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特開2024-16335眼科装置、および眼科装置制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016335
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】眼科装置、および眼科装置制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240131BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20240131BHJP
   G06F 3/0482 20130101ALI20240131BHJP
【FI】
A61B3/10
G06F3/16 660
G06F3/0482
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118370
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】岩月 傑
【テーマコード(参考)】
4C316
5E555
【Fターム(参考)】
4C316AA13
4C316FA18
4C316FB06
4C316FB08
4C316FB16
5E555AA04
5E555AA17
5E555AA76
5E555BA21
5E555BA22
5E555BB21
5E555BB22
5E555BC07
5E555BC13
5E555BC17
5E555BE09
5E555CA12
5E555CA17
5E555CB12
5E555CB20
5E555CB33
5E555CB42
5E555DA23
5E555DB16
5E555DB20
5E555DB41
5E555DC09
5E555DC18
5E555DD06
5E555DD08
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 被検者に適したアナウンスの言語の設定を容易に行うことができる眼科装置、および眼科装置制御プログラムを提供する。
【解決手段】 被検者の被検眼を検査する眼科装置であって、被検者にアナウンスするための報知手段と、被検眼の検査条件を設定するための条件設定画面とは異なる、アナウンスの言語を設定するための第1言語設定画面を、表示手段に表示させる表示制御手段と、アナウンスの言語を選択する操作手段からの操作信号に基づいて、アナウンスを選択された言語にて報知手段から出力し、被検眼の検査を進行させる制御手段と、を備え、第1言語設定画面は、複数の言語の一覧を含み、一覧に基づいて任意の言語を選択することが可能な画面であり、表示制御手段は、被検眼の検査が終了する毎に、第1言語設定画面を初期画面として表示手段に表示させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の被検眼を検査する眼科装置であって、
前記被検者にアナウンスするための報知手段と、
前記被検眼の検査条件を設定するための条件設定画面とは異なる、前記アナウンスの言語を設定するための第1言語設定画面を、表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記アナウンスの言語を選択する操作手段からの操作信号に基づいて、前記アナウンスを選択された言語にて前記報知手段から出力し、前記被検眼の検査を進行させる制御手段と、
を備え、
前記第1言語設定画面は、複数の言語の一覧を含み、前記一覧に基づいて任意の言語を選択することが可能な画面であり、
前記表示制御手段は、前記被検眼の検査が終了する毎に、前記第1言語設定画面を初期画面として前記表示手段に表示させることを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
請求項1の眼科装置において、
前記第1言語設定画面は、前記アナウンスの言語の選択を誘導するための誘導情報と、前記複数の言語に対応する設定ボタンと、を含み、
前記制御手段は、前記設定ボタンからの操作信号に基づいて、前記アナウンスを選択された言語にて前記報知手段から出力し、前記被検眼の検査を進行させることを特徴とする眼科装置。
【請求項3】
請求項1または2の眼科装置において、
前記被検眼の検査が終了する毎に、前記条件設定画面を前記初期画面として前記表示手段に表示させる第1モードと、前記被検眼の検査が終了する毎に、前記第1言語設定画面を前記初期画面として前記表示手段に表示させる第2モードと、を切り換えるモード切換手段を備え、
前記表示制御手段は、前記モード切換手段が切り換えたモードに応じて、前記条件設定画面または前記第1言語設定画面を前記表示手段に表示させることを特徴とする眼科装置。
【請求項4】
請求項3の眼科装置において、
前記第1モードは、前記検者が前記アナウンスの言語を選択するためのモードであり、前記第2モードは、前記被検者が前記アナウンスの言語を選択するためのモードであることを特徴とする眼科装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかの眼科装置において、
前記条件設定画面は、前記被検眼の観察画像と、前記アナウンスの言語を設定するための第2言語設定画面を呼び出す呼出ボタンと、を少なくとも含む検査画面であることを特徴とする眼科装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかの眼科装置において、
前記制御手段は、前記被検眼の検査が終了する毎に、前記アナウンスの言語を予め設定された初期言語に設定することを特徴とする眼科装置。
【請求項7】
請求項3~6のいずれかの眼科装置において、
前記制御手段は、前記第2モードが設定されている場合、前記アナウンスの言語が選択された後、前記眼科装置の操作を禁止するための動作制御を変更することを特徴とする眼科装置。
【請求項8】
被検者にアナウンスするための報知手段を備え、前記被検者の被検眼を検査する眼科装置にて用いる眼科装置制御プログラムであって、
前記眼科装置のプロセッサに実行されることで、
前記被検眼の検査条件を設定するための条件設定画面とは異なる、前記アナウンスの言語を設定するための第1言語設定画面を、表示手段に表示させる表示制御ステップと、
前記アナウンスの言語を選択する操作手段からの操作信号に基づいて、前記アナウンスを選択された言語にて前記報知手段から出力し、前記被検眼の検査を進行させる制御ステップと、
を前記眼科装置に実行させ、
前記第1言語設定画面は、複数の言語の一覧を含み、前記一覧に基づいて任意の言語を選択することが可能な画面であり、
前記表示制御ステップは、前記被検眼の検査が終了する毎に、前記第1言語設定画面を初期画面として前記表示手段に表示させることを特徴とする眼科装置制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検眼を検査する眼科装置、および眼科装置制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の眼科装置としては、例えば、眼屈折力測定装置、角膜曲率測定装置、眼圧測定装置、眼底カメラ、OCT(optical coherence tomography)、SLO(scanning laser ophthalmoscope)等が知られている。また、これらの眼科装置では、検査を支援するためのアナウンスを行う眼科装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-217121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来において、集団検診などで多くの被検者を検査する場合、検者は公用語が理解できない被検者を対応することがある。検者は該当の被検者が理解できる言語を確認した上で、予め設定されているアナウンスの言語(公用語)を被検者が理解できる言語に変更する必要がある。さらに、該当の被検者の検査を終えた後、一時的に変更したアナウンスの言語設定を元に戻す必要がある。検者による、このような言語の確認、言語の設定変更、及び言語の設定を元に戻す動作は、手間であり、時間を要していた。
【0005】
本開示は、上記の問題点を鑑み、被検者に適したアナウンスの言語の設定を容易に行うことができる眼科装置、および眼科装置制御プログラムを提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1)本開示の第1態様に係る眼科装置は、被検者の被検眼を検査する眼科装置であって、前記被検者にアナウンスするための報知手段と、前記被検眼の検査条件を設定するための条件設定画面とは異なる、前記アナウンスの言語を設定するための第1言語設定画面を、表示手段に表示させる表示制御手段と、前記アナウンスの言語を選択する操作手段からの操作信号に基づいて、前記アナウンスを選択された言語にて前記報知手段から出力し、前記被検眼の検査を進行させる制御手段と、を備え、前記第1言語設定画面は、複数の言語の一覧を含み、前記一覧に基づいて任意の言語を選択することが可能な画面であり、前記表示制御手段は、前記被検眼の検査が終了する毎に、前記第1言語設定画面を初期画面として前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0008】
(2)本開示の第2態様に係る眼科装置制御プログラムは、被検者にアナウンスするための報知手段を備え、前記被検者の被検眼を検査する眼科装置にて用いる眼科装置制御プログラムであって、前記眼科装置のプロセッサに実行されることで、前記被検眼の検査条件を設定するための条件設定画面とは異なる、前記アナウンスの言語を設定するための第1言語設定画面を、表示手段に表示させる表示制御ステップと、前記アナウンスの言語を選択する操作手段からの操作信号に基づいて、前記アナウンスを選択された言語にて前記報知手段から出力し、前記被検眼の検査を進行させる制御ステップと、を前記眼科装置に実行させ、前記第1言語設定画面は、複数の言語の一覧を含み、前記一覧に基づいて任意の言語を選択することが可能な画面であり、前記表示制御ステップは、前記被検眼の検査が終了する毎に、前記第1言語設定画面を初期画面として前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】眼科装置の外観を示す図である。
図2】眼科装置の内部構成を示す図である。
図3】表示部に表示された検査画面の一例である。
図4】表示部に表示された言語選択誘導画面の一例である。
図5】表示部に表示されたホーム画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<概要>
本実施形態の眼科装置の概要を説明する。以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用され得る。
【0011】
本実施形態の眼科装置は、被検眼を検査する装置である。例えば、眼科装置は、被検眼の光学特性(眼屈折力、眼軸長、角膜形状、等)を他覚的に測定する他覚式検眼装置であってもよい。例えば、眼科装置は、被検眼の前眼部を撮影して、被検眼の前眼部画像データ、被検眼の角膜形状データ、等を取得する眼科撮影装置でもよい。また、例えば、眼科装置は、被検眼の眼底を撮影して、被検眼の眼底正面画像データ、被検眼の眼底断層画像データ、等を取得する眼科撮影装置でもよい。すなわち、眼屈折力測定装置、角膜曲率測定装置、角膜形状測定装置、眼圧測定装置、眼軸長測定装置、眼底カメラ、OCT(Optical Coherence Tomography)、SLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)等の少なくともいずれかであってもよい。
【0012】
<報知手段>
本実施形態の眼科装置は、報知手段を備えてもよい。報知手段は、被検者にアナウンスするための手段である。例えば、報知手段は、表示手段(例えば、表示部75)、音声発生手段(例えば、アナウンス出力部89)、等の少なくともいずれかであってもよい。
【0013】
<表示制御手段>
本実施形態の眼科装置は、表示制御手段(例えば、制御部70)を備えてもよい。表示制御手段は、被検眼の検査条件を設定するための条件設定画面とは異なる、アナウンスの言語を設定するための第1言語設定画面(例えば、言語選択誘導画面810)を、表示手段に表示させる。
【0014】
条件設定画面は、被検眼の検査条件を設定することが可能な画面であってもよい。例えば、条件設定画面は、検者を識別するための識別情報の入力、被検者を識別するための識別情報の入力、測定眼の選択、等の少なくともいずれかの条件を設定することが可能な画面であってもよい。例えば、条件設定画面は、被検眼の検査に移行する前のホーム画面(例えば、ホーム画面900)であってもよい。例えば、条件設定画面は、被検眼の観察画像と、アナウンスの言語を設定するための第2言語設定画面を呼び出す呼出ボタンと、を少なくとも含む検査画面(例えば、検査画面800)であってもよい。すなわち、条件設定画面は、第2言語設定画面を呼び出すことで、アナウンスの言語を選択することが可能な画面であってもよい。なお、第2言語設定画面については後述する。
【0015】
第1言語設定画面は、複数の言語の一覧を含み、一覧に基づいて任意の言語を選択することが可能な画面であってもよい。つまり、第1言語設定画面は、第1言語設定画面における言語の一覧を利用してアナウンスの言語を選択することが可能な画面であってもよい。
【0016】
第1言語設定画面は、さらに、アナウンスの言語の選択を誘導するための誘導情報(例えば、操作説明画面811)と、複数の言語に対応する設定ボタン(例えば、言語選択ボタン812)と、を含んでもよい。例えば、誘導情報は、アイコンやピクトグラムであってもよいし、各言語に対応したメッセージであってもよい。
【0017】
第2言語設定画面は、複数の言語の一覧を含み、一覧に基づいて任意の言語を選択することが可能な画面であってもよい。つまり、第2言語設定画面は、第2言語設定画面における言語の一覧を利用してアナウンスの言語を選択することが可能な画面であってもよい。なお、本実施形態において、第2言語設定画面は、第1言語設定画面とは異なる画面として設けられてもよいし、第1言語設定画面と共通の画面として設けられてもよい。
【0018】
表示制御手段は、被検眼の検査が終了する毎に、第1言語設定画面を初期画面として表示手段に表示させてもよい。つまり、被検眼が変わる毎に、第1言語設定画面を初期画面として表示手段に表示させてもよい。これによって、被検者に適したアナウンスの言語を、検査の度に容易に設定できる。
【0019】
表示制御手段は、後述のモード切換手段が切り換えたモードに応じて、条件設定画面または第1言語設定画面を表示手段に表示させてもよい。例えば、第1モードでは、被検者がアナウンスの言語を理解できない場合に、適宜、予め設定された所定の言語から被検者の所望する言語へと変更することができる。例えば、第2モードでは、被検者が変わる度に、被検者の使用言語に合わせて、アナウンスの言語を事前に選択することができる。このため、被検者の検査状況に応じてモードを切り換え、被検者が所望するアナウンスの言語を容易に選択できる。
【0020】
<モード切換手段>
本実施形態の眼科装置は、モード切換手段(例えば、制御部70)を備えてもよい。モード切換手段は、被検眼の検査が終了する毎に、条件設定画面を初期画面として表示手段に表示させる第1モードと、被検眼の検査が終了する毎に、第1言語設定画面を初期画面として表示手段に表示させる第2モードと、を切り換える。
【0021】
第1モードは、検者がアナウンスの言語を選択するためのモードであってもよい。例えば、第1モードは、検者が被検者と対話しながら検査を進める場合等に選択されてもよい。被検者が予め設定されたアナウンスの言語を理解できない際に、アナウンスの言語を変更するようにしてもよい。また、第2モードは、被検者がアナウンスの言語を選択するためのモードであってもよい。例えば、第2モードは、被検者が自身で検査を進める場合等に選択されてもよい。被検者が理解することが可能なアナウンスの言語を、被検者が自ら変更するようにしてもよい。
【0022】
<制御手段>
本実施形態の眼科装置は、制御手段(例えば、制御部70)を備えてもよい。制御手段は、アナウンスの言語を選択する操作手段からの操作信号に基づいて、アナウンスを選択された言語にて報知手段から出力し、被検眼の検査を進行させる。例えば、制御手段は、検者に操作された操作手段からの操作信号に基づいて、アナウンスを出力し、検査を進行させてもよい。また、例えば、制御手段は、被検者に操作された操作手段からの操作信号に基づいて、アナウンスを出力し、検査を進行させてもよい。なお、操作手段は、眼科装置本体、眼科装置と有線通信あるいは無線通信によって接続されるコントローラ、等の少なくともいずれかに設けられたボタン等であってもよいし、表示手段に表示されるボタン等であってもよい。
【0023】
制御手段は、第1言語設定画面が含む設定ボタン(例えば、言語選択ボタン812)からの操作信号に基づいて、アナウンスを選択された言語にて報知手段から出力し、被検眼の検査を進行させてもよい。また、制御手段は、第2言語設定画面が含む設定ボタンからの操作信号に基づいて、アナウンスを選択された言語にて報知手段から出力し、被検眼の検査を進行させてもよい。
【0024】
制御手段は、被検眼の検査が終了する毎に、アナウンスの言語を予め設定された初期言語に設定してもよい。例えば、制御手段は、第1モードにおいて被検眼の検査が終了する毎に、アナウンスの言語を初期言語に設定してもよい。また、例えば、制御手段は、第2モードにおいて被検眼の検査が終了する毎に、アナウンスの言語を初期言語に設定してもよい。これによって、検者が被検眼の検査の終了後に、被検者に合わせて変更したアナウンスの言語を再び戻す手間が軽減される。また、このようなアナウンスの言語を戻す際の操作時間が短縮される。
【0025】
制御手段は、第2モードが設定されている場合、アナウンスの言語が選択された後に、眼科装置の操作を禁止するための動作制御を変更してもよい。例えば、眼科装置の操作を禁止するための動作制御は、操作手段からの操作信号の送信あるいは受信を禁止する制御であってもよい。言い換えると、操作手段からの操作信号の入力が無効化されてもよい。また、例えば、眼科装置の操作を禁止するための動作制御は、被検者に対して操作を禁止する旨のメッセージを出力させる制御であってもよい。一例としては、メッセージを報知手段にて報知させてもよい。また、例えば、眼科装置の操作を禁止するための動作制御は、表示手段の表示を変更する制御であってもよい。一例としては、条件設定画面をブラックアウトさせる等、条件設定画面を異なる画面に変更してもよい。また、例えば、眼科装置の操作を禁止するための動作制御は、顎台の検出手段(例えば、顎台センサ3c)からの入力信号を受け付ける制御であってもよい。この場合、アナウンスの言語が選択されるよりも前では検出手段からの入力信号が無効化され、アナウンスの言語が選択された後には検出手段からの入力信号が有効化されてもよい。
【0026】
なお、上記の動作制御は、いずれか1つの制御が実行されてもよいし、複数を組み合わせた制御が実行されてもよい。例えば、これによって、被検者が眼科装置を操作してしまったり、設定を変更してしまったりすることで、被検眼の検査が適切に進行されない可能性が軽減され、被検眼の検査を適切に進行させることができる。
【0027】
なお、本開示は、本実施形態に記載する装置に限定されない。例えば、上記実施形態の機能を行う端末制御ソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種記憶媒体等を介して装置あるいはシステムに供給し、装置あるいはシステムの制御装置(例えば、CPU等)がプログラムを読み出して実行することも可能である。
【0028】
<実施例>
本実施形態に係る眼科装置の一実施例を説明する。なお、以下の説明では、眼科装置として、眼屈折力測定装置を例に挙げて説明する。
【0029】
<装置構成>
図1は、眼屈折力測定装置1の外観図である。眼屈折力測定装置1は、基台2、顔支持部3、駆動部4、表示部75、操作部76、アナウンス部89、顔撮影部90、および測定部100、等を備える。顔支持部3は、基台2に固定され、被検者の顔を支持する。顔支持部3は、額当て3a、顎台3b、顎台センサ3c、顎台駆動部3dなどを備える。額当て3aは、被検者の額を支持する。顎台3bは、被検者の顎を支持する。顎台センサ3cは、顎台3bに顎が載せられているかを検知する。顎台駆動部3dは、顎台3bを上下に移動させて高さを調整する。駆動部4は、基台2に対して測定部100をXYZ方向に駆動させる。表示部75は、各種の情報(例えば、被検者の顔画像、被検眼の前眼部画像、被検眼の測定結果、等)を表示する。操作部76は、各種の設定を行う。本実施例では、タッチパネル付きの表示部75が操作部76を兼用する。なお、操作部76は、タッチパネル、ジョイスティック、マウス、キーボード、トラックボール、ボタン等の各種ヒューマンインターフェイスであってもよい。アナウンス部89は、被検者または検者に対してアナウンスを行う。本実施例のアナウンス部89は、スピーカなどの音声出力部である。もちろん、アナウンス部89は、モニタなどの表示部であってもよい。顔撮影部90は、例えば、被検眼の顔を撮影する。顔撮影部90は、例えば、左右の被検眼のうち少なくとも一方を含む顔を撮影する。測定部100は、後述の光学系を収納する。
【0030】
図2は、眼屈折力測定装置1の光学系及び制御系の概略構成図である。測定部100は、測定光学系200、固視標光学系300、指標投影光学系400、観察光学系500、顔照明光学系600、顔撮影光学系700、等を備える。測定光学系200は、被検眼Eの眼屈折力(例えば、球面度数、円柱度数、乱視軸角度、等)を他覚的に測定する。固視標光学系300は、被検眼Eに固視標を呈示する。指標投影光学系400は、被検眼Eにアライメント指標を投影する。観察光学系500は、被検眼Eの前眼部を撮像する。顔照明光学系600は、被検者の顔を照明する。顔撮影光学系700は、被検者の顔を撮影する。なお、被検眼Eの眼前にはビームスプリッタ230が配置される。ビームスプリッタ230は、被検眼Eへ固視標光学系300からの測定光束を導く。また、ビームスプリッタ230は、被検眼Eの前眼部からの反射光束を観察光学系500へと導く。
【0031】
<測定光学系>
測定光学系200は、投光光学系210と、受光光学系220と、をビームスプリッタ230の透過方向に有している。投光光学系210は、光源211、リレーレンズ212、ホールミラー213、プリズム214、対物レンズ216、等を備える。光源211は、眼底と光学的に共役な位置関係である。ホールミラー213の開口は、瞳孔と光学的に共役な位置関係である。プリズム214は、瞳孔と光学的に共役な位置から外れた位置に配置され、プリズム214を通過する光束を光軸N1に対して偏心させる。プリズム214は、駆動部215によって、光軸N1を中心に回転駆動される。なお、プリズム214に代えて、光軸N1上に平行平面板を斜めに配置してもよい。
【0032】
受光光学系220は、対物レンズ216、プリズム214、ホールミラー213、リレーレンズ221、全反射ミラー222、受光絞り223、コリメータレンズ224、リングレンズ225、撮像素子226、等を備える。受光光学系220において、対物レンズ216、プリズム214、及びホールミラー213は、投光光学系210と共用される。受光絞り223は、眼底と光学的に共役な位置関係である。リングレンズ225は、瞳孔と光学的に共役な位置関係である。撮像素子226は、眼底と光学的に共役な位置関係である。
【0033】
このような測定光学系200の構成において、光源211から出射された測定光束は、リレーレンズ212、ホールミラー213、プリズム214、対物レンズ216、及びビームスプリッタ230を経て、眼底にスポット状の光束として投影される。これによって、眼底上に点光源像が形成される。このとき、プリズム214は光軸N1周りに回転され、ホールミラー213の開口における瞳投影像(瞳上での投影光束)が、高速に偏心回転される。眼底にて測定光束が反射された反射光束は、ビームスプリッタ230、対物レンズ216、及びプリズム214を介して、ホールミラー213に反射される。反射光束は、さらに、リレーレンズ221を通過して全反射ミラー222に反射され、受光絞り223の位置に集光し、コリメータレンズ224とリングレンズ225によって、リング状の像(リング像)として撮像素子226に結像する。撮像素子226からの出力信号は、制御部70に入力され、眼屈折力が演算される。
【0034】
<固視標光学系>
固視標光学系300は、光源301、固視標板302、投光レンズ303、全反射ミラー304、ハーフミラー305、対物レンズ306、等をビームスプリッタ230の反射方向に有している。光源301により固視標板302を照明することで、被検眼Eに固視標が呈示される。固視標板302は、被検眼Eを固視させ、その眼屈折力を測定する際に用いられる。駆動部307は、固視標板302を光軸N2方向へ移動させることで、被検眼Eに対する固視標の呈示位置を移動させることができる。また、駆動部307は、光源301及び固視標板302を光軸N2方向へ移動させることで、被検眼Eに雲霧をかけることができる。
【0035】
なお、駆動部307は、固視標板302に対して投光レンズ303を光軸N2方向へ移動させることで、固視標の呈示位置を変更してもよい。従って、駆動部307は、固視標板302に対して投光レンズ303を光軸N2方向へ移動させることで、被検眼Eに雲霧を付加してもよい。
【0036】
<指標投影光学系>
指標投影光学系400は、第1指標投影光学系と、第2指標投影光学系と、を備える。第1指標投影光学系は、被検眼Eの角膜に無限遠のアライメント指標を投影する。第2指標投影光学系は、被検眼Eの角膜に有限遠のアライメント指標を投影する。
【0037】
第1指標投影光学系は、点光源401a及び401b、コリメータレンズ402a及び402b、等を有する。点光源401a及び401bは、近赤外光を発する。コリメータレンズ402a及び402bは、点光源が発した光束を平行光束(略平行光束)にする。例えば、これらの点光源及びコリメータレンズは、光軸N1を基準とした同心円上に45度間隔で、かつ、光軸N1を通る垂直平面を挟んで左右対称となるように、複数個が配置される。
【0038】
第2指標投影光学系は、点光源403a及び403bを有する。点光源403a及び403bは、近赤外光を発する。例えば、これらの点光源は、第1指標投影光学系の点光源よりも狭い角度で、かつ、光軸を通る垂直平面を挟んで左右対称となるように、複数個が配置される。第2指標投影光学系は、被検眼Eの前眼部を照明する前眼部照明、被検眼Eの角膜形状を測定するための指標、等としても用いることができる。
【0039】
なお、指標投影光学系400は、点状の指標、リング状の指標(いわゆるマイヤーリング等)、ライン状の指標、等の少なくともいずれかを投影するように構成されてもよい。
【0040】
<観察光学系>
観察光学系500は、対物レンズ306、ハーフミラー305、撮像レンズ501、撮像素子502、等をビームスプリッタ230の反射方向に有している。撮像素子502は、被検眼Eの前眼部と光学的に共役な位置関係であり、前眼部からの反射光束を受光する。これによって、被検眼Eの前眼部画像(前眼部の正面画像)が撮像される。前眼部画像の一種である徹照像が撮影されてもよい。撮像素子502からの出力信号は、制御部70及び表示部75に入力される。観察光学系500は、被検眼Eの角膜に形成されたアライメント指標像を検出する光学系を兼ね、制御部70によって、アライメント指標像の位置が検出される。
【0041】
<顔照明光学系>
顔照明光学系600は、照明光源601、等を備える。照明光源601は、指向性の低い光源であってもよい。また、照明光源601は、赤外光を発する光源であってもよい。
【0042】
<顔撮影光学系>
顔撮影光学系700は、撮像レンズ701、撮像素子702、等を備える。撮像素子702は、顔からの反射光束を受光する。これによって、被検眼Eの左眼及び右眼の少なくとも一方を含む顔画像が撮像される。撮像素子702からの出力信号は、制御部70及び表示部75に入力される。
【0043】
本実施例では、顔撮影光学系700が撮像レンズ701として広角レンズを備えることで、被検者の顔を広い画角で撮影できる。例えば、画角は87°以上であってもよい。これによって、被検者の両眼が顔画像に含まれやすくなる。また、本実施例では、顔撮影光学系700の光路に可視光カットフィルタを配置してもよい。これによって、被検者の顔を撮影する際、可視光によるノイズ光が制限される。ここで、顔からの赤外光の反射光は撮像素子702に検出されるが、この場合、赤外光によるノイズ光が入射する可能性がある。このため、撮像素子702のゲイン等を調整し、赤外光のノイズの影響を軽減させてもよい。
【0044】
<制御部>
制御部70は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等を備える。CPUは、眼屈折力測定装置1における各部の駆動を制御する。RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。ROMには、CPUが実行する各種プログラム等が記憶されている。なお、制御部70は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
【0045】
制御部70には、駆動部4、表示部75(操作部76)、不揮発性メモリ72(以下、メモリ72)、アナウンス部89等が電気的に接続される。また、制御部70には、測定部100が備える各光源、各撮像素子、各駆動部、等が電気的に接続される。
【0046】
メモリ72は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、メモリ72としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ、等を用いることができる。メモリ72には、被検眼Eの測定結果(一例として、眼屈折力、眼位情報、等)を記憶してもよい。
【0047】
<制御動作>
以上のような構成を備える眼屈折力測定装置1の制御動作について説明する。
【0048】
本実施例における眼屈折力測定装置1は、被検者の検査を進行する為の音声アナウンスを出力し、被検眼Eと測定部100とのアライメントから測定データを取得するまでの工程を全自動(フルオート)で実行することによって、被検眼の眼屈折力を他覚的に測定する。
【0049】
また、本実施例における眼屈折力測定装置1は、被検者の検査状況によって、適宜、第1モードまたは第2モードを選択することができる。例えば、検者が被検者の検査に立ち会い、検者が被検者と対話しながら装置に誘導する際には、第1モードを設定してもよい。また、被検者が自ら装置を操作して検査を自動的に進行させる際には、第2モードを設定してもよい。
【0050】
<検者が被検者の検査に立ち会う場合(第1モード)>
以下、検者が被検者の検査に立ち会う場合(第1モード)を説明する。本実施例において、眼屈折力測定装置1の起動時は、第1モードが初期設定として選択されており、音声アナウンスが公用語等の初期言語(ここでは、「English(英語)」)に設定されている。例えば、第1モードでは、検査画面が表示部75に表示される。
【0051】
図3は、表示部に表示された検査画面の一例である。図3(a)は、音声アナウンスの言語が初期言語に設定されている状態である。図3(b)は検査画面に設定可能な音声アナウンスの言語が一覧表示された状態である。検査画面800は、モード切換ボタン802、言語呼出ボタン803、アナウンス言語画面804、設定変更ボタン805等を有する。モード切換ボタン802は、第1モードから後述する第2モードに切り換えるためのボタンである。言語呼出ボタン803は、音声アナウンスを初期言語から所望の言語に変更するためのボタンである。例えば、検者が言語呼出ボタン803を操作することによって、アナウンス言語画面804が呼び出される。アナウンス言語画面804は、装置が出力可能な音声アナウンスの言語を一覧にて表示する画面である。例えば、検者が言語の一覧から所望の言語を選択することによって、音声アナウンスが任意の言語に設定される。設定変更ボタン805は、各種の設定を変更するための複数のボタンである。一例として、被検眼(測定眼)の選択、検査項目の変更、等の各種の設定を変更するためのボタンが設けられてもよい。観察画像801は、顔撮影部90によって撮影された被検者の顔画像、測定部100によって撮影された前眼部画像、等の少なくともいずれかである。例えば、観察画像801は、被検者が顔を顎台に載置することで撮影され、画像が表示されるようになる。
【0052】
<音声アナウンスの言語設定>
検者は被検者と対話し、被検者を装置に誘導する。このとき、検者は、被検者が初期言語を理解できないと判断すると、被検者が理解できる言語を確認した上で、音声アナウンスの言語を初期言語から所望の言語へと変更する。例えば、検者は、検査画面800の言語呼出ボタン803を押す。制御部70は、言語呼出ボタン803からの入力信号に基づいて、アナウンス言語画面804を表示させる。例えば、検者は、アナウンス言語画面804における言語の一覧の中から、被検者が理解できる任意の言語を選択する。制御部70は、アナウンス言語画面804からの入力信号に基づいて、音声アナウンスを初期言語から任意の言語に変更する。これによって、音声アナウンスの言語が所望の言語に変更される。
【0053】
制御部70は、音声アナウンスの言語の設定が完了すると、アナウンス言語画面804を閉じ、言語呼出ボタン803上に選択された言語を表示する。例えば、本実施例では、言語の一覧から「Japanese(日本語)」が選択されることで、言語呼出ボタン803上に「Japanese」と表示され、日本語の音声アナウンスに切り換えられる。
【0054】
検者は、音声アナウンスの言語を変更し、必要に応じて検査の各種の設定を変更すると、被検眼の検査を開始するための図示なき検査開始ボタンを押す。制御部70は、検査開始ボタンからの入力信号に応じて、被検者に顔を顎台に載置するように指示する日本語の音声アナウンスをアナウンス部89に出力させる。被検者は、音声アナウンスに従って顔を顎台に載置する。
【0055】
<他覚式測定>
制御部70は、顔支持部3の顎台3bに設けられた顎台センサ3cの検出結果に基づいて、顎台3bに被検者の顔が載置されたことを検知すると、被検者に固視標を固視させるように指示する日本語の音声アナウンスをアナウンス部89に出力させる。また、制御部70は、固視標光学系300の光源301と、指標投影光学系400の光源と、顔照明光学系600の照明光源601と、を点灯させる。これによって、被検者の顔が照明され、被検者の顔画像が撮像される。制御部70は、観察画像801として顔画像を表示部75に表示させる。
【0056】
制御部70は、観察画像801(顔画像)から被検眼を検出すると、被検眼の3次元位置情報に基づいて撮影部100をXYZ方向へと移動させ、被検眼に対する撮影部100の粗アライメントを完了させる。これによって、被検眼Eの前眼部画像が撮像されるようになる。制御部70は、観察画像801を顔画像から前眼部画像に切り換えて表示部75に表示させる。続いて、制御部300は、観察画像801(前眼部画像)から被検眼を検出すると、アライメント指標像を利用して撮影部100をXYZ方向へと移動させ、被検眼に対する撮影部100の微アライメントを完了させる。
【0057】
制御部70は、被検眼のアライメントの完了を示す入力信号に基づいて、測定光学系200を制御し、被検眼の眼底に測定光を照射し、眼底によって反射された測定光の検出結果に基づいて、被検眼の眼屈折力を測定する。例えば、制御部70は、各経線方向におけるリング像の位置を特定して最小二乗法等により近似し、リング像の近似された形状に基づいて、眼屈折力を求めてもよい。制御部70は、被検眼の片眼の測定が完了すると、もう片眼に対しても測定部100を移動させ、アライメントおよび眼屈折力の測定を行う。
【0058】
<初期化>
制御部70は、被検眼の眼屈折力の測定が完了すると、測定結果(測定データ)を出力する。例えば、制御部70は、測定結果を検査画面800に表示させたり、プリントアウトさせたり、無線または有線で装置外部に出力させてもよい。検者は、被検眼Eの測定結果を確認し、被検眼の検査を終了するための図示なき検査終了ボタンを押す。制御部70は、検査終了ボタンからの入力信号に応じて、検査画面800に表示された測定結果をクリアする。また、制御部70は、検査終了ボタンからの入力信号に応じて、音声アナウンスの言語を初期言語に戻し(すなわち、本実施例では日本語から英語に戻し)、音声アナウンスが初期言語に設定されている状態の検査画面800(図3a参照)を表示部75に表示させる。これで、眼屈折力測定装置1の初期化が完了される。
【0059】
例えば、このように、第1モードが設定されている場合、音声アナウンスの初期言語が理解できる被検者に対しては、音声アナウンスの言語を設定(変更)する必要がなく、検査をスムーズに行うことができる。音声アナウンスの初期言語を理解できない被検者に対しては、適宜、言語呼出ボタン803を用いてアナウンス言語画面804を呼び出し、アナウンス言語画面804の言語の一覧から、音声アナウンスを所望の言語へと変更することができるので、被検者に適したアナウンスの言語を容易に設定できる。なお、音声アナウンスを初期言語から異なる言語に変更した際には、音声アナウンスが検査の終了後に再び初期言語に設定されるため、音声アナウンスの言語を設定しなおす手間が軽減される。さらに、このような操作にかかる時間が軽減される。
【0060】
<被検者が自身で検査を進行させる場合(第2モード)>
以下、被検者が自身で検査を進行させる場合(第2モード)を説明する。本実施例では、眼屈折力測定装置1の起動時に第1モードが初期設定として選択されているが、検査画面800(図3(a)参照)のモード切換ボタン802を押すことによって、第1モードから第2モードへと設定を切り換えることができる。なお、第2モードでは、被検者が変わる毎に、被検者が理解できる言語を自ら選択させるため、必ずしも音声アナウンスが公用語等の初期言語に設定されている必要はない。
【0061】
例えば、検者は、母国語が異なる様々な被検者を検査するような場合に、検査画面800のモード切換ボタン802を押し、第2モードを設定してもよい。制御部70は、モード切換ボタン802からの入力信号に基づいて、表示部75の表示を検査画面800から言語選択誘導画面に変更する。例えば、言語選択誘導画面は、被検者に自ら音声アナウンスの言語を選択させるための画面である。
【0062】
図4は、表示部に表示された言語選択誘導画面の一例である。例えば、言語選択誘導画面810は、操作説明画面811、言語選択ボタン812、モード切換ボタン813、等を有する。操作説明画面811は、被検者に音声アナウンスの言語を選択させるための操作説明(誘導情報)を示す画面である。例えば、操作説明とは、装置が出力可能な各言語で記載された、所望の言語を選択する旨を示す文章であってもよい。言語選択ボタン812は、被検者に音声アナウンスの所望の言語を選択させるためのボタンである。例えば、言語選択ボタン812は、操作説明における各言語の文章に対応させた複数のボタンが一覧として設けられる。モード切換ボタン813は、第2モードから前述した第1モードに切り換えるためのボタンである。なお、モード切換ボタン813は、被検者による操作を禁止するように、ロックされていてもよい。
【0063】
<音声アナウンスの言語設定>
例えば、被検者は、検者の指示に従い、眼屈折力測定装置1の前に座り、言語選択誘導画面810が表示された表示部75を確認する。例えば、制御部70は、言語選択ボタン812から入力信号が検知されるまで、待機画面として言語選択誘導画面810を常に表示させる。検者は、操作説明画面811の操作説明に従って、被検者が理解できる所望の言語に対応する言語選択ボタン812を選択する。制御部70は、言語選択ボタン812からの入力信号に基づいて、音声アナウンスの言語を設定する。例えば、被検者が操作説明画面811を確認し、所望の言語を選択する旨の日本語の文章を理解した場合、言語選択ボタン812の一覧から「1.Japanese(日本語)」のボタンが押される。制御部70は、言語選択ボタン812からの入力信号に基づいて、音声アナウンスの言語を日本語に設定する。
【0064】
制御部70は、音声アナウンスの言語の設定が完了すると、表示部75の表示を言語選択誘導画面810から検査画面800へと切り換え、自動的に検査を開始させる。例えば、制御部70は、被検者に顔を顎台に載置するように指示する日本語の音声アナウンスをアナウンス部89に出力させる。被検者は、音声アナウンスに従って顔を顎台に載置する。
【0065】
<他覚式測定>
例えば、制御部70は、被検者の顔が顎台3bに載置されたことを検知すると、検査画面800に観察画像801を表示させるとともに、被検眼のアライメントと眼屈折力の測定を実行する。これについては、第1モードと同様であるため、説明を省略する。なお、他覚式測定における測定眼や検査項目の選択(検査の各種の設定)については、検者が第2モードを設定した際に、予め設定しておいてもよい。
【0066】
ここで、例えば、被検者が検査画面800の各ボタンを誤って操作してしまうことで、装置が誤作動を起こしたり、装置の設定が変更されたり、眼屈折力の測定が停止したりする可能性がある。このため、例えば、制御部70は、言語選択ボタン812からの入力信号を検知し、アナウンスの言語を設定した後に、検査画面800(表示部75)からの操作信号の入力を無効化してもよい。すなわち、操作信号に基づく設定の変更や動作の実行を禁止してもよい。また、例えば、制御部70は、「測定中です。」、「画面に触れないでください。」等のメッセージ画面(案内や指示等)を検査画面800上に重畳表示してもよい。もちろん、検査画面800の操作信号の入力が無効化された状態であることを、音声アナウンスで報知してもよい。これによって、装置が誤作動を起こしたり、装置の設定が変更されたり、眼屈折力の測定が停止したりする可能性が軽減され、検査をスムーズに行うことができる。
【0067】
<初期化>
制御部70は、被検眼の眼屈折力の測定が完了すると、検査結果(測定データ)を出力する。また、制御部70は、測定の終了から一定時間が経過すると、再び言語選択誘導画面810を表示部75に表示させる。このとき、制御部70は、表示部75における操作信号の入力の無効化を解除する。これで、眼屈折力測定装置1の初期化が完了される。
【0068】
なお、次の被検者に変わると、次の被検者によって、言語選択ボタン812から音声アナウンスの所望の言語が選択される。例えば、言語選択ボタン812の一覧から「3.Italiano(イタリア語)」のボタンが押される。制御部70は、言語選択ボタン812からの入力信号に基づいて、前の被検者が選択した日本語から、次の被検者が選択したイタリア語に、音声アナウンスの言語設定を変更する。もちろん、制御部70は、前の被検者が選択した言語の設定をクリアしてから、言語選択誘導画面810を表示部75に表示させてもよい。
【0069】
例えば、このように、第2モードが設定されている場合、被検者自身が言語選択誘導画面810の操作説明画面811を確認することで、被検者が理解できる音声アナウンスの言語を容易に設定できる。また、前の被検者の検査が終了し、次の被検者に変わる際には、言語選択誘導画面810が表示された状態となるため、検者が音声アナウンスの言語設定を変更する必要はなく、被検者の母国語が異なる場合等であっても効率よく対応させることが可能となる。
【0070】
以上、説明したように、例えば、本実施例の眼科装置は、被検眼の検査条件を設定するための条件設定画面とは異なる、アナウンスの言語を設定するための第1言語設定画面(例えば、言語選択誘導画面810)を表示させ、アナウンスの言語を選択する操作手段からの操作信号に基づいて、アナウンスを選択された言語にて報知手段から出力し、被検眼の検査を進行させる。第1言語設定画面は、複数の言語の一覧に基づいて任意の言語を選択することが可能な画面であり、被検眼の検査が終了する毎に、初期画面として第1言語設定画面を表示させる。例えば、アナウンスの言語が予め所定の言語(一例として、公用語)に設定されている眼科装置では、被検者がアナウンスの言語を理解できない場合、アナウンスの言語設定を変更して検査を行う必要がある。さらに、検査が終了した後、変更したアナウンスの言語設定を元の言語(公用語)に戻す必要がある。しかし、本実施例の眼科装置では、被検眼の検査が終了する毎に第1言語設定画面を表示して、被検者が変わる度に所望の言語を選択してから検査を開始させることができ、被検者に適したアナウンスの言語を容易に設定できる。
【0071】
また、例えば、本実施例の眼科装置において、第1言語設定画面は、アナウンスの言語の選択を誘導するための誘導情報(例えば、操作説明画面811)と、複数の言語に対応する設定ボタン(例えば、言語選択ボタン812)と、を含み、設定ボタンからの操作信号に基づいて、アナウンスを選択された言語で出力し、被検眼の検査を進行させる。これによって、例えば、被検者に適したアナウンスの言語を、誘導情報を利用することで容易に設定できるため、検査をスムーズに行うことができる。
【0072】
また、例えば、本実施例の眼科装置は、被検眼の検査が終了する毎に、条件設定画面を初期画面として表示させる第1モードと、被検眼の検査が終了する毎に、第1言語設定画面を初期画面として表示させる第2モードと、を備えており、選択されたモードに応じて、条件設定画面または第1言語設定画面を表示させる。例えば、第1モードでは、被検者がアナウンスの言語を理解できない場合に、適宜、予め設定された所定の言語から被検者の所望する言語へと変更することができる。例えば、第2モードでは、被検者が変わる度に、被検者の使用言語に合わせて、アナウンスの言語を事前に選択することができる。本実施例の眼科装置では、このように、さまざまな検査状況に応じてモードを切り換えることによって、被検者が所望するアナウンスの言語を容易に選択できるため、検査をスムーズに行うことができる。
【0073】
また、例えば、本実施例の眼科装置において、第1モードは、検者がアナウンスの言語を選択するためのモードであり、第2モードは、被検者がアナウンスの言語を選択するためのモードである。例えば、検者が被検者と対話しながら検査を進める場合等は、第1モードを選択しておき、被検者が予め設定されたアナウンスの言語を理解できない際に、言語を変更してもよい。また、例えば、被検者が自身で検査を進める場合等は、第2モードを選択しておき、被検者が理解することが可能なアナウンスの言語を自ら変更するとともに、変更された音声アナウンスに従って検査を進行させてもよい。これによって、例えば、検者の有無によって適宜モードを切り換え、検査をスムーズに行うことができる。
【0074】
また、例えば、本実施例の眼科装置において、条件設定画面は、被検眼の観察画像と、アナウンスの言語を設定するための第2言語設定画面(例えば、アナウンス言語画面804)を呼び出す呼出ボタンと、を少なくとも含む検査画面(例えば、検査画面800)である。例えば、検者は、検査画面上で検査の条件設定を行いながら、被検者が予め設定されたアナウンスの言語を理解できない場合に、呼び出しボタンを押すことによって、被検者に適した言語設定を容易に行うことができる。
【0075】
また、例えば、本実施例の眼科装置は、被検眼の検査が終了する毎に、アナウンスの言語を予め設定された初期言語に設定する。例えば、被検者がアナウンスの初期言語(一例として、公用語)を理解できず、アナウンスの言語設定を変更した場合には、検査の終了後に元の言語(公用語)に戻す必要があり、操作の手間が発生する。しかし、本実施例の眼科装置では、被検眼の検査が終了する毎にアナウンスが初期言語に設定されることで、アナウンスの言語設定を変更する度に初期言語へと戻す手間が軽減される。また、このような操作にかかる時間が軽減される。
【0076】
また、例えば、本実施例の眼科装置は、第2モードが設定されている場合、アナウンスの言語が選択された後、眼科装置の操作を禁止するための動作制御を変更する。例えば、被検者が眼科装置を操作してしまったり、設定を変更してしまったりすることによって、被検眼の検査が適切に進行されない可能性がある。しかし、第2モードの設定に応じて操作禁止のための動作制御を変更することによって、被検眼の検査を適切に進行させることができる。
【0077】
<変容例>
本実施例では、検査画面800と言語選択誘導画面810(図4参照)とが、同一の表示部75に表示される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、検査画面800と言語選択誘導画面810は、それぞれが異なる表示部に表示されてもよい。一例としては、第1表示部(表示部75)と、第1表示部とは異なる第2表示部と、を設けて、第2表示部に言語選択誘導画面810を表示させるようにしてもよい。
【0078】
また、本実施例では、被検者が言語選択誘導画面810の言語選択ボタン812を操作することによって、被検眼Eの検査を進行させるための音声アナウンスの言語を変更する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、被検者に対する指示や案内がメッセージとして表示部75に表示される場合等には、被検者が言語選択ボタン812を操作することによって、このようなメッセージの言語を変更する構成としてもよい。
【0079】
また、本実施例では、第1モードにおいて音声アナウンスの言語の一覧を表示するアナウンス言語画面804と、第2モードにおいて、音声アナウンスの言語の一覧を表示する言語選択誘導画面810と、を異なる画面とする構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第1モードのアナウンス言語画面804は、第2モードの言語選択誘導画面810と、同一の画面で構成されてもよい。この場合、第1モードにおいて検者が言語呼出ボタン803を押すと、制御部70は言語呼出ボタン803からの入力信号に基づいて、言語選択誘導画面810を表示部75に表示させてもよい。これによって、操作説明画面811の操作説明とともに言語選択ボタン812が表示されるので、検者は言語選択ボタン812を用いて音声アナウンスを初期言語から所望の言語に変更することができる。なお、制御部70は、音声アナウンスの言語の設定が完了すると、言語選択誘導画面810を閉じて、検査画面800を表示部75に表示させる。例えば、このように、第1モードが設定された状態で、音声アナウンスの言語を変更するために言語選択誘導画面810を用いても、被検者に適した音声アナウンスの言語を容易に設定することができる。
【0080】
また、本実施例では、第1モードにおいて、被検眼Eの検査を開始するよりも前に、検査画面800(図3(a)参照)の言語呼出ボタン803を操作して所望の言語を選択する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、検査画面800には、言語呼出ボタン803が常に表示されていてもよく、被検眼Eの検査を開始した以降であっても言語呼出ボタン803を操作することが可能である。このため、検者は、被検眼Eの検査が進行していない等、状況を確認しながら、音声アナウンスの言語を変更してもよい。
【0081】
また、本実施例では、第2モードにおいて、言語選択誘導画面810(図4参照)に操作説明画面811を表示して、被検者に所望の言語を選択させる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、言語選択誘導画面810に操作説明画面811を表示するとともに、操作説明画面811の内容を音声アナウンスとしてアナウンス部89に出力させてもよい。例えば、「この画面では、音声案内言語を選択します。所望する言語のボタンを押してください。」または「この画面では、音声案内言語を選択します。現在案内している言語は1番です。」等の音声アナウンスを、それぞれの言語で順番に出力させてもよい。
【0082】
また、本実施例では、第2モードにおいて、言語選択誘導画面810(図4参照)の操作説明画面811として、操作説明を各言語の文章でそれぞれ表示する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、操作説明画面811の操作説明は、被検者にアナウンスの言語の選択を誘導できるようなアイコン等で示されてもよい。
【0083】
また、本実施例では、第1モードと第2モードの切り換えを、検査画面800と言語選択誘導画面810のそれぞれに設けられたモード切換ボタン813を操作することによって実行する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第1モードと第2モードの切り換えは、検者の操作を待ち受けるホーム画面に配置されたボタンやアイコン等を操作することによって実行する構成としてもよい。
【0084】
図5は、眼屈折力測定装置1の表示部75に表示されたホーム画面の一例である。本実施例では、眼屈折力測定装置1の起動時に、ホーム画面900が表示部75に表示されてもよい。例えば、ホーム画面900は、画面遷移の基本となる画面である。例えば、ホーム画面900は、別の画面に遷移する前の画面である。例えば、ホーム画面900は、種々の画面に遷移することができる。
【0085】
ホーム画面900には、ID入力ボタン910、測定眼選択ボタン911、モード選択ボタン914、画面遷移ボタン912、等が表示される。ID入力ボタン910は、IDを入力するためのボタンである。ID入力ボタン910が押されると、制御部70は、IDを入力するための入力画面(例えば、キーボード画面など)を表示させる。測定眼選択ボタン911は、両眼測定または片眼測定を選択するためのボタンである。モード選択ボタン914は、第1モードまたは第2モードを設定するためのボタンである。モード選択ボタン914が押されると、制御部70は、いずれかのモードを選択するための入力画面を表示させる。もちろん、モード選択ボタン914は、測定眼選択ボタン911のように、ホーム画面900上で直接的に選択することができてもよい。画面遷移ボタン912は、ホーム画面900を、第1モードまたは第2モードに対応する画面へと遷移させるためのボタンである。
【0086】
検者は、各種のボタンを操作して被検眼Eの検査条件を設定し、画面遷移ボタン912を押す。制御部70は、画面遷移ボタン912からの入力信号に基づいて、第1モードが設定された場合には検査画面800に遷移させ、第2モードが設定された場合には言語選択誘導画面810に遷移させる。本実施例の眼屈折力測定装置1では、このようにホーム画面900を介して、第1モードと第2モードを選択してもよい。なお、各モードを切り換える場合には、検査画面800または言語選択誘導画面810からホーム画面900を呼び出せばよい。
【0087】
本実施例では、第1モードにおいて、観察画像801と言語呼出ボタン803を有する検査画面800を、音声アナウンスの言語を含む検査条件を設定することが可能な画面として表示部75に表示する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第1モードにおいて、前述のホーム画面900を、検査条件を設定することが可能な画面として表示部75に表示する構成としてもよい。この場合、ホーム画面900には、言語選択ボタン913が表示されてもよく、言語選択ボタン913を操作することによって、装置が出力可能な音声アナウンスの言語の一覧が表示されてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 眼屈折力測定装置
70 制御部
75 表示部
100 測定部
200 測定光学系
300 固視標光学系
400 指標投影光学系
500 観察光学系
600 顔照明光学系
700 顔撮影光学系
図1
図2
図3
図4
図5