(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163576
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 11/70 20060101AFI20241115BHJP
B26D 1/08 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B41J11/70
B26D1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079319
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティン イー チン
(72)【発明者】
【氏名】二橋 清剛
【テーマコード(参考)】
2C058
3C027
【Fターム(参考)】
2C058AB16
2C058AC06
2C058AE04
2C058AF31
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA10
2C058LA13
2C058LB09
2C058LB17
2C058LB24
2C058LB37
3C027JJ01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】用紙詰まりを低減可能な技術を提供する。
【解決手段】用紙に対して画像を形成するプリンタであって、固定刃14に接近し、少なくとも先端が該固定刃14上に乗り上げることにより、固定刃14との間に位置する用紙を切断する可動刃243と、可動刃243が挿通可能な開口245を有して可動刃243を収容する筐体241と、開口245における可動刃243との隙間を閉塞し、可動刃243の先端が固定刃14上に乗り上げる場合に、該乗り上げに追従することにより閉塞を継続する閉塞ガイド26とを備えた。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対して画像を形成するプリンタであって、
固定刃に接近し、少なくとも先端が該固定刃上に乗り上げることにより、前記固定刃との間に位置する前記用紙を切断する可動刃と、
前記可動刃が挿通可能な開口部を有して前記可動刃を収容する収容部と、
前記開口部における前記可動刃との隙間を閉塞し、前記可動刃の先端が前記固定刃上に乗り上げる場合に、該乗り上げに追従することにより前記閉塞を継続する閉塞ガイドと
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記閉塞ガイドは、先端が前記可動刃の一方の面に当接することにより前記閉塞を行う
ことを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記閉塞ガイドは、前記可動刃の先端が前記固定刃上に乗り上げた場合、該乗り上げに追従し前記閉塞を継続するために少なくとも一部が変位する
ことを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項4】
前記閉塞ガイドは、前記可動刃の先端が前記固定刃上に乗り上げた場合、該乗り上げに追従可能に可撓性を有する
ことを特徴とする請求項3記載のプリンタ。
【請求項5】
前記閉塞ガイドは、前記収容部と前記閉塞ガイドを覆うガイドカバーとの間の空間内に配置されており、
前記閉塞ガイドと前記ガイドカバーの先端との間に間隙が画成されており、
前記間隙の上下方向長さは、前記可動刃の先端の前記固定刃上への乗り上げに起因する前記閉塞ガイドの上方への移動距離と略同一である
ことを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、普通紙や感熱紙等からなる連続紙に画像を形成するプリンタは、画像形成後の連続紙を所定の長さとなるまで搬送した後、内蔵されたカッタ装置により切断することで所望の形状に切り出す。カッタ装置は、固定刃と可動刃とを有し、これらの刃は連続紙が通過可能に互いに離間して配置されている。間に連続紙が位置した状態で可動刃が固定刃に向けて移動することにより、連続紙を切断することができる。
【0003】
このようなカッタ装置は、装置周囲のプリンタ筐体やカバー等の構成要素との間に間隙が画成されるように配置される。そのため、連続紙の切断後に当該間隙に切断された用紙の先端が入り込むことがある。当該用紙の先端が入り込んだ状態で可動刃が元の位置に戻る等の移動が行われると、用紙がカッタ装置内部で引っ掛かる等して用紙詰まりが生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、用紙詰まりを低減可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、用紙に対して画像を形成するプリンタであって、固定刃に接近し、少なくとも先端が該固定刃上に乗り上げることにより、前記固定刃との間に位置する前記用紙を切断する可動刃と、前記可動刃が挿通可能な開口部を有して前記可動刃を収容する収容部と、前記開口部における前記可動刃との隙間を閉塞し、前記可動刃の先端が前記固定刃上に乗り上げる場合に、該乗り上げに追従することにより前記閉塞を継続する閉塞ガイドとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係るロール紙を収容するプリンタを示す概略斜視図である。
【
図2】実施形態に係るプリンタのカバーを示す斜視図である。
【
図3】実施形態に係るプリンタのカバーを示す平面図である。
【
図5】可動刃が待機状態にあるカッタユニットを示す平面図である。
【
図7】可動刃が前進して固定刃に当接した状態にあるカッタユニットを示す平面図である。
【
図9】可動刃が更に前進して固定刃に乗り上げ始めた状態にあるカッタユニットを示す平面図である。
【
図11】可動刃が更に前進して固定刃への乗り上げが一層進行した状態にあるカッタユニットを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。各図において、同一構成については同一の符号が付される。
【0009】
(プリンタの構成)
本実施形態に係るプリンタの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るロール紙を収容するプリンタを示す概略斜視図である。
図2及び
図3は、本実施形態に係るプリンタのカバーを示す斜視図、平面図である。
図4は、
図3に示されるA-A線断面図である。
【0010】
図1~
図4に示される本実施形態に係るプリンタ1は、感熱紙等の直発色用紙である連続紙(用紙)Sを用いて、直接感熱記録印刷方式により印刷を行うサーマルプリンタとして構成される。プリンタ1は、連続紙Sがロール状に巻回されてなるロール紙Rを収容する筐体10と、筐体10に対して開閉可能に設けられたカバー20とを備え、上面に切断後の連続紙Sを排出する排出口30が形成される。なお、
図1に示されるプリンタ1の図中右斜め下方側をプリンタ1の前方、その逆側を後方と称して以後説明を行う。
【0011】
筐体10は、ロール紙Rを収容する収容空間を画成する略箱状に形成される。筐体10は、後方側と比較して前方側が上方に突出しており、この部分がプリンタ1の上面の一部を形成する。
【0012】
カバー20は、筐体10の後方側上面を被覆可能に形成されている。カバー20は、その一端部に設けられた
図2に示される一対の支軸201が、筐体10内において回動可能に軸支される。カバー20は、一対の支軸201を軸に回動することにより、筐体10の収容空間を開放、閉塞可能に開閉する。
【0013】
排出口30は、筐体10の上面とカバー20の正面とに亘って形成されている。具体的には、筐体10上面の後方側に形成された切り欠き部分と、カバー20上面の前方側に形成された切り欠き部分とにより形成される。排出口30は、下方に窪むことにより凹部として形成される。排出口30内には、詳細は後述する固定刃14とカッタユニット24とが設けられている。これら固定刃14及びカッタユニット24により連続紙Sが切断されることで、ユーザは排出口30から切断された連続紙Sを取得することができる。
【0014】
図2及び
図4に示されるように、筐体10内には、後方側が開放されるように平面視略C字状に形成されたフレーム101が設けられている。フレーム101の上部、つまり排出口30近傍には、印字ヘッド12が取り付けられている。印字ヘッド12は、連続紙Sの幅方向(左右方向)に隣接する複数の発熱素子を有する。印字ヘッド12は、複数の発熱素子が入力されたパルス波に応じて発熱することにより、連続紙Sに画像を形成する。
【0015】
フレーム101の上面は、上述した排出口30の底面の一部を形成する。フレーム101の上面には、後述するカッタユニット24の可動刃243と協働して連続紙Sを切断する固定刃14がビス等の締結具を用いて取り付けられている。固定刃14は、左右方向に延在する板状部材であり、その後端部が可動刃243との間で連続紙Sを切断する刃部分となっている。
【0016】
カバー20には、
図2に示されるように、排出口30内において前方に向かうにつれて下る傾斜面202が形成されている。傾斜面202の前方側先端には、斜面から上方に隆起するように湾曲する2つのガイドカバー203が、互いに左右方向に離間して形成されている。ガイドカバー203についての詳細は後述する。
図4に示されるように、傾斜面202及びガイドカバー203の下方には、プラテンローラ22、カッタユニット24がカバー20に固定される形で設けられている。
【0017】
プラテンローラ22は、裏面側から連続紙Sを印字ヘッド12に圧着するように、印字ヘッド12に対向する位置においてカバー20内で回転可能に軸支される送りローラである。プラテンローラ22は、モータ等の回転装置により回転駆動されることによって、ロール紙Rから巻き解かれた連続紙Sを排出口30から排出するように搬送する。
【0018】
カッタユニット24は、プラテンローラ22の上方、換言すれば連続紙Sの搬送方向の下流側に位置して設けられている。カッタユニット24は、左右方向に長尺な略箱状の筐体241を有する。筐体241内には、可動刃243が設けられている。可動刃243は、左右方向に延在する板状部材であり、その先端部が固定刃14との間で連続紙Sを切断する刃部分となっている。可動刃243は、ソレノイド等の不図示の駆動装置により前後方向に進退動可能に構成されている。当該駆動装置は、プリンタ1が内蔵する制御装置により駆動制御される。可動刃243は、筐体241における前方側壁部の下部に形成される左右方向に延在する開口245に挿通された状態で、筐体241の底面上に設置される。
【0019】
開口245は、可動刃243との間、具体的には可動刃243上方に隙間が画成されるように上下方向に所定の長さを有して形成されている。開口245の前方には、固定刃14が対向するように設けられている。以後、当該隙間を開口間隙と称して説明を行う。開口245に挿通されている可動刃243は、固定刃14に向かって前進、後退する。可動刃243は、固定刃14と当接することにより、それらの間に介在する連続紙Sを切断する。なお、
図2~
図4では、カッタユニット24は、可動刃243の一部が固定刃14上に乗り上げて最前進位置に位置付けられた切断状態となっている。
【0020】
可動刃243の前方側端部における左右方向の両端247は、
図2に示されるように、上方に向かって鋭角(例えば45°)に折り曲げられている。また、可動刃243は、
図3に示されるように、その両端247から左右方向中央に向かうにつれて内方側に窪む形状となっている。つまり両端247は、左右方向中央部分よりも固定刃14側に突出する。
【0021】
図2~
図4に示されるように、カッタユニット24とガイドカバー203との間には、開口245を閉塞するための閉塞ガイド26が配置されている。閉塞ガイド26は、左右方向に延在し、筐体241の前方側上面及び正面に当接してこれらの面を覆うように側面視略L字状に折れ曲がる、可撓性を有する板状部材である。このような閉塞ガイド26は、例えば樹脂成型により製造されるモールド品として構成することが好ましい。その他、ゴム等の弾性体で構成してもよく、可撓性を有して開口245を閉塞可能なものであれば素材、製造方法は問わない。
【0022】
閉塞ガイド26は、その先端、つまり前方側下端部が可動刃243上面に常時当接することにより、可動刃243の移動経路を残して開口245を閉塞する。具体的には、開口245における縁部と、可動刃243上面とにより画成される開口間隙を閉塞するように、閉塞ガイド26が可動刃243の上面に当接する。閉塞ガイド26は、その後方側が筐体241上面とガイドカバー203下面との間に挟まれるようにそれぞれに当接する。閉塞ガイド26の前方側は、可動刃243が前進していない待機状態(
図6参照)ではガイドカバー203先端と離間している。一方、閉塞ガイド26の前方側は、後述するように、切断状態においてはガイドカバー203先端と当接する。
【0023】
閉塞ガイド26は、その左右方向略中央に配置されるセンサカバー28と一体的に形成されている。センサカバー28は、内部に連続紙Sの有無を検知する不図示の用紙センサを収容する箱状に形成されており、その底面が閉塞ガイド26と一体となっている。センサカバー28の正面には用紙センサのための開口が上下方向に延在するように形成されている。センサカバー28は、その後方側においてカバー20に固定されている。したがって閉塞ガイド26は、センサカバー28を介してカバー20に固定されることとなる。
【0024】
連続紙Sは、固定刃14及びカッタユニット24による切断に先立って、排出口30内にまである程度搬送される。そのため、閉塞ガイド26及びセンサカバー28のそれぞれには、少なくとも正面側壁面に上下方向に延在して前方に突出する複数の突起が左右方向に連設されている。この複数の突起により、例えばロール紙Rがライナレスタイプのものである場合、連続紙Sの裏面に塗布または設けられた粘着層と閉塞ガイド26との接触面積を減少できる。
【0025】
(カッタユニット24の動作)
次に、本実施形態に係るカッタユニット24及び閉塞ガイド26の動作について説明する。
図5は、可動刃が待機状態にあるカッタユニットを示す平面図であり、
図6は
図5に示されるB-B線断面図である。
図7は、可動刃が前進して固定刃に当接した状態にあるカッタユニットを示す平面図であり、
図8は
図7に示されるC-C線断面図である。
図9は、可動刃が更に前進して固定刃に乗り上げ始めた状態にあるカッタユニットを示す平面図であり、
図10は
図9に示されるD-D線断面図である。
図11は、可動刃が更に前進して固定刃への乗り上げが一層進行した状態にあるカッタユニットを示す平面図である。
図12は、
図11に示されるE-E線断面図である。
【0026】
図5及び
図6に示されるように、カッタユニット24が待機状態にある場合、可動刃243は両端247近傍が開口245から筐体241外部に突出する。つまり可動刃243の両端247は、排出口30内に露出している。この時、上述したように可動刃243上方に形成される開口245と可動刃243との開口間隙は閉塞ガイド26により閉塞されている。また、閉塞ガイド26は、ガイドカバー203の先端との間に隙間が画成されるように離間している。以後、当該隙間をガイド間隙と称して説明を行う。
【0027】
なお、プリンタ1は、例えば電源OFF時や電源ON直後、連続紙Sへの画像形成時、画像形成後の連続紙Sの排出時等に待機状態となる。待機状態において、連続紙Sは可動刃243と固定刃14との間に介在することとなる。例えば、ロール紙Rのプリンタ1へのセッティングを例に挙げると、先ず連続紙Sをある程度巻き解かれた状態で筐体10の収容空間にロール紙Rがセットされる。セット後、巻き解かれた連続紙Sがプラテンローラ22と印字ヘッド12との間で挟持されるようにカバー20が閉じられる。閉じられることにより、カッタユニット24の可動刃243と固定刃14との間に連続紙Sが介在することとなる。
【0028】
ロール紙Rのセッティング後や、印刷後に連続紙Sが所定量排出口30内に搬送された後、
図7及び
図8に示されるように、可動刃243が前進される。当該先進により、可動刃243は固定刃14に接近する。当該前進時においても、閉塞ガイド26による開口間隙の閉塞は継続される。前進が継続されると、先ず可動刃243の両端247が固定刃14に接触する。
【0029】
接触後、
図9及び
図10に示されるように、更に可動刃243が前進すると、傾斜する両端247の下面を固定刃14が摺動する形で両端247が固定刃14に乗り上げる。この時、連続紙Sはその幅方向両端から可動刃243と固定刃14とにより切断され始める。
【0030】
乗り上げが生じると、可動刃243の両端247は、固定刃14の厚み分上方に移動する。そのため、可動刃243は前後方向において前方に向かうにつれて上方に上るように傾斜した状態となる。このような可動刃243の上方への移動は、上述したように可動刃243上方に開口間隙が画成されることで許容される。したがって、開口間隙の上下方向長さは、可動刃243の固定刃14への乗り上げに起因する上方への移動距離以上であることが好ましい。
【0031】
可動刃243の上方への移動が生じると、先端が可動刃243に当接する閉塞ガイド26も同方向に付勢されることとなる。閉塞ガイド26は、上述した通り可撓性を有するものであるため、可動刃243の移動に応じて撓むように変位する。当該変位により閉塞ガイド26の先端は、軌跡が弧を描いて上方に移動することとなる。このように閉塞ガイド26が変位することにより、開口間隙を閉塞した状態を維持しつつ可動刃243の上方への移動を許容することができる。
【0032】
この閉塞ガイド26の変位は、上述した通りガイドカバー203との間にガイド間隙が画成されているため許容される。このガイド間隙の上下方向長さは、閉塞ガイド26の上方向への移動(変位)距離以上であることが好ましい。特に、ガイド間隙の上下方向長さが上記の移動距離と同一とすることにより、ガイド間隙を完全に閉塞できるため好適である。ガイド間隙を閉塞できれば、開口間隙のみならず、ガイド間隙への連続紙Sの侵入をも防止することができる。なお、ガイド間隙を当該移動距離以下としても、閉塞ガイド26が可撓性を有するため、閉塞ガイド26の先端及び可動刃243の上方向への移動を阻害することはない。ただし、その場合には閉塞ガイド26に対して高い負荷が加わることとなる。
【0033】
乗り上げ後、
図11及び
図12に示されるように、更に可動刃243が前進すると、両端247の後方部分も固定刃14上を移動することとなる。この時、固定刃14に乗り上げた状態と閉塞ガイド26による開口間隙の閉塞とは維持される。可動刃243の前進により、連続紙Sはその幅方向両端から中央にかけて可動刃243と固定刃14とにより切断される。
【0034】
更に可動刃243が前進すると、可動刃243は
図2~
図4に示されるような最前進位置に達する。可動刃243が最前進位置に達すると、カッタユニット24は、連続紙Sの幅方向の切断を完了する切断状態となる。連続紙Sの切断後、待機状態となるまで可動刃243が後退し、これに応じて閉塞ガイド26への付勢も解除されて閉塞ガイド26は元の状態に戻ることとなる。このような切断状態から待機状態への移行の際も、閉塞ガイド26による開口間隙の閉塞は維持される。
【0035】
以上に説明した本実施形態によれば、閉塞ガイド26を可動刃243の移動に追従させることで開口間隙を閉塞した状態を維持することができる。特に、ロール紙Rは連続紙Sが巻回されてなるものであるため、連続紙Sの使用が進むにつれて連続紙Sに生じるカールは強くなる。そのため、開口間隙が閉塞されない状態では高い確率で切断後の連続紙Sが開口間隙の方向に曲がり、開口間隙に挿入された状態となる。この状態で可動刃243の後退が行われると、切断後の連続紙Sによる用紙詰まりが生じてしまう。一方、本実施形態によれば、開口間隙を閉塞した状態を維持することができるため、開口間隙に切断後の連続紙Sが挟まることに起因する用紙詰まりを確実に防止することが可能となる。
【0036】
また、閉塞ガイド26が可撓性を有するため、可動刃243の固定刃14上への乗り上げに際して閉塞ガイド26が持ち上がるように弾性変形する。したがって、可動刃243に高い不可が加わることはなく、可動刃243の前進移動が阻害されることはない。
【0037】
なお、本実施形態においては、プリンタ1は直接感熱記録印刷方式により印字を行うものと説明したが、他の方式により印字を行うものであっても良い。また、ロール紙Rは感熱紙である必要は無い。連続紙Sは複数のラベルが間隔を空けて連続的に貼着されたラベルシート等であってもよく、ライナを有するものであってもよい。つまり、連続紙Sはシート状のものであればよい。
【0038】
また、閉塞ガイド26と一体的に形成されているセンサカバー28が、カバー20内において軸支される等して上下方向に揺動可能としてもよい。この場合、閉塞ガイド26は可撓性を有していなくてもよい。それは、可動刃243の上方への移動に伴い、閉塞ガイド26とセンサカバー28とが一体となって上方に揺動できるためである。
【0039】
同様に、可動刃243の上方への移動に伴う閉塞ガイド26の上方への移動が可能であれば、閉塞ガイド26は可撓性を有していなくてもよい。例えば、閉塞ガイド26とガイドカバー203との離間距離が十分に設けてあれば、可動刃243の上方への移動に伴う閉塞ガイド26の上方への移動は許容される。
【0040】
また、閉塞ガイド26とセンサカバー28とが別体として構成されていてもよい。この場合、閉塞ガイド26がガイド間隙から脱落しないよう、カッタユニット24とカバー20との間で軸支または係止されることが好ましい。その他、閉塞ガイド26を2色成型等により、先端のみを弾性体で構成する等して一部に可撓性を持たせるようにしてもよい。
【0041】
また、閉塞ガイド26は側面視略L字状をなす板状部材であると説明したが、これに限定するものではない。例えば、閉塞ガイド26に代わり、上下方向に延在する2つ以上の棒状部材を左右方向に互いに離間してカッタユニット24とガイドカバー203との間に配置する。2つの棒状部材の先端部がそれぞれ可動刃243に当接し、後端部において互いに接続されるように構成すれば、面ではなく線で開口間隙を閉塞でき、連続紙Sの侵入を防止できる。
【0042】
また、閉塞ガイド26は可動刃243の上面に当接すると説明したが、当接せずに近接させてもよい。この場合、開口間隙の大部分を閉塞できれば、連続紙Sの開口間隙への侵入を低減でき、用紙詰まりを低減することができる。
【0043】
発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 プリンタ
14 固定刃
203 ガイドカバー
241 筐体(収容部)
243 可動刃
245 開口(開口部)
26 閉塞ガイド
S 連続紙