(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016364
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】基板作業装置および基板作業方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240131BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
H05K13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118423
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】東野 昌記
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC17
5E353CC23
5E353EE89
5E353LL04
5E353LL06
5E353MM04
5E353MM08
5E353QQ01
5E353QQ08
(57)【要約】
【課題】作業ユニットにより実行される所定作業の進捗の遅れの抑制と、作業ユニットを駆動する駆動機構の動作不良の発生の抑制との両立を可能とする。
【解決手段】ヘッドユニット13を駆動する駆動機構14の動作状態を示す駆動電流Idx、Idyが検出される。駆動電流Idx、Idyがトリガ閾値Iht以下の範囲から外れると、駆動電流Idx、Idyがトリガ閾値Iht以下の範囲に収まるまで駆動機構14がヘッドユニット13を駆動する速度を低下させる減速制御を実行しつつ、駆動機構14によるヘッドユニット13の駆動が継続さされる(ステップS105~S107)。したがって、駆動機構14の動作状態を示す駆動電流Idx、Idyをトリガ閾値Iht以下の範囲に収めた状態で、駆動機構14によるヘッドユニット13の駆動を継続することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬入する基板搬入部と、
前記基板搬入部によって搬入された前記基板に所定作業を実行する作業ユニットと、
前記作業ユニットに前記所定作業を実行させるために前記作業ユニットを駆動する駆動機構と、
前記駆動機構の動作状態を示す状態指標値を検出する状態検知部と、
前記状態検知部から出力される前記状態指標値に応じて前記駆動機構が前記作業ユニットを駆動する速度を制御する駆動制御部と
を備え、
前記駆動制御部は、前記状態指標値が正常範囲から外れると、前記状態指標値が前記正常範囲に収まるまで前記駆動機構が前記作業ユニットを駆動する速度を低下させる減速制御を実行して、前記駆動機構による前記作業ユニットの駆動を継続させる基板作業装置。
【請求項2】
前記基板に所定作業を実行することで作業済み基板を生産する生産計画を確認する計画確認部と、
前記減速制御を実行後の速度である第1速度で前記駆動機構による前記作業ユニットの駆動を継続した場合に前記生産計画が完了するタイミングである第1予測タイミングを予測する第1予測部と、
前記第1予測部により予測された前記第1予測タイミングが、前記生産計画を完了すべきタイミングである完了目標タイミングの後か否かを判定する第1タイミング判定部と、
前記第1予測タイミングが前記完了目標タイミングの後であると判定されると、前記第1速度より速い第2速度で前記駆動機構による前記作業ユニットの駆動を実行した場合に前記生産計画が完了するタイミングである第2予測タイミングを予測する第2予測部と、
前記第2予測部により予測された前記第2予測タイミングが、前記完了目標タイミングの以前か否かを判定する第2タイミング判定部と
をさらに備え、
前記第2予測タイミングが前記完了目標タイミングの以前であると判定されると、前記駆動制御部は、前記駆動機構が前記作業ユニットを駆動する速度を前記第1速度から前記第2速度に増加させることで、前記状態指標値が前記正常範囲から外れた状態で、前記駆動機構による前記作業ユニットの駆動を実行させる請求項1に記載の基板作業装置。
【請求項3】
前記基板に所定作業を実行することで作業済み基板を生産する生産計画を確認する計画確認部と、
前記減速制御を実行後の速度である第1速度で前記駆動機構による前記作業ユニットの駆動を継続した場合に前記生産計画が完了するタイミングである第1予測タイミングを予測する第1予測部と、
前記第1予測部により予測された前記第1予測タイミングが、前記生産計画を完了すべきタイミングである完了目標タイミングの後か否かを判定する第1タイミング判定部と、
前記第1予測タイミングが前記完了目標タイミングの後であると判定されると、前記第1速度より速い第2速度で前記駆動機構による前記作業ユニットの駆動を実行した場合に前記生産計画が完了するタイミングである第2予測タイミングを予測する第2予測部と、
前記第2予測部により予測された前記第2予測タイミングが、前記完了目標タイミングの以前か否かを判定する第2タイミング判定部と、
前記第2予測タイミングが前記完了目標タイミングの以前であるとの判定結果が前記第2タイミング判定部により得られると、前記駆動機構が前記作業ユニットを駆動する速度を前記第1速度から前記第2速度に増加させるか否かをユーザに確認するユーザ操作部と
をさらに備え、
前記駆動機構が前記作業ユニットを駆動する速度を前記第1速度から前記第2速度に増加させるとの指令が前記ユーザ操作部に入力されると、前記駆動制御部は、前記駆動機構が前記作業ユニットを駆動する速度を前記第1速度から前記第2速度に増加させることで、前記状態指標値が前記正常範囲から外れた状態で、前記駆動機構による前記作業ユニットの駆動を実行させる請求項1に記載の基板作業装置。
【請求項4】
前記減速制御がN回(Nは2以上の整数)発生すると、ユーザにメンテナンスの実行が必要であると報知するユーザ報知部をさらに備える請求項1に記載の基板作業装置。
【請求項5】
前記駆動制御部は、前記減速制御がN回(Nは2以上の整数)発生すると、前記駆動機構に前記作業ユニットを停止させる請求項1に記載の基板作業装置。
【請求項6】
前記状態指標値は、前記駆動制御部が備える前記作業ユニットを駆動するモータに印加される電流、前記駆動制御部の振動、前記駆動制御部の温度あるいは前記駆動制御部から生じる音を示す請求項1ないし5のいずれか一項に記載の基板作業装置。
【請求項7】
基板を搬入する工程と、
搬入された前記基板に所定作業を実行する作業ユニットに前記所定作業を実行させるために前記作業ユニットを駆動機構により駆動する工程と、
前記駆動機構の動作状態を示す状態指標値を検出する工程と、
前記状態指標値に応じて前記駆動機構が前記作業ユニットを駆動する速度を制御する工程と
を備え、
前記状態指標値が正常範囲から外れると、前記状態指標値が前記正常範囲に収まるまで前記駆動機構が前記作業ユニットを駆動する速度を低下させる減速制御を実行して、前記駆動機構による前記作業ユニットの駆動を継続させる基板作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板への部品の実装、基板への半田の印刷あるいは基板の検査といった基板に対する所定作業を作業ユニットに実行させるために当該作業ユニットを駆動する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装する部品実装機では、フィーダにより供給された部品を基板に実装するヘッドユニットと、ヘッドユニットを駆動するXY駆動機構とが具備される。基板に半田を印刷する半田印刷機では、上面に半田が供給されたマスクの上面をX方向に摺動することでマスクの下面の基板に半田を印刷するスキージと、スキージを駆動するX駆動機構とが具備される。また、基板を検査する基板検査機では、基板を撮像するカメラと、当該カメラを駆動するXY駆動機構とが具備される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板作業装置(部品実装機、半田印刷機あるいは基板検査機)で使用される駆動機構には衰えが生じうる。このような衰えが生じた状況で、駆動機構に作業ユニット(ヘッドユニット、スキージあるいはカメラ)を駆動させると、駆動機構の動作に不良が生じるおそれがある。これに対して、特許文献1では、劣化指標パラメータが閾値を超えると、駆動機構を停止させるといった制御が提案されている。そこで、駆動機構の衰えの発生に応じて駆動機構による作業ユニットの駆動を停止させることで、駆動機構の動作の改善を図ることができる。しかしながら、作業ユニットの停止は、当該作業ユニットにより実行される所定作業の進捗の遅れの原因となる。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、作業ユニットにより実行される所定作業の進捗の遅れの抑制と、作業ユニットを駆動する駆動機構の動作不良の発生の抑制との両立を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る基板作業装置は、基板を搬入する基板搬入部と、基板搬入部によって搬入された基板に所定作業を実行する作業ユニットと、作業ユニットに所定作業を実行させるために作業ユニットを駆動する駆動機構と、駆動機構の動作状態を示す状態指標値を検出する状態検知部と、状態検知部から出力される状態指標値に応じて駆動機構が作業ユニットを駆動する速度を制御する駆動制御部とを備え、駆動制御部は、状態指標値が正常範囲から外れると、状態指標値が正常範囲に収まるまで駆動機構が作業ユニットを駆動する速度を低下させる減速制御を実行して、駆動機構による作業ユニットの駆動を継続させる。
【0007】
本発明に係る基板作業方法は、基板を搬入する工程と、搬入された基板に所定作業を実行する作業ユニットに所定作業を実行させるために作業ユニットを駆動機構により駆動する工程と、駆動機構の動作状態を示す状態指標値を検出する工程と、状態指標値に応じて駆動機構が作業ユニットを駆動する速度を制御する工程とを備え、状態指標値が正常範囲から外れると、状態指標値が正常範囲に収まるまで駆動機構が作業ユニットを駆動する速度を低下させる減速制御を実行して、駆動機構による作業ユニットの駆動を継続させる。
【0008】
このように構成された本発明(基板作業装置、基板作業方法)では、作業ユニットを駆動する駆動機構の動作状態を示す状態指標値が検出される。そして、状態指標値が正常範囲から外れると、状態指標値が正常範囲に収まるまで駆動機構が作業ユニットを駆動する速度を低下させる減速制御を実行しつつ、駆動機構による作業ユニットの駆動が継続さされる。したがって、駆動機構の動作状態を示す状態指標値を正常範囲に収めた状態で、駆動機構による作業ユニットの駆動を継続することができる。その結果、作業ユニットにより実行される所定作業の進捗の遅れの抑制と、作業ユニットを駆動する駆動機構の動作不良の発生の抑制とを両立させることが可能となっている。
【0009】
また、基板に所定作業を実行することで作業済み基板を生産する生産計画を確認する計画確認部と、減速制御を実行後の速度である第1速度で駆動機構による作業ユニットの駆動を継続した場合に生産計画が完了するタイミングである第1予測タイミングを予測する第1予測部と、第1予測部により予測された第1予測タイミングが、生産計画を完了すべきタイミングである完了目標タイミングの後か否かを判定する第1タイミング判定部と、第1予測タイミングが完了目標タイミングの後であると判定されると、第1速度より速い第2速度で駆動機構による作業ユニットの駆動を実行した場合に生産計画が完了するタイミングである第2予測タイミングを予測する第2予測部と、第2予測部により予測された第2予測タイミングが、完了目標タイミングの以前か否かを判定する第2タイミング判定部とをさらに備え、第2予測タイミングが完了目標タイミングの以前であると判定されると、駆動制御部は、駆動機構が作業ユニットを駆動する速度を第1速度から第2速度に増加させることで、状態指標値が正常範囲から外れた状態で、駆動機構による作業ユニットの駆動を実行させるように、基板作業装置を構成してもよい。
【0010】
かかる構成では、駆動機構の動作状態を示す状態指標値が正常範囲から外れると、上記の減速制御が実行される。これによって、駆動機構の動作の改善を図ることができる。さらに、この減速制御の実行後において、駆動機構が作業ユニットを駆動する速度を減速制御後の第1速度から第2速度に増加させることで、完了目標タイミングにおいて生産計画を完了できると判定された場合には、第1速度から第2速度への増加が実行される。こうして、減速制御の実行により駆動機構の動作の改善を図った上で、駆動機構が作業ユニットを駆動する速度を増加させて、完了目標タイミングまでに生産計画を完了させることが可能となっている。
【0011】
また、基板に所定作業を実行することで作業済み基板を生産する生産計画を確認する計画確認部と、減速制御を実行後の速度である第1速度で駆動機構による作業ユニットの駆動を継続した場合に生産計画が完了するタイミングである第1予測タイミングを予測する第1予測部と、第1予測部により予測された第1予測タイミングが、生産計画を完了すべきタイミングである完了目標タイミングの後か否かを判定する第1タイミング判定部と、第1予測タイミングが完了目標タイミングの後であると判定されると、第1速度より速い第2速度で駆動機構による作業ユニットの駆動を実行した場合に生産計画が完了するタイミングである第2予測タイミングを予測する第2予測部と、第2予測部により予測された第2予測タイミングが、完了目標タイミングの以前か否かを判定する第2タイミング判定部と、第2予測タイミングが完了目標タイミングの以前であるとの判定結果が第2タイミング判定部により得られると、駆動機構が作業ユニットを駆動する速度を第1速度から第2速度に増加させるか否かをユーザに確認するユーザ操作部とをさらに備え、駆動機構が作業ユニットを駆動する速度を第1速度から第2速度に増加させるとの指令がユーザ操作部に入力されると、駆動制御部は、駆動機構が作業ユニットを駆動する速度を第1速度から第2速度に増加させることで、状態指標値が正常範囲から外れた状態で、駆動機構による作業ユニットの駆動を実行させるように、基板作業装置を構成してもよい。
【0012】
かかる構成では、駆動機構の動作状態を示す状態指標値が正常範囲から外れると、上記の減速制御が実行される。これによって、駆動機構の動作の改善を図ることができる。さらに、この減速制御の実行後において、駆動機構が作業ユニットを駆動する速度を減速制御後の第1速度から第2速度に増加させることで、完了目標タイミングにおいて生産計画を完了できると判定された場合には、第1速度から第2速度への増加を実行するか否かがユーザに確認される。そして、第1速度から第2速度への増加の指令がユーザによって入力されると、第1速度から第2速度への増加が実行される。こうして、減速制御の実行により駆動機構の動作の改善を図った上で、駆動機構が作業ユニットを駆動する速度を増加させて、完了目標タイミングまでに生産計画を完了させることが可能となっている。
【0013】
また、減速制御がN回(Nは2以上の整数)発生すると、ユーザにメンテナンスの実行が必要であると報知するユーザ報知部をさらに備えるように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、駆動機構の衰えが酷い場合には、駆動機構のメンテナンスをユーザに促すことができる。
【0014】
また、駆動制御部は、減速制御がN回(Nは2以上の整数)発生すると、駆動機構に作業ユニットを停止させるように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、駆動機構の衰えが酷い状態で駆動機構による作業ユニットの駆動が実行されたことで、駆動機構が故障するのを抑制できる。
【0015】
なお、状態指標値の具体例は種々考えられる。例えば、状態指標値は、駆動制御部が備える作業ユニットを駆動するモータに印加される電流、駆動制御部の振動、駆動制御部の温度あるいは駆動制御部から生じる音を示すように、基板作業装置を構成してもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、作業ユニットにより実行される所定作業の進捗の遅れの抑制と、作業ユニットを駆動する駆動機構の動作不良の発生の抑制との両立が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図。
【
図3】
図2の部品実装機において実行される速度最適化制御の一例を示すフローチャート。
【
図5】
図2の部品実装機において実行される生産効率制御の第1例を示すフローチャート。
【
図6】
図2の部品実装機において実行される生産効率制御の第2例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は部品実装機を模式的に示す平面図である。
図1では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。この部品実装機1は、基板Bに設けられた実装箇所に部品Pを実装する。基板Bは例えばプリント基板であり、実装箇所は例えばプリント基板に設けられたランドである。また、部品Pは、集積回路、トランジスタあるいはコンデンサ等の電子部品である。
【0019】
部品実装機1は、X方向に基板Bを搬送する基板搬送部11を備える。基板搬送部11は、X方向に並列に配列された一対のコンベア111を有し、これらコンベア111によって基板BをX方向に搬送する。そして、基板搬送部11によりX方向(基板搬送方向)の上流側(
図1の左側)から作業位置Lo(
図1の基板Bの位置)に搬入された基板Bに対して部品Pが実装され、部品Pの実装が完了した基板B(部品実装基板B)が基板搬送部11により作業位置LoからX方向の下流側へ搬出される。
【0020】
また、部品実装機1は、基板搬送部11のY方向の両側に配置された部品供給部12を備える。各部品供給部12においては、複数のテープフィーダ121がX方向に配列されており、各テープフィーダ121に対しては、一列に配列された複数のポケットのそれぞれに部品Pを収納する部品収納テープが装着されている。テープフィーダ121は、Y方向における基板搬送部11側の先端部に部品供給個所122を有し、部品収納テープを部品供給個所122に向けてY方向に送り出すことで、部品収納テープ内の部品Pを部品供給個所122に供給する。
【0021】
さらに、部品実装機1は、テープフィーダ121によって部品供給個所122に供給された部品Pを、基板搬送部11によって作業位置Loに支持される基板Bに実装するヘッドユニット13を備える。
図1の例では、ヘッドユニット13は、ロータリタイプの実装ヘッド131を有し、ロータリ型の実装ヘッド131は、円周状に配列された複数のノズル132を有する。ただし、基板Bに部品Pを実装する実装ヘッドのタイプは、ロータリタイプに限られず、X方向に一列に配列された複数のノズル132を有するインラインタイプでもよい。
【0022】
この実装ヘッド131は、テープフィーダ121の上方へ移動して、テープフィーダ121により部品供給個所122に供給された部品Pにノズル132を当接させる。そして、実装ヘッド431は、ノズル132に与えられた負圧によって、部品Pを吸着(ピックアップ)する。実装ヘッド131は、こうしてノズル132により吸着した部品Pを、作業位置Loの基板Bの実装箇所(ランド)に移載する(部品実装作業)。
【0023】
また、部品実装機1は、ヘッドユニット13をX方向およびY方向に駆動する駆動機構14を備える。駆動機構14は、X方向に平行に設けられたX軸レール141と、X方向に平行にX軸レール141に取り付けられたX軸ボールネジ142と、X軸ボールネジ142を回転させるX軸モータMxとを有する。X軸モータMxは、
図2を用いて後述するX軸モータ制御部162から印加された駆動電流Idxの電流値に応じたトルクでX軸ボールネジ142を回転させる。X軸レール141は、X方向に移動可能にヘッドユニット13を支持し、X軸ボールネジ142のナットにヘッドユニット13が取り付けられている。また、駆動機構14は、Y方向に平行に設けられた一対のY軸レール144と、Y方向に平行に設けられたY軸ボールネジ145と、Y軸ボールネジ145を回転させるY軸モータMyとを有する。Y軸モータMyは、
図2を用いて後述するY軸モータ制御部163から印加された駆動電流Idyの電流値に応じたトルクでY軸ボールネジ145を回転させる。一対のY軸レール144は、Y方向に移動可能にX軸レール141を支持し、Y軸ボールネジ145のナットにX軸レール141が取り付けられている。かかる駆動機構14は、いわゆるXY駆動機構として機能する。つまり、駆動機構14によれば、X軸モータMxによってX軸ボールネジ142を回転させることでヘッドユニット13をX方向に駆動し、Y軸モータMyによってY軸ボールネジ145を回転させることでヘッドユニット13をY方向に駆動することができる。
【0024】
図2は
図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図である。
図2が示すように、部品実装機1は、UI(User Interface)15および制御部16を備える。UI15は、マウスやキーボード等の入力機器と、ディスプレイ等の出力機器とを備える。ただし、入力機器と出力機器とを別体で構成する必要はなく、タッチパネルディスプレイによってこれらを一体的に構成してもよい。
【0025】
制御部16は、主制御部161、X軸モータ制御部162、Y軸モータ制御部163および記憶部164を有する。主制御部161は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されたプロセッサであり、X軸モータ制御部162、Y軸モータ制御部163および記憶部164を制御する。記憶部164は、HDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)等の記憶装置であり、生産計画PLを保存する。この生産計画PLは、基板Bのランドのそれぞれに所定の部品Pの実装を完了した基板Bである部品実装基板Bの生産計画を示し、部品実装基板Bの種類や生産枚数に関する情報を含む。
【0026】
X軸モータ制御部162は、X軸モータMxによるヘッドユニット13のX方向への駆動を制御する。部品実装機1では、X軸モータMxの回転位置を検知するX軸エンコーダExが具備されており、X軸モータ制御部162は、X軸モータMxによるヘッドユニット13の駆動速度Vdxを、X軸エンコーダExの検知結果に基づき測定する。そして、X軸モータ制御部162は、所定の目標速度Vtxと駆動速度Vdxとの差に基づきX軸モータMxに与える駆動電流Idxをフィードバック制御することで、駆動速度Vdxを目標速度Vtxに収束させて、ヘッドユニット13を目標速度VtxでX方向に等速移動させる。
【0027】
Y軸モータ制御部163は、Y軸モータMyによるヘッドユニット13のY方向への駆動を制御する。部品実装機1では、Y軸モータMyの回転位置を検知するY軸エンコーダEyが具備されており、Y軸モータ制御部163は、Y軸モータMyによるヘッドユニット13の駆動速度Vdyを、Y軸エンコーダEyの検知結果に基づき測定する。そして、Y軸モータ制御部163は、所定の目標速度Vtyと駆動速度Vdyとの差に基づきY軸モータMyに与える駆動電流Idyをフィードバック制御することで、駆動速度Vdyを目標速度Vtyに収束させて、ヘッドユニット13を目標速度VtyでY方向に等速移動させる。
【0028】
図3は
図2の部品実装機において実行される速度最適化制御の一例を示すフローチャートであり、
図4は
図3で実行される動作を模式的に示す図である。
図3の速度最適化制御は、ヘッドユニット13のX方向への速度およびY方向の速度のいずれに対しても同様に実行可能である。ここでは、ヘッドユニット13のX方向への速度に対して、
図3の速度最適化制御を実行する場合について説明する。
【0029】
図4では、時間を横軸として駆動電流を縦軸とするグラフが示されている。特に
図4では、トリガ閾値Ihtと、当該トリガ閾値Ihtより大きい限界閾値Ihlとが示されており、
図3の速度最適化制御は、トリガ閾値Ihtおよび限界閾値Ihlを用いて実行される。ここで、限界閾値Ihlは、例えばX軸モータMxの定格電流値である。また、トリガ閾値Ihtは、例えばUI15への操作によってユーザにより設定される。
【0030】
ステップS101では、X軸モータ制御部162は、X軸モータMxに印加している駆動電流Idxを確認する。ステップS102では、X軸モータ制御部162は、ステップS101で確認した駆動電流Idxが限界閾値Ihl以下であるかを判定する。そして、駆動電流Idxが限界閾値Ihlより大きい場合(ステップS102で「NO」の場合)には、X軸モータ制御部162は、X軸モータMxを停止させる(ステップS103)。つまり、駆動機構14に重大な故障が発生して、X軸モータMxにかかる負荷が急激に増大したおそれがあるため、X軸モータMxが緊急的に停止される。
【0031】
駆動電流Idxが限界閾値Ihl以下である場合(ステップS102で「YES」の場合)には、X軸モータ制御部162は、駆動電流Idxがトリガ閾値Iht以下であるかを判定する(ステップS104)。そして、駆動電流Idxがトリガ閾値Iht以下である場合(ステップS104で「YES」の場合)には、X軸モータ制御部162は、ステップS101に戻る。
【0032】
一方、駆動電流Idxがトリガ閾値Ihtより大きい場合(ステップS104で「NO」の場合)には、X軸モータ制御部162は、X軸モータMxによってX方向に駆動されるヘッドユニット13の速度を減少させる(ステップS105)。ヘッドユニット13の減速は、例えばX軸モータMxのフィードバック制御における目標速度Vtxを所定の減速幅だけ減少させることで実行できる。そして、X軸モータ制御部162は、X軸モータMxに印加される駆動電流Idxを確認して(ステップS106)、駆動電流Idxがトリガ閾値Iht以下であるかを判定する(ステップS107)。駆動電流Idxがトリガ閾値Ihtより大きい場合(ステップS107で「NO」の場合)には、ステップS105~S106が繰り返される。
【0033】
こうして、駆動電流Idxがトリガ閾値Iht以下になるまで、ステップS105~S107(減速制御)によるヘッドユニット13の減速が繰り返される。そして、駆動電流Idxがトリガ閾値Iht以下になると、ステップS101に戻って、駆動機構14によるヘッドユニット13の駆動は、減速後の速度で継続される
以上に説明する実施形態では、ヘッドユニット13(作業ユニット)を駆動する駆動機構14の動作状態を示す駆動電流Idx、Idy(状態指標値)が検出される。そして、駆動電流Idx、Idyがトリガ閾値Iht以下の範囲から外れると、駆動電流Idx、Idyがトリガ閾値Iht以下の範囲に収まるまで駆動機構14がヘッドユニット13を駆動する速度を低下させる減速制御を実行しつつ、駆動機構14によるヘッドユニット13の駆動が継続さされる(ステップS105~S107)。したがって、駆動機構14の動作状態を示す駆動電流Idx、Idyをトリガ閾値Iht以下の範囲に収めた状態で、駆動機構14によるヘッドユニット13の駆動を継続することができる。その結果、ヘッドユニット13により実行される部品実装作業(所定作業)の進捗の遅れの抑制と、ヘッドユニット13を駆動する駆動機構14の動作不良の発生の抑制とを両立させることが可能となっている。
【0034】
図5は
図2の部品実装機において実行される生産効率制御の第1例を示すフローチャートである。
図5の生産効率制御は、
図3の速度最適化制御のステップS105~S107(減速制御)によるヘッドユニット13の減速の後に実行され、減速制御の後のヘッドユニット13の速度によって、生産計画PLに基づき生産される部品実装基板Bの納期が達成可能であるかを判定した結果に基づき、ヘッドユニット13の速度を制御する。なお、
図5の生産効率制御は、ヘッドユニット13のX方向への速度およびY方向の速度のいずれに対しても同様に実行可能である。ここでは、ヘッドユニット13のX方向への速度に対して、
図5の生産効率制御を実行する場合について説明する。
【0035】
ステップS201では、X軸モータ制御部162は、減速制御(ステップS105~S107)を実行後の速度Vx1(すなわち、現在の速度Vx1)で駆動機構14によるヘッドユニット13の駆動を継続した場合に生産計画PLが完了する第1予測タイミングTp1を予測する。ステップS202では、X軸モータ制御部162は、納期達成のために生産計画PLを完了すべき完了目標タイミングTtと第1予測タイミングTp1とを比較して、第1予測タイミングTp1が完了目標タイミングTtの以前であるか否かを判定することで、納期が達成できるか否かを判定する。そして、第1予測タイミングTp1が完了目標タイミングTt以前であって、納期が達成できる場合(ステップS202で「YES」の場合)には、
図5の生産効率制御を終了する。
【0036】
一方、第1予測タイミングTp1が完了目標タイミングTtより後であって、納期が達成できない場合(ステップS202で「NO」の場合)には、X軸モータ制御部162は、速度Vx1より速い速度Vx2で駆動機構14によるヘッドユニット13の駆動を実行した場合に生産計画PLが完了する第2予測タイミングTp2を予測する。ここで、速度Vx2は、速度Vx1より速い適当な速度に設定でき、例えば、減速制御(ステップS105~S107)を実行する前の目標速度Vtxに設定でき、あるいは当該目標速度Vtxより低くて速度Vx1より高い速度に設定できる。
【0037】
ステップS204では、X軸モータ制御部162は、完了目標タイミングTtと第2予測タイミングTp2とを比較して、第2予測タイミングTp2が完了目標タイミングTtの以前であるか否かを判定することで、納期が達成できるか否かを判定する。そして、第2予測タイミングTp2が完了目標タイミングTtの後であって、納期が達成できない場合(ステップS204で「NO」の場合)には、
図5の生産効率制御を終了する。一方、第2予測タイミングTp2が完了目標タイミングTt以前であって、納期が達成できる場合(ステップS204で「YES」の場合)には、X軸モータMxによってX方向にヘッドユニット13を駆動する速度を、速度Vx1から速度Vx2に増大させる(ステップS205)。
【0038】
これによって、X軸モータ制御部162は、X軸モータMxによりヘッドユニット13を駆動する目標速度Vtxを速度Vx1から速度Vx2に変更する。このように、目標速度Vtxが増大された結果、X軸モータ制御部162がX軸モータMxに印加する駆動電流Idxは、トリガ閾値Ihtより大きくなる。ただし、X軸モータ制御部162は、生産計画PLが完了するまでは、減速制御(ステップS105~S107)の実行を禁止する。
【0039】
このように
図5の生産効率制御の第1例では、X軸モータ制御部162(計画確認部)は、基板Bに部品実装作業(所定作業)を実行することで部品実装基板Bを生産する生産計画PLを確認する。また、X軸モータ制御部162(第1予測部)は、減速制御(ステップS105~S107)の実行後の速度である速度Vx1(第1速度)で駆動機構14によるヘッドユニット13の駆動を継続した場合に生産計画PLが完了するタイミングである第1予測タイミングTp1を予測する(ステップS201)。そして、X軸モータ制御部162(第1タイミング判定部)は、第1予測タイミングTp1が、生産計画PLを完了すべきタイミングである完了目標タイミングTtの後か否かを判定する(ステップS202)。第1予測タイミングTp1が完了目標タイミングTtの後であると判定されると(ステップS202で「NO」)、X軸モータ制御部162(第2予測部)は、速度Vx1より速い速度Vx2で駆動機構14によるヘッドユニット13の駆動を実行した場合に生産計画PLが完了するタイミングである第2予測タイミングTp2を予測する(ステップS203)。そして、X軸モータ制御部162(第2タイミング判定部)は、第2予測タイミングTp2が、完了目標タイミングTtの以前か否かを判定する(ステップS204)。第2予測タイミングTp2が完了目標タイミングTtの以前であると判定されると(ステップS204で「YES」)、X軸モータ制御部162(駆動制御部)は、駆動機構14がヘッドユニット13を駆動する速度を速度Vx1から速度Vx2に増加させる。これによって、駆動電流Idx(状態指標値)がトリガ閾値Iht以下の範囲(正常範囲)から外れた状態で、駆動機構14によるヘッドユニット13の駆動が実行される。なお、駆動電流Id(状態指標値)は、限界閾値Ihl以下である。つまり、駆動電流Id(状態閾値)は、トリガ閾値Ihtより大きく限界閾値Ihl以下となる。
【0040】
かかる構成では、駆動機構14の動作状態を示す駆動電流Idx(状態指標値)がトリガ閾値Iht以下の範囲(正常範囲)から外れると、上記の減速制御(ステップS105~S107)が実行される。これによって、駆動機構14の動作の改善を図ることができる。さらに、この減速制御(ステップS105~S107)の実行後において、駆動機構14がヘッドユニット13を駆動する速度を減速制御後の速度Vx1(第1速度)から速度Vx2(第2速度)に増加させることで、完了目標タイミングTtおいて生産計画PLを完了できると判定された場合(ステップS204で「YES」の場合)には、速度Vx1から速度Vx2への増加が実行される(ステップS205)。こうして、減速制御(ステップS105~S107)の実行により駆動機構14の動作の改善を図った上で、駆動機構14がヘッドユニット13を駆動する速度を増加させて、完了目標タイミングTtまでに生産計画PLを完了させることが可能となっている。
【0041】
図6は
図2の部品実装機において実行される生産効率制御の第2例を示すフローチャートである。
図6の生産効率制御は、
図3の速度最適化制御のステップS105~S107(減速制御)によるヘッドユニット13の減速の後に実行される。ここでは、
図5の第1例との差異点を中心に説明することとし、第1例との共通点については相当符号を付して適宜説明を省略する。また、第1例と同様に、ここでは、ヘッドユニット13のX方向への速度に対して、
図6の生産効率制御を実行する場合について説明する。
【0042】
図6の第2例では、
図5の第1例と同様に、ステップS201~S204が実行される。そして、ステップS204において、駆動機構14がヘッドユニット13を駆動する速度を減速制御後の速度Vx1から速度Vx2に増加させることで、完了目標タイミングTtおいて生産計画PLを完了できると判定された場合(「YES」簿判定された場合)には、X軸モータ制御部162は、ヘッドユニット13の速度を速度Vx1から速度Vx2に増大させることを提案する提案画面を、UI15のディスプレイに表示する。そして、X軸モータ制御部162は、ヘッドユニット13の速度の速度Vx1から速度Vx2への増大を指示する入力をユーザがUI15に実行したのを確認すると(ステップS207で「YES」)、X軸モータMxによってX方向にヘッドユニット13を駆動する速度を、速度Vx1から速度Vx2に増大させる(ステップS205)。
【0043】
このように
図6の生産効率制御の第2例では、第2予測タイミングTp2が、完了目標タイミングTtの以前であるとの判定結果が得られると(ステップS204で「YES」)、駆動機構14がヘッドユニット13を駆動する速度を速度Vx1から速度Vx2に増加させるか否かを、UI15(ユーザ操作部)がユーザに確認する(ステップS206)。そして、速度Vx1から速度Vx2に増加させる指令がUI15に入力されると(ステップS207で「YES」)、X軸モータ制御部162(駆動制御部)は、駆動機構14がヘッドユニット13を駆動する速度を速度Vx1から速度Vx2に増加させる(ステップS205)。これによって、駆動電流Idx(状態指標値)がトリガ閾値Iht以下の範囲(正常範囲)から外れた状態で、駆動機構14によるヘッドユニット13の駆動が実行される。
【0044】
かかる構成では、駆動機構14の動作状態を示す駆動電流Idx(状態指標値)がトリガ閾値Iht以下の範囲(正常範囲)から外れると、上記の減速制御(ステップS105~S107)が実行される。これによって、駆動機構14の動作の改善を図ることができる。さらに、この減速制御(ステップS105~S107)の実行後において、駆動機構14がヘッドユニット13を駆動する速度を減速制御後の速度Vx1(第1速度)から速度Vx2(第2速度)に増加させることで、完了目標タイミングTtにおいて生産計画PLを完了できると判定された場合(ステップS204で「YES」の場合)には、速度Vx1から速度Vx2への増加を実行するか否かがユーザに確認される(ステップS206)。そして、速度Vx1から速度Vx2への増加の指令がユーザによって入力されると(ステップS207で「YES」)、速度Vx1から速度Vx2への増加が実行される(ステップS205)。こうして、減速制御(ステップS105~S107)の実行により駆動機構14の動作の改善を図った上で、駆動機構14がヘッドユニット13を駆動する速度を増加させて、完了目標タイミングTtまでに生産計画PLを完了させることが可能となっている。
【0045】
以上に説明したように本実施形態では、部品実装機1が本発明の「基板作業装置」の一例に相当し、基板搬送部11が本発明の「基板搬入部」の一例に相当し、ヘッドユニット13が本発明の「作業ユニット」の一例に相当し、駆動機構14が本発明の「駆動機構」の一例に相当し、UI15が本発明の「ユーザ操作部」の一例に相当し、X軸モータ制御部162が本発明の「状態検知部」の一例に相当し、X軸モータ制御部162が本発明の「駆動制御部」の一例に相当し、X軸モータ制御部162が本発明の「計画確認部」の一例に相当し、X軸モータ制御部162が本発明の「第1予測部」の一例に相当し、X軸モータ制御部162が本発明の「第1タイミング判定部」の一例に相当し、X軸モータ制御部162が本発明の「第2タイミング判定部」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、駆動電流Idxが本発明の「状態指標値」の一例に相当し、トリガ閾値Iht以下の範囲が本発明の「正常範囲」の一例に相当し、生産計画PLが本発明の「生産計画」の一例に相当し、第1予測タイミングTp1が本発明の「第1予測タイミング」の一例に相当し、第2予測タイミングTp2が本発明の「第2予測タイミング」の一例に相当し、完了目標タイミングTtが本発明の「完了目標タイミング」の一例に相当し、速度Vx1が本発明の「第1速度」の一例に相当し、速度Vx2が本発明の「第2速度」の一例に相当し、ステップS105~S107が本発明の「速度制御」の位置利絵に相当する。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、生産計画PLに基づき基板Bへの部品Pの実装を開始してから、駆動電流Idxがトリガ閾値Iht以下になるまでX軸モータMxによるヘッドユニット13の駆動速度を低下させる減速制御(ステップS105~S107)を実行した回数に基づき、種々の制御を実行してもよい。
【0047】
例えば、減速制御の回数がN回(Nは2以上の整数)発生した場合には、UI15がユーザに駆動機構14のメンテナンスの実行が必要であることを報知してもよい。かかる構成では、駆動機構14の衰えが酷い場合には、駆動機構14のメンテナンスをユーザに促すことができる。なお、Y軸モータMyによるヘッドユニット13の駆動速度についても、同様の制御を適用できる。
【0048】
あるいは、減速制御がN回(Nは2以上の整数)発生すると、X軸モータ制御部162は、X軸モータMxを停止させることで、ヘッドユニット13のX方向への移動を駆動機構14に停止させてもよい。また、これに応じて、Y軸モータ制御部163は、Y軸モータMyを停止させることで、ヘッドユニット13のY方向への移動を駆動機構14に停止させてもよい。かかる構成では、駆動機構14の衰えが酷い状態で駆動機構14によるヘッドユニット13の駆動が実行されたことで、駆動機構14が故障するのを抑制できる。
【0049】
なお、駆動機構14の動作状態を示す状態指標値の具体例は上記の駆動電流Idx、Idyに限られない。そこで、X軸モータMx、Myの振動、温度あるいは音を検知する振動センサ、温度センサあるいは音量センサを設けて、当該センサの検出結果について、
図3に示す速度最適化制御を実行してもよい。例えば、音量センサを設けた場合には、ステップS101で音量センサの出力値が確認される。そして、当該出力値がトリガ閾値より大きい場合(ステップS104で「NO」場合)には、音量センサの出力値がトリガ閾値以下となるまで、X軸モータMxの速度を低下させればよい(ステップS105~S107)。
【0050】
また、本発明の適用対象は部品実装機1に限られず、基板Bに作業を行う作業ユニットを駆動機構によって駆動する各種の基板作業装置に本発明を適用可能である。例えば、特開2020-116824号公報に記載の印刷装置において、スキージを駆動するY軸モータの制御に本発明を適用してもよい。あるいは、WO2016/166807に記載の外観検査装置において、検査ヘッドを駆動する駆動機構の制御に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…部品実装機(基板作業装置)
11…基板搬送部(基板搬入部)
13…ヘッドユニット(作業ユニット)
14…駆動機構
15…UI(ユーザ操作部)
162…X軸モータ制御部(状態検知部、駆動制御部、計画確認部、第1予測部、第1タイミング判定部、第2タイミング判定部)
B…基板
Idx…駆動電流(状態指標値)
Iht…トリガ閾値
PL…生産計画
Tp1…第1予測タイミング
Tp2…第2予測タイミング
Tt…完了目標タイミング
Vx1…速度(第1速度)
Vx2…速度(第2速度)
S105~S107…ステップ(速度制御)