(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163574
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】液体吐出装置の調整方法、プログラム、液体吐出システム、検出方法、及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079316
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】日置 渉
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB38
2C056EC07
2C056EC38
(57)【要約】
【課題】液体吐出装置の動作に対する調整を適切に行う。
【解決手段】インクジェット方式で液体を吐出するインクジェットヘッド202を用いる液体吐出装置である印刷装置12作に対する調整を行う調整方法であって、インクジェットヘッド202が吐出する液体であるインクが所定の位置を通過するタイミングである通過タイミングを検知する段階であり、インクジェットヘッド202がインクを吐出する吐出方向における所定の位置に対する通過タイミングを検知する検知段階と、インクジェットヘッド202がインクを吐出する動作に関する調整を行う段階であり、検知段階で検知する通過タイミングに基づいて当該調整を行う調整段階とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式で液体を吐出するインクジェットヘッドを用いる液体吐出装置の動作に対する調整を行う液体吐出装置の調整方法であって、
前記インクジェットヘッドが吐出する前記液体が所定の位置を通過するタイミングである通過タイミングを検知する段階であり、前記インクジェットヘッドが前記液体を吐出する吐出方向における前記所定の位置に対する前記通過タイミングを検知する検知段階と、
前記インクジェットヘッドが前記液体を吐出する動作に関する調整を行う段階であり、前記検知段階で検知する前記通過タイミングに基づいて当該調整を行う調整段階と
を備えることを特徴とする液体吐出装置の調整方法。
【請求項2】
前記調整段階において、前記インクジェットヘッドから吐出する前記液体の容量を前記通過タイミングに基づいて調整することで、前記インクジェットヘッドが前記液体を吐出する動作に関する調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置の調整方法。
【請求項3】
前記インクジェットヘッドは、所定の方向における位置を互いに異ならせて複数のノズルが並ぶノズル列を有し、前記ノズル列における前記ノズルから前記液体を吐出し、
前記検知段階において、前記ノズル列における前記ノズル毎に、前記通過タイミングを検知し、
前記調整段階において、前記ノズル列における前記ノズル毎に、当該ノズルに対して検知される前記通過タイミングに基づき、当該ノズルから吐出する前記液体の容量を調整することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置の調整方法。
【請求項4】
前記液体吐出装置は、印刷画像に基づいて媒体に対して印刷を行う印刷装置であり、
前記調整段階において、前記通過タイミングに基づいて前記印刷画像に対する画像処理を行うことで、前記インクジェットヘッドが前記液体を吐出する動作に関する調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置の調整方法。
【請求項5】
前記検知段階において、前記吐出方向における複数の箇所で、前記液体の前記通過タイミングを検知し、
前記調整段階において、前記複数の箇所で検知される前記通過タイミングの差に基づき、前記インクジェットヘッドが前記液体を吐出する動作に関する調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置の調整方法。
【請求項6】
前記検知段階において、前記液体の通過を検知するセンサの出力に基づき、前記通過タイミングを検知し、かつ、前記吐出方向における位置を互いに異ならせて配設される複数の前記センサの出力に基づき、前記複数の箇所における前記通過タイミングを検知することを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置の調整方法。
【請求項7】
前記液体吐出装置は予め設定された主走査方向へ吐出対象に対して相対的に移動しつつ前記液体を吐出する主走査動作を前記インクジェットヘッドに行わせることで、前記インクジェットヘッドに前記液体を吐出させ、
前記インクジェットヘッドは、前記主走査方向と直交する方向である直交方向における位置を互いに異ならせて複数のノズルが並ぶノズル列を有し、前記ノズル列における前記ノズルから前記液体を吐出し、
前記複数のセンサとして、
光軸方向を前記直交方向と平行にする第1の光電センサと
光軸方向を前記主走査方向と平行にする第2の光電センサと
を用いることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置の調整方法。
【請求項8】
前記検知段階において、前記液体の通過を検知するセンサの出力に基づき、前記通過タイミングを検知し、かつ、前記吐出方向における前記インクジェットヘッドに対する前記センサの相対位置を互いに異ならせて、前記センサに、前記通過タイミングの検知を複数回行わせることで、前記複数の箇所における前記通過タイミングを検知することを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置の調整方法。
【請求項9】
インクジェット方式で液体を吐出するインクジェットヘッドを用いる液体吐出装置の動作に対する調整をコンピュータに行わせるプログラムであって、
前記インクジェットヘッドが吐出する前記液体が所定の位置を通過するタイミングである通過タイミングを検知する処理であり、前記インクジェットヘッドが前記液体を吐出する吐出方向における前記所定の位置に対する前記通過タイミングを検知する検知処理と、
前記インクジェットヘッドが前記液体を吐出する動作に関する調整を行う処理であり、前記検知処理で検知する前記通過タイミングに基づいて当該調整を行う調整処理と
を前記コンピュータに行わせることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
液体を吐出する液体吐出システムであって、
インクジェット方式で前記液体を吐出するインクジェットヘッドを有する液体吐出装置と、
前記液体吐出装置の動作に対する調整を行う調整装置と
を備え、
前記調整装置において、
前記インクジェットヘッドが吐出する前記液体が所定の位置を通過するタイミングである通過タイミングを検知する処理であり、前記インクジェットヘッドが前記液体を吐出する吐出方向における前記所定の位置に対する前記通過タイミングを検知する検知処理と、
前記インクジェットヘッドが前記液体を吐出する動作に関する調整を行う処理であり、前記検知処理で検知する前記通過タイミングに基づいて当該調整を行う調整処理と
を行うことを特徴とする液体吐出システム。
【請求項11】
前記調整装置において、
前記インクジェットヘッドが吐出する前記液体の速度又は容量を前記通過タイミングに基づいて算出する算出処理を更に行うことを特徴とする請求項10に記載の液体吐出システム。
【請求項12】
インクジェット方式で液体を吐出するインクジェットヘッドの動作に関する検出を行う検出方法であって、
前記インクジェットヘッドが吐出する前記液体が所定の位置を通過するタイミングである通過タイミングを検知する段階であり、前記インクジェットヘッドが前記液体を吐出する吐出方向における前記所定の位置に対する前記通過タイミングを検知する検知段階を備えることを特徴とする検出方法。
【請求項13】
前記インクジェットヘッドが吐出する前記液体の速度又は容量を前記通過タイミングに基づいて算出する算出段階を更に備えることを特徴とする請求項12に記載の検出方法。
【請求項14】
液体を吐出する液体吐出装置であって、
インクジェット方式で前記液体を吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドが吐出する前記液体が所定の位置を通過するタイミングである通過タイミングを検知する検知部と
を備え、
前記検知部は、前記インクジェットヘッドが前記液体を吐出する吐出方向における複数の箇所で、前記液体の前記通過タイミングを検知することを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置の調整方法、プログラム、液体吐出システム、検出方法、及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット方式で液体を吐出するインクジェットヘッドを備える液体吐出装置が広く用いられている。また、従来、インクジェットヘッドに対する検査を行う様々な方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットヘッドを備える液体吐出装置を適切に動作させるためには、例えば、インクジェットヘッドのノズルからの液体(例えば、インク)の吐出を適切に行う必要がある。そして、ノズルからの液体の吐出を適切に行うためには、例えば、ノズルから吐出する液体の容量(吐出量、ドットボリューム)を適正な量にすること等が必要になる。また、例えば同一機種の複数台の液体吐出装置を使用する場合等には、装置間での特性の差を所定の許容範囲以下にすることが必要になる場合がある。そして、このような場合、例えば、ノズルから吐出する液体の容量に着目して、複数の液体吐出装置の間で特性を揃える調整を行うことが必要になる場合もある。
【0005】
また、液体の容量については、例えば、インクジェットヘッドのノズルに対して供給する駆動信号の電圧を変更することで調整を行うことができる。この場合、例えば、質量計を使用して液体の容量を測定し、駆動信号の電圧を調整すること等が考えられる。しかし、インクジェットヘッドは、通常、多数のノズルを有する。また、液体吐出装置では、複数のインクジェットヘッドを用いる場合もある。そして、この場合、複数のインクジェットヘッドにおける多数のノズルに対し、従来の方法で吐出の調整を行おうとすると、極めて多くの手間や時間を要することになる。また、この場合、例えば、調整を行う作業者の違いによって調整の結果にバラツキが生じやすくなること等も考えられる。そのため、従来、液体吐出装置の動作に対する調整をより容易かつ適切に行うことが望まれていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる液体吐出装置の調整方法、プログラム、液体吐出システム、検出方法、及び液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明者は、液体吐出装置の動作に対する調整に関し、インクジェットヘッドから吐出する液体の速度に着目して、調整を行うことを考えた。また、より具体的に、本願の発明者は、インクジェットヘッドが吐出する液体が所定の位置を通過するタイミングである通過タイミングを検知し、検知した通過タイミングに基づき、インクジェットヘッドが液体を吐出する動作に関する調整を行うことを考えた。この場合、通過タイミングについて、例えば、液体の速度に応じて変化すると考えることができる。また、液体の速度について、例えば、ノズルから吐出する液体の容量に応じて変化すると考えることができる。そのため、通過タイミングを検知することで、例えば、ノズルから吐出する液体の容量に対応付けられるパラメータを取得できる。また、通過タイミングに基づいて吐出動作に関する調整を行うことで、例えば、検知時点でノズルから吐出していた液体の容量を考慮した調整を行うことができる。
【0007】
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、インクジェット方式で液体を吐出するインクジェットヘッドを用いる液体吐出装置の動作に対する調整を行う液体吐出装置の調整方法であって、前記インクジェットヘッドが吐出する前記液体が所定の位置を通過するタイミングである通過タイミングを検知する段階であり、前記インクジェットヘッドが前記液体を吐出する吐出方向における前記所定の位置に対する前記通過タイミングを検知する検知段階と、前記インクジェットヘッドが前記液体を吐出する動作に関する調整を行う段階であり、前記検知段階で検知する前記通過タイミングに基づいて当該調整を行う調整段階とを備えることを特徴とする。
【0008】
このように構成すれば、例えば、インクジェットヘッドが液体を吐出する動作に関する調整を適切に行うことができる。また、この場合、検知タイミングについて、例えば、インクジェットヘッドにおけるノズルから吐出する液体の容量との間に相関関係があると考えることができる。そのため、この調整について、例えば、インクジェットヘッドにおけるノズルから吐出する液体の容量に着目した調整等と考えることができる。また、この場合、液体吐出装置の動作に対する調整として、例えば、一台の液体吐出装置に対し、その液体吐出装置が備えるインクジェットヘッドにおけるノズルから吐出する液体の容量に着目した調整を行うことが考えられる。また、液体吐出装置の動作に対する調整として、例えば、複数台の液体吐出装置に対し、ノズルから吐出する液体の容量に着目して、特性を揃える調整を行うこと等も考えられる。
【0009】
また、この構成において、調整段階では、例えば、インクジェットヘッドから吐出する液体の容量を通過タイミングに基づいて調整することで、液体吐出装置の動作に対する調整を行う。インクジェットヘッドから吐出する液体の容量については、例えば、インクジェットヘッドにおけるノズルから吐出する液体の容量等と考えることができる。このように構成すれば、例えば、ノズルから吐出する液体の容量に着目した調整を適切に行うことができる。また、この場合、インクジェットヘッドから吐出する液体の容量については、例えば、インクジェットヘッドの各ノズルに対して供給する駆動信号の電圧を変更することで調整することが考えられる。
【0010】
また、検知段階では、例えば、液体吐出装置が有するインクジェットヘッド毎に、通過タイミングを検知することが考えられる。この場合、検知段階において、例えば、インクジェットヘッドにおけるいずれかのノズルに対して通過タイミングの検知を行うことで、そのインクジェットヘッドに対応付けられる通過タイミングを検知する。そして、調整段階では、例えば、インクジェットヘッド毎に、検知段階で検知される通過タイミングに基づき、当該インクジェットヘッドにおけるノズルから吐出する液体の容量を調整する。また、この構成において、インクジェットヘッドは、例えば、所定の方向における位置を互いに異ならせて複数のノズルが並ぶノズル列を有し、ノズル列におけるノズルから液体を吐出する。そして、検知段階では、例えば、インクジェットヘッドのノズル列におけるノズル毎に、通過タイミングを検知してもよい。この場合、調整段階では、例えば、ノズル列におけるノズル毎に、当該ノズルに対して検知される通過タイミングに基づき、当該ノズルから吐出する液体の容量を調整する。このように構成すれば、例えば、インクジェットヘッドにおけるノズル毎に、吐出する液体の容量を適切に調整できる。
【0011】
また、インクジェットヘッドが液体を吐出する動作に関する調整としては、インクジェットヘッドから吐出する液体の容量の調整以外の調整を行うことも考えられる。より具体的に、液体吐出装置としては、例えば、印刷画像に基づいて媒体に対して印刷を行う印刷装置を用いることが考えられる。そして、この場合、調整段階において、例えば、通過タイミングに基づいて印刷画像に対する画像処理を行うことで、インクジェットヘッドが液体を吐出する動作に関する調整を行うことが考えられる。このように構成した場合も、例えば、液体吐出装置に対し、ノズルから吐出する液体の容量に着目した調整を適切に行うことができる。
【0012】
また、検知段階では、例えば、吐出方向における複数の箇所で、液体の通過タイミングを検知することが考えられる。そして、この場合、調整段階において、複数の箇所で検知される通過タイミングの差に基づき、インクジェットヘッドが液体を吐出する動作に関する調整を行うことが考えられる。このように構成した場合、複数の箇所で通過タイミングを検知することで、例えば、液体の状態をより適切に検知できる。より具体的に、この場合、複数の箇所で通過タイミングを検知することで、例えば、液滴の速度に対応する事項を検知できる。また、これにより、例えば、液体の容量をより適切に把握すること等が可能になる。また、液体の容量をより適切に把握することで、例えば、液体吐出装置の動作に対する調整について、より適切に実行することもできる。
【0013】
また、検知段階では、例えば、液体の通過を検知するセンサの出力に基づき、通過タイミングを検知することが考えられる。この場合、センサとして、例えば、公知の光電センサ等を好適に用いることができる。また、この場合、例えば、吐出方向における位置を互いに異ならせて配設される複数のセンサを用い、これらの複数のセンサの出力に基づき、複数の箇所における通過タイミングを検知することが考えられる。このように構成すれば、例えば、例えば、複数箇所での通過タイミングの検知を適切に行うことができる。また、センサとして光電センサを用いる場合、光電センサの光軸方向について、例えば、インクジェットヘッドにおいて複数のノズルが並ぶノズル列方向と平行にすることが考えられる。このように構成すれば、例えば、ノズル列におけるノズルに対して通過タイミングの検知を適切に行うことができる。また、ノズル列における複数のノズルに対して通過タイミングを検知する場合において、例えば、複数のノズルに対して共通に光電センサを用いることができる。
【0014】
検知段階において、複数の光電センサを用いる場合、例えば、複数の光電センサの光軸方向を同じ方向に揃えることが考えられる。また、複数の光電センサを用いる場合において、センサ毎に光軸方向を異ならせること等も考えられる。より具体的に、液体吐出装置では、例えば、主走査動作をインクジェットヘッドに行わせることで、インクジェットヘッドに液体を吐出させる。この場合、主走査動作については、例えば、予め設定された主走査方向へ吐出対象に対して相対的に移動しつつ液体を吐出する動作等と考えることができる。また、この場合、インクジェットヘッドは、例えば、主走査方向と直交する方向である直交方向における位置を互いに異ならせて複数のノズルが並ぶノズル列を有し、ノズル列におけるノズルから液体を吐出する。そして、このような場合、複数のセンサとして、例えば、光軸方向を直交方向と平行にする第1の光電センサと、光軸方向を主走査方向と平行にする第2の光電センサとを用いることが考えられる。このように構成した場合も、例えば、吐出方向における複数の箇所で通過タイミングを適切に検知できる。また、この場合、例えば、インクジェットヘッドに主走査動作を行わせつつ通過タイミングの検知を行うことも考えられる。このように構成すれば、例えば、主走査動作において吐出対象に対してインクジェットヘッドが移動する動作の各タイミングでノズルから吐出する液体の状態について、より詳細に検知できる。
【0015】
また、検知段階では、例えば、通過タイミングの検知をセンサに複数回行わせることで、複数の箇所における通過タイミングを検知してもよい。より具体的に、この場合、検知段階において、例えば、吐出方向におけるインクジェットヘッドに対するセンサの相対位置を互いに異ならせて、センサに、通過タイミングの検知を複数回行わせる。また、この場合、例えば、インクジェットヘッドに、ノズルからの液体の吐出を複数回行わせ、かつ、複数回の吐出の合間にインクジェットヘッドに対するセンサの相対位置を変化させることが考えられる。このように構成した場合も、例えば、複数の箇所における通過タイミングを適切に検知できる。
【0016】
また、本発明について、例えば、上記において説明をした検知段階を備える検出方法の発明として考えることもできる。この場合、検出方法について、例えば、インクジェット方式で液体を吐出するインクジェットヘッドの動作に関する検出を行う方法等と考えることができる。また、この場合、検知段階で検知した通過タイミングに基づき、液体吐出装置の動作に対する調整以外の動作を行うことも考えられる。より具体的に、この場合、通過タイミングに基づき、例えば、インクジェットヘッドや液体吐出装置等が適切に動作しているか否かの動作確認等を行うことが考えられる。
【0017】
また、本発明の構成として、例えば、上記と同様の特徴を有するプログラム、液体吐出システム、又は液体吐出装置等を用いることも考えられる。この場合、プログラムについて、例えば、インクジェット方式で液体を吐出するインクジェットヘッドを用いる液体吐出装置の動作に対する調整をコンピュータに行わせるプログラム等と考えることができる。また、このプログラムについて、例えば、上記の検出段階及び調整段階等の動作に対応する処理である検知処理及び調整処理等をコンピュータに行わせると考えることができる。液体吐出システムについては、例えば、液体吐出装置及び調整装置を備えるシステム等と考えることができる。調整装置については、例えば、液体吐出装置の動作に対する調整を行う装置等と考えることができる。これらの場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。また、調整装置において、例えば、インクジェットヘッドが吐出する液体の速度又は容量を通過タイミングに基づいて算出する算出処理を更に行うこと等も考えられる。このように構成すれば、例えば、インクジェットヘッドの状態をより詳細に把握できる。また、この場合、上記の検出方法において、算出処理に対応する算出段階の動作を更に行うことも考えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば、液体吐出装置の動作に対する調整を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る印刷システム10について説明をする図である。
図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。
図1(b)は、印刷システム10における印刷装置12の構成の一例を示す。
図1(c)は、印刷装置12におけるヘッド部102の構成の一例を示す。
【
図2】印刷装置12に対して行う調整について説明をする図である。
図2(a)は、検知部112で検知する事項の一例を示す。
図2(b)は、検知部112による検知結果の一例を示す。
【
図3】インクジェットヘッド202に対する調整の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】検知部112の構成及び動作の変形例について説明をする図である。
図4(a)は、本変形例でのインクの通過タイミングを検知する動作の一例を示す。
図4(b)は、本変形例の検知部112で検知する検知結果の一例を示す。
【
図5】検知部112の構成及び動作の更なる変形例について説明をする図である。
図5(a)は、検知部112の構成及び動作の更なる変形例を示す。
図5(b)、(c)は、検知部112の構成の更なる変形例に関し、複数のセンサ302a、bの位置関係を互いに異なる視点で示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システム10について説明をする図である。
図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。
図1(b)は、印刷システム10における印刷装置12の構成の一例を示す。
図1(c)は、印刷装置12におけるヘッド部102の構成の一例を示す。以下に説明をする点を除き、本例における印刷システム10やその構成は、公知の印刷システムやその構成と同一又は同様の特徴を有してよい。本例において、印刷システム10は、液体を吐出する液体吐出システムの一例であり、印刷装置12及びMPC14を備える。印刷装置12は、印刷システム10において印刷を実行するインクジェットプリンタである。インクジェットプリンタについては、例えば、インクジェット方式で液体を吐出するインクジェットヘッド(プリントヘッド)を用いて印刷を行う印刷装置等と考えることができる。また、本例において、印刷装置12は、液体吐出装置の一例であり、ヘッド部102、プラテン104、走査駆動部106、駆動信号出力部108、フラッシングボックス110、検知部112、及び制御部120を有する。
【0021】
ヘッド部102は、印刷対象の媒体(メディア)50に対してインクを吐出する構成である。この場合、インクは、液体吐出装置において吐出する液体の一例である。また、本例において、ヘッド部102は、複数のインクジェットヘッド202を有する。また、複数のインクジェットヘッド202は、例えば
図1(c)において符号202y~kを付して区別して示すように、互いに異なる色のインクを吐出する。この場合、インクジェットヘッド202yは、イエロー色(Y色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202mは、マゼンタ色(M色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202cは、シアン色(C色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202kは、ブラック色(K色)のインクを吐出する。YMCKの各色のインクは、プロセスカラーの各色のインクの一例である。プロセスカラーの各色については、例えば、色表現の基本色等と考えることができる。また、本例において、複数のインクジェットヘッド202は、印刷装置12において予め設定される副走査方向(図中のX方向)における位置を揃えて、副走査方向と直交する主走査方向(図中のY方向)へ並べて配設される。この場合、副走査方向は、主走査方向と直交する方向である直交方向の一例である。また、インクジェットヘッド202は、所定のノズル列方向における位置を互いに異ならせて複数のノズルが並ぶノズル列を有し、ノズル列における複数のノズルからインクを吐出する。本例において、ノズル列方向は、副走査方向と平行な方向である。プラテン104は、ヘッド部102と対向する位置に媒体50を保持する台状部材であり、上面に媒体50の少なくとも一部が載せられることで、ヘッド部102と対向させて媒体50を保持する。
【0022】
走査駆動部106は、複数のインクジェットヘッド202に走査動作を行わせる駆動部である。走査動作については、例えば、インクの吐出対象である媒体50に対して相対的に移動する動作等と考えることができる。また、本例において、走査駆動部106は、主走査動作及び副走査動作を複数のインクジェットヘッド202に行わせる。主走査動作については、例えば、主走査方向へ媒体50に対して相対的に移動しつつインクを吐出する動作等と考えることができる。走査駆動部106は、例えば、複数のインクジェットヘッド202を主走査方向へ移動させつつ、印刷すべき画像に応じて決まる吐出位置へ複数のインクジェットヘッド202にインクを吐出させることで、複数のインクジェットヘッド202に主走査動作を行わせる。また、本例において、走査駆動部106は、制御部120の制御に従って、駆動信号出力部108から供給される駆動信号を複数のインクジェットヘッド202へ供給することで、印刷すべき画像に応じて、複数のインクジェットヘッド202における複数のノズルからインクを吐出させる。駆動信号については、例えば、インクジェットヘッド202にインクを吐出させる信号等と考えることができる。また、駆動信号について、例えば、インクジェットヘッド202におけるノズルからインクを吐出させる駆動素子(例えば、ピエゾ素子等)を駆動するための信号等と考えることもできる。
【0023】
副走査動作については、例えば、副走査方向へ媒体50に対して相対的に移動する動作等と考えることができる。また、副走査動作について、例えば、媒体50において主走査動作時に複数のインクジェットヘッド202と対向する位置を変更する動作等と考えることもできる。本例において、走査駆動部106は、主走査動作の合間に複数のインクジェットヘッド202に副走査動作を行わせることで、媒体50において次の回の主走査動作でインクが吐出される領域を変更する。このように構成すれば、例えば、媒体50の各位置に対する主走査動作を複数のインクジェットヘッド202に適切に行わせることができる。走査駆動部106は、例えば、副走査方向と平行な搬送方向へ媒体50を搬送することで、媒体50に対して相対的に複数のインクジェットヘッド202を移動させて、複数のインクジェットヘッド202に副走査動作を行わせる。また、走査駆動部106は、例えば、位置が固定されている媒体50に対して複数のインクジェットヘッド202の側を移動させることで、複数のインクジェットヘッド202に副走査動作を行わせてもよい。
【0024】
駆動信号出力部108は、駆動信号を複数のインクジェットヘッド202へ供給する出力部である。本例において、駆動信号出力部108は、走査駆動部106を介してインクジェットヘッド202における駆動素子へ駆動信号を供給することで、インクジェットヘッド202におけるノズルからインクを吐出させる。また、これにより、駆動信号出力部108は、インクジェットヘッド202における複数のノズルに対し、ノズル毎に、駆動信号を供給する。フラッシングボックス110は、フラッシングの実行時等にインクジェットヘッド202が吐出するインク(廃インク)を受ける構成である。フラッシングについては、例えば、ノズルの位置でのインクの乾燥を防止するためにインクジェットヘッド202にインクを吐出させる動作等と考えることができる。本例において、フラッシングボックス110は、主走査方向における媒体50の外側に配設される。このように構成すれば、例えば、媒体50において画像を描く範囲である印刷領域の外で、インクジェットヘッド202に適切にフラッシングを行わせることができる。また、より具体的に、この場合、例えば図中に示すように、プラテン104に対する主走査方向の一方側及び他方側にフラッシングボックス110を配設することが考えられる。また、本例においては、例えば、インクジェットヘッド202の動作の調整を行う調整時にも、フラッシングボックス110の位置でのインクの吐出をインクジェットヘッド202に行わせる。インクジェットヘッド202の動作の調整については、後に更に詳しく説明をする。
【0025】
検知部112は、インクジェットヘッド202の動作の調整時に用いるセンサを有する構成であり、インクジェットヘッド202がインクを吐出する吐出方向においてインクジェットヘッド202から所定の距離だけ離れた位置において、インクジェットヘッド202のノズルから吐出されるインクの液滴(インク滴)が通過することを検知する。この場合、吐出方向について、例えば、インクジェットヘッド202からプラテン104へ向かう方向(垂直方向)等と考えることもできる。検知部112の構成や動作等についても、後に更に詳しく説明をする。制御部120は、例えば印刷装置12のCPUを含む部分であり、印刷装置12のファームウェア等のプログラムに従って、印刷装置12の各部の動作を制御する。また、本例において、制御部120は、MPC14の制御に応じて、印刷装置12の各部の動作を制御する。
【0026】
MPC14は、印刷装置12の動作を制御する制御装置である。本例において、MPC14は、例えばPC等のコンピュータであり、印刷装置12の動作制御用のプログラムに従って、印刷装置12の動作を制御する。この場合、MPC14は、例えば、印刷装置12に印刷させる画像である印刷画像を示す印刷データを印刷装置12へ供給することで、印刷画像に基づく印刷の動作を印刷装置12に実行させる。また、本例において、MPC14は、例えば印刷装置12の動作調整用のプログラムに従って、印刷装置12に対する調整(印刷装置12の動作に対する調整)を行う。この場合、印刷装置12の動作調整用のプログラムは、インクジェットヘッドを用いる液体吐出装置の動作に対する調整をコンピュータに行わせるプログラムの一例である。MPC14は、このプログラムに従って動作することで、例えば、印刷装置12に対する調整を行う調整装置として動作する。また、MPC14は、印刷装置12に対する調整として、少なくとも、印刷装置12のヘッド部102が有するインクジェットヘッド202に対する調整(インクジェットヘッド202の動作に対する調整)を行う。また、より具体的に、本例において、MPC14は、インクジェットヘッド202に対する調整として、例えば、インクジェットヘッド202がインクを吐出する動作に関する調整を行う。インクジェットヘッド202に対する調整についても、後に更に詳しく説明をする。本例によれば、例えば、媒体50に対する印刷の動作を印刷装置12に適切に実行させることができる。また、必要に応じて、印刷装置12に対する調整を適切に行うことができる。
【0027】
尚、印刷システム10及び印刷システム10の各部の構成については、上記において説明をした構成に限らず、様々に変更することも可能である。例えば、印刷装置12におけるヘッド部102は、上記以外の色用のインクジェットヘッド202を有してもよい。また、ヘッド部102における複数のインクジェットヘッド202の並べ方について、上記と異ならせてもよい。この場合、例えば、一部のインクジェットヘッド202について、他のインクジェットヘッド202と副走査方向における位置を異ならせること等が考えられる。また、インクジェットヘッド202として、例えば、複数のノズル列を有するインクジェットヘッド202を用いること等も考えられる。また、印刷システム10は、複数の印刷装置12や複数のMPC14を備えてもよい。この場合、例えば、MPC14の機能について、複数のコンピュータで実現すること等も考えられる。より具体的に、この場合、例えば、印刷装置12の印刷の動作を制御するためのコンピュータと、印刷装置12に対する調整を行うためのコンピュータとを別にすること等が考えられる。また、印刷装置12として、MPC14の機能を備える装置を用いること等も考えられる。更に、印刷システム10は、印刷装置12及びMPC14以外の構成を更に備えてもよい。
【0028】
続いて、印刷装置12の動作に対して行う調整等について、詳しく説明をする。本例において、MPC14は、印刷装置12に所定の動作を行わせ、印刷装置12における検知部112で検知した結果に基づき、印刷装置12の状態を検知する。そして、必要に応じて、MPC14は、例えば、印刷装置12の状態の検知結果に基づき、印刷装置12に対する調整を行う。また、上記においても説明をしたように、本例の印刷システム10では、印刷装置12に対する調整として、少なくとも、印刷装置12におけるインクジェットヘッド202に対する調整を行う。そして、この場合、例えば、
図2に示すように、インクジェットヘッド202にインクを吐出させて、検知部112による検知を実行する。
【0029】
図2は、本例において印刷装置12に対して行う調整について説明をする図であり、印刷装置12におけるインクジェットヘッド202に対する調整を行う場合に関し、検知部112で検知する事項や検知結果の例を示す。
図2(a)は、検知部112で検知する事項の一例を示す。
図2(b)は、検知部112による検知結果の一例を示す。本例において、検知部112は、複数のセンサ302a、bを有し、センサ302a、bにより、インクジェットヘッド202が吐出するインクが所定の位置を通過するタイミングである通過タイミングを検知(計測)する。センサ302a、bは、発光部312及び受光部314を有する光電センサ(光軸センサ)であり、発光部312と受光部314との間をインクが通過することを検知する。より具体的に、この場合、発光部312は、受光部314へ向けて、レーザ光を照射する。そして、受光部314は、発光部312から照射されるレーザ光がインクの液滴(インク滴)によって遮られることを検知することで、発光部312と受光部314との間をインクが通過することを検知する。センサ302a、bとしては、例えば、公知の光電センサを好適に用いることができる。
【0030】
また、本例の検知部112において、複数のセンサ302a、bは、インクジェットヘッド202によるインクの吐出方向における位置を互いに異ならせて配設される。また、本例において、インクの吐出方向は、鉛直方向(重力方向)と平行な方向である。この場合、複数のセンサ302a、bについて、例えば、上下方向に並んでいると考えることもできる。また、吐出方向について、例えば、主走査方向及び副走査方向と直交する方向等と考えることもできる。また、複数のセンサ302について、例えば、インクジェットヘッド202からの距離が互いに異なると考えることもできる。より具体的に、図示した構成の場合、複数のセンサ302a、bのうち、センサ302aは、インクジェットヘッド202からの距離が第1の距離h1になる位置に配設される。そして、センサ302bは、インクジェットヘッド202からの距離が第1の距離h1と異なる第2の距離h2になる位置に配設される。インクジェットヘッド202からの距離については、例えば、インクジェットヘッド202における所定の基準位置からの距離等と考えることができる。
【0031】
また、本例において、インクジェットヘッド202に対する調整を行う場合、インクジェットヘッド202は、例えばフラッシングボックス110の位置へ移動して、フラッシングボックス110に向けて、インクを吐出する。また、検知部112は、複数のセンサ302a、bの位置において、インク(インク滴)の通過を検知する。そして、この場合、インクジェットヘッド202からの距離の違いに応じて、複数のセンサ302a、bの出力であるセンサ値は、例えば
図2(b)に示すように、互いに異なるタイミングで変化する。この場合、センサ302aのセンサ値が変化するタイミングt1について、例えば、センサ302aの位置に対応する通過タイミングと考えることができる。また、センサ302bのセンサ値が変化するタイミングt2について、例えば、センサ302bの位置に対応する通過タイミングと考えることができる。そのため、本例によれば、例えば、複数のセンサ302a、bに対応する複数箇所での通過タイミングの検知を適切に行うことができる。また、この場合、これらのタイミングの差である時間差Δt=t2-t1について、例えば、複数の箇所で検知される通過タイミングの差であり、予め設定された二つの位置をインク滴が通過する時間に対応すると考えることができる。また、本例において、MPC14(
図1参照)は、この時間差Δtを算出し、時間差Δtに基づき、印刷装置12に対する調整を行う。この場合、時間差Δtを算出することについて、例えば、吐出方向におけるインク滴の速度を算出することに対応すると考えることができる。時間差Δtに対応するインク滴の速度については、例えば、センサ302a、bの間の位置での吐出方向におけるインク滴の速度等と考えることができる。
【0032】
ここで、インクジェットヘッド方式でインクを吐出する場合、通常、インクジェットヘッドにおけるノズルとプラテンとの間において、ノズルから吐出するインクの容量(インク容量、インクボリューム)と、インク滴の速度(飛翔速度)との間に相関関係(相関性)があると考えることができる。より具体的に、インクジェットヘッド方式でインクを吐出する場合、ノズルから吐出された直後の吐出方向におけるインク滴の速度について、例えば、ピエゾ素子等の駆動素子から受ける力に応じた速度になると考えることができる。また、ノズルから吐出された後、インク滴は、空気抵抗や重力等の影響を受けつつ、吐出方向へ進むことになる。そして、この場合、例えば、少なくとも、ノズルからインクが吐出された後、吐出方向へある程度の距離をインク滴が進んだ時点において、インク滴の速度について、インクの容量が大きいほど速くなると考えることができる。この場合、インク滴の速度とインクの容量との関係については、例えば、インクの標準の容量との容量の差が所定の範囲内である場合の関係等と考えることができる。また、インク滴の速度とインクの容量との関係について、例えば、インクの容量が所定の最大量以下であり、かつ、インク滴のミスト化が生じない範囲における関係等と考えることもできる。そして、この場合、上記の構成の検知部112で検知するタイミングt1、t2から算出する時間差Δtについて、例えば、インクジェットヘッド202がノズルから吐出するインクの容量に対応すると考えることができる。また、この場合、時間差Δtに基づき、インク滴の容量又は速度について、例えば、目標の容量又は速度に対してどの程度ずれているかを把握することもできる。
【0033】
また、上記のような相関関係を前提とすることで、例えば、検知部112で検知する通過タイミングに基づき、インクジェットヘッド202がノズルから吐出するインクの容量に対する調整を行うこと等も可能になる。より具体的に、本例において、MPC14は、通過タイミングから算出する時間差Δtに基づき、インクジェットヘッド202へ供給する駆動信号に対する補正値(調整値)を決定する。このように構成すれば、例えば、通過タイミングの検知時に吐出していたインク滴の容量に合わせて、駆動信号の調整を行うことができる。この場合、インク滴の容量に合わせて駆動信号の調整を行うことについては、例えば、時間差Δtに応じて決まるインク滴の容量のズレ量に合わせて駆動信号の調整を行うこと等と考えることができる。また、MPC14は、例えば、
図3に示す動作により、駆動信号の電圧を調整する。駆動信号の電圧を調整することについては、例えば、駆動信号における少なくとも一部のタイミングでの電圧を調整すること等と考えることができる。
【0034】
図3は、インクジェットヘッド202に対する調整の動作の一例を示すフローチャートであり、インクジェットヘッド202に対する調整の一例として駆動信号の電圧を調整する場合の動作の例を示す。本例において、駆動信号の電圧の調整を行う場合、MPC14は、先ず、インクジェットヘッド202のノズルから吐出するインクの容量について、目標の容量である目標インク量を設定する(S102)。この場合、目標インク量について、例えば、同一仕様の複数台の印刷装置12に対して用いる共通の値を設定することが考えられる。このように構成すれば、例えば、印刷装置12の個体差等でインクの吐出量に差が生じて印刷物の品質(例えば、色等)にバラツキが生じること等と適切に防止できる。同一仕様の印刷装置12については、例えば、同一型番のインクジェットヘッド202及びインクを用いる印刷装置12等と考えることができる。また、目標インク量について、例えば、他の印刷装置12のいずれかのインクジェットヘッド202が実際に吐出しているインクの容量に合わせて設定すること等も考えられる。このように構成すれば、例えば、調整対象の印刷装置12の特性について、他の印刷装置12の特性に適切に合わせることができる。また、本例においては、インクジェットヘッド202が吐出するインクの容量に対応するパラメータとして、印刷装置12における検知部112で検知する通過タイミングの時間差Δtを用いる。そのため、本例のステップS102において、MPC14は、目標インク量として、時間差Δtの目標値を設定する。
【0035】
また、ステップS102で目標インク量を設定した後、MPC14は、印刷装置12の動作を制御して、検知部112を用いた検知を印刷装置12に行わせることで、印刷装置12のインクジェットヘッド202がノズルから吐出するインクの容量を測定する(S104)。また、本例のステップS102において、印刷装置12は、MPC14の制御に応じて、いずれかのフラッシングボックス110の位置へ複数のインクジェットヘッド202を移動させ、フラッシングボックス110へ向けてインクジェットヘッド202にインクを吐出させる。そして、印刷装置12は、検知部112において、複数のセンサ302a、bに対応する通過タイミングを検知する。この場合、印刷装置12は、複数のインクジェットヘッド202のそれぞれ(各ヘッド)に対し、複数のセンサ302a、bに対応する通過タイミングを検知して、検知結果をMPC14へ供給する。また、この場合、印刷装置12は、例えば、複数のインクジェットヘッド202から一つのインクジェットヘッド202を順次選択し、選択したインクジェットヘッド202に対し、通過タイミングの検知を行う。
【0036】
また、MPC14は、印刷装置12から供給される通過タイミングに基づき、インクジェットヘッド202毎に、複数のセンサ302a、bに対応する通過タイミングの時間差Δtを算出する。この場合、上記においても説明をしたように、時間差Δtについて、インクジェットヘッド202がノズルから吐出するインクの容量に対応すると考えることができる。そのため、本例において、MPC14においてインクジェットヘッド202毎に時間差Δtを算出する動作については、例えば、インクジェットヘッド202毎にノズルから吐出するインクの容量を測定することに対応すると考えることができる。また、本例において、ステップS104の動作は、検知段階の動作の一例である。検知段階については、例えば、吐出方向における所定の位置に対するインクの通過タイミングを検知する段階等と考えることができる。また、ステップS104でMPC14が行う処理は、検知処理の一例である。
【0037】
また、ステップS104でインクジェットヘッド202毎のインクの容量を測定した後、MPC14は、測定されたインクの容量が目標インク容量になっているか否かを判断する(S106)。より具体的に、本例のステップS106において、MPC14は、インクジェットヘッド202毎に算出する時間差Δtと、ステップS102で設定する時間差Δtの目標値との差が所定の許容範囲内である場合に、測定されたインクの容量が目標インク容量になっていると判断する。そして、全てのインクジェットヘッド202について、測定されたインクの容量が目標インク容量になっていると判断した場合(S106、Yes)、MPC14は、駆動信号の調整等を行うことなく、本フローチャートの動作を終了する。
【0038】
また、ステップS106において、いずれかのインクジェットヘッド202におけるインクの容量が目標インク量になっていないと判断した場合(S106、No)、MPC14は、駆動信号の電圧の調整を行う(S108)。本例において、ステップS108の動作は、調整段階の動作の一例である。調整段階については、例えば、検知段階で検知する通過タイミングに基づいて印刷装置12に対する調整を行う段階等と考えることができる。また、ステップS108でMPC14が行う処理は、調整処理の一例である。本例のステップS108において、MPC14は、印刷装置12においてインクジェットヘッド202へ供給される駆動信号の電圧を変化させることで、インクジェットヘッド202から吐出するインクの容量を調整する。より具体的に、本例において、MPC14は、複数のセンサ302a、bに対応する通過タイミングの時間差Δtに基づき、駆動信号の調整に用いる補正値を算出する(S202)。この場合、MPC14は、例えば、複数のセンサ302a、bでの検知結果に基づいて算出される時間差Δtと、時間差Δtの目標値との差に基づき、この差が小さくなる方向へインクの容量を変化させる補正値を算出する。そして、MPC14は、例えば、印刷装置12の動作の制御に用いるパラメータの一部としてこの補正値を設定することで、印刷装置12においてインクジェットヘッド202へ供給する駆動信号の電圧を調整する(S204)。このように構成すれば、例えば、インクジェットヘッド202のノズルから吐出するインクの容量に着目して、印刷装置12に対する調整を適切に行うことができる。また、この場合、ステップS204で駆動信号の電圧を調整した後、MPC14は、ステップS104へ戻り、以降の動作を繰り返す。このように構成すれば、例えば、全てのインクジェットヘッド202のインクの容量について、目標インク容量に適切に近づけることができる。
【0039】
ここで、
図3のフローチャートに示す動作については、例えば、一台の印刷装置12に対し、その印刷装置12が備えるインクジェットヘッド202におけるノズルから吐出するインクの容量に着目した調整を行う動作の例と考えることができる。また、上記においても説明をしたように、印刷装置12に対する調整としては、例えば、複数台の印刷装置12に対し、インクジェットヘッド202のノズルから吐出するインクの容量に着目して、特性を揃える調整を行うこと等も考えられる。この場合、例えば、調整対象の複数の印刷装置12に対し、印刷装置12毎に、
図3に示す動作による調整を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、複数台の印刷装置12の特性を適切に揃えることができる。
【0040】
また、上記においても説明をしたように、本例のステップS104において、MPC14は、インクジェットヘッド202毎に、複数のセンサ302a、bに対応する通過タイミングの時間差Δtを算出する。この場合、MPC14は、例えば、印刷装置12におけるインクジェットヘッド202が有する複数のノズルのうち、所定の位置にある一部のノズルを選択する。そして、MPC14は、例えば、選択したノズルに対して、通過タイミングの検知を印刷装置12に行わせる。このような動作については、例えば、インクジェットヘッド202におけるいずれかのノズルに対して通過タイミングの検知を行うことで、そのインクジェットヘッド202に対応付けられる通過タイミングを検知する動作等と考えることができる。インクジェットヘッド202に対応付けられる通過タイミングを検知することについては、例えば、インクジェットヘッド単位でインクジェットヘッド202毎に通過タイミングを検知すること等と考えることができる。また、この場合、ステップS106において、MPC14は、インクジェットヘッド202毎に、インクの容量が目標インク容量になっているか否かを判断する。そして、ステップS108において、MPC14は、インクジェットヘッド202毎に、駆動信号の電圧を調整する。
【0041】
また、駆動信号の電圧の調整については、例えば、ノズル毎に個別に電圧の調整を行うことも考えられる。ノズル毎に個別に電圧の調整を行う場合、ステップS104において、MPC14は、印刷装置12に、例えば、インクジェットヘッド202のノズル列におけるノズル毎に、通過タイミングを検知させる。この場合、例えば、インクジェットヘッド202のノズル列に含まれる全てのノズルに対し、通過タイミングの検知を印刷装置12に行わせることが考えられる。また、この場合、ステップS106において、MPC14は、例えば、インクジェットヘッド202におけるノズル毎に、インクの容量が目標インク容量になっているか否かを判断する。そして、ステップS108において、MPC14は、例えば、インクジェットヘッド202のノズル毎に、駆動信号の電圧を調整する。このように構成すれば、例えば、インクの容量の調整をより詳細に行うことができる。また、この場合、通過タイミングの検知をノズル毎に行うことで、例えば、不吐出ノズルの検出を行うこと等も可能になる。
【0042】
以上のように、本例において、MPC14は、例えば、複数のセンサ302a、bの出力に基づき、複数の箇所で、インクの通過タイミングを検知する。また、これにより、MPC14は、例えば、インク滴の速度に対応する事項を検知する。この場合、インク滴の速度に対応する事項を検知することで、例えば、インクジェットヘッド202がノズルから吐出するインクの容量を適切に把握できる。また、インクの容量を適切に把握することで、例えば駆動信号の電圧を調整して、印刷装置12に対する調整を適切に行うことができる。
【0043】
続いて、検知部112のより具体的な構成や変形例等について、説明をする。上記においても説明をしたように、本例の検知部112において、センサ302a、bとしては、例えば、光電センサを用いる。この場合、センサ302a、bとして、例えば、インクジェットプリンタ用の公知のノズルチェックユニット(NCU)で用いられている光電センサと同一又は同様のセンサを好適に用いることができる。また、センサ302a、bについて、インクジェットヘッド202からの距離を適宜調整した上で、ノズルチェックユニットにおける光電センサと同一又は同様に配設することが考えられる。また、上記のように、本例において、印刷装置12のヘッド部102(
図1参照)は、複数のインクジェットヘッド202を有する。この場合、検知部112は、例えば、インクジェットヘッド202毎に、複数のセンサ302a、bを有する。検知部112の構成の変形例において、検知部112は、複数のインクジェットヘッド202に対して共通に、一組のセンサ302a、bを有してもよい。また、複数のセンサ302a、bとして光電センサを用いる場合、複数のセンサ302a、bの光軸方向について、例えば、同じ方向に揃えることが考えられる。この場合、センサ302a、bの光軸方向については、例えば、センサ302a、bで用いるレーザ光の光軸方向等と考えることができる。また、センサ302a、bの光軸方向については、例えば、インクジェットヘッド202におけるノズル列方向と平行にすることが考えられる。このように構成すれば、例えば、ノズル列に含まれる複数のノズルに対して共通にセンサ302a、bを用いることができる。
【0044】
また、上記においては、吐出方向における複数の箇所でインクの通過タイミングを検知する方法に関し、主に、インクジェットヘッド202からの距離を異ならせた複数のセンサ302a、bを用いる場合の例について、説明をした。これに対し、検知部112の構成及び動作の変形例においては、例えば
図4に示すように、インクジェットヘッド202に対するセンサ302の相対位置(吐出方向における相対位置)を変化させることで、吐出方向における複数の箇所でインクの通過タイミングを検知すること等も考えられる。
図4は、検知部112の構成及び動作の変形例について説明をする図である。
図4(a)は、本変形例でのインクの通過タイミングを検知する動作の一例を示す。
図4(b)は、本変形例の検知部112で検知する検知結果の一例を示す。
【0045】
本変形例において、検知部112は、インクジェットヘッド202に対するセンサ302の相対位置を変化させることで、吐出方向における複数の箇所で、インクの通過タイミングを検知する。この場合、検知部112の動作について、同じセンサ302(一つのセンサ302)により、吐出方向における複数の箇所でインクの通過タイミングを検知すると考えることができる。また、より具体的に、この場合、インクジェットヘッド202における一つのノズルに対応するインクの通過タイミングの検知を行うために、インクジェットヘッド202は、複数回(例えば、2回)のインクの吐出を行う。そして、検知部112は、例えば、吐出の回毎に、インクジェットヘッド202に対するセンサ302の相対位置を変化させる。この場合、印刷装置12は、例えば、吐出方向におけるインクジェットヘッド202に対するセンサ302の相対位置を変化させる位置変更手段を更に備えてよい。位置変更手段は、例えば、インクジェットヘッド202が行う複数回のインクの吐出の合間に、インクジェットヘッド202又はセンサ302を吐出方向へ移動させることで、インクジェットヘッド202に対するセンサ302の相対位置を変化させる。
【0046】
また、
図4(a)に図示した動作の場合、1回目の吐出時において、センサ302は、インクジェットヘッド202からの距離が第1の距離h1になる位置で、インクの通過を検知する。また、2回目の吐出時において、センサ302は、インクジェットヘッド202からの距離が第1の距離h1と異なる第2の距離h2になる位置で、インクの通過を検知する。そして、この場合、1回目及び2回目の吐出時において、センサ302が出力するセンサ値は、例えば
図4(b)に示すように、互いに異なるタイミングで変化する。また、この場合、図中に示す時間差Δtについて、
図2(b)に示した時間差Δtと同様の事項を示していると考えることができる。そのため、本変形例においても、例えば、吐出方向における複数の箇所において、インクの通過タイミングを適切に検知できる。また、これにより、例えば、インクジェットヘッド202のノズルから吐出するインクの容量に着目して、印刷装置12に対する調整を適切に行うことができる。
【0047】
また、検知部112の構成及び動作については、更なる変形例を考えることもできる。
図5は、検知部112の構成及び動作の更なる変形例について説明をする図である。
図5(a)は、検知部112の構成及び動作の更なる変形例を示す。上記においては、主に、吐出方向における複数の箇所でインクの通過タイミングの検知を行う動作の例について、説明をした。これに対し、インクジェットヘッド202とセンサ302との位置関係を高い精度で把握できる場合等には、吐出方向における一箇所のみでインクの通過タイミングの検知を行うことも考えられる。より具体的に、例えば、インクジェットヘッド202がインクを吐出するタイミングと、センサ302で検知する通過タイミングとの間の時間の同期の精度が十分に高く、かつ、吐出方向におけるインクジェットヘッド202からセンサ302までの距離を十分に高い精度で管理できる場合、例えば
図5(a)の左側部分に示す距離hの位置のような、吐出方向における1箇所のみでインクの通過タイミングを検知することで、吐出方向におけるインク滴の速度に対応する事項を適切に検知できる。また、この場合、例えば、
図5(a)の右側部分に示すタイミングtについて、インクジェットヘッド202から一定の距離hの箇所をインクが通過するまでの時間等と考えることができる。そして、この場合、距離h及びタイミングtに基づき、インク滴の速度に対応する値を算出できる。また、このようにして算出される速度についても、例えば、インクの容量との間に相関関係があると考えることができる。そのため、本変形例においても、例えば、インクジェットヘッド202のノズルから吐出するインクの容量に着目して、印刷装置12に対する調整を適切に行うことができる。
【0048】
また、吐出方向におけるインクジェットヘッド202に対する相対位置を異ならせた複数のセンサ302a、bを用いる場合に関しても、例えば、
図2に示した場合と構成が異なる検知部112の変形例を考えることができる。この場合、例えば
図5(b)、(c)に示すように、光軸方向を互いに異ならせた複数のセンサ302a、bを用いることが考えられる。
図5(b)、(c)は、検知部112の構成の更なる変形例に関し、複数のセンサ302a、bの位置関係を互いに異なる視点で示す。本変形例において、検知部112は、光軸方向を互いに異ならせた複数のセンサ302a、bを有する。また、より具体的に、図示した構成において、検知部112は、光軸方向を副走査方向と平行にするセンサ302aと、光軸方向を主走査方向と平行にするセンサ302bとを有する。この場合、センサ302aは、第1の光電センサの一例である。センサ302bは、第2の光電センサの一例である。このように構成した場合も、例えば、吐出方向における複数の箇所で通過タイミングを適切に検知できる。本変形例における複数のセンサ302a、bの構成については、例えば、二つ目のセンサを一つ目のセンサに対して直交させる構成等と考えることもできる。また、この場合、検知部112の動作について、例えば、複数のセンサ302a、bが直交する直交部で通過タイミングの行うと考えることができる。また、このような構成の複数のセンサ302a、bを用いる場合、例えば、インクジェットヘッド202に主走査動作を行わせつつ、通過タイミングの検知を行うことも考えられる。このように構成すれば、例えば、主走査動作における相対移動の様々なタイミングにおいて、インクジェットヘッド202がノズルから吐出するインクの状態について、より詳細に検知できる。この場合、MPC14において、主走査動作中に検知するインクの状態として、例えば、主走査方向へのインク滴の移動量のような、印刷中の吐出状況等を取得することが考えられる。また、MPC14において、例えば、取得した吐出状況等に基づき、例えば、インクの着弾位置の調整等を行うことも考えられる。
【0049】
続いて、上記において説明をした各構成に関する補足説明や、更なる変形例の説明等を行う。以下においては、説明の便宜上、上記において説明をした変形例も含めて、本例という場合もある。上記のように、本例によれば、例えば、検知部112で検知した結果に基づき、印刷装置12に対する調整を容易かつ適切に行うことができる。また、この点に関し、例えば駆動信号の電圧を調整すること自体については、従来から行われていた事項である。より具体的に、例えば、印刷装置の製造工程では、通常、インクジェットヘッド毎に駆動信号の電圧を調整することで、インクジェットヘッドがノズルから吐出するインクの容量を調整する。しかし、従来の方法の場合、例えば、調整対象のインクジェットヘッドを用いて印刷を行った結果を調整の作業者が目視で確認し、印刷装置の動作を制御するパラメータに対して手動での入力を行うことで、印刷装置に対する調整を行う。そのため、インクジェットヘッドの数が増えると、調整にかかる時間が長くなることや、入力ミスが増えること等により、印刷装置の製造工程において、製造効率の低下の原因となる。また、この場合、印刷装置の出荷後(設置後)におけるインクジェットヘッドの経年劣化等に対して対応することも困難になる。
【0050】
これに対し、本例においては、例えば、検知部112での検知結果に基づき、自動的にインクの容量の調整を行うことができる。また、これにより、例えば、印刷装置12の製造工程での工数を削減できる。また、この場合、例えば、作業者の目視や手作業等によらずに調整を行うことで、調整を行う作業者によって調整の結果に差(個人差)が生じることを適切に防ぐこともできる。更に、この場合、例えば、専門の作業者以外の印刷装置12のユーザ自身により、調整を実行することもできる。また、この場合、例えば、印刷装置12のユーザが意識することなく、夜間等の印刷装置12が稼働していないタイミングで、自動的に印刷装置12に対する調整を行うこと等も考えられる。また、このような方法で継続的に印刷装置12に対する調整を行うことで、例えばインクジェットヘッドに経年劣化等が発生した場合等にも、適切に調整を行って、印刷物の色を安定させることができる。また、この場合、例えば複数台の同機種の印刷装置12に対して色合わせを行う場合等にも、同じ目標値に対して自動的に調整を実行することで、ユーザが意識することなく、容易かつ適切に調整を行うことができる。また、例えば一部の印刷装置12が遠隔地にある場合等にも、複数台の印刷装置12に対する色合わせを容易かつ適切に行うことができる。
【0051】
また、複数台の印刷装置12に対する色合わせを行う方法に関し、従来の方法としては、例えば、印刷装置12において実際に印刷を行うことで作成される印刷物の色を測定(測色)し、その測定結果を利用する方法等も知られている。この場合、例えば、測定によって得られる情報を印刷用のアプリケーションソフトウェア(例えば、RIP処理用のソフトウェア)にフィードバックして、インクジェットヘッドに吐出させるインクの量を制御することで、色の補正を行う。また、印刷装置の機種によっては、インクジェットヘッドの横等に測色機を搭載し、印刷物の色を自動的に測定することもできる。しかし、このような方法で色合わせを行う場合、例えば、印刷物の色を測定するための機器(測色機等)が必須になる。また、印刷物の色を測定するためには、測定対象となる所定のパターンを所定の用紙等の媒体に対して印刷することが必要になる。そのため、例えば自動的に色を測定する機構を印刷装置が有していたとしても、媒体を印刷装置に取り付ける作業等が必須になる。これに対し、本例においては、例えば、媒体を用いることなく、印刷装置12に対する調整を適切に行うことができる。また、これにより、例えば、作業者が不在の状態での自動的な調整等をより容易かつ適切に行うことができる。
【0052】
また、上記においても説明をしたように、本例において、MPC14は、駆動信号の電圧を変化させることで、インクジェットヘッド202がノズルから吐出するインクの容量を変化させる。この場合、MPC14は、例えば、複数箇所での通過タイミングの時間差Δtを算出し、この時間差Δtに基づき、インクジェットヘッド202へ供給する駆動信号に対する補正値(調整値)を決定する。この場合、時間差Δtを算出することについて、例えば、吐出方向におけるインク滴の速度を算出することに対応すると考えることができる。また、インクジェットヘッド方式でインクを吐出する場合、通常、ノズルから吐出するインクの容量と、インク滴の速度との間には、相関関係があると考えることができる。そのため、時間差Δtとインクの容量との間にも、相関関係があると考えることができる。また、時間差Δtを算出することについて、例えば、インクの容量を算出することに対応すると考えることもできる。また、MPC14は、時間差Δtに基づき、実際に、インク滴の速度又はインクの容量を算出してもよい。この場合、MPC14は、例えば、予め設定された計算式や変換テーブル等に基づき、インク滴の速度又はインクの容量を算出する。また、この場合、MPC14においてインク滴の速度又はインクの容量を算出する動作について、例えば、算出段階及び算出処理の動作の一例と考えることができる。算出段階については、例えば、インクジェットヘッドが吐出する液体の速度又は容量を通過タイミングに基づいて算出する段階等と考えることができる。算出処理については、例えば、算出段階において実行する処理等と考えることができる。また、この場合、MPC14は、算出したインク滴の速度又はインクの容量について、例えば、モニタ等に表示すること等により、ユーザへ表示してもよい。このように構成すれば、例えば、インクジェットヘッド202の状態をユーザに適切に知らせることができる。また、インクジェットヘッド202が吐出するインクの容量を変化させた場合、通常、インク滴の飛翔速度にも変化が生じることになる。そして、この場合、インク滴の飛翔速度が変化することで、例えば、インクの着弾位置にも変化が生じることになる。そのため、MPC14は、印刷装置12に対する調整として、インクの容量を変化させることで、インクの着弾位置の調整を行ってもよい。
【0053】
また、印刷装置12に対する調整としては、インクの容量の調整以外の調整を行うことも考えられる。より具体的に、印刷装置12に対する調整として、例えば、印刷画像に対する画像処理を行うこと等も考えられる。この場合、MPC14は、例えば、印刷装置12における検知部112を用いて検知するインクの通過タイミングに基づいて印刷画像に対する画像処理を行うことで、印刷装置12に対する調整を行う。また、この場合、MPC14は、例えば、画像処理後の印刷画像を示す印刷データを印刷装置12へ供給することで、印刷装置12に対する調整を行う。通過タイミングに基づいて行う画像処理については、例えば、通過タイミングの検知時点でノズルから吐出していたインクの容量を考慮した画像処理等と考えることができる。このように構成した場合も、例えば、印刷装置12に対し、ノズルから吐出するインクの容量に着目した調整を適切に行うことができる。また、印刷装置12に対する調整として、例えば、印刷データの生成時に行う色変換処理で用いるプロファイル(例えば、ICCプロファイル)に対する補正を行うこと等も考えられる。この場合、MPC14は、印刷装置12における検知部112を用いて検知するインクの通過タイミングに基づいてプロファイルを補正し、補正後のプロファイルを用いて生成した印刷データを印刷装置12へ供給することで、印刷装置12に対する調整を行う。また、この場合、補正後のプロファイルを用いて印刷データを生成する動作について、例えば、印刷画像に対する画像処理の動作の一例等と考えることもできる。また、インクの容量の調整以外の調整に関し、例えばノズル毎に通過タイミングの検知を行う場合、駆動信号の電圧の調整以外の方法により、ノズル毎の吐出特性に対する補正を行うことも考えられる。より具体的に、この場合、例えば、吐出するインクの容量が少ないノズルに対し、例えば、そのノズルからのインクの吐出によって形成するインクのドットの数を増やす補正を行うこと等が考えられる。
【0054】
また、上記においても説明をしたように、本例において、MPC14は、検知部112を用いた検知を印刷装置12に行わせた後、検知結果に基づき、印刷装置12に対する調整を行う。これに対し、印刷システム10の動作の変形例においては、検知部112による検知結果に基づき、印刷装置12に対する調整以外の動作を行ってもよい。この場合、印刷システム10の動作について、例えば、検知段階を備える検出方法の動作の一例と考えることができる。また、この検出方法について、例えば、インクジェットヘッド202の動作に関する検出を行う方法等と考えることができる。また、この場合、MPC14において、検知部112によって検知する通過タイミングに基づき、例えば、インクジェットヘッド202や印刷装置12等が適切に動作しているか否かの動作確認等を行うことが考えられる。また、MPC14において、例えば上記においても説明をしたように、検知結果に基づいて算出したインク滴の速度又はインクの容量を表示すること等も考えられる。
【0055】
また、上記においても説明をしたように、本例においては、媒体を用いることなく、印刷装置12に対する調整を適切に行うことができる。これに対し、印刷システム10においては、媒体を用いる調整を印刷装置12に対して更に行ってもよい。この場合、MPC14は、例えば、調整すべき事項(調整項目)に応じて予め設定されたテストパターンを印刷装置12に印刷させる。そして、MPC14は、テストパターンの読み取り結果に基づき、印刷装置12に対する調整を行う。また、この場合、印刷システム10は、例えば、テストパターンが印刷された媒体に対する読み取りを行う画像読取装置等を更に備えることが好ましい。画像読取装置としては、例えば、公知のスキャナ等を好適に用いることができる。また、印刷システム10は、MPC14とは別に、画像解析装置等を更に備えてもよい。この場合、画像解析装置は、例えば、画像読取装置の読み取り結果に対する解析を行うことで、印刷装置12の動作を補正するための補正値を算出する。画像解析装置としては、例えば、画像解析用のプログラムを実行するコンピュータを好適に用いることができる。また、この場合、MPC14は、例えば、画像読取装置が算出した補正値に基づき、印刷装置12の動作を制御する。
【0056】
また、上記においては、印刷装置12について、主に、媒体に対してインクを吐出する場合の構成を説明した。この場合、印刷装置12について、例えば、媒体上に2次元の画像を描くインクジェットプリンタ等と考えることができる。これに対し、印刷システム10の構成の変形例においては、印刷装置12として、例えば、立体的な造形物を造形する3Dプリンタ(3D印刷装置)等を用いることも考えられる。また、この場合、造形中の造形物を支持する造形台や、造形中の造形物について、インクを吐出する対象と考えることができる。この場合も、上記において説明をした方法と同一又は同様にして、印刷装置12に対する調整を適切に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、例えば液体吐出装置の調整方法に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0058】
10・・・印刷システム、102・・・ヘッド部、104・・・プラテン、106・・・走査駆動部、108・・・駆動信号出力部、110・・・フラッシングボックス、112・・・検知部、12・・・印刷装置、120・・・制御部、14・・・MPC、202・・・インクジェットヘッド、302・・・センサ、312・・・発光部、314・・・受光部、50・・・媒体