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特開2024-163666情報処理装置、情報処理方法及び収納システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163666
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び収納システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241115BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079479
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】林 大介
(72)【発明者】
【氏名】稲田 圭介
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096CA25
5L096DA01
5L096EA35
5L096FA69
5L096GA34
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】学習データの画像に対し、正確なラベルを付す。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、単位画像に含まれる物体を認識する物体認識部と、異なる複数の前記単位画像に基づき、ユーザが前記物体を取り扱う傾向を推定し、前記推定した傾向に基づき、前記物体に対する関心度を前記ユーザごとに算出する関心度算出部と、を備えること、を特徴とする。さらに、情報処理装置は、前記単位画像にラベル情報を付すことを、所定の基準を満たす程度に前記関心度が高い前記ユーザに要求するラベル要求部を備えること、を特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位画像に含まれる物体を認識する物体認識部と、
異なる複数の前記単位画像に基づき、ユーザが前記物体を取り扱う傾向を推定し、
前記推定した傾向に基づき、前記物体に対する関心度を前記ユーザごとに算出する関心度算出部と、
を備えること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記単位画像にラベル情報を付すことを、所定の基準を満たす程度に前記関心度が高い前記ユーザに要求するラベル要求部を備えること、
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記物体認識部は、
前記ラベル情報が付された前記単位画像を学習データとして、前記単位画像を入力とし前記物体の品目を出力とするモデルを学習すること、
を特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ラベル要求部は、
前記単位画像から前記物体が撮像されている部分を切り出し、前記切り出した物体の部分を前記関心度が高い前記ユーザに表示すること、
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ラベル要求部は、
前記ユーザの属性に応じて前記ユーザを複数の群に分類し、
前記複数の群のそれぞれに属する前記ユーザに、同じ前記物体を含む単位画像にラベル情報を付すことを要求し、又は、異なる前記物体を含む単位画像にラベルを付すことを要求すること、
を特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記関心度算出部は、
前記ユーザが前記物体を取り扱った位置又は前記ユーザが前記物体を取り扱った回数に基づき、前記関心度を算出すること、
を特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記関心度算出部は、
前記関心度を前記物体ごとに算出し、
前記ラベル要求部は、
前記関心度の高い順に前記物体を含む単位画像を前記関心度が高い前記ユーザに表示すること、
を特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ラベル要求部は、
収納庫内の所定の位置に収納される物体について、前記単位画像にラベル情報を付すことを、所定の基準を満たす程度に前記関心度が高い前記ユーザに要求すること、
を特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記ラベル要求部は、
特徴空間内の距離が近い複数の物体に係る前記単位画像にラベル情報を付すことを、所定の基準を満たす程度に前記関心度が高い前記ユーザに要求すること、
を特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記物体認識部は、
前記ユーザごとに前記モデルを学習すること、
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置の物体認識部は、
単位画像に含まれる物体を認識し、
前記情報処理装置の関心度算出部は、
異なる複数の前記単位画像に基づき、ユーザが前記物体を取り扱う傾向を推定し、
前記推定した傾向に基づき、前記物体に対する関心度を前記ユーザごとに算出すること、
を特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
単位画像に含まれる物体を認識する物体認識部と、
異なる複数の前記単位画像に基づき、ユーザが前記物体を取り扱う傾向を推定し、
前記推定した傾向に基づき、前記物体に対する関心度を前記ユーザごとに算出する関心度算出部と、
を備える情報処理装置と、
前記物体を収納する収納庫と、
を備えることを特徴とする収納システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び収納システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、内部にどのような食材が保管されているかを自動的に推論する冷蔵庫が普及している。
特許文献1の物品収納装置は、物品を撮像した画像の特徴量を、当該特徴量が検出されたエリアに紐付けて管理し、類似する特徴量が同じエリアに繰り返し現れている場合、その特徴量は、常備物品の特徴量であると決定する。
特許文献2の冷蔵庫システムは、冷蔵庫内の食材の画像の特徴量と当該食材との関係を学習した学習済データを予め記憶しておき、新たな識別機会において識別結果が正しかった場合、その識別に係る画像の特徴量と当該食材との関係を使用して再学習を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6775467号明細書
【特許文献2】特許第7040193号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷蔵庫内の食材の品目を推論するためにニューラルネットワーク等のモデルを使用する場合、モデルの精度が問題となる。精度が低い場合、モデルを学習するための学習データを更新しなければならない。
特許文献1の物品収納装置は、モデルを使用することを想定してない。特許文献2の冷蔵庫システムは、食材の品目を意識しておらず、その結果、識別精度の低い品目についてどのように学習データを準備するかという視点に欠ける。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の情報処理装置は、単位画像に含まれる物体を認識する物体認識部と、異なる複数の前記単位画像に基づき、ユーザが前記物体を取り扱う傾向を推定し、前記推定した傾向に基づき、前記物体に対する関心度を前記ユーザごとに算出する関心度算出部と、を備えること、を特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】情報処理装置の構成等を説明する図である。
図2】収納庫使用情報の一例である。
図3】ユーザ情報の一例である。
図4】関心度算出処理手順のフローチャートである。
図5】ラベル要求処理手順のフローチャートである。
図6】ラベル要求画面の一例である。
図7】ラベル設定画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以降、本発明を実施するための形態(“本実施形態”という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、冷蔵庫内に収納されている食材の品目を認識モデルが認識(推論)する例である。しかしながら、本発明は、冷蔵庫以外の収納庫内に、食品以外の物体を収納する場合にも適用され得る。また、冷蔵庫に食材以外の品目として、薬品、検体等を収納する場合にも本発明は適用され得る。
【0008】
(用語)
物体とは、形状を有し、その画像を撮像し得る有体物である。
食材とは、人が食し得る物体である。
品目とは、物体の種類を示す普通名詞である。
単位画像とは、1個の物体が写り込んだ画像(写真)である。
認識モデルとは、単位画像を入力とし品目を出力とする関数である。典型的な認識モデルは、入力層、中間層及び出力層を有するニューラルネットワーク(人工知能)である。
【0009】
教師付き学習データとは、単位画像及びラベルの組み合わせの集合である。
ラベルとは、単位画像に対して付された、物体の品目である。
ユーザとは、物体を格納する収納庫の使用者である。ユーザは、情報処理装置の使用者でもある。
要求ユーザとは、単位画像に正しいラベルを付すことを求めるユーザである。
協力ユーザとは、単位画像に正しいラベルを付すユーザである。
関心度とは、ユーザ(特に協力ユーザ)が品目に対して興味を抱く程度であり、ユーザ及び品目の組み合わせに対して定義される。
【0010】
(認識モデルの学習及び関心度)
認識モデルにおいて、中間層のあるノードの情報を次の中間層のどのノードにどれだけ伝搬するかを示す伝播パラメータが、中間層のノードのそれぞれに対し定義される。教師付き学習データを使用して、認識モデルの伝播パラメータを最適化することができる。このことは、一般的に、認識モデルを“学習する”と表現される。学習済の認識モデルは、高い精度で正しい品目を出力することができる。仮に、ユーザAの品目Bに対する関心度が充分に高いとする。この場合、品目Bが写り込んでいると思われる単位画像に対してユーザAがラベル“品目B”を付したものを教師付き学習データとする。この教師付き学習データを使用して認識モデルを学習すると、認識モデルが品目Bを認識する精度は上がる。以降において“学習データ”とは、別段の説明がない限り教師付き学習データを意味する。
【0011】
(情報処理装置の構成)
図1は、情報処理装置1の構成等を説明する図である。情報処理装置1は、一般的なコンピュータである。情報処理装置1は、中央制御装置11、キーボード、マウス等の入力装置12、ディスプレイ等の出力装置13、主記憶装置14、補助記憶装置15及び通信装置16を備える。
【0012】
主記憶装置14内の物体認識部21、関心度算出部22及びラベル要求部23は、プログラムであり、後記する各処理の主体である。以降において“〇〇部は”と記すとき、それは、中央制御装置11が各プログラムを補助記憶装置15から読み出し、主記憶装置14にロードしたうえで、各処理を実行することを意味する。補助記憶装置15は、収納庫使用情報31(詳細後記)、ユーザ情報32(詳細後記)、学習データ33及び認識モデル34を格納する。
【0013】
情報処理装置1から離れた場所に、複数のキッチン2が存在する。キッチン2には、冷蔵庫6及びユーザ4が存在する。冷蔵庫6は、その内部又は外部にカメラ7を備える。カメラ7は、冷蔵庫6内に収納されている食材8の単位画像を撮像する。ユーザ4は、端末装置5を操作する。端末装置5は、典型的には携帯式のスマートフォンであるが、据置式のパーソナルコンピュータであってもよい。カメラ7及び端末装置5は、有線又は無線のネットワーク3を介して情報処理装置1に接続されている。情報処理装置1及び冷蔵庫(収納庫)6は、収納システムを構成する。
【0014】
(収納庫使用情報)
図2は、収納庫使用情報31の一例である。収納庫使用情報31においては、単位画像ID欄101に記憶された単位画像IDに関連付けて、ユーザID欄102にはユーザIDが、撮像時刻欄103には撮像時刻が、品目欄104には品目が、傾向情報欄105には傾向情報が、関心度欄106には関心度が記憶されている。
【0015】
単位画像ID欄101の単位画像IDは、単位画像を一意に特定する識別子である。
ユーザID欄102のユーザIDは、ユーザを一意に特定する識別子である。本実施形態では、1人のユーザが1つの冷蔵庫6を使用するので、ユーザIDは、冷蔵庫6を一意に特定する識別子でもある。
撮像時刻欄103の撮像時刻は、カメラ7が食材8の単位画像を撮像した時刻の年月日時分秒である。カメラ7は、ユーザ4が冷蔵庫6の扉を開閉する都度、又は、周期的(例えば1時間ごと)に冷蔵庫6内のすべての食材8を撮像する。“#”は、異なる値を省略的に示している(以下同様)。
【0016】
品目欄104の品目は、食材8の品目である。ここでの品目は、単位画像の入力に対する認識モデル34の出力であってもよいし、他の手段で得られたものであってもよい。他の手段とは、例えば、食材8に付されたタグに記憶された品目をタグ読取機(図示せず)で読み取る方法である。品目が認識モデル34の出力である場合、それが完全に正しいとは限らない。
【0017】
傾向情報欄105の傾向情報は、収納位置(欄105a)、収納期間(欄105b)及び収納回数(欄105c)である。このうちの収納位置は、冷蔵庫6内において、その食材8が収納されている(出し入れされる)位置の3次元座標値である。ここでの3次元座標系は、例えば、冷蔵庫6内のある点を原点とするローカル座標系である。ユーザは、関心のある食材8を、出し入れしやすい特定の収納場所(例えば胸の高さの手前側)に収納する傾向がある。ここでの特定の収納場所は、“関心領域”と呼ばれる。“[#,#,#]”は、その位置が関心領域に含まれることを示す。関心領域は、ユーザごとに定義される。
【0018】
収納期間は、同一個体としての食材8が冷蔵庫6に収納され続けていた期間である。収納回数は、所定の期間において、同一個体としての食材8が冷蔵庫に対して出し入れされた回数である。
ここに記載した収納位置、収納期間及び収納回数は、あくまでも傾向情報の一例である。一般的に、傾向情報は、異なる複数の前記単位画像に基づき推定される、ユーザが前記物体を取り扱う傾向を意味する。
【0019】
関心度欄106の関心度は、ユーザが品目に対して興味を抱く程度である。関心度は、収納場所、収納期間及び収納回数に応じて任意の方法で算出される。例えば、収納場所が関心領域にある時間が長いほど、収納期間が長いほど、かつ、収納回数が多いほど、関心度は高い。ここでの関心度は、1~10に正規化されている。数字が大きいほど、関心度は高い。
【0020】
図2を見ると、例えば、以下のことがわかる。
・ユーザU001は、自身の冷蔵庫6に、りんご、缶ビール及びその他を収納している。ユーザU001は、りんごを関心領域に収納している。
・ユーザU001のりんごについての収納期間及び収納回数は、充分に大きい。
・したがって、ユーザU001のりんごに対する関心度は“10”である。
・仮にユーザU001が、品目が“りんご”でありそうな単位画像に対してラベル“りんご”を付した場合、その単位画像及びラベルの組み合わせである学習データで学習された認識モデル34は、りんごを正しく認識する精度が高そうである。さらに、りんごをより細かく“青森りんご”、“長野りんご”等に認識することもできるかも知れない。
・同様に、仮にユーザU002が、品目が“納豆”でありそうな単位画像に対してラベル“納豆”を付した場合、その単位画像及びラベルの組み合わせである学習データで学習された認識モデル34は、納豆を認識する精度が高そうである。さらに、納豆をより細かく“ひきわり納豆”、“大粒納豆”等に認識することもできるかも知れない。
【0021】
(ユーザ情報)
図3は、ユーザ情報32の一例である。ユーザ情報32においては、ユーザID欄111に記憶されたユーザIDに関連付けて、属性情報欄112には属性情報が、品目欄113には品目が、関心度欄114には関心度が、関心品目欄115には関心品目が記憶されている。
【0022】
ユーザID欄111のユーザIDは、図2のユーザIDと同じである。
属性情報欄112の属性情報は、性別(欄112a)、年齢(欄112b)、職業(欄112c)、家族構成(欄112d)、住所(欄112e)及び関心語(欄112f)である。このうちの性別は、ユーザの性別である。年齢は、ユーザの年齢である。職業は、ユーザの職業である。家族構成は、ユーザと同居している家族の続柄である。住所は、ユーザが居住する自治体名である。関心語は、直近の所定期間において、ユーザが自身の端末装置5を使用して閲覧した文書に出現した1又は複数の特徴語である。
【0023】
品目欄113の品目は、図2の品目と同じである。
関心度欄114の関心度は、図2の関心度と同じである。
関心品目欄115の関心品目は、そのユーザの関心度が高いことに起因して、そのユーザが単位画像に対してラベルを付すことを推奨される品目である。ここでは、ある品目に対する関心度が所定の閾値(ここでは“8”である)以上である場合、その品目は、関心品目となる。
【0024】
図3を見ると、例えば、以下のことがわかる。
・ユーザU001は、どの品目に対しても関心度が総じて高い。そのうち、りんごと牛肉に対する関心度は、閾値以上である。
・ユーザU001は、都会で一人暮らしの壮年女性会社員である。ユーザU001は、可処分所得が大きいので牛肉を好んで食べるのかも知れない。また、ユーザU001は、ストレス解消のため、甘いりんごを好んで食べるのかも知れない。
・ユーザU002は、納豆に対する関心度が閾値以上である。
・ユーザU002は、郊外に夫婦で暮らす高齢男性農家である。ユーザU002は、大豆を耕作しており、自家消費もしているので、納豆を好んで食べるのかも知れない。
【0025】
(関心度算出処理手順)
図4は、関心度算出処理手順のフローチャートである。
ステップS201において、情報処理装置1の関心度算出部22は、属性情報を取得する。具体的には、第1に、関心度算出部22は、すべてのユーザ4が、自身の端末装置5を介して、性別、年齢、職業、家族構成、及び、住所を入力するのを受け付ける。
第2に、関心度算出部22は、すべてのユーザ4が使用する端末装置5から直近の過去の所定期間(例えば、1週間)におけるブラウザの閲覧履歴を取得し、その閲覧履歴に基づき、1又は複数の関心語を取得する。
【0026】
ステップS202において、関心度算出部22は、ユーザ情報32(図3)を作成する。具体的には、関心度算出部22は、ステップS201において受け付けた又は取得した情報を使用して、ユーザ情報32のユーザID欄111及び属性情報欄112を埋める。この段階では、品目欄113、関心度欄114及び関心品目欄115は、空欄である。
【0027】
ステップS203において、情報処理装置1の物体認識部21は、単位画像を取得する。具体的には、所定の期間に亘り、物体認識部21は、すべてのユーザ4について、カメラ7が撮像した食材8の単位画像を取得する。物体認識部21は、例えば7日間、冷蔵庫6の扉が開閉される都度、又は、所定の周期が経過する都度、その時刻とともに単位画像を取得し続ける。
【0028】
ステップS204において、情報処理装置1の関心度算出部22は、関心度を算出する。具体的には、第1に、関心度算出部22は、ステップS203において取得した情報を使用して、収納庫使用情報31(図2)の単位画像ID欄101、ユーザID欄102、撮像時刻欄103、品目欄104及び傾向情報欄105を埋める。このとき、関心度算出部22は、既存の認識モデル34を使用して品目(正しいとは限らない)を取得してもよい。関心度算出部22は、ステップS203において取得した単位画像を時系列で分析することによって、すべてのユーザ4について傾向情報を作成・算出する。
【0029】
第2に、関心度算出部22は、傾向情報に基づき前記した方法で関心度を算出し、その結果を、収納庫使用情報31の関心度欄106に記憶する。
【0030】
ステップS205において、関心度算出部22は、ユーザ情報32(図3)を完成する。具体的には、関心度算出部22は、ステップS204の“第2”において算出した関心度を使用して、ユーザ情報32の品目欄113及び関心度欄114を埋める。そして、関心度算出部22は、関心度が所定の閾値以上である品目を、ユーザごとに関心品目として特定することによって、関心品目欄115を埋める。あるユーザに対して、関心品目が1つも特定されない場合もある。その後、関心度算出処理手順を終了する。
【0031】
(ラベル要求処理手順)
図5は、ラベル要求処理手順のフローチャートである。図5の説明の途中で、適宜図6及び図7を参照する。説明の便宜のため、いま、ユーザU101が認識モデル34の精度に不満を抱いているとする。ユーザU101は、“要求ユーザ”である。
【0032】
ステップS301において、情報処理装置1のラベル要求部23は、ラベル要求画面51(図6)を表示する。具体的には、ラベル要求部23は、ユーザU101の端末装置5に対する操作に応じて、ユーザU101の端末装置5にラベル要求画面51を表示する。ラベル要求部23は、例えば以下の方法で、過去に認識精度が低かった単位画像52a~52dを特定したうえで、これらをラベル要求画面51に表示する。単位画像52a~52dは、“候補単位画像”とも呼ばれる。
【0033】
〈方法1〉ラベル要求部23は、ユーザU101が冷蔵庫6に収納した食材8の単位画像のうち過去に認識精度が低かった(認識モデル34が誤った品目を出力した)単位画像を候補単位画像とする。認識モデル34を学習した際の学習データのうち、候補単位画像の品目として付されたラベルは、誤っている可能性がある。
〈方法2〉ラベル要求部23は、ユーザU101が初めて冷蔵庫6に収納した食材8の単位画像を候補単位画像とする。認識モデル34は、このような候補単位画像に対して、そもそも正しい品目を出力できない。
【0034】
ステップS302において、ラベル要求部23は、ラベル要求を受け付ける。具体的には、ラベル要求部23は、ユーザU101が要求ボタン53a~53dを押下することによって、候補単位画像52a~52dのうちから、1又は複数の“対象単位画像”を選択するのを受け付ける。説明の便宜上、ユーザU101は、要求ボタン53aを押下したとする。ラベル要求部23は、過去の大勢の認識結果に基づき、対象単位画像52aが示している品目は、“りんご”であると判断する。しかしながら、ラベル要求部23は、ユーザU101が認識精度を上げたいと考えている品目(対象品目)をユーザU101が文字列で入力するのを受け付けてもよい。なぜなら、ユーザは、外見が“りんご”に類似する“梨”の認識精度を上げたいと考えているかもしれないからである。説明の便宜上、ユーザU101は、文字列“りんご”を入力したとする。対象品目は“りんご”であることが確認された。
【0035】
ステップS303において、ラベル要求部23は、協力ユーザを特定する。具体的には、ラベル要求部23は、“りんご”を検索キーとしてユーザ情報32(図3)の関心品目欄115を検索し、該当したレコードのユーザIDを取得する。この例では、ユーザU001が、“協力ユーザ”となる。
【0036】
ステップS304において、ラベル要求部23は、ラベル設定画面61(図7)を表示する。具体的には、ラベル要求部23は、ユーザU001の端末装置5にラベル設定画面61を表示する。ラベル要求部23は、ラベル設定画面61の単位画像欄62に、対象品目“りんご”が写っていると思われる単位画像64a~64dを可能な限り多数表示する。ここで表示される単位画像の最大の母集団は、すべてのユーザ4の冷蔵庫6において撮像された“りんご”の単位画像である。
【0037】
ステップS305において、ラベル要求部23は、ラベルを受け付ける。具体的には、第1に、ラベル要求部23は、ラベル設定画面61の分類欄63に、複数のクラスタ65a~65dを表示する。クラスタ65a~65dのそれぞれは、ラベル入力窓66a~66dを有する。ラベル要求部23は、ユーザU001がラベル入力窓66a~66dのそれぞれにラベルとなる文字列(りんご、青森りんご、長野リンゴ、●●、・・・)を入力するのを受け付ける。次いで、ラベル要求部23は、単位画像64a~64dのそれぞれをクラスタ65a~65dのいずれかにコピー(ドラッグ+ペースト)するのを受け付ける。さらに、ラベル要求部23は、コピー後の任意の単位画像に対して、文字列等のメタ情報67を付すのを受け付けてもよい。なお、“ラベル情報”は、ラベル及びメタ情報を含む概念である。
【0038】
第2に、ラベル要求部23は、単位画像及びラベルの組み合わせを、学習データ33として記憶する。ラベル要求部23は、例えば、単位画像64a及びラベル“リンゴ”66aの組合せを学習データ33として補助記憶装置15に格納する。ラベル要求部23は、例えば、単位画像64d、ラベル“青森リンゴ”66b及びメタ情報“今年豊作、特に甘い。”67の組合せを学習データ33として補助記憶装置15に格納する。その後、ラベル要求処理手順を終了する。
【0039】
物体認識部21は、このようにして蓄積された学習データ33を使用して、認識モデル34を学習する。そして、物体認識部21は、学習済の認識モデル34を使用して、単位画像に含まれる物体の品目を認識する。さらに、物体認識部21は、要求ユーザごとに認識モデル34を学習してもよい。つまり、物体認識部21は、要求ユーザを特定するユーザIDを認識モデル34に関連付けて記憶しておく。そして、物体認識部21は、例えばユーザU103からのラベル要求に対してラベル付けされた学習データで、ユーザU103に関連付けられている認識モデル34を学習する。
【0040】
(変形例1)
ステップS304において、ラベル要求部23は、単位画像から物体が撮像されている部分を切り出し、切り出した部分を単位画像欄62に表示してもよい。そして、ラベル要求部23は、切り出し前の単位画像を切り出し後の単位画像で置き換えてもよい。
【0041】
(変形例2)
ラベル要求部23は、属性情報(図3の欄112)を使用して、協力ユーザを複数の群に分類してもよい。ここでの分類の例としては、以下が想定される。
・住所が近接するユーザ同士で群を作る。
・年齢、職業又は家族構成が類似するユーザ同士で群を作る。
・関心語が類似するユーザ同士で群を作る。
【0042】
そして、ラベル要求部23は、複数の群のそれぞれに属するユーザに対し異なる品目の単位画像にラベルを付すことを要求してもよい(例えば、群Aには、りんご、群Bには、牛肉、群Cには、納豆、・・・)。さらに、ラベル要求部23は、複数の群のそれぞれに属するユーザに対し同じ品目の単位画像にラベルを付すことを要求してもよい(例えば、群A、群B及び群Cにりんご)。
【0043】
(変形例3)
ステップS304において、ラベル要求部23は、ある1人の協力ユーザに対し複数の品目の単位画像を表示してもよい。このとき、ラベル要求部23は、関心度が高い順に単位画像を表示する。例えば、関心度が、りんご>缶ビール>納豆である場合、ラベル要求部23は、りんごの単位画像を時間的に最も先に表示しもよいし、画面の最も上に表示してもよい。
【0044】
(変形例4)
ステップS304において、ラベル要求部23は、所定の位置に収納されることが多い品目(例えば、冷凍室に収納されるアイスクリーム)についてのみ、単位画像にラベルを付すことを要求してもよい。所定の位置は、関心領域であってもよい。
【0045】
(変形例5)
ステップS304において、ラベル要求部23は、例えば、品目が“りんご”である単位画像に加えて、品目が“梨”である単位画像を単位画像欄62に表示してもよい。このとき、ラベル要求部23は、これらの単位画像が“りんご”に見えるかそれとも“梨”に見えるかに関わらず、これらは特徴空間内の距離が近いと判断している。特徴空間とは、単位画像の特徴ベクトル又はその単位画像に写り込んでいる品目を示す文字列の特徴ベクトルの各要素を軸に有する多次元空間である。
【0046】
(本実施形態の効果)
本実施形態の情報処理装置の効果は、以下の通りである。
(1)情報処理装置は、物体に対する関心度が高いユーザがその食材の画像にラベルを付すことを可能にする。
(2)情報処理装置は、ラベルが付された画像を学習データとして使用してモデルを学習することができる。
(3)情報処理装置は、画像から物体が撮像されている部分だけを切り出してユーザに表示することができる。
(4)情報処理装置は、ユーザが、ユーザの属性に応じて同じ又は異なる物体の画像にラベルを付すことを可能にする。
【0047】
(5)情報処理装置は、ユーザが物体を取り扱った位置等に基づき関心度を算出することができる。
(6)情報処理装置は、関心度の高い順に物体の画像をユーザに表示することができる。
(7)情報処理装置は、ユーザが、所定の位置に収納される物体の画像にラベルを付すことを可能にする。
(8)情報処理装置は、ユーザが、よく似た特徴を有する物体の画像にまとめてラベルを付すことを可能にする。
(9)情報処理装置は、ユーザごとにモデルを学習することができる。
【0048】
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0049】
また、前記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウエアで実現してもよい。また、前記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 情報処理装置
2 キッチン
3 ネットワーク
4 ユーザ
5 端末装置
6 冷蔵庫(収納庫)
7 カメラ
8 食材(物体)
11 中央制御装置
12 入力装置
13 出力装置
14 主記憶装置
15 補助記憶装置
16 通信装置
21 物体認識部
22 関心度算出部
23 ラベル要求部
31 収納庫使用情報
32 ユーザ情報
33 学習データ(教師付き学習データ)
34 認識モデル
51 ラベル要求画面
61 ラベル設定画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7