(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163609
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】車両案内装置、車両案内方法、および車両案内プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20241115BHJP
G06Q 10/08 20240101ALI20241115BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
G08G1/09 P
G06Q10/08
G08G1/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079368
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】大宮 清英
(72)【発明者】
【氏名】原野 秀文
(72)【発明者】
【氏名】喜多 省治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幸司
【テーマコード(参考)】
5H181
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181DD02
5H181DD03
5H181DD04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF15
5H181FF21
5H181FF27
5H181FF33
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】 (修正有)
【課題】拠点に車両を効率よく案内する車両案内装置を提供する。
【解決手段】複数の出入口を備える拠点に進入しようとする進入車両に対し、推奨出入口を案内する車両案内装置である。拠点の内部に滞在している拠点内車両数と、複数の出入口に並んでいる待機車両の単位時間当たりの進行距離である第1進行距離の基準値とを対応付けた進行距離統計テーブルを格納する記憶部と、現時点の位置情報を取得する車両位置取得部と、待機車両を出入口毎に特定する待機車両特定部と、現時点における待機車両の単位時間当たりの進行距離である第2進行距離を取得する進行距離取得部と、位置情報および拠点の地理的範囲であるジオフェンスに基づいて拠点内車両を特定し、現時点における拠点内車両数を取得する拠点内車両特定部と、基準値を進行距離統計テーブルから抽出し、基準値と第2進行距離とを比較して推奨出入口を判定する推奨出入口判定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の出入口を備える拠点に進入しようとする進入車両に対し、推奨出入口を案内する車両案内装置であって、
過去の実績に基づいて生成された進行距離統計テーブルであって、少なくとも、前記拠点の内部に滞在している拠点内車両の数である拠点内車両数と、複数の前記出入口に並んでいる1又は複数の待機車両の単位時間当たりの進行距離である第1進行距離の基準値とを対応付けた進行距離統計テーブルを格納する記憶部と、
車両の現時点における位置情報を取得する車両位置取得部と、
前記位置情報に基づいて、前記待機車両を前記出入口毎に特定する待機車両特定部と、
前記位置情報に基づいて、前記出入口毎に、現時点における前記待機車両の単位時間当たりの進行距離である第2進行距離を取得する進行距離取得部と、
前記位置情報および前記拠点の地理的範囲であるジオフェンスに基づいて前記拠点内車両を特定し、現時点における前記拠点内車両数を取得する拠点内車両特定部と、
現時点における前記拠点内車両数に対応付けられた前記基準値を前記進行距離統計テーブルから抽出し、前記基準値と前記第2進行距離とを比較して前記推奨出入口を判定する推奨出入口判定部と、
を備えたことを特徴とする車両案内装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記進行距離統計テーブルにおいて、前記拠点内車両数及び前記基準値を時間帯に対応付けて格納し、
前記推奨出入口判定部は、前記進行距離統計テーブルから、現時点を含む時間帯における前記基準値を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両案内装置。
【請求項3】
現時点における前記拠点内車両数と前記基準値とに基づいて、前記進入車両が前記出入口に進入するまでの所要時間を推定する所要時間推定部をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両案内装置。
【請求項4】
前記所要時間推定部は、前記第2進行距離の前記基準値に対する割合に基づく進行状態の評価値を求める
ことを特徴とする請求項3に記載の車両案内装置。
【請求項5】
前記推奨出入口に関する情報を前記進入車両に出力する通信処理部をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両案内装置。
【請求項6】
複数の出入口を備える拠点に進入しようとする進入車両に対し、推奨出入口を案内する車両案内方法であって、
車両の現時点における位置情報を取得するステップと、
前記位置情報に基づいて、複数の前記出入口に並んでいる1又は複数の待機車両を前記出入口毎に特定するステップと、
前記位置情報に基づいて、前記出入口毎に、現時点における前記待機車両の単位時間当たりの進行距離である第2進行距離を取得するステップと、
前記位置情報および前記拠点の地理的範囲であるジオフェンスに基づいて前記拠点の内部に滞在している拠点内車両を特定し、現時点における前記拠点内車両の数である拠点内車両数を取得するステップと、
現時点における前記拠点内車両数に対応付けられた前記待機車両の単位時間当たりの進行距離である第1進行距離の基準値を過去の実績に基づいて生成された進行距離統計テーブルであって、少なくとも、前記拠点内車両数と前記基準値とを対応付けた進行距離統計テーブルから抽出し、前記基準値と前記第2進行距離とを比較して前記推奨出入口を判定するステップと、
を含むことを特徴とする車両案内方法。
【請求項7】
複数の出入口を備える拠点に進入しようとする進入車両に対し、推奨出入口を案内する車両案内プログラムであって、
コンピュータを、
過去の実績に基づいて生成された進行距離統計テーブルであって、少なくとも、前記拠点の内部に滞在している拠点内車両の数である拠点内車両数と、複数の前記出入口に並んでいる1又は複数の待機車両の単位時間当たりの進行距離である第1進行距離の基準値とを対応付けた進行距離統計テーブルを格納する記憶部、
車両の現時点における位置情報を取得する車両位置取得部、
前記位置情報に基づいて、前記待機車両を前記出入口毎に特定する待機車両特定部、
前記位置情報に基づいて、前記出入口毎に、現時点における前記待機車両の単位時間当たりの進行距離である第2進行距離を取得する進行距離取得部、
前記位置情報および前記拠点の地理的範囲であるジオフェンスに基づいて前記拠点内車両を特定し、現時点における前記拠点内車両数を取得する拠点内車両特定部と、
現時点における前記拠点内車両数に対応付けられた前記基準値を前記進行距離統計テーブルから抽出し、前記基準値と前記第2進行距離とを比較して前記推奨出入口を判定する推奨出入口判定部、
として機能させることを特徴とする車両案内プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両案内装置、車両案内方法、および車両案内プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、荷物の配送先が建物の複数のフロアに分散している場合に計画的に配送を行う物流システムが記載されている。具体的には、画像を取得して各フロアの通路の混雑度を算出し、混雑度が高くなるほど優先順位を低く設定し、混雑度が低くなるほど優先順位を高く設定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、建物内のどのフロアへの配送が適切かが分かるのみであり、その建物への入り口で渋滞が発生する場合に対応することはできない。
【0005】
卸団地や食品コンビナートといった物流拠点エリアでは、当該物流拠点エリアに進入しようとする多数の車両により、日常的に渋滞が発生している。車両の運転手は、車両の現在地から、荷積み・荷卸し先を行うエリア内までの到達に要する時間を把握又は予測できないため、物流拠点エリアで混乱が生じるおそれがある。また、物流拠点エリアは複数の出入口が有することが一般的であり、特定の出入口に車両が集中することにより物流拠点エリアで混乱が生じるおそれがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、拠点に車両を効率よく案内することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両案内装置は、例えば、複数の出入口を備える拠点に進入しようとする進入車両に対し、推奨出入口を案内する車両案内装置であって、過去の実績に基づいて生成された進行距離統計テーブルであって、少なくとも、前記拠点の内部に滞在している拠点内車両の数である拠点内車両数と、複数の前記出入口に並んでいる1又は複数の待機車両の単位時間当たりの進行距離である第1進行距離の基準値とを対応付けた進行距離統計テーブルを格納する記憶部と、車両の現時点における位置情報を取得する車両位置取得部と、前記位置情報に基づいて、前記待機車両を前記出入口毎に特定する待機車両特定部と、前記位置情報に基づいて、前記出入口毎に、現時点における前記待機車両の単位時間当たりの進行距離である第2進行距離を取得する進行距離取得部と、前記位置情報および前記拠点の地理的範囲であるジオフェンスに基づいて前記拠点内車両を特定し、現時点における前記拠点内車両数を取得する拠点内車両特定部と、現時点における前記拠点内車両数に対応付けられた前記基準値を前記進行距離統計テーブルから抽出し、前記基準値と前記第2進行距離とを比較して前記推奨出入口を判定する推奨出入口判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の他態様に係る車両案内方法は、例えば、複数の出入口を備える拠点に進入しようとする進入車両に対し、推奨出入口を案内する車両案内方法であって、車両の現時点における位置情報を取得するステップと、前記位置情報に基づいて、複数の前記出入口に並んでいる1又は複数の待機車両を前記出入口毎に特定するステップと、前記位置情報に基づいて、前記出入口毎に、現時点における前記待機車両の単位時間当たりの進行距離である第2進行距離を取得するステップと、前記位置情報および前記拠点の地理的範囲であるジオフェンスに基づいて前記拠点の内部に滞在している拠点内車両を特定し、現時点における前記拠点内車両の数である拠点内車両数を取得するステップと、現時点における前記拠点内車両数に対応付けられた前記待機車両の単位時間当たりの進行距離である第1進行距離の基準値を過去の実績に基づいて生成された進行距離統計テーブルであって、少なくとも、前記拠点内車両数と前記基準値とを対応付けた進行距離統計テーブルから抽出し、前記基準値と前記第2進行距離とを比較して前記推奨出入口を判定するステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の他態様に係る車両案内プログラムは、例えば、複数の出入口を備える拠点に進入しようとする進入車両に対し、推奨出入口を案内する車両案内プログラムであって、コンピュータを、過去の実績に基づいて生成された進行距離統計テーブルであって、少なくとも、前記拠点の内部に滞在している拠点内車両の数である拠点内車両数と、複数の前記出入口に並んでいる1又は複数の待機車両の単位時間当たりの進行距離である第1進行距離の基準値とを対応付けた進行距離統計テーブルを格納する記憶部、車両の現時点における位置情報を取得する車両位置取得部、前記位置情報に基づいて、前記待機車両を前記出入口毎に特定する待機車両特定部、前記位置情報に基づいて、前記出入口毎に、現時点における前記待機車両の単位時間当たりの進行距離である第2進行距離を取得する進行距離取得部、前記位置情報および前記拠点の地理的範囲であるジオフェンスに基づいて前記拠点内車両を特定し、現時点における前記拠点内車両数を取得する拠点内車両特定部と、現時点における前記拠点内車両数に対応付けられた前記基準値を前記進行距離統計テーブルから抽出し、前記基準値と前記第2進行距離とを比較して前記推奨出入口を判定する推奨出入口判定部、として機能させることを特徴とする。
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【0010】
本発明の上記いずれかの態様では、過去の実績に基づいて生成された進行距離統計テーブルであって、少なくとも、拠点の内部に滞在している拠点内車両の数である拠点内車両数と、複数の前記出入口に並んでいる1又は複数の待機車両の単位時間当たりの進行距離である第1進行距離の基準値とを対応付けた進行距離統計テーブルを記憶部に格納しておき、現時点における拠点内車両数に対応付けられた基準値を進行距離統計テーブルから抽出し、当該基準値と第2進行距離とを比較して推奨出入口を判定するため、過去の実績(通常時)に比べて空いている出入口を推奨出入口とすることができ、これにより拠点に車両を効率よく案内することができる。
【0011】
前記記憶部は、前記進行距離統計テーブルにおいて、前記拠点内車両数及び前記基準値を時間帯に対応付けて格納し、前記推奨出入口判定部は、前記進行距離統計テーブルから、現時点を含む時間帯における前記基準値を抽出してもよい。これにより、時間帯に則して推奨出入口を判定することができる。
【0012】
現時点における前記拠点内車両数と前記基準値とに基づいて、前記進入車両が前記出入口に進入するまでの所要時間を推定する所要時間推定部をさらに備えてもよい。これにより、進入車両のドライバーは、各出入口から拠点に進入するまでの所要時間を定量的に把握することができる。
【0013】
前記所要時間推定部は、前記第2進行距離の前記基準値に対する割合に基づく進行状態の評価値を求めてもよい。これにより、各出入口から拠点に進入するまでの所要時間を通常時と比較することができる。
【0014】
前記推奨出入口に関する情報を前記進入車両に出力する通信処理部をさらに備えてもよい。これにより、進入車両が推奨出入口に関する情報を表示等することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、物流拠点に車両を効率よく案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】車両案内装置1の電気的な機能ブロックの概略を示す図である。
【
図2】記憶部30に格納されるテーブルの例であって、(a)は出入口別の進行距離実績テーブルT11の一例であり、(b)は時間帯別拠点内車両数テーブルT12の一例であり、(c)は車両数別進行距離統計テーブルT13の一例である。
【
図3】車両数別進行距離統計テーブルT13を生成する処理の流れを示すフローチャートの一例である。
【
図4】推奨出入口を決定する処理の流れを示すフローチャートの一例である。
【
図5】車両数別進行距離テーブルT14の一例を示す図である。
【
図6】所要時間を推定する処理の流れを示すフローチャートの一例である。
【
図7】推奨出入口テーブルT21の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る車両案内装置の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。車両案内装置は、複数の出入口を備える物流拠点等の拠点において、車両が効率よく進入できる推奨出入口を推定し、当該拠点に進入しようとする車両に対し推奨出入口を案内する装置である。車両案内装置1は、出入口に並んでいる待機車両の進行状態を推定し、待機車両が比較的迅速に進行しており進行状態が良好な出入口を推奨出入口として抽出する。
【0018】
図1は、実施の形態に係る車両案内装置1の電気的な機能ブロックの概略を示す図である。
【0019】
車両案内装置1は、車両100とネットワークNWを介して接続されている。車両100は、出入口に並んで進入を待機している待機車両100aと、車両案内装置1により推奨出入口を案内される進入車両100bと、を含んでいる。
【0020】
なお、
図1では、待機車両100a及び進入車両100bを1台ずつ図示しているが、待機車両100a及び進入車両100bの台数はこれに限られない。例えば複数台の待機車両100a及び進入車両100bがネットワークNWに接続されていてもよい。
【0021】
車両100は、主として、位置計測部110(110a、110b)と、速度計測部120(120a、120b)と、表示部130(130a、130b)とを備える。位置計測部110a、速度計測部120a及び表示部130aは待機車両100aに設けられており、位置計測部110b、速度計測部120b及び表示部130bは進入車両100bに設けられている。
【0022】
位置計測部110は、車両100の位置情報を計測する装置である。位置計測部110は、例えばGNSS(全世界測位システム)により車両100の絶対位置を取得する。なお、位置情報は、緯度及び経度の情報を含む。
【0023】
なお、位置計測部110が車両100の絶対位置を取得する方法はGNSSに限られない。例えば、位置計測部110は、BlueTooth(登録商標)等の近距離無線通信により、近傍の車両との相対距離を用いて車両の位置を取得してもよい。この場合、位置計測部110は、当該近傍の車両が取得した絶対位置座標を合わせて取得する。この構成によれば、車両100にGNSS機能がない場合にも、車両100の位置情報を取得することができる。
【0024】
速度計測部120は、車両100の走行速度を計測する装置である。速度計測部120は、例えば車両100に搭載されているデジタルタコグラフにより実現される。
【0025】
表示部130は、車両案内装置1から受信した情報を表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイ等のモニタと、車両案内装置1から受信した情報をモニタに表示させる表示制御部とを有する。進入車両100bの表示部130bには、車両案内装置1が推定した推奨出入口の情報等が表示される。
【0026】
車両案内装置1は、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置により、ソフトウェア資源として、主として、車両位置取得部10と、車両速度取得部11と、統計表生成部12と、進行距離取得部13と、拠点内車両特定部14と、待機車両特定部15と、推奨出入口判定部16と、所要時間推定部17と、通信処理部18と、記憶部30とを機能的に備える。
【0027】
車両位置取得部10は、車両100の位置情報を取得する機能部である。車両位置取得部10は、ネットワークNWを介して、位置計測部110から、各車両100の位置情報を車両の識別情報と対応付けて取得する。車両位置取得部10が取得した各車両100の位置情報は、取得又は計測が行われた時点の情報と対応付けられて記憶部30に格納される。
【0028】
なお、車両位置取得部10は、一時的に車両100の位置情報を取得できない場合には、取得できた位置情報および取得時点と、取得時点から現時点までの走行速度(後述する車両速度取得部11が取得)の履歴に基づいて、現在の位置情報を推定してもよい。また、車両位置取得部10は、車両100のドライバーが所有している携帯機器等から位置情報を取得してもよい。
【0029】
車両速度取得部11は、車両100の走行速度を取得する機能部である。車両速度取得部11は例えば、速度計測部120から走行速度を取得する。また、車両速度取得部11は、車両位置取得部10で得られる車両100の位置情報の履歴から、走行速度を算出してもよい。ただし、車両速度取得部11は必須ではない。
【0030】
統計表生成部12は、出入口ごとに、当該出入口付近に滞在している車両の数と、車両の拠点入口までの単位時間当たりの進行距離の基準値とを対応付けた車両数別進行距離統計テーブルT13を生成する機能部である。車両数別進行距離統計テーブルT13は、記憶部30に格納される。
【0031】
図2は、記憶部30に格納されるテーブルの例であって、
図2(a)は出入口別の進行距離実績テーブルT11の一例であり、
図2(b)は時間帯別拠点内車両数テーブルT12の一例であり、
図2(c)は車両数別進行距離統計テーブルT13の一例である。進行距離実績テーブルT11、時間帯別拠点内車両数テーブルT12及び車両数別進行距離統計テーブルT13は、過去の実績に基づいて生成されたものである。
【0032】
進行距離実績テーブルT11及び時間帯別拠点内車両数テーブルT12は、過去の所定期間(例えば、6か月分)のデータを含み、予め記憶部30に格納されている。なお、進行距離実績テーブルT11及び時間帯別拠点内車両数テーブルT12は、車両位置取得部10、後述する進行距離取得部13及び拠点内車両特定部14等により随時更新されてもよい。
【0033】
車両数別進行距離統計テーブルT13は、進行距離実績テーブルT11及び時間帯別拠点内車両数テーブルT12に基づいて統計表生成部12等により生成され、記憶部30に格納される。なお、車両数別進行距離統計テーブルT13は、予め作成されて記憶部30に格納されていてもよい。
【0034】
図2(a)に示すように、出入口別の進行距離実績テーブルT11では、出入口の識別情報t11aと、情報の格納日時t11bと、車両の識別情報t11cと、当該車両の単位時間前から位置情報の取得時点までにおける進行距離t11dとが対応付けられて記憶されている。同図においては、単位時間は10分であるが、単位時間は10分に限られず、任意の値とすることができる。
【0035】
本実施の形態では、出入口の識別情報t11aは出入口の名称であり、車両の識別情報t11cは車両100毎に割り振られた記号であるが、これらには限定されない。
【0036】
図2(b)に示すように、時間帯別拠点内車両数テーブルT12では、情報の格納日時t12aと、拠点内車両特定部14により特定される拠点内に滞在している拠点内車両の数(以下、拠点内車両数という)t12bとが対応付けられて記憶されている。同図においては、2023年3月31日の15時、16時、および17時における拠点内車両数が表示されている。
【0037】
図2(c)に示すように、車両数別進行距離統計テーブルT13では、出入口の識別情報t13aと、時間帯t13bと、拠点内車両数t13cと、待機車両100aの単位時間当たりの進行距離の基準値t13dとが対応付けられて記憶されている。
【0038】
待機車両100aの単位時間当たりの進行距離の基準値(以下、基準値という)t13dは、出入口ごとに設定される値であり、例えば当該出入口における待機車両100aの過去の所要時間当たりの進行距離の実績に基づいて算出される。ここで、基準値は、待機車両100aの単位時間当たりの進行距離の中央値(以下、中央値という)、又は、待機車両100aの単位時間当たりの進行距離の平均値(以下、平均値という)である。本実施の形態では、基準値は中央値である。中央値又は平均値は、進行距離実績テーブルT11に基づいて求められる。なお、基準値は、中央値や平均値といった統計値でなくてもよく、その他の係数により算出される適宜の値であってもよい。
【0039】
なお、本実施の形態では、車両数別進行距離統計テーブルT13が進行距離の基準値t13dを含むが、進行距離の基準値に代えて進行速度の基準値を含んでもよい。ただし、出入口付近では車両100が滞留しており、断続的に進行することから、瞬間的な進行速度ではなく、所定幅の時間当たりの進行距離を算出することが好ましい。
【0040】
なお、記憶部30は、進行距離実績テーブルT11、時間帯別拠点内車両数テーブルT12および車両数別進行距離統計テーブルT13を、拠点ごとに格納していてもよい。すなわち、車両案内装置1は、複数の拠点についてそれぞれ推奨出入口を案内できる構成であってもよい。この場合、車両案内装置1は、推奨出入口の判定を行いたい拠点の識別情報の入力を進入車両100bから受け付ける構成を有していてもよい。
【0041】
図3は、統計表生成部12が車両数別進行距離統計テーブルT13を生成する処理フローの一例を示す図である。
【0042】
(ステップSP11)
まず、統計表生成部12は、過去の実績に基づいて、各出入口の単位時間当たりの進行距離の基準値を算出する。例えば、統計表生成部12は、進行距離実績テーブルT11から、出入口、日時、車両の識別情報、単位時間当たりの進行距離を取得する。そして、統計表生成部12は、進行距離実績テーブルT11から取得した情報を出入口毎、時間毎に分類し、出入口毎、時間毎に単位時間当たりの進行距離の基準値(ここでは、中央値)を算出する。そして処理は、ステップSP12に移行する。
【0043】
(ステップSP12)
次いで、統計表生成部12は、時間帯別拠点内車両数テーブルT12から待機車両数を時間帯ごとに抽出し、時間帯ごとの基準値と拠点内車両数とを対応付けて車両数別進行距離統計テーブルT13を生成し、これを記憶部30に格納する。
【0044】
各出入口の単位時間当たりの進行距離の基準値は、通常時の混雑具合を示す基準となる。したがって、統計表生成部12は、過去に取得された待機車両100aの位置情報を利用して、実際の進行状態の実績に沿った基準値の設定が可能である。
【0045】
また、進行距離実績テーブルT11及び時間帯別拠点内車両数テーブルT12が随時更新される場合には、統計表生成部12は、単位時間当たりの進行距離の基準値、すなわち車両数別進行距離統計テーブルT13を随時更新できる。その結果、後述する推奨出入口判定部16により、進行状態を最近の状況と比較して適切に評価できるので、より実態に即した推奨出入口を判定することができる。
【0046】
図1の説明に戻る。進行距離取得部13は、待機車両100aの単位時間当たりの進行距離を取得する機能部である。進行距離取得部13は、例えば、車両位置取得部10で取得した位置情報の推移に基づいて、単位時間当たりの進行距離を推定してもよい。また、進行距離取得部13は、車両速度取得部11で取得した車両100の速度に基づいて、単位時間当たりの進行距離を推定してもよい。
【0047】
拠点内車両特定部14は、拠点の内部に滞在している拠点内車両を特定する機能部である。拠点内車両特定部14は、あらかじめ設定されている拠点のジオフェンスを参照し、車両位置取得部10で取得した車両100の位置情報に基づいて、各車両100がジオフェンス内に存在しているか否か、すなわち拠点内車両か否かを判定する。また、拠点内車両特定部14は、判定の結果に基づいて、拠点のジオフェンス内に存在している拠点内車両数を計数する。
【0048】
なお、ジオフェンスとは、仮想的な境界線で囲まれたエリアであり、このエリアに対象が入った又は出たことを判断するために利用できる。本実施の形態では、拠点の地理的範囲であるジオフェンスを予め設定しておき、車両位置取得部10で取得した車両100の位置情報に基づいて車両100がジオフェンス(すなわち、拠点)を出たこと入った又は出たことを拠点内車両特定部14が判定する。
【0049】
待機車両特定部15は、位置情報に基づいて、出入口に並んでいる待機車両100aを出入口毎に特定する機能部である。例えば、待機車両特定部15は、出入口の近傍に位置しており、かつ、単位時間あたりの進行距離が所定以下の車両100のうち、拠点内車両特定部14により抽出された拠点内車両を除外することにより、待機車両100aを抽出する。待機車両特定部15の処理については後に詳述する。
【0050】
推奨出入口判定部16は、拠点に設けられた複数の出入口のうち、進入車両100bに推奨する推奨出入口を判定する機能部である。推奨出入口は、例えば、拠点内部に最も早く進入できる出入口である。例えば、推奨出入口判定部16は、現時点における拠点内車両数に対応付けられた基準値を車両数別進行距離統計テーブルT13から抽出し、基準値と待機車両100aの単位時間当たりの進行距離とを比較して推奨出入口を判定する。推奨出入口判定部16の処理については後に詳述する。
【0051】
所要時間推定部17は、進入車両100bが出入口に進入するまでの所要時間を推定する機能部である。例えば、所要時間推定部17は、車両数別進行距離統計テーブルT13を参照し、拠点内車両数に応じた単位時間当たりの進行距離の基準値に基づいて所要時間を推定する。所要時間推定部17の処理については後に詳述する。
【0052】
通信処理部18は、推奨出入口に関する情報や推定した所要時間に関する情報をネットワークNWを介して進入車両100bに出力する。
【0053】
図4は、車両案内装置1が推奨出入口を決定する処理の流れを示すフローチャートである。
(ステップSP21)
待機車両特定部15は、車両位置取得部10で取得した車両100の位置情報に基づいて待機車両100aを特定し、各待機車両100aに最も近接する出入口を推定する。これにより、待機車両特定部15は、待機車両100aを出入口毎に特定する。そして、進行距離取得部13は、待機車両100aの位置情報に基づいて、待機車両100aの単位時間あたりの進行距離を取得する。そして処理はステップSP22に移行する。
【0054】
(ステップSP22)
進行距離取得部13は、出入口毎に、現時点における単位時間あたりの待機車両100aの進行距離(B)を算出する。例えば、進行距離取得部13は、ステップSP21で取得された待機車両100aの単位時間あたりの進行距離を出入口毎に分類する。そして、進行距離取得部13は、出入口毎に分類された1又は複数の待機車両100aの単位時間あたりの進行距離の基準値(中央値又は平均値)を単位時間あたりの待機車両100aの進行距離(B)とする。そして、処理はステップSP23に移行する。
【0055】
(ステップSP23)
拠点内車両特定部14は、現時点における拠点内車両数を取得する。そして処理はステップSP24に移行する。
【0056】
図5は、ステップSP21~SP23により得られた結果である車両数別進行距離テーブルT14の一例を示す図である。車両数別進行距離テーブルT14では、出入口の識別情報t14aと、ステップSP21~SP24の処理が行われた時間を含む時間帯t14bと、ステップSP23で取得された拠点内車両数t14cと、ステップSP22で算出された進行距離(B)t14dとが対応付けられている。そして、
図4の説明に戻る。
【0057】
(ステップSP24)
推奨出入口判定部16は、記憶部30に格納されている車両数別進行距離統計テーブルT13から、現時点を含む時間帯(車両数別進行距離テーブルT14の時間帯t14b)と、拠点内車両数(ステップSP23で取得、車両数別進行距離テーブルT14の拠点内車両数t14c)とに対応付けられた単位時間当たりの進行距離の基準値(α)を抽出する。
【0058】
ステップSP24では、推奨出入口判定部16は所定の出入口を判定対象とする。例えば、推奨出入口判定部16は、所定の出入口を、最初にステップSP24の処理を行う場合には出入口No.1(車両数別進行距離統計テーブルT13におけるE01)とし、2度目にステップSP24の処理を行う場合には出入口No.2(車両数別進行距離統計テーブルT13におけるE02)とする。そして処理はステップSP25に移行する。
【0059】
(ステップSP25)
推奨出入口判定部16は、任意の出入口(ステップSP24で判定対象とされた出入口)に対して、単位時間あたりの待機車両100aの進行距離(B)(ステップSP22で算出、車両数別進行距離テーブルT14の進行距離(B)t14d)と、単位時間当たりの進行距離の基準値(α)(ステップSP24で抽出)とを比較する。これにより、推奨出入口判定部16は、出入口における待機車両100aの進行状態を推定する。
【0060】
本実施の形態では、推奨出入口判定部16が時間帯を考慮して進行距離の基準値(α)を抽出するため、待機車両100aの進行状態を、時間帯に則してより正確に評価できる。
【0061】
(ステップSP26)
進行距離(B)が基準値(α)より小さい場合(ステップSP25でYes)は、待機車両100aの進みが通常よりも遅く、出入口の進入までに時間がかかる状態である。この場合には、推奨出入口判定部16は、当該出入口とは異なる出入口が推奨出入口であるとし、別の推奨出入口を探索することを決定し、処理をステップSP24に戻す。
【0062】
(ステップSP27)
進行距離(B)が基準値(α)と同等又はより大きい場合(ステップSP25でNo)は、待機車両100aの進みが通常と同等以上である。この場合には、推奨出入口判定部16は、ステップSP24で判定対象とした出入口を推奨出入口に決定し、処理を終了する。これにより推奨出入口判定部16は、進行状態が良好であり、進入車両100bが比較的早く拠点に進入できる出入口を、推奨出入口として判定することができる。
【0063】
なお、すべての出入口に対してステップSP25を行い、すべての出入口について進行距離(B)が基準値(α)より小さい場合(ステップSP25でYes)は、進行距離(B)が最も大きい出入口や進行距離(B)を基準値(α)で除した値が最も大きい出入口を推奨出入口として判定してもよい。
【0064】
このように、
図4に示す推奨出入口の判定処理では、推奨出入口判定部16は、所定の出入口について進行状態を推定し、当該出入口において待機車両100aの進行距離が基準値より大きくない場合には別の出入口の進行状態を推定する処理を行い、待機車両100aの進行距離が基準値より大きい出入口を抽出した時点で処理を終了する。
【0065】
なお、
図4に示す推奨出入口の判定処理は、進入車両100bのドライバーからの適宜の命令に応じて行われてもよいし、進入車両100bが拠点近傍の所定範囲に到達したことを契機に行われてもよい。
【0066】
図6は、車両案内装置1が所要時間を推定する処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示す処理は、定期的(例えば、10分間隔)で繰り返し行われる。
(ステップSP31)
車両位置取得部10は、進入車両100bの位置情報を取得する。そして処理は、ステップSP32に移行する。
【0067】
(ステップSP32)
所要時間推定部17は、出入口の位置と、ステップSP31で取得された位置情報とに基づいて、進入車両100bが出入口に進入するまでの経路の長さ、すなわち出入口までの距離(X)を算出する。出入口の位置は、車両100の位置情報と同様、緯度及び経度の情報を含み、記憶部30にあらかじめ記憶されている。そして処理は、ステップSP33に移行する。
【0068】
(ステップSP33)
拠点内車両特定部14は、現時点(ステップSP31で位置情報が取得された時点)における拠点内車両数を取得する。そして処理はステップSP34に移行する。
【0069】
(ステップSP34)
所要時間推定部17は、記憶部30に格納されている車両数別進行距離統計テーブルT13を参照し、現時点(ステップSP31で位置情報が取得された時点)における拠点内車両数に対応付けられた単位時間当たりの進行距離の基準値(α)を抽出する。そして処理は、ステップSP35に移行する。
【0070】
(ステップSP35)
所要時間推定部17は、ステップSP34で求めた基準値(α)を当該単位時間で除することにより、進行速度を算出する。そして、所要時間推定部17は、ステップSP32で算出された出入口までの距離(X)を、進行速度で除することにより、出入口までの所要時間を推定する。そして、車両案内装置1は、処理を終了する。
【0071】
なお、
図6に示す所要時間の推定処理は、
図4に示す推奨出入口の判定処理の直後に開始されてもよいし、全く異なる時点で開始されてもよい。例えば、所要時間の推定処理は、進入車両100bが出入口の待機列に到達したことを契機に開始されてもよい。
【0072】
図4、6に示す処理が終了したら、車両案内装置1(例えば、推奨出入口判定部16又は所要時間推定部17)は、進入車両100bに出力する推奨出入口テーブルT21を生成する。推奨出入口テーブルT21を生成する処理では、車両進行状態に関する評価結果を求める処理が含まれる(後に詳述)。
【0073】
図7は、推奨出入口テーブルT21の一例を示す図である。推奨出入口テーブルT21には、例えば、出入口の識別情報、出入口の位置情報、車両進行状態、および入場までの予測時間(以下、予測時間という)が互いに対応付けられている。
図7では出入口の識別情報には出入口番号および名称であり、出入口の位置情報には緯度および経度であるが、これらは一例である。
【0074】
車両進行状態は、例えば所要時間推定部17により求められる値であり、過去の実績と比較した進行状態の評価指標である。言い換えれば、車両進行状態は、待機車両100aの進行距離の基準値に対する割合に基づく進行状態の評価値(評価指標)であり、現時点における待機車両100aの進行距離(B)と、現時点と同様の時間帯における通常の待機車両100aの進行距離との相対値で表される。現時点と同様の時間帯における通常の待機車両100aは、基準値(α)を用いることができる。例えば、推奨出入口判定部16は、車両進行状態を、進行距離(B)が基準値(α)と同一である場合を100%とし、進行距離(B)の基準値(α)に対する割合を百分率で表した値(以下、指標値という)で求めることができる。
【0075】
また、車両進行状態は、進行距離(B)の基準値(α)に対する割合を段階的に表した情報(以下、指標記号という)で求めることもできる。例えば、推奨出入口判定部16は、指標記号を、指標値が100%以上の場合には二重丸、指標値が80%以上100%未満の場合には丸、50%以上80%未満の場合には三角としてもよい。
【0076】
なお、
図7では、車両進行状態として指標値及び指標記号を表示しているが、指標値及び指標記号の少なくとも1方が車両進行状態に含まれていればよい。
【0077】
予測時間は、ステップSP35で求められた出入口までの所要時間である。予測時間は、車両進行状態と同様、車両100の進行状態を示す指標であるが、車両進行状態が通常時との相対比較結果なのに対し、予測時間は絶対的な数値である点で異なる。
【0078】
なお、
図7では、車両進行状態及び予測時間を表示しているが、車両進行状態及び予測時間の少なくとも1方が推奨出入口テーブルT21に含まれていればよい。
【0079】
推奨出入口テーブルT21に関する情報は、通信処理部18を介して車両案内装置1からネットワークNWを介して出力される。進入車両100bは、ネットワークNWを介して推奨出入口テーブルT21に関する情報を取得して、推奨出入口テーブルT21を表示部130bに表示させる。
【0080】
なお、進入車両100bの表示部130bを介した通知のタイミングは任意であり、ドライバーからの適宜の命令に応じて通知されてもよいし、拠点を含む所定範囲に進入車両100bが到達したことを契機に通知されてもよい。所定範囲に進入車両100bが到達したか否かは、進入車両100b及び所定範囲を示す位置情報に基づいて判定することができる。
【0081】
表示部130bに推奨出入口テーブルT21が表示されることで、車両案内装置1は、ドライバーに推奨出入口に関する情報を伝えることができる。例えば、常時その拠点に配送を行うドライバーは、車両進行状態を見ることで適切な出入り口を選択することができる。各出入口から拠点への進行状態は、当該出入口につながっている拠点内の設備、人員配置等も影響があるところ、車両進行状態(過去の実績との比較)を参照することで、ドライバーが拠点内部の処理状況等も加味して迅速に進入可能な出入口を推定できる。また、ドライバーは、推定所要時間を見ることで適切な出入り口を選択することができる。
【0082】
なお、推奨出入口テーブルT21に格納される情報の一部又は全部が表示部130bに表示されてもよい。例えば、表示部130bには、各出入口の車両進行状態および推定所要時間のいずれか一方が表示されてもよい。この場合にも、推奨出入口テーブルT21を通じて出入口毎の混雑具合をドライバーに提示することができる。
【0083】
本実施の形態によれば、車両案内装置1が推奨出入口を進入車両100bに提供することで、進入車両100bが推奨出入口に並ぶことができ、拠点に車両を効率よく案内することができる。したがって、進入車両100bが拠点内に比較的迅速に進入でき、物流の効率を向上できることができる。また、ドライバーが状況に則して出入口を選択することで、車両が特定の出入口に集中することが回避され、ひいてはエリア渋滞を緩和することができる。
【0084】
また、本実施の形態によれば、車両案内装置1が、出入口までの車両進行状態又は出入口に進入できるまでの所要時間を算出して、車両のドライバーに提示することができる。すなわち、ドライバーは進入までの見通しを把握することができる。特に、ドライバーが推定所要時間を確認することで、出入口から拠点に進入するまでの所要時間を定量的に把握することができる。また、車両進行状態又は所要時間に基づいて、ドライバーは拠点へ入るのに都合がよい出入口(推奨出入口)を容易に把握することができる。
【0085】
なお、本実施の形態では、
図4に示す処理において、拠点に早く進入できる出入口を推奨出入り口としたが、進入車両100bが拠点内部の所定位置に最も早く到達できる出入口を推奨出入口に決定してもよい。この場合には、出入口の位置情報に代えて、拠点の所定位置の位置情報を用いて
図4の処理を行えばよい。
【0086】
また、本実施の形態では、
図4に示す処理で時間帯を考慮して推奨出入口を求めた(ステップSP24で時間帯を加味して基準値(α)を抽出)が、時間帯を考慮することは必須ではない。例えば、推奨出入口判定部16は、車両数別進行距離統計テーブルT13を参照して、時間帯に関らず、拠点内車両数に応じた基準値を抽出し、その基準値と待機車両100aの進行距離とを比較して出入口における進行状態を推定してもよい。
【0087】
また、本実施の形態では、ステップSP24において、最初にステップSP24の処理を行う場合には出入口No.1、2度目にステップSP24の処理を行う場合には出入口No.2を所定の出入口としたが、所定の出入口の設定方法はこれに限られない。例えば、推奨出入口判定部16は、ステップSP24を行う時点における進入車両100bの位置情報を参照し、進入車両100bに近い出入口から順に所定の出入口としてもよい。これにより、計算処理負担が軽減され、推奨出入口を迅速に判定できる。
【0088】
また、本実施の形態では、ステップSP24~SP27で、判定対象とされた任意(1つ)の出入口に対して処理を行ったが、ステップSP24~SP27の処理はこれに限られない。例えば、ステップSP24~SP27で、拠点が備えるすべての出入口に対して待機車両100aの進行状態を評価し、待機車両100aの進行距離が基準値に対して最も大きい出入口(進行状態が最も良好な出入口)を推奨出入口として判定してもよい。この場合には、推奨出入口判定部16は、待機車両100aの進みが基準値に対して最も速い出入口を特定し、進入車両100bに案内することができる。
【0089】
また、本実施の形態では、車両案内装置1が出入口の識別情報、出入口の位置情報、車両進行状態、および入場までの予測時間を含む推奨出入口テーブルT21を進入車両100bに出力したが、車両案内装置1が進入車両100bに出力する形態や表示部130bの表示形態はこれに限られない。例えば、車両案内装置1が、単に推奨出入口の識別情報や位置情報を通知する構成であってもよい。
図8は、車両案内装置1が進入車両100bに推奨出入口に関する情報を出力した場合の表示部130bの表示態様の一例である。また、
図9は、推奨出入口に関する情報と、推奨出入口についての車両進行状態及び予測時間のみを表示部130bに表示した表示態様の一例である。また、表示部130bには、推奨出入口テーブルT21と共に適宜の情報、例えば、現在時刻、進入車両100bが属する会社名、進入車両100bの車両番号、進入車両100bの現在位置、進入しようとしている対象の拠点又は拠点名称が表示されてもよい。
【0090】
また、本実施の形態では、通信処理部18が推奨出入口テーブルT21により推奨出入口及び進行状況(車両進行状態及び予測時間)を同時に進入車両100bに出力したが、車両案内装置1が先に推奨出入口を進入車両100bに通知し、推奨出入口の通知後の任意の時点に進行状況を進入車両100bに通知してもよい。進行状況の通知は、例えば、進入車両100bが出入口の待機列に到達したことを契機に行われてもよい。
【0091】
また、本実施の形態では、通信処理部18が推奨出入口テーブルT21に関する情報を進入車両100bに出力したが、推奨出入口テーブルT21に関する情報の出力先は進入車両100bに限られない。例えば、進入車両100bを管理する管理センターの端末等に出力してもよい。
【0092】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 :車両案内装置
10 :車両位置取得部
11 :車両速度取得部
12 :統計表生成部
13 :進行距離取得部
14 :拠点内車両特定部
15 :待機車両特定部
16 :推奨出入口判定部
17 :所要時間推定部
30 :記憶部
100 :車両
100a :待機車両
100b :進入車両
110、110a、110b:位置計測部
120、120a、120b:速度計測部
130、130a、130b:表示部