(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163538
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】シールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/79 20110101AFI20241115BHJP
【FI】
H01R12/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079253
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石動 尚子
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB01
5E223AB31
5E223AC23
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB36
5E223CB38
5E223CD01
5E223CD02
5E223CD24
5E223DA05
5E223DB09
5E223DB11
5E223DB23
5E223DB25
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA02
5E223EA13
5E223EB04
5E223EB12
5E223EB32
5E223EC18
5E223EC32
5E223EC44
5E223EC63
(57)【要約】
【課題】小型化を達成でき且つ接続作業性が良いシールドコネクタを提供する。
【解決手段】シールドコネクタ1が、コンタクト2と、挿入凹部を有するハウジング3と、導電性の金属シェル4と、スライダ5とを含む。金属シェル4は、シェル本体40と、弾性片41とを含む。弾性片41は、接続部材6の係止凹部65に係止する係止凸部81と、解除操作部82とを含む。スライダ5は、ハウジング3によって第1位置及び第2位置にスライド可能に支持される。スライダ5が第1位置にあるとき、駆動部53は、解除操作部82から挿入方向X1に離間している。スライダ5が第1位置から第2位置にスライドされるときに、駆動部53は、係止凹部65に対する係止凸部81の係止を解除させるように、解除操作部82を駆動する。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体部と係止凹部とを含む接続部材が接続される、シールドコネクタであって、
前記導体部と接触される接触部を含むコンタクトと、
前記接続部材が一端から挿入方向に挿入される挿入凹部を有し、前記コンタクトを保持するハウジングと、
前記ハウジングを覆うシェル本体と、前記シェル本体に支持された弾性片と、を含む導電性の金属シェルであって、前記弾性片は、前記挿入凹部内の挿入完了位置に挿入された前記接続部材の前記係止凹部に係止する係止凸部と、前記係止凹部に対する前記係止凸部の係止を解除操作する解除操作部と、を含む、金属シェルと、
前記接続部材が前記挿入凹部に挿入されるときの位置である第1位置と、前記接続部材が前記挿入凹部から引き抜かれるときの位置であって前記第1位置よりも前記挿入方向の反対方向の位置である第2位置と、にスライド可能に前記ハウジングによって支持されたスライダと、を備え、
前記スライダは、前記第1位置にあるときに、前記解除操作部から前記挿入方向に離間している駆動部であって、前記第1位置から前記第2位置にスライドされるときに、前記係止凹部に対する前記係止凸部の係止を解除させるように、前記解除操作部を駆動する駆動部を含む、シールドコネクタ。
【請求項2】
前記シェル本体は、前記弾性片を支持する支点部を含み、
前記弾性片は、前記支点部から前記挿入方向に延びており、
前記係止凸部および前記解除操作部は、前記支点部よりも前記挿入方向に配置されている、請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項3】
前記係止凹部は、前記接続部材の側縁に形成され前記一端から介在部を介して離隔する切欠き凹部を含み、
前記解除操作部は、前記係止凸部に対して、前記接続部材の前記挿入方向に対して直交する幅方向の外方に隣接配置されている、請求項2に記載のシールドコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記挿入方向に延びる一対の案内溝を含み、
前記スライダは、前記一対の案内溝によって案内される一対の被案内アームであって、それぞれ前記駆動部を含む一対の被案内アームを含み、
前記弾性片は、一対の弾性片を含み、
前記一対の被案内アームの前記駆動部は、前記一対の案内溝を介して前記一対の弾性片の前記解除操作部と干渉可能である、請求項1~3の何れか一項に記載のシールドコネクタ。
【請求項5】
前記スライダは、前記一対の被案内アーム間を連結する連結部を含み、
前記連結部と前記ハウジングとによって、前記挿入凹部の挿入開口が形成されている、請求項4に記載のシールドコネクタ。
【請求項6】
前記弾性片は、前記接続部材のグラウンド部と接続される接点部を含み、
前記接点部は、前記解除操作部の一部の領域で形成されている、請求項1~3の何れか一項に記載のシールドコネクタ。
【請求項7】
前記挿入方向に対して直交する幅方向に見たときに、前記駆動部および前記解除操作部の少なくとも一方が、前記挿入方向の前記反対方向に向かって前記接続部材の挿入経路に近づくように傾斜する傾斜部を含む、請求項1~3の何れか一項に記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
NON-ZIF(Zero-Insertion-Force)タイプのFPC用のシールドコネクタとして、特許文献1に記載のコネクタがある。該コネクタは、FPC収容室を内部に有するハウジングと、FPC収容室に配列された複数のコンタクトと、ハウジングの上面を部分的に覆う上面板と、ハウジングの底面を覆う下面板とを含む金属シェルと、一対の回動軸を有する金属カバーと、を備える。金属シェルに設けられたランスが、FPCに設けられた凹部に係止することにより、FPCが抜け止めされる。
【0003】
ハウジングの上面は、FPC収容室に向かって窪んだ凹部を有しており、金属カバーは、ハウジングの凹部を開閉自在な主面板を含む。FPCを挿脱するときに、金属カバーを回動させて開くことにより、金属カバーが金属シェルに設けられたランスを押し下げ、これにより、FPCの挿入および引抜が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のコネクタでは、金属カバーの回動によってランスを押し下げるストロークを得るようにしているため、コネクタを高さ方向に小型化することが困難である。また、FPCの挿入時に、金属カバーを開閉する作業が必要であり、接続作業性が悪い。
【0006】
そこで、本発明の一実施形態は、小型化を達成でき且つ接続作業性が良いシールドコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、導体部(62)と係止凹部(65)とを含む接続部材(6)が接続される、シールドコネクタ(1)であって、コンタクト(2)と、ハウジング(3)と、導電性の金属シェル(4)と、スライダ(5)と、を備える、シールドコネクタを提供する。前記コンタクトは、前記導体部と接触される接触部(C)を含む。前記ハウジングは、前記接続部材が一端(6e)から挿入方向(X1)に挿入される挿入凹部 (S)を有し、前記コンタクトを保持する。前記金属シェルは、前記ハウジングを覆うシェル本体(40)と、前記シェル本体に支持された弾性片(41)と、を含む。前記弾性片は、前記挿入凹部内の挿入完了位置に挿入された前記接続部材の前記係止凹部に係止する係止凸部(81)と、前記係止凹部に対する前記係止凸部の係止を解除操作する解除操作部(82)と、を含む。前記スライダは、前記接続部材が前記挿入凹部に挿入されるときの位置である第1位置と、前記接続部材が前記挿入凹部から引き抜かれるときの位置であって前記第1位置よりも前記挿入方向の反対方向(X2)の位置である第2位置と、にスライド可能に前記ハウジングによって支持される。前記スライダは、前記第1位置にあるときに、前記解除操作部から前記挿入方向に離間している駆動部(53)であって、前記第1位置から前記第2位置にスライドされるときに、前記係止凹部に対する前記係止凸部の係止を解除させるように、前記解除操作部を駆動する駆動部を含む。
【0008】
この構成によれば、接続部材を接続するときには、スライダが第1位置にある状態で、接続部材を挿入凹部の挿入完了位置に押し込み挿入することができる。その挿入完了位置では、金属シェルの弾性片の係止凸部が、接続部材の係止凹部に係止することで、接続部材の接続状態が保持される。また、接続部材を引き抜くときには、事前に、スライダを第1位置から第2位置にスライドさせることにより、駆動部が解除操作部を駆動して、係止凹部に対する係止凸部の係止を解除する。これにより、接続部材を挿入凹部から容易に引き抜くことができる。先行技術のように回転する開閉カバーを用いる場合と比較して、高さ方向の小型化を達成することができる。また、接続部材の接続時には、先行技術のように開閉カバーを開閉する作業は不要であって、単に接続部材を押し込み挿入するのみなので、接続作業性が良い。
【0009】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
【0010】
1つの実施形態では、前記シェル本体は、前記弾性片を支持する支点部(46)を含み、前記弾性片は、前記支点部から前記挿入方向に延びており、前記係止凸部および前記解除操作部は、前記支点部よりも前記挿入方向に配置されている。この構成によれば、弾性片が支点部を支点として弾性的に曲げ変形することにより、係止凸部および解除操作部を一体的に変位動作させることができる。
【0011】
1つの実施形態では、前記係止凹部は、前記接続部材の側縁(6c)に形成され前記一端から介在部(66)を介して離隔する切欠き凹部を含み、前記解除操作部は、前記係止凸部に対して、前記接続部材の前記挿入方向に対して直交する幅方向(W)の外方に隣接配置されている。この構成によれば、解除操作部を駆動するための駆動部が係止凸部と干渉することを回避しつつ、スペースを有効利用することができる。
【0012】
1つの実施形態では、前記ハウジングは、前記挿入方向に延びる一対の案内溝(37)を含み、前記スライダは、前記一対の案内溝によって案内される一対の被案内アーム(51)であって、それぞれ前記駆動部を含む一対の被案内アームを含み、前記弾性片は、一対の弾性片(41)を含み、前記一対の被案内アームの前記駆動部は、前記一対の案内溝を介して前記一対の弾性片の前記解除操作部と干渉可能である。この構成によれば、スライダを第2位置にスライドさせるときに、一対の被案内アームの駆動部によって解除操作部を駆動することが可能となる。
【0013】
1つの実施形態では、前記スライダは、前記一対の被案内アーム間を連結する連結部(R)を含み、前記連結部と前記ハウジングとによって、前記挿入凹部の挿入開口(Sa)が形成されている。この構成によれば、スライダにおいて一対の被案内アーム間を連結するために必須の構成である連結部を、挿入開口を形成するためのハウジングの一部として機能させることができ、構造を簡素化しつつ小型化を達成できる。
【0014】
1つの実施形態では、前記弾性片は、前記接続部材のグラウンド部と接続される接点部(82a)を含み、前記接点部は、前記解除操作部の一部の領域で形成されている。この構成によれば、弾性片がグラウンド接続にも寄与するので、別途に接点部を設ける場合と比較して、構造を簡素化することができる。
【0015】
1つの実施形態では、前記挿入方向に対して直交する幅方向に見たときに、前記駆動部および前記解除操作部の少なくとも一方が、前記挿入方向の前記反対方向に向かって前記接続部材の挿入経路に近づくように傾斜する傾斜部(53a)を含む。この構成によれば、スライダが第2位置にスライドするときに、係止凹部に対する係止凸部の係止を容易に解除することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、小型化を達成でき且つ接続作業性が良いシールドコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A-1B】
図1Aは、本発明の一実施形態に係るシールドコネクタおよび接続部材の斜視図であり、
図1Bは、接続部材の断面図である。
【
図2】
図2は、接続部材が接続されたシールドコネクタの斜視図である。
【
図3】
図3は、接続部材を引き抜くときのシールドコネクタの斜視図である。
【
図4】
図4は、シールドコネクタの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、シールドコネクタの別角度からの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、シールドコネクタの下方からの斜視図である。
【
図7】
図7は、シールドコネクタの下方の別角度からの斜視図である。
【
図8】
図8は、第1位置にあるスライダとハウジングの斜視図である。
【
図9】
図9は、第2位置にあるスライダとハウジングの斜視図である。
【
図15】
図15は、コンタクトの位置でのシールドコネクタの断面図である。
【
図17】
図17は、金属シェルの断面図である。
図16のXVII-XVII断面図に相当する。
【
図19A-19D】
図19A~
図19Dは、スライダの駆動部の位置でのシールドコネクタの断面図である。
図19Aは、接続部材の挿入前の状態を示し、
図19Bは、接続部材の挿入完了状態を示し、
図19C-19Dは、接続部材の引抜き前と引抜き後の状態を示している。
【
図21】
図21は、接続部材が接続されたシールドコネクタの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
【0019】
図1Aは、本発明の一実施形態に係るシールドコネクタおよび接続部材の斜視図である。
図1Aに示すように、シールドコネクタ1は、回路基板10の表面10aに実装される基板コネクタであって、フレキシブルな接続部材6と回路基板10とを接続する基板コネクタである。シールドコネクタ1は、コンタクト2と、ハウジング3と、導電性の金属シェル4と、スライダ5と、を備える。
【0020】
まず、接続部材6を説明する。
【0021】
図1Bは、接続部材6の断面図である。接続部材6は、FFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)やFPC(フレキシブル・プリンテッド・サーキット)などのフレキシブルな平形の接続部材である。本実施形態では、接続部材6がFFCである場合に則して説明する。
【0022】
図1Aおよび
図1Bに示すように、接続部材6は、上面6aと下面6bとを有しており、長手方向Lに延びる。接続部材6は、長手方向Lに沿う一対の側縁6cと、長手方向Lの一端6eと、を含む。接続部材6は、長手方向Lに沿う挿入方向X1に沿って、一端6eからシールドコネクタ1の挿入凹部Sに、挿入開口Saを介して挿入される(
図2を参照)。
【0023】
接続部材6は、絶縁部61と、長手方向Lに延びる複数の導体部62と、を含む。複数の導体部62は、長手方向Lと直交する幅方向Wに並んで配置されている。絶縁部61は、接続部材6の下面6b側に配置されたベース部63と、接続部材6の上面6a側に配置されたカバー部64とを含む。カバー部64は、各導体部62の端部62aが、接続部材6の一端6eから所定距離の間で露出するように、ベース部63および各導体部62を覆っている。
【0024】
図示していないが、ベース部63の最表面は、ノイズ対策のため、例えば導電金属製のシールドフィルムで覆われており、該シールドフィルムがグラウンド部を構成している。
【0025】
また、接続部材6は、一対の側縁6cに形成された切欠き凹部である係止凹部65を有している。係止凹部65は、接続部材6の一端6eから介在部66を介して離隔して配置されている。接続部材6がコネクタ1に接続された状態で、
図18Bに示すように、係止凹部65に、金属シェル4の弾性片41の係止凸部81が係止されることで、接続部材6の接続状態がロックされる構成となっている。
【0026】
図2は、接続部材6が接続されたシールドコネクタの斜視図である。
図3は、接続部材6を引き抜くときのシールドコネクタ1の斜視図である。
図4および
図5は、互いに別角度からのシールドコネクタ1の分解斜視図である。
図6および
図7は、互いに別角度からのシールドコネクタ1の下方からの斜視図である。
図8および
図9は、スライダ5およびハウジング3の斜視図である。
【0027】
スライダ5は、ハウジング3によって、挿入方向X1にスライド可能に支持されている。スライダ5は、第1位置(押込み位置。
図2および
図8を参照))と、第1位置によりも挿入方向X1の反対方向X2の第2位置(引出し位置。
図3および
図9を参照)と、にスライド変位可能である。第1位置は、接続部材6が挿入凹部Sに挿入されるときの、スライダ5の位置である(
図18A、
図18Bを参照)。第2位置は、接続部材6が挿入凹部Sから引き抜かれるときの位置である(
図18C、
図18Dを参照)。
【0028】
図10は、シールドコネクタ1の平面図である。
図11は、シールドコネクタ1の前面図である。
図12は、シールドコネクタ1の後面図である。
図13は、シールドコネクタ1の底面図である。
図14は、シールドコネクタ1の側面図である。
図15は、シールドコネクタ1の断面図である。
【0029】
次いで、コンタクト2を説明する。
【0030】
図4、
図5および
図15に示すように、コンタクト2は、固定部21と、弾性片部22と、接触部Cを有する凸部23と、リード部24と、を含む。固定部21は、ハウジング3の後枠32の圧入孔32a(
図5を参照)に圧入固定される。リード部24は、固定部21の後端から延設されたアングル状のリード部であって、回路基板10の表面10aの導体部に半田付けされる脚部24aを含む。
【0031】
弾性片部22は、固定部21から前方(挿入方向X1の反対方向X2)へ延びる。凸部23は、弾性片部22の先端に設けられた下向きの凸部であり、その頂部に接触部Cが配置されている。弾性片部22は、ハウジング3の上板30に形成されたコンタクト収容溝30c(
図4を参照。コンタクト収容部)に収容されている。
図15に示すように、弾性片部22において、接触部Cを含む凸部23の一部が、コンタクト収容溝30cから挿入凹部S内に進出している。
【0032】
図20Aに示すように接続部材6が挿入凹部Sに対して未挿入のときには、弾性片部22は自由状態にあり、接触部Cと、接触部Cに対向する下板31の上面との間には、接続部材6の厚みTよりも小さい隙間量の隙間SSが形成されている。この隙間SSを押し拡げつつ、接続部材6が挿入凹部S内に押込み挿入される(
図20Bを参照)。すなわち、シールドコネクタ1は、NON-ZIFタイプである。
【0033】
次いで、ハウジング3を説明する。
【0034】
図4および
図5に示すように、ハウジング3は、上板30と、下板31と、後枠32と、一対の側板33と、一対の透孔34と、前下枠35と、一対の前側枠36と、一対の第1案内溝37と、一対の第2案内溝38と、一対の嵌合凹部39と、一対の第1ストッパ71と、一対の第2ストッパ72と、を含む。
【0035】
図4に示すように、後枠32は、上板30および下板31の後部間を連結している。後枠32は、コンタクト2の固定部21が圧入される複数の圧入孔32a(
図5を参照)を開口している。後枠32によって、コンタクト2が保持されている。上板30は、上面30aと、下面30b(
図5を参照)と、コンタクト収容溝30c(
図15も参照)と、を含む。コンタクト収容溝30cは、各圧入孔32aから挿入方向X1に延び、上面30aおよび下面30bに開放する。
【0036】
図4に示すように、上板30の前端30dは、前下枠35の前端35aよりも挿入方向X1に配置される。前下枠35は、下板31の前端に連結され幅方向Wに延びる。一対の前側枠36は、前下枠35の一対の側端に連なり且つ一対の側板33の前端に連なる。各前側枠36には、挿入方向X1に貫通する圧入孔36aが形成されている。
【0037】
一対の第1案内溝37は、一対の側板33の内側面33aと上板30の一対の側縁との間に形成されて挿入方向X1に延び、スライダ5を挿入方向X1にスライド案内する。一対の第2案内溝38は、一対の側板33の上面33bに形成され、前側枠36に隣接している。一対の第2案内溝38は、スライダ5の一対の第2突起57を介して、スライダ5を挿入方向X1にスライド案内する。
【0038】
これら第1案内溝37および第2案内溝38の案内により、スライダ5は、挿入方向X1の第1位置(
図8、
図18Aおよび
図19Aを参照)と、第1位置よりも挿入方向X1の反対方向X2の第2位置(
図9、
図18Cおよび
図19Cを参照)とにスライド変位する。
【0039】
図4に示すように、一対の透孔34は、一対の側板33の内側面33aに沿って下板31に形成され、一対の第1案内溝37の底を開放する。各前側枠36の前面には、前方に開放する嵌合凹部39が形成されている。
図8に示すように、スライダ5が挿入方向X1側の第1位置にあるときに、スライダ5の第1突起56が嵌合凹部39の底面である第1ストッパ71(
図5を参照)に当接する。これにより、スライダ5が第1位置に位置規制される。
【0040】
図9に示すように、スライダ5が第2位置にあるときに、ハウジング3の前側枠36の後面(第2案内溝38の前端面に相当)である第2ストッパ72(
図4を参照)に当接する。これにより、スライダ5が第2位置に位置規制される。
【0041】
次いで、スライダ5を説明する。
【0042】
図4および
図5に示すように、スライダ5は、一対の被案内アーム51と、上板52と、一対の駆動部53と、前上枠54と、一対の前側枠55と、一対の第1突起56と、一対の第2突起57と、を含む。
【0043】
一対の被案内アーム51は、挿入方向X1に平行に延びている。上板52は、略矩形をなす。前上枠54は、上板52の前端に連結されている。一対の前側枠55は、前上枠54の幅方向Wの一対の端部と連結され、一対の被案内アーム51の前端51aと連なっている。一対の被案内アーム51は、上板52、前上枠54および一対の前側枠55によって互いに連結されている。上板52、前上枠54および一対の前側枠55が、一対の被案内アーム51間を連結する連結部Rを構成している。
【0044】
各被案内アーム51は、前端51aと、後端51bと、外側面51cと、内側面51dと、を含む。一対の被案内アーム51は、ハウジング3の一対の第1案内溝37にスライド自在に嵌合されており、これにより、スライダ5は、挿入方向X1に案内される。
【0045】
一対の第1突起56は、一対の前側枠55の外側面55aから突出する直方体形状の突起である。一対の第2突起57は、一対の被案内アーム51の挿入方向X1の中間部の外側面51cから突出する断面略方形の突起である。一対の第2突起57は、一対の第2案内溝38の底によって受けられた状態で挿入方向X1に案内される(
図8および
図9を参照)。
【0046】
一対の駆動部53は、一対の被案内アーム51の後端51bの下部から下向きに突出する山形部である。幅方向Wに見たときに、駆動部53は、挿入方向X1の反対方向X2に向かって接続部材6の挿入経路に近づくように傾斜する傾斜部53a(
図19Aを参照)を含む。
【0047】
スライダ5が第1位置(
図19Aおよび
図19Bを参照)にあるときに、駆動部53は、金属シェル4の弾性片41の解除操作部82から挿入方向X1に離間している。スライダ5が第1位置(
図19Bを参照)から第2位置(
図19Cを参照)にスライドされるときに、駆動部53は、接続部材6の係止凹部65に対する係止凸部81の係止を解除させるように(
図18Cを参照)、解除操作部82を駆動する(
図19Cを参照)。
【0048】
図15に示すように、挿入凹部Sは、スライダ5の連結部Rとハウジング3との間に形成される第1部分S1と、第1部分S1よりも挿入方向X1でハウジング3のみによって形成される第2部分S2と、を含む。接続部材6の一端6eが挿入される挿入凹部Sの挿入開口Saは、第1部分S1に配置されている。すなわち、
図8および
図11に示すように、挿入開口Saは、ハウジング3とスライダ5の連結部Rとの間に形成されている。
【0049】
次いで、金属シェルを説明する。
【0050】
図4および
図5に示すように、金属シェル4は、ハウジング3を覆うシェル本体40と、一対の弾性片41と、を含む。シェル本体40は、上板42と、一対の下板43と、後板44(
図12を参照)と、一対の側板45と、一対の支点部46と、一対の圧入片47と、一対の係止片48と、を含む。金属シェル4において、例えば後板44および各側板45にそれぞれ複数設けられた下向きの突起が、回路基板10の表面10a(
図1Aを参照)のグラウンド部に接続される。
【0051】
図6および
図14に示すように、一対の係止片48は、一対の後板44の一対の側縁から直交状に延設され、係止孔48aを有している。一対の係止片48は、対応する側板45の外側面45aに沿っている。各係止片48の係止孔48aに、側板45の外側面45aから突出する係止突起45bが挿入係止される。
【0052】
図4に示すように、一対の側板45は、前端に圧入突起45cを含む。一対の側板45の圧入突起45cが、ハウジング3の一対の前側枠36の圧入孔36aに圧入されることにより、金属シェル4がハウジング3に固定される(
図11を参照)。
【0053】
図17に示すように、一対の弾性片41は、一対の下板43の前端から湾曲状の支点部46を介して挿入方向X1に延びる。一対の弾性片41は、一対の支点部46によって片持ち状に支持されている。支点部46を支点として上下に弾性的に曲げ変形可能である(
図18Bおよび
図18Cを参照)。
【0054】
図17に示すように、弾性片41は、係止凸部81と、解除操作部82と、接点部82a(
図13、
図21を参照)と、を含む。係止凸部81および解除操作部82は、支点部46よりも挿入方向X1に配置されている。
図13に示すように、解除操作部82は、係止凸部81に対して、幅方向Wの外方に隣接配置されている。
【0055】
図18Bに示すように、係止凸部81は、挿入凹部S内の挿入完了位置に挿入された接続部材6の係止凹部65に係止可能である。
図17および
図18Aに示すように、係止凸部81は、挿入方向X1に向かって挿入凹部Sに進出するように傾斜する傾斜部81aを有している。
【0056】
解除操作部82は、
図19Cに示すように、駆動部53によって押し下げ駆動されることにより、
図18Cに示すように、係止凹部65に対する係止凸部81の係止を解除操作する機能を果たす。
図13および
図21に示すように、接点部82aは、接続部材6のグラウンド部(前記の導電金属製のシールドフィルム)と接続される。接点部82aは、解除操作部82の一部の領域で形成されている。
【0057】
図6および
図7に示すように、スライダ5に一対の被案内アーム51の駆動部53は、一対の第1案内溝37を介して、一対の弾性片41の解除操作部82と干渉可能である(
図19Cを参照)。
【0058】
次いで、シールドコネクタ1の接続工程および引抜き工程の動作を説明する。
【0059】
図18A~
図18Dは、シールドコネクタ1の係止凸部81の位置での断面図である。
図19A~
図19Dは、駆動部53および解除操作部82の位置でのシールドコネクタ1の断面図である。
図20A~
図20Bは、コンタクト2の位置でのシールドコネクタ1の断面図である。
図21は、接続部材6が接続されたシールドコネクタ1の底面図である。
【0060】
まず、接続部材6の接続工程を説明する。
【0061】
図18A~
図18B、および
図19A~
図19Bは、接続部材6の挿入工程(接続工程)を示している。シールドコネクタ1に接続部材6を接続するときは、スライダ5が
図8に示す第1位置(押込み位置)にある状態で、接続部材6を挿入凹部S内に挿入するようにする。
【0062】
スライダ5が第1位置にあるときは、
図19Aに示すように、駆動部53が解除操作部82から挿入方向X1に離間しているため、
図18Aに示すように、弾性片41の係止凸部81は、挿入凹部S内(接続部材6の挿入経路)に進出している。また、
図20Aに示すように、コンタクト2の接触部Cは、弾性片部22の弾性により挿入凹部S内(接続の挿入経路)に進出している。
【0063】
図18Aに示す状態から、接続部材6を挿入するに伴って、弾性片41の係止凸部81が介在部66を弾性的に乗り越えて、
図18Bに示すように、係止凸部81が接続部材6の係止凹部65に係止する。これにより、接続部材6が正規挿入位置にロックされる。また、
図20Bに示すように、接続部材6の導体部62(
図1Aを参照)に対してコンタクト2の接触部Cが弾性接触される。また、
図21に示すように、接点部82aが接続部材6のグラウンド部(具体的には、下面6bのカバー部64の最表面を覆う導電金属製のシールドフィルム)に接続される。
【0064】
次いで、接続部材6の引抜き工程(接続解除工程)を説明する。
【0065】
図18C~
図18D、および
図19C~
図19Dは、接続部材6の引抜き工程(接続解除工程)を示している。シールドコネクタ1から接続部材6を引き抜くときは、事前に、スライダ5を
図18Cおよび
図19Cに示す第2位置(引出し位置)にスライドさせる。スライダ5を第2位置にスライドさせるに伴って、
図19Cに示すように、駆動部53が解除操作部82を下方へ駆動することにより、
図18Cに示すように、係止凹部65に対する係止凸部81の係止が解除される。これにより、接続部材6の引抜きが可能な状態になるので、
図18Dおよび
図19Dに示すように、接続部材6を挿入方向X1の反対方向X2に引き抜く。
【0066】
本実施形態によれば、接続部材6を接続するときには、スライダ5が第1位置(押込み位置)にある状態で、
図18Aおよび
図18Bに示すように、接続部材6を挿入凹部Sの挿入完了位置に押し込み挿入することができる。その挿入完了位置では、
図18Bに示すように、金属シェル4の弾性片41の係止凸部81が、接続部材6の係止凹部65に係止することにより、接続部材6の接続状態が保持される。
【0067】
また、接続部材6を引き抜くときには、事前に、スライダ5を第1位置から第2位置(
引出し位置)にスライドさせることにより、
図19Cに示すように、スライダ5の駆動部53によって弾性片41の解除操作部82を駆動して、係止凹部65に対する係止凸部81の係止を解除する(
図18Cを参照)。これにより、接続部材6を挿入凹部Sから容易に引き抜くことができる(
図18Dを参照)。
【0068】
接続部材の挿脱時に先行技術のように回転する開閉カバーを用いる場合と比較して、高さ方向の小型化を達成することができる。また、接続部材6の接続時には、先行技術のように開閉カバーを開閉する作業は不要であって、単に接続部材6を押し込み挿入するのみなので、接続作業性が良い。
【0069】
また、
図5に示すように、弾性片41は、金属シェル4のシェル本体40の支点部46から挿入方向X1に延びており、係止凸部81および解除操作部82は、支点部46よりも挿入方向X1に配置されている。この構成によれば、弾性片41が支点部46を支点として弾性的に曲げ変形することにより、係止凸部81および解除操作部82を一体的に変位動作させることができる。
【0070】
また、
図1Aに示すように、係止凹部65は、接続部材6の側縁6cに形成され、接続部材6の一端6eから介在部66を介して離隔する切欠き凹部を含む。また、
図13に示すように、解除操作部82は、係止凸部81に対して、接続部材6の挿入方向X1に対して直交する幅方向Wの外方に隣接配置されている。この構成によれば、解除操作部82を駆動するための駆動部53が係止凸部81と干渉することを回避しつつ、スペースを有効利用することができる。
【0071】
また、
図4に示すように、ハウジング3の一対の第1案内溝37によって案内されるスライダ5の一対の被案内アーム51が駆動部53を含む。
図6、
図7および
図19Cに示すように、一対の被案内アーム51の駆動部53は、一対の第1案内溝37を介して、金属シェル4の一対の弾性片41の解除操作部82と干渉可能である。この構成によれば、スライダ5を第2位置にスライドさせるときに、一対の被案内アーム51の駆動部53によって解除操作部82を駆動することが可能となる。
【0072】
また、
図8に示すように、スライダ5は、一対の被案内アーム51間を連結する連結部Rを含み、連結部Rとハウジング3とによって、挿入凹部Sの挿入開口Saが形成されている。この構成によれば、スライダ5において一対の被案内アーム51間を連結するために必須の構成である連結部Rを、挿入開口Saを形成するためのハウジングの一部として機能させることができ、構造を簡素化しつつ小型化を達成できる。
【0073】
また、弾性片41は、接続部材6のグラウンド部と接続される接点部82a(
図13および
図21を参照)を含み、接点部82aは、解除操作部82の一部の領域で形成されている。この構成によれば、弾性片41がグラウンド接続にも寄与するので、別途に接点部を設ける場合と比較して、構造を簡素化することができる。
【0074】
また、駆動部53が、
図19Aに示すように、挿入方向X1の反対方向X2に向かって接続部材6の挿入経路に近づくように傾斜する傾斜部53aを含む。この構成によれば、スライダ5が第2位置にスライドするときに、係止凹部65に対する係止凸部81の係止を容易に解除することができる。
【0075】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、接続部材として、FPCが用いられてもよい。また、図示していないが、駆動部53の傾斜部53aに代えて、解除操作部82に傾斜部が設けられていてもよいし、駆動部53および解除操作部82の双方に傾斜部が設けられていてもよい。その他、本発明は、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0076】
1 シールドコネクタ
2 コンタクト
3 ハウジング
4 金属シェル
5 スライダ
6 接続部材
6c 側縁
6e 一端
40 シェル本体
37 第1案内溝
41 弾性片
46 支点部
51 被案内アーム
52 上板(連結部)
53 駆動部
53a 傾斜部
54 前上枠(連結部)
55 前側枠(連結部)
62 導体部
65 係止凹部
81 係止凸部
82 解除操作部
82a 接点部
C 接触部
S 挿入凹部
Sa 挿入開口
R 連結部
W 幅方向
X1 挿入方向
X2 反対方向