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特開2024-16334保護シート、保護シート付き断熱材、断熱方法、コンクリート基礎、コンクリート基礎の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016334
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】保護シート、保護シート付き断熱材、断熱方法、コンクリート基礎、コンクリート基礎の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/62 20060101AFI20240131BHJP
   E04B 1/64 20060101ALI20240131BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20240131BHJP
   E04B 1/92 20060101ALI20240131BHJP
   E04B 1/80 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
E04B1/62 Z
E04B1/64 A
E04B1/76 500Z
E04B1/92
E04B1/64 Z
E04B1/80 100H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118368
(22)【出願日】2022-07-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行日 令和4年4月1日 刊行物 NSP Fシート 後貼シリーズvol.3
(71)【出願人】
【識別番号】000128038
【氏名又は名称】株式会社エヌ・エス・ピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 欣也
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001DB04
2E001DH25
2E001DH35
2E001EA01
2E001FA04
2E001FA16
2E001FA21
2E001GA12
2E001GA24
2E001GA82
2E001HA33
2E001HD03
2E001HD11
2E001KA01
2E001LA04
(57)【要約】
【課題】建物の構成要素を保護するための保護シートを提供する。
【解決手段】保護シート100は、建物の構成要素側となる第一層101aと、耐候剤を含み、液体および気体の侵入を抑制する第二層102aと、第三層103aと、をこの順で含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の構成要素を保護するための保護シートであって、
前記構成要素側となる第一層と、
耐候剤を含み、液体および気体の侵入を抑制する第二層と、
第三層と、
をこの順で含む保護シート。
【請求項2】
建物の構成要素を保護するための保護シートであって、
前記構成要素側となる第一層と、
液体および気体の侵入を抑制する第二層と、
第三層と、
液体および気体の侵入を抑制する第四層と、
第五層と、
をこの順で含み、
前記第二層および前記第四層の少なくとも一方は耐候剤を含む、
保護シート。
【請求項3】
前記第五層の、前記第四層とは反対側に、塗料から成る第六層をさらに含む、
請求項2に記載の保護シート。
【請求項4】
前記構成要素は、コンクリート基礎または断熱材である、
請求項1から3のいずれか1に記載の保護シート。
【請求項5】
断熱材と、
前記断熱材の少なくとも一つの面に接着された請求項1から3のいずれか1項に記載の保護シートと、
を備える保護シート付き断熱材。
【請求項6】
請求項5に記載の保護シート付き断熱材を使用して建物を断熱する、
断熱方法。
【請求項7】
外周基礎と、
前記外周基礎の屋外側の面に配置された請求項1から3のいずれか1項に記載の保護シートと、
を備えるコンクリート基礎。
【請求項8】
外周基礎と、
前記外周基礎の屋外側の面に配置された断熱材と、
前記断熱材の屋外側の面に配置された請求項1から3のいずれか1項に記載の保護シートと、
を備えるコンクリート基礎。
【請求項9】
屋外側に断熱材が配置された外周基礎を形成する工程と、
前記断熱材の屋外側の面に請求項1から3のいずれか1項に記載の保護シートを貼り付ける工程と、
を含むコンクリート基礎の製造方法。
【請求項10】
外周基礎を形成する工程と、
請求項5に記載の保護シート付き断熱材を、前記外周基礎の屋外側の面に貼り付ける工程と、
を含むコンクリート基礎の製造方法。
【請求項11】
外周基礎を形成するための一対の型枠を配置する工程と、
屋外側の前記型枠の内側に、請求項5に記載の保護シート付き断熱材を配置する工程と、
前記保護シート付き断熱材と屋内側の前記型枠との間にコンクリートを打設する工程と、
前記コンクリートが硬化した後、前記一対の型枠を取り外す工程と、
を含むコンクリート基礎の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の構成要素を保護するための保護シートに関する。本発明は、当該保護シートを備えた断熱材に関する。本発明は、当該保護シートを備えたコンクリート基礎に関する。本発明は、当該コンクリート基礎の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは様々な要因により劣化する。例えば、コンクリート内に酸性雨や二酸化炭素が侵入すると、コンクリートが中性化することが知られている。鉄筋コンクリートが中性化すると、コンクリート内の鉄筋が錆び、鉄筋が膨張することでコンクリートのひび割れが生じる。
【0003】
特許文献1は、立ち上がり部を有する鉄筋コンクリート造の基礎構造であって、上端が前記立ち上がり部の内部に配設された鉄筋の上端よりも上方、且つ、前記立ち上がり部の天端面より下方に位置し、下端が地盤上に敷設されている土間コンクリートの上面よりも上方に位置するように、コンクリートの中性化を抑制する養生シートが、前記立ち上がり部の内側面にのみ貼り付けられており、前記立ち上がり部の上端側は、レベリング材を施工してなる平滑な仕上層が形成されていることを特徴とする基礎構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5835390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンクリートは、紫外線によっても劣化する。この点、特許文献1は、紫外線によるコンクリート基礎の劣化を防止することについて何ら開示していない。さらに、特許文献1は、例えば断熱材といった、コンクリート基礎以外の建物の構成要素の保護についても、何ら開示していない。
【0006】
本発明は、建物の構成要素を保護するための保護シートを提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、上記保護シートを備えた断熱材を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、上記保護シートを備えたコンクリート基礎を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、上記コンクリート基礎の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下に掲げる態様の発明を提供する。
(項目1)
建物の構成要素を保護するための保護シートであって、
前記構成要素側となる第一層と、
耐候剤を含み、液体および気体の侵入を抑制する第二層と、
第三層と、
をこの順で含む保護シート。
【0011】
(項目2)
建物の構成要素を保護するための保護シートであって、
前記構成要素側となる第一層と、
液体および気体の侵入を抑制する第二層と、
第三層と、
液体および気体の侵入を抑制する第四層と、
第五層と、
をこの順で含み、
前記第二層および前記第四層の少なくとも一方は耐候剤を含む、
保護シート。
【0012】
(項目3)
前記第五層の、前記第四層とは反対側に、塗料から成る第六層をさらに含む、
項目2に記載の保護シート。
【0013】
(項目4)
前記構成要素は、コンクリート基礎または断熱材である、
項目1から3のいずれか1に記載の保護シート。
【0014】
(項目5)
断熱材と、
前記断熱材の少なくとも一つの面に接着された項目1から3のいずれか1項に記載の保護シートと、
を備える保護シート付き断熱材。
【0015】
(項目6)
項目5に記載の保護シート付き断熱材を使用して建物を断熱する、
断熱方法。
【0016】
(項目7)
外周基礎と、
前記外周基礎の屋外側の面に配置された項目1から3のいずれか1項に記載の保護シートと、
を備えるコンクリート基礎。
【0017】
(項目8)
外周基礎と、
前記外周基礎の屋外側の面に配置された断熱材と、
前記断熱材の屋外側の面に配置された項目1から3のいずれか1項に記載の保護シートと、
を備えるコンクリート基礎。
【0018】
(項目9)
屋外側に断熱材が配置された外周基礎を形成する工程と、
前記断熱材の屋外側の面に項目1から3のいずれか1項に記載の保護シートを貼り付ける工程と、
を含むコンクリート基礎の製造方法。
【0019】
(項目10)
外周基礎を形成する工程と、
項目5に記載の保護シート付き断熱材を、前記外周基礎の屋外側の面に貼り付ける工程と、
を含むコンクリート基礎の製造方法。
【0020】
(項目11)
外周基礎を形成するための一対の型枠を配置する工程と、
屋外側の前記型枠の内側に、項目5に記載の保護シート付き断熱材を配置する工程と、
前記保護シート付き断熱材と屋内側の前記型枠との間にコンクリートを打設する工程と、
前記コンクリートが硬化した後、前記一対の型枠を取り外す工程と、
を含むコンクリート基礎の製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の保護シートを建物の構成要素に使用することにより、紫外線、雨などの液体および気体(外気)によって、建物の構成要素が劣化することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第一実施形態に係る保護シートの概略図である。
図2】第一実施形態に係る保護シートの変形例の概略図である。
図3】第二実施形態に係る保護シートの概略図である。
図4】第二実施形態に係る保護シートの変形例の概略図である。
図5】保護シート付き断熱材の概略図である。
図6A】第一実施形態に係るコンクリート基礎の断面図である。
図6B】第一実施形態に係るコンクリート基礎の変形例の断面図である。
図7A】第一実施形態に係るコンクリート基礎の製造工程を示す概略図である。
図7B】第一実施形態に係るコンクリート基礎の製造工程を示す概略図である。
図7C】第一実施形態に係るコンクリート基礎の製造工程の変形例を示す概略図である。
図8】第二実施形態に係るコンクリート基礎の断面図である。
図9A】第二実施形態に係るコンクリート基礎の製造工程を示す概略図である。
図9B】第二実施形態に係るコンクリート基礎の製造工程を示す概略図である。
図10】第二実施形態に係るコンクリート基礎の製造工程の変形例を示す概略図である。
図11A】第二実施形態に係るコンクリート基礎の製造工程の変形例を示す概略図である。
図11B】第二実施形態に係るコンクリート基礎の製造工程の変形例を示す概略図である。
図11C】第二実施形態に係るコンクリート基礎の製造工程の変形例を示す概略図である。
図12A】第二実施形態に係るコンクリート基礎の製造工程の変形例を示す概略図である。
図12B】第二実施形態に係るコンクリート基礎の製造工程の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の保護シート、保護シート付き断熱材、断熱方法、コンクリート基礎、コンクリート基礎の製造方法について説明する。
【0024】
<1.保護シート>
図1から図4を参照して、建物の構成要素を保護するための保護シート100(100A,100B)について説明する。以下、「建物の構成要素」を、単に「構成要素」と表記することがある。
【0025】
保護シート100は、建物の構成要素に悪影響を与える有害物質から構成要素を保護し、構成要素の劣化を防止する。一実施形態において、保護シート100は、構成要素を、紫外線、雨などの液体および二酸化炭素などの気体のうちの少なくとも1つから保護する。構成要素としては、例えば、コンクリート基礎(以下、単に「基礎」と表記することがある。)または断熱材が挙げられ、より具体的には、住宅用の基礎または住宅用の断熱材が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
一実施形態において、保護シート100は、二回打ち工法によって施工された基礎の打ち継ぎ目から、基礎内に液体の水が侵入することを防止する。一実施形態において、保護シート100は、基礎のコンクリートの中性化を防止する。一実施形態において、住宅用の基礎は、外周の立ち上がり部(以下、「外周基礎」と表記する。)および外周基礎よりも屋内側の立ち上がり部(以下、「内周基礎」と表記する。)を備え、保護シート100は、少なくとも外周基礎の屋外側の面の少なくとも一部に配置される。基礎の種類としては、例えば、ベタ基礎または布基礎が挙げられる。
【0027】
一実施形態において、保護シート100は、断熱材の劣化を防止する。断熱材は、例えば、外周基礎の屋外側もしくは屋内側に配置される断熱材、内周基礎の一方もしくは両方の側面に配置される断熱材、ベース部上に配置される断熱材、外壁に配置される断熱材(外断熱もしくは内断熱で使用される断熱材)または屋根に配置される断熱材を含むが、これらに限定されない。
【0028】
[第一実施形態]
図1を参照して、第一実施形態に係る保護シート100Aについて説明する。
【0029】
[保護シートの構造]
保護シート100Aは、第一層101a、第二層102aおよび第三層103aをこの順で含む。保護シート100Aは、透湿性かつ防水性であることが好ましい。また、保護シート100Aの全体の厚みは、1mm以下であることが好ましい。
【0030】
第一層101aは、保護シート100Aの使用時に、構成要素に接触する層である。第一層101aは、構成要素と密着することが好ましい。この観点から、第一層101aは、構成要素の表面の凹凸に合わせて変形可能なように、柔軟性を有することが好ましい。
【0031】
一実施形態において、第一層101aは、接着剤によって、構成要素に接着される。あるいは、保護シート100Aが基礎に使用される場合、保護シート100Aは、コンクリートを流し込む前に型枠にあらかじめ取り付けられ、型枠間に流し込まれたコンクリートが第一層101aに染み込み、染み込んだコンクリートが硬化することで、コンクリートに接着される。
【0032】
接着剤またはコンクリートを染み込みやすくするために、第一層101aは、多孔質シートから構成されることが好ましい。多孔質シートとしては、例えば、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布またはニードルパンチ不織布といった不織布シートが挙げられる。不織布シートの材質は、例えば、ポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの合成樹脂が挙げられる。第一層101aが多孔質シートであることにより、第一層101aの透湿性も確保できる。
【0033】
第二層102aは、紫外線、液体および気体が構成要素に侵入することを防止するバリア層である。第二層102aは、紫外線の侵入を抑制するための耐候剤を含む。耐候剤は、紫外線防止剤を含む。紫外線防止剤は、ベンソトリアゾール系などの紫外線吸収剤および/または酸化チタンなどの紫外線散乱剤を含む。耐候剤が紫外線吸収剤を含む場合、耐候剤は、ヒンダードアミン系光安定剤などのラジカル捕捉剤をさらに含んでいてもよい。一実施形態において、第二層102aは、耐候剤を含む合成樹脂から成るシート状の薄層である。第二層102aは、透湿性かつ防水性を有することが好ましい。合成樹脂は、液体および気体の侵入を抑制できれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0034】
一実施形態において、第三層103aは、第一層101aおよび第二層102aよりも高い曲げ剛性を有する補強層であってもよい。第三層103aは、寸法安定性を有するシートから構成されていてもよい。第三層103aは、透湿性を有することが好ましい。第三層103aとしては、例えば、ガラス繊維や炭素繊維を含有するシート、より具体的にはこれらの繊維から構成される多孔質シート(例えば、不織布シート)を使用できる。第三層103aには、例えば、ガラスペーパーを使用できる。第三層103aが多孔質シートから構成されることにより、第三層103aの透湿性を確保できる。
【0035】
[保護シートの製造方法]
保護シート100Aの製造方法の一例について説明する。
【0036】
第一層101aを構成するシートおよび第三層103aを構成するシートを準備する。耐候剤を含有した、第二層102aを構成することになる合成樹脂の溶融物を準備する。第一層101aおよび第三層103aの少なくとも一方にその溶融物を塗布し、第一層101aと第三層103aとを積層し、乾燥させる。この溶融物は、第一層101aと第三層103aとを接着する接着剤としての役割を果たすと共に、乾燥すると、耐候剤を含む合成樹脂のシートになり、第二層102aを形成する。こうして、保護シート100Aが完成する。
【0037】
[保護シートの特徴]
本発明の保護シート100Aを建物の構成要素に対して使用することにより、紫外線、液体および気体といった構成要素に有害な物質から、構成要素を保護できる。
【0038】
保護シート100Aを基礎に取り付けることにより、紫外線、雨および二酸化炭素が基礎内に侵入することを防止できる。これにより、基礎のコンクリートの中性化を防止できる。また、保護シート100Aを断熱材に貼り付けることにより、紫外線、雨および外気が断熱材に当たることを防止できる。これにより、断熱材の劣化を防止できる。
【0039】
耐候剤を含む層が最外層の場合、耐候剤を含む層に日光や雨が直接当たることで、耐候剤を含む層が早期に劣化するおそれがある。あるいは、耐候剤を含む層が最外層の場合、耐候剤を含む層に物が当たるなどして、耐候剤を含む層が損傷するおそれもある。これに対し、本発明の保護シート100Aでは、耐候剤を含む第二層102aは、第一層101aと第三層103aとの間に配置されており、最外層ではない。したがって、第二層102aに、日光、雨および物が直接当たることがないため、第二層102aの機能を長期にわたって維持できる。
【0040】
従来のように、基礎や断熱材の表面をモルタル仕上げしている場合、モルタルは吸水性が高いため、雨や雪の水分を吸収する。冬期には、モルタル中の水分の凍結および融解が繰り返されるため、モルタルのひび割れや剥離が生じる可能性がある。また、モルタルの吸水性が高いことにより、モルタルが保湿状態になりやすく、断熱材にカビが発生する可能性がある。これに対し、保護シート100Aは、透湿性かつ防水性を有しているため、保護シート100A内に水分が溜まりにくく、モルタルと比較して、基礎や断熱材から剥離し難くなる。また、保護シート100Aを断熱材に対して使用した場合に、断熱材にカビが発生し難くなる。
【0041】
[保護シートの変形例]
第一実施形態に係る保護シート100Aは、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下に、第一実施形態に係る保護シート100Aの変形例を説明する。以下で説明する変形例は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせ可能である。
【0042】
(1)第二層102a以外の層も耐候剤を含んでいてもよい。
【0043】
(2)第一層101aは、多孔質シートに代えて、粘着剤から成る粘着層であってもよい。第一層101aが粘着層であることにより、第一層101aおよび構成要素に接着剤を塗布することなく、保護シート100Aを構成要素に貼り付けることができる。粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤が挙げられるが、これらに限定されない。第一層101aが粘着層から構成される場合、保護シート100Aは、粘着層に貼り付けられた剥離層をさらに含んでいてもよい。剥離層は、保護シート100Aの非使用時に、粘着層の乾燥を防止して、粘着層の粘着性を維持する。剥離層は、保護シート100Aの使用時に、粘着層から剥離可能である。剥離層としては、例えば、シリコーン系剥離剤が塗布された剥離シートを使用できる。剥離層は、粘着層とは反対側の面に、目盛を備えていてもよい。目盛は、方眼目盛であってもよい。剥離層に目盛が設けられていることにより、目盛に合わせて、簡単に保護シート100Aを任意の大きさに切断することができる。
【0044】
(3)第三層103aは、第一層101aと同様の、多孔質シート(合成樹脂製の不織布シートなど)であってもよい。これにより、第一層101aおよび第三層103aのどちらを構成要素側にしてもよいため、使い勝手がよくなる。
【0045】
(4)第三層103aは、塗料のための下地層であってもよい。すなわち、第三層103aに対して塗料を塗布または噴霧することが意図されている場合、第三層103aは、塗料が付着しやすいようにするための層であってもよい。下地層である第三層103aには、例えば、第一層101aと同様の、不織布シートなどの多孔質シートを採用することができる。第三層103aは、補強層と下地層を兼ねていてもよい。
【0046】
(5)保護シート100Aは、第一層101a、第二層102aおよび第三層103a以外の層をさらに含んでいてもよい。例えば、保護シート100Aは、図2に示すように、第三層103aの、第二層102aとは反対側に、塗料層である第四層104aをさらに含んでいてもよい。保護シート100Aが塗料層を含むことにより、構成要素の美的外観を向上させることができる。塗料層は、耐候剤を含んでいてもよい。
【0047】
(6)第三層103aが補強層であり、第四層104aが塗料のための下地層であってもよい。そして、保護シート100Aは、第四層104aの、第三層103aとは反対側に、塗料層である第五層をさらに含んでいてもよい。塗料層は、耐候剤を含んでいてもよい。
【0048】
(7)保護シート100Aの少なくとも1つの層は、防虫剤または防蟻剤を含んでいてもよい。
【0049】
(8)保護シート100Aは、あらかじめシート化された耐候剤入りの合成樹脂シートを、第一層101aおよび第三層103aに接着剤で接着することによって、製造されてもよい。この接着剤は、耐候剤を含んでいてもよい。
【0050】
[第二実施形態]
次に、図3を参照して、第二実施形態に係る保護シート100Bについて説明する。以下では、第一実施形態に係る保護シート100Aとの相違点を中心に説明する。
【0051】
[保護シートの構造]
第二実施形態に係る保護シート100Bは、第一層101b、第二層102b、第三層103b、第四層104bおよび第五層105bをこの順で含む。保護シート100Bは、透湿性かつ防水性であることが好ましい。また、保護シート100Bの全体の厚みは、1mm以下であることが好ましい。
【0052】
第二実施形態に係る保護シート100Bの第一層101b、第二層102bおよび第三層103bは、第一実施形態に係る保護シート100Aの第一層101a、第二層102aおよび第三層103aとそれぞれ同じ構成であるため、説明を省略する。なお、第二実施形態に係る保護シート100Bの第三層103bは、第一実施形態に係る保護シート100Aの第三層103aと異なり、塗料のための下地層になることはない。
【0053】
第四層104bは、第二層102bと同様に、紫外線、液体および気体の侵入を抑制するバリア層である。第四層104bの構成は、第二層102b(すなわち、第二層102a)と同じ構成を採用することができる。なお、第四層104bの材質や耐候剤の種類は、第二層102bと同一であっても、異なっていてもよい。
【0054】
第二実施形態に係る保護シート100Bにおいて、第二層102bまたは第四層104bの一方が耐候剤を含んでいればよく、第二層102bおよび第四層104bの両方が耐候剤を含んでいることが好ましい。
【0055】
一実施形態において、第五層105bは、塗料のための下地層である。下地層である第五層105bには、第一層101bと同様の、多孔質シート(合成樹脂製の不織布シートなど)を採用することができる。
【0056】
第二実施形態に係る保護シート100Bは、第一実施形態に係る保護シート100Aと同様の製造方法によって製造できる。すなわち、第二層102bを構成することになる合成樹脂の溶融物および第四層104bを構成することになる合成樹脂の溶融物を準備する。これら二つの溶融物の少なくとも一方は、耐候剤を含んでいる。第二層102bを構成することになる合成樹脂の溶融物を、第一層101bおよび/または第三層103bに塗布し、第一層101bと第三層103bを積層し、乾燥させる。第四層104bを構成することになる合成樹脂の溶融物を、第三層103bおよび/または第五層105bに塗布し、第一層101bおよび第三層103bが積層された積層物と第五層105bを積層し、乾燥させる。こうして、保護シート100Bが完成する。
【0057】
[保護シートの特徴]
第二実施形態に係る保護シート100Bは、第一実施形態に係る保護シート100Aの特徴に加え、以下の特徴をさらに有する。
【0058】
保護シート100Bは、液体および気体の侵入を抑制するバリア層として二つの層(すなわち、第二層102bおよび第四層104b)を含むため、液体および気体が構成要素内に侵入することをより効果的に抑制できる。
【0059】
第二層102bおよび第四層104bの両方が耐候剤を含むことにより、紫外線が構成要素に当たることをより効果的に防止できる。
【0060】
[保護シートの変形例]
第二実施形態に係る保護シート100Bは、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下に、第二実施形態に係る保護シート100Bの変形例を説明する。以下で説明する変形例は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせ可能である。なお、第一実施形態に係る保護シート100Aの変形例で説明した構成は、保護シート100Bにも適宜適用できる。
【0061】
(1)第二層102bおよび第四層104b以外の層も耐候剤を含んでいてもよい。
【0062】
(2)第一層101bは、保護シート100Aの第一層101aと同様に、多孔質シートに代えて、粘着剤から成る粘着層であってもよい。また、保護シート100Bは、保護シート100Aと同様に、粘着層に貼り付けられる剥離層をさらに含んでいてもよい。
【0063】
(3)第五層105bは、第一層101bと同様の、不織布シートなどの多孔質シートであってもよい。これにより、第一層101bおよび第五層105bのどちらを構成要素側にしてもよいため、使い勝手がよくなる。
【0064】
(4)第五層105bは、第三層103bと同様の補強層であってもよい。
【0065】
(5)保護シート100Bは、第一層101b、第二層102b、第三層103b、第四層104bおよび第五層105b以外の層をさらに含んでいてもよい。図4に示すように、保護シート100Bは、下地層である第五層105bの、第四層104bとは反対側に、塗料層である第六層106bをさらに含んでいてもよい。保護シート100Bが塗料層を含むことにより、構成要素の美的外観を向上させることができる。塗料層は、耐候剤を含んでいてもよい。
【0066】
(6)第五層105bが補強層であり、第六層106bが塗料のための下地層であってもよい。そして、保護シート100Bは、第六層106bの、第五層105bとは反対側に、塗料層である第七層をさらに含んでいてもよい。塗料層は、耐候剤を含んでいてもよい。
【0067】
(7)保護シート100Bの少なくとも1つの層は、防虫剤または防蟻剤を含んでいてもよい。
【0068】
<2.保護シート付き断熱材および断熱方法>
図5を参照して、保護シート付き断熱材200について説明する。また、保護シート付き断熱材200を使用した建物の断熱方法についても説明する。
【0069】
[保護シート付き断熱材の構造]
保護シート付き断熱材200は、保護シート100と、断熱材201と、を含む。保護シート100の第一層101a,101bは、断熱材201の少なくとも1つの面に、好ましくは密着している。
【0070】
断熱材201としては、建物、特に住宅に使用される一般的な断熱材を使用できる。断熱材201は、例えば、発泡ウレタンである。断熱材20の形状は、特に限定されないが、例えば、直方体である。
【0071】
保護シート100を断熱材201に取り付ける方法は特に限定されない。保護シート100は、例えば接着剤または両面テープによって、断熱材201に貼り付けることができる。保護シート100の第一層101a,101bが粘着層である場合、保護シート100は、その粘着層によって、断熱材201に貼り付けることができる。あるいは、断熱材201が発泡ウレタンなどの発泡樹脂製である場合、金型内に、保護シート100を配置し、発泡成分をその金型内に流し込んで加熱加圧下で発泡成分を発泡させることにより、保護シート100と断熱材201とを一体化することができる。
【0072】
保護シート100が、断熱材201の2つの面(両面)に貼り付けられる場合、両面に同一の保護シート(保護シート100Aまたは保護シート100B)が貼り付けられてもよく、各面に異なる保護シート(一方の面に保護シート100A、他方の面に保護シート100B)が貼り付けられてもよい。
【0073】
[断熱方法]
保護シート付き断熱材200を建物に使用することで、建物を断熱できる。保護シート付き断熱材200は、例えば、外周基礎の屋外側もしくは屋内側に配置される断熱材、内周基礎の一方もしくは両方の側面に配置される断熱材、ベース部上に配置される断熱材、外壁に配置される断熱材(外断熱もしくは内断熱で使用される断熱材)または屋根に配置される断熱材として使用できる。
【0074】
[保護シート付き断熱材および断熱方法の特徴]
断熱材201に保護シート100が取り付けられていることにより、断熱材201の劣化を防止できる。断熱材201の劣化を防止できることにより、長期にわたって断熱性能を維持できる。また、断熱材201の劣化を防止できることにより、メンテナンスコストを抑えることができる。
【0075】
特に、断熱材201の中でも、外周基礎の屋外側に配置される断熱材および外断熱に使用される断熱材は、紫外線、雨および外気に曝されるため、早期に劣化し易い。このような断熱材として、保護シート付き断熱材200を使用することにより、断熱材の劣化を抑制することができる。
【0076】
<3.基礎および基礎の製造方法>
保護シート100を含む住宅用の基礎300A,300B、および基礎300A,300Bの製造方法について説明する。以下では、基礎300A,300Bとして、ベタ基礎を例に挙げ説明するが、既に述べたように、基礎300A,300Bは、例えば布基礎であってもよい。
【0077】
[第一実施形態]
図6Aを参照して、第一実施形態に係る基礎300Aについて説明する。
【0078】
[基礎の構造]
基礎300Aは、ベース部301と、外周基礎302と、内周基礎(不図示)と、鉄筋303と、保護シート100と、を備える。なお、ベース部301、外周基礎302、内周基礎および鉄筋303を合わせて「基礎本体」と表記することがある。鉄筋303は、ベース部301、外周基礎302および内周基礎内に埋設されている。保護シート100は、外周基礎302の屋外側の面の少なくとも一部に配置される。
【0079】
基礎300Aが二回打ち工法により施工される場合、保護シート100は、その下端が、ベース部301と外周基礎302との間の打ち継ぎ目よりも下方に位置するように、配置されることが好ましい。これにより、打ち継ぎ目を保護シート100により隠すことができるため、雨が打ち継ぎ目から基礎本体内に侵入することを防止できる。
【0080】
保護シート100は、その上端が、外周基礎302内の鉄筋303の上端と同じ位置か、鉄筋303の上端よりも高くなるように配置されることが好ましい。保護シート100は、その上端が、外周基礎302の天端面と同じ高さであるか、外周基礎302の天端面よりも高くなるように配置されることが好ましい。保護シート100は、その下端が、グランドライン(GL)よりも下方に位置するように、配置されることが好ましい。
【0081】
保護シート100は、図6Aに示すように、基礎本体のうち、GLよりも上方の部分(すなわち、地盤面から露出する部分)の屋外側の面の高さ方向全長を覆っていることが好ましい。図6Aに示す実施形態では、保護シート100は、第一層101a,101bが、ベース部301の屋外側の面および外周基礎302の屋外側の面に密着するように、外周基礎302からベース部301の一部にかけて配置されている。
【0082】
[基礎の特徴]
ベース部301および外周基礎302の屋外側の面は、紫外線、雨および外気に曝される。そのため、ベース部301および外周基礎302の劣化は、主に、屋外側の面から進行する。ベース部301および外周基礎302の屋外側の面に保護シート100が取り付けられていることにより、紫外線、雨および二酸化炭素といった有害物質がベース部301および外周基礎302内に侵入することを防止できる。その結果、ベース部301および外周基礎302の劣化、特にはベース部301および外周基礎302のコンクリートの中性化を防止できる。
【0083】
保護シート100の下端が、GLよりも下方に存在し、保護シート100の上端が、外周基礎302内の鉄筋303の上端と同じ位置か、それよりも高い位置に存在することにより、ベース部301および外周基礎302内の鉄筋303が錆びることを抑制できる。また、保護シート100の下端が、GLよりも下方に存在し、保護シート100の上端が、外周基礎302の天端面と同じ高さであるか、またはそれよりも高い位置に存在することにより、ベース部301および外周基礎302の屋外側の面のうち、GLよりも上方の部分の高さ方向全長を保護シート100によって保護できる。
【0084】
[基礎の変形例]
基礎300Aは、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下に、基礎300Aの変形例を説明する。以下で説明する変形例は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせ可能である。
【0085】
(1)図6Bに示すように、外周基礎302の天端面の少なくとも一部は、保護シート100によって覆われていてもよい。外周基礎302の天端面は、外周基礎302の屋外側に配置された保護シート100の上部を折り曲げることによって、覆うことができる。あるいは、外周基礎302の天端面は、外周基礎302の屋外側に配置された保護シート100とは別の保護シート100によって覆うこともできる。
【0086】
(2)外周基礎302の屋内側の面、内周基礎の一方もしくは両方の側面、内周基礎の天端面またはベース部301の上面にも、保護シート100が配置されてもよい。
【0087】
[基礎の製造方法]
図7Aおよび図7Bを参照して、基礎300Aの製造方法について説明する。以下では、一回打ち工法により、基礎300Aを製造する方法について説明するが、基礎300Aの施工方法は、二回打ち工法であってもよい。
【0088】
図7Aに示すように、ベース部301および外周基礎302を施工するための一対の型枠401,402を準備し、屋外側(外側)の型枠401の内面に、保護シート100を取り付ける。保護シート100は、第一層101a,101bが屋内側の型枠402を向くように配置される。保護シート100は、例えばテープや磁石によって、型枠401に固定される。一対の型枠401,402間の間隔を保持する間隔保持具500などを使用して、一対の型枠401,402を固定する。
【0089】
図7Bに示すように、一対の型枠401,402間にコンクリートを打設する。コンクリートが保護シート100の第一層101a,101bに染み込み、コンクリートが硬化する過程で、保護シート100がコンクリートと一体化される。
【0090】
コンクリートが硬化したら、型枠401,402および間隔保持具500を取り外す。保護シート100が外周基礎302の天端面よりも上方にはみ出ている場合、そのはみ出た部分を切断し、保護シート100の上端位置を外周基礎302の天端面と面一にする。あるいは、保護シート100のはみ出た部分を、外周基礎302の天端面上に折り返し、外周基礎302の天端面の少なくとも一部を保護シート100で覆う。こうして、保護シート100を備えた基礎300Aが完成する。
【0091】
[基礎の製造方法の変形例]
基礎300Aの製造方法は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下に、基礎300Aの製造方法の変形例を説明する。以下で説明する変形例は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせ可能である。
【0092】
(1)図7Cに示すように、保護シート100の上端を、型枠401の天端面を巻き込むようにして、型枠401の屋外側に折り返し、保護シート100を、間隔保持具500と型枠401との間で挟むようにして、型枠401に固定してもよい。このような固定方法を実現するために、既に述べたように、保護シート100の全体の厚みは、1mm以下であることが好ましい。
【0093】
(2)保護シート100が塗料層を備えていない場合、型枠401,402を取り外した後、保護シート100に塗料を塗布または噴霧して、塗料層を設けるようにしてもよい。この塗料層は、耐候剤を含んでいてもよい。
【0094】
(3)保護シート100は、コンクリート打設前にあらかじめ型枠401に取り付けられるのではなく、基礎本体完成後に、例えば接着剤または両面テープによって、外周基礎302からベース部301にかけて貼り付けられてもよい。保護シート100の第一層101a,101bが粘着層である場合、保護シート100は、その粘着層によって、外周基礎302およびベース部301に貼り付けることができる。
【0095】
[第二実施形態]
次に、図8を参照して、第二実施形態に係る基礎300Bについて説明する。以下では、第一実施形態に係る基礎300Aとの相違点を中心に説明する。基礎300Bのうち、基礎300Aと同一の構成または機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0096】
[基礎の構造]
基礎300Bは、断熱材201を備えている点で、基礎300Aと相違する。さらに、基礎300Bは、保護シート100が、断熱材201に取り付けられている点で、基礎300Aと相違する。
【0097】
基礎300Bにおいて、断熱材201は、ベース部301および外周基礎302の屋外側に配置されている。断熱材201は、ベース部301の下端から外周基礎302の天端面まで延びている。断熱材201は、ベース部301および外周基礎302に、例えば、接着剤または両面テープによって貼り付けられている。あるいは、断熱材201は、詳細は後述するが、型枠401,402間に流し込まれるコンクリートが染み込むことにより、ベース部301および外周基礎302と一体化される。
【0098】
保護シート100は、断熱材201の屋外側の面の少なくとも一部に配置されている。保護シート100は、断熱材201の高さ方向全長にわたって配置されることが好ましい。保護シート100は、断熱材201に、例えば、接着剤または両面テープによって貼り付けられている。保護シート100の第一層101a,101bが粘着層である場合、保護シート100は、その粘着層によって、断熱材201に貼り付けることができる。
【0099】
[基礎の特徴]
断熱材201の屋外側の面は、紫外線、雨および外気に曝される。そのため、断熱材201の劣化は、主に、屋外側の面から進行する。断熱材201の屋外側の面に保護シート100が取り付けられていることにより、紫外線、雨および外気といった有害物質から断熱材201を保護できる。断熱材201の劣化を抑制できることにより、断熱性能を維持できると共に、メンテナンスコストを抑制することができる。
【0100】
[基礎の変形例]
基礎300Bは、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下に、基礎300Bの変形例を説明する。以下で説明する変形例は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせ可能である。
【0101】
(1)保護シート100は、断熱材201の天端面にも配置されていてもよい。
【0102】
(2)ベース部301および外周基礎302の屋外側の面と断熱材201との間に、保護シート100がさらに配置されていてもよい。
【0103】
(3)断熱材201は、外周基礎302の屋内側、内周基礎の一方もしくは両方の側面、ベース部301にも配置されていてもよく、それらの断熱材201にも保護シート100が取り付けられていてもよい。
【0104】
[基礎の製造方法]
図9Aおよび図9Bを参照して、基礎300Bの製造方法について説明する。
【0105】
図9Aに示すように、まず、基礎本体を形成する。次に、断熱材201を、ベース部301および外周基礎302の屋外側の面に、例えば、接着剤または両面テープによって貼り付ける。
【0106】
図9Bに示すように、保護シート100を、断熱材201の屋外側の面に、例えば、接着剤または両面テープによって貼り付ける。保護シート100の第一層101a,101bが粘着層である場合、保護シート100は、その粘着層によって、断熱材201に貼り付けられる。
【0107】
こうして、保護シート100および断熱材201を備える基礎300Bが完成する。
【0108】
[基礎の製造方法の変形例]
基礎300Bの製造方法は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下に、基礎300Bの製造方法の変形例を説明する。以下で説明する変形例は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせ可能である。
【0109】
(1)基礎本体に、断熱材201および保護シート100を順次貼り付けるのではなく、図10に示すように、基礎本体を形成した後、保護シート付き断熱材200を、ベース部301および外周基礎302の屋外側の面に、例えば、接着剤または両面テープによって貼り付けるようにしてもよい。
【0110】
(2)断熱材201は、基礎本体完成後に、基礎本体に貼り付けられるのではなく、基礎本体を施工する過程で、基礎本体に一体化されてもよい。図11Aに示すように、一対の型枠401,402を準備し、屋外側の型枠401の内側に、断熱材201を配置する。図11Bに示すように、断熱材201と型枠402との間にコンクリートを打設する。コンクリートが断熱材201に染み込み、コンクリートが硬化する過程で、断熱材201がコンクリートと一体化される。図11Cに示すように、コンクリートが硬化した後、型枠401,402および間隔保持具500を取り外し、断熱材201の屋外側の面に、保護シート100を貼り付ける。こうして、基礎300Bが完成する。
【0111】
(3)図11Aから図11Cに示す製造方法において、断熱材201の代わりに、図12Aに示すように、保護シート付き断熱材200を使用してもよい。保護シート付き断熱材200は、保護シート100が型枠401と対向し、断熱材201が型枠402と対向するように配置される。図12Bに示すように、断熱材201と型枠402との間にコンクリートを打設する。コンクリートが硬化した後、型枠401,402および間隔保持具500を取り外すことで、基礎300Bが完成する。なお、両面に保護シート100が取り付けられた保護シート付き断熱材200を使用してもよく、この場合、保護シート100にコンクリートが染み込むことで、保護シート付き断熱材200がコンクリートと一体化される。
【0112】
(4)型枠401または型枠402を使用せず、断熱材201または保護シート付き断熱材200を、型枠401または型枠402の代わりとして使用してもよい。型枠401または型枠402の代わりとして使用された断熱材201または保護シート付き断熱材200は、コンクリートが硬化した後、基礎本体から取り外されず、基礎本体用の断熱材として使用される。
【符号の説明】
【0113】
100 保護シート
100A 保護シート
101a 第一層
102a 第二層
103a 第三層
100B 保護シート
101b 第一層
102b 第二層
103b 第三層
104b 第四層
105b 第五層
106b 第六層
200 保護シート付き断熱材
201 断熱材
300A コンクリート基礎
300B コンクリート基礎
302 外周基礎
401 (屋外側の)型枠
402 (屋内側の)型枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B