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  • 特開-圧縮機 図1
  • 特開-圧縮機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163680
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/06 20060101AFI20241115BHJP
   F04B 41/02 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
F04B39/06 F
F04B41/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079503
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】池田 英明
【テーマコード(参考)】
3H003
3H076
【Fターム(参考)】
3H003AA01
3H003AC02
3H003BE02
3H003CD00
3H076AA01
3H076AA35
3H076BB07
3H076BB21
3H076CC07
(57)【要約】
【課題】パッケージタイプでの冷却性能を従来に比べて向上させることが可能な圧縮機を提供する。
【解決手段】圧縮気体を貯留する空気タンク20と、空気タンク20の鉛直方向上方側に設けられた圧縮機本体21と、空気タンク20及び圧縮機本体21を格納する圧縮機室13、並びに圧縮機室13に隣接するダクト室10を有する筐体と、を備え、圧縮機室13とダクト室10とを仕切る仕切りパネル11は、ダクト室10を鉛直方向で上下に区切る仕切り板11Cと、仕切り板11Cの下方で圧縮機室13とダクト室10とを接続する吸込み口11Aと、仕切り板11Cの上方で圧縮機室13とダクト室10とを接続する排気口11Bと、吸込み口11Aの圧縮機室13側の上方で圧縮機本体21と空気タンク20との間に延伸する仕切り板11Dと、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮気体を貯留するタンクと、
前記タンクの鉛直方向上方側に設けられた圧縮機本体と、
前記タンク及び前記圧縮機本体を格納する格納室、並びに前記格納室に隣接するダクト室を有する筐体と、を備え、
前記格納室と前記ダクト室とを仕切る全体隔壁は、
前記ダクト室を鉛直方向で上下に区切る隔壁と、
前記隔壁の下方で前記格納室と前記ダクト室とを接続する第1空隙と、
前記隔壁の上方で前記格納室と前記ダクト室とを接続する第2空隙と、
前記第1空隙の前記格納室側の上方で前記圧縮機本体と前記タンクとの間に延伸する仕切り板と、を有する
圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機において、
前記隔壁は、前記仕切り板よりも鉛直方向の上方で前記ダクト室を上下に区切る
圧縮機。
【請求項3】
請求項1に記載の圧縮機において、
前記筐体の前記格納室側の壁には、前記圧縮機本体を冷却する空気の取込み口と、前記圧縮機本体と鉛直方向位置及び水平方向位置が同じ流入口が形成されており、前記取込み口を内側から覆う流路制限部材と、が設けられている
圧縮機。
【請求項4】
請求項1に記載の圧縮機において、
前記第2空隙に位置する電動ファンを更に備える
圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術として、小型の圧縮機自体は世の中にあるが、特許文献1に記載のような矩形の筐体に格納されているパッケージタイプでは、机や工場ラインの下に配置できるものが存在しなかった。特に、パッケージに格納すると冷却性能が問題になることが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-68182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の記載のような、小型圧縮機を圧縮機本体とモータとを覆うパッケージに格納すれば騒音低減・防塵性能向上の効果が得られる。
【0005】
しかし、冷却性能に関しては改善の余地がある。特に、パッケージ内の流路状態によっては、吸気温度が冷却に十分な低い温度が得にくく、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、パッケージタイプでの冷却性能を従来に比べて向上させることが可能な圧縮機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、圧縮気体を貯留するタンクと、前記タンクの鉛直方向上方側に設けられた圧縮機本体と、前記タンク及び前記圧縮機本体を格納する格納室、並びに前記格納室に隣接するダクト室を有する筐体と、を備え、前記格納室と前記ダクト室とを仕切る全体隔壁は、前記ダクト室を鉛直方向で上下に区切る隔壁と、前記隔壁の下方で前記格納室と前記ダクト室とを接続する第1空隙と、前記隔壁の上方で前記格納室と前記ダクト室とを接続する第2空隙と、前記第1空隙の前記格納室側の上方で前記圧縮機本体と前記タンクとの間に延伸する仕切り板と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、パッケージタイプでの冷却性能を従来に比べて向上させることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例における空気圧縮機を正面側から見たときの斜視図である。
図2】実施例における空気圧縮機を背面側から見たときの斜視図である。
図3】実施例における空気圧縮機を背面側から見たときの斜視図であり、背面側リアパネル無しの状態でのダクト室を表す図である。
図4】実施例における空気圧縮機の内部の冷却風の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の空気圧縮機の実施例について図1乃至図4を用いて説明する。なお、本明細書で用いる図面において、同一のまたは対応する構成要素には同一、または類似の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0011】
図1は実施例における空気圧縮機の正面側からの斜視図、図2は背面側からの斜視図、図3は背面側からの斜視図であり、背面側リアパネル無しの状態でのダクト室を表す図、図4は空気圧縮機の内部の冷却風の流れを示す図である。
【0012】
以下に示す各実施例では、本発明の圧縮機を空気圧縮機とした場合について説明するが、圧縮機は空気圧縮機に限定されず、空気以外の気体を圧縮する圧縮機や、流体を圧縮するポンプとすることができる。
【0013】
本実施例のパッケージタイプ(矩形の筐体に格納されている形態)の圧縮機1は、図1乃至図4に示すように、内部には台座2の上に圧縮気体を貯留する2つの空気タンク20が並んで取付けられており、この2つ並んで取り付けられた空気タンク20の鉛直方向上方側に圧縮機台座20Aを介して圧縮機本体21が取付けられた構造であり、これら空気タンク20及び圧縮機本体21が筐体内に収容されている。
【0014】
圧縮機本体21はモータにより駆動され、外部から空気を吸引し、圧縮して吐出する。
【0015】
筐体は、空気タンク20と圧縮機本体21を覆うように配置されており、操作パネル3、フロントドア4、ルーフパネル5、レフトパネル6、ライトパネル8、リアパネル12により構成される。この筐体内に、空気タンク20及び圧縮機本体21を格納する圧縮機室13、並びに圧縮機室13に隣接するダクト室10が形成されている。
【0016】
ここで、図1及び図2に示すように、筐体の圧縮機室13側の壁であるレフトパネル6には1箇所の吸込み口6Aが、同じく筐体の圧縮機室13側の壁であるライトパネル8には1箇所の吸込み口8Aが設けられており、圧縮機本体21内蔵の冷却ファン(図示省略)により、冷却風を外部から吸い込むことで圧縮機本体21を冷却する空気の取入れが可能となっている(斜め線ハッチングの矢印)。
【0017】
また、レフトパネル6には吸込み口6Aを内側から覆うダクト7が、ライトパネル8には吸込み口8Aを内側から覆うダクト9が取付けられている。
【0018】
また、各々のダクト7,9には圧縮機本体21と鉛直方向及び水平方向位置が同じ吸込み口7A,9Aがそれぞれ設けられており、外部から吸い込んだ冷却風はダクト7,9を通って圧縮機本体21に吸い込まれ、圧縮機本体21を冷却する。
【0019】
この構成により、外部からの空気を圧縮機本体21へ直接導入するガイドが形成されるため、パッケージ内部の温められた空気を吸い込むことを防止し、吸い込み温度が上がることを防止でき、効率的に冷却することができる。
【0020】
ここで、上述の吸込み口6A,8Aは、圧縮機本体21と鉛直方向位置は同じであるが、水平方向位置が異なっていることで、レフトパネル6あるいはライトパネル8をそれぞれ正面視したときに吸込み口7A,9Aと吸込み口6A,8Aとが直列になっていない。この構成により、圧縮機本体21のモータを始めとした駆動部分で生じる騒音が吸込み口7A,9Aから筐体外へ伝搬される際、吸込み口7Aからレフトパネル6の内側等や吸込み口9Aからライトパネル8の内側等にぶつかり、直接筐体の外側へ伝搬することを防ぐことができる。
【0021】
なお、吸込み口7A,9Aと吸込み口6A,8Aとは、レフトパネル6あるいはライトパネル8をそれぞれ正面視したときに吸込み口7A,9Aと吸込み口6A,8Aとが直列になっていてもよいが、その場合は別の騒音対策を講じることが望ましい。
【0022】
更に、レフトパネル6及びライトパネル8には吸込み口6B,8Bがそれぞれ設けられており、後述する電動ファン14により冷却風を筐体の外部からダクト室10内に吸い込む(ドットハッチングの矢印)。吸込み口6B,8Bから吸い込まれた冷却風は、空気タンク20、圧縮機本体21などのパッケージ内部を冷却し、外部へ排気される。その詳細は後述する。
【0023】
図2に示すように、リアパネル12には排気口11B(図3図4参照)に対応する部分に排気口15が設けられている。この排気口15のリアパネル12を正面視したときの鉛直方向位置や水平方向位置は、吸込み口7A,9Aと吸込み口6A,8Aとの関係とは異なり、リアパネル12を正面視したときに内部の仕切りパネル11の排気口11Bと鉛直方向位置や水平方向位置は同じである。これは、本実施例のようなパッケージタイプの圧縮機1のリア側は通常は壁に面するため、騒音対策の必要性が低いためである。但し、リアパネル12側の排気口15と排気口11Bとの位置関係も、吸込み口7A,9Aと吸込み口6A,8Aとの関係と同様にリアパネル12を正面視したときに直列になっていないようにすることができる。
【0024】
図3に示すように、本実施例の圧縮機1では、パッケージ内には圧縮機室13とダクト室10とを仕切る仕切りパネル11が設けられている。
【0025】
この仕切りパネル11により、仕切りパネル11、ルーフパネル5、レフトパネル6、ライトパネル8、リアパネル12により圧縮機1の背面側にダクト室10が構成され、仕切りパネル11、ルーフパネル5、レフトパネル6、ライトパネル8、リアパネル12により圧縮機1の正面側に圧縮機室13が構成され、パッケージ内部は、ダクト室10と圧縮機室13に分かれている。
【0026】
仕切りパネル11は、仕切り板11C,11Dを有しており、また吸込み口11A、排気口11Bが形成されている。
【0027】
仕切り板11Cは、ダクト室10を鉛直方向で上下に区切る板であり、本実施例では、仕切り板11Cは、仕切り板11Dよりも鉛直方向の上方でダクト室10を上下に区切ることで、ダクト室10は吸込み室10Aと排気室10Bとに分かれている。
【0028】
吸込み口11Aは、仕切り板11Cの下方、すなわち吸込み室10A側で圧縮機室13とダクト室10とを接続する開口である。
【0029】
排気口11Bは、仕切り板11Cの上方、すなわち排気室10B側で圧縮機室13とダクト室10とを接続する開口であり、レフトパネル6及びライトパネル8側の2箇所形成されている。これら2つの排気口11Bにはいずれも電動ファン14が設けられており、パッケージ内部の空気を排気口11Bから外部に排気する。
【0030】
この構成としたことにより、ドットハッチングの矢印に示すように圧縮機1の側面下部から冷却風を吸い込み、白色ハッチングの矢印に示すようにパッケージ内部を冷却した後、背面上部から排気する構成となり、パッケージ内部を効率的に冷却することができる。
【0031】
なお、吸込み口11Aには電動ファンを設けていない。これによりコスト面及びスペース面でのメリットが得られるが、冷却効率を重視する場合は吸込み口11Aにも電動ファンを設けることも可能である。
【0032】
仕切り板11Dは、吸込み口11Aの圧縮機室13側の鉛直方向上方で圧縮機本体21と空気タンク20との間に水平方向に延伸する板であり、圧縮機室13側での上下方向の冷却風の流れを一定方向に規制している。
【0033】
図3及び4に示すように、圧縮機1の側面下部から吸い込まれた冷却風は、ドットハッチングの矢印のようにレフトパネル6の吸込み口6B及びライトパネル8の吸込み口8Bからダクト室10の吸込み室10Aに流入する。
【0034】
吸込み室10Aに流入した冷却風は仕切りパネル11の吸込み口11Aから圧縮機室13へ流れる。この時、冷却風は、圧縮機室13側の仕切り板11Dの存在により、圧縮機本体21側には流れずにまずは空気タンク20の下側及び周囲を流れることで空気タンク20を冷却する。その後、正面側であるフロントドア4や操作パネル3の裏面側に衝突し、鉛直方向上方へ流れていき、圧縮機本体21を冷却する。
【0035】
また、圧縮機本体21内蔵の冷却ファンにより、レフトパネル6の吸込み口6A、ダクト7、吸込み口7A及びライトパネル8の吸込み口8A、ダクト9、吸込み口9Aを介して外部から吸い込まれた冷却風は、斜め線ハッチングの矢印に示すように圧縮機本体21を直接冷却する。
【0036】
圧縮機本体21を冷却して暖められた空気は、白色ハッチングの矢印に示すように、圧縮機本体21の周囲から上方に流れていき、とどまろうとする。ここで、上述した排気口11Bに設けられた電動ファン14により吸引され、パッケージ内部の上方に溜まろうとする暖かい空気は排気口11Bを介して排気室10Bに排気され、排気室10Bから排気口15を介して裏面側からパッケージ外部に排気される。
【0037】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0038】
上述した本実施例の圧縮機1は、圧縮気体を貯留する空気タンク20と、空気タンク20の鉛直方向上方側に設けられた圧縮機本体21と、空気タンク20及び圧縮機本体21を格納する圧縮機室13、並びに圧縮機室13に隣接するダクト室10を有する筐体と、を備え、圧縮機室13とダクト室10とを仕切る仕切りパネル11は、ダクト室10を鉛直方向で上下に区切る仕切り板11Cと、仕切り板11Cの下方で圧縮機室13とダクト室10とを接続する吸込み口11Aと、仕切り板11Cの上方で圧縮機室13とダクト室10とを接続する排気口11Bと、吸込み口11Aの圧縮機室13側の上方で圧縮機本体21と空気タンク20との間に延伸する仕切り板11Dと、を有する。
【0039】
この構成により、吸込み側と排気側の冷却風の流路を分けることができるため、ドットハッチングの矢印に示すように圧縮機1の側面下部から冷却風を吸い込み、パッケージ内部を冷却した後、白色ハッチングの矢印に示すように背面上部から排気する構成となり、パッケージ内部を効率的に冷却することができる。そのうえ、パッケージに格納しているため、騒音低減・防塵性能向上の効果も得られる、との効果も奏する。
【0040】
また、仕切り板11Cは、仕切り板11Dよりも鉛直方向の上方でダクト室10を上下に区切るため、ダクト室10を介して流入する冷却風を効率的に空気タンク20に供給することができ、より効率的な冷却を実現することができる。
【0041】
更に、筐体の圧縮機室13側の壁には、圧縮機本体21を冷却する空気の吸込み口6A,8Aと、圧縮機本体21と鉛直方向位置及び水平方向位置が同じ吸込み口7A,9Aが形成されており、吸込み口6A,8Aを内側から覆うダクト7,9と、が設けられていることで、冷却空気の吸込み口6A,8Aからの騒音を軽減することができる。
【0042】
また、排気口11Bに位置する電動ファン14を更に備えることにより、上記の冷却風の流れをより強く形成することができ、更なる冷却効率の向上を図ることができる。
【0043】
<その他>
なお、本発明は上記の実施例に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【符号の説明】
【0044】
1…圧縮機
2…台座
3…操作パネル
4…フロントドア
5…ルーフパネル
6…レフトパネル
6A,8A…吸込み口(取込み口)
6B,8B…吸込み口
7,9…ダクト(流路制限部材)
7A,9A…吸込み口(流入口)
8…ライトパネル
10…ダクト室
10A…吸込み室
10B…排気室
11…仕切りパネル(全体隔壁)
11A…吸込み口(第1空隙)
11B…排気口(第2空隙)
11C…仕切り板(隔壁)
11D…仕切り板(仕切り板)
12…リアパネル
13…圧縮機室(格納室)
14…電動ファン
15…排気口
20…空気タンク
20A…圧縮機台座
21…圧縮機本体
図1
図2
図3
図4