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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163564
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079299
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中野 拓也
(72)【発明者】
【氏名】丸山 耕大
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA03
4M118CA22
4M118FA06
4M118FA38
4M118GA02
4M118GB07
4M118GB11
4M118GC07
4M118GD03
4M118GD04
4M118HA25
4M118HA30
4M118HA31
4M118HA33
(57)【要約】
【課題】バンプ電極とパッド電極との接合性を向上させることが可能な光検出装置を提供する。
【解決手段】光検出装置は、画素領域と、画素領域の周辺に位置する周辺領域とを有する第1基板部と、バンプ電極を有する半導体チップと、を備える。第1基板部は、第1半導体層と、画素領域の第1半導体層に設けられた光電変換部と、周辺領域の第1半導体層の一方の面側に設けられたパッド電極と、第1半導体層の一方の面側に設けられた絶縁膜と、を有する。絶縁膜にはパッド電極の上方を開口するパッド開口部が設けられている。バンプ電極は、パッド開口部の開口端の周縁部から離れた状態でパッド電極に接合されている。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素領域と、前記画素領域の周辺に位置する周辺領域とを有する第1基板部と、
バンプ電極を有する半導体チップと、を備え、
前記第1基板部は、
第1半導体層と、
前記画素領域の前記第1半導体層に設けられた光電変換部と、
前記周辺領域の前記第1半導体層の一方の面側に設けられたパッド電極と、
前記第1半導体層の前記一方の面側に設けられた絶縁膜と、を有し、
前記絶縁膜には前記パッド電極の上方を開口するパッド開口部が設けられており、
前記バンプ電極は、前記パッド開口部の開口端の周縁部から離れた状態で前記パッド電極に接合されている、光検出装置。
【請求項2】
前記バンプ電極は、前記パッド開口部の側面から離れた状態で前記パッド電極に接合されている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記開口端の径は、前記パッド電極の径と同じ、又は、前記パッド電極の径よりも小さい、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記開口端の前記周縁部は、前記パッド電極の表面と面一である、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記開口端の径は、前記パッド電極の径よりも大きい、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記パッド開口部は、
前記開口端を含む第1開口部と、
前記第1開口部の底部に連通し、前記パッド電極を底面とする第2開口部とを有し、
前記第1開口部よりも前記第2開口部の方が径が小さい、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記バンプ電極は、前記第1開口部の側面から離れた状態で前記パッド電極に接合されている、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記パッド開口部は、
前記第1開口部の底部の一部であって、前記絶縁膜の表面から凹んでいる凹み部を有し、
前記凹み部は、前記第2開口部の周縁の少なくとも一部に設けられている、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記開口端の前記周縁部を外周縁部とし、
前記凹み部の前記第2開口部側の端部を内周縁部とすると、
前記内周縁部の厚さは1μm以下である、請求項8に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記開口端の前記周縁部を外周縁部とし、
前記凹み部の前記第2開口部側の端部を内周縁部とすると、
前記内周縁部の側面は、
前記第2開口部の開口端から前記第2開口部の底面に近づくにつれて前記第2開口部の径が小さくなるように、前記第2開口部の底面に対して傾斜又は湾曲している、請求項8に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記第1開口部の側面は、
前記第1開口部の底面に近づくにつれて前記第1開口部の径が小さくなるように、前記第1開口部の底面に対して傾斜又は湾曲している、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記第1基板部の厚さ方向からの平面視で、
前記第1開口部と前記第2開口部は、互いに同一の形状を有する、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記第1基板部の厚さ方向からの平面視で、
前記第1開口部と前記第2開口部は、互いに異なる形状を有する、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記バンプ電極は、錫(Sn)と銀(Ag)の合金で構成された合金層を有し、
前記合金層が前記パッド電極に接合されている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項15】
前記第1基板部は、
前記周辺領域の前記第1半導体層の一方の面側に設けられた配線、をさらに有し、
前記パッド電極は、
電極膜と、
前記電極膜と前記配線との間に設けられたバリアメタル膜と、を有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項16】
前記電極膜は、コバルト(Co)膜と、前記コバルト(Co)膜上に設けられた銅(Cu)膜とを含み、
前記バンプ電極は前記銅(Cu)膜に接合されている、請求項15に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入射した光を光電変換する画素部と、信号処理を行う周辺回路部とを別素子(センサ素子及びロジック素子)に分割し、例えば画素部を有するセンサ素子の画素部外の領域にロジック素子をフリップチップ実装する固体撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-171297号公報
【特許文献2】特開2020-080363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フリップチップ実装の一形態であるCoW(Chip on Wafer)接合では、例えば、チップに設けられているバンプ電極を、ウェハに設けられているパッド電極に接合する。
【0005】
ウェハ側において、パッド電極の上方を開口するパッド開口部の深さは、集光特性要求や配線構造物配置により、高背化し深くなる傾向がある。パッド開口部の深さが深くなると、バンプ電極をパッド電極に接合する接合工程の初期において、バンプ電極の先端をパッド開口部の底部に位置するパッド電極の表面に接触させることが難しくなり、バンプ電極とパッド電極との接合性が低下する可能性がある。
【0006】
本開示はこのような事情に鑑みてなされたもので、バンプ電極とパッド電極との接合性を向上させることが可能な光検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る光検出装置は、画素領域と、前記画素領域の周辺に位置する周辺領域とを有する第1基板部と、バンプ電極を有する半導体チップと、を備える。前記第1基板部は、第1半導体層と、前記画素領域の前記第1半導体層に設けられた光電変換部と、前記周辺領域の前記第1半導体層の一方の面側に設けられたパッド電極と、前記第1半導体層の前記一方の面側に設けられた絶縁膜と、を有する。前記絶縁膜には前記パッド電極の上方を開口するパッド開口部が設けられている。前記バンプ電極は、前記パッド開口部の開口端の周縁部から離れた状態で前記パッド電極に接合されている。
【0008】
これによれば、パッド開口部の開口端の周縁部に沿ってバンプ電極が歪な形状に形成されることを防ぐことができる。これにより、バンプ電極の内部に応力(内部応力)が発生することを抑制することができ、内部応力が原因でバンプ電極にクラックが生じることを抑制することができる。
【0009】
また、バンプ電極をパッド電極に溶融接合する際に、溶融状態のバンプ電極をパッド開口部の側面に接触させることなく、パッド電極に平行な水平方向に広げることが容易となる。これにより、バンプ電極の高さを低くすることができ、半導体チップとパッド電極との間の物理的距離を縮めることができる。
【0010】
以上から、バンプ電極とパッド電極との接合性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態1に係る撮像装置の構成例を示す断面図である。
図2図2は、本開示の実施形態1に係る撮像装置の構成例を示す平面図である。
図3A図3Aは、本開示の実施形態1に係る撮像装置の一部であって、センサ素子のパッド電極と、初期状態のバンプ電極と、その周辺部の構成例を示す断面図である。
図3B図3Bは、本開示の実施形態1に係る撮像装置の一部であって、センサ素子のパッド電極と、接合後のバンプ電極と、その周辺部の構成例を示す断面図である。
図4図4は、本開示の実施形態1に係るセンサ素子のパッド開口部と、その周辺部の構成例(その1)を示す平面図である。
図5図5は、本開示の実施形態1に係るセンサ素子のパッド開口部と、その周辺部の構成例(その2)を示す平面図である。
図6図6は、本開示の実施形態1に係る撮像装置の変形例1を示す断面図である。
図7図7は、本開示の実施形態1に係る撮像装置の変形例2を示す断面図である。
図8A図8Aは、本開示の実施形態2に係る撮像装置の一部であって、センサ素子のパッド電極と、初期状態のバンプ電極55と、その周辺部の構成例を示す断面図である。
図8B図8Bは、本開示の実施形態2に係る撮像装置の一部であって、センサ素子のパッド電極と、接合後のバンプ電極と、その周辺部の構成例を示す断面図である。
図9図9は、本開示の実施形態2に係るパッド開口部の構成例を示す断面図である。
図10図10は、本開示の実施形態2に係るセンサ素子のパッド開口部と、その周辺部の構成例を示す平面図である。
図11図11は、本開示の実施形態2に係る撮像装置の変形例1を示す平面図である。
図12図12は、本開示の実施形態2に係る撮像装置の変形例2を示す平面図である。
図13図13は、本開示の実施形態2に係る撮像装置の変形例3を示す平面図である。
図14図14は、本開示の実施形態2に係る撮像装置の変形例4を示す平面図である。
図15図15は、本開示の実施形態2に係る撮像装置の変形例5を示す断面図である。
図16図16は、本開示の実施形態2に係る撮像装置の変形例5を示す平面図である。
図17図17は、本開示の実施形態2に係る撮像装置の変形例6を示す断面図である。
図18図18は、本開示の実施形態2に係る撮像装置の変形例7を示す断面図である。
図19図19は、本開示の実施形態2に係る撮像装置の変形例8を示す断面図である。
図20図20は、本開示の実施形態3に係る撮像装置の一部であって、センサ素子のパッド電極と、初期状態のバンプ電極と、その周辺部の構成例を示す断面図である。
図21図21は、本開示の実施形態3に係る撮像装置の一部であって、センサ素子のパッド開口部と、その周辺部の構成例を示す平面図である。
図22図22は、本開示の実施形態3に係る撮像装置の変形例1を示す平面図である。
図23図23は、本開示の実施形態3に係る撮像装置の変形例2を示す平面図である。
図24図24は、本開示の実施形態3に係る撮像装置の変形例3を示す平面図である。
図25図25は、本開示の実施形態3に係る撮像装置の変形例4を示す平面図である。
図26図26は、本開示の適用例1であり、撮像装置の全体構成を表した図である。
図27図27に、本開示の適用例2であり、電子機器(カメラ)の概略構成を示す図である。
図28図28は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
図29図29は、撮像部の設置位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下の説明で参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
【0014】
以下の説明では、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の文言を用いて、方向を説明する場合がある。例えば、Z軸方向は、後述する撮像装置1、1A、1Bの厚さ方向である。X軸方向及びY軸方向は、Z軸方向と直交する方向である。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する。
以下の説明で、平面視とは、Z軸方向から見ることを意味する。
【0015】
<実施形態1>
(撮像装置の全体構成)
図1は、本開示の実施形態1に係る撮像装置1の構成例を示す断面図である。図2は、本開示の実施形態1に係る撮像装置1の構成例を示す平面図である。なお、図1は、図2に示す平面図をA-A´線で切断した断面を示している。また、図2では、図1に示すロジックチップ50の図示を省略している。
【0016】
図1及び図2に示す撮像装置1は、本開示の「光検出装置」の一例である。撮像装置1は、例えば、裏面照射型(裏面受光型)のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであり、センサ素子10(本開示の「第1基板部」の一例)上に、信号処理を行う各種の信号処理回路を有するロジックチップ50(本開示の「半導体チップ」の一例)がフリップチップ実装された積層型の撮像装置である。
【0017】
(センサ素子)
図1及び図2に示すように、センサ素子10は、シリコン基板11(本開示の「第1半導体層」の一例)に複数の光電変換部12が2次元配列されてなる画素領域(すなわち、受光領域)100Aと、画素領域100Aの周辺に設けられた周辺領域100Bとを有する。センサ素子10は、シリコン基板11の裏面11S1(本開示の「一方の面」の一例)が光入射面となっており、シリコン基板11の表面11S2に多層配線層20が設けられている。ロジックチップ50は、センサ素子10の周辺領域100Bにおいて、シリコン基板11の裏面11S1側に設けられたパッド電極34(本開示の「パッド電極」の一例)を介して実装されている。
【0018】
パッド電極34は、例えば、シリコン基板11の裏面11S1上に設けられた配線33(本開示の「配線」の一例)と、シリコン基板11を貫通する貫通ビア13とを介して、シリコン基板11の表面11S2側に設けられた多層配線層20を構成する配線22に電気的に接続されている。
【0019】
撮像装置1では、センサ素子10の周辺領域100Bにおいて、シリコン基板11の裏面11S1側に外部基板(図示せず)との接続に用いられるパッド電極36がさらに設けられている。パッド電極34とパッド電極36とは、例えば、シリコン基板11の裏面11S1上に設けられた配線33のみを介して電気的に接続されている。
【0020】
または、図1には示さないが、パッド電極34とパッド電極36とは、例えば、シリコン基板11の裏面11S1上に設けられた配線33と、シリコン基板11を貫通する貫通ビア13と、シリコン基板11の表面11S2側に設けられた多層配線層20を構成する配線22とによって電気的に接続されていてもよい。
【0021】
(画素領域)
画素領域100Aには、単位画素P(例えば、後述の図26参照)毎に、それぞれ異なる波長域の光を選択的に検出して光電変換を行う光電変換部12が設けられている。光電変換部12は、シリコン基板11の厚み方向(図1ではZ軸方向)に形成された、例えばn型半導体領域であり、シリコン基板11の表面11S2に設けられたp型半導体領域とのpn接合型のフォトダイオード(PD)によって構成されている。光電変換部12は、例えば、単位画素Pごとにシリコン基板11に埋設形成されている。
【0022】
シリコン基板11には、さらに、表面11S2近傍に、光電変換部12で発生した信号電荷を蓄積する電荷蓄積部や、電荷蓄積部に信号電荷を転送する転送トランジスタ(TG)が設けられている。シリコン基板11の表面11S2近傍には、転送トランジスタ(TG)と共に、例えばリセットトランジスタ(RST)、増幅トランジスタ(AMP)及び選択トランジスタ(SEL)などが設けられている。
【0023】
このようなトランジスタは例えばMOSEFT(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、単位画素Pごとに回路を構成する。各回路は、例えば転送トランジスタ(TG)、リセットトランジスタ(RST)及び増幅トランジスタ(AMP)を含む3トランジスタ構成であってもよく、あるいはこれに選択トランジスタ(SEL)が加わった4トランジスタ構成であってもよい。転送トランジスタ(TG)以外のトランジスタは、画素間で共有することも可能である。
【0024】
画素領域100Aには、シリコン基板11の受光面(裏面11S1)側に、例えば、層間絶縁膜31(本開示の「絶縁膜」の一例)、インナーレンズ37L、平坦化層38、保護層40、カラーフィルタ41及びオンチップレンズ42Lがこの順に設けられている。インナーレンズ37L、カラーフィルタ41及びオンチップレンズ42Lは、それぞれ、例えば各単位画素Pに設けられた光電変換部12と対向配置されている。
【0025】
層間絶縁膜31、インナーレンズ37L、平坦化層38、保護層40、カラーフィルタ41及びオンチップレンズ42Lは、それぞれ、例えば光透過性を有する材料により構成されている。具体的には、例えば、窒化シリコン(SiN)及び酸窒化シリコン(SiON)などのうちのいずれかよりなる単層膜、あるいはそれらのうちの2種以上よりなる積層膜により構成されている。
【0026】
各単位画素Pの間には、画素分離部35、39が設けられている。画素分離部35は層間絶縁膜31に、画素分離部39は平坦化層38にそれぞれ設けられており、互いに接続されている。画素分離部35、39は、例えば、タングステン(W)などの遮光性を有する材料を用いて形成されている。
【0027】
(周辺領域)
周辺領域100Bには、例えば、シリコン基板11の裏面11S1側に、例えば、層間絶縁膜31、インナーレンズ層37、平坦化層38、保護層40及びオンチップレンズ層42がこの順に積層されている。インナーレンズ層37及びオンチップレンズ層42は、それぞれ、画素領域100Aに設けられたインナーレンズ37L及びオンチップレンズ42Lから延在するものである。
【0028】
周辺領域100Bには、センサ素子10上にロジックチップ50を実装するための、例えば4つのパッド電極34(図1では、そのうち2つを図示)と、外部基板との接続に用いられる、例えば1つのパッド電極36とがそれぞれ設けられている。
【0029】
詳細は後述するが、パッド電極34、36は、例えば、層間絶縁膜31と平坦化層38との間に設けられている。層間絶縁膜31内には、例えば、パッド電極34とパッド電極36とを電気的に接続する配線33が設けられている。更に、層間絶縁膜31内には、例えば画素領域100Aと周辺領域100Bとの間に、例えば、タングステン(W)などの遮光性を有する導電性材料からなる遮光膜32が設けられていてもよい。
【0030】
シリコン基板11には、例えば、裏面11S1と表面11S2との間を貫通する貫通ビア13が設けられている。貫通ビア13は、例えばパッド電極34、36毎に設けられている。例えば図2に示すように、4つのパッド電極34は、配線33を介して、貫通ビア13A1、13A2、13A3、13A4にそれぞれ接続されている。
【0031】
配線33は、例えば、銅(Cu)又はCu合金で構成されている。配線33の厚さは、例えば50nm以上300nm以下である。配線33は、Cu又はCu合金で構成されているため、アルミニウム(Al)又はAl合金で構成される場合と比べて、厚さを十分に薄くする(例えば、1/10以下にする)ことが可能である。これにより、センサ素子10の低背化が可能であり、ひいては撮像装置1の低背化が可能である。
【0032】
なお、本開示の実施形態において、配線33を構成する材料は、Cu又はCu合金に限定されるものではない。例えば、厚さを考慮しないのであれば、配線33はAl又はAl合金で構成されていてもよい。
【0033】
パッド電極34上の絶縁膜38A、インナーレンズ層37、平坦化層38、保護層40及びオンチップレンズ層42には、パッド電極34を露出させるパッド開口部H11(本開示の「パッド開口部」の一例)が設けられている。
【0034】
パッド電極36は、外部基板との接続に用いられるものであり、例えば、層間絶縁膜31上に設けられている。パッド電極36上のインナーレンズ層37、平坦化層38、保護層40及びオンチップレンズ層42には、パッド電極36を露出させる開口部H12が設けられている。
【0035】
更に、パッド電極36は、例えばパッド電極34と同等の高さに設けられていることが望ましい。ここで、同等とは、例えば、パッド電極34及びパッド電極36の下面の高さの差が、パッド電極34及びパッド電極36の一方が設けられた絶縁層の厚み以下であるものとする。これにより、パッド電極34及びパッド電極36の加工が容易となる。
【0036】
シリコン基板11の表面11S2上には、絶縁層21と配線22とからなる多層配線層20が設けられている。絶縁層21は、例えば、絶縁層21A、21B、21C、21D、21Eからなる。配線22は、各絶縁層21A、21B、21C、21D、21Eの間にそれぞれ設けられた配線22A、22B、22C、22Dからなる。シリコン基板11を貫通する貫通ビア13は、一方がシリコン基板11の裏面11S1側に設けられたパッド電極34に接続された配線33と接続されており、他方がシリコン基板11の表面11S2側に設けられた配線22Aと接続されている。
【0037】
(ロジックチップ)
ロジックチップ50は、信号処理を行う各種の信号処理回路が形成されたものである。ロジックチップ50には、例えば、バンプ電極55(本開示の「バンプ電極」の一例)が下面に設けられている。本実施の形態では、シリコン基板11の裏面11S1側に設けられ、複数のパッド開口部H11を介してそれぞれ露出された複数のパッド電極34上に、ロジックチップ50のバンプ電極55が接合されている。
【0038】
(パッド電極及びバンプ電極とその周辺部の構成例)
図3Aは、本開示の実施形態1に係る撮像装置1の一部であって、センサ素子10のパッド電極34と、パッド電極34に接合される直前(すなわち、初期状態)のロジックチップ50のバンプ電極55と、その周辺部の構成例を示す断面図である。図3Bは、本開示の実施形態1に係る撮像装置1の一部であって、センサ素子10のパッド電極34と、パッド電極34に接合した後のロジックチップ50のバンプ電極55と、その周辺部の構成例を示す断面図である。
【0039】
図3A及び図3Bに示すように、バンプ電極55は、パッド電極34に接合される前の初期状態だけでなく、接合された後においても、パッド開口部H11の開口端の周縁部FRGから離れている。バンプ電極55と、パッド開口部H11の開口端の周縁部FRGは非接触構造となっている。
【0040】
例えば、図3Aに示すように、バンプ電極55の初期状態における径をR55とする。また、図3Bに示すように、バンプ電極55の接合後の径をR55´とする。バンプ電極55の径R55、R55´は、いずれも、パッド開口部H11の開口端の径RH11よりも小さい。これにより、バンプ電極55の先端をパッド電極34の予め設定された位置(例えば、平面視でパッド電極34の中央部)に接触させたときに、バンプ電極55は、パッド開口部H11の開口端の周縁部FRGと、パッド開口部H11の側面H11cとに接触しない。
【0041】
また、この状態でリフローを行い、バンプ電極55をパッド電極34に接合する。接合後においても、バンプ電極55は周縁部FRG及び側面H11cから離れており、接触しない。バンプ電極55と周縁部FRGとの間、及び、バンプ電極55と側面H11cとの間は、接合工程の初期だけでなく、接合後においても離間しており、スペースSが確保されている。
【0042】
なお、リフローとは、ロジックチップ50のバンプ電極55の先端をセンサ素子10のパッド電極34に接触させた状態で、センサ素子10及びロジックチップ50を含む基板をリフロー炉と呼ばれる熱処理装置内に配置し、リフロー炉内でバンプ電極55の少なくとも一部(例えば、後述の合金層51)を溶融させて、バンプ電極55をパッド電極34に接合させる工程である。
【0043】
パッド電極34は、例えば、電極膜と、電極膜と配線33との間に設けられたバリアメタルBMとを有する。電極膜は、例えばコバルト(Co)膜341と、Co膜341上に設けられた銅(Cu)膜342とを含む。バンプ電極55はCu膜342に接合されており、Cu膜342等を含むパッド電極34を介して、配線33に電気的に接続されている。
【0044】
バンプ電極55は、例えば錫(Sn)と銀(Ag)の合金で構成された合金層51と、Ni層52とを有する。合金層51がパッド電極34のCu膜342に接合されている。
【0045】
図4は、本開示の実施形態1に係るセンサ素子10のパッド開口部H11と、その周辺部の構成例(その1)を示す平面図である。図4に示すように、パッド開口部H11のZ軸方向からの平面視による形状(以下、平面形状という)は、例えば正円形である。この場合、この正円形の直径が、上記の径RH11に相当する。
【0046】
構成例1では、パッド開口部H11の径RH11は、パッド電極34のCu膜342の径R342と同じ、又は、径R34よりも小さい。Cu膜342の平面形状は、例えば正方形である。この正方形の一辺の長さが、Cu膜342の径R342に相当する。
【0047】
正円形のパッド開口部H11の底面がパッド電極34のCu膜342となっており、この底面のCu膜342にバンプ電極55(例えば図3A図3B参照)が接合される。なお、図4をB-B´線で切断した断面が、図3A図3Bに示すパッド開口部H11とその周辺部の断面に対応している。
【0048】
本開示の実施形態において、パッド開口部H11の平面形状は正円形に限定されない。図5は、本開示の実施形態1に係るセンサ素子10のパッド開口部H11と、その周辺部の構成例(その2)を示す平面図である。図5に示すように、パッド開口部H11の平面形状は、正方形であってもよい。この場合、この正方形の一辺の長さが、上記の径RH11に相当する。
【0049】
この構成例2においても、図4に示した構成例1と同様に、パッド電極34のCu膜342の径R342よりも、パッド開口部H11の径RH11の方が小さい。
【0050】
正方形のパッド開口部H11の底面がパッド電極34のCu膜342となっており、この底面のCu膜342にバンプ電極55(例えば図3A図3B参照)が接合される。なお、図5をC-C´線で切断した断面が、上記の図3A図3Bに示すパッド開口部H11とその周辺部の断面に対応している。
【0051】
(実施形態1の効果)
以上説明したように、本開示の実施形態1に係る撮像装置1は、画素領域100Aと、画素領域100Aの周辺に位置する周辺領域100Bとを有するセンサ素子10と、バンプ電極55を有するロジックチップ50と、を備える。センサ素子10は、シリコン基板11と、画素領域100Aのシリコン基板11に設けられた光電変換部12と、周辺領域100Bのシリコン基板11の裏面11S1側に設けられたパッド電極34と、シリコン基板11の裏面11S1側に設けられた層間絶縁膜31と、を有する。層間絶縁膜31にはパッド電極34の上方を開口するパッド開口部H11が設けられている。バンプ電極55は、パッド開口部H11の開口端の周縁部FRGから離れた状態でパッド電極34に接合されている。
【0052】
これによれば、例えば溶融前のバンプ電極55(例えば、図3A参照)をパッド電極34上に配置する接合工程の初期において、バンプ電極55をパッド開口部H11の開口端の周縁部FRGに接触させずに、バンプ電極55の先端をパッド電極34の表面に接触させることが可能である。センサ素子10の高背化が進展し、パッド開口部H11の深さが深くなる場合でも、バンプ電極55の先端をパッド電極34の表面に接触させることが容易となる。
【0053】
バンプ電極55の先端をパッド電極34の表面に接触させて溶融接合する際に、バンプ電極55は、パッド開口部H11の開口端の周縁部FRGから離れている(すなわち、非接触である)。溶融状態のバンプ電極55は、周縁部FRGと非接触を維持したまま冷却、固化されるため、周縁部FRGに沿ってバンプ電極55が歪な形状に形成されることを防ぐことができる。これにより、バンプ電極55の内部に応力(内部応力)が発生することを抑制することができ、内部応力が原因でバンプ電極55にクラックが生じることを抑制することができる。
【0054】
溶融状態のバンプ電極55をパッド開口部H11の側面H11cに接触させることなく、パッド電極34に平行な水平方向に広げることが容易となる。これにより、バンプ電極55の高さを低くすることができる。バンプ電極55の高さを低くすることで、ロジックチップ50とパッド電極34との間の物理的距離を縮めることができる。
【0055】
溶融状態のバンプ電極55は少なくともパッド開口部H11の開口端の周縁部FRGから離れている。より好ましくは、溶融状態のバンプ電極55は、周縁部FRGだけでなく、パッド開口部H11の側面H11cからも離れている。これにより、溶融状態のバンプ電極55は、周縁部FRGや側面H11cと接触する場合と比べて、空気との接触界面が増えるので、表面張力を強くすることができる。これにより、バンプ電極55の高さをさらに低くすることができ、ロジックチップ50とパッド電極34との間の物理的距離をさらに縮めることができる。
【0056】
表面張力について、より詳しく説明する。溶融状態のバンプ電極55がパッド電極34と接触すると表面張力が働き、収縮・反発する力が釣り合う状態でバンプ電極55とパッド電極34に合金層(図示せず)が形成される。バンプ電極55と周縁部FRGとが非接触となることで、水平方向に合金層(図示せず)の形成が進み、ロジックチップ50とパッド電極34との距離が縮まる。この距離が縮まった状態では、バンプ電極55が押し潰される方向に表面張力が作用し、バンプ電極55とパッド電極34との接合性が向上する。
【0057】
ロジックチップ50全体の現象として、ロジックチップ50とパッド電極34との距離が縮まると、バンプ電極55とパッド電極34との総接触面積が増え、バンプ電極55毎に表面張力が働くため、ロジックチップ50をセンサ素子10に接合し易くなる。
【0058】
例えば、バンプ電極55をパッド電極34に溶融接合する際に、ロジックチップ50に変形、歪みが生じた場合でも、ロジックチップ50全体の現象として、バンプ電極55毎に表面張力が働き、バンプ電極55毎に接合性が向上する。これにより、ロジックチップ50に変形、歪みが生じた場合でも、この変形、歪みに対する追従性が向上するため、ロジックチップ50をセンサ素子10に接合し易くなる。
【0059】
以上から、バンプ電極55とパッド電極34との接合性を向上させることが可能である。
【0060】
(実施形態1の変形例)
(1)変形例1
図6は、本開示の実施形態1に係る撮像装置1の変形例1を示す断面図である。図6に示すように、撮像装置1において、パッド開口部H11(例えば、図3A図3B参照)の高さはゼロ(0)であり、パッド電極34の表面は層間絶縁膜31の表面31aと面一であってもよい。この変形例1では、バリアメタルBM、Co膜341及びCu膜342を含むパッド電極34の直上がパッド開口部H11に相当する。
【0061】
この変形例1では、初期状態のバンプ電極55の径R55(または、接合後のバンプ電極の径R55´)よりも、パッド電極34のCu膜342の径R342の方が大きい。また、Cu膜342の径R342よりも、パッド開口部H11(すなわち、パッド電極34の直上)の径RH11の方が大きい。
【0062】
このような態様であっても、周縁部FRGに沿ってバンプ電極55が歪な形状に形成されることを防ぐことができる。これにより、バンプ電極55に内部応力が発生することを抑制することができ、内部応力が原因でバンプ電極55にクラックが生じることを抑制することができる。
【0063】
溶融状態のバンプ電極55をパッド開口部H11の側面H11cに接触させることなく、パッド電極34に平行な水平方向に広げることができる。これにより、バンプ電極55の高さを低くすることができる。バンプ電極55の高さを低くすることで、ロジックチップ50とパッド電極34との間の物理的距離を縮めることができる。
【0064】
上記の実施形態1と同様に、この変形例1においても、バンプ電極55とパッド電極34との接合性を向上させることが可能である。
【0065】
(2)変形例2
図7は、本開示の実施形態1に係る撮像装置1の変形例2を示す断面図である。図7に示すように、撮像装置1の変形例2では、パッド開口部H11の高さはゼロ(0)よりも大きい。変形例2のパッド開口部H11は、図3A図3Bに示した実施形態1の構成例と同様に、深さを有する。
【0066】
この変形例2では、上記の変形例1と同様に、初期状態のバンプ電極55の径R55(または、接合後のバンプ電極の径R55´)よりも、パッド電極34のCu膜342の径R342の方が大きい。また、Cu膜342の径R342よりも、パッド開口部H11(すなわち、パッド電極34の直上)の径RH11の方が大きい。これにより、パッド開口部H11の底面の一部が層間絶縁膜31で構成されている。パッド開口部H11の開口端の周縁部FRGは、X軸方向及びY軸方向に平行な水平方向において、Cu膜342の端部よりも外側(すなわち、Cu膜342の中心部から遠い側)に位置する。
【0067】
このような態様であれば、上記の実施形態1と比べて、パッド開口部H11の側面H11cとバンプ電極55との間のスペースSをさらに広げることができる。これにより、溶融状態のバンプ電極55をパッド開口部H11の側面H11cに接触させることなく、パッド電極34に平行な水平方向に広げることがさらに容易となる。
【0068】
上記の実施形態1と同様に、この変形例2においても、バンプ電極55とパッド電極34との接合性を向上させることが可能である。
【0069】
<実施形態2>
本開示の実施形態において、複数のパッド開口部H11の各々は、複数の開口部で構成されていてもよい。
(構成例)
図8Aは、本開示の実施形態2に係る撮像装置1Aの一部であって、センサ素子10のパッド電極34と、パッド電極34に接合される直前の(すなわち、初期状態の)ロジックチップ50のバンプ電極55と、その周辺部の構成例を示す断面図である。図8Bは、本開示の実施形態2に係る撮像装置1Aの一部であって、センサ素子10のパッド電極34と、パッド電極34に接合した後のロジックチップ50のバンプ電極55と、その周辺部の構成例を示す断面図である。図9は、本開示の実施形態2に係るパッド開口部H11Aの構成例を示す断面図である。
【0070】
図8Aから図9に示すように、実施形態2に係るパッド開口部H11Aは、開口端(図中では、上端)の周縁部FRGを含む第1開口部H111と、第1開口部H111に連通し、パッド電極34のCu膜342を底面とする第2開口部H112とを有する。第1開口部H111よりも第2開口部H112の方が径が小さい。第1開口部H111の径をRH111とし、第2開口部H112の径をRH112とすると、径RH111よりも径RH112の方が小さい。
【0071】
パッド開口部H11Aの開口端の周縁部FRGを外周縁部とすると、パッド開口部H11Aは、第2開口部H112の周縁に設けられた内周縁部FRG2を有する。内周縁部FRG2は、第1開口部H111の底面とパッド電極34の表面(すなわち、Cu膜342)との間であって、第2開口部H112の少なくとも一部に設けられている。実施形態2では、後述の図10に示すように、Z軸方向からの平面視で、第2開口部H112の周縁全てに内周縁部FRG2が設けられている。
【0072】
図10は、本開示の実施形態2に係るセンサ素子10Aのパッド開口部H11Aと、その周辺部の構成例を示す平面図である。図10は、第1開口部H111と第2開口部H112とが互いに異なる平面形状を有する場合を例示している。図10に示すように、パッド開口部H11Aのうち、第1開口部H111の平面形状は、例えば正方形である。この場合、この正円形の直径が、上記の径RH111に相当する。また、パッド開口部H11Aのうち、第2開口部H112の平面形状は、例えば正円形である。この場合、この正円形の直径が、上記の径RH112に相当する。
【0073】
正円形の第2開口部H112の底面がパッド電極34のCu膜342となっており、この底面のCu膜342にバンプ電極55(例えば図8A、8B参照)が接合される。
【0074】
第1開口部H111の底部のうち、第2開口部H112が設けられていない領域は、層間絶縁膜31で構成されている。この領域は、層間絶縁膜31の表面31aから凹んでいるため、凹み部311と呼称してもよい。凹み部311のうち、第2開口部H112側の端部が内周縁部FRG2である。実施形態2では、内周縁部FRG2を含む凹み部311が、第2開口部H111の周縁全てに設けられている。なお、図10をD-D´線で切断した断面が、図8A図8B図9に示すパッド開口部H11Aとその周辺部の断面に対応している。
【0075】
図8Aに示すように、バンプ電極55の接合直前(すなわち、初期状態)の径R55と、バンプ電極55の接合後の径R55´は、いずれも、第1開口部H111の開口端の径RH111よりも小さい。これにより、バンプ電極55の先端をパッド電極34の予め設定された位置(例えば、平面視でパッド電極34の中央部)に接触させたときに、バンプ電極55は、第1開口部H111の開口端の外周縁部FRGと、第1開口部H111の側面H111cとに接触しない。
【0076】
この状態でリフローを行い、バンプ電極55をパッド電極34に接合する。接合後においても、バンプ電極55は外周縁部FRGと側面H111cとから離れており、接触しない。バンプ電極55と外周縁部FRGとの間、及び、バンプ電極55と側面H111cとの間は、接合工程の初期だけでなく、接合後においても離間しており、スペースSが確保されている。
【0077】
(実施形態2の効果)
実施形態2に係る撮像装置1Aにおいて、バンプ電極55は、パッド開口部H11の少なくとも外周縁部FRGから離れた状態でパッド電極34に接合されている。これにより、撮像装置1Aは、実施形態1に係る撮像装置1と同様の効果を奏する。
【0078】
すなわち、溶融前のバンプ電極55(例えば、図8A参照)をパッド電極34上に配置する接合工程の初期において、バンプ電極55をパッド開口部H11Aの外周縁部FRGに接触させずに、バンプ電極55の先端をパッド電極34の表面に接触させることが可能である。センサ素子10Aの高背化が進展し、パッド開口部H11Aの深さが深くなる場合でも、バンプ電極55の先端をパッド電極34の表面に接触させることが容易となる。
【0079】
バンプ電極55の先端をパッド電極34の表面に接触させて溶融接合する際に、バンプ電極55は、パッド開口部H11Aの外周縁部FRGから離れている(すなわち、非接触である)。溶融状態のバンプ電極55は、外周縁部FRGと非接触を維持したまま冷却、固化されるため、バ外周縁部FRGに沿ってンプ電極55が歪な形状に形成されることを防ぐことができる。これにより、バンプ電極55の内部に応力(内部応力)が発生することを抑制することができ、内部応力が原因でバンプ電極55にクラックが生じることを抑制することができる。
【0080】
溶融状態のバンプ電極55を第1開口部H111の側面H111cに接触させることなく、パッド電極34に平行な水平方向に広げることが容易となる。これにより、バンプ電極55の高さを低くすることができる。バンプ電極55の高さを低くすることで、ロジックチップ50とパッド電極34との間の物理的距離を縮めることができる。
【0081】
溶融状態のバンプ電極55は少なくともパッド開口部H11の外周縁部FRGから離れている。より好ましくは、溶融状態のバンプ電極55は、外周縁部FRGだけでなく、第1開口部H111の側面H111cからも離れている。これにより、溶融状態のバンプ電極55は、外周縁部FRGや側面H111cと接触する場合と比べて、空気との接触界面が増えるので、表面張力を強くすることができる。これにより、バンプ電極55の高さをさらに低くすることができ、ロジックチップ50とパッド電極34との間の物理的距離をさらに縮めることができる。
【0082】
表面張力についての詳しい説明は、実施形態1と同様である。バンプ電極55と外周縁部FRGとが非接触となることで、水平方向に合金層(図示せず)の形成が進み、ロジックチップ50とパッド電極34との距離が縮まる。この距離が縮まった状態では、バンプ電極55が押し潰される方向に表面張力が作用し、バンプ電極55とパッド電極34との接合性が向上する。ロジックチップ50全体の現象として、ロジックチップ50とパッド電極34との距離が縮まると、バンプ電極55とパッド電極34との総接触面積が増え、バンプ電極55毎に表面張力が働くため、ロジックチップ50をセンサ素子10Aに接合し易くなる。
【0083】
実施形態1と同様に、ロジックチップ50に変形、歪みが生じた場合でも、この変形、歪みに対する追従性が向上するため、ロジックチップ50をセンサ素子10Aに接合し易くなる。
【0084】
以上から、バンプ電極55とパッド電極34との接合性を向上させることが可能である。
【0085】
また、撮像装置1Aでは、第2開口部H112によってパッド電極34の開口面(すなわち、バンプ電極55との接合面)が規定される。第1開口部H111のサイズ(例えば、径)や平面形状、配置間隔はバンプ電極55に制約されるが、第2開口部H112のサイズや平面形状、配置間隔はバンプ電極55による制約少なく、比較的自由に設定することができる。これにより、パッド電極34やバンプ電極55の設計の自由度を高めることができる。
【0086】
例えば、第1開口部H111やバンプ電極55のサイズや平面形状、配置位置を変更することなく、第2開口部H112のサイズや平面形状、配置間隔を変更することができる。これにより、パッド電極34のサイズや平面形状、配置間隔も変更することができる。例えば、第2開口部H112のサイズや平面形状、配置間隔を変更することで、パッド電極34の配置間隔や、配線間をシュリンクすることが容易となる。
【0087】
第2開口部H112の配置間隔を変更することで、第2開口部H112を通してパッド電極34に接合されるバンプ電極55の配置間隔をシュリンクできる場合がある。これにより、ロジックチップ50のチップサイズの縮小に寄与できる場合がある。
【0088】
このように、実施形態2に係る撮像装置1Aは、撮像装置1と同様にバンプ電極55とパッド電極34との接合性を向上させることができ、さらに、パッド電極34やバンプ電極55の設計の自由度を高めることができるなど、利点が多い。
【0089】
なお、内周縁部FRG2の厚さdは1μm以下であることが好ましい。これにより、バンプ電極55において、内周縁部FRG2との接触が原因で生じる内部応力を極力小さく抑えることができる。この点は、後述する実施形態2の変形例や、実施形態3においても同様である。
【0090】
図9に示すように、内周縁部FRG2の内側の側面FRG-2は、第2開口部H112の開口端から第2開口部H112の底面(すなわち、Cu膜342)に近づくにつれて第2開口部H112の径が小さくなるように、第2開口部H112の底面に対して傾斜又は湾曲していてもよい。図9は、湾曲している場合を例示している。これにより、内周縁部FRG2の内側の側面FRG-2を初期状態のバンプ電極55の形状に沿わせることができ、内周縁部FRG2との接触が原因で生じる内部応力をさらに小さくできる可能性がある。
【0091】
(実施形態2の変形例)
(1)変形例1から4
上記の実施形態2では、パッド開口部H11Aの一部である第1開口部H111の平面形状が正方形であり、パッド開口部H11Aの他の一部である第2開口部H112の平面形状が正円形であることを説明した。しかしながら、本開示の実施形態2において、第1開口部H111及び第2開口部H112の各平面形状はこれに限定されない。
【0092】
図11から図14は、本開示の実施形態2に係る撮像装置1Aの変形例1から4を示す平面図である。図11図13図14は、第1開口部H111と第2開口部H112とが互いに同一の平面形状を有する場合を例示している。図12は、第1開口部H111と第2開口部H112とが互いに異なる平面形状を有する場合を例示している。
【0093】
図11に示すように、第1開口部H111及び第2開口部H112の各平面形状が正円形であってもよい。図12に示すように、第1開口部H111の平面形状が正八角形であり、第2開口部H112の平面形状が正円形であってもよい。図13に示すように、第1開口部H111及び第2開口部H112の各平面形状が正方形であってもよい。図14に示すように、第1開口部H111及び第2開口部H112の各平面形状が正八角形であってもよい。
【0094】
図11から図14に示す変形例1から4のいずれの場合も、上記の実施形態2と同様に、バンプ電極55と外周縁部FRGは、接合工程の初期だけでなく、接合後においても、接触しない。バンプ電極55と外周縁部FRGとの間には、スペースSが確保される。これにより、上記の実施形態2と同様の効果を奏する。
【0095】
(2)変形例5
図15は、本開示の実施形態2に係る撮像装置1Aの変形例5を示す断面図である。図16は、本開示の実施形態2に係る撮像装置1Aの変形例5を示す平面図である。図16をE-E´線で切断した断面が、図15に示す断面に対している。
【0096】
図15及び図16に示すように、撮像装置1Aは、パッド開口部H11Aの周囲に設けられた配線63を備えてもよい。配線63は、例えば、アルミニウム(Al)等で構成された他のパッド電極(図示せず)に接続されている。
【0097】
配線63とパッド電極34との間、及び、配線63と配線33との間にはそれぞれ層間絶縁膜31の一部が介在している。これにより、配線63は、パッド電極34及び配線33からそれぞれ絶縁されている。
【0098】
配線63は、層間絶縁膜31の他の一部で覆われており、パッド開口部H11Aから離れている。これにより、配線63は、バンプ電極55から絶縁されている。
【0099】
このような態様であっても、バンプ電極55と外周縁部FRGは、接合工程の初期だけでなく、接合後においても、接触しない。バンプ電極55と外周縁部FRGとの間には、スペースSが確保される。これにより、上記の実施形態2と同様の効果を奏する。
【0100】
(3)変形例6
図17は、本開示の実施形態2に係る撮像装置1Aの変形例6を示す断面図である。図17に示すように、第1開口部H111の側面H111cは、第1開口部H111の開口端から第1開口部H111の底面(すなわち、凹み部311)に近づくにつれて第1開口部H111の径が小さくなるように、第1開口部H111の底面に対して傾斜又は湾曲していてもよい。この変形例6では、第1開口部H111の側面H111cは湾曲しているため、湾曲した凹み部311でもある。このため、凹み部311は、外周縁部FRGから内周縁部FRG2に近づくにつれて表面31aから深くなるように傾斜していると言い換えてもよい。
【0101】
このような態様であっても、バンプ電極55と外周縁部FRGは、接合工程の初期だけでなく、接合後においても、接触しない。バンプ電極55と外周縁部FRGとの間には、スペースSが確保される。これにより、上記の実施形態2と同様の効果を奏する。
【0102】
(4)変形例7、8
本開示の実施形態2において、凹み部311は凹凸を有してもよい。
図18は、本開示の実施形態2に係る撮像装置1Aの変形例7を示す断面図である。図19は、本開示の実施形態2に係る撮像装置1Aの変形例8を示す断面図である。図18に示すように、凹み部311における凹凸の頂点は、外周縁部FRGと内周縁部FRG2との間の中間に位置してもよい。図19に示すように、凹み部311における凹凸の頂点は、内周縁部FRG2に位置してもよい。
【0103】
図18に示す変形例7及び図19に示す変形例8のいずれの態様であっても、バンプ電極55と外周縁部FRGは、接合工程の初期だけでなく、接合後においても、接触しない。バンプ電極55と外周縁部FRGとの間には、スペースSが確保される。これにより、上記の実施形態2と同様の効果を奏する。
【0104】
<実施形態3>
上記の実施形態2では、Z軸方向からの平面視で第2開口部H112の周縁の全てに、凹み部311が設けられている態様を示した。しかしながら、本開示の実施形態はこれに限定されない。凹み部311は、第2開口部H112の周縁の一部にのみ設けられていてもよい。
【0105】
(構成例)
図20は、本開示の実施形態3に係る撮像装置1Bの一部であって、センサ素子10Bのパッド電極34と、パッド電極34に接合される直前の(すなわち、初期状態の)ロジックチップ50のバンプ電極55と、その周辺部の構成例を示す断面図である。図21は、本開示の実施形態3に係る撮像装置1Bの一部であって、センサ素子10Bのパッド開口部H11Aと、その周辺部の構成例を示す平面図である。なお、図21をF-F´線で切断した断面が、図20に示すパッド開口部H11Bとその周辺部の断面に対応している。
【0106】
図20及び図21に示すように、実施形態3に係るパッド開口部H11Bは、開口端(図中では、上端)の周縁部FRGを含む第1開口部H111と、第1開口部H111に連通し、パッド電極34のCu膜342を底面とする第2開口部H112とを有する。実施形態3では、実施形態2と同様に、第1開口部H111よりも第2開口部H112の方が径が小さい。また、センサ素子10Bの凹み部311は、第2開口部H112の周縁の一部にのみ設けられている。
【0107】
(実施形態3の効果)
図20及び図21に示す態様であっても、バンプ電極55と外周縁部FRGは、接合工程の初期だけでなく、接合後においても、接触しない。バンプ電極55と外周縁部FRGとの間には、スペースSが確保される。これにより、実施形態2と同様の効果を奏する。
【0108】
(実施形態3の変形例)
図22から図25は、本開示の実施形態3に係る撮像装置1Bの変形例1から4を示す平面図である。図22の変形例1は、第2開口部H112の平面形状が楕円であり、第1開口部H111の平面形状は楕円と、この楕円よりも径が大きい半楕円とを組み合わせた形状である場合を示している。図23の変形例2は、第2開口部H112の平面形状が楕円であり、第1開口部H111の平面形状は楕円と、この楕円よりも一方向(例えば、Y軸方向)の径が大きい多角形とを組み合わせた形状である場合を示している。図24の変形例3は、第2開口部H112の平面形状が正方形であり、第1開口部H111の平面形状は正方形と、この正方形よりも一方向(例えば、Y軸方向)の径が大きい長方形とを組み合わせた形状である場合を示している。図25の変形例4は、第2開口部H112の平面形状が八角形であり、第1開口部H111の平面形状は八角形と、この八角形よりも一方向(例えば、Y軸方向)の径が大きい多角形(例えば、八角形を平面視で半分に分割した形)とを組み合わせた形状である場合を示している。
【0109】
このように、実施形態3において、第2開口部H112の平面形状は、例えば正円形や楕円形、多角形など、任意の形状であってよい。また、第1開口部H111の平面形状についても任意である。第1開口部H111の平面形状は、例えば、第2開口部H112の平面形状と、正円形や楕円形、多角形などの任意の形状とを組み合わせた形状であってよい。
【0110】
このような場合であっても、バンプ電極55と外周縁部FRGは、接合工程の初期だけでなく、接合後においても、接触しない。バンプ電極55と外周縁部FRGとの間には、スペースSが確保される。これにより、実施形態2と同様の効果を奏する。
【0111】
<適用例>
(適用例1)
図26は、例えば、実施形態1において説明した撮像装置1の全体構成を表したものである。この撮像装置1は、CMOSイメージセンサであり、シリコン基板11上に、撮像エリアとしての画素部1aを有すると共に、この画素部1aの周辺領域に、例えば、行走査部131、水平選択部133、列走査部134及びシステム制御部132からなる周辺回路部130を有している。なお、適用例1では、撮像装置1として説明しているが、本構成は、実施形態2、3に係る撮像装置1A、1Bのいずれにも適用される。
【0112】
画素部1aは、例えば、行列状に2次元配置された複数の単位画素P(光電変換部12に相当)を有している。この単位画素Pには、例えば、画素行ごとに画素駆動線Lread(具体的には行選択線及びリセット制御線)が配線され、画素列ごとに垂直信号線Lsigが配線されている。画素駆動線Lreadは、画素からの信号読み出しのための駆動信号を伝送するものである。画素駆動線Lreadの一端は、行走査部131の各行に対応した出力端に接続されている。
【0113】
行走査部131は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素部1aの各単位画素Pを、例えば、行単位で駆動する画素駆動部である。行走査部131によって選択走査された画素行の各単位画素Pから出力される信号は、垂直信号線Lsigの各々を通して水平選択部133に供給される。水平選択部133は、垂直信号線Lsigごとに設けられたアンプや水平選択スイッチなどによって構成されている。
【0114】
列走査部134は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、水平選択部133の各水平選択スイッチを走査しつつ順番に駆動するものである。この列走査部134による選択走査により、垂直信号線Lsigの各々を通して伝送される各画素の信号が順番に水平信号線135に出力され、当該水平信号線135を通してシリコン基板11の外部へ伝送される。
【0115】
行走査部131、水平選択部133、列走査部134及び水平信号線135からなる回路部分は、シリコン基板11上に直に形成されていてもよいし、あるいは外部制御ICに配設されたものであってもよい。また、それらの回路部分は、ケーブルなどにより接続された他の基板に形成されていてもよい。
【0116】
システム制御部132は、シリコン基板11の外部から与えられるクロックや、動作モードを指令するデータなどを受け取り、また、撮像装置1の内部情報などのデータを出力するものである。システム制御部132はさらに、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータを有し、当該タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に行走査部131、水平選択部133及び列走査部134などの周辺回路の駆動制御を行う。
【0117】
(適用例2)
上述の撮像装置1は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラなどのカメラシステムや、撮像機能を有する携帯電話など、撮像機能を備えたあらゆるタイプの撮像装置に適用することができる。図27に、その一例として、電子機器5(カメラ)の概略構成を示す。この電子機器5は、例えば、静止画又は動画を撮影可能なビデオカメラであり、撮像装置1と、光学系(光学レンズ)210と、シャッタ装置211と、撮像装置1及びシャッタ装置211を駆動する駆動部213と、信号処理部212とを有する。
【0118】
光学系210は、被写体からの像光(入射光)を撮像装置1の画素部1aへ導くものである。この光学系210は、複数の光学レンズから構成されていてもよい。シャッタ装置211は、撮像装置1への光照射期間及び遮光期間を制御するものである。駆動部213は、撮像装置1の転送動作及びシャッタ装置211のシャッタ動作を制御するものである。信号処理部212は、撮像装置1から出力された信号に対し、各種の信号処理を行うものである。信号処理後の映像信号Doutは、メモリなどの記憶媒体に記憶されるか、あるいは、モニタなどに出力される。
【0119】
なお、適用例2では、撮像装置1として説明しているが、本構成は、実施形態2、3に係る撮像装置1A、1Bのいずれにも適用される。
【0120】
<移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボットなどのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0121】
図28は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0122】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図28に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0123】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータなどの車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置などの制御装置として機能する。
【0124】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプなどの各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプなどを制御する。
【0125】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字などの物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0126】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線などの非可視光であっても良い。
【0127】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0128】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告などを含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0129】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置などを制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転などを目的とした協調制御を行うことができる。
【0130】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替えるなどの防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0131】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図28の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部1206
2は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0132】
図29は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
図29では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0133】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部などの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線などの検出に用いられる。
【0134】
なお、図29には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112、12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102、12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0135】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0136】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)などを行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転などを目的とした協調制御を行うことができる。
【0137】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱などその他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運
転支援を行うことができる。
【0138】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコンなどを所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0139】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031等に適用され得る。具体的には、撮像装置1、1A、1Bは、撮像部12031に適用することができる。
【0140】
<その他の実施形態>
上記のように、本開示は実施形態及び変形例、適用例、応用例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本開示を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、互いに隣り合う一方のパッド開口部H11の平面形状と、他方のパッド開口部H11の平面形状は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。パッド開口部H11A、11Bについても同様である。
【0141】
本技術はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。上述した実施形態及び変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0142】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
画素領域と、前記画素領域の周辺に位置する周辺領域とを有する第1基板部と、
バンプ電極を有する半導体チップと、を備え、
前記第1基板部は、
第1半導体層と、
前記画素領域の前記第1半導体層に設けられた光電変換部と、
前記周辺領域の前記第1半導体層の一方の面側に設けられたパッド電極と、
前記第1半導体層の前記一方の面側に設けられた絶縁膜と、を有し、
前記絶縁膜には前記パッド電極の上方を開口するパッド開口部が設けられており、
前記バンプ電極は、前記パッド開口部の開口端の周縁部から離れた状態で前記パッド電極に接合されている、光検出装置。
(2)
前記バンプ電極は、前記パッド開口部の側面から離れた状態で前記パッド電極に接合されている、前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記開口端の径は、前記パッド電極の径と同じ、又は、前記パッド電極の径よりも小さい、前記(1)又は(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記開口端の前記周縁部は、前記パッド電極の表面と面一である、前記(1)又は(2)に記載の光検出装置。
(5)
前記開口端の径は、前記パッド電極の径よりも大きい、前記(1)又は(2)に記載の光検出装置。
(6)
前記パッド開口部は、
前記開口端を含む第1開口部と、
前記第1開口部の底部に連通し、前記パッド電極を底面とする第2開口部とを有し、
前記第1開口部よりも前記第2開口部の方が径が小さい、前記(1)、(3)、(5)のいずれか1項に記載の光検出装置。
(7)
前記バンプ電極は、前記第1開口部の側面から離れた状態で前記パッド電極に接合されている、前記(6)に記載の光検出装置。
(8)
前記パッド開口部は、
前記第1開口部の底部の一部であって、前記絶縁膜の表面から凹んでいる凹み部を有し、
前記凹み部は、前記第2開口部の周縁の少なくとも一部に設けられている、前記(6)又は(7)に記載の光検出装置。
(9)
前記開口端の前記周縁部を外周縁部とし、
前記凹み部の前記第2開口部側の端部を内周縁部とすると、
前記内周縁部の厚さは1μm以下である、前記(8)に記載の光検出装置。
(10)
前記開口端の前記周縁部を外周縁部とし、
前記凹み部の前記第2開口部側の端部を内周縁部とすると、
前記内周縁部の側面は、
前記第2開口部の開口端から前記第2開口部の底面に近づくにつれて前記第2開口部の径が小さくなるように、前記第2開口部の底面に対して傾斜又は湾曲している、前記(8)又は(9)に記載の光検出装置。
(11)
前記第1開口部の側面は、
前記第1開口部の底面に近づくにつれて前記第1開口部の径が小さくなるように、前記第1開口部の底面に対して傾斜又は湾曲している、前記(6)から(10)のいずれか1項に記載の光検出装置。
(12)
前記第1基板部の厚さ方向からの平面視で、
前記第1開口部と前記第2開口部は、互いに同一の形状を有する、前記(6)から(11)のいずれか1項に記載の光検出装置。
(13)
前記第1基板部の厚さ方向からの平面視で、
前記第1開口部と前記第2開口部は、互いに異なる形状を有する、前記(6)から(11)のいずれか1項に記載の光検出装置。
(14)
前記バンプ電極は、錫(Sn)と銀(Ag)の合金で構成された合金層を有し、
前記合金層が前記パッド電極に接合されている、前記(1)から(13)のいずれか1項に記載の光検出装置。
(15)
前記第1基板部は、
前記周辺領域の前記第1半導体層の一方の面側に設けられた配線、をさらに有し、
前記パッド電極は、
電極膜と、
前記電極膜と前記配線との間に設けられたバリアメタル膜と、を有する、前記(1)から(14)のいずれか1項に記載の光検出装置。
(16)
前記電極膜は、コバルト(Co)膜と、前記コバルト(Co)膜上に設けられた銅(Cu)膜とを含み、
前記バンプ電極は前記銅(Cu)膜に接合されている、前記(15)に記載の光検出装置。
【符号の説明】
【0143】
1、1A、1B 撮像装置
1a 画素部
5 電子機器
10、10A、10B センサ素子
11 シリコン基板
11B パッド開口部
11S1 裏面
11S2、31a 表面
12 光電変換部
13、13A1、13A2、13A3、13A4 貫通ビア
20 多層配線層
21、21A、21B、21C、21D、21E 絶縁層
22、22A、22B、22C、22D、33、63 配線
31 層間絶縁膜
32 遮光膜
34、36 パッド電極
35 画素分離部
37 インナーレンズ層
37L インナーレンズ
38 平坦化層
38A 絶縁膜
39 画素分離部
40 保護層
41 カラーフィルタ
42 オンチップレンズ層
42L オンチップレンズ
50 ロジックチップ
51 合金層
52 Ni層
55 バンプ電極
100A 画素領域
100B 周辺領域
130 周辺回路部
131 行走査部
132 システム制御部
133 水平選択部
134 列走査部
135 水平信号線
210 光学系
211 シャッタ装置
212 信号処理部
213 駆動部
311 凹み部
341 Co膜
342 Cu膜
1206 表示部
12000 車両制御システム
12001 通信ネットワーク
12010 駆動系制御ユニット
12020 ボディ系制御ユニット
12030 車外情報検出ユニット
12031 撮像部
12040 車内情報検出ユニット
12041 運転者状態検出部
12050 統合制御ユニット
12051 マイクロコンピュータ
12052 音声画像出力部
12061 オーディオスピーカ
12062 表示部
12063 インストルメントパネル
12100 車両
12101、12102、12103、12104、12105、12111、12112、12113、12114 撮像範囲
AMP 増幅トランジスタ
BM バリアメタル
Dout 映像信号
FRG 周縁部(外周縁部)
FRG2 内周縁部
FRG-2、H11c、H111c 側面
H11、H11A、H11B パッド開口部
H12 開口部
H111 第1開口部
H112 第2開口部
I 車載ネットワーク
IC 外部制御
Lread 画素駆動線
Lsig 垂直信号線
P 単位画素
PD フォトダイオード
RST リセットトランジスタ
S スペース
SEL 選択トランジスタ
TG 転送トランジスタ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29