(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163499
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】販売計画作成システム、販売計画作成方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20241115BHJP
G06Q 30/06 20230101ALI20241115BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20241115BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20241115BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q30/06
G06Q50/06
H02J3/00 180
H02J3/00 170
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079184
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本宮 拓也
(72)【発明者】
【氏名】藤田 ほなみ
(72)【発明者】
【氏名】冨永 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金子 雄
(72)【発明者】
【氏名】志賀 慶明
【テーマコード(参考)】
5G066
5L010
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G066AE09
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5L010AA04
5L030BB21
5L049AA04
5L049BB21
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】将来の発電量予測結果に基づいて電力の販売計画を容易に作成する。
【解決手段】実施形態の販売計画作成システムは、対象の発電設備について、将来の所定期間の発電量予測結果を取得する取得部と、前記発電設備に関する発電計画と電力の販売計画について、作成タイミング、および、作成対象期間を設定する設定部と、前記作成タイミングに、前記発電量予測結果に基づいて、前記作成対象期間についての前記発電計画と前記販売計画を作成する計画作成部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の発電設備について、将来の所定期間の発電量予測結果を取得する取得部と、
前記発電設備に関する発電計画と電力の販売計画について、作成タイミング、および、作成対象期間を設定する設定部と、
前記作成タイミングに、前記発電量予測結果に基づいて、前記作成対象期間についての前記発電計画と前記販売計画を作成する計画作成部と、を備える販売計画作成システム。
【請求項2】
前記作成対象期間が、前記発電量予測結果に対応する前記所定期間よりも先の期間を含んでいる場合に、
前記所定期間よりも先の期間について前記発電量予測結果に代わる補完発電量予測情報を作成する補完処理部を、さらに備え、
前記計画作成部は、前記作成タイミングに、前記発電量予測結果および前記補完発電量予測情報に基づいて、前記作成対象期間についての前記発電計画と前記販売計画を作成する、請求項1に記載の販売計画作成システム。
【請求項3】
前記作成対象期間が、前記発電量予測結果に対応する前記所定期間よりも先の期間を含んでいる場合に、
表示部に、前記所定期間よりも先の期間についての前記発電計画と前記販売計画の作成をオペレータに要求する表示を行う表示制御部を、さらに備える請求項1に記載の販売計画作成システム。
【請求項4】
前記発電設備は、発電BG(Balancing Group)の発電設備であり、
前記計画作成部によって作成された前記販売計画を、予め設定された需要BGに送信する送信制御部を、さらに備える請求項1に記載の販売計画作成システム。
【請求項5】
前記設定部は、記憶部に登録された前記発電BGの営業日情報と前記需要BGの営業日情報に基づいて、前記作成タイミング、前記作成対象期間、および、前記需要BGへの前記販売計画の送信タイミングを設定する、請求項4に記載の販売計画作成システム。
【請求項6】
前記取得部が前記作成対象期間について新たな発電量予測結果を取得した場合に、
前記計画作成部は、前記新たな発電量予測結果に基づいて、前記作成対象期間についての新たな発電計画と新たな販売計画を作成し、
前記送信制御部は、前記新たな販売計画を前記需要BGに送信する、請求項4に記載の販売計画作成システム。
【請求項7】
前記計画作成部は、前記販売計画を作成するときに、販売予定の電力量を算出できなかった時間帯については販売予定の電力量を0とする、請求項1に記載の販売計画作成システム。
【請求項8】
対象の発電設備について、将来の所定期間の発電量予測結果を取得する取得ステップと、
前記発電設備に関する発電計画と電力の販売計画について、作成タイミング、および、作成対象期間を設定する設定ステップと、
前記作成タイミングに、前記発電量予測結果に基づいて、前記作成対象期間についての前記発電計画と前記販売計画を作成する計画作成ステップと、を含む販売計画作成方法。
【請求項9】
コンピュータを、
対象の発電設備について、将来の所定期間の発電量予測結果を取得する取得部と、
前記発電設備に関する発電計画と電力の販売計画について、作成タイミング、および、作成対象期間を設定する設定部と、
前記作成タイミングに、前記発電量予測結果に基づいて、前記作成対象期間についての前記発電計画と前記販売計画を作成する計画作成部と、して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売計画作成システム、販売計画作成方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力取引に関し、インバランス(計画と実績の差異)の精算を実施する事業者の集団として、バランシンググループ(Balancing Group:以下「BG」とも称する。)が活用されている。BGには、発電事業者による発電BGと需要家(例えば、小売電気事業者など)による需要BGがあり、発電事業者、小売電気事業者、特定卸供給事業者(いわゆるアグリゲータ)等により運用される。以降、簡便な説明のため、発電BGの運用者、需要BGの運用者を指す場合も単に発電BG、需要BGと記す。
【0003】
発電BGは、全体で電力の同時同量に取り組むため、太陽光や風力といった非調整電源によるインバランスが生じるリスクを抑えることができる。また、発電BGは、発電電力を、JEPX(Japan Electric Power Exchange:日本卸電力取引所)や相対取引相手の需要BGに売ることができる。
【0004】
また、発電BGには、OCCTO(Organization for Cross-regional Coordination of Transmission Operators:電力広域的運営推進機関)に対して、発電販売計画を日々提出する義務がある。
【0005】
また、発電BGから相対取引で電力を買う需要BGは、OCCTOに日々提出する需要調達計画に「発電BGから相対取引で買う電力量・調達先」を反映する必要がある。このため、需要BGは、調達先の発電BGから当該需要BGへの電力の販売計画(以下、単に「販売計画」ともいう。)を受領してから需要調達計画を作成する。
【0006】
また、再エネ(再生可能エネルギー)発電事業者や、再エネ発電事業者に代わってOCCTOへの発電販売計画の提出を行う特定卸供給事業者(いわゆるアグリゲータ)などにとっては、収益向上のために、太陽光や風力などの非調整電源については高精度な発電量予測結果に基づいて発電販売計画を作成することが重要である。
【0007】
発電量予測を行う場合、予測対象の時間になるべく近いタイミングで予測することで、高精度な予測結果を得られる。また、発電予測の技術をもたない事業者は、発電予測システムを有する他社と契約して発電量予測結果の提供を受ける場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現状では、発電BGのオペレータは、将来の発電量予測結果に基づいて発電計画を作成するとともに、相対取引相手の複数の需要BGのそれぞれに関して、販売計画を作成し、提供している。しかしながら、需要BGごとに、営業時間、営業日、休日(特に大型連休)などの設定が異なる。このため、発電BGは相対取引分の販売計画作成タイミングや作成対象期間について、需要BGの需要調達計画作成の都合に応じて柔軟に対応できることが求められる。
【0009】
そこで、本発明の実施形態の課題は、将来の発電量予測結果に基づいて電力の販売計画を容易に作成することが可能な販売計画作成システム、販売計画作成方法、および、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の販売計画作成システムは、対象の発電設備について、将来の所定期間の発電量予測結果を取得する取得部と、前記発電設備に関する発電計画と電力の販売計画について、作成タイミング、および、作成対象期間を設定する設定部と、前記作成タイミングに、前記発電量予測結果に基づいて、前記作成対象期間についての前記発電計画と前記販売計画を作成する計画作成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、発電BGと需要BGの日々の運用の概要を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、実施形態の情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態における大型連休前等の長期の販売計画作成例に関する説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態における販売計画データのフォーマットの例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の情報処理装置による処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態の販売計画作成システム、販売計画作成方法、および、プログラムについて説明する。
【0013】
まず、
図1を参照して、発電BG100と需要BG200の日々の運用の概要について説明する。
図1は、発電BG100と需要BG200の日々の運用の概要を示すフローチャートである。
【0014】
発電BG100は、複数の発電事業者から構成されるBGである。発電事業者は、例えば、発電設備として、調整電源(火力、原子力、水力などによる発電設備)や、非調整電源(太陽光、風力などによる発電設備)を備える。このうち非調整電源を主に構成するのは太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電設備である。さらに蓄電池を備えてもよい。
【0015】
需要BG200は、需要家(小売電気事業者を含んでもよい。)によるBGである。需要家は、例えば、負荷と、蓄電池と、を備える。負荷は、電力を消費する装置や機器である。
【0016】
発電BG100と需要BG200の間では、電力取引の相対契約が結ばれる。発電BG100は、発電電力を、JEPX(スポット市場、時間前市場などにおける市場取引)や相対取引相手の需要BGに売ることができる。
【0017】
ステップS101において、発電BG100は、例えば、電力の受渡日の前日の9時頃に、発電量予測結果に基づいて作成した翌日の販売計画を電子メールなどで需要BG200に送信する。需要BG200に対しては、当該需要BG200への販売分に関するデータのみを送信し、市場取引分や他の需要BGへの販売分のデータは含めないのが通常である。したがって、需要BG200へのデータ送信時点までに作成する販売計画は、市場取引分や他の需要BGとの取引分への販売分は含まれない部分的なものであってもよい。この場合、発電BG100はOCCTOへの販売発電販売計画提出までに他の販売分も反映した計画を作成する。
【0018】
次に、ステップS102において、発電BG100は、発電事業者の義務として、例えば、電力の受渡日の前日の正午までに、発電量予測結果に基づいて作成した翌日の発電販売計画をOCCTOに提出する。OCCTOに提出する発電販売計画は、需要BG200への販売分(複数の需要BGに対して販売する場合はその全て)、市場取引での販売分などをすべて含むものである。
【0019】
また、ステップS101の後、ステップS103において、需要BG200は、需要家の義務として、発電BG100から受領した販売計画に基づいて作成した需要調達計画をOCCTOに提出する。
【0020】
そして、従来技術では、発電BG100のオペレータは、将来の発電量予測結果に基づいて発電計画を作成するとともに、相対取引相手の複数の需要BGのそれぞれに関して、電力の販売計画を作成し、提供している。しかしながら、需要BGごとに、需要調達計画提出のオペレーション、営業時間、営業日、休日(特に大型連休)などの設定が異なる。需要調達計画提出のオペレーションの設定とは、計画提出の期限に確実に間に合うように、需要BGにおいて計画提出を基本的にいつ行うか定めたものを指し(例えば期限当日の朝9時、前日の夕方17時、など)、設定されていることが一般的である。そして、需要BGとしては需要調達計画に相対取引の買電分を反映する作業時間を考慮する。一方で、一般的に発電量予測や需要予測は実需給時間に近いほうが精度がよいので、計画提出期限に対して不必要に計画作成が早い設定とすることは好ましくない。
【0021】
以上の事項も踏まえて、需要BGと発電BGの間で、需要BG200への販売計画の送信タイミングを取り決める(基本的な条件は相対取引契約等で予め定めておくのが一般的である)。以上から、発電BGとしては相対取引相手である需要BGごとの販売計画の作成と送信のタイミングや作成対象期間などに対応する必要がある。
【0022】
そこで、以下では、将来の発電量予測結果に基づいて、需要BG200ごとの販売計画を容易に作成することが可能な技術について説明する。
【0023】
図2は、実施形態の情報処理装置1の機能構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、例えば、発電BG100のオペレータが使用するPC(Personal Computer)である。情報処理装置1は、記憶部2と、入力部3と、表示部4と、通信部5と、処理部6と、を備える。
【0024】
記憶部2は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等によって実現され、各種情報を記憶する。記憶部2は、例えば、気象データ21、発電実績22、相対取引情報23、発電計画24、販売計画25、発電販売計画26、販売計画作成スケジュール27などを記憶する。
【0025】
気象データ21は、例えば、外部機関から取得した将来(例えば現在から1週間後まで)の気象に関するデータである。
【0026】
発電実績22は、発電設備の過去の発電実績のデータである。
【0027】
相対取引情報23は、相対取引相手の需要BG200ごとの取引先コード、名称(取引先名)、販売を求められている電力量(例えば、需要BG「A」にはXkwh販売、需要BG「B」には発電所Zの発電分全量を販売など)などの情報である。
【0028】
発電計画24は、計画作成部64によって作成された発電計画のデータである。
【0029】
販売計画25は、計画作成部64によって作成された、需要BG200ごとの販売計画のデータである。
【0030】
発電販売計画26は、計画作成部64によって作成されたOCCTO提出用の発電販売計画のデータである。
【0031】
販売計画作成スケジュール27は、設定部63によって設定された販売計画の作成スケジュールのデータである。なお、需要BG200がOCCTOに需要調達計画を提出する期限は、現行制度では実需給の前日の正午である。また、OCCTOは、その計画変更をGC(ゲートクローズ:実需給の1時間前)まで受け付けている。そのため、実際にいつまでに需要調達計画をOCCTOに提出(計画変更を含む。)するかは、需要BG200ごとに異なる。よって、販売計画作成スケジュール27は、需要BG200ごとに、販売計画の作成タイミング、作成対象期間、送信タイミングなどが設定されたデータとなっている。
【0032】
入力部3は、オペレータが各種操作入力を行う手段で、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル等である。
【0033】
表示部4は、情報を表示する手段で、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、タッチパネル等である。
【0034】
通信部5は、外部装置と通信を行うための通信インターフェースである。
【0035】
処理部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって実現され、各種演算処理を実行する。処理部6は、例えば、機能部として、取得部61、発電量予測部62、設定部63、計画作成部64、補完処理部65、表示制御部66、送信制御部67を備える。
【0036】
取得部61は、外部装置や記憶部2や各部62~65などから各種情報を取得する。取得部61は、例えば、発電量予測部62から、対象の発電設備について、将来の所定期間(例えば現在から1週間後まで)の発電量予測結果を取得する。
【0037】
発電量予測部62は、気象データ21、発電実績22などに基づいて、発電設備による発電量を予測する。ただし、発電量予測部62によって発電量を予測可能な期間には限界がある。基本的には、予測対象日が近くなってから予測したほうが高精度な予測結果を得ることができる。
【0038】
そのため、発電量予測部62によって発電量を予測可能な期間は、例えば、1週間後まで程度である。よって、大型連休前などに長期間(例えば10日分程度)の販売計画作成を行う場合は、販売計画の作成対象期間が、発電量予測可能期間を超える場合がある。この対策については後述する。
【0039】
なお、本実施形態では、情報処理装置1が発電量予測部62を備えるものとしたが、これに限定されない。例えば、情報処理装置1は、発電量予測部62を備えず、外部システムから発電量予測結果を取得するようにしてもよい。
【0040】
設定部63は、発電設備に関する発電計画と電力の販売計画について、例えば、オペレータによる入力部3を用いた操作入力に基づいて、作成タイミング、作成対象期間、送信タイミングなどを設定する。その場合、作成タイミングについては、任意の日時に設定可能であり、また、曜日を設定することもできる。また、作成対象期間については、当日からの任意の期間を設定可能である。
【0041】
また、送信タイミングは、任意のタイミングに設定可能であり、例えば、実需給の前日の9:00、前々日の15:00、前々日の9:00、大型連休の前日の任意に時刻などに設定可能である。
【0042】
具体的には、例えば、大型連休の場合、連休の前日までに連休明けまでの販売計画を作成して需要BG200に送信する必要がある。そのため、例えば、発電BG100の営業日・営業時間などに基づいて、作成タイミングを決定する。また、需要BG200の営業日・営業時間などに基づいて、作成対象期間、送信タイミングを決定する。
【0043】
また、設定部63は、例えば、記憶部2に登録された発電BG100の営業日情報と需要BG200の営業日情報に基づいて、作成タイミング、作成対象期間、および、需要BGへの販売計画の送信タイミングを自動的に設定するようにしてもよい。これにより、オペレータの負荷を削減したり、オペレータの作業を不要としたりすることができる。
【0044】
計画作成部64は、設定部63によって設定された作成タイミングが到来したときに、発電量予測部62による発電量予測結果に基づいて、作成対象期間についての発電計画と販売計画を作成する。その場合、計画作成部64は、相対取引情報23を参照して、需要BG200ごとに販売計画を作成する。
【0045】
また、後述する補完処理部65が補完発電量予測情報を作成する場合、計画作成部64は、作成タイミングに、発電量予測結果および補完発電量予測情報に基づいて、作成対象期間についての発電計画と販売計画を作成する。
【0046】
また、計画作成部64は、販売計画を作成するときに、販売予定の電力量を算出できなかった時間帯については販売予定の電力量を0とする。例えば、発電設備にて定期点検等で発電が停止する場合や、発電設備システムがダウンした場合や、発電量予測結果が得られない場合については、該当する時間帯(例えば、1コマ30分として、48コマすべて)について、販売計画における販売予定の電力量を0とする。発電販売計画や需要調達計画においては、48コマのすべてでデータの欠落は許されないため、合理的に発電量を見積もれない場合の代替的な措置として行う。
【0047】
また、計画作成部64は、JEPXなどの市場での電力販売に関する市場取引計画を作成する。例えば、発電量のうち、相対取引での販売量を差し引いたものを市場取引対象として、市場取引計画を作成する。
【0048】
また、計画作成部64は、OCCTO提出用の発電販売計画26を作成する。
【0049】
補完処理部65は、販売計画の作成対象期間が発電量予測結果に対応する所定期間よりも先の期間を含んでいる場合に、所定期間よりも先の期間について発電量予測結果に代わる補完発電量予測情報を作成する。
【0050】
具体的には、例えば、発電量予測結果に対応する所定期間が現在から1週間後までの場合、補完処理部65は、それよりも先の期間について、以下の手法により、発電量予測結果に代わる補完発電量予測情報を作成する。
【0051】
・前週の値を使う。
・通常の天気予報(週間天気予報、月間天気予報など)を参考に、似た条件の日の発電実績値を使う。
・発電量予測結果のうち条件が一番近い日のデータを使う。
・オペレータによる入力情報を使う。
【0052】
また、補完処理部65は、上記の手法で作成したデータに、発電量不足のインバランスを避けるべく係数(0.8など)をかけたものを採用してもよい。この係数は、対象となる発電設備について、過去の発電予測値と発電実績値のデータに基づいて設定してもよい。係数が低いほど不足インバランスの発生リスクが低くなるが、過剰に低い係数とすると売電収益自体が減少するデメリットが大きくなる。そこで、過去の発電予測値と発電実績値の差異のデータに基づき係数を設定することができる。例えば過去の発電予測値に係数をかけて発電計画値を設定したシミュレーションを行い、インバランス料金と収益減少分の合計が最も少なくなる係数を選択する。
【0053】
また、非調整電源(例えば太陽光、風力による発電設備)に蓄電池を後から設置した場合は、過去データの発電量予測と発電実績データに基づいて、過去に蓄電池が設置されていてインバランス抑制運転を行えた場合の修正発電実績データをシミュレーションで作成し、発電量予測と修正発電実績データに基づいて係数を設定することも可能である。
【0054】
表示制御部66は、表示部4に各種情報を表示する。表示制御部66は、例えば、作成対象期間が、発電量予測結果に対応する所定期間よりも先の期間を含んでいる場合に、表示部4に、所定期間よりも先の期間についての発電計画と販売計画の作成をオペレータに要求する表示を行う。この場合、補完処理部65による処理は不要となる。
【0055】
送信制御部67は、各種情報を外部に送信する。送信制御部67は、例えば、計画作成部64によって作成された販売計画を、予め設定された需要BG200に送信する。前述のとおり、通常、需要BG200に送信する販売計画は当該需要BG200への販売分のデータ(48コマそれぞれにおける相対取引での販売分)を含み、不要なデータ(例えば他の需要BG200への販売分や、市場取引での販売分)は含まない。
【0056】
また、送信制御部67が販売計画を需要BG200に送信した後、取得部61が作成対象期間について新たな発電量予測結果を取得した場合に、計画作成部64は、新たな発電量予測結果に基づいて、作成対象期間についての新たな発電計画と新たな販売計画を作成する。その場合、送信制御部67は、新たな販売計画を需要BG200に送信する。
【0057】
上述のように、需要BG200は、OCCTOに需要調達計画を提出した後に、GCまでは計画変更できる。よって、需要BG200によっては、OCCTOに需要調達計画を提出した後でも、計画変更用に新たな販売計画の取得を望む場合がある。例えば、発電BG100と需要BG200の運営者が同じ場合は、この計画変更を実施する可能性が高い。
【0058】
次に、
図3を参照して、大型連休前等の長期の販売計画作成例について説明する。
図3は、実施形態における大型連休前等の長期の販売計画作成例に関する説明図である。
【0059】
条件は以下の通りである。
<需要BG200>
需要BG200は、通常、需要調達計画を前々日にOCCTOに提出(例えば12/31の需要調達計画を12/29に提出)する運用を行っている。しかし、需要BG200は、年末年始休みの都合から、12/30に、1/1~1/10の相対取引の販売計画を送信するよう、発電BG100に要求したものとする。つまり、販売計画の作成対象期間は、
図3の符号Aの矢印で示す通りである。
【0060】
<発電BG100での発電量予測>
当日分は午前8時に予測する。また、最長で4日先まで予測可能である。つまり、12/30を基準とした場合、発電量予測可能期間は、
図3の符号Bの矢印で示す通りである。
【0061】
そうすると、販売計画の作成対象期間(符号A)のうち、発電量予測可能期間(符号B)以外は、発電量予測不能期間(符号C)である。この発電量予測不能期間(符号C)については、補完処理部65によって、発電量予測結果に代わる補完発電量予測情報を作成する。
【0062】
このようにして、販売計画の作成対象期間(符号A)のすべてについて、計画作成部64によって発電計画と販売計画を作成できる。
【0063】
次に、
図4を参照して、販売計画データのフォーマットの例について説明する。
図4は、実施形態における販売計画データのフォーマットの例を示す図である。
【0064】
販売計画データは、例えば、csvファイルで作成され、電子メールによって発電BG100から需要BG200に送信される。販売計画データの各行の内容は、以下の通りである。
【0065】
1行目は、改訂(REV.)番号である。
2行目は、作成日時である。
3行目は、電力受け渡し日である。
【0066】
4行目は、需要BG取引先コードである。
5行目は、需要BG取引先名である。
6行目は、発電BG取引先コードである。
7行目は、発電BG取引先名である。
10行目以降は、各コマ(時間帯)での電力の販売計画量である。
【0067】
次に、
図5を参照して、情報処理装置1による処理について説明する。
図5は、実施形態の情報処理装置1による処理を示すフローチャートである。
【0068】
ステップS1において、発電量予測部62は、気象データ21、発電実績22などに基づいて、発電設備による将来の所定期間の発電量を予測する。
【0069】
次に、ステップS2において、計画作成部64は、販売計画作成スケジュール27を読み出す。販売計画作成スケジュール27には、需要BG200ごとの販売計画の作成タイミング、作成対象期間、送信タイミングなどの情報が含まれている。以下では、説明を簡潔にするために、主に1つの需要BG200に着目して説明する。
【0070】
需要BG200について設定された作成タイミングが到来した場合、ステップS3において、計画作成部64は、作成対象期間のすべてに対して、発電量予測結果があるか否かを判定し、Yesの場合はステップS5に進み、Noの場合はステップS4に進む。
【0071】
ステップS4において、補完処理部65は、販売計画の作成対象期間(
図3の符号A)のうち、発電量予測結果がない期間(
図3の発電量予測不可期間(符号C))について、発電量予測結果に代わる補完発電量予測情報を作成する。その後、ステップS5に進む。
【0072】
ステップS5において、計画作成部64は、相対取引情報23を読み出す。これにより、需要BG200に対する電力の販売量を認識できる。
【0073】
次に、ステップS6において、計画作成部64は、発電量予測結果(および、補完発電量予測情報がある場合は補完発電量予測情報)に基づいて作成対象期間についての発電計画を作成するとともに、相対取引情報23に応じて、需要BG200に関する販売計画を作成する。
【0074】
次に、需要BG200について設定された送信タイミングが到来した場合、ステップS7において、送信制御部67は、需要BG200に販売計画データ(
図4)を送信する。
【0075】
次に、ステップS8において、計画作成部64は、発電量のうち、相対取引での販売量を差し引いたものを市場取引対象として、市場取引計画を作成する。
【0076】
次に、ステップS9において、計画作成部64は、OCCTO提出用の発電販売計画26を作成する。
【0077】
次に、ステップS10において、送信制御部67は、OCCTOに、ステップS9で作成した発電販売計画26を送信する。
【0078】
なお、ステップS8~S10の処理は、対象の時間帯に関して、相対取引相手のすべての需要BG200に関する販売計画の作成完了後に実行される。
【0079】
このように、本実施形態の情報処理装置1によれば、相対取引相手の需要BG200ごとに、将来の発電量予測結果や、設定された作成タイミング、作成対象期間などに基づいて、電力の販売計画を容易に作成することができる。
【0080】
また、作成対象期間が発電量予測不能期間(
図3の符号C)を含んでいる場合でも、補完処理部65によって作成される補完発電量予測情報を用いることで、電力の販売計画を作成することができる。
【0081】
また、作成対象期間が発電量予測不能期間(
図3の符号C)を含んでいる場合に、表示部4に、その期間についての発電計画と販売計画の作成をオペレータに要求する表示を行うようにすれば、オペレータによって発電計画と販売計画を作成することができる。
【0082】
また、記憶部2に発電BG100の営業日情報と需要BG200の営業日情報を予め登録しておくことで、販売計画の作成タイミング、作成対象期間、送信タイミングなどを自動的に設定することができる。
【0083】
また、例えば、発電BG100と需要BG200の運営者が同じ場合などには、販売計画を需要BG200に送信した後、新たな販売計画を作成して需要BG200に送信するようにしてもよい。そうすれば、需要BG200は、その新たな販売計画に基づいて需要調達計画を変更し、その変更した需要調達計画をGCまでにOCCTOに提出できる。これにより、インバランスの低減などの効果を期待できる。
【0084】
また、販売計画を作成するときに、販売予定の電力量を算出できなかった時間帯については、その実情に合わせて販売予定の電力量を0とすることができる。
【0085】
本実施形態の情報処理装置1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されるようにしてもよい。
【0086】
また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。また、当該プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0087】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0088】
例えば、発電BG100は、蓄電池を活用して、蓄電池制御と電力の販売価格予測とを活用して最適な販売計画を作成するようにしてもよい。
【0089】
また、
図5のフローチャートにおいて、例えば、ステップS7をステップS10の後に行うなど、処理の順番を、支障のない範囲で適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…情報処理装置、2…記憶部、3…入力部、4…表示部、5…通信部、6…処理部、21…気象データ、22…発電実績、23…相対取引情報、24…発電計画、25…販売計画、26…発電販売計画、27…販売計画作成スケジュール、61…取得部、62…発電量予測部、63…設定部、64…計画作成部、65…補完処理部、66…表示制御部、67…送信制御部、100…発電BG、200…需要BG