(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163478
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】圧縮成形に用いられる封止樹脂の形成装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20241115BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20241115BHJP
B29C 43/32 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
H01L21/56 R
B29C43/18
B29C43/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079106
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小口 達司
【テーマコード(参考)】
4F204
5F061
【Fターム(参考)】
4F204AA36
4F204AC04
4F204AD19
4F204AG03
4F204AH37
4F204FA01
4F204FA15
4F204FB01
4F204FB11
4F204FF23
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
4F204FQ38
5F061AA01
5F061CA22
5F061CB11
5F061DA01
5F061DA11
(57)【要約】
【課題】成形不良の発生を防止することができる圧縮成形装置及び圧縮成形方法の実現が可能な封止樹脂を形成することができ、且つ、形成過程における封止樹脂の割損の発生を防止することができる形成装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る封止樹脂の形成装置100は、ワークWの圧縮成形に用いられる封止樹脂Rを形成する形成装置であって、型開閉される一対の下型106及び上型104を有し、リリースフィルムFを介在させた状態でベース樹脂Rmを収容及び加熱加圧し、所定形状の封止樹脂Rを形成する形成金型102と、形成される封止樹脂RからリリースフィルムFを剥離するフィルム剥離機構170と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの圧縮成形に用いられる封止樹脂を形成する形成装置であって、
型開閉される一対の下型及び上型を有し、リリースフィルムを介在させた状態でベース樹脂を収容及び加熱加圧し、所定形状の前記封止樹脂を形成する形成金型と、
形成される前記封止樹脂から前記リリースフィルムを剥離するフィルム剥離機構と、を備えること
を特徴とする封止樹脂の形成装置。
【請求項2】
前記ベース樹脂として、パウダー樹脂が用いられ、
前記形成金型は、前記パウダー樹脂を打錠する打錠金型であること
を特徴とする請求項1記載の封止樹脂の形成装置。
【請求項3】
前記形成金型は、形成される前記封止樹脂が前記ワークの圧縮成形に用いられる際に熱硬化することができるように、前記ベース樹脂が熱硬化しない加熱温度に設定されること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の封止樹脂の形成装置。
【請求項4】
前記フィルム剥離機構は、前記リリースフィルムの一端部を把持して他端部へ向けて移動する把持部を有すること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の封止樹脂の形成装置。
【請求項5】
前記フィルム剥離機構は、前記把持部が前記リリースフィルムの前記一端部を把持して前記他端部へ向けて移動する際に、前記リリースフィルムを周面の一部に転接もしくは摺接させて前記リリースフィルムにテンションを付与しながら前記把持部の移動方向と同方向に直線移動するテンションローラを有すること
を特徴とする請求項4記載の封止樹脂の形成装置。
【請求項6】
前記フィルム剥離機構は、前記テンションローラを回転可能に支持すると共に、前記テンションローラの直線移動を規制するように抵抗を付与するテンション部を有すること
を特徴とする請求項5記載の封止樹脂の形成装置。
【請求項7】
前記テンション部は、エアシリンダもしくは電動モータを用いた直動機構を有し、前記抵抗は前記直動機構によって設定もしくは可変制御される構成であること
を特徴とする請求項6記載の封止樹脂の形成装置。
【請求項8】
前記フィルム剥離機構は、上面もしくは下面の一方に前記封止樹脂を吸着する吸着部が設けられた吸着ステージを有し、
前記把持部及び前記テンションローラは、前記吸着ステージに対して前記吸着部が設けられる面と同一側に配置されていること
を特徴とする請求項5記載の封止樹脂の形成装置。
【請求項9】
前記封止樹脂の上下面が逆になるように反転させる反転機構をさらに備えること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の封止樹脂の形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成形に用いられる封止樹脂の形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に電子部品が搭載されたワークを封止樹脂により封止して成形品に加工する樹脂封止装置及び樹脂封止方法の例として、圧縮成形方式によるものが知られている。
【0003】
圧縮成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる封止領域(キャビティ)に所定量の封止樹脂を供給すると共に当該封止領域にワークを配置して、上型と下型とでクランプする操作によって樹脂封止する技術である。一例として、上型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、ワーク上の中心位置に一括して封止樹脂を供給して成形する技術等が知られている。一方、下型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、当該キャビティを含む金型面を覆うリリースフィルム(以下、単に「フィルム」と称する場合がある)及び封止樹脂を供給して成形する技術等が知られている(特許文献1:特開2019-145550号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、ワークとして、ストリップタイプのワイヤー接続された電子部品(半導体チップ)を樹脂封止する場合に、上型にキャビティが設けられる圧縮成形方式では、下型に保持されるワークのワイヤー部分が予めキャビティに供給した封止樹脂またはワーク上に供給した封止樹脂と接触して変形してしまうため、樹脂封止が困難であるという課題があった。そのため、一般的には、上型にワークが保持され、下型にキャビティが設けられ、当該キャビティ内に封止樹脂(一例として、顆粒樹脂)が供給される圧縮成形方式が採用されていた。
【0006】
しかしながら、上型にワークが保持され、下型にキャビティが設けられる構成においては、ワークが薄い場合や大型の場合に、上型での保持が難しく落下が生じ易いという課題があった。また、通常、フィルムを介在させて下型のキャビティ内に封止樹脂が供給される構成となるが、厚み(ここでは、成形後の樹脂部分の厚み)が1mmを超える程度に厚い成形品を形成しようとすると、成形ストロークが大きくなり、フィルムが成形品に噛み込んでしまう成形不良が生じ易いという課題があった。さらに、封止樹脂として顆粒樹脂が用いられる場合、顆粒樹脂の径により嵩が増し、前記のフィルム噛み込みが発生し易くなり、また、顆粒樹脂同士の移動時の擦れにより成形時の粉塵が発生するという課題や、ハンドリングが難しいという課題に加えて、下型に設けられるキャビティ内の全領域に対して均等に封止樹脂を供給(散布)することが難しく巻きムラが生じ易いという課題があった。また、封止樹脂の散布時に粒同士の隙間に含まれる空気及び溶融時に封止樹脂より脱泡することによる気体成分が抜けずに成形品にボイド等として残ってしまう成形不良が生じ易いという課題があった。特に、電子部品がワイヤー接続により搭載されたワークの場合、樹脂封止時のキャビティ内における樹脂流動に起因するワイヤー流れ(ワイヤーの変形、切断)が生じるおそれもあった。
【0007】
また、圧縮成形に用いられる封止樹脂は、当然、本硬化する前の状態であることから剛性が低く(脆く)、強度が弱いため、形成過程等において割損が発生し易いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、ハンドリングが容易な封止樹脂であって、且つ、上型にキャビティが設けられる構成の課題解決及び下型にキャビティが設けられる構成の課題解決と、樹脂流動、巻きムラ、残留気体、成形時の粉塵発生に起因する成形不良の発生防止と、厚さ寸法が大きい成形品の形成と、を可能とする圧縮成形装置及び圧縮成形方法を実現することができる封止樹脂を形成する形成装置及び形成方法を提供することを目的とする。これに加えて、形成過程における封止樹脂の割損の発生を防止することを目的とする。特に、封止樹脂に貼り付いたリリースフィルムを剥離する際に割損が発生し易いため、その解決が課題となる。
【0009】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
一実施形態に係る封止樹脂の形成装置は、ワークの圧縮成形に用いられる封止樹脂を形成する形成装置であって、型開閉される一対の下型及び上型を有し、リリースフィルムを介在させた状態でベース樹脂を収容及び加熱加圧し、所定形状の前記封止樹脂を形成する形成金型と、形成される前記封止樹脂から前記リリースフィルムを剥離するフィルム剥離機構と、を備えることを要件とする。
【0011】
例えば、前記ベース樹脂として、パウダー樹脂(粉樹脂)が用いられ、前記形成金型は、前記パウダー樹脂を打錠する打錠金型である。
【0012】
また、前記形成金型は、形成される前記封止樹脂が前記ワークの圧縮成形に用いられる際に熱硬化することができるように、前記ベース樹脂が熱硬化しない加熱温度に設定されることが好ましい。
【0013】
また、前記フィルム剥離機構は、前記リリースフィルムの一端部を把持して他端部へ向けて移動する把持部を有することが好ましい。
【0014】
また、前記フィルム剥離機構は、前記把持部が前記リリースフィルムの一端部を把持して他端部へ向けて移動する際に、前記リリースフィルムを周面の一部に転接もしくは摺接させて前記リリースフィルムにテンションを付与しながら前記把持部の移動方向と同方向に直線移動するテンションローラを有することが好ましい。
【0015】
また、前記フィルム剥離機構は、前記テンションローラを回転可能に支持すると共に、前記テンションローラの直線移動を規制するように抵抗を付与するテンション部を有することが好ましい。
【0016】
また、前記テンション部は、エアシリンダもしくは電動モータを用いた直動機構を有し、前記抵抗は前記直動機構によって設定もしくは可変制御される構成であることが好ましい。
【0017】
また、前記フィルム剥離機構は、上面もしくは下面の一方に前記封止樹脂を吸着する吸着部が設けられた吸着ステージを有し、前記把持部及び前記テンションローラは、前記吸着ステージに対して前記吸着部が設けられる面と同一側に配置されていることが好ましい。
【0018】
また、前記封止樹脂の上下面が逆になるように反転させる反転機構をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る形成装置によれば、以下の効果を奏する圧縮成形装置及び圧縮成形方法の実現が可能な封止樹脂を形成することができる。具体的に、圧縮成形装置及び圧縮成形方法において、上型にキャビティが設けられる構成の課題解決及び下型にキャビティが設けられる構成の課題を解決することができる。また、樹脂流動、巻きムラ、残留気体、成形時の粉塵発生に起因する成形不良の発生を防止することができる。また、厚さ寸法が小さい(薄い)成形品はもちろん、厚さ寸法が大きい(厚い)成形品を形成することができる。また、顆粒樹脂等と比べて特に供給時やセット時におけるハンドリングが容易となる。
【0020】
また、上記の形成装置によれば、形成過程で封止樹脂に貼り付いたリリースフィルムを剥離する際に、当該封止樹脂における割損の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る形成装置及び形成方法により形成される封止樹脂が用いられる圧縮成形装置の例を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る形成装置及び形成方法により形成される封止樹脂が用いられる圧縮成形方法の例を説明する説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る形成装置及び形成方法により形成される封止樹脂が用いられる圧縮成形方法の他の例を説明する説明図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る封止樹脂の形成装置の例を示す平面図である。
【
図10】
図9に示す形成装置のプレス装置の例を示す正面図である。
【
図11】
図9に示す形成装置の打錠金型の例を示す正面断面図である。
【
図12】
図9に示す形成装置のレジンガードの例を示す平面図である。
【
図13】
図9に示す形成装置のフィルム剥離機構の例を示す正面図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る封止樹脂の形成方法の説明図である。
【
図17】本発明の実施形態に係る形成装置及び形成方法により形成される封止樹脂の例を示す斜視図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る形成装置及び形成方法により形成される封止樹脂の他の例を示す斜視図である。
【
図19】本発明の実施形態に係る形成装置及び形成方法により形成される封止樹脂の他の例を示す斜視図である。
【
図20】本発明の実施形態に係る形成装置及び形成方法により形成される封止樹脂の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(圧縮成形装置及び圧縮成形方法)
本発明の実施形態に係る封止樹脂の形成装置100及び形成方法は、ワークWの圧縮成形に用いられる封止樹脂Rを形成する装置及び方法である。初めに、当該封止樹脂Rを用いてワークWの樹脂封止(圧縮成形)を行う圧縮成形装置1及び圧縮成形方法の概略について説明する。ここで、
図1は、圧縮成形装置1の例を示す平面図(概略図)である。尚、説明の便宜上、図中において矢印により左右方向(X方向)、前後方向(Y方向)、上下方向(Z方向)を示す場合がある。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0023】
封止対象であるワークWは、基材Waに電子部品Wbが搭載された構成を備えている。より具体的には、基材Waの例として、樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状の部材が挙げられる。また、電子部品Wbの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。尚、基材Waの形状は、長方形状(短冊状)、正方形状、円形状等である。また、一つの基材Waに搭載される電子部品Wbの個数は、一つもしくは複数個(例えば、マトリクス状等)に設定される。
【0024】
基材Waに電子部品Wbを搭載する方法の例として、ワイヤーボンディング実装、フリップチップ実装等による方法が挙げられる。あるいは、樹脂封止後に成形品Wpから基材(ガラス製や金属製のキャリアプレート)Waを剥離する構成の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品Wbを貼付ける方法もある。
【0025】
また、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。尚、フィルムFは、後述の形成装置100において封止樹脂Rを形成する際にも用いられる。
【0026】
図1に示すように、圧縮成形装置1は、ワークWの供給等を行う供給ユニット10A、ワークWを樹脂封止して成形品Wpへの加工等を行うプレスユニット10B、成形品Wpの収納等を行う収納ユニット10Cを主要構成として備えている。一例として、
図1中のX方向に沿って、供給ユニット10A、プレスユニット10B、収納ユニット10Cの順に配置されている。但し、上記の構成に限定されるものではなく、ユニット内の機器構成やユニット数(特に、プレスユニット数)、ユニットの配置順等を変更することができる。また、上記以外のユニットを備える構成とすることもできる(いずれも不図示)。
【0027】
また、圧縮成形装置1は、各ユニット間を跨いでガイドレール20が直線状に設けられており、ワークW及び封止樹脂Rを搬送する搬送装置(第1ローダ)22、並びに、成形品Wpを搬送する(封止樹脂Rの搬送に用いてもよい)搬送装置(第2ローダ)24が、ガイドレール20に沿って所定のユニット間を移動可能に設けられている。但し、上記の構成に限定されるものではなく、ワークW、封止樹脂R、及び成形品Wpを搬送する共通の(一つの)搬送装置(ローダ)を備える構成としてもよい(不図示)。また、搬送装置は、ローダに代えて、ロボットハンド等を備える構成としてもよい。
【0028】
また、圧縮成形装置1は、各ユニットにおける各機構の作動制御を行う制御部30が供給ユニット10Aに配置されている(他のユニットに配置される構成としてもよい)。
【0029】
プレスユニット10Bは、プレス装置250によって型開閉される一対の封止金型を備えている。封止金型は、一例として、上型にキャビティが設けられる構成(封止金型202)としてもよく、他の例として、下型にキャビティが設けられる構成(封止金型302)としてもよい。
【0030】
一例として、封止金型202を備える場合の圧縮成形装置1を用いて実施される圧縮成形方法の工程について
図2~
図5を参照して説明する。この場合、プレス装置250には、上型204におけるキャビティ208の内面を含む金型面204a(所定領域)を覆うためのフィルムFを供給するフィルム供給部211が設けられている。尚、一例として、フィルムFは、ロール状であるが短冊状であってもよい。
【0031】
先ず、準備工程(封止準備工程)を実施する。具体的に、上型204及び下型206を所定温度(例えば、100℃~300℃)に調整して加熱する工程を実施する。また、フィルム供給部211を作動させて新しいフィルムFを供給して、上型204におけるキャビティ208の内面を含む金型面204aの所定領域を覆うように吸着させる工程を実施する。
【0032】
準備工程の後に、下型206のワーク保持部205にワークWを保持させるワーク保持工程を実施する。具体的には、供給マガジン12から供給されたワークWを、第1ローダ22によって保持して封止金型202内へ搬入し、下プレート242(金型面206a)のワーク保持部205に保持させる。
【0033】
ワーク保持工程の後に、封止樹脂Rを、ワーク保持部205に保持させたワークWの上に載置する樹脂載置工程を実施する(
図2参照)。具体的には、後述する封止樹脂の形成装置(単に、「形成装置」と称する場合がある)100において形成された封止樹脂Rを、第1ローダ22(他の搬送装置でもよい)によって保持して封止金型202内へ搬入し、ワーク保持部205に保持されたワークWの上に載置する。
【0034】
または、樹脂載置工程の他の例として、上記のワーク保持工程の前に、形成装置100において形成された封止樹脂RをワークWの上に載置する工程として実施してもよい。その場合、ワーク保持工程は、封止樹脂Rが載置された状態のワークWをワーク保持部205に保持させる工程となる。すなわち、第1ローダ22は、封止樹脂Rが載置された状態のワークWを保持して封止金型202内へ搬入し、ワーク保持部205に保持させる。封止金型202へのワークWと封止樹脂Rをそれぞれ別に行うのではなく、一回で行う利点がある。
【0035】
次いで、ワークWを封止樹脂Rにより封止して成形品Wpに加工する樹脂封止工程を実施する。具体的に、封止金型202の型閉じを行い、クランパ228に囲われたキャビティ208内でキャビティ駒226を相対的に下降させて、ワークWに対して封止樹脂Rを加熱加圧する型閉じ工程を実施する。尚、
図3Aは
図2におけるIII部の拡大図であり、型閉じ工程おいて
図3Aの状態から
図3Bの状態となるように封止樹脂Rの軟化・溶融が進行する。
【0036】
これにより、封止樹脂Rが熱硬化して樹脂封止(圧縮成形)が完了する(
図4参照)。
【0037】
尚、上記の型閉じ工程に続く後の工程は、従来の圧縮成形方法と同様である。概略として、封止金型202の型開きを行い、成形品Wpと使用済みのフィルムFとを分離して当該成形品Wpを取出せるようにする型開き工程を実施する(
図5参照)。次いで、第2ローダ24によって、成形品Wpを封止金型202内から搬出し、収納ユニット10Cへ搬送する成形品搬出工程を実施する。一例として、搬送した成形品Wpは、収納マガジン14に収納する。また、成形品搬出工程の後に、もしくは、並行して、フィルム供給部211を作動させて、使用済みのフィルムFを封止金型202内から送り出し、新しいフィルムFを封止金型202内へ送り込んでセットする工程を実施する。
【0038】
以上が封止金型202を備える場合の圧縮成形装置1を用いて行う圧縮成形方法の主要工程である。但し、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。
【0039】
他の例として、封止金型302を備える場合の圧縮成形装置1を用いて実施される圧縮成形方法の工程について
図6~
図8を参照して説明する。この場合、プレス装置250には、下型306におけるキャビティ308の内面を含む金型面306a(所定領域)を覆うためのフィルムFを供給するフィルム供給部311が設けられている。尚、一例として、フィルムFは、ロール状であるが短冊状であってもよい。
【0040】
先ず、準備工程(封止準備工程)を実施する。具体的に、上型304及び下型306を所定温度(例えば、100℃~300℃)に調整して加熱する工程を実施する。また、フィルム供給部311を作動させて新しいフィルムFを供給して、下型306におけるキャビティ308の内面を含む金型面306aの所定領域を覆うように吸着させる工程を実施する。
【0041】
準備工程の後に、上型304のワーク保持部305にワークWを保持させるワーク保持工程を実施する。具体的には、供給マガジン12から供給されたワークWを、第1ローダ22によって保持して封止金型302内へ搬入し、上プレート342(金型面304a)のワーク保持部305に保持させる。
【0042】
ワーク保持工程の後に、樹脂保持工程を実施する(尚、ワーク保持工程の前に、もしくは並行して実施してもよい)。樹脂保持工程は以下の工程を有している。封止樹脂Rを、下型306のキャビティ308内に保持させる(
図6参照)。具体的には、形成装置100において形成された封止樹脂Rを、第1ローダ22(他の搬送装置でもよい)によって保持して封止金型302内へ搬入し、キャビティ308内に収容する(具体的には、キャビティ駒326の上面に載置する)。
【0043】
次いで、ワークWを封止樹脂Rにより封止して成形品Wpに加工する樹脂封止工程を実施する。具体的に、封止金型302の型閉じを行い、クランパ328に囲われたキャビティ308内でキャビティ駒326を相対的に上昇させて、ワークWに対して封止樹脂Rを加熱加圧する型閉じ工程を実施する。これにより、封止樹脂Rが熱硬化して樹脂封止(圧縮成形)が完了する(
図7参照)。
【0044】
尚、上記の型閉じ工程に続く後の工程は、従来の圧縮成形方法と同様である。概略として、封止金型302の型開きを行い、成形品Wpと使用済みのフィルムFとを分離して当該成形品Wpを取出せるようにする型開き工程を実施する(
図8参照)。次いで、第2ローダ24によって、成形品Wpを封止金型302内から搬出し、収納ユニット10Cへ搬送する成形品搬出工程を実施する。一例として、搬送した成形品Wpは、収納マガジン14に収納する。また、成形品搬出工程の後に、もしくは、並行して、フィルム供給部311を作動させて、使用済みのフィルムFを封止金型302内から送り出し、新しいフィルムFを封止金型302内へ送り込んでセットする工程を実施する。
【0045】
以上が封止金型302を備える場合の圧縮成形装置1を用いて行う圧縮成形方法の主要工程である。但し、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。
【0046】
(封止樹脂の形成装置)
続いて、上記の圧縮成形装置1及び圧縮成形方法に用いられる封止樹脂Rを形成する形成装置100について
図9~
図13を参照して説明する。当該形成装置100は、ベース樹脂Rmを加工して、封止樹脂Rを形成する。ここで、
図9は、形成装置100の例を示す平面図(概略図)である。尚、形成装置100は、圧縮成形装置1の装置内、装置外のいずれに設けてもよい。
【0047】
本実施形態においては、ベース樹脂Rm、及び、当該ベース樹脂Rmから形成される封止樹脂Rとして、熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等であるが、これに限定されない)が用いられる。封止樹脂Rは、全体の形状がワークWの形状に対応させた所定形状(詳細は後述)を有する固形・半固形樹脂として形成される。通常は、一個で封止必要量(ワークW一個当たりの一回分)の「全体」をなすが、数個(例えば二、三個程度)の分割状態で封止必要量の「全体」をなすように構成してもよい。また、上記「半固形」とは完全な固形状態ではなくいわゆるBステージまで溶融した状態をいう。尚、ベース樹脂Rmには、熱硬化性樹脂(性質)であるパウダー樹脂(粉状樹脂態様)が好適に用いられる。但し、これに限定されるものではなく、顆粒樹脂、破砕状樹脂、固形樹脂、液状樹脂、もしくは、それらの内の複数を組合せた樹脂、が用いられる構成としてもよい。
【0048】
図9に示すように、形成装置100は、ベース樹脂Rmの供給等を行う供給部100A、ベース樹脂Rmから封止樹脂Rの形成等を行う形成部100B、形成された封止樹脂Rのフィルム剥離及び収納等を行う収納部100C、ベース樹脂Rm及び封止樹脂R等を搬送する搬送部100D、各機構の作動制御等を行う制御演算部100E、を主要構成として備えている。
【0049】
先ず、搬送部100Dは、一例として、供給部100A~収納部100C間に敷設されるガイドレール167、並びに、ガイドレール167上を移動して、ベース樹脂Rmを搬送する第1の搬送装置(ローダ)168、及び、封止樹脂Rを搬送する第2の搬送装置(ローダ)169を備えている。但し、上記の構成に限定されるものではなく、ベース樹脂Rm及び封止樹脂Rを搬送する共通の(一つの)搬送装置(ローダ)を備える構成としてもよい。また、搬送装置(ローダ)168、169は、X方向及びY方向に移動可能に構成されているが、X方向に移動する搬送装置と、Y方向に移動する搬送装置とを別個に備える構成としてもよい。また、搬送装置は、ローダに代えて、ロボットハンド等を備える構成としてもよい(いずれも不図示)。
【0050】
次に、形成部100Bは、一例として、プレス装置150によって型開閉される一対の金型(例えば、合金工具鋼からなる複数の金型ブロック、金型プレート、金型ピラー等やその他の部材が組み付けられたもの)を有する形成金型102を備えている。ここで、プレス装置150の正面図(概略図)を
図10に示す。また、形成金型102の正面断面図(概略図)を
図11に示す。
【0051】
プレス装置150は、
図10に示すように、一対のプラテン154、156と、一対のプラテン154、156が架設される複数のタイバー152と、プラテン156を可動(昇降)させる駆動装置等を備えて構成されている。具体的に、当該駆動装置は、駆動源(例えば、電動モータ)160及び駆動伝達機構(例えば、ボールねじやトグルリンク機構)162等を備えて構成されている(但し、これに限定されるものではない)。本実施形態では、鉛直方向において上方側のプラテン154を固定プラテン(タイバー152に固定されるプラテン)とし、下方側のプラテン156を可動プラテン(タイバー152に摺動可能に保持されて昇降するプラテン)として設定している。但し、これに限定されるものではなく、上下逆に、すなわち上方側を可動プラテン、下方側を固定プラテンに設定してもよく、あるいは、上方側、下方側共に可動プラテンとして設定してもよい(いずれも不図示)。
【0052】
一方、形成金型102は、
図10に示すように、プレス装置150における上記一対のプラテン154、156間に配設される一対の金型として、鉛直方向における上方側の上型104と、下方側の下型106とを備えている。上型104が上方側のプラテン(本実施形態では、固定プラテン154)に組み付けられ、下型106が下方側のプラテン(本実施形態では、可動プラテン156)に組み付けられている。この上型104と下型106とが相互に接近・離反することで型閉じ・型開きが行われる(鉛直方向(上下方向)が型開閉方向となる)。本実施形態においては、ベース樹脂Rmとしてパウダー樹脂が好適に用いられ、形成金型102は、型閉じ工程でベース樹脂Rm(パウダー樹脂)を打錠することによって封止樹脂Rを形成する「打錠金型」として構成される。具体的に、上型104がいわゆる「杵型」を構成し、下型106がいわゆる「臼型」を構成する。
【0053】
次に、形成金型102の下型106について詳しく説明する。
図11に示すように、下型106は、下型チェイス110と、これに保持されるキャビティ駒126、クランパ128等を備えている。下型チェイス110は、サポートピラー112を介してサポートプレート114の上面に対して固定されている。下型106の上面(上型104側の面)にキャビティ108が設けられている。このキャビティ108内に所定量のベース樹脂Rmが収容される。
【0054】
クランパ128は、キャビティ駒126を囲うように環状に構成されると共に、押動ピン122及びクランパバネ124(例えば、コイルバネに例示される付勢部材)を介して、サポートプレート114の上面に対して離間(フローティング)して上下動可能に組み付けられる(但し、この組み付け構造に限定されるものではない)。このキャビティ駒126がキャビティ108の奥部(底部)を構成し、クランパ128がキャビティ108の側部を構成する。尚、一つの下型106に設けられるキャビティ108の形状や個数は、適宜設定される(一つもしくは複数個)。
【0055】
また、下型106は、クランパ128上面やクランパ128とキャビティ駒126との境界部等に、吸引装置に連通する吸引路(孔や溝等)が設けられている(不図示)。これにより、後述のレジンガード400によってベース樹脂Rmが載置された状態で搬入されるフィルムF(短冊状フィルム)を、キャビティ108の内面を含む金型面106aに吸着させて保持することができる。
【0056】
また、本実施形態においては、下型106を所定温度に加熱する下型加熱機構(不図示)が設けられている。この下型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御演算部100Eによって加熱の制御が行われる。一例として、ヒータは、下型チェイス110に内蔵され、下型106全体及びキャビティ108内に収容されるベース樹脂Rmに熱を加える構成となっている。このとき、ベース樹脂Rmが熱硬化(本硬化)しない程度の所定温度(例えば、50℃~80℃)となるように、下型106が加熱される。
【0057】
尚、上記の下型106は、一例として可動式クランパ(クランパ128)を有する構造であるが、他の例として可動式クランパを有しない構造であってもよい(不図示)。
【0058】
次に、形成金型102の上型104について詳しく説明する。
図11に示すように、上型104は、下型106のキャビティ108内に収容される所定量のベース樹脂Rmを押圧して、ワークWの形状に対応させた所定形状を有する封止樹脂Rとなるように形成(打錠)する打錠プレート142を備えている(形成方法の詳細については後述する)。打錠プレート142は、上型チェイス140に保持(固定)される。一例として、打錠プレート142の下面(下型106側の面)に、封止樹脂Rの脚部Rbを形成するための脚部形成溝(凹部を含む)143が設けられている。尚、脚部形成溝143は、打錠プレート142に設けたが、キャビティ駒126に設けてもよいし、両方に設けてもよい。
【0059】
ここで、プレス装置150には、上型104の金型面104a(所定領域)を覆うためのフィルムFを供給する上型フィルム供給部113が設けられている。尚、一例として、フィルムFは、ロール状であるが短冊状であってもよい。
【0060】
また、上型104は、打錠プレート142等に、吸引装置に連通する吸引路(孔や溝等)が設けられている(不図示)。これにより、上型フィルム供給部113から供給されたフィルムFを、金型面104aに吸着させて保持することができる。
【0061】
また、本実施形態においては、上型104を所定温度に加熱する上型加熱機構(不図示)が設けられている。この上型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御演算部100Eによって加熱の制御が行われる。一例として、ヒータは、上型チェイス140に内蔵され、上型104全体に熱を加える構成となっている。このとき、上記下型106に保持(収容)されるベース樹脂Rmが熱硬化(本硬化)しない程度の所定温度(例えば、50℃~80℃)となるように、上型104が加熱される。
【0062】
次に、供給部100Aは、一例として、フィルムF(短冊状フィルム)を供給するフィルム供給部165を備えている。また、ベース樹脂Rmを供給(吐出)するディスペンサ166を備えている。本実施形態においては、フィルムF(短冊状フィルム)及びベース樹脂Rmの保持にはレジンガード(搬送具)400が用いられ、ローダ168によって搬送される。適宜、複数個のレジンガード400が用意され、循環使用される構成となっている。
【0063】
図12に示すように、レジンガード400は、ベース樹脂Rmを収容する収容部402を有している。当該収容部402には、上下方向に貫通する貫通孔404が形成されており、フィルムFを吸着させる吸着孔408が貫通孔404の周縁部406に穿設されている。この構成によれば、貫通孔404を下面側から塞ぐように短冊状のフィルムFを吸着させた状態で、貫通孔404内のフィルムF上にベース樹脂Rmを載置して保持することができる。貫通孔404の大きさは形成金型102のキャビティ108より少し小さいサイズとなっている。また、レジンガード400の厚さはベース樹脂Rm(パウダー樹脂)を形成金型102のキャビティ108に搬送して形成するのに必要な厚さである。
【0064】
次に、収納部100Cは、一例として、ベース樹脂Rm(パウダー樹脂)の打錠により形成される封止樹脂RからフィルムFを剥離するフィルム剥離機構170を備えている。また、フィルムF剥離後の封止樹脂Rを収納する収納マガジン192を備えている。当該収納マガジン192には、公知のスタックマガジン等を用いることができる。また、封止樹脂Rの上下面が逆になるように反転させる反転機構194を備えている。尚、形成金型102の構成や、形成される封止樹脂Rの構成等に応じて、反転の必要が無い場合には、当該反転機構194を省略する構成としてもよい(不図示)。
【0065】
図13に示すように、フィルム剥離機構170は、その上面もしくは下面の一方に、封止樹脂Rの被吸着面(短冊状のフィルムFで覆われていない面)を吸着する吸着部174が設けられた吸着ステージ172を備えている(図の簡素化のため封止樹脂Rは略板状で図示している)。この構成によれば、封止樹脂Rをクランプせずに吸着ステージ172上に保持できるため、クランプに起因する封止樹脂Rにおける割損の発生を防止できる。
【0066】
また、フィルム剥離機構170は、フィルムFの一端部を把持して他端部へ向けて移動する把持部176を備えている。この構成によれば、吸着ステージ172上に吸着保持した状態の封止樹脂RからフィルムFを剥離することができる。一例として、フィルムFを把持する機構には、把持爪を用いる構成としているが、これに限定されるものではなく、吸着パッド等を用いる構成としてもよい(不図示)。
【0067】
また、フィルム剥離機構170は、把持部176がフィルムFの一端部を把持して他端部へ向けて移動する際に、フィルムFを周面の一部に転接(もしくは摺接)させてフィルムFにテンションを付与しながら当該把持部176の移動方向と同方向に直線移動するテンションローラ178を備えている。把持部176は、フィルム端を挟み込み、次に把持部176が斜め上方の剥がす方向に移動するすることで、テンションローラ178に巻き付けることができる。
【0068】
一例として、把持部176及びテンションローラ178は、吸着ステージ172に対して吸着部174による吸着力が生じる面と同一側に配置されている。また、テンションローラ178の中心軸が上記直線移動方向と直交するように配置されている。
【0069】
さらに、フィルム剥離機構170は、テンションローラ178を回転可能に支持する支持部182を有すると共に、テンションローラ178の直線移動を規制するように抵抗を付与するテンション部180を備えている。
【0070】
テンション部180は、一例として、エアシリンダを用いた直動機構(把持部176と同方向に支持部182を直線移動させる機構)184を備え、上記の「抵抗」は当該直動機構184によって(例えば、摺動抵抗や作動力によって)設定される構成となっている。尚、大気開放のエア排気の摺動抵抗だけでもよいが、排気圧を制御してもよい。あるいは、他の例として、電動モータ及びボールねじ等を用いた直動機構を備える構成としてもよい(不図示)。上記いずれの例においても、「抵抗」が一定に設定される構成に代えて、制御演算部100Eにより可変制御される構成としてもよい。
【0071】
この構成によれば、封止樹脂RからフィルムFを剥離する際に、強過ぎない適切なテンションをフィルムFに与えることができるため、強いテンションに起因する封止樹脂Rにおける割損の発生を防止できる。
【0072】
(封止樹脂の形成方法)
続いて、上記の形成装置100を用いて実施される本実施形態に係る封止樹脂の形成方法の工程について説明する。ここで、
図14~
図16は、各工程の説明図であって、
図11と同方向の正面断面図として図示する。
【0073】
先ず、準備工程(打錠準備工程)を実施する。準備工程は以下の工程を有している。下型加熱機構により下型106を所定温度(ベース樹脂Rm、封止樹脂Rが本硬化しない温度であり、例えば、50℃~80℃)に調整して加熱する下型加熱工程を実施する。また、上型加熱機構により上型104を所定温度(ベース樹脂Rm、封止樹脂Rが本硬化しない温度であり、例えば、50℃~80℃)に調整して加熱する上型加熱工程を実施する。また、上型フィルム供給部113を作動させて新しいフィルムFを供給して、上型104の金型面104aの所定領域を覆うように吸着させる上型フィルム供給工程を実施する。
【0074】
準備工程の後に、レジンガード400の貫通孔404を塞ぐようにフィルムFを吸着させて保持する。その状態で、フィルムF上にディスペンサ166からベース樹脂Rmを供給(吐出)する。次いで、レジンガード400に保持された状態のフィルムF及びベース樹脂Rmをローダ168によって搬送し、当該フィルムF及びベース樹脂Rmを形成金型102の所定位置に(この場合、下型106のキャビティ108内に収容されるように)セットするセット工程を実施する(
図14参照)。尚、フィルムF及びベース樹脂Rmをセットした後のレジンガード400については、ローダ168によって供給部100Aへ返送する。
【0075】
セット工程の後に、形成金型102においてフィルムFを介在させた状態でベース樹脂Rmを加熱加圧して所定形状の封止樹脂Rを形成する形成工程を実施する。本実施形態に係る形成工程は、ベース樹脂Rmを打錠することにより、封止樹脂Rとして、全体の形状がワークWの形状に対応させた「所定形状」(詳細は後述)を有する固形・半固形樹脂を形成する打錠工程を備えている。具体的に、プレス装置150を作動させて、上記の所定温度に昇温された形成金型102の型閉じを行う工程(型閉じ工程)を実施する(
図15参照)。このとき、キャビティ108内でキャビティ駒126が相対的に上昇して、キャビティ駒126と打錠プレート142とでベース樹脂Rmを打錠(挟み込んで加圧)する。これにより、所定形状を有し、熱硬化(本硬化)していない状態の固形・半固形の封止樹脂Rが形成される。このとき、フィルムFを介して打錠プレート142の脚部形成溝143内に進入するベース樹脂Rmが封止樹脂Rの脚部Rbとなり、その他の(残余の)ベース樹脂Rmが封止樹脂Rの本体部Raとなる(封止樹脂Rの詳細構成については後述する)。尚、打錠工程の変形例として、ベース樹脂Rmの一部を上型104に保持(溶着、把持等)させてもよい(不図示)。
【0076】
尚、上記の打錠工程は、形成される封止樹脂Rが、後に圧縮成形装置1において実施される樹脂封止工程(圧縮成形方法の一工程)において熱硬化(本硬化)することができるように、ベース樹脂Rmが熱硬化(本硬化)しない温度で実施すること(熱硬化(本硬化)しない温度に下型106及び上型104を加熱して実施すること)が重要である。前述の通り、「熱硬化しない温度」は、ベース樹脂Rmの材質にもよるが、具体例として、50℃~80℃程度である(本実施形態においては、70℃程度である)。
【0077】
ここで、封止樹脂Rの「所定形状」について説明する。一例として、封止金型202を備える場合の圧縮成形装置1に用いられる封止樹脂Rの場合、「所定形状」は、ワークWの基材Wa上に載置されたときに電子部品Wb(ワイヤーを有する電子部品Wbは、ワイヤーを含む)に当接しない形状である。一例として、
図2に示すように、板状もしくはブロック状の本体部Raと、本体部Raの一方の面(ワークWの電子部品Wbと対向する側の面)に断続的(もしくは連続的)に立設された脚部Rbと、が設けられた形状の封止樹脂Rが好適である(但し、この形状に限定されるものではない)。本体部Raは、平面視でキャビティ208内に入る大きさであり、樹脂流動を考慮すると、キャビティ208の形状(特に、キャビティ駒226)より少し小さい大きさが好適である。また、脚部Rbは、電子部品Wbに当接しない高さH(
図3A参照)が必要ではあるが、ワイヤーが塑性変形しない程度の接触を除外するものではない。また、脚部Rbは、本体部Raの平面視で電子部品Wbに当接しない位置で、ワークWの基材Wa上に載置されたときに本体部Raが傾かない位置に配置されている。さらに、成形時にワークWの配線(特に、ワイヤー)を少しでも損傷させないように電子部品Wb間または電子部品Wbの外周位置に配置される構成が好適である。尚、板状もしくはブロック状の本体部Raと、脚部Rbの合計樹脂量は、一回の圧縮成形に不足しない程度に、過不足の無い樹脂量であってもよいし、多くの樹脂量であってもよい。封止樹脂Rの具体的な構成例(
図17~
図20)の詳細については後述する。
【0078】
他の例として、封止金型302を備える場合の圧縮成形装置1に用いられる封止樹脂Rの場合、「所定形状」は、封止金型302の型閉じをする際に、上型304を下型306に徐々に接近させて、キャビティ308内に収容された封止樹脂Rの脚部Rbの先端部(上端部)が、ワーク保持部305に保持されたワークWの基材Waと当接した状態において、封止樹脂Rの本体部RaがワークWの電子部品Wb(ワイヤーを有する電子部品Wbは、ワイヤーを含む)と当接しない形状である。尚、封止樹脂Rの具体的な形状については、上記の封止金型202を備える場合の圧縮成形装置1に用いられる封止樹脂Rの場合と同様(
図17~
図20参照)となるため、繰り返しの説明を省略する。但し、封止樹脂Rは、
図17~
図20に示す構成に限定されるものではなく、上面に脚部Rbを設けずに、上面が平面状に形成された構成としてもよい(不図示)。
【0079】
次に、上記ベース樹脂Rmの「所定量」を設定する樹脂量設定工程について説明する。樹脂量設定工程の一例として、封止対象となるワークW毎に、一つの基材Waに搭載された電子部品Wbの有無の数(搭載数もしくは欠落数であり、さらには電子部品Wbの個々の高さを計測する場合及び基材Waの厚さ及びワークWの重量を計量する場合を含んでもよい)を計測機構等(不図示)により計測したデータを制御演算部100Eが取得する。次いで、制御演算部100Eが、当該計測データに基づいて、当該ワークW毎に樹脂封止(圧縮成形)に必要な樹脂量(グラム数)を算定する。または、樹脂量設定工程の他の例として、封止対象となるワークWの種類に対応する複数種類の定型量が用意され、当該定型量のうちワークWの種類に応じて最適な一つを制御演算部100Eもしくはオペレータが選択して「所定量」を設定する。定型量の場合は、樹脂封止時(圧縮成形時)に樹脂量が不足しないことが重要である。いずれの設定によっても、ワークWに対して適正な量のベース樹脂Rmを供給することができる。したがって、特に、樹脂封止時に必要な樹脂量が不足することに起因する成形不良の発生を防止することができる。さらに、必要よりも過多の樹脂量が供給されることによる無駄の発生を防止することができる。
【0080】
また、上記ベース樹脂Rmとして、パウダー樹脂が用いられることが好適である。これによれば、顆粒樹脂や破砕状樹脂が用いられる場合と比較して、上記供給量の樹脂を極めて正確に調整して供給することができる。但し、パウダー樹脂に限定されるものではない。
【0081】
打錠工程の後に、形成金型102の型開きを行い、封止樹脂Rと使用済みのフィルムF(封止樹脂Rの第1面に貼り付いているロール状のフィルムF)とを分離して当該封止樹脂Rを取出せるようにする型開き工程を実施する(
図16参照)。尚、説明の便宜上、封止樹脂Rにおいて、上型104によって加圧形成された面を「第1面」、下型106によって加圧形成された面を「第2面」と称する。
【0082】
型開き工程の後に、もしくは、並行して、上型フィルム供給部113を作動させて、上型104用の使用済みのフィルムF(ロール状フィルム)を形成金型102内から送り出し、新しいフィルムFを形成金型102内へ送り込んで上型104(金型面104a)にセットする上型フィルム供給工程を実施する。
【0083】
また、型開き工程の後に、ローダ169によって、封止樹脂Rを形成金型102内から搬出し、収納部100Cへ搬送する搬出工程を実施する。本実施形態においては、封止樹脂Rの第2面に下型106用の使用済みのフィルムF(短冊状フィルム)が貼り付いている状態で、収納部100Cへ搬送する。
【0084】
搬出工程の後に、封止樹脂RからフィルムF(封止樹脂Rの第2面に貼り付いている短冊状のフィルムF)を剥離する剥離工程を実施する。本実施形態においては、先ず、反転機構194を用いて封止樹脂Rを上下に反転させる反転工程を実施する。これにより、封止樹脂Rにおける短冊状のフィルムFが貼り付いている第2面を上向きに、短冊状のフィルムFが貼り付いていない第1面を下向きにすることができる。尚、反転させる必要が無い場合は、上記の反転工程を省略すればよい。
【0085】
反転工程の後に、封止樹脂R(第1面が下向きの状態)を吸着ステージ172上に載置する。次いで、吸着部174の作動により吸着力を発生させて、封止樹脂Rを吸着ステージ172上に吸着して保持する(第1面が被吸着面となる)。次いで、把持部176がフィルムFの一端部を把持(挟持)して他端部へ向けて移動する。より詳しくは、フィルムFの一端部を把持した把持部176が、先ず、斜め上方へ(矢印A方向へ)移動し、次いで、水平方向へ(矢印B方向へ)移動する(
図13参照)。これらの動作によって、封止樹脂R(第2面)からフィルムF(短冊状フィルム)を剥離することができる。
【0086】
ここで、把持部176が移動する際には、テンションローラ178の周面の一部にフィルムFを転接(もしくは摺接)させつつ、把持部176の移動方向と同方向にテンションローラ178が直線移動する(尚、移動距離はテンションローラ178よりも把持部176の方が長くなる)。このとき、テンション部180が、テンションローラ178の移動抵抗(直線移動を抑制するように作用する抵抗、すなわち、移動方向と逆向きに作用する力)を付与する。前述の通り、当該抵抗は、直動機構184の摺動抵抗や作動力によって一定に設定される構成であるが、変形例として制御演算部100Eにより可変制御される構成、すなわち、封止樹脂RやフィルムFの材質に応じて適宜、抵抗を変更可能な構成としてもよい。
【0087】
前述の通り、本硬化する前の封止樹脂Rは、剛性が低く(脆く)、強度が弱いため、割損が発生し易い課題があった。この課題に対して、上記の構成によれば、封止樹脂Rをクランプせずに吸着ステージ172上に保持できるため、封止樹脂Rにおける割損の発生を防止することができる。さらに、フィルムFを剥離する際に強過ぎない適切なテンションをフィルムFに与えることができるため、封止樹脂Rにおける割損の発生を防止することができる。
【0088】
剥離工程の後に、剥離したフィルムF(短冊状フィルム)を、ディスポーザ(不図示)に廃棄する。また、封止樹脂Rを、収納マガジン192に収納する。
【0089】
以上が形成装置100を用いて行う封止樹脂Rの形成方法の主要工程である。但し、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。
【0090】
(封止樹脂)
続いて、上記の形成装置100及び形成方法によって形成される封止樹脂Rの具体的な構成例を
図17~
図20に示すと共に、それぞれの特徴について説明する。
【0091】
先ず、
図17~
図20に示す各例に共通する構成として、本体部Raは、板状に形成されている(尚、板状以外の形状、例えば、凹部や凸部等を有するブロック状等としてもよい)。また、脚部Rbは、当該封止樹脂Rが、ワークWの基材Wa上の所定位置(設計上の設定位置)に載置されたときに、ワークWの電子部品Wbに当接しない位置となるように本体部Raに立設され、且つ、本体部Raが電子部品Wbに当接しない距離が確保できる高さH(
図3A等参照)に形成されている。前述の通り、打錠工程において、フィルムFを介して打錠プレート142の脚部形成溝143内に進入するベース樹脂Rmが封止樹脂Rの脚部Rbとなり、その他の(残余の)ベース樹脂Rmが封止樹脂Rの本体部Raとなる。
【0092】
図17に示す封止樹脂Rの例では、脚部Rbは、全部(もしくは一部としてもよい)が点状に配置される凸状体Rb1として形成されている。凸状体Rb1の例として、複数の位置に配設され、平面視で幅W1に対する長さL1の比tが、一例として0.5≦t≦2となる形状に形成されている。これによれば、脚部Rbが点状に配設される柱状である構成によって、ワークW上に載置される封止樹脂Rが圧縮成形時に流動することを抑制できる。したがって、ワイヤー流れ等を防止でき、成形品質を向上させることができる。
【0093】
図18に示す封止樹脂Rの例では、脚部Rbは、一部(もしくは全部としてもよい)が線状に配置される凸状体Rb2として形成されている。凸状体Rb2の例として、一つの位置(もしくは複数の位置としてもよい)に配設され、平面視で幅W2に対する長さL2の比tが、一例としてt<0.5または2<tとなる形状に形成されている。これによれば、所定長さの堤状の構成を有する脚部Rb(この場合、凸状体Rb2)から樹脂流動を意図的に発生させて、ワークWにおける狭隘部(例えば、フリップチップ接続された基材Waと電子部品Wbとの間等)への封止樹脂Rの充填を促進することができる。したがって、成形品Wpに気体が残留することを防止でき、成形品質を向上させることができる。
【0094】
図19に示す封止樹脂Rの例では、脚部Rbは、本体部Raの外周(外縁領域を指す)全域(全周)にわたって断続的(もしくは連続的としてもよい)に囲うように配置される凸状体Rb3として形成されている。凸状体Rb3の例として、上記Rb2と同様構成の凸状体が、所定間隔で隙間L3を設けつつ、周状をなすように連なって形成されている。一般的に、成形品Wpにおける封止樹脂Rの外周位置は、個片化される際にダイサー等によって切断される位置であり、電子部品Wbが存在しないため、中央位置と比較して封止するための樹脂量を多く必要とする。そのため、この構成のように、外周全域にわたって囲うように配置される脚部Rb(この場合、凸状体Rb3)を設けておくことによって、圧縮成形時の樹脂流動を抑制しつつ、外周位置に多くの樹脂を供給することが可能となる。さらに、隙間L3が設けられることによって、内部(中央部)から外部への空気等の気体成分の排出が促進される。
【0095】
一方、
図20に示す封止樹脂Rの例は、本体部Raの他方の面(脚部Rbが設けられない側の面、すなわちワークWの電子部品Wbと対向しない側の面)に関する構成例である。具体的に、本体部Raは、他方の面において、個片化するためのダイシングが行われる位置に、線状の溝部Rgが形成されている。これによれば、ダイシング刃の摩耗の低減と、ダイシング時に発生する粉塵の低減とを図ることができる。一例として、溝部Rgはダイシング位置に一致させて格子状に設けられているが、これに限定されるものではない。尚、溝部Rgを形成するためには、対応する形状の突起部(不図示)が上面に設けられたキャビティ駒126を用いて、打錠工程を実施すればよい。
【0096】
以上、説明した通り、本発明に係る形成装置100によれば、形成過程で封止樹脂Rに貼り付いたフィルムFを剥離する際に、封止樹脂Rをクランプせずに保持することができる。さらに、強過ぎない適切なテンションをフィルムFに与えながら、フィルムFの剥離動作を行うことができる。したがって、本硬化する前の封止樹脂Rにおいて、割損が発生することを防止できる。
【0097】
また、当該形成装置100及び形成方法によって形成される封止樹脂Rを用いれば、以下の効果を奏する圧縮成形装置1及び圧縮成形方法を実現することができる。具体的に、当該圧縮成形装置1及び圧縮成形方法によって、樹脂流動、巻きムラ、残留気体、成形時の粉塵発生に起因する成形不良の発生を防止することができる。また、薄い成形品Wp(厚さ寸法が1mm未満)はもちろん、厚い成形品Wp(厚さ寸法が1mm以上)を形成することができる。尚、厚さ寸法の上限は、各種設定条件によるものの、10mm程度まで十分形成可能であると考えられる。また、供給時やセット時におけるハンドリングが容易となる。
【0098】
さらに、当該圧縮成形装置1及び圧縮成形方法によって、上型にキャビティが設けられる構成の場合に生じる課題の解決を図ることができる。すなわち、上型にキャビティが設けられる従来の圧縮成形装置では、例えば、ストリップタイプのワイヤー接続された電子部品(半導体チップ)Wbが搭載されたワークW等に対して型閉じ工程を実施する際に、下型に保持されるワークのワイヤー部分が予めキャビティに供給した封止樹脂またはワーク上に供給した封止樹脂と接触して変形・切断してしまうため、樹脂封止が困難であるという課題があった。この課題に対して、本実施形態に係る装置・方法によって形成される封止樹脂R、すなわち、ワークWの形状に対応させた所定形状に形成された固形・半固形樹脂を用いる構成を採用することにより、その解決を図ることができる。
【0099】
具体的には、型閉じ工程の際に、
図3Aから
図3Bに移行するように、封止樹脂Rの加熱による軟化及び溶融が進む。このとき、全てのワイヤーに均一に樹脂(具体的には、本体部Ra)が当接する状態となる(
図3B参照)。したがって、ワイヤーの変形・切断を防止することが可能となる。
【0100】
尚、実際に上記の圧縮成形装置1において、本実施形態に係る装置・方法によって形成された封止樹脂Rを用いて実験を行ったところ、上型にワークWが保持され、下型にキャビティが設けられ、当該キャビティに封止樹脂(具体的には、顆粒樹脂)が供給される構成を有する従来の圧縮成形装置と比較して、ワイヤーの変形・切断が防止され、成形品質が向上する結果が確認できた。
【0101】
一方、当該圧縮成形装置1及び圧縮成形方法によって、下型にキャビティが設けられる構成の場合に生じる課題の解決を図ることもできる。すなわち、下型にキャビティが設けられる従来の圧縮成形装置では、特に、封止樹脂として顆粒樹脂が用いられる場合、キャビティ内に収容される封止樹脂(顆粒樹脂)の粒径や高さ(積層厚さ)は均一にはならない。そのため、例えば、顆粒樹脂の種類及び溶融状態によっては完全に液状(粘度が低い状態)にはなっていない場合があり、ストリップタイプのワイヤー接続された電子部品(半導体チップ)Wbが搭載されたワークW等に対して型閉じ工程を実施する際に、
図21に示すように、位置によっては、上型に保持されるワークのワイヤー部分が当該封止樹脂(顆粒樹脂)と部分的に強く(大きく)接触して変形・切断してしまう課題があった。さらに、
図22に示すように、キャビティ内における樹脂流動が大きく発生し、ワイヤー部分が変形・切断してしまう課題があった。この課題に対して、本実施形態に係る装置・方法によって形成される封止樹脂R、すなわち、ワークWの形状に対応させた所定形状に形成された固形・半固形樹脂を用いる構成を採用することにより、その解決を図ることができる。
【0102】
具体的には、上記の
図3A、
図3Bによって説明される理由と同様であり、型閉じ工程の際に、封止樹脂Rの加熱による軟化及び溶融が進み、全てのワイヤーに均一に樹脂(具体的には、本体部Ra)が当接する状態となるためである。その観点からすれば、封止樹脂Rは、
図17~
図20に示す構成に限定されるものではなく、上面に脚部Rbを設けずに、上面が平面状に形成された構成(不図示)としてもよく、当該構成によっても、顆粒樹脂を用いる従来技術と比較して、粒径や高さ(積層厚さ)の不均一性に起因する課題の解決が可能となる。
【0103】
また、形成装置100を圧縮成形装置1とは別の装置とすることで、形成装置100内のパウダー樹脂を打錠する際の粉塵に影響されない圧縮成形装置1とすることができ、圧縮成形装置1をクリーンルーム内に容易に入れることができる。但し、この構成に限定されるものではなく、形成装置100を圧縮成形装置1内に一体的に設置する構成としてもよい。
【0104】
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 圧縮成形装置
100 封止樹脂の形成装置
102 形成金型
170 フィルム剥離機構
202、302 封止金型
F リリースフィルム
Rm ベース樹脂
R 封止樹脂
W ワーク