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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163560
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】繊維分散装置およびシート製造装置
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/732 20120101AFI20241115BHJP
【FI】
D04H1/732
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079294
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】中井 葉子
(72)【発明者】
【氏名】田中 英樹
【テーマコード(参考)】
4L047
【Fターム(参考)】
4L047AA08
4L047AB02
4L047AB06
4L047EA01
(57)【要約】
【課題】繊維を含む材料を均一性よく堆積できる繊維分散装置を提供する。
【解決手段】第1回転軸を中心に回転して繊維を含む材料を攪拌させる第1羽根を有する第1回転体と、前記第1回転軸と平行ではない第2回転軸を中心に回転して繊維を含む材料を攪拌させる第2羽根を有する第2回転体と、前記第1回転体および前記第2回転体を収容するハウジング部と、を含む、繊維分散装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転軸を中心に回転して繊維を含む材料を攪拌させる第1羽根を有する第1回転体と、
前記第1回転軸と平行ではない第2回転軸を中心に回転して繊維を含む材料を攪拌させる第2羽根を有する第2回転体と、
前記第1回転体および前記第2回転体を収容するハウジング部と、
を含む、繊維分散装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ハウジング部に収容され、前記第1回転体を収容する収容部を含み、
前記収容部には、繊維を含む材料が通過する複数の貫通孔が形成されている、繊維分散装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記ハウジング部には、繊維を含む材料が供給される供給口が形成され、
前記第2回転体は、前記供給口と前記第1回転体との間に設けられている、繊維分散装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1回転軸の延在方向および前記第2回転軸の延在方向と直交する方向からみて、前記第1回転軸と前記第2回転軸とがなす角度は、25°以上155°以下である、繊維分散装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1回転軸の延在方向は、水平方向であり、
前記第2回転軸の延在方向は、鉛直方向である、繊維分散装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記第2羽根の形状は、棒状である、繊維分散装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記第2回転体を前記ハウジング部内に保持する保持部を含む、繊維分散装置。
【請求項8】
請求項3において、
前記第1回転軸と平行ではない第3回転軸を中心に回転して繊維を含む材料を攪拌させる第3羽根を有する第3回転体を含み、
前記第3回転体は、前記第1回転体の前記第2回転体とは反対側に設けられている、繊維分散装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載された繊維分散装置と、
前記繊維分散装置からの繊維を含む材料が堆積されて形成されたウェブを搬送する搬送ベルトと、
搬送された前記ウェブをシートに成形するシート成形部と、
を含む、シート製造装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記ウェブのCD方向に並び、前記搬送ベルト上の前記ウェブの厚さを検出する第1センサーおよび第2センサーと、
前記第1センサーおよび前記第2センサーの検出結果に基づいて、前記第2回転体の回
転を制御する制御部と、
を含み、
前記第1センサーは、前記第2センサーよりも、前記CD方向において前記ウェブの中心に近い位置に設けられている、シート製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維分散装置およびシート製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型化、省エネルギーのために、水を極力利用しない乾式によるシート製造装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、多孔質スクリーンを有する収容部と、収容部に繊維を含む材料を供給する供給部と、収容部内に設けられ、回転して材料を撹拌する羽根を有する回転体と、多孔質スクリーンを介して分散された材料が堆積するメッシュベルトと、を有する繊維材料堆積装置を備えたシート製造装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-84395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような繊維材料堆積装置では、メッシュベルト上に、繊維を含む材料を均一性よく堆積させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る繊維分散装置の一態様は、
第1回転軸を中心に回転して繊維を含む材料を攪拌させる第1羽根を有する第1回転体と、
前記第1回転軸と平行ではない第2回転軸を中心に回転して繊維を含む材料を攪拌させる第2羽根を有する第2回転体と、
前記第1回転体および前記第2回転体を収容するハウジング部と、
を含む。
【0007】
本発明に係るシート製造装置の一態様は、
前記繊維分散装置の一態様と、
前記繊維分散装置からの繊維を含む材料が堆積されて形成されたウェブを搬送する搬送ベルトと、
搬送された前記ウェブをシートに成形するシート成形部と、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るシート製造装置を模式的に示す図。
図2】本実施形態に係るシート製造装置の分散部を模式的に示す斜視図。
図3】本実施形態に係るシート製造装置の分散部を模式的に示す断面図。
図4】本実施形態に係るシート製造装置の分散部の第2回転体および保持部を模式的に示す平面図。
図5】本実施形態の第1変形例に係るシート製造装置の分散部を模式的に示す断面図。
図6】本実施形態の第2変形例に係るシート製造装置の分散部を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1. シート製造装置
1.1. 全体の構成
まず、本実施形態に係るシート製造装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るシート製造装置100を模式的に示す図である。
【0011】
シート製造装置100は、図1に示すように、例えば、原料供給部11と、粗砕部12と、解繊部13と、選別部14と、第1ウェブ形成部15と、細分部16と、混合部17と、分散部18と、第2ウェブ形成部19と、シート成形部20と、切断部21と、ストック部22と、回収部27と、制御部28と、を含む。シート製造装置100は、さらに、例えば、加湿部231,232,233,234,235,236を含む。
【0012】
シート製造装置100では、例えば、原料供給工程と、粗砕工程と、解繊工程と、選別工程と、第1ウェブ形成工程と、分断工程と、混合工程と、分散工程と、第2ウェブ形成工程と、シート成形工程と、切断工程とが、この順に実行される。
【0013】
原料供給部11は、粗砕部12に原料M1を供給する原料供給工程を行なう部分である。原料M1は、セルロース繊維を含む繊維含有物からなるシート状材料である。なお、セルロース繊維とは、化合物としてのセルロースを主成分とし繊維状をなすものであればよく、セルロースの他に、ヘミセルロース、リグニンを含むものであってもよい。原料M1は、例えば、使用済みまたは不要となった古紙であってもよいし、古紙を解繊して再生、製造されたリサイクルペーパーであってもよいし、合成紙のユポ紙(登録商標)であってもよい。
【0014】
粗砕部12は、原料供給部11から供給された原料M1を、大気中等の気中で粗砕する粗砕工程を行なう部分である。粗砕部12は、例えば、一対の粗砕刃121と、シュート122と、を有している。
【0015】
一対の粗砕刃121は、それぞれ、回転軸回りに回転する。一対の粗砕刃121は、互いに反対方向に回転し、一対の粗砕刃121の間で原料M1を粗砕して粗砕片M2にする。粗砕片M2は、例えば、1辺の長さが100mm以下の小片であり、好ましくは10mm以上70mm以下の小片である。
【0016】
シュート122は、一対の粗砕刃121の下方に設けられている。シュート122は、例えば、漏斗状の形状を有している。シュート122は、粗砕刃121によって粗砕されて落下してきた粗砕片M2を受ける。
【0017】
シュート122の上方には、加湿部231が一対の粗砕刃121に隣り合って設けられている。加湿部231は、シュート122内の粗砕片M2を加湿する。加湿部231は、水分を含む図示しないフィルターを有している。加湿部231は、該フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を粗砕片M2に供給する温風気化式の加湿器で構成されている。加湿部231により、粗砕片M2が静電気によってシュート122に付着することを抑制できる。
【0018】
シュート122は、管241を介して、解繊部13に接続されている。シュート122に集められた粗砕片M2は、管241を通過して、解繊部13に搬送される。
【0019】
解繊部13は、粗砕片M2を、乾式で解繊する解繊工程を行なう部分である。具体的には、解繊部13は、粗砕片M2を、気中で解繊する。解繊部13での解繊処理により、粗砕片M2から解繊物M3が生成される。ここで「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる粗砕片M2を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。そして、解きほぐされたものが解繊物M3となる。解繊物M3の形状は、線状や帯状である。解繊物M3同士は、絡み合って塊状となった状態、すなわち、いわゆる「ダマ」を形成している状態で存在してもよい。
【0020】
解繊部13は、例えば、高速回転する回転刃と、回転刃の外周に位置するライナーと、を有するインペラーミルで構成されている。解繊部13に流入してきた粗砕片M2は、回転刃とライナーとの間に挟まれて解繊される。
【0021】
解繊部13は、回転刃の回転により、粗砕部12から選別部14に向かう気流を発生させる。これにより、粗砕片M2を管241から解繊部13に吸引することができる。さらに、解繊処理後、解繊物M3を、管242を介して選別部14に送り出すことができる。
【0022】
管242の途中には、ブロアー261が設けられている。ブロアー261は、選別部14に向かう気流を発生させる気流発生装置である。これにより、選別部14への解繊物M3の送り出しが促進される。
【0023】
選別部14は、解繊物M3を、繊維の長さの大小によって選別する選別工程を行なう部分である。選別部14では、解繊物M3は、第1選別物M4-1と、第1選別物M4-1よりも大きい第2選別物M4-2と、に選別される。第1選別物M4-1の大きさは、シートSの製造に適した大きさである。第1選別物M4-1の平均長さは、例えば、1μm以上30μm以下である。一方、第2選別物M4-2は、例えば、解繊が不十分なものや、解繊された繊維同士が過剰に凝集したもの等が含まれる。
【0024】
選別部14は、例えば、ドラム部141と、ドラム部141を収納するハウジング部142と、を有している。
【0025】
ドラム部141は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。ドラム部141には、解繊物M3が流入する。そして、ドラム部141が回転することにより、網の目開きよりも小さい解繊物M3は、第1選別物M4-1として選別され、網の目開き以上の大きさの解繊物M3は、第2選別物M4-2として選別される。第1選別物M4-1は、ドラム部141から落下する。
【0026】
一方、第2選別物M4-2は、ドラム部141に接続された管243に送り出される。管243は、管241に接続されている。管243を通過した第2選別物M4-2は、管241内で粗砕片M2と合流して、粗砕片M2とともに解繊部13に流入する。これにより、第2選別物M4-2は、解繊部13に戻されて、粗砕片M2とともに解繊処理される。
【0027】
ドラム部141から落下した第1選別物M4-1は、気中に分散しつつ落下して、ドラム部141の下方に位置する第1ウェブ形成部15に向かう。第1ウェブ形成部15は、第1選別物M4-1から第1ウェブM5を形成する第1ウェブ形成工程を行う部分である。第1ウェブ形成部15は、例えば、搬送ベルト151と、3つの張架ローラー152と、吸引部153と、を有している。
【0028】
搬送ベルト151には、第1選別物M4-1が堆積される。搬送ベルト151は、無端ベルトである。搬送ベルト151は、例えば、3つの張架ローラー152に掛け回されている。張架ローラー152の回転駆動により、搬送ベルト151上の第1選別物M4-1は、下流に搬送される。
【0029】
搬送ベルト151は、メッシュベルトである。第1選別物M4-1の大きさは、搬送ベルト151の目開き以上の大きさである。これにより、第1選別物M4-1は、搬送ベルト151の通過が規制され、搬送ベルト151上に堆積される。第1選別物M4-1は、搬送ベルト151上に堆積されつつ、搬送ベルト151ごと下流に搬送される。これにより、層状の第1ウェブM5が形成される。
【0030】
吸引部153は、搬送ベルト151の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、搬送ベルト151を通過した塵や埃を空気ごと吸引できる。塵や埃は、例えば、粗砕や解繊によって生じることがある。吸引部153は、管244を介して、回収部27に接続されている。吸引部153で吸引された塵や埃は、回収部27に回収される。
【0031】
回収部27には、管245が接続されている。管245の途中には、ブロアー262が設けられている。ブロアー262の作動により、吸引部153で吸引力を生じさせることができる。これにより、搬送ベルト151上における第1ウェブM5の形成が促進される。第1ウェブM5は、塵や埃等が除去されたものとなる。塵や埃は、ブロアー262の作動により、管244を通過して、回収部27まで到達する。
【0032】
ハウジング部142は、加湿部232と接続されている。加湿部232は、気化式または超音波式の加湿器で構成されている。加湿部232により、ハウジング部142内には、加湿空気が供給される。これにより、第1選別物M4-1を加湿できる。加湿部232により、第1選別物M4-1がハウジング部142の内壁に静電力によって付着することを抑制できる。
【0033】
選別部14の下流には、加湿部235が設けられている。加湿部235は、水を噴霧する超音波式加湿器で構成されている。加湿部235により、第1ウェブM5に水分を供給でき、第1ウェブM5の水分量が調整される。これにより、静電力による第1ウェブM5の搬送ベルト151への吸着を抑制できる。そのため、第1ウェブM5は、搬送ベルト151が張架ローラー152で折り返される位置で、搬送ベルト151から容易に剥離される。
【0034】
加湿部235の下流には、細分部16が設けられている。細分部16は、搬送ベルト151から剥離した第1ウェブM5を分断する分断工程を行なう部分である。細分部16は、例えば、回転可能に支持されたプロペラ161と、プロペラ161を収納するハウジング部162と、を有している。プロペラ161は、回転して第1ウェブM5を分断する。分断された第1ウェブM5は、細分体M6となる。細分体M6は、ハウジング部162内を下降する。
【0035】
ハウジング部162は、加湿部233と接続されている。加湿部233は、気化式または超音波式の加湿器で構成されている。加湿部233により、ハウジング部162内には、加湿空気が供給される。これにより、細分体M6がプロペラ161やハウジング部162の内壁に静電力によって付着することを抑制できる。
【0036】
細分部16の下流には、混合部17が設けられている。混合部17は、細分体M6と樹脂P1とを混合する混合工程を行なう部分である。混合部17は、例えば、樹脂供給部1
71と、管172と、ブロアー173と、を有している。
【0037】
管172は、細分部16のハウジング部162と、分散部18と、を接続している。管172は、細分体M6と樹脂P1との混合物M7が通過する流路である。
【0038】
管172の途中には、樹脂供給部171が接続されている。樹脂供給部171は、スクリューフィーダー174を有している。スクリューフィーダー174は、回転駆動して、樹脂P1を粉体または粒子として管172に供給する。管172に供給された樹脂P1は、細分体M6と混合されて混合物M7となる。
【0039】
樹脂P1は、後の工程で繊維同士を結着させる。樹脂P1としては、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂等を用いることができるが、熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリロニトリルスチレン(AS)樹脂、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6-12、ナイロン6-66等のポリアミド(ナイロン)、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは、熱可塑性樹脂としては、ポリエステルまたはポリエステルを含むものを用いる。
【0040】
樹脂供給部171から供給されるものとしては、樹脂P1の他に、例えば、繊維を着色するための着色剤、繊維の凝集や樹脂P1の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃え難くするための難燃剤、シートSの紙力を増強するための紙力増強剤等が含まれていてもよい。または、予めそれらを樹脂P1に含ませて複合化したものを樹脂供給部171から供給してもよい。
【0041】
管172の途中には、樹脂供給部171よりも下流にブロアー173が設けられている。ブロアー173が有する羽根等の回転部の作用により、細分体M6と樹脂P1とが混合される。ブロアー173は、分散部18に向かう気流を発生させる。発生された気流により、管172内で、細分体M6と樹脂P1とが撹拌される。これにより、混合物M7は、細分体M6と樹脂P1とが均一に分散した状態で、分散部18に流入する。混合物M7中の細分体M6は、管172内を通過する過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
【0042】
分散部18は、混合物M7における、互いに絡み合った繊維同士をほぐして気中に分散させる分散工程を行なう部分である。分散部18の構成については、後述する。分散部18によって気中に分散された混合物M7は、落下して、下方に位置する第2ウェブ形成部19に向かう。
【0043】
第2ウェブ形成部19は、混合物M7から第2ウェブM8を形成する第2ウェブ形成工程を行う部分である。第2ウェブ形成部19は、例えば、搬送ベルト191と、張架ローラー192と、吸引部193と、を有している。
【0044】
搬送ベルト191には、混合物M7が堆積される。搬送ベルト191は、無端ベルトである。搬送ベルト191は、例えば、4つの張架ローラー192に掛け回されている。張架ローラー192の回転駆動により、搬送ベルト191上の混合物M7は、下流に搬送される。
【0045】
搬送ベルト191は、メッシュベルトである。搬送ベルト191上のほとんどの混合物M7は、搬送ベルト191の目開き以上の大きさである。これにより、混合物M7は、搬送ベルト191の通過が規制され、搬送ベルト191上に堆積される。混合物M7は、搬送ベルト191上に堆積されつつ、搬送ベルト191ごと下流に搬送される。これにより、層状の第2ウェブM8が形成される。
【0046】
吸引部193は、搬送ベルト191の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、搬送ベルト191上に混合物M7を吸引でき、混合物M7の搬送ベルト191上への堆積が促進される。
【0047】
吸引部193には、管246が接続されている。管246の途中には、ブロアー263が設けられている。ブロアー263の作動により、吸引部193で吸引力を生じさせることができる。
【0048】
分散部18の下流には、加湿部236が設けられている。加湿部236は、加湿部235と同様の超音波式加湿器で構成されている。加湿部236により、第2ウェブM8に水分を供給でき、第2ウェブM8の水分量が調整される。これにより、静電力による第2ウェブM8の搬送ベルト191への吸着を抑制できる。そのため、第2ウェブM8は、搬送ベルト191が張架ローラー192で折り返される位置で、搬送ベルト191から容易に剥離される。
【0049】
なお、加湿部231から加湿部236までに繊維体に加えられる合計水分量は、例えば、加湿前の材料100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下である。
【0050】
第2ウェブ形成部19の下流には、シート成形部20が設けられている。シート成形部20は、搬送された第2ウェブM8をシートSに成形する。シート成形部20は、第2ウェブM8からシートSを成形するシート成形工程を行なう部分である。シート成形部20は、例えば、加圧部201と、加熱部202と、を有している。
【0051】
加圧部201は、一対のカレンダーローラー203を有している。加圧部201は、一対のカレンダーローラー203の間で第2ウェブM8を加熱せずに加圧する。これにより、第2ウェブM8の密度が高められる。なお、加圧部201による加圧の程度としては、例えば、樹脂P1を溶融させない程度である。第2ウェブM8は、加熱部202に向けて搬送される。なお、一対のカレンダーローラー203のうちの一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0052】
加熱部202は、一対の加熱ローラー204を有している。加熱部202は、一対の加熱ローラー204の間で第2ウェブM8を加熱しつつ、加圧する。加熱部202の加熱加圧により、第2ウェブM8内では、樹脂P1が溶融し、溶融した樹脂P1を介して繊維同士が結着する。これにより、シートSが形成される。シートSは、切断部21に向けて搬送される。なお、一対の加熱ローラー204の一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0053】
シート成形部20の下流には、切断部21が設けられている。切断部21は、シートSを切断する切断工程を行なう部分である。切断部21は、例えば、第1切断部211と、
第2切断部212と、を有している。
【0054】
第1切断部211は、シートSの搬送方向と直交する方向にシートSを切断する。第2切断部212は、第1切断部211の下流で、シートSの搬送方向に平行な方向にシートSを切断する。第1切断部211および第2切断部212の切断により、所望の形状および大きさのシートSが得られる。そして、シートSは、さらに下流に搬送されてストック部22に蓄積される。
【0055】
制御部28は、CPU(Central Processing Unit)281と、記憶部282と、を有している。CPU281は、例えば、各種の判断や各種の命令等を行なう。記憶部282は、例えば、シートSを製造するプログラム等の各種プログラム等が記憶されている。
【0056】
制御部28は、シート製造装置100に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。制御部28が外部機器に設けられている場合、外部機器とシート製造装置100との接続は、有線であってもよく、無線であってもよく、インターネット等のようなネットワークを介して接続されていてもよい。
【0057】
CPU281と、記憶部282とは、例えば、一体化されて、1つのユニットとして構成されていてもよい。または、CPU281がシート製造装置100に内蔵され、記憶部282が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。または、記憶部282がシート製造装置100に内蔵され、CPU281が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。
【0058】
1.2. 繊維分散装置
分散部18は、繊維を含む材料である混合物M7を分散させる繊維分散装置である。図2は、本実施形態に係る分散部18を模式的に示す斜視図である。図3は、本実施形態に係る分散部18を模式的に示す図2のIII-III線断面図である。なお、図2および図3では、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。X軸方向およびY軸方向は、例えば、水平方向である。Z軸方向は、例えば、鉛直方向である。
【0059】
分散部18は、図2および図3に示すように、例えば、供給部30と、ハウジング部40と、収容部50と、第1回転体60と、第2回転体70と、保持部80と、を含む。
【0060】
供給部30は、管172に接続されている。供給部30は、管172と一体的に設けられていてもよい。供給部30は、ハウジング部40に混合物M7を供給する管である。供給部30は、例えば、X軸方向に延在する第1延在部32と、Z軸方向に延在する第2延在部34と、を有している。第1延在部32は、管172に接続されている。第2延在部34は、第1延在部32に接続されている。
【0061】
ハウジング部40は、供給部30の第2延在部34に接続されている。図示の例では、ハウジング部40は、供給部30の-Z軸方向に設けられている。ハウジング部40は、例えば、側壁42と、天板44と、を有している。側壁42は、例えば、Z軸方向からみて天板44を囲むように4つ設けられている。天板44は、4つの側壁42に接続されている。ハウジング部40は、底が解放されている。ハウジング部40は、収容部50、第1回転体60、第2回転体70、および保持部80を収容している。
【0062】
ハウジング部40には、供給口46および排出口48が形成されている。供給口46は、天板44に形成されている。供給口46は、Z軸方向からみて、天板44の中心を含む位置に形成されている。排出口48は、ハウジング部40の底に形成されている。供給部30からの混合物M7は、供給口46からハウジング部40内に供給され、排出口48か
ら排出される。
【0063】
なお、ハウジング部40には、図1に示すように、加湿部234が接続されている。加湿部234は、加湿部231と同様の気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部40内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、ハウジング部40内を加湿でき、混合物M7がハウジング部40の内壁に静電力によって付着することを抑制できる。
【0064】
収容部50は、図3に示すように、ハウジング部40に収容されている。収容部50は、第1回転体60、第2回転体70、および保持部80を収容している。収容部50の形状は、略ドラム状である。収容部50は、例えば、+Y軸方向の端と、-Y軸方向の端とが解放された形状を有している。図示の例では、収容部50の形状は、U字状である。
【0065】
収容部50は、例えば、側壁52と、多孔質部材54と、を有している。側壁52は、例えば、2つ設けられている。側壁52の+Z軸方向の端は、ハウジング部40の天板44に接続されている。多孔質部材54は、2つの側壁52の-Z軸方向の端に接続されている。図示の例では、多孔質部材54は、半円の形状を有している。多孔質部材54には、混合物M7が通過する複数の貫通孔56が形成されている。
【0066】
第1回転体60は、収容部50の多孔質部材54と、第2回転体70と、の間に設けられている。第1回転体60は、Z軸方向からみて、供給口46と重なっている。第1回転体60は、第2回転体70よりも下流に設けられている。第1回転体60は、第1羽根62と、第1シャフト64と、を有している。
【0067】
第1羽根62は、第1回転軸R1を中心に回転する。第1羽根62の形状は、例えば、板状である。第1羽根62の材質は、金属、樹脂などである。第1羽根62には、複数のスリット63が形成されている。これにより、第1羽根62上に堆積される混合物M7を低減できる。第1羽根62は、複数設けられている。図示の例では、第1羽根62は、4つ設けられている。第1羽根62は、混合物M7を撹拌させる。
【0068】
第1羽根62は、第1シャフト64に接続されている。第1シャフト64は、ハウジング部40の+Y軸方向の側壁42、およびハウジング部40の-Y軸方向の側壁42に、回転可能に支持されている。第1シャフト64は、図示せぬモーターによって、第1回転軸R1を中心に回転する。モーターの出力は、制御部28によって制御される。第1シャフト64の回転に伴って、第1羽根62は、回転する。図3に示す例では、第1シャフト64は、矢印A方向に回転する。第1回転軸R1の延在方向は、例えば、水平方向である。図示の例では、第1回転軸R1は、Y軸と平行である。
【0069】
なお、図示はしないが、第1回転軸R1は、Y軸に対して、所定の角度で傾斜していてもよい。該所定の角度は、例えば、0°より大きく65°以下であり、好ましくは45°以下であり、より好ましくは20°以下であり、さらにより好ましくは10°以下である。
【0070】
第2回転体70は、供給口46と第1回転体60との間に設けられている。第2回転体70は、Z軸方向からみて、供給口46と重なっている。ここで、図4は、第2回転体70および保持部80を模式的に示す平面図である。第2回転体70は、図3および図4に示すように、第2羽根72と、第2シャフト74と、を有している。第2回転体70は、例えば、プロペラである。
【0071】
第2羽根72は、第2回転軸R2を中心に回転する。第2羽根72の形状は、例えば、
棒状である。第2羽根72の形状は、例えば、直方体である。第2羽根72の材質は、金属、樹脂などである。第2羽根72は、複数設けられている。図示の例では、第2羽根72は、4つ設けられている。第2羽根72は、混合物M7と接触して、混合物M7を撹拌させる。
【0072】
第2羽根72は、第2シャフト74に接続されている。第2シャフト74は、図示せぬモーターによって、第2回転軸R2を中心に回転する。モーターの出力は、制御部28によって制御される。第2シャフト74の回転に伴って、第2羽根72は、回転する。
【0073】
第2回転軸R2の延在方向は、例えば、鉛直方向である。図示の例では、第2回転軸R2は、Z軸と平行である。第2回転軸R2は、第1回転軸R1と異なる軸である。第2回転軸R2は、第1回転軸R1と平行ではない。X軸方向からみて、第1回転軸R1と第2回転軸R2とがなす角は、例えば、25°以上155°以下であり、好ましくは45°以上135°以下であり、より好ましくは70°以上110°以下である。図示の例では、第1回転軸R1と第2回転軸R2とがなす角は、90°である。X軸方向は、第1回転軸R1の延在方向および第2回転軸R2の延在方向と直交する方向である。
【0074】
なお、図示はしないが、第2回転軸R2は、Z軸に対して、所定の角度で傾斜していてもよい。該所定の角度は、例えば、0°より大きく65°以下であり、好ましくは45°以下であり、より好ましくは20°以下であり、さらにより好ましくは10°以下である。
【0075】
保持部80は、第2回転体70をハウジング部40内に保持している。保持部80は、第2回転体70を収容している。保持部80は、例えば、枠部82と、第1梁84と、第2梁86と、支持部88と、固定部89と、を有している。
【0076】
枠部82は、収容部50の側壁52に固定されている。枠部82は、Z軸方向からみて、第2回転体70を囲んでいる。枠部82は、Z軸方向からみて、供給口46と重なっていない。これにより、枠部82上に堆積される混合物M7を低減できる。
【0077】
第1梁84は、枠部82と離隔している。第1梁84の形状は、例えば、リング状である。第1梁84は、複数設けられている。複数の第1梁84は、同心円状に設けられている。図4に示す例では、第1梁84は、4つ設けられている。
【0078】
第2梁86は、複数の第1梁84に接続されている。第2梁86は、第1梁84を支持している。図示の例では、第2梁86は、2つ設けられている。2つの第2梁86は、Y軸方向における中心部分で、両者間の距離が小さくなるように湾曲した形状を有している。Z軸方向からみて、第1梁84および第2梁86の幅は、例えば、第2羽根72の幅よりも小さい。これにより、梁84,86上に堆積される混合物M7を低減できる。
【0079】
支持部88は、複数の第1梁84のうちの最も内側に位置する第1梁84によって支持されている。支持部88の形状は、例えば、円板状である。支持部88は、図3に示すように、2つ設けられている。2つの支持部88は、第2シャフト74を挟み、第2シャフト74を回転可能に支持している。
【0080】
なお、図示はしないが、支持部88には、複数の貫通孔が形成されていてもよい。当該貫通孔は、支持部88をZ軸方向に貫通する。これにより、支持部88上に堆積される混合物M7を低減できる。
【0081】
固定部89は、第2梁86を支持部88に固定している。固定部89は、第2梁86を
支持部88に螺合していてもよい。図示の例では、固定部89は、4つ設けられている。なお、保持部80の形状は、第2回転体70をハウジング部40内に保持できれば、特に限定されない。
【0082】
管172から搬送された混合物M7は、供給部30の第1延在部32および第2延在部34をこの順で通って、供給口46から収容部50に搬送される。収容部50に搬送された混合物M7は、第2回転体70の第2羽根72によって、攪拌されてほぐされ、X軸方向だけでなく、Y軸方向においても分散される。第2回転体70によって分散された混合物M7は、第1回転体60の第1羽根62によって、攪拌されてほぐされ、X軸方向において分散される。第1回転体60によって分散された混合物M7は、多孔質部材54の貫通孔56を通過し、排出口48から搬送ベルト191に向けて排出される。そして、搬送ベルト191は、分散部18からの混合物M7が堆積されて形成された第2ウェブM8を搬送する。なお、便宜上、図2では、第2ウェブM8の図示を省略している。
【0083】
1.3. 作用効果
繊維分散装置としての分散部18では、第1回転軸R1を中心に回転して繊維を含む材料としての混合物M7を攪拌させる第1羽根62を有する第1回転体60と、第1回転軸R1と平行ではない第2回転軸R2を中心に回転して混合物M7を攪拌させる第2羽根72を有する第2回転体70と、第1回転体60および第2回転体70を収容するハウジング部40と、を含む。そのため、分散部18は、例えば第2回転体が設けられていない場合に比べて、混合物M7を均一性よく分散できる。その結果、搬送ベルト191上に、混合物M7を均一性よく堆積できる。
【0084】
例えば第2回転体が設けられていない場合では、搬送ベルト上に堆積されたウェブのCD(Cross Direction)方向において厚さのばらつきが生じることがある。具体的には、CD方向において、ウェブの中心部が厚くなり、ウェブの端部が薄くなる。特に長い繊維は、中心部に堆積され易い。
【0085】
上述のように、分散部18では、第1回転軸R1と平行ではない第2回転軸R2を中心に回転して混合物M7を攪拌させる第2羽根72を有する第2回転体70を含むため、混合物M7を均一性よく分散できる。
【0086】
分散部18では、ハウジング部40に収容され、第1回転体60を収容する収容部50を含み、収容部50には、混合物M7が通過する複数の貫通孔56が形成されている。そのため、分散部18では、混合物M7をより均一性よく分散できる。
【0087】
分散部18では、ハウジング部40には、混合物M7が供給される供給口46が形成され、第2回転体70は、供給口46と第1回転体60との間に設けられている。そのため、分散部18では、第1回転体60は、第2回転体70で撹拌された混合物M7を撹拌できる。
【0088】
分散部18では、第1回転軸R1の延在方向および第2回転軸R2の延在方向と直交する方向からみて、第1回転軸R1と第2回転軸R2とがなす角度は、25°以上155°以下である。そのため、分散部18では、混合物M7をより均一性よく分散できる。
【0089】
分散部18では、第1回転軸R1の延在方向は、水平方向であり、第2回転軸R2の延在方向は、鉛直方向である。そのため、分散部18では、混合物M7をより均一性よく分散できる。
【0090】
分散部18では、第2羽根72の形状は、棒状である。そのため、分散部18では、例
えば第2羽根が第2シャフトから離れるにつれて幅が広くなる形状である場合に比べて、第2羽根72上に堆積される混合物M7を低減できる。さらに、第2羽根72の回転によって搬送ベルト191上に堆積された第2ウェブM8が舞い上がる可能性を小さくすることができる。
【0091】
分散部18では、第2回転体70をハウジング部40内に保持する保持部80を含む。そのため、分散部18では、第2回転体70をハウジング部40内に保持できる。
【0092】
シート製造装置100では、分散部18と、分散部18からの混合物M7が堆積されて形成された第2ウェブM8を搬送する搬送ベルト191と、搬送された第2ウェブM8をシートSに成形するシート成形部20と、を含む。そのため、シート製造装置100では、搬送ベルト191上に、混合物M7を均一性よく堆積できる。
【0093】
2. シート製造装置の変形例
2.1. 第1変形例
次に、本実施形態の第1変形例に係るシート製造装置について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態の第1変形例に係るシート製造装置300の分散部18を模式的に示す断面図である。
【0094】
以下、本実施形態の第1変形例に係るシート製造装置300において、上述した本実施形態に係るシート製造装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、後述する本実施形態の第2変形例に係るシート製造装置おいて、同様である。
【0095】
シート製造装置300の分散部18は、図5に示すように、第3回転体310と、保持部320と、を含む点において、上述したシート製造装置100と異なる。
【0096】
第3回転体310は、第1回転体60の第2回転体70とは反対側に設けられている。第1回転体60は、第2回転体70と第3回転体310との間に設けられている。第3回転体310は、ハウジング部40に収容されている。第3回転体310は、収容部50の外側に設けられている。
【0097】
第3回転体310は、第1回転軸R1と平行ではない第3回転軸R3を中心に回転して混合物M7を撹拌させる第3羽根312と、第3シャフト314と、を有する。第3羽根312および第3シャフト314については、それぞれ、上述した第2回転体70の第2羽根72および第2シャフト74の説明を適用できる。
【0098】
図示の例では、第3羽根312の根元から先端までの長さは、第2羽根72の根元から先端までの長さよりも大きい。これにより、第3羽根312によって攪拌される混合物M7を増加できる。第3羽根312は、第1羽根62および第2羽根72によって水平方向に広く分布した混合物M7を、攪拌できる。
【0099】
第3回転軸R3は、例えば、第2回転軸R2と平行である。Z軸方向からみて、第3回転軸R3は、例えば、第2回転軸R2と同じ位置にある。
【0100】
保持部320は、第3回転体310をハウジング部40内に保持している。保持部320は、例えば、枠部322と、第3梁324と、第4梁326と、支持部328と、固定部329と、を有している。
【0101】
枠部322は、ハウジング部40の側壁42に固定されている。枠部322は、Z軸方
向からみて、第3回転体310を囲んでいる。枠部322は、Z軸方向からみて、供給口46と重なっていない。これにより、枠部322上に堆積される混合物M7を低減できる。
【0102】
第3梁324、第4梁326、支持部328、および固定部329については、それぞれ、上述した保持部80の第1梁84、第2梁86、支持部88、および固定部89の説明を適用できる。
【0103】
シート製造装置300の分散部18では、第1回転軸R1と平行ではない第3回転軸R3を中心に回転して混合物M7を攪拌させる第3羽根312を有する第3回転体310を含み、第3回転体310は、第1回転体60の第2回転体70とは反対側に設けられている。そのため、分散部18では、第1回転体60および第2回転体70で撹拌された混合物M7を、さらに第3回転体310で撹拌できる。これにより、混合物M7をより均一性よく分散できる。
【0104】
2.2. 第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係るシート製造装置について、図面を参照しながら説明する。図6は、本実施形態の第2変形例に係るシート製造装置400を模式的に示す斜視図である。
【0105】
シート製造装置400では、図6に示すように、第1センサー410と、第2センサー412と、第3センサー414と、を含む点において、上述したシート製造装置100と異なる。
【0106】
第1センサー410、第2センサー412、および第3センサー414は、搬送ベルト191の上方に設けられている。センサー410,412,414は、分散部18よりも下流に設けられている。センサー410,412,414は、第2ウェブM8のCD方向に並んでいる。図示の例では、第2ウェブM8のCD方向は、Y軸方向である。第1センサー410は、第2センサー412と第3センサー414との間に設けられている。
【0107】
第1センサー410、第2センサー412、および第3センサー414は、搬送ベルト191上に堆積された第2ウェブM8の厚さを検出する。センサー410,412,414は、例えば、赤外線、超音波などによって、第2ウェブM8の厚さを検出する。第1センサー410は、センサー412,414よりも、CD方向において第2ウェブM8の中心Cに近い位置に設けられている。Z軸方向からみて、第1センサー410は、例えば、中心Cと重なっている。第2センサー412は、例えば、第2ウェブM8の+Y軸方向の端E1と重なっている。第3センサー414は、例えば、第2ウェブM8の-Y軸方向の端E2と重なっている。
【0108】
制御部28は、センサー410,412,414の検出結果に基づいて、第2回転体70の回転を制御する。具体的には、制御部28は、第1センサー410によって検出された第2ウェブM8の厚さと、第2センサー412によって検出された第2ウェブM8の厚さと、の差(以下、「第1の差」ともいう)、および、第1センサー410によって検出された第2ウェブM8の厚さと、第3センサー414によって検出された第2ウェブM8の厚さと、の差(以下、「第2の差」ともいう)のうちの少なくとも一方が所定値よりも大きくなった場合、図示せぬモーターの出力を上げて、第2回転体70の回転数を増加させる。制御部28は、第1の差および第2の差が所定値以下の場合、図示せぬモーターの出力を維持して、第2回転体70の回転数を維持する。
【0109】
シート製造装置400では、第2ウェブM8のCD方向に並び、搬送ベルト191上の
第2ウェブM8の厚さを検出する第1センサー410および第2センサー412と、第1センサー410および第2センサー412の検出結果に基づいて、第2回転体70の回転を制御する制御部28と、を含み、第1センサー410は、第2センサー412よりも、CD方向において第2ウェブM8の中心Cに近い位置に設けられている。そのため、シート製造装置400では、第2ウェブM8のCD方向における厚さのばらつきを低減できる。
【0110】
なお、図示はしないが、例えば、ハウジング部40内に、風速を計測する風速計測部が設けられていてもよい。風速計測部で所定の風速を検出した場合、制御部28は、図示せぬモーターを制御して、第2回転体70の回転数を低下させてもよい。これにより、第2羽根72の回転によって搬送ベルト191上に堆積された第2ウェブM8が舞い上がる可能性を小さくすることができる。
【0111】
また、図示はしないが、第2回転体70の回転数を計測する回転数計測部が設けられていてもよい。
【0112】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0113】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0114】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0115】
繊維分散装置の一態様は、
第1回転軸を中心に回転して繊維を含む材料を攪拌させる第1羽根を有する第1回転体と、
前記第1回転軸と平行ではない第2回転軸を中心に回転して繊維を含む材料を攪拌させる第2羽根を有する第2回転体と、
前記第1回転体および前記第2回転体を収容するハウジング部と、
を含む。
【0116】
この繊維分散装置によれば、繊維を含む材料をより均一性よく分散できる。そのため、繊維を含む材料を均一性よく堆積できる。
【0117】
前記繊維分散装置の一態様において、
前記ハウジング部に収容され、前記第1回転体を収容する収容部を含み、
前記収容部には、繊維を含む材料が通過する複数の貫通孔が形成されていてもよい。
【0118】
この繊維分散装置によれば、繊維を含む材料をより均一性よく分散できる。
【0119】
前記繊維分散装置の一態様において、
前記ハウジング部には、繊維を含む材料が供給される供給口が形成され、
前記第2回転体は、前記供給口と前記第1回転体との間に設けられていてもよい。
【0120】
この繊維分散装置によれば、第1回転体は、第2回転体で撹拌された繊維を含む材料を
撹拌できる。
【0121】
前記繊維分散装置の一態様において、
前記第1回転軸の延在方向および前記第2回転軸の延在方向と直交する方向からみて、前記第1回転軸と前記第2回転軸とがなす角度は、25°以上155°以下であってもよい。
【0122】
この繊維分散装置によれば、繊維を含む材料をより均一性よく分散できる。
【0123】
前記繊維分散装置の一態様において、
前記第1回転軸の延在方向は、水平方向であり、
前記第2回転軸の延在方向は、鉛直方向であってもよい。
【0124】
この繊維分散装置によれば、繊維を含む材料をより均一性よく分散できる。
【0125】
前記繊維分散装置の一態様において、
前記第2羽根の形状は、棒状であってもよい。
【0126】
この繊維分散装置によれば、第2羽根上に堆積される繊維を含む材料を低減できる。
【0127】
前記繊維分散装置の一態様において、
前記第2回転体を前記ハウジング部内に保持する保持部を含んでもよい。
【0128】
この繊維分散装置によれば、第2回転体をハウジング部内に保持できる。
【0129】
前記繊維分散装置の一態様において、
前記第1回転軸と平行ではない第3回転軸を中心に回転して繊維を含む材料を攪拌させる第3羽根を有する第3回転体を含み、
前記第3回転体は、前記第1回転体の前記第2回転体とは反対側に設けられていてもよい。
【0130】
この繊維分散装置によれば、第1回転体および第2回転体で撹拌された繊維を含む材料を、さらに第3回転体で撹拌できる。
【0131】
シート製造装置の一態様は、
前記繊維分散装置の一態様と、
前記繊維分散装置からの繊維を含む材料が堆積されて形成されたウェブを搬送する搬送ベルトと、
搬送された前記ウェブをシートに成形するシート成形部と、
を含む。
【0132】
このシート製造装置によれば、搬送ベルト上に、繊維を含む材料を均一性よく堆積できる。
【0133】
前記シート製造装置の一態様において、
前記ウェブのCD方向に並び、前記搬送ベルト上の前記ウェブの厚さを検出する第1センサーおよび第2センサーと、
前記第1センサーおよび前記第2センサーの検出結果に基づいて、前記第2回転体の回転を制御する制御部と、
を含み、
前記第1センサーは、前記第2センサーよりも、前記CD方向において前記ウェブの中心に近い位置に設けられていてもよい。
【0134】
このシート製造装置によれば、ウェブのCD方向における厚さのばらつきを低減できる。
【符号の説明】
【0135】
11…原料供給部、12…粗砕部、13…解繊部、14…選別部、15…第1ウェブ形成部、16…細分部、17…混合部、18…分散部、19…第2ウェブ形成部、20…シート成形部、21…切断部、22…ストック部、27…回収部、28…制御部、30…供給部、32…第1延在部、34…第2延在部、40…ハウジング部、42…側壁、44…天板、46…供給口、48…排出口、50…収容部、52…側壁、54…多孔質部材、56…貫通孔、60…第1回転体、62…第1羽根、63…スリット、64…第1シャフト、70…第2回転体、72…第2羽根、74…第2シャフト、80…保持部、82…枠部、84…第1梁、86…第2梁、88…支持部、89…固定部、100…シート製造装置、121…粗砕刃、122…シュート、141…ドラム部、142…ハウジング部、151…搬送ベルト、152…張架ローラー、153…吸引部、161…プロペラ、162…ハウジング部、171…樹脂供給部、172…管、173…ブロアー、174…スクリューフィーダー、191…搬送ベルト、192…張架ローラー、193…吸引部、201…加圧部、202…加熱部、203…カレンダーローラー、204…加熱ローラー、211…第1切断部、212…第2切断部、281…CPU、282…記憶部、231,232,233,234,235,236…加湿部、241,242,243,244,245,246…管、261,262,263…ブロアー、300…シート製造装置、310…第3回転体、312…第3羽根、314…第3シャフト、320…保持部、322…枠部、324…第3梁、326…第4梁、328…支持部、329…固定部、400…シート製造装置、410…第1センサー、412…第2センサー、414…第3センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6