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特開2024-163669コラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163669
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】コラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20241115BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20241115BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241115BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q19/08
A61Q19/00
A61K8/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079484
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】本郷 麻耶
(72)【発明者】
【氏名】川畑 真理絵
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC391
4C083AC392
4C083EE12
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】
本発明は、コラーゲン産生を亢進及びMMP産生を抑制する、新規な組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
上記課題を解決する本発明は、レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする、コラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生抑制剤である。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする、コラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生抑制剤。
【請求項2】
前記のコラーゲンがI型コラーゲンであり、
前記のMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)がMMP-1である、請求項1に記載のコラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生抑制剤。
【請求項3】
顔面の立体形状変化による印象老化の予防または改善のための、請求項1又は2に記載のコラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生抑制剤。
【請求項4】
肌を引き上げるための、請求項1又は2に記載のコラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生抑制剤。
【請求項5】
肌をリフトアップするための、請求項1又は2に記載のコラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生抑制剤。
【請求項6】
前記植物抽出物が、ヨモギエキス、モモ葉エキス及びアマチャエキスから選ばれる一又は二以上である、請求項1又は2に記載のコラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生抑制剤。
【請求項7】
前記レオントポジン酸がレオントポジン酸A及び/又はレオントポジン酸Bである、請求項1又は2に記載のコラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生抑制剤。
【請求項8】
レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする、コラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生抑制用皮膚外用組成物。
【請求項9】
化粧料である、請求項8に記載の皮膚外用組成物。
【請求項10】
左右の頬に対し、同じ条件で塗布される、請求項8に記載の皮膚外用組成物。
【請求項11】
レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする、顔面の立体形状変化による印象老化の予防または改善用皮膚外用組成物。
【請求項12】
レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする、肌のリフトアップ剤。
【請求項13】
レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする、肌の引き上げ用皮膚外用組成物。
【請求項14】
レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする、肌のリフトアップ用皮膚外用組成物。
【請求項15】
レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする皮膚外用組成物を、左右の頬に対し同じ条件で塗布することを含む、顔面の立体形状変化による印象老化の予防または改善方法(ただし、医療行為を除く)。
【請求項16】
レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする皮膚外用組成物を、左右の頬に対し同じ条件で塗布することを含む、肌のリフトアップ方法(ただし、医療行為を除く)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
人の肌には、加齢に伴い、シミ、しわ、たるみといった様々な老化現象が現れる。このような老化現象を改善・抑制するための成分の探求が日々行われている。
【0003】
従来技術として、例えば、エーデルワイスエキスは優れた活性酸素消去効果を有しており、皮膚の老化及び色素沈着を有効に改善あるいは予防できることが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-288032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術があるところ、本発明は、コラーゲン産生を亢進及びMMP産生を抑制する、新規な組成物を提供することを課題とする。
また、本発明の好ましい実施の形態では、顔面の立体形状変化による印象老化の予防または改善、肌を引き上げる効果、肌をリフトアップする効果、の何れかの作用を奏する、新規な組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明は、レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする、コラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生抑制剤である。
上記有効成分を含む本発明は、細胞・組織等におけるコラーゲンの産生を亢進及びMMPの産生を抑制することができる。
【0007】
本発明の好ましい形態では、前記のコラーゲンがI型コラーゲンである。
本発明の好ましい形態では、前記のMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)がMMP-1である。
上記有効成分を含む本発明は、細胞・組織等におけるI型コラーゲンの産生を亢進及びMMP-1の産生を抑制することができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、本発明にかかる剤を、顔面の立体形状変化による印象老化の予防または改善のために用いる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、本発明にかかる剤を、肌を引き上げるために用いる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、本発明にかかる剤を、肌をリフトアップするために用いる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記植物抽出物が、ヨモギエキス、モモ葉エキス及びアマチャエキスから選ばれる一又は二以上である。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記レオントポジン酸がレオントポジン酸A及び/又はレオントポジン酸Bである。
【0013】
また、本発明は、レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする、コラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生抑制用皮膚外用組成物にも関する。
【0014】
本発明の好ましい形態では、本発明にかかる皮膚外用組成物が化粧料である。
【0015】
本発明の好ましい形態では、本発明にかかる皮膚外用組成物が左右の頬に対し、同じ条件で塗布される。
本発明にかかる皮膚外用組成物が左右の頬に対し、同じ条件で塗布されることで、より確実に肌をリフトアップすることができる。
【0016】
また、本発明は、レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする、顔面の立体形状変化による印象老化の予防または改善用皮膚外用組成物にも関する。
【0017】
また、本発明は、レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする、リフトアップ剤にも関する。
【0018】
また、本発明は、レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする、肌の引き上げ用皮膚外用組成物にも関する。
【0019】
また、本発明は、レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする、肌のリフトアップ用皮膚外用組成物にも関する。
【0020】
さらに、本発明は、レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする皮膚外用組成物を、左右の頬に対し同じ条件で塗布することを含む、顔面の立体形状変化による印象老化の予防又は改善方法(ただし、医療行為を除く)にも関する。
【0021】
さらに、本発明は、レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする皮膚外用組成物を、左右の頬に対し同じ条件で塗布することを含む、肌のリフトアップ方法(ただし、医療行為を除く)にも関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、コラーゲン産生を亢進及びMMP産生を抑制する、新規な組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】<試験例1>のレオントポジン酸A及びBのCOL1A1遺伝子発現量を示す図である。
図2】<試験例1>のレオントポジン酸A及びBのMMP1遺伝子発現量を示す図である。
図3】<試験例5-1>頬部ボリューム感の左右対称性について、「変化あり」「変化なし」群の連用前後の頬部ボリューム変化量の左右差を示す図である。
図4】<試験例5-2>頬部肌表面形態の異方性の評価について、「変化あり」群の連用前後における頬部肌表面形態の異方性の測定結果を示す図である。
図5】<試験例5-2>頬部肌表面形態の異方性の評価について、「変化あり」「変化なし」群の頬部肌表面形態の異方性の変化傾向を示す図である。
図6】<試験例5-3>頬部肌表面の移動様式の評価について、「変化あり」「変化なし」群の単位面積当たりの頬下部における外かつ上向きの矢印の本数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<コラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生抑制剤>
まず、本発明のコラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生抑制剤について、詳細を説明する。
【0025】
≪有効成分≫
本発明にかかるコラーゲン産生亢進及びMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ、以下、単にMMPという)産生抑制剤は、レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする(以下、単に、キク科ヨモギ属、バラ科モモ属、及びユキノシタ科アジサイ属という)。
以下、本発明にかかる有効成分のより好ましい形態を詳述する。
【0026】
[レオントポジン酸]
本発明には、レオントポジン酸を有効成分として用いることができる。
ここで、本発明において、レオントポジン酸(Leontopodic acid)は、そのレオントポジン酸の基本骨格を有する化合物であって、本発明の用途(コラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制作用等)を発揮する範囲の類縁体を含む。
ここで、レオントポジン酸としては、レオントポジン酸A又はレオントポジン酸Bを好ましく挙げることができる。
【0027】
ここで、レオントポジン酸A及びレオントポジン酸Bは、以下の構造式(1)及び(2)で示される化合物である。
【0028】
【化1】
【0029】
【化2】
【0030】
本発明では、特に、レオントポジン酸Aを有効成分とすることが好ましい。
【0031】
ここで、レオントポジン酸は、エーデルワイスエキスからHPLCクロマトグラフィーにより分取することで得ることができる。
また、レオントポジン酸は、EXTRASYNTHESE社から購入等することによっても得ることができる。
【0032】
[レオントポジン酸含有抽出物]
本発明には、レオントポジン酸含有抽出物を有効成分として用いることができる。
ここで、本発明にかかるレオントポジン酸含有抽出物は、植物抽出物であることが好ましい。
例えば、レオントポジン酸含有抽出物としては、エーデルワイスエキスを挙げることができる。
【0033】
エーデルワイスエキスは、エーデルワイス(Leontopodium alpinum)の地上部を粉砕し、抽出することで得ることができる。
そして、エーデルワイスエキスを得るための抽出溶媒として、70%エタノールを好ましく挙げることができる。
また、エーデルワイスエキスは、エーデルワイス(Leontopodium alpinum)を抽出した後、エタノールを除去し、グリセリンを加えることにより得られるものであることが好ましい。
【0034】
ただし、本発明にかかるレオントポジン酸含有抽出物は、レオントポジン酸を含むものであって、本発明の用途(コラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制作用等)を発揮可能なものであれば、植物の抽出部位、抽出方法に特に限定はない。
【0035】
[植物抽出物]
本発明には、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物を有効成分として用いることができる。
本発明において、上記の植物抽出物を、より好ましくは二種以上、より好ましくは三種以上組み合わせて用いることもできる。
【0036】
ここで、キク科ヨモギ属の植物としては、ヨモギ(Artemisia princeps Pampanini)を好ましく挙げることができる。
また、バラ科モモ属の植物としては、モモ(Prunus persica Batsch)を好ましく挙げることができる。
また、ユキノシタ科アジサイ属に属する植物としては、アマチャ(Hydrangea serrata Seringe var. thunbergii Sugimoto)を好ましく挙げることができる。
以下、本明細書において、それぞれ、単に、ヨモギ、モモ、及びアマチャと表記する。
【0037】
本発明で使用する植物抽出物について、その抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花穂、花蕾等の部位を使用することできるが、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される1種乃至は2種以上が好適なものとして例示することができる。抽出溶媒としては、水、アルコール類又は水及びアルコール類の混合物を採用することが好ましい。
【0038】
具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位乃至はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1~30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却した後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられるが、抽出方法はこれに限定されない。
【0039】
次いで、本発明で使用する植物抽出物について、詳述する。
【0040】
キク科ヨモギ属に属する植物から植物抽出物を得る場合、ヨモギの葉から植物抽出物を得ることが好ましい。
また、キク科ヨモギ属に属する植物から植物抽出物を得る場合の抽出溶媒として、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール又はこれらの混液を用いることが好ましい。
また、キク科ヨモギ属に属する植物の植物抽出物には市販のものを用いることができる。
【0041】
ユキノシタ科アジサイ属に属する植物から植物抽出物を得る場合、アマチャの葉及び枝先から植物抽出物を得ることが好ましい。
また、ユキノシタ科アジサイ属に属する植物から植物抽出物を得る場合の抽出溶媒として、水、エタノール又はこれらの混液を用いることが好ましい。
また、ユキノシタ科アジサイ属に属する植物の植物抽出物には、市販のものを用いることができる。
【0042】
バラ科モモ属に属する植物から植物抽出物を得る場合、モモの葉から植物抽出物を得ることが好ましい。また、バラ科モモ属に属する植物から植物抽出物を得る場合の抽出溶媒として、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール又はこれらの混液若しくは無水エタノールを用いることが好ましい。
また、バラ科モモ属に属する植物の植物抽出物には、市販のものを用いることができる。
【0043】
≪用途≫
前述の有効成分は、コラーゲン産生の亢進及びMMP産生の抑制をする用途で用いることができる。
すなわち、本発明は、前述の有効成分の、コラーゲン産生の亢進及びMMP産生の抑制剤の形態とすることができる。
【0044】
ここで、好ましくは、前記コラーゲンは、I型コラーゲンであり、前記MMPはMMP-1である。
【0045】
I型コラーゲンは皮膚の真皮に多く含まれ、皮膚に強度と弾力性をもたらしている。このI型コラーゲンの産生にはCOL1A1遺伝子が重要な役割を果たしており、I型コラーゲンは、COL1A1遺伝子にコードされている2本のα1鎖とCOL1A2遺伝子にコードされている1本のα2鎖から構成されている。
また、MMP-1は、I型コラーゲンを分解することができる。
したがって、I型コラーゲンの産生亢進と合わせて、MMP-1の産生抑制をすることで、より効率的に本発明にかかる作用を発揮することができる。
また、肌の老化には、COL1A1遺伝子の発現低下や、MMP1遺伝子の発現亢進が関係していると考えられている。したがって、肌の老化を抑える観点からも、I型コラーゲンの産生亢進と合わせて、MMP-1の産生抑制をすることが非常に重要である。
【0046】
ここで、細胞におけるI型コラーゲンの産生が亢進されているか否かを検出するための手法は、特に限定されず、当業者によって適宜選択可能な手法を用いることができる。
また、細胞におけるMMP-1の産生が抑制されているか否かを検出するための手法は、特に限定されず、当業者によって適宜選択可能な手法を用いることができる。
【0047】
後述の実施例に示す通り、本発明にかかるコラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制剤は、顔面の立体形状変化による印象老化の予防または改善の用途で用いることができる。
【0048】
本発明において「顔面の立体形状変化による印象老化」とは、顔面の肌が引き下がった印象を与え、老けた様な印象を与えることを意味する。
顔の立体形状変化としては、頬部のふくらみの程度、肌の下方向への移動、肌表面形態の変化等が挙げられる。顔の立体形状変化は、好ましくは頬部の立体形状変化である。
印象老化の有無や程度は、目視により判断することができる。顔の立体形状変化は、目視や顔面の画像データ、顔面の3次元形状データ等から評価することができる。
【0049】
本発明における顔面の立体形状変化による印象老化に関し、「予防または改善」というときは、特に記載した場合を除き、印象老化を発生させないこと、発生リスクを低減すること、発生させるがその程度を低く抑えること(抑制すること)、および発生させるがその程度を維持するかまたは進行の度合いを低く抑えること(抑制すること)をいう。印象老化が予防または改善されたかどうかは、当業者であれば、適切な方法と、適切な基準により、評価することができる。
【0050】
また、本発明のコラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制剤は、肌を引き上げる用途で用いることができる。
【0051】
本発明において「肌を引き上げる」とは、張りが低下した肌、あるいは張りが低下し垂れ下がった肌を、上方向に引き上げることを意味する。
【0052】
さらに、本発明のコラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制剤は、肌をリフトアップする用途で用いることができる。
したがって、本発明は、肌のリフトアップ剤にも関する。
【0053】
本発明において「肌のリフトアップ」とは、肌が引きあがった印象のことを意味する。
肌が引きあがった印象を与える要因として、顔の立体形状の変化、肌の上方向の移動、頬部肌表面形態の改善等が挙げられる。
本発明において、前記肌は、好ましくは顔の肌であり、より好ましくは頬部の肌である。
【0054】
本発明において「肌をリフトアップする」効果を奏するといえるためには、単に肌が引き上がることだけではなく、頬部ボリューム感の左右対称性が良化すること、頬部肌表面形態の異方性が低下すること及び頬部肌表面の移動様式が外かつ上向きであることの1又は2以上が含まれる。
ここで、本発明において「肌をリフトアップする」効果を奏するといえるためには、頬部ボリューム感の左右対称性が良化すること、頬部肌表面形態の異方性が低下すること及び頬部肌表面の移動様式が外かつ上向きであることのうち、好ましくは2以上、より好ましくは全ての変化を有する。
【0055】
本発明において「頬部ボリューム感」とは、頬部の膨らみの程度のことを意味する。好ましくは、顔面に対して水平方向の頬部横断面図からみた、頬部前方への膨らみの程度のことを意味する。より好ましくは、頬部のカンペル平面の横断面図からみた、頬部前方への膨らみの程度のことを意味する。
【0056】
頬部ボリューム感の測定方法としては、顔面を直接目視測定、顔面画像データからの目視測定、顔面の輝度分布をヒートマップ化したもの(以降、輝度分布ヒートマップという)からの測定、顔面の3次元形状データからの測定、等が挙げられる。
輝度分布ヒートマップから頬部ボリューム感を測定する場合、頬部の高い位置の面積を測定することが好ましい。
顔面の3次元形状データから頬部ボリューム感を測定する場合、VECTRA M3(Canfield社製)等により、頬部の体積を測定することが好ましい。また、カンペル平面の頬部横断面図を取得し、頬部前方への膨らみの程度を測定することがより好ましい。
【0057】
また、本発明において「頬部ボリューム感の左右対称性」とは、左右頬部の膨らみの左右差の程度のことを意味する。好ましくは、顔面に対して水平方向の頬部横断面図からみた、左右頬部の膨らみの左右差の程度のことを意味する。より好ましくは、頬部のカンペル平面の横断面図からみた、左右頬部の膨らみの左右差の程度のことを意味する。
【0058】
本発明において「頬部肌表面形態」とは、肌のキメやシワ、毛穴を含む肌表面の凹凸のことを意味する。
さらに、前記頬部肌表面形態とは、頬部全体の肌表面形態である。より好ましくは、頬部上部の肌表面形態である。
【0059】
また、本発明において「頬部肌表面形態の異方性」は、前記頬部肌表面形態の均一さを意味する。
さらに、本発明において、「頬部肌表面形態の異方性が低い」とは、頬部肌表面形態が均等で、一定方向に流れる方向性(頬部肌表面形態の指向性)が小さいことを意味する。
【0060】
頬部肌表面形態の異方性の測定方法としては、顔面画像データ又は顔面の3次元形状データからの測定等が挙げられる。好ましくは、PRIMOS_CR_LargeField(Canfield Scientific社製)等を用いる。
【0061】
本発明において、「頬部肌表面の移動様式」とは、肌が移動する様子のことを意味する。たとえば、肌表面形態の変化により肌が下方向に移動することや、肌のハリが改善され肌が上方向に移動することを指し示す。
ここで、「頬部肌表面の移動様式が外かつ上向きであること」とは、肌表面形態の変化が、顔の中線の垂直方向かつ顔の中線から離れる方向(移動様式が外向き)の変化であり、かつ、頭部方向(移動様式が上向き)への変化であることをいう。
【0062】
頬部肌表面の移動様式の測定方法としては、顔面画像データ又は顔面の3次元形状データからの測定等が挙げられる。
顔面画像データから肌の移動様式を測定する場合、MATLAB(登録商標)(MathWorks社製)におけるオプティカルフロー解析を用いることができる。
具体的には、顔画像データにおける特徴点(例えば、ほくろ、しみ、毛穴)の位置情報の経時的な変化量を取得することで、顔面画像データから肌の移動様式を測定することができる。
【0063】
≪用法・用量≫
本発明にかかるコラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制剤は、ヒトを含む哺乳動物に投与することができる。投与形態としては、非経口投与が好ましく、皮膚への塗布がより好ましい。
【0064】
本発明にかかるコラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制剤を顔面に適用する場合、左右の頬に同条件で塗布することが好ましい。
ここで、「同条件」とは、量、回数、タイミング、塗布方法のうち1又は2以上が実質的に同一であることを意味する。
ここで、本発明において、量、回数、タイミング、塗布方法のうち、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは全ての条件が同じであることが好ましい。
【0065】
本発明にかかるコラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制剤のヒトを含む哺乳動物への適用は1週間に1回又は数回に分けて行うことができる。
また、本発明にかかるコラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制剤のヒトを含む哺乳動物への適用は、継続する形態とすることが好ましい。
【0066】
本発明にかかるコラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制剤を継続して適用する場合の、適用期間は、好ましくは2週間以上、より好ましくは3週間以上、さらに好ましくは4週間以上である。
また、本発明のコラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制剤を上記期間継続して適用する場合の、適用頻度は、1週間あたり1回以上、好ましくは2回以上、より好ましくは1日1回以上、さらに好ましくは1日2回以上とすることができる。
【0067】
<皮膚外用組成物>
≪有効成分≫
本発明にかかる皮膚外用組成物は、レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科ヨモギ属、バラ科モモ属及びユキノシタ科アジサイ属に属する一種以上の植物の植物抽出物、から選ばれる一又は二以上を有効成分とする。
ここで、本発明の皮膚外用組成物における、有効成分の好ましい実施の形態は、前述の説明を援用することができる。
以下本発明の皮膚外用組成物における用途について、より詳細を説明する。
【0068】
≪用途≫
本発明にかかる皮膚外用組成物は、後述の実施例に示す通り、コラーゲン産生の亢進及びMMP産生の抑制をする用途で用いることができる。
すなわち、本発明は、コラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制用皮膚外用組成物の形態とすることができる。
【0069】
本発明にかかる皮膚外用組成物は、後述の実施例に示す通り、顔面の立体形状変化による印象老化の予防または改善の用途で用いることができる。
すなわち、本発明は、顔面の立体形状変化による印象老化の予防または改善用皮膚外用組成物の形態とすることができる。
【0070】
また、本発明にかかる皮膚外用組成物は、後述の実施例に示す通り、肌を引き上げる用途で用いることができる。
すなわち、本発明は、肌の引き上げ用皮膚外用組成物の形態とすることができる。
【0071】
本発明にかかる皮膚外用組成物は、後述の実施例に示す通り、肌のリフトアップ用途で用いることができる。
すなわち、本発明は、肌のリフトアップ用皮膚外用組成物の形態とすることができる。
ここで、用途に関する各用語については、本発明にかかる剤の項目で説明したものを援用する。
【0072】
≪用法・用量≫
本発明にかかる皮膚外用組成物の用法・用量は、本発明の剤の項目に記載の用法・用量と一部重複するため、詳細な説明は本発明の剤の用途の項目に記載の内容を一部援用し、追加で説明すべきことを以下詳述する。
【0073】
皮膚外用組成物における、レオントポジン酸の含有量は、0.00000001質量%以上であり、好ましくは0.0000001質量%以上であり、より好ましくは0.000001質量%以上であり、さらに好ましくは0.000005質量%以上である。
また、皮膚外用組成物における、レオントポジン酸の含有量は、30質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
【0074】
皮膚外用組成物における、レオントポジン酸含有抽出物、前記植物抽出物の含有量は、乾燥質量を基準として、0.0000001質量%以上であり、好ましくは0.000001質量%以上であり、より好ましくは0.00001質量%以上であり、さらに好ましくは0.0001質量%以上であり、さらにより好ましくは0.001質量%以上である。
また、皮膚外用組成物における、レオントポジン酸含有抽出物、前記植物抽出物の含有量は80質量%以下であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
【0075】
皮膚外用組成物としては、化粧料、医薬部外品、医薬品などが好適に例示でき、日常的に使用できることから、化粧料、医薬部外品がより好ましい。
本願発明の化粧料としては、ローション剤、乳化剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤等の形態に加工することができる。具体的には、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、パック、美容液、ヘアクリーム、スプレー、サンケア品、洗顔料等のリンスオフ製品等が挙げられ、特に化粧水、乳液及びクリームが好適に例示できる。
【0076】
本発明を化粧料の形態とする場合、本発明にかかる用途を損ねない範囲で、美白成分、しわ改善成分、抗炎症成分、保湿成分、有効成分以外に通常化粧料で使用される成分を、任意成分として配合してもよい。
これらの任意成分は、市販されているものを入手して配合してもよく、公知の方法で合成したものを配合してもよい。また、各任意成分は、2以上の効果(例えば、美白効果としわ改善効果)を有していてもよい。
【0077】
美白成分には、一般的に化粧料で用いられている成分を、特に制限なく使用することができる。美白成分としては、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3-О-エチルアスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、1-トリフェニルメチルピペリジン、1-トリフェニルメチルピロリジン、2-(トリフェニルメチルオキシ)エタノール、2-(トリフェニルメチルアミノ)エタノール、2-(トリフェニルメチルオキシ)エチルアミン、トリフェニルメチルアミン、トリフェニルメタノール、トリフェニルメタン及びアミノジフェニルメタン、N-(o-トルオイル)システイン酸、N-(m-トルオイル)システイン酸、N-(p-トルイル)システイン酸、N-(p-メトキシベンゾイル)システイン酸、N-ベンゾイル-セリン、N-(p-メチルベンゾイル)セリン、N-(p-エチルベンゾイル)セリン、N-(p-メトキシベンゾイル)セリン、N-(p-フルオロベンゾイル)セリン、N-(p-トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N-(2-ナフトイル)セリン、N-(4-フェニルベンゾイル)セリン、N-(p-メチルベンゾイル)セリンメチルエステル、N-(p-メチルベンゾイル)セリンエチルエステル、N-(2-ナフトイル)セリンメチルエステル、N-ベンゾイル-O-メチルセリン、N-(p-メチルベンゾイル)-O-メチルセリン、N-(p-メチルベンゾイル)-O-アセチルセリン、N-(2-ナフトイル)-O-メチルセリン、デクスパンテノールW、ナイアシンアミド等を挙げることができる。
【0078】
化粧料中における美白成分の含有量は、通常0.0001~30質量%であり、0.001~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。
【0079】
しわ改善成分には、一般的に化粧料で用いられている成分を、特に制限なく使用することができる。
例えば、しわ改善成分としては、ビタミンA又はその誘導体としてレチノール、レチナール、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、レチノイン酸トコフェロール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールが挙げられる。また、ウルソール酸ベンジルエステル、ウルソール酸リン酸エステル、ベツリン酸ベンジルエステル、ベンジル酸リン酸エステル、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウム、ナイアシンアミド等を挙げることができる。
【0080】
化粧料中におけるしわ改善成分の含有量は、通常0.0001~30質量%であり、好ましくは0.001~10質量%であり、より好ましくは0.01~5質量%である。
【0081】
抗炎症成分には、例えば、クラリノン、グラブリジン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、パントテニルアルコール、ナイアシンアミド、トラネキサム酸等が挙げられ、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸アルキル及びその塩、並びに、グリチルレチン酸及びその塩を好ましく挙げることができる。
【0082】
化粧料中における抗炎症成分の含有量は、通常0.01~30質量%であり、好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは1~5質量%である(抽出物の場合は乾燥質量)。
【0083】
保湿成分には、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸テトラデシルアミノブチロイルバリルアミノ酪酸ウレア等を挙げることができる。
【0084】
化粧料中における保湿成分の含有量は、通常0.0001~30質量%であり、0.001~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。
【0085】
有効成分以外に通常化粧料で使用される成分としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、ルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、2,4-ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等のポリオール、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE-ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック(登録商標)型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、表面処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面処理されていても良い、酸化コバルト、群青、紺青、酸化亜鉛の無機顔料類、表面処理されていても良い、酸化鉄二酸化チタン焼結体等の複合顔料、表面処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α-トコフェロール,β-トコフェロール,γ-トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類が挙げられる。
【0086】
また、本発明は「顔面の立体形状変化による印象老化の予防または改善のため」、「肌を引き上げるため」、「肌をリフトアップするため」の用途の表示が付された形態とすることも好ましい。
【0087】
前記「表示」は、需要者に対して前記用途を知らしめる機能を有する全ての表示を含む。すなわち、前記用途を想起・類推させうるような表示であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て前記「表示」に該当する。
また、前記「表示が付された」とは、前記表示と、皮膚外用剤等(製品)を関連付けて認識させようとする表示行為が存在していることをいう。
【0088】
表示行為は、需要者が前記用途を直接的に認識できるものであることが好ましい。具体的には、本発明にかかる商品又は商品の包装への前記用途の記載行為、商品に関する広告、価格表もしくは取引書類(電磁的方法により提供されるものを含む)への前記用途の記載行為が例示できる。
【0089】
≪顔面の立体形状変化による印象老化の予防または改善方法及び肌のリフトアップ方法≫
次いで、顔面の立体形状変化による印象老化の予防または改善方法及び肌のリフトアップ方法について詳述する。
【0090】
本発明の好ましい形態では、本発明にかかる皮膚外用組成物を通常の肌の手入れ(スキンケア)時に使用する。
好ましくは、本発明にかかる皮膚外用組成物を、左右の頬に対し同じ条件で塗布することを含む。塗布は、手のひらに使用量を取り、両手の平全体に広げることにより、行うことができる。次いで、手の平全体で顔を包み込むようにあご、頬、額、フェイスラインへと、皮膚外用組成物を顔全体になじませるとよい。細かい部分(目、鼻、口)は指先を使用することができる。
より好ましくは、肌を上に持ち上げるように塗布する。
【0091】
また、本発明にかかる皮膚外用組成物を、シートマスクやパックにより肌に適用する場合、不織布等に本発明にかかる皮膚外用組成物を含浸させて、肌に塗布することが好ましい。
【0092】
本発明にかかる方法は、本発明にかかる皮膚外用組成物の使用者、製造者、販売者、メイクアップ・アーティスト、美容スタッフ、またはエステティシャン等が行うことができる。
【0093】
ここで、本実施形態にかかる美容方法は、医療行為を含まない。
また、本発明にかかる美容方法は、非治療的方法である。
【0094】
以下に実施例を挙げて、本発明について、さらに詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0095】
また、実施例において、キク科ヨモギ属、バラ科モモ属及びユキノシタ科アジサイ属に属する植物の植物抽出物として、ヨモギエキス、モモ葉エキス及びアマチャエキスを使用したが、本発明はこれに限定されない。
【実施例0096】
<試験例1>レオントポジン酸A及びBのコラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制試験
まず、レオントポジン酸A及びBについて、コラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制作用を評価した。
【0097】
10%FBS入りDMEM培地を用いて、ヒト正常線維芽細胞を24ウェルプレートに3.0×10cells/well播種し、37℃・5%CO環境下で一晩培養した。培養後、培地を除去し、レオントポジン酸A(又はB)を100ng含有又は非含有DMEM培地(1%FBS含有)に交換して、さらに48時間培養した。培養後に細胞をPBSで洗浄して回収し、QIAshredder、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いてQIAcube(QIAGEN社製)にてRNAを抽出した。抽出したRNAをSuperScript VILO cDNA Synthesis Kit(Invitrigen社製)を用いてcDNA化し、SYBR(QIAGEN社製)を用い、QuantStudio 7(Applied Biosystems社製)にてRT-qPCRを行い、COL1A1遺伝子及びMMP1遺伝子の各発現量を解析した。内存性コントロールとしては、β-Actin遺伝子を用いた。各群間の有意差検定はstudent-T testを実施した。
なお、レオントポジン酸A及びBは、EXTRASYNTHESE社から購入したものを用いた。
結果を表1及び図1図2に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
表1、図1及び図2に示す通り、レオントポジン酸A(又はB)を添加したヒト正常線維芽細胞においては、I型コラーゲン産生亢進及びMMP-1産生抑制効果が見られた。
このことから、レオントポジン酸及びレオントポジン酸含有抽出物は、I型コラーゲンの産生亢進及びMMP-1の産生抑制効果を発揮することがわかった。
また、レオントポジン酸及びレオントポジン酸含有抽出物は、コラーゲンの産生亢進およびMMPの産生抑制効果を発揮するであろうことがわかった。
【0100】
<試験例2>レオントポジン酸と似た特徴を備える植物抽出物の選定;ヨモギエキス、モモ葉エキス及びアマチャエキスのHPLC分析
後述の試験例で用いるレオントポジン酸と似た特徴を備える植物抽出物の選定を行った。HPLC分析を用い、候補物質の中から、ヨモギエキス、モモ葉エキス及びアマチャエキスを選定した。
【0101】
そして、ヨモギエキス、モモ葉エキス及びアマチャエキスについて、HPLC分析を行ったところ、レオントポジン酸とスペクトルが類似するピーク(ピーク1、2)を検出した。結果を表2に示す。
-:該当ピークなし
○:レオントポジン酸と類似
[HPLC条件]
検出器:フォトダイオードアレイ検出器(測定波長:330nm、スペクトル測定範囲:190~400nm)
カラム:Unison UK C18(3μm、3mm×10cm)
移動相:Water+1%HCOOH72/ACN28(v/v)
流速:0.5mL/min 温度:40℃
【0102】
【表2】
【0103】
この結果から、ヨモギエキス、モモ葉エキス及びアマチャエキスについて、レオントポジン酸と同様な効果が得られることが推測される。
以下、ヨモギエキス、モモ葉エキス及びアマチャエキスについて、以下の評価を行った。
【0104】
<試験例3>ヨモギエキス、モモ葉エキス及びアマチャエキスのコラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制試験
次に、試験例2で選定したヨモギエキス、モモ葉エキス及びアマチャエキスについて、コラーゲン産生亢進及びMMP産生抑制作用を評価した。
【0105】
10%FBS入りDMEM培地を用いて、ヒト正常線維芽細胞を24ウェルプレートに3.0×10cells/well播種し、37℃・5%CO環境下で一晩培養した。培養後、培地を除去し、被験エキスを0.25%又は1%含有、若しくは非含有DMEM培地(1%FBS含有)に交換して、さらに48時間培養した。培養後に細胞をPBSで洗浄して回収し、QIAshredder、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いてQIAcube(QIAGEN社製)にてRNAを抽出した。抽出したRNAをSuperScript VILO cDNA Synthesis Kit(Invitrigen社製)を用いてcDNA化し、SYBR(QIAGEN社製)を用い、QuantStudio 7(Applied Biosystems社製)にてRT-qPCRを行い、COL1A1遺伝子及びMMP1遺伝子の各発現量を解析した。内存性コントロールとしては、β-Actin遺伝子を用いた。
【0106】
【表3】
【0107】
表3に示す通り、ヨモギエキス、モモ葉エキス及びアマチャエキスを添加したヒト正常線維芽細胞においては、I型コラーゲン産生亢進及びMMP-1産生抑制効果が見られた。このことから、ヨモギエキス、モモ葉エキス及びアマチャエキスは、I型コラーゲンの産生亢進及びMMP-1の産生抑制効果を発揮することがわかった。
また、ヨモギエキス、モモ葉エキス及びアマチャエキスは、コラーゲンの産生亢進およびMMPの産生抑制効果を発揮するであろうことがわかった。
【0108】
<試験例4>リフトアップに関する印象評価
次に、本発明の皮膚外用組成物が、肌のリフトアップに及ぼす影響を調べるため、官能検査を行った。
【0109】
まず、既存の化粧料(クリーム)に、1%モモ葉エキスを混合し、本発明の皮膚外用組成物を得た。
【0110】
官能検査は、健康な日本人女性(35~54歳)36名を被験者とし行った。本発明の皮膚外用組成物を、被験者に12週間顔面に朝晩2回使用してもらい、連用前後の被験者の顔面写真を、専門パネラー(男2名女3名、30~50代)5名が印象評価した。
【0111】
この際、連用前後の写真をランダマイズ及びブラインドにて専門パネラーに提示した。2枚の写真について、リフトアップ感において「変化なし」「やや変化あり」「変化あり」の3件法で評価を行った。専門パネラーによる評価後、「やや変化あり」「変化あり」と評価した写真の週数を確認し、リフトアップ感について以下の基準に従い評価を行った。
【0112】
基準:
1)変化あり:専門パネラー5名中4名以上が、連用前と比較し連用後が「変化を感じる」「やや変化を感じる」と評価
2)やや変化あり:専門パネラー5名中3名が、連用前と比較し連用後が「変化を感じる」「やや変化を感じる」と評価
3)やや変化なし:専門パネラー5名中3名が、連用前と比較し連用後が「変化なし」と評価
4)変化なし:専門パネラー5名中4名以上が、連用前と比較し連用後が「変化なし」と評価
【0113】
【表4】
【0114】
表4に示す通り、連用前と比較して連用後が「リフトアップ感あり」と評価された人(専門パネラー5名中3名以上に「変化あり」「やや変化あり」と評価された人)が半数以上(19名/36名)となり、本発明の皮膚外用組成物が、リフトアップ効果を有することが分かった。
すなわち、モモ葉エキスには、リフトアップ効果があることが分かった。
そして、試験例2の結果とあわせると、モモ葉エキスと同様にI型コラーゲン産生亢進及びMMP-1産生抑制効果を有する、レオントポジン酸、ヨモギエキス及びアマチャエキスについても、リフトアップ効果があるといえる。
【0115】
<試験例5>「リフトアップした」という評価の要因となる肌物性の検証
次に、「リフトアップした」という評価の要因となる肌物性の検証をおこなった。
具体的には、印象評価結果における「変化あり」「変化なし」と評価された被験者(以下、「変化あり」「変化なし」群という)データを用いて、両群にて有意差が得られる肌物性を抽出し、その肌物性についての検証を行った。
【0116】
その結果、「リフトアップ感」という肌物性が、次に示す1又は2以上の特徴を有することが分かった。
(特徴)
・頬部ボリューム感の左右対称性が良化する
・頬部肌表面形態の異方性が低下する
・連用前後で、顔の中心から外かつ上に向かって肌表面が移動している
【0117】
以下、上記特徴について、試験例を用いて詳述する。
【0118】
<試験例5-1>頬部ボリューム感の左右対称性
VECTRA(Canfield Scientific社製)を用いて、「変化あり」「変化なし」群の頬部左右のボリューム感を測定した。頬部のボリューム感の測定では、VECTRAに搭載されているソフトを用いて、連用前後の頬部の体積変化を算出した。そして、算出した頬部の体積変化について、左右差を算出した。結果を図3に示す。なお、図中グラフの縦軸は連用前後の頬部の体積変化の左右差の大きさを示す。
【0119】
図3に示す通り、「変化あり」群の頬部の体積変化の左右差は、「変化なし」群と比べて小さいことが分かった。このことから、リフトアップ効果を奏するための作用には、頬部ボリューム感の左右対称性が良化することが含まれることが分かる。
【0120】
また、片頬のみのボリューム感を上昇させた画像サンプルでは、「リフトアップ」の程度は低いとの評価となった。すなわち、頬上部が上がること自体は「リフトアップ」の評価に寄与せず、頬部ボリューム感の左右対称性が良化することが「リフトアップ感」という肌物性に寄与することがわかった。
【0121】
<試験例5-2>頬部肌表面形態の異方性
印象評価において「変化あり」「変化なし」群の頬部肌表面形態を測定した。具体的には、頬部肌表面をPRIMOS_CR_LargeField(Canfield Scientific社製)を使用して測定し、付属のソフトウェアにより頬部肌表面の異方性のデータを得た。結果を図4図5に示す。なお、図4の縦軸は異方性の測定値、図5の縦軸は「変化あり」「変化なし」群それぞれの連用前後の異方性の変化値を示す。
【0122】
図4に示す通り、「変化あり」群のうち、半数以上の被験者の頬部肌表面の異方性が、連用前後で低くなることが分かる。また、図5に示す通り、連用前後における「変化あり」群の異方性低下度合は、「変化なし」群の異方性低下度合と比べて大きいことが分かる。このことから、リフトアップ効果を奏するための作用には、頬部肌表面形態の異方性が低下することが含まれることが分かる。
【0123】
<試験例5-3>頬部肌表面の移動様式
印象評価において「変化あり」「変化なし」群の頬部肌表面の移動様式を測定した。具体的には、連用前後の被験者の顔面写真を、VECTRA M3(Canfield Scientific社製)を使用して取得し、連用前後における肌の移動量を算出した。
肌の移動量の算出には、MATLAB(登録商標)(MathWorks社製)におけるオプティカルフロー解析を用いた。
具体的には、連用前の顔画像データにおける特徴点(例えば、ほくろ、しみ、毛穴)の位置情報と、連用後の顔画像データにおける特徴点(例えば、ほくろ、しみ、毛穴)の位置情報を対比し、その対比結果をもとに経時的な変化量を取得することで顔面画像データから肌の移動量を測定した。
そして、肌の移動量には、肌の移動距離及び移動方向が含まれ、肌の移動量は顔面写真に矢印で示した。
肌の移動量のうち、頬下部の肌の移動量に着目し、顔の中心から外かつ上向きの矢印の本数を合計した。結果を図6に示す。なお、グラフの縦軸は、オプティカルフロー解析によって得られた、肌の単位面積当たりの顔の中心から外かつ上向きに移動した矢印の本数を示す。
【0124】
図6に示す通り、「変化あり」群の頬下部における外かつ上向きの矢印の本数は、「変化なし」群と比べて多いことが分かった。このことから、リフトアップ効果を奏するための作用には、頬下部の肌表面が外かつ上向きに移動することが含まれることが分かる。
【0125】
試験例5-1~5-3から、リフトアップ効果を奏するための作用には、頬部ボリューム感の左右対称性が良化すること、頬部肌表面形態の異方性が低下すること、肌表面が顔の中心から外かつ上向きに移動すること、の1又は2以上が含まれることが分かった。
【0126】
すなわち、試験例4、及び試験例5-1~5-3の結果から、レオントポジン酸、レオントポジン酸含有抽出物、並びに、キク科(Asteraceae)ヨモギ属(Astemisia)、バラ科(Rosacease)モモ属(Amygdaloideae)及びユキノシタ科(Saxifragaceae)アジサイ属(Hydrangea)に属する一種以上の植物の植物抽出物には、リフトアップ効果(頬部ボリューム感の左右対称性が良化すること、頬部肌表面形態の異方性が低下すること、肌表面が顔の中心から外かつ上向きに移動することの作用を発揮する効果)があることがわかった。
【0127】
また、試験例1~試験例4、及び試験例5-1~5-3の結果から、上記有効成分には、顔を引き上げる作用があることがわかった。
【0128】
また、顔面の垂れ下がった印象などの顔面の立体形状変化は、老化した印象を与えることがある。
ここで、試験例1~試験例4、及び試験例5-1~5-3の結果から上記有効成分にはリフトアップ効果や、顔を引き上げる作用が認められる。すなわち、上記有効成分には、顔面の立体形状変化による印象老化の予防または改善作用があることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明によれば、コラーゲン産生を亢進及びMMP産生を抑制できる組成物を提供することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6