(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163629
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】電源制御回路およびこれを備えた電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
H02M3/155 B
H02M3/155 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079406
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神作 潔
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA20
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE13
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD38
5H730FG03
5H730XC04
5H730XC14
5H730XX03
5H730XX15
5H730XX23
5H730XX35
(57)【要約】
【課題】ソフトスタート機能について、さらなる検討の余地があった。
【解決手段】電源制御回路(15x、15y)は、時間経過により徐々に上昇するソフトスタート電圧(Vss)を出力するように構成されたソフトスタート生成回路(18)と、スイッチ出力段(12)の出力電圧(Vout)に応じた帰還電圧(Vfb)とソフトスタート電圧(Vss)との差分に応じた誤差信号(V1)を生成するように構成された誤差信号生成回路(20)と、誤差信号(V1)に応じてスイッチ出力段(12)を制御するように構成された出力制御回路(21)と、を備える電源制御回路(15x、15y)において、ソフトスタート生成回路(18)は、ソフトスタート電圧(Vss)の上昇を一時的に停止可能なように構成されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間経過により徐々に上昇するソフトスタート電圧を出力するように構成されたソフトスタート生成回路と、
スイッチ出力段の出力電圧に応じた帰還電圧と前記ソフトスタート電圧との差分に応じた誤差信号を生成するように構成された誤差信号生成回路と、
前記誤差信号に応じて前記スイッチ出力段を制御するように構成された出力制御回路と、
を備える電源制御回路において、
前記ソフトスタート生成回路は、前記ソフトスタート電圧の上昇を一時的に停止可能なように構成されている電源制御回路。
【請求項2】
前記ソフトスタート生成回路は、前記ソフトスタート電圧と前記帰還電圧との差分に応じて、前記ソフトスタート電圧の上昇を一時的に停止可能である請求項1に記載の電源制御回路。
【請求項3】
前記スイッチ出力段が出力する出力電流の値が所定の過電流保護値以上か否かを検出可能なように構成された過電流検出回路を備え、
前記ソフトスタート生成回路は、前記過電流検出回路の検出結果に応じて前記ソフトスタート電圧の上昇を一時的に停止可能である請求項1に記載の電源制御回路。
【請求項4】
前記出力制御回路は、前記過電流検出回路の検出結果に応じて前記出力電流の生成動作を強制停止した後、所定のスイッチング周期で前記出力電流の生成動作を再開する、請求項3に記載の電源制御回路。
【請求項5】
前記ソフトスタート生成回路は、
充電量に応じた前記ソフトスタート電圧を出力するキャパシタと、
前記キャパシタを充電可能な電流源と、
前記キャパシタを充電または充電を停止するように前記電流源のオン/オフ制御を可能なように構成された電流回路と、
を備え、前記キャパシタの充電を停止することで前記ソフトスタート電圧の上昇を停止する請求項1に記載の電源制御回路。
【請求項6】
所定の基準電圧および前記ソフトスタート電圧の低い方と前記帰還電圧との差分に応じて前記ソフトスタート電圧を制御するように構成されたソフトスタート制御回路を備える請求項1に記載の電源制御回路。
【請求項7】
前記ソフトスタート生成回路は、充電量に応じた前記ソフトスタート電圧を出力するように構成されたキャパシタを備え、
前記ソフトスタート制御回路は、
前記基準電圧および前記ソフトスタート電圧の低い方と前記帰還電圧との差分に応じて前記キャパシタを充放電するように構成された充放電制御回路を備える、請求項6に記載の電源制御回路。
【請求項8】
前記充放電制御回路は、
前記ソフトスタート電圧が前記基準電圧より低い状態で、前記帰還電圧と前記ソフトスタート電圧とが一致するように前記キャパシタを充放電し、
前記ソフトスタート電圧が前記基準電圧より高い状態で、前記帰還電圧と前記基準電圧とが一致するように前記キャパシタを充放電する請求項7に記載の電源制御回路。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の電源制御回路と、
前記スイッチ出力段と、
を備え、入力電圧から前記誤差信号に応じた前記出力電圧を生成する電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源制御回路およびこれを備えた電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力電圧から出力電圧を生成する電源装置として、ソフトスタート機能を有する電源制御回路を含むものがある。このような電源制御回路は、電源装置の起動時に、時間経過とともに徐々に立ち上がるように出力電圧を制御する。このため、上述した電源装置は、ソフトスタート機能によって起動時の突入電流を抑制可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した電源制御回路は、ソフトスタート機能について、さらなる検討の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書中に開示されている或る態様の電源制御回路は、ソフトスタート生成回路と、誤差信号生成回路と、出力制御回路と、ソフトスタート制御回路と、を備える。ソフトスタート生成回路は、時間経過により徐々に上昇するソフトスタート電圧を出力するように構成されている。誤差信号生成回路は、スイッチ出力段の出力電圧に応じた帰還電圧とソフトスタート電圧との差分に応じた誤差信号を生成するように構成されている。出力制御回路は、誤差信号に応じてスイッチ出力段を制御するように構成されている。ソフトスタート制御回路は、帰還電圧に応じてソフトスタート電圧を制御するように構成されている。
【0006】
また、本明細書中に開示されている別の態様の電源制御回路は、ソフトスタート生成回路と、誤差信号生成回路と、出力制御回路と、を備える。ソフトスタート生成回路は、時間経過により徐々に上昇するソフトスタート電圧を出力するように構成されたている。誤差信号生成回路は、スイッチ出力段の出力電圧に応じた帰還電圧とソフトスタート電圧との差分に応じた誤差信号を生成するように構成されている。出力制御回路は、誤差信号に応じてスイッチ出力段を制御するように構成されている。ソフトスタート生成回路は、ソフトスタート電圧の上昇を一時的に停止可能なように構成されている。
【0007】
本明細書中に開示されている電源装置は、上記或る態様または上記別の態様のいずれかの電源制御回路と、スイッチ出力段とを備え、入力電圧から出力電圧を生成する。
【発明の効果】
【0008】
本明細書中に開示されている或る態様の電源制御回路によれば、帰還電圧に応じてソフトスタート電圧を制御する。このため、ソフトスタート機能をより好適なものとすることができる。
【0009】
また、本明細書中に開示されている別の態様の電源制御回路によれば、ソフトスタート生成回路は、ソフトスタート電圧の上昇を一時的に停止可能なように構成されている。このため、ソフトスタート機能をより好適なものとすることができる。
【0010】
また、本明細書中に開示されている電源装置によれば、より好適な帰還制御が可能な電源制御回路を備えるものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、比較例の電源装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、比較例の電源装置に係る半導体装置の内部の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、比較例の電源装置の各信号および出力電流を示すタイミングチャートである。
【
図4】
図4は、本開示の半導体装置の内部の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、ソフトスタート制御回路の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本開示の電源装置の各信号および出力電流を示すタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、出力キャパシタ(
図1における出力キャパシタCout)のコンデンサ容量が比較的大きなものを使用した場合における、ソフトスタート電圧Vssと、帰還電圧Vfbの電圧の起動時の変化を示すグラフである。
【
図8】
図8は、ソフトスタート生成回路18がソフトスタート電圧Vssの上昇を一時的に停止するように構成された場合の、ソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbの変化の一例を示すグラフである。
【
図9】
図9は、ソフトスタート生成回路18として、過電流保護回路HOCPの検出結果に応じてソフトスタート電圧Vssの上昇を一時停止する構成を採用した場合の、起動時のタイミングチャートである。
【
図10】
図10は、本開示のソフトスタート生成回路の一例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、本開示のソフトスタート生成回路の他の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、先出の半導体装置100xにソフトスタート生成回路18z1を採用した場合の、ソフトスタート生成回路18z1の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<比較例の電源装置Y>
初めに、電源装置Yについて、本開示の電源装置Xとの比較例(=後出の本開示の実施形態と対比される構成)として
図1から
図3を用いて説明する。
図1は、比較例の電源装置Yの構成を示すブロック図である。
図2は、半導体装置100yの内部の構成を示すブロック図である。
【0013】
電源装置Yは、入力電圧Vinから所望の出力電圧Voutを生成するように構成されたスイッチングレギュレータである。電源装置Yは、半導体装置100yと、整流平滑回路10と、分圧回路11と、種々のディスクリート部品(例えば、キャパシタCreg、Ccompと、抵抗Rpg、Rcomp)と、を有する。
【0014】
半導体装置100yは、電源装置Yを統括的に制御するモノリシック半導体集積回路装置(いわゆる電源制御IC)である。半導体装置100yは、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、複数の外部端子(本図に即して述べると、例えば、フィードバック端子FB、イネーブル端子EN、ブート端子BST、入力端子VIN、スイッチ端子SW、および接地端子GND)を有する。半導体装置100yの詳細については後述する。
【0015】
整流平滑回路10は、コイルL1と、出力キャパシタCoutとを含んで構成されている。コイルL1の第1端は、スイッチ端子SWに接続されている。コイルL1の第2端は、出力キャパシタCoutの第1端と共に出力電圧Voutの出力端に接続されている。出力キャパシタCoutの第2端は、接地端に接続されている。整流平滑回路10は、矩形波状のスイッチ電圧Vsw(スイッチ端子SWのノード電圧)を整流および平滑して出力電圧Voutを生成する。
【0016】
分圧回路11は、抵抗Rfb1、Rfb2を含んで構成されている。抵抗Rfb1は、複数(ここでは2つ)の抵抗を含んで構成されている。抵抗Rfb1の第1端は、出力キャパシタCoutの第1端と共にコイルL1の第2端に接続されている。抵抗Rfb1の第2端は、抵抗Rfb2の第1端と共にフィードバック端子FBに接続されている。抵抗Rfb2の第2端は、接地端に接続されている。分圧回路11は、出力電圧Voutを分圧して帰還電圧Vfbを生成し、帰還電圧Vfbをフィードバック端子FBに入力する。
【0017】
ブートキャパシタCbstの第1端は、ブート端子BSTに接続されている。ブートキャパシタCbstの第2端は、コイルL1の第1端と共にスイッチ端子SWに接続される。なお、ブートキャパシタCbstは、半導体装置100yに集積化してもよく、その場合、ブート端子BSTは省略できる。
【0018】
入力キャパシタCinの第1端は、入力電圧Vinの入力端と共に、入力端子VINに接続されている。入力キャパシタCinの第2端は、接地端に接続されている。
【0019】
半導体装置100yについて詳細に説明する。半導体装置100yは、スイッチ出力段12と、電源制御回路15yと、を備える。なお、ここでは、スイッチ出力段12が半導体装置100yの内部に集積化された構成を例に説明するが、スイッチ出力段12は、半導体装置100yに外付けされるように構成されていてもよい。
【0020】
スイッチ出力段12は、出力トランジスタ13と、同期整流トランジスタ14とを含んで構成されている。出力トランジスタ13および同期整流トランジスタ14は、NMOSFET[N-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor]である。スイッチ出力段12は、出力トランジスタ13と同期整流トランジスタ14のそれぞれを相補的にオン/オフすることで、入力電圧Vinと接地電圧(グランドレベルの電圧)との間でパルス駆動される矩形波状のスイッチ電圧Vsw(スイッチ端子SWのノード電圧)を生成する。
【0021】
なお、本明細書中の「相補的」という文言は、出力トランジスタ13と同期整流トランジスタ14それぞれのオン/オフが完全に逆転している場合のほか、それぞれのオン/オフ遷移タイミングに遅延が与えられている場合(=同時オフ期間が設けられている場合)も含む意味で用いられている。
【0022】
出力トランジスタ13のドレインは、入力電圧Vinの入力端に接続されている。出力トランジスタ13のソースと同期整流トランジスタ14のドレインは、いずれもスイッチ端子SWに接続されている。同期整流トランジスタ14のソースは、接地端子GND(=接地電圧の印加端)に接続されている。
【0023】
出力トランジスタ13のゲートには、ゲート信号G11が入力されている。出力トランジスタ13は、ゲート信号G11がハイレベルであるときにオンして、ゲート信号G11がローレベルであるときにオフする。
【0024】
一方、同期整流トランジスタ14のゲートには、ゲート信号G12が入力されている。同期整流トランジスタ14は、ゲート信号G12がハイレベルであるときにオンして、ゲート信号G12がローレベルであるときにオフする。
【0025】
電源制御回路15yは、定電圧回路16と、保護回路17と、オシレータ19と、ソフトスタート生成回路18と、誤差信号生成回路20と、出力制御回路21と、ブート電源45と、を備える。
【0026】
定電圧回路16は、イネーブル端子ENの端子電圧に応じてイネーブル制御される。例えば、定電圧回路16をイネーブル状態(=動作許可状態)とするときには、イネーブル端子ENには入力電圧Vinの印加端が接続されてもよい。イネーブル状態とされた定電圧回路16は、入力電圧Vinに基づく基準電圧Vrefを生成する。
【0027】
保護回路17は、定電圧回路16から電力供給を受けて動作する。保護回路17は、過熱保護回路TSDと、低電圧誤動作防止回路UVLOと、短絡保護回路SCPと、過電圧保護回路OVPと、過電流保護回路HOCP、逆流電流防止回路RCPと、を備え、各回路に応じた信号を生成する。例えば、過電流保護回路HOCPは、出力電流ILが所定の過電流保護値か否かを検出可能なように構成されており、保護回路17は、過電流保護回路HOCPの検出結果に応じた信号を生成する。
【0028】
オシレータ19は、基準電圧Vrefの供給を受けて動作し、所定の周波数で発振する基準クロック信号S1を生成する。
【0029】
ソフトスタート生成回路18は、定電圧回路16から電力供給を受けて動作する。ソフトスタート生成回路18は、時間経過により徐々に上昇するソフトスタート電圧Vssを生成する。ソフトスタート生成回路18は、所定のソフトスタート時間を掛けて、ソフトスタート電圧Vssをゼロ値(=GND)から一定の上昇率で上昇させていく。
【0030】
誤差信号生成回路20は、2つの非反転入力端(+)と、1つの反転入力端(-)と、出力端と、を有する。誤差信号生成回路20の一方の非反転入力端(+)は、ソフトスタート生成回路18に接続されている。誤差信号生成回路20の他方の非反転入力端(+)は、ソフトスタート生成回路18および定電圧回路16に接続されている。誤差信号生成回路20の反転入力端(-)は、フィードバック端子FBに接続されている。
【0031】
誤差信号生成回路20は、基準電圧Vrefおよびソフトスタート電圧Vssのより低い方と帰還電圧Vfbとの差分に応じた誤差信号V1を生成する。
【0032】
出力制御回路21は、誤差信号生成回路20およびオシレータ19に接続されている。出力制御回路21は、誤差信号V1および基準クロック信号S1に応じてスイッチ出力段12(より詳細には、スイッチ出力段12のオンデューティ)を制御するように構成されている。より詳細には、次の通りである。
【0033】
出力制御回路21は、電流検出コンパレータ22と、電流検出補償回路23と、オンタイム回路24と、ドライバ制御回路25と、ハイサイドドライバ26と、ローサイドドライバ27と、を備えている。
【0034】
電流検出補償回路23は、例えばコイルL1に流れる出力電流ILに応じたランプ波形の補償電圧を生成する。電流検出補償回路23の出力端は、電流検出コンパレータ22の非反転入力端(+)に接続される。
【0035】
電流検出コンパレータ22の反転入力端(-)は、誤差信号生成回路20の出力端に接続されている。電流検出コンパレータ22は、誤差信号V1と上記補償電圧とを比較して、比較信号S2を生成する。例えば、誤差信号V1が補償電圧より高いときに、比較信号S2はローレベルとなる。誤差信号V1が補償電圧より低いときに、比較信号S2はハイレベルとなる。
【0036】
オンタイム回路24は、オシレータ19、電流検出コンパレータ22、およびドライバ制御回路25に接続されている。オンタイム回路24は、基準クロック信号S1および比較信号S2に応じたオンタイム信号を生成し、ドライバ制御回路25に入力する。
【0037】
ドライバ制御回路25は、ハイサイドドライバ26、ローサイドドライバ27、およびRCP[reverse current protection]回路29に接続されている。
【0038】
ドライバ制御回路25は、上記オンタイム信号に基づいて、ハイサイドドライバ26およびローサイドドライバ27を駆動制御する。より詳細には、ドライバ制御回路25は、上記オンタイム信号に基づいてハイサイドドライバ駆動信号およびローサイドドライバ駆動信号を生成し、ハイサイドドライバ26およびローサイドドライバ27に入力する。
【0039】
ハイサイドドライバ26は、ドライバ制御回路25、ブート端子BST、スイッチ端子SW、および出力トランジスタ13に接続されている。ローサイドドライバ27は、同期整流トランジスタ14およびドライバ制御回路25に接続されている。
【0040】
ハイサイドドライバ26は、ハイサイドドライバ駆動信号に応じたゲート信号G11を生成し、出力トランジスタ13のゲートに入力する。ハイサイドドライバ駆動信号がハイのとき、ハイサイドドライバ26はハイレベル(=ブート端子BSTの電圧)のゲート信号G11を出力する。ハイサイドドライバ駆動信号がローのとき、ハイサイドドライバ26はローレベル(=スイッチ端子SWの電圧)のゲート信号G11を出力する。
【0041】
ローサイドドライバ27は、ローサイドドライバ駆動信号に応じたゲート信号G12を生成し、同期整流トランジスタ14のゲートに入力する。
【0042】
また、ドライバ制御回路25は、過電流保護回路HOCPの検出結果に応じて、出力電流ILを制御する。具体的には、ドライバ制御回路25は、出力電流ILが過電流保護値に達したことを過電流保護回路HOCPが検出すると、ドライバ制御回路25は、出力電流ILを制限するように、スイッチ出力段12の駆動を制御する。具体的には、ドライバ制御回路25は、出力電流ILが過電流状態となったときに、出力電流ILの強制停止と自己復帰を繰り返すように、スイッチ出力段12がヒカップ駆動(=オン状態とオフ状態が周期的に切り替わる間欠駆動)するように駆動制御する。
【0043】
ブート電源45は入力電圧Vinの印加端と、ブート端子BSTに接続されている。ブート電源45は、入力電圧VinによってブートキャパシタCbstを充電する。ブートキャパシタCbstが充電されることで、ブート端子BSTの電圧が入力電圧Vinより高くなり、ハイサイドドライバ26の駆動を確保できる。
【0044】
図3は、比較例の電源装置Yの各信号および出力電流ILを示すタイミングチャートである。
図3では、上から順に、イネーブル信号E、ソフトスタート電圧Vss、帰還電圧Vfb、誤差信号V1、スイッチ電圧Vsw、出力電流ILが示されている。
【0045】
所定のタイミングt1において電源が投入されると、イネーブル信号Eがハイレベルに立ちあがる。すると、タイミングt1からタイミングt3にかけて、ソフトスタート電圧Vssが一定の上昇率で徐々に上昇する。タイミングt1からタイミングt3にかけての各値の変化について、順に説明する。
【0046】
タイミングt2´が到来すると、ソフトスタート電圧Vssの大きさが基準電圧Vrefと一致する。タイミングt3が到来すると、ソフトスタート電圧Vssは、ハイレベルに立ち上がる。タイミングt3以降、ソフトスタート電圧Vssは、ハイレベルに固定される。
【0047】
帰還電圧Vfbは、タイミングt2からタイミングt3にかけて一定の上昇率で徐々に上昇するように、基準電圧Vrefとソフトスタート電圧Vssとのうちより低い方を目標値として帰還制御される。より詳細には、次の通りである。帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssが基準電圧Vrefよりも低いとき(タイミングt2~t2´の間)に、ソフトスタート電圧Vssを目標値として帰還制御される。帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssが基準電圧Vref以上のとき(タイミングt2´からタイミングt3の間)に、基準電圧Vrefを目標値として帰還制御される。
【0048】
また、誤差信号V1は、タイミングt2が到来する直前の所定のタイミングから上昇し始め、タイミングt2を過ぎた直後からタイミングt3にかけて徐々に低下する。
【0049】
タイミングt3が到来すると、帰還電圧Vfbは、基準電圧Vrefと一致する。タイミングt3では、ソフトスタート電圧Vssはハイレベルに固定される。
【0050】
このようなソフトスタート動作により、起動時(=タイミングt1からタイミングt3の間)出力電圧Voutを緩やかに立ち上げることができる。これにより、起動時の突入電流を抑制することが可能となる。
【0051】
<地絡復帰時についての考察>
ところで、上述した電源装置Yのようなソフトスタート機能を有する電源装置は、スイッチ出力段12の出力端が地絡した後、地絡状態が解消されたときに、突入電流が生じるおそれがある。より詳細には、次の通りである。
【0052】
上述した通り、ソフトスタート電圧Vssは、タイミングt1からタイミングt3にかけて一定の上昇率で徐々に上昇し、かつタイミングt2´が到来した時点で基準電圧Vrefになる。そして、ソフトスタート電圧Vssは、タイミングt3以降ハイレベル(基準電圧Vrefよりも高い電圧レベル)に立ち上がった状態で固定される。ここで、仮に、タイミングt3より後の所定のタイミングt4において、スイッチ出力段12の出力端が地絡状態(接地端に接続された状態)になったとする。すると、出力電圧Vout(=帰還電圧Vfb)がゼロ値(=グランドレベル)まで低下する。帰還電圧Vfbの低下に応じて、帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差分が徐々に大きくなる。すると誤差信号V1が上昇する。
【0053】
このとき(=タイミングt4以降)、
図3に示すように、ソフトスタート電圧Vssは、基準電圧Vrefよりも高い値(=ハイレベル)のまま変化していない。上述した通り、帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssと基準電圧Vrefのより低い方を目標値として帰還制御される。このため、所定のタイミングt5で地絡状態が解消されると、帰還電圧Vfbは、基準電圧Vrefを目標値として帰還制御される。
【0054】
ゼロ値まで低下した帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差分は、比較的大きい。このため、タイミングt5から出力電圧Vout(=帰還電圧Vfb)が基準電圧Vrefを超えるレベルまで急上昇するオーバーシュートが発生したり、電源装置Yに接続された負荷に突入電流が流れたりするおそれがある。
【0055】
<本開示の電源装置X>
次に、本開示の電源装置Xについて説明する。なお、以下では、電源装置Xの構成について比較例に係る電源装置Yとの相違点を述べ、電源装置Yと同様の構成は同じ符号を付して説明を省略している。
【0056】
図4は、半導体装置100xの内部の構成を示すブロック図である。電源装置Xは、入力電圧Vinから所望の出力電圧Voutを生成するように構成されたスイッチングレギュレータである。
図4に示すように、電源装置Xは、半導体装置100xと、整流平滑回路10と、分圧回路11と、種々のディスクリート部品(例えば、キャパシタCreg、Ccompと、抵抗Rpg、Rcomp)と、を有する。
【0057】
半導体装置100xは、電源装置Xを統括的に制御するモノリシック半導体集積回路装置(いわゆる電源制御IC)である。半導体装置100xは、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、複数の外部端子(本図に即して述べると、例えば、フィードバック端子FB、イネーブル端子EN、ブート端子BST、入力端子VIN、スイッチ端子SW、および接地端子GND)を有する。
【0058】
電源制御回路15xは、定電圧回路16と、保護回路17と、オシレータ19と、ソフトスタート生成回路18と、誤差信号生成回路20と、出力制御回路21と、ブート電源45と、ソフトスタート制御回路28と、を備える。
【0059】
ソフトスタート制御回路28は、帰還電圧Vfbに応じてソフトスタート電圧Vssを制御するように構成されている。ソフトスタート生成回路18およびソフトスタート制御回路28について、詳細に説明する。
【0060】
ソフトスタート制御回路28は、定電圧回路16、ソフトスタート生成回路18、誤差信号生成回路20の一方の非反転入力端(+)、誤差信号生成回路20の他方の非反転入力端(+)、および誤差信号生成回路20の反転入力端(-)に接続されている。
【0061】
図5は、ソフトスタート制御回路28の構成を示すブロック図である。
図4、5に示すように、ソフトスタート制御回路28は、充放電制御回路41と、第1トランジスタ30~第3トランジスタ32と、第1電流源36と、第2電流源37と、抵抗34と、を備えている。充放電制御回路41は、アンプ35と第4トランジスタ32とを備えている。充放電制御回路41の詳細については後述する。
【0062】
第1トランジスタ30~第4トランジスタ33は、PMOSFET[P-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor]である。第1トランジスタ30は、帰還電圧Vfbを受ける第1入力素子として機能する。具体的には、第1トランジスタ30のゲートは、フィードバック端子FBに接続されている。すなわち、第1トランジスタ30のゲートには、帰還電圧Vfbが入力される。第1トランジスタ30のソースは、抵抗34の第1端に接続されている。第1トランジスタ30のドレインは、接地端に接続されている。
【0063】
抵抗34の第2端は、第1電流源36に接続されている。第1トランジスタ30がオンのとき、第1電流源36から抵抗34を通って接地端に電流が流れる。抵抗34の両端間には、オフセット電圧Voffsetが生じる。
【0064】
第2トランジスタ31は、基準電圧Vrefを受ける第2入力素子として機能する。第2トランジスタ31のゲートには、定電圧回路16から基準電圧Vrefが入力される。第2トランジスタ31のソースは、充放電制御回路41に接続されている。より詳細には第2トランジスタ31のソースは、第3トランジスタ32のソースと共に、アンプ35の反転入力端(-)に接続されている。第2トランジスタ31のドレインは、接地端に接続されている。
【0065】
第3トランジスタ32は、ソフトスタート電圧Vssを受ける第3入力素子として機能する。第3トランジスタ32のゲートには、ソフトスタート電圧Vssが入力される。第3トランジスタ32のドレインは、接地端に接続されている。
【0066】
アンプ35は、非反転入力端(+)に入力される電圧と、反転入力端(-)に入力される電圧との差分に応じて、スイッチ信号S3を生成する。アンプ35の非反転入力端(+)は、抵抗34および第1電流源36に接続されている。アンプ35の非反転入力端(+)には、帰還電圧Vfbと、第1トランジスタ30のゲートソース間電圧とオフセット電圧Voffsetを足し合わせた電圧が入力される。アンプ35の反転入力端(-)には、基準電圧Vrefと第2トランジスタ31のゲートソース間電圧との加算電圧、およびソフトスタート電圧Vssと第3トランジスタ32のゲートソース間電圧との加算電圧のうち、いずれか低い方が入力される。
【0067】
第4トランジスタ33は、スイッチ信号S3を受けてオン/オフする。具体的には、第4トランジスタ33のゲートは、アンプ35の出力端に接続されている。すなわち、第4トランジスタ33のゲートには、スイッチ信号S3が入力される。第4トランジスタ33のソースはソフトスタート生成回路18に接続されている。第4トランジスタ33のドレインは、接地端に接続されている。
【0068】
ソフトスタート生成回路18は、第3電流源38と、ソフトスタートキャパシタCssと、第5トランジスタ39と、第4電流源40と、を含んで構成されている。
【0069】
ソフトスタートキャパシタCssの第1端は、第3電流源38に接続されている。ソフトスタートキャパシタCssの第2端は、接地端に接続されている。第3電流源38は、所定の定電流を出力してソフトスタートキャパシタCssを充電する。
【0070】
第5トランジスタ39は、NMOSFET[N-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor]である。第5トランジスタ39は、ソフトスタートキャパシタCssの充電量(=電荷量)に応じたソフトスタート電圧Vssをソースから出力する。具体的には、第5トランジスタ39のゲートは、第3電流源38、およびソフトスタートキャパシタCssの第1端に接続されている。第5トランジスタ39のソースは、第4電流源40およびソフトスタート生成回路18の出力端に接続されている。
【0071】
充放電制御回路41は、ソフトスタートキャパシタCssの充放電を制御する。具体的には、充放電制御回路41は、基準電圧Vrefおよびソフトスタート電圧Vssの低い方と、帰還電圧Vfb及びオフセット電圧Voffsetの加算電圧との差分に応じてソフトスタートキャパシタCssを充放電する。より詳細には、次の通りである。
【0072】
ソフトスタート電圧Vssが基準電圧Vrefよりも低い状態で、アンプ35は非反転入力端(+)に入力される電圧(=帰還電圧Vfbとオフセット電圧Voffsetとの加算電圧)と反転入力端(-)に入力される電圧(=ソフトスタート電圧Vss)との差分に応じたスイッチ信号S3を生成する。このスイッチ信号S3に応じて、第3電流源38から出力される電流から第4トランジスタ33に流れる電流を差し引いた差分電流がソフトスタートキャパシタCssに流れる。これにより、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfb及びオフセット電圧Voffsetの加算電圧と一致するように、ソフトスタートキャパシタCssが充電される。
【0073】
反対に、ソフトスタート電圧Vssが基準電圧Vrefよりも高い状態で、アンプ35は非反転入力端(+)に入力される電圧(=帰還電圧Vfbとオフセット電圧Voffsetとの加算電圧)と反転入力端(-)に入力される電圧(=基準電圧Vref)との差分に応じたスイッチ信号S3を生成する。このスイッチ信号S3に応じて、第3電流源38から出力される電流から第4トランジスタ33に流れる電流を差し引いた差分電流がソフトスタートキャパシタCssに流れる。これにより、基準電圧Vrefと帰還電圧Vfb及びオフセット電圧Voffsetの加算電圧とが一致するように、ソフトスタートキャパシタCssが充電される。
【0074】
図6は本開示の電源装置Xの各信号および出力電流ILを示すタイミングチャートである。
図6では、上から順に、イネーブル信号E、ソフトスタート電圧Vss、帰還電圧Vfb、誤差信号V1、スイッチ電圧Vsw、出力電流ILが示されている。
【0075】
図6に示すように、所定のタイミングt1において電源が投入されると、イネーブル信号Eがハイレベルに立ち上がる。すると、タイミングt1からタイミングt3にかけて、ソフトスタート電圧Vssおよび帰還電圧Vfbが一定の上昇率で徐々に上昇する。以下、タイミングt1からタイミングt3にかけての各値の変化について、順に説明する。
【0076】
タイミングt1から所定の時間が経過してタイミングt2が到来すると、ソフトスタート電圧Vssの大きさがオフセット電圧Voffsetに達する。タイミングt1からタイミングt2の間、帰還電圧Vfbは立ち下がったままとなる。タイミングt2からさらに所定の時間が経過してタイミングt2´が到来すると、ソフトスタート電圧Vssの大きさが基準電圧Vrefと一致する。タイミングt2からタイミングt2´の間、帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssを目標値として帰還制御され、ソフトスタート電圧Vssに追従するように一定の上昇率で上昇する。
【0077】
このとき、ソフトスタート制御回路28の動作に着目すると、より詳細には、次の通りである。タイミングt1からタイミングt2´の間では、アンプ35は、帰還電圧Vfbおよびオフセット電圧Voffsetを足し合わせた電圧と、ソフトスタート電圧Vssとの差分に応じたスイッチ信号S3を生成する。また、タイミングt2´以降には、アンプ35は、帰還電圧Vfbおよびオフセット電圧Voffsetを足し合わせた電圧と、基準電圧Vrefとの差分に応じたスイッチ信号S3を生成する。
【0078】
タイミングt1からタイミングt3の直前までの間、第4トランジスタ33はスイッチ信号S3を受けてオンする。このため、第3電流源38から出力される電流は、ソフトスタートキャパシタCssに流れ込みつつ、第4トランジスタ33のソースドレイン間を通過して接地端へと流れる。この間、第3電流源38から出力される電流から第4トランジスタ33に流れる電流を差し引いた差分電流により、ソフトスタートキャパシタCssが比較的緩やかに充電され(すなわち、ソフトスタートキャパシタCssの電荷量は徐々に増加し)、ソフトスタート電圧Vssは徐々に上昇する。またソフトスタート電圧Vssの上昇に応じて帰還電圧Vfbも帰還制御されて上昇する。
【0079】
タイミングt2´から所定の時間が経過してタイミングt3が到来すると、帰還電圧Vfbの大きさが、基準電圧Vrefからオフセット電圧Voffsetを差し引いた電圧と一致する。すなわち、タイミングt3では、アンプ35の反転入力端(-)と非反転入力端(+)が同電位となる。そして、タイミングt3以降、帰還電圧Vfbが更に上昇すると、アンプ35の非反転入力端(+)が反転入力端(-)よりも高電位となる。その結果、スイッチ信号S3は、ハイレベルとなる。
【0080】
このスイッチ信号S3を受けて、第4トランジスタ33はフルオフ状態になる。従って、第4トランジスタ33を介する放電経路が遮断される。その結果、タイミングt3以降、後述するタイミングt4まで、ソフトスタート電圧Vssは、ハイレベルに固定される。帰還電圧Vfbは、タイミングt3以降、基準電圧Vrefと一致するまで上昇し、タイミングt4まで固定される。
【0081】
ここで、仮に、タイミングt3より後の所定のタイミングt4において、スイッチ出力段12の出力端が地絡状態(接地端に接続された状態)になったとする。すると、出力電圧Vout(=帰還電圧Vfb)がゼロ値(=グランドレベル)まで低下する。
【0082】
帰還電圧Vfbの低下に合わせて、アンプ35の非反転入力端(+)に入力される電圧(=帰還電圧Vfbとオフセット電圧Voffsetとを足し合わせた電圧)と、アンプ35の反転入力端(-)に入力される電圧(=基準電圧Vref)との差分が大きくなる。従って、スイッチ信号S3が低下する。このときのスイッチ信号S3を受けて、第4トランジスタ33が再びオンし、ソフトスタートキャパシタCssの充電量(=電荷量)が低下する。これにより、ソフトスタート電圧Vssも、帰還電圧Vfbと共に低下する。ソフトスタート電圧Vssは、基準電圧Vrefを下回ってオフセット電圧Voffsetと一致するまで低下する。
【0083】
また、帰還電圧Vfbの低下に応じて誤差信号V1が上昇し、スイッチ出力段12のオンデューティが上昇する。地絡状態に陥ることで出力電流ILは急上昇する。出力電流ILが所定の過電流保護値に達すると、保護回路17による過電流保護機能が動作する。これにより、誤差信号V1が所定値で固定され、出力電流ILの上昇が制限される。
【0084】
上述した通り、帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssと基準電圧Vrefのより低い方を目標値として帰還制御される。このため、タイミングt4以降でソフトスタート電圧Vssが基準電圧Vrefよりも低い電圧値まで予め引き下げられている状態において、所定のタイミングt5で地絡状態が解消されると、誤差信号V1が遅滞なく低下し、スイッチ出力段12のオンデューティが低下する。そして、タイミングt5以降、帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vss(=オフセット電圧Voffset)を目標値として帰還制御される。このため、タイミングt5からタイミングt6にかけて、起動時におけるソフトスタート動作と同様に、帰還電圧Vfbは緩やかに上昇するように帰還制御される。これにより、急激な出力電圧Vout(=帰還電圧Vfb)の上昇(=オーバーシュートの発生)を抑制し、突入電流の発生を抑制できる。
【0085】
<ソフトスタート機能についての考察>
ところで、上述したようなソフトスタート機能を備える電源装置(先出の電源装置X、Y)では、次のような問題について、さらなる検討の余地があった。このような電源装置に用いられる出力キャパシタ(
図1における出力キャパシタCout)は、出力電圧に応じてコンデンサ容量値に上限が設定される。これは、出力キャパシタとしてコンデンサ容量が比較的大きなものを使用した場合には、起動不良が発生するおそれがあるためである。
【0086】
より詳細には、次の通りである。
図7は、出力キャパシタ(
図1における出力キャパシタCout)のコンデンサ容量が比較的大きなものを使用した場合における、ソフトスタート電圧Vssと、帰還電圧Vfbの電圧の起動時の変化を示すグラフである。
【0087】
図7では、横軸がゼロ値のときに起動している。
図7に示すように、時間経過によりソフトスタート電圧Vssおよび帰還電圧Vfb(=出力電圧Vout)は上昇している。しかしながら、出力キャパシタのコンデンサ容量が比較的大きいため、帰還電圧Vfbの上昇率がソフトスタート電圧Vssの上昇率よりも低くなっている。このため、時間経過とともに帰還電圧Vfbとソフトスタート電圧Vssとの差分が広がってしまう。すると、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefに達するタイミングtyが到来する前の所定のタイミングtxで、ソフトスタート電圧Vssがハイレベルに固定されてしまい、過電流保護動作が作動して起動不良となるおそれがある。
【0088】
従って、上述したようなソフトスタート機能を備える電源装置では、このような電源装置には、電解コンデンサなどの比較的安価、かつ大容量のものを出力キャパシタとして採用しにくく、コストの増大につながるおそれがある。
【0089】
そこで、次の構成について検討する。具体的には、上述したソフトスタート生成回路18について、ソフトスタート電圧Vssの上昇を一時的に停止可能なように構成する。この場合、ソフトスタート生成回路18は、電源装置(例えば、先出の電源装置X、Y)の種々のパラメータ値(例えば、各信号の電圧レベル、出力電流、または出力電圧等)に応じて、ソフトスタート電圧Vssの上昇を一時的に停止することができる。
【0090】
図8は、ソフトスタート生成回路18がソフトスタート電圧Vssの上昇を一時的に停止するように構成された場合の、ソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbの変化の一例を示すグラフである。
【0091】
上述したようなソフトスタート生成回路18は、例えば、ソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの差分に応じて、ソフトスタート電圧Vssの上昇を一時的に停止するように構成することができる。より詳細には、
図8に示すように、起動時からソフトスタート電圧Vssおよび帰還電圧Vfbが上昇し、所定のタイミングtaが到来してソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの差分電圧が所定電圧Va(=過電流保護回路HOCPによる過電流保護動作が作動しないレベルの電圧差)に達すると、ソフトスタート電圧Vssの上昇を一時的に停止する。一方、帰還電圧Vfbは、タイミングta以降もソフトスタート電圧Vssと一致するように上昇し続ける。そのため、タイミングta以降、ソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの差分電圧は低下していく。その後、所定のタイミングtbが到来し、ソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの差分が所定電圧Vbになると、ソフトスタート電圧Vssの上昇を再開する。
【0092】
このようにすると、電源装置(例えば、先出の電源装置X、Y)の起動時に、時間経過によりソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの差分が大きくなったとしても、この差分が所定電圧Vaよりも大きくなるとソフトスタート電圧Vssの上昇が一時的に停止する。このため、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefに達するタイミングtyが到来した後のタイミングtx´で、ソフトスタート電圧Vssがハイレベルに固定される。このため、上述したような過電流保護動作が抑制され、電源装置が起動不良となるのを抑制できる。従って、電解コンデンサ等の比較的安価であって大容量のものを出力キャパシタとして採用したとしても電源装置の起動不良が生じにくく、コストの増大を抑制することが可能になる。
【0093】
また、上述したようなソフトスタート生成回路18として、過電流保護回路HOCPの検出結果に応じてソフトスタート電圧Vssの上昇を一時停止する構成を採用することができる。
【0094】
図9は、ソフトスタート生成回路18として、過電流保護回路HOCPの検出結果に応じてソフトスタート電圧Vssの上昇を一時停止する構成を採用した場合の、起動時のタイミングチャートである。
図9では、上から順に、イネーブル信号E、ソフトスタート電圧Vss、帰還電圧Vfb、誤差信号V1、スイッチ電圧Vsw、出力電流ILが示されている。
【0095】
図9に示すように、所定のタイミングt1において電源が投入されると、イネーブル信号Eがハイレベルに立あがる。すると、タイミングt1からタイミングt2にかけて、ソフトスタート電圧Vssが一定の上昇率で徐々に上昇する。そして、タイミングt1´からタイミングt2にかけて帰還電圧Vfbが一定の上昇率で上昇する。タイミングt1´の直前から誤差信号V1が上昇し、この誤差信号V1に応じたスイッチ電圧Vswが生じて、出力電流ILが上昇する。
【0096】
タイミングt1´からタイミングt2では、ソフトスタート電圧Vssの上昇率が帰還電圧Vfbの上昇率よりも大きい。このため、ソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの差分は、時間経過により大きくなる。その結果、出力デューティが上昇するので、出力電流ILが増大する。そして、所定のタイミングt2が到来すると、出力電流ILが所定の過電流保護値に達する。すると、過電流保護回路HOCPが過電流状態を検出し、出力電流ILが制限される。このとき、出力制御回路21は、スイッチ出力段12をヒカップ駆動するように駆動制御する。
【0097】
ソフトスタート生成回路18は、タイミングt2において電流保護回路HOCPが過電流状態を検出すると、ソフトスタート電圧Vssの上昇を停止する。誤差信号V1はタイミングt2から時間経過により低下する。
【0098】
タイミングt2から所定の時間が経過してタイミングt3が到来し、所定のスイッチング周波数で基準クロック信号S1にパルスが生成されると、出力電流ILの自動復帰が試行される。これに伴い、ソフトスタート生成回路18は、再びソフトスタート電圧Vssを一定の上昇率で上昇させる。
【0099】
タイミングt3以降、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefに一致するタイミングt5が到来するまで、ソフトスタート生成回路18は、タイミングt1´からタイミングt3までの制御と同様に、過電流保護回路HOCPの検出結果に応じてソフトスタート電圧Vssの上昇を制御する。
【0100】
<ソフトスタート生成回路の一例>
このようなソフトスタート生成回路18として、例えば
図10に示すような構成(ここでは、「ソフトスタート生成回路18z1」とする。)を採用することができる。
【0101】
ソフトスタート生成回路18z1は、電流源50と、電流回路51と、ソフトスタートキャパシタCssと、を備えている。電流源50は、オン状態でソフトスタートキャパシタCssに電流を供給してソフトスタートキャパシタCssを充電する。電流源50がオフ状態になると、ソフトスタートキャパシタCssの充電は停止する。
【0102】
電流回路51は、所定のタイミングで電流源50のオン/オフ状態を切り換え可能なように構成されている。この所定のタイミングとして具体的には、上述したようにソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの差分電圧が所定電圧Vaに達したタイミングとしてもよい。この場合、電流回路51は、イネーブル信号Eがハイに立ち上がったタイミングで電流源50をオン状態にする。そして、ソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの差分電圧が所定電圧Vaに達すると、電流回路51は電流源50をオフ状態に切り替える。そして、この差分電圧が所定電圧Vbまで低下すると、電流源50を再びオン状態に切り替える。
【0103】
また、例えば、上記所定のタイミングとして、過電流保護回路HOCPが過電流状態を検出したタイミングとしてもよい。この場合、電流回路51は、イネーブル信号Eがハイに立ち上がったタイミングで電流源50をオン状態にする。そして、過電流保護回路HOCPが過電流状態を検出すると、電流回路51は電流源50をオフ状態に切り替える。そして、所定時間が経過する、または過電流状態が検出されなくなる(過電流状態が解消される)と、電流回路51は電流源50を再びオン状態に切り替える。
【0104】
<ソフトスタート生成回路の他の例>
また、上述したようなソフトスタート生成回路18としてDAC[Digital Analog Converter]を用いる構成を採用する場合、
図11に示すような構成を採用することができる。
ここでは、ソフトスタート生成回路18z2とする。
【0105】
ソフトスタート生成回路18z2は、デジタル信号生成回路46と、DAC52を備える。DAC52は、例えばデジタル生成回路46から時間の経過とともにインクリメントされるデジタル信号Dssを受けて、アナログ信号のソフトスタート電圧Vssを生成する。
【0106】
DAC52は、所定のタイミングでソフトスタート電圧Vssの生成動作を強制停止し、停止後に所定のスイッチング周期でソフトスタート電圧Vssの生成動作を再開する。ソフトスタート電圧Vssの生成動作の停止に合わせて、デジタル信号生成回路46はデジタル信号Dssのインクリメントを停止する。また、ソフトスタート電圧Vssの生成動作の再開に合わせて、デジタル信号生成回路46はデジタル信号Dssのインクリメントを再開する。
【0107】
上記所定のタイミングとして具体的には、次の通りである。上述したようにソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの差分電圧が所定電圧Vaに達したタイミングでソフトスタート電圧Vssの生成動作を強制停止し、この差分電圧が所定電圧Vbまで低下するとソフトスタート電圧Vssの生成動作を再開する。
【0108】
また、上記所定のタイミングとして、次のようにしてもよい。過電流保護回路HOCPが過電流状態を検出したタイミングでソフトスタート電圧Vssの生成動作を停止し、所定時間が経過する、または過電流状態が検出されなくなる(過電流状態が解消される)と、ソフトスタート電圧Vssの生成動作を再開する。
【0109】
なお、先出した半導体装置100x、100yに含まれるソフトスタート生成回路18についても、ソフトスタート生成回路18z1またはソフトスタート生成回路18z2の構成を採用することができる。
【0110】
図12は、先出の半導体装置100xにソフトスタート生成回路18z1を採用した場合の、ソフトスタート生成回路18z1の構成を示すブロック図である。
図12に示すように、先出の半導体装置100xにソフトスタート生成回路18z1を採用した場合、電流回路51は、上述した所定のタイミングで電流源50のオン/オフ状態を切り換え可能なように構成されている。
【0111】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、ソフトスタート生成回路18は、ソフトスタート電圧Vssの上昇を一時的に停止した後、ソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの差分が所定値になるとソフトスタート電圧Vssの上昇を再開する、としたが、これに限られない。例えば、ソフトスタート電圧Vssの上昇を一時的に停止した後、所定の時間が経過するとソフトスタート電圧Vssの上昇を再開するようにしてもよい。
【0112】
<付記>
明細書に開示されている電源制御回路(15x)は、時間経過により徐々に上昇するソフトスタート電圧(Vss)を出力するように構成されたソフトスタート生成回路(18)と、スイッチ出力段(12)の出力電圧(Vout)に応じた帰還電圧(Vfb)とソフトスタート電圧(Vss)との差分に応じた誤差信号(V1)を生成するように構成された誤差信号生成回路(20)と、誤差信号(V1)に応じてスイッチ出力段(12)を制御するように構成された出力制御回路(21)と、帰還電圧(Vfb)に応じてソフトスタート電圧(Vss)を制御するように構成されたソフトスタート制御回路(28)と、を備える構成(第1の構成)とされている。
【0113】
なお、第1の構成からなる電源制御回路(15x)は、誤差信号生成回路(20)は、所定の基準電圧(Vref)及びソフトスタート電圧(Vss)の低い方と帰還電圧(Vfb)との差分に応じて誤差信号(V1)を生成するように構成するとよい(第2の構成)。
【0114】
また、第2の構成からなる電源制御回路(15x)は、ソフトスタート生成回路(18)は、充電量に応じたソフトスタート電圧(Vss)を出力するように構成されたキャパシタ(Css)を備え、ソフトスタート制御回路(28)は、基準電圧(Vref)及びソフトスタート電圧(Vss)の低い方と帰還電圧(Vfb)との差分に応じてキャパシタ(Css)を充放電するように構成された充放電制御回路(41)を備えるように構成するとよい(第3の構成)。
【0115】
また、第3の構成からなる電源制御回路(15x)は、充放電制御回路(41)は、ソフトスタート電圧(Vss)が基準電圧(Vref)より低い状態で、帰還電圧(Vfb)とソフトスタート電圧(Vss)とが一致するようにキャパシタ(Css)を充放電し、ソフトスタート電圧(Vss)が基準電圧(Vref)より高い状態で、帰還電圧(Vfb)と基準電圧(Vref)とが一致するようにキャパシタ(Css)を充放電するように構成するとよい(第4の構成)。
【0116】
また、第1の構成からなる電源制御回路(15x)は、出力制御回路(21)は、誤差信号(V1)に応じてスイッチ出力段(12)のオンデューティを制御するように構成するとよい(第5の構成)。
【0117】
明細書中に開示されている電源装置(X)は、第1の構成から第5の構成のいずれかに記載の電源制御回路(15x)と、スイッチ出力段(12)と、を備え、入力電圧(Vin)から出力電圧(Vout)を生成するように構成するとよい(第6の構成)。
【0118】
また、明細書に開示されている電源制御回路(15x、15y)は、時間経過により徐々に上昇するソフトスタート電圧(Vss)を出力するように構成されたソフトスタート生成回路(18)と、スイッチ出力段(12)の出力電圧(Vout)に応じた帰還電圧(Vfb)とソフトスタート電圧(Vss)との差分に応じた誤差信号(V1)を生成するように構成された誤差信号生成回路(20)と、誤差信号(V1)に応じてスイッチ出力段(12)を制御するように構成された出力制御回路(21)と、を備える電源制御回路(15x、15y)において、ソフトスタート生成回路(18)は、ソフトスタート電圧(Vss)の上昇を一時的に停止可能なように構成されていてもよい(第7の構成)。
【0119】
なお、第7の構成からなる電源制御回路(15x、15y)は、ソフトスタート生成回路(18)は、ソフトスタート電圧(Vss)と帰還電圧(Vfb)との差分に応じて、ソフトスタート電圧(Vss)の上昇を一時的に停止可能なように構成するとよい(第8の構成)。
【0120】
また、第7の構成からなる電源制御回路(15x、15y)は、スイッチ出力段(12)が出力する出力電流(IL)の値が所定の過電流保護値以上か否かを検出可能なように構成された過電流検出回路(HOCP)を備え、ソフトスタート生成回路(18)は、過電流検出回路(HOCP)の検出結果に応じてソフトスタート電圧(Vss)の上昇を一時的に停止可能であるように構成するとよい(第9の構成)。
【0121】
また、第7の構成からなる電源制御回路(15x、15y)は、出力制御回路(21)は、過電流検出回路(HOCP)の検出結果に応じて出力電流(IL)の生成動作を強制停止した後、所定のスイッチング周期で出力電流(IL)の生成動作を再開するように構成するとよい(第10の構成)。
【0122】
また、第7の構成からなる電源制御回路(15x、15y)は、ソフトスタート生成回路(18)は、充電量に応じたソフトスタート電圧(Vss)を出力するキャパシタ(Css)と、キャパシタ(Css)を充電可能な電流源(38)と、キャパシタ(Css)を充電または充電を停止するように電流源(38)のオン/オフ制御を可能なように構成された電流回路(aa)と、を備え、キャパシタ(Css)の充電を停止することでソフトスタート電圧(Vss)の上昇を停止するように構成するとよい(第11の構成)。
【0123】
また、第7の構成からなる電源制御回路(15x、15y)は、所定の基準電圧(Vref)およびソフトスタート電圧(Vss)の低い方と帰還電圧(Vfb)との差分に応じてソフトスタート電圧(Vss)を制御するように構成されたソフトスタート制御回路(28)を備えるように構成するとよい(第12の構成)。
【0124】
また、第12の構成からなる電源制御回路(15x、15y)は、ソフトスタート生成回路(18)は、充電量に応じたソフトスタート電圧(Vss)を出力するように構成されたキャパシタ(Css)を備え、ソフトスタート制御回路(28)は、基準電圧(Vref)およびソフトスタート電圧(Vss)の低い方と帰還電圧(Vfb)との差分に応じてキャパシタ(Css)を充放電するように構成された充放電制御回路(41)を備えるように構成するとよい(第13の構成)。
【0125】
また、第13の構成からなる電源制御回路(15x、15y)は、充放電制御回路(41)は、ソフトスタート電圧(Vss)が基準電圧(Vref)より低い状態で、帰還電圧(Vfb)とソフトスタート電圧(Vss)とが一致するようにキャパシタ(Css)を充放電し、ソフトスタート電圧(Vss)が基準電圧(Vref)より高い状態で、帰還電圧(Vfb)と基準電圧(Vref)とが一致するようにキャパシタ(Css)を充放電するように構成するとよい(第14の構成)。
【0126】
明細書に開示されている電源装置は、第7の構成から第14の構成のいずれかに記載の電源制御回路(15x、15y)と、スイッチ出力段(12)と、を備え、入力電圧(Vin)から誤差信号(V1)に応じた出力電圧(Vout)を生成する構成としてもよい(第15の構成)
【0127】
第1の構成に係る電源制御回路(15x)によれば、出力電圧(Vout)の出力端が地絡状態になり、地絡状態が解消されるまでの帰還電圧(Vfb)の変動に応じてソフトスタート電圧(Vss)を制御することが可能になる。このため、地絡状態が解消された直後に出力電圧(Vout)が急激に上昇するオーバーシュートを抑制し、突入電流の発生を抑制できる。
【0128】
また、第2の構成に係る電源制御回路(15x)によれば、ソフトスタート制御回路(28)がソフトスタート電圧(Vss)をより好適に制御することが可能になる。
【0129】
また、第3の構成に係る電源制御回路(15x)によれば、キャパシタ(Css)の充放電によってソフトスタート電圧(Vss)を変動させることが可能になる。これにより、ソフトスタート制御回路(28)がソフトスタート電圧(Vss)をより好適に制御することが可能になる。
【0130】
また、第4の構成に係る電源制御回路(15x)によれば、キャパシタ(Css)の充放電をより好適に制御可能になる。
【0131】
また、第5の構成に係る電源制御回路(15x)によれば、スイッチ出力段(12)のオンデューティ制御によって出力電圧(Vout)を制御可能になる。これにより、出力電圧(Vout)を好適に制御可能になる。
【0132】
また、明細書に記載の第6の構成に係る電源装置によれば、地絡状態が解消された直後に出力電圧(Vout)が急激に上昇するオーバーシュートを抑制し、突入電流の発生を抑制可能な電源装置を提供できる。
【0133】
また、第7の構成に係る電源制御回路(15x、15y)によれば、ソフトスタート電圧(Vss)と帰還電圧(Vfb)との差分が比較的大きくなる前にソフトスタート電圧(Vss)の上昇を一時的に停止させることができる。
【0134】
また、第8の構成に係る電源制御回路(15x、15y)によれば、ソフトスタート電圧(Vss)と帰還電圧(Vfb)との差分が比較的大きくなった場合に、所望のタイミングでソフトスタート電圧(Vss)の上昇を一時的に停止、または上昇を再開することができる。
【0135】
また、第9の構成に係る電源制御回路(15x、15y)によれば、出力電流(IL)が過電流状態になるとソフトスタート電圧(Vss)の上昇を一時的に停止させることができる。ソフトスタート電圧(Vss)と帰還電圧(Vfb)との差分が比較的大きくなるのを好適に抑制することができる。
【0136】
また、第10の構成に係る電源制御回路(15x、15y)によれば、より好適にソフトスタート電圧(Vss)の上昇を制御できる。
【0137】
また、第11の構成に係る電源制御回路(15x、15y)によれば、キャパシタ(Css)の充放電によってソフトスタート電圧(Vss)の上昇を制御できる。このため、より好適にソフトスタート電圧(Vss)の上昇を制御できる。
【0138】
また、第12の構成に係る電源制御回路(15x、15y)によれば、ソフトスタート電圧(Vss)と帰還電圧(Vfb)との差分が比較的大きくなるのを抑制しつつ、地絡状態が解消された直後に突入電流の発生を抑制可能になる。
【0139】
また、第13の構成に係る電源制御回路(15x、15y)によれば、キャパシタ(Css)の充放電によってソフトスタート電圧(Vss)を変動させることが可能になる。これにより、ソフトスタート制御回路(28)がソフトスタート電圧(Vss)をより好適に制御することが可能になる。
【0140】
また、第14の構成に係る電源制御回路(15x、15y)によれば、キャパシタ(Css)の充放電をより好適に制御可能になる。
【0141】
また、明細書に記載の第15の構成に係る電源装置によれば、ソフトスタート電圧(Vss)と帰還電圧(Vfb)との差分が比較的大きくなるのを抑制しつつ、地絡状態が解消された直後に突入電流の発生を抑制可能な電源装置を提供できる。
【符号の説明】
【0142】
10 整流平滑回路
11 分圧回路
12 スイッチ出力段
13 出力トランジスタ
14 同期整流トランジスタ
15x、15y 電源制御回路
16 定電圧回路
17 保護回路
18、18z1、18z2 ソフトスタート生成回路
19 オシレータ
20 誤差信号生成回路
21 出力制御回路
22 電流検出コンパレータ
23 電流検出補償回路
24 オンタイム回路
25 ドライバ制御回路
26 ハイサイドドライバ
27 ローサイドドライバ
28 ソフトスタート制御回路
29 RCP回路
30 第1トランジスタ
31 第2トランジスタ
32 第4トランジスタ
32 第3トランジスタ
33 第4トランジスタ
34 抵抗
35 アンプ
36 第1電流源
37 第2電流源
38 第3電流源
39 第5トランジスタ
40 第4電流源
41 充放電制御回路
45 ブート電源
50 電流源
51 電流回路
52 DAC
100x、100y 半導体装置
BST ブート端子
Cbst ブートキャパシタ
Creg、Ccomp キャパシタ
Cin 入力キャパシタ
Cout 出力キャパシタ
Css ソフトスタートキャパシタ
E イネーブル信号
EN イネーブル端子
FB フィードバック端子
G11 ゲート信号
G12 ゲート信号
GND 接地端子
HOCP 過電流保護回路
HOCP 電流保護回路
IL 出力電流
L1 コイル
OVP 過電圧保護回路
Pulse パルス信号
RCP 逆流電流防止回路
Rfb1、Rfb2、Rpg、Rcomp 抵抗
S1 基準クロック信号
S2 比較信号
S3 スイッチ信号
SCP 短絡保護回路
SW スイッチ端子
TSD 過熱保護回路
UVLO 低電圧誤動作防止回路
V1 誤差信号
VIN 入力端子
Va、Vb 所定電圧
Vfb 帰還電圧
Vin 入力電圧
Voffset オフセット電圧
Vout 出力電圧
Vref 基準電圧
Vss ソフトスタート電圧
Vsw スイッチ電圧
X、Y 電源装置
t1~t6、ta、tb、tx、ty タイミング