(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163407
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】液滴吐出装置、液滴吐出装置の除去部材劣化判定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20241115BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B41J2/175 201
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/175 501
B41J2/175 301
B41J2/175 141
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078953
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 陽平
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA26
2C056EB34
2C056EB48
2C056EC17
2C056EC26
2C056EC32
2C056EC40
2C056KA02
2C056KB16
2C056KB23
2C056KB26
2C056KB37
2C056KC02
2C056KC09
2C056KC20
(57)【要約】
【課題】除去部材を適切に交換可能な液滴吐出装置、液滴吐出装置の除去部材劣化判定方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】例えばインクジェット記録装置1である液滴吐出装置の制御部50は、空圧ポンプ493等の圧力差発生部を用いて、液体流路である送液管46に設けられた除去部材Cの送液方向上流側の圧力を送液方向下流側の圧力よりも相対的に高くした上で、液体の流量又は圧力を特定可能な情報を第3フロートセンサー441等の計測部から取得することで、除去部材Cの劣化を判定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する液体貯留部と、液体を吐出する液滴吐出部と、の間の液体流路に設けられ、前記液体貯留部中の液体を前記液滴吐出部に送出する送液ポンプと、前記液体流路に位置し、液体中の異物を除去する除去部材と、を備える液滴吐出装置であって、
圧力発生部を用いて、前記除去部材の送液方向上流側の圧力を前記送液方向下流側の圧力よりも相対的に高くする圧力差形成部と、
前記圧力差形成部が圧力差を形成した後の前記液体流路における液体の流量又は圧力を特定可能な情報を計測部から取得する取得部と、
前記取得部の取得内容に基づいて前記除去部材の劣化を判定する判定部と、を備える液滴吐出装置。
【請求項2】
前記圧力発生部は、前記液体貯留部内の圧力値を調整するポンプである請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記液体貯留部は、前記除去部材の前記送液方向上流側に設けられた上流側液体貯留部を備え、
前記圧力発生部は、前記上流側液体貯留部内を加圧する空圧ポンプである請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記液体貯留部は、前記除去部材の前記送液方向下流側に設けられた下流側液体貯留部を備え、
前記圧力発生部は、前記下流側液体貯留部内を減圧する背圧ポンプである請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記背圧ポンプは、前記下流側液体貯留部内の圧力値を、-1kPa~-3kPaに減圧する請求項4に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記除去部材を通過する前記液体流路である第1流路のうち、前記除去部材よりも搬送方向下流側から分岐する第2流路における液体の流量又は圧力を特定可能な情報を前記計測部から取得する請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記送液ポンプは、ダイアフラムポンプである請求項1から6のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記計測部は、前記液体貯留部の液面高さの変化量を計測する請求項1から6のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記計測部は、液面の昇降に応じて磁界を発するフロートと、前記磁界の磁束密度を計測する磁気センサーと、を備える請求項8に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記磁気センサーの近傍に磁性体が設けられている請求項9に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
前記計測部は、流量計である請求項1から6のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項12】
前記判定部により、前記除去部材が劣化していると判定された場合に警告を報知させる報知部を備える請求項1から6のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項13】
液体を貯留する液体貯留部と、液体を吐出する液滴吐出部と、の間の液体流路に設けられ、前記液体貯留部中の液体を前記液滴吐出部に送出する送液ポンプと、前記液体流路に位置し、液体中の異物を除去する除去部材と、を備える液滴吐出装置の除去部材劣化判定方法であって、
圧力発生部を用いて、前記除去部材の送液方向上流側の圧力を前記送液方向下流側の圧力よりも相対的に高くする圧力差形成ステップと、
前記圧力差形成ステップで圧力差を形成した後の前記液体流路における液体の流量又は圧力を特定可能な情報を計測部から取得する取得ステップと、
前記取得ステップでの取得内容に基づいて前記除去部材の劣化を判定する判定ステップと、を備える液滴吐出装置の除去部材劣化判定方法。
【請求項14】
液体を貯留する液体貯留部と、液体を吐出する液滴吐出部と、の間の液体流路に設けられ、前記液体貯留部中の液体を前記液滴吐出部に送出する送液ポンプと、前記液体流路に位置し、液体中の異物を除去する除去部材と、を備える液滴吐出装置のコンピューターを、
圧力発生部を用いて、前記除去部材の送液方向上流側の圧力を前記送液方向下流側の圧力よりも相対的に高くする圧力差形成部、
前記圧力差形成部が圧力差を形成した後の前記液体流路における液体の流量又は圧力を特定可能な情報を計測部から取得する取得部、
前記取得部の取得内容に基づいて前記除去部材の劣化を判定する判定部、として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置、液滴吐出装置の除去部材劣化判定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体の記録面に、液滴吐出部から液滴を吐出して画像を記録する液滴吐出装置が知られている。液滴吐出装置は、液体の入ったタンクを備える。液滴吐出装置は、送液ポンプによりタンク中の液体を液滴吐出部に送出する。
【0003】
液滴吐出装置においては、タンクと液滴吐出部の間に、液体中の異物を除去するフィルターや、液体中の気体を除去する脱気モジュール等の除去部材が設けられる。除去部材が劣化して詰まりが生じると、異物除去の効率が低下してしまう。したがって、除去部材は、その劣化度に応じて適切に交換する必要がある。
【0004】
これに関連して、例えば特許文献1には、流路内のインクの流量を測定することで、フィルターの異物除去能力を検出する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の発明では、インクを送液するポンプとフィルターが同じ流路に設けられている。そのため、流量の低下の原因がポンプの劣化によるものであるのか、あるいはフィルターの異物除去能力の劣化によるものであるのかを判定できない。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものである。その目的は、除去部材の劣化を的確に判定可能な液滴吐出装置、液滴吐出装置の除去部材劣化判定方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
液体を貯留する液体貯留部と、液体を吐出する液滴吐出部と、の間の液体流路に設けられ、前記液体貯留部中の液体を前記液滴吐出部に送出する送液ポンプと、前記液体流路に位置し、液体中の異物を除去する除去部材と、を備える液滴吐出装置であって、
圧力発生部を用いて、前記除去部材の送液方向上流側の圧力を前記送液方向下流側の圧力よりも相対的に高くする圧力差形成部と、
前記圧力差形成部が圧力差を形成した後の前記液体流路における液体の流量又は圧力を特定可能な情報を計測部から取得する取得部と、
前記取得部の取得内容に基づいて前記除去部材の劣化を判定する判定部と、を備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液滴吐出装置であって、
前記圧力発生部は、前記液体貯留部内の圧力値を調整するポンプである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の液滴吐出装置であって、
前記液体貯留部は、前記除去部材の前記送液方向上流側に設けられた上流側液体貯留部を備え、
前記圧力発生部は、前記上流側液体貯留部内を加圧する空圧ポンプである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の液滴吐出装置であって、
前記液体貯留部は、前記除去部材の前記送液方向下流側に設けられた下流側液体貯留部を備え、
前記圧力発生部は、前記下流側液体貯留部内を減圧する背圧ポンプである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の液滴吐出装置であって、
前記背圧ポンプは、前記下流側液体貯留部内の圧力値を、-1kPa~-3kPaに減圧する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の液滴吐出装置であって、
前記取得部は、前記除去部材を通過する前記液体流路である第1流路のうち、前記除去部材よりも搬送方向下流側から分岐する第2流路における液体の流量又は圧力を特定可能な情報を前記計測部から取得する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の液滴吐出装置であって、
前記送液ポンプは、ダイアフラムポンプである。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の液滴吐出装置であって、
前記計測部は、前記液体貯留部の液面高さの変化量を計測する。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の液滴吐出装置であって、
前記計測部は、液面の昇降に応じて磁界を発するフロートと、前記磁界の磁束密度を計測する磁気センサーと、を備える。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の液滴吐出装置であって、
前記磁気センサーの近傍に磁性体が設けられている。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の液滴吐出装置であって、
前記計測部は、流量計である。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の液滴吐出装置であって、
前記判定部により、前記除去部材が劣化していると判定された場合に警告を報知させる報知部を備える。
【0020】
請求項13に記載の発明は、液体を貯留する液体貯留部と、液体を吐出する液滴吐出部と、の間の液体流路に設けられ、前記液体貯留部中の液体を前記液滴吐出部に送出する送液ポンプと、前記液体流路に位置し、液体中の異物を除去する除去部材と、を備える液滴吐出装置の除去部材劣化判定方法であって、
圧力発生部を用いて、前記除去部材の送液方向上流側の圧力を前記送液方向下流側の圧力よりも相対的に高くする圧力差形成ステップと、
前記圧力差形成ステップで圧力差を形成した後の前記液体流路における液体の流量又は圧力を特定可能な情報を計測部から取得する取得ステップと、
前記取得ステップでの取得内容に基づいて前記除去部材の劣化を判定する判定ステップと、を備える。
【0021】
請求項14に記載の発明は、プログラムであって、
液体を貯留する液体貯留部と、液体を吐出する液滴吐出部と、の間の液体流路に設けられ、前記液体貯留部中の液体を前記液滴吐出部に送出する送液ポンプと、前記液体流路に位置し、液体中の異物を除去する除去部材と、を備える液滴吐出装置のコンピューターを、
圧力発生部を用いて、前記除去部材の送液方向上流側の圧力を前記送液方向下流側の圧力よりも相対的に高くする圧力差形成部、
前記圧力差形成部が圧力差を形成した後の前記液体流路における液体の流量又は圧力を特定可能な情報を計測部から取得する取得部、
前記取得部の取得内容に基づいて前記除去部材の劣化を判定する判定部、として機能させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、除去部材の劣化を的確に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】インクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】第2フロートセンサー及び第2サブタンクの概略断面図である。
【
図5】除去部材劣化判定処理のフローチャートである。
【
図6】送液管から加熱タンクに戻る戻り流路が設けられた送液部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態に係る液滴吐出装置について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0025】
[インクジェット記録装置の全体構成]
図1は、本発明の液滴吐出装置の一実施形態である、インクジェット記録装置1の主要構成を示す側断面図である。また、
図2は、インクジェット記録装置1の機能構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置1は、給紙部10、画像形成部20、排紙部30、送液部40、制御部50及び報知部60等を備える。
【0026】
(給紙部)
給紙部10は、画像形成前の記録媒体Pを格納する。給紙部10は、制御部50の制御下で、記録媒体Pを画像形成部20に搬送する。給紙部10は、給紙トレー11及び搬送部12等を備える。
【0027】
{給紙トレー}
給紙トレー11は、記録媒体Pを格納する板状部材である。給紙トレー11は、一又は複数の記録媒体Pを載置可能に設けられる。給紙トレー11は、載置された記録媒体Pの量に応じて上下動する。給紙トレー11は、当該上下動により、最上の記録媒体Pが搬送部12によって搬送される位置で保持される。
【0028】
{搬送部}
搬送部12は、給紙トレー11から画像形成部20へ記録媒体Pを搬送する。搬送部12は、搬送機構を備える。搬送機構は、ベルト123を駆動して、ベルト123上の記録媒体Pを搬送する。ベルト123は、輪状である。ベルト123の輪の内側は、複数のローラー121、122により担持される。
【0029】
搬送部12は、供給部を備える。供給部は、給紙トレー11に載置された最上の記録媒体Pをベルト123上に受け渡す。搬送部12は、当該供給部により、記録媒体Pをベルト123に沿わせるように搬送する。
【0030】
(画像形成部)
画像形成部20は、送液部40と協働して、制御部50の制御下で記録媒体Pに記録動作を実行する。画像形成部20は、画像形成ドラム21、受け渡しユニット22、用紙加熱部23、ヘッドユニット24、照射部25及びデリバリー部26等を備える。
【0031】
{画像形成ドラム}
画像形成ドラム21は、円筒状の外周面に沿って記録媒体Pを担持し、回転に伴って当該記録媒体Pを搬送する。画像形成ドラム21の搬送面は、用紙加熱部23、ヘッドユニット24及び照射部25と対向し、搬送される記録媒体Pに対して画像形成処理を実行する。
【0032】
{受け渡しユニット}
受け渡しユニット22は、搬送部12と画像形成ドラム21の間に介在する位置に設けられる。受け渡しユニット22は、爪部221及び受け渡しドラム222等を備える。
【0033】
爪部221は、搬送部12により搬送された記録媒体Pの一端を担持する円筒状部材である。受け渡しドラム222は、爪部221に担持された記録媒体Pを誘導する部材である。
【0034】
受け渡しユニット22は、搬送部12上の記録媒体Pを爪部221で取り上げて受け渡しドラム222の外周面に沿わせる。受け渡しユニット22は、当該動作により、記録媒体Pを画像形成ドラム21に受け渡す。
【0035】
{用紙加熱部}
用紙加熱部23は、例えば、電熱線等を備え、通電に応じて発熱する。用紙加熱部23は、制御部50により制御され、その近傍を通過する記録媒体Pが所定の温度となるように発熱する。用紙加熱部23は、画像形成ドラム21の外周面の近傍であり、かつ、記録媒体Pの搬送方向について、ヘッドユニット24の上流側に位置するよう設けられる。
【0036】
用紙加熱部23の近傍には、不図示の温度センサーが設けられる。制御部50は、当該温度センサーにより用紙加熱部23付近の温度を検知する。制御部50は、当該検知した温度に基づいて、用紙加熱部23の発熱を制御する。
【0037】
{ヘッドユニット}
ヘッドユニット24は、記録媒体Pに対してインク滴を吐出して画像を形成する。ヘッドユニット24は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)の各色に対応するものがそれぞれ設けられている。
図1では、記録媒体Pの搬送方向に対して、上流からY、M、C、Kの各色に対応したヘッドユニット24が順番に設けられている。
【0038】
ここで、平面視において記録媒体Pの搬送方向に垂直な方向を幅方向とする。本実施形態のヘッドユニット24は、幅方向につき、記録媒体Pの全体をカバーする長さ(幅)で複数配列されるように設けられている。また、本実施形態のヘッドユニット24は、液滴吐出部であるインクジェットヘッド24a(
図3参照)が複数配列されて構成されたヘッドユニットである。すなわち、インクジェット記録装置1は、例えばワンパス方式のラインヘッド型インクジェット記録装置である。
【0039】
なお、画像形成部20に設けられるヘッドユニット24の数は3つ以下であっても5つ以上であってもよい。また、単一のインクジェットヘッド24aがヘッドユニット24を構成してもよい。
【0040】
ヘッドユニット24が吐出するインクは、例えば紫外線硬化型インクである。紫外線硬化型インクは、照射部25から紫外線が照射されない状態では、温度に応じてゲル状態と液体(ゾル)状態との間で相変化するゲル状インクである。紫外線硬化型インクは、例えば40~100℃程度の相変化温度を有し、相変化温度以上に加熱上昇されることで一様に液化(ゾル化)する。紫外線硬化型インクは、一方で、通常の室温程度、すなわち0~30℃程度である場合はゲル化する。
【0041】
{照射部}
照射部25は、例えば、低圧水銀ランプ等の蛍光管を備える。照射部25は、当該蛍光管の発光により、紫外線等のエネルギー線を照射する。照射部25は、画像形成ドラム21の外周面の近傍に設けられる。また、照射部25は、記録媒体Pの搬送方向について、ヘッドユニット24の下流側に位置するよう設けられる。照射部25は、インクが吐出された記録媒体Pに対してエネルギー線を照射する。記録媒体P上のインクは、当該エネルギー線の作用により硬化する。
【0042】
なお、紫外線を発する蛍光管は低圧水銀ランプに限られない。蛍光管は、例えば数百Pa~1MPa程度の動作圧力を備える水銀ランプであってよい。また、蛍光管は、殺菌灯として利用可能な光源、例えば、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプあるいは発光ダイオード等であってよい。この中でも、蛍光管は、紫外線をより高照度で照射可能であって省電力な光源であることが望ましい。蛍光管は、例えば、発光ダイオード等である。なお、エネルギー線は紫外線に限られず、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線であれば良い。そして、光源もエネルギー線に応じて置換される。
【0043】
上記においては、ヘッドユニット24が紫外線硬化型のインクを吐出する場合を例示したが、これに限定されない。ヘッドユニット24が吐出するインクは、水性インクやその他の物性を有するインクであっても良い。
【0044】
{デリバリー部}
デリバリー部26は、搬送機構を備える。搬送機構は、内側が複数のローラー261、262に担持された輪状のベルト263を駆動して、記録媒体Pを搬送する。デリバリー部26は、円筒状の受け渡しローラー264を備える。受け渡しローラー264は、記録媒体Pを画像形成ドラム21から当該搬送機構に受け渡す。デリバリー部26は、受け渡しローラー264によりベルト263上に受け渡された記録媒体Pを搬送して排紙部30に送り出す。
【0045】
(排紙部)
排紙部30は、画像形成部20で画像形成された記録媒体Pが排紙される。排紙部30は、板状の排紙トレー31等を備える。デリバリー部26により画像形成部20から送り出された記録媒体Pは、排紙トレー31に載置される。排紙部30は、当該記録媒体Pを、ユーザーが取り出すまで格納する。
【0046】
(送液部)
図3に送液部40の概略構成図を示す。送液部40は、各色のインクを各ヘッドユニット24へ供給し、当該各色のインクを吐出可能とする。送液部40は、液体貯留部であるメインタンク41、加熱タンク42、第1サブタンク43及び第2サブタンク44等を備える。
【0047】
<メインタンク>
メインタンク41は、送液部40の各部に供給されるインクが収容されるタンクである。メインタンク41は、例えば金属製の剛体密閉タンクである。メインタンク41は、供給管45を介して加熱タンク42と連通する。供給管45には、供給ポンプ451及び供給弁452が設けられている。
【0048】
〈供給ポンプ、供給弁〉
供給ポンプ451及び供給弁452は、制御部50の制御下で動作する。メインタンク41内のインクは、供給弁452の開放時に、供給ポンプ451の駆動により、供給管45を介して、加熱タンク42に供給される。なお、メインタンク41は、その全体を交換可能となっている。メインタンク41は、供給ポンプ451の駆動状況に拘わらず、供給管45と着脱可能に形成されている。
【0049】
<加熱タンク>
加熱タンク42は、メインタンク41から供給されたインクを加熱するタンクである。加熱タンク42には、内部のインクを適温に加温する不図示のインク加熱部が設けられる。また、加熱タンク42内には、第1フロートセンサー421が配置されている。
【0050】
インク加熱部は、ヒーターやヒーターからの熱を伝える伝熱部材等により構成される。インク加熱部を構成するヒーターとしては、例えば、通電されることによりジュール熱を生じる電熱線が用いられる。インク加熱部を構成する伝熱部材としては、熱伝導率の高い部材、例えば、各種金属(合金)で形成された熱伝導板が用いられる。
【0051】
第1フロートセンサー421は、加熱タンク42内の液面高さを取得して当該データを制御部50に送信する。制御部50には、加熱タンク42中のインクの下限量に係る液面高さが記憶されている。そして、制御部50は、第1フロートセンサー421の送信データと、インクの下限量に係る液面高さを比較する。第1フロートセンサー421の送信データが、インクの下限量に係る液面高さよりも低い場合、制御部50は、下流側の液体貯留部であるメインタンク41からインクを送出する。他方、第1フロートセンサー421の送信データが、インクの上限量に係る液面高さよりも高い場合、制御部50は、報知部60にエラーの表示をさせる。制御部50の当該制御により、加熱タンク42内には、常に下限量以上かつ上限量以下のインクが貯留される。
【0052】
加熱タンク42は、第1サブタンク43と、所定の電磁弁及びポンプを有する流路により連通しており、内部のインクを選択的に第1サブタンク43に供給する。
【0053】
<第1サブタンク>
第1サブタンク43は、後述する除去部材Cの送液方向上流側に設けられた上流側液体貯留部である。第1サブタンク43は、メインタンク41よりも容積が小さい1又は複数のインク室である。第1サブタンク43は、加熱タンク42で加熱されたインクを保温して貯留する。第1サブタンク43には、第2フロートセンサー431、第1圧力計432、第1大気開放弁433等が設けられる。
【0054】
〈第2フロートセンサー〉
第2フロートセンサー431は、第1フロートセンサー421と略同一の構成である。すなわち、第2フロートセンサー431は、第1サブタンク43内の液面高さを取得して当該データを制御部50に送信する。そして、制御部50は、当該データに基づいて、第1サブタンク43内のインク量を下限量以上かつ上限量以下とする。
【0055】
〈第1圧力計〉
第1圧力計432は、第1サブタンク43内の圧力値を取得して当該データを制御部50に送信する。
【0056】
〈第1大気開放弁〉
第1大気開放弁433は、制御部50に制御される電磁弁である。第1大気開放弁433は、制御部50の制御下で、第1サブタンク43を大気に対して選択的に開放又は閉鎖する。
【0057】
〈インク保温部〉
また、第1サブタンク43には、第1サブタンク43内のインクを適温に保温する不図示のインク保温部が設けられる。インク保温部は、インク加熱部と略同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0058】
また、第1サブタンク43は、回収路48を介してインクジェットヘッド24aのアウトレットと連通している。インクジェットヘッド24aから吐出されなかったインクは、回収路48を通過して第1サブタンク43に回収される。当該構成により、例えば、インクジェットヘッド24aのメンテナンスでインクを抜く必要がある場合でも、無駄なくインクを回収できる。
【0059】
第1サブタンク43は、第1流路である送液管46を介して第2サブタンク44と連通する。送液管46には、除去部材C、流路圧力計461、送液ポンプ462及び送液弁463等が設けられる。
【0060】
〈除去部材〉
除去部材Cは、インク中の異物を除去する。本実施形態において、除去部材Cは例えばフィルターであって、例えばメッシュ状の金属や樹脂の多孔質体等によって形成される。また、除去部材Cは、所定の大きさのメッシュを有する。除去部材Cがフィルターである場合、除去する異物は、例えばゴミや鉄粉、あるいは顔料の凝集物等である。
【0061】
〈流路圧力計〉
流路圧力計461は、送液管46における圧力値を取得して当該データを制御部50に送信する。
【0062】
〈送液ポンプ〉
送液ポンプ462は、第1サブタンク43内のインクを第2サブタンク44に送出する。本発明において、送液ポンプ462は、逆止弁及びダイアフラムを備えるダイアフラムポンプである。送液ポンプ462がダイアフラムポンプであると、インク中に異物が混入するおそれや、液漏れが発生するおそれが低減する。
【0063】
〈送液弁〉
送液弁463は、制御部50に制御される電磁弁である。送液弁463は、制御部50の制御下で、送液ポンプ462の駆動時に送液管46を選択的に開閉する。
【0064】
<第2サブタンク>
第2サブタンク44は、除去部材Cの送液方向下流側に設けられた下流側液体貯留部である。第2サブタンク44は、第1サブタンク43から送液されたインクが一時的に貯留される小型のタンク室である。第2サブタンク44の容量は、特には限定されないが、第1サブタンク43と略同一程度の容量である。第2サブタンク44は、供給路47を介して各インクジェットヘッド24aのインレットと連通している。各インクジェットヘッド24aは、その吐出するインクの量に応じて、第2サブタンク44からインクが供給される。第2サブタンク44には、第3フロートセンサー441、第2圧力計442、背圧弁443及び背圧ポンプ444等が設けられる。
【0065】
〈第3フロートセンサー〉
第3フロートセンサー441は、第2サブタンク44内の液面高さを計測して当該データを制御部50に送信する。制御部50は、当該計測データに基づいて、第1サブタンク43と同様に、第2サブタンク44内のインク量を下限量以上かつ上限量以下とする。また、制御部50は、後述する除去部材劣化判定処理においては、第3フロートセンサー441を計測部として、当該計測データに基づいて、除去部材Cの劣化を判定する。
【0066】
本実施形態における第3フロートセンサー441の詳細な構成を
図4に示す。
図4に示すように、第3フロートセンサー441は、第2サブタンク内に設けられたフロート441a及び第2サブタンク44の上部に設けられた磁気センサー441bを備える。また、磁気センサー441bの近傍には、磁性体441cが設けられている。
【0067】
フロート441aは、磁石が内蔵されている。また、フロート441aは、第2サブタンク44中のインクの増減に応じて昇降して磁界を発する。磁気センサー441bは、フロート441aの昇降に応じて変化する磁界の磁束密度により、第2サブタンク44内の液面高さを計測する。磁性体441cは、磁束を磁気センサー441bに集中させることで、その感度を向上させる。
【0068】
〈第2圧力計〉
図3に戻って、第2圧力計442は、第2サブタンク44内の圧力値を取得して制御部50に当該データを送信する。
【0069】
〈背圧弁、背圧ポンプ〉
背圧弁443は、制御部50の制御下で、背圧ポンプ444の駆動に応じて選択的に開閉する。背圧ポンプ444は、制御部50の制御下で第2サブタンク44内の圧力値を調整することで、インクジェットヘッド24aに適切な負圧をかける。当該負圧により、インクジェットヘッド24aのインクは、画像形成時や各種のメンテナンスを除くタイミングで漏れ出すのを抑制される。
【0070】
<送気管>
また、第1サブタンク43と第2サブタンク44は送気管49によって連通している。送気管49には、第2大気開放弁491と、圧力調整弁492と、空圧ポンプ493が設けられる。空圧ポンプ493は、第1サブタンク43内の空気を吸気することで、第1サブタンク43内を減圧する。第2大気開放弁491のみが開放状態の場合、当該空気は第2サブタンク44内に送気されて第2サブタンク44内を加圧する。あるいは、圧力調整弁492が開放状態の場合、当該空気は大気中に放出される。また、空圧ポンプ493は、第2大気開放弁491が閉鎖状態の時に、第1サブタンク43内に大気を送気することで、第1サブタンク43内を加圧する。
【0071】
(制御部)
図2に戻って、制御部50は、インクジェット記録装置1を構成する各部を制御する。制御部50は、インクジェット記録装置1を構成する上記各部と接続される。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)51、RAM(Random Access Memory)52及びROM(Read Only Memory)53等を備える。
【0072】
CPU51は、ROM53等の記憶装置から処理内容に応じた各種のプログラムやデータ等を読み出して実行する。また、CPU51は、実行された処理内容に応じてインクジェット記録装置1の各部の動作を制御する。RAM52は、CPU51により処理される各種のプログラムやデータ等を一時的に記憶する。ROM53は、CPU51等により読み出される各種のプログラムやデータ等を記憶する。
【0073】
(報知部)
報知部60は、制御部50の制御下で、種々の情報を報知する。報知部60は、例えば画面を有する表示部や、ネットワークを介して他の装置と通信可能な通信部である。
【0074】
[除去部材劣化判定処理]
上記のように構成されたインクジェット記録装置1における、除去部材劣化判定処理について説明する。除去部材劣化判定処理は、例えば、印刷終了時のインクジェット記録装置1のシャットダウン前等の決められたタイミングに実行する。
【0075】
図5は、除去部材劣化判定処理の一実施例を示すフローチャートである。本処理において、制御部50は、除去部材Cの劣化を判定する判定部として機能する。
【0076】
まず、制御部50は、第1大気開放弁433及び第2大気開放弁491を閉鎖し、圧力調整弁492を開放した上で空圧ポンプ493を駆動させる。当該制御により、制御部50は、第1サブタンク43内のみを加圧する(ステップS101)。制御部50は、第1サブタンク43内と第2サブタンク44内の圧力差が所定値(例えば30kPa差)となるまで待機する(ステップS102)。
【0077】
第1サブタンク43内と第2サブタンク44内の圧力差が所定値となったら(ステップS102;Yes)、制御部50は、第1サブタンク43内の加圧を停止する(ステップS103)。すなわち、制御部50は、空圧ポンプ493の駆動を停止する。このように、制御部50は、空圧ポンプ493等の圧力発生部の駆動を制御する。そして、制御部50は、圧力発生部の駆動を制御して、第1サブタンク43内の圧力を第2サブタンク44内の圧力よりも相対的に高くする圧力差形成部として機能する。
【0078】
第1サブタンク43内の加圧後、制御部50は、第3フロートセンサー441により、第2サブタンク44内の液面高さを取得する(ステップS104)。
【0079】
そして、制御部50は、送液弁463を開放する(ステップS105)。上記したように、第1サブタンク43内の圧力は第2サブタンク44内の圧力よりも相対的に高くなっている。そのため、当該圧力差により、第1サブタンク43内のインクは、送液ポンプ462が動作していなくても、送液管46を通過して、第2サブタンク44内に流入する。
【0080】
制御部50は、送液弁463を所定秒開放する(ステップS106)。所定秒の経過後(ステップS106;Yes)、制御部50は、送液弁463を閉鎖する(ステップS107)。そして、制御部50は、第3フロートセンサー441により、第2サブタンク44内の液面高さを再度取得する(ステップS108)。第2サブタンク44内の液面高さの取得後、制御部50は、第1大気開放弁433を開放することで、第1サブタンク43を大気開放する(ステップS109)。
【0081】
制御部50は、ステップS104、S108で取得した第2サブタンク44内の液面高さを比較して、液面上昇量、すなわちインクの流量を算出する。このように、制御部50は、計測部である第3フロートセンサー441から、圧力差が形成された後の送液管46における液体の流量を特定可能な情報を取得する取得部として機能する。制御部50は、当該液面上昇量が所定値(例えば3mm)以上であるか否かを判定する(ステップS110)。
【0082】
上記したように、ステップS105において、第1サブタンク43内のインクは、除去部材Cを経由して第2サブタンク44内に流入する。そのため、液面上昇量が所定値未満である場合(ステップS110;No)、除去部材Cが劣化しており、除去部材Cに詰まりが発生していると考えられる。そこで、制御部50は、報知部60に警告を報知させる(ステップS111)。具体的には、制御部50は、除去部材Cの交換を催促する。なお、報知部60によって警告を報知する対象は、インクジェット記録装置1を使用しているユーザーでも、インクジェット記録装置1を管理しているサービスエンジニアでもよい。
【0083】
報知部60による警告の報知後、制御部50は本処理を終了する。
【0084】
他方、第2サブタンク44内の液面上昇量が所定値以上である場合(ステップS110;Yes)、除去部材Cが劣化しておらず、詰まりは発生していない。そのため、制御部50は、報知部60に警告を報知させずに本処理を終了する。
【0085】
[実施形態の効果]
以上に示すように、本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、除去部材Cの送液方向上流側の圧力を送液方向下流側の圧力よりも相対的に高くする空圧ポンプ493を備える。また、インクジェット記録装置1は、空圧ポンプ493が圧力差を形成した後の送液管46におけるインクの流量を特定可能な情報を第3フロートセンサー441から取得する。また、インクジェット記録装置1は、第3フロートセンサー441から取得した情報に基づいて除去部材Cの劣化を判定する。当該構成によれば、送液ポンプ462ではなく、空圧ポンプ493によって送液した上で除去部材Cの劣化を判定する。そのため、除去部材Cの劣化を的確に判定できる。
【0086】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の送液ポンプ462は、ダイアフラムポンプである。ダイアフラムポンプにおいては、逆止弁に異物が付着すると送液量が低下する。そのため、従来発明においては、単に送液量を取得するだけでは、その原因が除去部材Cの劣化か送液ポンプ462の劣化かが判別できなかった。しかしながら、本発明においては、送液ポンプ462に依らずに送液した上で送液量を取得するため、除去部材Cの劣化を的確に判定できる。
【0087】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、液面の昇降に応じて磁界を発するフロート441aと、磁界の磁束密度を計測する磁気センサー441bを備える。当該構成によれば、磁気センサー441bがインクに触れることなく液面高さを取得できる。
【0088】
また、磁気センサー441bの近傍には磁性体441cが設けられる。当該構成によれば、磁束が磁気センサー441bに集中する。結果、磁気センサー441bの感度が向上し、より正確に液面高さを取得できる。
【0089】
[その他の構成]
以上、本発明に係る実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明が、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む様々な変更が可能であるのはもちろんである。
【0090】
例えば上記においては、除去部材Cがフィルターである場合を例示したが、これに限られない。除去部材Cは、内部に中空糸等の気体透過膜を備える脱気モジュールであってもよい。この場合、除去部材Cが除去するインク中の異物とは、空気である。
【0091】
また、上記においては、除去部材劣化判定処理において、第2サブタンク44内の液面高さの変化に基づいてインクの流量を取得する構成を例示したが、これに限られない。例えば、除去部材Cの送液方向上流側及び下流側にそれぞれ公知の流量計を計測部として設け、両者の測定値の差に基づいてインクの流量を取得してもよい。
【0092】
ただし、流量計は設置にスペースが必要であり、また、耐熱性及び耐インク性を有するものを採用する必要がある。そのため、上記したような、第2サブタンク44内の液面高さの変化を取得する構成が好ましい。
【0093】
また、例えば、流路圧力計461を計測部として、送液弁463の開放前後の圧力値の差に基づいて除去部材Cの劣化を判定してもよい。
【0094】
上記したように、除去部材Cが劣化しておらず詰まりが無い場合、除去部材Cを経由して第1サブタンク43内のインクが第2サブタンク44に流れる。そのため、第1サブタンク43内と第2サブタンク44内の圧力差が緩和される。すなわち、送液弁463の開放前後の流路圧力計461における圧力差は小さくなる。他方、除去部材Cが劣化して詰まりが生じると、第1サブタンク43内のインクが第2サブタンク44内に流れにくくなる。そのため、第1サブタンク43内と第2サブタンク44内の圧力差が緩和されにくい。結果、送液弁463の開放前後の流路圧力計461における圧力差は大きくなる。
【0095】
また、上記においては、空圧ポンプ493を圧力発生部として、第1サブタンク43内の圧力値を第2サブタンク44内の圧力値よりも相対的に高くする構成を例示したが、これに限られない。すなわち、背圧ポンプ444を圧力発生部としてもよい。この場合、第2サブタンク44内を減圧することで、第1サブタンク43内の圧力値を第2サブタンク44内の圧力値よりも相対的に高くする。
【0096】
ただし、第2サブタンク44内の減圧量が大きすぎると、インクジェットヘッド24aから空気を引き込んでメニスカスブレイクが生じる。そのため、第2サブタンク44内の減圧量としては、-1kPa~-3kPa程度とするのが好ましい。
【0097】
また、圧力発生部は、空圧ポンプ493と背圧ポンプ444のいずれかのみに限られない。すなわち、空圧ポンプ493と背圧ポンプ444の両方を動作させて、第1サブタンク43内の圧力値を第2サブタンク44内の圧力値よりも相対的に高くしてもよい。
【0098】
また、
図6に示すように、送液管46に、加熱タンク42と連通する第2流路である戻り流路Rを設けてもよい。当該戻り流路Rは、送液管46のうち、除去部材C及び送液ポンプ462よりも送液方向下流側であって、送液弁463よりも送液方向上流側から分岐するように設けられる。
【0099】
戻り流路Rには、逆止弁が設けられる。制御部50は、送液弁463を閉鎖した上で当該逆止弁を開放して送液ポンプ462により送液することで、第1サブタンク43内のインクを加熱タンク42に戻すことができる。当該構成により、第1サブタンク43内のインクの加熱が不十分であったり、温度ムラがあったりする場合に、再度加熱タンク42で加熱できる。
【0100】
また、送液管46に戻り流路Rが設けられたインクジェット記録装置1において、除去部材劣化判定処理を実行する場合、戻り流路Rにおけるインクの流量を特定可能な情報を取得することで、除去部材Cの劣化を判定してもよい。当該構成においては、第1フロートセンサー421が計測部である。また、戻り流路Rに計測部として圧力計を設けて、送液弁463の開放前後の圧力値の差に基づいて除去部材Cの劣化を判定してもよい。
【0101】
また、上記においては、第1大気開放弁433の開放後にインクの流量又は圧力を特定可能な情報を取得し、除去部材Cの劣化を判定する構成としたが、これに限られない。第1大気開放弁433を開放するタイミングは、ステップS108以降であれば任意であり、特に限定されるものではない。
【0102】
また、上記においては、液滴吐出装置の一実施形態として、インクを吐出するインクジェット記録装置1を例示したが、これに限られない。すなわち、本発明に係る脱気装置100が脱気する液体は、インクに限られず、例えば前処理剤、血液あるいは水等でもよい。
【0103】
また、上記においては、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用できる。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0104】
1 インクジェット記録装置(液滴吐出装置)
24a インクジェットヘッド(液滴吐出部)
41 メインタンク(液体貯留部)
42 加熱タンク(液体貯留部)
421 第1フロートセンサー(計測部)
43 第1サブタンク(液体貯留部(上流側液体貯留部))
44 第2サブタンク(液体貯留部(下流側液体貯留部))
441 第3フロートセンサー(計測部)
441a フロート
441b 磁気センサー
441c 磁性体
444 背圧ポンプ(圧力発生部)
46 送液管(第1流路)
461 流路圧力計(計測部)
R 戻り流路(第2流路)
C 除去部材
462 送液ポンプ
493 空圧ポンプ(圧力発生部)
50 制御部(圧力差形成部、取得部、判定部)
60 報知部