(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163555
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
F25D 21/08 20060101AFI20241115BHJP
G07F 9/10 20060101ALI20241115BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
F25D21/08 B
G07F9/10 102Z
F25D11/00 101J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079285
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新二日市 裕希
【テーマコード(参考)】
3E044
3L045
3L046
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044CB03
3E044CC08
3E044DA10
3E044DB12
3E044DB16
3E044FB05
3E044FB11
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045LA14
3L045MA02
3L045MA12
3L045NA03
3L045NA22
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L046AA02
3L046BA01
3L046CA06
3L046GA01
3L046GB01
3L046GB03
3L046JA15
3L046KA02
3L046LA02
3L046MA02
3L046MA03
3L046MA04
(57)【要約】
【課題】除霜運転を定期的に行うととともに、商品の損傷を抑制すること。
【解決手段】本体キャビネット1aの内部の商品収容庫4と、本体キャビネット1aの前面開口を開閉する扉体(2,3)と、商品収容庫4の内部の空気を循環させる送風ファン5bと、これにより循環させられる空気を冷却する蒸発器5a1と、除霜運転の開始時刻が経過した場合に、蒸発器5a1の近傍に設置された除霜ヒータH1を駆動させて蒸発器5a1に付着した霜を融解させた後に、送風ファン5bの駆動を継続して融解後の水分を除去する水切処理を予め決められた水切時間が経過するまで行う制御部20とを備え、制御部20は、開始時刻が経過した後において、現在の商品収容庫4の庫内温度にその後の温度上昇分を加算することにより、水切時間経過後の除霜後温度を算出し、算出した除霜後温度が予め決められた基準温度以上となる場合、除霜ヒータH1の駆動を停止させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方状の自動販売機本体の内部に形成された断熱構造の商品収容庫と、
前記自動販売機本体の前面に形成された前面開口を開閉する態様で、該自動販売機本体に設けられた扉体と、
前記商品収容庫に設置され、該商品収容庫の内部の空気を循環させる送風ファンと、
自身に供給される冷媒を蒸発させることにより、前記送風ファンにより循環させられる空気を冷却する蒸発器と、
前記蒸発器に付着した霜を除去する除霜運転の開始時刻が経過した場合に、該蒸発器の近傍に設置された除霜ヒータを駆動させて該蒸発器に付着した霜を融解させた後に、前記送風ファンの駆動を継続して融解後の水分を除去する水切処理を予め決められた水切時間が経過するまで行う制御部と
を備えた自動販売機であって、
前記制御部は、前記開始時刻が経過した後において、現在の商品収容庫の庫内温度にその後の温度上昇分を加算することにより、前記水切時間経過後の除霜後温度を算出し、算出した除霜後温度が予め決められた基準温度以上となる場合、前記除霜ヒータの駆動を停止させることを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記制御部は、前記開始時刻が経過した後に、前記前面開口が開成することを条件として、前記除霜後温度を算出することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記制御部は、前記開始時刻が経過する前に前記前面開口が開成する場合、前記開始時刻の経過を条件として、前記除霜後温度を算出することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記制御部は、前記除霜後温度が前記基準温度未満である場合、所定の待機時間経過後に再度除霜後温度を算出し、再度算出した除霜後温度が前記基準温度以上であるか否かを判断することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記制御部は、前記開始時刻が経過した後に前記前面開口が閉成することを条件として、再度除霜後温度を算出することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の自動販売機。
【請求項6】
前記制御部は、予め設定された前記除霜ヒータの最大駆動時間が経過したことを条件として、再度除霜後温度を算出し、再度算出した除霜後温度が前記基準温度未満である場合、前記水切時間を延長することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば冷凍食品等の商品を収納して販売する自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば冷凍食品等の商品を収納して販売する自動販売機が特許文献1に提案されている。この自動販売機では、商品を冷却する蒸発器の除霜運転を定期的に行うようにしているが、商品補充作業による外気侵入や除霜運転時の除霜ヒータの熱等により庫内温度が急激に上昇して商品が損傷することを防止すべく、前回の扉体の開時刻や商品収納時刻等に基づいて除霜運転の開始時刻を遅延させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記自動販売機では、除霜運転の開始時刻を遅延させていたために、除霜運転が行われるのが好ましくない時間帯に除霜運転が行われるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、除霜運転を定期的に行うととともに、商品の損傷を抑制することができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る自動販売機は、直方状の自動販売機本体の内部に形成された断熱構造の商品収容庫と、前記自動販売機本体の前面に形成された前面開口を開閉する態様で、該自動販売機本体に設けられた扉体と、前記商品収容庫に設置され、該商品収容庫の内部の空気を循環させる送風ファンと、自身に供給される冷媒を蒸発させることにより、前記送風ファンにより循環させられる空気を冷却する蒸発器と、前記蒸発器に付着した霜を除去する除霜運転の開始時刻が経過した場合に、該蒸発器の近傍に設置された除霜ヒータを駆動させて該蒸発器に付着した霜を融解させた後に、前記送風ファンの駆動を継続して融解後の水分を除去する水切処理を予め決められた水切時間が経過するまで行う制御部とを備えた自動販売機であって、前記制御部は、前記開始時刻が経過した後において、現在の商品収容庫の庫内温度にその後の温度上昇分を加算することにより、前記水切時間経過後の除霜後温度を算出し、算出した除霜後温度が予め決められた基準温度以上となる場合、前記除霜ヒータの駆動を停止させることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記自動販売機において、前記制御部は、前記開始時刻が経過した後に、前記前面開口が開成することを条件として、前記除霜後温度を算出することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記自動販売機において、前記制御部は、前記開始時刻が経過する前に前記前面開口が開成する場合、前記開始時刻の経過を条件として、前記除霜後温度を算出することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記自動販売機において、前記制御部は、前記除霜後温度が前記基準温度未満である場合、所定の待機時間経過後に再度除霜後温度を算出し、再度算出した除霜後温度が前記基準温度以上であるか否かを判断することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記自動販売機において、前記制御部は、前記開始時刻が経過した後に前記前面開口が閉成することを条件として、再度除霜後温度を算出することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記自動販売機において、前記制御部は、予め設定された前記除霜ヒータの最大駆動時間が経過したことを条件として、再度除霜後温度を算出し、再度算出した除霜後温度が前記基準温度未満である場合、前記水切時間を延長することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、制御部は、除霜運転の開始時刻が経過した後において、現在の商品収容庫の庫内温度にその後の温度上昇分を加算することにより、水切時間経過後の除霜後温度を算出し、算出した除霜後温度が予め決められた基準温度以上となる場合、除霜ヒータの駆動を停止させるので、除霜運転を定期的に行うととともに、商品の損傷を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機の内部構造を模式的に示す断面側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態である自動販売機の特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した制御部が実施する除霜制御処理(1)の処理内容を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図2に示した制御部が実施する除霜制御処理(2)の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1及び
図2は、それぞれ本発明の実施の形態である自動販売機を示すものであり、
図1は、内部構造を模式的に示す断面側面図であり、
図2は、特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。ここで例示する自動販売機1は、本体キャビネット1a、外扉2及び内扉3を備えている。
【0016】
本体キャビネット1aは、複数の鋼板を適宜組み合わせることによって前面に前面開口を有した直方体状に構成されたもので、その内部に断熱構造の商品収容庫4を有している。外扉2は、本体キャビネット1aの前面開口を覆うためのもので、本体キャビネット1aの一側縁部に開閉可能に配設されている。
【0017】
図には明示していないが、この外扉2の前面には、ディスプレイウィンドウ、商品選択ボタン、紙幣挿通口、硬貨投入口、返却レバー、一体表示器、硬貨返却口、商品取出口2a等々、商品を販売する際に必要となるものが設けられている。尚、商品取出口2aは、利用者が商品を取り出すための開口であり、商品取出扉2bにより開閉されるものである。
【0018】
内扉3は、外扉2とともに扉体を構成している。この内扉3は、商品収容庫4の前面開口を覆うための断熱扉であり、外扉2よりも内方となる位置において本体キャビネット1aの一側縁部に開閉可能に配設されている。内扉3の下方部には、商品を商品収容庫4の外部に搬出するための商品搬出口3aが設けられている。
【0019】
また上記自動販売機1の商品収容庫4には、冷却ユニット5及び商品収納装置10が配設されている。冷却ユニット5は、商品収容庫4の内部雰囲気を冷却するためのもので、冷媒回路5a及び送風ファン5bを備えて構成されている。冷媒回路5aは、蒸発器5a1、圧縮機5a2、凝縮器5a3及び膨張機構5a4を冷媒管路にて順次接続して構成されており、内部に冷媒が封入されている。
【0020】
蒸発器5a1は、商品収容庫4の後方側下方部に設置されている。圧縮機5a2は、本体キャビネット1aにおける商品収容庫4の下方の機械室6に設置されている。この圧縮機5a2は、後述する制御部20から与えられる指令に応じて駆動するものであり、駆動する場合に蒸発器5a1より冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮するものである。
【0021】
凝縮器5a3は、機械室6において圧縮機5a2よりも前方側に設置されている。この凝縮器5a3は、圧縮機5a2で圧縮された冷媒を凝縮させるものである。膨張機構5a4は、例えば電子膨張弁等により構成されており、凝縮器5a3で凝縮した冷媒を断熱膨張させて蒸発器5a1に送出するものである。
【0022】
このような冷媒回路5aでは、蒸発器5a1に送出された冷媒と、該蒸発器5a1の周囲空気との間で熱交換が行われ、該冷媒が蒸発することにより周囲空気が冷却される。
【0023】
送風ファン5bは、商品収容庫4において、蒸発器5a1の前方側に設置されている。この送風ファン5bは、制御部20から与えられる指令により回転駆動するもので、回転駆動する場合に、蒸発器5a1により冷却された空気を商品収容庫4の内部に送風するものである。そのような冷却ユニット5により、商品収容庫4の内部雰囲気を所定の温度(例えば-5℃以下の冷凍温度)に冷却して維持することができる。
【0024】
商品収納装置10は、収納装置本体11を備えている。収納装置本体11は、前面に補充口11a及び下面に払出口11bを有した箱状の形態を成している。補充口11aは、前面扉12により開閉されるものである。この収納装置本体11の内部には、上下方向に沿って延在する商品収納通路13が画成されており、この商品収納通路13に搬送機構14が設置されている。
【0025】
搬送機構14は、例えば金属製の棒状体が商品収納通路13の延在方向(上下方向)に沿って螺旋状に巻回されることによって形成されたスパイラル14aにより構成されている。このような搬送機構14は、スパイラル14aの各ピッチ間に商品を拘束することで該商品を収納している。
【0026】
そのような搬送機構14は、駆動源である図示せぬアクチュエータが駆動する場合に、スパイラル14aが中心軸回りに回転することにより、各ピッチ間に拘束される商品を漸次下方に向けて搬送するとともに、最も下方のピッチ間に拘束された商品(最下位の商品)を払出口11bより下方に向けて払い出すものである。払出口11bで払い出された商品は、商品収納装置10の下方に配設されたシュータ7により、商品搬出口3aに向けて搬出される。
【0027】
上述した自動販売機1は、上記構成の他、庫内温度センサS1、扉開閉検知部S2、除霜ヒータH1及び制御部20を備えて構成されている。
【0028】
庫内温度センサS1は、商品収容庫4の内部温度(庫内温度)を検出する検出手段である。この庫内温度センサS1は、その検出結果を検出信号として制御部20に出力するものである。
【0029】
扉開閉検知部S2は、本体キャビネット1aの前面開口の近傍に設けられており、スイッチ等により構成されるものである。この扉開閉検知部S2は、扉体(外扉2及び内扉3)による前面開口の開閉を検知するものであり、より詳細には、前面開口が開成するか否かを検知するものである。かかる扉開閉検知部S2は、前面開口が開成されたか否かの検知結果を制御部20に出力するものである。
【0030】
除霜ヒータH1は、蒸発器5a1の近傍に設けられている。この除霜ヒータH1は、制御部20から与えられる指令に応じて駆動するものであり、駆動する場合に周囲を加熱する加熱手段である。
【0031】
制御部20は、記憶部21に記憶されたプログラムやデータにしたがって自動販売機1の各部の動作を統括的に制御するものであり、本発明の特徴的なものとして、除霜制御処理部20aを備えている。
【0032】
除霜制御処理部20aは、予め決められた除霜開始時刻の経過により、除霜制御処理(1)及び除霜制御処理(2)を実施するものである。記憶部21には、図には明示していないが、除霜制御処理(1)及び除霜制御処理(2)で除霜後温度を算出するための各種情報や、除霜ヒータH1の駆動の閾値となる基準温度に関する基準温度情報等が記憶されている。
【0033】
尚、制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。
【0034】
以上のような構成を有する自動販売機1においては、所定の金銭が投入されつつ商品選択ボタンが押下操作された場合、制御部20は、該当する商品を収納する商品収納装置10にアクチュエータを駆動させる。これにより、スパイラル14aが1回転し、スパイラル14aの各ピッチ間に拘束された商品は漸次下方に向けて搬送され、直下のピッチ間に拘束されるとともに、最下位の商品は、収納装置本体11の払出口11bを通じて、商品収納通路13よりシュータ7に払い出される。シュータ7に払い出された商品は、商品搬出口3aを通過した後、商品搬出口3aを通じて商品取出口2aより取出可能な状態になる。
【0035】
そして、自動販売機1においては、予め決められた除霜開始時刻が経過することを条件として、次のような除霜制御処理を実施する。以下においては、本体キャビネット1aの前面開口が閉成した状態で実施される除霜制御処理(1)と、前面開口が開成した状態で実施される除霜制御処理(2)とに分けて説明する。
【0036】
図3は、
図2に示した制御部20が実施する除霜制御処理(1)の処理内容を示すフローチャートである。かかる除霜制御処理(1)を説明しながら自動販売機1の動作について説明する。
【0037】
除霜制御処理(1)において制御部20の除霜制御処理部20aは、予め決められた除霜開始時刻を経過したか否かを判断する(ステップS101)。除霜開始時刻を経過していない場合(ステップS101:No)、除霜制御処理部20aは、かかる処理を繰り返す。
【0038】
除霜開始時刻を経過した場合(ステップS101:Yes)、除霜制御処理部20aは、圧縮機5a2を駆動停止にさせつつ除霜ヒータH1を駆動させ(ステップS102)、扉開閉検知部S2を通じて前面開口が開成したか否かを判断する(ステップS103)。尚、除霜制御処理部20aは、送風ファン5bの駆動を継続する。
【0039】
前面開口が開成した場合(ステップS103:Yes)、除霜制御処理部20aは、除霜運転後の温度である除霜後温度を下記式(1)により算出する(ステップS104)。
【0040】
より詳細に説明すると、除霜後温度は、扉開閉検知部S2により前面開口の開成が検知されてから例えば10秒間後に算出されることが好ましく、庫内温度センサS1を通じて取得した現在の庫内温度値に対し、除霜ヒータH1による温度上昇値及び前面開口の開成による温度上昇値等を加算することにより、すなわち現在の商品収容庫4の庫内温度にその後の温度上昇分を加算することにより、除霜後温度を算出する。
【0041】
式(1) 除霜後温度=T1+T2×a1×b1+T3×a2×b2
【0042】
ここで、T1は、庫内温度センサS1を通じて取得した現在の庫内温度値(℃)である。T2は、除霜ヒータH1による温度上昇値(℃)であり、下記式(2)により算出される。T3は、前面開口が開成することによる温度上昇値(℃)であり、下記式(3)により算出される。a1及びa2は、外気温度による補正値(≠0)であり、外気温度が高いほど大きな値である。b1及びb2は、収納商品数による補正値(≠0)であり、商品の収納数が多いほど小さな値となる。
【0043】
式(2) T2=(時間当たりのヒータ温度上昇値-δ1)×ヒータの残稼働時間
【0044】
ここで、時間当たりのヒータ温度上昇値(℃/s)は、予め実験により取得された値である。δ1は、ヒータ学習補正値(℃/s)であり、時間当たりの温度上昇値(例えば、5秒前と現在の温度変化値[℃]÷5[s])で示される。ヒータの残稼働時間(s)は、「除霜ヒータH1の最大駆動時間(例えば3分間)-除霜ヒータH1の駆動時間」により算出される。
【0045】
式(3) T3=(時間当たりの前面開口開成による温度上昇値-δ2)×前面開口開成時間
【0046】
ここで、時間当たりの前面開口開成による温度上昇値(℃/s)は、予め実験により取得された値である。δ2は、前面開口開成学習補正値(℃/s)であり、時間当たりの温度上昇値(例えば、5秒前と現在の温度変化値[℃]÷5[s])で示される。前面開口開成時間(s)は、「除霜運転の最大時間(例えば10分間)-前面開口開成検知時間」により算出される。尚、前面開口開成検知時間は、除霜運転開始時刻から前面開口の開成が検知された時刻までの時間である。
【0047】
そのようにして除霜後温度を算出した除霜制御処理部20aは、記憶部21より基準温度を読み出して、除霜後温度が基準温度以上であるか否かを判断する(ステップS105)。
【0048】
除霜後温度が基準温度以上である場合(ステップS105:Yes)、除霜制御処理部20aは、除霜ヒータH1の駆動を停止し(ステップS106)、除霜ヒータH1の最大駆動時間が経過するまでに扉開閉検知部S2により前面開口が閉成されたか否かを判断する(ステップS107,ステップS108)。
【0049】
前面開口の閉成が検知されることなく除霜ヒータH1の最大駆動時間が経過した場合(ステップS107:Yes,ステップS108:No)、除霜制御処理部20aは、送風ファン5bの駆動を継続して、融解後の水分を除去する水切処理を行い(ステップS109)、予め決められた水切時間(例えば7分間)の経過待ちとなる(ステップS110)。
【0050】
水切時間の経過後(ステップS110:Yes)、除霜制御処理部20aは、圧縮機5a2を駆動し(ステップS111)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0051】
これによれば、商品収容庫4の内部空気は冷却され、商品収納装置10に収納された商品を冷却することができる。
【0052】
一方、ステップS107及びステップS108において、除霜ヒータH1の最大駆動時間が経過する前に扉開閉検知部S2により前面開口の閉成が検知された場合(ステップS107:No,ステップS108:Yes)、除霜制御処理部20aは、ステップS104に移行し、下記式(4)により除霜後温度を再算出する。
【0053】
式(4) 除霜後温度=T1+T2×b3×c3+T4×b4×c4
【0054】
ここで、T4は、前面開口が閉成することによる温度上昇値(℃)であり、下記式(5)により算出される。b3及びb4は、収納商品数による補正値(≠0)であり、商品の収納数が多いほど小さな値となる。c3及びc4は、庫内温度による補正値(≠0)であり、庫内温度が高いほど大きな値となる。尚、上述しているようにステップS106にて除霜ヒータH1の駆動を停止しているので、ステップS107及びステップS108において前面開口の閉成が検知された場合の除霜後温度の再算出においては、上記式(4)のT2=0となり、除霜後温度=T1+T4×b4×c4となる。
【0055】
式(5) T4=(時間当たりの前面開口閉成による温度上昇値-δ4)×前面開口閉成時間
【0056】
ここで、時間当たりの前面開口閉成による温度上昇値(℃/s)は、予め実験により取得された値である。δ4は、前面開口閉成学習補正値(℃/s)であり、時間当たりの温度上昇値(例えば、5秒前と現在の温度変化値[℃]÷5[s])で示される。前面開口閉成時間(s)は、「除霜運転の最大時間(例えば10分間)-前面開口閉成検知時間」により算出される。尚、前面開口閉成検知時間は、除霜運転開始時刻から前面開口の閉成が検知された時刻までの時間である。
【0057】
このようにして除霜後温度を再算出した除霜制御処理部20aは、ステップS105以降の処理を繰り返す。
【0058】
ところで、上記ステップS105において、除霜後温度が基準温度以上でない場合(ステップS105:No)、すなわち除霜後温度が基準温度未満である場合、除霜制御処理部20aは、除霜ヒータH1の駆動を継続し(ステップS112)、除霜ヒータH1の最大駆動時間が経過するまでに予め決められた待機時間(例えば5秒間)の経過待ちとなる(ステップS113,ステップS114)。
【0059】
除霜ヒータH1の最大駆動時間が経過する前に待機時間が経過した場合(ステップS113:No,ステップS114:Yes)、除霜制御処理部20aは、ステップS104に移行し、上記式(1)により除霜後温度を再算出し、ステップS105以降の処理を繰り返す。
【0060】
一方、ステップS113及びステップS114において、除霜ヒータH1の最大駆動時間が経過した場合(ステップS113:Yes,ステップS114:No)、除霜制御処理部20aは、除霜ヒータH1の駆動を停止し(ステップS115)、除霜後温度を算出する(ステップS116)。この除霜後温度の算出であるが、前面開口が開成している場合には、上記式(1)により算出し、前面開口が閉成している場合には、上記式(4)により算出する。尚、ステップS115で除霜ヒータH1の駆動を停止しているので、ステップS116での除霜後温度の再算出では、上記式(1)及び上記式(4)では、ともにT2=0となる。
【0061】
このようにして除霜後温度を算出した除霜制御処理部20aは、除霜後温度が基準温度以上であるか否かを判断する(ステップS117)。除霜後温度が基準温度以上である場合(ステップS117:Yes)、除霜制御処理部20aは、上記ステップS109以降の処理を実施し、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0062】
一方、ステップS117において除霜後温度が基準温度以上でない場合(ステップS117:No)、除霜制御処理部20aは、送風ファン5bの駆動を継続して、融解後の水分を除去する水切処理を行い(ステップS118)、予め決められた水切時間(例えば7分間)を所定時間だけ延長して、「水切時間+α」の経過待ちとなる(ステップS119)。
【0063】
「水切時間+α」の経過後(ステップS119:Yes)、除霜制御処理部20aは、ステップS111の処理を実施し、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0064】
これによれば、商品収容庫4の内部空気は冷却され、商品収納装置10に収納された商品を冷却することができる。
【0065】
図4は、
図2に示した制御部20が実施する除霜制御処理(2)の処理内容を示すフローチャートである。かかる除霜制御処理(2)を説明しながら自動販売機1の動作についても説明する。
【0066】
除霜制御処理(2)において制御部20の除霜制御処理部20aは、予め決められた除霜開始時刻を経過したか否かを判断する(ステップS201)。除霜開始時刻を経過していない場合(ステップS201:No)、除霜制御処理部20aは、かかる処理を繰り返す。
【0067】
除霜開始時刻を経過した場合(ステップS201:Yes)、除霜制御処理部20aは、圧縮機5a2を駆動停止にさせつつ除霜後温度を上記式(1)により算出する(ステップS202)。
【0068】
除霜後温度を算出した除霜制御処理部20aは、記憶部21より基準温度を読み出して、除霜後温度が基準温度以上であるか否かを判断する(ステップS203)。
【0069】
除霜後温度が基準温度以上である場合(ステップS203:Yes)、除霜制御処理部20aは、除霜ヒータH1の駆動停止を継続し(ステップS204)、除霜ヒータH1の最大駆動時間が経過するまでに扉開閉検知部S2により前面開口が閉成されたか否かを判断する(ステップS205,ステップS206)。
【0070】
前面開口の閉成が検知されることなく除霜ヒータH1の最大駆動時間が経過した場合(ステップS205:Yes,ステップS206:No)、除霜制御処理部20aは、送風ファン5bの駆動を継続して、融解後の水分を除去する水切処理を行い(ステップS207)、予め決められた水切時間(例えば7分間)の経過待ちとなる(ステップS208)。
【0071】
水切時間の経過後(ステップS208:Yes)、除霜制御処理部20aは、圧縮機5a2を駆動し(ステップS209)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0072】
これによれば、商品収容庫4の内部空気は冷却され、商品収納装置10に収納された商品を冷却することができる。
【0073】
一方、ステップS205及びステップS206において、除霜ヒータH1の最大駆動時間が経過する前に扉開閉検知部S2により前面開口の閉成が検知された場合(ステップS205:No,ステップS206:Yes)、除霜制御処理部20aは、ステップS202に移行し、上記式(4)により除霜後温度を再算出し、ステップS203以降の処理を繰り返す。尚、上述しているようにステップS204にて除霜ヒータH1の駆動停止を継続しているので、ステップS205及びステップS206において前面開口の閉成が検知された場合の除霜後温度の再算出においては、上記式(4)のT2=0となり、除霜後温度=T1+T4×b4×c4となる。
【0074】
ところで、上記ステップS203において、除霜後温度が基準温度以上でない場合(ステップS203:No)、すなわち除霜後温度が基準温度未満である場合、除霜制御処理部20aは、除霜ヒータH1を駆動し(ステップS210)、除霜ヒータH1の最大駆動時間が経過するまでに予め決められた待機時間(例えば5秒間)の経過待ちとなる(ステップS211,ステップS212)。
【0075】
除霜ヒータH1の最大駆動時間が経過する前に待機時間が経過した場合(ステップS211:No,ステップS212:Yes)、除霜制御処理部20aは、ステップS202に移行し、上記式(1)により除霜後温度を再算出し、ステップS203以降の処理を繰り返す。
【0076】
一方、ステップS211及びステップS212において、除霜ヒータH1の最大駆動時間が経過した場合(ステップS211:Yes,ステップS212:No)、除霜制御処理部20aは、除霜ヒータH1の駆動を停止し(ステップS213)、除霜後温度を算出する(ステップS214)。この除霜後温度の算出であるが、前面開口が開成している場合には、上記式(1)により算出し、前面開口が閉成している場合には、上記式(4)により算出する。尚、ステップS213で除霜ヒータH1の駆動を停止しているので、ステップS214での除霜後温度の再算出では、上記式(1)及び上記式(4)では、ともにT2=0となる。
【0077】
このようにして除霜後温度を算出した除霜制御処理部20aは、除霜後温度が基準温度以上であるか否かを判断する(ステップS215)。除霜後温度が基準温度以上である場合(ステップS215:Yes)、除霜制御処理部20aは、上記ステップS207以降の処理を実施し、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0078】
一方、ステップS215において除霜後温度が基準温度以上でない場合(ステップS215:No)、除霜制御処理部20aは、送風ファン5bの駆動を継続して、融解後の水分を除去する水切処理を行い(ステップS216)、予め決められた水切時間(例えば7分間)を所定時間だけ延長して、「水切時間+α」の経過待ちとなる(ステップS217)。
【0079】
「水切時間+α」の経過後(ステップS217:Yes)、除霜制御処理部20aは、ステップS209の処理を実施し、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0080】
これによれば、商品収容庫4の内部空気は冷却され、商品収納装置10に収納された商品を冷却することができる。
【0081】
以上説明したように、本発明の実施の形態である自動販売機1によれば、制御部20が、除霜開始時刻が経過した後に、前面開口が開成することを条件として、現在の商品収容庫4の庫内温度にその後の温度上昇分を加算することにより、水切時間経過後の除霜後温度を算出し、算出した除霜後温度が予め決められた基準温度以上となる場合、除霜ヒータH1の駆動を停止させるので、除霜開始時刻を延期することを抑制するとともに、商品が過度に加熱等されることを抑制することができる。従って、除霜運転を定期的に行うととともに、商品の損傷を抑制することができる。
【0082】
上記自動販売機1によれば、制御部20は、除霜開始時刻が経過する前に前面開口が開成する場合、除霜開始時刻の経過を条件として、現在の商品収容庫4の庫内温度にその後の温度上昇分を加算することにより、水切時間経過後の除霜後温度を算出し、算出した除霜後温度が予め決められた基準温度以上となる場合、除霜ヒータH1の駆動を停止させるので、除霜運転を定期的に行うととともに、商品の損傷を抑制することができる。
【0083】
上記自動販売機1によれば、制御部20は、除霜後温度が基準温度未満である場合、所定の待機時間経過後に再度除霜後温度を算出し、再度算出した除霜後温度が基準温度以上であるか否かを判断するので、その後の庫内温度変化にも対応することができ、除霜ヒータH1の駆動の有無について極め細やかに判断することができる。
【0084】
上記自動販売機1によれば、制御部20は、除霜開始時刻が経過した後に前面開口が閉成することを条件として、再度除霜後温度を算出するので、その後の庫内温度変化にも対応することができ、除霜ヒータH1の駆動の有無について極め細やかに判断することができる。
【0085】
上記自動販売機1によれば、制御部20は、予め設定された除霜ヒータH1の最大駆動時間が経過したことを条件として、再度除霜後温度を算出し、再度算出した除霜後温度が基準温度未満である場合、水切時間を延長するので、融解した水分を良好に除去することができ、かかる水分による霜の発生を抑制することができる。
【0086】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0087】
上述した実施の形態では、除霜制御処理(1)において、前面開口が開成されたことを条件として除霜後算出温度を算出していたが、本発明においては、除霜開始時刻が経過した後に、前面開口の開成に関係なく、所定時間後に除霜後算出温度を算出して基準温度との対比を行ってもよい。
【0088】
上述した除霜制御処理(1)及び除霜制御処理(2)においては、上記式(1)により除霜後温度を算出していたが、本発明においては、下記式(6)により除霜後温度を算出してもよい。
【0089】
式(6) 除霜後温度=T1+T2′×a1×b1+T3′×a2×b2
【0090】
ここで、T2′は、除霜ヒータH1による温度上昇値(℃)であり、下記式(7)により算出される。T3′は、前面開口が開成することによる温度上昇値(℃)であり、下記式(8)により算出される。
【0091】
式(7) T2′=時間当たりのヒータ温度上昇値×ヒータの残稼働時間
式(8) T3′=時間当たりの前面開口開成による温度上昇値×前面開口開成時間
【0092】
上述した実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散×統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散×統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0093】
1…自動販売機、1a…本体キャビネット、2…外扉、3…内扉、4…商品収容庫、5…冷却ユニット、5a…冷媒回路、5a1…蒸発器、5a2…圧縮機、5a3…凝縮器、5a4…膨張機構、5b…送風ファン、6…機械室、7…シュータ、10…商品収納装置、11…収納装置本体、12…前面扉、13…商品収納通路、14…搬送機構、14a…スパイラル、20…制御部、20a…除霜制御処理部、21…記憶部、H1…除霜ヒータ、S1…庫内温度センサ、S2…扉開閉検知部。