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特開2024-163445空調制御装置、空調システム、空調制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163445
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】空調制御装置、空調システム、空調制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/64 20180101AFI20241115BHJP
【FI】
F24F11/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079044
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】松岡 哲平
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA01
3L260CB62
3L260CB63
3L260CB64
3L260CB65
3L260CB66
3L260CB68
3L260CB69
3L260CB70
3L260FA02
3L260FA03
3L260FA06
3L260FA07
3L260FA08
3L260FA13
(57)【要約】
【課題】ユーザが手間をかけずに空調の快適性を向上させる。
【解決手段】空調制御装置10は、空調機を制御する。取得部111は、空調機において設定された制御パラメータの履歴を取得する。特定部113は、取得部111により取得された履歴に基づいて、制御パラメータが変更された変更時刻を特定する。空調制御部115は、特定部113により特定された変更時刻に基づくタイミングで制御パラメータを変更する制御指示を、空調機に送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機を制御する空調制御装置であって、
前記空調機において設定された制御パラメータの履歴を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記履歴に基づいて、前記制御パラメータが変更された変更時刻を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記変更時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを変更する制御指示を、前記空調機に送信する空調制御部と、を備える、
空調制御装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記取得部により取得された前記履歴に基づいて、前記制御パラメータが変更された複数の変更時刻を特定し、
前記変更時刻に基づくタイミングは、将来における、前記特定部により特定された前記複数の変更時刻に基づく時刻である、
請求項1に記載の空調制御装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記取得部により取得された前記履歴に基づいて、前記制御パラメータが上昇した上昇時刻と、前記制御パラメータが低下した低下時刻と、を特定し、
前記制御指示は、前記特定部により特定された前記上昇時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを上昇させ、前記特定部により特定された前記低下時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを低下させる指示である、
請求項1又は2に記載の空調制御装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記取得部により取得された前記履歴に基づいて、前記変更時刻における変更後の前記制御パラメータを更に特定し、
前記制御指示は、前記制御パラメータを、前記特定部により特定された前記変更時刻に基づくタイミングで、前記特定部により特定された前記変更後の制御パラメータに基づく値に変更する指示である、
請求項1又は2に記載の空調制御装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記取得部により取得された前記履歴に基づいて、前記制御パラメータが変更された複数の変更時刻を特定し、
前記制御指示は、前記特定部により特定された前記複数の変更時刻のうちの、特定の時間帯に含まれる少なくとも1つの変更時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを変更する指示である、
請求項1又は2に記載の空調制御装置。
【請求項6】
前記制御指示は、前記特定部により特定された前記変更時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを予め定められた変更幅変更する指示である、
請求項1又は2に記載の空調制御装置。
【請求項7】
前記制御パラメータは、設定温度であり、
前記変更幅は、+2℃又は-2℃である、
請求項6に記載の空調制御装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記空調制御部が前記制御指示を送信するよりも前に前記空調機の運転状態を取得し、
前記空調制御部は、前記空調機が運転していない場合、前記制御指示を前記空調機に送信する際に前記空調機に運転開始指示を送信する、
請求項1又は2に記載の空調制御装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記変更時刻に基づくタイミングよりも予め定められた時間前に前記空調機の運転状態を取得し、
前記空調制御部は、前記空調機が運転していない場合、前記制御指示を前記空調機に送信するより前に、前記空調機に運転開始指示を送信する、
請求項1又は2に記載の空調制御装置。
【請求項10】
前記取得部は、前記空調機により空調される空間の外部環境を示す環境情報を更に取得し、
前記制御指示は、前記特定部により特定された前記変更時刻に基づくタイミングで、前記制御パラメータを、前記取得部により取得された前記環境情報に基づいて補正されたパラメータに変更する指示である、
請求項1又は2に記載の空調制御装置。
【請求項11】
前記制御パラメータは、設定温度と、設定湿度と、風量と、風向と、運転モードと、のうちの少なくとも1つである、
請求項1又は2に記載の空調制御装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の空調制御装置と、前記空調機と、を備える、
空調システム。
【請求項13】
空調を制御する空調制御方法であって、
前記空調において設定された制御パラメータの履歴を取得し、
取得された前記履歴に基づいて、前記制御パラメータが変更された変更時刻を特定し、
特定された前記変更時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを変更する、
空調制御方法。
【請求項14】
空調を制御するコンピュータを、
前記空調において設定された制御パラメータの履歴を取得する取得部、
前記取得部により取得された前記履歴に基づいて、前記制御パラメータが変更された変更時刻を特定する特定部、
前記特定部により特定された前記変更時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを変更する空調制御部、として機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調制御装置、空調システム、空調制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空調機の運転を制御する技術が知られている。例えば、特許文献1は、空調機がスケジュール運転している間にリモコンによって指示された設定温度の変更情報を監視し、指示された設定温度による室内機の運転が予め決められた時間以上継続した場合、次回のスケジュール運転の開始時における設定温度を指示された設定温度に設定する集中管理装置を開示している。特許文献1に開示された集中管理装置によれば、ユーザによる設定温度の変更を次回のスケジュール運転に反映できるため、ユーザが快適と感じる温度に設定をし直す必要がなく、操作性及び快適性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-75935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された手法は、空調機をスケジュール運転させることが前提となっている。そのため、適用可能な状況が限定される。また、特許文献1に開示された手法において、変更された設定温度を次回のスケジュール運転に適用するためには、設定温度を変更した状態で予め決められた時間空調機の運転を継続する必要がある。そのため、ユーザが短時間の間に設定温度を変更した場合、設定温度の変更が反映されないという課題がある。以上のような状況のもと、より簡単な手法で、ユーザが手間をかけずに空調の快適性を向上できるようにすることが求められている。
【0005】
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、ユーザが手間をかけずに空調の快適性を向上させることが可能な空調制御装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る空調制御装置は、
空調機を制御する空調制御装置であって、
前記空調機において設定された制御パラメータの履歴を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記履歴に基づいて、前記制御パラメータが変更された変更時刻を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記変更時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを変更する制御指示を、前記空調機に送信する空調制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、空調機において設定された制御パラメータの履歴を取得し、取得された履歴に基づいて、制御パラメータが変更された変更時刻を特定し、特定された変更時刻に基づくタイミングで制御パラメータを変更する制御指示を、空調機に送信する。従って、本開示によれば、ユーザが手間をかけずに空調の快適性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る空調システムの全体構成を示す図
図2】実施の形態1に係る空調機の制御に関わる構成を示すブロック図
図3】実施の形態1に係る空調制御装置の構成を示すブロック図
図4】実施の形態1に係る設定温度テーブルの例を示す図
図5】実施の形態1に係る差分計算テーブルの例を示す図
図6】実施の形態1に係る設定温度変更リストの例を示す図
図7】実施の形態1において、1月の1ヵ月間に設定温度を変更するイベントが発生した時刻の分布を模式的に示す図
図8】実施の形態1に係る設定温度変更履歴の例を示す図
図9】実施の形態1に係る空調システムにより実行される空調制御処理の流れを示すシーケンス図
図10】実施の形態1に係る空調制御装置により実行される設定温度の変更検出処理の流れを示すフローチャート
図11】実施の形態1に係る空調制御装置により実行される制御指示送信処理の流れを示すフローチャート
図12】実施の形態2において、1月の1ヵ月間に発生した設定温度を変更するイベントにおける設定温度の変更幅の分布を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
【0010】
(実施の形態1)
図1に、実施の形態1に係る空調システム1の全体構成を示す。空調システム1は、ユーザが手間をかけずに空調の快適性を向上させることができるように、空調機3において過去に制御パラメータが変更された変更時刻を特定し、特定した変更時刻に基づくタイミングで空調機3に制御パラメータを変更させるシステムである。図1に示すように、空調システム1は、空調機3と、リモコン5と、ルータ7と、空調制御装置10と、を備える。
【0011】
空調機3は、空調対象の空間を空調する設備である。ここで、空調とは、空調対象の空間の空気の温度、湿度、清浄度、気流等を調整することであって、具体的には、暖房、冷房、除湿、加湿、空気清浄等である。空調機3は、家屋Hに設置されており、家屋H内における空調対象となる室内空間を空調する。家屋Hは、一例として、いわゆる一般的な戸建て住宅の建物である。
【0012】
空調機3は、例えば、二酸化炭素、HFC(ハイドロフルオロカーボン)等を冷媒として用いたヒートポンプ式の空調設備である。空調機3は、図示を省略するが、室外に設置される室外機と、室内に設置される室内機と、を備える。
【0013】
室外機と室内機とは、冷媒が流れる冷媒配管により接続されている。室外機は、冷媒を圧縮して冷媒配管を循環させる圧縮機と、冷媒の循環方向を切り替える四方弁と、室外空気と冷媒との間で熱交換する室外熱交換器と、冷媒を減圧して膨張させる膨張弁と、室外空気を室外熱交換器に送る室外ファンと、を備える。室内機は、室内空間の空気と冷媒との間で熱交換する室内熱交換器と、熱交換された空気を室内空間に送る室内ファンと、を備える。圧縮機と四方弁と室外熱交換器と膨張弁と室内熱交換器とは、冷媒配管により環状に接続されている。これにより、冷凍サイクルが形成されている。
【0014】
図2に、空調機3の制御に関する構成を示す。空調機3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、を備える。これら各部は、室外機を制御する室外機制御部と、室内機を制御する室内機制御部と、のうちの一方に設けられる。或いは、これら各部は、室外機制御部と室内機制御部との双方が協調することで実現されても良い。
【0015】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ等とも呼び、空調機3の制御に係る処理及び演算を実行する処理部として機能する。制御部31において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、空調機3を統括制御する。
【0016】
記憶部32は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部32は、制御部31が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部32は、制御部31が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0017】
通信部33は、空調機3の外部の装置と通信するための通信インタフェースを備える。通信部33は、有線通信又は無線通信によりリモコン5及びルータ7と通信する。また、通信部33は、ルータ7を介して広域通信網に接続し、空調制御装置10と通信する。広域通信網は、例えばインターネットである。例えば、通信部33は、設定温度情報を予め定められた周期で空調制御装置10に送信し、空調制御装置10から送信される制御指示を受信する。
【0018】
図1に戻って、リモコン5は、空調機3のユーザインタフェースとして機能する装置である。ユーザは、リモコン5を操作して、空調機3に対する操作指示を入力する。操作指示は、具体的には、運転と停止の切り替える指示、運転モードの切り替える指示、設定温度、設定湿度、風量又は風向を変更する指示等である。リモコン5は、例えば赤外線で空調機3と通信して、入力された操作指示を空調機3に送信する。空調機3は、リモコン5に入力された操作指示に従って動作する。
【0019】
なお、リモコン5に代えて又は加えて、スマートフォン、タブレット端末等の通信端末が、空調機3のユーザインタフェースとして機能しても良い。例えば、ユーザは、通信端末にインストールされた専用のアプリケーションソフトウェアを起動させて、空調機3に対する操作指示を入力する。通信端末は、無線通信又は有線通信により空調機3と通信し、入力された操作指示を空調機3に送信する。
【0020】
ルータ7は、家屋H内に設置された通信機器を広域通信網に接続するための装置であって、例えばブロードバンドルータである。ルータ7は、有線又は無線による通信ネットワークを介して、空調機3及びリモコン5と通信可能に接続されている。通信ネットワークは、例えば、エコーネットライト(ECHONET Lite(登録商標))に準じた宅内ネットワークである。また、ルータ7は、広域通信網を介して空調制御装置10と通信可能に接続されている。空調機3は、ルータ7を介して空調制御装置10と通信する。
【0021】
リモコン5、通信端末、及びルータ7のそれぞれは、いずれも図示しないが、CPU、ROM、RAM、通信インタフェース、及び、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリを備える。各装置において、CPUがRAMをワークメモリとして用いながらROMに格納された制御プログラムを実行することにより、各装置の動作を制御する。
【0022】
空調制御装置10は、家屋Hの外部に設置されており、空調機3を制御する。空調制御装置10は、一例として、クラウドコンピューティングのリソースを提供するサーバである。空調制御装置10は、広域通信網を介してルータ7と接続されている。空調制御装置10は、ルータ7を介して家屋Hに設置された空調機3と通信し、空調機3を遠隔的に管理する。
【0023】
なお、図1では1つの空調機3を示しているが、空調制御装置10は、上述した空調機3を含む複数の空調機と通信可能に接続されていても良い。複数の空調機のそれぞれは、それぞれが上述した空調機3と同様の構成を備えており、互いに異なる空調空間を空調する。各空調機は、一般的な戸建て住宅に限らず、集合住宅、商業施設、オフィスビル、工場等に設置されても良い。空調制御装置10は、空調機3を含む複数の空調機のそれぞれを遠隔的に管理し、各空調機による空調運転を制御する。
【0024】
以下、図3を参照して、空調制御装置10の構成について説明する。空調制御装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備える。
【0025】
制御部11は、CPU、ROM及びRAMを備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ等とも呼び、空調制御装置10の制御に係る処理及び演算を実行する処理部として機能する。制御部11において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、空調制御装置10を統括制御する。
【0026】
記憶部12は、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部12は、制御部11が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部12は、制御部11が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。例えば、記憶部12は、後述する設定温度テーブル121を記憶する。
【0027】
通信部13は、空調制御装置10の外部の装置と通信するための通信インタフェースを備える。通信部13は、広域通信網を介してルータ7と接続し、ルータ7を介して空調機3と通信する。例えば、通信部13は、空調機3から送信される設定温度情報を受信し、空調機3に制御指示を送信する。
【0028】
空調制御装置10において、制御部11は、機能的に、取得部111と、特定部113と、空調制御部115と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部12に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
【0029】
取得部111は、空調機3において設定された制御パラメータの履歴を取得する。ここで、制御パラメータは、空調機3の運転制御に関するパラメータである。制御パラメータは、例えば、空調機3の設定温度、設定湿度、風量、風向、運転モード等である。設定温度は、空調において目標となる温度である。設定湿度は、空調において目標となる湿度である。風量は、単位時間あたりに室内機から室内空間に吹き出される空調空気の量である。風向は、室内機から室内空間に吹き出される空調空気の方向である。運転モードは、冷房、暖房、除湿、加湿等のような、空調機3において実行可能な空調のモードである。このような制御パラメータは、空調機3にユーザが望む運転を実行させるために、ユーザにより設定可能である。
【0030】
以下、実施の形態1では、制御パラメータが設定温度である場合を例にとって説明する。空調機3において、制御部31は、室温と設定温度との温度差が許容範囲内に収まるように、圧縮機の運転と停止とを繰り返す。例えば、冷房時では、制御部31は、室温が設定温度よりも上昇すると圧縮機を運転させ、室温が設定温度よりも低下すると圧縮機の運転を停止させる。逆に、暖房時では、制御部31は、室温が設定温度よりも低下すると圧縮機を運転させ、室温が設定温度よりも上昇すると圧縮機の運転を停止させる。
【0031】
制御パラメータの履歴は、空調機3において過去に設定された制御パラメータの時系列データである。空調機3において、制御部31は、空調機3に内蔵されているROM又は記憶部32に、空調機3において設定された設定温度の情報を保持している。制御部31は、通信部33により空調制御装置10と通信し、ROM又は記憶部32に保持された設定温度を示す設定温度情報を、予め定められた周期で空調制御装置10に送信する。予め定められた周期は、例えば10分である。
【0032】
取得部111は、通信部13を介して空調機3と通信し、このようにして空調機3から予め定められた周期で繰り返し送信される設定温度の情報を取得する。これにより、取得部111は、空調機3において過去に設定された設定温度の履歴を取得する。
【0033】
取得部111は、空調機3から設定温度情報を取得すると、取得した設定温度情報を設定温度テーブル121に保存する。設定温度テーブル121は、空調機3において設定された設定温度の履歴を示すデータである。
【0034】
具体的には図4に示すように、設定温度テーブル121は、空調機IDと、時刻と、設定温度と、を互いに紐づけて格納している。ここで、空調機IDは、設定温度情報の送信元である空調機3を一意に識別するための識別情報である。時刻は、空調機3が設定温度情報を送信した時刻である。空調機3から送信される設定温度情報には、その設定温度情報の送信時刻と、送信元の空調機3を示す空調機IDと、が含まれる。
【0035】
取得部111は、空調機3から設定温度情報を取得すると、取得した設定温度情報に含まれる空調機IDと送信時刻と設定温度とを組み合わせて、設定温度テーブル121に保存する。図4に示す設定温度テーブル121は、一例として、空調機IDが「AAAA0000」と「BBBB1111」である空調機から、それぞれ10分毎に設定温度情報が送信された場合の例を示している。
【0036】
図3に戻って、特定部113は、取得部111により取得された制御パラメータの履歴に基づいて、空調機3の制御パラメータが変更された変更時刻を特定する。制御パラメータが変更された変更時刻は、具体的には、ユーザがリモコン5を操作して空調機3の設定温度を変更した時刻である。また、変更時刻は、ユーザの操作に限らず、自動運転により制御パラメータが変更された時刻であっても良い。
【0037】
設定温度が変更された時刻は、設定温度が上昇した時刻と、設定温度が低下した時刻と、のどちらも含む。例えば、ユーザが暑いと感じた場合には設定温度を低下させ、ユーザが寒いと感じた場合には設定温度を上昇させる。特定部113は、それらの時刻を特定する。言い換えると、特定部113は、取得部111により取得された設定温度の履歴に基づいて、設定温度が上昇した上昇時刻と、設定温度が低下した低下時刻と、を特定する。
【0038】
設定温度が変更された変更時刻を特定するため、特定部113は、設定温度テーブル121を参照して、過去の期間における設定温度の変更の有無を検出する。具体的に説明すると、特定部113は、設定温度テーブル121に格納されているデータのうちから、対象となる空調機3のデータを抽出する。
【0039】
一例として、図4に示した設定温度テーブル121から空調機IDが「AAAA0000」の空調機3のデータを抽出した場合、特定部113は、図5に示す差分計算テーブル122を生成する。差分計算テーブル122は、対象となる空調機3において設定された設定温度の差分を計算するためのテーブルである。
【0040】
設定温度テーブル121からデータを抽出すると、特定部113は、抽出したデータを時系列順にソートする。言い換えると、特定部113は、抽出したデータを、各データに紐づけられた時刻の順に並べる。
【0041】
抽出したデータを時系列順にソートすると、特定部113は、ソートされたデータ内で隣接するデータ間における設定温度の差分を計算する。図5に示した差分計算テーブル122において、時刻「2023/1/10 06:00:00」では設定温度は「20.0℃」であり、時刻「2023/1/10 06:10:00」以降では設定温度は「21.0℃」である。そのため、特定部113は、時刻「2023/1/10 06:10:00」の設定温度「21.0℃」とその1つ前の行の設定温度「20.0℃」との差分「1.0℃」を、その時刻における設定温度の差分として計算する。これに対して、特定部113は、その他の時刻の設定温度は1つ前の行の設定温度と同じであるため、設定温度の差分を「0.0℃」と計算する。
【0042】
設定温度の差分を計算すると、特定部113は、抽出したデータのうちの、計算した差分が0でないデータの時刻と設定温度とをリスト化する。例えば、図5に示した差分計算テーブル122において、特定部113は、設定温度の差分が「1.0℃」であるデータを抽出する一方で、設定温度の差分を「0.0℃」であるデータを抽出しない。
【0043】
このように設定温度の差分が0でないデータを抽出することにより、特定部113は、例えば図6に示す設定温度変更リスト123を生成する。設定温度変更リスト123は、対象となる空調機3において設定温度が変更された時刻である変更時刻と、変更後の設定温度と、設定温度の変更幅である差分と、を互いに紐づけたデータである。
【0044】
このように設定温度変更リスト123を生成することにより、特定部113は、過去の期間において、空調機3において設定温度が変更された変更時刻を特定する。更に、特定部113は、特定した変更時刻における変更後の設定温度と、その変更による設定温度の変更幅と、を特定する。
【0045】
なお、図5及び図6では省略しているが、差分計算テーブル122において設定温度の差分が0でない時刻が複数存在する場合、特定部113は、設定温度の差分が0でない複数の時刻のデータを抽出して、設定温度変更リスト123を生成する。これにより、特定部113は、設定温度が変更された複数の変更時刻と、各変更時刻における変更後の設定温度と、各変更時刻における設定温度の変更幅と、を特定する。
【0046】
設定温度変更リスト123を生成すると、特定部113は、生成した設定温度変更リスト123を、対象となる空調機3を示す空調機IDと紐づけて、記憶部12に保存する。これにより、空調制御部115が設定温度変更リスト123を参照できるようになる。
【0047】
特定部113は、以上のような設定温度の変更時刻を特定する処理を、設定温度テーブル121に保存されている複数の空調機IDのそれぞれに対して、予め定められた頻度で実行する。予め定められた頻度は、例えば、1日に1回、1週間に1回等である。以下では、特定部113は、設定温度の変更時刻を特定する処理を、1日に1回、例えば夕方から夜の予め定められた時刻に実行するとして説明する。
【0048】
図3に戻って、空調制御部115は、空調機3を制御するために、空調機3に対して制御指示を送信する。ここで、制御指示は、制御パラメータである設定温度を、特定部113により特定された変更時刻に基づくタイミングで、特定部113により特定された変更後の設定温度に基づく値に変更する指示である。
【0049】
まず、空調制御部115は、制御指示を生成する。具体的に説明すると、空調制御部115は、特定部113により複数の空調機のそれぞれに対して生成された設定温度変更リスト123のうちから、制御指示を送信する対象となる空調機3のデータを抽出する。続いて、空調制御部115は、抽出したデータのうちから、対象となる特定の期間における特定の時間帯に含まれるデータを更に抽出する。
【0050】
ここで、特定の期間及び特定の時間帯は、それぞれ、空調機3に設定温度を変更させるタイミングを決めるための期間及び時間帯である。特定の期間は、例えば、過去の1週間、過去の3日間等である。特定の時間帯は、例えば、朝の5時から8時、夜の22時から24時等である。空調制御部115は、設定温度変更リスト123に含まれる時刻を参照して、このような特定の期間における特定の時間帯に含まれるデータを抽出する。これにより、操作誤りによる設定温度の変更、及び、突発的に発生した設定温度の変更を排除できるため、設定温度変更タイミングの精度が向上する。
【0051】
図7に、2022年1月の1ヵ月間に設定温度を変更したことがある約4万台の空調機における設定温度の変更イベントが発生した時刻を調査した結果を示す。図7において、横軸は設定温度の変更イベントが発生した時刻を表している。また、各時刻の左側の数値が設定温度を上昇させたイベントの件数、各時刻の右側の数値が設定温度を低下させたイベントの件数を表している。なお、図7における設定温度の変更イベントの件数は、理解を容易にするために模式的に示しているものであって、実際の調査で得られた件数とは必ずしも同じではない、
【0052】
図7に示すように、4時から8時、とりわけ5時から8時の時間帯は設定温度を上昇させる操作をした件数が設定温度を低下させる操作をした件数よりも多いことが分かった。これは、朝の起床時に寒さを感じるために設定温度を上げる操作がなされていると考えることができる。よって、起床時間帯などの特定の時間帯に発生したイベントのみを抽出して制御指示生成に反映することで、通常の使用環境にあった制御が実行できる。このような結果を考慮し、以下では、特定の時間帯として5時から8時の時間帯を例にとって説明する。
【0053】
一例として、図8に、設定温度変更リスト123のうちから、空調機IDが「AAAA0000」である空調機3のデータを抽出し、更に、特定の期間が2023/1/8から2023/1/15であって、且つ、特定の時間帯が午前5時から午前8時のデータを抽出した例を示す。図8に示す設定温度変更履歴124には、設定温度の変更幅が正であるデータが5件、設定温度の変更幅が負であるデータが4件含まれている。
【0054】
空調制御部115は、このような設定温度変更履歴124を参照して、空調機3に設定温度を変更させるタイミングを決定する。具体的に説明すると、空調制御部115は、将来における、設定温度変更履歴124に含まれる複数の変更時刻に基づく時刻を、空調機3に設定温度を変更させるタイミングを決定する。複数の変更時刻に基づく時刻は、一例として、複数の変更時刻を平均した時刻である。
【0055】
更に、空調制御部115は、設定温度変更履歴124に含まれる複数の変更後の設定温度に基づく値を、空調機3に変更させる変更後の設定温度として決定する。複数の変更後の設定温度に基づく値は、一例として、複数の変更後の設定温度の平均値である。
【0056】
空調制御部115は、設定温度変更履歴124に含まれる複数の変更時刻の平均値と、複数の変更後の設定温度の平均値を計算する。そして、空調制御部115は、翌日における計算した時刻を、空調機3に設定温度を変更させるタイミングとして決定し、計算した設定温度の平均値を、空調機3に変更させる変更後の設定温度として決定する。すなわち、実施の形態1において、変更時刻に基づくタイミングは、特定の期間における特定の時間帯に含まれる複数の変更時刻を平均した時刻に相当し、変更後の設定温度に基づく値は、複数の変更時刻における変更後の設定温度を平均した値に相当する。
【0057】
より詳細には、空調制御部115は、設定温度の変更幅が正のデータと負のデータとのそれぞれに対して別々に、変更時刻の平均値と、変更後の設定温度の平均値と、を計算する。具体的に説明すると、空調制御部115は、変更時刻に基づくタイミングとして、特定部113により特定された複数の変更時刻のうちの、設定温度が上昇した上昇時刻に基づくタイミングと、設定温度が低下した低下時刻に基づくタイミングと、を計算する。ここで、上昇時刻に基づくタイミングは、少なくとも1つの上昇時刻を平均した時刻に相当し、低下時刻に基づくタイミングは、少なくとも1つの低下時刻を平均した時刻に相当する。
【0058】
更に、空調制御部115は、変更後の設定温度に基づく値として、少なくとも1つの上昇時刻における上昇後の設定温度を平均した値と、少なくとも1つの低下時刻における低下後の設定温度を平均した値と、を計算する。そして、空調制御部115は、設定温度を、上昇時刻に基づくタイミングで上昇後の設定温度を平均した値に上昇させ、低下時刻に基づくタイミングで低下後の設定温度を平均した値に低下させるように決定する。
【0059】
具体的に図8の例では、空調制御部115は、設定温度の変更幅が正である5件のデータに対して、変更時刻の平均値を「6:02:00」と計算し、変更後の設定温度の平均値を「21.4℃」と計算する。また、空調制御部115は、設定温度の変更幅が負である4件のデータに対して、変更時刻の平均値を「7:27:30」と計算し、変更後の設定温度の平均値を「19.9℃」と計算する。この場合、空調制御部115は、翌日の午前6:02:00に設定温度を21.4℃に変更し、更に翌日の午前7:27:30に設定温度を19.9℃に変更するように、空調機3に設定温度を変更させるタイミングと変更させる設定温度とを決定する。
【0060】
なお、変更時刻の平均値及び設定温度の平均値は、適切な幅で丸める処理を実施しても良い。上記の例では、翌日の午前6:00:00に設定温度を21.5℃に変更し、更に翌日の午前7:30:00に設定温度を20.0℃に変更するようにしても良い。
【0061】
このようにして空調機3に設定温度を変更させるタイミングと変更させる設定温度とを決定すると、空調制御部115は、制御指示を生成する。制御指示は、対象となる空調機3に対して、空調の設定温度を、決定したタイミングで、決定した変更後の設定温度に変更する指示である。より詳細には、制御指示は、対象となる空調機3に対して、空調の設定温度を、設定温度が上昇した上昇時刻に基づくタイミングで設定温度を上昇させ、設定温度が低下した低下時刻に基づくタイミングで設定温度を低下させる指示である。空調制御部115は、決定したタイミングと決定した変更後の設定温度との情報を含む制御指示を生成する。
【0062】
制御指示を生成すると、空調制御部115は、生成した制御指示を空調機3に送信する。これにより、空調制御部115は、対象となる空調機3に対して、設定温度を、決定したタイミングで決定した変更後の設定温度に変更させる。
【0063】
具体的に説明すると、空調制御部115は、決定したタイミングが到来するまで待機する。決定したタイミングは、上述した例では、翌日における午前6:02:00と午前7:27:30である。決定したタイミングが到来すると、空調制御部115は、通信部13を介して空調機3と通信し、制御指示を空調機3に送信する。
【0064】
空調機3において、制御部31は、空調制御装置10から制御指示が送信されると、送信された制御指示を受信する。制御指示を受信すると、制御部31は、受信した制御指示に従って、空調機3における空調の設定温度を変更する。上述した例では、制御部31は、午前6:02:00に設定温度を21.4℃に変更し、更に午前7:27:30に設定温度を19.9℃に変更する。
【0065】
次に、図9を参照して、空調システム1において実行される空調制御処理の流れについて説明する。図9に示す空調制御処理は、空調機3と空調制御装置10とが正常に動作可能な状態において、適宜のタイミングで繰り返し実行される。図9に示す空調制御処理は、空調制御方法の一例である。
【0066】
空調制御処理を開始すると、空調機3において、制御部31は、予め定められた周期のタイミングである設定温度情報の送信タイミングが到来すると、設定温度情報を空調制御装置10に送信する(ステップS1)。設定温度情報には、空調機3において設定された設定温度と、空調機IDと、送信時刻と、の情報が含まれる。
【0067】
空調制御装置10において、制御部11は、取得部111として機能し、空調機3から送信された設定温度情報を取得する。設定温度情報を取得すると、制御部11は、設定温度テーブル121を更新する(ステップS2)。具体的に説明すると、制御部11は、取得した設定温度情報に含まれる設定温度と空調機IDと送信時刻とを紐づけて、設定温度テーブル121に保存する。
【0068】
次に、制御部11は、特定部113として機能し、設定温度の変更の有無を検出する(ステップS3)。ステップS3における設定温度の変更検出処理の詳細は、図10を参照して説明する。制御部11は、例えば1日における予め定められた時刻が到来すると、図10に示す設定温度の変更検出処理を実行する。
【0069】
設定温度の変更検出処理を開始すると、制御部11は、設定温度テーブル121から対象となる空調機3のデータを抽出し(ステップS31)、時系列順にソートする(ステップS32)。続いて、制御部11は、ソート後のデータにおいて隣接するデータ間における設定温度の差分を計算する(ステップS33)。例えば、図4に示した設定温度テーブル121から空調機IDが「AAAA0000」の空調機3のデータを抽出した場合、制御部11は、図5に示した差分計算テーブル122を生成する。
【0070】
設定温度の差分を計算すると、制御部11は、計算した差分が0でないデータの時刻と設定温度とをリスト化する(ステップS34)。例えば、制御部11は、図5に示した差分計算テーブル122から、図6に示した設定温度変更リスト123を生成する。
【0071】
設定温度変更リスト123を生成すると、制御部11は、生成した設定温度変更リスト123と空調機IDとを組合せて記憶部12に保存する(ステップS35)。以上により、図10に示した設定温度の変更検出処理は終了する。
【0072】
図9に戻って、変更時刻を特定すると、制御部11は、空調制御部115として機能し、空調機3に対する制御指示を生成して送信する(ステップS4)。ステップS4の制御指示送信処理の詳細は、図11を参照して説明する。制御部11は、典型的にはステップS3の設定温度の変更検出処理に引き続き、1日における予め定められた時刻が到来すると、図11に示す制御指示送信処理を実行する。
【0073】
制御指示送信処理を開始すると、制御部11は、設定温度変更リスト123に保存されているデータのうちから、対象となる空調機3のデータを抽出する(ステップS41)。続いて、制御部11は、抽出したデータのうちから、対象となる期間の対象となる時間帯に含まれるデータを更に抽出する(ステップS42)。例えば、空調機IDが「AAAA0000」である空調機3のデータを抽出し、更に、過去の1週間における5時から8時の時間帯のデータを抽出した場合、制御部11は、図8に示した設定温度変更履歴124を生成する。
【0074】
データを抽出すると、制御部11は、設定温度の差分の正負毎に、設定温度の変更時刻の平均値と、変更後の設定温度の平均値と、を計算する(ステップS43)。これにより、制御部11は、変更時刻の平均値を、空調機3に設定温度を変更させるタイミングとして決定する。また、制御部11は、変更後の設定温度の平均値を、空調機3に変更させる変更後の設定温度として決定する。
【0075】
次に、制御部11は、翌日における決定したタイミングが到来するまで待機する(ステップS44)。決定したタイミングが到来すると、制御部11は、対象となる空調機3に対して、決定したタイミングで決定した変更後の設定温度に変更させる制御指示を送信する(ステップS45)。以上により、図11に示した制御指示送信処理は終了する。
【0076】
図9に戻って、空調制御装置10から制御指示が送信されると、空調機3において、制御部31は、送信された制御指示を受信する。空調機3において、制御部31は、制御指示を受信すると、受信した制御指示において指示されたタイミングで、制御指示において指示された変更後の設定温度に設定温度を変更する(ステップS5)。以上により、図9に示した空調制御処理は終了する。
【0077】
以上説明したように、実施の形態1に係る空調制御装置10は、空調機3において設定された設定温度の履歴を取得し、取得された履歴に基づいて、設定温度が変更された変更時刻を特定し、特定された変更時刻に基づくタイミングで設定温度を変更する制御指示を、空調機3に送信する。このように、実施の形態1に係る空調制御装置10は、過去に設定温度が変更された変更時刻に基づくタイミングで設定温度を変更するため、ユーザが設定温度を変更する可能性が高いタイミングで、ユーザの操作を介さずに設定温度を変更することができる。その結果、ユーザが手間をかけずに空調の快適性を向上させることができる。
【0078】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態1と同様の構成及び機能については、適宜説明を省略する。
【0079】
上記実施の形態1では、特定部113は、取得部111により取得された設定温度の履歴に基づいて、設定温度が変更された変更時刻と変更後の設定温度とを特定した。そして、空調制御部115は、特定部113により特定された変更時刻に基づくタイミングで、特定部113により特定された変更後の設定温度に基づく値に設定温度を変更する制御指示を、空調機3に送信した。これに対して、実施の形態2では、空調制御部115は、特定部113により特定された変更時刻に基づくタイミングで設定温度を予め定められた変更幅変更する制御指示を、空調機3に送信する。言い換えると、空調機3に変更させる設定温度の変更幅は予め決められた値に固定されており、特定部113は変更後の設定温度を特定しない。
【0080】
実施の形態2において、空調制御部115は、実施の形態1と同様に、例えば図8に示した設定温度変更履歴124を参照して、空調機3に設定温度を変更させるタイミングを決定する。具体的に説明すると、空調制御部115は、設定温度の変更幅が正のデータと負のデータとのそれぞれに対して別々に、変更時刻の平均値を計算する。そして、空調制御部115は、変更時刻に基づくタイミングとして、特定部113により特定された複数の変更時刻のうちの、設定温度が上昇した複数の時刻を平均した時刻と、設定温度が低下した複数の時刻を平均した時刻と、を計算する。空調制御部115は、決定したタイミングで設定温度を予め定められた変更幅分の温度だけ変更させる制御指示を生成して、対象となる空調機3に送信する。
【0081】
実施の形態2において、予め定められた変更幅は、一例として、+2℃又は-2℃である。具体的に説明すると、空調制御部115は、対象となる空調機3に対して、翌日における設定温度が上昇した少なくとも1つの時刻を平均した時刻に設定温度を+2℃上昇させ、翌日における設定温度が低下した少なくとも1つの時刻を平均した時刻に設定温度を-2℃低下させる制御指示を送信する。
【0082】
空調機3において、制御部31は、空調制御装置10から制御指示を受信すると、受信した制御指示に従って設定温度を変更する。具体的に説明すると、制御部31は、制御指示に従ったタイミングで、制御指示に従った変更幅である+2℃又は-2℃だけ設定温度を変更する。
【0083】
ここで、設定温度の変更幅を+2℃又は-2℃に定める理由は、一般的な空調機を使用する場合に設定温度の変更幅が±2℃の範囲内に入っている場合が多いためである。具体的に、図12に、2022年の1月の1ヵ月間に設定温度を変更したことがある約4万台の空調機における設定温度の変更幅を調査した結果を示す。図12において、横軸は設定温度の変化幅を表しており、縦軸は設定温度を変更したイベントの件数を表している。横軸が正の領域は設定温度を上昇させる変更がなされたことを意味し、横軸が負の領域は設定温度を低下させる変更がなされたことを意味する。なお、図12における設定温度の変更幅の件数は、理解を容易にするために模式的に示しているものであって、実際の調査で得られた件数とは必ずしも同じではない、
【0084】
図12に示すように、設定温度の変更幅が±2℃の範囲内に入っているデータが全体の8割を超えることが分かった。同様に、図示を省略するが、2022年の8月の1ヵ月間に調査した場合も、設定温度の変更幅が±2℃の範囲内に入っているデータが全体の8割を超えることが分かった。このような調査を考慮すると、設定温度の変更幅を+2℃又は-2℃に定めることで、空調機の通常の使用環境に適合した制御を実行することができる。
【0085】
このように、実施の形態2では、市場での空調機の実データに基づいて導出した±2℃という幅で設定温度が変更されるので、ユーザの通常の使い方を手間なく再現することができ、ユーザが手間をかけずに快適性を向上できる。
【0086】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態1,2と同様の構成及び機能については、適宜説明を省略する。
【0087】
上記実施の形態1では、空調制御部115は、空調機3に設定温度を変更させるタイミングで、空調機3に制御指示を送信した。これに対して、実施の形態3では、空調制御部115は、空調機3が運転していない場合、制御指示を空調機3に送信する際に、制御指示と共に空調機3に運転開始指示を送信する。
【0088】
実施の形態3において、取得部111は、空調制御部115が制御指示を送信するよりも前に空調機3の運転状態を取得する。具体的に説明すると、取得部111は、空調制御部115が空調機3に制御指示を送信するタイミングよりも予め定められた時間前に通信部13を介して空調機3と通信し、空調機3に対して運転状態の問い合わせを送信する。予め定められた時間前は、例えば数分前、数秒前等のような、制御指示を送信するタイミングに対して直前のタイミングである。
【0089】
空調機3において、制御部31は、空調制御装置10から運転状態の問い合わせを受信すると、問い合わせに対する応答として、空調機3の現在の運転状態を空調制御装置10に通知する。具体的には、制御部31は、空調機3が空調を実行中であれば、運転中であることを空調制御装置10に通知し、空調機3が空調を実行中でなければ、運転中でないことを空調制御装置10に通知する。
【0090】
空調制御装置10において、取得部111は、このように空調機3からの通知により、空調機3の運転状態を取得する。取得部111により取得された運転状態が、空調機3が運転中でないことを示すものである場合、空調制御部115は、空調機3に対して運転を開始させる指示である運転開始指示を生成する。そして、空調制御部115は、制御指示を送信する際に、生成した運転開始指示を空調機3に送信する。制御指示は、実施の形態1と同様に、空調機3に対して、過去に設定温度が変更された変更時刻に基づくタイミングで設定温度を変更させる指示である。
【0091】
空調機3において、制御部31は、空調制御装置10から運転開始指示と制御指示とを受信すると、まず、受信した運転開始指示に従って空調を開始する。なお、運転開始時の運転モードは、例えば、直前の空調で実行していた運転モードと同じであっても良い。或いは、冬季なら暖房、夏季なら冷房というように、予め定められたルールに従って運転開始時の運転モードを決定しても良い。空調を開始すると、制御部31は、受信した制御指示に従って設定温度を変更する。
【0092】
なお、取得部111により取得された運転状態が、空調機3が運転中であることを示すものである場合、空調機3に運転を開始させる必要がない。そのため、空調制御部115は、この場合には運転開始指示を空調機3に送信しない。
【0093】
このように、実施の形態3に係る空調制御装置10は、空調機3が運転していない場合、制御指示を空調機3に送信する際に、制御指示と共に空調機3に運転開始指示を送信する。これにより、空調機3が室内空間を空調していなかった場合であっても、空調機3に空調を開始させてから設定温度を変更させるため、空調機3に設定温度を変更させる際に空調機3が運転していることを前提とする必要がない。その結果として、ユーザが空調機3を操作する手間を削減することができる。
【0094】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態1~3と同様の構成及び機能については、適宜説明を省略する。
【0095】
上記実施の形態3では、空調制御部115は、空調機3が運転していない場合、制御指示を空調機3に送信する際に、制御指示と共に空調機3に運転開始指示を送信した。これに対して、実施の形態4では、空調制御部115は、空調機3が運転していない場合、制御指示を空調機3に送信するより前に、空調機3に運転開始指示を送信する。
【0096】
実施の形態4において、取得部111は、変更時刻に基づくタイミングよりも予め定められた時間前に空調機3の運転状態を取得する。予め定められた時間は、例えば、30分、1時間等のような時間長の時間である。言い換えると、実施の形態3では、取得部111は、空調機3に設定温度を変更させるタイミングの直前に、空調機3の運転状態を取得した。これに対して、実施の形態4では、取得部111は、空調機3に設定温度を変更させるタイミングよりもある程度前に前もって、空調機3の運転状態を取得する。空調機3の運転状態を取得する方法は、実施の形態3と同様である。
【0097】
取得部111が空調機3から運転状態を取得すると、空調制御部115は、取得された運転状態に基づいて、空調機3が運転中であるか否かを判定する。空調機3が運転中でないと判定した場合、空調制御部115は、空調機3に対して運転を開始させる指示である運転開始指示を生成する。そして、空調制御部115は、制御指示を送信するよりも前に、生成した運転開始指示を空調機3に送信する。言い換えると、空調制御部115は、取得部111により取得された運転状態により空調機3が運転中でないと判定すると、その時点ですぐに、運転開始指示を空調機3に送信する。これにより、空調制御部115は、空調機3が運転していない場合、設定温度を変更させる制御指示を送信するタイミングを待たずに、前もって運転を開始させる。
【0098】
空調機3において、制御部31は、空調制御装置10から送信された運転開始指示を受信すると、受信した運転開始指示に従って空調を開始する。その後、空調機3に設定温度を変更させるタイミングが到来すると、空調制御部115は、設定温度を変更させる制御指示を空調機3に送信する。空調機3において、制御部31は、空調制御装置10から送信された制御指示を受信すると、受信した制御指示に従って設定温度を変更する。
【0099】
なお、取得部111により取得された運転状態が、空調機3が運転中であることを示すものである場合、空調機3に運転を開始させる必要がない。そのため、空調制御部115は、この場合には運転開始指示を空調機3に送信しない。
【0100】
このように、実施の形態4に係る空調制御装置10は、空調機3が運転していない場合、制御指示を空調機3に送信するより前に、空調機3に運転開始指示を送信する。このように空調機3に設定温度を変更させるタイミングよりも前に空調機3に空調を開始させるため、空調機3に設定温度を変更させるタイミングで空調を開始させる場合に比べて、設定温度を変更した後に室温が目標とする温度に到達するまでの時間を短縮することができる。例えば、冬季の朝に空調機3に設定温度を変更させる場合には、事前に暖房を開始しておくことで、室温がすぐに目標とする温度に到達する。そのため、ユーザの快適性が向上する。
【0101】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。実施の形態1~4と同様の構成及び機能については、適宜説明を省略する。
【0102】
上記実施の形態1では、取得部111は、空調機3において設定された設定温度の履歴を取得した。これに対して、実施の形態5では、取得部111は、室内空間の外部環境を示す環境情報を更に取得する。
【0103】
ここで、環境情報は、外気温と、外気湿度と、天気予報データと、のうちの少なくとも1つを示す情報である。外気温は、家屋Hが存在する環境における屋外の空気温度であって、屋外に設置された温度センサにより計測される。また、外気湿度は、家屋Hが存在する環境における屋外の空気湿度であって、屋外に設置された湿度センサにより計測される。天気予報データは、家屋Hが存在する環境における晴れ、曇り、雨等の天気の予報データである。天気予報データは、気象庁、気象会社等により運営される気象サーバにより提供される。
【0104】
取得部111は、通信部13を介して、温度センサと湿度センサと気象サーバとから、環境情報として、それぞれ、空調機3に設定温度を変更させるタイミングにおける外気温と外気湿度と天気予報データとを取得する。空調制御部115は、取得部111により取得された環境情報に基づいて、空調機3に変更させる変更後の設定温度を補正する。
【0105】
具体的に説明すると、空調制御部115は、実施の形態1と同様に、設定温度変更履歴124に含まれる設定温度の変更時刻の平均値を、空調機3に設定温度を変更させるタイミングとして決定し、設定温度変更履歴124に含まれる変更後の設定温度の平均値を、空調機3に変更させる変更後の設定温度として決定する。更に、実施の形態5では、空調制御部115は、取得部111により取得された環境情報に基づいて、決定した変更後の設定温度を補正する。以下、設定温度を補正する例をいくつか挙げる。
【0106】
第1の例として、空調制御部115は、外気温が基準温度よりも低い場合、設定温度を上昇させる変更幅を大きくし、設定温度を低下させる変更幅を小さくする。また、空調制御部115は、外気温が基準温度よりも高い場合、設定温度を上昇させる変更幅を小さくし、設定温度を低下させる変更幅を大きくする。このように外気温度に応じて室温を調整することで、室内空間の快適性を高めることができる。ここで、基準温度は、例えば、過去数日における外気温の平均値、過去数年における同じ季節での外気温の平均値等を用いることができる。なお、外気温として、温度センサにより計測された値を用いても良いし、天気予報データにおいて予想された、制御指示の送信時の外気温の予報値を用いても良い。
【0107】
第2の例として、空調制御部115は、外気湿度が基準湿度よりも高い場合、又は、天気予報が雨である場合、設定湿度を上昇させる変更幅を小さくし、設定湿度を低下させる変更幅を大きくする。これにより、外気湿度が高い場合に室内空間の湿度の上昇を抑えることができる。ここで、基準湿度は、例えば、過去数日における外気湿度の平均値、過去数年における同じ季節での外気湿度の平均値等を用いることができる。なお、外気湿度として、湿度センサにより計測された値を用いても良いし、天気予報データにおいて予想された、制御指示の送信時の外気湿度の予報値を用いても良い。
【0108】
第3の例として、空調制御部115は、外気湿度が基準湿度よりも高い場合であって、且つ、空調機3が冷房で運転する予定である場合、空調の運転モードを冷房から除湿に変更する。これにより、外気湿度が高い場合に室内空間の湿度の上昇を抑えることができる。
【0109】
第4の例として、空調制御部115は、外気湿度が基準湿度よりも低い場合であって、且つ、空調機3が暖房で運転する予定である場合、空調機3の風向を上に向けて変更する。これにより、気流が直接ユーザに当たらないようになるため、乾燥を防止することができる。
【0110】
空調制御部115は、このように設定温度を補正すると、特定部113により特定された変更時刻に基づくタイミングで、設定温度を、補正された設定温度に変更する制御指示を生成し、空調機3に送信する。空調機3において、制御部31は、制御指示を受信すると、受信した制御指示に従って設定温度を変更する。
【0111】
このように、実施の形態5に係る空調制御装置10は、室内空間の外部環境を示す環境情報を更に取得し、取得された環境情報に基づいて、空調機3に変更させる変更後の設定温度を補正する。このように室内空間の外部環境を考慮して設定温度を変更するため、ユーザの快適性を更に向上させることができる。
【0112】
(変形例)
以上、実施の形態を説明したが、各実施の形態を組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0113】
例えば、上記実施の形態では、空調機3に設定温度を変更させるタイミングは、特定の期間における特定の時間帯に含まれる複数の変更時刻を平均した時刻であった。しかしながら、対象となる期間及び時間帯に含まれる変更時刻が1つのみである場合、空調制御部115は、変更時刻及び変更後の設定温度の平均値を計算しなくても良い。例えば、当日における1つの変更時刻を翌日に適用する場合がそれに該当する。
【0114】
より詳細には、特定部113は、取得部111により取得された履歴に基づいて、第1の日において設定温度が変更された変更時刻を特定する。そして、空調制御部115は、第1の日よりも後の第2の日における、特定部113により特定された変更時刻と同じ時刻に設定温度を変更する制御指示を、空調機3に送信しても良い。例えば、当日の変更時刻を翌日に適用する場合、第1の日と第2の日は連続する2つの日となる。連続する2つの日で同じ時刻に設定温度を変更することで、当日と同じように翌日に設定温度を変更することができるため、ユーザが手間をかけずに快適性を向上できる。
【0115】
また、第1の日は、設定温度を変更させる対象となる第2の日と同じ曜日の日であっても良い。或いは、第2の日が平日であれば第1の日も平日にし、第2の日が休日であれば第1の日も休日にしても良い。このように曜日を考慮することで、曜日に応じたユーザの行動の違いを反映したタイミングで設定温度を変更することができるため、ユーザの快適性をより的確に向上させることができる。
【0116】
上記実施の形態では、空調機3に設定温度を変更させるタイミングである変更時刻に基づくタイミングは、翌日における、複数の変更時刻を平均した時刻であった。言い換えると、上記実施の形態では、空調制御部115は、空調機3に設定温度を変更させる翌日の時間帯と同じ時間帯における変更時刻に基づいて、空調機3に設定温度を変更させるタイミングを決定した。しかしながら、空調制御部115は、空調機3に設定温度を変更させる時間帯とは異なる時間帯における変更時刻に基づいて、空調機3に設定温度を変更させるタイミングを決定しても良い。
【0117】
具体的に説明すると、空調機3に設定温度を変更させるタイミングである変更時刻に基づくタイミングは、変更時刻から予め定められた時間長の時間後のタイミングであっても良い。ここで、予め定められた時間は、例えば、6時間、9時間等のような、数時間から半日程度の時間である。これにより、例えば、空調制御部115は、今日の夜の20時から23時の時間帯における変更時刻に基づいて、翌日の朝の5時から8時の時間帯に設定温度を変更させるタイミングを決定することができる。言い換えると、例えば今日の夜が寒いので明日の朝も寒いだろうから、明日の朝の時間帯に設定温度を自動的に上昇させるという処理が可能になる。そのため、ユーザの快適性をより的確に向上させることができる。
【0118】
上記実施の形態では、特定部113は、差分計算テーブル122において計算された設定温度の差分が0であるデータを抽出して、設定温度変更リスト123を生成した。しかしながら、特定部113は、設定温度の差分が厳密に0であることに限らず、予め定められた閾値を用いてデータを抽出しても良い。例えば、特定部113は、設定温度の差分の絶対値が0.5℃以下のデータを抽出しても良いし、設定温度の差分の絶対値が1℃未満のデータを抽出しても良い。また、設定温度の変更幅が大きすぎる場合は設定温度の極端な変更がされた可能性が高いため、特定部113は、設定温度の差分が上限値よりも大きい場合にはその差分を特定から除外しても良い。
【0119】
上記実施の形態では、空調制御部115は、設定温度の変更幅が正である場合と負である場合とでそれぞれ別々に、空調機3に設定温度を変更させるタイミングと変更後の設定温度とを決定した。しかしながら、空調制御部115は、処理を簡略化するために、設定温度の変更幅が正である場合と負である場合とを区別せずに、空調機3に設定温度を変更させるタイミングと変更後の設定温度とを決定しても良い。
【0120】
上記実施の形態では、空調制御部115は、空調機3に設定温度を変更させるタイミングまで待ってから、制御指示を空調機3に送信した。しかしながら、空調制御部115は、空調機3に設定温度を変更させるタイミングよりも前に、制御指示を空調機3に送信しても良い。この場合、空調機3は、制御指示を受信した後、制御指示において指示されたタイミングまで待ってから設定温度を変更する。
【0121】
また、取得部111は、空調機3において変更された設定温度の履歴として、全ての期間における全ての時間帯の履歴を取得することに限らず、履歴を取得する時間帯を、対象となる特定の期間における特定の時間帯に絞っても良い。これにより、通信量を削減して通信負荷を軽減することができる。
【0122】
上記実施の形態では、制御パラメータが設定温度である場合を例として説明した。しかしながら、制御パラメータは、設定温度に代えて又は加えて、設定湿度、風量、風向又は運転モードであっても良い。言い換えると、制御パラメータは、設定温度と、設定湿度と、風量と、風向と、運転モードと、のうちの少なくとも1つであっても良い。制御パラメータが設定温度以外であっても、上記実施の形態と同様に説明することができる。このように様々な制御パラメータを用いることで、ユーザの好みに応じて室内空間の環境を細やかに追跡できるので、ユーザの快適性が向上する。
【0123】
上記実施の形態では、空調制御装置10の制御部11において、CPUがROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、取得部111、特定部113及び空調制御部115のそれぞれとして機能した。しかしながら、制御部11は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部11が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。
【0124】
また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部11は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0125】
空調制御装置10の動作を規定するプログラムを、パーソナルコンピュータ、情報端末装置等の既存のコンピュータに適用することで、当該コンピュータを、空調制御装置10として機能させることも可能である。
【0126】
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0127】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この開示の範囲内とみなされる。
【0128】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0129】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0130】
(付記1)
空調機を制御する空調制御装置であって、
前記空調機において設定された制御パラメータの履歴を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記履歴に基づいて、前記制御パラメータが変更された変更時刻を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記変更時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを変更する制御指示を、前記空調機に送信する空調制御部と、を備える、
空調制御装置。
(付記2)
前記特定部は、前記取得部により取得された前記履歴に基づいて、前記制御パラメータが変更された複数の変更時刻を特定し、
前記変更時刻に基づくタイミングは、将来における、前記特定部により特定された前記複数の変更時刻に基づく時刻である、
付記1に記載の空調制御装置。
(付記3)
前記特定部は、前記取得部により取得された前記履歴に基づいて、前記制御パラメータが上昇した上昇時刻と、前記制御パラメータが低下した低下時刻と、を特定し、
前記制御指示は、前記特定部により特定された前記上昇時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを上昇させ、前記特定部により特定された前記低下時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを低下させる指示である、
付記1又は2に記載の空調制御装置。
(付記4)
前記特定部は、前記取得部により取得された前記履歴に基づいて、前記変更時刻における変更後の前記制御パラメータを更に特定し、
前記制御指示は、前記制御パラメータを、前記特定部により特定された前記変更時刻に基づくタイミングで、前記特定部により特定された前記変更後の制御パラメータに基づく値に変更する指示である、
付記1から3のいずれか1つに記載の空調制御装置。
(付記5)
前記特定部は、前記取得部により取得された前記履歴に基づいて、前記制御パラメータが変更された複数の変更時刻を特定し、
前記制御指示は、前記特定部により特定された前記複数の変更時刻のうちの、特定の時間帯に含まれる少なくとも1つの変更時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを変更する指示である、
付記1から4のいずれか1つに記載の空調制御装置。
(付記6)
前記制御指示は、前記特定部により特定された前記変更時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを予め定められた変更幅変更する指示である、
付記1から5のいずれか1つに記載の空調制御装置。
(付記7)
前記制御パラメータは、設定温度であり、
前記変更幅は、+2℃又は-2℃である、
付記6に記載の空調制御装置。
(付記8)
前記取得部は、前記空調制御部が前記制御指示を送信するよりも前に前記空調機の運転状態を取得し、
前記空調制御部は、前記空調機が運転していない場合、前記制御指示を前記空調機に送信する際に前記空調機に運転開始指示を送信する、
付記1から7のいずれか1つに記載の空調制御装置。
(付記9)
前記取得部は、前記変更時刻に基づくタイミングよりも予め定められた時間前に前記空調機の運転状態を取得し、
前記空調制御部は、前記空調機が運転していない場合、前記制御指示を前記空調機に送信するより前に、前記空調機に運転開始指示を送信する、
付記1から7のいずれか1つに記載の空調制御装置。
(付記10)
前記取得部は、前記空調機により空調される空間の外部環境を示す環境情報を更に取得し、
前記制御指示は、前記特定部により特定された前記変更時刻に基づくタイミングで、前記制御パラメータを、前記取得部により取得された前記環境情報に基づいて補正されたパラメータに変更する指示である、
付記1から9のいずれか1つに記載の空調制御装置。
(付記11)
前記制御パラメータは、設定温度と、設定湿度と、風量と、風向と、運転モードと、のうちの少なくとも1つである、
付記1から10のいずれか1つに記載の空調制御装置。
(付記12)
付記1から11のいずれか1つに記載の空調制御装置と、前記空調機と、を備える、
空調システム。
(付記13)
空調を制御する空調制御方法であって、
前記空調において設定された制御パラメータの履歴を取得し、
取得された前記履歴に基づいて、前記制御パラメータが変更された変更時刻を特定し、
特定された前記変更時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを変更する、
空調制御方法。
(付記14)
空調を制御するコンピュータを、
前記空調において設定された制御パラメータの履歴を取得する取得部、
前記取得部により取得された前記履歴に基づいて、前記制御パラメータが変更された変更時刻を特定する特定部、
前記特定部により特定された前記変更時刻に基づくタイミングで前記制御パラメータを変更する空調制御部、として機能させる、
プログラム。
【符号の説明】
【0131】
1 空調システム、3 空調機、5 リモコン、7 ルータ、10 空調制御装置、11 制御部、12 記憶部、13 通信部、31 制御部、32 記憶部、33 通信部、111 取得部、113 特定部、115 空調制御部、121 設定温度テーブル、122 差分計算テーブル、123 設定温度変更リスト、124 設定温度変更履歴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12