(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163525
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】球技用練習装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
A63B69/00 501A
A63B69/00 509
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079223
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】510138729
【氏名又は名称】株式会社エイビック
(74)【代理人】
【識別番号】100108280
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 洋平
(72)【発明者】
【氏名】山華 善幸
(72)【発明者】
【氏名】大河内 威文
(57)【要約】
【課題】 相当のスピードを持ったボールが急に方向を変えた場合にも鋭敏に反応でき、ボールをキャッチ等できる技術を向上させられる球技用練習装置を提供すること。
【解決手段】 入射してきたボールを反射する平板部と、この平板部の裏面側に設けられ前記平板部が所定の傾斜した使用状態で支持可能な支持部とを備えており、前記支持部は前記使用状態において前記平板部の傾斜角が約10度~約45度の範囲であることを特徴とする球技用練習装置によって達成される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射してきたボールを反射する平板部と、この平板部の裏面側に設けられ前記平板部が所定の傾斜した使用状態で支持可能な支持部とを備えており、前記支持部は前記使用状態において前記平板部の傾斜角が約10度~約45度の範囲であることを特徴とする球技用練習装置。
【請求項2】
前記平板部は、板材、合成樹脂材または金属材からなる群から選択される少なくとも一つの材料から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の球技用練習装置。
【請求項3】
重量が10kg~30kgの範囲である請求項1または2に記載の球技用練習装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球技用練習装置に関し、特にサッカーのゴールキーパーの練習について有効に利用できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
球技、特にサッカーのゴールキーパーの技術の上達においては、ゴールに向かってシュートされたボールに対して、正確かつ鋭敏に反応することが重要な技術の一つである。そのための一般的な練習方法としては、ゴール前に立ったゴールキーパーに対し、一人または複数人が適当にシュートを行い、そのボールをキャッチまたは反発してゴールに入らないようにすると言うものであった。ところが、この練習方法は、シュートを行う側の技術や体力も相当に高くなければならず、また長時間の練習には互いの忍耐を必要とした。
従来、サッカー技術の向上について、いくつかの開発が行われているものの、その殆どはボールを反射する壁の構造を備えたものであり、キックしたボールを適宜に反発させて、これを繰り返すというものであった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、相当のスピードを持ったボールが急に方向を変えた場合にも鋭敏に反応でき、ボールをキャッチ等できる技術を向上させられる球技用練習装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための発明に係る球技用練習装置は、入射してきたボールを反射する平板部と、この平板部の裏面側に設けられ前記平板部が所定の傾斜した使用状態で支持可能な支持部とを備えており、前記支持部は前記使用状態において前記平板部の傾斜角が約10度~約40度の範囲(好ましくは約10度~約30度、更に好ましくは約10度~約25度、さらに更に好ましくは約10度~約20度)であることを特徴とする。
球技としては、サッカー、ラグビー、野球などが例示される。これらのうち、特にサッカーに用いることが好ましい。
上記構成によれば、傾斜した平板部の低い側から入射してきたボールは、平板部の上面で反射し、方向を変えて平板部の高い側に抜けていく。このため、相当のスピードを持ったボールが急に方向を変えた場合にも鋭敏に反応できる技術を養うことができる。
【0006】
本発明において、前記平板部は、板材、合成樹脂材または金属材からなる群から選択される少なくとも一つの材料から構成されていることが好ましい。
平板部の上面では、ボールが適当なスピードを維持したままで反射する必要があり、適当な強度と取り扱いやすさの両方を備えることが好ましい。これを担保するために、板材、合成樹脂材または金属材であることが好ましい。そのような板材としては、例えばマツ、スギ、チーク、ウォルナット、チェリー、オーク、またはこれらの合板などを用いることができる。合成樹脂材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、またはこれらの混合樹脂などを用いることが好ましく、ポリカーボネートまたはポリアセタールを用いることがより好ましい。金属材としては、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、クロム、マグネシウムまたはこれらの合金などを用いることができる。
【0007】
また、重量が10kg~30kgの範囲であることが好ましい。
球技用練習装置は、できれば一人で運搬できることが好ましい。但し、軽量すぎるとボールの衝撃に対する耐性が弱かったり、ボールの衝撃によって球技用練習装置の位置が変わってしまう。このため、適当な重量として15kg~30kgが好ましい範囲となる。
【0008】
また、前記平板部は、白色、ベージュ、金属系の銀、黒色、緑色または黄土色からなる群から選択される少なくとも一つの色であることが好ましい。
平板部を合成樹脂で構成する場合には、樹脂の色として白色が多いため、そのままの白色を利用できる。また、球技用練習装置は、当該球技を行う場所(グラウンド)に設置して使用することになる。このため、その場所の色に近い色を備えることで、いわゆる保護色の効果を備えることができ、ボールの反射方向が分かり難くなり、より効果的な練習ができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、相当のスピードを持ったボールが急に方向を変えた場合にも鋭敏に反応でき、ボールをキャッチ等できる技術を向上させられる球技用練習装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図7】球技用練習装置を使用して、ボールを反射させたときの様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明する。本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。
図1には、球技用練習装置1(以下、「練習装置1」という)の分解斜視図を示した。練習装置1には、ボールBを反射する平板部2と、その裏面側に組付けられる支持部3とが設けられている。支持部3は、練習装置1の使用状態において地面などに載置されたときに、平板部2を所定の傾斜を備えた状態で支持する。
平板部2は、合成樹脂材(例えばポリアセタール)で略長方形状に形成されており、全面が略黒色とされている。昼間に外方で使用する場合には、白色系統では反射光が強すぎて練習の妨げとなり得るためである。平板部2の大きさとしては、長さが約100センチメートル~150センチメートル、幅が約50センチメートル~90センチメートル、厚さが約10ミリメートル~30ミリメートルとされており、重さが約10kg~約28kgである。平板部2の上面(ボールBが反射する面)は、適当に研磨され、摩擦が少ない状態とされている。
【0012】
支持部3は、長方形状の金属材によって、断面が略コ字状に折り曲げられて形成されており、その重さは約2kg~約8kgである。支持部3には、地面に設置される載置部10と、その設置部10の両端から上方に折り曲げられた折立部11と、その折立部11から左右両方向に折り曲げられ、平板部2に固定される固定部12とが備えられている。載置部10の左右両端付近には、下面に向かって組付固定される四個の爪部材13が設けられている。爪部材13として、サッカーシューズの裏面に設けられるスパイクが用いられている。練習装置1を設置したときには、爪部材13は練習装置1の重量によってグラウンドに押し付けられ、適当に地面に食い込んだ状態となり、(練習装置1の重量とも併せて)ボールBの衝撃にも耐えて、容易には移動しない状態となっている。
【0013】
固定部12には、左右に一対の固定孔14A,14B、15A,15Bが設けられており、ここには固定ネジ16が組付けられる。固定ネジ16は、
図2に示すように、平板部2の裏面側に開けられた8個のネジ穴17A~17D、18A~18Dのうちの、いずれか4箇所に回し付け固定される。左右各列において、隣り合うネジ穴の間隔(17Aと17B、17Bと17C、17Cと17D、18Aと18B、18Bと18C、18Cと18D)は、支持部3側の固定孔の間隔(14Aと14B、15Aと15B)と同等とされている。
【0014】
上記構成のため、支持部3は、3箇所の異なる位置において平板部2の裏面側に固定できる。すなわち、ポジション1(ネジ穴17A,17B,18A,18Bに固定ネジ16を固定した位置)、ポジション2(ネジ穴17B、17C、18B、18Cに固定ネジ16を固定した位置)、ポジション3(ネジ穴17C、17D、18C、18Dに固定ネジ16を固定した位置)の3箇所とされている。このうち、平板部2の傾斜角θは、ポジション1が最も小さく、ポジション3が最も大きく設定されている。本実施形態においては、傾斜角θは、ポジション1が約13度、ポジション2が約14度、ポジション3が約15度の予め設定された大きさとされている。なお、傾斜角θは、約10度~約20度の適当な角度で設定することができる。
【0015】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用及び効果について説明する。
練習装置1の使用に際し、平板部2の傾斜角θをいずれかに決めておき、その大きさとなるポジションに支持部3を組み付ける。例えば、ポジション3を選択した場合には、
図6に示すように、ネジ穴17C、17D、18C、18Dを用い、支持部3を固定ネジ16によって固定する。この組付位置で練習装置1を地面に設置し、使用状態とすると、
図3,4に示す態様のように、平板部2の一端側の設置端2A及び支持部3の載置部10(の爪部材13)が地面に接触することになる。
図7には、練習装置1をサッカーのキーパーの練習に使用するときの様子を示した。練習装置1がサッカーゴール(図示せず)の前方に位置するように設置する。この設置に際し、予め練習装置1とサッカーゴールとの距離を変化させ、反射したボールBの高さ位置がサッカーゴールのどのような位置に至るかを調べておく。一般的には、サッカーゴールの前方において約5メートル~17メートルの間の適当な位置に練習装置1を設置して使用する。
【0016】
キッカー(コーチ役)はボールBを
図7の左下方向(平板部2の設置端2A側方向)から蹴り込み、平板部2の上面で反射させ、サッカーゴールの内側に蹴り込まれることを確認しておく。この状態でサッカーゴール前にキーパー練習を受ける者(練習者)を立たせておく。ここでコーチ役がボールBを練習装置1の上面に蹴り込み、練習者は反射したボールBに素早く反応できるように反復練習を行う。
図7には、ボールBの軌跡をXで示した。
ボールBは毎回同じ態様(スピード、角度、方向)で蹴り入れる必要はなく、むしろ強度や角度を適当に変化させることにより、より実践に近い練習を行うことができる。
【0017】
このように、本実施形態によれば、相当のスピードを持ったボールBが急に方向を変えた場合にも鋭敏に反応でき、ボールBをキャッチしたりパンチングしてサッカーゴールに入るのを回避できる技術を向上させられるサッカー用練習装置1を提供できた。
また、本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
1.練習者の反射神経を鍛えられる。
2.練習者がキャッチングやセービング、ダイビングなどの技術の向上を図れる。
3.ボールの軌道が変化するために、急なディフレクションの対応を図れる。
4.コーチ役の技術に依って、ほぼ同じ高さ・同じ方向にボールを蹴り込むことができるので、フィジカル的な要素を目的としたトレーニングに適している。
なお、本実施形態では、ポジション1~3の3個の異なる傾斜角θを設定できるように左右4箇所のネジ穴17A~17D、18A~18Dを設けたが、本発明によれば、傾斜角θが10度~20度の範囲となるように、更に多くのネジ穴を設けることができる。
【符号の説明】
【0018】
1…球技用練習装置、2…平板部、3…支持部