(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163663
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】シート搬送装置、画像形成装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 9/12 20060101AFI20241115BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20241115BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B65H9/12
B65H9/00 J
B65H5/06 F
B65H5/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079472
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 裕
(72)【発明者】
【氏名】川澄 拓矢
(72)【発明者】
【氏名】前田 ▲頼▼嗣
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 昌宏
【テーマコード(参考)】
3F049
3F102
【Fターム(参考)】
3F049AA02
3F049CA23
3F049CA32
3F049DA12
3F049DA19
3F049DB02
3F049DB06
3F102AA01
3F102AB01
3F102BA02
3F102BB02
3F102BB04
3F102CA03
3F102DA08
3F102DA09
3F102EA03
3F102EB01
3F102EC12
3F102FA01
3F102FA03
(57)【要約】
【課題】斜行補正部の耐久性の向上を図るものでありながら、小型化を図ること。
【解決手段】シート搬送装置は、シートを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送されるシートの斜行を補正する斜行補正部とを備える。斜行補正部は、第1及び第2駆動ローラと第1及び第2駆動ローラに従動して回転する第1及び第2従動ローラ(252L,252R)とを有する第1及び第2斜行補正ローラ対と、回転電機(M4)と、第1及び第2従動ローラ(252L,252R)を連動させる連動部材(271)を有し、回転電機(M4)の回転によって連動部材(271)を移動させることで、第1及び第2従動ローラ(252L,252R)を第1及び第2駆動ローラに当接させる当接位置と、それらを離間させる離間位置と、に移動可能な離間機構(270)と、を有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されるシートの斜行を補正する斜行補正部と、を備え、
前記斜行補正部は、
第1駆動ローラと、前記第1駆動ローラに対向配置され前記第1駆動ローラに従動して回転する第1従動ローラと、を有する第1斜行補正ローラ対と、
第2駆動ローラと、前記第2駆動ローラに対向配置され前記第2駆動ローラに従動して回転する第2従動ローラと、を有し、シートの搬送方向と直交する幅方向において前記第1斜行補正ローラ対と並列に配置された第2斜行補正ローラ対と、
回転電機と、
前記第1従動ローラ及び前記第2従動ローラを連動させる連動部材を有し、前記回転電機の回転によって前記連動部材を移動させることで、前記第1従動ローラ及び前記第2従動ローラを前記第1駆動ローラ及び前記第2駆動ローラに当接させる当接位置と、それらを離間させる離間位置と、に移動可能な離間機構と、を有する、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記離間機構は、前記回転電機により回転されるカムを有し、前記連動部材が前記カムにより変位されることで、前記第1従動ローラ及び前記第2従動ローラが前記当接位置と前記離間位置とに移動可能に構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記離間機構は、前記連動部材に回転自在に支持され、前記カムに押圧されるコロを有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記離間機構は、前記第1従動ローラ及び前記第2従動ローラを、前記連動部材を介して前記当接位置に向けて付勢する付勢部材を有し、前記連動部材が前記カムにより前記付勢部材の付勢力に抗して変位されることで、前記第1従動ローラ及び前記第2従動ローラが前記離間位置に移動される、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記離間機構は、前記連動部材を揺動可能に支持する揺動軸を有し、
前記連動部材は、前記揺動軸に対して一方側が前記カムに押圧され、前記揺動軸に対して他方側が前記付勢部材に付勢されると共に前記第1従動ローラ及び前記第2従動ローラに連動されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記斜行補正部は、
前記第1駆動ローラ及び前記第2駆動ローラのそれぞれを、前記搬送方向に対して回転させる搬送モータと、
前記第1駆動ローラ及び前記第2駆動ローラのそれぞれを、前記搬送方向及び前記幅方向に対して交差する方向の回転軸を中心として旋回させる旋回モータと、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記斜行補正部は、前記第1従動ローラ及び前記第2従動ローラのそれぞれを前記連動部材に対して回転自在に支持する支持軸を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置により搬送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置と、
前記画像形成装置により画像が形成されたシートに処理を施す処理装置と、を備える、
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されるシートの斜行を補正するシート搬送装置、画像形成装置、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばシートに画像を形成する画像形成装置においては、シートに対して傾きなく画像を形成するために、画像形成部に搬送されてくるシートの斜行を補正する斜行補正部が設けられている。このような斜行補正部として、シートの幅方向に独立回転可能な複数のレジストレーションローラ対を備えるものも提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1のものは、各レジストレーションローラ対が回転速度を可変可能に構成されており、かつ各レジストレーションローラ対を旋回させることで、シートを旋回させてシートの斜行を補正している。
【0003】
上記特許文献1のものにおいて、各レジストレーションローラ対は、駆動ローラと駆動ローラに当接して従動する従動ローラとで構成されている。また、従動ローラを移動可能にする離間機構を設けることで、駆動ローラと従動ローラとでニップを形成する当接状態と、駆動ローラから従動ローラが離間してニップを解除する解除状態と、に切換え可能に構成されている。そして、この離間機構において、従動ローラを移動させるための駆動源としてソレノイドが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば商業印刷機のように大量のシートを印刷する装置である場合、上述したような離間機構においてソレノイドを使用するものでは、ソレノイド自体の耐久性が問題となる。即ち、ソレノイドは、プランジャ等を摺動させて動作させる構造上、従動ローラの離間と当接とを繰り返す動作によって摩耗が進み易い。そのため、離間機構の駆動源としてモータ(回転電機)を採用することで耐久性の向上が見込まれる。しかしながら、駆動源としてモータを採用する場合、モータの回転運動を従動ローラの離間と当接との動作に変換するための機構が必要となる。このため、このような機構を配置するためのスペースが大きく必要となり、装置全体の大型化を招く虞がある。
【0006】
そこで本発明は、斜行補正部の耐久性の向上を図るものでありながら、小型化を図ることが可能なシート搬送装置、画像形成装置、及び画像形成システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、シートを搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されるシートの斜行を補正する斜行補正部と、を備え、前記斜行補正部は、第1駆動ローラと、前記第1駆動ローラに対向配置され前記第1駆動ローラに従動して回転する第1従動ローラと、を有する第1斜行補正ローラ対と、第2駆動ローラと、前記第2駆動ローラに対向配置され前記第2駆動ローラに従動して回転する第2従動ローラと、を有し、シートの搬送方向と直交する幅方向において前記第1斜行補正ローラ対と並列に配置された第2斜行補正ローラ対と、回転電機と、前記第1従動ローラ及び前記第2従動ローラを連動させる連動部材を有し、前記回転電機の回転によって前記連動部材を移動させることで、前記第1従動ローラ及び前記第2従動ローラを前記第1駆動ローラ及び前記第2駆動ローラに当接させる当接位置と、それらを離間させる離間位置と、に移動可能な離間機構と、を有する、ことを特徴とするシート搬送装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、斜行補正部の耐久性の向上を図ることができ、かつ小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るインクジェット記録システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係るプリントモジュールのレジストレーションユニットを示す上方視図である。
【
図3】本実施形態に係るプリントモジュールのレジストレーションユニットを示す斜視図である。
【
図4】(a)レジ駆動ローラを旋回させる前のレジストレーションユニットを示す斜視図である。(b)レジ駆動ローラを旋回させた後のレジストレーションユニットを示す斜視図である。
【
図5】(a)シートが搬送される前のレジストレーションユニットを示す上方視図である。(b)シートの斜行補正を行っている状態のレジストレーションユニットを示す上方視図である。(c)シートの横レジ補正を行っている状態のレジストレーションユニットを示す上方視図である。
【
図6】本実施形態に係るプリントモジュールのレジストレーションユニットを示す側方断面図である。
【
図7】本実施形態に係るプリントモジュールの制御を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係るレジストローラ対を示す断面図である。
【
図9】(a)レジ駆動ローラが旋回した直後の状態を示す図である。(b)レジ駆動ローラが旋回したことによりレジ従動ローラに生じる復元力を示す図である。(c)レジ駆動ローラが旋回したことによりレジ従動ローラが旋回したことを示す図である。
【
図10】本実施形態に係る離間機構を示す斜視図である。
【
図11】(a)本実施形態に係る離間機構を示す上面図である。(b)本実施形態に係る離間機構を示す正面図である。(c)本実施形態に係る離間機構を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図を用いて説明する。本実施形態では、画像形成システムとして、インクジェット記録システム1を適用した場合について説明している。
【0011】
[インクジェット記録システム]
まず、本実施形態に係るインクジェット記録システム1の概略構成を、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録システム1の概略構成を示す模式図である。画像形成システムとしてのインクジェット記録システム1は、反応液とインクとの2液を用いてシートSにインク像を形成する記録物を製造する枚葉式のインクジェット記録システムである。
図1に示すように、インクジェット記録システム1は、給送モジュール100、プリントモジュール200、乾燥モジュール300、定着モジュール400、冷却モジュール500、反転モジュール600、排出モジュール700から構成されている。給送モジュール100から供給されるカット紙状のシートSは、搬送経路に沿って搬送され、各モジュールで処理がなされ、シート積載装置としての排出モジュール700で排出される。また、インクジェット記録システム1では、画像形成装置としてのプリントモジュール200でシートに画像を形成し、プリントモジュール200よりもシート搬送方向の下流で、その画像が形成されたシートに各種の処理を施す。従って、乾燥モジュール300、定着モジュール400、冷却モジュール500、反転モジュール600、排出モジュール700等は、処理装置とも言える。
【0012】
給送モジュール100は、シートSを収容する3つの収納庫110a,110b,110cを有している。各収納庫110a,110b,110cは、装置正面側へ引き出し可能な構成になっている。シートSは、各収納庫110a,110b,110cにおいて不図示の分離ベルトおよび搬送ローラにより1枚ずつ給送され、プリントモジュール200へ搬送される。なお、収納庫110a,110b,110cは3つであることに限定はされず、1つや2つ、あるいは4つ以上を有する構成であってもよい。
【0013】
プリントモジュール200は、詳しくは後述する作像前に斜行補正及び横レジ補正を行う斜行補正部としてのレジストレーションユニット210(
図2参照)、プリントベルトユニット220、記録部230を有している。給送モジュール100から搬送されたシートSは、搬送部としての複数の搬送ローラ対208,209(
図2参照)と、レジストレーションユニット210とによりシートの傾きや位置が補正されプリントベルトユニット220へ搬送される。記録部230は、搬送経路に対し、プリントベルトユニット220と対向する位置に配置されている。これら複数の搬送ローラ対208,209及びレジストレーションユニット210によりシートを記録部230に搬送するシート搬送装置としてのシート搬送部201Aを構成している。また、記録部230は、搬送されるシートSに対して上方から複数の記録ヘッド230H(
図2参照)によりシートS上に記録処理(印字)を行なって画像を形成する画像形成部を構成している。
【0014】
複数の記録ヘッド230Hはシート搬送方向に沿って複数並べられている。本実施形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の4色に加えて、反応液に対応した計5つのライン型記録ヘッドを有している。なお、色数および記録ヘッドの数は5つに限定はされない。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、不図示のインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッドに供給される。記録部230で印字されたシートSは、プリントベルトユニット220により吸着搬送されることにより、記録ヘッドとのクリアランスを確保しつつ搬送される。記録部230で印字されたシートSは、記録部のシート搬送方向の下流側に配置された不図示のインラインスキャナによりシートSに形成された画像のズレや色濃度が検出される。検出結果は印刷画像の補正に利用される。
【0015】
乾燥モジュール300は、デカップリング部320、乾燥ベルトユニット330、温風吹付部340を有しており、プリントモジュール200の記録部230でシートS上に付与されたインクに含まれる液体分を減少させ、シートSとインクの定着性を高める。プリントモジュール200の記録部230で印字されたシートSは、乾燥モジュール300のシート搬送方向上流側に配置されたデカップリング部320に搬送される。デカップリング部320では、上方から風圧とベルトの摩擦でシートSを搬送することができ、ベルト上のシートSを弱く保持して搬送することで、インク像を形成するプリントベルトユニット220上のシートSのズレを防ぐ。乾燥ベルトユニット330はベルトの下方に、温風吹付部340はベルトの上方に、ベルトを挟んで対向して配置されている。デカップリング部320から搬送されたシートSは、乾燥ベルトユニット330にて吸着搬送されると同時に、温風吹付部340から熱風を受けてインク付与面が乾燥される。なお、乾燥方式は熱風を付与する方式の他に、電磁波(紫外線や赤外線など)をシートSの表面に照射する方式や、発熱体の接触による伝導伝熱方式を組み合わせて構成してもよい。
【0016】
定着モジュール400は、定着ベルトユニット410を有している。定着ベルトユニット410は上ベルトユニットと下ベルトユニットとを有しており、乾燥モジュール300から搬送されたシートSを、加熱した上ベルトユニットと下ベルトユニットの間を通過させることで、インクをシートSに定着させることができる。
【0017】
冷却モジュール500は、冷却部510を複数有しており、定着モジュール400から搬送された高温のシートSを冷却する。冷却部510は、外気をファンで冷却ボックス内に取り込んで、冷却ボックス内の圧力を高め、搬送ガイドに形成されたノズルから噴き出す風をシートSに当てることにより、シートSを冷却するように構成されている。冷却部510は、搬送経路に対し上側と下側の両方に配置され、シートSを両面から冷却する。
【0018】
また、冷却モジュール500は搬送経路切替部を有しており、シートSを反転モジュール600に搬送する場合と、両面印刷時に使用する両面搬送経路に搬送する場合とに応じて、シートSの搬送経路を切り替えることができる。両面印刷時には、シートSは冷却モジュール500の下部の搬送経路に搬送される。この場合、冷却モジュール500から、定着モジュール400、乾燥モジュール300、プリントモジュール200、給送モジュール100の両面搬送経路に沿って更に搬送される。定着モジュール400の両面搬送経路には、シートSの表裏を反転させる第1反転部420が設けられている。そして、再度、給送モジュール100から、プリントモジュール200の作像前レジ補正部、プリントベルトユニット220、記録部230へ搬送され、記録部230で印字される。
【0019】
反転モジュール600は第2反転部640を有し、搬送されるシートSの表裏を反転させることができ、排出されるシートSの表裏向きを変更することができる。排出モジュール700は、トップトレイ720と積載部750とを有しており、反転モジュール600から搬送されたシートSをトップトレイ720や積載部750に整列積載し、或いは不図示の外部のトレイ等に排出する。
【0020】
[プリントモジュールのレジストレーションユニット及びその周囲の構成]
続いて、上記プリントモジュール200におけるレジストレーションユニット210と、その周辺の構成について
図2,
図3,
図6を用いて説明する。
図2は本実施形態に係るプリントモジュールのレジストレーションユニットを示す上方視図である。
図3は本実施形態に係るプリントモジュールのレジストレーションユニットを示す斜視図である。
図6は本実施形態に係るプリントモジュールのレジストレーションユニットを示す側方断面図である。
【0021】
プリントモジュール200においては、
図2及び
図3に示すように、シート搬送部200A(
図1参照)において、シートを搬送する搬送ローラ対208,209がシート搬送方向Vに順に配置されている。なお、これら搬送ローラ対208,209は、例えばEPDM製のコロを有する下ローラと、例えばウレタン製のゴムローラとなる上ローラとを有しており、下ローラは図示しないバネにより上ローラに付勢されている。なお、ここで言うシート搬送方向Vとは、シートSが斜行していない場合の方向を指しており、後述するステアリング動作における搬送方向を指すものではない。
【0022】
また、プリントモジュール200のシート搬送部200Aにおいて、搬送ローラ対208,209のシート搬送方向Vの下流には、搬送ローラ対208,209により搬送されてくるシートを斜行補正するレジストレーションユニット210が配置されている。さらに、プリントモジュール200において、レジストレーションユニット210のシート搬送方向Vの下流には、プリントベルトユニット220が配置されている。プリントベルトユニット220は、シートを吸着搬送するように周回されるプリントベルト25と、そのプリントベルト25により搬送されるシートに画像を形成する記録部230(複数の記録ヘッド230H)(
図2参照)と、を有して構成されている。
【0023】
(レジストローラ対)
レジストレーションユニット210は、
図6に示すように、シート搬送方向Vに向かって搬送中心より左側に(
図2参照)、第1斜行補正ローラ対としての左レジストレーションローラ対(以下、単に「レジストローラ対」という)240Lを備えている。また、レジストレーションユニット210は、シート搬送方向Vに向かって搬送中心より右側に並列に配置された形で(
図2参照)、第2斜行補正ローラ対としての右レジストレーションローラ対(以下、単に「レジストローラ対」という)240Rを備えている。また、レジストローラ対240Lは、第1駆動ローラとしてのレジ駆動ローラ212Lと、そのレジ駆動ローラ212Lに対向配置されると共に当接した場合に従動される第1従動ローラとしてのレジ従動ローラ252Lとを有して構成されている。さらに、レジストローラ対240Rも同様に、第2駆動ローラとしてのレジ駆動ローラ212Rと、そのレジ駆動ローラ212Rに対向配置されると共に当接した場合に従動される第2従動ローラとしてのレジ従動ローラ252Rとを有して構成されている。なお、レジ駆動ローラ212L,212Rは、例えばポリウレタン製のゴムローラで構成され、レジ従動ローラ252L,252Rは、例えばEPDM製のコロで構成される。
【0024】
なお、これらレジストローラ対240L,240Rのレジ従動ローラ252L,252Rは、離間機構270(
図10参照)によってレジ駆動ローラ212L,212Rに当接される当接位置と離間される離間位置とに移動可能に構成されている。このように構成されたレジ従動ローラ252L,252R及び離間機構270の詳細については、まとめて後述する。
【0025】
(駆動旋回機構)
ついで、レジストレーションユニット210における駆動旋回機構211L,211Rについて説明する。
図2及び
図3に示すように、レジストレーションユニット210は、レジ駆動ローラ212L,212Rのそれぞれを回転駆動すると共に旋回させる駆動旋回機構211L,211Rを有している。駆動旋回機構211L,211Rのそれぞれは、搬送モータとしてのレジ駆動モータM1L,M1Rを有している。また、駆動旋回機構211L,211Rのそれぞれは、旋回モータとしてのステアリングモータM2L,M2Rと、モータギヤ213L,213Rと、駆動入力ギヤ214L,214Rと、ステアリング軸215L,215Rと、を有している。
【0026】
レジ駆動モータM1L,M1Rのそれぞれには、その回転軸がレジ駆動ローラ212L,212Rに駆動連結されている。つまりレジ駆動モータM1L,M1Rの回転により、レジ駆動ローラ212L,212Rがそれぞれ独立して回転速度が変更可能となるように回転駆動される。
【0027】
ステアリング軸215L,215Rのそれぞれは、レジ駆動ローラ212L,212R及びレジ駆動モータM1L,M1Rをそれぞれ支持するフレーム216L,216R(
図3参照)を回転自在に支持している。即ち、レジ駆動ローラ212L,212R及びレジ駆動モータM1L,M1Rは、シート搬送方向Vとシート搬送方向Vに直交する幅方向Wとに交差(直交)する方向を軸方向とするステアリング軸215L,215Rを中心に回転自在に支持されている。
【0028】
一方、ステアリングモータM2L,M2Rのそれぞれは、ステアリング軸215L,215Rの軸方向と平行な軸方向に沿って配置されており、その回転軸のそれぞれにモータギヤ213L,213Rが固定されている。これらモータギヤ213L,213Rのそれぞれには、ステアリング軸215L,215Rのそれぞれに固定された駆動入力ギヤ214L,214Rが噛合している。これにより、ステアリングモータM2L,M2Rを回転制御することでステアリング軸215L,215Rを中心にレジ駆動ローラ212L,212R及びレジ駆動モータM1L,M1Rを旋回(回転)させることが可能となっている。
【0029】
要するに、レジ駆動ローラ212L,212Rは、レジ駆動モータM1L,M1Rにより回転駆動され、ステアリングモータM2L,M2Rによりシート搬送方向Vに対して傾斜する方向に旋回されるように構成されている。これにより、レジストローラ対240L,240Rは、それぞれ独立して搬送速度を変更することができ、また、それぞれ独立して搬送方向を変更することができる。
【0030】
なお、レジ駆動ローラ212L,212Rのそれぞれの近傍には、ホームポジションセンサSN3L,SN3Rが配置されている。このホームポジションセンサSN3L,SN3Rによりレジ駆動ローラ212L,212Rのホームポジションが検知される。レジ駆動ローラ212L,212Rのホームポジションは、つまりレジストローラ対240L,240Rが搬送方向に真っ直ぐに(傾斜なく)向いている位置である。つまりホームポジションセンサSN3L,SN3Rの検知により、レジストローラ対240L,240Rが搬送方向に対して傾斜していない位置に戻すことが可能となるように構成されている。
【0031】
(シートの斜行検知の構成)
レジストローラ対240L,240Rのそれぞれのニップ近傍には、シート搬送方向Vにおける同じ位置に(つまり幅方向Wに並ぶように)、例えば光センサ等で構成された先レジセンサSN2L,SN2Rが配置されている。不図示の制御部としてのコントローラは、先レジセンサSN2L,SN2RのそれぞれがシートSの先端を検知したタイミングの差、及びシートSを搬送する搬送速度から、シートSの斜行量を算出する。なお、本実施形態においては、複数の先レジセンサSN2L,SN2RによりシートSの斜行量を検知するものを説明したが、これに限らず、画像を撮像するイメージセンサ等を用いて画像を解析してシートSの斜行を検知する等、他の方式を用いてもよい。
【0032】
(シートの幅方向位置検知の構成)
レジストローラ対240Lのシート搬送方向Vにおける上流側には、イメージセンサSN1Lが配置されており、レジストローラ対240Rのシート搬送方向Vにおける下流側には、イメージセンサSN1Rが配置されている。イメージセンサSN1Lは、シートSの左端部のエッジ位置、イメージセンサSN1Rは、シートSの右端部のエッジ位置を検知する。これらイメージセンサSN1L,SN2Rは、例えばCISセンサ等の光学センサを用いることができる。そして、不図示のコントローラは、左端部と右端部とのエッジ位置を元に、シートSの幅方向位置(所謂横レジ位置)を算出する。
【0033】
なお、本実施形態においては、2つのイメージセンサSN1L,SN1RによりシートSの幅方向Wの両端位置を検知するものを説明したが、これに限らず、シートSが通過する範囲よりも幅方向Wに長い1つのイメージセンサを用いてもよい。また、1つのイメージセンサによりシートSの片側の端部位置を検知し、例えばコントローラに入力された(或いは他の部位で検出した)シートサイズから、シートSの幅方向位置を算出してもよい。さらに、1つのイメージセンサによりシートSの片側の端部位置を検知し、それを基準位置としてシートSの幅方向Wの移動(横レジ)を制御するように構成してもよい。
【0034】
[プリントモジュールにおける動作]
ついで、プリントモジュール200の動作について、
図4(a)、
図4(b)、
図5(a)、
図5(b)、
図5(c)、及び
図7を用いて説明する。
図4(a)はレジ駆動ローラを旋回させる前のレジストレーションユニットを示す斜視図である。
図4(b)はレジ駆動ローラを旋回させた後のレジストレーションユニットを示す斜視図である。
図5(a)はシートが搬送される前のレジストレーションユニットを示す上方視図である。
図5(b)はシートの斜行補正を行っている状態のレジストレーションユニットを示す上方視図である。
図5(c)はシートの横レジ補正を行っている状態のレジストレーションユニットを示す上方視図である。
図7は本実施形態に係るプリントモジュールの制御を示すフローチャートである。なお、
図7に示す画像形成の制御においては、シートの片面に画像を形成する例を説明するが、シートの両面に画像を形成する場合でも、本制御を繰り返し行うものである。
【0035】
プリントモジュール200において、不図示のコントローラには、左右のイメージセンサSN1L,SN1R、及び左右の先レジセンサSN2L,SN2Rから検知結果が入力される。不図示のコントローラは、これらの検知結果に基づき、左右のレジ駆動モータM1L,M1R、及び左右のステアリングモータM2L,M2Rを制御して、シートの搬送を行うと共に斜行補正と横レジ補正とを行う。なお、ここで言う斜行補正とは、シート搬送方向Vに対する傾斜を補正することを指し、横レジ補正とは、シートの幅方向Wにおける基準位置からのずれを補正することを指している。しかしながら、本実施形態においては、基本的にレジストレーションユニット210がシートの斜行を補正することを目的とするものであり、シートの斜行を補正した結果、幅方向Wの位置を補正することも必要となることが多い。そのため、これらの両方の補正を含め、広義としての斜行補正とも言う。
【0036】
不図示のコントローラは、まず、不図示の操作部から直接、若しくはネットワークを介して接続された外部のコンピュータから、プリントジョブを受信したタイミングで、
図7に示す画像形成の制御を開始する。このコントローラが受信するプリントジョブには、ユーザーによって指定されたプリント部数、プリントするシートSのサイズ、等の情報が含まれている。即ち、不図示のコントローラは、受信したプリントジョブに従ってプリントの開始を判断する(S1)。
【0037】
次に、不図示のコントローラは、プリントジョブによって指定されたサイズのシートSを、例えば収納庫110a,110b,110cの何れかから選択し、給送モジュール100によって給送させる。そして、コントローラは、駆動モータ等を駆動させて、搬送ローラ対208,209(
図2参照)によりシートSをレジストレーションユニット210に向けて搬送し、シートSをレジストローラ対240L,240Rに到達させる(S2)。
【0038】
続いて、不図示のコントローラは、先レジセンサSN2L,SN2Rから入力される検知結果に基づいて、シートSの姿勢(斜行量)を算出して求める(S3)。なお、ここで言うシートSの姿勢(遮光量)は、シート搬送方向Vに対する傾き角度、より正確には、シートSの先端における幅方向Wに対する傾き角度である。具体的には上述したように、コントローラが、搬送されてきたシートSの先端を、2つの先レジセンサSN2L,SN2Rの各々が検知するタイミングのズレと、シートSの搬送速度とに基づいて、シートSの傾き角度を求める。
【0039】
ついで、不図示のコントローラは、上記のように求めたシートSの傾き角度に基づいて、シートSの斜行を補正するためのレジストローラ対240L,240Rの斜行補正プロファイルを作成する(S4)。そして、不図示のコントローラは、斜行補正プロファイルに従って斜行補正(アクティブ動作)を実行する(S5)。
【0040】
具体的には、不図示のコントローラからの指示に基づいてレジ駆動モータM1L,M1Rが斜行補正プロファイルに従って駆動されることで、レジストローラ対240L,240Rの回転速度が独立して駆動制御される。例えば
図4(a)及び
図5(a)に示す状態では、レジストローラ対240Lが搬送速度VLとなるように、レジストローラ対240Rが搬送速度VRとなるように、レジ駆動モータM1L,M1Rが制御されている。ここで、
図5(b)に示すように、斜行して搬送されてきたシートSの傾き角度が検出され、斜行補正プロファイルが作成され、その斜行補正プロファイルに従ってレジ駆動モータM1L,M1Rが独立して駆動制御される。すると、レジストローラ対240Lの搬送速度VLよりもレジストローラ対240Rの搬送速度VRが大きくなるように制御される。これにより、シートSは矢印ωで示すように旋回されて、図中破線で示すようにシートSの斜行が補正される。
【0041】
次に、不図示のコントローラは、
図7に示すように、左右のイメージセンサSN1L,SN1Rの検知に基づいて、シートSの横レジ位置(横ずれ量)、つまり幅方向WにおけるシートSの両端位置を算出する(S6)。具体的に不図示のコントローラは、シートSがイメージセンサSN1L,SN1Rのどの部分までを覆っているかを検知することにより幅方向WにおけるシートSの両端位置を検知し、その両端位置からシートSの横ずれ量を算出する。
【0042】
続いて、不図示のコントローラは、算出したシートSの横レジ位置に基づいて、シートSの横レジ(横ずれ)を補正するためのレジストローラ対240L,240Rの横レジ補正プロファイルを作成する(S7)。そして、不図示のコントローラは、横レジ補正プロファイルに従って横レジ補正(ステアリング動作)を実行する(S8)。
【0043】
具体的には、不図示のコントローラからの指示に基づいてステアリングモータM2L,M2Rが横レジ補正プロファイルに従って駆動されることで、レジストローラ対240L,240Rの旋回角度が独立して駆動制御される。例えば
図4(a)及び
図5(a)に示す状態では、上述したホームポジションセンサSN3L,SN3Rで検知される位置となるようにステアリングモータM2L,M2Rによりレジ駆動ローラ212L,212Rの角度が制御される。従って、レジストローラ対240L,240Rは搬送方向に真っ直ぐに向くように位置している。ここで、
図5(c)に示すように、横ずれして搬送されてきたシートSの横レジ位置が検出され、横レジ補正プロファイルが作成され、その横レジ補正プロファイルに従ってステアリングモータM2L,M2Rが独立して駆動制御される。すると、レジストローラ対240L,240Rは、それぞれ旋回されて、シートSをレジストローラ対240Lにより搬送速度VLで旋回した方向に搬送すると共に、レジストローラ対240Rにより搬送速度VRで旋回した方向に搬送するように制御される。これにより、シートSは矢印VBで示すように幅方向Wに移動しつつ搬送されて、図中破線で示すようにシートSの横レジ位置が基準位置(搬送中心に一致する位置)となるように補正される。なお、この横レジ補正において、斜行補正をしない通常時は、レジストローラ対240L,240Rの搬送速度VL,VRは同じ速度となるように、旋回角度は同じ角度となるように制御される。
【0044】
ついで、不図示のコントローラは、
図7に示すように、上記の横レジ補正の終了後、プリントベルト25(
図2参照)にシートSを受け渡す(S9)。そして、シートSをプリントベルト25に受け渡した後、詳しくは後述する離間機構270によってレジ従動ローラ252R,252Lをレジ駆動ローラ212R,212Lから離間させる(S10)。
【0045】
続いて、不図示のコントローラは、記録部230によりシートSに対して作像を行う(S11)。また、シートSの後端がレジストローラ対240L,240Rのニップ(レジニップ)を通過した後、詳しくは後述する離間機構270によってレジ従動ローラ252R,252Lをレジ駆動ローラ212R,212Lに当接させる(S12)。そして、シートSを排出モジュール700(
図1参照)に向けて排紙し(S13)、以上でプリントジョブを終了して、1枚のシートに対する画像形成動作を終了する。
【0046】
なお、シートSの両面(表面及び裏面)に画像形成を行う両面プリントの場合には、不図示のコントローラは、ステップS13の動作の後に、シートSを反転モジュール600で反転し、レジストローラ対240L,240Rに向けて再搬送する。そして、ステップS2以降の動作を同様に行う。
【0047】
また、
図7に示すフローチャートでは、斜行補正(アクティブ動作)と横レジ補正(ステアリング動作)とを別々に分けて行っているが、これら斜行補正と横レジ補正とを合成して同時に両方の補正を行うようにしても良い。
【0048】
[レジ従動ローラの構成]
ついで、レジ従動ローラ252L,252Rの構成について
図8及び
図9を用いて説明する。
図8は本実施形態に係るレジストローラ対を示す断面図である。
図9(a)はレジ駆動ローラが旋回した直後の状態を示す図である。
図9(b)はレジ駆動ローラが旋回したことによりレジ従動ローラに生じる復元力を示す図である。
図9(c)はレジ駆動ローラが旋回したことによりレジ従動ローラが旋回したことを示す図である。
【0049】
図8に示すように、レジストローラ対240R(240L)は、レジ駆動ローラ212R(212L)とレジ従動ローラ252R(252L)とを有して構成されている。そのうちのレジ従動ローラ252R(252)Lは、レジ従動ローラユニット251R(251L)に含まれて構成されている。レジ従動ローラユニット251R(251L)は、上記レジ従動ローラ252R(252L)と、従動ローラ回転軸254R(254L)と、支持軸としての旋回回転軸255R(255L)と、フレーム253R(253L)とによって構成されている。なお、レジ従動ローラ252Lとレジ従動ローラ252Rとは同様の構成であるので、以下のレジ従動ローラの説明においては、レジ従動ローラ252Rについて説明し、レジ従動ローラ252Lの説明は省略する。
【0050】
詳細には、従動ローラ回転軸254Rは、フレーム253Rによって回転自在に支持されており、その従動ローラ回転軸254Rにはレジ従動ローラ252Rが固定支持されている。また、フレーム253Rは、旋回回転軸255Rによって、その軸を中心として旋回(回転)可能に支持されており、つまりレジ従動ローラ252Rは旋回回転軸255Rを中心として旋回可能に構成されている。また、旋回回転軸255Rは、搬送方向において、レジ駆動ローラ212R及びレジ従動ローラ252Rのニップ部の位置に対して、距離Xだけずらして配置されている。この距離Xをキャスタートレールと称する。
【0051】
続いて、このレジ従動ローラ252Rの旋回動作について詳細に説明する。レジ駆動ローラ212Rが所定のアライメントで駆動されている際、詳しくは後述する離間機構270のバネ273によってレジ駆動ローラ212Rに付勢されたレジ従動ローラ252Rは、レジ駆動ローラ212Rとのニップ部の摩擦力を受けて従動回転する。このとき、
図9(a)に示すように、レジ駆動ローラ212Rの回転によってレジ従動ローラ252Rは、矢印Fで示すベクトル方向の力を受ける。レジ従動ローラユニット251Rの旋回回転軸255Rは、上述したようにベクトル方向の力を受けるニップ部の位置から搬送方向においてキャスタートレールとしての距離Xで離れた位置に設けられている。このため、レジ駆動ローラ212Rがステアリング動作を始めると、ベクトル方向の力(矢印F)は、
図9(a)で示す方向に作用し、レジ従動ローラ252Rの角度に対して傾斜した方向に作用する状態となる。
【0052】
すると、
図9(b)に示すように、レジ従動ローラ252Rには、旋回回転軸255Rの周りに矢印Yで示すモーメントが発生し、レジ従動ローラ252Rがレジ駆動ローラ212Rに対して正対する方向に旋回して復元する復元力が発生する。この矢印Yで示すモーメントは、旋回回転軸255Rと、矢印Fで示すベクトル方向の力とのずれによって増減し、ベクトル方向に近づくにつれて小さくなる。そのため、ベクトル方向とレジ従動ローラ252Rの回転方向が一致したところで旋回力はゼロとなる。このメカニズムにより、
図9(c)に示すように、レジ従動ローラ252Rが旋回し、レジ駆動ローラ212Rと搬送方向のアライメントが一致する。
【0053】
以上説明したように、レジ駆動ローラ212Rが旋回する構成において、レジ従動ローラ252Rがレジ駆動ローラ212Rとのニップ部と、旋回回転軸255Rの中心とが搬送方向において所定の距離(トレール)を有する。これにより、レジ駆動ローラ212Rがステアリング動作を行った際にレジ従動ローラ252Rが追従することが可能となる。
【0054】
[離間機構の詳細]
ついで、レジ従動ローラ252L、252Rを、レジ駆動ローラ212L,212Rに対して当接させる当接位置と、離間させる離間位置と、に移動可能な離間機構270について
図10、
図11(a)、
図11(b)、及び
図11(c)を用いて説明しる。
図10は本実施形態に係る離間機構を示す斜視図である。
図11(a)は本実施形態に係る離間機構を示す上面図である。
図11(b)は本実施形態に係る離間機構を示す正面図である。
図11(c)は本実施形態に係る離間機構を示す側面図である。なお、
図10、
図11(a)、
図11(b)、及び
図11(c)は、シートSの搬送路を基準に、レジ従動ローラ252L,252Rがある側だけを示した図であり、特にシートSの搬送路を形成するガイド部材も省略した図である。
【0055】
図10、
図11(a)、
図11(b)、及び
図11(c)に示すように、大まかに、離間機構270は、フレーム部290と、揺動軸272と、連動部材としての揺動部材271と、駆動部280とを有して構成されている。揺動軸272は、フレーム部290に支持されており、揺動部材271はその揺動軸272に揺動自在に支持されている。また、駆動部280は、揺動部材271を揺動するように駆動する。
【0056】
詳細には、フレーム部290は、プリントモジュール200の本体内部に設けられた不図示のフレームに固定される底板295を有している。その底板295における幅方向Wの両端部分には、側板291,294が上下方向に向けて立設されて固定されている。また、底板295における側板291,294の幅方向Wの間には、サポート枠体292が配置されており、そのサポート枠体292の側板292a,292bが上下方向に向けて立設されて固定されている。さらに、側板291,294の上端部分には、上記揺動軸272が固定支持されている。そして、その揺動軸272には、揺動部材271が揺動軸272を中心として矢印Z1-Z2で示す方向に揺動可能に支持されている。なお、揺動部材271における揺動軸272を挟んで一方側と、その反対の他方側とが、揺動した際に上下方向に反対に移動するので、その一方側を一端部271A、他方側を他端部271Bと称して説明する。
【0057】
揺動部材271の他端部271Bは、上述したレジ従動ローラユニット251L,251Rのフレーム253L,253Rに下方から当接している。従って、揺動部材271は、レジ従動ローラ252L,252Rを上下方向、つまり当接位置と離間位置とに移動する方向に対して連動させる。また、他端部271Bは、フレーム部290との間に縮設された付勢部材としてのバネ273(
図11(c)参照)により上方に向けて付勢されている。従って、レジ従動ローラ252L,252Rは、レジ駆動ローラ212L,212Rに向けてバネ273により付勢されて当接位置で当接する。なお、レジ従動ローラユニット251L,251Rの旋回回転軸255L,255Rは、伸縮可能に構成されて、レジ駆動ローラ212L,212Rを上下方向に移動可能に支持している。また、揺動部材271の他端部271Bは、フレーム253L,253Rを介してレジ従動ローラ252L,252Rを押圧するが、旋回回転軸255L,255Rを中心としたレジ従動ローラ252L,252Rの旋回動作は妨げないように構成されている。
【0058】
一方、揺動部材271の一端部271Aには、下方に向けて屈曲部271a,271aが屈曲形成されている。それら屈曲部271a,271aには、支持軸286が固定支持され、さらに、その支持軸286にはコロ285が回転可能に支持されている。このように揺動部材271に対して回転自在に支持されているコロ285は、後述する駆動部280のカム284に当接して押圧される。
【0059】
駆動部280は、回転電機としてのレジ離間モータM4と、出力ギヤ281と、入力ギヤ282と、回転軸283と、カム284とを有して構成されている。レジ離間モータM4は、底板295及びサポート枠体292に対して取付けられており、その出力軸には出力ギヤ281が固定されている。出力ギヤ281には、回転軸283に固定された入力ギヤ282が噛合しており、さらに、回転軸283には、上記コロ285に当接するカム284が固定されている。このカム284は、回転方向において、回転中心からの距離が異なるように構成されている。なお、回転軸283は、サポート枠体292の側板292a,292bにより回転自在に支持されている。
【0060】
このカム284における回転中心から外周までの距離が最短付近である位置でコロ285が当接している状態では、カム284がコロ285を押上げない。そのため、揺動部材271の一端部271Aが上方には押上げられず、他端部271Bがバネ273により矢印Z1の方向に押圧される(
図11(c)参照)。これにより、レジ従動ローラ252L,252Rは、レジ駆動ローラ212L,212Rに当接する当接位置に変位するように移動される。
【0061】
不図示のコントローラによりレジ離間モータM4が回転制御されてカム284が回転され、このカム284における回転中心から外周までの距離が最長付近である位置でコロ285が当接している状態に制御されると、カム284がコロ285を押上げる。すると、揺動部材271の一端部271Aがバネ273の不勢力に抗して上方には押上げられ、他端部271Bが矢印Z2の方向に下降される(
図11(c)参照)。これにより、レジ従動ローラ252L,252Rは、レジ駆動ローラ212L,212Rから離間された離間位置に移動される。
【0062】
[本実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態における離間機構270は、レジ従動ローラ252L,252Rを当接位置と離間位置とに移動する方向に対して連動させる揺動部材271を備えている。これにより、駆動源としての1つのレジ離間モータM4で、複数のレジ従動ローラ252L,252Rを当接位置と離間位置とに移動させることを可能とすることができる。このため、ソレノイドを用いてレジ従動ローラ252L,252Rを移動させるものよりも、レジストレーションユニット210の耐久性の向上を図ることができる。さらに、モータの回転運動を当接位置と離間位置とに移動させる往復運動に変換するための機構や、それを駆動するモータを複数にする必要がなく、装置全体の小型化やコストダウンを図ることができる。
【0063】
また、離間機構270がレジ離間モータM4により回転されるカム284を有しており、揺動部材271がカム284により変位されることで、レジ従動ローラ252L,252Rが当接位置と離間位置とに移動可能に構成されている。これにより、レジ離間モータM4の回転運動を、レジ従動ローラ252L,252Rの当接位置と離間位置との往復運動に変換することができる。
【0064】
さらに、離間機構270が、揺動部材271に回転自在に支持され、カム284に押圧されるコロ285を有している。即ち、例えばカム284により揺動部材271を直接押圧する場合は、特に商業印刷機のように大量のシートを印刷する装置である場合は、カム284の摩耗による耐久性の問題を生じる虞がある。しかしながら、コロ285が回転することでカム284の摩耗を低減することができ、耐久性を向上することができる。
【0065】
また、離間機構270が、レジ従動ローラ252L,252Rを、揺動部材271を介して当接位置に向けて付勢するバネ273を有している。そして、揺動部材271がカム284によりバネ273の付勢力に抗して変位されることで、レジ従動ローラ252L,252Rが離間位置に移動するように構成されている。即ち、例えばバネ273を無くして、揺動部材271の自重によりレジ従動ローラ252L,252Rをレジ駆動ローラ212L,212Rに押圧するように構成することも考えられる。しかしながら、レジ従動ローラ252L,252Rとレジ駆動ローラ212L,212Rとのニップ部におけるシートSの挟持力が不足する虞がある。本実施形態では、バネ273の付勢力でレジ従動ローラ252L,252Rをレジ駆動ローラ212L,212Rに押圧するので、ニップ部におけるシートSの挟持力を確保することができる。
【0066】
さらに、離間機構270が、揺動部材271を揺動可能に支持する揺動軸272を有している。そして、揺動部材271が、揺動軸272に対する一端部271Aがカム284に押圧され、他端部271Bがバネ273に付勢されると共にレジ従動ローラ252L,252Rに連動されている。このように構成することで、例えばレジ従動ローラ252L,252Rを連動させる長いアーム等を用いる場合よりも、離間機構270を小型化した構造にすることができる。
【0067】
また、レジ駆動ローラ212L,212Rが斜行補正及び横レジ補正が可能となるように回転可能かつ旋回可能に構成されているものであるので、レジ従動ローラ252L,252Rも旋回可能となるように旋回回転軸255L,255Rで支持する必要がある。そして、この旋回回転軸255L、255Rが、揺動部材271に対してレジ従動ローラ252L,252Rを回転自在に支持していることで、レジ従動ローラ252L,252Rの旋回を可能とすることができる。
【0068】
[他の実施形態の可能性]
なお、以上説明した本実施形態においては、レジストレーションユニット210が画像形成部としての記録部230のシート搬送方向の上流で斜行補正を行うものを説明した。しかしながら、これに限らず、例えばシートの画像を読取る画像読取部、シートに穴明けを行う穴明け部、シートを折る折り部等のシート搬送方向の上流で斜行補正を行うものでも構わない。要するに、斜行補正を行うシート搬送装置は、どのような装置であっても、或いはどのような装置に組込まれたものであっても構わない。
【0069】
また、本実施形態においては、揺動軸272を中心に揺動する揺動部材271により、レジ従動ローラ252L,252Rの移動を連動させるものについて説明した。しかしながら、これに限らず、レジ従動ローラ252L,252Rの当接位置と離間位置との移動方向に連動させることができる連動部材なら、どのような部材でも構わない。例えばレジ従動ローラ252L,252Rを支持するフレーム253L,253Rを連結するような部材でも良い。また、連動部材は揺動するものに限らず、上下方向にスライド移動する等、どのような移動方向に移動するものでも構わない。
【0070】
また、本実施形態においては、連動部材としての揺動部材271をカム284により変位させるものについて説明したが、これに限らず、例えばリンク機構等でレジ離間モータM4の回転を往復運動に変換するようなものでも構わない。
【0071】
また、本実施形態においては、カム284がコロ285を介して揺動部材271を押圧するものを説明したが、これに限らず、カム284が直接的に揺動部材271を押圧するものでも構わない。この場合、カム284が当接位置に摺動抵抗を減らすコーティングを施したり、摺動抵抗の低い部材を貼付けておいたりすることも考えられる。
【0072】
また、本実施形態においては、揺動部材271をバネ273により付勢してレジ従動ローラ252L,252Rをレジ駆動ローラ212L,212Rに押付けるものを説明した。しかしながら、これに限らず、例えば揺動部材271の一端部271Aの重量を大きくして揺動部材271の自重でレジ従動ローラ252L,252Rを押圧する等、バネを用いない構造であっても構わない。
【0073】
また、本実施形態で説明した構造は一例であり、種々の細かい変更はどのようなものであっても構わない。例えばコロと、コロを支持する回転軸と、回転軸を支持する支持部材と、のような関係では、どの部分が回転自在に構成されても構わない。
【符号の説明】
【0074】
1…インクジェット記録システム(画像形成システム)/200…プリントモジュール(画像形成装置)/200A…シート搬送部(シート搬送装置)/208…搬送ローラ対(搬送部)/209…搬送ローラ対(搬送部)/210…レジストレーションユニット(斜行補正部)/212L…レジ駆動ローラ(第1駆動ローラ)/212R…レジ駆動ローラ(第2駆動ローラ)/230…記録部(画像形成部)/240L…レジストローラ対(第1斜行補正ローラ対)/240R…レジストローラ対(第2斜行補正ローラ対)/252L…レジ従動ローラ(第1従動ローラ)/252R…レジ従動ローラ(第2従動ローラ)/255L…支持軸/255R…支持軸/270…離間機構/271…揺動部材(連動部材)/272…揺動軸/273…バネ(付勢部材)/284…カム/285…コロ/300…乾燥モジュール(処理装置)/400…定着モジュール(処理装置)/500…冷却モジュール(処理装置)/600…反転モジュール(処理装置)/700…排出モジュール(処理装置)/M1L…搬送モータ/M1R…搬送モータ/M2L…旋回モータ/M2R…旋回モータ/M4…レジ離間モータ(回転電機)/S…シート