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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163607
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】タイヤの製造方法およびタイヤ用加硫機
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/04 20060101AFI20241115BHJP
   B29C 35/04 20060101ALI20241115BHJP
   B29L 30/00 20060101ALN20241115BHJP
【FI】
B29C33/04
B29C35/04
B29L30:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079364
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】疋田 裕也
【テーマコード(参考)】
4F202
4F203
【Fターム(参考)】
4F202AA45
4F202AB03
4F202AH20
4F202AR02
4F202AR11
4F202CA21
4F202CU12
4F202CY02
4F202CY12
4F203AA45
4F203AB03
4F203AH20
4F203AR02
4F203AR11
4F203DA11
4F203DB01
4F203DC02
4F203DL12
4F203DM02
4F203DM09
(57)【要約】
【課題】シェーピング工程の短縮
【解決手段】
シェーピング工程は、ブラダ40に加圧媒体を供給し、ブラダ40を膨張させる工程である。かかるシェーピング工程では、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間t1は、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体がブラダ40に供給される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ用加硫機によってタイヤを製造するタイヤの製造方法であって、
前記タイヤ用加硫機は、
中心部に配置されたブラダと、
前記ブラダを囲うように配置された成型用の金型と、
前記金型を開閉する機構と
を備え、
前記ブラダは、
加圧媒体が供給されることによって膨張し、加圧媒体が排出されることによって収縮するように構成されており、
当該製造方法は、
前記ブラダを萎ませた状態で、前記ブラダの周りを囲うように前記ローカバーが配置される工程と、
前記ブラダに加圧媒体を供給し、前記ブラダを膨張させるシェーピング工程と
を含み、
前記シェーピング工程は、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間は、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体が前記ブラダに供給される、
タイヤの製造方法。
【請求項2】
前記第1期間は、シェーピング工程で前記ブラダに加圧媒体を供給する全体の時間を100%としたときに、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から15%以下の期間である、請求項1に記載された製造方法。
【請求項3】
前記他の期間は、予め定められた一定の供給圧で加圧媒体が前記ブラダに供給される、請求項1に記載されたタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記第1期間における加圧媒体の供給圧の最大値は、前記他の期間に設定された供給圧の最大値の少なくとも2倍大きい、請求項1に記載された製造方法。
【請求項5】
前記シェーピング工程は、
加圧媒体の供給開始から予め定められた供給圧に圧力を上昇させ、予め定められた供給圧で加圧媒体をブラダに供給する1回目のシェーピング工程と、
前記1回目のシェーピング工程の後、前記ブラダを減圧する工程と、
前記減圧する工程の後、加圧媒体の供給開始から予め定められた供給圧に圧力を上昇させ、予め定められた供給圧で加圧媒体を前記ブラダに供給し、前記ブラダの内圧を予め定められた内圧に到達させる2回目のシェーピング工程と
を含み、
前記1回目のシェーピング工程と前記2回目のシェーピング工程とのうち少なくともいずれか一方の工程において、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間は、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体が前記ブラダに供給される、
請求項1から4までの何れか一項に記載されたタイヤの製造方法。
【請求項6】
前記1回目のシェーピング工程と2回目のシェーピング工程の両方の処理において、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間は、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体が前記ブラダに供給される、請求項5に記載されたタイヤの製造方法。
【請求項7】
中心部に配置されたブラダと、
前記ブラダを囲うように配置された成型用の金型と、
前記金型を開閉する機構と、
前記ブラダに加圧媒体を供給する供給装置と、
前記ブラダから加圧媒体を排出する排出装置と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記ブラダに加圧媒体を供給し、前記ブラダを膨張させるシェーピング工程のうち、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間において、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体が前記ブラダに供給されるように構成されている、
タイヤ用加硫機。
【請求項8】
前記第1期間は、シェーピング工程で前記ブラダに加圧媒体を供給する全体の時間を100%としたときに、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から15%以下の期間となるように設定されている、請求項7に記載されたタイヤ用加硫機。
【請求項9】
前記制御装置は、前記他の期間では、予め定められた一定の供給圧で加圧媒体が前記ブラダに供給されるように構成されている、請求項7に記載されたタイヤ用加硫機。
【請求項10】
前記第1期間における加圧媒体の供給圧の最大値は、前記他の期間に設定された供給圧の最大値の少なくとも2倍大きくなるように、加圧媒体の供給圧が設定されている、請求項7に記載されたタイヤ用加硫機。
【請求項11】
前記シェーピング工程は、
加圧媒体の供給開始から予め定められた供給圧に圧力を上昇させ、予め定められた供給圧で加圧媒体をブラダに供給する1回目のシェーピング工程と、
前記1回目のシェーピング工程の後、前記ブラダを減圧する工程と、
前記減圧する工程の後、加圧媒体の供給開始から予め定められた供給圧に圧力を上昇させ、予め定められた供給圧で加圧媒体を前記ブラダに供給し、前記ブラダの内圧を予め定められた内圧に到達させる2回目のシェーピング工程と
を含み、
前記制御装置は、前記1回目のシェーピング工程と前記2回目のシェーピング工程とのうち少なくともいずれか一方の工程において、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間が、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体が前記ブラダに供給されるように構成されている、
請求項7から10までの何れか一項に記載されたタイヤ用加硫機。
【請求項12】
前記制御装置は、前記1回目のシェーピング工程と2回目のシェーピング工程の両方の処理において、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間が、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体が前記ブラダに供給されるように構成されている、請求項11に記載されたタイヤ用加硫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ加硫用ブラダおよびタイヤ用加硫機に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-55203号公報には、タイヤの製造方法が開示されている。ここで開示されたタイヤの製造方法は、タイヤ軸方向に隔てられた第1ビード部及び第2ビード部を含む生タイヤの内腔の中でブラダを膨張させ、生タイヤを所定の形状に成形するシェーピング工程を含んでいる。シェーピング工程は、ブラダを、生タイヤの内腔のうち、第1ビード部側の領域である第1領域で膨張させて、生タイヤの第1領域のみを成形する第1ステップと、第1ステップに引き続いて行われ、かつ、膨張したブラダを、生タイヤの内腔の第2ビード部側の領域である第2領域へと徐々に拡張させて、生タイヤの第1領域及び第2領域の双方を成形する第2ステップとを含んでいる。かかる方法によれば、セット位置のズレ等に起因する加硫済みタイヤへの傷の発生を抑えるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-55203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タイヤ加硫用ブラダおよびタイヤ用加硫機に関し、シェーピング工程の時間短縮を図り、タイヤの生産性を向上させたい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示されるタイヤの製造方法は、タイヤ用加硫機によってタイヤを製造するタイヤの製造方法である。ここで、タイヤ用加硫機は、中心部に配置されたブラダと、ブラダを囲うように配置された成型用の金型と、金型を開閉する機構とを備えている。ブラダは、加圧媒体が供給されることによって膨張し、加圧媒体が排出されることによって収縮するように構成されている。当該製造方法は、ブラダを萎ませた状態で、ブラダの周りを囲うようにローカバーが配置される工程と、ブラダに加圧媒体を供給し、前記ブラダを膨張させるシェーピング工程とを含んでいる。シェーピング工程は、ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間は、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体が前記ブラダに供給される。
【0006】
ここで開示されるタイヤ用加硫機は、中心部に配置されたブラダと、ブラダを囲うように配置された成型用の金型と、金型を開閉する機構と、ブラダに加圧媒体を供給する供給装置と、ブラダから加圧媒体を排出する排出装置と、制御装置とを備えている。
制御装置は、ブラダに加圧媒体を供給し、ブラダを膨張させるシェーピング工程のうち、ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間において、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体がブラダに供給されるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
ここで開示されるタイヤの製造方法およびタイヤ用加硫機によれば、それぞれシェーピング工程の時間短縮が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、タイヤ用加硫機10の模式図である。
図2図2は、タイヤ用加硫機10の模式図である。
図3図3は、シェーピング工程での加圧媒体の供給圧の変化を示すタイムチャートである。
図4図4は、シェーピング工程でのブラダ40の内圧の変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ここで開示される発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本明細書において数値範囲を示す「X~Y」などの表記は、特に言及されない限りにおいて「X以上Y以下」を意味する。
【0010】
《タイヤ用加硫機10》
図1および図2は、タイヤ用加硫機10の模式図である。図1では、金型20が開かれた状態が図示されており、図2では、金型20が閉じられた状態が図示されている。なお、図1において、ブラダ40とローカバー200の断面のハッチングは、省略している。ここで、図1および図2は、タイヤ用加硫機の一実施形態を示すものであり、タイヤ用加硫機は、特に言及されない限りにおいて、図1および図2の形態に限定されない。
【0011】
タイヤ用加硫機10は、図1および図2に示されているように、ブラダ40と、金型20と、金型20を開閉する機構30とを備えている。
【0012】
ブラダ40は、タイヤの内側面を成型する部材である。ブラダ40は、タイヤを成形する際に金型20内で膨張したり、収縮したりする環状の部材である。ブラダ40は、加圧媒体が供給されることによって膨張し、加圧媒体が排出されることによって収縮するように構成されている。金型20は、ブラダ40を囲うように配置され、複数のモールドからなる割型で構成されており、金型20を開閉する機構30に取り付けられている。
【0013】
図1および図2に示された形態では、金型20は、下サイドモールド21と、複数のトレッドモールド23と、上サイドモールド22とを備えている。ここで、下サイドモールド21は、ブラダ40の周りの下側に配置された金型である。複数のトレッドモールド23は、タイヤのドレッド部を形成するための金型であり、周方向に分割される割モールドで構成されている。トレッドモールド23は、ブラダ40の周りの外径側に配置され、ブラダ40に対して径方向に移動する機構31に取り付けられている。上サイドモールド22は、ブラダ40の周りの上側に配置され、下サイドモールド21に対して上下に移動する機構32に取り付けられた金型である。ここでは、タイヤ用加硫機10に用いられる金型20の構成例を示すものであり、金型20は特に言及されない限りにおいてかかる形態に限定されない。例えば、タイヤ用加硫機に用いられる金型は、上型と下型からなる割りモールドでもよい。
【0014】
〈ローカバー200〉
ローカバー200は、加硫成形前の未加硫のタイヤであり、生タイヤとも称される。ローカバー200は、ビードワイヤーやカーカスやベルトなどの基材に、未加硫のサイドウォールゴムやトレッドゴムを貼り合わせられた筒状の部材である。ローカバー200の両側の周縁部には、ビード部201,202が設けられている。
【0015】
図1および図2に示された形態では、タイヤ用加硫機10は、ブラダ40と、金型20の他にも下コンテナ11と、上コンテナ12と、ブラダ保持機構50と、媒体供給管80と、制御装置400を備えている。以下、図1および図2に示されたタイヤ用加硫機10をより詳しく説明する。
【0016】
〈下コンテナ11〉
下コンテナ11は、プレス機のテーブル台(図示しない)等に支持される部材であり、下プレート13を備えている。下コンテナ11には、金型20の一部が取り付けられている。この実施形態では、下コンテナ11に取り付けられる金型20の一部として、下サイドモールド21が、下プレート13の上に取り付けられている。下サイドモールド21の上には、ローカバー200の下側のビード部201を保持する下ビードリング21bが取り付けられている。下ビードリング21bには、ローカバー200の下側のビード部201を保持する部位21b1と、ブラダ40の下端周縁部42を把持する把持部21b2とが設けられている。把持部21b2は、ローカバー200の下側のビード部201を保持する部位21b1よりも内径側に設けられている。
【0017】
〈上コンテナ12〉
上コンテナ12は、上プレート17と、拡縮ガイド18とを備えている。上プレート17は、例えば、プレス機(図示省略)のプレス板などに取り付けられたプレート部材であり、下プレート13の上方に配されている。
【0018】
拡縮ガイド18は、スライダ18aと、プッシャー18bとを備えている。スライダ18aは、上プレート17の下面に沿って、径方向に内外に動くように構成されている。スライダ18aの外側面には、下方に向かうにつれて外方に広がったテーパ面18a1が形成されている。プッシャー18bは、スライダ18aの外側面に当たるように下方に延びた部材である。プッシャー18bには、スライダ18aのテーパ面18a1に対向するように、下方に向かうにつれて外方に向けて広がったテーパ面18b1が設けられている。この実施形態では、スライダ18aは、周方向において放射状に複数配置されている。複数のスライダ18aは、上コンテナ12が降下し、プッシャー18bが降下した時に、内側に向けて移動し、周方向の間隔が近くなり、略円環状になる。プッシャー18bは、プレス機に取り付けられ、上プレート17と一体に上下動するように構成されているとよい。
【0019】
上コンテナ12には、金型20の一部が取り付けられている。この実施形態では、上コンテナ12には、金型20の一部として、上サイドモールド22と、トレッドモールド23とが取り付けられている。上サイドモールド22は、上プレート17の下に取り付けられている。上サイドモールド22の内径側の縁には、ローカバー200の上側のビード部202を保持する上ビードリング22bが取り付けられている。トレッドモールド23は、周方向に分割されうる複数のモールドで構成されており、スライダ18aの内周面に取り付けられている。
【0020】
このように、金型20を開閉する機構30のうち、上サイドモールド22を、下サイドモールド21に対して上下に移動させる機構32は、プレス機など上下動する機構で構成されているとよい。また、金型20を開閉する機構30のうち、ブラダ40に対してトレッドモールド23を径方向に移動させる機構31は、プレス機に取り付けられたスライダ18aとプッシャー18bとで構成されているとよい。
【0021】
〈ブラダ40〉
ブラダ40は、タイヤの内側面を成形する部材である。ブラダ40は、筒状のゴム製の弾性体である。ここで、ブラダ40は、下コンテナ11と上コンテナ12との間で、金型20に囲まれた中央部に配置され、ブラダ保持機構50に取り付けられている。
【0022】
〈ブラダ保持機構50〉
ブラダ保持機構50は、上部クランプ部材54と、下部クランプ部材56と、センタポスト58とを備えている。センタポスト58は、下コンテナ11の中央部を貫通し、下コンテナ11と上コンテナ12との間で上下方向に沿って延びた軸状の部材である。センタポスト58には、上部クランプ部材54と下部クランプ部材56とが取り付けられている。
【0023】
上部クランプ部材54は、ブラダ40の上端部を把持する部材である。この実施形態では、上部クランプ部材54は、センタポスト58の上端部に取り付けられた円板状の部材である。上部クランプ部材54の外周縁部には、ブラダ40の上端周縁部41を把持する把持部54aが設けられている。図示は省略するが、上部クランプ部材54は、例えば、上下に分割可能な部材で、ブラダ40の上端周縁部41を挟んで保持する構造でありうる。
【0024】
下部クランプ部材56は、ブラダ40の下端部を把持する部材である。この実施形態では、下部クランプ部材56は、センタポスト58に取付けられ、上部クランプ部材54の下側に離して取り付けられた円板状の部材である。下部クランプ部材56は、下ビードリング21bの上面において取り付けられており、下部クランプ部材56の外周縁部には、ブラダ40の下端周縁部42を把持する把持部56aが設けられている。ブラダ40の下端周縁部42は、下部クランプ部材56の外周縁部と下ビードリング21bに設けられた把持部21b2とに挟まれることによって保持されている。
【0025】
〈媒体供給管80〉
この実施形態では、媒体供給管80は、センタポスト58の周りに取付けられている。媒体供給管80の一端は、下部クランプ部材56に形成された開口を通じて、ブラダ40内に通じている。媒体供給管80は、ブラダ40内への加圧媒体や窒素の供給やドレインの回収を行う配管である。媒体供給管80には、媒体給排装置82に接続されている。ブラダ40は、媒体供給管80を通じて加圧媒体が供給されることによって膨らみ、加圧媒体が排出されることによって萎む。媒体供給管80を通じたブラダ40への加圧媒体の供給や排出は、制御装置400によって制御される。
【0026】
媒体給排装置82は、媒体供給装置82aや媒体排出装置82bやドレイン回収装置82cを備えているとよい。媒体供給装置82aは、ブラダ40に加圧媒体を供給する装置である。媒体供給装置82aは、ポンプを備えており、ブラダ40に加圧媒体を強制的に送る機構を備えているとよい。媒体排出装置82bは、ブラダ40から加圧媒体を抜く装置である。媒体排出装置82bは、ブラダ40から加圧媒体を強制的に排出する機構を備えているとよく、媒体供給装置82aのポンプを利用するものでもよい。ドレイン回収装置は、ブラダ40に供給された加圧媒体が加圧蒸気である場合に、ブラダ40内で液化した液体を排出する装置である。ドレイン回収装置では、媒体供給管80の一部にドレイン用の配管が接続されているとよい。
【0027】
〈シェーピング工程〉
このようにブラダ40は、加圧媒体が供給されることによって膨張し、加圧媒体が排出されることによって収縮するように構成されている。図1において、ブラダ40が萎んだ状態が、2点鎖線で示されている。ローカバー200は、ブラダ40が萎んだ状態で、前記ブラダの周りを囲うように、タイヤ用加硫機10の所定位置にセットされる。そして、図1に示されているように、ブラダ40を膨らませることによって、ローカバー200がブラダ40に保持される。ブラダ40が萎んだ状態からブラダ40を膨らませて、ローカバー200をブラダ40に保持させる工程において、ブラダ40を膨らませる工程をシェーピング工程という。
【0028】
ブラダ40への加圧媒体の供給は、予め定められた供給圧で行なわれている。この場合、ブラダ40への加圧媒体の供給は、供給開始から予め定められた供給圧に圧力を上昇させた後、予め定められた供給圧で供給圧を安定させて加圧媒体をブラダ40に供給する。ブラダ40の内圧は徐々に上昇していく。これにより、最終的に到達させたいブラダ40の内圧にする。この場合、加圧媒体の供給圧が一定であるから、ブラダ40の内圧を狙いの圧力に調整しやすい。タイヤ用加硫機10において、ブラダ40を膨らませるシェーピング工程は、2回に分けて、ブラダ40を膨らませる場合がある。
【0029】
この場合、例えば、1回目のシェーピング工程では、加圧媒体の供給開始から予め定められた供給圧に圧力を上昇させることで加圧媒体をブラダ40に供給する。そして、1回目のシェーピング工程で到達させたい内圧に到達させた後、一度、ブラダ40から加圧媒体を抜き、ブラダ40を減圧する工程を経て、2回目のシェーピング工程を実施する。2回目のシェーピング工程では、ブラダ40を減圧する工程の後、再び、加圧媒体の供給開始から予め定められた供給圧に圧力を上昇させ、予め定められた供給圧で加圧媒体をブラダ40に供給する。2回目のシェーピング工程では、ブラダの内圧を予め定められた内圧に到達させる。
【0030】
ここで、1回目のシェーピング工程は、ブラダ40によってローカバー200を保持することが主たる目的である。2回目のシェーピング工程は、ローカバー200の内側面にブラダ40を押し当て、ローカバー200とブラダ40との間にエアが残らないようにすることが主たる目的である。
【0031】
ところで、本発明者は、タイヤの生産性を向上させたいと考えている。この中で、加硫成形に掛かる時間を短くできれば、タイヤの生産性を向上させることができると考えている。かかる検討中で、シェーピング工程でのブラダ40を膨らませ方について、新たな着想を得た。
【0032】
図3は、シェーピング工程での加圧媒体の供給圧の変化を示すタイムチャートである。図3では、シェーピング工程での加圧媒体の供給圧のタイムチャートが模式的に示されている。図3の縦軸は、加圧媒体の供給圧であり、横軸は時間である。ここで、加圧媒体の供給圧は、例えば、媒体供給管80を流通する加圧媒体の圧力が示されている。媒体供給管80には、図1に示されているように、例えば、圧力センサや温度センサなどのセンサ類80aと、調整弁80bが取り付けられているとよい。圧力センサや温度センサなどのセンサ類80aで測定された測定値は、制御装置400に送信されるように構成されているとよい。媒体供給管80を流通する加圧媒体の圧力は、例えば、媒体供給管80に設けられた圧力センサで検知されうる。制御装置400は、圧力センサで検知された媒体供給管80を流通する加圧媒体の圧力を基に、媒体供給装置82aや調整弁80bの開度を調整し、媒体供給管80を流通する加圧媒体の圧力を調整できるように構成されているとよい。
【0033】
図3の破線Asは、シェーピング工程において、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始してからブラダ40に加圧媒体の供給圧を徐々に上昇させ(s1)、予め定められた供給圧でブラダ40に加圧媒体を供給する(s2)場合のタイムチャートである。これに対して、図3に実線Atで示されているタイムチャートは、ここで提案されるタイヤの製造方法でのタイムチャートである。図3の破線Asと実線Atは、他の期間(t2)での予め定められた供給圧(L1)が実際には同じであるが、線が重ならないように、少しずらして描かれている。
【0034】
図3の実線Atに示されているように、ここで提案されるタイヤの製造方法では、シェーピング工程のうち、ブラダ40に加圧媒体の供給が開始される供給開始時から予め定められた第1期間(t1)において、他の期間(t2)よりも高い圧力で加圧媒体がブラダ40に供給される。具体的には、図3の実線Atで示されているように、シェーピング工程において、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始するときに、媒体供給管80を流通する加圧媒体の圧力を一気に上昇させて、他の期間での供給圧よりも、格段に高くする(t11)。その後、供給圧を低くしていき(t12)、他の期間(t2)での予め定められた供給圧(L1)に調整するとよい。この場合、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始してすぐの第1期間(t1)において、ブラダ40に供給される加圧媒体の量が多くなる。このため、図3の破線Asで示された場合に比べて、全体としてブラダ40に加圧媒体を供給するための時間が短くなる。
【0035】
図4は、シェーピング工程でのブラダ40の内圧の変化を示すタイムチャートである。図4では、シェーピング工程でのブラダ40の内圧のタイムチャートが模式的に示されている。図4の縦軸は、ブラダ40の内圧であり、横軸は時間である。
【0036】
図4において破線Bsで示されるタイムチャートは、シェーピング工程において、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始してからブラダ40に加圧媒体の供給圧を徐々に上昇させ、予め定められた供給圧でブラダ40に加圧媒体を供給した場合の、ブラダ40の内圧力の変化を示している。破線Bsのタイムチャートは、図3の破線Asで示された態様で、ブラダ40に加圧媒体が供給された例に相当する。
【0037】
図4において実線Btで示されるタイムチャートは、シェーピング工程の、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間(t1)において、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体がブラダ40に供給した場合が示されている。実線Btのタイムチャートは、図3の実線Atで示された態様で、ブラダ40に加圧媒体が供給された例に相当する。
【0038】
図4に示されたタイムチャートBs,Btでは、タイヤ用加硫機10のシェーピング工程について、2回に分けてブラダ40を膨らませる場合が、それぞれ示されている。
ここで、1回目のシェーピング工程C1では、ブラダ40内が予め定められた圧力になるまで、ブラダ40を膨らませる。1回目のシェーピング工程C1では、到達させたい内圧に到達させた後、一度、ブラダ40から加圧媒体が抜かれる。2回目のシェーピング工程C2では、再び、ブラダ40を膨らませ、1回目のシェーピング工程C1よりも高い予め定められた内圧(Bp1)まで、加圧媒体を供給する。
【0039】
図4に示されたタイムチャートBtでは、1回目のシェーピング工程C1と、2回目のシェーピング工程C2のいずれも、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間(t1)において、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体がブラダ40に供給されている。このため、図4のタイムチャートBtに示されているように、1回目のシェーピング工程C1と、2回目のシェーピング工程C2のいずれも、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始してから直ぐの第1期間(t1)において、ブラダ40の内圧がぐっと高くなっている。この結果、図4に示されたタイムチャートBtでは、タイムチャートBsに比べて、1回目のシェーピング工程C1と2回目のシェーピング工程C2とにおいて、共に時間が短縮されている。
【0040】
この結果は、シェーピング工程全体として見ても、2回目のシェーピング工程で、予め定められた圧力(Bp1)までブラダ40の内圧が高められるまでに要する時間Ts,Ttで評価されうる。図4に示されているように、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始してから直ぐの第1期間(t1)に供給圧が高くされた態様のタイムチャートBtでの当該時間Ttは、タイムチャートBsでの当該時間Tsに比べて、格段に短くなる。本発明者の知見では、このように、第1期間(t1)でブラダ40への加圧媒体の供給圧が高くされた態様においても、成型されるタイヤの品質には、影響が出ない。
【0041】
本発明者の知見では、いわゆる245/60R18で示されるタイヤにおいて、40kPaの一定の供給圧で、ブラダ40への加圧媒体を供給していた場合に、2回目のシェーピング工程C2で予め定められた内圧までブラダ40を膨らませるまでの時間は、全体で34.3秒程度掛かっていた。これに対して、第1期間(t1)をブラダ40に加圧媒体の供給を開始してから1秒間、第1期間(t1)でのブラダ40への加圧媒体の供給圧を300kPaとし、その後、40kPaの一定の供給圧で、ブラダ40への加圧媒体を供給する。この場合には、2回目のシェーピング工程C2で予め定められた内圧までブラダ40を膨らませるまでの時間が、全体で28.5秒程度に短縮できた。つまり、この場合、シェーピング工程の時間を17%程度短縮できた。
【0042】
この場合も、第1期間(t1)を経過した後の期間では、加圧媒体の供給圧が一定である。このため、それぞれのシェーピング工程で、ブラダ40の内圧を狙いの圧力に調整しやすい。さらに、成型されるタイヤの品質には、不具合はなく影響はなかった。第1期間(t1)および第1期間(t1)でのブラダ40への加圧媒体の供給圧は、このようにタイヤの品質に影響が出ないように、それぞれの実施の態様に応じて定められるとよい。例えば、第1期間(t1)は、各シェーピング工程において加圧媒体を供給する全体の時間を100%とした場合に、10%までの時間とするとよい。シェーピング工程の10%までの時間であれば、タイヤの品質に影響が出ない。
【0043】
本発明者の知見によれば、第1期間(t1)は、各シェーピング工程において加圧媒体を供給する全体の時間を100%とした場合に、3%以上15%以下の時間で設定されるとよい。例えば、上記の1回目のシェーピング工程と、2回目のシェーピング工程で、第1期間(t1)は、タイヤのサイズやタイヤ用加硫機10の性能に応じて、それぞれ適当な時間が設定されるとよい。具体的には、各シェーピング工程において加圧媒体を供給する全体の時間を100%とした場合に、例えば、8%~12%程度の時間で設定されるとよい。第1期間(t1)は、例えば、シェーピング工程において加圧媒体の供給を開始する供給開始時から0.5秒以上2秒以下の時間などとして設定してもよい。第1期間(t1)は、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始する供給開始時から、媒体供給管80を流通する加圧媒体の圧力を一気に上昇させて、他の期間での供給圧よりも格段に高くし(t11)、その後、供給圧を低くしていき(t12)、他の期間(t2)での予め定められた供給圧(L1)に調整されるまでの時間をいう。
【0044】
シェーピング工程のうち第1期間t1を除く他の期間は、図3に示されているように、予め定められた一定の供給圧で加圧媒体がブラダに供給されるとよい。予め定められた一定の供給圧で加圧媒体がブラダに供給されることによって、最終的に到達させたいブラダ40の内圧に調整しやすい。ここで、予め定められた一定の供給圧で加圧媒体がブラダに供給されることに関し、制御上で生じる供給圧の微少な変動は許容されうる。また、期間の末尾などでは、供給圧を減少させていく期間が生じうる。第1期間t1における加圧媒体の供給圧の最大値は、例えば、他の期間に設定された供給圧の最大値の少なくとも3.5倍大きくてもよい。例えば、第1期間t1における加圧媒体の供給圧の最大値は、例えば、他の期間に設定された供給圧の最大値の5倍以上大きくてもよい。これにより、第1期間t1がシェーピング工程における3%以上15%以下などの短い時間であっても、シェーピング工程に要する時間を短くするという観点において、優位な効果が得られる。なお、シェーピング工程に要する時間を短くするという観点において、第1期間t1における加圧媒体の供給圧の最大値は、例えば、他の期間に設定された供給圧の最大値の2倍や、3倍であってもよい。
【0045】
このように、ここで提案されるタイヤの製造方法は、ブラダ40の周りを囲うようにローカバー200が配置される工程と、シェーピング工程とを含んでいる。シェーピング工程は、ブラダ40に加圧媒体を供給し、ブラダ40を膨張させる工程である。かかるシェーピング工程では、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間t1(図3図4参照)は、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体がブラダ40に供給される。このことによって、シェーピング工程に要する時間を格段に短縮できる。したがって、タイヤ品質を維持したまま、シェーピング時間を短くすることができ、タイヤ用加硫機10の加硫能力(生産本数)を向上させることができる。かかるタイヤの製造方法によれば、製造されるタイヤの品質を維持しつつ、シェーピング工程に要する時間を短縮できる。
【0046】
シェーピング工程は、上述のように2回に分けて行なわれてもよい。つまり、シェーピング工程は、1回目のシェーピング工程と、1回目のシェーピング工程の後、ブラダ40を減圧する工程と、2回目のシェーピング工程とを含んでいてもよい。
この場合、1回目と2回目の各シェーピング工程の両方において、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間は、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体がブラダ40に供給されるとよい。これにより、シェーピング工程に要する時間を短縮できる。また、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体がブラダ40に供給される第1期間は、第1シェーピング工程と前記第2シェーピング工程とのうち少なくともいずれか一方の処理に設定されてもよい。この場合も、シェーピング工程に要する時間を短縮できる。
【0047】
〈制御装置400〉
ここで、タイヤの製造方法は、タイヤ用加硫機10において具現化されうる。タイヤ用加硫機10は、図1に示されているように、中心部に配置されたブラダ40と、ブラダ40を囲うように配置された成型用の金型20と、金型20を開閉する機構30と、ブラダ40に加圧媒体を供給する媒体供給装置82aと、ブラダ40から加圧媒体を排出する媒体排出装置82bと、制御装置400とを備えている。
【0048】
制御装置400は、典型的にはコンピュータであり、記憶装置(メモリなど)と、演算装置(CPUなど)とを備えている。制御装置400は、タイヤ用加硫機10の種々の処理を行う装置である。制御装置400の各処理は、予め定められたプログラムよって実行される処理モジュールとして具現化される。制御装置400による各機能は、タイヤ用加硫機10の物理的な構成要素と、予め定められたプログラムに沿って行われた制御装置400による演算結果に基づく制御との協働によって適宜に具現化されうる。例えば、制御装置400の各構成および処理は、コンピュータによって具現化されるデータを予め定められた形式で記憶するデータベース、データ構造、予め定められたプログラムに従って所定の演算処理を行う処理モジュールなどとして、または、それらの一部として具現化されうる。
【0049】
制御装置400の処理は、1つのコンピュータで実行されてもよい。また、制御装置400の処理は、複数のコンピュータで実行されてもよい。また、制御装置400の処理は、タイヤ用加硫機10の内部に組み込まれたコンピュータと、タイヤ用加硫機10から離れた位置に置かれた外部のコンピュータとの協働で実行されてもよい。例えば、タイヤ用加硫機10の内部に組み込まれたコンピュータと、タイヤ用加硫機10から離れた位置に置かれた外部のコンピュータとは、通信ネットワークを通じて通信可能に接続されているとよい。制御装置400に記憶される情報または一部の情報を、外部のコンピュータが記憶してもよい。また、制御装置400が実行する処理または処理の一部を、外部のコンピュータが実行してもよい。
【0050】
制御装置400は、ブラダ40に加圧媒体を供給し、ブラダ40を膨張させるシェーピング工程のうち、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間t1において、他の期間t2よりも高い圧力で加圧媒体がブラダ40に供給されるように構成されているとよい。これにより、シェーピング工程に要する時間を短縮できる。
【0051】
この場合、第1期間t1は、例えば、シェーピング工程でブラダ40に加圧媒体を供給する全体の時間を100%としたときに、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始する供給開始時から15%以下の期間となるように設定されているとよい。制御装置400は、他の期間において、例えば、予め定められた一定の供給圧で加圧媒体がブラダ40に供給されるように構成されているよい。第1期間t1における加圧媒体の供給圧の最大値は、例えば、他の期間t2に設定された供給圧の最大値の少なくとも3.5倍大きくなるように、加圧媒体の供給圧が設定されているとよい。
【0052】
ここで、シェーピング工程は、上述のように1回目のシェーピング工程と、1回目のシェーピング工程の後、ブラダ40を減圧する工程と、2回目のシェーピング工程とを含んでいてもよい。この場合、制御装置400は、1回目のシェーピング工程と2回目のシェーピング工程とのうち少なくともいずれか一方の工程において、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間t1が、他の期間t2よりも高い圧力で加圧媒体がブラダ40に供給されるように構成されているとよい(図3参照)。例えば、制御装置400は、1回目のシェーピング工程と2回目のシェーピング工程の両方の処理において、ブラダ40に加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間が、他の期間t2よりも高い圧力で加圧媒体がブラダ40に供給されるように構成されているとよい。
【0053】
以上、ここで開示される発明について、種々説明したが、ここで開示される発明は、特に言及されない限りにおいて、上述した実施形態や変形例に限定されない。また、種々言及した実施形態や変形例の各構成は、互いに阻害しない関係であれば、適宜に組み合わせることができる。
【0054】
以上のとおり、本発明(1)は、タイヤの製造方法に関する。
本発明(1)におけるタイヤの製造方法は、
タイヤ用加硫機によってタイヤを製造するタイヤの製造方法であって、
前記タイヤ用加硫機は、
中心部に配置されたブラダと、
前記ブラダを囲うように配置された成型用の金型と、
前記金型を開閉する機構と
を備え、
前記ブラダは、
加圧媒体が供給されることによって膨張し、加圧媒体が排出されることによって収縮するように構成されており、
当該製造方法は、
前記ブラダを萎ませた状態で、前記ブラダの周りを囲うように前記ローカバーが配置される工程と、
前記ブラダに加圧媒体を供給し、前記ブラダを膨張させるシェーピング工程と
を含み、
前記シェーピング工程は、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間は、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体が前記ブラダに供給される。
【0055】
本発明(2)は、本発明(1)に記載されたタイヤの製造方法であって、
前記第1期間は、シェーピング工程で前記ブラダに加圧媒体を供給する全体の時間を100%としたときに、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から15%以下の期間である。
【0056】
本発明(3)は、本発明(1)または(2)に記載されたタイヤの製造方法であって、
前記他の期間は、予め定められた一定の供給圧で加圧媒体が前記ブラダに供給される。
【0057】
本発明(4)は、本発明(1)から(3)までの何れか一つに記載されたタイヤの製造方法であって、
前記第1期間における加圧媒体の供給圧の最大値は、前記他の期間に設定された供給圧の最大値の少なくとも2倍大きい。
【0058】
本発明(5)は、本発明(1)から(4)までの何れか一つに記載されたタイヤの製造方法であって、
前記シェーピング工程は、
加圧媒体の供給開始から予め定められた供給圧に圧力を上昇させ、予め定められた供給圧で加圧媒体をブラダに供給する1回目のシェーピング工程と、
前記1回目のシェーピング工程の後、前記ブラダを減圧する工程と、
前記減圧する工程の後、加圧媒体の供給開始から予め定められた供給圧に圧力を上昇させ、予め定められた供給圧で加圧媒体を前記ブラダに供給し、前記ブラダの内圧を予め定められた内圧に到達させる2回目のシェーピング工程と
を含み、
前記1回目のシェーピング工程と前記2回目のシェーピング工程とのうち少なくともいずれか一方の工程において、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間は、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体が前記ブラダに供給される。
【0059】
本発明(6)は、本発明(5)に記載されたタイヤの製造方法であって、
前記1回目のシェーピング工程と2回目のシェーピング工程の両方の処理において、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間は、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体が前記ブラダに供給される。
【0060】
本発明(7)は、タイヤ用加硫機に関する。
本発明(7)におけるタイヤ用加硫機は、
中心部に配置されたブラダと、
前記ブラダを囲うように配置された成型用の金型と、
前記金型を開閉する機構と、
前記ブラダに加圧媒体を供給する供給装置と、
前記ブラダから加圧媒体を排出する排出装置と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記ブラダに加圧媒体を供給し、前記ブラダを膨張させるシェーピング工程のうち、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間において、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体が前記ブラダに供給されるように構成されている。
【0061】
本発明(8)は、本発明(7)に記載されたタイヤ用加硫機であって、
前記第1期間は、シェーピング工程で前記ブラダに加圧媒体を供給する全体の時間を100%としたときに、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から15%以下の期間となるように設定されている。
【0062】
本発明(9)は、本発明(7)または(8)に記載されたタイヤ用加硫機であって、
前記制御装置は、前記他の期間において、予め定められた一定の供給圧で加圧媒体が前記ブラダに供給されるように構成されている。
【0063】
本発明(10)は、本発明(7)から(9)までの何れか一つに記載されたタイヤ用加硫機であって、
前記第1期間における加圧媒体の供給圧の最大値は、前記他の期間に設定された供給圧の最大値の少なくとも3.5倍大きくなるように、加圧媒体の供給圧が設定されている。
【0064】
本発明(11)は、本発明(7)から(10)までの何れか一つに記載されたタイヤ用加硫機であって、
前記シェーピング工程は、
加圧媒体の供給開始から予め定められた供給圧に圧力を上昇させ、予め定められた供給圧で加圧媒体をブラダに供給する1回目のシェーピング工程と、
前記1回目のシェーピング工程の後、前記ブラダを減圧する工程と、
前記減圧する工程の後、加圧媒体の供給開始から予め定められた供給圧に圧力を上昇させ、予め定められた供給圧で加圧媒体を前記ブラダに供給し、前記ブラダの内圧を予め定められた内圧に到達させる2回目のシェーピング工程と
を含み、
前記制御装置は、前記1回目のシェーピング工程と前記2回目のシェーピング工程とのうち少なくともいずれか一方の工程において、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間が、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体が前記ブラダに供給されるように構成されている。
【0065】
本発明(12)は、本発明(11)に記載されたタイヤ用加硫機であって、
前記制御装置は、前記1回目のシェーピング工程と2回目のシェーピング工程の両方の処理において、前記ブラダに加圧媒体の供給を開始する供給開始時から予め定められた第1期間が、他の期間よりも高い圧力で加圧媒体が前記ブラダに供給されるように構成されている。
【符号の説明】
【0066】
10 タイヤ用加硫機
11 下コンテナ
12 上コンテナ
13 下プレート
17 上プレート
18 拡縮ガイド
18a スライダ
18a1 テーパ面
18b プッシャー
18b1 テーパ面
20 金型
21 下サイドモールド
21b 下ビードリング
21b1 ビード部201を保持する部位
21b2 把持部
22 上サイドモールド
22b 上ビードリング
23 トレッドモールド
30 金型20を開閉する機構
31 ブラダ40に対して径方向に移動する機構
32 下サイドモールド21に対して上下に移動する機構
40 ブラダ
41 上端周縁部
42 下端周縁部
50 ブラダ保持機構
54 上部クランプ部材
54a 把持部
56 下部クランプ部材
56a 把持部
58 センタポスト
80 媒体供給管
80a センサ類
80b 調整弁
82 媒体給排装置
82a 媒体供給装置
82b 媒体排出装置
82c ドレイン回収装置
200 ローカバー
201,202 ビード部
400 制御装置
図1
図2
図3
図4