(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163466
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】名札の取付構造
(51)【国際特許分類】
A44B 9/12 20060101AFI20241115BHJP
G09F 3/18 20060101ALI20241115BHJP
A44B 9/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
A44B9/12 C
G09F3/18 Z
A44B9/00 610J
A44B9/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079085
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】523176082
【氏名又は名称】松本正修
(74)【代理人】
【識別番号】100093115
【弁理士】
【氏名又は名称】佐渡 昇
(72)【発明者】
【氏名】松本正修
(57)【要約】
【課題】名札を安全に取り付けることができ、望ましくは名札を確実に取り付けることができる名札の取付構造を提供する。
【解決手段】名札10の上部において、横方向にスライド可能に設けられ、スライドすることで、衣類100に刺さる衣類留め位置P2と、衣類留め位置P2から後退して衣類100から抜かれる退避位置P1とを選択的に取り得るスライド針20と、名札10の上部に設けられ、衣類留め位置P2にあるスライド針20の先端21が挿入される先端受け穴31を有する受け部30と、スライド針20を退避位置P1に向けて常時付勢する付勢部材40と、付勢部材40による付勢力に抗して衣類留め位置P2にスライドさせたスライド針20を衣類留め位置P2に保持する留め位置用ストッパST2と、退避位置P1にあるスライド針20の先端21の周りにおいてスライド針20の先端21よりも受け部30側に位置することでスライド針20の先端21への接触を防止する保護面16とを備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
名札(10)を衣類(100)に取り付けるための構造であって、
名札(10)の上部において、横方向にスライド可能に設けられ、スライドすることで、衣類(100)に刺さる衣類留め位置(P2)と、この衣類留め位置(P2)から後退して衣類(100)から抜かれる退避位置(P1)とを選択的に取り得るスライド針(20)と、
名札(10)の上部に設けられ、前記衣類留め位置(P2)にあるスライド針(20)の先端(21)が挿入される先端受け穴(31)を有する受け部(30)と、
前記スライド針(20)を退避位置(P1)に向けて常時付勢する付勢部材(40)と、
この付勢部材(40)による付勢力に抗して衣類留め位置(P2)にスライドさせたスライド針(20)を衣類留め位置(P2)に保持する留め位置用ストッパ(ST2)と、
退避位置(P1)にあるスライド針(20)の先端(21)の周りにおいてスライド針(20)の先端(21)よりも前記受け部(30)側に位置することでスライド針(20)の先端(21)への接触を防止する保護面(16)と、
を備えていることを特徴とする名札の取付構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記受け部(30)は、
スライド針(20)が退避位置(P1)にあるとき、前記保護面(16)との間に衣類(100)の留め部(101)を入れる空間(S1)を形成する空間形成位置(PS)と、
前記先端受け穴(31)にスライド針(20)の先端(21)が挿入された状態のままで、前記保護面(16)とで前記衣類(100)の留め部(101)を挟圧する挟圧位置(PP)とを選択的にとり得る挟圧部材(32)を備えていることを特徴とする名札の取付構造。
【請求項3】
請求項2において、
前記受け部(30)は、
前記スライド針(20)と同方向においてスライドすることで前記空間形成位置(PS)と挟圧位置(PP)とを選択的に取り得る前記挟圧部材(32)としてのスライド部材(32)と、
このスライド部材(32)とねじ結合することでスライド部材(32)をスライドさせる円筒状の雄ねじ(33)と、を有し、
この雄ねじ(33)の円筒部内空間(33h)が、前記衣類留め位置(P2)にあるスライド針(20)の先端(21)が挿入される先端受け穴(31)を構成することを特徴とする名札の取付構造。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記名札(10)は、名札プレートないし名札シートを複数枚収納可能な名札ホルダーであることを特徴とする名札の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、名札の取付構造に関するものである。より詳しくは、名札(名札シート、名札プレート等を保持する名札ホルダを含む。本願明細書、特許請求の範囲において同じ)を安全に、さらに望ましくは確実に取り付けることができる名札の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1、2に見られるような技術が知られている。
【0003】
<特許文献1>特開2008-220888号公報
特許文献1には、
「より安全により生地を傷めることなく衣類に名札などを取り付けることができる安全名札ピンを提供する」ことを課題とし、
「本体内部に極小の針とバネを、本体の外部には針を収納させる穴と服地を挿入させるための凹部を設けることによりスライド式で衣類に名札などを装着できる安全名札ピン」
が記載されている(同文献要約欄)。
【0004】
しかし、同文献0006段落には、
「本発明は以上のような構成で、これを使用するときは、本体の外部(1)の片側側面と本体の内部(2)を人差し指と親指で圧縮させることによりバネ(4)を縮まし本体の内部(2)に装着された針(5)が露出する。
これにより本体の内部(2)に装着された針(5)が凹部(3)の現れ服地を入れることができるようになる。」
と記載されている。
すなわち同文献記載のものは、バネ(4)によって常時突き刺し方向に付勢されている針(5)の突出を、本体の外部(1)の片側側面と本体の内部(2)を人差し指と親指で圧縮させることで規制しながら、服地への取り付け操作を行うものである。
そのため、針(5)に対する上記規制が何らかの予期せぬ理由により外れると、バネ(4)の力で針(5)が突出することとなるので、安全性の面で難点がある。
【0005】
<特許文献2>特開2006-006452公報
特許文献2には、
「使用中にずれたり外れたりすることなく、また装飾性を有する装飾片のみが外から見える襟止めを提供する」ことを課題とし、
「ワイシャツ等の対向する襟10の両端に係止される襟飾り部材2と、両襟飾り部材2を連結する支持部材3とからなる襟止めであって、該襟飾り部材2を、対辺間で襟2を挟持する略U字又はコ字形状の挟持具本体4と、該挟持具本体4の一方の辺41に取り付けられた装飾片9とで構成し、挟持具本体4の他方の辺42の先端部に螺子孔5を設けて、一端側に押圧体7を他端側に摘み部8を設けた螺子棹6を回転可能に挿通すると共に、該押圧体4を、先端部に細かな凹凸を有する深溝リング部材で構成し、押圧体7と上記一方の辺41との間で襟10を挟み付ける構成とした」
襟止めが記載されている(同文献要約欄)。
【0006】
しかし、この襟止めは、「押圧体7と上記一方の辺41との間で襟10を挟み付ける構成」であるため、この構成を名札の取付構造に採用した場合、「挟み付け」のみによる取付となるため、確実性の面で難点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-220888号公報
【特許文献2】特開2006-006452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、名札を安全に取り付けることができる名札の取付構造を提供することである。
また、望ましくは、名札を確実に取り付けることができる名札の取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の名札の取付構造は、
名札を衣類に取り付けるための構造であって、
名札の上部において、横方向にスライド可能に設けられ、スライドすることで、衣類に刺さる衣類留め位置と、この衣類留め位置から後退して衣類から抜かれる退避位置とを選択的に取り得るスライド針と、
名札の上部に設けられ、前記衣類留め位置にあるスライド針の先端が挿入される先端受け穴を有する受け部と、
前記スライド針を退避位置に向けて常時付勢する付勢部材と、
この付勢部材による付勢力に抗して衣類留め位置にスライドさせたスライド針を衣類留め位置に保持する留め位置用ストッパと、
退避位置にあるスライド針の先端の周りにおいてスライド針の先端よりも前記受け部側に位置することでスライド針の先端への接触を防止する保護面と、
を備えていることを特徴とする名札の取付構造。
【0010】
上記の構成となっているので、この名札の取付構造によれば次のような作用効果が得られる。
スライド針を、付勢部材による付勢力に抗してスライドさせて衣類に刺し、留め位置用ストッパで衣類留め位置に保持することで名札を衣類に取り付けることができる。
ここで、付勢部材による付勢力に抗してスライドさせて衣類に刺す際、仮に何らかの予期しない理由により、取り付け操作を誤ったとしても、スライド針は付勢部材による付勢力によって退避位置に後退するだけであり、退避位置にあるスライド針の先端の周りにおいてスライド針の先端よりも前記受け部側に位置することでスライド針の先端への接触を防止する保護面が備えられているので、安全性は確保される。
このように、本発明の名札の取付構造によれば、名札を安全に取り付けることができる。
【0011】
この名札の取付構造においては、
前記受け部は、
スライド針が退避位置にあるとき、前記保護面との間に衣類の留め部を入れる空間を形成する空間形成位置と、
前記先端受け穴にスライド針の先端が挿入された状態のままで、前記保護面とで前記衣類の留め部を挟圧する挟圧位置とを選択的にとり得る挟圧部材を備えている構成とすることができる。
【0012】
このように構成すると、衣類の留め部は、スライド針で刺された状態になるとともに、前記保護面と挟圧部材とで挟圧されるため、名札を衣類に確実に取り付けることができる。
【0013】
この名札の取付構造においては、
前記受け部は、
前記スライド針と同方向においてスライドすることで前記空間形成位置と挟圧位置とを選択的に取り得る前記挟圧部材としてのスライド部材と、
このスライド部材とねじ結合することでスライド部材をスライドさせる円筒状の雄ねじと、を有し、
この雄ねじの円筒部内空間が、前記衣類留め位置にあるスライド針の先端が挿入される先端受け穴を構成するようにすることができる。
【0014】
このように構成すると、円筒状の雄ねじを操作してスライド部材(挟圧部材)をスライドさせてスライド部材と前記保護面とで衣類の留め部を挟圧する際、雄ねじの円筒部内空間に先端が挿入されているスライド針がスライド部材のスライドのガイドとなり得るので、スライド部材と前記保護面とで衣類の留め部を良好に挟圧することができる。
【0015】
この名札の取付構造においては、
前記名札は、名札プレートないし名札シートを複数枚収納可能な名札ホルダーとすることができる。
【0016】
この名札の取付構造は上記のように名札を確実に取り付けることができるから、単数枚の名札プレートないし名札シートを有する名札よりも重量が大きくなる、名札プレートないし名札シートを複数枚収納可能な名札ホルダーを取り付ける構造として特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る名札の取付構造の実施の形態を示す図で、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は背面図。
【
図2】(a)(b)はそれぞれ作用を説明するための平面図、(c)は同じく正面図。
【
図3】(a)(b)はそれぞれスライド針20のスライド機構60の作用を説明するための平面図、(c)はスライド機構60の正面図、およびスライド機構60の主要部材の正面図と側面図を一緒に示した図、(d)はスライド機構60の部分省略左側面図、(e)はサイドブロック62s1の斜視図。
【
図4】(a)は名刺10の正面図、(b)は名札プレート50の正面図、(c)はシール50cの正面図、(d)はスライド針20の正面図、(e)はコイルスプリング40の概略正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る名札の取付構造の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0019】
図1、
図2に示すように、この実施の形態の名札の取付構造1は、
名札(この実施の形態では名札ホルダ)10を衣類100(
図2(a)参照)に取り付けるための構造であって、
名札10の上部において、横方向にスライド可能に設けられ、スライドすることで、衣類100に刺さる衣類留め位置P2(
図2(b))と、この衣類留め位置P2から後退して衣類100から抜かれる退避位置P1(
図2(a))とを選択的に取り得るスライド針20と、
名札10の上部に設けられ、衣類留め位置P2にあるスライド針20の先端21が挿入される先端受け穴31を有する受け部30と、
スライド針20を退避位置P1に向けて(
図2において左方(矢印X2方向)に)常時付勢する付勢部材40と、
この付勢部材40による付勢力に抗して衣類留め位置P2にスライドさせたスライド針20を衣類留め位置P2に保持する留め位置用ストッパST2と、
退避位置P1(
図2(a))にあるスライド針20の先端21の周りにおいてスライド針20の先端21よりも受け部30側(
図2において右側)に位置することでスライド針20の先端21への接触を防止する保護面16と、
を備えている。
【0020】
上記の構成となっているので、この名札の取付構造1によれば次のような作用効果が得られる。
【0021】
図2(a)から(b)に示すように、スライド針20を、付勢部材40による付勢力に抗して退避位置P1から衣類留め位置P2へ向けて(矢印X1方向へ)スライドさせ、スライド針20を衣類100に刺し、留め位置用ストッパST2で衣類留め位置P2に保持することで名札10(
図1)を衣類100に取り付けることができる。
【0022】
ここで、スライド針20を退避位置P1から衣類留め位置P2へ向け付勢部材40による付勢力に抗して(矢印X1方向へ)スライドさせて衣類100に刺す際、仮に何らかの予期しない理由により、取り付け操作を誤ったとしても、スライド針20は付勢部材40による付勢力によって退避位置P1に後退するだけであり、退避位置P1にあるスライド針20の先端21の周りにおいてスライド針20の先端21よりも受け部30側に位置することでスライド針20の先端21への接触を防止する保護面16が備えられているので、安全性は確保される。
【0023】
このように、この実施の形態の名札の取付構造1によれば、名札10を安全に取り付けることができる。
【0024】
受け部30は、
図2(a)に示すように、スライド針20が退避位置P1にあるとき、保護面16との間に衣類100の留め部101を入れる空間S1を形成する空間形成位置PSと、
図2(b)に示すように、先端受け穴31にスライド針20の先端21が挿入された状態のままで、保護面16とで衣類100の留め部101を挟圧する挟圧位置PPとを選択的にとり得る挟圧部材32を備えている。
【0025】
このように構成すると、衣類100の留め部101は、スライド針20で刺された状態になるとともに、保護面16と挟圧部材32とで挟圧されるため、名札10を衣類100に確実に取り付けることができる。
【0026】
受け部30は、
スライド針20と同方向においてスライドすることで空間形成位置PSと挟圧位置PPとを選択的に取り得る挟圧部材32としてのスライド部材(32)と、
このスライド部材32とねじ結合することでスライド部材32をスライドさせる円筒状の雄ねじ33と、を有し、
この雄ねじ33の円筒部内空間33hが、衣類留め位置P2にあるスライド針20の先端21が挿入される先端受け穴31を構成している(
図2(b))。
【0027】
このように構成すると、円筒状の雄ねじ33を操作してスライド部材32(挟圧部材32)をスライドさせてスライド部材32と保護面16とで衣類100の留め部101を挟圧する際、雄ねじ33の円筒部内空間33hに先端21が挿入されているスライド針20がスライド部材32のスライドのガイドとなり得るので、スライド部材32と保護面16とで衣類100の留め部101を良好に挟圧することができる。33tは雄ねじ33の摘まみである。
【0028】
この実施の形態における名札10は、名札プレートないし名札シートを複数枚収納可能な名札ホルダーである。
【0029】
この名札の取付構造1は上記のように名札10を確実に取り付けることができるから、単数枚の名札プレートないし名札シートを有する名札よりも重量が大きくなる、名札プレートないし名札シートを複数枚収納可能な名札ホルダー10を取り付ける構造として特に有効である。
【0030】
以下、さらに詳しく説明する。
【0031】
この実施の形態の名札ホルダ10は、名札プレート50(
図1,
図4(b))を複数枚(この実施の形態では3枚)収納可能な、透明な合成樹脂製からなるケース状のものであり、上部にスライド針20のスライド機構60が設けられている。スライド機構60については後述する。
【0032】
なお、名札プレート50には、利用者の名前等、必要事項が記載されたシール50c(
図1,
図4(c))が貼着される。
【0033】
スライド針20は、名札ホルダ10の上部において横方向にスライド可能に設けることができる構成のもであれば適宜の構成のものを採用できる。この実施の形態では、スライド操作が容易にできるように摘まみ部22を有するL字状の針で構成されている(
図3,
図4(d))。
【0034】
付勢部材40は、スライド針20を退避位置P1に向けて常時付勢する部材であれば適宜の部材を採用することができる。この実施の形態では、圧縮コイルばねを採用しているが、取付スペースに余裕があれば引っ張りバネを用いることもできる。
【0035】
図1~
図3に示すように、スライド針20のスライド機構60は、名刺ホルダ10の上部に隔壁11によって形成されたスライド機構収納部61に収納されたガイドブロック62と、このガイドブロック62で案内される前記スライド針20と、このスライド針20を付勢する前記圧縮コイルばね40と、を備えている。
【0036】
主として
図3(c)に示すように、ガイドブロック62は、中央ブロック62mと、その両側に配置されるサイドブロック62s1、62s2と、スライド針20の先端側のサイドブロック62s2の外側(針先端側)に配置される先端側ブロック62s3とを有しており、中央ブロック62m、サイドブロック62s2、および先端側ブロック62s3には、スライド針20が挿入された圧縮コイルばね40のを収納する円柱状収納部63が設けられている。円柱状収納部63の手前側には、スライド針20の摘まみ部22の通過を許すスリット63sが設けられている。
【0037】
スライド針20の退避位置P1において、サイドブロック62s1には、スライド針20の摘まみ部22の一方(
図3(d)において下方。以下同じ)への回動範囲を規制する規制部(図では傾斜面)64s1が設けられており、隔壁11には、スライド針20の摘まみ部22の他方(
図3(d)において上方。以下同じ)への回動範囲を規制する規制部(図ではピン)65s1が設けられている。
【0038】
図2(b)に示すように、スライド針20の衣類留め位置P2において、サイドブロック62s2には、スライド針20の摘まみ部22の一方への回動範囲を規制する規制部(図では傾斜面)64s2が設けられており、中央ブロック62mには、スライド針20の摘まみ部22の他方への回動範囲を規制する規制部(図ではピン)65s2が設けられている。
【0039】
付勢部材40による付勢力に抗して衣類留め位置P2にスライドさせたスライド針20を衣類留め位置P2に保持する留め位置用ストッパST2は、中央ブロック62mの側面で構成されており、退避位置P1におけるストッパST1は隔壁11の内側面で形成されている(
図3(a))。
【0040】
以上のようなスライド機構60におけるスライド針20の操作は以下の通りである。
【0041】
(1)
図3(a)(c)(d)に示すように、使用前においては、スライド針20は退避位置P1にある。
この状態においては、スライド針20(したがって摘まみ部22)は付勢部材40で隔壁11の内側面(ST1)に向けて押された状態であり、摘まみ部22の上動は規制部65s1によって規制されている。
したがって、摘まみ部22が不用意に上動することが防止され、したがってまた、摘まみ部22がスリット63sに入り込んでしまって不用意にスライド針20が突出してしまうことが防止される。
【0042】
(2)使用時には、使用者は、退避位置P1にあるスライド針20の摘まみ部22を付勢力に抗して矢印X1方向へ多少スライドさせ規制部65s1から外して上動させ、摘まみ部22をスリット63sに入れ、引き続き付勢力に抗してスライド針20を矢印X1方向へ突出させて衣類の留め部101に刺し(
図2参照)、摘まみ部22がスリット63sから抜けた時点で摘まみ部22を規制部65s2より下方まで下動させ(
図3(b)参照)、付勢力によって矢印X2方向へ多少スライドさせて摘まみ部22を留め位置用ストッパST2に当接させる。この状態でスライド針20は留め部101に刺さり、先端21は受け部30の先端受け穴31に挿入された状態となる(
図2(a)(b)参照)
【0043】
(3)その後、雄ねじ33を回転させ、スライド部材32(挟圧部材32)をスライドさせてスライド部材32と保護面16とで衣類100の留め部101を挟圧することによって、名札ホルダ10が衣類100に取り付けられることとなる(
図2(b))。
【0044】
なお、取り外す際には、上記の操作と逆の操作を行えばよい。
【0045】
請求項1の発明に関し、受け部30は、名札10の上部に設けられ、衣類留め位置P2にあるスライド針20の先端21が挿入される先端受け穴31を有する構成であればよく、必ずしも衣類100を挟むものでなくても良い。
【0046】
保護面16は、退避位置P1(
図2(a))にあるスライド針20の先端21の周りにおいてスライド針20の先端21よりも受け部30側(
図2において右側)に位置することでスライド針20の先端21への接触を防止することができる面であればよい。この実施の形態では、隔壁11の側面(16)で形成されている。なお、
図2等において11hはスライド針20が通る穴である。
【0047】
図1(d)に示すように、この実施の形態の受け部30における挟圧部材32としてのスライド部材(32)は、雄ねじ33とねじ結合していることにより、雄ねじ33の回転によって、名刺ホルダ10の上面12に沿ってスライド針20と同方向にスライドする。スライド機構自体は、公知の適宜の機構を採用し得る。
この実施の形態では、
図2(a)に示すように、名刺ホルダ10の上部に一体に設けられたネジ支持ブロック13の雌ねじ部13sに雄ねじ33をねじ結合させ、雄ねじ33の先端大径部33dを、スライド部材32内に収納した駒32dに緩く嵌めることで構成した。
なお、スライド針20の先端21が挿入される先端受け穴31は、挟圧部材32を貫通して雄ねじ33の円筒部内空間33hに連通している。
【0048】
この実施の形態では、衣類100を挟む隔壁11の側面(保護面16)と、挟圧部材32の、衣類と接触する挟圧面には、それぞれ滑り止め17が設けられている(
図2(c))。
【0049】
図1,
図4に示すように、この実施の形態の名札ホルダー10の名札収納部14の天面および底面には、突部14b、14bが設けられている一方、名札プレート50の上辺および下辺には、ホルダーの突部14bとクリック感を持って係脱する凹部51、51が設けられている。したがって、名札プレート50は、ホルダーの収納部14に対してクリック感を持って出し入れすることができる。
【0050】
名札プレート50の先部分52はテーパ状となっており、ホルダへの差し込みが容易となっている。
ホルダーの背面板には、指入れのための切り欠き部15が設けられているとともに、名札プレートには指かけ部53が設けられており、これによって、ホルダからの抜き取りも容易となっている。指かけ部53の形状は、
図1と
図4とで異なっているが、どちらの形状でもかまわない。
【0051】
この実施の形態における名札10は、3枚の名札プレート50を収納可能である。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
例えば、
【0053】
名札10は透明な合成樹脂製とするが、名札の表示機能(この実施の形態では名札シール50cによる表示)が妨げられない部位(例えばスライド機構60の収納部等)については不透明とすることもできる。
【符号の説明】
【0054】
1: 名札の取付構造
10: 名札
20: スライド針
30: 受け部
40: 付勢部材
50: 名札プレート