IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧 ▶ 住友電工プリントサーキット株式会社の特許一覧

特開2024-163301プリント配線板及びプリント配線板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163301
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】プリント配線板及びプリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20241114BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20241114BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H05K3/28 C
H05K1/02 A
H05K1/09 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024158580
(22)【出願日】2024-09-12
(62)【分割の表示】P 2023536642の分割
【原出願日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2021119547
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500400216
【氏名又は名称】住友電工プリントサーキット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 良雄
(72)【発明者】
【氏名】新田 耕司
(72)【発明者】
【氏名】酒井 将一郎
(57)【要約】
【課題】温度上昇に伴う反りの抑制が可能なプリント配線板を提供する。
【解決手段】プリント配線板は、第1面と、第1面の反対面である第2面とを有するベースフィルムと、第1面上にある第1導電パターンと、第1導電パターンを覆うように第1面上にある第1絶縁層とを備えている。第1絶縁層中には、複数の第1ボイドが存在している。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対面である第2面とを有するベースフィルムと、
前記第1面上にある第1導電パターンと、
前記第1導電パターンを覆うように前記第1面上にある第1絶縁層とを備え、
前記第1絶縁層中には、複数の第1ボイドが存在している、プリント配線板。
【請求項2】
断面視における前記第1絶縁層中の前記複数の第1ボイドの面積率は、3パーセント以上である、請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記第1絶縁層の熱膨張率は、3.0×10-5/K以上である、請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項4】
前記第1絶縁層の弾性率は、2GPa以上である、請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項5】
前記第1導電パターンは、前記第1面上にある第1シード層と、前記第1シード層上にある第1芯体と、前記第1芯体を覆っている第1シュリンク層とを有する、請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項6】
前記第1導電パターンの高さは、前記第1導電パターンの幅よりも大きい、請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項7】
前記第1導電パターンの高さは、前記ベースフィルムの厚さよりも大きい、請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項8】
前記第1導電パターンは、平面視において渦巻き状になっている、請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項9】
前記第2面上にある第2導電パターンと、
前記第2導電パターンを覆うように前記第2面上にある第2絶縁層とをさらに備え、
前記第2絶縁層中には、複数の第2ボイドが存在しており、
平面視における前記第1導電パターンの総面積を前記第1面の面積で除した値は、平面視における前記第2導電パターンの総面積を前記第2面の面積で除した値と異なる、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のプリント配線板。
【請求項10】
第1面と、前記第1面の反対面である第2面とを有するベースフィルムを準備する工程と、
前記第1面上に第1導電パターンを形成する工程と、
前記第1導電パターンを覆うように前記第1面上に第1絶縁層を形成する工程とを備え、
前記第1絶縁層を形成する工程は、前記第1絶縁層中に複数の第1ボイドを導入する工程を有する、プリント配線板の製造方法。
【請求項11】
前記第1絶縁層を形成する工程は、未硬化の絶縁材料に中空のマイクロカプセルを混入する工程と、前記第1面上に前記絶縁材料を前記第1導電パターンを覆うように塗布する工程と、前記絶縁材料を加熱して硬化させる工程とを有する、請求項10に記載のプリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリント配線板及びプリント配線板の製造方法に関する。本出願は、2021年7月20日に出願した日本特許出願である特願2021-119547号に基づく優先権を主張する。当該日本特許出願に記載された全ての記載内容は、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
特開2016-9854号公報(特許文献1)には、プリント配線板が記載されている。特許文献1に記載のプリント配線板は、ベースフィルムと、導電パターンと、接着層(絶縁層)とを有している。ベースフィルムは、主面を有している。導電パターンは、ベースフィルムの主面上にある。絶縁層は、ベースフィルムの主面上において導電パターンを覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-9854号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示のプリント配線板は、第1面と、第1面の反対面である第2面とを有するベースフィルムと、第1面上にある第1導電パターンと、第1導電パターンを覆うように第1面上にある第1絶縁層とを備えている。第1絶縁層中には、複数の第1ボイドが存在している。
【0005】
本開示のプリント配線板の製造方法は、第1面と、第1面の反対面である第2面とを有するベースフィルムを準備する工程と、第1面上に第1導電パターンを形成する工程と、第1導電パターンを覆うように第1面上に第1絶縁層を形成する工程とを備えている。第1絶縁層を形成する工程は、第1絶縁層中に複数の第1ボイドを導入する工程を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、プリント配線板100の平面図である。
図2図2は、プリント配線板100の底面図である。
図3A図3Aは、図1のIIIA-IIIAにおける断面図である。
図3B図3Bは、図1のIIIB-IIIBにおける断面図である。
図4図4は、プリント配線板100の製造方法を示す工程図である。
図5図5は、第1層形成工程S21aが行われた後のプリント配線板100の断面図である。
図6図6は、貫通穴形成工程S21bが行われた後のプリント配線板100の断面図である。
図7A図7Aは、第2層形成工程S21cが行われた後のプリント配線板100の第1断面図である。
図7B図7Bは、第2層形成工程S21cが行われた後のプリント配線板100の第2断面図である。
図8A図8Aは、レジスト形成工程S22が行われた後のプリント配線板100の第1断面図である。
図8B図8Bは、レジスト形成工程S22が行われた後のプリント配線板100の第2断面図である。
図9A図9Aは、第1電解めっき工程S23が行われた後のプリント配線板100の第1断面図である。
図9B図9Bは、第1電解めっき工程S23が行われた後のプリント配線板100の第2断面図である。
図10A図10Aは、レジスト除去工程S24が行われた後のプリント配線板100の第1断面図である。
図10B図10Bは、レジスト除去工程S24が行われた後のプリント配線板100の第2断面図である。
図11A図11Aは、シード層除去工程S25が行われた後のプリント配線板100の第1断面図である。
図11B図11Bは、シード層除去工程S25が行われた後のプリント配線板100の第2断面図である。
図12A図12Aは、第2電解めっき工程S26が行われた後のプリント配線板100の第1断面図である。
図12B図12Bは、第2電解めっき工程S26が行われた後のプリント配線板100の第2断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
導電パターンを覆っている絶縁層には、耐熱性が高い(すなわちガラス転移点が高い)樹脂材料を用いることが好ましい。しかしながら、耐熱性の高い樹脂材料は、弾性率が大きい傾向にある。そのため、導電パターンを覆っている絶縁層に耐熱性の高い(弾性率の大きい)樹脂材料を用いると、温度上昇に伴うプリント配線板の反りが大きくなるおそれがある。
【0008】
本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、温度上昇に伴う反りの抑制が可能なプリント配線板及びプリント配線板の製造方法を提供するものである。
【0009】
[本開示の効果]
本開示のプリント配線板及びプリント配線板の製造方法によると、温度上昇に伴う反りの抑制が可能である。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
まず、本開示の実施形態を列記して説明する。
【0011】
(1)実施形態に係るプリント配線板は、第1面と、第1面の反対面である第2面とを有するベースフィルムと、第1面上にある第1導電パターンと、第1導電パターンを覆うように第1面上にある第1絶縁層とを備えている。第1絶縁層中には、複数の第1ボイドが存在している。上記(1)のプリント配線板によると、温度上昇に伴う反りの抑制が可能である。
【0012】
(2)上記(1)のプリント配線板では、断面視における第1絶縁層中の複数の第1ボイドの面積率が、3パーセント以上であってもよい。上記(2)のプリント配線板によると、温度上昇に伴う反りをさらに抑制することが可能である。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)のプリント配線板では、第1絶縁層の熱膨張率が3.0×10-5/K以上であってもよい。上記(3)のプリント配線板によると、第1絶縁層の熱膨張率が大きい場合でも、温度上昇に伴う反りを抑制することが可能である。
【0014】
(4)上記(1)から(3)のプリント配線板では、第1絶縁層の弾性率が2GPa以上であってもよい。上記(4)のプリント配線板によると、耐熱性を高めることが可能である。
【0015】
(5)上記(1)から(4)のプリント配線板では、第1導電パターンが、第1面上にある第1シード層と、第1シード層上にある第1芯体と、第1芯体を覆っている第1シュリンク層とを有していてもよい。上記(5)のプリント配線板によると、第1導電パターンのパターン率を高めることができる。
【0016】
(6)上記(1)から(5)のプリント配線板では、第1導電パターンの高さが、第1導電パターンの幅よりも大きくてもよい。上記(6)のプリント配線板によると、第1導電パターンの配線抵抗を低下させることが可能である。
【0017】
(7)上記(1)から(6)のプリント配線板では、第1導電パターンの高さが、ベースフィルムの厚さよりも大きくてもよい。
【0018】
(8)上記(1)から(7)のプリント配線板では、第1導電パターンが、平面視において渦巻き状になっていてもよい。上記(8)のプリント配線板によると、温度上昇に伴う反りの方向の偏りを減らすことが可能である。
【0019】
(9)上記(1)から(8)のプリント配線板は、さらに、第2面上にある第2導電パターンと、第2導電パターンを覆うように第2面上にある第2絶縁層とを備えていてもよい。第2絶縁層中には、複数の第2ボイドが存在していてもよい。平面視における第1導電パターンの総面積を第1面の面積で除した値は、平面視における第2導電パターンの総面積を第2面の面積で除した値と異なっていてもよい。
【0020】
(10)実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、第1面と、第1面の反対面である第2面とを有するベースフィルムを準備する工程と、第1面上に第1導電パターンを形成する工程と、第1導電パターンを覆うように第1面上に第1絶縁層を形成する工程とを備えている。第1絶縁層を形成する工程は、第1絶縁層中に複数の第1ボイドを導入する工程を有する。上記(10)のプリント配線板の製造方法によると、反りの抑制が可能である。
【0021】
(11)上記(10)のプリント配線板の製造方法では、第1絶縁層を形成する工程が、未硬化の絶縁材料に中空のマイクロカプセルを混入する工程と、第1面上に絶縁材料を第1導電パターンを覆うように塗布する工程と、絶縁材料を加熱して硬化させる工程とを有していてもよい。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0023】
(実施形態に係るプリント配線板の構成)
以下に、実施形態に係るプリント配線板(「プリント配線板100」とする)を説明する。
【0024】
図1は、プリント配線板100の平面図である。図2は、プリント配線板100の底面図である。図1及び図2中では、第1絶縁層30及び第2絶縁層50の図示が、省略されている。図3Aは、図1のIIIA-IIIAにおける断面図である。図3Bは、図1のIIIB-IIIBにおける断面図である。図1図2図3A及び図3Bに示されるように、プリント配線板100は、ベースフィルム10と、第1導電パターン20と、第1絶縁層30と、第2導電パターン40と、第2絶縁層50とを有している。
【0025】
ベースフィルム10は、第1面10aと、第2面10bとを有している。第1面10a及び第2面10bは、ベースフィルム10の主面である。第2面10bは、第1面10aの反対面である。ベースフィルム10には、貫通穴10cが形成されている。貫通穴10cは、ベースフィルム10を厚さ方向に沿って貫通している。
【0026】
ベースフィルム10の厚さを、厚さT1とする。厚さT1は、好ましくは、50μm以下である。厚さT1は、さらに好ましくは、20μm以下である。これにより、第1導電パターン20及び第2導電パターン40の体積率を高めることが可能となる。ベースフィルム10は、可撓性のある絶縁性の樹脂材料により形成されている。すなわち、プリント配線板100は、フレキシブルプリント配線板である。ベースフィルム10を構成している材料の具体例としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート及びフッ素樹脂が挙げられる。
【0027】
第1導電パターン20は第1面10a上に配置されている。第1導電パターン20は、平面視において(第1面10aに直交する方向から見て)、渦巻き状になっている。すなわち、第1導電パターン20は、コイルを構成している。
【0028】
第1導電パターン20は、例えば、第1シード層21と、第1芯体22と、第1シュリンク層23とを有している。
【0029】
第1シード層21は、第1面10a上にある。第1シード層21は、例えば第1層と、第2層とを有している。第1シード層21の第1層は、第1面10a上にある。第1シード層21の第1層は、例えば、ニッケル-クロム合金により形成されている。ニッケル-クロム合金上には、銅が形成されていてもよい。第1シード層21の第1層は、例えば、スパッタ層である。第1シード層21の第2層は、第1シード層21の第1層上にある。第1シード層21の第2層は、例えば、銅により形成されている。第1シード層21の第2層は、例えば、スパッタ層、無電解めっき層又はスパッタ層及び無電解めっき層を積層した層である。
【0030】
第1芯体22は、第1シード層21上にある。第1芯体22は、例えば、銅により形成されている。第1芯体22は、例えば、電解めっき層である。第1シュリンク層23は、第1シード層21及び第1芯体22の側面並びに第1芯体22の上面を覆っている。第1シュリンク層23は、例えば、電解めっき層である。
【0031】
第1導電パターン20の幅を幅W1とし、第1導電パターン20の高さを高さH1とする。高さH1は、例えば、幅W1よりも大きい。すなわち、第1導電パターン20のアスペクト比(高さH1を幅W1で除した値)は、例えば、1以上である。第1導電パターン20のアスペクト比は、好ましくは、1.5以上である。高さH1は、例えば、厚さT1以上である。高さH1は、例えば、40μm以上である。
【0032】
第1導電パターン20の総面積を第1導電パターン20の最内周と最外周とで挟まれている領域の面積で除した値を、第1パターン率とする。第1パターン率は、例えば、30パーセント以上である。第1パターン率は、40パーセント以上であってもよい。
【0033】
第1絶縁層30は、第1導電パターン20を覆うように、第1面10a上にある。第1絶縁層30は、絶縁性の樹脂材料により形成されている。第1絶縁層30を構成している材料の具体例としては、エポキシ、ウレタン及びポリイミドが挙げられる。
【0034】
第1絶縁層30の弾性率は、例えば2GPa以上である。これにより、プリント配線板100の耐熱性を高めることが可能である。第1絶縁層30の弾性率は、4GPa以上であってもよい。第1絶縁層30の弾性率は、第1絶縁層30の構成材料の弾性率である。第1絶縁層30の弾性率は、例えば12GPa以下である。第1絶縁層30の弾性率は、ISO14577に定められているナノインデンテーション法により測定される。
【0035】
第1絶縁層30の熱膨張率は、例えば3.0×10-5/K以上である。これにより、第1絶縁層30の熱膨張率が大きい場合でも、温度上昇に伴うプリント配線板100の反りを第1ボイド31の導入により抑制することが可能である。第1絶縁層30の熱膨張率は、4.5×10-5/K以上であってもよい。第1絶縁層30の熱膨張率は、例えば、9.0×10-5/K以下である。第1絶縁層30の熱膨張率は、2.0×10-4/K以下であってもよい。第1絶縁層30の熱膨張率をこのような範囲内とすることにより、温度上昇に伴うプリント配線板100の反りを第1ボイド31の導入により十分に抑制することが可能である。第1絶縁層30の熱膨張率は、第1絶縁層30の材料の熱膨張率である。第1絶縁層30の熱膨張率は、TMA(Thermal Mechanical Analysis:熱機械分析)により測定される。
【0036】
第1絶縁層30中には、複数の第1ボイド31が存在している。第1ボイド31は、少なくとも隣り合っている第1導電パターン20の部分の間に存在している。第1ボイド31の形状は、例えば、球状である。但し、第1ボイド31の形状は、これに限られるものではない。
【0037】
断面視において、第1絶縁層30中の複数の第1ボイド31の面積率は、例えば、3パーセント以上である。これにより、温度上昇に伴うプリント配線板100の反りをさらに抑制することが可能である。断面視において、第1絶縁層30中の複数の第1ボイド31の面積率は、5パーセント以上であってもよい。断面視において、第1絶縁層30中の複数の第1ボイド31の面積率は、例えば、30パーセント以下である。断面視における第1絶縁層30中の複数の第1ボイド31の面積率は、第1絶縁層30の断面画像を顕微鏡(光学顕微鏡又は電子顕微鏡)を用いて取得するとともに、取得された断面画像に対して画像処理を行うことにより算出される。
【0038】
複数の第1ボイド31の平均径は、例えば、5μm以下である。これにより、隣り合う第1導電パターン20の部分の間の絶縁性を高めることが可能である。複数の第1ボイド31の平均径は、例えば0.3μm以上である。これにより、第1絶縁層30中の複数の第1ボイド31の数を減らすことができるため、製造コストを下げることが可能である。複数の第1ボイド31の平均径は、以下の方法により算出される。
【0039】
複数の第1ボイド31の平均径の算出に際しては、第1に、顕微鏡(光学顕微鏡又は電子顕微鏡)を用いて第1絶縁層30の断面画像が取得される。第2に、断面画像に対して画像処理が行われることにより、断面画像に含まれている複数の第1ボイド31の各々の面積が算出される。断面画像に含まれている複数の第1ボイド31の各々の面積をπ/4で除した値の平方根が、断面画像に含まれている複数の第1ボイド31の各々の円相当径となる。第3に、断面画像に含まれている複数の第1ボイド31の各々の円相当径の合計を断面画像に含まれている複数の第1ボイド31の数の合計で除した値が、複数の第1ボイド31の平均径と見做される。
【0040】
第1ボイド31の表面にはマイクロカプセル32(図示せず)が存在していてもよい。マイクロカプセル32は、中空であり、絶縁性の樹脂材料で形成されている。
【0041】
第2導電パターン40は第2面10b上に配置されている。第2導電パターン40は、平面視において(第2面10bに直交する方向から見て)、渦巻き状になっている。すなわち、第2導電パターン40は、コイルを構成している。第2導電パターン40は、第1導電パターン20に電気的に接続されている。
【0042】
第2導電パターン40は、例えば、第2シード層41と、第2芯体42と、第2シュリンク層43とを有している。
【0043】
第2シード層41は、第2面10b上にある。第2シード層41は、例えば第1層と、第2層とを有している。第2シード層41の第1層は、第2面10b上にある。第2シード層41の第1層は、例えば、ニッケル-クロム合金により形成されている。ニッケル-クロム合金上には、銅が形成されていてもよい。第2シード層41の第1層は、例えば、スパッタ層である。第2シード層41の第2層は、第2シード層41の第1層上にある。第2シード層41の第2層は、例えば、銅により形成されている。第2シード層41の第2層は、例えば、スパッタ層、無電解めっき層又はスパッタ層及び無電解めっき層を積層した層である。
【0044】
第2芯体42は、第2シード層41上にある。第2芯体42は、例えば、銅により形成されている。第2芯体42は、例えば、電解めっき層である。第2シュリンク層43は、第2シード層41及び第2芯体42の側面並びに第2芯体42の上面を覆っている。第2シュリンク層43は、例えば、電解めっき層である。
【0045】
第2導電パターン40の幅を幅W2とし、第2導電パターン40の高さを高さH2とする。高さH2は、例えば、幅W2よりも大きい。すなわち、第2導電パターン40のアスペクト比(高さH2を幅W2で除した値)は、例えば、1以上である。第2導電パターン40のアスペクト比は、好ましくは、1.5以上である。高さH2は、例えば、厚さT1以上である。高さH2は、例えば、40μm以上である。
【0046】
第2導電パターン40の総面積を第2導電パターン40の最内周と最外周とで挟まれている領域の面積で除した値を、第2パターン率とする。第2パターン率は、例えば、第1パターン率と異なっている。第2パターン率は、例えば、第1パターン率よりも高い。第2パターン率は、例えば40パーセント以上である。第2パターン率は、50パーセント以上であってもよい。
【0047】
第1シード層21の第2層及び第2シード層41の第2層は、貫通穴10cの内壁面上において互いに接続されている。第1芯体22及び第2芯体42は、貫通穴10cの内壁面上において、互いに接続されている。第1シュリンク層23及び第2シュリンク層43は、それぞれ、第1芯体22及び第2芯体42を覆う構造になっている。これにより、第1導電パターン20及び第2導電パターン40が、電気的に接続されていることになる。
【0048】
第2絶縁層50は、第2導電パターン40を覆うように、第2面10b上にある。第2絶縁層50は、絶縁性の樹脂材料により形成されている。第2絶縁層50を構成している材料の具体例としては、エポキシ、ウレタン及びポリイミドが挙げられる。
【0049】
第2絶縁層50の弾性率は、例えば、2GPa以上である。これにより、プリント配線板100の耐熱性を高めることが可能である。第2絶縁層50の弾性率は、4GPa以上であってもよい。第2絶縁層50の弾性率は、例えば、12GPa以下である。第2絶縁層50の弾性率は、第2絶縁層50の構成材料の弾性率である。第2絶縁層50の弾性率は、第1絶縁層30の弾性率と同様の方法により測定される。
【0050】
第2絶縁層50の熱膨張率は、例えば3.0×10-5/K以上である。これにより、第2絶縁層50の熱膨張率が大きい場合でも、温度上昇に伴うプリント配線板100の反りを第2ボイド51の導入により抑制することが可能である。第2絶縁層50の熱膨張率は、4.5×10-5/K以上であってもよい。第2絶縁層50の熱膨張率は、例えば、9.0×10-5/K以下である。第2絶縁層50の熱膨張率は、2.0×10-4以下であってもよい。第2絶縁層50の熱膨張率をこのような範囲内とすることにより、温度上昇に伴うプリント配線板100の反りを第2ボイド51の導入により十分に抑制することが可能である。第2絶縁層50の熱膨張率は、第2絶縁層50の構成材料の熱膨張率である。第2絶縁層50の熱膨張率は、第1絶縁層30の熱膨張率と同様の方法により測定される。
【0051】
第2絶縁層50中には、複数の第2ボイド51が存在している。第2ボイド51は、少なくとも隣り合っている第2導電パターン40の部分の間に存在している。第2ボイド51の形状は、例えば、球状である。但し、第2ボイド51の形状は、これに限られるものではない。
【0052】
断面視において、第2絶縁層50中の複数の第2ボイド51の面積率は、例えば、3パーセント以上である。これにより、温度上昇に伴うプリント配線板100の反りをさらに抑制することが可能である。断面視において、第2絶縁層50中の複数の第2ボイド51の面積率は、5パーセント以上であってもよい。断面視において、第2絶縁層50中の複数の第2ボイド51の面積率は、例えば、30パーセント以下である。断面視における第2絶縁層50中の複数の第2ボイド51の面積率は、断面視における第1絶縁層30中の複数の第1ボイド31の面積率と同様の方法により測定される。
【0053】
複数の第2ボイド51の平均径は、例えば、5μm以下である。これにより、隣り合う第2導電パターン40の部分の間の絶縁性を高めることが可能である。複数の第2ボイド51の平均径は、例えば0.3μm以上である。これにより、第2絶縁層50中の複数の第2ボイド51の数を減らすことができるため、製造コストを下げることが可能である。複数の第2ボイド51の平均径は、複数の第1ボイド31の平均径と同様の方法により測定される。第2ボイド51の表面には、マイクロカプセル52(図示せず)が存在していてもよい。マイクロカプセル52は、中空であり、絶縁性の樹脂材料で形成されている。
【0054】
(実施形態に係るプリント配線板の製造方法)
以下に、プリント配線板100の製造方法を説明する。
【0055】
図4は、プリント配線板100の製造方法を示す工程図である。プリント配線板100の製造方法は、図4に示されるように、準備工程S1と、導電パターン形成工程S2と、絶縁層形成工程S3とを有している。
【0056】
準備工程S1では、ベースフィルム10が準備される。導電パターン形成工程S2は、準備工程S1後に行われる。導電パターン形成工程S2では、第1導電パターン20及び第2導電パターン40が形成される。
【0057】
導電パターン形成工程S2は、シード層形成工程S21と、レジスト形成工程S22と、第1電解めっき工程S23と、レジスト除去工程S24と、シード層除去工程S25と、第2電解めっき工程S26とを有している。レジスト形成工程S22は、シード層形成工程S21後に行われる。第1電解めっき工程S23は、レジスト形成工程S22後に行われる。レジスト除去工程S24は、第1電解めっき工程S23後に行われる。シード層除去工程S25は、レジスト除去工程S24後に行われる。第2電解めっき工程S26は、シード層除去工程S25後に行われる。
【0058】
シード層形成工程S21は、第1層形成工程S21aと、貫通穴形成工程S21bと、第2層形成工程S21cとを有している。図5は、第1層形成工程S21aが行われた後のプリント配線板100の断面図である。図5に示されるように、第1層形成工程S21aでは、第1シード層21の第1層及び第2シード層41の第1層の形成が行われる。第1シード層21の第1層及び第2シード層41の第1層は、例えば、第1面10a及び第2面10bに対してスパッタリングを行うことにより形成される。
【0059】
図6は、貫通穴形成工程S21bが行われた後のプリント配線板100の断面図である。図6に示されるように、貫通穴形成工程S21bでは、貫通穴10cの形成が行われる。貫通穴10cの形成は、例えば、レーザ、ドリル等を用いて行われる。
【0060】
図7Aは、第2層形成工程S21cが行われた後のプリント配線板100の第1断面図である。図7Bは、第2層形成工程S21cが行われた後のプリント配線板100の第2断面図である。図7A図3Aに関連しており、図7B図3Bに関連している。図7A及び図7Bに示されるように、第2層形成工程S21cでは、第1シード層21の第2層及び第2シード層41の第2層の形成が行われる。例えば、第1シード層21の第1層上、第2シード層41の第1層上及び貫通穴10cの内壁面上に対して無電解めっきを行うことにより、第1シード層21の第2層及び第2シード層41の第2層が形成される。
【0061】
図8Aは、レジスト形成工程S22が行われた後のプリント配線板100の第1断面図である。図8Bは、レジスト形成工程S22が行われた後のプリント配線板100の第2断面図である。図8A図3Aに関連しており、図8B図3Bに関連している。図8A及び図8Bに示されるように、レジスト形成工程S22では、第1シード層21上及び第2シード層41上にレジスト60が形成される。レジスト60の形成においては、第1に、感光性の有機材料を第1シード層21上及び第2シード層41上に塗布される。感光性の有機材料の塗布に代えてドライフィルムレジストが第1シード層21上及び第2シード層41上に配置されてもよい。第2に、塗布された感光性の有機材料(ドライフィルムレジスト)を露光及び現像してパターンニングすることによりレジスト60が形成される。レジスト60からは、第1シード層21及び第2シード層41が部分的に露出している。
【0062】
図9Aは、第1電解めっき工程S23が行われた後のプリント配線板100の第1断面図である。図9Bは、第1電解めっき工程S23が行われた後のプリント配線板100の第2断面図である。図9A図3Aに関連しており、図9B図3Bに関連している。図9A及び図9Bに示されるように、第1電解めっき工程S23では、第1芯体22及び第2芯体42が形成される。第1芯体22及び第2芯体42は、第1シード層21及び第2シード層41に通電して電解めっきを行うことにより、レジスト60から露出している第1シード層21上及び第2シード層41上にそれぞれ形成される。
【0063】
図10Aは、レジスト除去工程S24が行われた後のプリント配線板100の第1断面図である。図10Bは、レジスト除去工程S24が行われた後のプリント配線板100の第2断面図である。図10A図3Aに関連しており、図10B図3Bに関連している。図10A及び図10Bに示されるように、レジスト除去工程S24では、レジスト60が第1シード層21及び第2シード層41から剥離されて除去される。レジスト60の剥離後には、隣り合う第1芯体22の部分の間から第1シード層21が露出されており、第2芯体42の部分の間から第2シード層41が露出している。
【0064】
図11Aは、シード層除去工程S25が行われた後のプリント配線板100の第1断面図である。図11Bは、シード層除去工程S25が行われた後のプリント配線板100の第2断面図である。図11A図3Aに関連しており、図11B図3Bに関連している。図11A及び図11Bに示されるように、シード層除去工程S25では、隣り合う第1芯体22の部分の間から露出している第1シード層21及び隣り合う第2芯体42の間から露出している第2シード層41がエッチングにより除去される。このエッチングは、例えば、ウェットエッチングである。
【0065】
図12Aは、第2電解めっき工程S26が行われた後のプリント配線板100の第1断面図である。図12Bは、第2電解めっき工程S26が行われた後のプリント配線板100の第2断面図である。図12A図3Aに関連しており、図12B図3Bに関連している。図12A及び図12Bに示されるように、第2電解めっき工程S26では、第1シュリンク層23及び第2シュリンク層43が形成される。
【0066】
第1シュリンク層23は、第1シード層21及び第1芯体22に通電して電解めっきを行うことにより、第1シード層21及び第1芯体22を覆うように形成される。第2シュリンク層43は、第2シード層41及び第2芯体42に通電して電解めっきを行うことにより、第2シード層41及び第2芯体42を覆うように形成される。
【0067】
絶縁層形成工程S3は、導電パターン形成工程S2後に行われる。絶縁層形成工程S3は、マイクロカプセル混入工程S31と、絶縁材料塗布工程S32と、絶縁材料硬化工程S33とを有している。絶縁材料塗布工程S32は、マイクロカプセル混入工程S31後に行われる。絶縁材料硬化工程S33は、絶縁材料塗布工程S32後に行われる。
【0068】
マイクロカプセル混入工程S31では、未硬化の絶縁材料中にマイクロカプセルが混入される。マイクロカプセルは、絶縁性の樹脂材料により形成されているとともに、内部に揮発性の液体が充填されている。
【0069】
絶縁材料塗布工程S32では、マイクロカプセルが混入された絶縁材料が第1導電パターン20を覆うように第1面10a上に塗布されるとともに、第2導電パターン40を覆うように第2面10b上に塗布される。
【0070】
絶縁材料硬化工程S33では、第1面10a上及び第2面10b上に塗布された絶縁材料が加熱されて硬化し、それぞれ第1絶縁層30及び第2絶縁層50となる。この際、マイクロカプセル中の液体が揮発することにより中空のマイクロカプセル32及びマイクロカプセル52となり、第1ボイド31及び第2ボイド51が形成される。以上により、図1図2図3A及び図3Bに示される構造のプリント配線板100が形成される。
【0071】
上記においては、第1導電パターン20及び第2導電パターン40がセミアディティブ法により形成される例を示したが、第1導電パターン20及び第2導電パターン40は、サブトラクティブ法により形成されてもよい。
【0072】
上記においては、内部に液体が充填されたマイクロカプセルを未硬化の絶縁材料に混入することにより第1ボイド31及び第2ボイド51を形成したが、未硬化の絶縁材料を撹拌して未硬化の絶縁材料中に気泡を導入することにより第1ボイド31及び第2ボイド51を形成してもよい。
【0073】
(実施形態に係るプリント配線板の効果)
以下に、プリント配線板100の効果を説明する。
【0074】
プリント配線板100の温度が上昇することにより、隣り合う第1導電パターン20(第2導電パターン40)の部分の間にある第1絶縁層30(第2絶縁層50)が熱膨張し、プリント配線板100を反らせることがある。
【0075】
しかしながら、プリント配線板100では、第1絶縁層30中(第2絶縁層50中)に複数の第1ボイド31(第2ボイド51)が存在しているため、第1絶縁層30(第2絶縁層50)の実効的な弾性率及び熱膨張率が低下している。そのため、プリント配線板100によると、温度上昇に伴う反りを抑制することが可能となる。
【0076】
温度上昇に伴うプリント配線板100の反りは、第1絶縁層30(第2絶縁層50)の弾性率及び熱伝導率が高い場合に、顕著になる。プリント配線板100によると、このような場合でも温度上昇に伴う反りを抑制することができる。このことを別の観点から言えば、プリント配線板100によると、第1絶縁層30(第2絶縁層50)に弾性率及び熱伝導率が高い材料(すなわち、耐熱性が高い材料)を用いることにより、耐熱性を改善することができる。
【0077】
温度上昇に伴うプリント配線板100の反りは、第1パターン率及び第2パターン率が異なる場合に、顕著になる。また、温度上昇に伴うプリント配線板100の反りは、第1導電パターン20(第2導電パターン40)のアスペクト比が大きい場合に、顕著になる。さらに、温度上昇に伴うプリント配線板100の反りは、ベースフィルム10が薄い場合に、顕著になる。プリント配線板100によると、これらのような場合であっても、温度上昇に伴う反りを抑制することができる。
【0078】
(シミュレーション)
以下に、プリント配線板100の効果を確認するために行ったシミュレーションを説明する。このシミュレーションでは、表1に示されるように、プリント配線板100のサンプルとして、サンプル1からサンプル25が用いられた。
【0079】
【表1】
【0080】
サンプル1からサンプル25では、第1絶縁層30の弾性率(第1絶縁層30の構成材料の弾性率)及び第2絶縁層50の弾性率(第2絶縁層50の構成材料の弾性率)が、4GPa及び12GPaのいずれかとされた。また、サンプル1からサンプル25では、第1絶縁層30の熱膨張率(第1絶縁層30の構成材料の熱伝導率)及び第2絶縁層50の熱膨張率(第2絶縁層50の構成材料の熱伝導率)が、4.5×10-5/K及び9.0×10-5/Kのいずれかとされた。
【0081】
サンプル1からサンプル25では、第1絶縁層30中の第1ボイド31の面積率及び第2絶縁層50中の第2ボイド51の面積率が0パーセント、5パーセント、10パーセント、20パーセント及び30パーセントのいずれかとされた。サンプル1からサンプル25では、第1パターン率が50パーセント及び70パーセントのいずれかとされ、第2パターン率が65パーセント及び85パーセントのいずれかとされた。
【0082】
サンプル1からサンプル25では、高さH1及び高さH2が、50μm及び70μmのいずれかとされた。なお、表1には示されていないが、サンプル1からサンプル25では、厚さT1が12.5μmとされた。また、サンプル1からサンプル25の平面形状は、1cm角の正方形とされた。
【0083】
サンプル1からサンプル25に対しては、反り量が計算された。反り量は、サンプルを平坦な基準面上に置いた際の基準面と基準面から最も離れたサンプルの位置との間の距離として定義した。また、反り量は、サンプルの温度を50℃上昇させて計算した。
【0084】
表1に示されるように、サンプル1の反り量はサンプル2からサンプル5の反り量よりも大きくなっており、サンプル6の反り量はサンプル7からサンプル10の反り量よりも大きくなっていた。サンプル11の反り量はサンプル12からサンプル15の反り量よりも大きくなっており、サンプル16の反り量はサンプル17からサンプル20の反り量よりも大きくなっていた。サンプル21の反り量は、サンプル22からサンプル25の反り量よりも大きくなっていた。
【0085】
サンプル1では、第1絶縁層30中に第1ボイド31が存在しておらず、第2絶縁層50中に第2ボイド51が存在していなかった。サンプル1は、第1絶縁層30中の第1ボイド31の面積率及び第2絶縁層50中の第2ボイド51の面積率を除いて、サンプル2からサンプル5と同様であった。
【0086】
サンプル6では、第1絶縁層30中に第1ボイド31が存在しておらず、第2絶縁層50中に第2ボイド51が存在していなかった。サンプル6は、第1絶縁層30中の第1ボイド31の面積率及び第2絶縁層50中の第2ボイド51の面積率を除いて、サンプル7からサンプル10と同様であった。
【0087】
サンプル11では、第1絶縁層30中に第1ボイド31が存在しておらず、第2絶縁層50中に第2ボイド51が存在していなかった。サンプル11は、第1絶縁層30中の第1ボイド31の面積率及び第2絶縁層50中の第2ボイド51の面積率を除いて、サンプル12からサンプル15と同様であった。
【0088】
サンプル16では、第1絶縁層30中に第1ボイド31が存在しておらず、第2絶縁層50中に第2ボイド51が存在していなかった。サンプル16は、第1絶縁層30中の第1ボイド31の面積率及び第2絶縁層50中の第2ボイド51の面積率を除いて、サンプル17からサンプル20と同様であった。
【0089】
サンプル21では、第1絶縁層30中に第1ボイド31が存在しておらず、第2絶縁層50中に第2ボイド51が存在していなかった。サンプル21は、第1絶縁層30中の第1ボイド31の面積率及び第2絶縁層50中の第2ボイド51の面積率を除いて、サンプル22からサンプル25と同様であった。
【0090】
これらの比較から、第1絶縁層30中(第2絶縁層50中)に第1ボイド31(第2ボイド51)が存在していることによりプリント配線板100の温度上昇に伴う反りが抑制されることが、シミュレーション上も明らかになった。
【0091】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記の実施形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
10 ベースフィルム、10a 第1面、10b 第2面、10c 貫通穴、20 第1導電パターン、21 第1シード層、22 第1芯体、23 第1シュリンク層、30 第1絶縁層、31 第1ボイド、32 マイクロカプセル、40 第2導電パターン、41 第2シード層、42 第2芯体、43 第2シュリンク層、50 第2絶縁層、51 第2ボイド、52 マイクロカプセル、60 レジスト、100 プリント配線板、H1,H2 高さ、S1 準備工程、S2 導電パターン形成工程、S3 絶縁層形成工程、S21 シード層形成工程、S21a 第1層形成工程、S21b 貫通穴形成工程、S21c 第2層形成工程、S22 レジスト形成工程、S23 第1電解めっき工程、S24 レジスト除去工程、S25 シード層除去工程、S26 第2電解めっき工程、S31 マイクロカプセル混入工程、S32 絶縁材料塗布工程、S33 絶縁材料硬化工程、T1 厚さ、W1,W2 幅。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B