(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016362
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷装置の制御方法、プログラム及び印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20240131BHJP
H04N 1/60 20060101ALI20240131BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B41J29/393 101
H04N1/60 300
H04N1/60 160
B41J21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118420
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 智哉
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
5C079
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061KK12
2C061KK18
2C187AC08
2C187AD14
2C187AE01
2C187AF03
2C187BF41
2C187CD12
2C187CD16
2C187GA01
2C187HA36
5C079LA02
5C079LB01
5C079MA05
5C079MA10
5C079NA03
5C079NA13
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】ユーザの意図に沿った色校正をより適切に行うことができる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置10は、複数のオブジェクトを含む印刷対象画像Cを表示する表示装置15と、前記表示装置15に表示された前記印刷対象画像Cにおける前記複数のオブジェクトから指定オブジェクトを入力する入力装置16と、前記印刷対象画像Cを印刷媒体Aに印刷する印刷部20と、制御装置11と、を備え、前記制御装置11は、前記指定オブジェクトに含まれる色である指定色に基づいた第1パッチD1と、所定の色に基づいた第2パッチD2とを含むパッチチャートDを前記印刷媒体Aに前記印刷部20により印刷する印刷動作を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオブジェクトを含む印刷対象画像を表示する表示装置と、
前記表示装置に表示された前記印刷対象画像における前記複数のオブジェクトから指定オブジェクトを入力する入力装置と、
前記印刷対象画像を印刷媒体に印刷する印刷部と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記指定オブジェクトに含まれる色である指定色に基づいた第1パッチと、所定の色に基づいた第2パッチとを含むパッチチャートを前記印刷媒体に前記印刷部により印刷する印刷動作を実行する、
印刷装置。
【請求項2】
前記パッチチャートは、前記第1パッチが配置される第1パッチ領域、及び、前記第2パッチが配置される第2パッチ領域を有している、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第2パッチに関する情報を記憶する記憶装置を備える、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記指定色を記憶する記憶装置を備え、
前記制御装置は、
前記指定色について定められた所定の重要度を取得する第1取得動作と、
前記指定色と前記重要度とを対応付けて前記記憶装置に記憶する記憶動作と、を実行し、
前記指定オブジェクトが複数入力されている場合には、前記第1取得動作にて、複数の前記指定オブジェクトに含まれる全ての前記指定色に基づいて前記重要度を取得する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1パッチは、前記印刷対象画像において前記重要度が高い順に前記パッチチャートに配置される、
請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記パッチチャートが印刷される前記印刷媒体の枚数を受け付ける受付動作と、
前記印刷媒体の枚数に応じて前記パッチチャートに配置可能な前記第1パッチの数を取得する第2取得動作と、を実行する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記指定色の数が前記パッチチャートに配置可能な前記第1パッチの数よりも多い場合、前記重要度が低い前記指定色を削減することで、前記指定色の数を削減する第1削減動作を実行する、
請求項5に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記指定色の数が前記パッチチャートに配置可能な前記第1パッチの数よりも多い場合、前記指定オブジェクトを構成する画素数を元の画素数よりも減らし、画素数が減らされた後の前記指定オブジェクトに含まれる色を前記指定色とすることで、前記指定色の数を削減する第2削減動作を実行する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項9】
色変換テーブルを記憶する記憶装置を備え、
前記色変換テーブルは、所定の色差毎に設けられた複数の入力値を有し、
前記制御装置は、前記指定色の数が前記パッチチャートに配置可能な前記第1パッチの数よりも多く、且つ、前記所定の色差を空けて設けられた2つの前記入力値の間に複数の前記指定色がある場合、複数の前記指定色のうち、前記2つの入力値の中間値に最も近い前記指定色以外の前記指定色を削除することで、前記指定色の数を削減する第3削減動作を実行する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記オブジェクトは、互いに異なる複数種類のオブジェクトを含み、
前記制御装置は、前記オブジェクトの種類に基づいて前記パッチチャートにおける前記第1パッチの上限数を取得する第3取得動作を実行する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記パッチチャートにおける前記第1パッチの上限数は、前記オブジェクトの種類に基づいて異なっている、
請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記複数種類のオブジェクトは、記号を含む第1オブジェクト、及び、図形を含む第2オブジェクトを有し、
前記パッチチャートにおいて、前記第2オブジェクトに関する前記第1パッチの上限数は、前記第1オブジェクトに関する前記第1パッチの上限数よりも多い、
請求項11に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記複数種類のオブジェクトは、図形を含む第2オブジェクト、及び、絵画又は写真を含む第3オブジェクトを有し、
前記パッチチャートにおいて、前記第3オブジェクトに関する前記第1パッチの上限数は、前記第2オブジェクトに関する前記第1パッチの上限数よりも多い、
請求項11に記載の印刷装置。
【請求項14】
複数のオブジェクトを含む印刷対象画像を表示する表示装置と、
前記表示装置に表示された前記印刷対象画像における前記複数のオブジェクトから指定オブジェクトを入力する入力装置と、
前記印刷対象画像を印刷媒体に印刷する印刷部と、を備える印刷装置の制御方法であって、
前記指定オブジェクトに含まれる色である指定色に基づいた第1パッチと、所定の色に基づいた第2パッチとを含むパッチチャートを前記印刷媒体に前記印刷部により印刷する印刷動作を実行させる、
印刷装置の制御方法。
【請求項15】
複数のオブジェクトを含む印刷対象画像を表示する表示装置と、
前記表示装置に表示された前記印刷対象画像における前記複数のオブジェクトから指定オブジェクトを入力する入力装置と、
前記印刷対象画像を印刷媒体に印刷する印刷部と、を備える印刷装置のコンピュータに、
前記指定オブジェクトに含まれる色である指定色に基づいた第1パッチと、所定の色に基づいた第2パッチとを含むパッチチャートを前記印刷媒体に前記印刷部により印刷する印刷動作を実行させる、
プログラム。
【請求項16】
情報処理装置及び印刷装置を備える印刷システムであって、
前記情報処理装置は、
複数のオブジェクトを含む印刷対象画像を表示する表示装置と、
前記表示装置に表示された前記印刷対象画像における前記複数のオブジェクトから指定オブジェクトを入力する入力装置と、
前記入力装置に入力された前記指定オブジェクトに関する情報を前記印刷装置に送信する送信装置と、を備え、
前記印刷装置は、
前記印刷対象画像を印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記送信装置から送信された前記指定オブジェクトに関する情報を受信する受信装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記指定オブジェクトに含まれる色である指定色に基づいた第1パッチと、所定の色に基づいた第2パッチとを含むパッチチャートを前記印刷媒体に前記印刷部により印刷する印刷動作を実行する、
印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷装置の制御方法、プログラム及び印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置として、例えば、特許文献1の情報処理装置が知られている。この情報処理装置は、印刷対象データにより表現される色を自動的に抽出しその色の占有率を計算すると共に、オペレータが印刷対象データの座標から指定した色を抽出している。そして、情報処理装置は、占有率が高い色及びオペレータによる指定色に基づいた校正用パッチ画像を印刷し、校正用パッチ画像の測色データに基づいて印刷対象データの色校正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記情報処理装置は、占有率の高い色及びオペレータによる指定色に基づいて印刷対象データを色校正している。しかしながら、オペレータが意図した色を指定できない場合があり、また、その意図した色が占有率の高い色に含まれていない場合がある。このような場合には、オペレータの意図した色に基づいて印刷対象データの色校正を行うことができない。
【0005】
本発明は、ユーザの意図に沿った色校正をより適切に行うことができる印刷装置、印刷装置の制御方法、プログラム及び印刷システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様に係る印刷装置は、複数のオブジェクトを含む印刷対象画像を表示する表示装置と、前記表示装置に表示された前記印刷対象画像における前記複数のオブジェクトから指定オブジェクトを入力する入力装置と、前記印刷対象画像を印刷媒体に印刷する印刷部と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記指定オブジェクトに含まれる色である指定色に基づいた第1パッチと、所定の色に基づいた第2パッチとを含むパッチチャートを前記印刷媒体に前記印刷部により印刷する印刷動作を実行する。
【0007】
本発明のある態様に係る印刷装置の制御方法は、複数のオブジェクトを含む印刷対象画像を表示する表示装置と、前記表示装置に表示された前記印刷対象画像における前記複数のオブジェクトから指定オブジェクトを入力する入力装置と、前記印刷対象画像を印刷媒体に印刷する印刷部と、を備える印刷装置の制御方法であって、前記指定オブジェクトに含まれる色である指定色に基づいた第1パッチと、所定の色に基づいた第2パッチとを含むパッチチャートを前記印刷媒体に前記印刷部により印刷する印刷動作を実行させる。
【0008】
本発明のある態様に係るプログラムは、複数のオブジェクトを含む印刷対象画像を表示する表示装置と、前記表示装置に表示された前記印刷対象画像における前記複数のオブジェクトから指定オブジェクトを入力する入力装置と、前記印刷対象画像を印刷媒体に印刷する印刷部と、を備える印刷装置のコンピュータに、前記指定オブジェクトに含まれる色である指定色に基づいた第1パッチと、所定の色に基づいた第2パッチとを含むパッチチャートを前記印刷媒体に前記印刷部により印刷する印刷動作を実行させる。
【0009】
本発明のある態様に係る印刷システムは、情報処理装置及び印刷装置を備える印刷システムであって、前記情報処理装置は、複数のオブジェクトを含む印刷対象画像を表示する表示装置と、前記表示装置に表示された前記印刷対象画像における前記複数のオブジェクトから指定オブジェクトを入力する入力装置と、前記入力装置に入力された前記指定オブジェクトに関する情報を前記印刷装置に送信する送信装置と、を備え、前記印刷装置は、前記印刷対象画像を印刷媒体に印刷する印刷部と、前記送信装置から送信された前記指定オブジェクトに関する情報を受信する受信装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記指定オブジェクトに含まれる色である指定色に基づいた第1パッチと、所定の色に基づいた第2パッチとを含むパッチチャートを前記印刷媒体に前記印刷部により印刷する印刷動作を実行する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザの意図に沿った色校正をより適切に行うことができる印刷装置、印刷装置の制御方法、プログラム及び印刷システムを提供することができる。
【0011】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置を上から見た概略図である。
【
図2】実施の形態1~2に係る印刷装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】印刷対象画像が表示された表示装置を示す図である。
【
図6】印刷対象画像及びオブジェクトリストが表示された表示装置を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係る印刷装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図7の指定色の取得方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図7の第1色の取得方法の一例を示すフローチャートである。
【
図10】変形例1に係る印刷装置の制御方法における指定色の取得方法の一例を示すフローチャートである。
【
図11】変形例2に係る印刷装置の制御方法における指定色の取得方法の一例を示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態2に係る印刷装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図13の指定色の取得方法の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図13の第1色の取得方法の一例を示すフローチャートである。
【
図16】実施の形態3に係る印刷装置の機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付している。
【0014】
(実施の形態1)
<印刷装置の構成>
本発明の実施の形態1に係る印刷装置10は、
図1の例に示すように、印刷部20を備え、画像を印刷媒体Aに印刷部20の色材で印刷する装置である。以下では、インクにより印刷するインクジェットプリンタを印刷装置10に適用した例について説明する。
【0015】
<印刷部>
印刷部20は、
図1の例ではシリアルヘッド方式であって、ヘッド21、プラテン22、タンク23、搬送装置30及び移動装置40を備えている。なお、搬送装置30により印刷媒体Aを搬送する方向を前後方向と称する。前後方向に交差(例えば、直交)し且つ互いに交差(例えば、直交)する方向を左右方向及び上下方向と称する。但し、印刷装置10の配置はこれに限定されない。
【0016】
ヘッド21は複数のノズル24及び複数の駆動素子25(
図2)を有している。ノズル24はヘッド21の下面に開口する。駆動素子25は、圧電素子、発熱素子及び静電式アクチュエータ等であって、ノズル24毎に設けられ、ノズル24からインクを吐出する圧力をインクに付与する。プラテン22は、平坦な上面を有し、その上面上に配置された印刷媒体Aと、これに対向して設けられるヘッド21の下面との間の距離を規定する。タンク23は、ノズル24から吐出するインクを貯留している。
図1の例では、シアンのインク、イエローのインク、マゼンタのインク及びブラックのインクをそれぞれ貯留する4種類のタンク23が設けられている。タンク23は、ヘッド21にチューブにより接続されており、対応するノズル24にインクをチューブを介して供給する。
【0017】
搬送装置30は、例えば、2本の搬送ローラ31、及び、搬送モータ32(
図2)を有している。2本の搬送ローラ31は、前後方向において互いの間にプラテン22を挟んで配置されている。搬送ローラ31は、左右方向に延びる軸を有し、搬送モータ32に連結されている。搬送ローラ31は、搬送モータ32の駆動によって軸を中心に回転し、印刷媒体Aをプラテン22上において前後方向に搬送する。
【0018】
移動装置40は、キャリッジ41、2本のガイドレール42、移動モータ43、及び、無端ベルト44を有している。キャリッジ41は、ヘッド21を搭載し、左右方向に移動可能に2本のガイドレール42に支持されている。2本のガイドレール42は、前後方向においてヘッド21を互いの間に挟むように、プラテン22の上方において左右方向に延びている。無端ベルト44は、左右方向に延びて、キャリッジ41に取り付けられると共に、移動モータ43にプーリー45を介して取り付けられている。移動モータ43が駆動すると、無端ベルト44が走行し、キャリッジ41はガイドレール42に沿って左右方向に往復移動する。これにより、キャリッジ41はヘッド21を左右方向に移動させる。
【0019】
<制御装置>
印刷装置10は、
図2の例に示すように、印刷部20に加えて、制御装置11、記憶装置12及びインターフェース13を備えている。制御装置11は、コンピュータであって、記憶装置12及びインターフェース13に電気的に接続されている。インターフェース13は、コンピュータ、カメラ、通信ネットワーク、記憶媒体、ディスプレイ及びプリンタ等の外部装置Bから画像データ等の各種データを介して受信し、制御装置11に出力する。画像データは、印刷対象画像C(
図3)及びパッチチャートD(
図5)などの画像を示すラスタデータなどである。なお、制御装置11は、単独の装置により構成されていてもよく、又は、複数の装置が分散配置されていて、それらが協働して印刷装置10の各部を制御するよう構成されていてもよい。
【0020】
記憶装置12は、制御装置11からアクセス可能なメモリであって、RAM及びROMを有し、さらにE2PROM及びNVRAMなどを有していてもよい。記憶装置12は、画像データ、後述の指定色、及び、制御装置11が取得したり変換したりしたデータ、各種データ処理を行うためのプログラム、第2パッチD2に関する情報、及び、入力値と出力値とが対応付けられた変換テーブルなどを記憶している。なお、プログラムは、記憶装置12とは異なる外部の記憶媒体であって且つ制御装置11からアクセス可能な記憶媒体、例えば、CD-ROMなどに記憶されていてもよい。
【0021】
制御装置11は、例えば、CPUなどのプロセッサを含み、さらにASICなどの集積回路を含んでいてもよい。制御装置11は、プログラムを実行することにより印刷装置10の各部を制御し、印刷動作などの各種動作を実行する。なお、各種動作の詳細については後述する。
【0022】
このような制御装置11は、ヘッド駆動回路26を介してヘッド21の駆動素子25に電気的に接続されている。制御装置11は、駆動素子25の制御信号をヘッド駆動回路26に出力し、ヘッド駆動回路26が制御信号に基づいて駆動信号を生成して駆動素子25に出力する。駆動素子25は駆動信号に応じて駆動して、ノズル24からインクが吐出される。
【0023】
また、制御装置11は、搬送駆動回路33を介して搬送装置30の搬送モータ32に電気的に接続され、搬送モータ32の駆動を制御する。これにより、搬送装置30による印刷媒体Aの搬送が制御される。さらに、制御装置11は、移動駆動回路46を介して移動装置40の移動モータ43に電気的に接続され、移動モータ43の駆動を制御する。これにより、移動装置40によるヘッド21の移動が制御される。
【0024】
<測色器、表示装置、入力装置>
印刷装置10は、
図2の例に示すように、印刷部20などに加えて、測色器14、表示装置15及び入力装置16を備えている。制御装置11は、測色器14、表示装置15及び入力装置16に電気的に接続され、これらの駆動を制御する。測色器14は、例えば、分光光度計などであって、パッチチャートDを測色し、その測色値を制御装置11に入力する。測色値は、デバイス非依存の色空間における色座標である色値、例えば、L
*a
*b
*色空間におけるLab値、及び、XYZ色空間におけるXYZ値などで表される。
【0025】
表示装置15は、例えば、ディスプレイなどであって、複数のオブジェクトを含む印刷対象画像Cなどの画像を表示する。入力装置16は、ユーザによって操作されて情報を制御装置11に入力する装置であって、例えば、表示装置15に表示された印刷対象画像Cにおける複数のオブジェクトから指定オブジェクトを制御装置11に入力する。入力装置16は、例えば、キーボタン、マウス、表示装置15と一体化されたタッチパネル、及び、外部装置Bから情報を受信するインターフェース13などが例示される。
【0026】
<印刷動作>
このような印刷装置10において、制御装置11は、印刷対象画像C及びパッチチャートDなどの画像の画像データを取得し、この画像データに基づいて印刷動作を実行する。例えば、制御装置11が、右又は左にヘッド21を移動させながら、ヘッド21からインクを印刷媒体Aに吐出させる。そして、制御装置11は、印刷媒体Aを前方へ搬送させる。このように、印刷装置10は、ヘッド21の移動及びインクの吐出と印刷媒体Aの搬送とを交互に繰り返し、印刷対象画像Cなどの画像を印刷媒体Aにインクにより印刷する印刷動作を進めていく。
【0027】
<印刷対象画像>
図3の例に示すように、印刷対象画像Cは、複数のオブジェクトを含んでいる。オブジェクトは、互いに異なる複数種類のオブジェクトを含んでいてもよい。複数種類のオブジェクトは、例えば、第1オブジェクトC1、第2オブジェクトC2及び第3オブジェクトC3を有している。印刷対象画像Cは、第1オブジェクトC1、第2オブジェクトC2及び第3オブジェクトC3のうち少なくとも2つのオブジェクトを含んでいてもよい。また、印刷対象画像Cは、互いに同じ種類のオブジェクトを、複数、含んでいてもよい。
【0028】
第1オブジェクトC1は記号を含み、記号としては文字、数字及びマークなどが例示される。
図3の例では、複数の記号が並んで配置されている。第2オブジェクトC2は図形を含み、図形としてはグラフなどが例示される。第3オブジェクトC3は、絵画又は写真を含み、例えば、グラデーションを含んでいる。例えば、第1オブジェクトC1を含む色数、第2オブジェクトC2を含む色数、及び、第3オブジェクトC3を含む色数は、この順で多くなる。
【0029】
印刷対象画像Cは、複数の画素により構成されており、画素の色である画像色を含んでいる。印刷対象画像Cにおける複数のオブジェクトのうち、1つ又は複数のオブジェクトが指定オブジェクトとして、入力装置16により入力される。この指定オブジェクトの画像色である指定色は、
図4の例に示すように、重要度と対応付けて、記憶装置12の指定色リストに記憶されている。
【0030】
指定色の重要度は、例えば、指定色の専有面積、指定オブジェクトの指定順、及び、これらの組み合わせなどを含んでいる。指定色の専有面積は、例えば、印刷対象画像Cにおける指定色の画素数である。この場合、指定色の画素数が多いほど、指定色の専有面積が大きく、指定色の重要度が高くなる。また、指定オブジェクトの指定順は、印刷対象画像Cにおいて複数のオブジェクトが指定された場合に、オブジェクトが指定された順番である。この場合、指定順が早いほど、その指定オブジェクトに含まれる指定色の重要度が高くなる。
【0031】
図6の例に示すように、印刷対象画像C及びオブジェクトリストEが表示装置15に表示される。オブジェクトリストEは、印刷対象画像Cに含まれるオブジェクトの一覧表である。例えば、印刷対象画像Cは、1つの第1オブジェクトC1、1つの第2オブジェクトC2及び2つの第3オブジェクトC3を含んでいる。この場合、印刷対象画像CにおけるオブジェクトとオブジェクトリストEにおけるオブジェクトとが、互いに同じ種類の枠で囲まれることにより、お互いに対応付けられて表示装置15に表示される。
【0032】
例えば、印刷対象画像Cにおける第1オブジェクトC1と、オブジェクトリストEにおける第1オブジェクトC1とが、破線の枠で囲まれている。また、印刷対象画像Cにおける第2オブジェクトC2と、オブジェクトリストEにおける第2オブジェクトC2が、一点鎖線の枠で囲まれている。また、印刷対象画像Cにおける1つ目の第3オブジェクトC3と、オブジェクトリストEにおける1つ目の第3オブジェクトC3が、実線の枠で囲まれている。印刷対象画像Cにおける2つ目の第3オブジェクトC3と、オブジェクトリストEにおける2つ目の第3オブジェクトC3が、二重線の枠で囲まれている。
【0033】
ユーザは、入力装置16を用いて、表示装置15に表示されたオブジェクトリストEからオブジェクトを指定する。これによって、入力装置16により指定されたオブジェクトを指定オブジェクトとして制御装置11に入力される。
【0034】
<変換テーブル>
印刷対象画像Cなどの画像の印刷動作に際し、例えば、画像データを印刷装置10により印刷可能な形式に変換する変換テーブルが用いられる。変換テーブルは、例えば、入力値と出力値とが対応付けられたルックアップテーブルであって、記憶装置12に予め記憶されている。出力値は、印刷装置10が備える色材により印刷可能な色であって、所定の色空間における色値、例えば、CMYK色空間におけるCMYK値により規定されている。なお、出力値は、RGB色空間におけるRGB値など、デバイス依存の色空間における色値により規定されていてもよい。
【0035】
入力値は、所定の色空間における色値、例えば、RGB色空間におけるRGB値により規定されている。例えば、入力値は、RGB値(0、0、0)乃至RGB値(255、255、255)の色領域における代表値である。この代表値は、例えば、RGB値のそれぞれについて256階調の色領域を16階調毎に17ステップで区切った色値であって、(256/16+1)3=4913種類の色を有している。このように、色変換テーブルにおいて、複数の入力値が所定の色差毎に設けられている。
【0036】
<パッチチャート>
変換テーブルの色校正のためのパッチチャートDは、
図5の例に示すように第1パッチD1及び第2パッチD2を含んでいる。第1パッチD1は、指定オブジェクトに含まれる色である指定色に基づいたパッチであり、第1色を有している。第2パッチD2は、所定の色に基づいたパッチであり、第2色を有している。
【0037】
パッチは、例えば、矩形状を色票であって、測色器14により測色可能なサイズである。パッチのサイズは、測色器14による分解能に応じて予め定められていてもよい。又は、パッチのサイズは、パッチチャートDに含まれるパッチの数及びパッチチャートDが印刷される印刷媒体Aにおける印刷領域のサイズに応じて定められてもよい。
【0038】
パッチチャートDにおける複数の第1パッチD1の第1色は、互いに異なる色値を有している。第1色は、デバイス依存の色空間における色座標、例えば、RGB色空間におけるRGB値などで表される。第1色は、指定オブジェクトに含まれる指定色のうちの全部又は一部の色である。
【0039】
パッチチャートDにおける複数の第2パッチD2の第2色は、互いに異なる色値を有している。第2色は、デバイス依存の色空間における色座標、例えば、RGB色空間におけるRGB値などで表される。第2色は、例えば、RGB値のそれぞれについて256階調の色領域を32階調毎に9ステップで区切った色値であって、(256/32+1)3=729種類の互いに異なる色を有しており、変換テーブルの入力値のうちの一部と同色である。第2色は記憶装置12に予め記憶されているため、第2パッチD2に関する情報は記憶装置12に記憶されている。
【0040】
パッチチャートDは、第1パッチ領域Da及び第2パッチ領域Dbを有している。第1パッチ領域Daには複数の第1パッチD1が配置され、第2パッチ領域Dbには複数の第2パッチD2が配置されている。例えば、パッチチャートDは、第2パッチ領域Db及び第1パッチ領域Daの2つの領域に区切られていてもよい。この場合、第2パッチ領域Db及び第1パッチ領域Daのそれぞれは1つの閉じられた領域であって、第2パッチ領域Db及び第1パッチ領域Daは左右方向又は前後方向において互いに並んで配置されていてもよい。
【0041】
パッチチャートDは、パッチの数に応じて1枚又は複数枚の印刷媒体Aに印刷される。パッチの数が少ない場合には、
図5の例のように、1枚の印刷媒体Aに第1パッチ領域Da及び第2パッチ領域Dbの両方が納まる。パッチの数が多い場合には、パッチチャートDが複数枚の印刷媒体Aに亘り、複数枚の印刷媒体Aのうち少なくとも1枚の印刷媒体Aに第1パッチ領域Da及び第2パッチ領域Dbが配置される。
【0042】
<印刷装置の制御方法>
印刷装置10の制御方法は、例えば、
図7の制御方法の一例を示すフローチャートに沿って制御装置11により実行される。ここで、制御装置11は、外部装置Bからインターフェース13を介して画像データを受信すると、本フローチャートを実行する。制御装置11は、印刷対象画像Cの画像データを外部装置Bから取得する(ステップS1)。
【0043】
そして、制御装置11は、形状解析など公知の画像処理を印刷対象画像Cの画像データに対して行い、印刷対象画像Cからオブジェクトを抽出する。そして、制御装置11は、印刷対象画像Cにおけるオブジェクトの種類及び位置を画像データに基づいて取得する(ステップS2)。
【0044】
そして、制御装置11は、
図6の例に示すように、印刷対象画像C及びオブジェクトリストEを対応付けて表示装置15に表示する。これに対し、ユーザが入力装置16を用いてオブジェクトリストEからオブジェクトを指定すると、制御装置11は、入力装置16により指定されたオブジェクトを指定オブジェクトとして取得する(ステップS3)。このようにして、1つ又は複数の指定オブジェクトが取得される。
【0045】
続いて、制御装置11は、指定オブジェクトの指定色を取得する(ステップS4)。この指定色の取得は、
図8の例に示すフローチャートに沿って制御装置11により実行される。ここで、制御装置11は、入力装置16により入力された指定オブジェクトが複数か否かを判定する(ステップS11)。指定オブジェクトが複数である場合には(ステップS11:YES)、未処理の指定オブジェクトから1つの指定オブジェクトを選択して(ステップS12)、その選択した指定オブジェクトについてステップS13以降の処理を行う。一方、指定オブジェクトが1つである場合には(ステップS11:NO)、この指定オブジェクトについてステップS13以降の処理を行う。
【0046】
続いて、制御装置11は、指定オブジェクトから1つの指定色を取得し(ステップS13)、この指定色が記憶装置12の指定色リストに既に記憶されているか否かを判定する(ステップS14)。指定色が未だ記憶されていない場合には(ステップS14:NO)、
図4の例に示す指定色リストに指定色を記憶する(ステップS15)。そして、制御装置11は第1取得動作を実行する(ステップS16)。一方、ステップS14の処理にて、指定色が既に記憶されている場合には(ステップS14:YES)、制御装置11は第1取得動作を実行する(ステップS16)。
【0047】
このステップS16の第1取得動作では、制御装置11は、指定色について定められた所定の重要度を取得する。例えば指定色の重要度が専有面積を含む場合には、制御装置11は、指定色の画素数を指定色の専有面積として、1つ増加させて、専有面積に応じた重要度を取得する。そして、制御装置11は、指定色と重要度とを対応付けて記憶装置12に記憶する記憶動作を実行する(ステップS17)。
【0048】
ここで、制御装置11は、指定オブジェクトが複数入力されている場合には、記憶動作にて、複数の指定オブジェクトに含まれる全ての指定色に基づいて重要度を取得して記憶装置12に記憶する。例えば、第2オブジェクトC2及び第3オブジェクトC3が指定オブジェクトであって、互いに同じ指定色(例えば、青色)を含んでいる場合がある。この場合、第2オブジェクトC2に含まれている青色の画素数と第3オブジェクトC3に含まれている青色の画素数との合計数が青色の専有面積として取得される。そして、専有面積が大きいほど重要度が高くなるように重要度が取得される。
【0049】
それから、制御装置11は、指定オブジェクトにおける全ての指定色についてS13以降の処理を行ったか否かを判定する(ステップS18)。ここで、制御装置11は、指定オブジェクトにおける指定色のうちS13以降の処理を行っていない未処理の指定色がある場合には(ステップS18:NO)、ステップS13の処理に戻る。そして、制御装置11は、未処理の指定色のうちの1つの指定色を取得し(ステップS13)、その指定色についてS14~S17の処理を行う。このようにして、指定オブジェクトにおける全ての指定色について順次、S14~S17の処理を行う。
【0050】
制御装置11は、指定オブジェクトにおける全ての指定色について処理を行うと(ステップS18:YES)、印刷対象画像Cにおける全ての指定オブジェクトについて処理を行ったか否かを判定する(ステップS19)。ここで、S13以降の処理を行っていない未処理の指定オブジェクトがある場合には(ステップS19:NO)、制御装置11はステップS12の処理に戻る。そして、制御装置11は、未処理の指定オブジェクトのうちの1つの指定オブジェクトを取得し(ステップS12)、その指定オブジェクトについてS13~S18の処理を行う。このようにして、印刷対象画像Cにおける全ての指定オブジェクトについてS13~S18の処理を行うと(ステップS19:YES)、制御装置11は全ての指定色について指定色リストを取得できたとして、
図7の例の処理に戻る。
【0051】
続いて、制御装置11は、ステップS4で取得した指定色から第1パッチD1の第1色を取得する(ステップS5)。この第1色の取得は、
図9の例に示すフローチャートに沿って制御装置11により実行される。つまり、指定色が多い場合、指定色に基づいた第1色の第1パッチD1の数が増え、第1パッチD1を含むパッチチャートDの印刷面積が印刷媒体Aの印刷可能面積を超える場合がある。このため、指定色が少ない場合には指定色リストの全部の指定色を第1色として取得するが、指定色が多い場合には指定色リストの一部の指定色を第1色として取得する。
【0052】
このため、まず、制御装置11は、指定色リストから1つの指定色を取得する(ステップS21)。そして、制御装置11は、パッチリストへの第1色の追加可能数が1以上であるか否かを判定する(ステップS22)。パッチリストは、パッチチャートDに配置される第1パッチD1の第1色、及び、第1色の重要度の一覧表である。
【0053】
第1色の追加可能数は、印刷媒体Aに印刷されるパッチチャートDに配置可能な第1パッチD1の数、つまり、第1パッチD1の配置可能数に対応する。第1色の追加可能数の初期値は、所定枚数(例えば、1枚)の印刷媒体Aに印刷されるパッチチャートDにおける第1パッチD1の配置可能数である。例えば、第1パッチD1の配置可能数は、第1パッチ領域Daの面積を第1パッチD1の面積で割った商である。パッチチャートDを印刷可能な印刷媒体Aの枚数が多いほど、パッチチャートDにおける第1パッチD1の配置可能数が増え、第1パッチD1の第1色の追加可能数が増える。1枚の印刷媒体Aにおける第1パッチD1の配置可能数、つまり、第1色の追加可能数は、印刷媒体Aの印刷面積、第1パッチD1及び第2パッチD2の面積、並びに、第2パッチD2の数に基づいて定められる。これらは、予め定められていてもよいし、また、ユーザにより入力されてもよい。
【0054】
制御装置11は、第1色の追加可能数が1以上であれば(ステップS22:YES)、指定色を第1色としてパッチリストに追加する(ステップS23)。また、制御装置11は、指定色の重要度を第1色の重要度として指定色リストから取得し、その重要度を第1色と対応付けてパッチリストに追加する。そして、制御装置11は、追加可能数を1減算し(ステップS24)、指定色リストにおける全ての指定色について処理を行ったか否かを判定する(ステップS25)。ここで、指定色リストにおける全ての指定色について処理を行えば(ステップS25:YES)、制御装置11は
図7のステップS5の処理に戻る。
【0055】
一方、ステップS25にて、未処理の指定色が指定色リストに残っていれば(ステップS25:NO)、制御装置11は、指定色を指定色リストから取得して(ステップS21)、その指定色についてステップS22以降の処理を繰り返す。これを繰り返すことにより、パッチリストにおける第1色の数、つまり、第1パッチD1の数が、例えば、1枚目の印刷媒体AにおけるパッチチャートDへの第1パッチD1の配置可能数に達する。これにより、第1色の追加可能数が1未満になる(ステップS22:NO)。
【0056】
そして、制御装置11は、パッチチャートDが印刷される印刷媒体Aの枚数である印刷枚数を受け付ける受付動作を実行する(ステップS26)。この受付動作では、制御装置11は、パッチチャートDが印刷される印刷媒体Aを追加可能であるか、又は、パッチチャートDが印刷される印刷媒体Aの追加枚数を、ユーザにより入力装置16を用いて入力させてもよい。そして、印刷媒体Aを追加可能であると入力された場合、又は、印刷媒体Aの追加枚数が1以上である場合、制御装置11は、印刷枚数を追加可能であるか否かを判定する(ステップS27)。
【0057】
ここで、制御装置11は、印刷枚数を追加可能であると判定した場合(ステップS27:YES)印刷媒体Aの枚数に応じてパッチチャートDに配置可能な第1パッチD1の数を取得する第2取得動作を実行する(ステップS28)。例えば、印刷媒体Aを追加可能であるとユーザに入力された場合には、制御装置11は、追加される1枚の印刷媒体Aにおける第1パッチD1の配置可能数を取得する。また、印刷媒体Aの追加枚数がユーザに入力された場合には、制御装置11は追加枚数の印刷媒体Aにおける第1パッチD1の配置可能数を取得する。そして、制御装置11は、第1パッチD1の配置可能数を第1色の追加可能数として、この追加可能数を現在の追加可能数に加算する(ステップS29)。そして、制御装置11は、指定色を第1色として重要度と共にパッチリストに追加し(ステップS23)、追加可能数を1減算する(ステップS24)。
【0058】
一方、ステップS27にて、パッチチャートDが印刷される印刷媒体Aを追加可能でないと入力された場合、又は、パッチチャートDが印刷される印刷媒体Aの追加枚数が0である場合、制御装置11は、印刷枚数を追加可能でないと判定する(ステップS27:NO)。そして、制御装置11は、S21で取得した指定色の重要度を指定色リストから取得し、この指定色の重要度をパッチリストにおける最低重要度と比較する(ステップS30)。
【0059】
指定色の重要度が最低重要度よりも高ければ(ステップS30:YES)、制御装置11は、指定色の数がパッチチャートDにおける第1パッチD1の配置可能数よりも多い場合、重要度が低い指定色を削減する第1削減動作を実行する(ステップS31)。この第1削減動作では、制御装置11は、指定色の重要度よりも低い最低重要度の指定色を、パッチリストから削除する。そして、制御装置11は、指定色を第1色とし、重要度と共にパッチリストに追加する(ステップS32)。
【0060】
一方、ステップS30にて、指定色の重要度が最低重要度よりも高くなければ(ステップS30:NO)、制御装置11は第1削減動作を実行する(ステップS33)。第1削減動作では、制御装置11は、パッチリストにおける最低重要度よりも低い重要度の指定色を、パッチリストに追加せずに削除する。
【0061】
そして、制御装置11は、指定色リストにおける全ての指定色について処理を行ったか否かを判定する(ステップS34)。ここで、未処理の指定色が指定色リストに残っていれば(ステップS34:NO)、制御装置11は、指定色を指定色リストから取得して(ステップS35)、その指定色についてステップS30以降の処理を繰り返す。一方、制御装置11は、指定色リストにおける全ての指定色について処理を行えば(ステップS34:YES)、
図7の例の処理に戻る。
【0062】
このようにして、制御装置11は、第1色を取得できれば(ステップS5)、パッチチャートDを作成する(ステップS6)。ここで、制御装置11は、第1色をパッチリストから取得する。また、制御装置11は、記憶装置12に予め記憶されている所定の色を第2色として取得する。そして、制御装置11は、第1色の第1パッチD1及び第2色の第2パッチD2を含むパッチチャートDの画像データを生成する。
【0063】
ここで、制御装置11は、パッチチャートDにおいて、第1色の重要度の順に第1パッチD1を配置してもよい。これにより、第1パッチD1は、印刷対象画像Cにおいて重要度が高い順にパッチチャートDに配置される。例えば、前後方向に並ぶ第1パッチD1の列では、重要度が高い第1パッチD1から順に後から前に並ぶ。また、第1パッチD1の列は、重要度が高い第1パッチD1の列から順に左から右に並ぶ。
【0064】
続いて、制御装置11は、指定オブジェクトに含まれる色である指定色に基づいた第1パッチD1と、所定の色に基づいた第2パッチD2とを含むパッチチャートDを印刷媒体Aに印刷部20により印刷する印刷動作を実行する(ステップS7)。印刷動作では、制御装置11は、パッチチャートDの画像データに基づいてパッチチャートDを印刷媒体Aに印刷する。ここで、画像データの色値がRGB値により規定されている場合には、制御装置11は画像データを変換テーブルにより変換し、その変換された画像データに基づいてパッチチャートDを印刷媒体Aに印刷する。
【0065】
続いて、制御装置11は、印刷媒体Aに印刷されたパッチチャートDの第1パッチD1及び第2パッチD2を測色器14により測色させる測色動作を実行する(ステップS8)。制御装置11は、測色動作による第1パッチD1及び第2パッチD2のそれぞれの測色値を取得する。そして、制御装置11は、第1パッチD1の測色値のLab値と第1色のRGB値とを対応付け、第2パッチD2の測色値のLab値と第2色のRGB値とを対応付けて、パッチ情報として記憶装置12に記憶する。
【0066】
続いて、制御装置11は、測色動作により測色された色に基づいて変換テーブルを色校正する色校正動作を実行する(ステップS9)。この色校正動作では、制御装置11は、パッチ情報に基づいて変換テーブルの出力値を校正することにより、色校正された変換テーブルを記憶装置12に記憶する。ステップS9の後に続けて、色校正された変換テーブルを用いて印刷対象画像Cの印刷を行ってもよい。この場合、制御装置11は、この色校正された変換テーブルを用いて印刷対象画像Cの画像データを変換し、変換された画像データに基づいて印刷対象画像Cを印刷媒体Aに印刷する。これにより、印刷された印刷対象画像Cは、ユーザによって入力された指定オブジェクトの指定色により色校正される。このように、ユーザによりオブジェクトを指定することにより、その指定オブジェクトの指定色に基づいた色校正が行われるため、ユーザの意図に沿った色校正をより適切に行うことができる。
【0067】
<変形例1>
変形例1に係る印刷装置10では、実施の形態1において、制御装置11は、指定色の数がパッチチャートDにおける第1パッチD1の配置可能数よりも多い場合、指定オブジェクトを構成する画素数を元の画素数よりも減らし、画素数が減らされた後の指定オブジェクトに含まれる色を指定色とすることで、指定色の数を削減する第2削減動作を実行する。
【0068】
例えば、この第2削減動作は、
図10の例のフローチャートに示すように実行される。この
図10のフローチャートでは、ステップS41及びS42の処理が
図8のフローチャートにおけるステップS11の処理の前に実行される。
【0069】
具体的には、制御装置11は、指定オブジェクトが第3オブジェクトC3を含むか否かを判定する(ステップS41)。第3オブジェクトC3は、絵画又は写真であって、通常、第1オブジェクトC1及び第2オブジェクトC2よりも多くの画像色を含んでいる。このため、指定オブジェクトが第3オブジェクトC3を含む場合(ステップS41:YES)、指定色の数がパッチチャートDにおける第1パッチD1の配置可能数よりも多いとして、制御装置11は第2削減動作を実行する(ステップS42)。
【0070】
第2削減動作としては、例えば、制御装置11は、印刷対象画像Cの画像データのサイズを縮小する。これにより、印刷対象画像Cにおける縮小後の画素数が縮小前の元の画素数よりも減る。よって、縮小後の画素の色である画像色の数が縮小前の画像色の数よりも減り、縮小後の指定色の数が縮小前の指定色の数よりも減る。このようにして、指定色の数が削減される。この削減により残った指定色について、制御装置11は、ステップS11以降の処理を実行する。
【0071】
一方、ステップS41において、指定オブジェクトが第3オブジェクトC3を含まない場合(ステップS41:NO)、制御装置11は、第2削減動作を実行せずに、ステップS3で取得された指定オブジェクトの指定色に、ステップS11以降の処理を実行する。よって、ユーザにより指定された指定オブジェクトに対し第2削減動作を実行することにより、処理時間の短縮化を図りつつ、ユーザの意図に沿った色校正をより適切に行うことができる。
【0072】
なお、第2削減動作は、印刷対象画像Cの画像データのサイズを縮小する方法に限定されない。例えば、第2削減動作では、制御装置11は、印刷対象画像Cの解像度を低下させる。これにより、印刷対象画像Cにおける低下後の画素数が低下前の元の画素数よりも減る。よって、低下後の画素の色である画像色の数が低下前の画像色の数よりも減り、低下後の指定色の数が低下前の指定色の数よりも減る。このようにして、指定色が削減される。
【0073】
また、ステップS41とステップS42との間において、制御装置11は受付動作及び第2取得動作を実行してもよい。この場合、制御装置11は、指定オブジェクトが第3オブジェクトC3を含む場合(ステップS41:YES)、パッチチャートDが印刷される印刷媒体Aの枚数を受け付け、印刷媒体Aの枚数に応じてパッチチャートDにおける第1パッチD1の配置可能数を取得する。そして、制御装置11は、指定オブジェクトの指定色の数を画像データに基づいて取得し、指定色の数が第1パッチD1の配置可能数よりも多い場合、第2削減動作を実行する(ステップS42)。なお、制御装置11は、ステップS41の処理に代えて受付動作及び第2取得動作を実行してから、ステップS42の処理を実行してもよい。
【0074】
<変形例2>
変形例2に係る印刷装置10は、実施の形態1及び変形例1において、色変換テーブルを記憶する記憶装置12を備える。色変換テーブルは、所定の色差毎に設けられた複数の入力値を有している。制御装置11は、指定色の数がパッチチャートDに配置可能な第1パッチD1の数よりも多く、且つ、所定の色差を空けて設けられた2つの入力値の間に複数の指定色がある場合、複数の指定色のうち、2つの入力値の中間値G3に最も近い指定色以外の指定色を削除することで、指定色の数を削減する第3削減動作を実行する。
【0075】
例えば、第3削減動作は、
図11の例のフローチャートに示すように実行される。この
図11のフローチャートでは、
図10のフローチャートにおいてステップS42に代えてステップS43の処理が実行される。なお、ステップS41の後に、ステップS42及びステップS43の処理が実行されてもよい。
【0076】
具体的には、制御装置11は、指定オブジェクトが第3オブジェクトC3を含むか否かを判定する(ステップS41)。指定オブジェクトが第3オブジェクトC3を含む場合(ステップS41:YES)、指定色の数がパッチチャートDに配置可能な第1パッチD1の数よりも多いとして、制御装置11は第3削減動作を実行する(ステップS43)。
【0077】
例えば、色変換テーブルにおける複数の入力値は、所定の色差を空けて設けられている。また、絵画又は写真などの第3オブジェクトC3は、グラデーションを有している場合が多い。このような場合、第3オブジェクトC3は、所定の色差よりも小さい色差の複数の指定色を有している。このため、第3オブジェクトC3における複数の指定色が、所定の色差を空けて互いに隣接する2つの入力値の間に位置することがある。
【0078】
図12の例では、第1指定色F1及び第2指定色F2が、所定の色差Hを空けて設けられた第1入力値G1と第2入力値G2との間に位置している。この場合、制御装置11は、第1入力値G1及び第2入力値G2を変換テーブルから取得し、第1入力値G1及び第2入力値G2の中間値G3を取得する。そして、制御装置11は、第1指定色F1及び第2指定色F2を印刷対象画像Cの画像データから取得し、中間値G3と第1指定色F1との第1色差H1及び中間値G3と第2指定色F2との第2色差H2を取得する。そして、制御装置11は、第1色差H1が第2色差H2より短いため、第1指定色F1が第2指定色F2よりも中間値G3に近いとして、第1指定色F1を指定色として残して第2指定色F2を指定色から削除する。このようにして、指定色の数が削減される。
【0079】
この削減により残った指定色について、制御装置11は、ステップS11以降の処理を実行する。また、指定オブジェクトが第3オブジェクトC3を含まない場合(ステップS41:NO)、制御装置11は、第3削減動作を実行せずに、ステップS3で取得された指定オブジェクトの指定色に、ステップS11以降の処理を実行する。よって、ユーザにより指定された指定オブジェクトに対し第3削減動作を実行することにより、処理時間の短縮化を図りつつ、ユーザの意図に沿った色校正をより適切に行うことができる。
【0080】
なお、ステップS41とステップS43との間において、制御装置11は受付動作及び第2取得動作を実行してもよい。この場合、制御装置11は、指定オブジェクトが第3オブジェクトC3を含む場合(ステップS41:YES)、パッチチャートDが印刷される印刷媒体Aの枚数を受け付け、印刷媒体Aの枚数に応じてパッチチャートDにおける第1パッチD1の配置可能数を取得する。そして、制御装置11は、指定オブジェクトの指定色の数を画像データに基づいて取得し、指定色の数が第1パッチD1の配置可能数よりも多い場合、第3削減動作を実行する(ステップS43)。なお、制御装置11は、ステップS41の処理に代えて受付動作及び第2取得動作を実行してから、ステップS43の処理を実行してもよい。
【0081】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る印刷装置10では、オブジェクトは、互いに異なる複数種類のオブジェクトを含んでいる。制御装置11は、オブジェクトの種類に基づいてパッチチャートDにおける第1パッチD1の上限数を取得する第3取得動作を実行する。ここで、パッチチャートDにおける第1パッチD1の上限数は、オブジェクトの種類に基づいて異なっていてもよい。
【0082】
例えば、複数種類のオブジェクトは、記号を含む第1オブジェクトC1、及び、図形を含む第2オブジェクトC2を有している。パッチチャートDにおいて、第2オブジェクトC2に関する第1パッチD1の上限数は、第1オブジェクトC1に関する第1パッチD1の上限数よりも多い。
【0083】
また、複数種類のオブジェクトは、図形を含む第2オブジェクトC2、及び、絵画又は写真を含む第3オブジェクトC3を有している。パッチチャートDにおいて、第3オブジェクトC3に関する第1パッチD1の上限数は、第2オブジェクトC2に関する第1パッチD1の上限数よりも多い。
【0084】
具体的には、実施の形態2に係る印刷装置10では、
図13の例のフローチャートに沿って制御装置11により制御される。この
図13のフローチャートでは、
図7のフローチャートにおけるステップS4~S6の処理に代えて、ステップS4′~S6′の処理が実行される。また、
図13のフローチャートでは、ステップS3の処理とステップS4′の処理の間において、ステップS51~S55の処理が実行される。
【0085】
この
図13の例のフローチャートにおいて、制御装置11は、印刷対象画像Cの画像データを外部装置Bから取得する(ステップS1)。そして、制御装置11は、印刷対象画像Cの画像データに対して公知の画像処理を行い、印刷対象画像Cからオブジェクト及びその種類を取得する(ステップS2)。そして、制御装置11は、入力装置16により指定されたオブジェクトを指定オブジェクトとして取得する(ステップS3)。
【0086】
続いて、制御装置11は第3取得動作を実行する(ステップS51)。この第3取得動作において、制御装置11は、ステップS3にて取得した指定オブジェクトの種類に応じた第1パッチD1の上限数を取得する。この指定オブジェクトの種類と第1パッチD1の上限数との対応関係は記憶装置12に予め記憶されている。第1パッチD1の上限数は、第1オブジェクトC1、第2オブジェクトC2及び第3オブジェクトC3の順で多くなる。例えば、第1オブジェクトC1に関する第1パッチD1の上限数は1であり、第2オブジェクトC2に関する第1パッチD1の上限数は5であり、第3オブジェクトC3に関する第1パッチD1の上限数は30である。
【0087】
続いて、制御装置11は、印刷対象画像Cにおける全ての指定オブジェクトに関する第1パッチD1の上限数の合計値である上限総数を取得する。
図6の例では、印刷対象画像Cにおける1つの第1オブジェクトC1、1つの第2オブジェクトC2及び2つの第3オブジェクトC3が指定オブジェクトして入力されている。この場合、1つの第1オブジェクトC1に関する第1パッチD1の上限数の1、1つの第2オブジェクトC2に関する第1パッチD1の上限数の5、及び、2つの第3オブジェクトC3に関する第1パッチD1の上限数の30×2=60を合計した66が、第1パッチD1の上限総数となる。
【0088】
そして、制御装置11は、第1パッチD1の上限総数とパッチチャートDにおける第1パッチD1の配置可能数とを比較する(ステップS52)。第1パッチD1の配置可能数は、所定枚数(例えば、1枚)の印刷媒体AにおけるパッチチャートDに配置可能な第1パッチD1の数である。第1パッチD1の上限総数が配置可能数より多い場合には(ステップS52:NO)、制御装置11は、上限総数が配置可能数以下になるように、パッチチャートDが印刷される印刷媒体Aの枚数である印刷枚数を追加する(ステップS53)。
【0089】
続いて、第1パッチD1の上限総数が配置可能数以下である場合(ステップS52:YES)、制御装置11は、第1オブジェクトC1の第1パッチD1、第2オブジェクトC2の第1パッチD1及び、2つの第3オブジェクトC3の第1パッチD1について、パッチチャートDにおける配置を割り当てる(ステップS54)。ここで、各印刷媒体Aにおける第1パッチD1の配置可能数以下であって、且つ、複数の印刷媒体Aにおけるパッチの数が互いに等しい又は近くなるように、制御装置11は第1パッチD1の配置を割り当ててもよい。
【0090】
例えば、
図6の例に関するパッチチャートDを2枚の印刷媒体Aに印刷する場合、制御装置11は、1つ目の第3オブジェクトC3に関する30個の第1パッチD1を1枚目の印刷媒体Aに割り当て、2つ目の第3オブジェクトC3に関する30個の第1パッチD1、第2オブジェクトC2に関する5個の第1パッチD1、第1オブジェクトC1に関する1個の第1パッチD1を2枚目の印刷媒体Aに割り当てる。
【0091】
続いて、制御装置11は、印刷媒体Aにおけるパッチの配置に応じて処理の順序を決定する(ステップS55)。例えば、制御装置11は、1枚目の印刷媒体Aに配置されるパッチの処理と、2枚目の印刷媒体Aに配置されるパッチの処理とを並行して実行する。
【0092】
図6の例では、1枚目の印刷媒体Aに1つ目の第3オブジェクトC3に関する第1パッチD1及び、第2パッチD2が配置される。このため、制御装置11は、1枚目の印刷媒体Aにおける第1パッチD1及び第2パッチD2の配置順に従って、第1パッチD1及び第2パッチD2のステップS4′~S6′の処理の順序を決定する。また、2枚目の印刷媒体Aに2つ目の第3オブジェクトC3、第2オブジェクトC2及び第1オブジェクトC1に関する第1パッチD1が配置される。このため、制御装置11は、2枚目の印刷媒体Aにおける2つ目の第3オブジェクトC3、第2オブジェクトC2及び第1オブジェクトC1に関する第1パッチD1の配置順に従って、2つ目の第3オブジェクトC3、第2オブジェクトC2及び第1オブジェクトC1に関する第1パッチD1のステップS4′~S6′の処理の順序を決定する。このように、複数の印刷媒体Aに配置されるパッチの処理が並行して実行されることにより、処理時間の短縮化が図られる。
【0093】
そして、制御装置11は、指定オブジェクトの第1オブジェクトC1について指定色を取得する(ステップS4′)。この指定色の取得は、
図14の例に示すフローチャートに沿って制御装置11により実行される。ここで、指定オブジェクト毎にステップS4′の処理が実行されるため、指定オブジェクトの数に関する
図8のフローチャートにおけるステップS11、S12及びS19の処理がこの
図14のフローチャートでは省略される。制御装置11は、
図14のステップS13~S18の処理を実行することにより、指定オブジェクトの指定色及び重要度を対応付けた指定色リストを取得する。
【0094】
続いて、制御装置11は、
図13のステップS4′で取得した指定オブジェクトの指定色から第1パッチD1の第1色を取得する(ステップS5′)。この第1色の取得は、
図15の例に示すフローチャートに沿って制御装置11により実行される。ここで、第1パッチD1の上限数は第3取得動作にて取得されているため、この上限数に対応する第1色の追加可能数に関する
図9のフローチャートにおけるステップS26~S29の処理が
図15のフローチャートでは省略される。また、ステップS22の処理における追加可能数の初期値は、第3取得動作にて取得された第1パッチD1の上限数である。そして、制御装置11は、
図15のステップS21~S25及びステップS30~S35の処理を実行することにより、第1色のパッチリストを取得する。
【0095】
このようにして、制御装置11は、ステップS5′で取得した第1色に基づいてパッチチャートDを作成する(ステップS6′)。ここで、制御装置11は、1枚目の印刷媒体Aに配置されるパッチチャートDに、ステップS5′で取得した1つ目の第3オブジェクトC3に関する第1色の第1パッチD1、及び、記憶装置12から取得した第2色の第2パッチD2を配置するように、パッチチャートDの画像データを生成する。また、制御装置11は、2枚目の印刷媒体Aに配置されるパッチチャートDに、ステップS5′で取得した2つ目の第3オブジェクトC3、第2オブジェクトC2及び第1オブジェクトC1に関する第1色の第1パッチD1を配置するように、パッチチャートDの画像データを生成する。
【0096】
また、制御装置11は、パッチチャートDにおいて、各オブジェクトの第1パッチD1を第1色の重要度の順に配置してもよい。例えば、2枚目の印刷媒体Aには30個の第3オブジェクトC3の第1パッチD1及び5個の第2オブジェクトC2の第1パッチD1が配置される。この30個の第3オブジェクトC3の第1パッチD1が重要度順に並び、5個の第2オブジェクトC2の第1パッチD1が重要度順に並んでもよい。
【0097】
続いて、制御装置11は、印刷動作にて、パッチチャートDを印刷媒体AにパッチチャートDの画像データに基づいて印刷する(ステップS7)。そして、制御装置11は、測色動作にて、印刷媒体Aに印刷されたパッチチャートDの第1パッチD1及び第2パッチD2を測色器14により測色する(ステップS8)。続いて、制御装置11は、色校正動作にて、第1パッチD1及び第2パッチD2の測色値に基づいて変換テーブルを色校正する(ステップS9)。このように、ユーザによりオブジェクトを指定することにより、その指定オブジェクトの指定色に基づいた色校正が行われるため、ユーザの意図に沿った色校正をより適切に行うことができる。また、オブジェクトに関する第1パッチD1の上限数を用いることにより、複数の指定オブジェクトの処理を並行して実行されるため、処理を迅速に実施することができる。
【0098】
なお、実施の形態2に係る印刷装置10において、変形例1のように、第2削減動作を実行してもよい。また、実施の形態2に係る印刷装置10において、変形例2のように、第3削減動作を実行してもよい。
【0099】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る印刷システム100は、
図16の例に示すように、情報処理装置101及び印刷装置102を備える印刷システム100である。情報処理装置101は、複数のオブジェクトを含む印刷対象画像Cを表示する表示装置115と、表示装置115に表示された印刷対象画像Cにおける複数のオブジェクトから指定オブジェクトを入力する入力装置116と、入力装置116に入力された指定オブジェクトに関する情報を印刷装置102に送信する送信装置103と、を備えている。印刷装置102は、印刷対象画像Cを印刷媒体Aに印刷する印刷部120と、送信装置103から送信された指定オブジェクトに関する情報を受信する受信装置104と、制御装置111と、を備えている。制御装置111は、指定オブジェクトに含まれる色である指定色に基づいた第1パッチD1と、所定の色に基づいた第2パッチD2とを含むパッチチャートDを印刷媒体Aに印刷部120により印刷する印刷動作を実行する。
【0100】
また、情報処理装置101は、例えば、パーソナルコンピュータであって、表示装置115、入力装置116及び送信装置103に加えて、制御部105及び記憶部106を備えている。制御部105は、CPUなどのプロセッサを含み、記憶部106に記憶されているプログラムを実行することにより、表示装置115、入力装置116及び送信装置103を制御する。記憶部106は、ROM及びRAMなどのメモリである。送信装置103は、例えば、ネットワークなどを介して受信装置104に情報を送信可能なインターフェースであって、このインターフェースは送信機能に加えて受信機能を有していてもよい。
【0101】
印刷装置102は、印刷部120、受信装置104及び制御装置111に加えて、インターフェース113、記憶装置112及び測色器114を備えている。印刷装置102の受信装置104は、例えば、ネットワークなどを介して送信装置103からの情報を受信可能なインターフェースであって、このインターフェースは受信機能に加えて送信機能を有していてもよい。この受信装置104は、外部装置Bと通信可能なインターフェース113により構成されていてもよい。
【0102】
なお、印刷システム100の制御装置111、記憶装置112、インターフェース113、測色器114、表示装置115、入力装置116及び印刷部120についての構成は、印刷装置10の制御装置11、記憶装置12、インターフェース13、測色器14、表示装置15、入力装置16及び印刷部20についての構成とそれぞれ同一又は同様である。印刷システム100におけるこれらの構成は、これに対応する印刷装置10の構成の参照符号に100を足した参照符号により表される。また、印刷システム100についても、印刷装置10と同様に、
図7~
図11及び
図13~
図15の例のフローチャートに沿った制御方法が制御装置111及び制御部105により実行される。
【0103】
<その他の変形例>
上記実施の形態では、印刷装置10としてインクジェットプリンタを例に挙げたが、印刷装置10はこれに限られない。印刷装置10はレーザープリンタやサーマルプリンタ等の他のプリンタであってもよい。レーザープリンタは印刷部を備える。レーザープリンタの印刷部は、感光ドラムや感光体ベルト等の像担持体と、像担持体を接触又は非接触で帯電させる帯電部と、レーザー半導体等を用いて帯電された像担持体に静電潜像を形成する(いわゆる露光)露光部と、静電潜像が形成された像担持体にトナーを供給するトナーカートリッジや現像カートリッジと、像担持体上で現像されたトナー像を直接、印刷媒体に転写する転写ローラや転写ベルト等の転写部と、印刷媒体に転写されたトナーを熱定着させる定着ローラや定着ベルト等の定着部とを備える。上述のダイレクトタンデム方式のレーザープリンタに限らず、中間転写方式のレーザープリンタであってもよく、像担持体上で現像されたトナー像を中間転写ベルトに転写した後、転写部を用いて中間転写ベルトから印刷媒体に転写する。また、サーマルプリンタは印刷部を備える。サーマルプリンタの印刷部は、サーマルヘッドと、インクリボンとを備える。サーマルヘッドは、インクリボンと接触しており、インクリボンのインクを印刷媒体に転写させるときに、対応する発熱素子を発熱させることで、インクリボンのインクを印刷媒体に転写させる。
【0104】
上記実施の形態では、印刷装置10はシリアルヘッド方式であったが、これに限られない。例えば、印刷装置10はラインヘッド方式であってもよい。この場合、印刷装置10は移動装置40を備えずに、ヘッド21の長さは左右方向において印刷媒体Aの長さよりも長い寸法を有している。
【0105】
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。また、上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、ユーザの意図に沿った色校正をより適切に行うことができる印刷装置、印刷装置の制御方法、プログラム及び印刷システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0107】
10 :印刷装置
11 :制御装置
12 :記憶装置
15 :表示装置
16 :入力装置
20 :印刷部
100 :印刷システム
101 :情報処理装置
102 :印刷装置
103 :送信装置
104 :受信装置
111 :制御装置
112 :記憶装置
115 :表示装置
116 :入力装置
120 :印刷部