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特開2024-16357表示パネル、表示装置、及び、表示パネルの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016357
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】表示パネル、表示装置、及び、表示パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/26 20060101AFI20240131BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240131BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240131BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20240131BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20240131BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20240131BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20240131BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240131BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
H05B33/26 Z
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/10
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
G09F9/30 365
G09F9/00 338
G09F9/30 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118412
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(71)【出願人】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.9-2,Tangming Rd,Guangming New District,Shenzhen,Guangdong,China 518132
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】林 海
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107CC36
3K107CC45
3K107DD21
3K107DD26
3K107DD37
3K107DD39
3K107DD58
3K107DD71
3K107DD74
3K107DD89
3K107EE03
3K107FF15
3K107GG06
3K107GG11
3K107GG14
5C094AA21
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094FB12
5G435AA16
5G435BB05
5G435CC09
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】開口率の低下を抑制しつつ、補助電極上に形成される貫通孔の加工品質を安定化させることができる表示パネルなどを提供する。
【解決手段】表示パネル10は、基板30と、薄膜トランジスタ層40と、絶縁膜50と、絶縁膜50の上方に配置される第一導電層51と、第一導電層51の上方に配置され、有機材料を含む発光層62と、発光層62の上方に配置される機能層と、機能層の上方に配置される第二導電層52とを備え、絶縁膜50は、上方に向かって突出する突起50Pを有し、第一導電層51は、各画素電極、及び各画素電極から電気的に絶縁された補助電極51Sを有し、補助電極51Sは、突起50Pの上方に配置され、各画素電極より上方に位置する突出領域51SPを有し、機能層には、突出領域の上方において貫通孔52Hが形成されており、第二導電層52は、貫通孔52Hを介して突出領域51SPに接続される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方に配置される薄膜トランジスタ層と、
前記薄膜トランジスタ層の上方に配置される絶縁膜と、
前記絶縁膜の上方に配置される第一導電層と、
前記第一導電層の上方に配置され、有機材料を含む発光層と、
前記発光層の上方に配置される機能層と、
前記機能層の上方に配置される第二導電層とを備え、
前記絶縁膜は、上方に向かって突出する突起を有し、
前記第一導電層は、画素電極、及び前記画素電極から電気的に絶縁された補助電極を有し、
前記補助電極は、前記突起の上方に配置され、前記画素電極より上方に位置する突出領域を有し、
前記機能層には、前記突出領域の上方において貫通孔が形成されており、
前記第二導電層は、前記貫通孔を介して前記突出領域に接続される
表示パネル。
【請求項2】
前記薄膜トランジスタ層は、
下部導電層と、
前記下部導電層の上方に配置される中間導電層と、
前記中間導電層の上方に配置される上部導電層とを有し、
前記突起の下方において、前記下部導電層と、前記中間導電層と、前記上部導電層とが重ねて配置される
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記絶縁膜の前記突起における膜厚は、前記突起以外の領域における膜厚より大きい
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記発光層は、塗布膜である
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記突出領域の上方における前記発光層の膜厚は、前記画素電極の上方における前記発光層の膜厚より小さい
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記表示パネルは、複数の画素を有し、
前記複数の画素の各々は、赤色副画素、緑色副画素、及び青色副画素を有し、
前記補助電極は、前記赤色副画素に配置される
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記表示パネルは、複数の画素を有し、
前記複数の画素の各々は、赤色副画素、緑色副画素、及び青色副画素を有し、
前記表示パネルは、さらに、
前記赤色副画素、前記緑色副画素、及び前記青色副画素を区画する列バンクと、
隣り合う二つの前記赤色副画素を区画する行バンクとを有し、
前記突出領域の上面は、前記行バンクの上面より上方に位置し、前記列バンクの上面より下方に位置する
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示パネルを備える
表示装置。
【請求項9】
表示パネルの製造方法であって、
基板を準備する工程と、
前記基板の上方に薄膜トランジスタ層を形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ層の上方に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の上方に、画素電極、及び前記画素電極から電気的に絶縁された補助電極を有する第一導電層を形成する工程と、
前記第一導電層の上方に有機材料を含む発光層を形成する工程と、
前記発光層の上方に機能層を形成する工程と、
前記機能層に貫通孔を形成する工程と、
前記機能層の上方に、前記貫通孔を介して前記補助電極に接続される第二導電層を形成する工程とを含み、
前記絶縁膜は、上方に向かって突出する突起を有し、
前記補助電極は、前記突起の上方に配置され、前記画素電極より上方に位置する突出領域を有し、
前記貫通孔は、前記突出領域の上方に形成される
表示パネルの製造方法。
【請求項10】
前記薄膜トランジスタ層を形成する工程は、
下部導電層を形成する工程と、
前記下部導電層の上方に中間導電層を形成する工程と、
前記中間導電層の上方に上部導電層を形成する工程とを含み、
前記突起の下方において、前記下部導電層と、前記中間導電層と、前記上部導電層とが重ねて配置される
請求項9に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項11】
前記絶縁膜の前記突起における膜厚は、前記突起以外の領域における膜厚より大きい
請求項9に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項12】
前記絶縁膜を形成する工程において、前記突起は、ハーフトーン露光によって形成される
請求項11に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項13】
前記発光層を形成する工程において、前記発光層を塗布によって形成する
請求項9~12のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項14】
前記表示パネルは、複数の画素を有し、
前記複数の画素の各々は、赤色副画素、緑色副画素、及び青色副画素を有し、
前記補助電極は、前記赤色副画素に配置される
請求項9~12のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項15】
前記貫通孔を形成する工程において、前記貫通孔をレーザアブレーションによって形成する
請求項9~12のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項16】
前記表示パネルは、複数の画素を有し、
前記複数の画素の各々は、赤色副画素、緑色副画素、及び青色副画素を有し、
前記表示パネルは、さらに、
前記赤色副画素、前記緑色副画素、及び前記青色副画素を区画する列バンクと、
隣り合う二つの前記赤色副画素を区画する行バンクとを有し、
前記突出領域の上面は、前記行バンクの上面より上方に位置し、前記列バンクの上面より下方に位置する
請求項9~12のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示パネル、表示装置、及び表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置に用いられる表示パネルとして、複数の画素がマトリクス状に配置された有機EL(Electro Luminescence)表示パネルが知られている(例えば、特許文献1、2など)。有機EL表示パネルにおいては、複数の画素の各々が、自発光型の発光素子である有機EL素子を有する。有機EL表示パネルにおいて、大型化、及び高精細化が求められている。有機EL表示パネルにおいて、表示部の外側に配置される給電端から表示部に配置される画素のカソード電極などへ電圧が印加される。大型高精細の有機EL表示パネルにおいては、例えば、給電端から遠い位置にある画素では、カソード電極における電圧降下が大きくなるため、正常な表示ができない場合がある。
【0003】
このような電圧降下を低減するために、特許文献1、2に記載された発明においては、給電端に接続される補助電極を設けることで給電端から画素までの抵抗を低減しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-103098号公報
【特許文献2】特開2020-9676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載された発明においては、補助電極は、画素電極(有機EL素子のアノード電極)と同一の層において画素と画素との間に配置され、給電端まで延在する。このため、特許文献1、2に記載された発明においては、このような補助電極を設けない場合と比較して、開口率(表示パネルの表示領域において自発光領域が占める面積の割合)が低下する。
【0006】
これに対して、補助電極を、画素を区画するバンク内の一部の領域に形成し、かつ、画素回路に含まれる薄膜トランジスタの電極と同一の層に形成された導電層を介して補助電極を給電端に接続することで、開口率の低下を抑制し得る。この場合、貫通孔を形成する位置に形成された有機材料層は、貫通孔形成時に、レーザアブレーションなどを用いて除去する必要がある。このため、有機材料層が形成されていない箇所に貫通孔を形成する場合と比較して、レーザアブレーションにおけるレーザ光の強度を高める必要がある。これに伴い、貫通孔の底に位置する補助電極へのダメージが大きくなる。また、貫通孔内に有機材料層などの残渣が残り得る。このため、貫通孔の加工品質を安定化させることが難しい。
【0007】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたものであり、開口率の低下を抑制しつつ、補助電極上に形成される貫通孔の加工品質を安定化させることができる表示パネルなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る表示パネルは、基板と、前記基板の上方に配置される薄膜トランジスタ層と、前記薄膜トランジスタ層の上方に配置される絶縁膜と、前記絶縁膜の上方に配置される第一導電層と、前記第一導電層の上方に配置され、有機材料を含む発光層と、前記発光層の上方に配置される機能層と、前記機能層の上方に配置される第二導電層とを備え、前記絶縁膜は、上方に向かって突出する突起を有し、前記第一導電層は、画素電極、及び前記画素電極から電気的に絶縁された補助電極を有し、前記補助電極は、前記突起の上方に配置され、前記画素電極より上方に位置する突出領域を有し、前記機能層には、前記突出領域の上方において貫通孔が形成されており、前記第二導電層は、前記貫通孔を介して前記突出領域に接続される。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る表示装置は、上記表示パネルを備える。
【0010】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る表示パネルの製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板の上方に薄膜トランジスタ層を形成する工程と、前記薄膜トランジスタ層の上方に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の上方に、画素電極、及び前記画素電極から電気的に絶縁された補助電極を有する第一導電層を形成する工程と、前記第一導電層の上方に有機材料を含む発光層を形成する工程と、前記発光層の上方に機能層を形成する工程と、前記機能層に貫通孔を形成する工程と、前記機能層の上方に、前記貫通孔を介して前記補助電極に接続される第二導電層を形成する工程とを含み、前記絶縁膜は、上方に向かって突出する突起を有し、前記補助電極は、前記突起の上方に配置され、前記画素電極より上方に位置する突出領域を有し、前記貫通孔は、前記突出領域の上方に形成される。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、開口率の低下を抑制しつつ、補助電極上に形成される貫通孔の加工品質を安定化させることができる表示パネルなどを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る表示装置の構成を示す模式的な平面図
図2】実施の形態1に係る表示パネルが有する赤色副画素の回路構成の一例を示す回路図
図3】実施の形態1に係る表示パネルの一部を示す模式的な平面図
図4】実施の形態1に係る表示パネルの一部を示す模式的な第一の断面図
図5】実施の形態1に係る表示パネルの一部を示す模式的な第二の断面図
図6】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第一工程を示す模式的な断面図
図7】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第二工程を示す模式的な断面図
図8】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第三工程を示す模式的な断面図
図9】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第四工程を示す模式的な断面図
図10】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第五工程を示す模式的な断面図
図11】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第六工程を示す模式的な第一の断面図
図12】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第六工程を示す模式的な第二の断面図
図13】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第七工程を示す模式的な第一の断面図
図14】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第七工程を示す模式的な第二の断面図
図15】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第八工程を示す模式的な第一の断面図
図16】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第八工程を示す模式的な第二の断面図
図17】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第九工程を示す模式的な第一の断面図
図18】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第九工程を示す模式的な第二の断面図
図19】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第十工程を示す模式的な断面図
図20】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第十一工程を示す模式的な断面図
図21】実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の第十二工程を示す模式的な断面図
図22】実施の形態2に係る表示パネルの一部を示す模式的な断面図
図23】実施の形態2に係る絶縁膜の形成工程を示す模式的な断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示における一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、並びに、工程の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示における最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0014】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺などは必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0015】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに接する状態で配置される場合にも適用される。
【0016】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る表示パネル、表示装置、及び、表示パネルの製造方法について説明する。
【0017】
[1-1.表示装置の構成]
本実施の形態に係る表示装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る表示装置1の構成を示す模式的な平面図である。図1及び以下に示す各図には、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は、右手系の直交座標系である。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向をそれぞれ、表示パネル10における行方向、列方向、及び厚さ方向とも称する。
【0018】
図1に示される表示装置1は、表示パネル10を備える。本実施の形態では、表示装置1は、表示パネル10に接続される駆動制御回路部20をさらに備える。駆動制御回路部20は、例えば、4つの駆動回路21~24と制御回路25とを有する。
【0019】
表示パネル10は、有機材料の電界発光現象を利用する有機EL表示パネルである。表示パネル10は、複数の画素11を有し、複数の画素11が表示パネル10の表示部を構成する。複数の画素11は、例えば、マトリクス状に配列されている。
【0020】
複数の画素11の各々は、複数の互いに異なる色を表示する副画素を有する。本実施の形態では、複数の画素11の各々は、赤色副画素11R、緑色副画素11G、及び青色副画素11Bを有する(後述する図3など参照)。なお、本実施の形態では、複数の画素11の各々は、3個の副画素を備えるが、複数の画素11の構成はこれに限定されない。例えば、複数の画素11の各々は、4個の副画素を備えてもよい。
【0021】
ここで、各副画素の回路構成例について、図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態に係る表示パネル10が有する赤色副画素11Rの回路構成の一例を示す回路図である。なお、ここでは、各副画素を代表して、赤色副画素11Rの回路構成について説明するが、緑色副画素11G、及び青色副画素11Bも同様の回路構成を有する。
【0022】
図2に示されるように、赤色副画素11Rは、二つのトランジスタTr1、Tr2と、一つのキャパシタCと、有機EL素子ELとを有する。
【0023】
トランジスタTr1、Tr2は、薄膜トランジスタであり、トランジスタTr1は、駆動トランジスタとして機能し、トランジスタTr2は、スイッチングトランジスタとして機能する。
【0024】
トランジスタTr1のドレインD1は、電源ラインVaに接続されており、ソースS1は、有機EL素子ELの画素電極(アノード)に接続されている。有機EL素子部ELにおける共通電極(カソード)は、接地ラインVcatに接続されている。
【0025】
トランジスタTr2のゲートG2は、走査ラインVscnに接続され、ソースS2は、データラインVdatに接続されている。トランジスタTr2のドレインD2は、トランジスタTr1のゲートG1に接続されている。
【0026】
キャパシタCの第1端は、トランジスタTr2のドレインD2及びトランジスタTr1のゲートG1と接続され、キャパシタCの第2端は、電源ラインVaと接続されている。
【0027】
各副画素のゲートG2からゲートラインが引き出され、走査ラインVscnに接続されている。走査ラインVscnは、例えば、駆動回路23及び駆動回路24の少なくとも一方に接続される。各副画素のソースS2からソースラインが引き出され、データラインVdatに接続されている。データラインVdatは、例えば、駆動回路21及び駆動回路22の少なくとも一方に接続されている。
【0028】
各副画素の電源ラインVa、及び、各副画素の接地ラインVcatは集約されて、それぞれ、表示装置1の電源ライン及び接地ラインに接続されている。
【0029】
続いて、本実施の形態に係る表示パネル10の詳細構成について、図3図5を用いて説明する。図3図4、及び図5は、それぞれ、本実施の形態に係る表示パネル10の一部を示す模式的な平面図、第一の断面図、及び第二の断面図である。図4、及び図5には、図3に示されるIV-IV線、及びV-V線における断面が示されている。
【0030】
図3に示されるように、表示パネル10は、マトリクス状に配列された複数の画素11を有する。複数の画素11の各々は、赤色副画素11R、緑色副画素11G、及び青色副画素11Bを有する。また、表示パネル10は、赤色副画素11R、緑色副画素11G、及び青色副画素11Bを区画する列バンク12Yと、隣り合う二つの赤色副画素11R、隣り合う二つの緑色副画素11G、及び隣り合う二つの青色副画素11Bをそれぞれ区画する行バンク12Xとを備える。
【0031】
表示パネル10は、第一導電層51を有する。第一導電層51は、画素電極51R、51R1、51G、51B、及び、各画素電極から電気的に絶縁された補助電極51Sを有する。第一導電層51の詳細構成については、後述する。
【0032】
各画素電極は、有機EL素子ELのアノードとして機能する電極であり、絶縁膜50(後述する図4、及び図5参照)に形成されたコンタクトホール51RH、51GH、又は51BHを介して、各副画素が有するトランジスタTr1のソースS1に接続される(図2参照)。
【0033】
補助電極51Sは、接地ラインVcatの電圧降下を抑制するための電極である。本実施の形態では、補助電極51Sは、赤色副画素11Rに配置される。補助電極51Sが配置される赤色副画素11Rの画素電極51R1は、他の副画素の各画素電極より面積が小さくなる。しかしながら、赤色副画素11Rが有する有機EL素子ELは、他の副画素が有する有機EL素子ELより寿命が長いため、他の副画素より早く劣化することを抑制できる。なお、補助電極51Sは、複数の赤色副画素11Rのうち、少なくとも一つの赤色副画素11Rに配置されればよく、すべての赤色副画素11Rに配置されなくてもよい。補助電極51Sは、コンタクトホール51SHを介して、他の導電層に接続されてもよい。
【0034】
続いて、図4、及び図5を用いて、表示パネル10の積層構造について説明する。図4、及び図5に示されるように、表示パネル10は、基板30と、薄膜トランジスタ層40と、絶縁膜50と、第一導電層51と、正孔輸送層61と、発光層62と、電子輸送層63と、第二導電層52とを備える。本実施の形態では、表示パネル10は、行バンク12X(図4参照)と、列バンク12Y(図5参照)と、封止層17と、対向基板18とをさらに備える。
【0035】
基板30は、表示パネル10の回路基板の基台となる絶縁性の板状部材である。本実施の形態では、基板30は、ガラス基板である。なお、基板30は、絶縁性の基板であれば特に限定されない。例えば、基板30として、フレキシブル基板などを用いてもよい。
【0036】
薄膜トランジスタ層40は、基板30の上方に配置される積層体であり、画素11に含まれるトランジスタTr1、Tr2、キャパシタCなどを有する。なお、図4、及び図5などの断面図においては、薄膜トランジスタ層40に含まれるトランジスタTr1,tr2などの層構成の図示を省略している。薄膜トランジスタ層40は、下部導電層41、下部導電層41の上方に配置される中間導電層45と、中間導電層45の上方に配置される上部導電層48と、半導体層43と、絶縁膜42、44、46、47、49とを有する。
【0037】
下部導電層41は、基板30の上方に配置される導電層である。下部導電層41は、例えば、トランジスタTr1、Tr2のシールド電極などとして用いられる。下部導電層41として、任意の導電膜を用いることができる。本実施の形態では、下部導電層41として、MoW膜を用いる。
【0038】
絶縁膜42は、下部導電層41の上方に配置される絶縁膜である。絶縁膜42は、下部導電層41を覆う。絶縁膜42として、例えば、SiN膜及びSiO膜を含む積層膜を用いることができる。
【0039】
半導体層43は、絶縁膜42の上方に配置される半導体層である。半導体層43は、トランジスタTr1、Tr2のチャネル領域を形成する半導体層として用いられる。本実施の形態では、半導体層43は、酸化物半導体を含む。半導体層43は、例えば、In、Ga、Zn、Sn、Ti、及びNbのうちの少なくとも1種の元素の酸化物を主成分として含む酸化物半導体から構成されている。半導体層43として、例えば、ITZO(酸化インジウムスズ亜鉛)、IGZO(InGaZnO)、ZnO、IZO(酸化インジウム亜鉛)、IGO(酸化インジウムガリウム)、ITO(酸化インジウムスズ)、InOなどを用いることができる。
【0040】
絶縁膜44は、半導体層43の上方に配置される絶縁膜である。絶縁膜44として、例えば、SiO膜を用いることができる。本実施の形態では、絶縁膜44は、中間導電層45と同一の形状にパターニングされている。
【0041】
中間導電層45は、下部導電層41の上方に配置される導電層である。本実施の形態では、中間導電層45は、絶縁膜44の上方に配置される。中間導電層45は、トランジスタTr1、Tr2のゲートを含む導電層である。中間導電層45として、例えば、任意の導電膜を用いることができる。本実施の形態では、中間導電層45として、Ti膜、Al膜、及びTi膜からなる積層膜を用いる。
【0042】
絶縁膜46は、中間導電層45の上方に配置される絶縁膜である。絶縁膜46として、例えば、SiO膜を用いることができる。絶縁膜46として、例えば、SiN膜、SiON膜、Al膜などの無機絶縁膜、感光性を有するポリイミド、アクリル樹脂などの有機絶縁膜、又は、これらの積層膜を用いてもよい。
【0043】
絶縁膜47は、絶縁膜46の上方に配置される絶縁膜である。絶縁膜47として、例えば、SiN膜、SiON膜、Al膜などの無機絶縁膜、又は、感光性を有するポリイミド、アクリル樹脂などの有機絶縁膜を用いることができる。なお、表示パネル10は、絶縁膜47を備えなくてもよい。
【0044】
上部導電層48は、中間導電層45の上方に配置される導電層である。本実施の形態では、上部導電層48は、絶縁膜47の上方に配置される。上部導電層48は、トランジスタTr1、Tr2のソース及びドレインを含む導電層である。上部導電層48として、例えば、任意の導電膜を用いることができる。上部導電層48として、中間導電層45と同じ構成の導電膜を用いてもよい。本実施の形態では、上部導電層48として、Ti膜、Al膜、及びTi膜からなる積層膜を用いる。
【0045】
絶縁膜49は、上部導電層48の上方に配置される絶縁膜である。絶縁膜49として、例えば、SiO膜を用いることができる。絶縁膜49には、絶縁膜49を貫通するコンタクトホール51RH、51SHが形成されている。絶縁膜49として、例えば、SiN膜、SiON膜、Al膜などの無機絶縁膜、感光性を有するポリイミド、アクリル樹脂などの有機絶縁膜、又は、これらの積層膜を用いてもよい。
【0046】
絶縁膜50は、薄膜トランジスタ層40の上方に配置される絶縁膜である。絶縁膜50は、上方に向かって突出する突起50Pを有する。突起50Pの下方において、下部導電層41と、中間導電層45と、上部導電層48とが重ねて配置される。本実施の形態では、突起50Pの下方において、絶縁膜42、44、46、47、49と、半導体層43とがさらに重ねて配置される。本実施の形態では、絶縁膜50は、有機材料を含む。絶縁膜50には、絶縁膜50を貫通するコンタクトホール51RH、51SHが形成されている。絶縁膜50として、例えば、ポリイミド樹脂,ノボラック樹脂,エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの感光性有機材料を用いることができる。
【0047】
第一導電層51は、絶縁膜50の上方に配置される導電層である。第一導電層51は、画素電極51R、51R1、51G、51B、及び、各画素電極から電気的に絶縁された補助電極51Sを有する(図3参照)。各画素電極は、有機EL素子ELのアノードとして機能する。画素電極51R、51R1は、コンタクトホール51RHを介して上部導電層48に接続される。同様に、画素電極51G、及び51Bは、それぞれ、コンタクトホール51GH、及び51BHを介して上部導電層48に接続される(図3参照)。補助電極51Sは、絶縁膜50の突起50Pの上方に配置され、各画素電極より上方に位置する突出領域51SPを有する。
【0048】
第一導電層51として、例えば、任意の導電膜を用いることができる。本実施の形態では、第一導電層51として、AlNd膜などが用いられる。第一導電層51として、例えばAl、Cr、Au、Pt、Ni、Cu、W、Agなどの金属元素の単体又は合金を含む導電膜を用いてもよい。また、第一導電層51は、これらの金属元素の単体又は合金を含む導電膜と、光透過性を有する透明導電膜との積層膜を含んでいてもよい。透明導電膜としては、例えばITO(酸化インジウム錫)、IZO(酸化インジウム亜鉛)、酸化亜鉛(ZnO)系材料等が挙げられる。酸化亜鉛系材料としては、例えば、Alを添加した酸化亜鉛(AZO)、Gaを添加した酸化亜鉛(GZO)などが挙げられる。
【0049】
第一導電層51は、正孔注入層を有してもよい。正孔注入層は、各画素電極から供給される正孔を正孔輸送層61及び発光層62へ注入する層である。正孔注入層として、例えば、Ag、Mo、V、W、Niなどの酸化物を含む層を用いることができる。
【0050】
行バンク12Xは、隣り合う二つの赤色副画素11R、隣り合う二つの緑色副画素11G、及び隣り合う二つの青色副画素11Bをそれぞれ区画する素子分離層である。行バンク12Xは、X軸方向に延在する。
【0051】
補助バンク12Sは、画素電極51R1と、補助電極51Sとの間に配置される素子分離層である。補助バンク12Sは、X軸方向に延在する。
【0052】
列バンク12Yは、赤色副画素11R、緑色副画素11G、及び青色副画素11Bを区画する素子分離層である。列バンク12Yは、Y軸方向に延在する。
【0053】
本実施の形態では、図4に示されるように、補助電極51Sの突出領域51SPの上面は、行バンク12Xの上面より上方に位置する。また、図5に示されるように、補助電極51Sの突出領域51SPの上面は、列バンク12Yの上面より下方に位置する。
【0054】
本実施の形態では、行バンク12X、補助バンク12S、及び列バンク12Yは、樹脂等の有機材料を用い形成されており、絶縁性を有する。各バンクとしては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等を用いることができる。各バンクは、有機溶剤耐性を有してもよい。
【0055】
各バンクとして、無機材料を用いてもよい。この場合、屈折率の観点から、例えば、酸化シリコン(SiO)を用いてもよい。各バンクとして、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの無機材料を用いてもよい。
【0056】
本実施の形態では、行バンク12X、及び補助バンク12Sの表面は、列バンク12Yより撥水性が低減されている。撥水性を低減するために、行バンク12Xに紫外線照射、低温でのベーク処理などを施してもよい。列バンク12Yの表面には、撥水性を高めるために、フッ素処理が施されてもよい。また、列バンク12Yとして、フッ素を含有する材料を用いてもよい。これにより、正孔輸送層61及び発光層62を印刷などによって形成する際に、塗布された材料が、列バンク12Yを超えて、隣の副画素に漏れることを抑制できる。
【0057】
正孔輸送層61は、第一導電層51の上方に配置され、有機材料を含む層である。正孔輸送層61は、各画素電極から注入される正孔を発光層62へ輸送する層である。本実施の形態では、正孔輸送層61は、印刷などによって形成される塗布膜である。図4に示されるように、補助電極51Sの突出領域51SPの上方における正孔輸送層61の膜厚は、画素電極51R、51R1の上方における正孔輸送層61の膜厚より小さい。なお、補助電極51Sの突出領域51SPの上方における正孔輸送層61の膜厚はゼロであってもよい。つまり、補助電極51Sの突出領域51SPの上方に正孔輸送層61が配置されなくてもよい。本実施の形態では、正孔輸送層61には、補助電極51Sの突出領域51SPの上方において、貫通孔52Hが形成されている。
【0058】
正孔輸送層61として、例えば、ポリフルオレンやその誘導体、若しくは、アミン系有機高分子であるポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物、又は、TFB(poly(9、9-di-n-octylfluorene-alt-(1、4-phenylene-((4-sec-butylphenyl)imino)-1、4-phenylene))などを用いることができる。
【0059】
発光層62は、第一導電層51の上方に配置され、有機材料を含む層である。本実施の形態では、発光層62は、正孔輸送層61の上方に配置される。発光層62は、有機EL素子ELの発光層として機能する。本実施の形態では、発光層62は、印刷などによって形成される塗布膜である。図4に示されるように、補助電極51Sの突出領域51SPの上方における発光層62の膜厚は、画素電極51R、51R1の上方における発光層62の膜厚より小さい。なお、補助電極51Sの突出領域51SPの上方における発光層62の膜厚はゼロであってもよい。つまり、補助電極51Sの突出領域51SPの上方に発光層62が配置されなくてもよい。本実施の形態では、発光層62には、補助電極51Sの突出領域51SPの上方において、貫通孔52Hが形成されている。
【0060】
発光層62は、正孔輸送層61から輸送される正孔と、電子輸送層63から輸送される電子とを再結合させることで光を出力する。発光層62として、例えば、湿式印刷法を用い製膜できる発光性の有機材料を用いることができる。具体的には、発光層62として、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8-ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2-ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質を用いることができる。
【0061】
電子輸送層63は、発光層62の上方に配置される機能層の一例である。本実施の形態では、電子輸送層63は、第二導電層52から供給される電子を発光層62へ輸送する層である。電子輸送層63は、各画素電極、及び補助電極51Sの上方に配置される。電子輸送層63には、補助電極51Sの突出領域51SPの上方において、貫通孔52Hが形成されている。本実施の形態では、貫通孔52Hは、電子輸送層63と、発光層62と、正孔輸送層61とを連続して貫通する孔である。電子輸送層63として、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料を用いることができる。また、電子輸送層63は、フッ化ナトリウムで形成された層を含んでもよい。
【0062】
第二導電層52は、電子輸送層63の上方に配置される導電層である。第二導電層52は、電子輸送層63(発光層62、及び正孔輸送層61)に形成された貫通孔52Hを介して補助電極51Sの突出領域51SPに接続される。本実施の形態では、第二導電層52は、電子輸送層63の上面全体に配置され、複数の有機EL素子ELのカソードとして機能する共通電極である。第二導電層52が補助電極51Sに接続されることで、有機EL素子ELのカソードとして機能する第二導電層52及び補助電極51S、並びに、補助電極51Sに接続される上部導電層48を含む導電層全体の電気抵抗を低減できる。したがって、有機EL素子ELのカソードとして機能する導電層全体における電圧降下を低減できる。これにより、表示パネル10が大型化される場合においても正常な表示を実現できる。
【0063】
第二導電層52として、例えば、透明導電膜を用いることができる。透明導電膜としては、例えばITO、IZO、酸化亜鉛系材料等が挙げられる。酸化亜鉛系材料としては、例えば、Alを添加した酸化亜鉛、Gaを添加した酸化亜鉛などが挙げられる。また、第二導電層52として、例えば、Ag、Ag合金などが用いられてもよい。
【0064】
封止層17は、第二導電層52の上方に配置される絶縁層である。封止層17は、有機EL素子ELを封止する機能を有する。封止層17として、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの透光性材料を用いることができる。また、封止層17は、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成された層と、当該層の上に配置される、アクリル樹脂、シリコン樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層とを有してもよい。
【0065】
対向基板18は、基板30に対向して配置される透光性部材であり、封止層17の上方に配置される。対向基板18は、封止層17などとともに、有機EL素子ELを封止する機能を有する。対向基板18として、例えば、有機EL素子ELで発生した光に対して透明なガラス、プラスチックなどの材料を含む。また、対向基板18は、光学フィルタを有してもよい。対向基板18は、光学フィルタとして、例えば、カラーフィルタ、円偏光フィルタ、反射防止フィルタなどを有してもよい。
【0066】
[1-2.表示パネルの製造方法]
表示パネル10の製造方法について、図4図21を用いて説明する。図6図21は、本実施の形態に係る表示パネル10の製造方法の各工程を示す模式的な断面図である。図6図9図11図13図19図21には、図4と同様の位置における表示パネル10の断面が示されている。図10図12図14には、図5と同様の位置における表示パネル10の断面が示されている。
【0067】
まず、図6に示されるように、絶縁性の基板30を準備し、基板30の上方に薄膜トランジスタ層40を形成する。
【0068】
薄膜トランジスタ層40を形成する工程は、下部導電層41を形成する工程と、下部導電層41の上方に中間導電層45を形成する工程と、中間導電層45の上方に上部導電層48を形成する工程とを含む。本実施の形態では、薄膜トランジスタ層40を形成する工程は、絶縁膜42を形成する工程と、半導体層43を形成する工程と、絶縁膜44を形成する工程と、絶縁膜46を形成する工程と、絶縁膜47を形成する工程と、絶縁膜49を形成する工程とをさらに含む。また、後に形成される絶縁膜50の突起50Pの下方において、下部導電層41と、中間導電層45と、上部導電層48とが重ねて配置される。
【0069】
薄膜トランジスタ層40を形成する工程において、まず、基板30の上方に、下部導電層41を形成する。本実施の形態では、スパッタ法を用いて、膜厚50nmのMoW膜を基板30上に成膜し、フォトリソグラフィ法、及び、CF系又はSF系のガスを用いたドライエッチングによりパターニングする。
【0070】
続いて、下部導電層41の上方に絶縁膜42を形成する。本実施の形態では、基板30上、及び下部導電層41上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、膜厚100nmのSiN膜、及び膜厚200nmのSiO膜をこの順に成膜する。
【0071】
続いて、絶縁膜42の上方に半導体層43を形成する。本実施の形態では、In、Ga、及びZnを含む膜厚30nmの酸化物半導体膜をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィ法により、所定の形状にパターニングする。この時、酸化物半導体膜のキャリア濃度調整などの目的で、適宜酸素を含む雰囲気などでアニール処理を行ってもよい。
【0072】
続いて、半導体層43の上方に絶縁膜44を形成する。本実施の形態では、絶縁膜42上、及び半導体層43上に、CVD法により、膜厚150nmのSiO膜を成膜する。
【0073】
続いて、絶縁膜44の上方に中間導電層45を形成する。本実施の形態では、絶縁膜44上に、スパッタ法により、導電膜として、膜厚50nmのTi膜、膜厚300nmのAl膜、及び、膜厚50nmのTi膜をこの順に成膜する。続いて、フォトリソグラフィ法、及びCl系のガスを用いたドライエッチングにより、中間導電層45を所定の形状にパターニングする。
【0074】
続いて、絶縁膜44をパターニングする。本実施の形態では、中間導電層45をマスクとして絶縁膜44をドライエッチングによってパターニングする。ドライエッチングにおいては、例えば、CF系ガスを用いることができる。これにより、絶縁膜44は、中間導電層45と同一の形状にパターニングされる。
【0075】
続いて、中間導電層45の上方に絶縁膜46を形成する。本実施の形態では、中間導電層45上、半導体層43上、及び絶縁膜42上に、CVD法により膜厚500nmのSiO膜を成膜する。
【0076】
続いて、絶縁膜46をパターニングする。本実施の形態では、フォトリソグラフィ法、及び、CF系のガスを用いたドライエッチングにより、パターニングを行う。
【0077】
続いて、絶縁膜46の上方に絶縁膜47を形成する。本実施の形態では、絶縁膜47として、ポリイミド樹脂,ノボラック樹脂,エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの感光性有機材料を塗布する。なお、絶縁膜47として、SiN膜、SiON膜、Al膜などの無機絶縁膜を形成してもよいし、絶縁膜47の形成は省略されてもよい。
【0078】
続いて、絶縁膜47の上方に、上部導電層48を形成する。本実施の形態では、絶縁膜47上に、スパッタ法により、導電膜として、膜厚50nmのTi膜、膜厚300nmのAl膜、及び、膜厚50nmのTi膜をこの順に成膜する。続いて、フォトリソグラフィ法、及びCl系のガスを用いたドライエッチングにより、上部導電層48を所定の形状にパターニングする。
【0079】
続いて、上部導電層48の上方に絶縁膜49を形成する。本実施の形態では、上部導電層48上、及び絶縁膜47上に、CVD法により膜厚500nmのSiO膜を成膜する。
【0080】
続いて、絶縁膜49をパターニングする。本実施の形態では、フォトリソグラフィ法、及び、CF系のガスを用いたドライエッチングにより、絶縁膜49にコンタクトホール51RH、51SH、51GH、51BH(コンタクトホール51GH、51BHについては図3を参照)を形成する。
【0081】
以上のように薄膜トランジスタ層40が形成される。
【0082】
続いて、図7に示されるように、薄膜トランジスタ層40の上方に絶縁膜50を形成する。本実施の形態では、絶縁膜49の上方に、ポリイミド樹脂,ノボラック樹脂,エポキシ樹脂、アクリル樹脂などのポジ型の感光性有機材料を塗布する。続いて、絶縁膜50をパターニングする。具体的には、露光、現像、及び焼成の工程により、絶縁膜50をパターニングする。これにより、コンタクトホール51RH、51SHが形成される。このように形成された絶縁膜50は、下部導電層41、中間導電層45、及び上部導電層48が重ねて配置される領域の上方において、上方に向かって突出する突起50Pを有する。
【0083】
続いて、図8に示されるように、絶縁膜50の上方に、各画素電極、及び各画素電極から電気的に絶縁された補助電極51Sを有する第一導電層51を形成する。なお、図8には、第一導電層51が有する画素電極51R,51R1、補助電極51Sだけが示されているが、本工程において、図3に示される画素電極51G、51Bも形成される。本実施の形態では、絶縁膜50上、及びコンタクトホール51RH、51SH、51GH、51BH(コンタクトホール51GH、51BHについては図3参照)の内部に、スパッタ法により、導電膜として、膜厚200nmのAlNd膜を成膜する。続いて、フォトリソグラフィ法、及びリン酸-酢酸-硝酸系のエッチャントを用いたエッチングにより、第一導電層51を所定の形状にパターニングすることで、各画素電極、及び補助電極51Sを形成する。このようにして形成された補助電極51Sは、絶縁膜50の突起50Pの上方に配置され、各画素電極より上方に位置する突出領域51SPを有する。
【0084】
続いて、図9に示されるように、第一導電層51の上方に、行バンク12X、及び補助バンク12Sを形成する。本実施の形態では、第一導電層51の上に、スピンコート法などを用い、行バンク12X、及び補助バンク12Sの構成材料(例えば、感光性樹脂材料)からなる樹脂膜を形成する。そして、当該樹脂膜をパターニングすることで行バンク12X、及び補助バンク12Sを形成する。行バンク12X、及び補助バンク12Sは、樹脂膜の上方にフォトマスクを利用し露光を行い、現像工程、焼成工程(約230℃、約60分)を行うことによってパターニングされる。
【0085】
続いて、図10に示されるように、第一導電層51の上方に、列バンク12Yを形成する。列バンク12Yの形成工程では、第一導電層51上、行バンク12X上、及び補助バンク12S上に、スピンコート法などを用い、列バンク12Yの構成材料(例えば、感光性樹脂材料)からなる樹脂膜を積層形成する。そして、当該樹脂膜をパターニングすることで列バンク12Yを形成する。列バンク12Yは、フォトマスクを利用し露光を行い、現像工程、焼成工程(約230℃、約60分)を行うことによってパターニングされる。なお、第一導電層51の上面にAg、Mo、V、W、Niなどの導電膜を形成しておき、行バンク12X、補助バンク12S、及び列バンク12Yの焼成工程を利用して、第一導電層51の上面の導電層を酸化することで、正孔注入層を形成してもよい。
【0086】
続いて、第一導電層51の上方に有機材料を含む正孔輸送層61を形成する。正孔輸送層61の形成工程について、図11図14を用いて説明する。まず、図11及び図12に示されるように、正孔輸送層61の構成材料を第一導電層51上に配置する。本実施の形態では、正孔輸送層61は、塗布によって形成される。より具体的には、正孔輸送層61は、インクジェット法、グラビア印刷法などの印刷によって形成される。これにより、図12に示されるように隣り合う二つの列バンク12Yの間に、正孔輸送層61の構成材料が塗布される。正孔輸送層61の構成材料の上面の高さは、Y軸方向においては、図11に示されるようにほぼ一様となり、X軸方向においては、図12に示されるように、中央部が凸状の形状になり得る。この際、行バンク12X、及び補助バンク12Sの撥水性が低いため、正孔輸送層61の構成材料が行バンク12X、及び補助バンク12Sを超え得る。一方、列バンク12Yは撥水性を有するため、図12に示されるように、列バンク12Yの上面より正孔輸送層61の構成材料の上面が上方に位置する場合にも、正孔輸送層61の構成材料が列バンク12Yを超えることを抑制できる。
【0087】
続いて、正孔輸送層61の構成材料を乾燥させる。これにより、図13、及び図14に示されるように、正孔輸送層61の体積が減少し、正孔輸送層61の上面が低下する。ここで、補助電極51Sの突出領域51SPの上面は、行バンク12X,及び補助バンク12S、並びに、各画素電極の上面より上方に位置する。このため、補助電極51Sの突出領域51SPの上方における正孔輸送層61の膜厚は、各画素電極の上方における正孔輸送層61の膜厚より小さくなる。なお、正孔輸送層61は、以上のような工程を、各々が正孔輸送層61の一部を構成する複数の層に対して繰り返し行うことで形成されてもよい。
【0088】
続いて、第一導電層51の上方に有機材料を含む発光層62を形成する。本実施の形態では、正孔輸送層61の上方に発光層62を形成する。発光層62の形成工程について、図15図18を用いて説明する。まず、図15及び図16に示されるように、発光層62の構成材料を正孔輸送層61上に配置する。本実施の形態では、発光層62は、正孔輸送層61と同様に、塗布によって形成される。より具体的には、発光層62は、インクジェット法、グラビア印刷法などの印刷によって形成される。これにより、図16に示されるように隣り合う二つの列バンク12Yの間に、発光層62の構成材料が塗布される。発光層62の構成材料の上面の高さは、Y軸方向においては、図15に示されるようにほぼ一様となり、X軸方向においては、図16に示されるように、中央部が凸状の形状になり得る。この際、行バンク12X、及び補助バンク12Sの撥水性が低いため、発光層62の構成材料が行バンク12X、及び補助バンク12Sを超え得る。一方、列バンク12Yは撥水性を有するため、図16に示されるように、列バンク12Yの上面より発光層62の構成材料の上面が上方に位置する場合にも、発光層62の構成材料が列バンク12Yを超えることを抑制できる。
【0089】
続いて、発光層62の構成材料を乾燥させる。これにより、図17、及び図18に示されるように、発光層62の体積が減少し、発光層62の上面が低下する。ここで、補助電極51Sの突出領域51SPの上面は、行バンク12X,及び補助バンク12S、並びに、各画素電極の上面より上方に位置する。このため、補助電極51Sの突出領域51SPの上方における発光層62の膜厚は、各画素電極の上方における発光層62の膜厚より小さくなる。なお、発光層62は、以上のような工程を、各々が発光層62の一部を構成する複数の層に対して繰り返し行うことで形成されてもよい。
【0090】
続いて、図19に示されるように、発光層62の上方に電子輸送層63を形成する。本実施の形態では、表示パネル10の発光エリア(表示領域)全面にわたって、真空蒸着法などにより電子輸送層63を形成する。真空蒸着法を用いることにより、有機膜である発光層62に与える損傷を低減できる。また、高真空化で行う真空蒸着法は、成膜対象の分子が基板30に向かって垂直方向に直進的に成膜される。電子輸送層63の第一層として、発光層62の上に、金属酸化物又はフッ化物を真空蒸着法などにより、例えば、1nm以上10nm以下の膜厚で成膜する。続いて、第一層上に、有機材料と金属材料との共蒸着法により、第二層を、例えば10nm以上、50nm以下の膜厚で成膜する。電子輸送層63は、全体として、20nm以上50nm以下の膜厚を有する。なお、電子輸送層63の膜厚は、一例であり、上記数値に限られない。
【0091】
続いて、図20に示されるように、電子輸送層63に貫通孔52Hを形成する。本実施の形態では、貫通孔52Hは、補助電極51Sの突出領域51SPの上方にレーザアブレーションによって形成される。具体的には、貫通孔52Hを形成する領域(つまり、補助電極51Sの突出領域51SPの上方の領域)に、レーザ光を照射することで電子輸送層63の一部を除去する。これにより、貫通孔52Hを形成することができる。本実施の形態では、発光層62及び正孔輸送層61の一部も除去される。なお、補助電極51Sの上面に正孔注入層が形成されている場合には、レーザアブレーションによって、正孔注入層を除去することで、正孔注入層に貫通孔52Hを形成してもよい。また、レーザアブレーションによって、正孔注入層を除去しなくてもよい。
【0092】
レーザアブレーションにおいて用いるレーザ光として、例えば、200nm以上380nm以下の波長を有するレーザ光を用いることができる。具体的には、YAGレーザの第3高調波(波長約355nm)、第4高調波(波長約266nm)などを用いることができる。
【0093】
なお、補助電極51Sは、レーザアブレーションの下地層となる。このため、補助電極51Sのレーザ光に対する光吸収率は、電子輸送層63、発光層62、及び正孔輸送層61の光吸収率より低くてもよい。これにより、補助電極51Sにおけるレーザアブレーションの際のレーザ光の吸収量を低減できるため、補助電極51Sの損傷を抑制できる。
【0094】
続いて、図21に示されるように、電子輸送層63の上方に、貫通孔52Hを介して補助電極51Sに接続される第二導電層52を形成する。本実施の形態では、第二導電層52の第一層として、真空蒸着法により銀膜などの金属層を形成する。続いて、第一層上に、スパッタリング法などを用いてITO、IZOなどの金属酸化物からなる透明導電層を形成する。これにより、貫通孔52Hを介して補助電極51Sに接続される第二導電層52を形成できる。
【0095】
続いて、図4、及び図5に示されるように、封止層17を形成し、対向基板18を配置する。封止層17は、第二導電層52を覆うように、CVD法、スパッタリング法などを用いて形成される。対向基板18は、例えば、透光性の接合材を用いて、封止層17に接合される。
【0096】
以上のような工程によって、表示パネル10を製造することができる。
【0097】
[1-3.効果]
以上のように、本実施の形態に係る表示パネル10では、絶縁膜50は、上方に向かって突出する突起50Pを有し、補助電極51Sは、突起50Pの上方に配置され、各画素電極より上方に位置する突出領域51SPを有する。また、第二導電層52は、貫通孔52Hを介して突出領域51SPに接続される。
【0098】
このように、貫通孔52Hが、突出領域51SPの上方に形成される。突出領域51SPは、各画素電極より上方に位置するため、突出領域51SP上に配置される発光層62の膜厚は、各画素電極の上方に配置される発光層62の膜厚より小さくなる。したがって、貫通孔52Hを形成する際に、除去する発光層62の膜厚を低減できる。これにより、例えば、レーザアブレーションによって貫通孔52Hを形成する場合、レーザアブレーションにおいて用いるレーザ光の強度を低減できる。したがって、補助電極51Sの損傷を抑制できる。また、除去する発光層62の量を低減できるため、貫通孔52H内に残る発光層62の残渣を低減できる。また、レーザアブレーションの際に飛散する発光層62の量も低減できるため、飛散した発光層62の表示パネル10への悪影響を低減できる。このように、貫通孔52Hを形成する際の悪影響を抑制できるため、貫通孔52Hの加工品質を安定化させることができる。また、本実施の形態では、貫通孔52Hを赤色副画素11Rなどの副画素内に配置できるため、表示パネル10の開口率の低下を抑制できる。
【0099】
また、本実施の形態では、下部導電層41と、中間導電層45と、上部導電層48とが重ねて配置されることで、絶縁膜50の突起50Pが形成される。このため、新たに層を追加したり、製造工程を追加したりすることなく、突起50Pを形成できる。
【0100】
また、本実施の形態では、発光層62は、印刷によって形成される塗布膜であるため、製造工程を簡素化することができる。
【0101】
また、本実施の形態では、補助電極51Sは、赤色副画素11Rに配置される。ここで、赤色副画素11Rにおける発光層62は、他の副画素の発光層62より寿命が長い。このため、赤色副画素11Rに補助電極51Sを設けることで、発光層62の面積が縮小されることに伴い、赤色副画素11Rの有機EL素子ELに供給される電流密度が上昇しても、他の副画素より先に劣化することを抑制できる。
【0102】
また、本実施の形態では、突出領域51SPの上面は、行バンク12Xの上面より上方に位置する。これにより、突出領域51SPの上方における発光層62の膜厚を、各画素電極の上方における発光層62の膜厚より確実に小さくすることができる。
【0103】
また、本実施の形態では、突出領域51SPの上面は、列バンク12Yの上面より下方に位置する。これにより、発光層62の構成材料を塗布する際に、隣り合う赤色副画素11R間における、発光層62の構成材料の流出入の阻害を抑制できる。
【0104】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る表示パネルについて説明する。本実施の形態に係る表示パネルは、主に、絶縁膜の突起の下方の構成、及び、突起の形成方法において、実施の形態1に係る表示パネル10と相違する。以下、本実施の形態に係る表示パネルについて、実施の形態1に係る表示パネル10との相違点を中心に説明する。
【0105】
[2-1.表示パネルの構成]
本実施の形態に係る表示パネルの構成について、図22を用いて説明する。図22は、本実施の形態に係る表示パネルの一部を示す模式的な断面図である。図22には、図4と同様の位置における表示パネルの断面が示されている。
【0106】
図22に示されるように、本実施の形態に係る表示パネルは、実施の形態1に係る表示パネル10と同様に、突起50Pを有する絶縁膜50を備えるが、絶縁膜50の下方の薄膜トランジスタ層40の構成において、実施の形態1に係る表示パネル10と相違する。本実施の形態に係る表示パネルにおいては、絶縁膜50の突起50Pにおける膜厚は、突起50P以外の領域における膜厚より大きい。つまり、本実施の形態では、薄膜トランジスタ層40に各導電層を重ねて配置することなく、絶縁膜50の膜厚を局所的に大きくすることで、突起50Pを形成している。
【0107】
このような構成を有する表示パネルにおいても、実施の形態1に係る表示パネルと同様の効果を得ることができる。
【0108】
[2-2.表示パネルの製造方法]
本実施の形態に係る表示パネルの製造方法について説明する。本実施の形態に係る表示パネルの製造方法は、絶縁膜50の突起50Pの下方における薄膜トランジスタ層40の各層のパターニングにおいて、実施の形態1に係る表示パネル10の製造方法と相違する。また、本実施の形態に係る表示パネルの製造方法は、絶縁膜50の突起50Pの形成方法において、実施の形態1に係る表示パネル10の製造方法と相違する。以下、本実施の形態に係る絶縁膜50の突起50Pの形成方法について、図23を用いて説明する。図23は、本実施の形態に係る絶縁膜50の形成方法を示す模式的な断面図である。図23には、図22と同様の位置における表示パネルの断面が示されている。
【0109】
本実施の形態に係る絶縁膜50の形成において、実施の形態1に係る絶縁膜50と同様に、絶縁膜49の上方に、ポリイミド樹脂,ノボラック樹脂,エポキシ樹脂、アクリル樹脂などのポジ型の感光性有機材料を塗布する。
【0110】
続いて、図23に示されるように、ハーフトーン露光によって、突起50P及びコンタクトホール51RH、51SHを形成する。つまり、本実施の形態において、絶縁膜50をパターニングするめの露光マスク190は、すべてのレーザ光(図23の直線矢印)を遮断する遮断部190aと、一部のレーザ光を透過し、他のレーザ光を遮断する半透過部190bと、すべてのレーザ光を透過する透過部190cとを有する。なお、遮断部190aのレーザ光の透過率は0%でなくてもよく、半透過部190bより透過率が低ければよい。また、透過部190cのレーザ光の透過率は100%でなくてもよく、半透過部190bより透過率が高ければよい。
【0111】
図23に示されるように、遮断部190aは、突起50Pに対応する領域に設けられる。また、透過部190cは、コンタクトホール51RH、51SHに対応する領域に設けられる。これにより、絶縁膜50の突起50Pに対応する領域は、露光によってほとんど除去されず、絶縁膜50のコンタクトホール51RH、51SHに対応する領域は、露光によって、除去される。また、絶縁膜50のそれら以外の領域は、一部が露光によって除去される。これにより、図22に示されるような突起50P及びコンタクトホール51RH、51SHを有する絶縁膜50を形成することができる。
【0112】
本実施の形態に係る表示装置の製造方法によれば、絶縁膜50のコンタクトホール51RH、51SHを形成するための露光工程において、ハーフトーン露光を用いるだけで、突起50Pを形成できる。したがって、製造工程を追加することなく、突起50Pを形成できる。
【0113】
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係る表示パネルなどについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示に係る表示パネルなどは、上記実施の形態に限定されるものではない。実施の形態に対して本開示の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本開示は、特に、有機EL素子、量子ドット発光素子(QLED:Quantum dot Light Emitting Diode)などの発光素子を用いる大型かつ高精細の表示パネルを備える表示装置などに有用である。
【符号の説明】
【0115】
1 表示装置
10 表示パネル
11 画素
11B 青色副画素
11G 緑色副画素
11R 赤色副画素
12S 補助バンク
12X 行バンク
12Y 列バンク
17 封止層
18 対向基板
20 駆動制御回路部
21、22、23、24 駆動回路
25 制御回路
30 基板
40 薄膜トランジスタ層
41 下部導電層
42、44、46、47、49、50 絶縁膜
43 半導体層
45 中間導電層
48 上部導電層
50P 突起
51 第一導電層
51B、51G、51R、51R1 画素電極
51BH、51GH、51RH、51SH コンタクトホール
51S 補助電極
51SP 突出領域
52 第二導電層
52H 貫通孔
61 正孔輸送層
62 発光層
63 電子輸送層
190 露光マスク
190a 遮断部
190b 半透過部
190c 透過部
C キャパシタ
D1、D2 ドレイン
G1、G2 ゲート
EL 有機EL素子
S1、S2 ソース
Tr1、Tr2 トランジスタ
Va 電源ライン
Vcat 接地ライン
Vdat データライン
Vscn 走査ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23