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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163622
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】プレス成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 22/26 20060101AFI20241115BHJP
   B21D 22/22 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B21D22/26 C
B21D22/22
B21D22/26 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079397
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】仲村 宗起
(72)【発明者】
【氏名】木村 高行
【テーマコード(参考)】
4E137
【Fターム(参考)】
4E137AA06
4E137AA08
4E137BA01
4E137BA05
4E137BB01
4E137BC01
4E137CA09
4E137CA24
4E137CB01
4E137DA14
4E137EA02
4E137EA03
4E137FA03
4E137FA24
4E137GA15
4E137GA16
4E137GB03
4E137HA07
(57)【要約】
【課題】プレス成形品の製造方法において、しわと割れの両方を抑制する。
【解決手段】プレス成形品の製造方法は、ダイス130、ホルダ120、パッド140、およびパンチ110を含む金型100と、金属製の平板である板材1とを準備し、ダイス130およびホルダ120によって第1保持力で板材1の周縁部10を挟み込むことによってしわ押さえを実行し、パッド140およびパンチ110によって板材1を挟み込むことによって中間形状に成形する第1プレス成形を実行し、パッド140、パンチ110、およびダイス130によって中間形状に成形された板材1を挟み込むことによってプレス成形品1としての完成形状に成形する第2プレス成形を実行することを含み、板材1の成形過程で第1保持力を第1保持力よりも低い第2保持力まで低下させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイス、ホルダ、パッド、およびパンチを含む金型と、金属製の平板である板材とを準備し、
前記ダイスおよび前記ホルダによって第1保持力で前記板材の周縁部を挟み込むことによってしわ押さえを実行し、
前記パッドおよび前記パンチによって前記板材を挟み込むことによって中間形状に成形する第1プレス成形を実行し、
前記パッド、前記パンチ、および前記ダイスによって中間形状に成形された前記板材を挟み込むことによってプレス成形品としての完成形状に成形する第2プレス成形を実行する
ことを含み、
前記板材の成形過程で前記第1保持力を前記第1保持力よりも低い第2保持力まで低下させる、プレス成形品の製造方法。
【請求項2】
前記板材は、アルミニウム合金製である、請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
【請求項3】
前記第1プレス成形中の前記しわ押さえを前記第1保持力で実行し、前記第2プレス成形中の前記しわ押さえを前記第2保持力で実行する、請求項1または2に記載のプレス成形品の製造方法。
【請求項4】
前記中間形状は、少なくとも1段の段差形状を含み、
前記完成形状は、前記中間形状よりも多くの段の段差形状を含む、請求項1または2に記載のプレス成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のサイドドアインナーまたはバックドアインナーのような複雑な形状を有するプレス成形品では、強度および重量の観点から高張力鋼板またはアルミ板のような金属板が使用されることがある。そのような金属板は軟鋼板に比べると成形性が低く、プレス成形においてしわや割れが問題となる。
【0003】
特許文献1では、中間成形品を成形する工程と中間成形品を最終のパネル状成形品に成形する工程とを含むパネル状成形品の製造方法が開示されている。このような2段階の成形によって、段差部のような成形難易度の高い形状を成形している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6662142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プレス成形では、しわや割れに影響を与える成形条件として、金属板の周縁部を保持する保持力がある。このような金属板の周縁部の保持は、しわ押さえともいわれる。しわ押さえにおいて、しわを発生させないような大きい保持力では割れが発生するおそれがあり、割れを発生させないような小さい保持力ではしわが発生するおそれがある。特許文献1では、このような保持力に言及されておらず、保持力の調整によってしわや割れを抑制する観点から改善の余地がある。
【0006】
本発明は、プレス成形品の製造方法において、しわと割れの両方を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ダイス、ホルダ、パッド、およびパンチを含む金型と、金属製の平板である板材とを準備し、前記ダイスおよび前記ホルダによって第1保持力で前記板材の周縁部を挟み込むことによってしわ押さえを実行し、前記パッドおよび前記パンチによって前記板材を挟み込むことによって中間形状に成形する第1プレス成形を実行し、前記パッド、前記パンチ、および前記ダイスによって中間形状に成形された前記板材を挟み込むことによってプレス成形品としての完成形状に成形する第2プレス成形を実行することを含み、前記板材の成形過程で前記第1保持力を前記第1保持力よりも低い第2保持力まで低下させる、プレス成形品の製造方法を提供する。
【0008】
この構成によれば、第1プレス成形および第2プレス成形を含む少なくとも2段階のプレス成形によって複雑な形状のプレス成形品を高い寸法精度で製造できるともに、成形過程においてしわ押さえの保持力を低下させることでしわと割れの両方を抑制できる。具体的には、成形初期においては相対的に高い第1保持力でしわ押さえを実行することによってしわを抑制し、成形後期においては相対的に低い第2保持力でしわ押さえを実行することによって割れを抑制できる。
【0009】
前記板材は、アルミニウム合金製であってもよい。
【0010】
この構成によれば、アルミニウム合金のような成形性の低い材料(即ち成形難易度の高い材料)に対してしわと割れの両方を抑制できる。アルミニウム合金は、4000系、5000系、または6000系であってもよい。
【0011】
前記第1プレス成形中の前記しわ押さえを前記第1保持力で実行してもよく、前記第2プレス成形中の前記しわ押さえを前記第2保持力で実行してもよい。
【0012】
この構成によれば、しわが発生しやすい成形初期の第1プレス成形において相対的に高い保持力(第1保持力)を維持することで、中間形状のしわを抑制できるとともに中間成形品を安定して製造できる。また、割れが発生しやすい成形後期の第2プレス成形において相対的に低い保持力(第2保持力)を維持することで、完成形状のしわと割れの両方を抑制できるとともにプレス成形品を安定して実現できる。
【0013】
前記中間形状は、少なくとも1段の段差形状を含んでもよく、前記完成形状は、前記中間形状よりも多くの段の段差形状を含んでもよい。
【0014】
この構成によれば、しわや割れの問題が顕在化しやすい多段形状を有するプレス成形品をしわと割れの両方を抑制しながら実現できる。また、第1プレス成形と第2プレス成形とに分けて段差形状を成形するため、多段形状を有するプレス成形品を高い寸法精度で製造できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プレス成形品の製造方法において、しわと割れの両方を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】プレス成形品の斜視図。
図2】板材と金型の分解斜視図。
図3】一実施形態に係るプレス成形品の製造方法の第1工程を示す断面図。
図4】一実施形態に係るプレス成形品の製造方法の第2工程を示す断面図。
図5】一実施形態に係るプレス成形品の製造方法の第3工程を示す断面図。
図6】しわ押さえの保持力の変化を示すグラフ。
図7図1のプレス成形品の破線円VIIで示す部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0018】
本発明の一実施形態に係るプレス成形品の製造方法では、自動車のサイドドアインナーまたはバックドアインナーのような複雑な形状を有するプレス成形品を製造する。特に、第1プレス成形と第2プレス成形とを含む2段階のプレス成形によって、しわと割れの両方を抑制しながら高い寸法精度を有するプレス成形品を製造する。
【0019】
図1を参照して、本実施形態のプレス成形品の製造方法によって、多段形状を有するプレス成形品1が製造される。プレス成形品1は、水平な上面を含む上段部2と、上段部2から1段下がった水平面を含む中段部3と、中段部3から1段下がった水平面を含む下段部4とを有している。上段部2および中段部3は概略鉛直方向に延びる第1縦壁部5によって接続されており、中段部3および下段部4は概略鉛直方向に延びる第2縦壁部6によって接続されている。下段部4からは、第3縦壁部7が概略鉛直下方に延びている。第3縦壁部7の下端からは、フランジ部8が水平方向外側へ延びている。即ち、プレス成形品1は、フランジ部8から3段上る階段形状を有している。
【0020】
フランジ部8には、凸形状を有するビード部9が設けられている。ビード部9は、第3縦壁部7に沿って環状に設けられている。フランジ部8およびビード部9は、完成品として不要であれば後に除去されてもよい。
【0021】
図2を参照して、本実施形態で使用される金型100の構造について説明する。
【0022】
金型100は、パンチ110と、ホルダ120と、ダイス130と、パッド140とを含んでいる。金型100によって、金属製の平板である板材1をプレス成形してプレス成形品1(図1参照)を形成する。なお、成形前後で形状は異なるが同じ部材であるため、板材1とプレス成形品1に対して同じ参照符号を使用する。
【0023】
本実施形態では、板材1は、6000系のアルミニウム合金製である。代替的には、板材1は、4000系または5000系のアルミニウム合金製であってもよいし、軟鋼または高張力鋼製であってもよいし、その他の金属製であってもよい。
【0024】
パンチ110は、プレス成形品1(図1参照)の上段部2と第1縦壁部5と中段部3と第2縦壁部6と下段部4と第3縦壁部7と対応する3段の凸形状を有する凸部111~113を有している。
【0025】
ホルダ120は、プレス成形品1のフランジ部8と対応する平坦形状を有する平坦部121と、プレス成形品1のビード部9(図1参照)と対応する凸条形状を有する凸条部122とを有している。
【0026】
ダイス130は、プレス成形品1のフランジ部8と対応する平坦形状を有する平坦部131と、ホルダ120の凸条部122と相補的な形状の凹条部132とを有している。また、ダイス130は、パンチ110の凸部112,113と相補的な階段形状を有する階段部133を有している。
【0027】
パッド140は、パンチ110の凸部111,112と相補的な階段形状を有する階段部141を有している。
【0028】
図3~5を参照して、本実施形態のプレス成形品の製造方法の各工程について説明する。なお、図3~5は模式図であり、他図面との間でわずかな形状の不整合がある場合がある。
【0029】
図3を参照して、本実施形態のプレス成形品の製造方法の第1工程では、ホルダ120とダイス130とによって板材1の周縁部10を挟み込むことによってしわ押さえを実行する。しわ押さえでは、板材1に対して保持力(第1保持力)が付加され、板材1に対してフランジ部8(図1参照)およびビード部9(図1参照)が形成される。保持力を調整することで、ビード部9の内側への材料流入量を調整できる。材料流入量は、しわや割れに大きく影響を与える因子である。
【0030】
図4を参照して、本実施形態のプレス成形品の製造方法の第2工程では、第1プレス成形として、パンチ110とパッド140とによって板材1を挟み込み、上段部2と第1縦壁部5と中段部3とを形成する。即ち、板材1が少なくとも1段の段差形状を含む中間形状に成形される。
【0031】
図5を参照して、本実施形態のプレス成形品の製造方法の第3工程では、第2プレス成形として、パンチ110とダイス130とによって板材1を挟み込み、第2縦壁部6と下段部4と第3縦壁部7とを形成する。即ち、板材1が中間形状よりも多くの段の段差形状を含む完成形状に成形される。
【0032】
図6を参照して、保持力の変化について説明する。
【0033】
図6では、横軸に金型100の移動量(ストローク)D[mm]が示されており、縦軸に保持力F[kN]が示されている。ストロークがD1[mm]以前では第1プレス成形が実行されており、ストロークがD2[mm]以降では第2プレス成形が実行されている。
【0034】
グラフを参照すると、ストロークがD1[mm]以前の第1プレス成形では、保持力(第1保持力)がF1[kN]に維持されている。ストロークがD1[mm]からD2[mm]の遷移過程では、保持力がF1[kN]からF2[kN]まで徐々に低下している。そして、ストロークがD2[mm]以降の第2プレス成形では、保持力(第2保持力)がF2[kN]に維持されている。
【0035】
本実施形態では、上記の通り、板材1の成形過程においてしわ押さえの保持力を低下させている。さらに言えば、第1プレス成形中のしわ押さえを第1保持力F1で実行し、第2プレス成形中のしわ押さえを第2保持力F2で実行している。例えば、数十ミリメートル程度の高さのプレス成形品1を製造する場合には、数百キロニュートン程度の保持力を付加してもよく、第2保持力F2は第1保持力F1に対して60%以下の値であってもよい。
【0036】
図7および以下の表1を参照して、板厚減少率の観点から、本実施形態のプレス成形品の製造方法の有効性について説明する。また、図7および以下の表2を参照して、最小主応力の観点から、本実施形態のプレス成形品の製造方法の有効性について説明する。
【0037】
解析では、板材1の材質を6000系のアルミニウム合金に設定した。また、板材1の寸法を600[mm]×500[mm]の矩形で、1.0[mm]の厚みに設定し、パッド荷重は103.7[kN]に設定し、有限要素法で成形シミュレーションを実施した。
【0038】
以下の表1は、図7に示す領域R1,R2,R3における板厚減少率および割れ評価の合否を示している。板厚減少率は、大きいと割れの危険性が高まる評価指標である。ここでは板厚減少率が大きい場合を割れの発生する危険性が高いと判断して合否評価を不合格「×」とし、板厚減少率が小さい場合を割れの発生する危険性が低いと判断して合否評価を合格「〇」とした。なお、合否評価のための板厚減少率の判断閾値については、ここでの詳細な記載を省略するが、官能評価に基づいて設定されてもよいし、シミュレーション条件等に応じて適宜設定されてもよい。表1では、本実施形態のプレス成形品の製造方法(図6に示すように板材1の成形過程で保持力を低下させた場合)と、本実施形態とは異なる第1比較例として保持力が240[kN]で一定の場合と、本実施形態とは異なる第2比較例として保持力が140[kN]で一定の場合とを示している。第1,2比較例は、保持力以外については本実施形態と実質的に同じである。
【0039】
【表1】
【0040】
第1比較例では、領域R1,R2,R3において、板厚減少率が大きく、割れが発生する危険性が高い(合否評価:不合格「×」)。第2比較例では、領域R1,R2,R3において、板厚減少率が小さく、また他の部分においても板厚減少率が大きい部分は見られず、割れが発生する危険性が低い(合否評価:合格「〇」)。本実施形態では、第2比較例と同様に、領域R1,R2,R3において、板厚減少率が小さく、また他の部分においても板厚減少率が大きい部分は見られず、割れが発生する危険性が低い(合否評価:合格「〇」)。従って、本実施形態のプレス成形品の製造方法が割れの抑制の観点から有効であることが確認できた。
【0041】
以下の表2は、図7に示す領域R4における最小主応力[GPa]と、最小主応力に起因したしわに関する合否評価とを示している。最小主応力は、負の数で圧縮を表し、その値が小さい(絶対値としては大きい)としわの危険性が高まる評価指標である。ここでは最小主応力が小さい場合をしわの発生する危険性が高いと判断して合否評価を不合格「×」とし、最小主応力が大きい場合をしわの発生する危険性が低いと判断して合否評価を合格「〇」とした。なお、合否評価のための最小主応力の判断閾値については、ここでの詳細な記載を省略するが、官能評価に基づいて設定されてもよいし、シミュレーション条件等に応じて適宜設定されてもよい。表2では、本実施形態のプレス成形品の製造方法(図6に示すように板材1の成形過程で保持力を低下させた場合)と、本実施形態とは異なる第1比較例として保持力が240[kN]で一定の場合と、本実施形態とは異なる第2比較例として保持力が140[kN]で一定の場合とを示している。第1,2比較例は、保持力以外については本実施形態と実質的に同じである。
【0042】
【表2】
【0043】
第2比較例では、領域R4において、最小主応力が小さく、しわが発生する危険性が高い(合否評価:不合格「×」)。第1比較例では、領域R4において、最小主応力が大きく、また他の部分においても最小主応力が小さい部分は見られず、しわが発生する危険性が低い(合否評価:合格「〇」)。本実施形態では、第1比較例と同様に、領域R4において、最小主応力が大きく、また他の部分においても最小主応力が小さい部分は見られず、しわが発生する危険性が低い(合否評価:合格「〇」)。従って、本実施形態のプレス成形品の製造方法がしわの抑制の観点から有効であることが確認できた。
【0044】
本実施形態のプレス成形品の製造方法によれば、以下の作用効果を奏する。
【0045】
第1プレス成形および第2プレス成形を含む少なくとも2段階のプレス成形によって複雑な形状のプレス成形品1を高い寸法精度で製造できるともに、成形過程においてしわ押さえの保持力を低下させることでしわと割れの両方を抑制できる。具体的には、成形初期においては相対的に高い第1保持力でしわ押さえを実行することによってしわを抑制し、成形後期においては相対的に低い第2保持力でしわ押さえを実行することによって割れを抑制できる。
【0046】
また、アルミニウム合金のような成形性の低い材料(即ち成形難易度の高い材料)に対してしわと割れの両方を抑制できる。
【0047】
また、第1プレス成形中のしわ押さえを第1保持力で実行し、第2プレス成形中のしわ押さえを第2保持力で実行している。従って、しわが発生しやすい成形初期の第1プレス成形において相対的に高い保持力(第1保持力)を維持することで、中間形状のしわを抑制できるとともに中間成形品を安定して製造できる。また、割れが発生しやすい成形後期の第2プレス成形において相対的に低い保持力(第2保持力)を維持することで、完成形状のしわと割れの両方を抑制できるとともにプレス成形品を安定して実現できる。
【0048】
また、しわや割れの問題が顕在化しやすい多段形状を有するプレス成形品1をしわと割れの両方を抑制しながら実現できる。また、第1プレス成形と第2プレス成形とに分けて段差形状を成形するため、多段形状を有するプレス成形品1を高い寸法精度で製造できる。
【0049】
本発明は、以下の態様を含む。
(態様1)
ダイス、ホルダ、パッド、およびパンチを含む金型と、金属製の平板である板材とを準備し、
前記ダイスおよび前記ホルダによって第1保持力で前記板材の周縁部を挟み込むことによってしわ押さえを実行し、
前記パッドおよび前記パンチによって前記板材を挟み込むことによって中間形状に成形する第1プレス成形を実行し、
前記パッド、前記パンチ、および前記ダイスによって中間形状に成形された前記板材を挟み込むことによってプレス成形品としての完成形状に成形する第2プレス成形を実行する
ことを含み、
前記板材の成形過程で前記第1保持力を前記第1保持力よりも低い第2保持力まで低下させる、プレス成形品の製造方法。
(態様2)
前記板材は、アルミニウム合金製である、態様1に記載のプレス成形品の製造方法。
(態様3)
前記第1プレス成形中の前記しわ押さえを前記第1保持力で実行し、前記第2プレス成形中の前記しわ押さえを前記第2保持力で実行する、態様1または2に記載のプレス成形品の製造方法。
(態様4)
前記中間形状は、少なくとも1段の段差形状を含み、
前記完成形状は、前記中間形状よりも多くの段の段差形状を含む、態様1から3のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
【0050】
以上より、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、プレス成形品1の形状は、特に限定されず、任意であり得る。
【符号の説明】
【0051】
1 プレス成形品(板材)
2 上段部
3 中段部
4 下段部
5 第1縦壁部
6 第2縦壁部
7 第3縦壁部
8 フランジ部
9 ビード部
10 周縁部
11,12 プレス成形品
100 金型
110 パンチ
111~113 凸部
120 ホルダ
121 平坦部
122 凸条部
130 ダイス
131 平坦部
132 凹条部
133 階段部
134 下面
140 パッド
141 階段部
142 下面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7