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特開2024-163556検査方法、検査装置のためのコンピュータプログラム、及び、基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163556
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】検査方法、検査装置のためのコンピュータプログラム、及び、基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20241115BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241115BHJP
【FI】
G01N21/956 B
G06T7/00 350B
G06T7/00 610Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079287
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高澤 悠介
(72)【発明者】
【氏名】堀江 一央
【テーマコード(参考)】
2G051
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA65
2G051AB02
2G051EA11
2G051EB05
5L096BA03
5L096CA02
5L096DA02
5L096EA43
5L096HA08
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】 第1部分と第2部分の境界部分の形状に存在する異常を精度よく判定するための技術を提供する。
【解決手段】 検査方法は、撮像装置によって撮像された対象物の画像を加工して、入力画像を生成する生成工程と、前記入力画像を学習モデルに入力して、前記対象物について、第1部分と第2部分の間の境界部分の形状に存在する異常を判定する判定工程と、を備え、前記生成工程は、前記第1部分と前記境界部分が互いに異なる表示態様を有しているとともに、前記境界部分と前記第2部分が互いに異なる表示態様を有している前記入力画像を生成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置によって撮像された対象物の画像を加工して、入力画像を生成する生成工程と、
前記入力画像を学習モデルに入力して、前記対象物について、第1部分と第2部分の間の境界部分の形状に存在する異常を判定する判定工程と、
を備え、
前記生成工程は、前記第1部分と前記境界部分が互いに異なる表示態様を有しているとともに、前記境界部分と前記第2部分が互いに異なる表示態様を有している前記入力画像を生成する、検査方法。
【請求項2】
前記生成工程は、前記第1部分と前記第2部分が互いに異なる表示態様を有している前記入力画像を生成する、請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記生成工程は、前記第1部分と前記第2部分に互いに異なる色が付されている前記入力画像を生成する、請求項2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記生成工程は、前記第1部分と前記第2部分に互いに異なる模様が付されている前記入力画像を生成する、請求項2に記載の検査方法。
【請求項5】
前記第1部分に付された模様は、互いに平行な複数本の第1斜線を有し、
前記第2部分に付された模様は、互いに平行な複数本の第2斜線であって、前記複数本の第1斜線と異なる方向に延びる前記複数本の第2斜線を有する、請求項4に記載の検査方法。
【請求項6】
前記生成工程は、前記第1部分の色の輝度と前記第2部分の色の輝度が互いに異なる前記入力画像を生成する、請求項2に記載の検査方法。
【請求項7】
前記生成工程は、前記境界部分の色の輝度が前記第1部分の色の輝度及び前記第2部分の色の輝度よりも高い前記入力画像を生成する、請求項6に記載の検査方法。
【請求項8】
前記生成工程は、前記第1部分と前記境界部分に互いに異なる色が付されているとともに、前記境界部分と前記第2部分に互いに異なる色が付されている前記入力画像を生成する、請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項9】
前記生成工程は、前記第1部分と前記境界部分に互いに異なる模様が付されているとともに、前記境界部分と前記第2部分に互いに異なる模様が付されている前記入力画像を生成する、請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項10】
前記生成工程は、前記第1部分の色の輝度と前記境界部分の色の輝度が互いに異なるとともに、前記境界部分の色の輝度と前記第2部分の色の輝度が互いに異なる前記入力画像を生成する、請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項11】
前記表示態様は、色、模様、及び、色の輝度のうちの少なくとも2つの組み合わせである、請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項12】
前記第1部分は、前記対象物の外側である外側部分であり、
前記第2部分は、前記対象物の内側である内側部分であり、
前記境界部分は、前記対象物のエッジである、請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項13】
前記撮像装置によって撮像された前記対象物の前記画像を二値化する二値化工程をさらに備え、
前記生成工程は、前記二値化工程によって二値化された前記画像を加工して、前記入力画像を生成する、請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項14】
前記学習モデルのパラメータは、複数枚の良品画像を利用して、調整されており、
前記良品画像は、前記境界部分に異常が存在しない画像である、請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項15】
検査装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、前記検査装置のコンピュータを、
撮像装置によって撮像された対象物の画像を加工して、入力画像を生成する生成部と、
前記入力画像を学習モデルに入力して、前記対象物について、第1部分と第2部分の間の境界部分の形状に存在する異常を判定する判定部と、
として機能させ、
前記生成部は、前記第1部分と前記境界部分が互いに異なる表示態様を有しているとともに、前記境界部分と前記第2部分が互いに異なる表示態様を有している前記入力画像を生成する、コンピュータプログラム。
【請求項16】
基板を検査する検査工程を備える、基板の製造方法であって、
前記検査工程は、
撮像装置によって撮像された前記基板の画像を加工して、入力画像を生成する生成工程と、
前記入力画像を学習モデルに入力して、前記基板について、第1部分と第2部分の間の境界部分の形状に存在する異常を判定する判定工程と、
を備え、
前記生成工程は、前記第1部分と前記境界部分が互いに異なる表示態様を有しているとともに、前記境界部分と前記第2部分が互いに異なる表示態様を有している前記入力画像を生成する、基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、対象物の異常を検査することに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対象製品の画像を機械学習モデルに入力して、対象製品の欠陥の尤度の推定結果を示す画像を出力する検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-003495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機械学習モデルを利用した対象物の検査は、第1部分と第2部分の境界部分の形状の検査にも利用可能である。しかし、当該境界部分を含む画像を二値化した画像を学習モデルに入力すると、境界部分のうち、形状に異常が存在する部分だけでなく、境界部分のうち、異常が無い部分も異常として判定される問題が発生した。
【0005】
本明細書では、第1部分と第2部分の境界部分の形状に存在する異常を精度よく判定するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する検査方法は、撮像装置によって撮像された対象物の画像を加工して、入力画像を生成する生成工程と、前記入力画像を学習モデルに入力して、前記対象物について、第1部分と第2部分の間の境界部分の形状に存在する異常を判定する判定工程と、を備え、前記生成工程は、前記第1部分と前記境界部分が互いに異なる表示態様を有しているとともに、前記境界部分と前記第2部分が互いに異なる表示態様を有している前記入力画像を生成する。
【0007】
上記の入力画像を利用することにより、境界部分のうちの異常が無い部分が誤って異常として判定され難くなる。上記の入力画像を利用することにより、境界部分の形状に存在する異常を精度よく判定することができる。
【0008】
第2の形態では、上記の第1の態様において、前記生成工程は、前記第1部分と前記第2部分が互いに異なる表示態様を有している前記入力画像を生成してもよい。
【0009】
上記の形態によれば、第1部分と第2部分がさらに区別された入力画像を利用することにより、境界部分の形状に存在する異常を精度よく判定することができる。
【0010】
第3の形態では、上記の第2の態様において、前記生成工程は、前記第1部分と前記第2部分に互いに異なる色が付されている前記入力画像を生成してもよい。
【0011】
上記の形態によれば、色の違いを利用して、第1部分と第2部分を区別することができる。
【0012】
第4の形態では、上記の第2の態様において、前記生成工程は、前記第1部分と前記第2部分に互いに異なる模様が付されている前記入力画像を生成してもよい。
【0013】
上記の形態によれば、模様の違いを利用して、第1部分と第2部分を区別することができる。
【0014】
第5の形態では、上記の第4の態様において、前記第1部分に付された模様は、互いに平行な複数本の第1斜線を有し、前記第2部分に付された模様は、互いに平行な複数本の第2斜線であって、前記複数本の第1斜線と異なる方向に延びる前記複数本の第2斜線を有してもよい。
【0015】
上記の形態によれば、1の斜線及び第2の斜線が延びる方向の違いを利用して、第1部分と第2部分を区別することができる。
【0016】
第6の形態では、上記の第2の態様において、前記生成工程は、前記第1部分の色の輝度と前記第2部分の色の輝度が互いに異なる前記入力画像を生成してもよい。
【0017】
上記の形態によれば、色の輝度の違いを利用して、第1部分と第2部分を区別することができる。
【0018】
第7の形態では、上記の第6の態様において、前記生成工程は、前記境界部分の色の輝度が前記第1部分の色の輝度及び前記第2部分の色の輝度よりも高い前記入力画像を生成してもよい。
【0019】
上記の形態によれば、比較的高い輝度で境界部分を第1部分及び第2部分よりも強調することができる。
【0020】
第8の形態では、上記の第1及び第2の態様において、前記生成工程は、前記第1部分と前記境界部分に互いに異なる色が付されているとともに、前記境界部分と前記第2部分に互いに異なる色が付されている前記入力画像を生成してもよい。
【0021】
上記の形態によれば、色の違いを利用して、第1部分と境界部分と第2部分が区別される。各部分が区別された入力画像を利用することにより、境界部分の形状に存在する異常を精度よく判定することができる。
【0022】
第9の形態では、上記の第1及び第2の態様において、前記生成工程は、前記第1部分と前記境界部分に互いに異なる模様が付されているとともに、前記境界部分と前記第2部分に互いに異なる模様が付されている前記入力画像を生成してもよい。
【0023】
上記の形態によれば、模様の違いを利用して、第1部分と境界と第2部分が区別される。各部分が区別された入力画像を利用することにより、境界の形状に存在する異常を精度よく判定することができる。
【0024】
第10の形態では、上記の第1及び第2の態様において、前記生成工程は、前記第1部分の色の輝度と前記境界部分の色の輝度が互いに異なるとともに、前記境界部分の色の輝度と前記第2部分の色の輝度が互いに異なる前記入力画像を生成してもよい。
【0025】
上記の形態によれば、色の輝度の違いを利用して、第1部分と境界と第2部分が区別される。各部分が区別された入力画像を利用することにより、境界の形状に存在する異常を精度よく判定することができる。
【0026】
第11の形態では、上記の第1及び第2の態様において、前記表示態様は、色、模様、及び、色の輝度のうちの少なくとも2つの組み合わせであってもよい。
【0027】
上記の形態によれば、2個以上の要素を組み合わせて、第1部分と境界と第2部分を区別することができる。各部分が区別された入力画像を利用することにより、境界の形状に存在する異常を精度よく判定することができる。
【0028】
第12の形態では、上記の第1から第11の形態において、前記第1部分は、前記対象物の外側である外側部分であり、前記第2部分は、前記対象物の内側である内側部分であり、前記境界部分は、前記対象物のエッジであってもよい。
【0029】
上記の形態によれば、対象物のエッジに存在する異常(例えば欠陥)を精度よく判定することができる。
【0030】
第13の形態では、上記の第1から第12の形態において、前記撮像装置によって撮像された前記対象物の前記画像を二値化する二値化工程をさらに備え、前記生成工程は、前記二値化工程によって二値化された前記画像を加工して、前記入力画像を生成してもよい。
【0031】
上記の形態によれば、撮像装置によって撮像された画像から直接的に入力画像を生成する構成と比較して、入力画像を精度よく生成することができる。
【0032】
第14の形態では、上記の第1から第13の形態において、前記学習モデルのパラメータは、複数枚の良品画像を利用して、調整されており、前記良品画像は、前記境界部分に異常が存在しない画像であってもよい。
【0033】
上記の形態によれば、学習モデルのパラメータの調整のために、良品画像を収集すればよく、境界部分に異常が存在する画像を収集しなくてもよい。学習モデルのパラメータを簡易に調整することができる。
【0034】
本明細書は、さらに、検査装置のためのコンピュータプログラムを開示する。前記コンピュータプログラムは、前記検査装置のコンピュータを、撮像装置によって撮像された対象物の画像を加工して、入力画像を生成する生成部と、前記入力画像を学習モデルに入力して、前記対象物について、第1部分と第2部分の間の境界部分の形状に存在する異常を判定する判定部と、として機能させ、前記生成部は、前記第1部分と前記境界部分が互いに異なる表示態様を有しているとともに、前記境界部分と前記第2部分が互いに異なる表示態様を有している前記入力画像を生成する。
【0035】
本明細書は、さらに、基板の製造方法を開示する。前記製造方法は、基板を検査する検査工程を備える。前記検査工程は、撮像装置によって撮像された前記基板の画像を加工して、入力画像を生成する生成工程と、前記入力画像を学習モデルに入力して、前記基板について、第1部分と第2部分の間の境界部分の形状に存在する異常を判定する判定工程と、を備え、前記生成工程は、前記第1部分と前記境界部分が互いに異なる表示態様を有しているとともに、前記境界部分と前記第2部分が互いに異なる表示態様を有している前記入力画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】基板製造装置のブロック図である。
図2】良品の検査対象を示す図である。
図3】不良品の検査対象を示す図である。
図4】検査処理を示すフローチャート図である。
図5】比較例の検査処理で得られる出力画像の具体的なケースである。
図6】実施例の検査処理で得られる出力画像の具体的なケースである。
図7】他の検査対象の画像に対して表示態様変更処理を施した具体的なケースA2である。
図8】他の検査対象の画像に対して表示態様変更処理を施した具体的なケースA3である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(基板製造装置2の構成;図1図2図3
基板製造装置2は、回路基板を製造する。回路基板は、例えば、プリント基板、LTCC基板である。LTCCは、Low Temperature Co-fired Ceramicsの略である。基板製造装置2は、印刷機4と、検査装置10と、含む。印刷機4は、基板上に配線パターンを印刷する。検査装置10は、印刷機4によって印刷された配線パターンの異常を検査する。
【0038】
検査装置10は、撮像装置20と、表示装置22と、制御部30と、を含む。撮像装置20は、カメラを含む。撮像装置20は、カメラを利用して、基板を撮像する。具体的には、撮像装置20は、配線パターンが印刷された基板が印刷機4から搬入されると、当該基板を撮像する。そして、撮像装置20は、当該基板を撮像した撮像画像を制御部30に供給する。
【0039】
表示装置22は、様々な情報を表示する。様々な情報は、例えば、撮像装置20によって撮像された画像、検査装置10による検査の結果等である。表示装置22は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0040】
制御部30は、CPU32と、不揮発性メモリなどによって構成されるメモリ34と、を含む。CPU32は、メモリ34に記憶されている検査プログラム40に従って、後述する検査処理(図4参照)を実行する。
【0041】
メモリ34は、検査プログラム40に加えて、学習プログラム42と、学習モデル44と、モデルパラメータ46と、を記憶する。学習モデル44は、多層ニューラルネットワークのモデル(即ち数式)である。多層ニューラルネットワークは、いわゆる、深層学習のモデルであり、例えば、畳み込み型、全結合型等である。モデルパラメータ46は、学習モデル44の中間層における各重みの値である。多層ニューラルネットワークは、既知の技術であり、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0042】
配線パターンの形状に異常が発生する場合がある。図2及び図3は、検査の対象である配線パターン100の一例である。配線パターン100は、基板110上に印刷されている。図2は、良品の一例であり、本図では、配線パターン100のエッジ102には欠陥が存在しない。一方、図3は、不良品の一例であり、本図では、配線パターン100のエッジ102に欠陥104が存在する。
【0043】
学習プログラム42は、配線パターン100を撮像した画像からエッジ102に存在する欠陥を判定した判定画像を出力するようにモデルパラメータ46を調整する。判定画像では、欠陥が存在する箇所が、他の箇所よりも高輝度で表示される。例えば、学習プログラム42は、複数枚の良品画像を利用して、モデルパラメータ46を調整する。良品画像は、エッジ102に欠陥104が存在しない良品の画像である。この形態によれば、モデルパラメータ46の調整のために、良品画像を収集すればよく、エッジ102に欠陥104が存在する不良品画像を収集しなくてもよい。モデルパラメータ46を簡易に調整することができる。なお、変形例では、学習プログラム42は、良品画像と不良品画像の双方を利用して、モデルパラメータ46を調整してもよい。また、モデルパラメータ46の調整方法は、既知の技術であり、ここでは、詳細な説明は省略する。例えば、調整方法は、教師あり学習、教師なし学習のいずれであってもよい。
【0044】
表示装置22及び制御部30は、例えば、PC等の端末装置であり、撮像装置20は、当該端末装置とは別体に設けられている。なお、変形例では、撮像装置20、表示装置22、及び、制御部30は、一体的に構成されていてもよい。
【0045】
(検査処理;図4
CPU32が検査プログラム40に従って実行する検査処理について説明する。S10では、CPU32は、撮像装置20から、配線パターン100が印刷された基板110を撮像した撮像画像を取得することを監視する。CPU32は、撮像装置20から撮像画像を取得する場合(S10でYES)に、S12に進む。なお、撮像装置20から撮像画像を取得しない場合(S10でNO)に、CPU32は、監視を継続する。
【0046】
S12では、CPU32は、S10で取得した撮像画像を二値化する。例えば、二値化により、配線パターン100の内側である内側部分が白の単色に塗りつぶされ、配線パターン100の外側である外側部分、即ち、背景が黒の単色に塗りつぶされる。
【0047】
S14では、CPU32は、S12で二値化された撮像画像に対して表示態様変更処理を実行する。表示態様変更処理は、二値化された撮像画像の各部の表示態様を変更する画像処理である。図4のケースA1は、図3の配線パターン100の撮像画像に対して表示態様変更処理を実行したケースである。配線パターン100の撮像画像は、配線パターン100の内側部分に対応する内側画像130と、配線パターン100の背景に対応する背景画像136と、内側画像130と背景画像136の間の境界に対応する境界画像132と、を含む。境界画像132は、配線パターン100のエッジ102に対応する。境界画像132は、エッジ102に存在する欠陥104に対応する欠陥画像134を含む。
【0048】
表示態様変更処理では、背景画像136と境界画像132と内側画像130のそれぞれが互いに異なる輝度に変更される。ケースA1では、背景画像136の輝度、境界画像132の輝度、内側画像130の輝度が、それぞれ、「150」、「255」、「75」である。即ち、境界画像132の輝度が、内側画像130の輝度及び背景画像136の輝度よりも高い。なお、上記の具体的な数値は、一例に過ぎないことに留意されたい。
【0049】
また、表示態様変更処理では、背景画像136と境界画像132と内側画像130のそれぞれに互いに異なる模様が付される。ケースA1では、背景画像136に付される模様は、互いに平行な複数本の第1斜線を有し、内側画像130に付される模様は、互いに平行な複数本の第2斜線を有する。第2斜線は、第1斜線とは異なる方向に延びる。具体的には、第1斜線は、紙面右上の方向へ延びる斜線であり、第2斜線は紙面左上の方向へ延びる斜線である。なお、境界画像132には、斜線が付されず、単色で塗りつぶされている。なお、上記の模様の種類は、一例に過ぎない。例えば、内側画像130及び背景画像136の一方には、ドット模様が付され、内側画像130及び背景画像136の他方には、格子模様が付されてもよい。
【0050】
また、表示態様変更処理では、背景画像136と境界画像132と内側画像130のそれぞれに互いに異なる色が付される。ケースA1では、背景画像136、境界画像132、内側画像130のそれぞれに、緑色(G)、青色(B)、赤色(R)が付される。なお、上記の色は、一例に過ぎない。例えば、背景画像136、境界画像132、内側画像130のそれぞれに、黒色、黄色、白色が付されてもよい。
【0051】
S14の表示態様変更処理では、S12で二値化された撮像画像が加工されて、ケースA1に示すような入力画像120が生成される。
【0052】
S16では、CPU32は、S14で生成された入力画像120を学習モデル44に入力する。これにより、学習モデル44から判定画像が出力される。S18では、CPU32は、学習モデル44から判定画像を取得する。判定画像の詳細については、図6にて説明する。
【0053】
S20では、CPU32は、判定画像を分析して、配線パターン100のエッジ102における欠陥の有無、欠陥の位置、欠陥の大きさ等を決定する。S22では、CPU32は、S20の分析結果を出力する。例えば、CPU32は、S20の分析結果を表示装置22に表示させる。検査装置10のユーザは、表示装置22に表示された分析結果を見て、欠陥の有無、欠陥の位置、欠陥の大きさ等を知ることができる。
【0054】
(比較例;図5
例えば、図4のS14の表示態様変更処理が実行されない比較例が想定される。この比較例では、S12で二値化された撮像画像が学習モデル44に入力される。なお、本変形例では、学習モデル44のモデルパラメータ46は、二値化された良品画像を利用して調整される。
【0055】
図5は、比較例におけるS18で取得される判定画像900の一例である。判定画像900では、欠陥が存在すると判定した判定箇所902が他の箇所よりも高輝度で表示される。図5及び後述する図6では、判定画像900に対応するエッジ102を一点鎖線で仮想的に表示する。比較例では、図5に示すように、判定箇所902に、エッジ102のうち、欠陥104が存在する部分だけでなく、エッジ102のうち、欠陥104が存在しない部分も、含まれる。特に、判定箇所902に対する欠陥104が存在しない部分の比率が増えると、図4のS20の分析において、欠陥104が存在しない部分に欠陥104が存在すると誤って分析される可能性がある。また、欠陥104の位置及び大きさも誤って分析される可能性がある。更に、エッジ102のうち、欠陥104が存在しない辺にも欠陥が存在すると誤って分析される可能性がある。
【0056】
(本実施例の効果;図6
図4に示すように、本実施例では、S14の表示態様変更処理で表示態様が変更された入力画像120が学習モデル44に入力される。なお、本実施例では、学習モデル44のモデルパラメータ46は、表示態様変更処理によって表示態様が変更された良品画像を利用して調整される。
【0057】
図6は、本実施例におけるS18で取得される判定画像140の一例である。判定画像140では、欠陥が存在すると判定した判定箇所142が他の箇所よりも高輝度で表示される。図6に示すように、本実施例の判定箇所142は、欠陥104が存在しない部分が多少含まれるものの、判定箇所142のうちの欠陥104が存在しない部分の比率は、図5の比較例と比べて小さい。即ち、比較例と比べて、本実施例では、学習モデル44が、エッジ102のうち、欠陥104が存在しない部分が誤って欠陥であると判定し難くなる。本実施例では、比較例と比べて、図4のS20の分析において、欠陥104が存在しない部分に欠陥104が存在すると誤って分析する確率を低くすることができる。また、欠陥104の位置及び大きさが誤って分析される確率も低くすることができる。
【0058】
また、本実施例では、背景画像136と境界画像132が互いに異なる表示態様(即ち、輝度、模様、色)を有しており、背景画像136と境界画像132が区別される。また、境界画像132と内側画像130が互いに異なる表示態様を有しており、境界画像132と内側画像130が区別される。隣り合う部分が区別された入力画像120を利用することにより、エッジ102に存在する欠陥を精度よく判定することができる。
【0059】
また、本実施例では、背景画像136と内側画像130が互いに異なる表示態様を有しており、背景画像136と内側画像130が区別される。隣り合う部分だけでなく、背景画像136と内側画像130も区別された入力画像120を利用することにより、エッジ102に存在する欠陥を精度よく判定することができる。
【0060】
また、本実施例の構成によれば、輝度、模様、及び、色の3個の要素を組み合わせて、入力画像120の各部分を区別することができる。各部分が区別された入力画像120を利用することにより、エッジ102に存在する欠陥を精度よく判定することができる。
【0061】
また、本実施例では、第1斜線及び第2斜線が延びる方向として境界画像132が延びる方向と異なる方向が採用される。これにより、背景画像136と背景画像136と内側画像130をさらに区別することができる。
【0062】
また、本実施例では、境界画像132の輝度が内側画像130の輝度及び背景画像136の輝度よりも高い。比較的高い輝度で境界画像132を背景画像136及び内側画像130よりも強調することができる。
【0063】
また、本実施例では、二値化された撮像画像から入力画像120が生成される。撮像画像から直接的に入力画像120を生成する構成と比較して、入力画像120を精度よく生成することができる。
【0064】
(基板の製造方法;図1図4
基板製造装置2によって実現される基板の製造方法は、印刷機4が基材上に配線パターン100を印刷する印刷工程と、検査装置10が印刷工程によって印刷された配線パターン100を検査する検査工程と、を含む。検査工程では、検査装置10は、図4の検査処理を実行して、エッジ102における欠陥の有無、欠陥の位置、欠陥の大きさ等の分析結果を表示装置22に表示する。
【0065】
(他のケースA2;図7
図7では、図3の配線パターン100とは異なる配線パターンの撮像画像に対して表示態様変更処理を実行したケースA2について説明する。本ケースにおける撮像の対象は、第1配線パターンと、第1配線パターンに隣接する第2配線パターンと、を含む。本ケースの撮像画像は、背景画像216と、内側画像210と、境界画像212と、内側画像220と、境界画像222と、を含む。背景画像216は、第1及び第2配線パターンの背景に対応する。内側画像210、境界画像212は、それぞれ、第1配線パターンの内側部分、第1配線パターンのエッジに対応する。内側画像220、境界画像222は、それぞれ、第2配線パターンの内側部分、第2配線パターンのエッジに対応する。
【0066】
背景画像216の輝度、模様、及び、色は、図4のケースA1と同様である。内側画像210及び220の輝度及び模様は、図4のケースA1と同様である。境界画像212及び222の輝度及び模様は、図4のケースA1と同様である。
【0067】
本ケースでは、背景画像216に緑色(G)が付される。境界画像212に青色(B)が付され、境界画像222に黄色(Y)が付される。また、本実施例では、内側画像210に赤色(R)が付され、内側画像220にピンク色(P)が付される。即ち、撮像画像のうちの5個の部分210、212、220、222、及び216がそれぞれに、互いに異なる色が付されている。
【0068】
本ケースでは、第1配線パターンのエッジに欠陥が存在することに起因して、境界画像212が欠陥画像214を含む。本ケースでも、学習モデル44は、第1及び第2配線パターンのエッジのうち、欠陥が存在しない部分が誤って欠陥であると判定し難くなる。欠陥が存在しない部分に欠陥が存在すると誤って分析する確率を低くすることができる。
【0069】
(他のケースA3;図8
本ケースでは、基板320上に2種類の配線パターン300及び310が印刷される。ここで、基板320を平面視すると、配線パターン310は、配線パターン300と重なっている。配線パターン310の材料、色等は、配線パターン300と異なる。本ケースにおいて、配線パターン300と配線パターン310の間の境界部分312に欠陥314が存在する。
【0070】
本ケースの撮像画像は、配線パターン300の内側である第1部分に対応する第1内側画像350と、配線パターン300と配線パターン310の境界部分312に対応する境界画像362と、配線パターン310の内側である第2部分に対応する第2内側画像360と、を含む。撮像画像内の境界画像362は、欠陥314に対応する欠陥画像364を含む。
【0071】
本ケースの表示態様変更処理では、配線パターン300及び310の背景に対応する画像の表示態様は変更されず、背景以外の各画像350、362、及び、360の表示態様が変更される。具体的には、第1内側画像350、境界画像362、第2内側画像360の輝度が、それぞれ、「150」、「255」、「75」に変更される。また、第1内側画像350に付される模様は、第1斜線を有し、第2内側画像360に付される模様は、第2斜線を有する。また、第1内側画像350、境界画像362、第2内側画像360のそれぞれに、緑色(G)、青色(B)、赤色(R)が付される。
【0072】
本ケースでは、図4のS14の表示態様変更処理において、2個の配線パターン300及び310の撮像画像が加工されて、図8に示すような入力画像340が生成される。そして、S16において、入力画像340が学習モデル44に入力される。学習モデル44は、欠陥314が存在すると判定した判定箇所を他の箇所よりも高輝度で表示する判定画像を出力する。本ケースの判定画像でも、欠陥314が存在しない部分が多少含まれるものの、判定箇所のうちの欠陥314が存在しない部分の比率を小さく抑えることができる。欠陥314が存在しない部分に欠陥314が存在すると誤って分析する確率を低くすることができる。
【0073】
(対応関係)
検査装置10、撮像装置20が、それぞれ、「検査装置」、「撮像装置」の一例である。CPU32、検査プログラム40、学習モデル44が、それぞれ、「コンピュータ」、「コンピュータプログラム」、「学習モデル」の一例である。入力画像120が、「入力画像」の一例である。
【0074】
図4のS12、S14、S16が、それぞれ、「二値化工程」、「生成工程」、「判定工程」を実現するための処理の一例である。
【0075】
図4のケースA1において、配線パターン100が、「対象物」の一例である。配線パターン100の外側部分が、「第1部分(及び外側部分)」の一例である。配線パターン100の内側部分が、「第2部分(及び内側部分)」の一例である。エッジ102が、「境界部分(及びエッジ)」の一例である。
【0076】
図7のケースA2において、第1及び第2配線パターンが、「対象物」の一例である。背景画像216に対応する背景が、「第1部分(及び外側部分)」の一例である。内側画像210及び220に対応する内側部分が、「第2部分(及び内側部分)」の一例である。境界画像212及び222に対応するエッジが、「境界部分(及びエッジ)」の一例である。
【0077】
図8のケースA3において、配線パターン300及び310が、「対象物」の一例である。配線パターン300の内側部分から配線パターン310の内側部分を除いた部分が、「第1部分」の一例である。配線パターン310の内側部分が、「第2部分」の一例である。境界部分312が、「境界部分」の一例である。
【0078】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0079】
(変形例1) 図4のS14の表示態様変更処理において、輝度が変更され、色及び模様は変更されなくてもよい。また、表示態様変更処理において、輝度及び色が変更され、模様は変更されなくてもよい。本変形例では、表示態様変更処理において、輝度、色、模様のうちの少なくとも一つが変更されればよい。
【0080】
(変形例2) 図4の入力画像120において、内側画像130の表示態様と背景画像136の表示態様が同じであってもよい。本変形例では、例えば、内側画像130と背景画像136が白色で、境界画像132が黒色であってもよい。一般的に言えば、「入力画像」は、第1部分と境界部分が互いに異なる表示態様を有しているとともに、境界部分と第2部分が互いに異なる表示態様を有していればよい。
【0081】
(変形例3) 入力画像120において、境界画像132以外の部分、例えば、内側画像130の輝度が他の部分の輝度より高くてもよい。
【0082】
(変形例4) 図4のS12の処理は実行されなくてもよい。本変形例では、「二値化工程」を省略可能である。
【0083】
(変形例5) 「対象物」は、基板上の配線パターンに限らず、例えば、ガラス板、ガラス管等の所定の形状を有する構造物であってもよい。
【0084】
(変形例6) 検査装置10は、撮像装置20を備えていなくてもよい。例えば、検査装置10とは独立した他の撮像装置が存在し、検査装置10は、無線LAN等の無線通信を介して他の撮像装置から撮像画像を受信してもよい。
【0085】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0086】
2 :基板製造装置
4 :印刷機
10 :検査装置
20 :撮像装置
22 :表示装置
30 :制御部
32 :CPU
34 :メモリ
40 :検査プログラム
42 :学習プログラム
44 :学習モデル
46 :モデルパラメータ
100 :配線パターン
102 :エッジ
104 :欠陥
110 :基板
120 :入力画像
130 :内側画像
132 :境界画像
134 :欠陥画像
136 :背景画像
140 :判定画像
142 :判定箇所
210 :内側画像
212 :境界画像
214 :欠陥画像
216 :背景画像
220 :内側画像
222 :境界画像
300 :配線パターン
310 :配線パターン
312 :境界部分
314 :欠陥
320 :基板
340 :入力画像
350 :第1内側画像
360 :第2内側画像
362 :境界画像
364 :欠陥画像
900 :判定画像
902 :判定箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8