(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163596
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】多軸ヒンジ装置並びにこの多軸ヒンジ装置を用いた電子機器
(51)【国際特許分類】
F16C 11/04 20060101AFI20241115BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20241115BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241115BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241115BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
F16C11/04 F
F16C11/10 C
G09F9/00 350Z
G09F9/30 308Z
H05K5/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079349
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲生
【テーマコード(参考)】
3J105
4E360
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3J105AA05
3J105AA12
3J105AB02
3J105AB24
3J105AB50
3J105AC07
3J105BC02
3J105DA13
3J105DA41
4E360AB05
4E360AB17
4E360AB18
4E360AB42
4E360BB12
4E360BB22
4E360BB23
4E360BB27
4E360EA25
4E360EA28
4E360EC05
4E360EC11
4E360EC14
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED12
4E360ED13
4E360ED15
4E360ED23
4E360ED28
4E360ED30
4E360GA02
4E360GA08
4E360GB26
4E360GB46
5C094AA36
5C094DA06
5C094HA07
5C094HA08
5G435AA09
5G435EE02
5G435EE13
5G435EE17
5G435LL07
5G435LL08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フレキシブルディスプレイシートの湾曲部を収容する収容部が広くなる機構を設けた電子機器を提供する。
【解決手段】第1筐体1と第2筐体2を開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置であって、第1筐体と第2筐体を互いに向き合う各両端部に達するベースフレーム7に対し、一対のヒンジシャフトに対して回転制御機構を介して前後方向に所定間隔を開けて開閉可能に連結し、それぞれに同期回転機構9と吸込み機構10を作用させると共に、所定間隔の間にセンタープレート6を上下動機構11を介して上下動可能に設け、センタープレートを上下動機構を介して第1筐体と第2筐体の開閉操作に伴い、全開状態においては上動させて第1筐体と第2筐体の各表面と面一状態にさせて前記フレキシブルディスプレイシートを水平状態に維持させると共に、全閉状態においては所定間隔内に降下させるようにしたこと。
【選択図】
図29
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と第2筐体の両表面に跨ってフレキシブルディスプレイシートを取り付けてなる電子機器における前記第1筐体と前記第2筐体を開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置であって、前記第1筐体と前記第2筐体を互いに向き合う各両端部に達するベースフレームに対し、一対のヒンジシャフトに対して回転制御機構を介して前後方向に所定間隔を開けて開閉可能に連結し、それぞれに同期回転機構と吸込み機構を作用させると共に、前記所定間隔の間にセンタープレートを上下動機構を介して上下動可能に設け、このセンタープレートを前記上下動機構を介して前記第1筐体と前記第2筐体の開閉操作に伴い、全開状態においては上動させて前記第1筐体と前記第2筐体の各表面と面一状態にさせて前記フレキシブルディスプレイシートを水平状態に維持させ、全閉状態においては前記所定間隔内に降下させて前記フレキシブルディスプレイシートに形成される湾曲部を収容する収容部が広くなるように成したことを特徴とする、多軸ヒンジ装置。
【請求項2】
第1筐体と第2筐体の両表面に跨ってフレキシブルディスプレイシートを取り付けてなる電子機器における前記第1筐体と前記第2筐体を開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置であって、前記第1筐体と前記第2筐体を互いに向き合う各両端部に達するベースフレームに対し、一対のヒンジシャフトに対して回転制御機構を介して前後方向に所定間隔を開けて開閉可能に連結し、それぞれに同期回転機構と吸込み機構を作用させると共に、前記所定間隔の間にセンタープレートを上下動機構を介して上下動可能に設け、このセンタープレートの前側と後側に前記センタープレートの両端部に達する長さを有する第1サイドプレートと第2サイドプレートを設け、前記第1サイドプレートと前記第2サイドプレートをそれぞれサイドプレート揺動機構を介して前記第1筐体と前記第2筐体の閉成操作に伴い揺動させて、前記フレキシブルディスプレイシートに形成される湾曲部を収容する収容部がさらに広くなるように成したことを特徴とする、多軸ヒンジ装置。
【請求項3】
第1筐体と第2筐体の両表面に跨ってフレキシブルディスプレイシートを取り付けてなる電子機器における前記第1筐体と前記第2筐体を開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置であって、前記第1筐体と前記第2筐体を互いに向き合う各両端部に達するベースフレームに対し、一対のヒンジシャフトに対して回転制御機構を介して前後方向に所定間隔を開けて開閉可能に連結し、それぞれに同期回転機構と吸込み機構を作用させると共に、前記所定間隔の間にセンタープレートを上下動機構を介して上下動可能に設け、このセンタープレートを前記上下動機構を介して前記第1筐体と前記第2筐体の開閉操作に伴い、全開状態においては上動させて前記第1筐体と前記第2筐体の各表面と面一状態にさせて前記フレキシブルディスプレイシートを水平状態に維持させ、全閉状態においては前記所定間隔内に降下させて前記フレキシブルディスプレイシートに形成される湾曲部を収容すると共に、前記センタープレートの前側と後側に前記センタープレートの両端部に達する長さを有する第1サイドプレートと第2サイドプレートを設け、前記第1サイドプレートと前記第2サイドプレートをそれぞれサイドプレート揺動機構を介して前記第1筐体と前記第2筐体の閉成操作に伴い揺動させて、前記フレキシブルディスプレイシートに形成される湾曲部を収容する収容部がさらに広くなるように成したことを特徴とする、多軸ヒンジ装置。
【請求項4】
前記回転制御機構は、前記第1ヒンジシャフトと前記第2ヒンジシャフトにそれぞれ回転可能に連結させた一対のギアレバーと、この各ギアレバーの自由端部をそのガイド長孔に軸支させた取付部材と、前記取付部材に取り付けられ前記ベースフレームに旋回可能に係合された円弧アームとを有することを特徴とする、請求項1に記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項5】
前記上下動機構は、前記センタープレートを前記ベースフレームに対して相対的に近接させる方向に付勢する付勢部材と、前記第1筐体と前記第2筐体の開成操作に伴って前記センタープレートを上動させる位置調整部材とで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項6】
前記サイドプレート揺動機構は、各サイドプレートの両端部に取り付けられたサポートアームと、この各サポートアームに設けられた円弧軸と摺動可能に係合する前記各取付部材に設けられた円弧溝と、前記各サポートアームに設けられたところの前記ベースフレームに突設した軸支ピンと係合する円弧溝とを有することを特徴とする、請求項2に記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項7】
前記サイドプレート揺動機構は、さらに前記各サイドプレートが前記センタープレートと係合するセンタープレート係合片を有することを特徴とする、請求項6に記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項8】
前記上下動機構における、前記付勢部材を、一端を前記ベースフレーム側に係止させ、他端を前記センタープレート側に係止させたトーションバネとし、前記位置調整部材を、前記サイドプレートの動作に連動して前記センタープレートの位置を変更させる押上部としたことを特徴とする、請求項5記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に各記載の多軸ヒンジ装置を用いたことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1筐体と第2筐体の両表面に跨って、例えば有機EL製のフレキシブルディスプレイシートを取り付けて成る、ノートパソコン、携帯電話機、電子手帳、PDA、ネットブックなどの各種の電子機器に用いて好適な多軸ヒンジ装置並びにこの多軸ヒンジ装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第1筐体と第2筐体の両表面に跨って1枚の有機EL製のフレキシブルディスプレイシートを取り付けて成るノートパソコンや携帯電話機等の電子機器が開発され、世の中に出回りつつある。このような電子機器の第1筐体と第2筐体を互いに開閉可能に連結するヒンジ装置として、複数のヒンジシャフトを用いた多軸ヒンジ装置が下記特許文献1において知られている。この多軸ヒンジ装置は、第1筐体と第2筐体を閉じた際にフレキシブルディスプレイシートが折れ曲がる部分に収容部が形成できるように構成されており、この収容部によってフレキシブルディスプレイシートが二つ折りに折れ曲がることなく湾曲部が形成できるようにすることにより、フレキシブルディスプレイシートが折れて故障してしまったり、壊れてしまうことを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合に、フレキシブルディスプレイシートの湾曲部に無理な力が加わらないように、この湾曲部を収容する収容部にゆとりができるようにすることが多軸ヒンジ装置に求められている。そこで本発明では、湾曲したフレキシブルディスプレイシートの湾曲部を収容する収容部を広く取ることのできるように工夫した多軸ヒンジ装置並びにこの多軸ヒンジ装置を用いた電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為に、請求項1に記載の本発明は、第1筐体と第2筐体の両表面に跨ってフレキシブルディスプレイシートを取り付けてなる電子機器における前記第1筐体と前記第2筐体を開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置であって、前記第1筐体と前記第2筐体を互いに向き合う各両端部に達するベースフレームに対し、一対のヒンジシャフトに対して回転制御機構を介して前後方向に所定間隔を開けて開閉可能に連結し、それぞれに同期回転機構と吸込み機構を作用させると共に、前記所定間隔の間にセンタープレートを上下動機構を介して上下動可能に設け、このセンタープレートを前記上下動機構を介して前記第1筐体と前記第2筐体の開閉操作に伴い、全開状態においては上動させて前記第1筐体と前記第2筐体の各表面と面一状態にさせて前記フレキシブルディスプレイシートを水平状態に維持させ、全閉状態においては前記所定間隔内に降下させて前記フレキシブルディスプレイシートに形成される湾曲部を収容する収容部が広くなるように成したことを特徴とする。
【0006】
次に、請求項2に記載の本発明は、第1筐体と第2筐体の両表面に跨ってフレキシブルディスプレイシートを取り付けてなる電子機器における前記第1筐体と前記第2筐体を開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置であって、前記第1筐体と前記第2筐体を互いに向き合う各両端部に達するベースフレームに対し、一対のヒンジシャフトに対して回転制御機構を介して前後方向に所定間隔を開けて開閉可能に連結し、それぞれに同期回転機構と吸込み機構を作用させると共に、前記所定間隔の間にセンタープレートを上下動機構を介して上下動可能に設け、このセンタープレートの前側と後側に前記センタープレートの両端部に達する長さを有する第1サイドプレートと第2サイドプレートを設け、前記第1サイドプレートと前記第2サイドプレートをそれぞれサイドプレート揺動機構を介して前記第1筐体と前記第2筐体の閉成操作に伴い揺動させて、前記フレキシブルディスプレイシートに形成される湾曲部を収容する収容部がさらに広くなるように成したことを特徴とする。
【0007】
次に、請求項3に記載の本発明は、第1筐体と第2筐体の両表面に跨ってフレキシブルディスプレイシートを取り付けてなる電子機器における前記第1筐体と前記第2筐体を開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置であって、前記第1筐体と前記第2筐体を互いに向き合う各両端部に達するベースフレームに対し、一対のヒンジシャフトに対して回転制御機構を介して前後方向に所定間隔を開けて開閉可能に連結し、それぞれに同期回転機構と吸込み機構を作用させると共に、前記所定間隔の間にセンタープレートを上下動機構を介して上下動可能に設け、このセンタープレートを前記上下動機構を介して前記第1筐体と前記第2筐体の開閉操作に伴い、全開状態においては上動させて前記第1筐体と前記第2筐体の各表面と面一状態にさせて前記フレキシブルディスプレイシートを水平状態に維持させ、全閉状態においては前記所定間隔内に降下させて前記フレキシブルディスプレイシートに形成される湾曲部を収容すると共に、前記センタープレートの前側と後側に前記センタープレートの両端部に達する長さを有する第1サイドプレートと第2サイドプレートを設け、前記第1サイドプレートと前記第2サイドプレートをそれぞれサイドプレート揺動機構を介して前記第1筐体と前記第2筐体の閉成操作に伴い揺動させて、前記フレキシブルディスプレイシートに形成される湾曲部を収容する収容部がさらに広くなるように成したことを特徴とする。
【0008】
次に、請求項4に記載の本発明は、前記回転制御機構を、前記第1ヒンジシャフトと前記第2ヒンジシャフトにそれぞれ回転可能に連結させた一対のギアレバーと、この各ギアレバーの自由端部をそのガイド長孔に軸支させた取付部材と、前記取付部材に取り付けられ前記ベースフレームに旋回可能に係合された円弧アームとを有することを特徴とする。
【0009】
次に、請求項5に記載の本発明は、前記上下動機構を、前記センタープレートを前記ベースフレームに対して相対的に近接させる方向に付勢する付勢部材と、前記第1筐体と前記第2筐体の開成操作に伴って前記センタープレートを上動させる位置調整部材とで構成されることを特徴とする。
【0010】
次に、請求項6に記載の本発明は、前記サイドプレート揺動機構を、各サイドプレートの両端部に取り付けられたサポートアームと、この各サポートアームに設けられた円弧軸と摺動可能に係合する前記各取付部材に設けられた円弧溝と、前記各サポートアームに設けられたところの前記ベースフレームに突設した軸支ピンと係合する円弧溝とを有することを特徴とする。
【0011】
次に、請求項7に記載の本発明は、前記サイドプレート揺動機構を、さらに前記各サイドプレートが前記センタープレートと係合するセンタープレート係合片を有するものとしたことを特徴とする。
【0012】
次に、請求項8に記載の本発明は、前記上下動機構における、前記付勢部材を、一端を前記ベースフレーム側に係止させ、他端を前記センタープレート側に係止させたトーションバネとし、前記位置調整部材を、前記サイドプレートの動作に連動して前記センタープレートの位置を変更させる押上部としたことを特徴とする。
【0013】
そして、請求項9に記載の本発明は、上記した構成の多軸ヒンジを用いた各種電子機器を提供できるものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1のように構成すると、第1筐体と第2筐体の閉成状態において、フレキシブルディスプレイシートの湾曲部を収容する十分な空間を確保することができる。
【0015】
請求項2のように構成すると、第1筐体と第2筐体の閉成状態において、フレキシブルディスプレイシートの湾曲部を収容する十分な空間を確保することができる。
【0016】
請求項3のように構成すると、第1筐体と第2筐体の閉成状態において、フレキシブルディスプレイシートの湾曲部を収容するさらに十分な空間を確保することができる。
【0017】
請求項4のように構成すると、第1筐体と第2筐体の閉成操作に伴い、各サイドプレートを揺動させて湾曲部の収容部を広くすることができる。
【0018】
請求項5のように構成すると、上下動機構を少ない部品で小型かつ簡単な構成とすることができる。
【0019】
請求項6のように構成すると、第1筐体と第2筐体の開閉操作時に各サイドプレートを独自に搖動させてフレキシブルディスプレイシートの湾曲部の前後方向を収容するスペースをより広くすることができる。
【0020】
請求項7のように構成すると、センタープレートを各サイドプレートと同一面に位置させることができるため、第1筐体と第2筐体を開いた際にフレキシブルディスプレイシートの表面を凹凸の生じない水平面とすることができる。
【0021】
請求項8のように構成すると、センタープレートの上下動機構の構成をさらに簡単な構成とすることができる。
【0022】
請求項9のように構成すると、上記した特徴を有する多軸ヒンジを用いた各種電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施例に係る多軸ヒンジ装置を用いたフレキシブルディスプレイシートを有する電子機器を示し、(a)は第1筐体と第2筐体を0度に閉じた閉成状態の斜視図、(b)は側面図である。
【
図2】本発明の第1実施例に係る多軸ヒンジ装置を用いたフレキシブルディスプレイシートを有する電子機器の第1筐体と第2筐体を180度開いた開成状態を示し、(a)はフレキシブルディスプレイシートを外した状態の斜視図、(b)はフレキシブルディスプレイシートを取り付けた状態の斜視図である。
【
図3】第1実施例における多軸ヒンジ装置の開成状態を示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図、(c)は側面図である。
【
図4】第1実施例における多軸ヒンジ装置の閉成状態を示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図、(c)は側面図である。
【
図5】第1実施例におけるフレキシブルディスプレイシートを含む多軸ヒンジ装置の閉成状態における斜視図である。
【
図6】第1実施例におけるフレキシブルディスプレイシートを含む多軸ヒンジ装置の閉成状態における正面図である。
【
図8】第1実施例における多軸ヒンジ機構の同期回転機構以外を分解した分解斜視図である。
【
図9】第1実施例における多軸ヒンジ機構におけるセンタープレートを示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図10】第1実施例における多軸ヒンジ機構の可動フレームを示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図11】第1実施例における多軸ヒンジ機構の固定フレームを示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図12】第1実施例における多軸ヒンジ機構のベースフレームを示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図13】第1実施例における多軸ヒンジ機構の第1取付部材を示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図14】第1実施例における多軸ヒンジ機構の第2取付部材を示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図15】第1実施例における多軸ヒンジ機構の第3取付部材を示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図16】第1実施例における多軸ヒンジ機構の円弧アームを示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図17】第1実施例における多軸ヒンジ装置のセンタープレートおよびサイドプレートを取り外した斜視図および同期回転機構の分解斜視図である。
【
図18】(a)は
図17におけるF-F線断面図であり、多軸ヒンジ装置の開成状態である。(b)は同じ位置から同装置の閉成状態を表した図である。
【
図19】第1実施例における多軸ヒンジ機構の第1サポートアームを示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図20】第1実施例における多軸ヒンジ機構の第2サポートアームを示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図21】(a)は
図17の各部品を組み立てた状態におけるG-G線断面図であり、多軸ヒンジ装置の開成状態である。(b)は同じ位置から同装置の閉成状態を表した図である。
【
図22】(a)は
図17の各部品を組み立てた状態におけるH-H線断面図であり、多軸ヒンジ装置の開成状態である。(b)は同じ位置から同装置の閉成状態を表した図である。
【
図24】第1実施例における多軸ヒンジ機構のサイドプレートを示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図25】第1実施例における多軸ヒンジ機構の第1ギアレバーを示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図26】第1実施例における多軸ヒンジ機構の第2ギアレバーを示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図27】第1実施例における多軸ヒンジ機構の固定カムを示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図28】第1実施例における多軸ヒンジ機構のスペーサを示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は下面から見た斜視図である。
【
図29】(a)は
図17の各部品を組み立てた状態におけるI-I線断面図であり、多軸ヒンジ装置の開成状態である。(b)は同じ位置から同装置の閉成状態を表した図である。
【
図30】本発明の第2実施例に係る多軸ヒンジ装置において、センタープレートと、サイドプレートと、サポートアームを分解した斜視図である。
【
図31】第2実施例におけるサポートアームとセンタープレートの部分斜視図であり、(a)は分解斜視図、(b)は組み立て後に、サイドプレートと共にベースフレームに取り付けた組立斜視図である。
【
図32】(a)は
図30の各部品を組み立てた後のJ-J線断面図であり、多軸ヒンジ装置の開成状態である。(b)は同じ位置から同装置の閉成状態を表した図である。
【
図33】(a)は第2実施例におけるセンタープレートとサイドプレートの分解斜視図であり、(b)は第2実施例におけるセンタープレートの裏面平面図である。
【
図34】(a)は
図30の各部品を組み立てた後のK-K線断面図であり、多軸ヒンジ装置の開成状態である。(b)は同じ位置から同装置の閉成状態を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明に係る多軸ヒンジ装置、並びにこの多軸ヒンジ装置を用いた電子機器の実施の形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【第1実施例】
【0025】
図1、
図2は、本発明に係る多軸ヒンジ装置を用いた電子機器の一例としての携帯電話機Aを概略的に示しており、
図1(a)は第1筐体1と第2筐体2を0度に閉じた閉成状態の斜視図である。携帯電話機Aの外装は、第1筐体1と第2筐体2とベースカバー3で構成され、ベースカバー3に設けられる多軸ヒンジ装置B(
図1(a)では見えない)により第1筐体1と第2筐体2は開閉可能に連結されている。指示記号1a、1b、1cは後述する取付部材に第1筐体を螺合させる為に設けられている取付孔である。第2筐体2についても同様な構成になっている。スリット1dは多軸ヒンジ装置Bの突出部を避ける逃げ孔である。
図1(b)の側面図に示すように第1筐体1および第2筐体2は矢印3aで示すベースカバー側を回転の根元とし、矢印3bで示す自由端側が開閉の先端となる。また、
図1(a)における矢印3cは前後方向を示しており一方を前、他方を後と定義する。多軸ヒンジ装置Bは詳細を後述するベースフレーム7を有し、ベースフレーム7は第1筐体1と第2筐体2の互いに向き合う各両端部に達している。そしてベースフレーム7に設けられた後述する一対のヒンジシャフトが取付部材を介して前後方向(矢印3c)の各々で第1筐体1と第2筐体2をベースフレーム7と連結し、後述する同期回転機構と回転制御機構を作用させる。
【0026】
図2は第1筐体と第2筐体を180度に開いた開成状態の斜視図であり、
図2(a)はフレキシブルディスプレイシート4が設けられていない状態、
図2(b)はフレキシブルディスプレイ4が設けられた状態を示している。
図2(a)においては多軸ヒンジ装置Bの構成要素である第1サイドプレート51、第2サイドプレート52、センタープレート6が露出している。
図2に図示されるように、第1サイドプレート51及び第2サイドプレート52とセンタープレート6の隣接する辺は、前記センタープレート6の両端部に達する長さを有する。
図1(b)、
図2(a)に示すように、第1、第2筐体は回転中心1e、2eを軸にして矢印1f、2f方向に回転する。この回転動作により
図2(a)の開成状態から
図1(a)の閉成状態に移行する。このように携帯電話機Aは、多軸ヒンジ装置Bにより、フレキシブルディスプレイシート4を内側にして二つ折りされる。
【0027】
多軸ヒンジ装置Bはフレーム機構、回転制御機構、同期回転機構、吸込み機構、上下動機構等で構成されており、初めにフレーム機構について説明する。
図3(a)は上面側から見た多軸ヒンジ装置の開成状態における全体斜視図、
図3(b)は下面側から見た多軸ヒンジ装置の開成状態における全体斜視図、
図3(c)は多軸ヒンジ装置の開成状態における側面図である。同様に多軸ヒンジ装置の閉成状態における斜視図を
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)に示す。
多軸ヒンジ装置Bの表面には対のサイドプレート51、52の間であり、前述した第1筐体1とベースフレーム7の連結と第2筐体2とベースフレーム7の連結の間にセンタープレート6が配置されており、
図2に図示したように、それらはフレキシブルディスプレイシート4の屈曲部周辺を支持するために設けられている。
【0028】
図4に示すように取付部材である第1、第2、第3の取付部材53、54、55に設けられた取付ねじ孔53a、54a、54b、55a、55bと
図1(a)で図示した取付孔1a、1b、1cにより第1、第2筐体1、2は第1、第2、第3の取付部材53、54、55と螺合される。また、ベースカバー3の側面には
図12における爪7gに取り付けられる側板31が設けられ、外部からの異物侵入を防いでいる。
【0029】
図5、
図6、
図7は多軸ヒンジ機構Bにフレキシブルディスプレイシート4を取り付けた閉成状態を図示しており、
図5は斜視図、
図6は正面図、
図7は
図6におけるE-E線断面図である。
図5、
図6、
図7において対のサイドプレート51、52およびセンタープレート6に囲まれる収容部Dには湾曲部41に曲げられたフレキシブルディスプレイシート4が収容されている。後述する回転制御機構および上下動機構により収容部Dは十分な大きさを確保できるために湾曲部41の曲率半径は大きくなり、フレキシブルディスプレイシート4の折れ曲がりや、それによる故障が起きることは無い。
【0030】
図8は多軸ヒンジ機構Bの分解斜視図であり、後述する同期回転機構9は分解されずユニット状態で図示されている。
図8の分解斜視図および
図9から
図20迄の部品図を用いてフレーム機構の詳細を説明する。
【0031】
[センタープレート6]
図9はセンタープレート6の斜視図であり、
図9(a)は上面から見た斜視図、
図9(b)は下面から見た斜視図である。センタープレート6の短辺の両端部6gに取付孔6aおよび位置決め孔6bが設けられており、下面にはストッパー6dが設けられている。6eは後述するギアレバーの逃げであり、6fは第1、第2サイドプレート51、52に設けられたセンタープレート係合片51a、52aを受けるセンタープレート係合片受けである。
【0032】
図10は可動フレーム61の斜視図であり、
図10(a)は上面から見た斜視図、
図10(b)は下面から見た斜視図である。可動フレーム61には取付ねじ孔61aと位置決め軸61bが設けられており、それぞれセンタープレート6の取付孔6a、位置決め孔6bと対応して位置決め、
図8に示す取付ねじ6cにより螺合される。
【0033】
図11は固定フレーム62の斜視図であり、
図11(a)は上面から見た斜視図、
図11(b)は下面から見た斜視図である。固定フレーム61には取付孔62aと位置決め軸62bが設けられている。
図12はベースフレーム7の斜視図であり、
図12(a)は上面から見た斜視図、
図12(b)は下面から見た斜視図である。
図12におけるベースフレーム7に設けられた取付ねじ孔7aと位置決め孔7bと固定フレーム62における取付孔62aと位置決め軸62bと対応して位置決め、
図8に示す取付ねじ62eにより螺合される。尚、ベースフレーム7はベースフレーム取付ねじ孔7jと
図8に示すベースカバー3に設けられた取付孔3dにより螺合されベースカバーと固定される。
【0034】
図8において第1の弾性部材であるトーションバネ111はコイル部111aが固定フレーム62における突起62cに巻き付けられており、フック部111bの先端が可動フレーム61におけるばね受け穴61cに挿入され、フック部111cは固定フレーム62におけるばね受け62dに引っかけられている。トーションバネ111はバネを巻き戻す方向に広げられて可動フレーム61および固定フレーム62に掛けられている。そのためバネが巻き込む方向のチャージ力により、センタープレート6はベースフレーム7に近接する方向の力を受ける。第1、第2筐体1、2が閉成状態の時には、この力によりセンタープレート6は第1弾性部材であるトーションバネ111の付勢力により溝部7pに降下する。また、第1筐体1と第2筐体2が開成状態の時には、後述する位置調整部材筐体91d、92dによりセンタープレート6は第1、第2筐体1、2の各表面と面一状態にさせてフレキシブルシートを水平状態に維持させる。
【0035】
[センタープレート6の動作の説明]
前述したようにセンタープレート6はトーションバネ111によりベースフレーム7に近接する方向(リフトダウン)の力を受けている。しかしながら後述する
図29(a)に示すように第1、第2筐体1、2が開成状態の時は位置調整部材である押上部91d、92dがセンタープレート6のストッパー6dを支持している為にセンタープレート6はベースフレーム7側にリフトダウンせず、後述する第1、第2サイドプレート51、52と略同一平面となる。
図29(b)に示すように押上部91d、92dが後述する同期回転機構により回転させられてセンタープレート6のストッパー6dから外れるとセンタープレート6はトーションバネ111の力でリフトダウンして溝部7pに降下する。
このようにセンタープレート6がベースフレーム7内にリフトダウンすると
図7に示したように収容部Dを大きく確保できてフレキシブルディスプレイシート4の湾曲部41を十分収容できる。このようなセンタープレート6のベースフレーム7に対する上下動動作は本発明の一番の特徴である。
【0036】
[取付部材における回転制御機構8]
次に、取付部材をベースフレーム7に回転させる回転機構について説明する。
図13は第1取付部材53の斜視図であり、
図13(a)は上面から見た斜視図、
図13(b)は下面から見た斜視図である。第1取付部材53には取付ねじ孔53aと取付孔53bおよび位置決め軸53cが設けられている。尚、各説明図に記載される指示記号の後に括弧で囲まれた指示記号は各機構のユニット番号であり、例えば円弧アーム81(82)は円弧アーム81は回転制御機構8を構成する部品であることを示す。
【0037】
図14は第2取付部材54の斜視図であり、
図14(a)は上面から見た斜視図、
図14(b)は下面から見た斜視図である。第2取付部材54には取付ねじ孔54a、54dと取付ねじ孔54bおよび位置決め孔54cが設けられている。そして取付ねじ孔54bおよび位置決め孔54cと取付孔53bおよび位置決め軸53cを対応させ、
図8に示す取付ねじ53dにより第2取付部材54と第1取付部材53は螺合され、固定される。第2取付部材54には後述する第2サポートアームの円弧軸が組み合わされて摺動する円弧溝54hが設けられている。また、後述するギアレバーと連結させるための長孔54eを有する作動アーム54iが設けられている。
【0038】
図15は第3取付部材55の斜視図であり、
図15(a)は上面から見た斜視図、
図15(b)は下面から見た斜視図である。第3取付部材55には取付ねじ孔55a、55dと取付ねじ孔55bおよび位置決め孔55cが設けられている。そして取付ねじ孔55bおよび位置決め孔55cと取付孔53bおよび位置決め軸53cを対応させ、
図8に示す取付ねじ53dにより第3取付部材55と第1取付部材53は螺合され、固定される。第3取付部材55には後述する第1サポートアームの円弧軸が組み合わされて摺動する円弧溝55hが設けられている。また、後述するギアレバーと連結させるための長孔55eを有する作動アーム55iが設けられている。
【0039】
図16は回転制御機構8の円弧アーム81の斜視図であり、
図16(a)は上面から見た斜視図、
図16(b)は下面から見た斜視図である。円弧アーム81には円弧溝81a、取付ねじ孔81b、位置決め軸81cが設けられている。そして位置決め軸81cを位置決め孔54g、55gに嵌め込み、取付孔54f、55fと取付ねじ孔81bとを
図8における取付ねじ81gで螺合することで円弧アーム81と第2、第3取付部材54、55は固定される。又、円弧アーム81にはセンタープレート6の位置を調整する位置調整部材としての押上部81hが設けられている。押上部81hの詳細は後述する。
【0040】
図12のベースフレーム7の前後方向(矢印7h)の両端には円弧溝81aに対応する対の円弧軸7eが設けられている。そして円弧溝81aと円弧軸7eは互いに摺動可能の為、円弧アーム81はベースフレーム7に対して円弧溝81aの軌跡方向に沿って回転可能となる。
【0041】
図17は多軸ヒンジ装置のセンタープレート6および第1、第2サイドプレート51、52を取り外した斜視図および同期回転機構の分解斜視図である。
図17におけるF-F線は円弧アーム81を切る線分であり、F-F線で切断した断面図を
図18に示す。
図18において
図18(a)は第1、第2サイドプレート51、52の開成状態であり、円弧溝81aが円弧軸7eに沿って摺動して
図18(b)の閉成状態に移行する。
【0042】
このように第1、第2サイドプレート51、52の回転をガイド部である円弧状の溝と軸で行うことで回転中心軸を省く機構を回転制御機構8と定義し、本実施例では円弧アーム81の円弧溝81aと
図12に示した円弧軸7eにより回転制御機構を構成している。
図18(a)、(b)において鎖線81fは第1サイドプレート51と連結される円弧アーム81dにおける円弧溝81aと円弧軸7eの摺動軌跡であり、第1回転軸である回転中心1eは第1、第2サイドプレート51、52及びセンタープレート6で囲まれる収容部D内となる。ここで回転支持用のシャフトを収容部D内に設けるとフレキシブルディスプレイシート4を収容する容積が限られてしまうことになる為、本発明では円弧アーム81dを用いることで回転中心1eを仮想の回転中心とし、回転支持用のシャフトを設けることを回避している。2eは第2サイドプレート52と連結される円弧アーム81eの仮想の回転中心であり、回転中心1eと2eの距離Cを離すことで収容部Dの大きさを変更可能である。
【0043】
[回転制御機構8の動作の説明]
第1、第2筐体1、2の少なくとも何れか一方を閉成状態から開成状態にするようにユーザーが力を加えると、第1、第2筐体1、2に取り付けられた第2、第3取付部材54、55の各々に設けられた円弧アーム81の円弧溝81aは、ベースフレーム7に設けられた円弧軸7eに沿って円弧運動する。これによりベースフレーム7に対して第2、第3取付部材54、55は回転することができる。円弧溝アーム81は前述したように回転支持用シャフトを省く役割だけではない。別の役割として円弧溝81aと円弧軸7eという長い嵌合長により回転ガタをなくすことができ、さらに間に充填されたグリスにより適度な粘性を発生させる。その為に円弧溝81aと円弧軸7eにより開閉操作時の品位を向上させることができた。
【0044】
[サイドプレート51、52とサイドプレート揺動機構12]
前述した第2、第3取付部材54、55は開成状態から90度回転して閉成状態に移行する。しかしながら
図7で図示されるように第1、第2サイドプレート51、52は開成状態から90度(
図7では110度)以上回転している。このように第1、第2サイドプレート51、52を90度以上回転させることで収容部Dを大きくしている。この仕組みについて以下に説明する。
【0045】
図19は第1サポートアーム56の斜視図であり、
図19(a)は上面から見た斜視図、
図19(b)は下面から見た斜視図である。尚、各説明図に記載される指示記号の後に括弧で囲まれた指示記号は各機構のユニット番号であり、例えば第1サポートアーム56(12)は第1サポートアーム56はサイドプレート揺動機構12を構成する部品であることを示す。第1サポートアーム56には円弧軸56dが設けられており、前述した第3取付部材55の円弧溝55hと組み合わされて互いに摺動する。また、ガイド溝56aも設けられており、後述する第1軸支ピン7cと組み合わされる。同様に、
図20は第2サポートアーム57の斜視図であり、
図20(a)は上面から見た斜視図、
図20(b)は下面から見た斜視図である。第2サポートアーム57には円弧軸57dが設けられており、前述した第2取付部材54の円弧溝54hと組み合わされて互いに摺動する。また、ガイド溝57aも設けられており、後述する第2軸支ピン7dと組み合わされる。
【0046】
図17におけるG-G線は、円弧軸56d、57dを通る断面線であり、G-G線で切断した断面図を
図21に示す。前述したように第1、第2サポートアーム56、57に設けられたサイドプレート揺動機構を構成する円弧軸56d、57dは、第2、第3取付部材54,55に設けられたサイドプレート揺動機構12を構成する円弧溝54h、55hに嵌り込み、摺動する。その摺動軌跡56g、57gは円形であり、回転中心56h、57hは第1、第2サイドプレート51,52の端部51e、52eとなる。第1、第2サイドプレート51、52の端部51e、52eに回転支持用のシャフトを設けることで円弧溝54h、55h及び円弧軸56d、57dを省くこともできる。しかしながら、回転支持用のシャフト及び対応するシャフト受けを第1、第2サポートアーム56、57及び第2、第3取付部材54、55に設けると、第2、第3取付部材54、55を閉じるときに互いのシャフト受けが干渉してしまう。それを避ける為に、本実施例では回転支持部として円弧溝54h、55h及び円弧軸56d、57dを設け、回転中心56h、57hを仮想回転中心としている。
【0047】
図17におけるH-H線は、はガイド溝56a、57aを切断する線であり、H-H線で切断した断面図を
図22に示す。ベースフレーム7には第1、第2軸支ピン7c、7dが設けられており、各々第1、第2サポートアーム56、57のガイド溝56a、57aと組み合わされている。ここで第2、第3取付部材54、55は
図22(a)に図示される開成状態から
図22(b)に図示される閉成状態までに第1回転軸である回転中心1e、2e回りにθ(90度)回転する。それにつれて第1、第2サポートアーム56、57を回転支持する回転中心56h、57hの位置も回転中心1e、2e回りに回転する為、ベースフレーム7に固定された第1、第2軸支ピン7c、7dとガイド溝56a、57aのガイド軌跡の関連により第1、第2サポートアーム56、57は回転中心56h、57h周りに各々さらにφ(20度)回転することになる。
【0048】
[サイドプレート揺動機構12の軌跡と動作の説明]
第1、第2サポートアーム56、57に設けられたガイド溝56a、57aのガイド軌跡について
図23を用いて説明する。なお、第2サポートアーム57を例とし、第1サポートアーム56は同様であるので省略する。
図23において第1回転軸である回転中心1e回りに第2軸支ピン7dの中心を第1の角度θ(90度)回転させた第1の位置7kを設定する。この時のヒンジシャフト軌跡を57iとする。同様に回転中心1e回りに回転中心57hを第1の角度θ(90度)回転させた第2の位置57jを設定する。次に、第2の位置57jを中心にして第1の位置7kを第2の角度φ(20度)回転させた第3の位置7mを設定する。ここでヒンジシャフト軌跡57iを第2軸支ピン7dを中心として第3の位置7mを通るように矢印57kの方向に回転させた軌跡57mがガイド溝57aの軌跡となる。すなわち第2軸支ピン7d中心と第3の位置7mを通り半径が回転中心1eから第2軸支ピン7dの中心迄の長さr1となる円弧である。この軌跡の場合には第1、第2サポートアーム56、57は第2、第3取付部材54、55の開成から閉成までの0度から90度までの回動角度に比例して0度から110度まで比例して角度を変更する。
【0049】
尚、ガイド溝56a、57aの軌跡は半径がr1より大きければカム詰まりを起こさない。その為ガイド溝56a、57aの軌跡は第2軸支ピン7dの中心と第3の位置7mの中心を通る直線でもよい。本実施例では第2、第3取付部材54、55回動中における第1、第2サポートアーム56、57の円滑な角度変更とガイド溝56a、57aの大きさを考慮してガイド溝の円弧軌跡半径をr1より大きく設定している。このように第1、第2サポートアーム56、57の円弧軸56d、57dと第2、第3取付部材54、55の円弧溝54h、55hとベースフレーム7の第1、第2軸支ピン7c、7dによりサイドプレート揺動機構12を構成している。そして本発明の実施例においては第2、第3取付部材54、55を開成状態から閉成状態に移行させると、それにつれて第1、第2サイドプレート51、52と第2、第3取付部材54、55のなす角度はサイドプレート揺動機構12により徐々に変更される。
【0050】
図24は第1サイドプレート51の斜視図であり、
図24(a)は上面から見た斜視図、
図24(b)は下面から見た斜視図である。第2サイドプレート52についても同様な構成の為説明は省く。第1サイドプレート51の両端部には取付孔51cおよび位置決め孔51bが設けられており、下面にはセンタープレート係合片51aおよびフック51dが設けられている。
【0051】
第1サイドプレート51の取付手順について説明する。ベースプレート7に取り付けられた第2、第3取付部材54、55の円弧溝54h、55hのそれぞれに第2、第1サポートアーム57、56の円弧軸57d、56dに嵌め込む。次に、第1サイドプレート51のフック51dを第1取付部材53のフック受け53eに引っかける。最後に第1サイドプレート51の取付孔51c、位置決め孔51bと第1サポートアーム56、第2サポートアーム57の取付ねじ孔56c、57c及び位置決め軸56b、57bと対応させ、
図8のねじ56f、57fにより螺合させる。サイドプレート51は両端のみ第1サポートアーム56、第2サポートアーム57で支持された薄い板状の為に、中央部の浮き防止としてフック51dをフック受け53eに引っかけている。
【0052】
以上説明したようによりベースフレーム7、センタープレート6、可動フレーム61、固定フレーム62、第1、第2、第3取付部材53、54、55、第1サポートアーム56、第2サポートアーム57、第1サイドプレート51、第2サイドプレート52、円弧アーム81でフレーム機構を構成している。そして第1、第2、第3取付部材53、54、55の開閉動作に応じてベースフレーム7とセンタープレート6の相対位置が変更され、サイドプレート揺動機構12によりサイドプレートと取付部材のなす角度が変更される機能を有する。
【0053】
[同期回転機構9、9]
次に、同期回転機構9、9’の構成について説明する。尚、各説明図に記載される指示記号の後に括弧で囲まれた指示記号は各機構のユニット番号であり、例えばギアシャフト95(9)はギアシャフト95は同期回転機構9を構成する部品であることを示す。
【0054】
図17における同期回転機構9の分解斜視図に示すように、伝達部材である第1同期ギア93、第2同期ギア94はギアシャフト95の軸まわりに回転する。第1、第2同期ギア93、94は互いに噛み合っているために、その回転方向は逆となる。伝達部材である第1、第2ギアレバー91,92はヒンジシャフト101の軸まわりに回転する。
図25、
図26に示すように第1、第2ギアレバー91、92のヒンジシャフト孔91e、92eにヒンジシャフト101の軸(鎖線91f、92fで示す)が貫通しており、ヒンジシャフト孔91e、92eと同軸にレバー同期ギア91a、92aが設けられている。レバー同期ギア91aは第1同期ギア93と噛み合っており、レバー同期ギア92aは第2同期ギア94と噛み合っている為に第1ギアレバー91を
図17の矢印91gに示した回転方向に回転させると第2ギアレバー92は矢印92g方向に回転する。
【0055】
第1、第2ギアレバー91、92の自由端91h、92hは、それぞれ
図14、
図15に示した第2、第3の取付部材54、55おける対の作動アーム54i、54iと55i、55iに挟まれる。そして、
図8に示すが第1軸支ピン96は作動アーム54iに設けられた長孔54eと第1ヒンジシャフト孔91cを貫通し、同様に第2軸支ピン97が長孔55eと第2ヒンジシャフト孔92cを貫通する。前述したように円弧アーム81により第2取付部材54は回転中心1eまわりに回動するが、それに伴う長孔54eの移動により第1ギアレバー91はヒンジシャフト中心91fまわりに回転する。この回転が第1、第2同期ギア93、94を介して第2ギアレバー92に伝わり、第2ギアレバー92は長孔55eを介して第3取付部材55を回動させる。
【0056】
[同期回転機構9、9’の動作の説明]
今、第1筐体1を閉成状態から開成状態になるようにユーザーが力を加えると、第1サイドプレート51側の第2、第3の取付部材54、55が動く。その動きを第1軸支ピン96が拾いサイドプレート51側の第1、第2ギアレバー91、92を回動させる。そして、その回動はレバー同期ギア91a、92aより第1、第2同期ギア93、94及び第2サイドプレート52側の第1、第2ギアレバー92上のレバー同期ギア91a、92aに伝わる。その為第2サイドプレート52側の第2、第3取付部材54、55は第2サイドプレート52側の第1、第2ギアレバー91、92に設けられた第2軸支ピン97により開成状態に動作させられる。
【0057】
このように、第1、第2ギアレバー91、92及び第1、第2同期ギア93、94により回転を同期させる機構を同期回転機構と定義し、同期回転機構9、9’により第1筐体1を開き方向に回動させると、それに同期して同じ角度第2筐体2が開き方向に回動する。このような同期回転機構を設けるとユーザーが第1筐体1と第2筐体2を開くときに高品位な回動感触を得ることができる。
【0058】
[吸込み機構10]
次に、吸込み機構10について説明する。尚、各説明図に記載される指示記号の後に括弧で囲まれた指示記号は各機構のユニット番号であり、例えばヒンジシャフト101(10)はヒンジシャフト101は吸込み機構10を構成する部品であることを示す。第1筐体1と第2筐体2を開閉する動作において閉状態に近い角度になると最も閉じた角度に吸い込み、逆に開状態に近い角度になると最も開いた角度に吸い込む機構を吸込み機構と定義する。
図25、
図26において第1、第2ギアレバー91、92には回転カム91b、92bが設けられている。各々の回転カム91b、92bは、
図17及び
図27に示す固定カム103の固定カム面103a、103bとそれぞれ対向している。固定カム103にはギアシャフト孔103cおよびヒンジシャフト孔103dが設けられており、それぞれギアシャフト95、ヒンジシャフト101が貫通する。
【0059】
図28においてスペーサ102に設けられたヒンジシャフト孔102aにはヒンジシャフト101が貫通し、ギアシャフト孔102bにはギアシャフト95が嵌合する。ギアシャフト95は第1、第2同期ギア93、94、固定カム103のギアシャフト孔103c、サブ圧縮コイルバネ104を貫通する。さらにギアシャフト95は両端がスペーサ102のギアシャフト孔102bと嵌合し、ギアシャフト95のスラスト方向(軸方向)も固定される。またヒンジシャフト101は第1、第2ギアレバー91、92、固定カム103のヒンジシャフト孔103c、第2の弾性部材であるメイン圧縮コイルバネ105、スペーサ102のヒンジシャフト孔102aと貫通する。そして
図17に示すようにヒンジシャフト101の耳101aおよびヒンジシャフト101の段差部101bに嵌るロックリング106で対のスペーサ102を挟んでいる。
【0060】
固定カム103はヒンジシャフト101及びギアシャフト95上を摺動可能であり、
図17に示すように矢印107の付勢方向にメイン圧縮コイルバネ105、サブ圧縮コイルバネ104により付勢されている。そのために回転カム91b、92bは固定カム103の固定カム面103a、103bと対向し互いに押し付けられている。第1、第2のギアレバー91、92が回動されると、それに伴い回転カム91b、92bのカム山91b’、92b’は固定カム面103a、103bのカム山103a’、103b’を乗り越えようとして固定カム103を矢印107と反対方向に付勢する。この付勢力がメイン圧縮コイルバネ105、サブ圧縮コイルバネ104の付勢力より大きくなると第1、第2のギアレバー91、92が回転を始める。
【0061】
図25、
図26、
図27に図示されるようにカム山91b’、92b’、103a’、103b’には斜面部が設けられている。その為、回転カム91b、92bと固定カム面103a、103bの斜面部が互いに対向する回転位相になるとカム斜面により互いのカム山と谷が組み合うように第1、第2ギアレバー91、92の回転が吸い込まれる。
【0062】
[吸込み機構10の動作の説明]
吸込み機構10は第1、第2ギアレバー91、92に設けられた回転カム91b、92bと固定カム103及び第2弾性部材であるサブ圧縮コイルバネ104、メイン圧縮コイルバネ105で構成される。そして吸込み機構10により、第1、第2筐体1、2を開閉する動作において対の筐体を閉状態に近い角度にすると対の筐体は最も閉じた角度に吸い込まれ、逆に開状態に近い角度にすると対の筐体は最も開いた角度である展開状態に吸い込まれる。これにより開閉操作の品位を高くすることができると共に、開閉状態を維持することができるようになる。
【0063】
吸い込み機構10と同期回転機構9、9’は
図17に示したように一体のユニットとなっておりスペーサ102に設けられた取付孔102cと
図12に示した取付ねじ孔7fを取付ネジ108で螺合することでベースフレーム7に対して固定される。
【0064】
[上下動機構11]
次に、上下動機構11について説明する。尚、各説明図に記載される指示記号の後に括弧で囲まれた指示記号は各機構のユニット番号であり、例えばトーションバネ111(11)はトーションバネ111は上下動機構11を構成する部品であることを示す。
図8から
図12で説明したセンタープレート6の動作において、第1、第2筐体1、2が閉成状態の時には、センタープレート6は第1弾性部材であるトーションバネ111の付勢力により溝部7pに降下する。また、第1、第2筐体1、2が開成状態の時にはセンタープレート6は溝部7pからリフトアップし、第1、第2サイドプレート51、52と略同一平面になる。このようにセンタープレート6とベースフレーム7の位置関係を第1、第2筐体1、2の開閉状態によって変更する機構を上下動機構と定義する。
【0065】
本発明の第1実施例においては上下動機構11として二つの機構を設けている。一つ目は前述した回転制御機構8を用いた上下動機構11、二つ目は同期回転機構9、9’を用いた上下機構11である。はじめに回転制御機構8を用いた上下動機構について説明する。
【0066】
[回転制御機構8を用いた上下動機構11]
図16を用いて説明した様に円弧アーム81の先端には押上部81hが設けられている。そして
図18(a)に示す様に、第1、第2サイドプレート51、52の開成状態では押上部81hはセンタープレート6の裏面と当接している。即ち、円弧アーム81の押上部81hはトーションバネ111の付勢力に逆らってセンタープレート6を第1、第2サイドプレート51、52と略同一平面に支えている。
図18(b)に示す第1、第2サイドプレート51、52の閉成状態では押上部81hはセンタープレート6の裏面からは退避する。その為センタープレート6は第1弾性部材であるトーションバネ111の付勢力により溝部7pに降下する。即ち、センタープレート6はベースフレーム7側に退避し、フレキシブルディスプレイシート4を収容する収容部Dを十分確保することができる。
【0067】
次に同期回転機構9、9’を用いた上下動機構について説明する。
【0068】
[同期回転機構9、9’を用いた上下動機構11]
図17におけるI-Iは第1、第2ギアレバー91、92における回転カム91b、92bを切る線分であり、線分I-Iで切断した断面図を
図29に示す。
図29において
図29(a)は第1、第2取付部材54、55の開成状態であり、
図29(b)は第1、第2取付部材54、55の閉成状態である。
【0069】
センタープレート6の動作の説明で説明したように、
図29(a)において第2、第3取付部材54、55の開き方向に連動して第1、第2ギアレバー91、92に設けられた位置調整部材である押上部91d、92dはセンタープレート6のストッパー6dを矢印112のリフトアップ方向に持ち上げる。
図29(b)に示すように第2、第3取付部材54、55の閉じ動作に連動してセンタープレート6は押上部91d、92dから離れ、第1弾性部材であるトーションバネ111の付勢力により溝部7pに降下する。このような上下動機構により第1、第2の筐体1、2が閉成状態においてフレキシブルディスプレイシート4を収容する収容部Dを十分確保することができる。尚、上下動機構は第1、第2ギアレバー91、92に設けられた位置調整部材である押上部91d、92dとセンタープレート6に設けられたストッパー6dと可動フレーム61、固定フレーム62及び第1弾性部材であるトーションバネ111で構成される。
【0070】
第1、第2の筐体1、2が開成状態の時には
図24に図示した第1サイドプレート51に設けられた位置決め部材であるセンタープレート係合片51aが
図9に図示したセンタープレート6のセンタープレート係合片受け6fと連結する。第2サイドプレート52も同様である。この連結によりセンタープレート6と第1、第2サイドプレート51、52は略同一平面になる。
【0071】
この様に本発明における上下動機構11は円弧アーム81及び第1、第2ギアレバー91、92を用いて実現しているが、いずれか片方、例えば第1、第2ギアレバー91、92を設け、円弧アーム81の先端に押上部81hを設けなくても良く、反対に押上部81hを設け、ギアレバー91,92に押上部91d、92dを設けなくても良い。
【第2実施例】
【0072】
図30はセンタープレートと、サイドプレートと、サポートアームを分解した本発明の第2実施例斜視図である。第1実施例と異なるのはセンタープレート6、第1、第2サポートアーム56、57及び第1、第2サイドプレート51、52の形状である。他の部材の形状と構成は第1実施例と同じである為に部材の配置及び動作の説明は省く。
第1実施例においては、回転制御機構8、及び同期回転機構9、9’を用いた上下動機構11を実現していた。それに対して第2実施例においては、サイドプレート揺動機構12を用いて上下動機構11を実現している。
【0073】
サイドプレート揺動機構12を用いた上下動機構11では二つの異なる機構を設けており、一つ目は第1、第2サポートアーム56、57を用いた上下動機構11、二つ目は第1、第2サイドプレート51,52を用いた上下動機構11である。はじめに第1、第2サポートアーム56、57を用いた上下動機構11について説明する。
【0074】
[第1、第2サポートアーム56、57を用いた上下動機構11]
図31は第2実施例における第1、第2サポートアーム56、57とセンタープレート6の部分斜視図であり、(a)は分解斜視図、(b)は組み立て後に、第1、第2サイドプレート51,52と共にベースフレーム7に取り付けた組立斜視図である。
図31(a)に示す様に、第1、第2のサポートアーム56、57は、押上部56n、57nを設けている。これは、
図19を用いて説明した第1、第2サポートアーム56、57に押さえ面56e、57eを切り欠いて位置調整部材とした面である。又、センタープレート6の端部6gに突起6iを設け、突起6iの裏面に押上部受け6jが設けられている。押上部56n、57nは押上部受け6jを支えて
図31(b)の配置となる。
【0075】
図30におけるJ-Jは第1、第2サポートアーム56、57における押上部56n、57nを切る線分であり、
図30の各部品を組み立てた後に線分J-Jで切断した断面図を
図32に示す。
図32において
図32(a)は第1、第2取付部材54、55の開成状態であり、
図32(b)は第1、第2取付部材54、55の閉成状態である。
【0076】
第1実施例におけるサイドプレート揺動機構12の動作で説明した様に、第2、第3取付部材54、55の開き方向回動に連動して第1、第2サポートアーム56、57は揺動する。そして、第1、第2サポートアーム56、57に設けられた位置調整部材である押上部56n、57nはセンタープレート6裏面の押上部受け6jを矢印112のリフトアップ方向に持ち上げる。
図32(b)に示すように第2、第3取付部材54、55の閉じ動作に連動してセンタープレート6の押上部受け6jは押上部56n、57nから離れ、センタープレート6はトーションバネ111の付勢力によりベースフレーム7の溝部7p(
図29(a)に記載)に降下する。第1実施例で説明した様にサイドプレート揺動機構12の揺動角度は
図22(b)と同様に第1、第2取付部材の揺動角度よりもθ大きく設定している。その為に、第2、第3取付部材54、55の閉じ動作に連動して押上部受け6jは押上部56n、57nから十分離れ、第1、第2サポートアーム56、57はセンタープレート6を確実にリリースできる。このような上下動機構11により第1、第2の筐体1、2が閉成状態においてフレキシブルディスプレイシート4を収容する収容部Dを十分確保することができる。ここで、上下動機構11は第1、第2サポートアーム56,57に設けられた位置調整部材である押上部56n、57nとセンタープレート6に設けられた押上部受け6jと可動フレーム61、固定フレーム62及び第1弾性部材であるトーションバネ111で構成される。
【0077】
次にサイドプレート51、52を用いた上下動機構11について説明する。
【0078】
[サイドプレート51,52を用いた上下動機構11]
図33(a)は第2実施例における第1、第2サイドプレート51、52とセンタープレートの斜視図であり、(b)はセンタープレート6の裏面平面図である。
図33(a)に示す様に、第1、第2のサイドプレート51、52は
図24を用いて説明した第1実施例のセンタープレート係合片51aの先端に押上部51g、52gを位置調整部材として設けている。又、
図33(b)に示す様にセンタープレート6の中央に押上部受け6kが設けられている。端部6gに突起6iを設け、突起6iの裏面に押上部受け6j、6mが設けられている。押上部受け6kは第1、第2のサイドプレート51、52nと対応し、押上部受け6mは円弧アーム81における押上部81hと対応する。
【0079】
図30におけるK-Kは第1、第2サイドプレート51、52における押上部51g、52gを切る線分であり、
図30における各部品を組み立てた後に線分K-Kで切断した断面図を
図34に示す。
図34において
図34(a)は第1、第2取付部材54、55の開成状態であり、
図34(b)は第1、第2取付部材54、55の閉成状態である。
【0080】
第1実施例におけるサイドプレート揺動機構12の動作で説明した様に、第2、第3取付部材54、55の開き方向回動に連動して第1、第2サイドプレート51、52は揺動する。そして、第1、第2サイドプレート51、52に設けられた位置調整部材である押上部51g、52gはセンタープレート6裏面の押上部受け6kを矢印112のリフトアップ方向に持ち上げる。
図34(b)に示すように第2、第3取付部材54、55の閉じ動作に連動してセンタープレート6の押上部受け6kは押上部51g、52gから離れ、センタープレート6はトーションバネ111の付勢力によりベースフレーム7の溝部7p(
図29(a)に記載)に降下する。第1実施例で前述した様にサイドプレート揺動機構11の揺動角度は
図22(b)と同様に第1、第2取付部材の揺動角度よりもθ大きく設定している。その為に、第2、第3取付部材54、55の閉じ動作に連動して押上部受け6kは押上部51g、52gから十分離れ、第1、第2サイドプレート51、52はセンタープレート6を確実にリリースできる。このような上下動機構11により第1、第2の筐体1、2が閉成状態においてフレキシブルディスプレイシート4を収容する収容部Dを十分確保することができる。ここで、上下動機構11は第1、第2サイドプレート51、52に設けられた位置調整部材である押上部51g、52gとセンタープレート6に設けられた押上部受け6kと可動フレーム61、固定フレーム62及び第1弾性部材であるトーションバネ111で構成される。
【0081】
この様に本発明における上下動機構11は第1、第2サポートアーム56、57及び第1、第2サイドプレート51、52を用いて実現しているが、いずれか片方、例えば押上部56n、57nを設け、第1、第2サイドプレート51、52に押上部51g、52gを設けなくても良く、反対に第1、第2サイドプレート51、52に押上部51g、52gを設け、第1、第2サポートアーム56、57に押上部56n、57nを設けなくても良い。
【0082】
以上説明したように本発明の多軸ヒンジ機構においては、上下動機構11とサイドプレート揺動機構12、回転制御機構8および同期回転機構9、9’により湾曲部41のフレキシブルディスプレイシート4を収容する十分な収容部Dを確保することができた。また、位置決め部材であるセンタープレート係合片51a、52aとセンタープレート係合片受け6fにより第1、第2筐体1、2の開成状態においてフレキシブルディスプレイシート4を平坦に支持することができた。
また同期回転機構9、9’と吸込み機構10により第1、第2筐体1、1を開閉する時の品位を高くすることができた。
【0083】
尚、本実施例において上下動機構11及びサイドプレート揺動機構12等は第1、第2取付部材54、55の両者に設けられているが、いずれか一方に設けることでも良い。また回転制御機構8など回転動作に設けられるカム溝やガイド溝をカム軸に変更し、対応するカム軸、ヒンジシャフトをカム溝、ガイド溝に変更しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の多軸ヒンジ装置は、以上のように構成したので、第1筐体と第2筐体の閉成状態においてフレキシブルディスプレイシートを収容する十分な空間を確保でき、フレキシブルディスプレイシートの折れや故障を防ぐことができた。
【0085】
本発明は、第1筐体と第2筐体に跨らせてフレキシブルディスプレイシートが掛け渡される構成の折り畳み式の電子機器、例えば携帯電話機、スマートフォン、電子手帳、PDA、ネットブック、映像ディスプレイ装置、携帯用ゲーム機、ノートパソコンなどに用いて好適な多軸ヒンジ装置、並びにこの多軸ヒンジ装置を用いた折り畳み式の電子機器として好適に用いられるものである。本発明に係る多軸ヒンジ装置は、携帯電話機だけに用いられるものではなく、上記したように、表面に1枚のフレキシブルディスプレイシートを取り付けた第1筐体と第2筐体を互いに開閉可能に連結する構成の折り畳み式の電子機器において広く用いることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 第1筐体
2 第2筐体
3 ベースカバー
4 フレキシブルディスプレイシート
6 センタープレート
7 ベースフレーム
8 回転制御機構
9 同期回転機構
10 吸込み機構
11 上下動機構
12 サイドプレート揺動機構
51 第1サイドプレート
51a センタープレート係合片(位置決め部材)
51g 押上部(位置調整部材)
52 第2サイドプレート
52g 押上部(位置調整部材)
53 第1取付部材
54 第2取付部材
54h 円弧溝(回転支持部)
55 第3取付部材
55h 円弧溝(回転支持部)
56 第1サポートアーム
56d 円弧軸(回転支持部)
56n 押上部(位置調整部材)
57 第2サポートアーム
57d 円弧軸(回転支持部)
57n 押上部(位置調整部材)
61 可動フレーム
62 固定フレーム
81 円弧アーム
81d 円弧アーム
81e 円弧アーム
81h 押上部(位置調整部材)
91 第1ギアレバー
91a レバー同期ギア(伝達部材)
91b 回転カム
91d 押上部(位置調整部材)
92 第2ギアレバー
92a レバー同期ギア(伝達部材)
92b 回転カム
92d 押上部(位置調整部材)
103 固定カム
104 サブ圧縮コイルバネ(第2弾性部材)
105 メイン圧縮コイルバネ(第2弾性部材)
111 トーションバネ(第1弾性部材)