回の作業で多様な切削加工を自動的かつ連続的に実施するために、切削部形状の異なる複数の切削ツールを自動的に交換する自動刃物交換機能(オートツールチェンジャー,Auto Tool Changer:ATC)を備えている。複数の切削ツールは、例えば、ツールストッカに収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-13155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ATCを用いて切削ツールが交換されたときには、把持部に切削ツールが適切に把持されていることの確認が行われている。より詳細には、ツールストッカには、切削ツールが接触したことを検知するツールセンサが設けられており、切削ツールをツールセンサに接触させることによって、切削ツールが把持部に把持されているかを検知している。ここで、従来のツールストッカでは、ツールセンサと切削ツールを収納する収納孔とが前後方向に直線状に並んでいるため、交換する切削ツールによってはツールセンサまでの距離が長くなり、把持部を有するスピンドルの移動時間が長くなってしまうという問題があった。即ち、切削ツールの交換に時間を要するという問題が生じていた。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の切削ツールが収納されたツールストッカを用いるときに切削ツールの交換をより早く行うことができる切削加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る切削加工機は、棒状に形成された複数の切削ツールを収納可能なツールストッカと、前記ツールストッカに収納された前記切削ツールを把持する把持部および前記把持部を回転させる回転ユニットを有するスピンドルを備え、前記切削ツールによって被切削物を切削する切削装置と、前記切削装置を移動させる移動装置と、を備えている。前記ツールストッカは、回転軸と、前記回転軸に接続され、前記回転軸を中心に回転可能であり、前記切削ツールを収納可能な複数の収納孔が形成された本体部と、前記本体部の上面に設けられ、前記切削ツールが接触したことを検知するツールセンサと、を有している。複数の前記収納孔は円環状に配置され、前記ツールセンサは、複数の前記収納孔の内側に配置されている。
【0007】
本発明に係る切削加工機によると、複数の収納孔は円環状に配置され、ツールセンサは、複数の収納孔の内側に配置されている。このため、収納孔とツールセンサとが直線状に配置されている場合と比較して、各収納孔とツールセンサとの距離が短くなる。即ち、収納孔に収納された切削ツールを把持した後に、把持された切削ツールをツールセンサに移動させる距離が短くなる。これにより、切削ツールをより早く交換することができる。また、ツールセンサを複数の収納孔の内側に配置することができるため、ツールセンサをコンパクトに配置することができる。これにより、ツールストッカの大型化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の切削ツールが収納されたツールストッカを用いるときに切削ツールの交換をより早く行うことができる切削加工機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る切削加工機を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、切削装置および移動装置の一部を模式的に示す正面図である。
図3図3は、ツールストッカの斜視図である。
図4図4は、ツールストッカの平面図である。
図5図5は、切削加工機の制御系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る切削加工機の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る切削加工機10の斜視図である。以下の説明では、切削加工機10を正面から見たときに、切削加工機10から遠ざかる方を前方、切削加工機10に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、切削加工機10を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。また、符号Xは左右方向(即ちX軸方向)を示し、符号Yは前後方向(即ちY軸方向)を示し、符号Zは上下方向(即ちZ軸方向)を示す。
【0012】
本実施形態の切削加工機10は、被切削物5に対して、例えば、切削加工、切削彫刻、けがき彫刻、くり抜き等の表面加工を行うことによって、所望の表面状態を有する加工物を作製する装置である。なお、被切削物5の形状や材質は、特に限定されない。被切削物5は、ラベル、ネームプレート、表札、看板、安全表示板等の平板であってもよいし、ボールペン、ライター等の日用品、キーホルダ、フォトフレーム、トロフィー等の部品小物、工具等の立体物であってもよい。被切削物5の材質は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、モデリングワックス等の樹脂であってもよいし、アルミニウム、真鍮、金、銀、銅、プラチナ、鉄、チタン、ステンレス鋼等の金属であってもよいし、木、ケミカルウッド等の木材であってもよいし、ガラス等であってもよい。
【0013】
図1に示すように、切削加工機10は、被切削物5の切削加工が行われる本体ケース12と、本体ケース12に取り付けられたカバー18と、を備えている。本体ケース12は、箱状に形成されている。本体ケース12は、中空状である。本体ケース12は、底壁13と、左壁14と、右壁15と、後壁16と、上壁17と、を備えている。左壁14は、底壁13の左端から上方に向かって延びている。右壁15は、底壁13の右端から上方に向かって延びている。後壁16は、底壁13の後端から上方に向かって延びている。後壁16の左端は左壁14の後端に接続され、右端は右壁15の後端に接続されている。上壁17は、後壁16の上端から前方に向かって延びている。上壁17の左端は左壁14に接続され、上壁17の右端は右壁15に接続されている。本体ケース12の内部には、底壁13、左壁14、右壁15、後壁16、上壁17、およびカバー18によって囲まれた加工空間19が形成されている。加工空間19は、被切削物5の切削加工が行われる空間である。
【0014】
図1に示すように、本体ケース12は、前方から上方にかけて開口している。本体ケース12の開口は、カバー18によって開閉自在に覆われる。カバー18は透明である。このため、ユーザはカバー18が閉じられた状態、例えば切削加工の最中においても、加工空間19を視認することができる。カバー18が上方に回転移動することで、本体ケース12の開口が解放される。
【0015】
図1に示すように、切削加工機10は、テーブル20と、切削装置30と、移動装置40と、ツールストッカ60と、制御装置70(図5も参照。)と、を備えている。
【0016】
図1に示すように、テーブル20は、被切削物5に対して切削加工を行う際に被切削物5を支持する台である。テーブル20は、切削装置30よりも下方に配置されている。テーブル20は、本体ケース12の底壁13に設けられている。テーブル20は、平板状の部材であり、平面視において矩形状の部材である。ただし、テーブル20の配置位置や形状は特に限定されない。被切削物5は、固定具を用いてテーブル20に固定するとよい。
【0017】
切削装置30は、切削ツール6によって被切削物5を切削する装置である。切削装置30は、移動装置40によってXYZ直交座標系を移動する。図2に示すように、切削装置30は、切削ツール6を把持する把持部33(例えばコレットチャック)と、切削ツール6を回転させる回転ユニット32とを有するスピンドル31を備えている。把持部33は、ツールストッカ60の収納孔65(図3参照)に収納された切削ツール6を把持する。把持部33は、切削ツール6の頂部を把持する。把持部33は、開閉可能に構成されている。把持部33は、回転ユニット32の下端部に設けられている。回転ユニット32は、把持部33をZ軸方向に平行な軸線周りに回転させる。回転ユニット32は、ここでは、モータ内蔵のユニットである。本実施形態において、切削ツール6は、例えば、文字用カッター、平行カッター、エンドミル、ダイヤモンドスクレーパ等である。スピンドル31は、切削ツール6を回転させて被切削物5を切削加工する。
【0018】
図1に示すように、移動装置40は、本体ケース12に設けられている。移動装置40は、テーブル20より上方に設けられている。移動装置40は、切削装置30をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動させる。移動装置40が切削装置30をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動させることにより、切削ツール6と被切削物5との位置関係が三次元的に変化する。移動装置40は、Y軸方向移動装置50Yと、X軸方向移動装置50Xと、Z軸方向移動装置50Zと、を備えている。Z軸方向移動装置50Zは、X軸方向移動装置50Xに搭載されている。X軸方向移動装置50Xは、Y軸方向移動装置50Yに搭載されている。
【0019】
図1に示すように、Y軸方向移動装置50Yは、切削装置30をY軸方向に移動させる装置である。Y軸方向移動装置50Yは、本体ケース12に設けられている。Y軸方向移動装置50Yは、Y軸方向に延びる1対のY軸ガイドレール51Yと、Y軸ガイドレール51Yに摺動可能に係合したY軸方向移動体52Yと、Y軸方向駆動モータ53Y(図5参照)と、Y軸方向駆動モータ53Yに連結されたY軸方向移動機構54Y(図5参照)と、を備えている。Y軸方向駆動モータ53Yが駆動すると、Y軸方向移動機構54Yによって、Y軸方向移動体52YがY軸ガイドレール51Yに沿ってY軸方向に移動する。これにより、X軸方向移動装置50XおよびZ軸方向移動装置50Zおよび切削装置30がY軸方向に移動する。Y軸方向移動機構54Yは、例えば、一対のプーリとプーリに巻かれたベルトを備えている。
【0020】
図1に示すように、X軸方向移動装置50Xは、切削装置30をX軸方向に移動させる装置である。X軸方向移動装置50Xは、Y軸方向移動装置50Yに設けられている。X軸方向移動装置50Xは、X軸方向に延びる1対のX軸ガイドレール51Xと、X軸ガイドレール51Xに摺動可能に係合したX軸方向移動体52Xと、X軸方向駆動モータ53X(図5参照)と、X軸方向駆動モータ53Xに連結されたX軸方向移動機構54X(図5参照)と、を備えている。X軸方向駆動モータ53Xが駆動すると、X軸方向移動機構54Xによって、X軸方向移動体52XがX軸ガイドレール51Xに沿ってX軸方向に移動する。これにより、Z軸方向移動装置50Zおよび切削装置30がX軸方向に移動する。X軸方向移動機構54Xは、例えば、一対のプーリとプーリに巻かれたベルトを備えている。
【0021】
図1に示すように、Z軸方向移動装置50Zは、切削装置30をZ軸方向に移動させる装置である。Z軸方向移動装置50Zは、X軸方向移動装置50Xに設けられている。Z軸方向移動装置50Zは、Z軸方向に延びる1対のZ軸ガイドレール51Zと、Z軸ガイドレール51Zに摺動可能に係合したZ軸方向移動体52Zと、Z軸方向駆動モータ53Z(図5参照)と、Z軸方向駆動モータ53Zに連結されたZ軸方向移動機構54Z(図5参照)と、を備えている。Z軸方向駆動モータ53Zが駆動すると、Z軸方向移動機構54Zによって、Z軸方向移動体52ZがZ軸ガイドレール51Zに沿ってZ軸方向に移動する。これにより、切削装置30がZ軸方向に移動する。Z軸方向移動機構54Zは、例えば、一対のプーリとプーリに巻かれたベルトを備えている。
【0022】
ツールストッカ60は、棒状に形成された複数の切削ツール6を収納可能な部材である。複数の切削ツール6は、例えば、被切削物1の材料や切削の種類に応じて使い分けられる。図1に示すように、ツールストッカ60は、本体ケース12に設けられている。ツールストッカ60は、本体ケース12の底壁13に設けられている。ツールストッカ60は、テーブル20より後方に配置されている。図3に示すように、ツールストッカ60は、回転軸61と、回転軸61を回転させる駆動源62(図5参照)と、回転軸61に接続された本体部63と、本体部63の上面63Uに設けられたツールセンサ64とを備えている。
【0023】
図3に示すように、回転軸61は、Z軸方向に延びる。回転軸61の下端部は、本体ケース12の底壁13に回転可能に固定されている。回転軸61の上端部は、本体部63に接続されている。本実施形態では、回転軸61は、本体部63と一体となって回転する。回転軸61がZ軸方向に平行な軸線周りに回転することにより、本体部63は図3の矢印R1または矢印R2の方向に回転する。駆動源62(図5参照)は、回転軸61に接続されている。駆動源62は、例えば、電動モータである。駆動源62は、制御装置70に制御される。
【0024】
図3に示すように、本体部63は、円柱形状に形成されている。本体部63は、回転軸61を中心に回転可能に構成されている。図4に示すように、本体部63の上面63Uには、切削ツール6を収納可能な複数の収納孔65が形成されている。収納孔65は、本体部63をZ軸方向に貫通している。複数の収納孔65は、円環状に配置されている。複数の収納孔65は、等間隔に配置されている。ここでは、収納孔65は、60°間隔に配置されている。なお、本実施形態では、収納孔65の数は6であるが、これに限定されない。
【0025】
図3に示すように、ツールセンサ64は、本体部63の上面63Uから上方に突出する。ツールセンサ64は、切削ツール6の長さを検出する際に用いられるセンサである。ツールセンサ64は、切削ツール6が接触したことを検知する部材である。ツールセンサ64は、導電性材料から形成されている。ツールセンサ64と切削ツール6とが接触したときには、電流が流れるように構成されている。ツールセンサ64は、複数の収納孔65の内側に配置されている。ツールセンサ64から複数の収納孔65までの距離はそれぞれ等しい。ツールセンサ64は、本体部63の中心に設けられている。ツールセンサ64は、平面視で回転軸61と重なる。
【0026】
図5は、切削加工機10のブロック図である。制御装置70は、被切削物5への切削加工に関する制御を行う装置である。制御装置70の構成は特に限定されない。制御装置70は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置と、を備えている。図1に示すように、制御装置70は、本体ケース12、例えば後壁16の内部に設けられている。ただし、制御装置70は本体ケース12の内部に設けられていなくてもよい。例えば制御装置70は、本体ケース12の外部に設置されたコンピュータなどであってもよい。この場合、制御装置70は、有線または無線を介して本体ケース12の基板(図示せず)などと通信可能に接続されている。
【0027】
本実施形態では、図5に示すように、制御装置70は、スピンドル31に通信可能に接続されており、把持部33による切削ツール6の把持および解放や切削ツール6の回転を制御する。制御装置70は、移動装置40に通信可能に接続されており、切削装置30のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の移動を制御する。制御装置70は、ツールストッカ60の駆動源62に通信可能に接続されており、回転軸61(即ち本体部63)の回転を制御する。制御装置70は、ツールセンサ64に通信可能に接続されている。
【0028】
図5に示すように、制御装置70は、記憶部71と、切削制御部73と、移動制御部75と、回転制御部76と、ツール長さ取得部77と、判断部79と、通知部81とを備えている。制御装置70の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えばCDやDVDなどの記録媒体から読み込まれる。なお、このプログラムは、インターネットを通じてダウンロードされるものであってもよい。また、制御装置70の各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。なお、これら各部の具体的な機能については後述する。
【0029】
記憶部71は、切削加工データを記憶する。切削加工データは、被切削物5を切削するときに用いられる切削ツール6の情報を含む。記憶部71は、ツールストッカ60の収納孔65に収納された切削ツール6の種類および配置場所を記憶する。記憶部71は、切削ツール6の長さを記憶する。
【0030】
切削制御部73は、移動装置40のX軸方向駆動モータ53X、Y軸方向駆動モータ53YおよびZ軸方向駆動モータ53Zと、切削装置30のスピンドル31とを制御して、被切削物5を指定された形状に切削する。
【0031】
移動制御部75は、ツールストッカ60の収納孔65に収納された切削ツール6を把持するとき、および、ツールストッカ60の収納孔65に切削ツール6を収納するとき、および、ツールセンサ64に切削ツール6の下端部を接触させるときに、移動装置40を制御する。移動制御部75は、切削装置30をZ軸方向およびY軸方向にのみ移動させる。なお、移動制御部75は、切削装置30をZ軸方向およびX軸方向にのみ移動させてもよい。移動制御部75は、把持部33に切削ツール6が把持されると、切削装置30を上方に移動させた後、切削装置30をY軸方向(例えば後方)に移動させてツールセンサ64の上方に位置させる。その後、切削装置30を下方に移動させて切削ツール6の下端部をツールセンサ64に接触させるように構成されている。
【0032】
回転制御部76は、駆動源62を制御して回転軸61(即ち本体部63)を回転させる。回転制御部76は、移動装置40による切削装置30の移動経路の下方に設定されたツール交換位置TP(図4参照)にツールストッカ60の収納孔65が位置するように本体部63を図4の矢印R1または矢印R2の方向に回転させる。ツール交換位置TPは、例えば、ツールセンサ64より前方に設定される。回転制御部76は、記憶部71に記憶された切削加工データに基づいて、回転軸61を所定の角度だけ回転させる。これにより、把持部33に把持された切削ツール6が収納される収納孔65を切削装置30の下方に位置させたり、把持部33にこれから把持させる切削ツール6が収納された収納孔65を切削装置30の下方に位置させたりすることができる。
【0033】
ツール長さ取得部77は、把持部33に把持された切削ツール6の下端部がツールセンサ64に接触したことがツールセンサ64によって検出されたときのスピンドル31の位置に基づいて、切削ツール6の長さを取得する。
【0034】
判断部79は、ツール長さ取得部77によって取得された切削ツール6の長さL1と、記憶部71に記憶された切削ツール6の長さL2とが同じであるかを判断する。通常は、長さL1と長さL2とは同じになるが、切削ツール6が折れていたり、収納孔65に異なる切削ツール6が誤って収納されていたりすると、長さL1と長さL2とが異なることがある。
【0035】
通知部81は、ツール長さ取得部77によって取得された切削ツール6の長さL1と、記憶部71に記憶された切削ツール6の長さL2とが異なっていることを通知する。なお、通知処理の方法は特に限定されず、例えば、視覚的な表示(警告表示)、音声(警告音)等による警告が挙げられる。これにより、ユーザは把持部33に把持された切削ツール6に不具合が生じていることを認識することができる。
【0036】
以上のように、本実施形態の切削加工機10によると、複数の収納孔65は円環状に配置され、ツールセンサ64は、複数の収納孔65の内側に配置されている。このため、収納孔65とツールセンサ64とが直線状に配置されている場合と比較して、各収納孔65とツールセンサ64との距離が短くなる。即ち、収納孔65に収納された切削ツール6を把持した後に、把持された切削ツール6をツールセンサ64に移動させる距離が短くなる。これにより、切削ツール6をより早く交換することができる。また、ツールセンサ64を複数の収納孔65の内側に配置することができるため、ツールセンサ64をコンパクトに配置することができる。これにより、ツールストッカ60の大型化を抑制することができる。
【0037】
本実施形態の切削加工機10では、ツールセンサ64から複数の収納孔65までの距離はそれぞれ等しい。かかる構成によると、各収納孔65とツールセンサ64との距離が一定になるため、移動装置40による切削装置30の移動の制御が容易になる。
【0038】
本実施形態の切削加工機10では、複数の収納孔65は、等間隔に配置されている。かかる構成によると、ツールストッカ60の本体部63を所定の角度ずつ回転させることによって、把持部33の下方に切削ツール6または収納孔65を位置させることができる。このように、切削ツール6の交換する際に本体部63の回転の制御が容易になる。
【0039】
本実施形態の切削加工機10では、制御装置70は、切削ツール6の下端部がツールセンサ64に接触したことがツールセンサ64によって検出されたときのスピンドル31の位置に基づいて、切削ツール6の長さを取得するツール長さ取得部77を備えている。かかる構成によると、把持部33に適切な切削ツール6が把持されていることを確認することができる。例えば、把持部33に把持された切削ツール6が折れている場合や、誤った切削ツール6が把持部33に把持されている場合には、切削ツール6の長さを取得することで把持部33に把持された切削ツール6が適切であるかを判断することができる。
【0040】
本実施形態の切削加工機10では、制御装置70は、ツールストッカ60に収納された切削ツール6を把持するとき、および、ツールストッカ60に切削ツール6を収納するとき、および、ツールセンサ64に切削ツール6の下端部を接触させるときに、移動装置40を制御して、切削装置30をZ軸方向およびY軸方向(またはX軸方向)にのみ移動させる移動制御部75を備えている。かかる構成によると、移動装置40による切削装置30の移動が簡素化されるため、切削装置30の位置ずれの発生を抑制することができる。
【0041】
本実施形態の切削加工機10では、ツールストッカ60は、回転軸61を回転させる駆動源62を備え、本体部63は回転軸61と一体となって回転する。かかる構成によると、回転軸61を回転させることによって本体部63を容易に回転させることができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0043】
上述した実施形態では、切削装置30はX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動可能に構成されていたが、これに限定されない。例えば、テーブル20がY軸方向に移動可能に構成され、かつ、切削装置30がX軸方向およびZ軸方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、回転軸61と本体部63とは一体となって回転するように構成されていたが、これに限定されない。本体部63は、回転軸61に対して相対的に回転するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
5 被切削物
6 切削ツール
10 切削加工機
30 切削装置
31 スピンドル
32 回転ユニット
33 把持部
40 移動装置
50X X軸方向移動装置
50Y Y軸方向移動装置
50Z Z軸方向移動装置
60 ツールストッカ
61 回転軸
62 駆動源
63 本体部
63U 上面
64 ツールセンサ
65 収納孔
70 制御装置
75 移動制御部
77 ツール長さ取得部
図1
図2
図3
図4
図5