(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163470
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/284 20210101AFI20241115BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20241115BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241115BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20241115BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20241115BHJP
H01M 50/209 20210101ALN20241115BHJP
【FI】
H01M50/284
H01M50/507
H01M50/204 401D
H01G11/12
H01G4/228 J
H01M50/209
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079090
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】上 洋介
【テーマコード(参考)】
5E078
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA10
5E078AB01
5E078JA02
5E078JA07
5H040AA03
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT02
5H040DD07
5H043AA13
5H043AA19
5H043CA04
5H043FA04
5H043LA21
5H043LA22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性が向上した蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置1は、蓄電素子100A、100Bを備える蓄電ユニット10と、蓄電ユニットの第一方向に配置される配線基板500と、を備え、蓄電素子は、端子140A、140Bを備え、蓄電ユニットは、端子に接合されたバスバー300を備え、配線基板は第一方向に貫通する開口部502と接続片510とを備え、接続片は、開口部の周縁部である開口周縁部505と一体に設けられており、かつ、開口周縁部から延びており、接続片は、バスバーと接続されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子を備える蓄電ユニットと、
前記蓄電ユニットの第一方向に配置される配線基板と、を備え、
前記蓄電素子は、端子を備え、
前記蓄電ユニットは、前記端子に接合されたバスバーを備え、
前記配線基板は前記第一方向に貫通する開口部と接続片とを備え、
前記接続片は、前記開口部の周縁部である開口周縁部と一体に設けられており、かつ、前記開口周縁部から延びており、
前記接続片は、前記バスバーと接続されている、
蓄電装置。
【請求項2】
さらに、前記接続片に接合された導電部材を備え、
前記導電部材は、前記接続片から延びる接合部を有し、
前記接合部は前記バスバーに接合されている、
請求項1記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記接続片は、前記バスバーの前記第一方向の面に接合されている、
請求項1記載の蓄電装置。
【請求項4】
蓄電素子とサーミスタとを備える蓄電ユニットと、
前記蓄電ユニットの第一方向に配置される配線基板と、を備え、
前記配線基板は、前記第一方向に貫通する開口部と、接続片と、を備え、
前記接続片は、前記開口部の周縁部である開口周縁部と一体に設けられており、かつ、前記開口周縁部から延びており、
前記接続片は、前記サーミスタと接続されており、
前記サーミスタは、前記蓄電素子と前記接続片との間に配置されている、
蓄電装置。
【請求項5】
前記蓄電ユニットは、複数の前記蓄電素子を備え、
前記複数の前記蓄電素子は、前記第一方向と交差する第二方向に並んで配置されており、
前記接続片は、前記開口周縁部における前記第二方向の一方側から他方側に向けて延びている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記配線基板は、第一配線及び第二配線を備え、
前記第一配線及び前記第二配線は、前記開口部を挟んで互いに対向する位置に配置されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の単電池を備える電池集合体に取り付けられたバスバモジュールが開示されている。バスバモジュールは、フレキシブル基板(FPC)から構成され、単電池の正極及び負極に接続されるバスバが取り付けられた回路体を有する。この回路体は、各単電池の上で積層方向に沿って配置され、複数の配線パターンが設けられた帯状の本線を有する。本線の長手方向に沿った側部には、本線の長手方向及び厚み方向に対して交差する方向(本線の幅方向外側)に延びる帯状の第1支線部が設けられており、第1支線部先端には、各電池本体の積層方向に対して平行な方向に延びる帯状の第2支線部が設けられている。第2支線部の先端部には接続部が取り付けられており、接続部はバスバに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の、FPCで構成された回路体は、本線の長手方向に沿った側部に、本線の幅方向外側に延びる第1支線部を備えている。従って、回路体を運搬する際、または、回路体を電池集合体に取り付ける際などにおいて、第1支線部に、本線の長手方向に平行な方向の外力が作用しやすい。このことは、例えば第1支線部の本線との接続部分における応力集中の要因となり、その結果、第1支線部に不具合が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、信頼性が向上された蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子を備える蓄電ユニットと、前記蓄電ユニットの第一方向に配置される配線基板と、を備え、前記蓄電素子は、端子を備え、前記蓄電ユニットは、前記端子に接合されたバスバーを備え、前記配線基板は前記第一方向に貫通する開口部と接続片とを備え、前記接続片は、前記開口部の周縁部である開口周縁部と一体に設けられており、かつ、前記開口周縁部から延びており、前記接続片は、前記バスバーと接続されている。
【0007】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子とサーミスタとを備える蓄電ユニットと、前記蓄電ユニットの第一方向に配置される配線基板と、を備え、前記配線基板は、前記第一方向に貫通する開口部と、接続片と、を備え、前記接続片は、前記開口部の周縁部である開口周縁部と一体に設けられており、かつ、前記開口周縁部から延びており、前記接続片は、前記サーミスタと接続されており、前記サーミスタは、前記蓄電素子と前記接続片との間に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、信頼性が向上された蓄電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る蓄電装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るバスバーユニット及び配線基板の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係るバスバー及び当該バスバーによって接続される2つの蓄電素子の斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係るバスバー及びその周辺の構成を示す拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る配線基板の一部を示す平面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る接続片とバスバーとの接続部分を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る接続片とサーミスタとの接続部分を示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の変形例1に係る接続片とバスバーとの接続部分を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の変形例2に係る配線基板の一部を示す平面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態の変形例3に係る配線基板の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子を備える蓄電ユニットと、前記蓄電ユニットの第一方向に配置される配線基板と、を備え、前記蓄電素子は、端子を備え、前記蓄電ユニットは、前記端子に接合されたバスバーを備え、前記配線基板は前記第一方向に貫通する開口部と接続片とを備え、前記接続片は、前記開口部の周縁部である開口周縁部と一体に設けられており、かつ、前記開口周縁部から延びており、前記接続片は、前記バスバーと接続されている。
【0011】
上記(1)に記載の蓄電装置によれば、配線基板の一部である接続片は、第一方向から見た場合、配線基板の開口周縁部に囲まれる。これにより、接続片は保護され、その結果、接続片の破損等の不具合の発生が抑制される。従って、本態様に係る蓄電装置は、信頼性が向上された蓄電装置である。
【0012】
(2)上記(1)に記載の蓄電装置はさらに、前記接続片に接合された導電部材を備え、前記導電部材は、前記接続片から延びる接合部を有し、前記接合部は前記バスバーに接合されている、としてもよい。
【0013】
上記(2)に記載の蓄電装置によれば、接続片とバスバーとは導電部材を介して接続されている。そのため、導電部材によって、接続片の長さの公差を吸収しつつ、接続片とバスバーとを電気的に接続できる。
【0014】
(3)上記(1)に記載の蓄電装置において、前記接続片は、前記バスバーの前記第一方向の面に接合されている、としてもよい。
【0015】
上記(3)に記載の蓄電装置によれば、バスバーにおける、蓄電素子とは反対側の面に接続片が接合される。つまり、接続片とバスバーとが直接的に接合される。そのため、蓄電装置の製造に必要な部品点数が削減される。
【0016】
(4)本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子とサーミスタとを備える蓄電ユニットと、前記蓄電ユニットの第一方向に配置される配線基板と、を備え、前記配線基板は、前記第一方向に貫通する開口部と、接続片と、を備え、前記接続片は、前記開口部の周縁部である開口周縁部と一体に設けられており、かつ、前記開口周縁部から延びており、前記接続片は、前記サーミスタと接続されており、前記サーミスタは、前記蓄電素子と前記接続片との間に配置されている。
【0017】
上記(4)に記載の蓄電装置によれば、配線基板の一部である接続片は、第一方向から見た場合に、配線基板の開口周縁部に囲まれる。これにより、接続片は保護され、その結果、接続片の破損等の不具合の発生が抑制される。さらに、サーミスタと蓄電素子との間に接続片が介在しないため、精度よく温度検出できる。従って、本態様に係る蓄電装置は、信頼性が向上された蓄電装置である。
【0018】
(5)上記(1)から(4)のいずれかひとつに記載の蓄電装置において、前記蓄電ユニットは、複数の前記蓄電素子を備え、前記複数の前記蓄電素子は、前記第一方向と交差する第二方向に並んで配置されており、前記接続片は、前記開口周縁部における前記第二方向の一方側から他方側に向けて延びている、としてもよい。
【0019】
上記(5)に記載の蓄電装置によれば、接続片は、蓄電素子の並び方向に延びている。そのため、接続片は、当該接続片に接続された物体(バスバーまたはサーミスタ)の第二方向(セルの並び方向)のずれに対応しやすい。
【0020】
(6)上記(1)から(5)のいずれかひとつに記載の蓄電装置において、前記配線基板は、第一配線及び第二配線を備え、前記第一配線及び前記第二配線は、前記開口部を挟んで互いに対向する位置に配置されている、としてもよい。
【0021】
上記(6)に記載の蓄電装置によれば、第一方向から見た場合における開口部の両側に配線が配置される。これにより、接続片の当該両側の部分の強度が向上し、その結果、接続片がより確実に保護される。
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0023】
以下の説明及び図面中において、蓄電素子が有する一対の端子の並び方向、または、蓄電素子の容器における一対の短側面の対向方向を、X軸方向と定義する。蓄電素子の容器における一対の長側面の対向方向、蓄電素子の容器の厚み方向(扁平方向)、または、蓄電素子列が有する複数の蓄電素子の並び方向を、Y軸方向と定義する。蓄電素子の端子の突出方向、蓄電素子の容器本体と蓋板との並び方向、蓄電素子列とバスバーユニットとの並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0024】
以下の説明において、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。単にX軸方向という場合は、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向の双方向またはいずれか一方の方向を示す。X軸方向の一方側及び他方側という場合は、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向のうちの一方及び他方を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。平行及び直交等の、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が平行であるとは、当該2つの方向が完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行であること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。絶縁性を有する材料は、体積抵抗率1×1010Ωm以上の材料から形成されていることが好ましい。
【0025】
(実施の形態)
[1.蓄電装置1の全般的な説明]
図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の構成を示す斜視図である。
図1では、蓄電ユニット10及び配線基板500をケース本体910から取り出した状態を示している。
図2は、実施の形態に係るバスバーユニット400及び配線基板500の構成を示す斜視図である。
図2では、複数のバスバー300及び、バスバーホルダ401がZ軸方向で分離した状態でバスバーユニット400が図示されている。
図3は、実施の形態に係るバスバー300及び当該バスバー300によって接続される2つの蓄電素子100の斜視図である。
図3に示される2つの蓄電素子100は、蓄電素子列20におけるY軸マイナス方向の端部の2つの蓄電素子100であり、かつ、Y軸方向で隣り合う2つの蓄電素子100である。これら2つの蓄電素子100を区別して説明する場合、Y軸マイナス方向の蓄電素子100を第一蓄電素子100Aと称し、Y軸プラス方向の蓄電素子100を第二蓄電素子100Bと称する。
【0026】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電できる装置である。蓄電装置1は、例えば、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置1は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及び化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。また、蓄電装置1は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0027】
図1に示すように、蓄電装置1は、蓄電素子100を備える蓄電ユニット10と、蓄電ユニット10のZ軸プラス方向に配置される配線基板500とを備える。Z軸プラス方向は第一方向の一例である。より具体的には、本実施の形態では、蓄電ユニット10は蓄電素子列20とバスバーユニット400とを備える。蓄電素子列20はY軸方向に並べられた複数の蓄電素子100を含んでいる。Y軸方向は第二方向の一例である。蓄電ユニット10及び配線基板500は、ケース900に収容されている。蓄電装置1は、外部の装置と電気的に接続するための外部端子(正極外部端子及び負極外部端子)等も備えているが、それらの図示及び説明は省略する。蓄電装置1は、上記の構成要素の他、蓄電素子列20の充電状態及び放電状態等を監視または制御する回路基板及びリレー等の電気機器を備えていてもよい。
【0028】
蓄電素子列20は、複数の蓄電素子100を有する電池モジュール(組電池)である。蓄電素子列20は、複数(本実施の形態では34個)の蓄電素子100がY軸方向に並べられることで、Y軸方向に長い略直方体形状を有している。蓄電素子列20に含まれる複数の蓄電素子100は、複数のバスバー300によって電気的に接続されている。蓄電素子列20は、図示しないスペーサを備えてもよい。具体的には、Y軸方向に並ぶ2つの蓄電素子100の間にセル間スペーサが配置されてもよい。蓄電素子列20のY軸方向の両端部にエンドスペーサが配置されてもよい。これらスペーサのそれぞれは、当該スペーサに隣接する1以上の蓄電素子100を保持するセルホルダとして機能してもよい。
【0029】
本実施の形態において、蓄電素子列20は、複数の蓄電素子100をY軸方向で拘束する拘束部材(エンドプレート及びサイドプレート等)を備えていない非拘束タイプのモジュールである。しかし、蓄電素子列20は、拘束部材によってY軸方向で拘束されていてもよい。
【0030】
蓄電素子100は、二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、
図3に示すように、扁平な直方体形状(角形)の容器110を備える。容器110の内部には、図示しない電極体、集電体、及び電解液等が収容されている。当該電極体としては、例えば、極板とセパレータとが巻回されて形成された巻回型の電極体が採用される。当該電極体として、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体または、長尺帯状の極板を山折りと谷折りとの繰り返しによって蛇腹状に積層した構造を有する電極体が採用されてもよい。容器110に収容される電解液としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択できる。蓄電素子100は、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子100は、一次電池であってもよい。蓄電素子100は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子100は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。蓄電素子100の形状は、上記角形には限定されず、それ以外の多角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、長円柱形状等であってもよい。
【0031】
容器110は、
図3に示すように、容器本体によって形成される一対の長側面111、一対の短側面112、及び、底面113と、蓋板によって形成される端子配置面130とを備える直方体形状のケースである。端子配置面130には、一対の端子140と、ガス排出弁131とが設けられている。容器本体の内部に電極体等を収容後、容器本体と蓋板とが溶接等されることにより、容器110の内部が密封される。容器110の材質は特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0032】
端子140は、容器110に収容された電極体に電気的に接続される端子である。本実施の形態では、端子配置面130から、Z軸プラス方向に突出している。一対の端子140のうちの一方は、電極体の正極と電気的に接続され、他方は電極体の負極と電気的に接続される。以下、負極の端子140と正極の端子140とを区別する場合、負極の端子140を負極端子141と称し、正極の端子140を正極端子142と称する。
【0033】
負極端子141は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された端子本体と、銅または銅合金で形成された軸体とを有する。正極端子142は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。本実施の形態では、
図3に示すように、第一蓄電素子100Aが備える端子140を、第一端子140Aと称し、第二蓄電素子100Bが備える端子140を第二端子140Bと称する。つまり、第一蓄電素子100Aは、2つの第一端子140Aである負極端子141及び正極端子142を備え、第二蓄電素子100Bは、2つの第二端子140Bである負極端子141及び正極端子142を備える。これら第一蓄電素子100A及び第二蓄電素子100BがY軸方向に並べられた場合、第一端子140Aと第二端子140BとがY軸方向に並べられる。この状態において、第一端子140A及び第二端子140Bのうちの一方が負極端子141であり、他方が正極端子142である。
図3では、第一端子140Aである負極端子141と、第二端子140Bである正極端子142とが、バスバー300によって接続されることが示されている。
【0034】
第一端子140Aと第二端子140Bとを電気的かつ機械的に接続するバスバー300は、
図3に示すように、第一接合部310、第二接合部320、及び、接続板部350を備える。第一接合部310及び第二接合部320のそれぞれは、端子140の上面に接合される板状の部分である。第一接合部310及び第二接合部320のそれぞれと端子140との接合の手法に特に限定はないが、例えばレーザ溶接が用いられる。接続板部350は、第一接合部310と第二接合部320とを電気的及び機械的に接続する板状の部分である。本実施の形態では、接続板部350と、第一接合部310及び第二接合部320とは一体に設けられている。
図3等に示されるバスバー300は、Y軸方向で隣り合う2つの蓄電素子100を電気的かつ機械的に接続するバスバーの一例である。つまり、当該2つの蓄電素子100を電気的かつ機械的に接続するバスバーの構成は、
図3等に示されるバスバー300の構成とは異なっていてもよい。例えば、全体として平板状のバスバーによって当該2つの蓄電素子100が電気的かつ機械的に接続されてもよい。
【0035】
ケース900は、蓄電ユニット10を収容する箱形の容器である。ケース900は、蓄電素子列20の外方に配置され、衝撃等から蓄電素子列20を保護する。ケース900は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄、メッキ鋼板等の金属製の部材によって形成されている。本実施の形態では、ケース900は、アルミニウムのダイカスト(アルミダイカスト)により形成されている。ケース900を形成する材料は、アルミニウム等の金属には限定されない。ケース900は、樹脂材料等の絶縁性を有する材料で形成されていてもよい。
【0036】
図1に示すように、ケース900は、ケース本体910を有する。ケース本体910は、Z軸プラス方向に、蓄電ユニット10の挿入が可能なサイズの開口910aが形成されたハウジング(筐体)である。ケース本体910は、X軸方向において蓄電ユニット10と対向する側壁部911と、Y軸方向において蓄電ユニット10と対向する側壁部912と、Z軸マイナス方向から蓄電ユニット10を支持する底壁部915とを備える。ケース900は、図示しない蓋体であって、ケース本体910の開口910aを塞ぐ蓋体をさらに備えてもよい。蓋体には、外部端子(正極外部端子及び負極外部端子)が配置された端子台が取り付けられていてもよい。
【0037】
バスバーユニット400は、
図2に示すように、複数のバスバー300と、複数のバスバー300を保持するバスバーホルダ401とを備える。バスバーユニット400は、Z軸方向において蓄電素子列20(
図1参照)と対向して配置されている。より詳細には、バスバーユニット400は、蓄電素子列20のZ軸プラス方向において蓄電素子列20と対向している。バスバーホルダ401は、樹脂などの絶縁材料で形成された部材であり、複数のバスバー300を収容する複数のバスバー収容部410を備える。バスバー収容部410は、箱形に形成された部分であり、バスバー300の下面(Z軸マイナス方向の面)を露出させた状態で、当該バスバー300を収容し保持する。本実施の形態では、
図1及び
図2に示されるように、Y軸方向で隣り合う2つの蓄電素子100が、バスバー300によって直列に接続されている。つまり、蓄電素子列20に含まれる複数の蓄電素子100は、複数のバスバー300によって直列に接続されている。複数のバスバー300のそれぞれは、当該バスバー300に対応する位置にあるバスバー収容部410に保持されている。
【0038】
本実施の形態では、蓄電素子列20におけるY軸プラス方向の端部の蓄電素子100の負極端子141に接続されたバスバー300を、バスバー382と称する。蓄電素子列20におけるY軸マイナス方向の端部の蓄電素子100の正極端子142に接続されたバスバー300を、バスバー381と称する。これらバスバー382及び381も、バスバーホルダ401に保持される。バスバー382は、図示しない負極外部端子に電気的に接続される。バスバー381は、図示しない正極外部端子に電気的に接続される。これら複数のバスバー300は、配線基板500に電気的に接続される。バスバー300と配線基板500との接続の態様については、
図4~
図7を用いて後述する。
【0039】
バスバーホルダ401は、
図2に示すように、X軸方向の中央部に配線基板500を支持する基板支持部420を備えている。基板支持部420に支持される配線基板500は、
図3に示すように、複数の開口部502を備え、複数の開口部502それぞれの周縁部から接続片510が延びて設けられている。複数の開口部502は、バスバー300に対向する位置に設けられた開口部502aと、蓄電ユニット10が備えるサーミスタ600(
図4~
図7を用いて後述する)に対向する位置に設けられた開口部502bとを含む。開口部502aに設けられた接続片510である接続片510aは導電部材580を介してバスバー300と接続される。開口部502bに設けられた接続片510bはサーミスタ600に接続される。
【0040】
配線基板500のY軸プラス方向の端部にはコネクタ590が設けられている。コネクタ590には、例えば、蓄電装置1の充放電を制御する制御装置が接続される。制御装置は、複数の導電部材580及び配線基板500を介して、複数の蓄電素子100それぞれの電圧を検出し、検出結果に基づいて複数の蓄電素子100の充放電を制御する。つまり、本実施の形態において、導電部材580は、電圧検出用の端子(検出端子)である。
【0041】
バスバーホルダ401の基板支持部420には、開口部502bと対向する位置に、サーミスタ600に接続される接続片510bを貫通させる接続孔421(
図2参照)が設けられている。
【0042】
本実施の形態では、バスバーホルダ401の基板支持部420は、
図2に示すように、Z軸プラス方向から見た場合(以下、例えば「平面視において」ともいう。)、蓄電素子列20のX軸方向の中央部を覆う平板状の部分である。しかし、基板支持部420は、配線基板500を支持する形状及びサイズであればよい。基板支持部420は、例えば、蓄電素子列20のX軸方向の中央部の全部または一部を覆わない形状及びサイズであってもよい。
【0043】
[2.バスバー300と配線基板500との接続の態様について]
次に、バスバー300と配線基板500とについて、上述の
図1~
図3に加えて
図4~
図7を用いて説明する。以下では、互いに隣り合う2つの蓄電素子100(第一蓄電素子100A及び第二蓄電素子100B)を電気的に接続する1つのバスバー300に着目し、当該バスバー300と、配線基板500との接続の態様について説明する。
【0044】
図4は、実施の形態に係るバスバー300及びその周辺の構成を示す拡大斜視図である。
図4では、
図1において符号“IV”で示される矩形領域に含まれる配線基板500の一部が、蓄電ユニット10が備えるバスバー300から上方(Z軸プラス方向)に離されて図示されている。
図4では、蓄電素子100の端子配置面130に配置された状態のサーミスタ600を二点鎖線で表している。
図4及び以下で説明する断面図(
図6~
図8)では、バスバーホルダ401の図示は省略されている。
図5は、実施の形態に係る配線基板500の一部を示す平面図(Z軸プラス方向から見た図)である。
図6は、実施の形態に係る接続片510aとバスバー300との接続部分を示す断面図である。
図6では、
図5のVI-VI線断面が模式的に図示されている。
図7は、実施の形態に係る接続片510bとサーミスタ600との接続部分を示す断面図である。
図7では、
図5のVII-VII線断面が模式的に図示されている。
【0045】
図4に示すように、本実施の形態に係る蓄電装置1は、配線基板500を備える。本実施の形態では、配線基板500は可撓性を有するフレキシブルプリント基板(Flexible printed circuit:FPC)である。配線基板500の断面を示す
図6及び
図7では表されていないが、配線基板500は、配線530を形成する金属箔及び金属箔を挟む2つの絶縁層を含む多層構造を有している。具体的には、配線基板500は、例えば、ベースフィルムと、ベースフィルムの表面に配置された、配線530を形成する銅箔と、銅箔を覆うカバーレイとを備える。ベースフィルム及びカバーレイは絶縁性を有する樹脂で形成されている。
図4~
図7では、配線基板500が備える配線530のおおよその配置位置が太線の実線によって表されている。配線基板500の厚みは、例えば0.1mm~1mm程度である。これらの配線基板500に関する補足事項は、後述する配線基板500a、500b及び500cにも適用される。
【0046】
配線基板500は、バスバー300等に接続される接続片510を備える。接続片510は、可撓性を有しているため、接続対象物(バスバー300等)の位置がずれた場合、接続対象物との接続部分を保護するように変形できる。具体的には、接続片510は、配線基板500に設けられた開口部502の周縁部(開口周縁部505)と一体の部位であり、かつ、開口周縁部505から延びる部位である。つまり、接続片510は、
図4及び
図5に示すように、開口周縁部505から連続しており、かつ、平面視において、開口周縁部505に囲まれている。これにより接続片510が保護される。
【0047】
このような接続片510を備える配線基板500は、例えば、配線基板500における接続片510以外の部分を基板本体501とした場合、以下のように表現することもできる。配線基板500は、開口部502を備える基板本体501と、開口部502の周縁部(開口周縁部505)と一体に設けられ、かつ、開口周縁部505から延びる接続片510とを備える。この場合、接続片510は、例えば以下のように説明される。平面視において、接続片510は、基板本体501の内部に位置する。平面視において、開口周縁部505の一部と接続片510とが接続されており、開口周縁部505の他の部分と接続片510との間には隙間が形成されている。
【0048】
本実施の形態では、配線基板500は、複数の接続片510を備えており、これらは、バスバー300またはサーミスタ600に接続される。そこで、バスバー300に接続される接続片510を、接続片510aと称し、サーミスタ600に接続される接続片510を、接続片510bと称する。同様に、接続片510aが設けられた開口部502を、開口部502aと称し、接続片510bが設けられた開口部502を、開口部502bと称する。開口部502aの周縁部を開口周縁部505aと称し、開口部502bの周縁部を開口周縁部505bと称する。さらに、端部が接続片510aに含まれ、かつ、当該端部がバスバー300と電気的に接続される配線530を、配線530aと称する。端部が接続片510bに含まれ、かつ、当該端部がサーミスタ600に電気的に接続される配線530を、配線530bと称する。配線530a及び配線530bは、FPCである配線基板500が備えるベースフィルムの互いに反対向きの面に配置されてもよい。例えば、配線530aが、ベースフィルムのZ軸プラス方向の面に配置され、かつ、配線530bが、ベースフィルムのZ軸マイナス方向の面に配置されてもよい。
【0049】
本実施の形態では、サーミスタ600は、蓄電ユニット10の長手方向(Y軸方向)の両端部及び中央部の3か所に配置される。具体的には、蓄電ユニット10のY軸方向の両端部及び中央部のそれぞれに位置する蓄電素子100の端子配置面130(
図4参照)に、サーミスタ600が配置される。従って、配線基板500は、
図2に示すように、Y軸方向の両端部及び中央部の3か所に、開口部502b及び接続片510bを備えている。
【0050】
配線基板500が備える複数の接続片510aのそれぞれは、バスバー300に接続される。本実施の形態では、導電部材580を介して、接続片510aとバスバー300とが機械的及び電気的に接続される。導電部材580は、接続片510aのZ軸プラス方向の面の一部に露出する配線530aに、はんだ付け等によって接合される。これにより、接続片510aとバスバー300とが機械的及び電気的に接続される。導電部材580は、導電性を有する金属で形成された部材であり、バスバー300と接合される部材である。導電部材580とバスバー300との接合の手法に特に限定はなく、レーザ溶接などの溶接、ネジを用いた結合、またはかしめ等が、導電部材580とバスバー300との接合の手法として採用され得る。本実施の形態では、バスバー300の接続板部350の一部に、導電部材580が溶接される部分である基板接続部350aが設けられる。
【0051】
本実施の形態では、
図4及び
図5に示すように、蓄電ユニット10が備える複数のバスバー300それぞれに、1つの配線530aが電気的に接続される。これにより、コネクタ590(
図2参照)を介して配線基板500に接続された制御装置は、複数のバスバー300の電位を検出できる。その結果、複数の蓄電素子100それぞれの電圧を検出できる。1つのサーミスタ600には、一対の配線530bが接続される。これにより、当該制御装置は、当該サーミスタ600が配置された位置の温度を検出できる。つまり、本実施の形態では蓄電ユニット10の長手方向の両端部と中央部の3か所の温度を検出できる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態に係る蓄電装置1は、蓄電素子100を備える蓄電ユニット10と、蓄電ユニット10のZ軸方向に配置される配線基板500と、を備える。蓄電素子100は、端子140を備える。蓄電ユニット10は、端子140に接合されたバスバー300を備える。配線基板500は、Z軸方向に貫通する開口部502aと接続片510aとを備える。接続片510aは、開口部502aの周縁部である開口周縁部505aと一体に設けられており、かつ、開口周縁部505aから延びている。接続片510aは、バスバー300と接続されている。
【0053】
このように、配線基板500の一部である接続片510aは、開口周縁部505aから延びて設けられるため、少なくともZ軸方向の自由度を持つ。従って、バスバー300と配線基板500の基板本体501とが離間している場合であっても、接続片510aをバスバー300に容易に接続できる。さらに、Z軸方向から見た場合、接続片510aは、配線基板500の開口周縁部505aに囲まれる。これにより、接続片510は保護される。例えば、配線基板500を運搬する際、または、配線基板500を蓄電ユニット10に取り付ける際等において、接続片510にXY平面に平行な方向の外力が作用し難くなる。その結果、接続片510aの破損等の不具合の発生が抑制される。従って、例えば配線基板500を介した蓄電素子100の電圧検出等に不具合が生じ難い。このように、本実施の形態に係る蓄電装置1は、信頼性が向上された蓄電装置である。
【0054】
本実施の形態に係る蓄電装置1はさらに、接続片510に接合された導電部材580を備える。導電部材580は、
図6に示すように、接続片510から延びる接合部582を有する。接合部582はバスバー300に接合されている。より具体的には、導電部材580は、
図6に示すように、接続片510aと接続された接続端部581と、接続端部581からY軸マイナス方向に延びる接合部582とを備えている。
【0055】
このように、接続片510とバスバー300とは、導電部材580を介して接続されている。そのため、導電部材580によって、接続片510の長さの公差を吸収しつつ、接続片510とバスバー300とを電気的に接続できる。導電部材580がバスバー300に接合されるため、溶接等の接合作業の際に発生する熱等の影響を、配線基板500の一部である接続片510に与え難い。
【0056】
本実施の形態において、蓄電ユニット10が備えるサーミスタ600には、配線基板500の接続片510bが接続されている。すなわち、本実施の形態に係る蓄電装置1は、以下のように説明される。蓄電装置1は、蓄電素子100とサーミスタ600とを備える蓄電ユニット10と、蓄電ユニット10のZ軸方向に配置される配線基板500と、を備える。配線基板500は、Z軸方向に貫通する開口部502bと、接続片510bと、を備える。接続片510bは、開口部502bの周縁部である開口周縁部505bと一体に設けられており、かつ、開口周縁部505から延びている。接続片510bは、サーミスタ600と接続されており、サーミスタ600は、蓄電素子100と接続片510との間に配置されている。
【0057】
このように、配線基板500の一部である接続片510bは、開口周縁部505bから延びて設けられるため、少なくともZ軸方向の自由度を持つ。サーミスタ600と配線基板500の基板本体501とが離間している場合であっても、接続片510bをサーミスタ600に容易に接続できる。または、接続片510bに接続されたサーミスタ600を、蓄電ユニット10(より具体的には蓄電素子100)に容易に配置できる。Z軸方向から見た場合、接続片510bは、配線基板500の開口周縁部505に囲まれる。これにより、接続片510bは保護され、その結果、接続片510bの破損等の不具合の発生が抑制される。従って、例えば配線基板500を介した蓄電ユニット10の温度検出等に不具合が生じ難い。さらに、サーミスタ600と蓄電素子100との間に接続片510が介在しないため、精度よく温度検出できる。従って、本態様に係る蓄電装置1は、信頼性が向上された蓄電装置1である。
【0058】
具体的には、サーミスタ600は、蓄電素子100の端子配置面130に配置される。従って、サーミスタ600の配置位置は、バスバー300における基板接続部350a(
図4参照)よりもZ軸マイナス方向に位置する。従って、サーミスタ600と接続される接続片510bの長さ(接続片510bの延びる方向の長さ)は、バスバー300と接続される接続片510aの長さ(接続片510aの延びる方向の長さ)よりも長い。これにより、ともに基板本体501から延びる接続片510a及び接続片510bのそれぞれを、容易に蓄電ユニット10に接続できる。
【0059】
本実施の形態に係る配線基板500は、
図2及び
図5に示すように、複数の接続片510(接続片510a及び510bを含む)を備えている。これら複数の接続片510のそれぞれは、所定の方向に向けて延びている。具体的には、蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子100を備え、複数の蓄電素子100は、Z軸方向と交差するY軸方向に並んで配置されている。接続片510は、開口周縁部505におけるY軸方向の一方側から他方側に向けて延びている。
【0060】
このように、接続片510は、蓄電素子100の並び方向(Y軸方向)に延びている。そのため、接続片510は、当該接続片510が接続された物体(バスバー300またはサーミスタ600)のY軸方向のずれに対応しやすい。例えば、振動または衝撃等に起因してバスバー300がY軸プラス方向にずれた場合、そのバスバー300に接続された接続片510aは、縮むように変形できる。その結果、接続片510aとバスバー300との接続部分(本実施の形態では導電部材580とバスバー300との接合部分)に、バスバー300がずれたことによる悪影響が波及し難い。つまり、バスバー300がY軸方向にずれることにより接続片510aに作用する力の方向は、接続片510aが延びる方向とほぼ一致する。従って、当該力の方向が接続片510aが延びる方向と直交する場合よりも、当該力に起因する接続片510aの破損等が生じ難い。
【0061】
本実施の形態では、接続片510は、開口周縁部505におけるY軸プラス方向の部分から、開口周縁部505におけるY軸マイナス方向の部分に向けて延びている。しかし、接続片510は、開口周縁部505におけるY軸マイナス方向の部分から、開口周縁部505におけるY軸プラス方向の部分に向けて延びていてもよい。ただし、配線基板500のY軸プラス方向の端部に設けられたコネクタ590と接続片510との間の配線530の長さを短くする、という観点からは、接続片510は、開口周縁部505におけるY軸プラス方向の部分から延びていることが好ましい。
【0062】
本実施の形態では、配線基板500が備える複数の開口部502aのうち、Y軸マイナス方向の端部に位置する開口部502a(
図5参照)以外の開口部502aは、X軸方向に離間して配置された2つの配線530の間に配置されている。例えば、開口部502aのX軸プラス方向に位置する配線530を第一配線531とし、開口部502aのX軸マイナス方向に位置する配線530を第二配線532とする。この場合、
図5に示される5つの開口部502aのうちの左から2番目の開口部502aは、第一配線531である配線530aと、第二配線532である配線530bとの間に配置されている。
【0063】
つまり、本実施の形態に係る配線基板500は、第一配線531及び第二配線532を備え、第一配線531及び第二配線532は、開口部502を挟んで互いに対向する位置に配置されている。
【0064】
このように、平面視における開口部502aの両側に配線530(第一配線531及び第二配線532)が配置される。これにより、当該開口部502aに配置された接続片510aの当該両側の部分の強度が向上し、その結果、接続片510aがより確実に保護される。
【0065】
より具体的には、本実施の形態では、
図2及び
図5に示すように、配線基板500における、蓄電ユニット10のX軸プラス方向の端部に対向して配置される部分では、開口部502bよりもX軸プラス方向に開口部502aが配置される。つまり、配線基板500の当該部分において、開口部502b及び接続片510bは、内側(蓄電ユニット10のX軸方向の中央部に近い位置)に配置される。配線基板500の当該部分において、開口部502a及び接続片510aは、外側(蓄電ユニット10のX軸方向の中央部から遠い位置)に配置される。
【0066】
つまり、簡単に言うと、X軸方向において、バスバー300に接続される接続片510aは、サーミスタ600に接続される接続片510bよりも、蓄電ユニット10の中央部から遠い位置に配置される。これにより、例えば蓄電ユニット10のX軸方向の中央部の温度が上昇した場合、その温度上昇に起因する接続片510aの損傷等が抑制される。
【0067】
接続片510aが設けられる開口部502aと、接続片510bが設けられる開口部502bとの位置関係は上記の位置関係には限定されない。例えば、平面視において、Y軸方向に配列された開口部502aの列が、1以上の開口部502bよりも、X軸マイナス方向に配置されてもよい。
【0068】
複数の接続片510aは、本実施の形態では、Y軸方向に平行な直線上に配置されている。これら複数の接続片510aとコネクタ590(
図2参照)とを接続する複数の配線530aは、
図5に示すように、X軸方向に並ぶように配置されている。具体的には、複数の配線530aのそれぞれを、
図5に示すように、配線530a1~530a5というように符号を変えて区別した場合、X軸プラス方向からX軸マイナス方向に向けて、配線530a1、配線530a2、配線530a3、配線530a4、及び、配線530a5の順に並べられる。つまり、コネクタ590から最も遠い接続片510aから延びる配線530aは、配線基板500のX軸プラス方向の端部に配置される。さらに、残りの複数の配線530aのそれぞれは、平面視において互いに交差しないようにX軸方向で離間して配置される。これにより、配線基板500における配線領域(配線530が配置可能な領域)を効率よく使用して複数の配線530aを配置できる。FPCである配線基板500における1つのベースフィルムの同一面上に複数の配線530aを配置できる。配線基板500が複数のベースフィルムを備える場合、または/及び、ベースフィルムの両面に配線530が配置可能な場合等において、少なくとも2つの配線530aが平面視において交差していてもよい。
【0069】
以上、実施の形態に係る蓄電装置1について、配線基板500及びその構成を中心に説明した。しかし、蓄電装置1は、
図2~
図6とは異なる構成の配線基板500及びその周辺の構成を備えてもよい。そこで、以下に、配線基板500及びその周辺の構成についての変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0070】
[3-1.変形例1]
図8は、実施の形態の変形例1に係る接続片510aとバスバー300との接続部分を示す断面図である。
図8の断面の位置は、
図6に示す断面の位置に準ずる。
【0071】
本変形例に係る配線基板500aは、
図8に示すように、開口部502aと接続片511とを備える。接続片511は、開口部502aの周縁部である開口周縁部505aと一体に設けられており、かつ、開口周縁部505aから延びている。接続片511はバスバー300と接続されている。これらの構成は、実施の形態に係る配線基板500と共通する。
【0072】
本変形例では、接続片511は、バスバー300のZ軸方向の面に接合されている。つまり、接続片511は、バスバー300における、蓄電素子100とは反対側の面に接合されている。具体的には、本変形例では、接続片511が備える配線530aの一部が、接続片511のバスバー300と対向する面に露出しており、その露出した当該一部とバスバー300とがはんだ610によって接合されている。このように、接続片511とバスバー300とが直接的に接合されることで、蓄電装置1の製造に必要な部品点数が削減される。
【0073】
[3-2.変形例2]
図9は、実施の形態の変形例2に係る配線基板500bの一部を示す平面図である。本変形例に係る配線基板500bでは、
図9に示すように、開口部502aと接続片510aとの組が複数配置されている。この構成は、実施の形態に係る配線基板500と共通する。
【0074】
本変形例に係る配線基板500bでは、複数の接続片510aから延びる複数の配線530aの位置(レイアウト)が、実施の形態に係る配線基板500とは異なっている。具体的には、
図9に示すように、複数の配線530aを、配線530a1~530a5というように符号を変えて区別した場合、配線530a1、配線530a3、及び配線530a5は、Y軸方向に延びる複数の接続片510a(開口部502a)の列よりもX軸プラス方向の位置においてY軸方向に延びている。これに対し、配線530a2及び配線530a4は、Y軸方向に延びる複数の接続片510a(開口部502a)の列よりもX軸マイナス方向の位置においてY軸方向に延びている。
【0075】
このように配置することでも、配線基板500bにおける配線領域を効率よく使用して複数の配線530aを配置できる。FPCである配線基板500bにおける1つのベースフィルムの同一面上に複数の配線530aを配置できる。Y軸方向に平行な直線上に並ぶ複数の開口部502aの列に対し、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向の両方に、ほぼ均等に1以上の配線530aを配置できる。これにより、複数の開口部502aの列を備える配線基板500bの機械的強度が、複数の配線530aによって、X軸方向においてほぼ均等に向上される。
【0076】
本変形例では、
図9に示される5つの開口部502aのうちの左から3番目の開口部502aは、第一配線531である配線530a1と、第二配線532である配線530a2との間に配置されている。従って、当該開口部502aに配置された接続片510aの当該両側の部分の強度が向上し、その結果、接続片510aがより確実に保護される。
【0077】
図9では図示されていないが、配線基板500bにおいて、例えば配線530a2のX軸マイナス方向に、サーミスタ600に接続される接続片510b、開口部502b、及び配線530b(
図5参照)が配置されてもよい。配線基板500bにおいて、例えば配線530a1のX軸プラス方向に、サーミスタ600に接続される接続片510b、開口部502b、及び配線530b(
図5参照)が配置されてもよい。いずれの場合であっても、接続片510b等の配置のために、基板本体501のX軸方向の幅を増加させてもよい。
【0078】
[3-3.変形例3]
図10は、実施の形態の変形例3に係る配線基板500cの一部を示す平面図である。本変形例に係る配線基板500cでは、
図10に示すように、開口部502aと接続片510aとの組が複数配置されている。この構成は、実施の形態に係る配線基板500と共通する。
【0079】
本変形例に係る配線基板500cでは、複数の開口部502aがY軸方向に平行な直線上には並んでおらず、Y軸プラス方向に進むにしたがって、開口部502aの位置がX軸プラス方向にずれている。具体的には、
図10に示すように、これら開口部502aを、開口部502a1~502a5というように符号を変えて区別した場合、開口部502a1、502a2、502a3、502a4、502a5の順に、基板本体501のX軸プラス方向の端部から遠ざかるように配置されている。つまり、複数の接続片510aを、接続片510a1~510a5というように符号を変えて区別した場合、接続片510a1、510a2、510a3、510a4、510a5の順に、基板本体501のX軸プラス方向の端部から遠ざかるように配置されている。
【0080】
このように配置した場合であっても、配線基板500cにおける配線領域を効率よく使用して複数の配線530aを配置できる。FPCである配線基板500cにおける1つのベースフィルムの同一面上に複数の配線530aを配置できる。
【0081】
本変形例に係る配線基板500cは、基板本体501の、Y軸マイナス方向の端部において、開口部502a1のX軸マイナス方向に、比較的広い領域が確保される。そのため、
図10に示すように、当該領域を、サーミスタ600に接続される配置領域として使用できる。当該領域は、配線530aまたは配線530bと電気的に接続される電子部品の配置領域として使用されてもよい。
【0082】
[4.他の変形例の説明]
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例には限定されない。今回開示された実施の形態及び変形例は、全ての点で例示であり、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0083】
1つのバスバー300に接続される蓄電素子100の個数は2以下である必要はない。例えば、蓄電ユニット10が備える複数の蓄電素子100のうちの3以上の蓄電素子100が並列に接続される場合、1つのバスバー300が、当該3以上の蓄電素子100の端子140に溶接等によって接合されてもよい。
【0084】
接続片510a及び接続片510bのそれぞれは、Y軸方向に延びていることは必須ではなく、例えばX軸方向に延びていてもよい。接続片510a及び接続片510bのそれぞれの形状は、延びる方向の長尺状である必要はない。例えば、開口周縁部505aからY軸マイナス方向に延びる接続片510aは、平面視における形状が、X軸方向に長尺状であってもよい。いずれの場合であっても、接続片510aをバスバー300に電気的に接続することは可能であり、接続片510bをサーミスタ600に電気的に接続することは可能である。
【0085】
1つの接続片510aから延びる配線530aの数は2以上であってもよい。つまり、1つのバスバー300とコネクタ590とを接続する配線530aの数は2以上であってもよい。これにより、例えば1つのバスバー300とコネクタ590とを接続する複数の配線530aのうちの1つが断線した場合であっても、他の1以上の配線530aを介して当該バスバー300に接続された蓄電素子100の電圧を計測することは可能である。1つのバスバー300とコネクタ590とを複数の配線530aで接続することで、当該バスバー300とコネクタ590との間の電気抵抗が低減される。配線基板500が備える配線530の総数が増加することで、配線基板500の機械的強度が向上する。
【0086】
実施の形態では、導電部材580は、接続片510aのZ軸プラス方向の面の一部に露出する配線530aに、はんだ付け等によって接合されるとした(
図5参照)。しかし、導電部材580は、接続片510aのZ軸マイナス方向の面の一部に露出する配線530aに、はんだ付け等によって接合されてもよい。
【0087】
バスバー300は、接続片510aとの電気的な接続部分を複数備えてもよい。これら複数の接続部分は、平面視において互いに離間して配置されてもよい。
【0088】
配線基板500は、電圧検出のための構成(開口部502a、接続片510a、及び配線530a)及び、温度検出のための構成(開口部502b、接続片510a、及び配線530a)のうちの一方のみを備えてもよい。
【0089】
蓄電装置1は、ケース900を備えなくてもよい。例えば、1以上の蓄電素子100と配線基板500とを備える構造体が、蓄電装置1として、何等かの装置、または、ラック等に収容されてもよい。
【0090】
上記の、実施の形態に係る配線基板500に関する補足事項は、適宜、変形例1~3に係る配線基板500a、500b及び500cのうちの少なくとも1つに適用されてもよい。上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0092】
1 蓄電装置
100 蓄電素子
140 端子
300、381、382 バスバー
500、500a、500b、500c 配線基板
501 基板本体
502、502a、502a1、502a2、502a3、502a4、502a5、502b 開口部
505、505a、505b 開口周縁部
510、510a、510a1、510a2、510a3、510a4、510a5、510b、511 接続片
530、530a、530a1、530a2、530a3、530a4、530a5、530b 配線
531 第一配線
532 第二配線
580 導電部材
581 接続端部
582 接合部
600 サーミスタ
610 はんだ