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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163572
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/10 20060101AFI20241115BHJP
   H01L 23/04 20060101ALI20241115BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
H01L25/10 Z
H01L23/04 Z
H05K1/18 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079313
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】ミネベアパワーデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】福井 昭一
(72)【発明者】
【氏名】沼田 敦
【テーマコード(参考)】
5E336
【Fターム(参考)】
5E336AA04
5E336AA16
5E336CC02
5E336CC22
5E336DD02
5E336EE03
5E336GG05
(57)【要約】
【課題】外形寸法を変えずに配線基板上の転倒の発生を抑制可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は半導体チップ2を収容するベース3を備える。ベース3は、半導体チップ2を搭載するペディスタル311が盛り上がるように一方側の第1面31aに形成された矩形板状のベース本体31と、ベース本体31の外周縁部から立ち上がり半導体チップ2の外周を取り囲む周壁32とを有する。周壁32は、配線基板101の実装面101aに対向配置される第1壁部321と、第1壁部に対向する第2壁部322と、第1壁部と第2壁部の一方側端部を繋ぐ第3壁部323と、第1壁部と第2壁部の他方側端部を繋ぐ第4壁部324とで構成される。ペディスタル311は、高さHの方向の中心位置Cpがベース3の高さHの方向の中心位置Cbと一致するよう配置される。第1壁部321は、その厚みが第2壁部322よりも厚くなるように構成される。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターンが形成された配線基板に実装される半導体装置であって、
半導体チップと、
前記半導体チップを収容するベースとを備え、
前記ベースは、
前記半導体チップを搭載するペディスタルが盛り上がるように一方側の第1面に対して形成された矩形板状のベース本体と、
前記ベース本体の外周縁部から立ち上がり前記半導体チップの外周を取り囲む周壁とを有し、
前記周壁は、
前記配線基板の実装面に対して対向するように配置される第1壁部と、
前記ペディスタルを挟んで前記第1壁部の反対側に位置する第2壁部と、
前記第1壁部の一方側端部と前記第2壁部の一方側端部とを繋ぐ第3壁部と、
前記第1壁部の他方側端部と前記第2壁部の他方側端部とを繋ぐ第4壁部とで構成され、
前記ペディスタルは、前記第1壁部と前記第2壁部の並び方向である前記ベースの高さ方向における前記ペディスタルの中心位置が前記高さ方向における前記ベースの中心位置と一致するように配置され、
前記第1壁部は、その厚みが前記第2壁部よりも厚くなるように構成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1壁部は、その厚みが前記第3壁部及び前記第4壁部よりも厚くなるように構成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線パターンが形成された配線基板に実装される半導体装置(半導体デバイス)に係り、更に詳しくは、配線基板に対して垂直方向に立てた状態(直立した状態)で配置される縦置きの半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実装基板の中には、小型化及び高密度化のために、基板表面上に電子部品が直立した状態で実装されるものがある。基板表面上に直立状態で搭載される縦置きの電子部品は、基板表面の専有面積が少なくて済む分、倒れやすいという問題がある。例えば、表面実装タイプの電子部品は、リフローはんだ付けによって配線基板に対して接合される。電子部品が基板表面上に半田ペーストを介して搭載された状態でリフロー炉内において加熱され、半田ペーストが加熱により溶融して電子部品が配線基板に接合される。基板上に半田ペーストを介して仮付状態で搭載された縦置きの電子部品は、リフロー炉内で搬送される際に生じる振動や慣性によって倒れる懸念がある。
【0003】
このような問題点に対して、例えば、特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1に記載の半導体装置は、実装基板の実装面に対して垂直に配置されて表面実装されるものであり、半導体ペレットを封止する樹脂封止体の細長い長方形の下面から下方に引き出された複数本のアウタリードを備えている。複数本のアウタリードの各々は、樹脂封止体の下面に対して直角かつ同一平面内に含まれるように屈曲されて半田付け実装部を形成している。樹脂封止体は、半田付け実装部を含む面に一致した接触面部を有している。さらに、樹脂封止体の接触面部には、アウタリードの半田付け実装部とは反対方向に突出した接触面積増加部が形成されている(特許文献1の図7参照)。
【0004】
特許文献1に記載の半導体装置においては、アウタリードの半田付け実装部がプリント配線基板の各ランドに整合されて当接されると、樹脂封止体の接触面部がプリント配線基板の対向面に当接する状態になる。加えて、樹脂封止体の接触面部は、接触面積増加部によってプリント配線基板に対する接触面積が増加する。これにより、垂直実装パッケージの傾きや倒れ等の事故をより一層確実に防止することを意図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-121015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の半導体装置においては、樹脂封止体にアウタリードの半田付け実装部とは反対方向に突出する接触面積増加部が設けられている。この構成の場合、当該半導体装置の外形寸法が基板表面上に対して接触面積増加部の分だけ大きくなってしまう。このことは、垂直実装(縦置き)の半導体装置の利点である実装基板の小型化及び高密度化を損なう虞がある。
【0007】
実装基板の小型化及び高密度化の観点からは、基板表面に対する半導体装置の専有面積の増加を回避するため、半導体装置の外形寸法を変更しないことが好ましい。一方で、基板表面上に直立状態で搭載される縦置きの半導体装置に対して転倒の発生を抑制することも求められている。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、外形寸法を変えることなく配線基板上での転倒の発生を抑制可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいる。その一例を挙げるならば、配線パターンが形成された配線基板に実装される半導体装置であって、半導体チップと、前記半導体チップを収容するベースとを備え、前記ベースは、前記半導体チップを搭載するペディスタルが盛り上がるように一方側の第1面に対して形成された矩形板状のベース本体と、前記ベース本体の外周縁部から立ち上がり前記半導体チップの外周を取り囲む周壁とを有し、前記周壁は、前記配線基板の実装面に対して対向するように配置される第1壁部と、前記ペディスタルを挟んで前記第1壁部の反対側に位置する第2壁部と、前記第1壁部の一方側端部と前記第2壁部の一方側端部とを繋ぐ第3壁部と、前記第1壁部の他方側端部と前記第2壁部の他方側端部とを繋ぐ第4壁部とで構成され、前記ペディスタルは、前記第1壁部と前記第2壁部の並び方向である前記ベースの高さ方向における前記ペディスタルの中心位置が前記高さ方向における前記ベースの中心位置と一致するように配置され、前記第1壁部は、その厚みが前記第2壁部よりも厚くなるように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一例によれば、ベースの高さ方向の中心位置にペディスタルを配置しつつ、ベースにおける配線基板側の第1壁部を第2壁部よりも厚くしたので、半導体チップの搭載位置をベースの高さ方向において引き上げることなく、周壁の厚みが全周に亘って同一であるベースに比べてベースの重心位置を引き下げることができる。したがって、ベースの外形寸法を変えることなく配線基板上での半導体装置の転倒の発生を抑制することが可能である。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置を備えた回路基板の一部を拡大した状態で示す図である。
図2図1に示す一実施形態に係る半導体装置を示す正面図である。
図3図2に示す一実施形態に係る半導体装置を矢視III-IIIから見た断面図である。
図4図3に示す一実施形態に係る半導体装置のベースを示す正面図である。
図5図4に示す一実施形態に係る半導体装置のベースを矢視V-Vから見た断面図である。
図6】一実施形態に係る半導体装置に対する比較例の半導体装置を示す正面図である。
図7図6に示す比較例の半導体装置のベースを示す正面図である。
図8図7に示す比較例の半導体装置のベースを矢視VIII-VIIIから見た断面図である。
図9図7及び図8に示す比較例の半導体装置のベースの一例における重心位置を示す説明図である。
図10図4及び図5に示す一実施形態に係る半導体装置のベースの一例における重心位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の半導体装置の実施形態について図面を用いて説明する。まず、本発明の一実施の形態に係る半導体装置を実装した回路基板の構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は一実施形態に係る半導体装置を備えた回路基板の一部を拡大した状態で示す図である。図2図1に示す一実施形態に係る半導体装置を示す正面図である。
【0013】
図1において、回路基板100は、配線パターン(図示せず)が形成された配線基板101上に半導体装置1を含む複数の電子部品(図示せず)が実装されたものである。配線基板101は、半導体装置1が実装される実装面としての第1面101aと、第1面101aの裏面である第2面101bとを有している。配線基板101は、半導体装置1が実装される第1面101aのみに他の電子部品も実装される片面基板又は第1面101a以外に第2面101bにも他の電子部品が実装される両面基板として構成することが可能である。
【0014】
半導体装置1は、配線基板101の配線パターン(パッド)に対して、はんだ102を介して電気的に接続されている。本実施の形態に係る半導体装置1は、図1及び図2示すように、配線基板101に直立した状態で実装されるように構成されたものであり、配線基板101の第1面101a(実装面)上に載置される領域の寸法(幅W及び奥行D)に対する高さHの比が相対的に大きい部品である。
【0015】
半導体装置1を含む複数の電子部品は、例えば、リフローはんだ付けによって配線基板101に実装される。具体的には、ペースト状の半田が塗布又は印刷された配線基板101の第1面101a上に半導体装置1を含む複数の電子部品が搭載される。半導体装置1を含む複数の電子部品は、配線基板101に半田ペーストを介して仮付け状態となっている。半導体装置1を含む複数の電子部品が搭載された配線基板101は、リフロー炉内で搬送されつつ加熱される。これより、半田ペーストが溶融して半導体装置1を含む複数の電子部品が配線基板に接合される。
【0016】
半導体装置1は、配線基板101上に直立状態で搭載される縦置きの部品であり、リフローはんだ付けの際に配線基板101上に半田ペーストを介して仮付け状態で搭載されるものである。このため、直立状態の半導体装置1は、リフロー炉内で搬送される際に生じる振動や慣性力によって転倒する懸念がある。そこで、本実施の形態に係る半導体装置1は、後述の比較例と比べて重心位置を引き下げる構造を備えたものである。
【0017】
次に、一実施の形態に係る半導体装置の構成及び構造を図1図3を用いて説明する。図3図2に示す一実施形態に係る半導体装置を矢視III-IIIから見た断面図である。
【0018】
図3において、半導体装置1は、半導体チップ2と、半導体チップ2を収容するベース3と、半導体チップ2を配線基板101の配線パターンに電気的に接続するためのリード4とを備えている。半導体装置1は、図1及び図2に示すように、略直方体状の部品であり、リード4の一部が配線基板101への接続のために突き出ている。
【0019】
図3に示す半導体チップ2は、例えば、矩形板状のダイオードチップである。半導体チップ2は、一方面(図3中、左面)が接合材5を介してベース3に接合されていると共に、他方面(図3中、右面)が接合材5を介してリード4の一方側部分41に接合されている。
【0020】
ベース3は、図2及び図3に示すように、半導体チップ2を収容可能な凹部3aが形成された略直方体状の金属製部材である。ベース3は、半導体チップ2を配線基板101の配線パターンに電気的に接続する機能を有していると共に、半導体チップ2で発生した熱を逃がす放熱機能を有している。ベース3の外表面には導電性及び熱伝導性に優れた材料によるメッキが施されており、ベース3の外表面が金属性皮膜6で覆われている。ベース3の構造の詳細は後述する。
【0021】
ベース3の凹部3aには、半導体チップ2がベース3及びリード4に接合された状態において、電気的絶縁性を有する樹脂封止部7が充填されている。樹脂封止部7は、半導体チップ2及びリード4の一方側部分を封止するものである。
【0022】
リード4は、一方側部分41が半導体チップ2に接合されると共に、他方側部分42が配線基板101の配線パターンに接合される。リード4の一方側は、樹脂封止部7によってベース3の凹部3a内に封止されている。リード4の他方側は、ベース3の凹部3a内の樹脂封止部7から突き出て外部へ露出している。
【0023】
次に、一実施の形態に係る半導体装置のベースの構造を図3図5を用いて説明する。図4図3に示す一実施形態に係る半導体装置のベースを示す正面図である。図5図4に示す一実施形態に係る半導体装置のベースを矢視V-Vから見た断面図である。
【0024】
半導体装置1のベース3は、図4及び図5に示すように、一方側に第1面31aを有すると共に第1面31aの反対側である他方側に第2面31bを有する略矩形の板状のベース本体31と、ベース本体31における第1面31aの外周縁部から立ち上がり当該外周縁部の全周に亘って延在する周壁32とを有している。ベース本体31は、ベース3の凹部3aの底部を構成するものである。周壁32は、ベース3の凹部3aの側壁を構成するものであり、半導体チップ2の外周を取り囲んでいる。
【0025】
ベース本体31は、図3及び図4に示すように、半導体チップ2を搭載するペディスタル311が第1面31aに対して盛り上がるように矩形状に形成されている。ペディスタル311は、例えば、ベース3の高さHの方向及び幅Wの方向(図2参照)におけるペディスタル311の中心位置Cpがベース3の高さHの方向及び幅Wの方向(図2参照)におけるベース3の中心位置Cbと一致するように配置されている。ペディスタル311は、矩形状の周壁32に対して隙間が生じるように形成されている。これは、半導体チップ2のペディスタル311への搭載の容易性を確保するための構造である。
【0026】
周壁32は、配線基板101の第1面101a(実装面)に対して対向するように配置される第1壁部321と、ベース本体31のペディスタル311を挟んで第1壁部321の反対側に位置する第2壁部322と、第1壁部321の一方側端部(図4中、右側端部)と第2壁部322の一方側端部(図4中、右側端部)とを繋ぐ第3壁部323と、第1壁部321の他方側端部(図4中、左側端部)と第2壁部322の他方側端部(図4中、左側端部)とを繋ぐ第4壁部324とで構成されている。第1壁部321は、その厚みt1が第2壁部322の厚みt2よりも厚くなるように構成されている。さらに、第1壁部321は、その厚みt1が第3壁部323の厚みt3及び第4壁部324の厚みt4よりも厚くなるように構成されている。また、第2壁部322、第3壁部323、第4壁部324は、例えば、それらの厚みt2、厚みt3、厚みt4が互いに同じ厚みになるように構成されている。
【0027】
このように、本実施の形態においては、周壁32を構成する4つの壁部321、322、323、324のうちの配線基板101の第1面101a(実装面)に対向する第1壁部321が配線基板101から離れた位置にある第2壁部322よりも厚くなるように構成されている。この構成により、第1壁部321が厚くなる分、ベース3の重心位置が下がる。
【0028】
また、本実施の形態においては、ベース本体31のペディスタル311がベース3の高さ方向及び幅方向における中心部に配置される。この構成により、ベース3の第1壁部321を厚くしても、半導体チップ2の搭載位置の高さHの方向への引き上げを回避することができる。したがって、の第1壁部321の厚みによるベース3の重心位置の下げ効果が相殺されることがない。
【0029】
次に、一実施の形態に係る半導体装置の作用及び効果を比較例の半導体装置と比較して説明する。先ず、比較例の半導体装置の構造について図6図8を用いて説明する。図6は一実施形態に係る半導体装置に対する比較例の半導体装置を示す正面図である。図7図6に示す比較例の半導体装置のベースを示す正面図である。図8図7に示す比較例の半導体装置のベースを矢視VIII-VIIIから見た断面図である。なお、図6図8において、図1図5に示す符号と同符号のものは、同様な部分であり、説明は省略する。
【0030】
図6において、比較例の半導体装置201は、図2に示す本実施の形態に係る半導体装置1と同様に、半導体チップ(図示せず)を保持するベース203と、半導体チップを配線基板101(図1参照)に電気的に接続するリード4とを備えている。比較例の半導体装置201は、図2に示す本実施の形態に係る半導体装置1と同様に、配線基板101に直立状態で搭載されるように構成されたものであり、配線基板101の実装面上に載置される領域の寸法(幅W及び奥行D)に対する高さHの比が相対的に大きい部品である。
【0031】
比較例の半導体装置201のベース203は、図7及び図8に示すように、半導体チップを収容可能な凹部203aが形成された略直方体状の金属製部材であり、その外形寸法(高さH、幅W、奥行D)が本実施の形態に係る半導体装置1のベース3の外形寸法と同じものである。ベース203は、本実施の形態と同様な構造のベース本体31と、本実施の形態に係るベース3の周壁32とは異なる構造の周壁232とを有している。ペディスタル311は、本実施の形態と同様な構造のものであり、ベース203の高さHの方向及び幅Wの方向におけるペディスタル311の中心位置Cpがベース203の高さHの方向及び幅Wの方向におけるベース203の中心位置Cbと一致するように配置されている。
【0032】
周壁232は、全周に亘って厚みが略均一となるように形成されており、配線基板101側に配置される第1壁部2321が第2壁部322、第3壁部323、第4壁部324と同じ厚みになるにように構成されている。すなわち、周壁232の第1壁部2321の厚みt1cは、第2壁部322の厚みt2、第3壁部323の厚みt3、第4壁部324の厚みt4と同じとなるように設定されている。
【0033】
次に、一実施の形態に係る半導体装置の効果を図9及び図10を用いて説明する。図9図7及び図8に示す比較例の半導体装置のベースの一例における重心位置を示す説明図である。図10図4及び図5に示す一実施形態に係る半導体装置のベースの一例における重心位置を示す説明図である。
【0034】
比較例の半導体装置201のベース203及び本実施の形態に係る半導体装置1のベース3は、一例として、図9及び図10に示すように、幅Wが9mm、高さHが9mm、奥行Dが3.3mmの同一の外形寸法を有するものとする。また、比較例のベース203及び本実施の形態に係るベース3におけるベース本体31は、ペディスタル311を除いた厚みが0.9mmの同一寸法を有するものとする。さらに、比較例及び本実施の形態に係るベース本体31におけるペディスタル311は、1辺が5mmの正方形かつ厚みが0.5mmの同一寸法を有するものとする。ペディスタル311の中心位置とベース3、203の外形寸法の中心位置とが一致するものとする。
【0035】
ここで、幅Wの方向をX軸、高さHの方向をZ軸、奥行Dの方向をY軸とする。原点Oは、X軸が周壁232、32の第4壁部324の外面の位置、Z軸が周壁232、32の第1壁部2321、321の外面(配線基板101の実装面に対向する対向面)の位置、Y軸がベース本体31の第2面31bの位置とする。
【0036】
この条件下において、比較例の半導体装置201のベース203の重心位置と本実施の形態に係る半導体装置1のベース3の重心位置とを比較する。
【0037】
比較例の半導体装置201のベース203においては、矩形状の周壁232の厚みが全周に亘って略均一である。周壁232の厚みの一例として、図9に示すように、0.5mmとする。すなわち、周壁232の第1壁部2321の厚みt1c、第2壁部322の厚みt2、第3壁部323の厚みt3、第4壁部324の厚みt4は、全て0.5mmである。比較例のベース203が上述したような寸法を有する場合、当該ベース203の重心位置は、X軸が4.5(mm)、Z軸が4.5(mm)、Y軸が1.1(mm)となる。
【0038】
一方、本実施の形態に係るベース3においては、矩形状の周壁32を構成する4つの壁部321、322、323、324のうち、第1壁部321がその他の壁部322、323、324よりも厚くなるように構成されている。第1壁部321の厚みt1の一例として、図10に示すように、1.5mmとする。また、周壁32の第2壁部322の厚みt2、第3壁部323の厚みt3、第4壁部324の厚みt4は、一例として、比較例のベース203の周壁32の厚みと同一寸法の0.5mmとする。本実施の形態に係るベース3が上述したような寸法を有する場合、当該ベース3の重心位置は、X軸が4.5(mm)、Z軸が4.05(mm)、Y軸が1.23(mm)となる。
【0039】
本実施の形態に係るベース3の重心位置は、比較例のベース203の重心位置と比べると、高さHの方向を示すZ軸が4.5(mm)から4.05(mm)へと下がっている。また、本実施の形態に係るベース3の重心位置は、比較例のベース203の重心位置と比べると、奥行Dの方向を示すY軸が1.1(mm)から1.23(mm)へと奥行Dの方向における中心位置に接近する方向に移動することが明らかとなった。
【0040】
このように、本実施の形態に係るベース3は、配線基板101の実装面101aに配置される第1壁部321の厚みt1を対向する位置にある第2壁部322よりも厚くすることで、比較例のベース203よりも重心位置が配線基板101の実装面101aに接近する方向に移動すると共に、奥行Dの方向における中心位置に接近する方向に移動する。したがって、本実施の形態に係る半導体装置1は、配線基板101の第1面101aに直立状態で搭載されたときの転倒の発生が抑制される。
【0041】
上述した第1の実施の形態に係る半導体装置1は、配線パターンが形成された配線基板101に実装されるものであり、半導体チップ2と、半導体チップ2を収容するベース3とを備えている。ベース3は、半導体チップ2を搭載するペディスタル311が盛り上がるように一方側の第1面31aに対して形成された矩形板状のベース本体31と、ベース本体31の外周縁部から立ち上がり半導体チップ2の外周を取り囲む周壁32とを有している。周壁32は、配線基板101の第1面101a(実装面)に対して対向するように配置される第1壁部321と、ペディスタル311を挟んで第1壁部321の反対側に位置する第2壁部322と、第1壁部321の一方側端部と第2壁部322の一方側端部とを繋ぐ第3壁部323と、第1壁部321の他方側端部と第2壁部322の他方側端部とを繋ぐ第4壁部324とで構成されている。ペディスタル311は、第1壁部2321と第2壁部322の並び方向であるベース3の高さHの方向におけるペディスタル311の中心位置Cpが高さHの方向におけるベース3の中心位置Cbと一致するように配置される。第1壁部321は、その厚みt1が第2壁部322よりも厚くなるように構成されている。
【0042】
この構成によれば、ベース3の高さHの方向の中心位置Cbにペディスタル311を配置しつつ、ベース3における配線基板101側の第1壁部321を第2壁部322よりも厚くしたので、半導体チップ2の搭載位置をベース3の高さHの方向において引き上げることなく、周壁32の厚みt1c、t2、t3、t4が全周に亘って同一であるベース203に比べてベース3の重心位置を引き下げることができる。したがって、ベース3の外形寸法を変えることなく配線基板101上での半導体装置1の転倒の発生を抑制することが可能である。
【0043】
また、本実施の形態に係る半導体装置1において、周壁32の第1壁部321は、その厚みt1が第3壁部323及び第4壁部324よりも厚くなるように構成されている。
【0044】
この構成によれば、ベース3の重心位置を下げる要因となるので、外形寸法を変えずに配線基板101上での半導体装置1の転倒の発生を更に抑制することが可能となる。
【0045】
また、本実施の形態に係る半導体装置1においては、ベース本体31のペディスタル311が周壁32の第1壁部321と第2壁部322と第3壁部323と第4壁部324の全てに対して隙間が生じる位置に形成されている。
【0046】
この構成によれば、ペディスタル311を取り囲む第1壁部321の厚みt1を厚くしても、第1壁部321が半導体チップ2のペディスタル311への搭載の妨げとなることを回避することができる。
【0047】
なお、本説明における矩形のベース本体31は、完全な矩形として形成されるもの以外に、角部が丸められた矩形形状を含むものとする。
【0048】
[その他の実施の形態]
なお、上述した一実施の形態においては、半導体装置1をダイオードに適用した例を示した。しかし、本発明は、半導体チップ2をベース3の凹部3aに収容する半導体装置に広く適用することが可能である。
【0049】
また、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上述した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。一実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0050】
例えば、上述した一実施の形態においては、周壁32の第1壁部321が第3壁部323及び第4壁部324よりも厚くなるように構成した例を示した。しかし、周壁32の第1壁部321は、第2壁部322よりも厚ければ、第3壁部323及び第4壁部324と同じ厚みである構成も可能である。
【0051】
また、上述した一実施の形態においては、ベース本体31のペディスタル311が矩形状に形成された例を示した。しかし、ペディスタル311は、円形などの半導体チップ2を搭載可能な形状とすることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…半導体装置、 2…半導体チップ、 3…ベース、 31…ベース本体、 311…ペディスタル、 32…周壁、 321…第1壁部、 322…第2壁部、 323…第3壁部、 324…第4壁部、 101…配線基板、 t1…第1壁部の厚み、 t2…第2壁部の厚み、 t3…第3壁部の厚み、 t4…第4壁部の厚み
図1
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