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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163343
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】配管構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/04 20060101AFI20241114BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20241114BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20241114BHJP
   F16L 21/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F16L5/04
F16L5/00 N
F16L5/02 F
F16L21/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024160135
(22)【出願日】2024-09-17
(62)【分割の表示】P 2020061136の分割
【原出願日】2020-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】村上 優介
(57)【要約】
【課題】発泡樹脂管を備えつつ火災の延焼を抑制した配管構造を提供する。
【解決手段】配管構造2は、受口32を有し、床スラブ7における貫通孔7aの周縁部により支持された継手30と、受口32内に端部が配置された発泡樹脂管20Bと、受口32の径方向外側又は径方向内側に配置されるか、受口32の少なくとも一部として構成された熱膨張性の耐火部32と、を備え、耐火部32の少なくとも一部は、貫通孔7a内に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受口を有し、床スラブにおける貫通孔の周縁部により支持された継手と、
前記受口内に端部が配置された発泡樹脂管と、
前記受口の径方向外側又は前記径方向内側に配置されるか、前記受口の少なくとも一部として構成された熱膨張性の耐火部と、
を備え、
前記耐火部の少なくとも一部は、前記貫通孔内に配置されている配管構造。
【請求項2】
前記貫通孔内において、前記発泡樹脂管の一部と前記耐火部の一部とが前記径方向に重なる請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記継手は、前記発泡樹脂管が前記発泡樹脂管の軸線方向に係止する係止部を有し、 前記耐火部は、前記受口の前記径方向内側であって、前記係止部と前記発泡樹脂管との間に配置されている請求項1又は2に記載の配管構造。
【請求項4】
筒状に形成された本体、及び前記本体の内周面における軸線方向の中間部に設けられた係止部を備え、床スラブに形成された貫通孔内に少なくとも一部が配置された継手と、 前記本体の前記軸線方向の両端部内にそれぞれ配置された一対の発泡樹脂管と、
前記係止部と前記発泡樹脂管との間に配置されるか、前記継手の少なくとも一部として構成された熱膨張性の耐火部と、
を備え、
前記耐火部の少なくとも一部は、前記貫通孔内に配置されている配管構造。
【請求項5】
前記耐火部は、前記係止部、及び前記本体における前記係止部の径方向外側の部分の少なくとも一部として構成されている請求項4に記載の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和装置のドレン水等の比較的冷たい液体を排水するために、発泡樹脂管が用いられている(例えば、特許文献1参照)。例えば、発泡樹脂管は、筒状の発泡層と、発泡層の内面に積層された非発泡内層と、発泡層の外面に積層された非発泡外層と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-59707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発泡樹脂管は、継手を介して互いに接続されて、配管構造を構成する。発泡樹脂管は、複数の層(階)を備える建築物(多層建築物)で使用される場合がある。例えば、複数の層の間は、床スラブにより仕切られている。この場合、床スラブに形成されたスラブ貫通孔(貫通孔)内に発泡樹脂管を配置することで、配管構造が複数の層を跨いで配置される。
このような場合であっても、建築物に火災が発生したときの、火災の延焼を抑制することが望まれている。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、発泡樹脂管を備えつつ火災の延焼を抑制した配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の配管構造は、受口を有し、床スラブにおける貫通孔の周縁部により支持された継手と、前記受口内に端部が配置された発泡樹脂管と、前記受口の径方向外側又は前記径方向内側に配置されるか、前記受口の少なくとも一部として構成された熱膨張性の耐火部と、を備え、前記耐火部の少なくとも一部は、前記貫通孔内に配置されていることを特徴としている。
この発明によれば、配管構造が発泡樹脂管を備えるため、例えば発泡樹脂管内に空気調和装置のドレン水等が流れたときに、発泡樹脂管の外周面に結露が生じるのを抑えることができる。継手が耐火性を有する床スラブにおける貫通孔の周縁部により支持されているため、火災時であっても、床スラブに対する継手の位置を安定させることができる。そして、耐火部の少なくとも一部は床スラブの貫通孔内に配置されているため、耐火部の少なくとも一部は、火災時に貫通孔内で径方向内側に向かって膨張する。従って、膨張した耐火部の少なくとも一部により貫通孔を塞いで、火災の延焼を抑制することができる。
【0007】
また、前記配管構造において、前記貫通孔内において、前記発泡樹脂管の一部と前記耐火部の一部とが前記径方向に重なってもよい。
この発明によれば、火災時に発泡樹脂管が焼け残った場合でも、火災時に貫通孔内で径方向に向かって膨張した耐火部の少なくとも一部により、焼け残った発泡樹脂管の管路を塞ぐことができる。
【0008】
また、前記配管構造において、前記継手は、前記発泡樹脂管が前記発泡樹脂管の軸線方向に係止する係止部を有し、前記耐火部は、前記受口の前記径方向内側であって、前記係止部と前記発泡樹脂管との間に配置されていてもよい。
この発明によれば、耐火部を用いて、係止部と発泡樹脂管との間を封止することができる。そして、火災時に、係止部と発泡樹脂管との間を封止していた耐火部が径方向内側に向かって膨張することにより、床スラブの貫通孔を塞いで、火災の延焼を抑制することができる。
【0009】
また、本発明の他の配管構造は、筒状に形成された本体、及び前記本体の内周面における軸線方向の中間部に設けられた係止部を備え、床スラブに形成された貫通孔内に少なくとも一部が配置された継手と、前記本体の前記軸線方向の両端部内にそれぞれ配置された一対の発泡樹脂管と、前記係止部と前記発泡樹脂管との間に配置されるか、前記継手の少なくとも一部として構成された熱膨張性の耐火部と、を備え、前記耐火部の少なくとも一部は、前記貫通孔内に配置されていることを特徴としている。
この発明によれば、配管構造が一対の発泡樹脂管を備えるため、例えば一対の発泡樹脂管内に空気調和装置のドレン水等が流れたときに、一対の発泡樹脂管の外周面に結露が生じるのを抑えることができる。また、係止部により発泡樹脂管を軸線方向に位置決めすることができる。継手の少なくとも一部が耐火性を有する床スラブの貫通孔内に配置されているため、火災時であっても、床スラブに対する継手の位置を安定させることができる。そして、耐火部の少なくとも一部は床スラブの貫通孔内に配置されているため、耐火部の少なくとも一部は、火災時に貫通孔内で径方向内側に向かって膨張する。従って、膨張した耐火部の少なくとも一部により貫通孔を塞いで、火災の延焼を抑制することができる。
【0010】
また、前記配管構造において、前記耐火部は、前記係止部、及び前記本体における前記係止部の径方向外側の部分の少なくとも一部として構成されていてもよい。
この発明によれば、一対の発泡樹脂管は係止部を挟むように配置されている。このため、火災時に径方向内側に向かって膨張した耐火部の少なくとも一部により、一対の発泡樹脂管の間に対応する位置を塞いで、一対の発泡樹脂管の一方から他方に火災が延焼するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の配管構造によれば、発泡樹脂管を備えつつ火災の延焼を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態の配管構造が用いられる建築物の概要を示す断面図である。
図2】同配管構造における要部の断面図である。
図3】同建築物に火災が生じた場合を説明する要部の断面図である。
図4】本発明の第1実施形態の第1変形例における配管構造が用いられる建築物の要部の断面図である。
図5】同建築物に火災が生じた場合を説明する要部の断面図である。
図6】本発明の第1実施形態の第2変形例における配管構造の要部の断面図である。
図7】本発明の第1実施形態の第2変形例における配管構造の要部の断面図である。
図8】本発明の第1実施形態の第3変形例における配管構造の要部の断面図である。
図9】本発明の第2実施形態の配管構造が用いられる建築物の概要を示す断面図である。
図10】本発明の第2実施形態の第1変形例における配管構造が用いられる建築物の要部の断面図である。
図11】本発明の第2実施形態の第2変形例における配管構造が用いられる建築物の要部の断面図である。
図12】本発明の第3実施形態の配管構造が用いられる建築物の概要を示す断面図である。
図13】本発明の第3実施形態の第1変形例における配管構造が用いられる建築物の要部の断面図である。
図14】本発明の第3実施形態の第2変形例における配管構造が用いられる建築物の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の配管構造が用いられる建築物を、図1から図8を参照しながら説明する。
図1に示すように、集合住宅やオフィスビルディング等の多層の建築物1では、上下方向に隣り合う複数の層6が床スラブ7により仕切られている。床スラブ7は、耐火性を有する材料で板状に形成されている。床スラブ7は、床スラブ7の厚さ方向が上下方向に沿うように配置されている。床スラブ7には、床スラブ7を上下方向に貫通するスラブ貫通孔(貫通孔)7aが形成されている。上下方向に隣り合う床スラブ7同士(図1では、一方の床スラブ7のみを示している。)は、壁8により連結されている。壁8には、水平面に沿って壁貫通孔8aが形成されている。
床スラブ7の下面には、空気調和装置10が設置されている。例えば、空気調和装置10は、ファンモータユニット、コイル(熱交換器)、及びエアーフィルタ等を備えるファンコイルユニットである。空気調和装置10で発生したドレン水を排水するために、本実施形態の配管構造2が用いられている。
【0014】
配管構造2は、縦管(発泡樹脂管)20A,20B,20Cと、横管(発泡樹脂管)25A,25Bと、継手30と、チーズ65と、第1ソケット70と、を備えている。なお、縦管20A,20B,20Cを区別しないで言うときには、縦管20と総称する。横管25A,25Bについても同様である。
本実施形態では、縦管20Aの構成と縦管20B,20C等の構成とは、長さ以外は互いに同一である。このため、縦管20Aの構成を、数字に英大文字「A」を付加することで示す。縦管20B,20C等のうち縦管20Aに対応する構成を、縦管20Aと同一の数字に英大文字「B」、「C」等を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。例えば、縦管20Aの後述する内層管21Aと縦管20Bの内層管21Bとは、互いに同一の構成である。横管25A,25B等も同様である。
【0015】
縦管20Aは、いわゆる断熱管(ドレン管)である。縦管20Aは、発泡樹脂層を備える管であれば、特に限定されない。図2に示すように、この例では、縦管20Aは、内層管21Aと、発泡樹脂層22Aと、スキン層23Aと、を備えている。内層管21Aは、硬質の塩化ビニル樹脂により、円管状に形成されている。発泡樹脂層22Aは、内層管21Aの外周面に円管状に設けられている。スキン層23Aは、発泡樹脂層22Aの外周面に設けられている。
縦管20Aは、発泡樹脂層22A内の気体により、発泡樹脂層22Aを備えない通常の排水管に比べて、熱伝導率が小さい。
図1に示すように、縦管20A,20B,20Cは、それぞれの軸線が上下方向に沿うように配置されている。縦管20A,20B,20Cは、上側から下側に向かってこの順で配置されている。
【0016】
図示はしないが、横管25Aは縦管20Aと同様に構成されている。
横管25A,25Bは、それぞれの軸線が水平面に沿うように配置されている。横管25A,25Bは、空気調和装置10側からこの順で配置されている。横管25A,25Bは、適宜水勾配を有するように配置されていることが好ましい。
【0017】
本実施形態では、継手30は、いわゆる伸縮接手である。図2に示すように、継手30は、第1受口31と、第2受口(受口)32と、中空部33と、継手係止部(係止部)34と、を備えている。
ここで、第1受口31及び第2受口32は円筒状に形成され、中空部33及び継手係止部34は円環状に形成されている。第1受口31、第2受口32、中空部33、及び継手係止部34それぞれの中心軸は、共通な軸線と同軸に配置されている。以下では、共通軸を軸線O1と言う。軸線O1は、縦管20Aの軸線でもある。
軸線O1に沿う方向を、軸線O1方向と言う。継手30を軸線O1方向から見て、軸線O1に直交する方向を径方向といい、軸線O1回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
第1受口31は、受口本体38と、保持部39と、を備えている。
受口本体38及び保持部39は、それぞれ円筒状に形成されている。受口本体38は、軸線O1が上下方向に沿うように配置されている。なお、受口本体38の配置はこれに限定されず、軸線O1が上下方向に対して交差するように、受口本体38を配置してもよい。
受口本体38の内径、及び縦管20Aの外径は、互いに同程度である。
受口本体38の外周面には、径方向外側に向かって突出する突起40が複数形成されている。複数の突起40は、軸線O1方向に互いに離間して配置されている。
保持部39は、受口本体38の上端部の外周面に設けられている。保持部39は、受口本体38よりも上方に突出している。
第1受口31、中空部33、及び継手係止部34は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、塩化ビニル等の発泡樹脂層を備えない樹脂で形成されている。第1受口31及び中空部33は、透明な樹脂で形成されてもよい。
【0019】
保持部39の径方向内側には、第1封止部材42が保持されている。第1封止部材42は、円環状に形成され、保持部39と同軸に配置されている。第1封止部材42に外力が作用しない自然状態では、第1封止部材42の内径は受口本体38の内径よりも小さい。 第1封止部材42は、例えば、第1受口31よりも柔らかい樹脂等で形成されている。 縦管20Aの下端部は、第1受口31内及び第1封止部材42内にそれぞれ配置されている。第1受口31及び中空部33を透明な樹脂で形成すると、第1受口31内への縦管20Aの挿入量を容易に視認することができる。
【0020】
この例では、第1受口31に第1キャップ45が着脱自在に取付けられている。第1キャップ45は、第1環状部材46と、第1周壁部47と、を備えている。第1環状部材46は、円環状に形成され、受口本体38と同軸に配置されている。第1環状部材46の内径、及び縦管20Aの外径は、互いに同程度である。
第1周壁部47は、円筒状に形成され、第1環状部材46と同軸に配置されている。第1周壁部47は、第1環状部材46の外周縁から下側に向かって延びている。第1周壁部47の内径は、保持部39の外径よりも大きい。
以上のように構成された第1キャップ45は、PP等の発泡樹脂層を備えない樹脂で一体に形成されている。なお、第1キャップ45を、PE、ABS、塩化ビニル等の樹脂で形成してもよい。
第1キャップ45は、継手30の第1受口31に、公知の爪嵌合により嵌め合わせられている。
【0021】
継手係止部34は、円筒状に形成され、受口本体38の下端に固定されている。継手係止部34の内径は、受口本体38の内径よりも小さい。継手係止部34の内径、及び縦管20Aの内径は、互いに同程度である。縦管20Aの軸線O1方向の伸縮に対応するために、この例では、継手係止部34と縦管20Aの下端とは、軸線O1方向に離間している。
【0022】
第2受口32は、円筒状に形成されている。第2受口32の内径、外径は、受口本体38の内径、外径とそれぞれ同程度である。第2受口32は、継手係止部34から軸線O1方向に沿って受口本体38とは反対側に向かって延びている。第2受口32は、受口本体38と同軸に配置されている。
第2受口32は、ポリ塩化ビニル系樹脂と吸熱剤とを含む樹脂組成物(A)、又は、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張開始温度が240℃以上である熱膨張性黒鉛とを含む樹脂組成物(B)を含有している。すなわち、第2受口32の全体が、熱膨張性の耐火部として構成されている。なお、第2受口の一部が、耐火部として構成されてもよい。
【0023】
樹脂組成物(A)に含まれるポリ塩化ビニル系樹脂は、例えば、ポリ塩化ビニル単独重合体;塩化ビニルモノマーと、該塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有する他のモノマーとの共重合体;ポリ塩化ビニル系樹脂以外の重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体等である。前記ポリ塩化ビニル系樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物(A)に含まれる吸熱剤は、加熱された際に吸熱作用を有して温度上昇を抑制する化合物である。例えば、加熱された際に脱水反応等の吸熱反応が生じる化合物を吸熱剤として使用できる。
【0024】
樹脂組成物(B)に含まれるポリ塩化ビニル系樹脂としては、樹脂組成物(A)に含まれるポリ塩化ビニル系樹脂と同様のものを使用できる。
樹脂組成物(B)に含まれる熱膨張性黒鉛は、熱膨張開始温度が240℃以上、好ましくは260℃以上のものである。
【0025】
中空部33は、第2環状部材50と、第2周壁部51と、第2キャップ52と、を備えている。
第2環状部材50は、円環状に形成されている。第2環状部材50は、軸線O1方向において受口本体38の外周面における複数の突起40よりも下方に、受口本体38と同軸に配置されている。第2環状部材50の内周縁は、受口本体38の外周面に連結されている。
第2周壁部51は、円筒状に形成されている。第2周壁部51は、受口本体38と同軸に配置され、受口本体38を径方向外側から覆っている。第2周壁部51は、受口本体38から径方向外側に離間している。第2周壁部51は、第2環状部材50の径方向外側の端部から下方に向かって延びている。
【0026】
第2キャップ52は、第3環状部材54と、第3周壁部55と、を備えている。
第3環状部材54は、円環状に形成され、第2受口32と同軸に配置されている。第3環状部材54は、第2環状部材50に対して下側に離間している。第3環状部材54の内径、及び第2受口32の外径は、互いに同程度である。
第3周壁部55は、第3環状部材54の外周縁から上側に向かって延びている。第3周壁部55の内径は、第2周壁部51の外径よりも大きい。
第2キャップ52は、中空部33の第2周壁部51に、公知の爪嵌合により嵌め合わされている。
受口本体38及び中空部33により、受口本体38を径方向外側から覆う断熱部S1が形成される。断熱部S1内には、例えば空気が収容されていて、断熱部S1は空気層として機能する。断熱部S1は、受口本体38の全周にわたって円環状に形成され、受口本体38に同軸に配置されている。
【0027】
継手30における上端部以外の部分は、床スラブ7のスラブ貫通孔7a内に配置されている。この例では、第2受口32の全体が、スラブ貫通孔7a内に配置されている。
床スラブ7におけるスラブ貫通孔7aの周縁部と継手30との間には、モルタル(充填材)12が充填されている。継手30は、モルタル12を介して、床スラブ7におけるスラブ貫通孔7aの周縁部により支持されている。
【0028】
第2受口32内における継手係止部34よりも下側には、円環状の第2封止部材58が配置されている。第2封止部材58は、継手係止部34と同軸に配置されている。第2封止部材58の内径、外径は、縦管20Bの内径、外径とそれぞれ同程度である。第2封止部材58は、第1封止部材42と同様の材料で形成されている。第2封止部材58は、継手係止部34の下側から継手係止部34の下面に接触している。
第2受口32内には、縦管20Bの上端部が配置されている。縦管20Bの上端部は、第2封止部材58の下側から第2封止部材58に接触している。縦管20Bは、第2封止部材58を介して継手係止部34に軸線O1方向に係止されている。前記第2受口32は、縦管20A,20Bを軸線O1方向に係止する。
スラブ貫通孔7a内において、縦管20Bの上端部(一部)と第2受口32の一部とが径方向に重なっている。
【0029】
図1に示すように、縦管20Bの下端部は、チーズ65の第1受口66内に配置されている。チーズ65の第2受口67内には、縦管20Cの上端部が配置されている。
第1ソケット70は、壁8の壁貫通孔8a内に配置されている。壁8における壁貫通孔8aの周縁部と第1ソケット70との間には、モルタル13が充填されている。なお、このソケット70及び前記チーズ65として、フィブロック(登録商標、積水化学工業株式会社製)を好ましく用いることができる。
空気調和装置10には、横管25Aの第1端部が接続されている。横管25Aにおける第1端部とは反対側の第2端部は、第1ソケット70の第1受口(符号省略)内に配置されている。第1ソケット70の第2受口内には、横管25Bの第1端部が配置されている。横管25Bにおける第1端部とは反対側の第2端部は、チーズ65の第3受口68内に配置されている。
【0030】
次に、以上のように構成された建築物1に、火災が生じた場合について説明する。
第2受口32の全体は床スラブ7のスラブ貫通孔7a内に配置されているため、火災時には、図3に示すように、第2受口32はスラブ貫通孔7a内で径方向内側に向かって膨張する。膨張した第2受口32により、スラブ貫通孔7aが塞がれる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の配管構造2によれば、配管構造2が縦管20及び横管25を備えるため、縦管20及び横管25内に空気調和装置のドレン水等が流れたときに、縦管20及び横管25の外周面に結露が生じるのを抑えることができる。継手30が耐火性を有する床スラブ7における貫通孔7aの周縁部により支持されているため、火災時であっても、床スラブ7に対する継手30の位置を安定させることができる。
そして、第2受口32は、火災時に貫通孔7a内で径方向内側に向かって膨張する。従って、膨張した第2受口32により貫通孔7aを塞いで、火災の延焼を抑制することができる。
配管構造2は、結露防止性能と、耐火性能とを両立させることができる。このため、配管構造2を防火区画に埋設することができる。配管構造2では、施工時に耐火シート等を配管構造2に巻く必要が無い。そして、支持金具を用いることなく、床スラブ7に継手30を固定することができる。
【0032】
貫通孔7a内において、縦管20Bの一部と第2受口32の一部とが径方向に重なっている。従って、火災時に縦管20Bが焼け残った場合でも、火災時に貫通孔7a内で径方向内側に向かって膨張した第2受口32の少なくとも一部により、焼け残った縦管20Bの管路を塞ぐことができる。
【0033】
本実施形態の配管構造2は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図4に示す第1変形例の配管構造2Aのように、第1実施形態の配管構造2の継手30及び第2封止部材58に代えて、継手75及び第2封止部材(耐火部)76を備えてもよい。
継手75は、継手30の第2受口32に代えて、第2受口77を備えている。第2受口77は、第2受口32と同一の形状に形成されている。第2受口77は、第1受口31と同一の材料で形成されている。
第2封止部材76は、円環状に形成されている。第2封止部材76は、受口77の径方向内側であって、継手係止部34と縦管20Bとの間に配置されている。第2封止部材76は、第2受口32と同一の材料で形成されている。第2封止部材76の全体は、床スラブ7のスラブ貫通孔7a内に配置されている。
【0034】
以上のように構成された第1変形例の配管構造2Aが用いられる建築物1に、火災が生じた場合について説明する。
第2封止部材76の全体は床スラブ7のスラブ貫通孔7a内に配置されているため、火災時には、図5に示すように、第2封止部材76はスラブ貫通孔7a内で径方向内側に向かって膨張する。膨張した第2封止部材76により、スラブ貫通孔7aが塞がれる。
この第1変形例の配管構造2Aによれば、第2封止部材76を用いて、継手係止部34と縦管20Bとの間を封止することができる。そして、火災時に、継手係止部34と縦管20Bとの間を封止していた第2封止部材76が径方向内側に向かって膨張することにより、床スラブ7のスラブ貫通孔7aを塞いで、火災の延焼を抑制することができる。
【0035】
図6に示す第2変形例の配管構造2Bのように、第1実施形態の配管構造2の継手30及び第2封止部材58に代えて、継手80を備えてもよい。
継手80は、継手30の第1受口31及び第2受口32に代えて、第1受口(受口)81及び前記第2受口77を備えている。第1受口81が備える受口本体82では、前記受口本体38の構成の一部に、耐火部82aが設けられている。耐火部82aは、受口本体82の軸線O1方向において前記保持部39及び中空部33に対応する部分以外に設けられている。耐火部82aの外周面には、前記突起40に対応する突起40aが形成されている。耐火部82a及び突起40aは、前記第2受口32と同一の材料で形成されている。
耐火部82aは、第1受口81の一部として構成されている。耐火部82aの全ては、スラブ貫通孔7a内に配置されている。
【0036】
図7に示す第3変形例の配管構造2Cのように、第1実施形態の配管構造2において、継手30の第2受口32のみがスラブ貫通孔7a内に配置されていてもよい。この第3変形例の配管構造2Cでは、継手30のうち第2受口32以外の部分は、床スラブ7よりも上側に配置されている。
壁8には、支持金具14の軸部14aが固定されている。円環状に形成された支持金具14の把持部14bは、継手30における受口本体38を把持している。
【0037】
図8に示す第4変形例の配管構造2Dのように、第1実施形態の第1変形例の配管構造2Aの第2封止部材76に代えて、前記第2封止部材58、耐火シート(耐火部)85、第1ソケット86、及び縦管20Dを備えてもよい。
第2封止部材58は、前記継手75の受口77の径方向内側であって、継手係止部34と縦管20Bとの間に配置されている。
耐火シート85は、第2受口32と同様の材料でシート状に形成されている。耐火シート85の上側の部分は、第2受口77の外周面に巻き付けられている。すなわち、耐火シート85は、第2受口77の径方向外側に配置されている。耐火シート85の下側の部分は、スラブ貫通孔7a内に配置されている。継手75は、耐火シート85及びモルタル12を介して床スラブ7におけるスラブ貫通孔7aの周縁部により支持されている。
縦管20Bは、床スラブ7よりも下側に突出している。
【0038】
縦管20Dは、縦管20Bと縦管20Cと間に配置されている。
第1ソケット86は、縦管20Bの下端部と縦管20Dの上端部とを接続している。第1ソケット86は、第1本体88と、第1係止部89と、を備えている。
第1本体88は、円筒状に形成されている。第1係止部89は、円環状に形成されている。第1係止部89は、第1本体88の内周面における軸線O1方向の中間部に設けられている。
第1ソケット86の第1本体88の径方向内側であって、第1係止部89と縦管20Bとの間には、第3封止部材90が配置されている。同様に、第1ソケット86の第1本体88の径方向内側であって、第1係止部89と縦管20Dとの間には、第3封止部材91が配置されている。第3封止部材90,91は、第2封止部材58と同一に構成されている。
以上説明した第1変形例から第4変形例の配管構造2A~2Dによっても、本実施形態の配管構造2と同様の効果を奏することができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図9から図11を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図9に示すように、本実施形態の配管構造3は、一対の縦管20A,20Bと、継手95と、第4封止部材(耐火部)96,97と、を備えている。配管構造3は、建築物4に用いられている。建築物4は、前記床スラブ7等を備えている。
【0040】
継手95は、いわゆるソケットである。継手95は、第2本体(本体)99と、第2係止部(係止部)100と、を備えている。
ここで、第2本体99は円筒状に形成され、第2係止部100は円環状に形成されている。第2本体99及び第2係止部100それぞれの中心軸は、共通な軸線と同軸に配置されている。以下では、共通軸を軸線O2と言う。
軸線O2に沿う方向を、軸線O2方向と言う。継手95を軸線O2方向から見て、軸線O2に直交する方向を径方向といい、軸線O2回りに周回する方向を周方向という。
【0041】
第2本体99は、軸線O2が上下方向に沿うように配置されている。なお、第2本体99の配置はこれに限定されず、軸線O2が上下方向に対して交差するように、第2本体99を配置してもよい。例えば、継手95は、壁8の壁貫通孔8a内に、軸線O2が水平面に沿って延びるように配置されてもよい。
第2本体99の内径は、軸線O2方向の位置によらず一定である。第2本体99の内径、及び縦管20A,20Bの外径は、互いに同程度である。
【0042】
第2係止部100は、第2本体99の内周面における軸線O2方向の中間部に設けられ、第2本体99と同軸に配置されている。第2係止部100の内径、及び縦管20A,20Bの内径は、互いに同程度である。
第2本体99及び第2係止部100は、第1実施形態の継手30の第1受口31と同一の材料で形成されている。なお、継手95を透明な樹脂で形成してもよい。
第2本体99における軸線O2方向の両端部は、第1受口99a、第2受口99bを構成する。この例では、第1受口99aは、第2受口99bよりも上側に配置されている。 継手95において、第2本体99の上端部以外の部分は、床スラブ7のスラブ貫通孔7a内に配置されている。なお、継手95の全体が、貫通孔7a内に配置されていてもよい。
床スラブ7におけるスラブ貫通孔7aの周縁部と継手95との間には、前記モルタル12が充填されている。
【0043】
第4封止部材96,97のそれぞれは、熱膨張性を有していて、前記第2封止部材76と同一の構成である。第4封止部材96は、第2係止部100の上側から第2係止部100の上面に接触している。第4封止部材97は、第2係止部100の下側から第2係止部100の下面に接触している。
第4封止部材96,97の全体は、スラブ貫通孔7a内に配置されている。
第2本体99の第1受口99a内には、縦管20Aの下端部が配置されている。縦管20Aの下端部は、第4封止部材96の上側から第4封止部材96に接触している。第2本体99の第2受口99b内には、縦管20Bの上端部が配置されている。縦管20Bの上端部は、第4封止部材97の下側から第4封止部材97に接触している。
第4封止部材96,97は、第2係止部100と縦管20A,20Bとの間に配置されている。
【0044】
次に、以上のように構成された建築物4に、火災が生じた場合には、第1実施形態の第1変形例の配管構造2Aにおける第2封止部材76のように、第4封止部材96,97はスラブ貫通孔7a内で径方向内側に向かって膨張する。膨張した第4封止部材96,97により、スラブ貫通孔7aが塞がれる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の配管構造3によれば、配管構造3が一対の縦管20A,20Bを備えるため、縦管20A,20B内に空気調和装置のドレン水等が流れたときに、縦管20A,20Bの外周面に結露が生じるのを抑えることができる。また、第2係止部100により縦管20A,20Bを軸線O2方向に位置決めすることができる。継手95の一部が耐火性を有する床スラブ7のスラブ貫通孔7a内に配置されているため、火災時であっても、床スラブ7に対する継手95の位置を安定させることができる。そして、第4封止部材96,97の全体が床スラブ7のスラブ貫通孔7a内に配置されているため、第4封止部材96,97は、火災時にスラブ貫通孔7a内で径方向内側に向かって膨張する。従って、膨張した第4封止部材96,97によりスラブ貫通孔7aを塞いで、火災の延焼を抑制することができる。
【0046】
本実施形態の配管構造3は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図10に示す第1変形例の配管構造3Aのように、第2実施形態の配管構造3の継手95及び第4封止部材96,97に代えて、継手(耐火部)105及び第5封止部材106,107を備えてもよい。
継手105は、第2本体109と、第2係止部110と、を備えている。第2本体109、第2係止部110は、第2本体99、第2係止部100と同一の形状にそれぞれ形成されている。第2本体109及び第2係止部110は、第1実施形態の継手30の第2受口32と同一の材料で形成されている。すなわち、耐火部は、継手105の全体として構成されている。
継手105において、第2本体109の上端部以外の部分は、床スラブ7のスラブ貫通孔7a内に配置されている。
第5封止部材106,107は、第1実施形態の配管構造2の第2封止部材58と同一の構成である。
【0047】
図11に示す第2変形例の配管構造3Bのように、第2実施形態の配管構造3の継手95及び第4封止部材96,97に代えて、継手115及び前記第5封止部材106,107を備えてもよい。
継手115は、前記継手95内の一部に耐火部116が埋め込まれて構成されている。耐火部116は、円環状に形成されている。耐火部116は、第1実施形態の継手30の第2受口32と同一の材料で形成されている。
ここで、第2本体99における第2係止部100の径方向外側の部分を、本体片99cと言う。
【0048】
耐火部116は、第2係止部100及び本体片99cの少なくとも一部として構成されている。この第2変形例では、耐火部116は、本体片99cにおける軸線O2方向の中央部、及び、第2係止部100における軸線O2方向の中央部かつ径方向外側の部分に跨って配置されている。すなわち、耐火部116は、継手115の一部として構成されている。第2変形例の配管構造3Bでは、耐火部116の全体がスラブ貫通孔7a内に配置されている。
継手115は、金型内に耐火部116を配置して射出成型するインサート成形性により形成することができる。
【0049】
この第2変形例の配管構造3Bによれば、縦管20A,20Bは第2係止部100を挟むように配置されている。このため、火災時に径方向内側に向かって膨張した耐火部116の少なくとも一部により、縦管20A,20Bの間に対応する位置を塞いで、縦管20A,20Bの一方から他方に火災が延焼するのを抑制することができる。
【0050】
なお、第2係止部100及び本体片99cにおける耐火部の配置に、制限はない。例えば耐火部は、本体片99cにおける軸線O2方向の中央部かつ径方向内側の部分、及び、第2係止部100における軸線O2方向の中央部かつ径方向外側の部分に跨って配置されていてもよい。
以上説明した第1変形例及び第2変形例の配管構造3A,3Bによっても、本実施形態の配管構造3と同様の効果を奏することができる。
【0051】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図12から図14を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図12に示すように、本実施形態の配管構造5は、一対の縦管20A,20Bと、継手120と、前記第5封止部材106,107と、を備えている。配管構造5は、前記建築物1に用いられている。建築物1は、前記床スラブ7等を備えている。
【0052】
継手120は、第3本体(本体)121と、第3係止部(係止部)122と、耐火部123と、を備えている。
ここで、第3本体121、第3係止部122、及び耐火部123は、それぞれ円筒状に形成されている。第3本体121及び第3係止部122それぞれの中心軸は、共通な軸線と同軸に配置されている。以下では、共通軸を軸線O3と言う。
軸線O3に沿う方向を、軸線O3方向と言う。継手120を軸線O3方向から見て、軸線O3に直交する方向を径方向といい、軸線O3回りに周回する方向を周方向という。
【0053】
第3本体121は、第1受口125と、カバー部材126と、第2受口127と、を備えている。第1受口125、カバー部材126、及び第2受口127は、それぞれ円筒状に形成されている。第1受口125、カバー部材126、及び第2受口127は、上側から下側に向かってこの順で配置されている。
第1受口125の内径、第2受口127の内径、及び縦管20Aの外径は、互いに同程度である。
カバー部材126は、軸線O3方向から見て半円形状を呈する第1分割カバー130と、第2分割カバー(不図示)と、を備えている。第1分割カバー130及び第2分割カバーは、第1受口125及び第2受口127に対して径方向に着脱可能である。
【0054】
第3係止部122は、係止部本体133と、第1フランジ134と、第2フランジ135と、を備えている。
係止部本体133は、円筒状に形成されている。係止部本体133の内径、及び縦管20Aの内径は、互いに同程度である。第1フランジ134は、係止部本体133の上端から径方向外側に向かって張り出している。第1フランジ134の外周縁は、第1受口125の下端に連なっている。第2フランジ135は、係止部本体133の下端から径方向外側に向かって張り出している。第2フランジ135の外周縁は、第2受口127の上端に連なっている。
第3係止部122及びカバー部材126により、係止部本体133を径方向外側から覆う断熱部S2が形成される。
第3本体121及び第3係止部122は、第1受口31と同一の材料で形成されている。
【0055】
耐火部123は、第1実施形態の継手30の第2受口32と同一の材料で形成されている。耐火部123は、係止部本体133の外周面に接触している。耐火部123とカバー部材126との間には、全周にわたって隙間が形成されている。耐火部123は、継手120の一部として構成されている。
本実施形態では、継手120における第1受口125の上端部以外の部分が、スラブ貫通孔7a内に配置されている。耐火部123の全体が、スラブ貫通孔7a内に配置されている。
以上説明したように、本実施形態の配管構造5によれば、第2実施形態の配管構造3と同様の効果を奏することができる。
【0056】
本実施形態の配管構造5は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図13に示す第1変形例の配管構造5Aのように、第3実施形態の配管構造5の継手120に代えて、継手140を備えてもよい。
継手140では、前記継手120に対して耐火部123の配置のみ異なる。耐火部123は、カバー部材126の内周面にカバー部材126の径方向内側から接触している。耐火部123と係止部本体133との間には、全周にわたって隙間が形成されている。
【0057】
図14に示す第2変形例の配管構造5Bのように、第3実施形態の配管構造5の継手120に代えて、継手145を備えてもよい。
継手145は、継手140の耐火部123及び第3本体121に代えて、第3本体146を備えている。第3本体146では、カバー部材147の軸線O3方向の中間部に、耐火部147aが埋め込まれている。耐火部147aは、円筒状に形成されている。
以上説明した第1変形例及び第2変形例の配管構造5A,5Bによっても、本実施形態の配管構造5と同様の効果を奏することができる。
【0058】
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、配管構造は、横管25A,25B、継手30、チーズ65、及び第1ソケット70を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0059】
2,2A,2B,2C,2D,3,3A,3B,5,5A,5B 配管構造
7 床スラブ
7a スラブ貫通孔(貫通孔)
20B 縦管(発泡樹脂管)
30,75,80,95,115,120,140,145 継手
32 第2受口(受口、耐火部)
34 継手係止部(係止部)
76 第2封止部材(耐火部)
81 第1受口(受口)
82a,123,147a 耐火部
85 耐火シート(耐火部)
96,97 第4封止部材(耐火部)
99,109 第2本体(本体)
100,110 第2係止部(係止部)
105 継手(耐火部)
116 耐火部
121,146 第3本体(本体)
122 第3係止部(係止部)
O1,O2,O3 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14