(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163584
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】光学装置、システム、及び移動装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/484 20060101AFI20241115BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20241115BHJP
【FI】
G01S7/484
G01S17/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079331
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】中野 正嗣
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA07
5J084AA10
5J084AB01
5J084AB07
5J084AC02
5J084AD01
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5J084BA04
5J084BA05
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5J084BA38
5J084BA47
5J084BA50
5J084BA52
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB07
5J084BB15
5J084BB16
5J084BB20
5J084BB24
5J084BB25
5J084BB26
5J084BB28
5J084CA03
5J084CA07
5J084CA15
5J084DA01
5J084EA22
5J084EA33
(57)【要約】
【課題】光源の長寿命化と測距精度の向上を両立させることが可能な光学装置を提供すること。
【解決手段】光学装置は、第1及び第2の発光部を備える光源部からの照明光を偏向して物体を走査する偏向部と、物体からの反射光を受光する受光部と、光源部に関する情報に基づいて、第1及び第2の発光部の一方に第1の照明を行わせ、第1及び第2の発光部の他方に所定時間あたりの発光回数が第1の照明における所定時間あたりの発光回数よりも少ない第2の照明を行わせる制御部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の発光部を備える光源部からの照明光を偏向して物体を走査する偏向部と、
前記物体からの反射光を受光する受光部と、
前記光源部に関する情報に基づいて、前記第1及び第2の発光部の一方に第1の照明を行わせ、前記第1及び第2の発光部の他方に所定時間あたりの発光回数が前記第1の照明における前記所定時間あたりの発光回数よりも少ない第2の照明を行わせる制御部とを有することを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1及び第2の発光部のうち前記第1の照明を行う発光部の発光回数が所定値以上である場合、前記第1の照明を行う発光部と前記第2の照明を行う発光部とを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1及び第2の発光部のうち前記第1の照明を行う発光部の温度が所定値以上である場合、前記第1の照明を行う発光部と前記第2の照明を行う発光部とを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記照明光の所定の波長に対する発光強度の変化量が所定値以上である場合、前記第1の照明を行う発光部と前記第2の照明を行う発光部とを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項5】
前記第2の照明における単位照明領域の位置は、前記第1の照明における照明スポットの位置と異なることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項6】
前記第2の照明における単位照明領域の位置は、前記第1の照明における照明スポットの位置と重なることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項7】
前記受光部は、所定の方向に沿って配置される複数の受光素子を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項8】
前記第1の発光部と前記第2の発光部は、前記所定の方向に沿って配置されることを特徴とする請求項7に記載の光学装置。
【請求項9】
前記偏向部は、前記物体を第1の方向に走査し、
前記光源部と前記受光部は、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置されることを特徴とする請求項7に記載の光学装置。
【請求項10】
前記光源部は、前記第1の発光部を含む第1光源と、前記第2の発光部を含む第2光源と、前記第1光源からの光と前記第2光源からの光とを結合する結合部とを備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項11】
前記偏向部は、異なる2つの軸周りに回転することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1の照明を行う発光部が発光する光量と前記第1の照明を行う発光部が発光する光量とが異なるように、前記第1及び第2の発光部を制御することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記受光部の出力に基づいて前記物体の距離情報を取得することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項14】
前記受光部は、前記偏向部からの前記反射光を受光可能な複数の受光素子を備え、
前記偏向部の角度に応じて、前記偏向部からの前記反射光を受光する前記受光素子は異なることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項15】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学装置を備え、該光学装置によって得られた前記物体の距離情報に基づいて移動装置と前記物体との衝突可能性を判定することを特徴とするシステム。
【請求項16】
前記移動装置と前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記移動装置に制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置を備えることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記移動装置と前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記移動装置のユーザに対して警告を行う警告装置を備えることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記移動装置と前記物体との衝突に関する情報を外部に通知する通知装置を備えることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学装置を備え、該光学装置を保持して移動可能であることを特徴とする移動装置。
【請求項20】
前記光学装置によって得られた前記物体の距離情報に基づいて前記物体との衝突可能性を判定する判定部を有することを特徴とする請求項19に記載の移動装置。
【請求項21】
前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、移動を制御する制御信号を出力する制御部を備えることを特徴とする請求項20に記載の移動装置。
【請求項22】
前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記移動装置のユーザに対して警告を行う警告部を備えることを特徴とする請求項20に記載の移動装置。
【請求項23】
前記物体との衝突に関する情報を外部に通知する通知部を備えることを特徴とする請求項19に記載の移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明した対象物からの反射光を受光することで、対象物を検出する光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物までの距離を計測する方法として、照明した対象物からの反射光を受光するまでの時間や反射光の位相から距離を算出するLiDAR(Light Detectionand Ranging)が知られている。特許文献1には、特定の発光部からの照明光が対象物体でない異物に照射された場合、特定の発光部の発光光量を抑制し、他の発光部に照明光を生成させることで、照明光量を維持しつつ異物が対象物体として検知されることを低減する構成が開示されている。特許文献2には、複数の発光部ごとの照明範囲の一部を重ねることで測距距離の長距離化を実現する構成が記載されている。
対象物体が検知エリア内に位置しているかのように判定(誤検知)されることは、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-81030号公報
【特許文献2】特開2021-173663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LiDARでは、測距精度を向上させるために対象物からの反射光を受光部により可能な限り多く受光することが求められるが、対象物からの反射光の光量は対象物が離れているほど少なくなってしまう。そのため、遠方の対象物までの距離を測定するためには、光源の発光強度や発光回数を増やす必要がある。しかしながら、特許文献1及び2の構成では、各発光部の役割が固定されているため、光源の発光強度や発光回数を増やすと、光源の寿命が短くなり光源が故障しやすくなってしまう。
【0005】
本発明は、光源の長寿命化と測距精度の向上を両立させることが可能な光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての光学装置は、第1及び第2の発光部を備える光源部からの照明光を偏向して物体を走査する偏向部と、物体からの反射光を受光する受光部と、光源部に関する情報に基づいて、第1及び第2の発光部の一方に第1の照明を行わせ、第1及び第2の発光部の他方に所定時間あたりの発光回数が第1の照明における所定時間あたりの発光回数よりも少ない第2の照明を行わせる制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光源の長寿命化と測距精度の向上を両立させることが可能な光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】一般的な半導体レーザ及び射出される光束を示す模式図である。
【
図3】実施例1の光学装置の照明パターンの一例を示す図である。
【
図5】実施例2の光学装置の照明方式と受光方式を示す図である。
【
図6】実施例2の光学装置の照明パターンの一例を示す図である。
【
図8】実施例3の光学装置の照明パターンの一例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る車載システムのブロック図である。
【
図10】本実施形態に係る車両(移動装置)の模式図である。
【
図11】本実施形態に係る車載システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
LiDARを用いた光学装置(測距装置)は、対象物(物体)を照明する照明系と対象物からの反射光や散乱光を受光する受光系とから構成される。LiDARでは、照明系と受光系の光軸の一部が互いに一致する同軸系と、各光軸が互いに一致しない非同軸系がある。本実施形態に係る光学装置は、同軸系のLiDARに好適なものであるが、非同軸系のLiDARにも適用可能である。
【0011】
各実施例の光学装置は例えば、自動車等の車両に自動運転支援システムとして使用される。対象物は例えば、歩行者、障害物、及び車両等であり、1~300m程度離れている。各実施例の光学装置は対象物までの距離を計測し、計測結果をもとに車両の方向や速度の制御が実行される。
[実施例1]
図1は、本実施例の光学装置1を側面から見た要部概略図(模式図)である。光学装置1は、光源部10、偏向部20、受光部30、計測部40、制御部50、及び分岐部60を有する。また、
図1には、照明光が対象物(物体)に向かうときの光路(照明光路)70及び対象物からの反射光が受光部30に向かうときの光路(受光光路)71も示されている。
【0012】
本実施例の座標系は、
図1に示されるように定められている。具体的には、光源部10から光が進行する方向に平行な軸をX軸、X軸と直交し分岐部60から受光部30に進行する方向に平行な軸をY軸、X軸及びY軸に垂直な軸をZ軸とする。
【0013】
光学装置1は、対象物からの反射光を受光することで、対象物を検出(撮像)する検出装置(撮像装置)や、対象物までの距離(距離情報)を取得する測距装置として用いることができる。光学装置1では、対象物からの反射光を受光するまでの時間や反射光の位相に基づいて対象物までの距離を算出する、LiDAR(Light Detection And Ranging)という技術が用いられている。本実施例のLiDARは、照明系と受光系の光軸の一部が互いに一致する同軸系である。
【0014】
光源部10は、光源11a,11b、及び光源11a,11bからの照明光をコリメートするレンズ12a,12bを備える。本実施例では、光源11a,11bの一方が第1の発光部として機能し、他方が第2の発光部として機能する。光源11a,11bとして、エネルギー集中度が高く指向性のよいレーザである半導体レーザ等が用いられる。また、光源11a,11bとして、垂直共振器型面発光レーザやVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)も利用可能である。後述するように光学装置1を車載システムに適用する場合は、対象物に人間が含まれる可能性がある。よって、光源11a,11bとしては人間の目に対する影響が少ない赤外光を射出するものを採用することが望ましい。本実施例では、光源11が射出する照明光の波長は、近赤外域に含まれる905nmである。
【0015】
図2は、一般的な半導体レーザ及び射出される光束を示す模式図である。
図2に示されるように、光源11a,11bとしての半導体レーザの活性層から射出される光束は発散光束であり、活性層の発光領域(射出面)111に平行なxy断面における光束の形状は楕円である。また、半導体レーザでは一般的に光束の偏光方向(電場の振動方向)は発光領域111の上下面に平行な方向(zx断面内の方向)となり、この方向の発散角はzy断面内の方向に対して小さくなる。
【0016】
各光源から射出された発散光(照明光)は、レンズ12によってコリメートされ、平行光となる。なお、ここでの平行光は、厳密な平行光束だけではなく、弱発散光や弱収束光を含むものである。
【0017】
光源部10は、光源11aからの照明光と光源11bからの照明光を合波するための結合素子(結合部)13を備える。結合素子13として、ハーフミラーや偏光ビームスプリッタ等が用いられる。本実施例では、結合素子13は偏光ビームスプリッタである。また、光源部10は、光源11bからの照明光の偏光状態を変えるための波長板14を備える。波長板14は、1/2波長板であることが好ましい。
【0018】
光源11aは、
図2のx軸と
図1のY軸とが一致し、かつ
図2のy軸と
図1のZ軸とが一致するように配置されている。このように配置することで、光源11aからの照明光は、偏向方向がY軸方向になり、結合素子13の分岐面に対してP偏向として入射する。その結果、分岐面ではほとんどの光は透過して光源部10から射出され、偏向部20へと進行する。
【0019】
光源11bは、
図2のx軸と
図1のX軸とが一致し、かつ
図2のy軸と
図1のZ軸とが一致するように配置されている。このように配置することで、光源11bからの照明光の偏向方向はX軸方向になる。光源11bの照明光がレンズ12bでコリメートされ、波長板14で位相変化を受けた後、結合素子13に入射する。特に波長板14が1/2波長板である場合、結合素子13の分岐面に対してS偏向として入射する。その結果、分岐面ではほとんどの光は反射して光源部10から射出され、偏向部20へと進行する。
【0020】
偏向部20は、走査素子21を備える。走査素子21は、Y軸方向に平行な回転軸とZ軸方向に平行な回転軸とを有し、光源部10からの+X方向に進行する照明光を対象物に走査すると共に、対象物からの反射光を偏向して受光部30に導光する。走査素子21として、MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラー等を用いることができる。
【0021】
受光部30は、光学フィルタ31、集光レンズ32、及び受光素子33を備える。光学フィルタ31は、所望の光のみを通過させ、それ以外の不要光を遮光(吸収)するための部材であり、本実施例では、光源11a,11bから射出される照明光に対応する波長帯域の光のみを透過させるバンドパスフィルタである。集光レンズ32は、走査素子21からの反射光を受光素子33の受光面に集光する。なお、光学フィルタ31と集光レンズ32の構成は、本実施例の構成に限られるものではない。例えば、必要に応じて各部材の配置の順を入れ替えたり各部材を複数配置したりしてもよい。照明光により照明された対象物からの反射光は、走査素子21により偏向され、光学フィルタ31を通過後、集光レンズ32で集光され受光素子33に入射する。受光素子33は、集光レンズ32からの光を受光し、光電変換して信号を出力するための素子(センサ)である。受光素子33として、PD(Photo Diode)、APD(Avalanche Photo Diode)、及びSPAD(Singel Photon Avalanche Diode)等で構成されたものを用いることができる。
【0022】
分岐部60は、照明光路70と受光光路71とを分岐させ、照明光を偏向部20に導光すると共に、偏向部20からの反射光を受光部30に導光する。分岐部60は、分岐素子61を有する。分岐素子61の照明光が通過する範囲には貫通孔が形成され、対象物からの反射光が通過する範囲には反射部が設けられている。反射部は、金属や誘電体等で構成される反射膜(反射層)により構成される。照明光は分岐素子61の貫通孔を通過して偏向部20に導光され、対象物からの反射光は偏向部20で反射後、分岐素子61の反射部で反射され、受光部30に導光される。
【0023】
計測部40は、光源11a,11bの発光状態を計測する。計測部40は、照明光の一部を取り出すための反射素子41と、取り出された照明光(反射素子41で反射した光)を受光するための受光素子42とを備える。
【0024】
制御部50は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の処理装置(プロセッサ)、又はそれを備える演算装置(コンピュータ)であり、光源11a,11b、走査素子21、受光素子33、及び受光素子42等を制御する。具体的には、制御部50は、光源11a,11b、走査素子21、受光素子33、及び受光素子42のそれぞれを所定の駆動電圧や所定の駆動周波数で駆動するように制御する。制御部50は、例えば光源11a,11bを制御することで照明光をパルス光としたり、照明光の強度変調を行って信号光を生成したりすることができる。
【0025】
また、制御部50は、照明光が射出された時刻(発光時刻)から、受光素子33が反射光を受光した時刻(受光時刻)までの時間に基づいて、対象物の距離情報を取得する。このとき、制御部50は、受光素子33からの信号を特定の周波数で取得してもよい。なお、制御部50は、照明光が射出されてから反射光を受光するまでの時間ではなく、反射光の位相に基づいて対象物の距離情報を取得してもよい。具体的には、制御部50は、光源11a,11bの信号の位相と受光素子33から出力される信号の位相との差分(位相差)を求め、求めた位相差に光速を乗じることで、対象物の距離情報を取得してもよい。
【0026】
また、制御部50は、受光素子42の受光光量に応じて光源11a,11bの発光タイミングや発光回数を切り替えることができる。
【0027】
更に、制御部50は、光源部10に関する情報に応じて、第1及び第2の発光部の一方に第1の照明を行わせ、第1及び第2の発光部の他方に所定時間あたりの発光回数が第1の照明における所定時間あたりの発光回数よりも少ない第2の照明を行わせる。第1の照明における発光回数が第2の照明における発光回数よりも多いということは、第1の照明における照明スポット(単位照明領域)の数が第2の照明における照明スポットの数より多いということである。光源部10に関する情報とは、例えば第1の照明を行う発光部の発光回数である。このとき、制御部50は、第1の照明を行う発光部の発光回数が所定値以上である場合、第1の照明を行う発光部と第2の照明を行う発光部とを切り替える。また、光源部10に関する情報とは、例えば第1の照明を行う発光部の温度である。このとき、制御部50は、第1の照明を行う発光部の温度が所定値以上である場合、第1の照明を行う発光部と第2の照明を行う発光部とを切り替える。なお、後述する実施例2のように第1の発光部と第2の発光部が一つの光源に設けられている場合、光源の温度を、第1の照明を行う発光部の温度とみなしてもよい。また、光源部10に関する情報とは、例えば照明光の所定の波長に対する発光強度の変化量である。後述するように、発光強度の変化により、光源の発熱状態を推定することができる。このとき、制御部50は、照明光の所定の波長に対する発光強度の変化量が所定値以上である場合、第1の照明を行う発光部と第2の照明を行う発光部とを切り替える。
【0028】
図3は、本実施例の光学装置1の照明パターンの一例を示す図である。
図3では、光源11aからの照明光の照明スポットを白抜きで、光源11bからの照明光の照明スポットを黒色で示している。光源11a,11bからの照明光により照明される範囲は、斜線で表されている。
【0029】
図3(a)は、所定のタイミングでの照明パターンを示している。第1の照明範囲は光源11aからの照明光の照明範囲であり、第2の照明範囲は光源11bからの照明光の照明範囲を第2の照明範囲である。
図3(a)では、光源11aによる照明が第1の照明であり、光源11bによる照明が第2の照明であり、第1の照明範囲に含まれる照明スポットの数は第2の照明範囲の照明スポットの数よりも少ない。つまり、光源11bは、光源11aに比べて発光回数が少ない。
図3(a)では、第2の照明範囲は、所定の領域を高解像度化するために使用される。
【0030】
図3(a)では、光源11aは、光源11bよりも発光回数が多いため早く寿命を迎えたり、発熱による温度上昇で故障したりする可能性がある。そこで、本実施例では、一方の光源の短寿命化や故障しやすさを抑制するために、光源11a,11bの役割を適宜切り替える(交代させる)。具体的には計測部40が取り出した照明光の一部の光を用いて、光源11a,11bの発光回数をカウントし、制御部50は光源11a,11bの発光回数に応じて光源11a,11bの役割を切り替える。具体的には、制御部50は、照明範囲が第1の照明範囲である(第1の照明を行っている)光源の発光回数が所定値以上である場合に光源11a,11bの役割を切り替える。また、別の方法を用いて光源11a,11bの役割を切り替えてもよい。例えば、受光素子42に波長ごとに透過率の異なるフィルタを設けてもよい。光源は温度が変化すると波長が変化する特徴を有するため、光量変化が波長変化を表し、その結果光源の発熱状態を推定することができる。制御部50は、一方の光源が過度に発熱している場合、光源11a,11bの役割を切り替える。
【0031】
図3(b)は、制御部50が
図3(a)の状態から光源11a,11bの役割を切り替えたタイミングでの照明パターンを示している。本実施例のLiDARは同軸系であるため、光源11a,11bの発光タイミングと発光回数を制御部50により変更することで、
図3(a)の照明パターンを
図3(b)の照明パターンに切り替えることができる。
図3(b)では、光源11bによる照明が第1の照明であり、光源11aによる照明が第2の照明であり、第1の照明範囲は光源11bからの照明光の照明範囲であり、第2の照明範囲は光源11aからの照明光の照明範囲である。
【0032】
図3(c)は、所定のタイミングでの
図3(a)とは異なる照明パターンを示している。
図3(c)では、光源11aによる照明が第1の照明であり、光源11bによる照明が第2の照明である。
図3(c)では、第1の照明範囲は光源11aからの照明光の照明範囲であり、照明範囲全体である。第2の照明範囲は、光源11a,11bからの照明光の照明範囲が重なる範囲である。光源11a,11bを同時に発光することで、斜線で示される範囲(第1の照明範囲と第2の照明範囲とが重なる範囲)に対する照明光量を増やすことができるため、第2の照明範囲からの反射光を用いることで長距離測距が可能となる。
【0033】
図3(d)は、計測部40の計測結果に応じて制御部50が
図3(c)の状態から光源11a,11bの役割を切り替えたタイミングでの照明パターンを示している。
図3(d)では、光源11bによる照明が第1の照明であり、光源11aによる照明が第2の照明である。第1の照明範囲は光源11bからの照明光の照明範囲であり、第2の照明範囲は光源11a,11bからの照明光の照明範囲である。
【0034】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、光源の長寿命化と測距機能の向上を両立させることができる。
[実施例2]
本実施例では、実施例1と異なる構成についてのみ説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0035】
図4は、本実施例の光学装置2を正面から見た要部概略図(模式図)である。光学装置2は、光源部10、偏向部20、受光部30、計測部40、及び制御部50を有する。
【0036】
図5(a)は、本実施例の光源11を示している。レーザ光を射出させる発光領域は、光源ごとに実施例1では一つだけ設けられているが、本実施例ではY軸方向に沿って二つ(発光領域111a,111b)設けられている。本実施例では、発光領域111a,111bの一方が第1の発光部として機能し、他方が第2の発光部として機能する。
【0037】
偏向部20は、第1走査素子211と第2走査素子212とを備える。第1走査素子211は、Z軸方向に平行な回転軸を有し、光源部10からの+X方向に進行する照明光を偏向して第2走査素子212に導光すると共に、第2走査素子212からの反射光を受光部30に導光する。これにより、対象物のX軸方向を走査することが可能になる。本実施例では、第1走査素子211として4面の反射面を有するポリゴンミラーが用いられる。第2走査素子212は、X軸方向に平行な回転軸を有し、第1走査素子211からの照明光を対象物に走査すると共に、対象物からの反射光を偏向して第1走査素子211に導光する。これにより、対象物のY軸方向を走査することが可能になる。つまり、対象物は第1走査素子211によりX軸方向を、第2走査素子212によりY軸方向を走査され、二つの走査素子を使用することで、広い範囲にわたって測距することが可能となる。
【0038】
受光素子33は、複数の画素により構成される。各画素は、対応する発光領域により照明された対象物からの反射光を受光し、制御部50に信号を出力する。
【0039】
計測部40は、温度計測素子43を備える。光源11は、発光回数や出力に応じて発熱する。温度計測素子43は、光源11の温度(発熱状態)を計測し、計測結果を制御部50に出力する。制御部50は、後述するように光源11の温度が高い場合、発光領域の役割を切り替える。
【0040】
図6は、本実施例の光学装置1の照明パターンの一例を示す図である。
図6では、発光領域111aからの照明光の照明パターンを白抜きで、発光領域111bからの照明光の照明パターンを黒色で示している。発光領域111a,111bからの照明光により照明される範囲は、縦線で表されている。
【0041】
図6(a)と
図6(b)はそれぞれ、所定のタイミングでの発光領域111aからの照明光の照明パターンと発光領域111bからの照明光の照明パターンを示している。
図6(a)と
図6(b)では、発光領域111aからの照明光の照明パターンの数は、発光領域111bからの照明光の照明パターンの数よりも少ない。つまり、発光領域111bは、発光領域111aに比べて発光回数が少ない。
【0042】
図6(c)は、
図6(a)の発光領域111aからの照明光の照明パターンと
図6(b)の発光領域111aからの照明光の照明パターンとを重ねて示した図である。
図6(c)では、発光領域111aによる照明が第1の照明であり、発光領域111bによる照明が第2の照明である。第1の照明範囲は、発光領域111aからの照明光の照明範囲であり、照明範囲全体である。第2の照明範囲は、発光領域111a,111bからの照明光の照明範囲が重なる範囲である。ただし、第2の照明範囲は、発光領域111aからの照明光と発光領域111bの照明光が異なるタイミングで照明される。
【0043】
以下、発光領域111a,111bからの照明光による第2の照明範囲に対する照明について説明する。
図5(b)は、発光タイミングと照明スポットの位置との関係を示している。ただし、本実施例では、第1走査素子211は、第2走査素子212よりも走査速度(走査スピード)が速いものとする。時刻Tがtiである場合、発光領域111bの照明スポットは、発光領域111aの照明スポットよりも第1走査素子211の走査方向に対して先行する。時刻Tがti+δtである場合、発光領域111bの照明スポットは発光領域111aの照明スポットよりも第1走査素子211の走査方向に対して先行する。発光領域111aの照明スポットは、時刻Tがtiである場合の発光領域111bの照明スポットの位置に位置する。時刻Tがti+2δtである場合、発光領域111bの照明スポットは発光領域111aの照明スポットよりも第1走査素子211の走査方向に対して先行する。発光領域111aの照明スポットは、時刻Tがti+δtである場合の発光領域111bの照明スポットの位置に位置する。このようにわずかな時間の遅れがあるものの同じ位置を照明することが可能となる。その結果、二度の測距結果を用いることができるため、測距精度を向上させることができる。
【0044】
図6(d)は、計測部40の計測結果に応じて制御部50が
図6(c)の状態から発光領域111a,111bの役割を切り替えたタイミングでの照明パターンを示している。
図6(d)では、発光領域111bによる照明が第1の照明であり、発光領域111aによる照明が第2の照明である。第1の照明範囲は発光領域111bからの照明光の照明範囲であり、第2の照明範囲は発光領域111a,111bからの照明光の照明範囲が重なる範囲である。
【0045】
図5(c)は、受光素子33の構成を示す図である。受光素子33は、発光領域111a,11bの配置方向と同一方向に沿って設けられた受光領域331a,331bを備える。発光領域111aからの照明光は対象物で反射し、対象物からの反射光は受光領域331aで受光される。一方、発光領域111bからの照明は物体で反射し、対象物からの反射光は受光領域331bで受光される。
【0046】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、光源の長寿命化と測距機能の向上を両立させることができる。
[実施例3]
本実施例では、実施例1と異なる構成についてのみ説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0047】
図7(a)は、本実施例の光学装置3を側面から見た要部概略図(模式図)である。光学装置2は、光源部10、偏向部20、受光部30、及び制御部50を有する。本実施例のLiDARは、照明系と受光系の光軸が互いに一致しない非同軸系である。
【0048】
光源部10は、二つの光源11a,11b、及び光源11a,11bからの照明光をコリメートするレンズ12を備える。本実施例では、光源11a,11bの一方が第1の発光部として機能し、他方が第2の発光部として機能する。光源11a,11bは、
図2のx軸と
図7(a)のZ軸とが一致し、かつ
図2のy軸と
図1のY軸とが一致するように配置されている。レンズ12は、一方向のみに光学パワーを有するシリンドリカルレンズである。なお、レンズ12は、シリンドリカルレンズに限定されず、回折レンズ等の他の光学素子であってもよい。本実施例では、レンズ12は、Z軸周りのみパワーを有する。これにより、光源11a,11bからの照明光は、Y軸方向のみコリメートされ、Z軸方向には発散したままである。
【0049】
走査素子21は、Z軸方向に平行な回転軸を有する。前述したように、光源11a,11bからの照明光はY軸方向のみコリメートされているため、走査素子21によりX軸方向に走査し、二次元の照明が可能となる。なお、本実施例のLiDARは非同軸系であるため、
図7(b)に示される二次元配置され、それぞれが偏向部20からの反射光を受光可能な複数の受光素子33が必要となる。偏向部20の角度に応じて、偏向部20からの反射光を受光する受光素子は異なる。
【0050】
図8は、本実施例の光学装置3の照明パターンを示す図である。
図8では、光源11aからの照明光の照明スポットを白抜きで、光源11bからの照明光の照明スポットを黒色で示している。
【0051】
図8(a)は、所定のタイミングでの照明パターンを示している。
図8(b)では、光源11aによる照明が第1の照明であり、光源11bによる照明が第2の照明である。
図8(b)は、
図8(a)の状態から光源11a,11bの役割を切り替えたタイミングでの照明パターンを示している。実施例2と同様に、照明タイミングはわずかに異なるものの空間的には同じ位置を照明することが可能である。
図8(b)では、光源11bによる照明が第1の照明であり、光源11aによる照明が第2の照明である。
【0052】
本実施例では、光源11a,11bの状態を計測する計測部を設けず、制御部50が光源11a,11bの発光回数をカウントし、発光回数が所定値以上となる場合に光源11a,11bの役割を切り替える。計測部を設けないことで、部品点数を削減することが可能である。
【0053】
制御部50は、第1の照明範囲を形成する光源の光量と、第2の照明範囲を形成する光源の光量が異なるように制御してもよい。例えば、
図8(a)において、光源11bの光量を光源11aの光量より多くすることで第2の照明範囲を用いて長距離測距が可能となり、発光回数も少ないため光源を長寿命化することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、光源の長寿命化と測距機能の向上を両立させることができる。
[車載システム]
図9は、本実施形態に係る光学装置100及びそれを備える車載システム(運転支援装置)1000の構成図である。光学装置100は、各実施例の光学装置のいずれかである。車載システム1000は、自動車(車両)等の移動可能な移動体(移動装置)により保持され、光学装置100により取得した車両の周囲の障害物や歩行者などの対象物の距離情報に基づいて、車両の運転(操縦)を支援するための装置である。
図10は、車載システム1000を含む車両500の模式図である。
図10においては、光学装置100の測距範囲(検出範囲)を車両500の前方に設定した場合を示しているが、測距範囲を車両500の後方や側方などに設定してもよい。
【0055】
図10に示されるように、車載システム1000は、光学装置100と、車両情報取得装置200と、制御装置(ECU:エレクトロニックコントロールユニット)300と、警告装置(警告部)400とを備える。車載システム1000において、光学装置100が備える制御部は、距離取得部(取得部)及び衝突判定部(判定部)としての機能を有する。ただし、必要に応じて、車載システム1000において制御部とは別体の距離取得部や衝突判定部を設けてもよく、夫々を光学装置100の外部(例えば車両500の内部)に設けてもよい。あるいは、制御装置300を制御部として用いてもよい。
【0056】
図11は、本実施形態に係る車載システム1000の動作例を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って車載システム1000の動作を説明する。
【0057】
まず、ステップS1では、光学装置100の光源部により車両の周囲の対象物を照明し、対象物からの反射光を受光することで受光部が出力する信号に基づいて、制御部により対象物の距離情報を取得する。また、ステップS2では、車両情報取得装置200により車両の車速、ヨーレート、舵角等を含む車両情報の取得を行う。そして、ステップS3では、制御部によって、ステップS1で取得された距離情報やステップS2で取得された車両情報を用いて、対象物までの距離が予め設定された設定距離の範囲内に含まれるか否かの判定を行う。
【0058】
これにより、車両の周囲の設定距離内に対象物が存在するか否かを判定し、車両と対象物との衝突可能性を判定することができる。なお、ステップS1及びS2は、上記の順番とは逆の順番で行われてもよいし、互いに並列して処理を行われてもよい。制御部は、設定距離内に対象物が存在する場合は「衝突可能性あり」と判定し(ステップS4)、設定距離内に対象物が存在しない場合は「衝突可能性なし」と判定する(ステップS5)。
【0059】
次に、制御部は、「衝突可能性あり」と判定した場合、その判定結果を制御装置300や警告装置400に対して通知(送信)する。このとき、制御装置300は制御部での判定結果に基づいて車両を制御し(ステップS6)、警告装置400は制御部での判定結果に基づいて車両のユーザ(運転者)への警告を行う(ステップS7)。なお、判定結果の通知は、制御装置300及び警告装置400の少なくとも一方に対して行えばよい。
【0060】
制御装置300は、車両に対して、例えばブレーキをかける、アクセルを戻す、ハンドルを切る、各輪に制動力を発生させる制御信号を生成してエンジンやモータの出力を抑制するなどの制御を行う。また、警告装置400は、運転者に対して、例えば警告音を発する、カーナビゲーションシステムなどの画面に警告情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与える等の警告を行う。
【0061】
以上、本実施形態に係る車載システム1000によれば、上記の処理により対象物の検出及び測距を行うことができ、車両と対象物との衝突を回避することが可能になる。特に、上述した各実施例に係る光学装置1を車載システム1000に適用することで、高い測距精度を実現することができるため、対象物の検出及び衝突判定を高精度に行うことが可能になる。
【0062】
なお、本実施形態では、車載システム1000を運転支援(衝突被害軽減)に適用したが、これに限らず、車載システム1000をクルーズコントロール(全車速追従機能付を含む)や自動運転等に適用してもよい。また、車載システム1000は、自動車等の車両に限らず、例えば船舶や航空機、産業用ロボット等の移動体に適用することができる。また、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)や監視システム等の物体認識を利用する種々の機器に適用することができる。
【0063】
また、車載システム1000や移動装置は万が一、移動装置が障害物に衝突した場合に、その旨を車載システムの製造元(メーカー)や移動装置の販売元(ディーラー)などに通知するための通知装置(通知部)を備えていてもよい。例えば、通知装置としては、移動装置と障害物との衝突に関する情報(衝突情報)を予め設定された外部の通知先に対して電子メールなどによって送信するもの採用することができる。
【0064】
このように、通知装置によって衝突情報を自動通知する構成を採ることにより、衝突が生じた後に点検や修理などの対応を速やかに行うことができる。なお、衝突情報の通知先は、保険会社、医療機関、警察などや、ユーザが設定した任意のものであってもよい。また、衝突情報に限らず、各部の故障情報や消耗品の消耗情報を通知先に通知するように通知装置を構成してもよい。衝突の有無の検知については、上述した受光部からの出力に基づいて取得された距離情報を用いて行ってもよいし、他の検知部(センサ)によって行ってもよい。
【0065】
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
第1及び第2の発光部を備える光源部からの照明光を偏向して物体を走査する偏向部と、
前記物体からの反射光を受光する受光部と、
前記光源部に関する情報に基づいて、前記第1及び第2の発光部の一方に第1の照明を行わせ、前記第1及び第2の発光部の他方に所定時間あたりの発光回数が前記第1の照明における前記所定時間あたりの発光回数よりも少ない第2の照明を行わせる制御部とを有することを特徴とする光学装置。
(構成2)
前記制御部は、前記第1及び第2の発光部のうち前記第1の照明を行う発光部の発光回数が所定値以上である場合、前記第1の照明を行う発光部と前記第2の照明を行う発光部とを切り替えることを特徴とする構成1に記載の光学装置。
(構成3)
前記制御部は、前記第1及び第2の発光部のうち前記第1の照明を行う発光部の温度が所定値以上である場合、前記第1の照明を行う発光部と前記第2の照明を行う発光部とを切り替えることを特徴とする構成1に記載の光学装置。
(構成4)
前記制御部は、前記照明光の所定の波長に対する発光強度の変化量が所定値以上である場合、前記第1の照明を行う発光部と前記第2の照明を行う発光部とを切り替えることを特徴とする構成1に記載の光学装置。
(構成5)
前記第2の照明における単位照明領域の位置は、前記第1の照明における照明スポットの位置と異なることを特徴とする構成1乃至4の何れか一つに記載の光学装置。
(構成6)
前記第2の照明における単位照明領域の位置は、前記第1の照明における照明スポットの位置と重なることを特徴とする構成1乃至4の何れか一つに記載の光学装置。
(構成7)
前記受光部は、所定の方向に沿って配置される複数の受光素子を備えることを特徴とする構成1乃至6の何れか一つに記載の光学装置。
(構成8)
前記第1の発光部と前記第2の発光部は、前記所定の方向に沿って配置されることを特徴とする構成7に記載の光学装置。
(構成9)
前記偏向部は、前記物体を第1の方向に走査し、
前記光源部と前記受光部は、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置されることを特徴とする構成7又は8に記載の光学装置。
(構成10)
前記光源部は、前記第1の発光部を含む第1光源と、前記第2の発光部を含む第2光源と、前記第1光源からの光と前記第2光源からの光とを結合する結合部とを備えることを特徴とする構成1乃至9の何れか一つに記載の光学装置。
(構成11)
前記偏向部は、異なる2つの軸周りに回転することを特徴とする構成1乃至10の何れか一つに記載の光学装置。
(構成12)
前記制御部は、前記第1の照明を行う発光部が発光する光量と前記第1の照明を行う発光部が発光する光量とが異なるように、前記第1発光部と前記第2発光部を制御することを特徴とする構成1乃至11の何れか一つに記載の光学装置。
(構成13)
前記制御部は、前記受光部の出力に基づいて前記物体の距離情報を取得することを特徴とする構成1乃至12の何れか一つに記載の光学装置。
(構成14)
前記受光部は、前記偏向部からの前記反射光を受光可能な複数の受光素子を備え、
前記偏向部の角度に応じて、前記偏向部からの前記反射光を受光する前記受光素子は異なることを特徴とする構成1乃至13の何れか一つに記載の光学装置。
(構成15)
構成1乃至14の何れか一つに記載の光学装置を備え、該光学装置によって得られた前記物体の距離情報に基づいて移動装置と前記物体との衝突可能性を判定することを特徴とするシステム。
(構成16)
前記移動装置と前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記移動装置に制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置を備えることを特徴とする構成15に記載のシステム。
(構成17)
前記移動装置と前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記移動装置のユーザに対して警告を行う警告装置を備えることを特徴とする構成15又は16に記載のシステム。
(構成18)
前記移動装置と前記物体との衝突に関する情報を外部に通知する通知装置を備えることを特徴とする構成15乃至17の何れか一つに記載のシステム。
(構成19)
構成1乃至14の何れか一つに記載の光学装置を備え、該光学装置を保持して移動可能であることを特徴とする移動装置。
(構成20)
前記光学装置によって得られた前記物体の距離情報に基づいて前記物体との衝突可能性を判定する判定部を有することを特徴とする構成19に記載の移動装置。
(構成21)
前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、移動を制御する制御信号を出力する制御部を備えることを特徴とする構成20に記載の移動装置。
(構成22)
前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記移動装置のユーザに対して警告を行う警告部を備えることを特徴とする構成20又は21に記載の移動装置。
(構成23)
前記物体との衝突に関する情報を外部に通知する通知部を備えることを特徴とする構成19乃至22の何れか一つに記載の移動装置。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 光学装置
10 光源部
20 偏向部
30 受光部
50 制御部