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特開2024-163429抗ウイルス性反射防止部材、抗ウイルス性ハーフミラー部材
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  • 特開-抗ウイルス性反射防止部材、抗ウイルス性ハーフミラー部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163429
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】抗ウイルス性反射防止部材、抗ウイルス性ハーフミラー部材
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/023 20190101AFI20241115BHJP
   C03C 17/34 20060101ALI20241115BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B32B7/023
C03C17/34 A
A41D13/11 Z
A41D13/11 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079017
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】橋口 秀人
【テーマコード(参考)】
3B211
4F100
4G059
【Fターム(参考)】
3B211CA01
3B211CC03
3B211CE03
4F100AA20B
4F100AB12D
4F100AB17D
4F100AB18D
4F100AB24D
4F100AB25D
4F100AH06B
4F100AH06C
4F100AH08B
4F100AH08C
4F100AK25A
4F100AK45A
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA04
4F100CA30C
4F100CA30D
4F100GB90
4F100JB12B
4F100JC00C
4F100JL06D
4F100JN01A
4F100JN06B
4F100JN18B
4F100YY00
4G059AA01
4G059AA08
4G059AC04
4G059AC22
4G059AC30
4G059FA01
4G059FA11
4G059FA15
4G059FA27
4G059FA28
4G059FA30
4G059FB03
4G059GA01
4G059GA02
4G059GA04
4G059GA11
(57)【要約】
【課題】抗ウイルス性、および反射防止性を有する抗ウイルス性反射防止部材、抗ウイルス性ハーフミラー部材を提供する。
【解決手段】可視光透過性の基材と、中空シリカ粒子、シランカップリング剤、金属キレートを含む組成物を硬化させてなり屈折率が1.47以下の低屈折率層を少なくとも有する反射防止層と、前記反射防止層の一面に重ねて配され、シランカップリング剤、金属キレート、抗ウイルス剤を含む組成物を硬化させてなり厚みが10nm以上、50nm以下の範囲の保護層と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光透過性の基材と、
中空シリカ粒子、シランカップリング剤、金属キレートを含む組成物を硬化させてなり屈折率が1.47以下の低屈折率層を少なくとも有する反射防止層と、
前記反射防止層の一面に重ねて配され、シランカップリング剤、金属キレート、抗ウイルス剤を含む組成物を硬化させてなり厚みが10nm以上、50nm以下の範囲の保護層と、を有することを特徴とする抗ウイルス性反射防止部材。
【請求項2】
前記保護層の一面に重ねて、フッ素系樹脂を含む防汚層が更に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルス性反射防止部材。
【請求項3】
前記反射防止層の組成物には、前記抗ウイルス剤を更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の抗ウイルス性反射防止部材。
【請求項4】
前記抗ウイルス剤は、Ag,Cu,Zn,Pt,Au,Tiのうち、少なくとも1種の金属を含むイオンまたは化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の抗ウイルス性反射防止部材。
【請求項5】
前記抗ウイルス剤は、平均粒子径が20nm以上、50nm以下の範囲の微粒子として、前記保護層に分散されていることを特徴とする請求項1または2に記載の抗ウイルス性反射防止部材。
【請求項6】
可視光透過性の基材と、
高屈折率無機粒子、シランカップリング剤、金属キレートを含む組成物を硬化させてなり屈折率が1.60以上の高屈折率層を少なくとも有するハーフミラー層と、
前記ハーフミラー層の一面に重ねて配され、シランカップリング剤、金属キレート、抗ウイルス剤を含む組成物を硬化させてなり厚みが10nm以上、50nm以下の範囲の保護層と、を有することを特徴とする抗ウイルス性ハーフミラー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光透過性の抗ウイルス性反射防止部材、抗ウイルス性ハーフミラー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、COVID-19などのコロナウイルス感染症の流行に伴い、ウイルスを含む唾液などの飛散や顔面への付着を防止するためのフェイスシールドが医療関係者などを中心に普及しつつある。こうしたフェイスシールドは、顔面を覆う透明な樹脂板と、この樹脂板を頭部に固定するバンド状の固定具とを備えているものが一般的である。
【0003】
例えば、特許文献1には、顔面に接する当接部に無機系抗菌剤が含まれているフェイスシールドが開示されている。また、特許文献2には、ヨウ素系抗菌剤揮散シートが前面に取り付けられた抗菌性フェイスシールドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-062763号公報
【特許文献2】実用新案登録第3233719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フェイスシールドは、前面の透明板を装着する顔面に沿った形状に湾曲させているものが多く、光の反射などによって視認性が低下するという懸念があった。また、フェイスシールドは、ウイルス等が付着しやすい環境で使用されるため、抗ウイルス性を有することが好ましい。
【0006】
しかしながら、従来のフェイスシールドに用いられる透明な樹脂材料は、抗ウイルス性を有するものか、反射防止性を有するものか、いずれか一方のみであり、抗ウイルス性を有し、かつ反射防止性を兼ね備えた、フェイスシールドや仕切り板等に好適な光透過性の樹脂材料が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、抗ウイルス性、および反射防止性を有する抗ウイルス性反射防止部材、抗ウイルス性ハーフミラー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の抗ウイルス性反射防止部材は、以下の構成を有する。
(1)本発明の第1態様に係る抗ウイルス性反射防止部材は、可視光透過性の基材と、中空シリカ粒子、シランカップリング剤、金属キレートを含む組成物を硬化させてなり屈折率が1.47以下の低屈折率層を少なくとも有する反射防止層と、前記反射防止層の一面に重ねて配され、シランカップリング剤、金属キレート、抗ウイルス剤を含む組成物を硬化させてなり厚みが10nm以上、50nm以下の範囲の保護層と、を有することを特徴とする。
【0009】
(2)本発明の第2態様に係る抗ウイルス性反射防止部材は、第1態様において、前記保護層の一面に重ねて、フッ素系樹脂を含む防汚層が更に形成されていることを特徴とする。
【0010】
(3)本発明の第3態様に係る抗ウイルス性反射防止部材は、第1又は第2態様において、前記反射防止層の組成物には、前記抗ウイルス剤を更に含むことを特徴とする。
【0011】
(4)本発明の第4態様に係る抗ウイルス性反射防止部材は、第1から第3のいずれか1つの態様において、前記抗ウイルス剤は、Ag,Cu,Zn,Pt,Au,Tiのうち、少なくとも1種の金属を含むイオンまたは化合物であることを特徴とする。
【0012】
(5)本発明の第5態様に係る抗ウイルス性反射防止部材は、第1から第3のいずれか1つの態様において、前記抗ウイルス剤は、平均粒子径が20nm以上、50nm以下の範囲の微粒子として、前記保護層に分散されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の抗ウイルス性ハーフミラー部材は、以下の構成を有する。
(6)本発明の第6態様に係る抗ウイルス性ハーフミラー部材は、可視光透過性の基材と、高屈折率無機粒子、シランカップリング剤、金属キレートを含む組成物を硬化させてなり屈折率が1.60以上の高屈折率層を少なくとも有するハーフミラー層と、前記ハーフミラー層の一面に重ねて配され、シランカップリング剤、金属キレート、抗ウイルス剤を含む組成物を硬化させてなり厚みが10nm以上、50nm以下の範囲の保護層と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、抗ウイルス性、および反射防止性を有する抗ウイルス性反射防止部材、抗ウイルス性ハーフミラー部材を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の抗ウイルス性反射防止部材を示す要部拡大断面図である。
図2】本発明の一実施形態の抗ウイルス性ハーフミラー部材を示す要部拡大断面図である。
図3】本発明の一実施形態の抗ウイルス性反射防止部材を用いたフェイスシールドを示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の抗ウイルス性反射防止部材、抗ウイルス性ハーフミラー部材について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0017】
[抗ウイルス性反射防止部材]
図1は、本発明の一実施形態の抗ウイルス性反射防止部材を示す要部拡大断面図である。
抗ウイルス性反射防止部材10は、例えば、フェイスシールドや透明な仕切り板などに好適に用いることができる、可視光透過性の多層板である。
本実施形態の抗ウイルス性反射防止部材10は、下層から順に、樹脂基材(基材)11、ハードコート層12、反射防止層13、保護層14、防汚層15が順に積層された積層体である。こうした抗ウイルス性反射防止部材10を外光が一方の側から入射する環境で使用する場合には、防汚層15側が光の入射側(外面側)になるように用いればよい。
【0018】
(可視光透過性の基材)
本実施形態の可視光透過性の基材は、樹脂基材やガラス基材からなる。
(樹脂基材)
本実施形態の樹脂基材11は、上層に重ねて積層される各層を支持する支持基板であり、可視光透過性の樹脂材料から構成される。具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアリルジグリコールカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0019】
このうち、アクリル樹脂は、強度が高く、無機ガラスよりも高い可視光透過性を有するため、樹脂基材11として好適である。また、ポリカーボネート樹脂は、アクリル樹脂よりも優れた耐衝撃性を有し、耐熱性、耐寒性にも優れているため、樹脂基材11として好適である。
【0020】
樹脂基材11の厚みは、例えば、0.3mm以上10mm以下の範囲であればよい。厚みが0.3mm未満では、抗ウイルス性反射防止部材10全体の強度が低くなりすぎる懸念がある。また、厚みが10mmを超えると、抗ウイルス性反射防止部材10全体の重量が重くなりすぎ、また、加工性が悪化する懸念がある。
【0021】
本実施形態のガラス基材は、化学処理で強化可能な組成を有するガラスであれば特に制限はないが、イオン半径がより小さいアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンを含むガラスが好適である。
【0022】
ガラス基材の具体例としては、ソーダ石灰ガラス、アルカリケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラスなどが挙げられ、これらの中でもナトリウムイオンを含むものが好適であり、ナトリウムイオンを5重量%以上含むガラスが最も好適である。こうしたガラス基材の厚みは、通常、2mm~8mm程度である。
【0023】
(ハードコート層)
ハードコート層12は、樹脂基材を用いた場合において用いられるものであり、外部応力などによる樹脂基材11の傷つきを防止や、樹脂基材11に耐薬品性を付与する層である。本実施形態のハードコート層12は、アクリレート樹脂、金属キレート、シランカップリング剤、および中実シリカ粒子を含む組成物を硬化させたものから構成されている。
【0024】
ハードコート層12の厚みは、例えば、1.0μm以上10μm以下の範囲であればよい。厚みが1μm未満では、樹脂基材11に対する強度特性が低くなりすぎる懸念がある。また、厚みが10μmを超えると、可視光透過性が低下する懸念がある。
【0025】
ハードコート層12に用いるアクリレート樹脂は、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどの紫外線硬化樹脂と、アクリル樹脂との混合物であればよく、どちらか一方であってもよい。
【0026】
ハードコート層12に用いるウレタンアクリレートの一例としては、4官能以上のウレタンアクリレートが挙げられる。4官能以上のウレタンアクリレートは硬化により硬質の部分を形成する。よって、ハードコート層12を備える樹脂基材11は、高い耐薬品性を有するものとなる。
【0027】
4官能以上のウレタンアクリレートは、多価イソシアネート化合物と複数の水酸基を有するポリオール化合物との反応物である末端イソシアネート化合物に、さらに水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるもの(末端イソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物)のうち、(メタ)アクリロイル基を4つ以上有するものである。
【0028】
例えば、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートを、末端イソシアネート化合物と反応させ、イソシアネート化合物の両末端に、それぞれ2個の(メタ)アクリロイル基を導入したものは、4官能のウレタンアクリレートとして使用される。また、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを、両末端イソシアネート(例えばトリヘキサジエチレンジイソシアネート)と反応させることにより、分子鎖末端のそれぞれに3個の(メタ)アクリロイル基を導入したものは、6官能のウレタンアクリレートとして使用される。
【0029】
また、ハードコート層12に用いるウレタンアクリレートは、3官能以下のウレタンアクリレートを用いることもできる。
【0030】
ハードコート層12に用いる金属キレートとしては、例えば、二座配位子を含むチタン、ジルコニウム、アルミニウム、スズ、ニオブ、タンタル、鉛の化合物などが挙げられる。なお、二座配位子とは、配位座数が2、すなわち金属に配位しうる原子数が2であるようなキレート剤であり、一般にO、N、S原子によって5~7員環を形成して、キレート化合物を形成する。
これらの二座配位子の例として、アセチルアセトナト、エチルアセトアセタト、ジエチルマロナト、ジベンゾイルメタナト、サリチラト、グリコラト、カテコラト、サリチルアルデヒダト、オキシアセトフェノナト、ビフェノラト、ピロメコナト、オキシナフトキノナト、オキシアントラキノナト、トロポロナト、ビノキチラト、グリシナト、アラニナト、アントロニナト、ピコリナト、アミノフェノラト、エタノールアミナト、メルカプトエチルアミナト、8-オキシキノリナト、サリチルアルジミナト、ベンゾインオキシマト、サリチルアルドキシマト、オキシアゾベンゼナト、フェニルアゾナフトラト、β-ニトロソ-α-ナフトラト、ジアゾアミノベンゼナト、ビウレタト、ジフェニルカルバゾナト、ジフェニルチオカルバゾナト、ビグアニダト、ジメチルグリオキシマトなどが挙げられる。
【0031】
金属キレート化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
(Li)(X)m-k ・・・(1)
式(1)中、Mはチタン、ジルコニウム、アルミニウム、スズ、ニオブ、タンタルまたは鉛であり、Liは二座配位子であり、Xは1価の基であり、mはMの原子価であり、kはMの原子価を超えない範囲で1以上の数である。
【0032】
としては、チタン、ジルコニウム、アルミニウムが好ましい。
Xとしては、加水分解可能な基が好ましく、その中でも特にアルコキシ基が好ましい。
【0033】
式(1)で表される金属キレート化合物としては、例えば、Tiキレート化合物、Zrキレート化合物、Alキレート化合物などが挙げられる。
【0034】
金属キレート化合物の含有量は、ハードコート層12に含まれるアクリレート樹脂100質量部に対して、0.1~3.0質量部が好ましく、0.5~1.5質量部がより好ましい。金属キレート化合物の含有量が上記範囲内であれば、上層となる反射防止層13との密着性を向上させることができる。
【0035】
ハードコート層12に用いるシランカップリング剤は、樹脂基材11や反射防止層13との密着性を高める成分である。また、中実シリカ粒子の脱落を抑制し、安定に分散させて保持させる成分でもある。
シランカップリング剤としては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
-Si(OR4-n ・・・(2)
式(2)中、Rはアルキル基またはアルケニル基であり、Rはアルキル基、アルコキシアルキル基、アシルオキシ基またはハロゲン原子であり、nは1または2の数である。
【0036】
としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、ビニル基等のアルケニル基が挙げられ、このアルキル基は、塩素等のハロゲン原子、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、オキシラン環含有基等の官能基で置換されていてもよい。
は、アルキル基、アルコキシアルキル基、アシルオキシ基またはハロゲン原子であり、ケイ素原子に結合しているORは加水分解性の基となっている。
【0037】
このようなシランカップリング剤は、加水分解と同時に重縮合し、Si-O-Si結合によりネットワーク状に連なった重合物を形成する。従って、このようなシランカップリング剤の使用により、ハードコート層12をより緻密なものとすることもできる。
なお、ハードコート層12を製造する際の組成物中において、シランカップリング剤の少なくとも一部は、加水分解物として存在する。
【0038】
シランカップリング剤の含有量は、ハードコート層12に含まれるアクリレート樹脂100質量部に対して、1~30質量部が好ましく、10~15質量部がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が1質量部以上であれば、樹脂基材11や反射防止層13との密着性を高められる。一方、シランカップリング剤の含有量が30質量部以下であれば、反射防止層13に加わる外部応力を十分に吸収することができる。
【0039】
ハードコート層12に用いる中実シリカ粒子は、反射防止層13との密着性を高める効果を有する。中実シリカ粒子の具体例としては、中実のコロイダルシリカ(中実シリカゾル)を用いることができる。なお、ここで「中実」とは、密度が1.9g/cm以上を意味する。
【0040】
中実シリカ粒子の平均粒子径は5~500nmが好ましい。中実シリカ粒子の平均粒子径が上記範囲内であれば、ハードコート層12の全体にわたって、硬度等の特性を均一に付与できる。
中実シリカ粒子の屈折率は、例えば、1.44~1.50が好ましい。中実シリカ粒子の屈折率が上記範囲内であれば、ハードコート層12の全体にわたって、硬度等の特性を均一に付与できる。
【0041】
こうした中実シリカ粒子は、例えば中実シリカ粒子をイソプロパノールやメチルイソブチルケトンなどの有機溶媒に分散させたゾルの形で市販されている。
【0042】
中実シリカ粒子の含有量は、ハードコート層12に含まれるアクリレート100質量部に対して、80質量部以下が好ましく、10~60質量部がより好ましく、20~50質量部がさらに好ましい。中実シリカ粒子の含有量が上記範囲内であれば、ハードコート層12の反射防止層13に対する密着性を高めることができる。
【0043】
(反射防止層)
反射防止層13は、抗ウイルス性反射防止部材10に反射防止機能を付与する層である。本実施形態の反射防止層13は、金属キレート、シランカップリング剤、中空シリカ粒子を含む組成物を硬化させたものから構成されている。
【0044】
反射防止層13の厚みは、例えば、50nm~200nm程度であればよい。反射防止層13は、屈折率が例えば1.47以下であり、低屈折率層を最表層に備える。なお、本実施形態の反射防止層13は単層構造であり、低屈折率層のみで構成されているが、反射防止層13は、互いに屈折率の異なる2層以上の積層体であってもよい。
【0045】
反射防止層13に用いる金属キレート、およびシランカップリング剤の具体例は、ハードコート層12の説明において先に例示したシランカップリング剤および金属キレートと同様であればよい。
【0046】
反射防止層13に用いる中空シリカ粒子としては、中空のコロイダルシリカ(中空シリカゾル)を用いることができる。ここで、「中空」とは、密度が1.5g/cm以下を意味する。
【0047】
中空シリカ粒子の平均粒子径は10nm~150nmの範囲が好ましい。中空シリカ粒子の平均粒子径が上記範囲内であれば、樹脂基材11の可視光透過性を損なうことなく、一定の強度および硬度を確保し、耐傷付性等の特性を付与できる。
中空シリカ粒子の屈折率は、1.44未満が好ましい。中空シリカ粒子の屈折率が上記範囲内であれば、樹脂基材11の透光性を損なうことなく、一定の強度および硬度を確保し、耐傷付性等の特性を付与できる。
【0048】
中空シリカ粒子は、例えばテンプレートとなる界面活性剤の存在下でシリカを合成し、最後に焼成を行って界面活性剤を分解除去することにより製造され、イソプロパノールやメチルイソブチルケトンなどの有機溶媒に分散させたゾルの形で市販されている。
【0049】
中空シリカ粒子は、シランカップリング剤、および金属キレートとの合計の総質量に対して、中空シリカ粒子の含有量は5~50質量%が好ましく、シランカップリング剤の含有量は15~94質量%が好ましく、金属キレートの含有量は1~35質量%が好ましい。
【0050】
反射防止層13には、抗ウイルス剤(抗菌剤)が含まれていることも好ましい。
一般的に抗ウイルス効果が確認されている化合物は、有機系であれば、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、フェノール、イソプロピルメチルフェノール、チモールなどのフェノール系化合物、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオンなどのピリジン系化合物、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系化合物、アルキルベンジルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ポリヘキサメチレンビグアナイドなどの第4級アンモニウム塩系化合物、エピガロカテキンガレート、タンニンなどのポリフェノール系化合物が挙げられる。一方、無機系の場合、金属、および金属化合物、酸化チタン、酸化亜鉛などの光触媒酸化物などである。
【0051】
アルコール系の抗ウイルス剤としては、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。特に、エタノールは、消毒用エタノールとして、医療用、一般雑貨品含め広く使用されている。こうしたアルコール系抗ウイルス剤は、主に、インフルエンザウィルス、新型コロナウィルス(COVID-19)に代表されるエンベロープウィルスに関しては、エンベロープ(細胞膜)の破壊、膜タンパク質の変性により不活化させることが可能である。一方で、エンベロープ(細胞膜)を持たず、カプシドが最も外側に位置するノンエンベロープウイルスには無効である。
【0052】
フェノール系の抗ウイルス剤としては、フェノール(石炭酸)、4-イソプロピル-3-メチルフェノール(イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、ビオゾール)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)などが挙げられる。これらの中で、イソプロピルメチルフェノール(IPMP、ビオゾール)は、細菌、酵母などへの広い抗菌活性(抗菌スペクトル)を有し、かつ急性経口毒性が低いなど安全性が高いため、医薬品や医薬部外品の殺菌剤、化粧品の防腐剤などに広く使用されている。
【0053】
ピリジン系の抗ウイルス剤としては、抗菌性、抗カビ性を有するジンクピリチオン、ナトリウムピリチオンなどが代表例として挙げられる。この中で、ジンクピリチオンは、ピリジン系誘導体の亜鉛錯体であり、シャンプーや化粧品のフケやかゆみに効く殺菌剤、また繊維の抗菌防臭加工、抗カビ加工、船底塗料、接着剤の防カビ剤など広く使用され、幅広いスペクトルを有する抗ウイルス、抗菌成分である。ジンクピリチオンは、膜破壊、ATP(アデノシン三リン酸)合成に利用されるプロトン(H)ポンプの膜輸送阻害(プロトン勾配による電気化学ポテンシャル差)、呼吸系酵素または脂質を構成するエステル結合を加水分解する酵素群であるリパーゼに対する合成阻害あるいは活性阻害などによって、抗ウイルス性、抗菌性を発揮すると考えられる。
【0054】
塩素系の抗ウイルス剤としては、次亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性を示し、酸化作用、漂白作用、殺菌作用があるため、医療現場や食品製造施設の殺菌、飲料水やプールの水に添加されたり、水回りの殺菌・漂白剤などに広く使用されている。次亜塩素酸ナトリウムの抗ウイルス性は、強い酸化力による細胞膜の破壊、蛋白質の変性、DNA損傷などが挙げられる。
【0055】
カチオン系の抗ウイルス剤としては、ポリヘキサメチレンビグアナイド、第4級アンモニウム塩系化合物が挙げられる。アルキルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、ジメチルジデシルアンモニウムクロライドなどが例示される。塩化ベンザルコニウムは、日本薬局方、医薬部外品原料規格の収載されており、医薬品・医薬部外品として、手指・皮膚の消毒用殺菌剤として広く使用されている。一方、ジメチルジデシルアンモニウムクロライド(通称DDAC)は、木材防腐、繊維用の抗ウイルス加工などに使用されている。カチオン系剤の抗ウイルス作用は、カチオン性(陽電荷)および分子構造に由来する疎水・親水相互作用などの効果により、細胞膜破壊、タンパク質変性を引き起こすことにより発現される
【0056】
ポリフェノール系の抗ウイルス剤としては、カテキン類であるエピガロカテキンガレート、植物の葉や実、手指に含まれるタンニンなど、多数のフェノール性水酸基を持つ複雑な芳香族化合物が挙げられる。これらの化合物の抗ウイルスメカニズムは、多くのフェノール性水酸基を有しているため、タンパク質への吸着による変性に由来すると推定されている。
【0057】
金属系の抗ウイルス剤としては、金属粒子、金属や金属イオンを含む化合物などであり、例えば、Ag,Cu,Zn,Pt,Auのうち、少なくとも1種の金属を含むイオンまたは化合物である。具体的には、無機担体にAg、Cuなどを担持させたもの、あるいは金属化合物をナノ粒子化したヨウ化銅(CuI)などが挙げられる。これらは、食品用シートなどのキッチン用品、サニタリー、トイレタリー、化粧品の防腐剤、繊維製品などの抗ウイルス剤として用いられている。金属系の抗ウイルス剤は、Agを例に挙げると、基本的にイオン化された状態(Ag)が活性を持つと考えられている。Agイオンは、細胞膜や膜タンパク質に結合し、タンパク質変性・機能阻害を与える。さらに、細胞内に取り込まれ、呼吸系酵素の阻害を介して、活性酸素種(フリーラジカル:ヒドロキシラジカルなど)が発生し、タンパク質等の変性を促すことにより、抗ウイルスを発揮すると考えられる。
【0058】
また、金属酸化物としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)などが挙げられる。酸化チタン(TiO)の結晶系には、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型があるが、特にアナターゼ型は、繊維製品、キッチン用品、トイレタリー、住宅用壁材(タイル、内壁、外壁)、交通機関の窓ガラスなどの抗ウイルス剤として使用されている。金属酸化物の抗ウイルス性は、酸化チタン(TiO)の場合、光励起により伝導帯に電子、価電子帯に正孔がそれぞれ励起・電荷分離後、電子は酸素と反応しスーパーオキシドイオン(O )、正孔は水と反応しヒドロキシラジカル(・OH)が生成される。これらのラジカルが、細胞膜、タンパク質などと反応・分解させることでウイルスを不活化すると考えられている。
【0059】
本実施形態では、反射防止層13に抗ウイルス剤(抗菌剤)を含む場合、混合物への添加のし易さや、耐久性の面から、上述した金属系の抗ウイルス剤を用いている。
【0060】
(保護層)
保護層14は、抗ウイルス性反射防止部材10の表面を保護し、かつ抗ウイルス性を発揮する層である。後述する防汚層15を設けない場合、この保護層14が外面側となる。
本実施形態の保護層14は、金属キレート、シランカップリング剤、中実シリカ粒子、抗ウイルス剤を硬化させたものから構成されている。
【0061】
保護層14の厚みは、例えば、10nm~50nm程度であればよい。
保護層14に用いる金属キレート、シランカップリング剤、中実シリカ粒子の具体例は、ハードコート層12の説明において先に例示したシランカップリング剤および金属キレートと同様であればよい。また、抗ウイルス剤の具体例は、反射防止層13の説明において先に例示した抗ウイルス剤と同様であればよい。本実施形態の抗ウイルス剤は、Ag,Cu,Zn,Pt,Au,Tiのうち、少なくとも1種の金属を含むイオンまたは化合物を用いている。
【0062】
(防汚層)
防汚層15は、必要に応じて設けられる。防汚層15は、抗ウイルス性反射防止部材10の最表面で防汚作用を発揮する層である。防汚層15としては、例えば、フッ素樹脂100質量部に対してアクリル系樹脂を50~550質量部で含む混合物を硬化させたものであればよい。フッ素樹脂100質量部に対してアクリル系樹脂を50質量部以上含むことで、撥水性及び撥油性が高められ、抗ウイルス性反射防止部材10に水分や油分に由来する汚れが付着するのを抑制する効果が得られる。また、防汚層15における、フッ素樹脂100質量部に対するアクリル系樹脂の含油比率を550質量部以下に制限することで、撥水性及び撥油性が低下して防汚性が劣化するのを防止できる。防汚層15におけるアクリル系樹脂の含有比率が多すぎると、抗ウイルス性反射防止部材10の最表面における撥水性及び撥油性が低下して防汚性が損なわれる可能性がある。
【0063】
防汚層15に含まれるフッ素樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びポリフッ化ビニル(PVF)の内の少なくとも何れかを含むことが好ましい。防汚層15が、上記のうちの何れかのフッ素樹脂を含むことで、上述したような、抗ウイルス性反射防止部材10の最表面における撥水性及び撥油性がより高められるので、表面に水分や油分に由来する汚れが付着するのを抑制する効果がより顕著に得られる。
【0064】
また、防汚層15に含まれるアクリル系樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、アクリル酸アルキルエステル共重合体、及びメタクリル酸アルキルエステル共重合体の内の少なくとも何れかを含むことが好ましい。防汚層15が、上記のうちの何れかのアクリル系樹脂を含むことで、上述したような、抗ウイルス性反射防止部材10の最表面における耐摩耗性がより高められるので、表面に摩耗が生じるのを抑制する効果がより顕著に得られる。
【0065】
以上のような、本実施形態の抗ウイルス性反射防止部材10によれば、COVID-19に代表されるコロナウイルスなどのウイルスに対して抵抗性を有する抗ウイルス剤を、少なくとも保護層14に含み、且つ、低屈折率層などから構成される反射防止層13を有することにより、抗ウイルス性と、反射防止効果とを併せ持った可視光透過性の透明部材を実現することができる。
【0066】
こうした抗ウイルス性反射防止部材10を、可視光透過性が必要で、かつウイルスが付着する可能性のある製品、例えば、フェイスシールドや、飲食店などでの間仕切りに適用することで、ウイルスが付着しても速やかに分解や無毒化され、かつ、光反射の少ない視認性が良好な製品を実現することができる。
【0067】
[抗ウイルス性ハーフミラー部材]
図2は、本発明の一実施形態の抗ウイルス性ハーフミラー部材を示す要部拡大断面図である。
本実施形態の抗ウイルス性ハーフミラー部材30は、下層から順に、樹脂基材(基材)31、ハードコート層32、ハーフミラー層33、保護層34、防汚層35が順に積層された積層体である。こうした抗ウイルス性ハーフミラー部材30を外光が一方の側から入射する環境で使用する場合には、防汚層15側が光の入射側(外面側)になるように用いればよい。
【0068】
本実施形態の抗ウイルス性ハーフミラー部材30を構成する樹脂基材(基材)31、保護層34、および防汚層35は、前述した抗ウイルス性反射防止部材の実施形態に示した構成をそれぞれ用いることができる。
【0069】
ハーフミラー層33は、高屈折率無機粒子、シランカップリング剤、金属キレートを含む組成物を硬化させてなり屈折率が1.60以上の高屈折率層を少なくとも有している。
高屈折率無機粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブなどを用いることができる。
【0070】
ハーフミラー層33のシランカップリング剤、金属キレートは、前述した抗ウイルス性反射防止部材の実施形態に示した構成をそれぞれ用いることができる。
【0071】
このような構成の抗ウイルス性ハーフミラー部材30によれば、COVID-19に代表されるコロナウイルスなどのウイルスに対して抵抗性を有する抗ウイルス剤を、少なくとも保護層34に含み、且つ、高屈折率層などから構成されるハーフミラー層33を有することにより、抗ウイルス性と、ハーフミラー効果とを併せ持った可視光透過性の透明部材を実現することができる。
【0072】
[フェイスシールド]
図3は、本発明の一実施形態の抗ウイルス性反射防止部材を用いたフェイスシールドを示す外観斜視図である。
本実施形態のフェイスシールド20は、上述した抗ウイルス性反射防止部材10から構成されるフェイスカバー21と、このフェイスカバー21を人体の顔面前部に固定する固定部22と、を有している。
【0073】
本実施形態のフェイスシールド20によれば、フェイスカバー21が湾曲していても、反射防止層13によって映り込みなどが低減され、クリアな視認性を得ることができる。また、保護層14に抗ウイルス剤が含まれることで、フェイスカバー21に唾液の飛散などによりウイルスが付着しても、速やかにウイルスが分解、ないし無毒化されるため、フェイスシールド20を介してウイルスが更に拡散することを防止することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【実施例0075】
本発明の効果を検証した。
検証にあたって、図1に示す構成の抗ウイルス性反射防止部材を作製した。作製にあたって、保護層の膜厚と抗ウイルス剤の添加量を変化させて、以下の各試料を作製した。
(実施例1)保護層の膜厚を20nm、抗ウイルス剤の添加量を10質量%とした。
(実施例2)保護層の膜厚を20nm、抗ウイルス剤の添加量を20質量%とした。
(実施例3)保護層の膜厚を20nm、抗ウイルス剤の添加量を30質量%とした。
(実施例4)保護層の膜厚を10nm、抗ウイルス剤の添加量を20質量%とした。
(実施例5)保護層の膜厚を50nm、抗ウイルス剤の添加量を20質量%とした。
(比較例1)保護層の膜厚を20nm、抗ウイルス剤を添加しなかった。
(比較例2)保護層の膜厚を80nm、抗ウイルス剤の添加量を20質量%とした。
【0076】
上述した各試料の抗ウイルス活性を測定した。測定はISO 21702(非浸透性表面の抗ウイルス効果の評価方法)に沿って行った。評価は抗ウイルス活性値が2.0以上で〇、2.0未満で0を超えたら△、0で×とした。
また、反射率と透過率とを測定した。測定に用いた光の波長は380~770nmであり、分光光度計(V-650:日本分光株式会社製)によって測定を行った。反射率は前記測定波長中の最小値、透過率は前記測定波長中の最大値を採用した。
これらの検証結果を表1に纏めて示す。
【0077】
【表1】
【0078】
表1に示す結果によれば、本発明例である実施例1~5は、いずれも反射率が0.6%~2.5%の範囲、透過率が最低でも97.2%以上であり、かつ、抗ウイルス活性も確保されていた。
一方、従来の比較例1では抗ウイルス活性が無く、また、比較例2ではボトム最小反射率が4.2%、透過率が95.5%に留まった。よって、本発明の効果が確認された。
【符号の説明】
【0079】
10…抗ウイルス性反射防止部材
11…樹脂基材
12…ハードコート層
13…反射防止層
14…保護層
15…防汚層
20…フェイスシールド
21…フェイスカバー
22…固定部
30…抗ウイルス性ハーフミラー部材
33…ハーフミラー層
図1
図2
図3