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特開2024-163540ハウジングおよびカードエッジコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163540
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】ハウジングおよびカードエッジコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/72 20110101AFI20241115BHJP
【FI】
H01R12/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079256
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】591236301
【氏名又は名称】ミネベアコネクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173691
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 康久
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】船橋 彰男
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA21
5E223AB02
5E223AB28
5E223AB45
5E223AB74
5E223AC05
5E223AC23
5E223AC31
5E223BA06
5E223BA07
5E223BB12
5E223BB17
5E223CB22
5E223CB31
5E223CB39
5E223CD01
5E223CD24
5E223DB09
5E223DB23
5E223EA02
5E223EA13
5E223EC07
5E223EC32
(57)【要約】
【課題】カードエッジコネクタが回路基板に取り付けられた状態において回路基板の振動を防止することができるハウジングおよび該ハウジングを備えるカードエッジコネクタを提供すること。
【解決手段】ハウジング3は、本体部31と、本体部31の先端面314上に形成され、回路基板100が挿入される回路基板挿入孔33と、本体部31の基端面315上に形成され、コネクタ端子2が挿入される端子挿入孔32と、本体部31の一対の側面313上にそれぞれ設けられた一対の支持機構34と、を備える。一対の支持機構34のそれぞれは、上側梁341Uと、下側梁341Lと、を備える。上側梁341Uおよび下側梁341Lのそれぞれは、上下方向に弾性変形可能に構成されている。上側梁341Uおよび下側梁341Lは、回路基板100を上下方向から押圧することにより、回路基板100を支持する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側から挿入された回路基板と嵌合するよう構成されたカードエッジコネクタで用いられるハウジングであって、
絶縁性材料で構成され、先端面、基端面、および一対の側面を有する本体部と、
前記本体部の前記先端面上に形成され、前記回路基板が挿入される回路基板挿入孔と、
前記本体部の前記基端面上に形成され、コネクタ端子が挿入される端子挿入孔と、
前記回路基板を支持するために、前記本体部の前記一対の側面上にそれぞれ設けられた一対の支持機構と、を備え、
前記一対の支持機構のそれぞれは、前記本体部の前記側面の上側部分から外側に向かって延伸する上側梁と、前記本体部の前記側面の下側部分から外側に向かって延伸する下側梁と、を備え、
前記上側梁および前記下側梁のそれぞれは、上下方向に弾性変形可能に構成されており、
前記上側梁および前記下側梁は、前記回路基板を前記上下方向から押圧することにより、前記回路基板を支持するよう構成されていることを特徴とするハウジング。
【請求項2】
前記上側梁および前記下側梁のそれぞれは、
前記本体部の前記側面から外側に向かって直線状に延伸する水平延伸部と、
前記水平延伸部の先端部に設けられ、前記水平延伸部の前記先端部から前記上下方向に向かって湾曲する湾曲部と、
前記湾曲部から前記本体部の前記側面に向かって斜めに延伸する押圧部と、を備えており、
前記回路基板は、前記上側梁の前記押圧部と前記下側梁の前記押圧部との間の間隙内において、前記上側梁の前記押圧部および前記下側梁の前記押圧部によって、前記上下方向から押圧される請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記上側梁の前記押圧部は、前記湾曲部から、前記本体部の前記側面、かつ、下方に向かって延伸しており、
前記下側梁の前記押圧部は、前記湾曲部から、前記本体部の前記側面、かつ、上方に向かって直線状に延伸している請求項2に記載のハウジング。
【請求項4】
前記上側梁および前記下側梁のそれぞれは、前記湾曲部および前記押圧部によって形成される角度が、90度より大きく、かつ、180度未満となるよう構成されている請求項2に記載のハウジング。
【請求項5】
前記本体部の前記一対の側面のそれぞれから外側に向かって突出する一対の過変位防止部をさらに備えており、
前記一対の過変位防止部は、前記上側梁および前記下側梁の前記押圧部と間隙を介してそれぞれ対向しており、
前記上側梁および前記下側梁の弾性変形が、前記一対の過変位防止部によって規制される請求項2に記載のハウジング。
【請求項6】
前記一対の過変位防止部のそれぞれは、前記本体部の前記上下方向における中心から離間するにつれて、前記本体部の前記側面からの突出量が漸増する傾斜構造を有しており、
前記上側梁および前記下側梁の前記押圧部が、前記一対の過変位防止部に接触することにより、前記上側梁および前記下側梁の前記弾性変形が規制される請求項5に記載のハウジング。
【請求項7】
前記上側梁の前記押圧部と前記下側梁の前記押圧部との間の前記間隙の幅は、前記回路基板の厚さの最小許容値より小さく、
前記回路基板を前記間隙内に挿入する際、前記回路基板が、前記上側梁の前記押圧部および前記下側梁の前記押圧部を押圧することにより、前記上側梁および前記下側梁のそれぞれの前記押圧部を前記上下方向に弾性変形させる請求項2に記載のハウジング。
【請求項8】
前記上側梁および前記下側梁のそれぞれは、前記押圧部の前記本体部の前記側面と対向する面上に、前記本体部の前記側面に向かって延伸するよう形成された突起をさらに備えている請求項2に記載のハウジング。
【請求項9】
前記本体部の前記一対の側面上であって、前記一対の支持機構よりも基端側にそれぞれ設けられた一対のサイドロック機構をさらに備えており、
前記ハウジングの前記一対のサイドロック機構が、前記回路基板の一対のサイドロック爪と係合することにより、前記回路基板が前記ハウジングに対してロックされる請求項1に記載のハウジング。
【請求項10】
請求項1に記載のハウジングと、
前記ハウジングの前記端子挿入孔内に挿入された前記コネクタ端子と、を含むことを特徴とするカードエッジコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、カードエッジコネクタ用のハウジングおよびコネクタに関し、より具体的には、カードエッジコネクタが回路基板に取り付けられた状態において回路基板の振動を防止することができるカードエッジコネクタ用のハウジングおよび該ハウジングを備えるカードエッジコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
車載用デバイスのような、振動環境下で用いられるデバイスと電気ケーブルとの間の電気的接続を提供するためのカードエッジコネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。カードエッジコネクタは、カード状(矩形平板状)の回路基板のエッジ部分に着脱可能に取り付けられるハウジングと、電気ケーブルの端部に接続され、ハウジング内に収納された1つ以上のコネクタ端子と、を備えている。ハウジングを回路基板のエッジ部分に嵌合させることにより、1つ以上のコネクタ端子が回路基板上に形成された対応する電極と接触する。また、カードエッジコネクタのハウジングと回路基板のエッジ部分との係合により、回路基板に対してカードエッジコネクタが固定されるため、振動環境下においても、1つ以上のコネクタ端子と回路基板の対応する電極との間の接触が維持される。
【0003】
図1は、従来のカードエッジコネクタにおいて用いられるハウジング800および回路基板900を開示している。ハウジング800は、その内部において1つ以上の図示しないコネクタ端子を互いに絶縁した状態で内部に保持する機能を有している。ハウジング800は、絶縁性材料により形成され、略直方体形状の本体部810と、本体部810の先端面上に形成された回路基板挿入孔820と、本体部810の両側面上にそれぞれ設けられた一対の支持機構830と、回路基板挿入孔820内に向かって突出するフック840と、を備えている。また、一対の支持機構830のそれぞれは、本体部810の側面の上端から外側に向かって延伸し、先端部が鉛直下方に向かって屈曲する上側梁831と、本体部の側面の下端から外側に向かって延伸し、その後、先端部が鉛直上方に向かって屈曲する下側梁832と、上側梁831と下側梁832との間の間隙833と、を備えている。
【0004】
回路基板900は、回路基板900の一方のエッジ部分に形成された平面視凹状の切り欠き部910と、切り欠き部910の底部から-Z方向に突出する舌状部920と、切り欠き部910の外側に位置し、-Z方向に突出する一対の突出部930と、舌状部920と切り欠き部910との間に形成された一対のスリット940と、舌状部920上に形成された係合孔950と、舌状部920上において露出している1つ以上(図示の形態では、2つ)の電極960と、を備えている。
【0005】
回路基板900をハウジング800の回路基板挿入孔820内に挿入すると、回路基板挿入孔820の両側壁が、それぞれ一対のスリット940内に挿入され、さらに、一対の突出部930が、一対の支持機構830の間隙833内に挿入される。その後、ハウジング800のフック840が、スナップフィットによって回路基板900の係合孔950と係合すると、回路基板900に対するカードエッジコネクタの取り付けが完了する。
【0006】
図2は、回路基板900にカードエッジコネクタを取り付けた状態において、ハウジング800の支持機構830の周辺領域を、ハウジング800の先端側から見た図である。図2に示されているように、回路基板900が間隙833内に挿入され、上側梁831が回路基板900を上側から支持し、下側梁832が回路基板900を下側から支持する。このような構成により、回路基板900にカードエッジコネクタを取り付けた状態において、ハウジング800によって回路基板900を支持している。
【0007】
間隙833の幅は、回路基板900の厚さの設計値と略同等となるよう設定されている。しかしながら、回路基板900の製造公差により、回路基板900の実際の厚さが設計値から変動してしまう場合がある。特に、回路基板900の実際の厚さが設計値よりも小さい場合、回路基板900と、上側梁831および/または下側梁832との間にクリアランスが生じてしまう。この状態において、振動環境下でカードエッジコネクタを用いた場合、図2の矢印に示されているように、回路基板900が上下方向に振動してしまう。回路基板900が上下方向に振動すると、カードエッジコネクタのコネクタ端子の接点部と回路基板900の電極960とが擦れて摩耗し、カードエッジコネクタの接触信頼性が低下してしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-113454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みたものであり、その目的は、カードエッジコネクタが回路基板に取り付けられた状態において回路基板の振動を防止することができるハウジングおよび該ハウジングを備えるカードエッジコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的は、以下の(1)および(2)によって規定される本発明により達成される。
【0011】
(1)先端側から挿入された回路基板と嵌合するよう構成されたカードエッジコネクタで用いられるハウジングであって、
絶縁性材料で構成され、先端面、基端面、および一対の側面を有する本体部と、
前記本体部の前記先端面上に形成され、前記回路基板が挿入される回路基板挿入孔と、
前記本体部の前記基端面上に形成され、コネクタ端子が挿入される端子挿入孔と、
前記回路基板を支持するために、前記本体部の前記一対の側面上にそれぞれ設けられた一対の支持機構と、を備え、
前記一対の支持機構のそれぞれは、前記本体部の前記側面の上側部分から外側に向かって延伸する上側梁と、前記本体部の前記側面の下側部分から外側に向かって延伸する下側梁と、を備え、
前記上側梁および前記下側梁のそれぞれは、上下方向に弾性変形可能に構成されており、
前記上側梁および前記下側梁は、前記回路基板を前記上下方向から押圧することにより、前記回路基板を支持するよう構成されていることを特徴とするハウジング。
【0012】
(2)上記(1)に記載のハウジングと、
前記ハウジングの前記端子挿入孔内に挿入された前記コネクタ端子と、を含むことを特徴とするカードエッジコネクタ。
【発明の効果】
【0013】
本発明のハウジングにおいては、支持機構の上側梁および下側梁のそれぞれが、上下方向に弾性変形可能に構成されている。そのため、回路基板をハウジングの回路基板挿入孔に挿入した際、回路基板が上側梁および下側梁を押圧し、弾性変形させる。この結果、上側梁および下側梁は、自身の弾性復元力によって回路基板を上下方向から押圧し、回路基板を保持することができる。このように、回路基板が上側梁および下側梁によって上下方向から押圧された状態で支持されるので、カードエッジコネクタが回路基板に取り付けられた状態において、回路基板の振動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来のハウジングおよび回路基板を示す斜視図である。
図2図1に示すハウジングの支持機構の周辺領域を示す図である。
図3】本発明に係るカードエッジコネクタ、カードエッジコネクタに接続されたケーブル、およびカードエッジコネクタが取り付けられる回路基板を示す斜視図である。
図4図3に示すカードエッジコネクタのコネクタ端子の斜視図である。
図5図4にコネクタ端子の断面図である。
図6図3に示すカードエッジコネクタのハウジングの斜視図である。
図7図3に示すカードエッジコネクタのハウジングの別の角度からの斜視図である。
図8図7中のA-A線に沿った断面図である。
図9図6に示すハウジングの支持機構の上側梁および下側梁の周辺領域を拡大して示す図である。
図10】ハウジング内へのコネクタ端子の挿入を説明するための図である。
図11】ハウジング内へのコネクタ端子の挿入の際のハウジングの保護溝とコネクタ端子の接点部との関係を説明するための図である。
図12】ハウジング内へのコネクタ端子の挿入の際のハウジングの保護溝とコネクタ端子の接点部との関係を説明するための別の図である。
図13】回路基板に取り付けられたカードエッジコネクタを示す斜視図である。
図14】回路基板に取り付けられたカードエッジコネクタを先端側から見た図である。
図15】カードエッジコネクタが回路基板に取り付けられた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のハウジングおよびカードエッジコネクタを、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて、説明する。なお、以下で参照する各図は、本発明の説明のために用意された模式的な図である。図面に示された各構成要素の寸法(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法を反映したものではない。また、各図において、同一または対応する要素には、同じ参照番号が付されている。以下の説明において、各図のZ軸の正方向を「先端側」または「前側」といい、Z軸の負方向を「基端側」または「後側」といい、Y軸の正方向を「上側」といい、Y軸の負方向を「下側」といい、X軸の正方向を「手前側」といい、X軸の負方向を「奥側」ということがある。また、Z方向を「回路基板の挿抜方向」といい、Y方向を「高さ方向」または「上下方向」といい、X方向を「横方向」ということがある。
【0016】
図3に示す本発明のカードエッジコネクタ1は、エッジ部近傍に1つ以上の電極(電気接点)101が形成された回路基板100と対で用いられる電気コネクタである。カードエッジコネクタ1を回路基板100のエッジ部に直接嵌合することにより、カードエッジコネクタ1を介して、回路基板100の1つ以上の電極101と、回路基板100の極数(電極101の数)に応じた数の電気ケーブル200との間の電気的接続が提供される。このようなタイプの電気コネクタは、一般に、エッジコネクタソケットまたはスロットと呼ばれている。カードエッジコネクタ1は、回路基板100に直接嵌合することにより、回路基板100に対して容易に取り付け可能なので、カードエッジコネクタ1の回路基板100への取り付けの際にはんだ付け等の取り付け作業が不要である。そのため、回路基板100が設けられたデバイスの製造工程の簡略化や、低コスト化が可能となる。また、カードエッジコネクタ1は、回路基板100に対して着脱自在である。典型的には、回路基板100は、車載用デバイスの筐体内に設けられ、カードエッジコネクタ1は、車載用デバイスの回路基板100と1つ以上の電気ケーブル200との間の電気的接続を提供するために用いられる。
【0017】
なお、図示の形態では、カードエッジコネクタ1を介して回路基板100に電気的に接続される電気ケーブル200の数は20であるが、本発明はこれに限られない。カードエッジコネクタ1は、必要とされる電気的接続の数に応じて、1つ以上の電気ケーブル200を回路基板100の対応する電極101に電気的に接続するよう構成されていてもよい。
【0018】
図3に示されているように、直接嵌合によりカードエッジコネクタ1が取り付けられる回路基板100は、板状のリジット回路基板またはFPC(Flexible Printed Circuit)に補強板(ポリイミド等)を張り付けて所定の厚みにした回路基板である。このような回路基板100は、例えば、フォトエッチング加工等のエッチング加工により、絶縁材料により構成された配線板上に導体の配線パターンを形成し、さらに、電極101を除く配線パターン上にソルダーレジスト層を形成することにより得られる。回路基板100の配線板上に形成された配線パターンのうち、電極101を除く部分がソルダーレジスト層によって覆われており、電極101が、回路基板100の上面(+Y方向の面)上において露出している。
【0019】
回路基板100は、上下対称な構成を有している。そのため、回路基板100の上面(+Y方向の面)だけでなく、回路基板100の下面にも、上面と同様に1つ以上の電極101が形成されている。図示の形態では、回路基板100の上面に10個の電極101が形成され、さらに、回路基板100の下面(-Y方向の面)にも10個の電極101が形成され、合計20個の電極101が回路基板100上に形成されている。
【0020】
回路基板100は、回路基板100のエッジ部から直線状に延伸する5つのスリット102と、スリット102によって互いに離間する4つの舌状部103と、4つの舌状部103の上面または下面において露出している20個の電極101と、一対の凹部104と、一対の凹部104よりも-Z方向に位置する一対のサイドロック爪105と、を備えている。
【0021】
5つのスリット102のそれぞれは、回路基板100の-Z方向のエッジ部から+Z方向に向かって、互いに平行な状態で直線状に延伸するよう形成されている。4つの舌状部103は、5つのスリット102によって互いに離間しており、-Z方向に向かって直線状に延伸する部分である。4つの舌状部103のうち、最も+X方向側に位置する1つの上面および下面のそれぞれには、1つの電極101が形成されている。4つの舌状部103のうち、残りの3つの舌状部103の上面および下面のそれぞれには、3つの電極101が形成されている。
【0022】
最も+X方向側に位置する舌状部103の上面および下面のそれぞれに形成された電極101は、電力供給用の電気ケーブル200と電気的に接続される。残りの3つの舌状部103の上面および下面のそれぞれに形成された3つの電極101は、信号送信用の電気ケーブル200と電気的に接続される。電力供給用の電気ケーブル200内を流れる電流の出力は、信号送信用の電気ケーブル200内を流れる電流の出力よりも大幅に高い。そのため、電力供給用の電気ケーブル200と電気的に接続される電極101は、放熱性能を高めるため、信号送信用の電気ケーブル200と電気的に接続される電極101よりも、幅広に形成されている。
【0023】
一対の凹部104は、4つのスリット102のうち最も外側に位置する2つのスリット102の外側面から外側に向かってそれぞれ延伸する矩形状の凹部である。また、一対の凹部104は、一対のサイドロック爪105の+Z方向(先端側)にそれぞれ位置している。一対のサイドロック爪105のそれぞれは、基端部が回路基板100のエッジ部と連続し、先端部が自由端となっている片持ち梁構造を有している。また、一対のサイドロック爪105のそれぞれは、外側から内側に向かって直線状に延伸している。一対のサイドロック爪105のそれぞれの+Z方向の面および-Z方向の面は、Z方向に直交する平坦面となっている。
【0024】
カードエッジコネクタ1は、回路基板100の対応する電極101と接触する1つ以上(図示の形態では、20個)のコネクタ端子2(図4参照)と、コネクタ端子2を内部に収納する絶縁性のハウジング3と、を備えている。以下、添付の図面を参照して、カードエッジコネクタ1の各コンポーネントについて詳述する。
【0025】
図4および図5に示されているコネクタ端子2は、電気ケーブル200の芯線210(図15参照)に接続されるワイヤバレル部21と、電気ケーブル200の絶縁被覆部220(図15参照)を保持するインシュレーションバレル部22と、回路基板100の対応する電極101との間の電気的接続を確保するための接続部23と、接続部23を側方(X方向)から覆う一対の壁部24と、接続部23を先端側から覆う先端部25と、を備えている。コネクタ端子2は、Snメッキが全面に施された金属板に対して、打ち抜き加工および折り曲げ可能を施すことにより得られる。そのため、コネクタ端子2の表面上には、Snメッキ層が存在している。また、ワイヤバレル部21、インシュレーションバレル部22、および接続部23は、一体的に形成されている。
【0026】
ワイヤバレル部21は、接続部23の-Z方向側に位置し、圧着等により電気ケーブル200の芯線210に接続される部分である。ワイヤバレル部21に電気ケーブル200の芯線210が接触するので、コネクタ端子2と電気ケーブル200の芯線210とが電気的に接続される。インシュレーションバレル部22は、ワイヤバレル部21の-Z方向側に位置し、圧着等により電気ケーブル200の絶縁被覆部220を保持する部分である。接続部23は、回路基板100の対応する電極101との間の電気的接続を確保するための部分である。前述のように、ワイヤバレル部21に電気ケーブル200の芯線210が接触しているので、接続部23が対応する電極101に接触すると、対応する電極101と電気ケーブル200との間の電気的接続が提供される。
【0027】
図5に示されているように、接続部23は、回路基板100の挿抜方向(Z方向)に直線状に延伸する基部231と、基部231の先端部に設けられ、基部231の先端部から基端側(-Z方向)に向かって湾曲する第1の折り返し部232と、第1の折り返し部232から、基端側であって、かつ、基部231から離間する方向(+Y方向)に斜めに延伸する第1の延伸部233と、第1の延伸部233の基端部上に、基部231から離間する方向に突出するよう設けられ、回路基板100の対応する電極101と接触する接点部234と、第1の延伸部233の基端部に設けられ、第1の延伸部233の基端部から先端側(+Z方向)に向かって湾曲する第2の折り返し部235と、第2の折り返し部235から、先端側であって、かつ、基部231に接近する方向(-Y方向)に斜めに延伸する第2の延伸部236と、第2の延伸部236の先端部に設けられた自由端237と、を備えている。なお、接続部23は、第1の延伸部233または第2の延伸部236に形成された1つ以上の追加的な湾曲部や折り曲げ部を備えていてもよい。
【0028】
基部231は、Z方向に延伸する板状部分であり、コネクタ端子2の底板としても機能する。基部231は、ハウジング3内でのコネクタ端子2のロックのために、ハウジング3のランス317(図8参照)と係合する開口2311を備えている。開口2311は、基部231の基端部分を横方向(X方向)に横断している。開口2311より先端側の部分と、開口2311より基端側の部分とは、開口2311により分断されているが、一対の壁部24によって互いに接続されている。
【0029】
第1の折り返し部232は、基部231の先端部に設けられ、基部231の先端部から基端側(-Z方向)に向かって湾曲し、先端側(+Z方向)に突出する円弧部分を有するU字状の円弧状部分である。第1の折り返し部232は、第1の折り返し部232より基端側に位置する部分の変位(弾性変形)の支点として機能する。第1の折り返し部232の一方の端部は、基部231の先端部と連続している。第1の折り返し部232の他方の端部は、基端側であって、基部231から離間する方向、すなわち、図5中の右斜め上方向に向いている。
【0030】
第1の延伸部233は、第1の折り返し部232から、基端側であって、かつ、基部231から離間する方向、すなわち、図5中の右斜め上方向に直線状に延伸する板状部分である。接点部234は、第1の延伸部233の基端部の上面上に、基部231から離間する方向に突出するよう設けられた突起である。カードエッジコネクタ1が回路基板100に取り付けられた際、接点部234が、回路基板100の対応する電極101と接触する。
【0031】
図4に示されているように、接点部234は、平面視においてZ方向に長尺の略楕円形状を有し、さらに、第1の延伸部233からの突出量が第1の延伸部233の頭頂部(基部231からの高さが最大となる箇所)において最大となるよう漸増するよう、第1の延伸部233の基端部の上面上に形成されている。さらに、接点部234の横方向(X方向)の長さは、第1の延伸部233の横方向の長さよりも短い。また、接点部234の横方向の中心線は、第1の延伸部233の横方向の中心線と一致している。なお、図5中において、接点部234と第1の延伸部233との境界を点線で示している。
【0032】
図5に戻り、第2の折り返し部235は、第1の延伸部233の基端部に設けられ、第1の延伸部233の基端部から先端側(+Z方向)に向かって湾曲し、基端側(-Z方向)に突出する円弧部分を有するU字状の円弧状部分である。第2の折り返し部235は、第2の折り返し部235より先端側に位置する部分の変位(弾性変形)の支点として機能する。第2の折り返し部235の一方の端部は、第1の延伸部233の基端部と連続している。第2の折り返し部235の他方の端部は、先端側であって、基部231に接近する方向、すなわち、図5中の左斜め下方向に向いている。
【0033】
第2の延伸部236は、第2の折り返し部235から、先端側であって、かつ、基部231に接近する方向、すなわち、図5中の左斜め下方向に直線状に延伸する板状部分である。自由端237は、第2の延伸部236の先端部に設けられ、下方に突出する円弧状部分である。自由端237の基端部は、第2の延伸部236の先端部と連続している。自由端237の先端部は、いずれの部材または部分にも接続されていない非固定端となっている。また、自由端237は、接続部23に押圧力が印加されていない自然状態において、基部231から離間しており、基部231に接触していない。自然状態において自由端237を基部231から離間させることにより、第1の折り返し部232および第2の折り返し部235を支点とする変位を生じさせるプリロードが、接続部23に印加されることを防止している。プリロードは、カードエッジコネクタ1を回路基板100に取り付けた際の接続部23の弾性変形量に影響を与え、接点部234の回路基板100の対応する電極101に対する接触圧力を設計値から変動させてしまう。一方、本発明においては、プリロードが接続部23に印加されないので、プリロードによる接点部234の対応する電極101に対する接触圧力の変動を防止することができる。
【0034】
図4に戻り、一対の壁部24は、基部231のX方向の両端部から互いに間隙を介して+Y方向に向かって直線状に延伸する板状部である。接続部23の第1の折り返し部232、第1の延伸部233、接点部234、第2の折り返し部235、第2の延伸部236、および自由端237は、一対の壁部24の間の間隙内に位置している。また、第1の延伸部233の基端部および接点部234は、一対の壁部24間の間隙から+Y方向に突出している。したがって、一対の壁部24は、第1の折り返し部232、第1の延伸部233の基端部を除く部分、第2の折り返し部235、第2の延伸部236、および自由端237を側方(X方向)から覆い、保護している。先端部25は、一対の壁部24の先端部をそれぞれ内側に向かって折り曲げて、互いに接触するようにして形成された部分である。先端部25は、第1の折り返し部232を先端側から覆い、保護している。
【0035】
以上説明したコネクタ端子2は、電気ケーブル200の端部に接続され、ハウジング3に挿入される。なお、前述したように、電力供給用の電気ケーブル200内を流れる電流の出力は、信号送信用の電気ケーブル200内を流れる電流の出力よりも大幅に高い。そのため、電力供給用の電気ケーブル200に接続されるコネクタ端子2は、放熱性能を高めるため、信号送信用の電気ケーブル200に接続されるコネクタ端子2よりも、幅広に形成されている。
【0036】
図6図8に示されているハウジング3は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の硬質の絶縁性材料の一体成形加工によって形成された絶縁性部材であり、電気ケーブル200の端部に接続されたコネクタ端子2を内部に収納する機能を有している。ハウジング3は、上面311、下面312、一対の側面313、先端面314、および基端面315を有する略直方体状の本体部31と、本体部31の基端面315上に形成された20個の端子挿入孔32と、本体部31の先端面314上に形成された回路基板挿入孔33と、本体部31の一対の側面313のそれぞれ上に形成された一対の支持機構34と、本体部31の一対の側面313上であって、一対の支持機構34より基端側にそれぞれ設けられた一対のサイドロック機構35と、を備えている。
【0037】
本体部31は、略直方体状の全体形状を有しており、内部においてコネクタ端子2を収納する機能を有している。本体部31は、上面311および下面312上に形成された複数の逃げ部316および複数のランス317と、一対の側面313のそれぞれの上端部および下端部に形成された肉抜き部319と、を備えている。
【0038】
複数の逃げ部316および複数のランス317は、複数の端子挿入孔32にそれぞれ対応している。図8に示されているように、逃げ部316は、対応する端子挿入孔32の外側に位置する凹部である。ランス317は、対応する端子挿入孔32に外側から隣接するよう形成され、基端側から先端側に向かって延伸する部分である。ランス317は、基端部が本体部31と一体化しており、先端部が自由端となっている片持ち梁構造を有している。ランス317は、先端部の内側面から端子挿入孔32内に向かって突出する係合部318を備えている。係合部318は、端子挿入孔32内に向かって傾斜する傾斜部3181と、傾斜部3181の先端部から+Z方向に直線状に延伸する平坦部3182と、を備えている。また、ランス317の外側には、逃げ部316が位置している。
【0039】
後述するように、端子挿入孔32内にコネクタ端子2が挿入された際、ランス317の係合部318がコネクタ端子2によって上方に押圧され、ランス317の基端部を支点として、ランス317が上方に弾性変形(変位)し、逃げ部316内に移動する。その後、ランス317が弾性復元すると、係合部318がコネクタ端子2の開口2311内に挿入され、端子挿入孔32内においてコネクタ端子2がロックされる。また、端子挿入孔32内においてコネクタ端子2がロックされた状態において、逃げ部316内にマイナスドライバー等の任意のツールを挿入し、ランス317を上方に弾性変形させることにより、端子挿入孔32内においてコネクタ端子2のロックを解除し、コネクタ端子2を端子挿入孔32から引き抜くことが可能となる。
【0040】
図6および図7に戻り、肉抜き部319は、一対の側面313のそれぞれの上端部および下端部に、Z方向に直線状に延伸するよう形成された凹部である。肉抜き部319の先端部は、先端側に向かって開放されており、肉抜き部319の基端部は、閉塞されている。また、肉抜き部319は、高さ方向(Y方向)において、回路基板挿入孔33よりも外側(上側または下側)に位置している。肉抜き部319の先端部、すなわち、後述する一対の支持機構34の上側梁341Uおよび下側梁341Lの水平延伸部3411(図9参照)と隣接する部分は、水平延伸部3411のX方向の長さを長くするために形成されている。一方、肉抜き部319の先端部分より基端側の部分は、ハウジング3を成形する際のヒケ(例えば、表面の歪みや凹み)を防止するために形成されている。
【0041】
図7に戻り、複数の端子挿入孔32は、本体部31の基端面315上に、1つの横側パーティション321と、複数の縦側パーティション322とによって区画される2行×10列のマトリクス状で形成されている。上側の行を構成する10個の端子挿入孔32と、下側の行を構成する10個の端子挿入孔32は、互いに上下対称となるよう構成されている。なお、上側の行および下側の行の最も+X方向側に位置する2つの端子挿入孔32には、電力供給用の電気ケーブル200に接続されるコネクタ端子2が挿入される。前述のように、電力供給用の電気ケーブル200に接続されるコネクタ端子2は、他のコネクタ端子2と比べて幅広に形成されているので、上側の行および下側の行の最も+X方向側に位置する2つの端子挿入孔32も、他の端子挿入孔32と比べて、幅広に形成されている。
【0042】
図8は、図7中のA-A線に沿った断面図であり、端子挿入孔32の内部構造を示している。上側の行の端子挿入孔32と、下側の行の端子挿入孔32は、上下対称な構成を有しているので、以下、代表して、図8の下側の端子挿入孔32について詳述する。端子挿入孔32は、本体部31の基端面315から先端面314まで直線状に延伸する略矩形の挿通孔である。
【0043】
端子挿入孔32は、端子挿入孔32の基端部に位置するガイド部323と、ガイド部323よりも先端側に位置する端子変形部324と、端子挿入孔32の先端部に位置するストッパー325と、各端子挿入孔32を上下に区画する横側パーティション321の内側面上に形成された保護溝326と、を備えている。ガイド部323は、端子挿入孔32の基端部に位置し、コネクタ端子2の端子挿入孔32内への挿入をガイドするための部位である。ガイド部323は、一対の縦側パーティション322と、横側パーティション321と、本体部31の内側面とによって規定される矩形状の開口部分である。ガイド部323のY方向(高さ方向)の長さは、図5に示したコネクタ端子2の端子高さh1(基部231の底面から接点部234の頭頂部までの高さ方向の長さ)よりも大きい。そのため、容易にコネクタ端子2をガイド部323内に挿入することができる。
【0044】
端子変形部324は、一対の縦側パーティション322と、横側パーティション321と、ランス317の内側面とによって規定される矩形状の開口部分である。端子変形部324のY方向の長さ(高さ)h2、すなわち、横側パーティション321の端子挿入孔32と対向する面からランス317の内側面までのY方向の長さh2は、ガイド部323のY方向の長さよりも小さい。端子変形部324とガイド部323との間は、Y方向の長さが基端側から先端側に向かって漸減する傾斜部によって接続されている。端子変形部324のY方向の長さh2は、コネクタ端子2の端子高さh1よりも小さい。そのため、端子挿入孔32内へのコネクタ端子2の挿入の際、コネクタ端子2の基部231がランス317の内側面と接触し、さらに、コネクタ端子2の第1の延伸部233の頭頂部が横側パーティション321の面と接触する。この結果、端子変形部324内において、コネクタ端子2に対して押圧力が印加され、コネクタ端子2の接続部23が、端子高さh1が低くなるよう、弾性変形する。
【0045】
ストッパー325は、端子挿入孔32の先端側に位置し、コネクタ端子2の先端部25と接触することにより、端子挿入孔32へのコネクタ端子2の挿入を規制する機能を有している。端子挿入孔32内へのコネクタ端子2の挿入の際、コネクタ端子2が、ガイド部323および端子変形部324を通過した後、先端部25がストッパー325に当接すると、端子挿入孔32へのコネクタ端子2の挿入が完了する。
【0046】
保護溝326は、端子挿入孔32内へのコネクタ端子2の挿入の際、端子挿入孔32のコネクタ端子2の第1の延伸部233および接点部234と対向する面、すなわち、横側パーティション321の端子挿入孔32と対向する面上に形成された矩形状の凹部である。保護溝326は、横側パーティション321の面上において、基端側から先端側に直線状に延伸している。また、保護溝326の基端部は、外部に開放されており、保護溝326の先端部は、回路基板挿入孔33に開放されている。また、保護溝326の横方向(X方向)の中心線は、端子挿入孔32内での横側パーティション321の面の横方向の中心線と一致している。
【0047】
保護溝326の高さ方向(Y方向)の長さ(深さ)は、コネクタ端子2の接点部234の第1の延伸部233からの高さ方向への最大突出量よりも大きい。前述のように、接点部234の第1の延伸部233からの突出量は、第1の延伸部233の頭頂部において最大となっている。端子挿入孔32内へコネクタ端子2を挿入する際、横側パーティション321は、第1の延伸部233の頭頂部に接触し、接点部234が保護溝326内に位置する。さらに、保護溝326の横方向(X方向)の長さ(幅)は、接点部234の横方向への長さ以上である。そのため、端子挿入孔32内へコネクタ端子2が挿入されている間にコネクタ端子2がガイド部323および端子変形部324内を通過する際、第1の延伸部233は、横側パーティション321の面と接触するが、接点部234は、保護溝326内に位置し、かつ、保護溝326に接触しない。そのため、端子挿入孔32内へコネクタ端子2を挿入する際に、端子挿入孔32の内側面に付着している不純物や汚れが、接点部234に付着しない。このような構成により、端子挿入孔32の内側面に付着している不純物や汚れの接点部234への付着を防止し、これにより、カードエッジコネクタ1の接触信頼性を向上させることができる。
【0048】
図6に戻り、回路基板挿入孔33は、本体部31の先端面314上に、基端側に向かって直線状に延伸するよう形成された矩形状の凹部である。回路基板挿入孔33は、3つの縦側パーティション331によって4つの区画に区切られている。4つの区画のうち、最も+X方向に位置する1つは、電力供給用の電気ケーブル200に接続されるコネクタ端子2を挿入するための2つ(上側の1つと下側の1つ)の端子挿入孔32と連通している。4つの区画のうち、残りの3つのそれぞれは、信号送信用の電気ケーブル200に接続されるコネクタ端子2を挿入するための6つ(上側の3つと下側の3つ)の端子挿入孔32と連通している。図15に示されているように、回路基板挿入孔33は、端子変形部324の先端側において、端子挿入孔32と連通するよう形成されており、回路基板100が回路基板挿入孔33内に挿入されると、回路基板100の電極101が、対応する端子挿入孔32に対して露出し、電極101に対してコネクタ端子2の接点部234が接触する。
【0049】
図6に戻り、一対の支持機構34は、回路基板100を回路基板挿入孔33内に挿入した際に、回路基板100の振動を抑制するために、回路基板100を上下方向から押圧して、支持する機能を有している。一対の支持機構34は、本体部31の一対の側面313の先端側部分にそれぞれ形成されている。一対の支持機構34は、互いに同じ構成を有しているため、以下、代表して、本体部31の+X方向の側面313上に形成された支持機構34について、詳述する。
【0050】
支持機構34は、本体部31の側面313の上側部分から外側に向かって延伸する上側梁341Uと、本体部31の側面313の下側部分から外側に向かって延伸する下側梁341Lと、を備えている。図9は、支持機構34の上側梁341Uおよび下側梁341Lの周辺領域を拡大して示している。なお、図9は、上側梁341Uおよび下側梁341Lの周辺領域を先端側(+Z方向)から見た図である。上側梁341Uおよび下側梁341Lのそれぞれは、上下方向に弾性変形可能に構成されている。
【0051】
図9に示されているように、上側梁341Uおよび下側梁341Lは、上下対称に形成されている点を除き、互いに同様の構成を有している。そのため、以下、代表して、上側梁341Uの構成について詳述する。上側梁341Uは、ハウジング3の本体部31の側面313から外側(+X方向)に向かって直線状に延伸する水平延伸部3411と、水平延伸部3411の先端部から下方(下側梁341Lであれば上方)に向かって湾曲する湾曲部3412と、湾曲部3412から本体部31の側面313に向かって斜めに延伸する押圧部3413と、本体部31の側面313であって、水平延伸部3411よりも下方(下側梁341Lであれば上方)に設けられた過変位防止部3414と、押圧部3413の本体部31の側面313と対向する面上に、本体部31の側面313に向かって延伸するよう設けられた突起3415と、を備えている。
【0052】
水平延伸部3411は、本体部31の側面313の上端部(下側梁341Lであれば下端部)から外側に向かって直線状に延伸し、基端部から先端部に向かって高さ方向(Y方向)の幅が漸減するテーパー状部分である。水平延伸部3411の基端部は、本体部31の側面313上に形成された肉抜き部319内に位置している。水平延伸部3411を肉抜き部319内から延伸するように形成することにより、水平延伸部3411のX方向の長さを長くすることができ、水平延伸部3411のバネ性を向上させることができる。
【0053】
水平延伸部3411の+Z方向の面は、本体部31の先端面314と連続し、Z方向に対して直交する平坦面となっている。また、水平延伸部3411の基端部の上面(下側梁341Lであれば下面)は、本体部31の上面311(下側梁341Lであれば下面312)と連続し、Y方向に対して直交する平坦面となっている。水平延伸部3411の基端部は、回路基板100から押圧部3413に対して押圧力が印加された際の上側梁341Uの弾性変形の第1の支点として機能する。湾曲部3412は、水平延伸部3411の先端部に設けられ、下方(下側梁341Lであれば上方)に向かって湾曲する湾曲部である。湾曲部3412の一方の端部は、水平延伸部3411の先端部と連続しており、湾曲部3412の他方の端部は、下方(下側梁341Lであれば上方)を向いている。湾曲部3412は、回路基板100から押圧部3413に対して押圧力が印加された際の上側梁341Uの弾性変形の第2の支点として機能する。
【0054】
押圧部3413は、湾曲部3412の他方の端部から、本体部31の側面313に向かって斜めに延伸、すなわち、図9中の左斜め下方向(下側梁341Lであれば左斜め上方向)に向かって延伸する部分である。押圧部3413の基端部は、湾曲部3412の他方の端部と連続しており、押圧部3413の先端部は、自由端となっている。押圧部3413の湾曲部3412に対する角度θ1、すなわち、湾曲部3412と押圧部3413とによって形成される角度θ1は、90度より大きく、かつ、180度未満である。このように、押圧部3413は、内側、すなわち、本体部31の側面313に向かって斜めに延伸するよう形成されている。このような構成により、角度θ1が180度、すなわち、押圧部3413が湾曲部3412の他方の端部から鉛直方向に延伸する場合と比較して、押圧部3413の先端部を、より内側(本体部31の側面313側)に位置させることができる。押圧部3413の先端部を、より内側に位置させることにより、カードエッジコネクタ1を回路基板100に対して取り付けた際、押圧部3413の先端部が、回路基板100のサイドロック爪105よりも内側に位置することになる。そのため、カードエッジコネクタ1を回路基板100に対して取り付ける際、押圧部3413の先端部が、サイドロック爪105に接触し、押圧部3413が削れてしまうことを防止できる。
【0055】
なお、角度θ1が180度以上であっても、カードエッジコネクタ1を回路基板100に対して取り付けた際、押圧部3413の先端部を、サイドロック爪105よりも内側または外側に位置させることにより、押圧部3413の先端部が、サイドロック爪105に接触することを防止することも可能である。しかしながら、角度θ1が180度以上であり、かつ、押圧部3413の先端部を、サイドロック爪105よりも内側に位置させた場合、水平延伸部3411の長さが短くなり、上側梁341Uのバネ性を十分に確保できない。一方、角度θ1が180度以上であり、かつ、押圧部3413の先端部を、サイドロック爪105よりも外側に位置させた場合、水平延伸部3411の長さが長くなり、ハウジング3のX方向のサイズが必要以上に増大してしまう。また、水平延伸部3411の長さの増大により、水平延伸部3411が折れ曲がりやすくなるという問題も発生する。
【0056】
また、角度θ1を、90度より大きく、かつ、180度未満とすることにより、回路基板100から押圧部3413に対して押圧力が加えられた際の押圧部3413の弾性変形の方向を、確実に、内側(本体部31の側面313側)にすることができるという効果も得られる。角度θ1が180度の場合、回路基板100から押圧部3413に対して押圧力が加えられた際の押圧部3413の弾性変形の方向は、外側と内側でランダムになってしまう。前述のように、下側梁341Lも同様の構成を有しているので、上側梁341Uの押圧部3413の弾性変形の方向と、下側梁341Lの押圧部3413の弾性変形の方向が、互いに異なってしまう可能性がある。この場合、上側梁341Uおよび下側梁341Lによって回路基板100に印加される押圧力の分布にばらつきが生じ、回路基板100の支持が不安定になってしまう。角度θ1を、90度より大きく、かつ、180度未満とすることにより、上側梁341Uおよび下側梁341Lの押圧部3413の弾性変形の方向を確実に内側にすることができ、これにより、回路基板100の支持を安定化させることができる。
【0057】
さらに、角度θ1を、90度より大きく、かつ、180度未満とすることにより、押圧部3413の先端部と本体部31の側面313との間の離間距離を短くすることができる。押圧部3413の先端部と本体部31の側面313との間の離間距離が長いと、カードエッジコネクタ1を回路基板100に取り付けて使用している際に、押圧部3413の先端部と本体部31の側面313との間の間隙に別の部材が引っ掛かり、上側梁341Uが破損してしまう可能性がある。そのため、角度θ1を、90度より大きく、かつ、180度未満とし、押圧部3413の先端部と本体部31の側面313との間の離間距離を短くすることにより、押圧部3413の先端部と本体部31の側面313との間の間隙に別の部材が引っ掛かることを防止することができる。
【0058】
過変位防止部3414は、本体部31の側面313に、押圧部3413と間隙を介して対向するよう形成された突出部分である。過変位防止部3414は、本体部31の高さ方向(Y方向)の中心から離間するにつれて、本体部31の側面313からの突出量が漸増する傾斜構造を有している。過変位防止部3414は、複数のハウジング3を袋詰めにした際や、カードエッジコネクタ1が使用されている際に、上側梁341Uまたは下側梁341Lに対して、本体部31の側面313側に向かう外力が付与された際に、押圧部3413が必要以上に内側に変位して、変形や破損することを防止する機能を有している。押圧部3413と本体部31の側面313との間の間隙が大きいと、押圧部3413が本体部31の側面313に向かって大きく変位可能となってしまうため、本発明の構成においては、本体部31の側面313上に過変位防止部3414を設けることにより、該間隙を狭くしている。上側梁341Uまたは下側梁341Lに対して前述の外力が付与され、押圧部3413の内側への弾性変形が所定量に達すると、押圧部3413が過変位防止部3414に接触し、押圧部3413の過変位が防止される。
【0059】
突起3415は、押圧部3413の本体部31の側面313と対向する面上に、押圧部3413の延伸方向と直交する方向に延伸するよう形成された部分である。突起3415を形成することにより、押圧部3413と本体部31の側面313との間の空間を狭くすることができる。カードエッジコネクタ1が組み立てられる前の段階において、大量のハウジング3が袋詰めされて、カードエッジコネクタ1の組み立て場所に運搬される。この際、押圧部3413と本体部31の側面313との間の空間が広いと、複数のハウジング3の上側梁341Uおよび下側梁341L同士が絡み合ってしまい、複数のハウジング3の上側梁341Uおよび下側梁341Lが破損してしまう恐れがある。本発明では、突起3415を形成することにより、押圧部3413と本体部31の側面313との間の空間を狭くしているため、このような運搬時の上側梁341Uおよび下側梁341Lの破損を防止することができる。
【0060】
さらに、上側梁341Uの押圧部3413の先端部と下側梁341Lの押圧部3413の先端部との間の間隙3416の高さ方向(Y方向)の幅Dは、回路基板100の厚さの最小許容値、すなわち、回路基板100の製造公差において変動し得る回路基板100の厚さの許容される最小値より小さい。そのため、回路基板100を回路基板挿入孔33内に挿入した際、回路基板100が上側梁341Uの押圧部3413を上方向に押圧し、下側梁341Lの押圧部3413を下方向に押圧する。この結果、上側梁341Uが、水平延伸部3411の基端部および湾曲部3412を支点として上方に弾性変形し、さらに、下側梁341Lが、水平延伸部3411の基端部および湾曲部3412を支点として下方に弾性変形し、上側梁341Uの押圧部3413の先端部と下側梁341Lの押圧部3413の先端部との間の間隙内に回路基板100が挿入される。
【0061】
間隙3416内に回路基板100が挿入された状態において、上側梁341Uは、自身の弾性復元力によって、回路基板100を下方に押圧し、下側梁341Lは、自身の弾性復元力によって、回路基板100を上方に押圧する。このような構成により、上側梁341Uおよび下側梁341Lは、回路基板100を上下方向から押圧し、回路基板100を支持する。また、間隙3416の幅Dは、回路基板100の厚さの最小許容値よりも小さくなるよう設定されている。そのため、回路基板100の厚さが製造公差によって変動した場合であっても、確実に、上側梁341Uおよび下側梁341Lによって、回路基板100を上下方向から押圧し、回路基板100を支持することができる。
【0062】
このように、本発明においては、回路基板100を回路基板挿入孔33内に挿入した際、回路基板100が一対の支持機構34の上側梁341Uおよび下側梁341Lによって上下方向から押圧され、支持される。そのため、カードエッジコネクタ1が回路基板100に取り付けられた状態において、回路基板100の振動を防止することができ、回路基板100の振動によって回路基板100の電極101とコネクタ端子2の接点部234とが擦れて摩耗することを防止することができる。この結果、カードエッジコネクタ1の接触信頼性の低下を防止することができる。
【0063】
図6に戻り、一対のサイドロック機構35は、ハウジング3の回路基板挿入孔33内に回路基板100が挿入された際に、回路基板100の一対のサイドロック爪105とそれぞれ係合し、回路基板100をハウジング3に対してロックする機能を有している。一対のサイドロック機構35は、本体部31の一対の側面313上であって、一対の支持機構34の基端側(-Z方向)にそれぞれ設けられている。一対のサイドロック機構35のそれぞれは、本体部31の側面313の基端部から外側に向かって直線状に延伸する基部351と、基部351から、本体部31の側面313と離間して先端側(+Z方向)に向かって延伸するアーム部352と、アーム部352の先端部に形成されたラッチ353と、を備えている。
【0064】
基部351は、本体部31の側面313の基端部から外側に向かって直線状に延伸する角柱状部分である。基部351の基端部は、側面313と一体化しており、基部351の先端部は、外側を向いている。基部351の-Z方向の面は、本体部31の基端面315と連続し、Z方向と直交する面である。アーム部352は、基部351の先端部から、本体部31の側面313と間隙を介して、先端側(+Z方向)に向かって延伸する部分である。図7に示されているように、アーム部352は、基部351の先端部から+Z方向に向かって直線状に延伸する基端側部分3521と、基端側部分3521から斜め外側、すなわち、先端側であって、本体部31の側面313から離間する方向に延伸している先端側部分3522と、を備えている。このような構成により、アーム部352の先端部の内側(本体部31の側面313側)への弾性変形可能量を大きくすることができる。また、図6に示されているように、アーム部352の基端側部3521分の外側面上には、基端側から先端側に向かうにつれて、X方向の幅が非連続的に減少する複数の段差3523が形成されている。このような段差3523をアーム部352の基端側部分3521の外側面に形成することにより、ユーザーが、回路基板100からカードエッジコネクタ1を取り外すために、カードエッジコネクタ1を回路基板100から引き抜く際に、自身の指をアーム部352の基端側部分3521の外側面に引っ掛けやすくなる。そのため、ユーザーは、回路基板100からのカードエッジコネクタ1の取り外しを容易に実行することができる。
【0065】
ラッチ353は、本体部31の側面313と離間するよう、アーム部352の先端部に形成され、回路基板100のサイドロック爪105と係合する部分である。ラッチ353は、先端側から基端側に向かってX方向の幅が漸増する傾斜形状を有している。ラッチ353の先端面は、基端側(-Z方向)に向かうにつれて内側から外側に向かって傾斜する傾斜面となっており、ラッチ353の基端面は、Z方向に対して直交する平坦面となっている。回路基板100をハウジング3の回路基板挿入孔33内に挿入すると、回路基板100のサイドロック爪105がラッチ353の先端面を押圧する。ラッチ353の先端面は、基端側(-Z方向)に向かうにつれて内側から外側に向かって傾斜する傾斜面となっているので、サイドロック爪105がラッチ353上をスライドするにつれ、アーム部352が内側に向かって弾性変形する。その後、サイドロック爪105がラッチ353の基端面を乗り越えると、アーム部352が外側に弾性復元する。これにより、ラッチ353が回路基板100の凹部104内に位置し、さらに、サイドロック爪105がラッチ353の基端面と係合する。このようなサイドロック爪105とラッチ353とのスナップフィットにより、回路基板100がハウジング3に対してロックされる。
【0066】
このように、本発明においては、ハウジング3の本体部31の一対の側面313上に設けられた一対のサイドロック機構35と、回路基板100の舌状部103の外側に設けられた一対のサイドロック爪105との間のスナップフィットによって、回路基板100をハウジング3に対してロックするサイドロック方式が用いられている。従来技術においては、回路基板100の少なくとも1つの舌状部103上に係合孔を設け、さらに、ハウジング3の回路基板挿入孔33の内部にフックを設け、回路基板100の係合孔とハウジング3のフックとの係合によって、回路基板100をハウジング3に対してロックするセンターロック方式が用いられることが多い。しかしながら、センターロック方式では、少なくとも1つの舌状部103上に係合孔を設ける必要があるため、回路基板100上の配線レイアウト自由度が低くなってしまう。また、回路基板挿入孔33の内部にフックを設ける必要があるため、ハウジング3の構造が複雑になってしまう。一方、本発明においてはサイドロック方式が用いられているため、少なくとも1つの舌状部103上に係合孔を設ける必要がないため、回路基板100上の配線レイアウト自由度を高めることができる。さらに、回路基板挿入孔33の内部にフックを設ける必要がないため、ハウジング3の構造のシンプル化および小型化することができる。
【0067】
また、前述のように、本発明においては、回路基板挿入孔33内に回路基板100を挿入された状態において、一対の支持機構34の上側梁341Uおよび下側梁341Lが、回路基板100を上下方向から押圧し、回路基板100を支持している。このような上下方向からの押圧による回路基板100の支持は、非常に強力であるため、上側梁341Uおよび下側梁341Lと回路基板100との間の接触面積を減らすことができる。そのため、本発明においては、上側梁341Uおよび下側梁341Lを、Z方向に沿って本体部31の側面313の全域に設ける必要はなく、本体部31の側面313の先端部にのみ設ければ十分である。そのため、本体部31の側面313上であって、上側梁341Uおよび下側梁341Lよりも基端側(-Z方向)の部分に、フリースペースが生じる。そこで、本発明においては、上側梁341Uおよび下側梁341Lよりも基端側(-Z方向)の部分に生じたフリースペースに、上述のサイドロック機構35を設けている。このような構成により、よりシンプルな構成で、効率的に、ハウジング3による回路基板100の支持とロックを実現することができる。
【0068】
次に、図10図12を参照して、コネクタ端子2のハウジング3の端子挿入孔32内への挿入について詳述する。図10(a)~図10(c)は、コネクタ端子2の端子挿入孔32内への挿入過程を示す横断面図である。最初に、図10(a)に示されているように、コネクタ端子2がハウジング3の端子挿入孔32のガイド部323内へ挿入される。この際、コネクタ端子2の第1の延伸部233が、端子挿入孔32の内面、すなわち、横側パーティション321に接触する。同時に、コネクタ端子2の接点部234が、端子挿入孔32の保護溝326内に位置し、かつ、保護溝326と接触しない。
【0069】
コネクタ端子2がガイド部323を通過し、端子変形部324内に進入すると、コネクタ端子2は、図10(b)に示す状態に移行する。図10(b)に示す状態において、コネクタ端子2の基部231が、端子挿入孔32の内面、すなわち、ランス317の内側面と接触し、かつ、第1の延伸部233が、横側パーティション321と接触する。この際、コネクタ端子2の接続部23に対して、ランス317および横側パーティション321から押圧力が印加される。この結果、端子変形部324内において、接続部23が、端子高さh1が低くなるよう、弾性変形する。
【0070】
図11は、端子変形部324内におけるコネクタ端子2を示す断面斜視図である。図12は、端子変形部324内にコネクタ端子2が位置している状態を基端側(-Z方向)から見た図である。図11および図12から明らかなように、コネクタ端子2の端子挿入孔32内への挿入の際、接点部234は、保護溝326内を通過し、かつ、保護溝326と接触しない。そのため、端子挿入孔32内へコネクタ端子2を挿入する際に、端子挿入孔32の内側面に付着している不純物や汚れが、接点部234に付着しない。このような構成により、端子挿入孔32の内側面に付着している不純物や汚れの接点部234への付着を防止し、これにより、カードエッジコネクタ1の接触信頼性を向上させることができる。
【0071】
その後、コネクタ端子2が端子変形部324を通過し、回路基板挿入孔33内に到達すると、コネクタ端子2は、図10(c)に示す状態に移行する。図10(c)に示す状態において、コネクタ端子2の接続部23に対して他の部材が接触せず、コネクタ端子2は、弾性復元し、コネクタ端子2に対して押圧力が印加されていない自然状態になり、第1の延伸部233の基端部および接点部234が、回路基板挿入孔33内で露出する。このように、コネクタ端子2が、回路基板挿入孔33内で自然状態となるため、回路基板100を回路基板挿入孔33内に挿入した際、コネクタ端子2と回路基板100の電極101との良好な接続状態を確保でき、カードエッジコネクタ1の接触信頼性を向上させることができる。
【0072】
さらに、コネクタ端子2の開口2311内にランス317の係合部318が挿入され、これにより、端子挿入孔32内においてコネクタ端子2がロックされる。コネクタ端子2の先端部25が端子挿入孔32のストッパー325と接触することにより、端子挿入孔32内へのコネクタ端子2の挿入が完了する。
【0073】
次に、図13および図14を参照して、ハウジング3による回路基板100の支持およびロックについて詳述する。図13に示されているように、ハウジング3の回路基板挿入孔33内に回路基板100を挿入すると、ハウジング3の3つの縦側パーティション331および本体部31の両側壁が、回路基板100の5つのスリット102内にそれぞれ挿入される。さらに、図14に示されているように、回路基板100は、一対の支持機構34の上側梁341Uおよび下側梁341Lの押圧部3413の間の間隙3416内に挿入される。間隙3416内において、回路基板100は、上側梁341Uおよび下側梁341Lの押圧部3413によって上下方向から押圧されるので、ハウジング3によって強力に回路基板100を支持することができる。このような構成により、カードエッジコネクタ1が回路基板100に取り付けられた状態において、回路基板100の振動を防止することができ、これにより、回路基板100の振動によって回路基板100の電極101とコネクタ端子2の接点部234とが擦れて摩耗することを防止することができる。この結果、カードエッジコネクタ1の接触信頼性の低下を防止することができる。
【0074】
図13に戻り、ハウジング3のサイドロック機構35のラッチ353が、回路基板100の凹部104内に位置し、さらに、ラッチ353の基端面が、回路基板100のサイドロック爪105と係合する。このような構成により、回路基板100がハウジング3に対してロックされる。このようなサイドロック方式により、回路基板100上の配線レイアウト自由度を高めることができ、さらに、ハウジング3の構造をシンプル化および小型化することができる。
【0075】
図15は、カードエッジコネクタ1を回路基板100に取り付けた状態の断面図を示している。コネクタ端子2の第1の延伸部233の基端部および接点部234は、ハウジング3の回路基板挿入孔33内において露出しているので、回路基板100を回路基板挿入孔33内に挿入すると、接点部234が回路基板100の対応する電極101と接触する。この結果、コネクタ端子2を介して、電気ケーブル200の芯線210と電極101との間の電気的接続が提供される。また、回路基板100によって接点部234が押圧され、コネクタ端子2の接続部23が弾性変形する。この結果、所定の接触圧力で接点部234が電極101に押し付けられ、カードエッジコネクタ1の接触信頼性が確保される。
【0076】
以上、本発明のハウジングおよびカードエッジコネクタを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、本発明の各構成に任意の構成のものを付加することができる。
【0077】
本発明の属する分野および技術における当業者であれば、本発明の原理、考え方、および範囲から有意に逸脱することなく、記述された本発明のハウジングおよびカードエッジコネクタの構成の変更を実行可能であろうし、変更された構成を有するハウジングおよびカードエッジコネクタもまた、本発明の範囲内である。
【0078】
また、図面に示されたハウジングおよびカードエッジコネクタの構成要素の数や種類は、説明のための例示にすぎず、本発明は必ずしもこれに限られない。本発明の原理および意図から逸脱しない範囲において、任意の構成要素が追加若しくは組み合わされ、または任意の構成要素が削除された態様も、本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0079】
1…カードエッジコネクタ 2…コネクタ端子 21…ワイヤバレル部 22…インシュレーションバレル部 23…接続部 231…基部 2311…開口 232…第1の折り返し部 233…第1の延伸部 234…接点部 235…第2の折り返し部 236…第2の延伸部 237…自由端 24…壁部 25…先端部 3…ハウジング 31…本体部 311…上面 312…下面 313…側面 314…先端面 315…基端面 316…逃げ部 317…ランス 318…係合部 3181…傾斜部 3182…平坦部 319…肉抜き部 32…端子挿入孔 321…横側パーティション 322…縦側パーティション 323…ガイド部 324…端子変形部 325…ストッパー 326…保護溝 33…回路基板挿入孔 331…縦側パーティション 34…支持機構 341L…下側梁 341U…上側梁 3411…水平延伸部 3412…湾曲部 3413…押圧部 3414…過変位防止部 3415…突起 3416…間隙 35…サイドロック機構 351…基部 352…アーム部 3251…基端側部分 3252…先端側部分 3523…段差 353…ラッチ 100…回路基板 101…電極 102…スリット 103…舌状部 104…凹部 105…サイドロック爪 200…電気ケーブル 210…芯線 220…絶縁被覆部 D…幅 h1…端子高さ h2…高さ θ1…角度 800…ハウジング 810…本体部 820…回路基板挿入孔 830…支持機構 831…上側梁 832…下側梁 833…間隙 840…フック 900…回路基板 910…切り欠き部 920…舌状部 930…突出部 940…スリット 950…係合孔 960…電極
図1
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図10
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