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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163447
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】テント
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/48 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
E04H15/48
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079047
(22)【出願日】2023-05-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】505151771
【氏名又は名称】ユニトレンド株式会社
(74)【代理人】
【氏名又は名称】奥井 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100127513
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100206829
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 悟
(72)【発明者】
【氏名】岡田 幸男
(72)【発明者】
【氏名】菅原 敏晃
【テーマコード(参考)】
2E141
【Fターム(参考)】
2E141AA05
2E141BB03
2E141CC03
2E141DD12
2E141DD27
2E141EE23
2E141FF02
2E141FF03
2E141GG03
(57)【要約】
【課題】本発明は、組立作業が簡単に行え、さらにはコンパクトに収納することが可能なテントであって、且つ出入口に物理的な障害のない骨組を使用したテントを提供する。
【解決手段】略逆U字状のパイプフレームが2つ1組で構築される骨組をテント生地で覆装したテントの両側面内側において、骨組の一方のパイプフレームの左右の脚部が他方のパイプフレームの左右の脚部を挟むとともに、一方のパイプフレームと他方のパイプフレームの左同士および右同士の脚部がそれぞれX状に交差する交差部を形成し、一方のパイプフレームと他方のパイプフレームとが折り曲げ自在な連結部材で連結され、一方および他方のパイプフレームの脚部の下端部のいずれもが、該下端部に近接するテント生地の裏面に取り付けられた面ファスナーに拘束され、テントの正面のテント生地に、下端から上部に延びるスライドファスナーを取り付けて出入口を形成したテント。

【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の脚部と左右の脚部の上端同士をつなぐ頂部とで形成された略逆U字状のパイプフレームが2つ1組で構築される骨組をテント生地で覆装したテントであって、
テント生地は、テントの両側面と正面と背面との4面と天井面とを形成し、
テントの両側面内側において、骨組の一方のパイプフレームの左右の脚部が他方のパイプフレームの左右の脚部を挟むとともに、一方のパイプフレームと他方のパイプフレームの左同士の脚部および右同士の脚部のそれぞれがX状に交差する交差部を形成し、
該左同士の脚部および右同士の脚部のそれぞれは、交差部においてピンにより該ピンの軸廻りに回転自在に結合されるとともに、交差部より下の部位または上の部位において、中央部で折り曲げ可能な連結部材により連結され、
一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームの計4本の脚部の下端部のいずれもが、該下端部に近接する前記テント生地の裏面に取り付けられた面ファスナーに巻かれて拘束され、
テントの正面のテント生地に、下端から上部に延びるスライドファスナーを取り付けることにより出入口を形成したことを特徴とするテント。
【請求項2】
前記一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームは、いずれも左右の脚部が末広がりである略逆U字状のパイプフレームであることを特徴とする請求項1に記載のテント。
【請求項3】
前記一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームの計4本の脚部には、いずれもが前記下端部に巻かれた面ファスナーの直上の部位に滑り止めチップが取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のテント。
【請求項4】
前記一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームの計4本の脚部は、いずれもが上端部において該上端部に近接する前記テント生地の裏面に取り付けられた面ファスナーに巻かれて拘束されていることを特徴とする請求項3に記載のテント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易的な更衣室やトイレ室などに使用されるテントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、災害時の避難場所やキャンプ場などでは、簡易的な更衣室やトイレ室として、比較的小型のテントが使用されている。
このようなテントは、場所を選ぶことなく臨時的に設置され、また短時間に設営・撤去されることが多いため、組立作業が簡単に行え、またコンパクトに収納できることが望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、更衣室や簡易トイレに好適な、ドーム空間をパイプの骨組で形成可能な幌体と脚部材を備える更衣用テントの発明が開示されている。このテントは、脚部材を開き、幌体を展開するだけで周囲から遮蔽された個室空間を形成できるとともに、幌体と脚部材を閉じて折り畳むことができ、コンパクトに収納できるものである。
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたテントは、脚部材(前脚)がコ字状の骨組を形成し、脚部材(前脚)の底部のパイプが床面に接しており、テントの出入口に物理的な障害を形成している。このようなパイプの障害は、つまずきの原因となるものであり、また、車椅子の利用者には、車椅子の前輪のキャスタ(小車輪)や後輪の主輪がこのパイプの障害を乗り越えねばならず、座った状態での入退室が困難となるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許文献1:特開平6-341249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、組立作業が簡単に行え、さらにはコンパクトに収納することが可能なテントであって、且つ出入口に物理的な障害のない骨組を使用したテントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
[1]左右の脚部と左右の脚部の上端同士をつなぐ頂部とで形成された略逆U字状のパイプフレームが2つ1組で構築される骨組をテント生地で覆装したテントであって、テント生地は、テントの両側面と正面と背面との4面と天井面とを形成し、テントの両側面内側において、骨組の一方のパイプフレームの左右の脚部が他方のパイプフレームの左右の脚部を挟むとともに、一方のパイプフレームと他方のパイプフレームの左同士の脚部および右同士の脚部のそれぞれがX状に交差する交差部を形成し、左同士の脚部および右同士の脚部のそれぞれは、交差部においてピンにより該ピンの軸廻りに回転自在に結合されるとともに、交差部より下の部位または上の部位において、中央部で折り曲げ可能な連結部材により連結され、一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームの計4本の脚部の下端部のいずれもが、該下端部に近接する前記テント生地の裏面に取り付けられた面ファスナーに巻かれて拘束され、テントの正面のテント生地に、下端から上部に延びるスライドファスナーを取り付けることにより出入口を形成したことを特徴とするテント。
[2]前記一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームは、いずれも左右の脚部が末広がりである略逆U字状のパイプフレームであることを特徴とする[1]に記載のテント。
[3]前記一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームの計4本の脚部には、いずれもが前記下端部に巻かれた面ファスナーの直上の部位に滑り止めチップが取り付けられていることを特徴とする[1]または[2]に記載のテント。
[4]前記一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームの計4本の脚部は、いずれもが上端部において該上端部に近接する前記テント生地の裏面に取り付けられた面ファスナーに巻かれて拘束されていることを特徴とする[3]に記載のテント。
【発明の効果】
【0008】
本発明のテントは、略逆U字状のパイプフレームを2つ1組で、脚部をX状に交差部を形成して交差させることにより構築される骨組にテント生地を覆装することで容易にテントを組み立てることができ、また、該交差部の交差角を小さくすることで容易に骨組を畳むことができるから、収納に際してもコンパクトにすることができる。さらに、本発明のテントは、出入口に物理的な障害のない骨組を使用しているから、利用者がテントの入退室に障害となるものがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】テントの骨組を示す透視図である。
図2】骨組を構築する2つのパイプフレームを示す。
図3】テントの骨組の側面の要部を示す。
図4】連結部材を示す。(a)は2つの部材が直線状になる連結部材を、(b)は2つの部材が直線状にならない連結部材をそれぞれ示す。
図5】骨組にテント生地が覆装されたテントを示す斜視図である。(a)は出入口が閉じられている状態を、(b)は出入口が開けられている状態をそれぞれ示す。
図6】(a)はテント生地の裏面に取り付けられた面ファスナーを、(b)はパイプフレームの脚部下端部に面ファスナーが巻かれた状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に、本発明のテントの骨組を図面に基づいて説明する。
図1にテント生地が覆装される前のテントの骨組10の透視図を示した。骨組10は、略逆U字状のパイプフレームが2つ、すなわち、パイプフレーム1およびパイプフレーム2の2つ1組で構築される。パイプフレーム1、2はパイプで形成されるフレームであり、それぞれのパイプフレームは、2本の左右の脚部と該2本の左右の脚部の上端をつなぐ頂部とからなり、形状が略逆U字状である。図1において、パイプフレーム1では、左の脚部が1a、右の脚部が1b、頂部が1cでそれぞれ示され、パイプフレーム2では、左の脚部が2a、右の脚部が2b、頂部が2cでそれぞれ示されている。いずれのパイプフレームでも、頂部と脚部が形成する角部は丸味(アール)をもたせることが望ましい。
【0011】
2つのパイプフレーム1、2は、ともに形状が略逆U字形であるが、図2に示すように、ともに末広がりにするのが望ましい。末広がりにすると骨組10がより安定し、下部のスペースを広くすることができる。なお、図1に示す骨組10は、ともに末広がりのパイプフレーム1、2を組み合わせたものである。図1では、パイプフレーム2の脚部2a、2bが末広がりには見えないが、遠近感が表れるように描いたためである。
パイプフレーム1は、図1に示すように、脚部1a、1bの下部が骨組10の前方に位置し、同上部が骨組10の後方に位置している。他方、パイプフレーム2は、脚部2a、2bの下部が骨組10の後方に位置し、同上部が骨組10の前方に位置している。
【0012】
骨組10において、パイプフレーム1とパイプフレーム2とは、図1に示すように、パイプフレーム1の左右の2本の脚部1a、1bがパイプフレーム2の左右の2本の脚部2a、2bを挟むとともに、パイプフレーム1の左右の2本の脚部1a、1bとパイプフレーム2の左右の2本の脚部2a、2bの左同士の2本の脚部1a、2aおよび右同士の2本の脚部1b、2bは、それぞれX状に交差して交差部3を形成している。脚部1a、2aが形成する交差部が3a、脚部1b、2bが形成する交差部が3bである。
【0013】
末広がりのパイプフレーム1、2の具体的な寸法の一例を示すと、パイプフレーム1は、頂部1cの長さが650mm、脚部1a、1bの長さは2050mmであり、脚部は約10°の角度で末広がりになっている。また、パイプフレーム2は、頂部2cの長さが650mm、脚部2a、2bの長さは2035mmであり、脚部は約7°の角度で末広がりになっている。パイプフレーム1、2を形成するパイプの径は外径22mmである。なお、頂部と脚部が形成する角部は丸味(アール)が形成され、ここでの頂部1c、2cの長さは、頂部の直線部と脚部の直線部を延長して交わる2つの交点間の距離である。
パイプフレーム1、2の寸法や末広がりの角度は、上記のものに限らず、さらに大きくあるいは小さくすることも可能である。パイプ径も同様である。
【0014】
図3に示すように、交差部3では、それぞれ2本のパイプフレーム1、2を貫通するピン4が挿通されており、このピン4の軸を中心にして、2本のパイプフレーム1、2が回転自在になっており、パイプフレーム1、2を把持してX状の交差部3の交差角(図3において、パイプフレーム1とパイプフレーム2がピン4を中心にして形成する下向きあるいは上向きに形成する角度)を自由に変えることができる。したがって、左右の交差部3a、3bの交差角を0°(零度)にして、骨組10を畳むことができる。なお、図1では、左右の交差部3aおよび3bでは、ピン4は省略されて描かれていない。
交差部3の高さ位置は、交差部3より下側の脚部の長さが交差部3より上側の脚部の長さよりも大きくなるようにして決めると、テントの下部のスペースを広くすることができる。
【0015】
ピン4として、リベットなどの締結部材を使用することができる。例えば、2本のパイプフレーム1、2の間の部位に樹脂製のワッシャーを挟み、このワッシャーを介在させてリベットで両パイプフレーム1、2を結合すると、リベットが回転軸のピンとして機能し2本のパイプフレーム1、2を交差部3で回転自在にすることができる。
【0016】
交差部3の交差角を所定の角度まで変化させたり維持したりする手段として、図1および図3に示すように、交差部3より下の位置に、パイプフレーム1とパイプフレーム2を連結する連結部材5を取り付ける。
すなわち、左側の交差部3aではパイプフレーム1の左の脚部1aとパイプフレーム2の左の脚部2aとを連結する連結部材5aが、また、右側の交差部3bではパイプフレーム1の右の脚部1bとパイプフレーム2の右の脚部2bとを連結する連結部材5bがそれぞれ取り付けられている。
パイプフレーム1とパイプフレーム2を連結する連結部材5は、交差部3より下の位置ではなく、交差部3より上の位置に取り付けてもよい。
【0017】
連結部材5の2つの実施形態を図4(a)、(b)に示した。
図4(a)に示す実施形態では、細長い2つの部材51、52を端部で重ねて、ピン53を中心に回転自在に連結したものであり、ピン53を中心に2つの部材が回転して重ね合わせて中央部で折り曲げることも可能であり、また、直線状にすることもできる。図4(a)では、連結部材5の2つの部材51、52が直線状になっている状態が示されている。
他方、図4(b)に示す実施形態では、細長い2つの部材51、52を端部で重ねて、ピン53を中心に回転自在に連結している点は4図(a)に示す連結部材5と同じであるが、2つの部材51、52のうちの一方の部材51の連結部材5の中央部側に位置する端部の上面には長手方向にやや下向きに該端部からはみ出し、且つ長手方向に対して直角方向に出っ張る庇状片54が形成され、2つの部材51、52が直線状になる前に、この庇状片54が他方の部材の中央部側に位置する端部を押さえるようになっている。したがって、図4(b)に示す連結部材5の2つの部材51、52は、ピン53を中心にして回転させて重ね合わせて中央部で折り曲げ可能であるが、庇状片54があるため、4図(a)に示す連結部材5と異なり、直線状になることはない。
庇状片54は、一方の部材51ではなく、他方の部材52の中央部側に位置する端部の上面に取り付けてもよい。なお、図3の交差部3では、連結部材として図4(b)に示されるものが取り付けられている。
【0018】
図3に示すように、連結部材5の一方の端部(図3では右側)は、パイプフレーム2の脚部の外側に位置するパイプフレーム1の脚部の内側に、連結部材5の他方の端部(図3では左側)はパイプフレーム1の脚部の内側に位置するパイプフレーム2の脚部の外側にそれぞれリベットなどの締結部材で回転自在に連結されている。図4(a)、(b)のいずれの連結部材5でもパイプフレームへの連結の仕方は同じである。
【0019】
図4(a)に示される連結部材5では、パイプフレーム1とパイプフレーム2を連結する連結部材5の2つの部材51、52が直線状になり、骨組10における両パイプフレーム1、2の交差部3の交差角が定まる。この状態から、手のひらなどで連結部材5の中央部を下から押し上げることにより、連結部材5を折り曲げて交差角を小さくし、ある程度交差角が小さくなった後は下側から押し上げることを止め、次いで両パイプフレーム1、2を把持して、交差部3の交差角を0°にすれば、骨組10を畳むことができ、かさばらない状態にすることができる。
畳まれた骨組10を組み立てるには、立ち上げた骨組10のパイプフレーム1とパイプフレーム2を把持して、交差部3の交差角を少し拡げた後に、連結部材5の中央部を上から押さえ、2つの部材51、52を直線状にすることにより交差部3が所定の交差角にすればよい。
【0020】
図4(b)に示される連結部材5では、図3から分かるように、パイプフレーム1とパイプフレーム2を連結する連結部材5を庇状片54がある上側から押さえると、2つの部材51および52は、やや上に凸の状態で止まり、ここで骨組10における両パイプフレーム1、2の交差部3の交差角が定まる。この状態から交差部3の交差角を小さくするには、パイプフレーム1とパイプフレーム2のそれぞれを把持して、交差角が小さくなる方向に動かせばよく、図4(a)に示される連結部材5の場合のように連結部材5の中央部を下からから押し上げる必要がない。図4(b)に示される連結部材5では、2つの部材51および52が直線上にはならず、やや上に凸の状態なっているから、パイプフレーム1、2を把持して交差角を小さくする方向には容易に動かすことができ、図4(a)に示される連結部材5に比べて、骨組10をより容易に畳むことができ、かさばらない状態にすることができる。
畳まれた骨組10を組み立てるには、立ち上げた骨組10のパイプフレーム1とパイプフレーム2を把持して、交差部3の交差角を少し拡げた後に、連結部材5の中央部を上から押さえて交差部3が所定の交差角にすればよい。この場合、2つの部材51、52は、やや上に凸の状態で止まり、直線状になることはない。
【0021】
次に、テント20および骨組10に覆装されるテント生地について説明する。
パイプフレーム1およびパイプフレーム2が脚部で交差部3を形成した骨組10にテント生地を覆装するが、テント生地が覆装されたテント20は、図5(a)に示すように外観が略4角錐台形状であり、側部を形成する2つの側面と出入口が形成される正面と正面に対向する背面と天井面とからなる。骨組み10を覆装するテント生地は、骨組10に合わせて採寸・縫製されているが、テントの設置面とテントの下端縁との間に隙間ができないように、テント生地は高さ方向には余裕を持たせることが望ましい。なお、図5は、テント20の正面と側面の両方が見える方向から描かれている。
【0022】
テント20の側部を形成する2つの側面は、パイプフレーム1とパイプフレーム2の左右の交差部3の外側に沿うテント生地の部位であり、骨組10の左右の交差部3の外側に1面ずつ形成される。また、テント20の正面と背面は、テント20の前方の面と後方の面の部位である。
【0023】
テント20の正面に形成される出入口は、該正面の部位のテント生地に、スライドファスナー(線ファスナー)6を設けることにより形成することができる。図5に示すテントでは、略Γ(ガンマ)状の線を描くスライドファスナー6が正面のテント生地の左寄りの下端から上に向かって伸びている。図5(b)では、スライドファスナー6で分けられるテント生地の一方が右側に丸めて寄せられ、出入口が開けられた状態になっている。スライドファスナー6の線の形状や位置は図5(a)に示すものに限るものではない。また、スライドファスナー6をリバーシブルにして、内側からも開閉できるようにしてもよい。
【0024】
パイプフレーム1の交差部より下の部位の2本の脚部1a、1bの下端部間には架設されるパイプがないので、テント20を入退室する際に障害となるものがない。
そして、図5(a)、(b)から分かるように、スライドファスナー6は、テント正面のテント生地の下端から上に伸びているので、テント正面に形成された出入口には、出入口の上からテント設置面(床面や地面)に至るまでテント生地がなく、入退室に障害となるものがない。
このため、テント20の正面の出入口からテント20を入退室する人がつまずく危険性を小さくすることができ、また、車椅子利用者が車椅子に座ったまま入退室することも可能となる。
【0025】
骨組10は、四本の脚部、すなわちパイプフレーム1の2本の脚部とパイプフレーム2の2本の脚部の計4本の脚部を備えているが、各脚部の下端部は、該下端部に近接するテント生地の裏面に縫い付けるなどして取り付けた面ファスナー7に巻かれて拘束されている。
テント20の下端部の四隅、すなわちテントの側面と正面の境の2箇所と側面と背面の境の2箇所の計4箇所の各部位のテント生地の裏面に、図6(a)、(b)に示すように、面ファスナー7を取り付け、パイプフレーム1、2の脚部1a、1b、2a、2bの各下端部に巻き付けて、面ファスナー7の両端を重ねて閉じている。パイプフレーム1、2のパイプ径が22mmの場合、面ファスナーは幅が25mm、長さが100mm程度である。
【0026】
テントの下端部の4隅において、パイプフレーム1、2の4本の脚部1a、1b、2a、2bがいずれもテント生地に取り付けられた面ファスナー7で巻かれて拘束されて、脚部2aと脚部2bの下端部の間、脚部1aと脚部2aの下端部の間、脚部1bと脚部2bの下端部の間および脚部1aと脚部1bの下端部の間がテント生地により拘束されることになり、骨組10が堅固なものとなる。また、4本の脚部1a、1b、2a、2bの下端部がテント生地を拘束することになり、テント20の外形が定まり見栄えのよいものとなる。
前述したように、テントの正面では出入口が形成され、テント生地が分断されて、脚部1aと脚部1bの下端部の間を拘束する力が弱くなるが、脚部2aと脚部2bの下端部の間、脚部1aと脚部2aの下端部の間および脚部1bと脚部2bの下端部の間はテント生地により拘束されているから、脚部2aと脚部2bの下端部の間隔がほとんど変化することはない。したがって、パイプフレーム2を挟み込んでいるパイプフレーム1の脚部1a、1bの間隔が拡がったり狭くなったりすることもほとんどないから、骨組10が不安定になることはなく、堅固な状態を維持することができる。
【0027】
パイプフレーム1、2の4本の脚部1a、1b、2a、2bの下端部のいずれにおいても、面ファスナー7が巻かれた脚部の直ぐ上の部位には、図6(b)から分かるように、予め滑り止めチップ8をネジなどで固定して取り付けることが望ましい。こうすることにより、テントの下端部の4隅において、面ファスナー7が脚部のパイプに沿って上にほとんどずれることがないから、パイプフレーム1、2の4本の脚部1a、1b、2a、2bが面ファスナー7により確実に拘束することになり、骨組10がより堅固なものとなる。
なお、通常、パイプフレーム1、2の脚部の下端には脚キャップや家具の高さ調整に使用されるアジャストボルトなどの部材が装着される。図6(b)では、脚部の下端に脚キャップ9が装着されている。
【0028】
更に、パイプフレーム1、2の4本の脚部1a、1b、2a、2bの上端部のいずれにおいても、該上端部に近接するテント生地の裏面に取り付けられた面ファスナー7で脚部を巻いて拘束することで、骨組10をよりいっそう堅固なものにすることができる。
すなわち、骨組の四本の脚部の各脚部の上端部をテント生地に縫い付けられた面ファスナー7を巻き付けて拘束して、テントの骨組がさらにいっそう堅固なものとなる。また、4本の脚部の上端部がテント生地を拘束することになり、テント20の外形がよりいっそう定まりより見栄えのよいものとなる。
【0029】
図1に示されるように、パイプフレーム1の2本の脚部1a、1bがパイプフレーム2の2本の脚部2a、2bを挟んでいる骨組10では、テント20の正面側において、パイプフレーム1の交差部より下の2本の脚部1a、1bの間隔がパイプフレーム2の交差部より下の2本の脚部2a、2bの間隔よりも大きくすることができるので、テント20の正面のテント生地に形成される出入口の幅を、テントの背面を正面として出入口を形成する場合よりも広く形成することができる。
【0030】
テント20は、覆装されたテント生地を取り外し、骨組み20をパイプフレーム1、2の交差角を0°にして畳み、テント生地とともにコンパクトに収納することができる。また、パイプフレーム1、2は、それぞれ差し込み式の複数のパイプで形成することができ、分解してさらにいっそうコンパクトに収納できるようにすることもできる。
なお、テント20を屋外に設置する場合、テント20の側面のテント生地の下端縁に砂袋を取り付けたり、テント20の角部にロープを張ったりなどして、強風などに備えることも可能である。
【符号の説明】
【0031】
1:パイプフレーム
1a:パイプフレーム1の左脚部
1b:パイプフレーム1の右脚部
2:パイプフレーム2
2a:パイプフレーム2の左脚部
2b:パイプフレーム2の右脚部
3:交差部
3a:交差部(左)
3b:交差部(右)
4:(交差部の)ピン
5:連結部材
5a:連結部材(左)
5b:連結部材(右)
51:(連結部材の)一方の部材
52:(連結部材の)他方の部材
53:(連結部材の)ピン
54:(連結部材の)庇状片
6:スライドファスナー(線ファスナー)
7:面ファスナー
8:滑り止めチップ
9:脚キャップ
10:骨組
・・・
20:テント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の脚部と左右の脚部の上端同士をつなぐ頂部とで形成された略逆U字状のパイプフレームが2つ1組で構築される骨組をテント生地で覆装したテントであって、
テント生地は、テントの両側面と正面と背面との4面と天井面とを形成し、
テントの両側面内側において、骨組の一方のパイプフレームの左右の脚部が他方のパイプフレームの左右の脚部を挟むとともに、一方のパイプフレームと他方のパイプフレームの左同士の脚部および右同士の脚部のそれぞれがX状に交差する交差部を形成し、
該左同士の脚部および右同士の脚部のそれぞれは、交差部においてピンにより該ピンの軸廻りに回転自在に結合されるとともに、交差部より下の部位または上の部位において、中央部で折り曲げ可能な連結部材により連結され、
一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームの計4本の脚部の下端部のいずれもが、該下端部に近接する前記テント生地の裏面に取り付けられた面ファスナーに巻かれて拘束されることにより、他方のパイプフレームの左右の脚部の下端部の間、一方のパイプフレームの左脚部と他方のパイプフレームの左脚部の下端部の間および一方のパイプフレームの右脚部と他方のパイプフレームの右脚部の下端部の間がテント生地により拘束され、
テントの正面のテント生地に、下端から上部に延びるスライドファスナーを取り付けることにより出入口を形成したことを特徴とするテント。
【請求項2】
前記一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームは、いずれも左右の脚部が末広がりである略逆U字状のパイプフレームであることを特徴とする請求項1に記載のテント。
【請求項3】
前記一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームの計4本の脚部には、いずれもが前記下端部に巻かれた面ファスナーの直上の部位に滑り止めチップが取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のテント。
【請求項4】
前記一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームの計4本の脚部は、いずれもが上端部において該上端部に近接する前記テント生地の裏面に取り付けられた面ファスナーに巻かれて拘束されていることを特徴とする請求項3に記載のテント。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
[1]左右の脚部と左右の脚部の上端同士をつなぐ頂部とで形成された略逆U字状のパイプフレームが2つ1組で構築される骨組をテント生地で覆装したテントであって、テント生地は、テントの両側面と正面と背面との4面と天井面とを形成し、テントの両側面内側において、骨組の一方のパイプフレームの左右の脚部が他方のパイプフレームの左右の脚部を挟むとともに、一方のパイプフレームと他方のパイプフレームの左同士の脚部および右同士の脚部のそれぞれがX状に交差する交差部を形成し、該左同士の脚部および右同士の脚部のそれぞれは、交差部においてピンにより該ピンの軸廻りに回転自在に結合されるとともに、交差部より下の部位または上の部位において、中央部で折り曲げ可能な連結部材により連結され、一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームの計4本の脚部の下端部のいずれもが、該下端部に近接する前記テント生地の裏面に取り付けられた面ファスナーに巻かれて拘束されることにより、他方のパイプフレームの左右の脚部の下端部の間、一方のパイプフレームの左脚部と他方のパイプフレームの左脚部の下端部の間および一方のパイプフレームの右脚部と他方のパイプフレームの右脚部の下端部の間がテント生地により拘束され、テントの正面のテント生地に、下端から上部に延びるスライドファスナーを取り付けることにより出入口を形成したことを特徴とするテント。
[2]前記一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームは、いずれも左右の脚部が末広がりである略逆U字状のパイプフレームであることを特徴とする[1]に記載のテント。
[3]前記一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームの計4本の脚部には、いずれもが前記下端部に巻かれた面ファスナーの直上の部位に滑り止めチップが取り付けられていることを特徴とする[1]または[2]に記載のテント。
[4]前記一方のパイプフレームおよび他方のパイプフレームの計4本の脚部は、いずれもが上端部において該上端部に近接する前記テント生地の裏面に取り付けられた面ファスナーに巻かれて拘束されていることを特徴とする[3]に記載のテント。