(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163441
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】鞍型車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
B62J 6/24 20200101AFI20241115BHJP
B62J 50/21 20200101ALI20241115BHJP
B62J 17/04 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B62J6/24
B62J50/21
B62J17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079036
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅基
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 麻衣子
(57)【要約】
【課題】視認性を高めることができる自動二輪車両用表示装置を提供する。
【解決手段】サブ表示装置20Rは、自動二輪車両のカウル15の上方隅部に位置し、自動二輪車両の運転者から見た左右方向Wにおいて中心位置CL(真正面となる位置)に近づく内側、かつ上方に向かう斜め方向Dtに並べられた複数の点灯セグメント21a~21cと、自動二輪車両の周囲に対象物が近づいた際に、複数の点灯セグメント21a~21cを予め設定されるパターンで点灯させる点灯制御部の一例である制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍型車両の風防の上方隅部に位置し、前記鞍型車両の運転者から見た左右方向において真正面に近づく内側、かつ上方に向かう斜め方向に並べられた複数の点灯部と、
前記鞍型車両に対象物が近づいた際に、前記複数の点灯部を予め設定されるパターンで点灯させる点灯制御部と、を備える、
鞍型車両用表示装置。
【請求項2】
前記複数の点灯部は、前記風防の上端部に沿う方向に並べられ、それぞれ、前記風防の側端部に沿って延びるように形成されている、
請求項1に記載の鞍型車両用表示装置。
【請求項3】
前記複数の点灯部のうち第1点灯部の上下方向の長さは、前記複数の点灯部のうち前記第1点灯部よりも前記左右方向の外側に位置する第2点灯部の上下方向の長さよりも短く形成されている、
請求項1又は2に記載の鞍型車両用表示装置。
【請求項4】
前記点灯制御部は、前記鞍型車両の後方に位置する対象物の接近を警告するために、前記複数の点灯部を、前記左右方向の外側から内側に向かう順のパターンによって点灯させる、
請求項1又は2に記載の鞍型車両用表示装置。
【請求項5】
前記点灯制御部は、前記鞍型車両の前方に位置する対象物の接近を警告するために、前記複数の点灯部の全てを点滅させる、
請求項1又は2に記載の鞍型車両用表示装置。
【請求項6】
前記点灯部は、互いに異なる第1の色及び第2の色の何れかの色で点灯可能に構成され、
前記点灯制御部は、前記鞍型車両の周囲に位置する対象物の接近を警告する際には前記点灯部を前記第1の色で点灯させ、前記鞍型車両の前方に位置する他車両に追従する追従機能が有効となっている際には、前記追従機能において設定される前記鞍型車両と前記他車両の車間距離に応じて前記第2の色で点灯する前記点灯部の数を変化させる、
請求項1又は2に記載の鞍型車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鞍型車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の車両用警告装置は、カウルに設けた拡散反射部に向けて表示光を出射することにより運転者に警告情報の存在を視認させつつ、ディスプレイ装置に警告情報の内容を表示する。これにより、カウルの下部に、拡散反射部とディスプレイ装置の2つの表示が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、運転者は、カウルの下部に目線を落として表示を目視しなければならず、視認性に改善の余地があった。
【0005】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、視認性を高めることができる鞍型車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る鞍型車両用表示装置は、
鞍型車両の風防の上方隅部に位置し、前記鞍型車両の運転者から見た左右方向において真正面に近づく内側、かつ上方に向かう斜め方向に並べられた複数の点灯部と、
前記鞍型車両に対象物が近づいた際に、前記複数の点灯部を予め設定されるパターンで点灯させる点灯制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る自動二輪車両の後面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る自動二輪車両のブロック図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係るサブ表示装置の正面図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係るサブ表示装置が表す立体感のイメージ図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る設定される各車間距離でのサブ表示装置の点灯態様を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る設定車間距離表示処理のフローチャートである。
【
図7】本開示の一実施形態に係る前方の障害物との距離に応じたサブ表示装置の点灯態様を示す図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る前方衝突警告処理のフローチャートである。
【
図9】本開示の一実施形態に係るサブ表示装置の1周期分の点消灯パターンを示す図である。
【
図10】本開示の一実施形態に係る後側方車両検知警告処理のフローチャートである。
【
図11】本開示の一実施形態に係る後右側方からの他車両の接近に応じたサブ表示装置の点灯態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一実施形態に係る鞍型車両用表示装置について、図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、鞍型車両の一例である自動二輪車両1は、制御部10と、メイン表示装置50と、サブ表示装置20L,20Rと、カウル15と、を備える。以下の説明では、自動二輪車両1に乗車した運転者から見た方向として、高さ方向Hと、左右方向Wとが規定される。左右方向Wにおいて、自動二輪車両1に乗車した運転者から見た中心位置CLから離れる方向を外側、中心位置CLに近づく方向を内側と規定する。
【0010】
図1に示すように、カウル15は、走行風を整流するために設けられる風防であり、自動二輪車両1の運転者の前方に設けられる。カウル15は、透明材により形成され、自動二輪車両1の前方に向かって膨らむように、自動二輪車両1の高さ方向Hと左右方向Wに湾曲する板状で形成されている。カウル15は、上端部15Uと、側端部15L,15Rと、を備える。上端部15Uは、上側に向けて凸状に膨らむ円弧状をなす。側端部15L,15Rは、高さ方向Hに延び、詳しくは、下側に進むにつれて外側へ向かうように傾斜している。
【0011】
図2に示すように、制御部10は、CPU(Central Processing Unit)及びGDC(Graphics Display Controller)等の処理部と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリと、を備える。制御部10は、外部からの情報INを入力し、入力した情報INに基づきメイン表示装置50及びサブ表示装置20L,20Rを制御する。情報INは、設定車間距離情報、前方障害物接近情報、及び後側方他車両接近情報等である。
【0012】
メイン表示装置50は、制御部10による制御のもと、車速表示、残燃料表示、ターンバイターン(TBT)表示等の情報を表示する。
図1に示すように、メイン表示装置50は、カウル15の下方であり、自動二輪車両1のハンドルの回転中心部付近に設けられる。メイン表示装置50は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶ディスプレイを有する。
なお、メイン表示装置50は、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ装置であってもよいし、指針計のメータ表示装置であってもよい。
【0013】
図1に示すように、サブ表示装置20L,20Rは、それぞれ、カウル15の運転者側の面におけるカウル15の上側の左右隅部に配置されている。サブ表示装置20Lはカウル15の左上隅部に配置され、サブ表示装置20Rはカウル15の右上隅部に配置されている。サブ表示装置20L,20Rは、略多角形柱状をなす。サブ表示装置20L,20Rは、運転者から見て、中心位置CLに近づくにつれて高さ方向Hの長さが小さくなるように形成されている。
【0014】
サブ表示装置20Lと20Rは、中心位置CLを対称軸として左右対称に形成されている。以下では、サブ表示装置20Rの構成について説明するが、サブ表示装置20Lは、サブ表示装置20Rと左右対称である以外は同様の構成である。
【0015】
図3に示すように、サブ表示装置20Rは、カウル15の上端部15Uに沿う上辺部20Uと、カウル15の側端部15Rに沿う側辺部20Sと、上辺部20Uよりも左右方向Wに対する成す角が大きい角度を向く下辺部20Dと、を備える。
サブ表示装置20Rは、点灯セグメント21a~21cを備える。点灯セグメント21a~21cは、サブ表示装置20Rの運転者側の表示面に点灯可能に配置されている。点灯セグメント21a~21cは、制御部10による制御のもと、様々なパターンで点灯することにより、車間距離設定情報、前方衝突警告情報、及び後側方車両検知警告情報を表示する。点灯セグメント21a~21cは、制御部10による制御のもと、点灯する色を複数の色の何れかで切り替え可能である。この複数の色は、水色、緑色、青色又は黄緑等の非警告色と、赤色、橙色又は黄色等の警告色と、を含む。非警告色は青系の色であり、警告色は赤系の色である。
【0016】
点灯セグメント21a~21cは、高さ方向Hに延びる棒状をなし、正確には、下方向に向かうにつれて中心位置CLから遠ざかるように高さ方向Hに対して傾斜している。点灯セグメント21a~21cの高さ方向Hの長さは、中心位置CLに近い内側の点灯セグメント21a~21cの方が短く形成されている。すなわち、点灯セグメント21aの長さをLaとし、点灯セグメント21bの長さをLbとし、点灯セグメント21cの長さをLcとしたとき、「La<Lb<Lc」の関係が成り立つように形成されている。各点灯セグメント21a~21cの上端部は、サブ表示装置20Rの上辺部20Uに対向して位置し、各点灯セグメント21a~21cの下端部は、サブ表示装置20Rの下辺部20Dに対向して位置する。
【0017】
点灯セグメント21a~21cは、左右方向Wに傾斜した斜め方向Dtに並べられている。斜め方向Dtは、左右方向Wの外側の下方から内側の上方へ向かう方向である。斜め方向Dtの左右方向Wに対する角度は、20°~40°に設定されている。これにより、
図4に示すように、一点透視法のようなパースペクティブに、各サブ表示装置20L,20Rの点灯セグメント21a~21cを配置することができる。よって、点灯セグメント21a~21cを、運転者から見える実際の前方の風景に合わせて立体感を持つように点灯させることができる。
【0018】
サブ表示装置20Rは、何れも図示しない、LED(Light Emitting Diode)からなる複数の光源と、光源からの光を導光する導光部と、複数の光源及び導光部を収容する外ケースと、を備える。複数の光源は、それぞれ点灯セグメント21a~21cに対応して設けられ、制御部10による制御のもと点灯制御される。導光部は、光源からの光を点灯セグメント21a~21cに対応する形状として導光する。
なお、サブ表示装置20Rは、この構成に限らず、光源及び液晶パネルを有する構成、又は有機ELディスプレイを有する構成であってもよい。
【0019】
次に、
図5及び
図6を参照しつつ、制御部10により実行される設定車間距離表示処理について説明する。この処理により表示される車間距離とは、追従機能であるACC(Adaptive Cruise Control)機能において設定される車間距離であり、自動二輪車両1の図示しない操作部により設定される。この車間距離は、長距離、中距離、短距離の何れかに設定される。長距離、中距離、短距離は、それぞれ、車速に応じて異なる距離に設定されている。一例としては、車速80km/hにおいて、短距離が15m~25m程度、中距離が25m~35m程度、長距離が35m~45m程度に設定される。
【0020】
制御部10は、ACC機能がオン(有効)であるか否か判定する(ステップS101)。制御部10は、ACC機能がオフ(無効)であると判定したとき(ステップS101;NO)、
図5の最下段に示すように、サブ表示装置20L,20Rそれぞれの点灯セグメント21a~21cの全てを消灯状態とし(ステップS102)、当該設定車間距離表示処理を終了する。
【0021】
一方、制御部10は、ACC機能がオンであると判定したとき(ステップS101;YES)、設定された車間距離が長距離であるか否かを判定する(ステップS103)。制御部10は、設定された車間距離が長距離であると判定したとき(ステップS103;YES)、
図5の最上段に示すように、サブ表示装置20L,20Rそれぞれの点灯セグメント21a~21cの全てを非警告色(水色、黄緑等)で点灯状態とし(ステップS104)、当該設定車間距離表示処理を終了する。
【0022】
制御部10は、設定された車間距離が長距離でないと判定したとき(ステップS103;NO)、設定された車間距離が中距離であるか否かを判定する(ステップS105)。制御部10は、設定された車間距離が中距離であると判定したとき(ステップS105;YES)、
図5の上から2段目に示すように、サブ表示装置20L,20Rそれぞれの点灯セグメント21a~21cのうち何れか二つ、例えば、点灯セグメント21a,21bを非警告色(水色、黄緑等)で点灯状態とし、残りの点灯セグメント21cを消灯状態とし(ステップS106)、当該設定車間距離表示処理を終了する。
【0023】
制御部10は、設定された車間距離が中距離でないと判定したとき(ステップS105;NO)、設定された車間距離が短距離であるとして、
図5の上から3段目に示すように、サブ表示装置20L,20Rそれぞれの点灯セグメント21a~21cのうち何れか一つ、例えば、点灯セグメント21aのみを非警告色(水色、黄緑等)で点灯状態とし、残りの点灯セグメント21b,21cを消灯状態とし(ステップS107)、当該設定車間距離表示処理を終了する。
以上のように、設定される車間距離が短くなるほど、点灯セグメント21a~21cの点灯数を減らすことにより、設定される車間距離を運転者に知らせることができる。
【0024】
次に、
図7及び
図8を参照しつつ、制御部10により実行される前方衝突警告処理について説明する。この前方衝突警告処理は、自動二輪車両1の走行中に繰り返し実行される。
制御部10は、自動二輪車両1に搭載される近接センサ(図示略)の検出結果に基づき自動二輪車両1の前方に障害物Sb(例えば、他車両)が存在するか否かを判定する(ステップS201)。制御部10は、自動二輪車両1の前方に障害物Sbが存在しないと判定すると(ステップS201;NO)、当該前方衝突警告処理を終了する。
【0025】
制御部10は、自動二輪車両1の前方に障害物Sbが存在すると判定すると(ステップS201;YES)、自動二輪車両1と障害物Sbの距離Dが遠距離L1以上であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0026】
制御部10は、
図7の最上段に示すように、自動二輪車両1と障害物Sbの距離Dが遠距離L1以上であると判定すると(ステップS202;YES)、サブ表示装置20L,20Rそれぞれの点灯セグメント21a~21cの全てを消灯状態とし(ステップS203)、当該前方衝突警告処理を終了する。このステップS203では、上述した設定車間距離表示処理での点灯セグメント21a~21cの点灯が継続的に行われてもよい。
【0027】
制御部10は、自動二輪車両1と障害物Sbの距離Dが遠距離L1未満であると判定すると(ステップS202;NO)、自動二輪車両1と障害物Sbの距離Dが中距離L2以上であるか否かを判定する(ステップS204)。制御部10は、
図7の上から2段目に示すように、自動二輪車両1と障害物Sbの距離Dが中距離L2以上であると判定すると(ステップS204;YES)、サブ表示装置20L,20Rそれぞれの点灯セグメント21a~21cの全てを同時に周期T1にて警告色(赤色又は橙色等)で点滅させ(ステップS205)、当該前方衝突警告処理を終了する。
【0028】
制御部10は、自動二輪車両1と障害物Sbの距離Dが中距離L2未満であると判定すると(ステップS204;NO)、自動二輪車両1と障害物Sbの距離Dが近距離L3以上であるか否かを判定する(ステップS206)。制御部10は、
図7の上から3段目に示すように、自動二輪車両1と障害物Sbの距離Dが近距離L3以上であると判定すると(ステップS206;YES)、サブ表示装置20L,20Rそれぞれの点灯セグメント21a~21cの全てを同時に周期T2にて警告色(赤色又は橙色等)で点滅させ(ステップS207)、当該前方衝突警告処理を終了する。周期T2は、周期T1よりも短く設定されている。
【0029】
一方、制御部10は、
図7の最下段に示すように、自動二輪車両1と障害物Sbの距離Dが近距離L3未満であると判定すると(ステップS206;NO)、障害物Sbとの衝突の危険があるとして、サブ表示装置20L,20Rそれぞれの点灯セグメント21a~21cの全てを常時、警告色(赤色又は橙色等)で点灯させ(ステップS208)、当該前方衝突警告処理を終了する。
上述した距離L1,L2,L3の大きさは、「L3<L2<L1」の大小関係で設定されており、自動二輪車両1の速度等によっても変化する。
上述したステップS205,S207,S208での点灯セグメント21a~21cを点滅又は点灯は、上述した設定車間距離表示処理での点灯セグメント21a~21cの点灯よりも優先して行われる。
【0030】
上述した前方衝突警告処理では、自動二輪車両1が障害物Sbに近づくと、点灯セグメント21a~21cが警告色で点滅し、点滅周期が障害物Sbとの距離Dが小さくなるにつれて短くなり、さらに障害物Sbに近づくと点灯セグメント21a~21cが警告色で常時点灯する。
【0031】
次に、
図9~
図11を参照しつつ、制御部10により実行される後側方車両検知警告(BSW:Blind Spot Warning)処理について説明する。後側方車両検知警告処理は、自動二輪車両1のターンシグナル(図示略)を点滅させているときに繰り返し実行される。後側方車両検知警告処理は、上述した設定車間距離表示処理及び前方衝突警告処理と同時に実施可能である。後側方車両検知警告処理での点灯セグメント21a~21cの点灯は、上述した設定車間距離表示処理での点灯セグメント21a~21cの点灯よりも優先されるが、後側方車両検知警告処理での点灯セグメント21a~21cの点灯よりも上述した前方衝突警告処理での点灯セグメント21a~21cの点灯及び点滅が優先される。
【0032】
制御部10は、自動二輪車両1の図示しない操作部への操作によりターンシグナルを点滅させたときに、自車両(自動二輪車両1)の右後側方又は左後側方に他車両Scが存在するか否かを判定し(ステップS301)、他車両Scが存在しないと判定したとき(ステップS301;NO)、当該後側方車両検知警告処理を終了する。
【0033】
制御部10は、自車両(自動二輪車両1)の右後側方又は左後側方に他車両Scが存在すると判定したとき(ステップS301;YES)、他車両Scと自車両(自動二輪車両1)の車間距離Eが遠距離La以上であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0034】
制御部10は、
図11の上段に示すように、車間距離Eが警告距離La以上であると判定すると(ステップS302;YES)、他車両Scとの距離が十分であり、運転者に警告の必要はないとして、サブ表示装置20L,20Rそれぞれの点灯セグメント21a~21cの全てを消灯状態とし(ステップS303)、当該後側方車両検知警告処理を終了する。このステップS303では、上述した設定車間距離表示処理での点灯セグメント21a~21cの点灯が継続されていてもよい。
【0035】
制御部10は、
図11の下段に示すように、車間距離Eが警告距離La未満であると判定すると(ステップS302;NO)、車間距離Eに応じた周期で、サブ表示装置20L又は20Rの点灯セグメント21a~21cを予め設定される点消灯パターンで順番に点灯及び消灯させる(ステップS304)。
図9は、点消灯パターンの1周期分を表しており、上段から下段に向かって時間tが経過した各状態を示している。この点消灯パターンは、
図9の上側の3段に示すように、中心位置CLから遠い点灯セグメント21cから順番に21c→21b→21aを警戒色で点灯させていき、全ての点灯セグメント21a~21cが点灯した状態から、
図9の下側の3段に示すように、中心位置CLから遠い点灯セグメント21cから順番に21c→21b→21aの順で消灯させるパターンである。この点消灯パターンでは、自車両の後側方から他車両Scが近づいてくる方向に点灯セグメント21a~21cを点灯及び消灯させていく。このため、他車両Scの接近を運転者にイメージさせることができる。
このステップS304では、自車両(自動二輪車両1)の右後側方に他車両Scが存在している場合には、サブ表示装置20Rの点灯セグメント21a~21cを点消灯パターンで順番に点灯及び消灯され、自車両(自動二輪車両1)の左後側方に他車両Scが存在している場合には、サブ表示装置20Lの点灯セグメント21a~21cを点消灯パターンで順番に点灯及び消灯される。
【0036】
制御部10は、このステップS304では、車間距離Eが警告距離La未満において、車間距離Eが小さくなるほど短い周期の点消灯パターンにて点灯セグメント21a~21cを点灯及び消灯させる。これにより、他車両Scに接近するほど高速で点灯又は消灯する点灯セグメント21a~21cが中心位置CL側に流れる表示となる。よって、他車両Scの接近度合いを確実に知らせることができる。
例えば、警告距離La未満の範囲として中距離範囲と近距離範囲の2つの範囲を設定する。近距離範囲は、警告距離La未満で、中距離範囲よりも小さい距離範囲に設定される。制御部10は、車間距離Eが中距離範囲であるときには周期T1で点消灯パターンにて点灯セグメント21a~21cを点灯及び消灯させる。また、車間距離Eが近距離範囲であるときには周期T1よりも短く設定される周期T2で点消灯パターンにて点灯セグメント21a~21cを点灯及び消灯させる。
周期T1,T2は2つに限らず、3つ以上設定されていてもよい。
【0037】
制御部10は、点消灯パターンでの点灯セグメント21a~21cの点灯及び消灯を、他車両Scとの車間距離Eが警告距離La以上となるまで繰り返し実行する(ステップS305;NO→ステップS304)。他車両Scとの車間距離Eが警告距離La以上となったと判定すると(ステップS305;YES)、点灯セグメント21a~21cの全てを消灯した状態で、当該後側方車両検知警告処理を終了する。
【0038】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)鞍型車両用表示装置の一例であるサブ表示装置20L,20Rは、鞍型車両の一例である自動二輪車両1の風防の一例であるカウル15の上方隅部に位置し、自動二輪車両1の運転者から見た左右方向Wにおいて中心位置CL(真正面となる位置)に近づく内側、かつ上方に向かう斜め方向Dtに並べられた複数の点灯部の一例である点灯セグメント21a~21cと、自動二輪車両1の周囲に他車両Sc及び障害物Sbを含む対象物が近づいた際に、複数の点灯セグメント21a~21cを予め設定されるパターンで点灯させる点灯制御部の一例である制御部10と、を備える。
この構成によれば、サブ表示装置20L,20Rがカウル15の上方隅部に配置されることにより、運転者は目線を落とさずにサブ表示装置20L,20Rを視認可能となり、視認性を高めることができる。
また、複数の点灯セグメント21a~21cが斜め方向Dtに並べられることにより、背景となる実風景との一体感を持たせることができ、運転者に立体感を感じさせるように複数の点灯セグメント21a~21cを点灯させることができる。
また、サブ表示装置20L,20Rが上方隅部に位置するため、運転者の視界が遮られづらく、運転の邪魔となりづらい。
【0039】
(2)複数の点灯セグメント21a~21cは、カウル15の上辺(上端部15U)に沿う方向に並べられ、それぞれ、カウル15の側辺(側辺部20S)に沿って延びるように形成されている。
この構成によれば、複数の点灯セグメント21a~21cをカウル15の形状に一体感を持たせて配置することができ、違和感を減らすことができる。
【0040】
(3)複数の点灯セグメント21a~21cのうち第1点灯部の一例である点灯セグメント21aの高さ方向Hの長さは、複数の点灯セグメント21a~21cのうち点灯セグメント21aよりも左右方向Wの外側に位置する第2点灯部の一例である点灯セグメント21bの高さ方向Hの長さよりも短く形成されている。
この構成によれば、運転者に立体感を感じさせるように複数の点灯セグメント21a~21cを点灯させることができる。
【0041】
(4)制御部10は、自動二輪車両1の後方に位置する他車両Sc等の対象物の接近を警告するために、複数の点灯セグメント21a~21cを、左右方向Wの外側から内側に向かう順の点灯パターンによって点灯させる。
この構成によれば、運転者に後方からの対象物の接近を直感的にわかりやすく伝えることができる。
【0042】
(5)制御部10は、自動二輪車両1の前方に位置する対象物(障害物Sb)の接近を警告するために、複数の点灯セグメント21a~21cの全てを点滅させる。
この構成によれば、運転者に前方の対象物の接近を直感的にわかりやすく伝えることができる。
【0043】
(6)点灯セグメント21a~21cは、互いに異なる第1の色(警告色)及び第2の色(非警告色)の何れかの色で点灯可能に構成される。制御部10は、自動二輪車両1の周囲に位置する対象物の接近を警告する際には点灯セグメント21a~21cを警告色で点灯(点滅と常時点灯の何れも含む)させ、自動二輪車両1の前方に位置する他車両に追従する追従機能が有効となっている際には、この追従機能において設定される自動二輪車両1と他車両の車間距離に応じて非警告色で点灯する点灯セグメント21a~21cの数を変化させる。
この構成によれば、緊急度が高い対象物の接近の警告と緊急度が低い設定車間距離の表示とで、点灯する色を使い分けることにより、点灯セグメント21a~21cの点灯の意味する内容が運転者に伝わりやすくなる。
【0044】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0045】
(変形例)
自動二輪車両1は、鞍型車両であればよく、例えば、トライク等の3輪バイクであってもよい。
上記実施形態の前方衝突警告処理のステップS208では、点灯セグメント21a~21cの全てを常時点灯させていたが、これに限らず、点灯セグメント21a~21cの全てを点滅させてもよい。
【0046】
上記実施形態における
図9に示す点消灯パターンは、適宜変更可能である。例えば、点灯セグメントを21c→21b→21aを順番に点灯させた後、全ての点灯セグメント21a~21cを同時に消灯してもよい。
また、点消灯パターンは、全ての点灯セグメント21a~21cが点灯した状態から開始し、点灯セグメント21c→21b→21aの順で消灯させるパターンであってもよい。
点消灯パターンでは、点灯セグメント21cを点灯した状態から、点灯セグメント21bを点灯する際、点灯セグメント21cを消灯させてもよい。このように、点灯する点灯セグメントは常に1つとなるように切り替えられてもよい。
点消灯パターンの周期は一定であってもよい。
【0047】
さらに、上記実施形態の後側方車両検知警告処理では、点消灯パターンの周期により自車両に対する他車両の接近度合いが表されていたが、点灯セグメント21a~21cの点灯数により他車両の接近度合いが表されてもよい。この場合、他車両が後側方から近づくにつれて、点灯セグメント21c→21b→21aの順で点灯数を増やしていく。このとき、点灯セグメント21a~21cは、中心位置CL側に流れるように順番に点灯及び消灯させてもよいし、常時点灯させてもよいし、点滅させてもよい。
【0048】
上記実施形態における斜め方向Dtに並ぶ点灯セグメント21a~21cの数は適宜変更可能であり、2つ又は4つ以上であってもよい。
【0049】
上記実施形態の設定車間距離表示処理においては、設定される車間距離が短くなるほど、左右方向Wの外側の点灯セグメントを消灯させていたが、反対に、設定される車間距離が短くなるほど、左右方向Wの内側の点灯セグメントを消灯させてもよい。この場合、設定された車間距離が短距離であるときには点灯セグメント21cを点灯させ、中距離であるときには点灯セグメント21b,21cを点灯させ、設定された車間距離が長距離であるときには点灯セグメント21a~21cを点灯させる。
【0050】
上記実施形態においては、設定車間距離表示処理では、点灯セグメント21a~21cを非警告色(水色、黄緑等)で点灯させ、前方衝突警告処理及び後側方車両検知警告処理は、点灯セグメント21a~21cを警告色(赤色又は橙色等)で点灯させていたが、点灯する色は適宜変更可能であり、例えば、全て同一の色で点灯させてもよい。
【0051】
上記実施形態における設定車間距離表示処理は省略されてもよい。また、前方衝突警告処理と後側方車両検知警告処理の何れか一方は省略されてもよい。
また、サブ表示装置20L,20Rは、右折位置又は左折位置までの距離を示してもよい。制御部10は、例えば、右折位置が近づくほど、点灯セグメント21a~21cの点滅周期を短くしたり、点灯セグメント21a~21cの点灯数を増減したり、点消灯パターンでの周期を短くしたりしてもよい。
【0052】
上記実施形態の前方衝突警告処理のステップS205,S207では、点灯セグメント21a~21cの全てが点滅していたが、点滅する点灯セグメントの数を、自動二輪車両1と障害物Sbの距離Dが小さくなるにつれて増加又は減少させてもよい。
各点灯セグメント21a~21cの高さ方向Hの長さは同じであってもよい。各点灯セグメント21a~21cの形状は、棒状に限らず、円形状、矩形状又は三角形状等であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 自動二輪車両
10 制御部
15 カウル
15L,15R 側端部
15U 上端部
20L,20R サブ表示装置
20D 下辺部
20S 側辺部
20U 上辺部
21a~21c 点灯セグメント
50 メイン表示装置
D,L1,L2,L3 距離
E 車間距離
H 高さ方向
W 左右方向
T1,T2 周期
CL 中心位置
IN 情報
t 時間
Sb 障害物
Sc 他車両
Dt 斜め方向