(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163699
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】射出成形機の制御装置及び表示装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079531
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大貫 雅弥
(72)【発明者】
【氏名】丸本 洋嗣
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM09
4F206AM19
4F206AM32
4F206JA07
4F206JD01
4F206JL06
4F206JL07
4F206JP17
4F206JP25
4F206JQ88
(57)【要約】
【課題】満足度の向上を図る。
【解決手段】一実施形態に係る射出成形機の制御装置は、当該射出成形機に取り付けられるスクリュ毎に個別に割り当てられたスクリュ識別情報で識別されるスクリュに関する情報を記憶部から取得し、取得した前記情報に基づいて検索を行うための処理、取得した前記情報に基づいた検索対象となる情報を、検索用記憶部に登録するための処理、または、ネットワークを介して接続される外部の機器に取得した前記情報の送信を行うように構成されている制御部、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該射出成形機に取り付けられるスクリュ毎に個別に割り当てられたスクリュ識別情報で識別されるスクリュに関する情報を記憶部から取得し、取得した前記情報に基づいて検索を行うための処理、前記スクリュで生じる異常に関する情報を格納している検索用記憶部に対して取得した前記情報を登録するための処理、または、ネットワークを介して接続される外部の機器に取得した前記情報の送信を行うように構成されている制御部、
を備える射出成形機の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記射出成形機に取り付けられている前記スクリュから前記スクリュ識別情報を取得した場合、又は、前記スクリュ識別情報の入力を受け付けた場合に、前記スクリュ識別情報で識別される前記スクリュに関する前記情報を前記記憶部から取得するように構成されている、
請求項1に記載の射出成形機の制御装置。
【請求項3】
前記検索を行うための処理は、前記スクリュで生じる異常に関する情報を格納している前記検索用記憶部に対して検索を行う、又は、検索が可能な装置に対して、取得した前記情報を送信する、
請求項1又は2に記載の射出成形機の制御装置。
【請求項4】
前記登録をするための処理は、前記スクリュで生じる異常に関する情報を格納している前記検索用記憶部に対して取得した前記情報を登録する、又は、検索が可能な装置に対して、取得した前記情報を、登録要求と共に送信する、
請求項1又は2に記載の射出成形機の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記スクリュ識別情報と共に、前記スクリュ識別情報で識別される前記スクリュを用いている時に発生した異常を示す異常情報、及び、当該異常が生じた場合に用いられた成形材料を示す成形材料情報のうちいずれか一つ以上の入力を受け付け、
前記スクリュに関する前記情報と共に、前記異常情報及び前記成形材料情報のうちいずれか一つ以上に基づいて、前記検索を行うための処理、または、前記登録するための処理を行うように構成されている、
請求項1又は2に記載の射出成形機の制御装置。
【請求項6】
前記記憶部から取得される前記スクリュに関する前記情報は、前記スクリュの種類、前記スクリュの径、前記スクリュの材質、前記スクリュの製造された年、及び、前記スクリュによる射出成形の使用回数のうちいずれか一つ以上を含んでいる、
請求項1に記載の射出成形機の制御装置。
【請求項7】
当該射出成形機に取り付けられるスクリュ毎に個別に割り当てられたスクリュ識別情報と共に、前記スクリュ識別情報で識別される前記スクリュを用いている時に発生した異常を示す異常情報を入力可能な第1入力欄、又は、前記スクリュで射出成形を行う際に用いられた成形材料を示す成形材料情報を入力可能な第2入力欄を含めた、検索画面、または、登録画面を表示する表示部、
を備える射出成形機の表示装置。
【請求項8】
前記表示部は、第3入力欄に前記スクリュ識別情報を入力された場合、又は、前記射出成形機に取り付けられた前記スクリュに付与された表示情報から、読取装置が前記スクリュ識別情報を読み出した場合に、前記スクリュ識別情報を前記検索画面、または、前記登録画面に表示するように構成されている、
請求項7に記載の射出成形機の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機の制御装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場を監視するようなシステムでは、アラーム発生時の障害内容の分析時に、実際の機械稼働データや履歴データを利用して、故障内容の把握できるように構成されている。そして、故障内容に把握するために、様々な技術が提案されている。例えば、工場に設置された機械に関するデータを収集するための技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
一方、射出成形機で成形品を製造している際に、異常が生じる場合がある。このため、射出成形機に異常が生じた場合の対処法を表示するための検索サービスが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該検索サービスでは、射出成形機に異常が生じた場合に対処法を見つけるためには、異常が生じた状況を入力する必要があるが、スクリュに関する情報は様々である。つまり、適切な対処法を見つけるために、オペレータが当該スクリュに関する情報を適切に入力するのが難しい。
【0006】
本発明の一態様は、射出成形機に取り付けられるスクリュ毎にスクリュ識別情報を割り当て、検索を行う際にスクリュ識別情報に紐づけられたスクリュに関する情報を検索に用いることで、検索結果の満足度の向上を図る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る射出成形機の制御装置は、当該射出成形機に取り付けられるスクリュ毎に個別に割り当てられたスクリュ識別情報で識別されるスクリュに関する情報を記憶部から取得し、取得した前記情報に基づいて検索を行うための処理、取得した前記情報に基づいた検索対象となる情報を、検索用記憶部に登録するための処理、または、ネットワークを介して接続される外部の機器に取得した前記情報の送信を行うように構成されている制御部、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、スクリュ識別情報に紐づけられたスクリュに関する情報を検索に利用可能としたことで、検索結果の満足度の向上を図る技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る射出成形機の制御装置の構成要素を機能ブロックで示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るスクリュに設けられたタグと読取装置との位置関係を例示した図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係るスクリュ情報記憶部のテーブル構造を例示した図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るロギング情報記憶部のテーブル構造を例示した図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る表示制御部により表示される検索画面の一例を示した図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る表示制御部により表示される検索結果の画面の第1例を示した図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る表示制御部により表示される検索結果の画面の第2例を示した図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る表示制御部により表示される検索結果の画面の第3例を示した図である。
【
図11】
図11は、変形例1に係る射出成形機の利用環境を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0011】
図1は、第1の実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
図2は、第1の実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。本明細書において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機10の幅方向である。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
【0012】
図1~
図2に示すように、射出成形機10は、金型装置800を開閉する型締装置100と、金型装置800で成形された成形品を突き出すエジェクタ装置200と、金型装置800に成形材料を射出する射出装置300と、金型装置800に対し射出装置300を進退させる移動装置400と、射出成形機10の各構成要素を制御する制御装置700と、射出成形機10の各構成要素を支持するフレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置100を支持する型締装置フレーム910と、射出装置300を支持する射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910および射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ930を介して床2に設置される。射出装置フレーム920の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
【0013】
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0014】
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定金型810が取付けられる固定プラテン110と、可動金型820が取付けられる可動プラテン120と、固定プラテン110に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる移動機構102と、を有する。
【0015】
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。
【0016】
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型820が取付けられる。
【0017】
移動機構102は、固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧、および型開を行う。移動機構102は、固定プラテン110と間隔をおいて配置されるトグルサポート130と、固定プラテン110とトグルサポート130を連結するタイバー140と、トグルサポート130に対して可動プラテン120を型開閉方向に移動させるトグル機構150と、トグル機構150を作動させる型締モータ160と、型締モータ160の回転運動を直線運動に変換する運動変換機構170と、固定プラテン110とトグルサポート130の間隔を調整する型厚調整機構180と、を有する。
【0018】
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。なお、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
【0019】
なお、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
【0020】
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
【0021】
なお、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
【0022】
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、型開閉方向に移動するクロスヘッド151と、クロスヘッド151の移動によって屈伸する一対のリンク群と、を有する。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
【0023】
なお、トグル機構150の構成は、
図1および
図2に示す構成に限定されない。例えば
図1および
図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
【0024】
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
【0025】
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0026】
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、および型開工程などを行う。
【0027】
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
【0028】
なお、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0029】
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
【0030】
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、昇圧工程で発生させた型締力が維持される。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間にキャビティ空間801(
図2参照)が形成され、射出装置300がキャビティ空間801に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。
【0031】
キャビティ空間801の数は、1つでもよいし、複数でもよい。後者の場合、複数の成形品が同時に得られる。キャビティ空間801の一部にインサート材が配置され、キャビティ空間801の他の一部に成形材料が充填されてもよい。インサート材と成形材料とが一体化した成形品が得られる。
【0032】
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
【0033】
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型820から成形品を突き出す。
【0034】
型閉工程、昇圧工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
【0035】
脱圧工程および型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程および型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
【0036】
なお、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0037】
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0038】
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0039】
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。なお、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
【0040】
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。なお、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
【0041】
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に従動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の従動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。なお、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
【0042】
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。なお、複数の型厚調整機構が組み合わせて用いられてもよい。
【0043】
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。なお、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0044】
型締装置100は、金型装置800の温度を調節する金型温調器を有してもよい。金型装置800は、その内部に、温調媒体の流路を有する。金型温調器は、金型装置800の流路に供給する温調媒体の温度を調節することで、金型装置800の温度を調節する。
【0045】
なお、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
【0046】
なお、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
【0047】
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0048】
エジェクタ装置200は、可動プラテン120に取付けられ、可動プラテン120と共に進退する。エジェクタ装置200は、金型装置800から成形品を突き出すエジェクタロッド210と、エジェクタロッド210を可動プラテン120の移動方向(X軸方向)に移動させる駆動機構220とを有する。
【0049】
エジェクタロッド210は、可動プラテン120の貫通穴に進退自在に配置される。エジェクタロッド210の前端部は、可動金型820のエジェクタプレート826と接触する。エジェクタロッド210の前端部は、エジェクタプレート826と連結されていても、連結されていなくてもよい。
【0050】
駆動機構220は、例えば、エジェクタモータと、エジェクタモータの回転運動をエジェクタロッド210の直線運動に変換する運動変換機構とを有する。運動変換機構は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0051】
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、エジェクタロッド210を設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、エジェクタプレート826を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータを駆動してエジェクタロッド210を設定移動速度で後退させ、エジェクタプレート826を元の待機位置まで後退させる。
【0052】
エジェクタロッド210の位置や移動速度は、例えばエジェクタモータエンコーダを用いて検出する。エジェクタモータエンコーダは、エジェクタモータの回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。なお、エジェクタロッド210の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド210の移動速度を検出するエジェクタロッド移動速度検出器は、エジェクタモータエンコーダに限定されず、一般的なものを使用できる。
【0053】
(射出装置)
射出装置300の説明では、型締装置100の説明やエジェクタ装置200の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0054】
射出装置300はスライドベース301に設置され、スライドベース301は射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800にタッチし、シリンダ310内で計量された成形材料を、金型装置800内のキャビティ空間801に充填する。射出装置300は、例えば、成形材料を加熱するシリンダ310と、シリンダ310の前端部に設けられるノズル320と、シリンダ310内に進退自在に且つ回転自在に配置されるスクリュ330と、スクリュ330を回転させる計量モータ340と、スクリュ330を進退させる射出モータ350と、射出モータ350とスクリュ330の間で伝達される荷重を検出する荷重検出器360と、を有する。
【0055】
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
【0056】
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0057】
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0058】
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
【0059】
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
【0060】
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(
図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
【0061】
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(
図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
【0062】
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
【0063】
なお、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
【0064】
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
【0065】
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
【0066】
荷重検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される荷重を検出する。検出した荷重は、制御装置700で圧力に換算される。荷重検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の荷重の伝達経路に設けられ、荷重検出器360に作用する荷重を検出する。
【0067】
荷重検出器360は、検出した荷重の信号を制御装置700に送る。荷重検出器360によって検出される荷重は、スクリュ330と成形材料との間で作用する圧力に換算され、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
【0068】
なお、成形材料の圧力を検出する圧力検出器は、荷重検出器360に限定されず、一般的なものを使用できる。例えば、ノズル圧センサ、又は型内圧センサが用いられてもよい。ノズル圧センサは、ノズル320に設置される。型内圧センサは、金型装置800の内部に設置される。
【0069】
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。充填工程と保圧工程とをまとめて射出工程と呼んでもよい。
【0070】
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。なお、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0071】
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば荷重検出器360を用いて検出する。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
【0072】
計量工程におけるスクリュ330の位置および回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置および計量完了位置が設定される。これらの位置は、前側から後方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
【0073】
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内のキャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
【0074】
充填工程におけるスクリュ330の位置および移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置およびV/P切換位置が設定される。これらの位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
【0075】
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、荷重検出器360によって検出される。スクリュ330の圧力が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で前進される。一方、スクリュ330の圧力が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、スクリュ330の圧力が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で前進される。
【0076】
なお、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0077】
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば荷重検出器360を用いて検出する。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力および保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
【0078】
保圧工程では金型装置800内のキャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0079】
なお、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ進退不能に配置され、またはスクリュが回転自在に且つ進退自在に配置される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが進退自在に配置される。
【0080】
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
【0081】
(移動装置)
移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0082】
移動装置400は、金型装置800に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置800に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
【0083】
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切換えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。なお、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
【0084】
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
【0085】
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
【0086】
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
【0087】
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型810から離間される。
【0088】
なお、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
【0089】
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、
図1~
図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704と、通信インターフェース705とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。また、制御装置700は、通信インターフェース705で外部の装置に情報を送信する。
【0090】
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し生産する。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
【0091】
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の完了は型開工程の開始と一致する。
【0092】
なお、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、型締工程の間に行われてよい。この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないためである。
【0093】
なお、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程以外の工程を有してもよい。
【0094】
例えば、保圧工程の完了後、計量工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された計量開始位置まで後退させる計量前サックバック工程が行われてもよい。計量工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を削減でき、計量工程の開始時のスクリュ330の急激な後退を防止できる。
【0095】
また、計量工程の完了後、充填工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)まで後退させる計量後サックバック工程が行われてもよい。充填工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を削減でき、充填工程の開始前のノズル320からの成形材料の漏出を防止できる。
【0096】
制御装置700は、作業者による入力操作を受け付ける操作装置750や画面を表示する表示装置760と接続されている。操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネル770で構成され、一体化されてよい。表示装置760としてのタッチパネル770は、制御装置700による制御下で、画面を表示する。例えば、表示装置760は、画面を表示するための液晶パネル(表示部の一例)等を含んでもよい。なお、表示部は、液晶パネルに制限するものではなく、有機ELなどの他の表示デバイスを用いてもよい。タッチパネル770の画面には、例えば、射出成形機10の設定、現在の射出成形機10の状態等の情報が表示されてもよい。タッチパネル770は、表示された画面領域に操作を受け付け可能とする。また、タッチパネル770の画面領域には、例えば、作業者による入力操作を受け付けるボタン、入力欄等の操作部が表示されてもよい。操作装置750としてのタッチパネル770は、作業者による画面上の入力操作を検出し、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。これにより、例えば、作業者は、画面に表示される情報を確認しながら、画面に設けられた操作部を操作して、射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。また、作業者が画面に設けられた操作部を操作することにより、操作部に対応する射出成形機10の動作を行わせることができる。なお、射出成形機10の動作は、例えば、型締装置100、エジェクタ装置200、射出装置300、移動装置400等の動作(停止も含む)であってもよい。また、射出成形機10の動作は、表示装置760としてのタッチパネル770に表示される画面の切り替え等であってもよい。
【0097】
なお、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、タッチパネル770として一体化されているものとして説明したが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750および表示装置760は、型締装置100(より詳細には固定プラテン110)の操作側(Y軸負方向)に配置される。
【0098】
(第1の実施形態)
図3は、本実施形態に係る射出成形機10の制御装置700の構成要素を機能ブロックで示す図である。
図3に図示される各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。制御装置700の各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU701にて実行されるプログラムにて実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。
【0099】
図3に示すように、射出成形機の制御装置は、操作装置750と、表示装置760と、読取装置501と、に接続されている。読取装置501は、射出成形機のスクリュ330に設けられたタグ(
図4参照)からスクリュ識別情報を読み取る。
【0100】
スクリュ識別情報は、射出成形機10に取り付けられるスクリュ330毎に個別に割り当てられた識別情報である。スクリュ識別情報は、例えば、スクリュタイプと、ロット番号と、当該ロット内の番号と、を組み合わせた情報であって、スクリュ330について1本ごとにユニークに割り当てられた情報とする。
【0101】
スクリュ330毎に割り当てられたスクリュ識別情報は、スクリュ330に付与されている。本実施形態では、スクリュ330に付与されたタグの中に格納されている。スクリュ330に設けられたタグは、2次元バーコードでもよいし、1次元バーコードでもよい。さらに、スクリュ330に設けられたタグは、RFID(radio frequency identification)タグ、つまり無線ICチップであってもよく、スクリュ330の内部に埋め込まれてもよい。さらには、スクリュ330にスクリュ識別情報を付与する手法はタグに制限するものではなく、スクリュ識別情報が文字として表されたシール部材として付与されてもよいし、スクリュ330に文字として刻印されてもよい。
【0102】
(読取装置)
次に、
図4を参照して、読取装置501の配置例について説明する。
図4は、本実施形態に係るスクリュ330に設けられたタグと読取装置との位置関係を例示した図である。
【0103】
図4に示される例では、射出装置300は、シリンダ310と、ノズル320と、スクリュ330と、駆動装置370と、を備える。駆動装置370は、スクリュ330の回転および進退を行う。駆動装置370は、例えば、
図1及び
図2等に示す計量モータ340と射出モータ350を含む。
【0104】
スクリュ330は、シリンダ310の内部に配置されるフライト332と、シリンダ310の内部から後方に突出するピストン333と、を有する。フライト332は、螺旋状の溝を形成する。スクリュ330を回転させると、螺旋状の溝に沿って樹脂が前方に送られる。ピストン333は、例えば円柱状に形成され、シリンダ310の後端の開口を塞ぐことで、樹脂の粉塵の流出を抑制する。
【0105】
射出装置300は、駆動装置370の駆動力をスクリュ330に伝達するための(図示しない)可動部材とスクリュ330を連結する連結部材372を備える。駆動装置370は、可動部材の回転および進退を行うことで、スクリュ330の回転および進退を行う。
【0106】
射出装置300は、可動部材とスクリュ330の連結作業が行われる部屋を内部に形成するボックス390を備える。ボックス390の前面には、冷却器312を介してシリンダ310が固定される。シリンダ310の後端はボックス390の内部に収容されており、シリンダ310の後端からスクリュ330のピストン333が突出している。ボックス390は、連結作業を行う作業者が進入する開口391を有する。開口391は、ボックス390の側面(例えば操作側の側面)に設けられる。
【0107】
スクリュ330は、連結部材372によって可動部材に連結され、適宜、交換される。スクリュ330には、タグ500が付されている。タグ500は、読取装置501で読み取り可能なスクリュ識別情報を含む。
【0108】
タグ500は、例えば印刷または切削加工などでスクリュ330の外周面に付される。タグ500は、シリンダ310の内周面と擦れないように、スクリュ330の外周面の図示しない凹部に設けてもよい。
【0109】
読取装置501は、タグ500からスクリュ識別情報を読み取り可能な装置であればよい。例えば、タグ500が、2次元バーコード又は1次元バーコードの場合、読取装置501として撮像装置を適用してもよい。さらに、タグ500がRFIDタグの場合、読取装置501として無線通信機を適用してもよい。
【0110】
制御装置700は、読取装置501でタグ500の識別情報を読み取る読取位置にタグ500を移動させる制御を行なう。制御装置700は、
図4に示すようにタグ500を読取装置501に向ける制御を行う。これにより、スクリュ330のスクリュ識別情報の読み取りエラーを抑制でき、スクリュ識別情報を取得できる。制御装置700は、読取位置でスクリュ330を停止させる制御を行うことが好ましいが、スクリュ330を低速で回転させてもよいし、スクリュ330を低速で進退させてもよい。
【0111】
制御装置700は、スクリュ330の回転方向位置を、例えば計量モータ340のエンコーダ341で取得する。また、制御装置700は、スクリュ330の前後方向位置を、例えば射出モータ350のエンコーダ351で取得する。これにより、制御装置700は、スクリュ330の回転方向位置と前後方向位置を制御でき、タグ500の回転方向位置と前後方向位置を制御できる。タグ500の読取位置(回転方向位置と前後方向位置)は、予め記憶されており、読み出して参照される。
【0112】
タグ500は、例えばスクリュ330のピストン333に付される。
図4に示すように、タグ500の読取位置は、シリンダ310の後端よりも後方の位置である。
【0113】
シリンダ310の内部に収容されるタグ500をシリンダ310の後端よりも後方に引き出したうえで、タグ500の識別情報を読み取ることで、スクリュ330の全長を長くすることなく、且つ樹脂の粉塵漏れの原因となりうる貫通穴または切り欠きなどをシリンダ310に形成することなく、スクリュ330を識別することができる。
【0114】
タグ500の読取位置は、例えばタグ500がボックス390の開口391に対向する位置である。読取装置501は、例えばボックス390の外部に設けられ、ボックス390の開口391に対向して設けられる。読取装置501は、可動部材とスクリュ330の連結作業の邪魔にならないように、着脱可能に設けられてもよい。読取装置501は、射出成形機10に備えられてもよいし、射出成形機10とは別に設けられてもよい。
【0115】
なお、読取装置501は、
図4ではボックス390の外部に設けられるが、ボックス390の内部に設けられてもよい。
図4は、読取装置501及びタグ500の配置の一例を示したものであって、スクリュ330に付与されたタグ500から読取装置501がスクリュ識別情報を読み取り可能であれば、読取装置501及びタグ500は任意の位置に設けてよい。
【0116】
<制御装置のブロック構成>
図3に戻り、制御装置の構成について説明する。制御装置700は、記憶媒体702に、スクリュ情報記憶部721と、ロギング情報記憶部722と、対応情報記憶部723と、を備える。
【0117】
スクリュ情報記憶部721は、射出成形機10に取り付けられたスクリュに関する情報を記憶する。
図5は、本実施形態に係るスクリュ情報記憶部721のテーブル構造を例示した図である。
図5に示されるように、スクリュ情報記憶部721は、スクリュ識別情報と、スクリュ識別情報で示されるスクリュの製造年月日と、当該スクリュのスクリュタイプ(スクリュの種類)と、スクリュ径と、スクリュ材質と、を対応付けて記憶している。なお、
図5に示されるテーブル構造は一例を示したものであって、スクリュ識別情報と対応付けられる情報は、製造年月日、当該スクリュのスクリュタイプ(スクリュの種類)、スクリュ径、スクリュ材質に制限するものではなく、例えば、出荷年月日など、スクリュに関する情報が含まれていればよい。
【0118】
つまり、スクリュ情報記憶部721が、スクリュ識別情報と、当該スクリュ識別情報で識別されるスクリュに関する情報と、を対応付けて記憶しているので、スクリュ情報記憶部721を参照した場合に、スクリュ識別情報で識別されるスクリュ330一本毎に、当該スクリュ330に関する情報を読み出すことができる。
【0119】
ロギング情報記憶部722は、射出成形機10が射出成形を行う毎に格納されるログ情報とする。
図6は、本実施形態に係るロギング情報記憶部722のテーブル構造を例示した図である。
図6に示されるように、ロギング情報記憶部722は、ショット番号と、射出成形を行った(日付を含んだ)時刻と、スクリュ識別情報と、射出成形に使用された成形材料と、第1成形条件項目等と、を対応付けて記憶している。ロギング情報記憶部722は、射出成形機10で射出成形が行われるごとに格納される情報とする。また、成形条件項目は、第1成形条件項目のみならず、第1成形条件項目から第n成形条件項目まで含まれてもよい。成形条件項目は、例えばV/P切換位置など、射出成形を行う際に設定された情報又は実測された情報が格納されている。
【0120】
例えば、制御装置700は、スクリュ識別情報を検索キーとして、ロギング情報記憶部722に格納されている情報を抽出することで、当該スクリュ識別情報で識別されるスクリュが使用された回数、及び、当該スクリュで使用された成形材料等を認識できる。さらには、ロギング情報記憶部722に記憶された(日付を含んだ)時刻等に基づいて、当該スクリュの使用時間及び交換年月日を特定できる。これらの情報によってスクリュの消耗状態を認識できる。つまり、これらの情報を検索キーとして用いることで、スクリュの消耗度合いを考慮した対処法を検索できる。
【0121】
対応情報記憶部(検索用記憶部の一例)723は、射出成形機10の異常に関する情報を記憶している。具体的には、対応情報記憶部723は、射出成形機10で異常が生じた場合に、オペレータに対処法として提示すべき内容が格納されたデータベースである。そして、本実施形態では、対応情報記憶部723が検索エンジンとして用いられる。つまり、射出成形機10で異常が生じた場合に、射出成形機10に取り付けられているスクリュ330に関する情報等を検索キーとして、対応情報記憶部723に対して検索を行うことで、オペレータが実行すべき対処法に関する情報を抽出できる。また、抽出される情報は対処法に制限するものではなく、異常が発生した原因等が含まれてもよい。
【0122】
対応情報記憶部723には、少なくとも、異常が生じた条件と、当該異常が発生した場合の対処法と、が対応付けて記憶されている。異常が生じた条件には、例えば、スクリュの使用回数、スクリュの使用年月日、スクリュタイプ、スクリュ材質などのスクリュ330に関する情報が含まれてよいし、成形材料、成形品に生じた不具合、V/P切替位置などの設定情報又は射出成形機10の各種センサによる検出情報等が含まれてよい。対処法としては、例えば、スクリュの交換、サポートグループ等への連絡が含まれてよい。
【0123】
制御装置700のCPU701は、保存部711と、表示制御部712と、操作受付部713と、取得部714と、検索部715と、を備える。
【0124】
保存部711は、射出成形機10で射出成形が行われる毎に、当該射出成形に関するログ情報を、ロギング情報記憶部722に追加する。保存部711は、ロギング情報記憶部722にログ情報を追加する際に、射出成形を識別するショット番号、各種センサによる検出情報、及び射出成形機10に対する設定情報と共に、射出成形を行った時刻、読取装置501がタグ500から読み取ったスクリュ識別情報を対応付けて登録する。これにより、スクリュ識別情報で識別されるスクリュの使用された履歴を格納できる。
【0125】
表示制御部712は、表示装置760に情報を表示するための制御を行う。例えば、表示制御部712は、射出成形機10で生じた異常の対処法を検索するための検索画面を表示するための制御を行う。
【0126】
操作受付部713は、操作装置750に対する入力操作を受け付ける。
【0127】
図7は、本実施形態に係る表示制御部712により表示される検索画面の一例を示した図である。
図7に示される検索画面では、スクリュ識別情報の表示欄1701と、成形材料の入力欄1702と、発生不具合の入力欄1703と、検索ボタン1704と、が示されている。つまり、
図7に示される検索画面は、射出成形機10で生じた異常についての対処法を検索するための画面とする。
【0128】
図7に示されるスクリュ識別情報の表示欄1701は、例えば、読取装置501によってタグ500から読み取られたスクリュ識別情報が表される。なお、スクリュ識別情報の表示欄1701は、読取装置501によってタグ500から読み取られたスクリュ識別情報が自動的に登録される手法に制限するものではない。例えば、現在取り付けられているスクリュ330と異なるスクリュ330について検索を行いたい場合には、操作受付部713が操作装置750から、表示欄(第3入力欄の一例)1701に対するスクリュ識別情報を示す文字列の入力を受け付け、表示欄1701に入力された文字列で示されたスクリュ識別情報を表示してもよい。なお、本実施形態は、検索画面に、スクリュ識別情報を表示する例について説明するが、検索画面にスクリュ識別情報を表示する態様に制限するものではなく、検索画面内部にメタ情報としてスクリュ識別情報を保持してもよい。つまり、本実施形態では、検索する際にスクリュ識別情報を利用可能に保持されていればよい。
【0129】
成形材料の入力欄(第2入力欄の一例)1702は、表示欄1701に表されるスクリュ識別情報で識別されるスクリュ330を用いて不具合(異常の一例)が発生した時に用いられていた成形材料の選択(入力)を受け付け可能な欄とする。入力欄1702は、例えばプルダウンメニューである。例えば、入力欄1702は、操作受付部713が受け付けた操作に従って、プルダウンメニューで選択された成形材料を示した情報が表示される。本実施形態では、成形材料の入力にプルダウンメニューを用いる例について説明するが、プルダウンメニューに制限するものではなく、例えばテキストボックス等でもよい。
【0130】
発生不具合の入力欄(第1入力欄の一例)1703は、表示欄1701に表されるスクリュ識別情報で識別されるスクリュ330を用いている時に発生した不具合(異常の一例)を示す情報(異常情報の一例)の選択(入力)を受け付け可能な欄とする。入力欄1702は、例えばプルダウンメニューである。例えば、入力欄1702は、操作受付部713が受け付けた操作に従って、プルダウンメニューで選択された不具合を示した情報が表示される。発生不具合は、成形品で生じた不具合である"焼け"、"バリ"等が含まれる。さらに、発生不具合は、射出成形時に発生した異音等の異常も含めてよい。さらに、射出成形における設定情報と実測値とのずれ等の異常も含まれてもよい。本実施形態では、不具合の入力にプルダウンメニューを用いる例について説明するが、プルダウンメニューに制限するものではなく、例えばテキストボックス等でもよい。
【0131】
検索ボタン1704は、検索開始のトリガーとなるボタンとする。例えば、操作受付部713が、検索ボタン1704の押下を受け付けた場合に、表示欄1701に表示されているスクリュ識別情報、入力欄1702で選択されている成形材料、及び、入力欄1703で選択されている成形品の発生不具合に基づいて検索を行うための処理が開始される。
【0132】
取得部714は、検索ボタン1704の押下を受け付けた場合に、表示欄1701に表示されているスクリュ識別情報で識別されるスクリュに関する情報を、スクリュ情報記憶部721及びロギング情報記憶部722から取得する。
【0133】
検索部715は、取得部714により取得されたスクリュに関する情報、選択された成形材料(成形材料情報の一例)、及び、選択された発生不具合(異常情報の一例)を検索キーとして、対応情報記憶部723に対して検索を行う。
【0134】
その際、検索部715は、スクリュ情報記憶部721又はロギング情報記憶部722から取得した情報に基づいて、検索キーに用いるスクリュに関する情報を生成してもよい。例えば、検索部715は、ロギング情報記憶部722から取得した情報から、スクリュ識別情報で示されるスクリュが取り付けられた日付に基づいて、使用期間及び使用回数等を算出し、使用期間及び使用回数を検索キーとして用いてよい。また、検索部715は、スクリュ情報記憶部721に格納されている製造年月日から、スクリュの使用年数等を算出し、当該使用年数を検索キーとして利用してもよい。
【0135】
そして、検索部715は、上述した手法で特定された検索キーで、対応情報記憶部723に対して検索を行うことで、検索キーとの一致度合いが所定の基準を満たした(対処法を含む)情報を対応情報記憶部723から抽出する。そして、表示制御部712は、抽出した情報を検索結果として表示する。
【0136】
図8は、本実施形態に係る表示制御部712により表示される検索結果の画面の第1例を示した図である。
図8に示される例では、確認項目として、検索キーとの一致度合いが所定の基準を満たした情報が表されている。
図8には、スクリュ識別情報で識別されるスクリュに関する情報1802が表示される。
【0137】
図8に示される例では、「1:確認項目」1801には、「スクリュの使用回数が高いです。部品交換を行ってください」と表されている。つまり、
図8で示される画面には、検索キーとして用いた使用回数"A1"等との一致度合いで所定の基準を満たした対処法が表示されている。
【0138】
これにより、オペレータは、使用回数が多いためにスクリュに劣化が生じたことを認識できる。対処法としても、スクリュを交換すればよいことを認識できる。
【0139】
図9は、本実施形態に係る表示制御部712により表示される検索結果の画面の第2例を示した図である。
図9に示される例では、確認項目として、検索キーとの一致度合いが所定の基準を満たした情報が表されている。
図9には、スクリュ識別情報で識別されるスクリュに関する情報1802が表示される。
【0140】
図9に示される例では、「1:確認項目」1901には、「スクリュ以外に原因がある可能性があります。弊社サービスGに連絡して点検を要請してください」と表されている。つまり、
図9で示される画面には、検索キーとして用いた使用回数"A2"等との一致度合いが所定の基準を満たした情報が表示されている。
【0141】
例えば、
図9のスクリュの使用回数"A2"は、
図8の使用回数"A1"と比べて使用回数が低いものとする。このため、使用回数が多くないにもかかわらず、スクリュが劣化した状況になった場合の対処法が、対応情報記憶部723から読み出されている。スクリュはあまり使用されていないにも関わらず、スクリュ交換が必要な劣化が生じているので、射出成形機10の他の構成で異常が生じているものと判断された結果、「1:確認項目」1901に示される情報が表示される。
【0142】
これにより、オペレータは、射出成形機10でスクリュ330以外に異常が生じている可能性があることを認識できる。対処法としても、射出成形機10の提供している会社のサービスグループ(G)に連絡すればよいことを認識できる。
【0143】
図10は、本実施形態に係る表示制御部712により表示される検索結果の画面の第3例を示した図である。
図10に示される例では、対応情報記憶部723には、検索キーとの一致度合いが所定の基準を満たした情報が含まれていなかった場合を示している。
【0144】
このような場合は、オペレータは、射出成形機10を提供している会社のサービスグループ(G)に連絡する必要がある。
【0145】
オペレータが、射出成形機10を提供している会社のサービスグループにメール等で連絡する際、どのような情報を記載すればよいのかわからない場合が多い。このような場合に、オペレータとサービスグループの担当者との間で行われるやり取りが多くなる傾向にある。
【0146】
そこで、本実施形態に係る制御装置700では、サービスグループに連絡する際に、伝えるべき情報が何であるのかを表示することとした。
【0147】
図10に示される例では、オペレータは、スクリュ識別情報と成形材料と発生不具合とを記載したメール等を、問合先2004に送信すればよいことを認識できる。
【0148】
本実施形態においては射出成形機10が、サービスグループのサーバ等に接続されていないクローズドな環境に配置された例とする。この場合、オペレータが、他の情報処理端末(例えばPC又はスマートフォン等)を用いて、スクリュ識別情報と成形材料と発生不具合とを記載したメールを、問い合わせ先に対して送信する。また、スクリュ識別情報と成形材料と発生不具合とは、オペレータが文字列として記載する例に制限するものではない。例えば、オペレータは、
図10に示される画面を、他の情報処理端末に設けられている撮像装置で撮像し、撮像した画像情報をメールに添付してもよい。
【0149】
(変形例1)
上述した実施形態では、スクリュ識別情報で識別されるスクリュに関する情報、発生不具合、及び成形材料に基づいて特定された検索キーで、対応情報記憶部723に対して検索を行うことで、オペレータが異常の対処法等を認識する例について説明した。しかしながら、上述した実施形態のように対応情報記憶部723に対して検索を行う例に制限するものではなく、対応情報記憶部723に対して今回の異常に関する状況を登録するための処理を行ってもよい。つまり、異常に関する状況を蓄積していくことで、今後、異常が生じた場合の対処手法の把握が容易になる。
【0150】
そこで、変形例1では、対応情報記憶部723に検索対象となる情報を登録する場合について説明する。本変形例に係る表示制御部712は、検索対象となる情報の登録画面を表示する。
【0151】
当該登録画面には、スクリュ識別情報の表示欄と、成形材料の入力欄と、発生不具合の入力欄と、共に、当該発生不具合が生じた場合の対処法の入力欄と、発生不具合の原因の入力欄と、を表示する。登録画面に表示される入力欄は、これらに制限するものではなく、対応情報記憶部723に登録可能な情報であればよい。例えば、異常が生じた時の状況(異常が発生した条件)に関する入力欄、及び当該異常が発生した場合の対処法に関する入力欄でよい。
【0152】
そして、登録画面で登録ボタンが押下された場合に、保存部711は、スクリュ識別情報から識別されるスクリュに関する情報(スクリュのスクリュタイプ、スクリュ径、スクリュ材質)を取得する。そして、保存部711は、スクリュに関する情報、入力欄に入力された、異常が生じた状況に関する情報(例えば、成形材料、発生不具合、発生不具合の原因)、及び異常が発生した場合の対処法等を、対応情報記憶部(検索用記憶部の一例)723に登録する。なお、本変形例は、スクリュに関する情報の一例を示したもので、対応情報記憶部723に登録されるスクリュに関する情報を、スクリュのスクリュタイプ、スクリュ径、スクリュ材質に制限するものではなく、例えば、使用年数等が含まれてもよい。
【0153】
なお、本変形例は、オペレータが、登録画面に表示される入力欄について全て入力する手法に制限するものではない。例えば、射出成形機10で不具合が発生した際に、オペレータが、異常が生じた状況に関する情報(例えば発生不具合、成形材料)及びスクリュに関する情報を登録し、後に、射出成形機10の発生不具合に対処した保守員が、対処法、及び発生不具合の原因等に関する情報を登録してもよい。
【0154】
本変形例では、保存部711が、対応情報記憶部(検索用記憶部の一例)723に発生した不具合に関する情報を登録していくことで、後に同様に不具合が発生した場合に対処法を見つけるのが容易になる。したがって、射出成形機10で不具合が発生した場合に、オペレータの作業負担を軽減できる。
【0155】
(変形例2)
上述した実施形態では、射出成形機10内で処理を行う場合について説明した。しかしながら、上述した実施形態で示したような射出成形機10で全ての処理を行う場合に制限するものではない。そこで、本変形例では、工場内に複数の射出成形機10を管理装置が管理している場合について説明する。
【0156】
図11は、変形例1に係る射出成形機の利用環境を示した概念図である。
図11に示される例では、工場2100内に4台の射出成形機10が設置されている例とする。
【0157】
そして、工場2100内では、管理装置2111と、4台の射出成形機10と、を通信回線を介して接続されている。管理装置2111は、通信ネットワークNWを介して外部の機器に接続できる。一方、4台の射出成形機10は、管理装置2111と通信可能であるが、通信ネットワークNWを介した外部の機器には接続できないように設けられている。これにより、4台の射出成形機10の安全性を保持している。
【0158】
4台の射出成形機10の各々は、オペレータの操作によって成形品の製造が行われる。また、オペレータは、携帯通信端末2160を有している。
【0159】
本変形例1は、射出成形機10が、スクリュ情報記憶部721と、ロギング情報記憶部722と、対応情報記憶部723と、を記憶せず、管理装置2111の記憶装置2112に、スクリュ情報記憶部721と、ロギング情報記憶部722と、対応情報記憶部723と、を記憶している例とする。
【0160】
管理装置2111は、4個の射出成形機10の各々で行われた射出成形に関するログ情報を、射出成形機10から受信し、記憶装置2112内のロギング情報記憶部722に登録する。これにより、管理装置2111は、4個の射出成形機10の各々で行われた射出成形に関するログ情報を記憶できる。
【0161】
射出成形機10の表示制御部712は、
図7に示される検索画面を表示装置760に表示する。そして、操作受付部713が、検索ボタン1704の押下を受け付けた場合、取得部714が、通信インターフェース705を介して、スクリュ識別情報に対応するスクリュに関する情報を、管理装置2111の記憶装置2112内のスクリュ情報記憶部721及びロギング情報記憶部722から取得する。
【0162】
そして、検索部715が、取得部714が取得したスクリュに関する情報、選択された成形材料、及び、選択された発生不具合を検索キーとした検索要求を、通信インターフェース705を介して、管理装置2111に送信する。これにより、管理装置2111では、受信した検索要求で示された検索キーに基づいた検索を、記憶装置2112内の対応情報記憶部723に対して行う。そして、管理装置2111は、検索結果を、射出成形機10に対して送信する。
【0163】
これにより、表示制御部712は、受信した検索結果を、射出成形機10の表示装置760に表示する。表示される画面例は、
図8~
図10と同様として説明を省略する。
【0164】
このように、本変形例に係る制御装置700は、検索が可能な管理装置2111に対して、取得したスクリュに関する情報等と共に検索要求を送信する。これにより、検索を行うことができる。
【0165】
そして、本変形例において、対応情報記憶部723には、検索キーとの一致度合いが所定の基準を満たした情報が含まれていなかった場合、オペレータは、射出成形機10を提供している会社のサービスグループ(G)に連絡する。
【0166】
例えば、オペレータは、携帯通信端末2160から、サポートグループのサーバ2150にメールを送信する。送信されるメールは、上述した実施形態と同様に、スクリュ識別情報と成形材料と発生不具合とが記載されている。
【0167】
サポートグループのサーバ2150は、当該メールを受信した場合に、記憶装置2151内に格納されているスクリュ情報記憶部721に基づいて、スクリュ識別情報で識別されるスクリュに関する情報を取得する。
【0168】
そして、サーバ2150は、スクリュに関する情報と成形材料と発生不具合とを検索キーとして、記憶装置2151に格納されているデータベースに対して検索を行う。記憶装置2151に格納されているデータベースには、射出成形機10を提供している会社が、今までに収集した履歴が格納されている。これにより、対応情報記憶部723で検索する場合と比べて、様々な情報を認識できる。
【0169】
その後、サポートグループの担当者は、検索結果に基づいて、工場2100のオペレータに対して連絡する。本変形例では、サポートグループに連絡する際に、スクリュ識別情報と成形材料と発生不具合とを記載するように促している。このため、担当者は、連絡を受け付けた際に、すぐに状況の把握に取り掛かることができるので、負担軽減を実現できる。
【0170】
また、本変形例では、管理装置2111に対する情報の送信は、検索を行うために制限するものではない。例えば、射出成形機10において異常が生じた場合に、制御装置700は、管理装置2111(検索が可能な装置)に対して、検索対象となる情報を登録するために、スクリュに関する情報、異常が生じた条件に関する情報(例えば、成形材料、発生不具合、発生不具合の原因)、及び異常が発生した場合の対処法等を、登録要求と共に送信してもよい。なお、射出成形機10が登録要求と共に送信する情報は、例えば、上述した変形例の登録画面等で入力された情報等と同様として説明を省略する。
【0171】
そして、管理装置2111は、登録要求と共に受信した情報を、対応情報記憶部723に登録する。これにより、今後、管理装置2111が管理する射出成形機10で同様の異常が生じた場合に、当該射出成形機10のオペレータは、管理装置2111に対して検索要求を送信することで、対処法等を認識できる。これにより、オペレータの負担を軽減できる。
【0172】
本変形例では、管理装置2111の記憶装置2112に、スクリュ情報記憶部721と、ロギング情報記憶部722と、対応情報記憶部723と、を記憶する例について説明した。しかしながら、管理装置2111の記憶装置2112には、スクリュ情報記憶部721と、ロギング情報記憶部722と、対応情報記憶部723と、を記憶する例に制限するものではない。
【0173】
例えば、管理装置2111の記憶装置2112には、対応情報記憶部723を記憶し、射出成形機10の記憶媒体702に、スクリュ情報記憶部721と、ロギング情報記憶部722と、を記憶してもよい。
【0174】
他の例としては、管理装置2111の記憶装置2112には、対応情報記憶部723と、ロギング情報記憶部722と、を記憶し、射出成形機10の記憶媒体702に、スクリュ情報記憶部721を記憶してもよい。さらには、管理装置2111の記憶装置2112には、対応情報記憶部723と、スクリュ情報記憶部721と、を記憶し、射出成形機10の記憶媒体702に、ロギング情報記憶部722を記憶してもよい。
【0175】
このように、管理装置2111の記憶装置211と、射出成形機10の記憶媒体702と、の組み合わせに、スクリュ情報記憶部721と、ロギング情報記憶部722と、対応情報記憶部723と、が記憶できればよい。
【0176】
本変形例で示したように、管理装置2111が、対応情報記憶部723を記憶した場合、制御装置700の検索部715は、スクリュに関する情報等を含んだ検索キーを含む検索要求を、管理装置2111に送信する。これにより、制御装置700は、検索結果を、管理装置2111から受信できる。このように、射出成形機10の制御装置700による検索を行うための処理は、検索の実行のみに制限するものではなく、検索要求の送信等も含まれる。
【0177】
また、本変形例及び上述した実施形態では、オペレータは、射出成形機10の操作装置750から操作を行うことで、表示装置760に対処法を表示する例について説明した。しかしながら、本変形例は、当該手法に制限するものではない。例えば、オペレータは、管理装置(射出成形機の制御装置の一例)2111に、上述した実施形態で示したような対処法を検索するための操作を行ってもよい。この場合、オペレータは、スクリュ識別情報を直接入力する点を除いて、上述した実施形態と同様の操作を行えばよい。これにより、管理装置2111に設けられた表示装置には、検索結果が表示される。管理装置2111に表示される画面は、上述した
図8~
図10と同様として説明を省略する。また、管理装置2111が行う処理は、上述した実施形態の射出成形機10の制御装置700と同様として説明を省略する。
【0178】
(変形例3)
上述した変形例は、工場2100内の射出成形機10が通信ネットワークNWを介して外部の機器に接続されていない場合について説明した。しかしながら、上述した変形例は、射出成形機10が通信ネットワークNWを介して外部の機器に接続されていない場合に制限するものではない。そこで、射出成形機10がネットワーク(例えば、通信ネットワークNW)を介して外部の機器と通信可能な場合について説明する。
【0179】
本変形例は、変形例1と同様に
図11に示される構成を備えている。そして、射出成形機10は、サポートグループのサーバ2150にアクセス可能とする。この場合、管理装置2111の記憶装置211に、対応情報記憶部723を記憶するのではなく、サポートグループの記憶装置2151に、対応情報記憶部723を記憶してもよい。
【0180】
そして、検索部715は、取得部714が取得したスクリュに関する情報、選択された成形材料、及び、選択された発生不具合を検索キーとした検索要求を、通信インターフェース705を介して、サポートグループのサーバ2150に送信する。これにより、サーバ2150では、受信した検索キーに基づいた検索を、記憶装置2151内の対応情報記憶部723に対して行う。そして、サーバ2150は、検索結果を、射出成形機10に対して送信する。
【0181】
これにより、表示制御部712は、受信した検索結果を、射出成形機10の表示装置760に表示する。表示される画面例は、
図8~
図10と同様として説明を省略する。
【0182】
オペレータは表示された対処法で満足できなかった場合に、射出成形機10の制御装置700から、サポートグループのサーバ2150に、問い合わせメールを送信する操作を行ってもよい。その際、制御装置700は、メール本文に、スクリュ識別情報、成形材料、及び、発生不具合を自動的に記載してもよい。さらに、制御装置700は、不具合が発生した時に取り付けられていたスクリュを識別するスクリュ識別情報に基づいて、スクリュ情報記憶部721及びロギング情報記憶部722から、スクリュに関する情報を取得し、当該情報をメールに添付してもよい。このように制御装置700が送信する情報は、スクリュ識別情報又はスクリュ識別情報に基づいて取得できる情報を含んでいればよい。本変形例は、制御装置700が、ネットワーク(例えば、通信ネットワークNW)を介して接続される外部の機器に対して、取得したスクリュに関する情報等を送信する手法を、メールに制限するものではなく、他の手法を用いてもよい。例えば、本変形例に係る制御装置700は、SNS等を介して、スクリュに関する情報等を外部の機器に送信してもよい。また、制御装置700が、外部の機器に、スクリュに関する情報等を送信するのは、上述したようなサポートグループへの連絡(例えば問い合わせ)に制限するものではなく、他の例としては上述した検索又は登録のための送信でもよいし、それ以外の理由であってもよい。
【0183】
<作用>
上述した実施形態及び変形例においては、スクリュ識別情報に基づいてスクリュに関する情報を取得し、取得した情報を検索キーとして対応情報記憶部723で検索を行う。これにより、オペレータは、スクリュに関する情報を具体的に入力せずとも適切な検索キーで検索を行えるので、検索結果の満足度を向上させることができる。
【0184】
上述した実施形態及び変形例では、スクリュ識別情報を用いることで、スクリュ一本毎の違いを考慮した検索、情報管理、及び分析を行うことができるので、不具合の解決等に導くことが容易になる。
【0185】
上述した実施形態及び変形例では、射出成形機10における射出成形に関する情報(例えば、ログ情報)は、スクリュ識別情報と対応付けて管理されている。このため、射出成形機10の保守又は不具合対応時に、スクリュ一本毎の利用状況を認識できるので、不具合等が生じた原因を特定するのが容易になる。
【0186】
上述した実施形態及び変形例では、オペレータがサポートグループに連絡を行う際に、少なくともスクリュ識別情報と、成形材料と、発生不具合とを対応付けてメール等で送信している。これにより、サポートグループは、射出成形機10で異常が生じた場合に、必要な情報を受け取ることができるので、異常対応を迅速に進めることが可能となる。
【0187】
上述した実施形態及び変形例では、スクリュ識別情報(に基づいて取得されたスクリュに関する情報)と、発生不具合と、成形材料と、に基づいて検索及び問い合わせを行う。つまり、共有する情報を統一することで、不具合が生じた場合の対応の手順を共有できるので、不具合発生時の対応負担を軽減できる。さらには、送信されるメール(レポート)を受け取ったサポートグループの担当者から提供される情報の質の向上を実現できる。
【0188】
以上、本発明に係る射出成形機の制御装置及び表示装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0189】
10 射出成形機
300 射出装置
500 タグ
501 読取装置
700 制御装置
701 CPU
711 保存部
712 表示制御部
713 操作受付部
714 取得部
715 検索部
702 記憶媒体
721 スクリュ情報記憶部
722 ロギング情報記憶部
723 対応情報記憶部
705 通信インターフェース
750 操作装置
760 表示装置
2111 管理装置
2112 記憶装置