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特開2024-163586表示装置、ヘッドマウントディスプレイ、制御方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163586
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】表示装置、ヘッドマウントディスプレイ、制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20241115BHJP
   G02B 27/02 20060101ALN20241115BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079335
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 一治
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA06
2H199CA32
2H199CA42
2H199CA48
2H199CA67
2H199CA72
2H199CA92
(57)【要約】
【課題】眼球に対して、より適切かつ簡便にディスプレイまたはレンズなどを配置可能にする。
【解決手段】表示装置は、画像を表示する表示手段と、前記表示手段を見るユーザの眼球の、前記表示手段の第1の部材に対する相対的な位置を取得する取得手段と、前記ユーザの第1の操作によって前記ユーザの眼球に対する前記第1の部材の相対的な位置が手動で調整された場合には、前記第1の部材に対する前記眼球の相対的な位置に基づき、前記表示装置における前記第1の部材の位置を自動で調整する調整手段と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を見るユーザの眼球の、前記表示手段の第1の部材に対する相対的な位置を取得する取得手段と、
前記ユーザの第1の操作によって前記ユーザの眼球に対する前記第1の部材の相対的な位置が手動で調整された場合には、前記第1の部材に対する前記眼球の相対的な位置に基づき、前記表示装置における前記第1の部材の位置を自動で調整する調整手段と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1の部材と一体に構成され、前記眼球を撮像した眼球画像を取得する撮像手段をさらに有し、
前記取得手段は、前記眼球画像における眼球の位置を、前記第1の部材に対する前記眼球の相対的な位置として取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記眼球画像における第1の範囲に前記眼球を配置する操作を前記第1の操作として行うように前記ユーザに要求する要求手段をさらに有し、
前記調整手段は、前記眼球画像における前記第1の範囲に位置する前記眼球を、前記第1の範囲に含まれる第2の範囲に配置するように、前記第1の部材の位置を調整する、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
表示手段を見るユーザの第1の操作によって、前記表示手段の第1の部材の前記ユーザの眼球に対する相対的な位置を手動で調整可能な表示装置であって、
画像を表示する前記表示手段と、
前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整可能な方向の一部の方向に、前記第1の操作とは異なる前記ユーザの第2の操作によって、前記表示装置における前記第1の部材の位置を調整可能な調整手段と、
1)前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求し、2)前記第1の操作により前記第1の部材の位置の調整が行われた後に、前記第2の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する要求手段と、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
前記第1の部材と一体に構成された撮像手段であって、前記ユーザの眼球を撮像した眼球画像を取得する撮像手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記要求手段は、
前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する場合には、前記眼球画像における第1の範囲に前記眼球を配置するような操作を前記第1の操作として行うように要求し、
前記第2の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する場合には、前記眼球画像における前記第1の範囲に位置する前記眼球を、前記第1の範囲に含まれる第2の範囲に配置するような操作を前記第2の操作として行うように要求する、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1の範囲は、前記第2の範囲、および前記調整手段の調整によって前記第1の部材の位置を調整可能な量に基づく範囲である、
ことを特徴とする請求項3または6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記要求手段は、前記調整手段によって前記眼球画像における眼球を前記第2の範囲に配置可能でない場合には、再度、前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する、
ことを特徴とする請求項3または6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記要求手段は、前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する場合には、前記ユーザに調整を求める対象と調整方向の少なくともいずれかを表す指示を表示する、
ことを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1の部材は、前記ユーザの左の眼球に対応する第2の部材と、前記ユーザの右の眼球に対応する第3の部材とを有する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記調整手段は、前記第2の部材と前記第3の部材とが略同一のベクトルで移動するように、前記第2の部材の位置と前記第3の部材の位置とを調整可能である、
ことを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記調整手段は、前記第2の部材と前記第3の部材とが互いに略逆のベクトルで移動するように、前記第2の部材の位置と前記第3の部材の位置とを調整可能である、
ことを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項13】
前記調整手段は、前記第1の部材のシフト移動が可能である、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1の操作では、前記第1の部材の回転移動が可能である、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項15】
表示装置であって、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を見るユーザの眼球の、前記表示手段の第1の部材に対する相対的な位置を取得する取得手段と、
前記ユーザの第1の操作によって前記ユーザの眼球に対する前記第1の部材の相対的な位置が調整された場合には、前記第1の部材に対する前記眼球の相対的な位置に基づき、前記表示装置における前記第1の部材の位置を調整する調整手段と、
を有し、
前記第1の操作は、前記第1の部材を回転移動させる機構の調整であり、
前記調整手段は、前記第1の部材をシフト移動させる機構での調整を行う、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項16】
前記表示装置は、前記ユーザの頭部に装着するヘッドマウントディスプレイである、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項17】
ユーザの頭部に装着するヘッドマウントディスプレイであって、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を見る前記ユーザの眼球の、前記表示手段の第1の部材に対する相対的な位置を取得する取得手段と、
前記ユーザの第1の操作によって前記ユーザの眼球に対する前記第1の部材の相対的な
位置が調整された場合には、前記第1の部材に対する前記眼球の相対的な位置に基づき、前記ヘッドマウントディスプレイにおける前記第1の部材の位置を調整する調整手段と、を有し、
前記第1の操作は、前記ユーザの頭部に装着する機構への操作であり、
前記調整手段は、前記ユーザの頭部に装着する機構以外の機構での調整を行う、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項18】
表示手段を有する表示装置の制御方法であって、
前記表示手段を見るユーザの眼球の、前記表示手段の第1の部材に対する相対的な位置を取得する取得ステップと、
前記ユーザの第1の操作によって前記ユーザの眼球に対する前記第1の部材の相対的な位置が手動で調整された場合には、前記第1の部材に対する前記眼球の相対的な位置に基づき、前記表示装置における前記第1の部材の位置を自動で調整する調整ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項19】
表示手段を見るユーザの第1の操作によって、前記表示手段の第1の部材の前記ユーザの眼球に対する相対的な位置を手動で調整可能な表示装置の制御方法であり、
前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整可能な方向の一部の方向に、前記第1の操作とは異なる前記ユーザの第2の操作によって、前記表示装置における前記第1の部材の位置を調整可能な調整手段を有する表示装置の制御方法であって、
前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する第1の要求ステップと、
前記第1の操作により前記第1の部材の位置の調整が行われた後に、前記第2の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する第2の要求ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項20】
コンピュータを、請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、ヘッドマウントディスプレイ、制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(以下、「HMD」と呼ぶ)には、ユーザの画像を表示する表示ユニットと、HMDをユーザの頭部に固定する頭部装着機構とを含む構成が用いられる。表示ユニットは、画像を表示するディスプレイおよび接眼レンズなどの表示用部材を含む。この構成では、HMDは頭部装着機構によりユーザの頭部に固定され、表示ユニットがユーザの眼前に配置される。ユーザは、接眼レンズを介してディスプレイを観測し、ディスプレイに表示される画像を見る。
【0003】
このようなHMDでは、一般に、表示用部材とユーザの眼球との位置ずれが大きい場合に、ユーザが視認する画像の画質が劣化してしまう。画質の劣化を防ぐためには、ユーザの眼球と表示用部材との位置関係を適切に調整する必要がある。
【0004】
表示用部材の位置調整部は、ユーザ頭部に対する頭部装着機構の位置を調整することによって、HMDごとの表示用部材の位置を調整する可能にする。また、HMDは、眼球を観察する眼球カメラによって表示用部材と眼球のズレを検出し、頭部装着機構の調整をユーザに指示する装着アシスト機能を有することもある。
【0005】
しかしながら、頭部装着機構は、複数の方向に自由度を有するため、全ての方向について表示用部材の位置を高精度に調整することは難しい。このため、眼球カメラを用いた頭部装着機構の装着アシストが存在したとしても、各自由度の調整の精度には限界がある。一方で、特許文献1には、頭部装着機構以外の調整部を含む複数の調整部を用いて、表示用部材の位置を調整する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-102077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の方法では、複数の調整部の調整の順番および調整量がユーザに分かりにくく、結果として調整が煩雑となる可能性があった。このため、HMDにおいて、表示用部材をユーザの眼球に対して、適切に配置する際は調整が煩雑であった。
【0008】
そこで、本発明は、眼球に対して、より適切かつ簡便にディスプレイまたはレンズなどを配置可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様は、
表示装置であって、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を介して前記ディスプレイを見るユーザの眼球の、前記表示手段の第1の部材に対する相対的な位置を取得する取得手段と、
前記ユーザの第1の操作によって前記ユーザの眼球に対する前記第1の部材の相対的な位置が手動で調整された場合には、前記第1の部材に対する前記眼球の相対的な位置に基
づき、前記表示装置における前記第1の部材の位置を自動で調整する調整手段と、
を有することを特徴とする表示装置である。
【0010】
本発明の1つの態様は、
表示手段を見るユーザの第1の操作によって、前記表示手段の第1の部材の前記ユーザの眼球に対する相対的な位置を手動で調整可能な表示装置であって、
画像を表示する前記表示手段と、
前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整可能な方向の一部の方向に、前記第1の操作とは異なる前記ユーザの第2の操作によって、前記表示装置における前記第1の部材の位置を調整可能な調整手段と、
1)前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求し、2)前記第1の操作により前記第1の部材の位置の調整が行われた後に、前記第2の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する要求手段と、を有することを特徴とする表示装置である。
【0011】
本発明の1つの態様は、
表示手段を有する表示装置の制御方法であって、
前記表示手段を見るユーザの眼球の、前記表示手段の第1の部材に対する相対的な位置を取得する取得ステップと、
前記ユーザの第1の操作によって前記ユーザの眼球に対する前記第1の部材の相対的な位置が手動で調整された場合には、前記第1の部材に対する前記眼球の相対的な位置に基づき、前記表示装置における前記第1の部材の位置を自動で調整する調整ステップと、
を有することを特徴とする制御方法である。
【0012】
本発明の1つの態様は、
表示手段を見るユーザの第1の操作によって、前記表示手段の第1の部材の前記ユーザの眼球に対する相対的な位置を手動で調整可能な表示装置の制御方法であり、
前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整可能な方向の一部の方向に、前記第1の操作とは異なる前記ユーザの第2の操作によって、前記表示装置における前記第1の部材の位置を調整可能な調整手段を有する表示装置の制御方法であって、
前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する第1の要求ステップと、
前記第1の操作により前記第1の部材の位置の調整が行われた後に、前記第2の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する第2の要求ステップと、
を有することを特徴とする制御方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、眼球に対して、より適切かつ簡便にディスプレイまたはレンズなどを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係るHMDの構成を説明する図である。
図2】実施形態1に係るHMDの構成を説明する図である。
図3】実施形態1に係る頭部装着機構と水平シフト機構を説明する図である。
図4】実施形態1に係る頭部装着機構と水平シフト機構を説明する図である。
図5】実施形態1に係るチルト機構と上下シフト機構を説明する図である。
図6】実施形態1に係るチルト機構と上下シフト機構を説明する図である。
図7】実施形態1に係る表示用部材の位置の調整のフローチャートである。
図8】実施形態1に係る表示用部材の位置の調整を説明する図である。
図9】実施形態1に係る調整指示画像を示す図である。
図10】変形例に係る表示用部材の位置の調整を説明する図である。
図11】実施形態2に係るHMDの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための実施形態について説明する。
【0016】
<実施形態1>
図1A図1B図2A、および図2Bを用いて、実施形態1に係るHMD1について説明する。図1Aは、HMD1の外観図である。図1Bは、HMD1に含まれるHMD本体11の外観図である。図2Aは、HMD1が有する構成(ディスプレイ121a、ディスプレイ121b、接眼レンズ122a、接眼レンズ122b、眼球カメラ123a、眼球カメラ123b)を表す図である。図2Bは、左の眼球91aの画像、および右の眼球91bの画像を示す。
【0017】
HMD1は、ユーザの頭部に装着する表示装置である。図1Aに示すように、HMD1は、HMD本体11、頭部装着機構13、複数の連結機構(上下シフト機構141およびチルト機構142)を有する。複数の連結機構は、HMD本体11と頭部装着機構13を連結する。
【0018】
HMD本体11は、頭部装着機構13と複数の連結機構とによって保持される。HMD本体11は、ユーザの眼前に配置される。頭部装着機構13は、ユーザの頭部に固定される鉢巻状の部材である。
【0019】
図1Bに示すように、HMD本体11は、左右の眼に対応する2つの表示ユニット12を有する。2つの表示ユニット12は、左側表示ユニット12a(ユーザの左眼のために画像を表示するユニット)と、右側表示ユニット12b(ユーザの右眼のために画像を表示するユニット)である。
【0020】
図2Aは、2つの表示ユニット12に含まれる表示用部材を表す図である。左側表示ユニット12aは、ディスプレイ121aと接眼レンズ122aを、表示用部材(光学部材)として有する。右側表示ユニット12bは、ディスプレイ121bと接眼レンズ122bを表示用部材(光学部材)として有する。以下では、ディスプレイ121aと接眼レンズ122aをまとめて「表示用部材120a」と呼び、ディスプレイ121bと接眼レンズ122bをまとめて「表示用部材120b」と呼ぶ。
【0021】
ディスプレイ121aおよびディスプレイ121bは、それぞれ画像を表示する。ユーザは、接眼レンズ122aおよび接眼レンズ122bを介して、ディスプレイ121aおよびディスプレイ121bに表示された画像を見る。左側表示ユニット12aと右側表示ユニット12bはそれぞれ、ユーザの眼球に赤外光を投光する複数のIRED素子124を有する。左側表示ユニット12aは、眼球を観察する眼球カメラ123a(撮像部)を有する。右側表示ユニット12bは、眼球を観察する眼球カメラ123b(撮像部)を有する。左側表示ユニット12aが眼球カメラ123aと表示用部材120aを一体として有するため、眼球カメラ123aの位置は、表示用部材120aの位置の変化とともに変化する。右側表示ユニット12bが眼球カメラ123bと表示用部材120bを一体として有するため、眼球カメラ123bの位置は、表示用部材120bの位置の変化とともに変化する。
【0022】
図2Bは、眼球カメラ123aによって取得されたユーザの左眼の眼球91aの画像、および、眼球カメラ123bによって取得されたユーザの右眼の眼球91bの画像を示す
。眼球カメラ123aは、左の瞳孔911aの輪郭および赤外光の反射光を観察し、左側表示ユニット12aに対する眼球91aの2次元もしくは3次元の相対位置を取得する。眼球カメラ123bは、右の瞳孔911bの輪郭および赤外光の反射光を観察し、右側表示ユニット12bに対する眼球91bの2次元もしくは3次元の相対位置を取得する。
【0023】
ここで、HMD1が有する調整部(調整部材)について述べる。調整部は、眼球91aに対する表示用部材120aの相対的な位置、および、眼球91bに対する表示用部材120bの相対的な位置を調整可能である。HMD1は、調整部として、頭部装着機構13、上下シフト機構141、チルト機構142、および水平シフト機構143を有する。以下では、図1Aおよび図1Bに示すように、ユーザの左右方向を「X方向」と呼び、正面方向を「Z方向」と呼び、X方向とZ方向に略直交する方向を「Y方向」と呼ぶ。
【0024】
頭部装着機構13は、ユーザの頭部に取り付けられる場合に、複数の方向に自由度を有する。例えば、頭部装着機構13は、HMD本体11に対してY方向(図1AのSy方向)に移動すること、および、X方向~Z方向周りの回転方向(図1AのRx方向、Rz方向、Ry方向)に回転することが可能である。複数の方向に自由度を有する頭部装着機構13を調整しつつ、ユーザの頭部にHMD1を装着することで、HMD本体11のY方向の位置および、X方向~Z方向周りの回転位置を調整することができる。ただし、複数の方向それぞれに関して、頭部装着機構13を同時に高精度に調整することは困難である。このため、HMD本体11を高精度に調整するためには、それぞれの方向の位置を個別調整するための調整部(頭部装着機構13以外の調整部)が別途必要である。
【0025】
上下シフト機構141は、頭部装着機構13に対してHMD本体11をY方向(図1AのSy’方向)にシフト(シフト移動)し、HMD本体11のY方向の位置を調整する調整部である。
【0026】
チルト機構142は、上下シフト機構141に対してHMD本体11をX方向周り(図1AのRx’方向)に回転(回転移動)させる調整部である。チルト機構142は、HMD本体11のX方向周りの回転位置を調整する。チルト機構142は、上下シフト機構141に連結される。
【0027】
水平シフト機構143は、左側表示ユニット12aと右側表示ユニット12bのそれぞれを、HMD本体11(HMD1)において個別(独立)にX方向(図1BのSx方向)に移動させる調整部である。HMD1では、水平シフト機構143は、回転モータ143aおよび不図示の案内機構などを総称した機構である。水平シフト機構143によれば、HMD本体11(HMD1)における、左側表示ユニット12aのX方向の位置と右側表示ユニット12bのX方向の位置をそれぞれ個別に調整できる。
【0028】
回転モータ143aは、リード軸143bを有する駆動部である。左側表示ユニット12aは1つのリード軸143bに係合され、右側表示ユニット12bは他の1つのリード軸143bに係合される。HMD1は、回転モータ143aを制御することにより、リード軸143bを回転させる。リード軸143bの回転によって、HMD本体11(HMD1)において、左側表示ユニット12aおよび右側表示ユニット12bのX方向の位置が調整可能である。
【0029】
(複数の調整部の間の関係について)
ここで、複数の調整部の間の関係を、眼球カメラ123aおよび眼球カメラ123bがユーザの左右の眼球を撮影した眼球画像を参照して説明する。
【0030】
図3A図3C、および、図4A図4Cは、頭部装着機構13と水平シフト機構14
3の関係を説明する図である。図3A図3Cは、頭部装着機構13と水平シフト機構143との調整によるHMD本体11(表示用部材120aおよび表示用部材120b)の位置の調整を説明する図である。図4A図4Cは、眼球カメラ123aおよび眼球カメラ123bによって取得される眼球画像(左の眼球91aの眼球画像および右の眼球91bの眼球画像)を示す。左の眼球91aの眼球画像における眼球91aの位置は、表示用部材120aに対する眼球91aの相対的な位置を示す。右の眼球91bの眼球画像における眼球91bの位置は、表示用部材120bに対する眼球91bの相対的な位置を示す。
【0031】
図3Aに示すように、頭部装着機構13によってY方向周り(図3AのRy1方向)の2つの表示ユニット12の位置を調整する場合を考える。この場合には、2つの表示ユニット12(表示用部材120aおよび表示用部材120b)は、略同一のベクトルで移動する。このため、図4Aに示すように、2つの眼球画像において、眼球91aおよび眼球91bを共に、略同一のベクトル(図4AのSx5、Sx6)で移動させることができる。
【0032】
図3Bに示すように、水平シフト機構143によって2つの表示ユニット12の位置をX方向の同じ方向(図3BのSx1方向、Sx2方向)に調整する場合を考える。この場合には、2つの表示ユニット12(表示用部材120aおよび表示用部材120b)は、略同一のベクトルで移動する。このため、図4Bに示すように、2つの眼球画像において、眼球91aおよび眼球91bを略同一のベクトル(図4BのSx7,Sx8)で移動させることができる。
【0033】
なお、図3Cのように水平シフト機構143によって2つの表示ユニット12の位置を互いにX方向の逆方向(図3CのSx3方向、Sx4方向)に調整する場合を考える。この場合には、2つの表示ユニット12(表示用部材120aおよび表示用部材120b)は、互いに略逆のベクトルで移動する。このため、図4Cに示すように、2つの眼球画像において、眼球91aおよび眼球91bを互いに略逆のベクトル(図4CのSx9,Sx10)で移動させる動作ができる。
【0034】
上述の説明では、2つの眼球画像の平面内における眼球が移動するベクトルについて説明した。しかし、眼球カメラ123aの光軸および眼球カメラ123bの光軸は、必ずしも互いに平行であるとは限らない。そこで、この2つの光軸が平行でない場合には、光軸の傾きの影響を補正した眼球画像を生成した後で、眼球が移動するベクトルを3次元的に算出することが適切である。このため、眼球が移動するベクトルは、眼球画像の平面方向の成分のみではなく、奥行き方向の成分も有する。
【0035】
なお、水平シフト機構143を用いた調整では、図4Bに示すように眼球91aおよび眼球91bを略同一の方向にシフトさせる動作と、図4Cに示すように眼球91aおよび眼球91bを略逆の方向にシフトさせる動作を複合して実行可能である。これにより、ユーザの眼球91aおよび眼球91bのそれぞれを、X方向において個別に位置の調整が可能である。例えば、眼球91aと眼球91bとの間隔は、ユーザごとに異なる。このため、ユーザそれぞれの眼球91aと眼球91bとの間隔に表示用部材120aと表示用部材120bとの間隔が合致するように、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置調整が可能になる。これにより、表示用部材120aおよび表示用部材120bをより適切な位置に配置することができる。
【0036】
次に、チルト機構142と上下シフト機構141の関係について述べる。
【0037】
図5A図5B図6A、および図6Aは、チルト機構142と上下シフト機構141
の関係を説明する図である。図5Aおよび図5Bは、チルト機構142と上下シフト機構141の調整によるHMD本体11の位置の調整例を示す。図6Aおよび図6Bは、眼球カメラ123aおよび眼球カメラ123bによって取得される眼球画像(左の眼球91aの眼球画像および右の眼球91bの眼球画像)である。
【0038】
図5Aに示すように、チルト機構142によりHMD本体11のX方向周り(図5AのRx1方向)の位置に調整すると、図6Aのように、眼球91aおよび眼球91bを共に略同一のベクトル(図6AのSyz1,Syz2)で移動させることができる。チルト機構142の調整では、「眼球91aおよび眼球91bをY方向へシフトすることと、Z方向にシフトすること」を同時に実現可能である。
【0039】
また、図5Bに示すように、上下シフト機構141によってHMD本体11のY方向(図5BのSy1方向)の位置を調整すると、図6Bのように、眼球91aおよび眼球91bを共に略同一のベクトル(図6BのSy1,Sy2)で移動させることができる。上下シフト機構141の調整では、眼球91aおよび眼球91bを、Y方向へシフトすることができる。
【0040】
(表示用部材の位置調整について)
次に、図7Aのフローチャートを参照して、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置の調整の全体処理について説明する。以下では、各調整部を調整することによって、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置を調整する処理について説明する。以下では、HMD1に含まれる制御部(プロセッサなど)が、プログラムを実行することにより各ステップの処理を実行する。
【0041】
ステップS1002では、制御部は、頭部装着機構13をユーザに調整させるように制御する。ステップS1003では、制御部は、チルト機構142をユーザに調整させるように制御する。ステップS1004では、制御部は、上下シフト機構141をユーザに調整させるように制御する。ステップS1005では、制御部は、水平シフト機構143を調整する。
【0042】
図7Aのフローチャートにおいて、ステップS1002~S1004では、それぞれの調整部をユーザが手動で操作することに応じて、当該調整部が調整される。
【0043】
一方で、ステップS1005では、HMD1は、水平シフト機構143に含まれる回転モータ143aを駆動して、自動で水平シフト機構143を調整する。このように、頭部装着機構13、チルト機構142、および上下シフト機構141は、ユーザの操作により手動で調整される調整部(以下「手動調整部」と呼ぶ)である。水平シフト機構143は、ユーザの操作に応じずに、自動で調整可能な調整部(以下、「自動調整部」と呼ぶ)である。
【0044】
(頭部装着機構の調整処理)
図7Bのフローチャートを参照して、ステップS1002の頭部装着機構13の調整ついて説明する。
【0045】
ステップS1008では、制御部は、頭部装着機構13の調整が必要であるか否かを判定する。ステップS1008では、2つの眼球画像において眼球91aおよび眼球91bの位置のそれぞれが目標範囲に含まれていれば、頭部装着機構13の調整が不要であると判定する。頭部装着機構13の調整が不要でないと判定された場合には、本フローチャートの処理が終了する。頭部装着機構13の調整が必要であると判定された場合には、ステップS1009に進む。
【0046】
ステップS1009では、制御部は、頭部装着機構13の調整を実行すること(頭部装着機構13の調整の操作を行うこと)をユーザに要求する。このとき、制御部は、ディスプレイ121aおよびディスプレイ121bに、ユーザに調整を求める調整指示画像を表示する。図9は、調整指示画像の例を示す。調整指示画像は、調整を求める調整部を表す指示D1(調整部の指示D1)と、当該調整部の調整方向を表す指示D2(調整方向の指示D2)などを含む。調整部の指示D1として、例えば、頭部装着機構13を強調(ハイライト)した画像が表示される。また、調整方向の指示D2として、頭部装着機構13の調整方向を表す矢印または文字列が表示される。
【0047】
ここで、このような調整の指示が表示されていない場合には、ユーザは、調整する調整部および調整方向を把握できない。このため、ステップS1009にて指示が表示されることによれば、誤った順番で調整が実行されてしまう可能性を低減でき、調整が煩雑になってしまう可能性を低減することができる。なお、調整部の指示と調整方向の指示は、いずれか一方のみ表示されてもよい。
【0048】
ステップS1010では、制御部は、ユーザによって頭部装着機構13が調整された後に、2つの眼球画像において眼球91aおよび眼球91bのそれぞれが目標範囲に配置されているか否かを判定する。そして、制御部は、眼球91aおよび眼球91bが目標範囲に配置されていると判定された場合には、表示用部材120aおよび表示用部材120bが適切に配置されたと判定して、頭部装着機構13の調整が完了したと判定する。頭部装着機構13の調整が完了したと判定された場合には、ステップS1011に進む。頭部装着機構13の調整が完了していないと判定された場合(眼球91aおよび眼球91bの少なくとも一方が目標範囲に配置されていないと判定された場合)には、ステップS1009に戻る。この場合には、頭部装着機構13の調整が完了するまで、ステップS1009とステップS1010の処理が繰り返される。
【0049】
ステップS1011では、制御部は、ディスプレイ121aおよびディスプレイ121bに、頭部装着機構13の調整完了を表す画像(調整完了画像)を表示する。
【0050】
ステップS1003における「チルト機構142」の調整および、ステップS1004における「上下シフト機構141」の調整の詳細に関しては、図7Bに示すフローチャートにおける処理対象の「調整部」が異なるが、その他は同様である。このため、ステップS1003,S1004の処理の詳細な説明は省略する。
【0051】
(水平シフト機構の調整処理)
続いて、図7Cのフローチャートを参照して、ステップS1005の水平シフト機構143の調整について説明する。なお、例えば、図7Cのフローチャートの処理は、制御部が「ステップS1002~S1004の少なくともいずれかにおいてユーザによる調整部の手動調整が行われた」と判定した場合に、開始してもよい。つまり、ユーザの操作によって手動で、眼球91aに対する相対的な表示用部材120aの位置、または、眼球91bに対する相対的な表示用部材120bの位置が調整された場合に、図7Cのフローチャートの処理が開始してもよい。
【0052】
ステップS1014では、制御部は、水平シフト機構143の調整が必要であるか否かを判定する。ステップS1014では、制御部は、2つの眼球画像において眼球91aおよび眼球91bが目標範囲に配置されていれば、水平シフト機構143の調整が不要であると判定する。制御部は、2つの眼球画像において眼球91aおよび眼球91bの少なくともいずれかが目標範囲に配置されていなければ、水平シフト機構143の調整が必要であると判定する。水平シフト機構143の調整が不要であると判定された場合には、ステ
ップS1017に進む。水平シフト機構143の調整が必要であると判定された場合には、ステップS1015に進む。
【0053】
ステップS1015では、制御部は、2つの眼球画像において眼球91aおよび眼球91bが目標範囲に配置されるように、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置を調整する。このとき、制御部は、回転モータ143aを駆動して、HMD本体11(HMD1)における、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置を調整する。
【0054】
ステップS1016では、制御部は、2つの眼球画像において眼球91aおよび眼球91bが目標範囲に配置されているか否かを判定することによって、水平シフト機構143の自動調整が完了したか否かを判定する。制御部は、2つの眼球画像において眼球91aおよび眼球91bが目標範囲に配置されている場合に、水平シフト機構143の自動調整が完了したと判定する。水平シフト機構143の調整が完了したと判定された場合には、ステップS1017に進む。水平シフト機構143の調整が完了していないと判定された場合には、ステップS1015に戻る。
【0055】
ステップS1017では、制御部は、水平シフト機構143の手動調整を行うか否かをユーザが選択するための画像(選択画像)を、ディスプレイ121aおよびディスプレイ121aに表示する。
【0056】
ステップS1018では、制御部は、水平シフト機構143の手動調整を行うとユーザが選択したか否かを判定する。ユーザが手動調整を行わないと選択したと判定された場合には、本フローチャートの処理が終了する。ユーザが手動調整を行うと選択したと判定された場合には、ステップS1019に進む。
【0057】
ステップS1019では、制御部は、ステップS1009と同様に、水平シフト機構143の調整を指示する画像を表示する(図9参照)。
【0058】
ステップS1020では、制御部は、水平シフト機構143の調整が完了したか否かを判定する。ステップS1020では、制御部は、例えば、ユーザが調整完了ボタンを押下していれば、水平シフト機構143の手動調整が完了したと判定する。調整が完了していないと判定された場合には、ステップS1019に戻る。調整が完了したと判定された場合には、本フローチャートの処理が終了する。
【0059】
図7Cのフローチャートでは、制御部は、自動調整部である水平シフト機構143の調整を実行し(ステップS1015)、2つの眼球画像において眼球91aおよび眼球91bが目標範囲に配置されたか否かを判定する(ステップS1016)。制御部は、眼球91aおよび眼球91bが目標範囲に配置されていると判定された後には、手動調整を行うか否かを選択するための選択画像を表示する(ステップS1017)。この後、制御部は、ステップS1018にてユーザが手動調整を行うことを選択した場合には、ユーザが追加の手動調整を行う(ステップS1019)。
【0060】
これにより、表示用部材120aおよび表示用部材120bの自動調整が行われた後に、ユーザは、実際に表示画像を見つつ、表示画質を高くすることができる位置に表示用部材120aおよび表示用部材120bを配置することができる。
【0061】
なお、HMD1は、ステップS1017にて手動調整を行うか否かを選択するための選択画像を表示していた。しかし、ステップS1016にて2つの眼球画像において眼球91aおよび眼球91bが目標範囲に配置されていることが判定された場合には、ステップS1017およびS1018の処理が行われなくともよい。この場合には、HMD1は、
ステップS1019にて、手動調整の指示画面を表示してユーザに手動調整を指示してもよい。
【0062】
なお、HMD1ではステップS1015およびステップS1016で行った自動調整後に、ユーザに手動調整を行わせるためのステップS1017~S1020の処理が行われるが、ステップS1017~S1020の処理は行われなくてもよい。
【0063】
ここで、実施形態1に係るHMD1では、下記の(1)および(2)のような動作が実現されている。
【0064】
(1)第1の調整部の第1の調整が実行されて、その後に、第2の調整部の第2の調整が実行される。例えば、図7Aに示すように、HMD1は、ステップS1002で第1の調整部の第1の調整が実行されることによって、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置が調整される。その後に、ステップS1005で第2の調整部の第2の調整が実行されることによって、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置がさらに調整される。
【0065】
(2)第1の調整では、例えば、第1の調整部によって、2つの眼球画像において眼球91aおよび眼球91bの位置を略同一のベクトルに移動させる第1の動作が可能である。第2の調整では、例えば、第2の調整部によって、2つの眼球画像において眼球91aおよび眼球91bの位置を第1の動作と同様に移動させる第2の動作が可能である。なお、ここでは、第1の動作を眼球91aおよび眼球91bを略同一のベクトルで移動させる動作としたが、第1の動作は眼球91aおよび眼球91bの位置を略逆ベクトルで移動させる動作であってもよい。なお、第2の動作を第1の動作と同様の動作としたが、第2の動作は第1の動作の少なくとも一部の動作と同様な動作であればよい。また、第2の動作は、「第1の動作の少なくとも一部の動作と同様な動作」と「その他の動作」とを複合した動作であってもよい。
【0066】
(第1の場合について)
上記の(1)および(2)のような動作および構成による効果を、図8Aおよび図8Bを用いて説明する。まず、第1の調整部が頭部装着機構13であり、第2の調整部が水平シフト機構143である場合(第1の場合)について説明する。この場合には、第1の調整部は手動調整部であり、第2の調整部は自動調整部を含む。
【0067】
図8Aは、頭部装着機構13の第1の調整が実行される際の2つの眼球画像を示す。図8Bは、水平シフト機構143の第2の調整が実行される際の2つの眼球画像を示す。
【0068】
目標範囲81aは、ユーザがディスプレイ121aの画面を十分な画質で見るために、瞳孔911a(眼球91a)を配置すべき範囲である。目標範囲81bは、ユーザがディスプレイ121bの画面を十分な画質で見るために、瞳孔911b(眼球91b)を配置すべき範囲である。左の眼球画像における目標範囲81aの位置および大きさと、右の眼球画像における目標範囲81bの位置および大きさは同一である。
【0069】
頭部装着機構13は手動調整部である。また、目標範囲81aの大きさおよび目標範囲81bの大きさは、比較的小さい。このため、頭部装着機構13の調整(図8AにおけるSx5およびSx6のベクトルでの移動)のみで、目標範囲81aに瞳孔911aを配置し、目標範囲81bに瞳孔911bを配置しようとすると、繊細な操作がユーザに要求される。このため、長い調整時間が必要になってしまう。
【0070】
HMD1では、頭部装着機構13の調整と水平シフト機構143の調整とのいずれによ
っても、2つの眼球画像における眼球91aおよび眼球91bの位置を動かすことができる。このため、頭部装着機構13の調整後の誤差(目標範囲81aの位置と瞳孔911aの位置との差、または、目標範囲81bの位置と瞳孔911bの位置との差)が大きい場合でも、その後の水平シフト機構143の調整によって当該誤差を補正可能である。
【0071】
よって、頭部装着機構13の調整では、瞳孔911aを配置すべき範囲を、目標範囲81aを含み、目標範囲81aよりも広い目標範囲82aとしてもよい。瞳孔911bを配置すべき範囲を、目標範囲81bを含み、目標範囲81bよりも広い目標範囲82bとしてもよい。この場合には、ステップS1009では、制御部は、瞳孔911aを目標範囲82aに配置し、かつ、瞳孔911bを目標範囲82bに配置するような頭部装着機構13の調整(頭部装着機構13への操作)をユーザに要求する。
【0072】
そして、水平シフト機構143の調整の際に、目標範囲81aに瞳孔911aが配置され、目標範囲81bに瞳孔911bが配置されるように調整が行われてもよい。この場合には、ステップS1015では、制御部は、瞳孔911aを目標範囲81aに配置し、かつ、瞳孔911bを目標範囲81bに配置するような水平シフト機構143の調整を実行する。
【0073】
これにより、頭部装着機構13の手動調整の際には、大きな範囲(目標範囲82aおよび目標範囲82b)に瞳孔911aおよび瞳孔911bを配置させればよいため、簡便に手動調整が実行可能である。さらに、その後の水平シフト機構143の調整では自動調整が行われるため、小さな範囲(目標範囲81aおよび目標範囲81b)に瞳孔911aおよび瞳孔911bを配置する場合であっても、その自動調整は容易に実現可能である。
【0074】
(第2の場合について)
次に、第1の調整部が、頭部装着機構13である場合(第2の場合)を想定する。
【0075】
頭部装着機構13は、頭部に対する複数の方向に自由度を有しており、他の調整部と比較して、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置を高精度に制御することが難しい。このため、目標範囲81aに瞳孔911aを配置し、かつ、目標範囲81bに瞳孔911aを配置する場合において、頭部装着機構13のみの調整では、特に長い調整時間が必要になる。
【0076】
そこで、HMD1では、特に時間を要する頭部装着機構13の調整では、広い範囲の目標範囲82aに瞳孔911aを配置し、広い範囲の目標範囲82bに瞳孔911bを配置するようにする。その後、頭部装着機構13以外の調整部(表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置を移動可能な方向が頭部装着機構13よりも少ない調整部)の調整によって、目標範囲81aに瞳孔911aを配置し、目標範囲81bに瞳孔911bを配置する。このため、制御部は、瞳孔911aを目標範囲81aに配置し、かつ、瞳孔911bを目標範囲81bに配置するような調整部の調整(調整部への操作)をユーザに要求する。
【0077】
このように、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置の高精度な制御が容易ではない頭部装着機構13の調整が先に実行され、その後に他の調整部の調整が実行される。このことで、自由度の高い頭部装着機構13によって表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置を、精度が低いものの素早く制御することができ、その後に、他の調整部によって表示用部材の位置を精度高く調整することができる。よって、ユーザは、簡易かつ迅速に、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置を調整することが可能になる。
【0078】
(第3の場合について)
また、表示用部材120aおよび表示用部材120bのY方向の位置を調整するにあたり、第1の調整部がチルト機構142であり、第2の調整部が上下シフト機構141である場合(第3の場合)について説明する。
【0079】
この場合には、第1の調整部であるチルト機構142は、HMD本体11を回転させることによって、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置を調整可能な調整機構(以下、「回転調整機構」と呼ぶ)である。第2の調整部である上下シフト機構141は、HMD本体11をシフトさせることによって、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置を調整可能な機構である。
【0080】
チルト機構142のような回転調整機構によって表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置を調整する場合には、図6Aに示すように、Y方向とZ方向に、瞳孔911aおよび瞳孔911bがシフト(移動)してしまう。回転調整機構では、両方向(Y方向とZ方向)の個別調整はできないため、Y方向とZ方向のそれぞれの位置を同時に高精度に制御することが難しい。このため、Y方向とZ方向に高精度に、瞳孔911aおよび瞳孔911bの位置を制御する場合には、長い調整時間が必要になる。
【0081】
そこで、HMD1では、回転調整機構であるチルト機構142の調整において、Z方向のみ高精度に瞳孔911aおよび瞳孔911bの位置を制御すればよい。その後、上下シフト機構141の調整で、高精度にY方向の瞳孔911aおよび瞳孔911bの位置を制御することができる。このように、回転調整機構を用いた表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置の調整であっても、簡便に実現可能である。
【0082】
実施形態1に係るHMD1によれば、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置の簡便かつ高精度な制御が可能である。
【0083】
なお、上記のように、第1の場合~第3の場合について説明したが、第1の調整部と第2の調整部の組み合わせは、上述の調整部の組み合わせに限らない。
【0084】
なお、HMD1は、表示用部材120a(ディスプレイ121aおよび接眼レンズ122a)、および表示用部材120b(ディスプレイ121bおよび接眼レンズ122b)を有する。また、眼球カメラ123aは、図2Bに示すように、表示用部材120aに対する左の眼球91aの相対位置を示す眼球画像を提供する。眼球カメラ123bは、図2Bに示すように、表示用部材120bに対する右の眼球91bの相対位置を示す眼球画像を提供する。これにより、「眼球91aに対する表示用部材120aの相対位置」および「眼球91bに対する表示用部材120bの相対位置」をそれぞれ精度よく測定することができる。よって、表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置のより高精度な制御が可能となる。
【0085】
なお、HMD1では、眼球カメラ123aは、ディスプレイ121aと接眼レンズ122aと一体である。眼球カメラ123bは、ディスプレイ121bと接眼レンズ122bと一体である。これにより、例えば、「眼球カメラ123aと眼球91aの相対位置」を「表示用部材120aと眼球91aの相対位置」とみなすことができる。このため、簡略な計算により、眼球91aおよび眼球91bの位置を高精度に検出することができる。そして、眼球91aおよび眼球91bの位置の検出精度が向上すると、より高精度に表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置を制御することができる。
【0086】
なお、実施形態1では、表示用部材120aおよび表示用部材120bの両方の位置を同時に調整する例を説明したが、いずれか一方のみが行われてもよい。または、表示用部
材120aおよび表示用部材120bのいずれか一方のみの位置が調整された後に、他方の位置が調整されてもよい。また、表示用部材120aの位置が調整される場合とは、ディスプレイ121aおよび接眼レンズ122aの両方の位置が調整される場合であると説明したが、ディスプレイ121aおよび接眼レンズ122aのいずれか一方の位置が調整されてもよい。表示用部材120bの位置が調整される場合も、同様に、ディスプレイ121bおよび接眼レンズ122bのいずれか一方の位置が調整されてもよい。
【0087】
(変形例)
なお、実施形態1に係るHMD1は、第1の調整部を頭部装着機構13とし、第2の調整部を水平シフト機構143とする第1の場合において、第1の調整部の調整を実行する際には、目標範囲82aおよび目標範囲82bを用いている。そして、第2の調整部の調整を実行する際には、目標範囲81aおよび目標範囲81bを用いている。いずれの調整部においても表示用部材120aおよび表示用部材120bの位置を調整可能なストローク(調整可能量)は有限であるため、第2の調整部の調整においてストロークが不足する場合がある。この場合には、目標範囲81aに眼球91aを配置できず、かつ、目標範囲81bに眼球91bを配置できない。このため、表示用部材120aおよび表示用部材120bを適切な位置に配置できない可能性がある。
【0088】
これを避けるために、HMD1は、「2つの眼球画像における眼球91aおよび眼球91bの位置」と「第2の調整部が表示用部材120aおよび表示用部材120bを移動できるストローク範囲」とに基づき、目標範囲82aおよび目標範囲82bを補正する。この際には、目標範囲82aは、第2の調整部によって表示用部材120aを目標範囲81aに配置できるように補正(決定)される。目標範囲82bは、第2の調整部によって表示用部材120aを目標範囲81bに配置できるように補正(決定)される。
【0089】
図10Aおよび図10Bは、第2の調整部が表示用部材120aおよび表示用部材120bを移動できるストローク範囲によって、目標範囲82aおよび目標範囲82bが決定される例を説明する図である。図10Aは、補正前の目標範囲82aおよび目標範囲82bを表す図である。図10Bは、補正後の目標範囲82aおよび目標範囲82bを表す図である。
【0090】
図10AにおけるストロークSlおよびストロークSrは、第2の調整部が表示用部材120aおよび表示用部材120bを移動できるストロークを、眼球画像において眼球91aおよび眼球91bを移動させることができるストロークに換算したものである。図10Aは、眼球91aおよび眼球91bを左側に移動できるストロークSlが小さく、右側に移動できるストロークSrが大きい例を表している。
【0091】
ストロークが十分な大きさである場合には、補正が行われずに、第1の調整部による調整において目標範囲82aに瞳孔911aを配置し、目標範囲82bに瞳孔911bを配置すればよい。その後の第2の調整部による調整においても、目標範囲81aに瞳孔911aを配置させ、目標範囲81bに瞳孔911bを配置させることができる。
【0092】
しかし、ストロークが小さい場合には、第1の調整部による調整において目標範囲82aに瞳孔911aを配置しても、その後の第2の調整部による調整において目標範囲81aに瞳孔911aを配置できない場合がある。瞳孔911bの配置についても同様である。このような場合の発生を避けるため、図10Bに示すように、目標範囲82aおよび目標範囲82bを補正する必要がある。図10Bに示す例では、ストロークSlの大きさに応じて、第1の調整部の調整の目標範囲82aおよび目標範囲82bのうち、右側の範囲を狭くしている。これにより、その後の第2の調整部の調整のストロークSlが小さくても目標範囲81aに瞳孔911aを配置が可能となる。
【0093】
なお、第1の調整部の調整で、目標範囲82aに瞳孔911aが配置され、目標範囲82bに瞳孔911bが配置されていたとしても、第2の調整部の調整までの期間で瞳孔911aおよび瞳孔911bの位置が移動してしまう可能性がある。このため、第2の調整部のストロークでは、瞳孔911aを目標範囲81aに配置し、瞳孔911bを目標範囲81bに配置することができなくなる場合も考え得る。このような場合を避けるために、第2の調整部の調整を実行する前もしくは調整中に、「第2の調整部の調整により、瞳孔911aを目標範囲81aに配置可能であり、かつ、瞳孔911bを目標範囲81bに配置可能か」否かが判定されてもよい。そして、ストローク不足により瞳孔911aが目標範囲81aに配置可能でない、または、瞳孔911aが目標範囲81bに配置可能でない場合には、第2の調整部の調整を中断し、第1の調整部の調整の処理に戻る。このことで、瞳孔911aを目標範囲81aに配置し、瞳孔911bを目標範囲81bに配置することができなくなる場合を避けることができる。
【0094】
このように、制御部は、第2の調整部の調整前もしくは調整中に、第2の調整部により眼球を目標範囲に配置できるか否かを判定する。制御部は、眼球を目標範囲に配置できない場合には、第2の調整部の調整を中断し、第1の調整部の調整を再度実行する。
【0095】
<実施形態2>
続いて、実施形態2に係るHMD2について述べる。以下、実施形態2において実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同様の番号を付しており、説明を省略する。
【0096】
図11Aは、HMD2の外観図である。図11Bは、HMD2に含まれるHMD本体の外観図である。HMD2は、HMD1と比較して、さらに多くの調整部を有する。図11Aに示すように、HMD2は、HMD本体11、頭部装着機構13を有する。HMD2は、HMD本体11と頭部装着機構13とを連結する複数の連結機構(上下シフト機構141、チルト機構142、ロール機構244、前後シフト機構245、ヨー機構246)を有する。
【0097】
ここで、HMD2が有する調整部(調整機構)について述べる。図11に示すように、HMD1は、調整部として、頭部装着機構13、上下シフト機構141、チルト機構142、水平シフト機構143、ロール機構244、前後シフト機構245、ヨー機構246を有する。
【0098】
ロール機構244は、チルト機構142に連結されている。ロール機構244は、チルト機構142に対しZ方向周り(図11AのRz’方向)に回転し、HMD本体11(表示用部材120aおよび表示用部材120a)のZ方向周りの回転位置を調整することができる。
【0099】
前後シフト機構245は、ロール機構244に連結されている。前後シフト機構245は、ヨー機構246をZ方向(図11AのSz’方向)にシフト可能に保持し、HMD本体11(表示用部材120aおよび表示用部材120a)のZ方向の位置を調整することができる。
【0100】
ヨー機構246は、前後シフト機構245に保持されている。ヨー機構246は、Y方向周り方向(図11AのRy’方向)に回転可能にHMD本体11を保持し、HMD本体11(表示用部材120aおよび表示用部材120a)のY方向周りの位置を調整することができる。
【0101】
これらの調整部は、表示用部材120aおよび表示用部材120aの位置を精度よく制
御するために効果的である。
【0102】
ここでは、頭部装着機構13、水平シフト機構143、上下シフト機構141、前後シフト機構245、チルト機構142、ロール機構244、および、ヨー機構246のいずれか2つを第1の調整部および第2の調整部として用いることができる。
【0103】
例えば、「第1の調整部と第2の調整部」の組み合わせは、「頭部装着機構13と水平シフト機構143」、「頭部装着機構13と上下シフト機構141」、または「頭部装着機構13とロール機構244」、である。「第1の調整部と第2の調整部」の組み合わせは、「チルト機構142と上下シフト機構141」、または、「チルト機構142と前後シフト機構245」である。このような組み合わせであれば、第1の調整部および第2の調整部によって、実施形態1で説明した第1の場合~第3の場合のいずれかと同様の効果を得ることができる。
【0104】
なお、各実施形態では、表示用部材120aおよび表示用部材120bは、レンズ(光学素子)とディスプレイである(網膜投影型)としたが、これには限られない。表示用部材120aおよび表示用部材120bは、レーザ光源とミラー(MEMSミラー)であってもよい(網膜走査型)。この場合には、レーザ光源が発した光が、ミラーで反射した後に、ユーザの眼の網膜に届く。このことによって、表示用部材120aおよび表示用部材120bは、ユーザの眼の網膜上に画像を描画(表示)する。なお、ミラーの代わりに、光学パワーを有する(例えば、光の軌道を変更可能な)任意の光学素子が用いられてもよく、例えば、プリズムまたは回折光学素子が用いられてもよい。
【0105】
なお、各実施形態では、頭部装着機構13、チルト機構142、および上下シフト機構141は、ユーザの操作により手動で調整される調整部(手動調整部)であるとした。しかし、頭部装着機構13、チルト機構142、および上下シフト機構141は、自動で調整が可能な自動調整部であってもよい。また、各実施形態では、水平シフト機構143は、ユーザの操作に応じずに、自動で調整が可能な調整部(自動調整部)であるとしたが、水平シフト機構143は、手動で調整される手動調整部であってもよい。
【0106】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0107】
また、上記において、「AがB以上の場合にはステップS1に進み、AがBよりも小さい(低い)場合にはステップS2に進む」は、「AがBよりも大きい(高い)場合にはステップS1に進み、AがB以下の場合にはステップS2に進む」と読み替えてもよい。逆に、「AがBよりも大きい(高い)場合にはステップS1に進み、AがB以下の場合にはステップS2に進む」は、「AがB以上の場合にはステップS1に進み、AがBよりも小さい(低い)場合にはステップS2に進む」と読み替えてもよい。このため、矛盾が生じない限り、「A以上」は、「Aよりも大きい(高い;長い;多い)」と読み替えてよく、「A以下」は、「Aよりも小さい(低い;短い;少ない)」と読み替えてもよい。そして、「Aよりも大きい(高い;長い;多い)」は、「A以上」と読み替えてもよく、「Aよりも小さい(低い;短い;少ない)」は「A以下」と読み替えてもよい。
【0108】
なお、上記の各実施形態(各変形例)の各機能部は、個別のハードウェアであってもよいし、そうでなくてもよい。2つ以上の機能部の機能が、共通のハードウェアによって実現されてもよい。1つの機能部の複数の機能のそれぞれが、個別のハードウェアによって実現されてもよい。1つの機能部の2つ以上の機能が、共通のハードウェアによって実現されてもよい。また、各機能部は、ASIC、FPGA、DSPなどのハードウェアによ
って実現されてもよいし、そうでなくてもよい。例えば、装置が、プロセッサと、制御プログラムが格納されたメモリ(記憶媒体)とを有していてもよい。そして、装置が有する少なくとも一部の機能部の機能が、プロセッサがメモリから制御プログラムを読み出して実行することにより実現されてもよい。
【0109】
(その他の実施形態)
本発明は、上記の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0110】
上記の実施形態の開示は、以下の構成、方法、およびプログラムを含む。
(構成1)
表示装置であって、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を見るユーザの眼球の、前記表示手段の第1の部材に対する相対的な位置を取得する取得手段と、
前記ユーザの第1の操作によって前記ユーザの眼球に対する前記第1の部材の相対的な位置が手動で調整された場合には、前記第1の部材に対する前記眼球の相対的な位置に基づき、前記表示装置における前記第1の部材の位置を自動で調整する調整手段と、
を有することを特徴とする表示装置。
(構成2)
前記第1の部材と一体に構成され、前記眼球を撮像した眼球画像を取得する撮像手段をさらに有し、
前記取得手段は、前記眼球画像における眼球の位置を、前記第1の部材に対する前記眼球の相対的な位置として取得する、
ことを特徴とする構成1に記載の表示装置。
(構成3)
前記眼球画像における第1の範囲に前記眼球を配置する操作を前記第1の操作として行うように前記ユーザに要求する要求手段をさらに有し、
前記調整手段は、前記眼球画像における前記第1の範囲に位置する前記眼球を、前記第1の範囲に含まれる第2の範囲に配置するように、前記第1の部材の位置を調整する、
ことを特徴とする構成2に記載の表示装置。
(構成4)
表示手段を見るユーザの第1の操作によって、前記表示手段の第1の部材の前記ユーザの眼球に対する相対的な位置を手動で調整可能な表示装置であって、
画像を表示する前記表示手段と、
前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整可能な方向の一部の方向に、前記第1の操作とは異なる前記ユーザの第2の操作によって、前記表示装置における前記第1の部材の位置を調整可能な調整手段と、
1)前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求し、2)前記第1の操作により前記第1の部材の位置の調整が行われた後に、前記第2の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する要求手段と、を有することを特徴とする表示装置。
(構成5)
前記第1の部材と一体に構成された撮像手段であって、前記ユーザの眼球を撮像した眼球画像を取得する撮像手段をさらに有する、
ことを特徴とする構成4に記載の表示装置。
(構成6)
前記要求手段は、
前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する場合には、前記眼球画像における第1の範囲に前記眼球を配置するような操作を前記第1の操作として行うように要求し、
前記第2の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する場合には、前記眼球画像における前記第1の範囲に位置する前記眼球を、前記第1の範囲に含まれる第2の範囲に配置するような操作を前記第2の操作として行うように要求する、
ことを特徴とする構成5に記載の表示装置。
(構成7)
前記第1の範囲は、前記第2の範囲、および前記調整手段の調整によって前記第1の部材の位置を調整可能な量に基づく範囲である、
ことを特徴とする構成3または6に記載の表示装置。
(構成8)
前記要求手段は、前記調整手段によって前記眼球画像における眼球を前記第2の範囲に配置可能でない場合には、再度、前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する、
ことを特徴とする構成3、6または7に記載の表示装置。
(構成9)
前記要求手段は、前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する場合には、前記ユーザに調整を求める対象と調整方向の少なくともいずれかを表す指示を表示する、
ことを特徴とする構成3から7のいずれかに記載の表示装置。
(構成10)
前記第1の部材は、前記ユーザの左の眼球に対応する第2の部材と、前記ユーザの右の眼球に対応する第3の部材とを有する、
ことを特徴とする構成1から9のいずれかに記載の表示装置。
(構成11)
前記調整手段は、前記第2の部材と前記第3の部材とが略同一のベクトルで移動するように、前記第2の部材の位置と前記第3の部材の位置とを調整可能である、
ことを特徴とする構成10に記載の表示装置。
(構成12)
前記調整手段は、前記第2の部材と前記第3の部材とが互いに略逆のベクトルで移動するように、前記第2の部材の位置と前記第3の部材の位置とを調整可能である、
ことを特徴とする構成10または11に記載の表示装置。
(構成13)
前記調整手段は、前記第1の部材のシフト移動が可能である、
ことを特徴とする構成1から12のいずれかに記載の表示装置。
(構成14)
前記第1の操作では、前記第1の部材の回転移動が可能である、
ことを特徴とする構成1から13のいずれかに記載の表示装置。
(構成15)
表示装置であって、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を見るユーザの眼球の、前記表示手段の第1の部材に対する相対的な位置を取得する取得手段と、
前記ユーザの第1の操作によって前記ユーザの眼球に対する前記第1の部材の相対的な位置が調整された場合には、前記第1の部材に対する前記眼球の相対的な位置に基づき、前記表示装置における前記第1の部材の位置を調整する調整手段と、
を有し、
前記第1の操作は、前記第1の部材を回転移動させる機構の調整であり、
前記調整手段は、前記第1の部材をシフト移動させる機構での調整を行う、
ことを特徴とする表示装置。
(構成16)
前記表示装置は、前記ユーザの頭部に装着するヘッドマウントディスプレイである、
ことを特徴とする構成1から14のいずれかに記載の表示装置。
(構成17)
ユーザの頭部に装着するヘッドマウントディスプレイであって、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を見る前記ユーザの眼球の、前記表示手段の第1の部材に対する相対的な位置を取得する取得手段と、
前記ユーザの第1の操作によって前記ユーザの眼球に対する前記第1の部材の相対的な位置が調整された場合には、前記第1の部材に対する前記眼球の相対的な位置に基づき、前記ヘッドマウントディスプレイにおける前記第1の部材の位置を調整する調整手段と、を有し、
前記第1の操作は、前記ユーザの頭部に装着する機構への操作であり、
前記調整手段は、前記ユーザの頭部に装着する機構以外の機構での調整を行う、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
(方法1)
表示手段を有する表示装置の制御方法であって、
前記表示手段を見るユーザの眼球の、前記表示手段の第1の部材に対する相対的な位置を取得する取得ステップと、
前記ユーザの第1の操作によって前記ユーザの眼球に対する前記第1の部材の相対的な位置が手動で調整された場合には、前記第1の部材に対する前記眼球の相対的な位置に基づき、前記表示装置における前記第1の部材の位置を自動で調整する調整ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
(方法2)
表示手段の第1の操作によって、前記表示手段の第1の部材の前記ユーザの眼球に対する相対的な位置を手動で調整可能な表示装置の制御方法であり、
前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整可能な方向の一部の方向に、前記第1の操作とは異なる前記ユーザの第2の操作によって、前記表示装置における前記第1の部材の位置を調整可能な調整手段を有する表示装置の制御方法であって、
前記第1の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する第1の要求ステップと、
前記第1の操作により前記第1の部材の位置の調整が行われた後に、前記第2の操作によって前記第1の部材の位置を調整するように前記ユーザに要求する第2の要求ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
(プログラム)
コンピュータを、構成1から15のいずれかに記載の表示装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0111】
1:HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、
120a,120b:表示用部材、
121a,121b:ディスプレイ
122a,122b:接眼レンズ
13:頭部装着機構、143:水平シフト機構
図1
図2
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図11