(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163641
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】チューブ容器用押出成形品およびチューブ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20241115BHJP
B65D 35/10 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B65D35/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079429
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 隼
(72)【発明者】
【氏名】尾下 由花
(72)【発明者】
【氏名】内麻 博之
【テーマコード(参考)】
3E065
3E086
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA16
3E065BB03
3E065CA09
3E065DA03
3E065DA11
3E065DB05
3E065DD05
3E065FA04
3E086AA22
3E086AB03
3E086AD03
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB90
3E086DA08
(57)【要約】
【課題】 再生低密度ポリエチレン樹脂を含み、シール強度および表面平滑性に優れた押出成形チューブに関する技術を提供すること。
【解決手段】 全体としてチューブ形状を有し、再生低密度ポリエチレン樹脂を含み、前記再生低密度ポリエチレン樹脂は、平均分子量が30,000以上であり、前記再生低密度ポリエチレン樹脂は、示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが100乃至140℃の範囲内のみに存在するチューブ容器用押出成形品。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体としてチューブ形状を有し、再生低密度ポリエチレン樹脂を含み、前記再生低密度ポリエチレン樹脂は、平均分子量が30,000以上であり、前記再生低密度ポリエチレン樹脂は、示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが100乃至140℃の範囲内のみに存在するチューブ容器用押出成形品。
【請求項2】
最内層および最外層を少なくとも含む多層構造を有する請求項1に記載の押出成形品。
【請求項3】
前記最外層が前記再生低密度ポリエチレン樹脂を含む請求項2に記載の押出成形品。
【請求項4】
前記最内層が前記再生低密度ポリエチレン樹脂を含む請求項3に記載の押出成形品。
【請求項5】
前記最内層が、植物由来の低密度ポリエチレン樹脂と植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とを含む請求項3に記載の押出成形品。
【請求項6】
前記多層構造が、前記最内層、第1接着層、中間層、第2接着層、および前記最外層が内側から外側へこの順に積層された5層構造である請求項2に記載の押出成形品。
【請求項7】
前記中間層が、ガスバリア性を有する樹脂を含む請求項6に記載の押出成形品。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の押出成形品と、
前記押出成形品の上に設けられた1以上の層と
を備えた、チューブ容器用成形品。
【請求項9】
一端がシールされた請求項1~7の何れか1項に記載の押出成形品または一端がシールされた請求項8に記載の成形品の何れかを含む容器本体と、
前記一端がシールされた前記押出成形品または前記一端がシールされた前記成形品の他端に接合されたキャップ嵌合部分と
を備えたチューブ容器。
【請求項10】
一端がシールされた請求項1~7の何れか1項に記載の押出成形品または一端がシールされた請求項8に記載の成形品の何れかを含む容器本体と、
前記一端がシールされた前記押出成形品または前記一端がシールされた前記成形品の他端に接合されたキャップ嵌合部分と、
前記容器本体に充填された内容物と
を備えた容器入り物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器用押出成形品およびチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製品の製造途中で発生する樹脂の端材を粉砕して再利用することが行われている。また、使用済みとして廃棄された樹脂製品を再利用することも行われている。
【0003】
一方、歯磨き粉や化粧品等を収容するチューブ容器として、ラミネートチューブが知られている。ラミネートチューブは、ポリエチレン樹脂、特殊紙、アルミ箔などをラミネート加工により重ね合わせたラミネートシートを原料として用いて製造される。一般的には、ラミネートチューブは、ラミネートシートを円筒状に丸めてシートの両端部を重ね、重ねた部分を溶着し、得られた容器本体にキャップ嵌合部分を接合することにより製造される。
【0004】
かかるラミネートチューブには、例えば、以下の問題がある。ラミネートチューブは、両端部を重ねて製造されるため、重ね合わせた部分に段差が生じ、外観上の問題がある。重ね合わせた部分にはラミネートシート端面が露出するため、収容した内容物が前記端面よりラミネート内部に浸透し、ラミネートシート物性が低下する。また、ラミネートチューブは、円筒状に丸める工程を含むことや、上述の段差を目立たないようにしたいことから、厚肉化が難しく、径の大きいチューブで十分な強度を保つことが難しい。
【0005】
ラミネートチューブの上記問題を解消するため、押出成形によりチューブ容器の容器本体を製造することが提案されている(特許文献1および2)。押出成形により製造されたチューブ容器は、押出成形チューブと呼ばれる。押出成形チューブは、溶融した樹脂を押出機で連続的にチューブ状に押し出し、その後、適当な長さに切断し、得られた容器本体にキャップ嵌合部分を接合することにより製造される。多層の押出成形チューブの場合、溶融した複数種類の樹脂を、別々の押出機で1つの金型へ押し出して、金型内で多層構造のチューブ形状を形成することにより製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-309406号公報
【特許文献2】特開平11-309785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、再生低密度ポリエチレン樹脂を含み、シール強度および表面平滑性に優れた押出成形チューブに関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの側面によれば、全体としてチューブ形状を有し、再生低密度ポリエチレン樹脂を含み、前記再生低密度ポリエチレン樹脂は、平均分子量が30,000以上であり、前記再生低密度ポリエチレン樹脂は、示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが100乃至140℃の範囲内のみに存在するチューブ容器用押出成形品が提供される。
【0009】
別の側面によれば、最内層および最外層を少なくとも含む多層構造を有する上記側面に係る押出成形品が提供される。
【0010】
更に別の側面によれば、前記最外層が前記再生低密度ポリエチレン樹脂を含む上記側面に係る押出成形品が提供される。
【0011】
更に別の側面によれば、前記最内層が前記再生低密度ポリエチレン樹脂を含む上記側面の何れかに係る押出成形品が提供される。
【0012】
更に別の側面によれば、前記最内層が、植物由来の低密度ポリエチレン樹脂と植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とを含む上記側面の何れかに係る押出成形品が提供される。
【0013】
更に別の側面によれば、前記多層構造が、前記最内層、第1接着層、中間層、第2接着層、および前記最外層が内側から外側へこの順に積層された5層構造である上記側面の何れかに係る押出成形品が提供される。
【0014】
更に別の側面によれば、前記中間層が、ガスバリア性を有する樹脂を含む上記側面に係る押出成形品が提供される。
【0015】
更に別の側面によれば、上記側面の何れかに係る押出成形品と、前記押出成形品の上に設けられた1以上の層とを備えた、チューブ容器用成形品が提供される。
【0016】
更に別の側面によれば、一端がシールされた上記側面の何れかに係る押出成形品または一端がシールされた上記側面に係る成形品の何れかを含む容器本体と、前記一端がシールされた前記押出成形品または前記一端がシールされた前記成形品の他端に接合されたキャップ嵌合部分とを備えたチューブ容器が提供される。
【0017】
更に別の側面によれば、一端がシールされた上記側面の何れかに係る押出成形品または一端がシールされた上記側面に係る成形品の何れかを含む容器本体と、前記一端がシールされた前記押出成形品または前記一端がシールされた前記成形品の他端に接合されたキャップ嵌合部分と、前記容器本体に充填された内容物とを備えた容器入り物品が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、再生低密度ポリエチレン樹脂を含み、シール強度および表面平滑性に優れた押出成形チューブに関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る押出成形品の5層構造を示す断面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係るチューブ容器の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記側面の各々に組み入れることができる。
【0021】
1.再生低密度ポリエチレン樹脂
まず、本発明で使用される再生低密度ポリエチレン樹脂について説明する。当該技術分野において「再生樹脂」の用語は、使用済みの樹脂製品や樹脂製品の製造工程から出る廃棄物を回収し、新しい製品の材料または原料として利用できるように処理した材料を指す。したがって、再生低密度ポリエチレン樹脂は、使用済みの樹脂製品に由来してもよいし、樹脂製品の製造工程から出る廃棄物に由来してもよい。再生低密度ポリエチレン樹脂は、使用済みの樹脂製品に由来することが好ましい。
【0022】
本発明で使用される再生低密度ポリエチレン樹脂は、以下の2つの要件:
(i)平均分子量が30,000以上であること;および
(ii)示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが100乃至140℃の範囲内のみに存在すること
を満たす。
【0023】
要件(i)は、本発明で使用される再生低密度ポリエチレン樹脂は、再生樹脂であるため、再生のために溶融固化の工程に繰り返し晒されており、その熱履歴によって分子量が低下し得るが、分子量の低下レベルが低いことを意味する。要件(ii)は、本発明で使用される再生低密度ポリエチレン樹脂は、再生樹脂であるため、不純物が含まれ得るが、不純物は、示差走査熱量測定によって検出されない程度の少量しか含まれていないか、または含まれていないことを意味する。
【0024】
このように、本発明で使用される再生低密度ポリエチレン樹脂は、再生樹脂であるが、樹脂の物性低下が許容される範疇に収まっており、比較的高品質のものである。このような再生低密度ポリエチレン樹脂は、例えば、使用済みの医療用樹脂製品に由来する再生低密度ポリエチレン樹脂である。
【0025】
以下、要件(i)および(ii)について説明する。
要件(i)
再生低密度ポリエチレン樹脂の平均分子量は、30,000以上であり、好ましくは35,000以上である。再生低密度ポリエチレン樹脂の平均分子量の上限は、例えば100,000である。すなわち、再生低密度ポリエチレン樹脂の平均分子量は、例えば30,000乃至100,000の範囲内にあり、好ましくは、35,000乃至100,000の範囲内にある。
【0026】
再生樹脂は、再生のために溶融固化の工程に繰り返し晒されており、その熱履歴が長くなるほど分子量が低下する傾向がある。再生樹脂は、分子量が低下すると機械的物性値が低下し、溶融粘度も低下するため押出し成形が困難となる。これに対し、上述の平均分子量を有する再生低密度ポリエチレン樹脂は、溶融粘度の低下に伴う問題を生じることなく押出成形が可能である。
【0027】
再生低密度ポリエチレン樹脂の平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定される数平均分子量(Mn)を指す。ゲル浸透クロマトグラフィーを用いた数平均分子量の測定は、高温ゲル浸透クロマトグラフ(高温GPC)装置および高温GPC用スチレン-ジビニルベンゼン系充填カラムを使用して行うことができる。例えば、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いた数平均分子量の測定は、以下に示す条件で行うことができる。数平均分子量(Mn)は、単分散ポリスチレンを標準物質として用いて検量線を作成し、保持時間から分子量を求めることにより得ることができる。
【0028】
高温GPC装置:東ソー社製 HLC-8321GPC/HT型 高温ゲル浸透クロマトグラフ
カラム:東ソー社製 TSKgel GMH6-HT × 2本、 東ソー社製 TSKgel GMH6-HTL × 2本
溶媒:o-ジクロロベンゼン(0.025質量%BHT含有)
流量:1.0 mL/min
温度:140℃
測定濃度:20 mg/20mL
注入量:0.4 mL
【0029】
要件(ii)
再生低密度ポリエチレン樹脂は、示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが100乃至140℃の範囲内のみに存在する。すなわち、再生低密度ポリエチレン樹脂は、示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが100乃至140℃の範囲外に存在しない。好ましくは、再生低密度ポリエチレン樹脂は、示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが、100乃至140℃の範囲内に1つのピークとして存在する。本明細書において、「吸熱ピーク」は吸熱ピークのピークトップを指し、「吸熱ピークの温度」は吸熱ピークのピークトップの温度を指す。
【0030】
一般的に、再生樹脂は、種々の不純物(例えば、着色剤、添加剤、他の樹脂成分など)が混入している可能性があり、機械的物性値の低下の原因となる。これに対し、上述の吸熱ピークを示す再生低密度ポリエチレン樹脂は、不純物が含まれていたとしても、その含有量が、示差走査熱量測定によって検出されない程度の少量であるため、かかる再生樹脂を用いて製造された押出成形品は、シール強度および表面平滑性に優れている。
【0031】
再生低密度ポリエチレン樹脂に含まれる可能性がある不純物は、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリプロピレン、ポリアミドなどである。
【0032】
再生低密度ポリエチレン樹脂の吸熱ピークが100乃至140℃の範囲外に存在する場合、その吸熱ピークは、例えば160~185℃の範囲内(一例によれば164℃)に観測され、この吸熱ピークは、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂に由来するものである。また、再生低密度ポリエチレン樹脂の吸熱ピークが100乃至140℃の範囲外に存在する場合、その吸熱ピークは、例えば165℃であり、この吸熱ピークは、ポリプロピレンに由来するものである。また、再生低密度ポリエチレン樹脂の吸熱ピークが100乃至140℃の範囲外に存在する場合、その吸熱ピークは、例えば170~270℃の範囲内に観測され、この吸熱ピークは、ポリアミドに由来するものである。
【0033】
再生低密度ポリエチレン樹脂の吸熱ピークの温度は、示差走査熱量測定(DSC)を行って示差走査熱量測定曲線(DSC曲線)を取得することにより得られる。示差走査熱量測定は、示差走査熱量計を用いて行うことができる。例えば、示差走査熱量測定は、示差走査熱量計:TA Instrument社製 Q200を用いて、以下のとおり行うことができる。具体的には、試料チューブから約5mgを切り出して測定用のアルミパンに封入する。その後、10℃/分の速度で室温(例えば20℃)から200℃まで昇温し、次に10℃/minで室温まで降温し、再度10℃/minで室温から200℃まで昇温し、試料の融解吸熱ピーク温度を測定する。このような温度範囲で示差走査熱量測定を実施した場合、再生低密度ポリエチレン樹脂は、示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが、室温(例えば20℃)以上100℃未満の範囲、および140℃より高く200℃以下の範囲に存在しない。
【0034】
再生低密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.91g/cm3~0.93g/cm3の範囲内にあることが好ましく、0.915g/cm3~0.93g/cm3の範囲内にあることがより好ましい。なお、本明細書に記載される樹脂の密度は、JIS K7112:1999に準拠した方法で得られた測定値である。
【0035】
また、再生低密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10分~10g/10分の範囲内にあることが好ましく、1g/10分~5g/10分の範囲内にあることがより好ましい。なお、本明細書に記載される樹脂のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210:1999に準拠した方法で得られた測定値である。メルトフローレートは、具体的には、190℃で21.18Nの荷重を樹脂に掛けた時に10分間で吐出される樹脂重量の測定値である。
【0036】
2.チューブ容器用押出成形品
チューブ容器用押出成形品は、全体としてチューブ形状を有し、上記の「1.再生低密度ポリエチレン樹脂」の欄で述べた再生低密度ポリエチレン樹脂を含む。すなわち、チューブ容器用押出成形品は、以下の2つの要件:
(i)平均分子量が30,000以上であること;および
(ii)示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが100乃至140℃の範囲内のみに存在すること
を満たす再生低密度ポリエチレン樹脂を含む。
【0037】
本明細書において「押出成形品」の用語は、押出成形によりチューブ形状を有するように形成されたものを指す。言い換えると、「押出成形品」の用語は、押出成形直後にチューブ形状を有しているものを指す。したがって、「押出成形品」の用語は、シート形状に押出成形したものをチューブ形状に丸めたものを包含しない。そのため、押出成形品は、ラミネートチューブの胴部で見られるような重ね合わせ部分(すなわち、継ぎ目)がなく、シームレスな外観を実現することができる。また、押出成形品は、ラミネートチューブの胴部と比較して、厚肉化が容易であり、径の大きいチューブ容器でも十分な強度を保つことができる。
【0038】
以下の説明において、チューブ容器用押出成形品は、単に「押出成形品」ともいう。以下、押出成形品の層構造および樹脂組成について説明する。
【0039】
2-1.層構造
押出成形品の層構造は、特に限定されず、押出成形品は、単層構造を有していてもよいし、多層構造を有していてもよい。好ましくは、押出成形品は、最内層および最外層を少なくとも含む多層構造を有する。例えば、押出成形品は、最内層と最外層とからなる2層構造を有していてもよいし、最内層と中間層と最外層とからなる3層構造を有していてもよいし、最内層と第1接着層と中間層と第2接着層と最外層とからなる5層構造を有していてもよい。より好ましくは、押出成形品は、最内層、第1接着層、中間層、第2接着層、および最外層が内側から外側へこの順に積層された5層構造を有する。
【0040】
図1は、本発明の一実施形態に係る押出成形品の5層構造を示す断面図である。
図1に示すように、押出成形品1は、最内層1a、第1接着層1b、中間層1c、第2接着層1d、および最外層1eが内側から外側へこの順に積層された5層構造を有する。
図1に示される押出成形品1は、チューブ容器の容器本体として使用されると、最内層1a側の面がチューブ容器の内部空間と隣接し、最外層1e側の面がチューブ容器の外部空間と隣接する。
【0041】
押出成形品1は、円筒形状であってもよいし、楕円筒形状であってもよい。押出成形品1は、例えば30~190mmの周長を有する。押出成形品1は、好ましくは40~160mmの周長を有する。周長は、チューブ状の押出成形品1の外周の長さを指す。
【0042】
押出成形品1は、例えば190~550μm、好ましくは240~500μmの厚みを有する。厚みは、チューブ状の押出成形品1の壁の厚みを指し、押出成形品1の長手方向に沿って略等間隔に設定された3箇所で測定された厚みの平均値である。
【0043】
最内層1aは、例えば120~250μm、好ましくは140~240μmの厚みを有する。第1接着層1bは、例えば1~30μm、好ましくは5~20μmの厚みを有する。中間層1cは、例えば10~100μm、好ましくは20~80μmの厚みを有する。第2接着層1dは、例えば1~30μm、好ましくは5~20μmの厚みを有する。最外層1eは、例えば60~200μm、好ましくは80~180μmの厚みを有する。
【0044】
押出成形品1は、任意の長さを有することができ、チューブ容器の容器本体より長い長さを有していてもよいし、チューブ容器の容器本体と同じ長さを有していてもよい。前者の場合、押出成形品1は、チューブ容器の容器本体の長さに切断された後、チューブ容器の容器本体として使用される。
【0045】
2-2.樹脂組成
押出成形品の樹脂組成は、押出成形品が上記の再生低密度ポリエチレン樹脂を含んでいる限り、特に限定されない。押出成形品が、最内層および最外層を少なくとも含む多層構造を有する場合、最外層が上記の再生低密度ポリエチレン樹脂を含むことが好ましい。
【0046】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る押出成形品は、最内層および最外層を少なくとも含む多層構造を有し、最外層が上記の再生低密度ポリエチレン樹脂を含み、最内層が上記の再生低密度ポリエチレン樹脂を含む。この場合、押出成形品に含まれる再生低密度ポリエチレン樹脂の割合(具体的には、押出成形品を構成する全樹脂の合計質量に対する再生低密度ポリエチレン樹脂の質量の割合)を高めることができる。したがって、第1実施形態に係る押出成形品は、環境負荷低減効果が高い点で優れている。
【0047】
第1実施形態に係る押出成形品は、好ましくは、
図1に示す5層構造、すなわち、最内層1a、第1接着層1b、中間層1c、第2接着層1d、および最外層1eが内側から外側へこの順に積層された5層構造を有する。以下、最内層1a、第1接着層1b、中間層1c、第2接着層1d、および最外層1eを順に説明する。
【0048】
(最内層1a)
最内層1aは、上記の「1.再生低密度ポリエチレン樹脂」の欄で述べた再生低密度ポリエチレン樹脂を含む。最内層1aに占める再生低密度ポリエチレン樹脂の割合は、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。このように最内層1aは、再生低密度ポリエチレン樹脂を主成分として構成されるが、再生低密度ポリエチレン樹脂に加えて、必要に応じて公知の添加剤を含有していてもよい。添加剤については後述する。
【0049】
(第1接着層1b)
第1接着層1bは、最内層1aを中間層1cと接着する役割を果たす。第1接着層1bは、石油由来の接着性のポリエチレン樹脂(接着性PE)、例えば、石油由来の無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂(MA変性PE)を含む。
【0050】
「石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(MA変性LDPE)」は、例えば、三菱ケミカル株式会社から「モディック」(登録商標)の商品名で販売されている樹脂、三井化学株式会社から「アドマー」(登録商標)の商品名で販売されている樹脂などを使用することができる。
【0051】
中間層1cは、好ましくは、ガスバリア性を有する樹脂を含む。中間層1cを構成する樹脂は、ガスバリア性を有する樹脂として公知の樹脂を使用することができる。中間層1cを構成する樹脂は、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)、ナイロン(NY)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)である。中間層1cを構成する樹脂は、好ましくは、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)である。
【0052】
エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)は、例えば、三菱ケミカル株式会社から「ソアノール」(登録商標)の商品名で販売されている樹脂、株式会社クラレから「エバール」(登録商標)の商品名で販売されている樹脂などを使用することができる。
【0053】
(第2接着層1d)
第2接着層1dは、最外層1eを中間層1cと接着する役割を果たす。第2接着層1dは、石油由来の接着性のポリエチレン樹脂(接着性PE)、例えば、石油由来の無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂(MA変性PE)を含む。第2接着層1dは、第1接着層1bと同じ樹脂組成を有していてもよいし、第1接着層1bと異なる樹脂組成を有していてもよい。
【0054】
(最外層1e)
最外層1eは、上記の「1.再生低密度ポリエチレン樹脂」の欄で述べた再生低密度ポリエチレン樹脂を含む。最外層1eに占める再生低密度ポリエチレン樹脂の割合は、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。このように最外層1eは、再生低密度ポリエチレン樹脂を主成分として構成されるが、再生低密度ポリエチレン樹脂に加えて、必要に応じて公知の添加剤を含有していてもよい。添加剤については後述する。最外層1eは、最内層1aと同じ樹脂組成を有していてもよいし、最内層1aと異なる樹脂組成を有していてもよい。
【0055】
(添加剤)
最内層1a、第1接着層1b、中間層1c、第2接着層1d、最外層1eは、樹脂を主成分として構成されるが、樹脂に加えて、必要に応じて公知の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、樹脂用添加剤として知られている種々の添加剤を使用することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、帯電防止剤、充填剤、結晶核剤、着色顔料、艶消し剤、着色防止剤、防曇剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、滑剤(スリップ剤、離型剤を含む)、およびCO2吸収剤などが挙げられる。添加剤の総含有量は、各層の樹脂100質量部に対して、例えば0.01~10質量部とすることができる。
【0056】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る押出成形品は、最内層および最外層を少なくとも含む多層構造を有し、最外層が上記の再生低密度ポリエチレン樹脂を含み、最内層が、植物由来の低密度ポリエチレン樹脂と植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とを含む。この場合、最内層が、再生樹脂ではなくバージン樹脂を含むため、衛生面に配慮したチューブ容器を製造することができる。また、最内層が、石油由来のポリエチレン樹脂ではなく植物由来のポリエチレン樹脂を含むため、第2実施形態に係る押出成形品は、環境負荷低減効果が高い点で優れている。
【0057】
第2実施形態に係る押出成形品は、好ましくは、
図1に示す5層構造、すなわち、最内層1a、第1接着層1b、中間層1c、第2接着層1d、および最外層1eが内側から外側へこの順に積層された5層構造を有する。
【0058】
第2実施形態に係る押出成形品は、第1実施形態に係る押出成形品と比較すると、最内層1aの樹脂組成のみが異なっている。すなわち、第2実施形態に係る押出成形品において、最内層1a以外の層(すなわち、第1接着層1b、中間層1c、第2接着層1d、および最外層1e)は、第1実施形態に係る押出成形品の各層と同様の樹脂組成とすることができる。したがって、第2実施形態に係る押出成形品については、最内層1a以外の層の説明は省略し、最内層1aの樹脂組成のみを以下で説明する。
【0059】
第2実施形態に係る押出成形品において、最内層1aは、植物由来の低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスLDPE)と、植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスL-LDPE)とを含む。最内層1aは、植物由来の低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスLDPE)と植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスL-LDPE)とを、例えば9:1~4:6の質量比で含む。
【0060】
最内層1aに占める植物由来のポリエチレン樹脂の割合は、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。このように最外層1eは、植物由来のポリエチレン樹脂を主成分として構成されるが、植物由来のポリエチレン樹脂に加えて、必要に応じて公知の添加剤を含有していてもよい。
【0061】
以下、「低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)」と「直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L-LDPE)」との構造の違いについて説明し、その後、「植物由来の低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスLDPE)」および「植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスL-LDPE)」について、具体的に説明する。
【0062】
低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L-LDPE)は、製造方法の違いにより、構造的に異なっている。すなわち、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)は、エチレンの重合体であり、エチレンがランダムに分岐して結合した構造を有する。このため、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)は、主鎖に種々の炭素数の側鎖が結合し、側鎖には、短鎖分枝(例えば、炭素数約20個以下の短鎖分枝)および長鎖分枝(例えば、炭素数約20個を超える長鎖分枝)が含まれる。一方、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L-LDPE)は、エチレンとα-オレフィンとの共重合体である。このため、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L-LDPE)は、主鎖に、長鎖分枝(例えば、炭素数約20個を超える長鎖分枝)は結合しておらず、短鎖分枝(例えば、炭素数約20個以下の短鎖分枝)のみが結合している。
【0063】
「植物由来の低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスLDPE)」
「植物由来の低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスLDPE)」は、植物を原料として用いて製造した、エチレンの重合体であり、エチレンがランダムに分岐して結合した構造を有する。「植物由来の低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスLDPE)」は、例えば、サトウキビ由来の低密度ポリエチレン樹脂である。サトウキビ由来の低密度ポリエチレン樹脂は、サトウキビを原料として用いて製造した、エチレンの重合体であり、エチレンがランダムに分岐して結合した構造を有する。
【0064】
「植物由来の低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスLDPE)」の密度は、0.91g/cm3~0.93g/cm3の範囲内にあることが好ましく、0.915g/cm3~0.93g/cm3の範囲内にあることがより好ましい。また、「植物由来の低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスLDPE)」のメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10分~10g/10分の範囲内にあることが好ましく、1g/10分~5g/10分の範囲内にあることがより好ましい。
【0065】
「植物由来の低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスLDPE)」は、例えば、Braskem社から販売されている植物由来の低密度ポリエチレンを使用することができ、その例として、SEB853、SBC818、SBF0323HC、STN7006、SPB618の商品名で販売されている樹脂が挙げられる。
【0066】
「植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスL-LDPE)」
「植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスL-LDPE)」は、植物を原料として用いて製造した、エチレンとα-オレフィンとの共重合体である。「植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスL-LDPE)」は、例えば、サトウキビ由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂である。サトウキビ由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、サトウキビを原料として用いて製造した、エチレンとα-オレフィンとの共重合体である。
【0067】
「α-オレフィン」は、3~20の炭素数を有するα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物であり、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンなど挙げられる。
【0068】
「植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスL-LDPE)」の密度は、0.91g/cm3~0.93g/cm3の範囲内にあることが好ましく、0.915g/cm3~0.93g/cm3の範囲内にあることがより好ましい。また、「植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスL-LDPE)」のメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10分~10g/10分の範囲内にあることが好ましく、1g/10分~5g/10分の範囲内にあることがより好ましい。
【0069】
「植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(バイオマスL-LDPE)」は、例えば、Braskem社から販売されている植物由来の直鎖状低密度ポリエチレンを使用することができ、その例として、SLL118、SLL118/21、SLL218、SLL218/21、SLL318、SLH118、SLH218、SLH0820/30AFの商品名で販売されている樹脂が挙げられる。
【0070】
2-3.製造方法
押出成形品1は、公知の押出成形法に従って製造することができる。押出成形品1が多層構造を有する場合、押出成形品1は、公知の共押出成形法に従って製造することができる。具体的には、押出成形品1が5層構造を有する場合、最内層1aを構成する樹脂、第1接着層1bを構成する樹脂、中間層1cを構成する樹脂、第2接着層1dを構成する樹脂、最外層1eを構成する樹脂を、別々の押出機で1つの金型へ押し出して、金型内で5層構造のチューブ形状を形成することにより製造することができる。
【0071】
3.チューブ容器用成形品
押出成形品1は、押出成形品1の上に、1以上の追加の層を備えていてもよい。すなわち、別の側面によれば、押出成形品と、前記押出成形品の上に設けられた1以上の層とを備えた、チューブ容器用成形品が提供される。このチューブ容器用成形品は、以下の説明において、単に「成形品」という。
【0072】
追加の層は、公知の加飾技術に従って、例えば、印刷(例えば、オフセット印刷、スクリーン印刷)、塗装(例えば、印刷層表面保護のクリア塗装、UV塗装)、ラベル貼り、ホットスタンプ、シュリンクフィルム貼り、蒸着、またはフィルム転写により、押出成形品の上に形成することができる。追加の層は、1つの層であってもよいし、複数の層であってもよく、例えば1~5層とすることができる。
【0073】
4.チューブ容器
チューブ容器は、
一端がシールされた上述の押出成形品を含む容器本体と、
前記一端がシールされた前記押出成形品の他端に接合されたキャップ嵌合部分と
を備えている。
【0074】
あるいは、チューブ容器は、
一端がシールされた上述の成形品(すなわち、チューブ容器用成形品)を含む容器本体と、
前記一端がシールされた前記成形品の他端に接合されたキャップ嵌合部分と
を備えている。
【0075】
以下に、本発明の一実施形態に係るチューブ容器を、
図2を用いて説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るチューブ容器の構成を示す平面図である。
【0076】
図2に示すように、チューブ容器10は、容器本体11と、容器本体11に接合されたキャップ嵌合部分12とを備えている。チューブ容器10は、容器本体11に内容物を充填して、キャップ嵌合部分12にキャップを嵌め合わせて使用される。ここで、内容物は、高粘度の液体であっても半固体であってもよい。内容物は、例えば、化粧品、歯磨き粉や、ハンドクリーム等の日用品や、ジャムやバター等の食品である。化粧品の具体例として、保湿クリーム、洗顔料、クレンジング料、日焼け止め、シェービング剤、ヘアスタイリング剤、ヘアケア剤、ファンデーション等が挙げられる。
【0077】
容器本体11は、上記で説明した押出成形品1の一端をシールすることにより得られる。シールは、チューブ容器のエンドシール加工として公知の方法により行うことができ、例えば、ヒートシール方式、超音波シール方式、ホットエアーシール方式により行うことができる。上述のとおり、押出成形品1には、一端をシールする前に、外面上に1以上の追加の層を設けてもよい。すなわち、容器本体11は、公知の加飾技術に従って、例えば、印刷(例えば、オフセット印刷、スクリーン印刷)、塗装(例えば、印刷層表面保護のクリア塗装、UV塗装)、ラベル貼り、ホットスタンプ、シュリンクフィルム貼り、蒸着、またはフィルム転写により形成された1以上の追加の層を更に含んでいてもよい。
【0078】
容器本体11は、
図2に示すように、胴部21と、胴部21の一方の端部に設けられたシール部22とを備えている。
【0079】
胴部21は、押出成形品1または成形品のシールされていない部分である。胴部21のシール部22が設けられていない端部は、開口部を覗いた時の形状が円形もしくは楕円形の円筒形状を有している。
【0080】
シール部22は、押出成形品1または成形品の一方の端部を熱により溶着することで形成された部分である。シール部22は、扁平形状を有し、その向き合った内面同士がシールされている。シール部22は、容器本体11の一端を閉塞している。
【0081】
胴部21のシール部22が設けられた端部とは反対の端部には、キャップ嵌合部分12が設けられている。キャップ嵌合部分12は、胴部21のシール部22が設けられていない端部と一体に連続する肩部31と、肩部31の中央に設けられた円筒状の口部32とを備えている。キャップ嵌合部分12は、胴部21とは別に射出成形や圧縮成形により製造され、胴部21と接合されている。射出成形の場合、インサート成形により、キャップ嵌合部分12の形成と、容器本体11へのキャップ嵌合部分12の接合とを同時に行ってもよいし、あるいは、別部品としてキャップ嵌合部分12を射出成形した後、超音波溶着により容器本体11に接合してもよい。
【0082】
肩部31は、チューブ容器10の外部空間に面した外面と、チューブ容器10の内部空間に面した内面との各々が、内部空間から外部空間へ向けて先細りした円錐台形状を有している。肩部31の外周縁は、胴部21と連続している。口部32は、肩部31の中心に、外側へ突き出るように設けられている。
【0083】
5.容器入り物品
上記のチューブ容器10は、容器本体11に内容物が充填されていてもよい。内容物は、上記で例示したものが挙げられる。本明細書において、内容物が充填されたチューブ容器は「容器入り物品」と呼ぶ。
【0084】
すなわち、容器入り物品は、
一端がシールされた上述の押出成形品を含む容器本体と、
前記一端がシールされた前記押出成形品の他端に接合されたキャップ嵌合部分と、
前記容器本体に充填された内容物と
を備えている。
【0085】
あるいは、容器入り物品は、
一端がシールされた上述の成形品(すなわち、チューブ容器用成形品)を含む容器本体と、
前記一端がシールされた前記成形品の他端に接合されたキャップ嵌合部分と、
前記容器本体に充填された内容物と
を備えている。
【0086】
容器入り物品は、キャップ嵌合部分にキャップを嵌め合わせて使用される。例えば、容器入り物品は、一端がシールされていない上述の押出成形品(または上述の成形品)を含む容器本体と、押出成形品(または成形品)の他端に接合されたキャップ嵌合部分とを備えたチューブ容器(中間製品)を準備し;このチューブ容器の容器本体に内容物を充填し;シールされていない一端(すなわち、キャップ嵌合部分が接合されていない側の端)をシールすることにより、製造することができる。
【0087】
6.効果
上述のとおり、本発明では、押出成形チューブの材料として、所定の要件を満たす再生低密度ポリエチレン樹脂を使用する。これにより、本発明は、チューブ形状の押出成形品を安定して製造することができる。また、本発明の押出成形チューブは、優れたシール強度および優れた表面平滑性を達成することができる。本発明は、再生樹脂を押出成形チューブの材料として利用しており、環境負荷低減に寄与することができる。
【実施例0088】
[1]押出成形品の製造
<比較例1>
下記の5層構造を有する押出成形品を製造した。この例では、最内層および最外層の樹脂としてバージン樹脂を使用した。
【0089】
最内層:石油由来の低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92 g/cm3、MFR:1.9 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:60621、吸熱ピークの温度:109℃)
第1接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
中間層:エチレン-ビニルアルコール共重合体(密度:1.14 g/cm3、MFR:12.0 g/10min(210℃、21.18 N荷重))
第2接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
最外層:石油由来の低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92 g/cm3、MFR:1.9 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:60621、吸熱ピークの温度:109℃)
【0090】
1軸チューブ押出機の5つのホッパーに、各層の樹脂材料(ペレット)を投入した。押出機およびダイの設定温度を170~200℃に設定し、60本/minの生産速度および9.1 m/minの引取速度という成形条件で、最内層/第1接着層/中間層/第2接着層/最外層の5層構造を有するチューブを成形した。
【0091】
得られたチューブ(すなわち、押出成形品)の周長は108mmであり、長さは150mm、平均肉厚は0.46mmであった。また、最内層、第1接着層、中間層、第2接着層、最外層の厚みは、それぞれ、225μm、10μm、40μm、10μm、175μmであった。
【0092】
<例1>
下記の5層構造を有する押出成形品を製造した。この例では、最内層および最外層の樹脂として再生低密度ポリエチレン樹脂を使用した。使用した再生低密度ポリエチレン樹脂は、以下の2つの要件:
(i)平均分子量が30,000以上であること;および
(ii)示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが100乃至140℃の範囲内のみに存在すること
を満たしていた。
【0093】
最内層:医療用樹脂製品由来の再生低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:37300、吸熱ピークの温度:109℃)
第1接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)
中間層:エチレン-ビニルアルコール共重合体(密度:1.14 g/cm3、MFR:12.0 g/10min(210℃、21.18 N荷重))
第2接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
最外層:医療用樹脂製品由来の再生低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:37300、吸熱ピークの温度:109℃)
【0094】
各層の樹脂材料を上記の樹脂材料に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法でチューブを成形した。得られたチューブ(すなわち、押出成形品)の周長、長さ、および平均肉厚、並びに各層の厚みは、何れも、比較例1のものと同じであった。
【0095】
<例2>
下記の5層構造を有する押出成形品を製造した。この例では、最内層の樹脂としてバージン樹脂を使用し、最外層の樹脂として、例1で使用した再生低密度ポリエチレン樹脂を使用した。
【0096】
最内層:石油由来の低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92 g/cm3、MFR:1.9 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:60621、吸熱ピークの温度:109℃)
第1接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
中間層:エチレン-ビニルアルコール共重合体(密度:1.14 g/cm3、MFR:12.0 g/10min(210℃、21.18 N荷重))
第2接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
最外層:医療用樹脂製品由来の再生低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:37300、吸熱ピークの温度:109℃)
【0097】
各層の樹脂材料を上記の樹脂材料に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法でチューブを成形した。得られたチューブ(すなわち、押出成形品)の周長、長さ、および平均肉厚、並びに各層の厚みは、何れも、比較例1のものと同じであった。
【0098】
<例3>
下記の5層構造を有する押出成形品を製造した。この例では、最内層および最外層の樹脂として、例1で使用した再生低密度ポリエチレン樹脂を使用したが、チューブ(押出成形品)の厚みを例1のものより薄くした。
【0099】
最内層:医療用樹脂製品由来の再生低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:37300、吸熱ピークの温度:109℃)
第1接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
中間層:エチレン-ビニルアルコール共重合体(密度:1.14 g/cm3、MFR:12.0 g/10min(210℃、21.18 N荷重))
第2接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
最外層:医療用樹脂製品由来の再生低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:37300、吸熱ピークの温度:109℃)
【0100】
各層の樹脂材料を上記の樹脂材料に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法でチューブを成形した。得られたチューブ(すなわち、押出成形品)の周長は108mmであり、長さは150mm、平均肉厚は0.29mmであった。また、最内層、第1接着層、中間層、第2接着層、最外層の厚みは、それぞれ、145μm、10μm、40μm、10μm、85μmであった。
【0101】
<例4>
下記の5層構造を有する押出成形品を製造した。この例では、最内層の樹脂として植物由来の樹脂を使用し、最外層の樹脂として、例1で使用した再生低密度ポリエチレン樹脂を使用した。
【0102】
最内層:植物由来の低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.923 g/cm3、MFR:2.7 g/10min(190℃、21.18 N荷重))と、植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.916 g/cm3、MFR:2.3 g/10min(190℃、21.18 N荷重))とを50:50の質量比でドライブレンドすることにより得られた混合物(数平均分子量:30029、吸熱ピークの温度:109℃)
第1接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)
中間層:エチレン-ビニルアルコール共重合体(密度:1.14 g/cm3、MFR:12.0 g/10min(210℃、21.18 N荷重)
第2接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)
最外層:医療用樹脂製品由来の再生低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:37300、吸熱ピークの温度:109℃)
【0103】
各層の樹脂材料を上記の樹脂材料に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法でチューブを成形した。得られたチューブ(すなわち、押出成形品)の周長、長さ、および平均肉厚、並びに各層の厚みは、何れも、比較例1のものと同じであった。
【0104】
<比較例2>
下記の5層構造を有する押出成形品を製造した。この例では、最内層および最外層の樹脂として、自社工場の廃棄物由来の再生低密度ポリエチレン樹脂を使用した。使用した再生低密度ポリエチレン樹脂は、低密度ポリエチレン樹脂を主成分として含むが、エチレン-ビニルアルコール共重合体や印刷等が混在しており、着色していた。使用した再生低密度ポリエチレン樹脂は、以下の2つの要件:
(i)平均分子量が30,000以上であること;および
(ii)示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが100乃至140℃の範囲内のみに存在すること
の何れも満たしていなかった。
【0105】
最内層:自社工場の廃棄物由来の再生低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:29400、吸熱ピークの温度:109℃、122℃、164℃)
第1接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
中間層:エチレン-ビニルアルコール共重合体(密度:1.14 g/cm3、MFR:12.0 g/10min(210℃、21.18 N荷重))
第2接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
最外層:自社工場の廃棄物由来の再生低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:29400、吸熱ピークの温度:109℃、122℃、164℃)
【0106】
各層の樹脂材料を上記の樹脂材料に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法でチューブを成形した。得られたチューブ(すなわち、押出成形品)の周長、長さ、および平均肉厚、並びに各層の厚みは、何れも、比較例1のものと同じであった。
【0107】
<比較例3>
下記の5層構造を有する押出成形品を製造した。この例では、最内層および最外層の樹脂として、比較例2で使用したものと同じ再生樹脂を使用したが、チューブ(押出成形品)の厚みを比較例2のものより薄くした。
【0108】
最内層:自社工場の廃棄物である再生低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:29400、吸熱ピークの温度:109℃、122℃、164℃)
第1接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
中間層:エチレン-ビニルアルコール共重合体(密度:1.14 g/cm3、MFR:12.0 g/10min(210℃、21.18 N荷重))
第2接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
最外層:自社工場の廃棄物である再生低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:29400、吸熱ピークの温度:109℃、122℃、164℃)
【0109】
各層の樹脂材料を上記の樹脂材料に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法でチューブを成形した。得られたチューブ(すなわち、押出成形品)の周長は108mmであり、長さは150mm、平均肉厚は0.29mmであった。また、最内層、第1接着層、中間層、第2接着層、最外層の厚みは、それぞれ、145μm、10μm、40μm、10μm、85μmであった。
【0110】
<比較例4>
下記の5層構造を有する押出成形品を製造した。この例では、最内層および最外層の樹脂として、再生材メーカーから提供された再生低密度ポリエチレン樹脂を使用した。使用した再生低密度ポリエチレン樹脂は、要件(i):「平均分子量が30,000以上であること」を満たしていなかったが、要件(ii):「示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが100乃至140℃の範囲内のみに存在すること」を満たしていた。
【0111】
最内層:再生材メーカーから提供された再生低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92 g/cm3、MFR:4.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:21800、吸熱ピークの温度:105℃、122℃、126℃)
第1接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
中間層:エチレン-ビニルアルコール共重合体(密度:1.14 g/cm3、MFR:12.0 g/10min(210℃、21.18 N荷重))
第2接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
最外層:再生材メーカーから提供された再生低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92 g/cm3、MFR:4.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重)、数平均分子量:21800、吸熱ピークの温度:105℃、122℃、126℃)
【0112】
各層の樹脂材料を上記の樹脂材料に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法でチューブを成形した。得られたチューブ(すなわち、押出成形品)の周長、長さ、および平均肉厚、並びに各層の厚みは、何れも、比較例1のものと同じであった。
【0113】
<比較例5>
下記の5層構造を有する押出成形品を製造した。この例では、最内層および最外層の樹脂として、バージン樹脂にエチレン-ビニルアルコール共重合体を不純物として混在させたもの(擬似再生材)を使用した。使用した樹脂(擬似再生材)は、低密度ポリエチレン樹脂を主成分として含み、着色していなかった。使用した樹脂(擬似再生材)は、要件(i):「平均分子量が30,000以上であること」を満たしていたが、要件(ii):「示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが100乃至140℃の範囲内のみに存在すること」を満たしていなかった。
【0114】
最内層:石油由来の低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92 g/cm3、MFR:1.9 g/10min(190℃、21.18 N荷重))と、エチレン-ビニルアルコール共重合体(密度:1.14 g/cm3、MFR:12.0 g/10min(210℃、21.18 N荷重))とを100:10の質量比でドライブレンドすることにより得られた混合物(数平均分子量:52200、吸熱ピークの温度:109℃、164℃)
第1接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
中間層:エチレン-ビニルアルコール共重合体(密度:1.14 g/cm3、MFR:12.0 g/10min(210℃、21.18 N荷重))
第2接着層:石油由来の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.93 g/cm3、MFR:1.0 g/10min(190℃、21.18 N荷重))
最外層:石油由来の低密度ポリエチレン樹脂(密度:0.92 g/cm3、MFR:1.9 g/10min(190℃、21.18 N荷重))と、エチレン-ビニルアルコール共重合体(密度:1.14 g/cm3、MFR:12.0 g/10min(210℃、21.18 N荷重))とを100:10の質量比でドライブレンドすることにより得られた混合物(数平均分子量:52200、吸熱ピークの温度:109℃、164℃)
【0115】
各層の樹脂材料を上記の樹脂材料に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法でチューブを成形した。得られたチューブ(すなわち、押出成形品)の周長、長さ、および平均肉厚、並びに各層の厚みは、何れも、比較例1のものと同じであった。
【0116】
[2]評価方法
例1~4および比較例1~5のチューブの特性を、下記の方法により評価した。
【0117】
<数平均分子量>
樹脂の数平均分子量は、本願の詳細な説明に記載される方法に従って、ゲル浸透クロマトグラフィーにより求めた。すなわち、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いた数平均分子量の測定は、以下に示す条件で行った。
高温GPC装置:東ソー社製 HLC-8321GPC/HT型 高温ゲル浸透クロマトグラフ
カラム:東ソー社製 TSKgel GMH6-HT × 2本、 東ソー社製 TSKgel GMH6-HTL × 2本
溶媒:o-ジクロロベンゼン(0.025質量%BHT含有)
流量:1.0 mL/min
温度:140℃
測定濃度:20 mg/20mL
注入量:0.4 mL
【0118】
<吸熱ピークの温度>
樹脂の吸熱ピークの温度(これは融点を示す)は、本願の詳細な説明に記載される方法に従って、示差走査熱量測定により求めた。すなわち、示差走査熱量測定は、示差走査熱量計:TA Instrument社製 Q200を用いて、以下のとおり行った。具体的には、試料チューブから約5mgを切り出して測定用のアルミパンに封入した。その後、10℃/分の速度で室温(20℃)から200℃まで昇温し、次に10℃/minで室温(20℃)まで降温し、再度10℃/minで室温(20℃)から200℃まで昇温し、試料の融解吸熱ピーク温度を測定した。
【0119】
<成形可否>
押出成形の可否を以下のとおり評価した。
・評価基準
○ :成形できた
× :成形できなかった
【0120】
<超音波シール強度>
超音波シール機(ブランソン製TS-2、パワーサプライ2000X)を用いて、振幅90%、溶着時間:200msecのシール条件でサンプルをシール後、以下に記載の方法で評価を行った。シール後のサンプルを、15mm幅の短冊状に切り試験片とした。試験片のシール部を180°に開き、引張試験機(島津製作所製、商品名AUTOGRAPH AGS-X)のつかみに取り付けた。引張速度50mm/minでT型引張試験を行い、安定値を超音波シール強度[kgf]とした。
・評価基準
〇 :4.0 kgf以上
△ :3.0 kgf以上、4.0 kgf未満
× :3.0 kgf未満
【0121】
<表面荒れ>
得られたチューブの表面の荒れ状態を目視で確認した。
・評価基準
〇 :荒れなし
△ :僅かな荒れあり
× :目立った荒れあり
【0122】
[3]評価結果
評価結果を表1および表2に示す。
【0123】
【0124】
【0125】
例1~4、並びに比較例1、2および5では、押出成形によりチューブ形状の押出成形品を製造することができたが、比較例3および4では、チューブが変形したり千切れたりして、チューブ形状の押出成形品を製造することができなかった。このため、比較例3および4では、超音波シール強度の評価や表面荒れの評価を実施しなかった。
【0126】
例1~4のチューブ(押出成形品)は、超音波シール強度の評価および表面荒れの評価において良好な結果を示した。比較例1のチューブ(押出成形品)は、超音波シール強度の評価および表面荒れの評価において良好な結果を示したが、再生樹脂を含んでいない。比較例2のチューブ(押出成形品)は、超音波シール強度が十分でない上に、表面に目立った荒れが確認された。また、比較例5のチューブ(押出成形品)は、超音波シール強度が十分でない上に、表面に目立った荒れが確認された。
1…押出成形品、1a…最内層、1b…第1接着層、1c…中間層、1d…第2接着層、1e…最外層、10…チューブ容器、11…容器本体、12…キャップ嵌合部分、21…胴部、22…シール部、31…肩部、32…口部。