(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163616
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】接着シート、該接着シートを用いた積層部材とその製造方法、並びに剥離方法
(51)【国際特許分類】
C09J 123/26 20060101AFI20241115BHJP
C09J 123/00 20060101ALI20241115BHJP
C09J 7/28 20180101ALI20241115BHJP
C09J 7/50 20180101ALI20241115BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
C09J123/26
C09J123/00
C09J7/28
C09J7/50
B32B15/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079381
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原 憲一
(72)【発明者】
【氏名】山口 浩史
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AB01B
4F100AB10B
4F100AG00D
4F100AK01E
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4F100AK04E
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4J040NA16
4J040NA19
4J040PA23
4J040PA30
4J040PA42
(57)【要約】
【課題】
ガラス系材料と、プラスチック系材料との接着に適し、さらに、フィルム化への加工性に優れ、耐熱接着性、耐寒接着性、耐水性などに優れ、様々な環境下においても接着性を維持可能な電磁誘導加熱による接着方法に適した熱可塑性ホットメルト接着剤、および該熱可塑性ホットメルト接着剤を用いた接着シートおよびガラス系材料とプラスチック系材料を貼り合わせた積層部材を提供すること。
【解決手段】
本願の課題は、金属層の両面にホットメルト接着剤からなる接着剤層を有する接着シートであって、金属層の一方の面にはシラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)が配置され、もう一方の面にはシラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)およびポリオレフィン系ホットメルト接着剤(但し、シラン変性体を含むホットメルト接着剤を除く)(C2)のうちいずれかが配置されてなる接着シートによって解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層の両面にホットメルト接着剤からなる接着剤層を有する接着シートであって、
金属層の一方の面にはシラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)が配置され、
もう一方の面にはシラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)およびポリオレフィン系ホットメルト接着剤(但し、シラン変性体を含むホットメルト接着剤を除く)(C2)のうちいずれかが配置されてなる接着シート。
【請求項2】
シラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)100質量%中、重合体(x1)を1~100質量%、重合体(y1)を0~99質量%および粘着付与樹脂(z1)を0~30質量%含み、
重合体(x1)は、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレン、シラン変性エチレン-不飽和エステル共重合体、シラン変性エチレン-α-オレフィン共重合体、シラン変性エチレン-アクリル酸共重合体およびシラン変性エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、
重合体(y1)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-不飽和エステル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(但し、(x1)は除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種である、
請求項1記載の接着シート。
【請求項3】
ポリオレフィン系ホットメルト接着剤(C2)100質量%中、重合体(x2)を50~100質量%、粘着付与樹脂(z2)を0~50質量%含み、
重合体(x2)は、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、エチレン-不飽和エステル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種である、
請求項1または2記載の接着シート。
【請求項4】
金属層とホットメルト接着剤からなる接着剤層の間に、プライマー層を有する請求項3記載の接着シート。
【請求項5】
ガラス系材料、請求項4記載の接着シート、プラスチック系材料の順に配置されてなる積層部材であって、
ガラス系材料と隣接する接着剤層は前記ホットメルト接着剤(C1)からなる層であり、
プラスチック系材料と隣接する接着剤層は前記ホットメルト接着剤(C1)およびホットメルト接着剤(C2)の少なくとも一方からなる層である、
積層部材。
【請求項6】
電磁誘導により加熱し、ガラス系材料およびプラスチック系材料とそれに隣接するホットメルト接着剤とを接着する、請求項5記載の積層部材の製造方法。
【請求項7】
電磁誘導により加熱してホットメルト接着剤を軟化ないし溶融し、請求項5記載の積層部材からガラス系材料および/またはプラスチック系材料を剥離する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属層の両面にホットメルト接着剤層を設けた接着シート、該接着シートをガラス系材料とプラスチック材料の間に挟み、電磁誘導加熱により前記ホットメルト接着剤層を加熱し、ガラス系材料とプラスチック系材料を貼り合わせてなる積層部材に関する。また、前記積層部材の製造方法に関する。並びに、前記積層部材を再度電磁誘導により加熱し、ホットメルト接着剤層を軟化ないし溶融し、被着体同士を剥離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池部材や住宅建材、自動車部材などにおいて、ガラス系材料とプラスチック系材料を貼り合わせて使用される場合がある。ガラス系材料としては、フロートガラスや強化ガラス、耐熱ガラス、防火ガラス、デザインガラス、色ガラス、合わせガラス、アンティークガラス、レトロガラスなどが挙げられ、プラスチック系材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどが挙げられる。
【0003】
このようなガラス系材料とプラスチック系材料の積層部材は、太陽光や気温の変化、降雨等による影響を受けやすい屋外や車内等で使用される場合が多く、様々な環境下においても接着性を維持できることが求められる。
【0004】
ガラス系材料とプラスチック系材料を接合する方法として、金属層とホットメルト接着剤を有する接着シートを用いた電磁誘導加熱が検討されている。電磁誘電加熱による方法では、電磁誘導加熱装置により高周波磁束によって渦電流が誘導され、金属層のジュール加熱により、熱可塑性ホットメルト接着層が溶融し接着する。
【0005】
このような金属層の両面にホットメルト接着剤を有する接着シートの製造方法として、加熱溶融したホットメルト接着剤をフィルム状にして金属の表面に塗工する方法や、予めフィルム状に加工したホットメルト接着剤を金属とプライマーなどを使って貼り合わせる方法がある。金属の表面にフィルム状に塗工する方法としては押出ラミネート法が挙げられ、予めフィルム状に加工する方法はインフレーション法が挙げられる。ホットメルト接着剤には、フィルム状とするための加工適性が求められる。
【0006】
特許文献1には、電磁誘導加熱によるガラスの接着において、接着剤としてエポキシ樹脂とアミンやアミドなどからなる樹脂組成物やエチレン-酢酸ビニル共重合体と粘着付与樹脂などから成る樹脂組成物が提案されているが、ガラスへの接着性に課題を有している。
【0007】
特許文献2には、電磁誘導加熱によるガラスの接着において、ガラスにシランカップリング剤を塗布する方法が提案されているが、未だ接着性は不十分であり、シランカップリング剤を塗布する工程が増える課題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6-206442号公報
【特許文献2】特開2022-134737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
すなわち、本発明の課題は、ガラス系材料と、プラスチック系材料との接着に適し、さらに、フィルム化への加工性に優れ、耐熱接着性、耐寒接着性、耐水性などに優れ、様々な環境下においても接着性を維持可能な電磁誘導加熱による接着方法に適した熱可塑性ホットメルト接着剤、および該熱可塑性ホットメルト接着剤を用いた接着シートおよびガラス系材料とプラスチック系材料を貼り合わせた積層部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、前記課題を解決することを見出し、本発明に至った。
【0011】
本発明は、金属層の両面にホットメルト接着剤からなる接着剤層を有する接着シートであって、金属層の一方の面にはシラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)が配置され、もう一方の面にはシラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)およびポリオレフィン系ホットメルト接着剤(但し、シラン変性体を含むホットメルト接着剤を除く)(C2)のうちいずれかが配置されてなる接着シートに関する。
【0012】
本発明は、シラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)100質量%中、重合体(x1)を1~100質量%、重合体(y1)を0~99質量%および粘着付与樹脂(z1)を0~30質量%含み、
重合体(x1)は、シラン変性ポリエチレン、シラン変性エチレン-不飽和エステル共重合体、シラン変性エチレン-α-オレフィン共重合体、シラン変性エチレン-アクリル酸共重合体およびシラン変性エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、
重合体(y1)は、ポリエチレン、エチレン-不飽和エステル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(但し、(x1)は除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種である、接着シートに関する。
【0013】
本発明は、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤(C2)100質量%中、重合体(x2)を50~100質量%、粘着付与樹脂(z2)を0~50質量%含み、
重合体(x2)は、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、エチレン-不飽和エステル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種である、接着シートに関する。
【0014】
本発明は、金属層とホットメルト接着剤からなる接着剤層の間に、プライマー層を有する接着シートに関する。
【0015】
ガラス系材料、上記接着シート、プラスチック系材料の順に配置されてなる積層部材であって、
ガラス系材料と隣接する接着剤層は前記ホットメルト接着剤(C1)からなる層であり、
プラスチック系材料と隣接する接着剤層は前記ホットメルト接着剤(C1)およびホットメルト接着剤(C2)の少なくとも一方からなる層である、積層部材に関する。
【0016】
本発明は、電磁誘導により加熱し、ガラス系材料およびプラスチック系材料とそれに隣接するホットメルト接着剤とを接着する、上記積層部材の製造方法に関する。
【0017】
本発明は、電磁誘導により加熱してホットメルト接着剤を軟化ないし溶融し、上記積層部材からガラス系材料および/またはプラスチック系材料を剥離する方法に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、ガラス系材料と、プラスチック系材料との接着に適し、さらに、耐熱接着性、耐寒接着性、耐水性などに優れ、様々な環境下においても接着性を維持可能な電磁誘導加熱による接着方法に適した熱可塑性ホットメルト接着シートおよびガラス系材料とプラスチック系材料を貼り合わせた積層部材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
【0020】
本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値の範囲として含むものとする。
本明細書に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
また、本明細書においてメルトマスフローレイト(MFR)は、JIS K 7210-1:2014に準拠し、190℃、荷重2.16kgの条件で測定した10分間の流出量である。
【0021】
≪接着シート≫
本発明の接着シートは、金属層の両面にホットメルト接着剤からなる接着剤層を有する。金属層の一方の面にはシラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)が配置され、もう一方の面にはシラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)およびポリオレフィン系ホットメルト接着剤(但し、シラン変性体を含むホットメルト接着剤を除く)(C2)のうちいずれかが配置されてなる。
【0022】
本発明における金属層は、厚さ1μm以上1000μm以下であり、好ましくは5μm以上100μm以下、さらに好ましくは5μm以上50μm以下であって、電磁誘導加熱により発熱を発現させるための導電性材料として機能する。そのような金属としては、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、鉛、銅、鉄、銀、あるいは各種合金などの金属類が好ましく、アルミニウムが最も好ましい。
【0023】
<シラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)>
本発明におけるシラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)は、重合体(x1)を1~100質量%、重合体(y1)を0~99質量%および粘着付与樹脂(z1)を0~30質量%含むことが好ましい。
【0024】
(重合体(x1))
本発明における重合体(x1)は、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレン、シラン変性エチレン-不飽和エステル共重合体、シラン変性エチレン-α-オレフィン共重合体、シラン変性エチレン-アクリル酸共重合体およびシラン変性エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種である。
重合体(x1)は、ポリエチレンまたは、ポリプロピレンまたは、エチレン-不飽和エステル共重合体または、エチレン-α-オレフィン共重合体または、エチレン-アクリル酸共重合体または、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と有機シラン化合物とを反応させてなるものであり、例えば、ポリエチレン、および有機シラン化合物を重合開始剤の存在下で重合開始剤の分解温度以上の温度でポリエチレンの一部の原子などを引き抜いた後、有機シラン化合物と反応させてシラングラフト変性体を得ることができる。また、有機シラン化合物が反応性の官能基を反応しうる官能基を有している場合は、常法でこれらを反応させてシラン変性体を得ることができる。
【0025】
ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン触媒を使用して重合されたポリエチレン等を用いることができる。LDPE、LLDPEが好適に使用され、LDPEが最も好適に使用される。ポリエチレンのメルトマスフローレイトは0.1~500g/10分が好ましく、より好ましくは1~100g/10分、更に好ましくは2~50g/10分である。LDPE、LLDPEがフィルム化などの加工がしやすく好ましい。
【0026】
ポリプロピレンとしては、ホモ-ポリプロピレン、ランダム-ポリプロピレン、ブロック-ポリプロピレン、メタロセン触媒を使用して重合されたポリプロピレン等を用いることができる。ランダム-ポリプロピレンがフィルム化などの加工がしやすく好ましい。
ポリプロピレンのメルトマスフローレイトは0.1~500g/10分が好ましく、より好ましくは1~100g/10分、更に好ましくは2~50g/10分である。
【0027】
エチレン-不飽和エステル共重合体は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステルとエチレンの共重合体である。耐寒接着性、耐水性に優れたものが得やすいことから、エチレン-酢酸ビニル共重合体が好ましい。
エチレン-不飽和エステル共重合体のメルトマスフローレイトは0.1~500g/10分が好ましく、より好ましくは1~100g/10分、更に好ましくは2~50g/10分である。
【0028】
エチレン-α-オレフィン共重合体は、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン単量体とエチレンとの共重合体である。エチレン-1-オクテン共重合体がフィルム化などの加工がしやすく、耐寒接着性、耐水性に優れたものが得やすい。
【0029】
エチレン-アクリル酸共重合体は、ポリアクリル酸や(メタ)アクリル酸とエチレンとの共重合体などが挙げられる。ガラスへの接着性に優れたものが得やすいことから、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。
エチレン-アクリル酸共重合体のメルトマスフローレイトは0.1~500g/10分が好ましく、より好ましくは1~100g/10分、更に好ましくは2~50g/10分である。
【0030】
エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と、エチレンとの共重合体である。ガラスへの接着性、耐熱接着性に優れたものが得やすいことから、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体が好ましい。
【0031】
エチレン-不飽和エステル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、全質量中の不飽和エステル、α-オレフィン、アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有率が5~30質量%であることが好ましく、より好ましくは10~25質量%である。前記含有率であることで、接着強度が高く、フィルム加工に優れるホットメルト接着剤を得ることができる。
【0032】
重合体(x1)はエチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体およびエチレン-オクテン共重合体のいずれかのシラン変性体が好ましく、耐水性の点で、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体のシラン変性体がより好ましい。
【0033】
重合体(x1)の製造に用いる有機シラン化合物としては、
ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するシラン化合物、
2-(3,4-エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基を有するシラン化合物、
p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基を有するシラン化合物、
3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基を有するシラン化合物、
N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノ基を有するシラン化合物、
3-メルカプロプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシラン化合物、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、イソシアネート基を有する、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のスルフィド基を有するシラン化合物、
等が挙げられる。ポリエチレンやポリプロピレン、エチレン-不飽和エステル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体との反応のしやすさからエポキシ基やメタクリル基を有する有機シラン化合物が好ましい。
【0034】
重合体(x1)の製造に用いる重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物などが挙げられる。
【0035】
重合開始剤のうちアゾ系化合物としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾール-2-イル)プロパン]等が挙げられる。
【0036】
重合開始剤のうち有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ビス(1-tert-ブチルペルオキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0037】
重合体(x1)100質量%中のシラン化合物の含有率は、0.01~10質量%が好ましく、より好ましくは0.1~8質量%、さらに好ましくは0.5~5質量%である。前記含有率であることで、ガラスへの接着強度を高いレベルで確保できるホットメルト接着剤を得ることができる。
【0038】
シラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)100質量%中、重合体(x1)は1~100質量%含有されることが好ましく、より好ましくは5~90質量%で、さらに好ましくは10~80質量%である。含有率が1~100質量%であることで、ガラスへの接着強度を高いレベルで確保できるホットメルト接着剤を得ることができる。
【0039】
(重合体(y1))
本発明における重合体(y1)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-不飽和エステル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(但し、(x1)は除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種である。
【0040】
重合体(y1)は、前記重合体(x1)に記載のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-不飽和エステル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を使用することができる。
【0041】
耐熱性および耐寒性の点で、重合体(y1)はエチレン-メタクリル酸メチル共重合体が好ましい。
【0042】
シラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)100質量%中、(y1)は0~99質量%含有されることが好ましく、より好ましくは5~90質量%以下で、さらに好ましくは10~80質量%である。前記含有率であることで、ガラスへの接着強度を高いレベルで確保でき、フィルム化しやすいホットメルト接着剤を得ることができる。
【0043】
(粘着付与樹脂(z1))
粘着付与樹脂とは、一般的に天然系粘着付与樹脂と合成系粘着付与樹脂に分類される。
天然系粘着付与樹脂としてはガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、ロジン-グリセリンエステル、ロジン-ペンタエリスリトールエステル、マレイン化ロジンおよびこれらの水素化物等のロジン系粘着付与樹脂、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素化テルペン樹脂等のテルペン系粘着付与樹脂等が挙げられる。ガラスへの接着強度を高いレベルで確保でき、耐熱性に優れたホットメルト接着剤を得やすいことから、ロジン系粘着付与樹脂が好適に用いられる。
【0044】
合成系粘着付与樹脂としては、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、共重合系(C5/C9系)石油樹脂、水素添加石油樹脂(脂環族系石油樹脂)、DCPD系石油樹脂(脂環族系石油樹脂)、ピュア-モノマー系石油樹脂(スチレン系、置換スチレン系石油樹脂)、クマロン・インデン樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。ガラスへの接着強度を高いレベルで確保でき、耐熱性に優れたホットメルト接着剤を得やすいことから、芳香族系(C9系)、共重合系(C5/C9系)石油樹脂が好適に用いられる。
【0045】
粘着付与樹脂(z1)として、天然系粘着付与樹脂および合成系粘着付与樹脂の中からいずれか1種類が用いられてもよいし、2種類以上が用いられてもよい。
【0046】
耐熱性の点で、粘着付与樹脂(z1)は石油系炭化水素樹脂が好ましい。
【0047】
シラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1)100質量%中の粘着付与樹脂の含有率は0~30質量%が好ましく、より好ましくは0~20質量%、さらに好ましくは0~10質量%である。前記含有率であることで、ガラスへの接着強度とプラスチックへの接着強度を高いレベルで確保できるホットメルト接着剤を得ることができる。
【0048】
<ポリオレフィン系ホットメルト接着剤(C2)>
本発明におけるポリオレフィン系ホットメルト接着剤(C2)は、シラン変性体を含まないオレフィン系ホットメルト接着剤である。重合体(x2)を50~100質量%、粘着付与樹脂(z2)を0~50質量%含むことが好ましい。
【0049】
(重合体(x2))
本発明における重合体(x2)は、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、エチレン-不飽和エステル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の重合体である。
【0050】
ポリオレフィンは、ポリエチレンやポリプロピレンなどである。
ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン触媒を使用して重合されたポリエチレン等を用いることができる。フィルム化などの加工がしやすいことから、LDPE、LLDPEが好適に使用され、LDPEが最も好適に使用される。ポリエチレンのメルトマスフローレイトは0.1~500g/10分が好ましく、より好ましくは1~100g/10分、更に好ましくは2~50g/10分である。
ポリプロピレンとしては、ホモ-ポリプロピレン、ランダム-ポリプロピレン、ブロック-ポリプロピレン、メタロセン触媒を使用して重合されたポリプロピレン等を用いることができる。ランダム-ポリプロピレンがフィルム化などの加工がしやすく好ましい。
ポリプロピレンのメルトマスフローレイトは0.1~500g/10分が好ましく、より好ましくは1~100g/10分、更に好ましくは2~50g/10分である。
【0051】
酸変性ポリオレフィンは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのα、β-不飽和カルボン酸のいずれか1種類以上がグラフトされたエチレン系ポリマーやプロピレン系ポリマーなどのオレフィン系ポリマーである。α、β-不飽和カルボン酸のグラフト量は特に限定されないが、酸変性ポリオレフィンの全質量中0.001~10質量%が好ましい。
【0052】
エチレン-不飽和エステル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、前記重合体(x1)に記載のエチレン-不飽和エステル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を使用することができる。
【0053】
重合体(x2)は、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、酸変性オレフィンが好ましく、酸変性オレフィンであることが耐熱性や耐寒性に優れたものが得やすく、より好ましい。
【0054】
ホットメルト接着剤(C2)100質量%中の重合体(x2)の含有率は50~100質量%が好ましく、より好ましくは70~100質量%、さらに好ましくは80~95質量%である。50~100質量%であることで、プラスチックへの接着強度を高いレベルで確保できるため好ましい。
【0055】
(粘着付与樹脂(z2))
粘着付与樹脂(z2)は、前記粘着付与樹脂(z1)に記載のものと同じものを用いることができる。ホットメルト接着剤(C2)100質量%中の粘着付与樹脂(z2)の含有率は0~50質量%が好ましく、より好ましくは0~30質量%、さらに好ましくは0~20質量%である。0~50質量%であることで、プラスチックへの接着強度を高いレベルで確保できるため好ましい。
【0056】
ホットメルト接着剤(C1)および(C2)は、、本発明の目的を損なわない範囲で、熱劣化、熱分解、ブロッキング等を防止するため、およびフィルム加工、押出ラミネート加工等の加工適性を確保するために、さらに添加剤等が使用されてもよい。添加剤としては、例えば酸化チタンなどの着色剤、エルカ酸アミド等の有機滑剤、炭酸カルシウム等の無機滑剤、ヒンダードフェノール等の酸化防止剤、シリコーン等のブロッキング防止剤、帯電防止剤、充填剤などが挙げられる。酸化防止剤によりホットメルト接着剤の熱劣化、熱分解を防止することができる。
【0057】
代表的な酸化防止剤を次に例示する。高分子量ヒンダード多価フェノール、トリアジン誘導体、高分子量ヒンダードフェノール、ジアルキル・フェノール・スルフィド、2、2-メチレン-ビス-(4-メチル-6-第三-ブチルフェノール)、4、4-メチレン-ビス-(2,6-ジ-第三-ブチルフェノール)、2、6-ジ-第三-ブチルフェノール-p-クレゾール、2、5-ジ-第三-ブチルヒドロキノン、2、2、4-トリメチル-1、2-ジヒドロキノン、ジブチル・ジチオカルバミン酸ニッケル、1-オキシ-3-メチル-4-イソプロピルベンゼン、4、4-ブチリデンビス-(3-メチル-6-第三-ブチルフェノール)、2-メルカプトベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
【0058】
ホットメルト接着剤(C1)および(C2)のメルトマスフローレイトは0.1~1000g/10分が好ましい。より好ましくは0.5~500g/10分であり、さらに好ましくは1~100g/10分である。ホットメルト接着剤のMFRが0.1~1000g/10分であることで、フィルム化しやすくなる。
【0059】
<接着シートの製造方法>
本発明の接着シートは、スロットコーター、グラビアコーター、ロールコーター、押出ラミネーターなどによりアルミ箔などの金属箔へホットメルト接着剤をフィルム状に積層することにより製造することができる。
【0060】
本発明の接着シートは、金属層とホットメルト接着剤からなる接着剤層の間に、プライマー層を有することが好ましい。プライマー層を有することで金属層とホットメルト接着剤の接着強度が強固になる。
プライマー層としては、特に限定されないが、金属箔とホットメルト接着剤との接着強度の点で熱硬化性接着剤が好ましい。
熱硬化性接着剤としては、ポリエステル系やポリイソシアネート系接着剤等が挙げられる。その中でもポリエステル系接着剤が金属層とホットメルト接着剤層の接着力が得やすい。
【0061】
接着シートがプライマー層を有する場合の製造方法は、金属箔に熱硬化性接着剤を塗工・乾燥し、スロットコーター、グラビアコーター、ロールコーター、押出ラミネーターなどにより金属箔へホットメルト接着剤をフィルム状に積層することにより製造方法や、金属箔に熱硬化性接着剤を塗工・乾燥し、ホットメルト接着剤の単層フィルムと圧着することにより製造することができる。金属箔とホットメルト接着剤を貼り合わせた後に40~80℃雰囲気下でエージング(使用する熱硬化性接着剤の種類により適宜調整)することにより、より強固に接着した接着シートを得ることができる。
【0062】
≪積層部材≫
本発明の積層部材は、ガラス系材料、接着シート、プラスチック系材料の順に配置されてなり、ガラス系材料と接する接着剤層は前記ホットメルト接着剤(C1)からなる層であり、プラスチック系材料と接する接着剤層は前記ホットメルト接着剤(C1)およびホットメルト接着剤(C2)のいずれかからなる層であれば良いが、接着性および耐水性の点でホットメルト接着剤(C2)からなる層である方がより好ましい。
【0063】
積層部材の製造方法は、電磁誘導により加熱し、ガラス系材料およびプラスチック系材料とそれに隣接するホットメルト接着剤とを接着する方法である。電磁誘導による加熱は、電磁誘導加熱装置等を用いて行なうことができる。ガラス系材料とプラスチック系材料のいずれの面から加熱しても良く、両方の外部から加熱しても良い。
【0064】
電磁誘導による加熱とは、一般的に誘導コイルである高周波電流伝達コンダクタから変換される電気的エネルギーによって磁性体の金属部分の温度を上げることをいう。
【0065】
積層部材からガラス系材料および/またはプラスチック系材料を剥離する方法は、電磁誘導により加熱してホットメルト接着剤を軟化ないし溶融し、積層部材からガラス系材料および/またはプラスチック系材料を剥離する方法である。ガラス系材料とプラスチック系材料のいずれの面から加熱しても良く、両方の外部から加熱しても良い。
【実施例0066】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、特に断りのない限り実施例における「部」及び「%」は、各々「質量部」及び「質量%」を表す。
【0067】
<重合体(x1)の製造>
(製造例1:重合体x1-1の製造)
x1-1:低密度ポリエチレン(東ソー社製ペトロセン212(MFR13g/10分))100部にシランカップリング剤(信越化学工社化製KBE-903)8部および有機過酸化物(日油社製パーブチルP-40)2部をブレンドした。ホッパーにプリブレンド物を投入し、スクリューフィーダを用いて押出機に供給し、シラン変性体(MFR7g/10分)を製造した。
押出機:アイ・ケー・ジー社製二軸押出機PMT32-40.5
バレル温度:220℃(供給口180℃)
スクリュー回転速度:100rpm
供給速度:10kg/hr
【0068】
(製造例2:重合体x1-2の製造)
x1-2:低密度ポリエチレンをエチレン-酢酸ビニル共重合体(東ソー社製ウルトラセン526(MFR25g/10分、酢酸ビニル含有量7%))にし、シランカップリング剤(EVONIK社製DynasylanVTEO)5部および有機過酸化物(アルケマ吉富社製ルぺロックスDTA)1部にした以外はx1-1と同様に行った。
【0069】
(製造例3:重合体x1-3の製造)
x1-3:低密度ポリエチレンをエチレン-メタクリル酸メチル共重合体(住友化学社製アクリフトWH303-F(MFR7g/10分、メタクリル酸メチル含有量18%))にし、シランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-503)3部および有機過酸化物(アルケマ吉富社製ルぺロックスDTA)1部にした以外はx1-1と同様に行った。
【0070】
(製造例4:重合体x1-4の製造)
x1-4:低密度ポリエチレンをエチレン-アクリル酸共重合体(三井・ダウ ケミカル社製ニュクレルN1525(MFR25g/10分、アクリル酸含有量15%))100重量部に、シランカップリング剤(信越化学工業社製KBE-403)1重量部および有機過酸化物(日油社製パーブチルP-40)0.5重量部をプリブレンドした以外はx1-1と同様に行った。
【0071】
(製造例5:重合体x1-5の製造)
x1-5:エチレン-アクリル酸共重合体をエチレン-オクテン共重合体((ダウ・ケミカル社製エンゲージ8411(MFR18g/10分)にした以外はx1-4と同様に行った。
【0072】
(製造例6:重合体x1-6の製造)
x1-6:エチレン-メタクリル酸メチル共重合体を塩素化ポリエチレンにした以外はx1-3と同様に行った。
【0073】
<シラン変性体を含むホットメルト接着剤(C1-1)の製造>
シラン変性体(x1)としてx1-1を100部、酸化防止剤0.1部およびスリップ剤0.1部をヘンシェルミキサーで5分間プリブレンドした。ホッパーにプリブレンド物を投入し、スクリューフィーダを用いて押出機に供給し、シラン変性体を必須成分とするホットメルト接着剤(C1)を製造した。
押出機:アイ・ケー・ジー社製二軸押出機PMT32-40.5
バレル温度:160℃(供給口100℃)
スクリュー回転速度:100rpm
供給速度:10kg/hr
【0074】
[C1-2~C1-5の製造]
表1に示した、シラン変性体(x1)に変更した以外は、C1-1と同様にして製造した。
【0075】
[C1-6~C1-18の製造]
表1に示した、シラン変性体(x1)、重合体(y1)、粘着付与樹脂(z)を用いた以外は、C1-1と同様にして製造した。
【0076】
<ポリオレフィン系ホットメルト接着剤(C2-1)の製造>
重合体(x2)としてx2-1を90部、粘着付与樹(z)としてz-1を10部、酸化防止剤0.1部およびスリップ剤0.1部をヘンシェルミキサーで5分間プリブレンドした。ホッパーにプリブレンド物を投入し、スクリューフィーダを用いて押出機に供給し、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤(C2)を製造した。
押出機:アイ・ケー・ジー社製二軸押出機PMT32-40.5
バレル温度:160℃(供給口100℃)
スクリュー回転速度:100rpm
供給速度:10kg/hr
【0077】
[C2-2~C2-12、HM-1の製造]
表2に示した材料に変更した以外は、C2-1と同様にして製造した。
【0078】
表1、表2に記載した材料の略号について、説明する。
【0079】
(金属層)
アルミ:アルミニウム箔(20μm、700μm)
銅:銅箔(500μm)
ステンレス:ステンレス(SUS304)箔(1000μm)
ニッケル::ニッケル箔(200μm)
【0080】
(重合体(y1))
y1-1:エチレン-酢酸ビニル共重合体(東ソー社製ウルトラセン540(MFR3g/10分、酢酸ビニル含有量10%))
y1-2:エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(住友化学社製アクリフトWD301-F(MFR7g/10分、メタクリル酸メチル含有量10%))
y1-3:低密度ポリエチレン(東ソー社製ペトロセン225(MFR3.7g/10分))
y1-4:ランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製ノバテックFL02A(MFR12g/10分))
【0081】
(重合体(x2))
x2-1:エチレン-酢酸ビニル共重合体(東ソー社製ウルトラセン540(MFR3g/10分、酢酸ビニル含有量10%))
x2-2:エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(住友化学社製アクリフトWD301-F(MFR7g/10分、メタクリル酸メチル含有量10%))
x2-3:低密度ポリエチレン(東ソー社製ペトロセン225(MFR3.7g/10分))
x2-4:酸変性オレフィン(三菱ケミカル製モディックF534A(MFR3.5g/10分))
【0082】
(その他重合体)
T1:塩素化ポリエチレン(レゾナック社製エラスレン303JB(MFR25g/10分))
T2:スチレン系エラストマー(クラレ社製セプトン2063(MFR2g/10分))
【0083】
(粘着付与樹脂(z))
z-1:石油系炭化水素樹脂(荒川化学工業社製アルコンM-115)
z-2:石油系炭化水素樹脂(荒川化学工業社製アルコンP-140)
z-3:不均化ロジンエステル(ハリマ化成社製ハリタックFK125)
z-4:水添テルペン樹脂(ヤスハラケミカル製クリアロンP-125)
【0084】
酸化防止剤:BASF社製イルガノックス1010
スリップ剤:クローダ社製インクロスリップC
【0085】
【0086】
【0087】
[実施例1:接着シートの製造]
後述する熱硬化性接着剤Aを、溶剤を揮散した後の乾燥重量で0.3g/m2になるようにワイヤーバーでアルミ上に塗工しプライマー層を形成した。この時、熱硬化性接着剤の温度は30~45℃程度に加熱した。乾燥条件は80℃1分であった。次に、インフレーション成型機を用いて、ホットメルト接着剤C1-1およびC2-1の単層フィルムを作製した。C1-1の単層フィルムをプライマー層上に圧着ロールを用いて圧着した。さらに、アルミ/プライマー層/ホットメルト接着剤の積層フィルムのアルミ面に上記と同様に熱硬化性接着剤Aを塗工、乾燥しプライマー層を形成した。次にC2-1の単層フィルムをプライマー層上に圧着ロールを用いて圧着した。その後、40℃の環境下で4日間エージングを行い、接着シートを得た。以下に加工条件を示した。
インフレーション成型機:Labtech社製
樹脂温度:100~170℃(適宜調整)
ニップロール速度:6m/分
【0088】
[実施例2~34、比較例1~7:接着シートの製造]
ホットメルト接着剤、金属層およびプライマー層を形成する熱硬化性接着剤を表3~5に記載のものに変更した以外は実施例1と同様にして接着シートを製造した。
【0089】
表3~5に記載の材料について説明する。
【0090】
(熱硬化性接着剤)
主剤
・東洋モートン社製EL-510(ポリエステル系)
・東洋モートン社製TM-K76(ポリエステル系)
硬化剤
・東洋モートン社製CAT-RT80(ポリイソシアネート系)
・東洋モートン社製CAT-RT85(ポリイソシアネート系)
[熱硬化性接着剤A]
熱硬化性接着剤の主剤EL-510と硬化剤CAT-RT80を重量比15/3の割合で配合し、固形分が8%になるように酢酸エチルで希釈した。
[熱硬化性接着剤B]
熱硬化性接着剤の主剤TM-K76と硬化剤CAT-RT85を重量比100/7の割合で配合し、固形分が30%になるように酢酸エチルで希釈した。
【0091】
(ガラス系材料)
強化ガラス:一般的なガラスよりも高強度のガラス
合わせガラス:合成樹脂などの中間膜で2枚の板ガラスを貼り合わせたもの
【0092】
(プラスチック系材料)
PP:ポリプロピレン
PE:ポリエチレン
PET:ポリエチレンテレフタレート
PBT:ポリブチレンテレフタレート
【0093】
[実施例1:積層部材の製造]
上記実施例1で製造した接着シートのC1とガラス系材料が、接着シートのC2とプラスチック系材料が接するように挟み、電磁誘導加熱装置(アキレス社製オールオーバー接着装置)のアプリケータ部(コイル)をガラス系材料側から押し当てて、60秒間加熱し、加熱が終了してもホットメルト接着剤層が冷えるまで約5秒間電磁誘導加熱装置のアプリケータ部(コイル)を押し当てたままにして接着し、積層部材を作成した。
【0094】
[実施例2~34積層部材の製造]
対応する実施例で製造した接着シートを用いた以外は実施例1と同様にして積層部材を製造した。
【0095】
[比較例1~5:積層部材の製造]
対応する比較例で製造した接着シートのC2-11とプラスチック系基材が、接着シートのもう一方の面とガラス系基材が接するように挟んだ以外は、実施例1と同様にして積層部材を製造した。
【0096】
[比較例6、7:積層部材の製造]
ガラス系材料の表面にシランカップリング剤(信越化学工業製KBM-403)を塗布した以外は比較例1~5と同様にして積層部材を製造した。
【0097】
<接着性>
上記方法で作製した積層部材を24時間放置後、引張強度試験機(島津製作所製オートグラフAGS)で引張速度200mm/分、23℃、65%相対湿度下でガラス系材料と接着シートのせん断強度およびプラスチック系材料と接着シートのせん断強度をそれぞれ測定した。
〇:100N/cm2以上
△:50N/cm2以上100N/cm2未満
×:50N/cm2未満
<耐熱接着性>
上記方法で作製した積層部材を80℃雰囲気下のオーブン中に1000時間放置後、さらに23℃、65%相対湿度下で24時間放置後、引張強度試験機(島津製作所製オートグラフAGS)で引張速度200mm/分、23℃、65%相対湿度下でガラス系材料と接着シートのせん断強度を、プラスチック系材料と接着シートのせん断強度をそれぞれ測定した。
〇:100N/cm2以上
△:50N/cm2以上100N/cm2未満
×:50N/cm2未満
<耐寒接着性>
上記方法で作製した積層部材を-20℃雰囲気下の冷凍庫で1000時間放置後、さらに23℃、65%相対湿度下で24時間放置後、引張強度試験機(島津製作所製オートグラフAGS)で引張速度200mm/分、23℃、65%相対湿度下でガラス系材料と接着シートのせん断強度を、プラスチック系材料と接着シートのせん断強度をそれぞれ測定した。
〇:100N/cm2以上
△:50N/cm2以上100N/cm2未満
×:50N/cm2未満
<耐水接着性>
上記方法で作製した積層部材を23℃の水中に24時間放置後、引張強度試験機(島津製作所製オートグラフAGS)で引張速度200mm/分、23℃、65%相対湿度下でガラス系材料と接着シートのせん断強度を、プラスチック系材料と接着シートのせん断強度をそれぞれ測定した。
〇:100N/cm2以上
△:50N/cm2以上100N/cm2未満
×:50N/cm2未満
【0098】
【0099】
【0100】