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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163656
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】DCブラシレスモータおよび換気扇
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/33 20160101AFI20241115BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
H02K11/33
H02K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079459
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 直也
(72)【発明者】
【氏名】岡田 順二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 高志
(72)【発明者】
【氏名】出口 学
【テーマコード(参考)】
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
5H607AA02
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB09
5H607BB14
5H607CC05
5H607CC07
5H607DD03
5H607FF04
5H611AA09
5H611BB01
5H611BB08
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】 電子部品で発生する熱の放熱性を確保することのできるDCブラシレスモータを提供する。
【解決手段】 DCブラシレスモータ1は、後端が開口した有底の筒状胴部10aを有するフレーム10と、筒状胴部10aの内部に嵌合されたステータ11と、ステータ11の内側に配置されたロータ12と、環状の外筒部15bが外周に設けられ、外筒部15bの前側が筒状胴部10aの開口10cに圧入されたブラケット15と、ブラケット15の後方に配置された回路基板16と、回路基板16を収容し、外筒部15bの後側を覆うカバー17と、回路基板16に実装された電子部品18と、ブラケット15と回路基板16との間に挿入され、ブラケット15と回路基板16とを熱的に接触させる放熱部材19とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端が開口した有底の筒状胴部を有するフレームと、
前記筒状胴部の内部に嵌合されたステータと、
前記ステータの内側に配置されたロータと、
環状の外筒部が外周に設けられ、前記外筒部の前側が前記筒状胴部の開口に圧入されたブラケットと、
前記ブラケットの後方に配置された回路基板と、
前記回路基板を収容し、前記外筒部の後側を覆うカバーと、
前記回路基板に実装された電子部品と、
前記ブラケットと前記回路基板との間に挿入され、前記ブラケットと前記回路基板とを熱的に接触させる放熱部材とを備えるDCブラシレスモータ。
【請求項2】
前記筒状胴部の後端外周面に設けられたフレームフランジと、前記外筒部の外周面に設けられたブラケットフランジと、前記カバーの前端外周面に設けられたカバーフランジとを更に備え、
前記ブラケットフランジを前記フレームフランジと前記カバーフランジとで挟み込んで、前記フレームフランジと前記ブラケットフランジと前記カバーフランジとを固定する請求項1記載のDCブラシレスモータ。
【請求項3】
前記電子部品は、前記回路基板の後側の面に実装された発熱部品であり、
前記放熱部材は、前記回路基板の前側の面に設けられ、
前記放熱部材が熱的に接触する領域は、前記ロータの回転中心である中心軸線に沿う方向から見た場合に前記発熱部品が実装された領域に重なる領域である請求項2記載のDCブラシレスモータ。
【請求項4】
前記放熱部材が熱的に接触する領域は、前記発熱部品が前記回路基板に実装された領域より広い領域であり、前記中心軸線に沿う方向から見た場合に前記発熱部品が前記回路基板に実装された領域を包含する領域である請求項3記載のDCブラシレスモータ。
【請求項5】
前記発熱部品は、集積回路である請求項4に記載のDCブラシレスモータ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のDCブラシレスモータと、
前記ロータのシャフトに連結された送風ファンと、
前記送風ファンを内部に収容する筐体とを備える換気扇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、DCブラシレスモータ及びDCブラシレスモータにより送風ファンが駆動される換気扇に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フレームと、フレームの内部に嵌合されたステータと、ステータの内側に配置されたロータと、ロータの後側に配置されたブラケットと、ブラケットの後側に配置された回路基板と、回路基板を覆うカバーとを備えたDCブラシレスモータが開示されている。
カバーには、絞り部が形成され、絞り部の底面に放熱シートが取り付けられている。そして、絞り部の底面が、回路基板に実装された電子部品に放熱シートを介して接触している。このため、電子部品で発生した熱は、放熱シートおよび絞り部を介してカバーの表面から放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-66980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来のDCブラシレスモータは、カバー自体を変形させて電子部品に接触させる必要があった。このため、従来のDCブラシレスモータは、カバー成形時の工程が増えるという課題を有していた。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、カバー成形時の工程を増やすことなく、電子部品の温度上昇を確実に抑えることのできるDCブラシレスモータおよび換気扇を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るDCブラシレスモータは、後端が開口した有底の筒状胴部を有するフレームと、筒状胴部の内部に嵌合されたステータと、ステータの内側に配置されたロータと、環状の外筒部が外周に設けられ、外筒部の前側が筒状胴部の開口に圧入されたブラケットと、ブラケットの後方に配置された回路基板と、回路基板を収容し、外筒部の後側を覆うカバーと、回路基板に実装された電子部品と、ブラケットと回路基板との間に挿入され、ブラケットと回路基板とを熱的に接触させる放熱部材とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るDCブラシレスモータおよび換気扇は、カバー成形時の工程を増やすことなく、電子部品の温度上昇を確実に抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るDCブラシレスモータを示す部分断面図である。
図2図1のA部分を拡大した部分拡大断面図である。
図3図1の断面部分の構造を示す要部分解図である。
図4】ブラケットと回路基板と放熱部材とを模式的に示す断面図である。
図5】回路基板および放熱部材を示す側面図である。
図6】回路基板および放熱部材を前方から見た前面図である。
図7】回路基板および放熱部材を後方から見た後面図である。
図8】発熱部品から放熱部材への熱伝導を模式的に示す図である。
図9】実施の形態2に係る換気扇を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るDC(Direct Current)ブラシレスモータ1を示す部分断面図である。図2は、図1のA部分を拡大した部分拡大断面図である。図3は、図1の断面部分の構造を示す要部分解図である。
【0011】
図1から図3に示すように、DCブラシレスモータ1は、金属製のフレーム10と、フレーム10の内部に嵌合された円筒状のステータ11と、ステータ11の内側に配置されたロータ12と、ロータ12に連結され、ロータ12の回転中心である中心軸線Bに沿って延びるシャフト13とを備えている。ここで、シャフト13の先端部13aは、フレーム10の外部に突出している。なお、以下の説明では、シャフト13がフレーム10から突出した側を「前側」とし、「前側」の反対側を「後側」とする。また、前側の端部を「前端」、後側の端部を「後端」とする。
【0012】
DCブラシレスモータ1は、シャフト13の中央部13bを回転可能に保持する前軸受け14aと、シャフト13の基端部13cを回転可能に保持する後軸受け14bとを備えている。
また、DCブラシレスモータ1は、円板状のブラケット15と、ブラケット15の後側に配置された板状の回路基板16と、回路基板16を収容する金属製のカバー17とを備えている。
さらに、DCブラシレスモータ1は、回路基板16に実装された電子部品18と、ブラケット15と回路基板16との間に挿入され、ブラケット15と回路基板16とを熱的に接触させる放熱部材19とを備えている。
【0013】
フレーム10およびカバー17は、冷間圧延鋼板に亜鉛メッキを施した耐食性の高い溶融亜鉛メッキ鋼板などの金属鋼板で構成されている。また、ブラケット15は、PPS(Poly Phenylene Sulfide)などの放熱性の高い樹脂で構成されている。
なお、フレーム10およびカバー17の材質は、金属に限定されることなく、例えば、放熱性の高い樹脂であってもよい。また、ブラケット15の材質は、樹脂に限定されることなく、例えば、金属であってもよい。
さらに、コイル11a、ピン11dおよび回路基板16と、フレーム10及びカバー17との間の半径方向の沿面距離を確保する必要がある場合、ブラケット15の材質には、絶縁性を有する樹脂が用いられる。
【0014】
フレーム10は、後端が開口した有底の筒状胴部10aと、筒状胴部10aの前端に設けられた前面板10bとを備えている。フレーム10の前面板10bの中央には前軸受保持部10dが形成され、前軸受保持部10dには前軸受け14aが装着されている。また、ブラケット15の中央には、後軸受保持部15cが形成され、後軸受保持部15cには後軸受け14bが装着されている。
【0015】
ステータ11は、コイル11aと、コイル11aが巻回された鉄心11bと、コイル11aと鉄心11bとを絶縁するインシュレータ11cとを備えている。
ブラケット15は、円板状のブラケット本体15aとブラケット本体15aの外周に設けられた環状の外筒部15bとを備えている。そして、外筒部15bの前側が筒状胴部10aの開口10cに圧入されることにより、外筒部15bの前側の外周面が全周に亘って筒状胴部10aの後側の内周面に密着する。
【0016】
外筒部15bの筒状胴部10aへの圧入により、鉄心11bの後端面に外筒部15bの前端面が当接されるので、ブラケット15の中心軸線B方向の位置決めが精度よく行われる。
また、外筒部15bの外径寸法は、筒状胴部10aの内径寸法に対してシマリバメとなるような寸法に形成されている。このため、外筒部15bの筒状胴部10aへの圧入により、外筒部15bが筒状胴部10aに確実に固定される。
【0017】
カバー17は、筒状のカバー胴部17aとカバー胴部17aの後端に設けられた後面板17bとを備えている。そして、カバー胴部17aが外筒部15bの後側を覆うことにより、外筒部15bの後側の外周面が全周に亘ってカバー胴部17aの前側の内周面に密着する。
【0018】
筒状胴部10aの後端外周面10eには、中心軸線Bに直交する方向で且つ中心軸線Bから離隔する方向に延びるフレームフランジ10fが設けられている。また、フレームフランジ10fの先端には、中心軸線Bに平行な方向で且つ後方に延びるフレーム突起10gが設けられている。
ブラケット15の外筒部15bの外周面には、中心軸線Bに直交する方向で且つ中心軸線Bから離隔する方向に延びるブラケットフランジ15dが設けられている。また、カバー胴部17aの前端外周面17cには、中心軸線Bに直交する方向で且つ中心軸線Bから離隔する方向に延びるカバーフランジ17dが設けられている。
ブラケットフランジ15dおよびカバーフランジ17dには、それぞれフランジ孔が形成されている。そして、ブラケットフランジ15dをフレームフランジ10fとカバーフランジ17dとで挟み込んだ状態で、フレーム突起10gを各フレンジ孔に挿入して折り曲げることにより、フレーム10とブラケット15とカバー17とが固定される。
【0019】
ブラケット本体15aには、中心軸線Bに平行な方向に延びる貫通孔15eが3ヶ所形成されている。貫通孔15eには、ステータ11の後端面に立設されたピン11dが挿入されている。ピン11dは、コイル11aの端末と回路基板16とをハンダ等により電気的に接続する。回路基板16の前面16aおよび後面16bには、DCブラシレスモータ1を回転させるための駆動回路および電源回路等を構成する電子部品18が実装されている。
外部から商用交流電圧が投入されると、商用交流電圧は回路基板16に搭載された電源回路(図示せず)により直流電圧に変換される。変換された直流電圧は駆動回路(図示せず)でスイッチングが行なわれ、ピン11dを介してステータ11のコイル11aに一定方向の電流が流れ、ロータ12が回転する。
【0020】
ブラケット15は、鉄心11bの後端面に前端面を当接させることにより中心軸線B方向に位置決めされているので、ブラケット15が中心軸線Bに対して傾くことはない。また、ブラケット15は、フレーム10に圧入されているので、フレーム10の前軸受保持部10dとブラケット15の後軸受保持部15cとの同軸度が高い。このため、シャフト13及びロータ12を精度よく組み立てることができる。
【0021】
ブラケット15と回路基板16との間には、放熱部材19が挿入されている。このため、回路基板16に実装された電子部品18で発生した熱は、放熱部材19を介してブラケット15に放出される。その結果、電子部品18の温度上昇を抑えることができる。放熱部材19は、放熱シートと放熱接着剤とのいずれでもよく、その他の放熱性の高い部材でもよい。
また、電子部品18が実装された回路基板16は、金属製のカバー17で覆われている。このため、電子部品18の温度上昇などによる故障といった異常時にも、DCブラシレスモータ1を安全に停止させることができる。
【0022】
図4は、ブラケット15と回路基板16と放熱部材19とを模式的に示す断面図である。なお、ブラケット15と回路基板16は、紙面において中心軸線Bより上側のみを示している。図4に示すように、ブラケット15の外筒部15bは、ブラケット本体15aから前方および後方に突出している。後方に突出した外筒部15bの内周面とブラケット本体15aの後面との間のコーナー部15fに回路基板16の外周部16cが保持される。また、ブラケット本体15aと回路基板16との間には、空間領域Cを有する。ブラケット15に回路基板16が保持された場合、回路基板16の前面16aに実装された電子部品18はこの空間領域Cに収容される。このため、回路基板16の前面16aに実装された電子部品18がブラケット15に押し付けられ、電子部品18が破損するといった事態が回避される。
【0023】
図5は、回路基板16および放熱部材19を示す側面図である。図6は、回路基板16および放熱部材19を前方から見た前面図である。図7は、回路基板16および放熱部材19を後方から見た後面図である。
【0024】
図5から図7に示すように、回路基板16は、前面16aおよび後面16bに電子部品18が実装されている。電子部品18には、コイル11aに一定方向の電流を流してロータ12を回転駆動させるための発熱量の多い発熱部品18aと、発熱量の少ない一般部品18b&#12316;18eとがある。そして、回路基板16の前面16aには、一般部品18b,18cが実装されている。また、回路基板16の後面16bには、発熱部品18aと一般部品18d,18eとが実装されている。
なお、発熱部品18aには、インバータ等の集積回路、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等のディスクリート素子などがある。また、一般部品18b&#12316;18eには、抵抗、コンデンサなどがある。さらに、図5&#12316;図7では記載を省略しているが、実際には、回路基板16全体に多数の電子部品18が点在している。
【0025】
上述したように、放熱部材19は、回路基板16の前面16aとブラケット本体15aの後面との間に挿入されている。放熱部材19は、ブラケット15と回路基板16とを熱的に接触させる。放熱部材19は、回路基板16の前面16aに設けられ、放熱部材19が熱的に接触する領域Eは、中心軸線Bに沿う方向から見た場合に発熱部品18aが実装された領域Dに重なる領域である。さらに、放熱部材19が熱的に接触する領域Eは、領域Dより広い領域であり、中心軸線Bに沿う方向から見た場合に領域Dを包含する領域である。
このため、図8に示すように、発熱部品18aで発生した熱のうち、回路基板16内を拡がった熱も放熱部材19に伝わるため、放熱部材19は多くの熱をブラケット15に伝導させることができる。そして、ブラケット15に伝導した熱は、ブラケット15内を移動して外筒部15bに到達する。
【0026】
外筒部15bの前側の外周面が全周に亘って筒状胴部10aの内周面に密着しているので、外筒部15bに到達した熱は、筒状胴部10aに移動し、筒状胴部10aから外部に放出される。
また、外筒部15bの後側の外周面が全周に亘ってカバー胴部17aの内周面に密着しているので、外筒部15bに到達した熱は、カバー胴部17aに移動し、カバー胴部17aから外部に放出される。
【0027】
さらに、外筒部15bの外周面に設けられたブラケットフランジ15dは、フレームフランジ10fとカバーフランジ17dとに挟み込まれた状態で固定されている。このため、外筒部15bに到達した熱は、ブラケットフランジ15dに移動し、ブラケットフランジ15dに密着したフレームフランジ10fとカバーフランジ17dとから外部に放出される。
このように、発熱部品18aで発生した熱は、放熱部材19を介して、ブラケット15から外部に放出されるので、発熱部品18aの温度上昇を抑えることができる。
【0028】
特に、発熱部品18aが集積回路の場合、多くの回路がチップに集積されているので温度が上がり易いが、集積回路で発生した熱は、放熱部材19を介してブラケット15から速やかに外部に放出される。その結果、集積回路の温度上昇を確実に抑えることができる。
【0029】
なお、発熱部品18aが回路基板16に実装された領域Dと、放熱部材19が回路基板16に接触する領域Eとは、中心軸線Bに沿う方向から見た場合に少なくとも一部が重なっていればよく、必ずしも、領域Eが領域Dより広い領域でなくてもよい。
例えば、領域Eが領域Dと同等の広さを有し、中心軸線Bに沿う方向から見た場合に、領域Eが領域Dと一致していてもよい。また、領域Eが領域Dに比べて狭く、中心軸線Bに沿う方向から見た場合に領域Eが領域Dに包含されていてもよい。これらの場合でも、領域Dと領域Eとが重複する範囲において熱伝導が行われるので、発熱部品18aで発生した熱の多くは、放熱部材19を介して、ブラケット15から外部に放出される。その結果、発熱部品18aの温度上昇を抑えることができる。
【0030】
以上のように、実施の形態1に係るDCブラシレスモータ1は、回路基板16の前面16aとブラケット本体15aの後面との間に放熱部材19が挿入されているので、発熱部品18aで発生した熱が放熱部材19を介してブラケット15に伝導する。そして、ブラケット15に伝導した熱は、ブラケット15内を移動し、ブラケット15の外筒部15bに到達する。外筒部15bに到達した熱は、筒状胴部10a、カバー胴部17a、フレームフランジ10f、ブラケットフランジ15d、カバーフランジ17dの少なくともいずれかから外部に放出される。その結果、発熱部品18aの温度上昇を確実に抑えることができる。
【0031】
上述したように、従来のDCブラシレスモータは、カバー自体を変形させて、発熱部品にカバーを接触させることにより、発熱部品で発生した熱を、カバーを介して外部に放出させていた。これに対して、実施の形態1に係るDCブラシレスモータ1は、発熱部品18aが実装された回路基板16に放熱部材19を接触させることにより、発熱部品18aで発生した熱を、放熱部材19を介してブラケット15から外部に放出させている。
このように、実施の形態1に係るDCブラシレスモータ1は、カバー自体を変形させる工程が不要なため、カバー成形時の工程を増やすことなく、発熱部品18aの温度上昇を確実に抑えることができる。
【0032】
実施の形態2.
図9は実施の形態2に係る換気扇2を示す断面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号を付し、当該部分の説明は省略する。
【0033】
図9に示すように、換気扇2は、筐体20に実施の形態1に係るDCブラシレスモータ1を搭載しており、シャフト13に送風ファン21が取り付けられている。換気扇2は、天井板22の開口を通じて天井裏に設置され、グリル23で下方から覆われている。
【0034】
DCブラシレスモータ1を駆動すると、駆動トルクが発生し送風ファン21を回転させる。送風ファン21が回転すると、矢印Fで示す空気の流れが発生する。DCブラシレスモータ1は筐体20と当接しているため、DCブラシレスモータ1の内部で発生した熱は、筐体20に伝わる。したがって、実施の形態2に係る換気扇2は、DCブラシレスモータ1の駆動中に発生した熱を、筐体20から放出することができる。
【0035】
以上のように、実施の形態2に係る換気扇2は、上述した実施の形態1に係るDCブラシレスモータ1と同様の効果が得られる。
【0036】
以上の各実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能である。また、実施の形態同士を組み合わせることも可能であり、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0037】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0038】
(付記1)
後端が開口した有底の筒状胴部を有するフレームと、
前記筒状胴部の内部に嵌合されたステータと、
前記ステータの内側に配置されたロータと、
環状の外筒部が外周に設けられ、前記外筒部の前側が前記筒状胴部の開口に圧入されたブラケットと、
前記ブラケットの後方に配置された回路基板と、
前記回路基板を収容し、前記外筒部の後側を覆うカバーと、
前記回路基板に実装された電子部品と、
前記ブラケットと前記回路基板との間に挿入され、前記ブラケットと前記回路基板とを熱的に接触させる放熱部材とを備えるDCブラシレスモータ。
(付記2)
前記筒状胴部の後端外周面に設けられたフレームフランジと、前記外筒部の外周面に設けられたブラケットフランジと、前記カバーの前端外周面に設けられたカバーフランジとを更に備え、
前記ブラケットフランジを前記フレームフランジと前記カバーフランジとで挟み込んで、前記フレームフランジと前記ブラケットフランジと前記カバーフランジとを固定する付記1記載のDCブラシレスモータ。
(付記3)
前記電子部品は、前記回路基板の後側の面に実装された発熱部品であり、
前記放熱部材は、前記回路基板の前側の面に設けられ、
前記放熱部材が熱的に接触する領域は、前記ロータの回転中心である中心軸線に沿う方向から見た場合に前記発熱部品が実装された領域に重なる領域である付記1または付記2に記載のDCブラシレスモータ。
(付記4)
前記放熱部材が熱的に接触する領域は、前記発熱部品が前記回路基板に実装された領域より広い領域であり、前記中心軸線に沿う方向から見た場合に前記発熱部品が前記回路基板に実装された領域を包含する領域である付記3記載のDCブラシレスモータ。
(付記5)
前記発熱部品は、集積回路である付記3または付記4に記載のDCブラシレスモータ。
(付記6)
付記1から付記5のいずれか一項に記載のDCブラシレスモータと、
前記ロータのシャフトに連結された送風ファンと、
前記送風ファンを内部に収容する筐体とを備える換気扇。
【符号の説明】
【0039】
1 DCブラシレスモータ、2 換気扇、10 フレーム、10a 筒状胴部、10b 前面板、10f フレームフランジ、11 ステータ、11a コイル、11b 鉄心、11c インシュレータ、11d ピン、12 ロータ、13 シャフト、14a 前軸受け、14b 後軸受け、15 ブラケット、15a ブラケット本体、15b 外筒部、15d ブラケットフランジ、16 回路基板、17 カバー、17a カバー胴部、17b 後面板、17d カバーフランジ、18 電子部品、18a 発熱部品、18b~18e 一般部品、19 放熱部材、20 筐体、21 送風ファン、22 天井板、23 グリル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9