(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001635
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】手乾燥装置
(51)【国際特許分類】
A47K 10/48 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
A47K10/48 B
A47K10/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100412
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】福田 啓人
(72)【発明者】
【氏名】矢野 剛広
(72)【発明者】
【氏名】松田 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】占部 寿人
(72)【発明者】
【氏名】田中 涼太
(72)【発明者】
【氏名】吉武 真弥
(72)【発明者】
【氏名】辛嶋 一樹
(57)【要約】
【課題】制御部が高温になるのを抑制できる手乾燥装置を提供する。
【解決手段】挿入された手を乾燥する乾燥室と、前記乾燥室に挿入された手を検知する手検知センサと、前記手検知センサの検知により作動する第1AC負荷部と、前記第1AC負荷部への通電を制御する第1制御部および第2制御部と、前記第1制御部および前記第2制御部の作動を制御する中央処理部と、前記第1制御部に接触することにより前記第1制御部を放熱させる第1放熱部と、前記第2制御部に接触することにより前記第2制御部を放熱させる第2放熱部と、を備え、前記中央処理部は、前記第1AC負荷部を作動させる場合に、前記第1制御部と前記第2制御部とに同時に通電させることを特徴とする手乾燥装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入された手を乾燥する乾燥室と、
前記乾燥室に挿入された手を検知する手検知センサと、
前記手検知センサの検知により作動する第1AC負荷部と、
前記第1AC負荷部への通電を制御する第1制御部および第2制御部と、
前記第1制御部および前記第2制御部の作動を制御する中央処理部と、
前記第1制御部に接触することにより前記第1制御部を放熱させる第1放熱部と、
前記第2制御部に接触することにより前記第2制御部を放熱させる第2放熱部と、
を備え、
前記中央処理部は、前記第1AC負荷部を作動させる場合に、前記第1制御部と前記第2制御部とに同時に通電させることを特徴とする手乾燥装置。
【請求項2】
前記第1放熱部と前記第2放熱部とは、連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項3】
前記第1制御部の定格容量は、前記第2制御部の定格容量よりも大きくなっていることを特徴とする請求項2に記載の手乾燥装置。
【請求項4】
前記第1制御部の熱抵抗は、前記第2制御部の熱抵抗よりも小さくなっていることを特徴とする請求項2に記載の手乾燥装置。
【請求項5】
前記手検知センサの検知により作動する第2AC負荷部と、
前記中央処理部に接続され前記第2AC負荷部を制御する他の制御部と、
前記他の制御部に接触することにより前記他の制御部を放熱する第3放熱部と、
をさらに備え、
前記第3放熱部は、前記第1放熱部および前記第2放熱部に連続して形成されていることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の手乾燥装置。
【請求項6】
前記第1制御部、前記第2制御部、および前記他の制御部は、前記第1制御部が中央に位置するように並列していることを特徴とする請求項5に記載の手乾燥装置。
【請求項7】
前記他の制御部と前記第1制御部との間隔は、前記第1制御部と前記第2制御部との間隔と異なっていることを特徴とする請求項6に記載の手乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に手乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ室や洗面所の壁面などに取り付けられ、手洗い後の使用者の手の乾燥に用いられる手乾燥装置がある。このような手乾燥装置は、使用者の手の検知に応じて電動送風機を作動させることにより、使用者の手に風を吹き付けて手を乾燥させている。
【0003】
手乾燥装置は、風量、風温を増大させることで、手の乾燥時間を短くすることができる。このような場合、電動送風機や風温を上げるヒータの出力を上昇させる必要があるが、それにより、電動送風機やヒータの制御部(スイッチング素子)の発熱量が増大することになる。このような制御部の発熱量は、手乾燥装置が短い時間で複数回使用された場合にはより顕著なものとなる。
【0004】
特許文献1に記載された手乾燥装置は、電動送風機を制御する制御部に放熱材を接触させ、この放熱材の他端を電動送風機と噴出孔とを連絡する循環風路中に配置して、制御部を放熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された手乾燥装置は、例えば短い時間で複数回使用された場合には制御部の放熱がなされる前に発熱することになり、制御部の放熱が効率よくなされないおそれがある。
【0007】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、制御部が高温になるのを抑制できる手乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、挿入された手を乾燥する乾燥室と、前記乾燥室に挿入された手を検知する手検知センサと、前記手検知センサの検知により作動する第1AC負荷部と、前記第1AC負荷部への通電を制御する第1制御部および第2制御部と、前記第1制御部および前記第2制御部の作動を制御する中央処理部と、前記第1制御部に接触することにより前記第1制御部を放熱させる第1放熱部と、前記第2制御部に接触することにより前記第2制御部を放熱させる第2放熱部と、を備え、前記中央処理部は、前記第1AC負荷部を作動させる場合に、前記第1制御部と前記第2制御部とに同時に通電させることを特徴とする手乾燥装置である。
【0009】
この手乾燥装置によれば、第1AC負荷部を作動させる場合に、第1制御部と第2制御部とへの通電量を、1つの制御部しかない場合と比較して、小さくすることができる。これにより、第1制御部と第2制御部との発熱量を小さくすることができる。その結果、例えば手乾燥装置が連続して使用された場合でも、第1制御部と第2制御部とが高温になるのを抑制することができ、第1制御部と第2制御部との寿命を向上できる。また、第1放熱部と第2放熱部とにより、ファンなどの空冷装置や水冷装置などを用いることなく、第1制御部と第2制御部とを効率よく放熱させることができる。従って、手乾燥装置が大型化するのを抑制できるとともに、省電力化を図ることができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1放熱部と前記第2放熱部とは、連続して形成されていることを特徴とする手乾燥装置である。
【0011】
この手乾燥装置によれば、第1放熱部と第2放熱部とを連続したものとすることにより、手乾燥装置の小型化を図ることやコストを削減することができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記第1制御部の定格容量は、前記第2制御部の定格容量よりも大きくなっていることを特徴とする手乾燥装置である。
【0013】
第1放熱部と第2放熱部とが連続して形成される場合には、第1制御部および第2制御部の取り付け部分により放熱量が変化し、第1制御部および第2制御部の発熱に偏りが発生するおそれがある。この手乾燥装置によれば、比較的放熱されやすい位置に、定格容量が小さく発熱量の大きい第2制御部を配置し、第2制御部が配置された位置よりも放熱されにくい位置に、定格容量が大きく発熱量の小さい第1制御部を配置させることで、第1制御部および第2制御部の発熱が偏ることを抑制できる。
【0014】
第4の発明は、第2の発明において、前記第1制御部の熱抵抗は、前記第2制御部の熱抵抗よりも小さくなっていることを特徴とする手乾燥装置である。
【0015】
第1放熱部と第2放熱部とが連続して形成される場合には、第1制御部および第2制御部の取り付け部分により放熱量が変化し、第1制御部および第2制御部の発熱に偏りが発生するおそれがある。この手乾燥装置によれば、比較的放熱されやすい位置に、熱抵抗が大きく発熱量の大きい第2制御部を配置し、第2制御部が配置された位置よりも放熱されにくい位置に、熱抵抗が小さく発熱量の小さい第1制御部を配置させることで、第1制御部および第2制御部の発熱が偏ることを抑制できる。
【0016】
第5の発明は、第2~第4のいずれか1つの発明において、前記手検知センサの検知により作動する第2AC負荷部と、前記中央処理部に接続され前記第2AC負荷部を制御する他の制御部と、前記他の制御部に接触することにより前記他の制御部を放熱する第3放熱部と、をさらに備え、前記第3放熱部は、前記第1放熱部および前記第2放熱部に連続して形成されていることを特徴とする手乾燥装置である。
【0017】
この手乾燥装置によれば、第1放熱部と第2放熱部とに加えて、第3放熱部を連続させることにより、さらに手乾燥装置の小型化を図ることやコストを削減することができる。
【0018】
第6の発明は、第5の発明において、前記第1制御部、前記第2制御部、および前記他の制御部は、前記第1制御部が中央に位置するように並列していることを特徴とする手乾燥装置である。
【0019】
この手乾燥装置によれば、第2制御部が第1制御部よりも他の制御部から離れた位置に設けられているので、他の制御部から放熱された熱が第2制御部に伝達されるのを抑制できる。また、例えば第2制御部の発熱量が第1制御部の発熱量よりも大きい場合には、他の制御部から放熱された熱により第2制御部の放熱効率が低下するのを抑制できる。従って、放熱部を連続させても(共通化しても)、第1制御部、第2制御部、および他の制御部の発熱が偏ることをより抑制することができる。
【0020】
第7の発明は、第6の発明において、前記他の制御部と前記第1制御部との間隔は、前記第1制御部と前記第2制御部との間隔と異なっていることを特徴とする手乾燥装置である。
【0021】
この手乾燥装置によれば、放熱部を連続させても、第1制御部、第2制御部、および他の制御部を効率よく放熱させることができる。例えば、他の制御部の発熱量が第2制御部の発熱量よりも大きい場合には、他の制御部と第1制御部との間隔を、第1制御部と第2制御部との間隔よりも大きくする。一方、第2制御部の発熱量が他の制御部の発熱量よりも大きい場合には、第2制御部と第1制御部との間隔を、第1制御部と他の制御部との間隔よりも大きくする。これにより、第1制御部、第2制御部、および他の制御部の放熱効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の態様によれば、制御部が高温になるのを抑制できる手乾燥装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る手乾燥装置を示す斜視図である。
【
図2】手乾燥装置の電気系および風の流路系を示すブロック図である。
【
図3】放熱材に接触する第1制御部、第2制御部および他の制御部を示す正面図である。
【
図4】本発明の第1変形例に係る手乾燥装置の放熱材と第1制御部および第2制御部を示す正面図である。
【
図5】本発明の第2変形例に係る手乾燥装置の電気系を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第3変形例に係る手乾燥装置の電気系を示すブロック図である。
【
図7】本発明の第4変形例に係る手乾燥装置の電気系を示すブロック図である。
【
図8】本発明の第5変形例に係る手乾燥装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態にかかる手乾燥装置を示す斜視図である。
図1に示すように、手乾燥装置10は、本体部12を備える。本体部12は、使用者の手を挿入可能にした凹状の乾燥室14を有する。手乾燥装置10は、例えばトイレ室の壁面などに取り付けて使用される。手乾燥装置10は、乾燥室14に挿入された手を検知し、乾燥室14内の手に風を吹き付ける。これにより、手乾燥装置10は、例えばトイレ使用後の手洗いなどで濡れた手を乾燥させる。
【0026】
乾燥室14は、例えば上方に開口しており、挿入された手を乾燥する。本体部12は、例えば上方に開口した開口箱状である。従って、使用者は、上方から下方に向かって乾燥室14に手を挿入することで手を乾燥させることができる。乾燥室14の開口する向きは、上方に限ることなく、例えば前方や前方側斜め上方などでもよい。乾燥室14の開口する向きは、使用者が手を挿入し易い任意の方向でよい。
【0027】
また、乾燥室14の開口形状は、横長である。乾燥室14の開口部の横方向の長さは、乾燥室14の開口部の前後方向の長さよりも長い。これにより、手乾燥装置10では、左右の手を横方向に並べた状態で、上方から乾燥室14に挿入することができる。すなわち、使用者は、両手を下方に垂らして乾燥室14に挿入すればよく、自然な姿勢で手の乾燥を行うことができる。
【0028】
本体部12は、前面部12aと、背面部12bと、一対の側面部12c、12dと、を有する。この例において、本体部12は、略矩形の箱状である。乾燥室14は、例えば前面部12a、背面部12b、および各側面部12c、12dによって、前方、後方、および両側方を囲まれた略矩形の凹部である。
【0029】
乾燥室14は、前面部12aによって形成される前面側の内側面と、背面部12bによって形成される背面側の内側面と、各内側面の下端に連続する底面と、を有する。また、各内側面および底面のそれぞれの両側端は、各側面部12c、12dによって塞がれる。乾燥室14は、濡れた手から吹き飛ばされた水滴を各面で受ける。
【0030】
本体部12および乾燥室14の形状は、これに限ることなく、手を挿入可能な任意の形状でよい。例えば、各側面部12c、12dは、省略してもよい。すなわち、乾燥室14は、上方および側方が開放された溝状の形状でもよい。このように、乾燥室14の形状は、手を挿入する開口部以外の一部が開放された形状でもよい。
【0031】
本体部12は、乾燥室14内に風を吹き出すための複数の吹出口15を有する。各吹出口15は、例えば略円形の開口である。各吹出口15は、前面部12aの前面側の内側面と、背面部12bの背面側の内側面と、に設けられる。各吹出口15は、例えば各内側面において横方向(水平方向)に略一直線状に並べて設けられる。
【0032】
各吹出口15は、例えば各内側面の上端(開口端)付近に設けられ、斜め下方に向けて風を吹き出す。すなわち、各吹出口15は、乾燥室14の底面側に向けて水滴を吹き飛ばす。これにより、吹き飛ばされた水滴が、使用者にかかってしまうことを抑制することができる。
【0033】
吹出口15の形状は、任意の形状でよい。吹出口15の数は、任意の数でよい。例えば、横方向に延びるスリット状の1つの吹出口を本体部12に設けてもよい。吹出口は、乾燥室14に挿入された手に対して適切に風を吹き付けることができる任意の形状および数でよい。
【0034】
本体部12は、例えば各側面部12c、12dに設けられた一対の通気口18を有する。各通気口18は、各吹出口15から吹き出された風を乾燥室14の外部に抜けさせる。これにより、例えば水滴を含んだ風が乾燥室14内で折り返され、使用者側に向かってしまうことを抑制することができる。換言すれば、吹き飛ばされた水滴が、使用者側に向かってしまうことを抑制することができる。
【0035】
手乾燥装置10は、水受けトレー20をさらに備える。水受けトレー20は、例えば本体部12の底部に着脱自在に取り付けられる。本体部12は、図示を省略した排水溝を有し、乾燥室14の各面で受けた水滴を排水溝を介して水受けトレー20に送る。これにより、水受けトレー20は、乾燥室14内で吹き飛ばされた水滴を回収する。
【0036】
図2は、手乾燥装置の電気系および風の流路系を示すブロック図である。
図2に示すように、手乾燥装置10は、手検知センサ22、室温センサ24、電動送風機26、ヒータ30、制御ユニット32、他の制御部34、放熱材36、および中央処理部38を備えている。
【0037】
手検知センサ22は、乾燥室14に挿入された手を検知する。手検知センサ22は、中央処理部38に接続されている。手検知センサ22は、手の検知結果を中央処理部38に送信する。手検知センサ22には、例えば透過型の光センサ(フォトインタラプタ)が用いられる。手検知センサ22は、これに限ることなく、使用者の手を検知可能な任意のセンサでよい。手検知センサ22は、例えば反射型の光センサ、測距センサ、焦電センサ、静電容量センサ、超音波センサ、およびマイクロ波センサなどでもよい。
【0038】
室温センサ24は、手乾燥装置10が設置されている室内の温度を検知する。室温センサ24は、例えばトイレ室の室温を検知する。室温センサ24は、例えば本体部12の内部に設けられ、電動送風機26の作動により吸い込まれる外気が流通する管路(図示せず)内の温度を計測する。
【0039】
室温センサ24は、中央処理部38に接続され、検知した室温を中央処理部38に送信する。室温センサ24は、中央処理部38がヒータ30を作動させるか否かを判断するために設けられている。なお、室温センサ24は、必要応じて設けられ、省略可能である。
【0040】
電動送風機26は、手検知センサ22の検知により作動する。電動送風機26(ファンモータ)は、風路28に接続されている。風路28は、風の流れ方向下流端に各吹出口15が設けられている。電動送風機26は、例えば手乾燥装置10が設置されている室内の空気を吸気して風路28にその空気を供給することにより、各吹出口15から乾燥室14に向けて風を吹き出させる。本実施形態では、電動送風機26が本発明の第1AC負荷部を構成している。電動送風機26は、制御ユニット32を介して中央処理部38に接続されている。
【0041】
ヒータ30は、手検知センサ22の検知により作動する。ヒータ30は、風路28の経路上において、電動送風機26と各吹出口15との間に設けられている。ヒータ30は、電動送風機26から各吹出口15に向かう気体(風)を加熱することにより、各吹出口15から吹き出される気体を温める。これにより、手乾燥装置10では、ヒータ30によって温められた温風を各吹出口15から吹き出させることができる。これにより、例えば使用者の手の乾燥性能を向上させることができる。例えば、非加熱の風を吹き出す場合に比べて、より短時間で使用者の手を乾燥させることができる。
【0042】
ヒータ30は、他の制御部34を介して中央処理部38に接続されている。本実施形態では、ヒータ30が本発明の第2AC負荷部を構成している。ヒータ30は、必要に応じて設けられ、省略可能である。手乾燥装置10は、電動送風機26から供給される非加熱の風を各吹出口15から吹き出してもよい。ヒータ30には、例えばフィンヒータが用いられる。ヒータ30は、電動送風機26から各吹出口15に向かう気体を加熱可能な任意のヒータなどでよい。
【0043】
制御ユニット32は、中央処理部38と電動送風機26とに接続されている。制御ユニット32は、中央処理部38からの指令信号により電動送風機26(第1AC負荷部)への通電を制御する。制御ユニット32は、複数の制御部を有している。本実施形態では、制御ユニット32は、第1制御部32aと、第2制御部32bと、の2つの制御部を有している。第1制御部32aと第2制御部32bとは、例えば電源(図示せず)から電動送風機26への電力を通電または遮断するスイッチング素子となっている。第1制御部32aおよび第2制御部32bは、作動状態で(ON状態)で通電となり、非作動状態(OFF状態)で遮断(非通電)となる。なお、このスイッチング素子は、有接点式でも無接点式のものでもよい。
【0044】
第1制御部32aと第2制御部32bとは、並列状態で中央処理部38と電動送風機26とに接続されている。第1制御部32aと第2制御部32bとは、同時に作動する。すなわち、中央処理部38は、電動送風機26を作動させる場合に、第1制御部32aと第2制御部32bとに同時に通電させる。換言すると、第1制御部32aが作動状態(ON)の場合には、第2制御部32bも作動状態(ON)となる。
【0045】
これにより、電動送風機26を作動させる場合に、第1制御部32aと第2制御部32bとに通電量を分けることができる。従って、制御部が1つの場合に比べて、第1制御部32aと第2制御部32bとの発熱を小さくさせることができる。
【0046】
他の制御部34は、中央処理部38とヒータ30とに接続されている。他の制御部34は、中央処理部38からの指令信号によりヒータ30(第2AC負荷部)への通電を制御する。他の制御部34は、例えば電源(図示せず)からヒータ30への電力を通電または遮断するスイッチング素子となっている。他の制御部34は、作動状態で(ON状態)で通電となり、非作動状態(OFF状態)で遮断(非通電)となる。なお、このスイッチング素子は、有接点式でも無接点式のものでもよい。
【0047】
図3は、放熱材に接触する第1制御部、第2制御部および他の制御部を示す正面図である。
【0048】
放熱材36は、伝熱特性の高い金属材料(例えば、アルミニウム)からなるヒートシンクとなっている。放熱材36は、第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34にそれぞれ接触している。これにより、放熱材36は、作動により発熱した第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34を放熱させる。放熱材36は、第1制御部32aに接触する第1放熱部36aと、第2制御部32bに接触する第2放熱部36bと、他の制御部34に接触する第3放熱部36cと、を有している。
【0049】
図3に示すように、放熱材36は、第1放熱部36a、第2放熱部36b、および第3放熱部36cが連続して形成されている。換言すると、第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34は、1つの放熱材36に接触して配置されている。これにより、手乾燥装置10を小型化することができるとともに、コストを低減させることができる。また、放熱材36の表面積を大きくすることができるので、各制御部32a、32b、34を効率よく放熱させることができる。
【0050】
第1制御部32a、第2制御部32bおよび他の制御部34は、例えば左右方向に並列して配置されている。なお、第1制御部32a、第2制御部32bおよび他の制御部34は、上下方向に並列していてもよいし、斜め方向に並列していてもよい。
【0051】
ここで、例えば第1制御部32aの発熱量は、第2制御部32bの発熱量よりも小さくなっている。発熱量は、制御部の定格容量(アンペア)や熱抵抗(℃/W)などによる。すなわち、第1制御部32aの定格容量は、第2制御部32bの定格容量よりも大きくなっている。または、第1制御部32aの熱抵抗は、第2制御部32bの熱抵抗よりも小さくなっている。
【0052】
このような場合、第1制御部32a、第2制御部32bおよび他の制御部34は、第1制御部32aが中央に位置するように並列させる。すなわち、発熱量が小さい第1制御部32aを第2制御部32bと他の制御部34との間に挟むように配置させる。換言すると、発熱量が大きい第2制御部32bは、第1制御部32aよりも他の制御部34から離れた位置に配置させる。
【0053】
これにより、他の制御部34から放熱された熱が第2制御部32bに伝達されるのを抑制できる。従って、放熱材36は、第2制御部32bを効率よく放熱させることができる。なお、
図3では、右側に第1制御部32aと第2制御部32bとが配置された場合を示しているが、左側に第1制御部32aと第2制御部32bとが配置されていてもよい。
【0054】
ここで、例えば他の制御部34と第1制御部32aとの間隔L1は、第1制御部32aと第2制御部32bとの間隔L2と異なっていてもよい。この例では、間隔L1は、間隔L2よりも大きくなっている。例えば、他の制御部34の発熱量が第2制御部32bの発熱量よりも大きい場合には、間隔L1を間隔L2よりも大きくする。これにより、第1制御部32aは、他の制御部34の煽り熱による影響を小さくすることができる。従って、第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34を効率よく放熱させることができる。
【0055】
なお、例えば第2制御部32bの発熱量が他の制御部34の発熱量よりも大きい場合には、間隔L2を間隔L1よりも大きくする。これにより、第1制御部32aは、第2制御部32bの煽り熱による影響を小さくすることができる。従って、第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34を効率よく放熱させることができる。
【0056】
中央処理部38は、手検知センサ22、室温センサ24、制御ユニット32および他の制御部34に接続されている。中央処理部38は、手検知センサ22の検知に基づき、制御ユニット32の第1制御部32aおよび第2制御部32bの作動を制御する。また、中央処理部38は、手検知センサ22の検知に基づき、他の制御部34の作動を制御する。すなわち、中央処理部38は、手検知センサ22の検知に基づき、電動送風機26の作動とヒータ30の作動とを制御する。
【0057】
中央処理部38は、記憶部39を有している。この記憶部39には、電動送風機26やヒータ30などを作動させるための制御プログラムが格納されている。中央処理部38は、手検知センサ22の検知に基づき、第1制御部32aと第2制御部32bとを同時に作動(ON)させる。
【0058】
これにより、電動送風機26を作動させる場合には、駆動電流が第1制御部32aと第2制御部32bとに分配して流れる。従って、第1制御部32aと第2制御部32bとは、制御部が1つの場合に比べて発熱量を小さくすることができるので、寿命を向上できる。また、例えば手乾燥装置10が連続して使用された場合でも、制御ユニット32の発熱量を可及的に小さくすることができる。その結果、手乾燥装置10を安定して使用することができる。
【0059】
図4は、本発明の第1変形例に係る手乾燥装置の放熱材と第1制御部および第2制御部を示す正面図である。
図4に示す放熱材40は、
図3に示す放熱材36に変えて用いられるものである。放熱材40は、場所によってその放熱効率が異なっている。
【0060】
放熱材40は、伝熱特性の高い金属材料(例えば、アルミニウム)からなるヒートシンクとなっている。放熱材40は、第1放熱部40aと、第2放熱部40bと、を有している。第1放熱部40aと、第2放熱部40bと、は、連続して形成されている。第2放熱部40bの表面積は、第1放熱部40aの表面積よりも大きく形成されている。これにより、第2放熱部40bは、第1放熱部40aよりも放熱効率がよい部分となっている。
【0061】
第1放熱部40aには、第1制御部32aが設けられている。一方、第2放熱部40bには、第1制御部32aよりも発熱量が大きい第2制御部32bが設けられている。このように、第1制御部32aの発熱量と第2制御部32bの発熱量とが異なる場合には、放熱材40のうち、放熱効率の高い部分に発熱量の大きい制御部を取り付けることができる。これにより、第1制御部32aおよび第2制御部32bの放熱を効率よく行うことができる。
【0062】
なお、放熱材40は、他の制御部34が取り付けられる第3放熱部を有していてもよい。このような場合、第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34のうち、発熱量が大きい順番で放熱効率が高い部分に制御部を取り付けることができる。これにより、第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34の放熱を効率よく行うことができる。
【0063】
なお、この例では、放熱材40の放熱効率が異なる部分を、第1放熱部40aと第2放熱部40bとの表面積が異なっている場合を例に挙げて説明した。しかし、放熱材の放熱効率は、例えば材料の違いや周辺環境(周辺温度)の違いなどで異なっていてもよい。第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34は、放熱材の放熱効率に合わせて適宜取り付けられる。これにより、第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34は、例えば手乾燥装置10が連続して使用された場合でも、効果的に放熱される。
【0064】
図5は、本発明の第2変形例に係る手乾燥装置の電気系を示すブロック図である。
上述した実施形態では、第1AC負荷部を電動送風機26とし、第2AC負荷部をヒータ30とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば
図5に示す第2変形例のように、第1AC負荷部をヒータ50とし、第2AC負荷部を電動送風機52としてもよい。
【0065】
図6は、本発明の第3変形例に係る手乾燥装置の電気系を示すブロック図である。
上述した実施形態では、手乾燥装置10に1つの電動送風機26を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば
図6に示す第3変形例のように、手乾燥装置に第1電動送風機54と第2電動送風機56との2つの電動送風機を備え、第1AC負荷部を第1電動送風機54とし、第2AC負荷部を第2電動送風機56としてもよい。
【0066】
図7は、本発明の第4変形例に係る手乾燥装置の電気系を示すブロック図である。
上述した実施形態では、制御ユニット32は、第1制御部32aと第2制御部32bとの2つの制御部を有している場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば
図7に示す第4変形例のように、制御ユニット60は、第1制御部60a、第2制御部60b、および第3制御部60cを有していてもよい。そして、第1~第3制御部60a~60cが同時に通電されてもよい。また、制御ユニットは、4つ以上の制御部を有し、これら複数の制御部が同時に通電されてもよい。制御部が増えることにより、各制御部の発熱量をより小さくさせることができる。
【0067】
図8は、本発明の第5変形例に係る手乾燥装置を示す斜視図である。
上述した実施形態では、各吹出口15から吹き出された風を乾燥室14の外部に抜けさせる通気口18を有する手乾燥装置10を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば
図8に示す第5変形例のように、乾燥室71に吹出された風Fが本体部内で循環するような手乾燥装置70でもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、第1放熱部36a、第2放熱部36b、および第3放熱部36cが連続して形成された1つの放熱材36とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば第1放熱部36a、第2放熱部36b、および第3放熱部36cがそれぞれ別個の放熱材(例えば、3つの放熱材)となっていてもよい。また、制御ユニット32を放熱する第1放熱部36aおよび第2放熱部36bが連続して形成された1つの放熱材となっており、他の制御部34を放熱する第3放熱部36cが別個の放熱材となっていてもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、第1AC負荷部を電動送風機26とし、第2AC負荷部をヒータ30とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば手乾燥装置10は、手を乾燥させるための電動送風機26に加えて、別の電動送風機が設けられていてもよい。この別の電動送風機は、例えば乾燥室14から空気を吸気して、手乾燥装置10が設置されている室内に向けて風を吐出させるものとなっている。そして、この別の電動送風機が第1AC負荷部や第2AC負荷部を構成していてもよい。
【0070】
また、上述した実施形態では、第1制御部32aの発熱量が第2制御部32bの発熱量よりも小さい場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば第1制御部32aと第2制御部32bとは、同じもの(発熱量が同じもの)でもよい。
【0071】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
(構成1)
挿入された手を乾燥する乾燥室と、
前記乾燥室に挿入された手を検知する手検知センサと、
前記手検知センサの検知により作動する第1AC負荷部と、
前記第1AC負荷部への通電を制御する第1制御部および第2制御部と、
前記第1制御部および前記第2制御部の作動を制御する中央処理部と、
前記第1制御部に接触することにより前記第1制御部を放熱させる第1放熱部と、
前記第2制御部に接触することにより前記第2制御部を放熱させる第2放熱部と、
を備え、
前記中央処理部は、前記第1AC負荷部を作動させる場合に、前記第1制御部と前記第2制御部とに同時に通電させることを特徴とする手乾燥装置。
(構成2)
前記第1放熱部と前記第2放熱部とは、連続して形成されていることを特徴とする構成1に記載の手乾燥装置。
(構成3)
前記第1制御部の定格容量は、前記第2制御部の定格容量よりも大きくなっていることを特徴とする構成1または2に記載の手乾燥装置。
(構成4)
前記第1制御部の熱抵抗は、前記第2制御部の熱抵抗よりも小さくなっていることを特徴とする構成1~3のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
(構成5)
前記手検知センサの検知により作動する第2AC負荷部と、
前記中央処理部に接続され前記第2AC負荷部を制御する他の制御部と、
前記他の制御部に接触することにより前記他の制御部を放熱する第3放熱部と、
をさらに備え、
前記第3放熱部は、前記第1放熱部および前記第2放熱部に連続して形成されていることを特徴とする構成2~4のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
(構成6)
前記第1制御部、前記第2制御部、および前記他の制御部は、前記第1制御部が中央に位置するように並列していることを特徴とする構成5に記載の手乾燥装置。
(構成7)
前記他の制御部と前記第1制御部との間隔は、前記第1制御部と前記第2制御部との間隔と異なっていることを特徴とする構成6に記載の手乾燥装置。
【0072】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、手乾燥装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0073】
10 手乾燥装置
12 本体部
12a 前面部
12b 背面部
12c 側面部
12d 側面部
14 乾燥室
15 吹出口
18 通気口
20 トレー
22 手検知センサ
24 室温センサ
26 電動送風機
28 風路
30 ヒータ
32 制御ユニット
32a 第1制御部
32b 第2制御部
34 他の制御部
36 放熱材
36a 第1放熱部
36b 第2放熱部
36c 第3放熱部
38 中央処理部
39 記憶部
40 放熱材
40a 第1放熱部
40b 第2放熱部
50 ヒータ
52 電動送風機
54 第1電動送風機
56 第2電動送風機
60 制御ユニット
60a 第1制御部
60b 第2制御部
60c 第3制御部
70 手乾燥装置
71 乾燥室