(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163703
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】発光装置、光源及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20241115BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20241115BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079544
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 凌太
(72)【発明者】
【氏名】村田 悦章
(72)【発明者】
【氏名】大村 智貴
(72)【発明者】
【氏名】坂本 隆輔
(72)【発明者】
【氏名】西尾 聡馬
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA14
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB23
5F142CD02
5F142CE16
5F142CE32
5F142CG05
5F142CG24
5F142CG32
5F142CG43
5F142DA14
5F142DB16
5F142FA18
5F142FA21
5F142FA30
5F142FA31
5F142GA21
(57)【要約】
【課題】複数の発光素子を備える発光装置において、発光面における光の均一性を図り、照度を向上させることができる発光装置、光源及び発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】一対の端子有する基板と、第1面、第2面とを備える複数の発光素子と、端子と、発光素子の電極とを接続する複数の金属部材と、光反射部材とを備え、前記複数の発光素子は、第1面が前記基板の上面に対して平行であり、かつ前記一対の電極が前記基板の上面に対向するように配置される1以上の第1発光素子と、第1面が前記基板の上面に対して傾斜しており、かつ前記一対の電極が前記基板の上面に対向するように配置される2以上の第2発光素子とを有し、前記2以上の第2発光素子は、前記1以上の第1発光素子に隣接しており、前記2以上の第2発光素子の第1面と前記1以上の第1発光素子の第1面と前記光反射部材とにより開口方向に拡がる凹部を成す発光装置。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に一対の端子を複数有する基板と、
光取り出し面となる第1面と、前記第1面と反対側に一対の電極を有する第2面とを備える複数の発光素子と、
前記基板の前記一対の端子と、前記複数の発光素子の前記一対の電極とをそれぞれ接続する複数の金属部材と、
前記複数の発光素子及び前記複数の金属部材を連続して固定し、かつ前記複数の発光素子の第1面を露出して前記基板上に配置される光反射部材とを備え、
前記複数の発光素子は、
第1面が前記基板の上面に対して平行であり、かつ前記一対の電極が前記基板の上面に対向するように配置される1以上の第1発光素子と、
第1面が前記基板の上面に対して傾斜しており、かつ前記一対の電極が前記基板の上面に対向するように配置される2以上の第2発光素子とを有し、
前記2以上の第2発光素子は、前記1以上の第1発光素子に隣接しており、
前記2以上の第2発光素子の第1面と前記1以上の第1発光素子の第1面と前記光反射部材とにより開口方向に拡がる凹部を成す発光装置。
【請求項2】
前記基板の前記一対の端子と、前記第1発光素子の前記一対の電極と、をそれぞれ接続した前記複数の金属部材は、それぞれ、前記一対の端子から前記一対の電極までの高さが同じである請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記2以上の第2発光素子の第1面は、前記第1発光素子の第1面に対して、135度以上170度以下の傾斜角を有する請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記2以上の第2発光素子の前記一対の電極に接続した前記複数の金属部材のうち、前記第1発光素子側の前記金属部材は、前記第1発光素子の前記一対の電極に接続した前記金属部材よりも、前記端子から前記電極までの高さが高い請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
上面視において、前記2以上の第2発光素子は、前記1以上の第1発光素子に対して、行状、列状又は行列状に配置されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
上面視において、前記2以上の第2発光素子は、前記第1発光素子を挟んで両側に配置されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
上面視において、前記2以上の第2発光素子は、1つの前記第1発光素子の中心又は重心を通る仮想直線に対して、対称に配置されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
上面視において、前記2以上の第2発光素子の前記第1面は、1つの前記第1発光素子の中心又は重心を通る仮想直線に対して、対称に配置されている請求項5に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1発光素子及び前記第2発光素子は、それぞれ、前記第1面に透光層を配置して、前記第1面が構成されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の発光装置と、
前記発光装置の前記基板の最外周部に配置された壁部と、
前記発光装置の上方を被覆するレンズと、
前記壁部と前記レンズとを接着する接着層とを備えた光源。
【請求項11】
表面に一対の端子を複数有する基板と、光取り出し面となる第1面と、前記第1面と反対側に一対の電極を有する第2面とを備える複数の発光素子と、前記一対の端子と電気的に接続される線状の導電層とを準備し、
前記端子を露出し、前記導電層上に、2つの前記導電層間に又は2つの前記導電層を跨ぐように、前記基板からの高さが同じ又は高さが異なる複数のレジスト部材を形成し、
前記端子のうちの2つの前記端子を跨ぐように、前記複数のレジスト部材のうちの1つの前記レジスト部材又は2つの前記レジスト部材の上に、前記第1面が前記基板の上面に平行な1以上の第1発光素子と、前記第1面が前記第1発光素子の方向に傾斜する2以上の第2発光素子とを配置し、
露出した前記端子上に金属部材を形成して、前記一対の端子と前記第1発光素子の一対の電極、及び、前記一対の端子と前記第2発光素子の一対の電極をそれぞれ電気的に接続し、
前記第1面が前記基板の上面に平行な1以上の前記第1発光素子及び前記第1面が前記第1発光素子の方向に傾斜する2以上の前記第2発光素子を備える発光装置を製造する発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記複数のレジスト部材の形成において、前記基板からの高さが異なる前記複数のレジスト部材を、レジスト層の形成と該レジスト層のパターニングとを複数回行うことによって形成する請求項11に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記複数のレジスト部材の形成において、少なくとも1つの前記一対の端子の間に配置された第1高さの第1Aレジスト部材と、該第1Aレジスト部材を挟んで、かつ2つの前記導電層を跨ぐように配置された前記第1高さの第1Bレジスト部材と、前記第1Aレジスト部材及び前記第1Bレジスト部材に隣接する導電層上であって、前記端子上以外の領域に配置された前記第1高さの第1Cレジスト部材とを形成し、1以上の前記一対の端子の間に配置された前記第1高さよりも高さが高い第2高さの第2レジスト部材を形成し、前記第2レジスト部材に隣接して、前記第2高さよりも高さの高い第3高さの第3レジスト部材を形成し、かつ
前記第1発光素子及び前記第2発光素子の配置において、前記第1Aレジスト部材と前記第1Bレジスト部材との上に前記第1発光素子を配置し、少なくとも前記第2レジスト部材と前記第3レジスト部材との上に前記第2発光素子を配置する請求項11に記載の発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記一対の端子と前記第1発光素子の一対の電極、及び、前記一対の端子と前記第2発光素子の一対の電極のそれぞれの電気的接続において、前記第1発光素子及び前記第2発光素子の前記第1面側に金型を押し付けて、前記第1発光素子及び前記第2発光素子の前記第1面の位置又は傾きを調整することをさらに含む請求項11に記載の発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記準備において、前記導電層は前記端子上から前記基板の外縁に連なるように前記線状の導電層を形成し、
前記一対の端子と前記第1発光素子の一対の電極、及び、前記一対の端子と前記第2発光素子の一対の電極のそれぞれの電気的接続をした後において、
前記レジスト部材を除去し、
前記導電層のうち、前記複数の一対の端子間に配置する前記導電層及び前記一対の端子から前記基板の外縁に連なる前記導電層を除去することをさらに含む請求項11に記載の発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記複数の一対の端子間に配置する前記導電層及び前記一対の端子から前記基板の外縁に連なる前記導電層を除去した後、
前記第1発光素子、前記第2発光素子及び前記複数の金属部材を囲み、かつ前記第1発光素子及び前記第2発光素子の第1面を露出する光反射部材を前記基板上に形成することをさらに含む請求項15に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置、光源及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回路基板上に、複数の半導体発光素子と、発光素子上に配置された波長変換層とを有する発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発光装置では、波長変換層の上面が基板方向に凹む凹部が形成されており、放熱性等の点での発光装置の信頼性の向上が図られている。
一方、複数の半導体発光素子を有する発光装置においては、放熱性のみならず、発光面における光の均一性、照度の向上、迷光低減等の種々の特性における改善及び向上が求められている。
本開示は、複数の発光素子を備える発光装置において、発光面における光の均一性を図り、照度を向上させることができる発光装置、光源及び発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る発光装置は、表面に一対の端子を複数有する基板と、光取り出し面となる第1面と、前記第1面と反対側に一対の電極を有する第2面とを備える複数の発光素子と、前記基板の前記一対の端子と、前記複数の発光素子の前記一対の電極とをそれぞれ接続する複数の金属部材と、前記複数の発光素子及び前記複数の金属部材を連続して固定し、かつ前記複数の発光素子の第1面を露出して前記基板上に配置される光反射部材とを備え、前記複数の発光素子は、第1面が前記基板の上面に対して平行であり、かつ前記一対の電極が前記基板の上面に対向するように配置される1以上の第1発光素子と、第1面が前記基板の上面に対して傾斜しており、かつ前記一対の電極が前記基板の上面に対向するように配置される2以上の第2発光素子とを有し、前記2以上の第2発光素子は、前記1以上の第1発光素子に隣接しており、前記2以上の第2発光素子の第1面と前記1以上の第1発光素子の第1面と前記光反射部材とにより開口方向に拡がる凹部を成す。
本開示の一実施形態に係る光源は、上述した発光装置と、前記発光装置の前記基板の最外周部に配置された壁部と、前記発光装置の上方を被覆するレンズと、前記壁部と前記レンズとを接着する接着層とを備える。
本開示の一実施形態に係る発光装置の製造方法は、表面に一対の端子を複数有する基板と、光取り出し面となる第1面と、前記第1面と反対側に一対の電極を有する第2面とを備える複数の発光素子と、前記一対の端子と電気的に接続される線状の導電層とを準備し、前記端子を露出し、前記導電層上に、2つの前記導電層間に又は2つの前記導電層を跨ぐように、前記基板からの高さが同じ又は高さが異なる複数のレジスト部材を形成し、前記端子のうちの2つの前記端子を跨ぐように、前記複数のレジスト部材のうちの1つの前記レジスト部材又は2つの前記レジスト部材の上に、前記第1面が前記基板の上面に平行な1以上の第1発光素子と、前記第1面が前記第1発光素子の方向に傾斜する2以上の第2発光素子とを配置し、露出した前記端子上に金属部材を形成して、前記一対の端子と前記第1発光素子の一対の電極、及び、前記一対の端子と前記第2発光素子の一対の電極をそれぞれ電気的に接続し、前記第1面が前記基板の上面に平行な1以上の前記第1発光素子及び前記第1面が前記第1発光素子の方向に傾斜する2以上の前記第2発光素子を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態によれば、複数の発光素子を備える発光装置において、発光面における光の均一性を図り、照度を向上させることができる発光装置、光源及び発光装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】実施形態1の発光装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2A】実施形態1の発光装置の発光素子の配置を模式的に示す平面図である。
【
図3】実施形態1の発光装置の変形例の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図4】実施形態2の光源の構成を模式的に示す端面図である。
【
図5】本発明の発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図6A】実施形態3の発光装置の製造方法における基板等の準備工程1を模式的に示す平面図である。
【
図6C】基板等の準備工程2を模式的に示す平面図である。
【
図6E】基板等の準備工程3を模式的に示す平面図である。
【
図6G】基板等の準備工程4を模式的に示す平面図である。
【
図7A】レジスト部材の形成工程を模式的に示す平面図である。
【
図8A】発光素子の配置工程1を模式的に示す平面図である。
【
図8D】発光素子の配置工程2を模式的に示す
図8Aの8B-8B線における端面図である。
【
図8E】発光素子の配置工程2模式的に示す
図8Aの8C-8C線における端面図である。
【
図9A】金属部材の形成工程を模式的に示すY方向の端面図である。
【
図9C】金属部材の形成工程を模式的に示すY方向の端面図である。
【
図10A】導電層の除去工程を模式的に示す平面図である。
【
図11A】光反射部材の形成工程1を模式的に示す平面図である。
【
図12A】光反射部材の形成工程2を模式的に示す平面図である。
【
図12D】光反射部材の形成工程3を模式的に示す平面図である。
【
図13A】実施形態4の発光装置の製造方法における基板等の準備工程を模式的に示す平面図である。
【
図13B】基板等の準備工程2を模式的に示す平面図である。
【
図13C】レジスト部材の形成工程を模式的に示す平面図である。
【
図13D】発光素子の配置工程を模式的に示す端面図である。
【
図13E】導電層の除去工程を模式的に示す平面図である。
【
図13F】光反射部材の形成工程を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明は以下で説明するものに限定されない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態に分けて示す場合があるが、異なる実施形態で示す構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。また、後述の実施形態では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさ及び位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略したり、断面図として切断面のみを示す端面図を用いたりすることがある。
本明細書において、発光装置の光取り出し面側を上面と称することがあり、各部材において、光取り出し面側に近い側を第1面又は上面、光取り出し面側と反対側を第2面又は下面と称することがある。また、各図面において、特定の方向又は位置を示すために、XYZによる3次元直交座標系を用いることがある。この場合、X方向、Y方向、Z方向は、特定の一方向のみならず、それと反対の方向も含む双方向を意味する。上面視とは、発光装置の光取り出し側から見ることを意味し、X-Y平面を表す。
【0009】
<実施形態1:発光装置10>
一実施形態の発光装置10は、
図1A、1Bに示すように、基板13と、複数の発光素子1と、複数の金属部材15と、光反射部材16とを備える。基板13は、表面に一対の端子14を複数有する。発光素子1は、光取り出し面となる第1面と、第1面と反対側に一対の電極1Eを有する第2面とを備える。金属部材15は、基板13の一対の端子14と、複数の発光素子1の一対の電極1Eとをそれぞれ接続する。つまり、発光素子1の一対の電極1Eは、基板13の上面に対向するように配置され、金属部材15によって、発光素子1の一対の電極1Eが基板13の一対の端子14に接続されている。光反射部材16は、複数の発光素子1及び複数の金属部材15を連続して固定する。光反射部材16は、複数の発光素子1の第1面を露出して基板13上に配置されている。複数の発光素子1は、1以上の第1発光素子11と、2以上の第2発光素子12とを有する。第1発光素子11は、第1面11aが基板13の上面に対して平行に配置されている。第2発光素子12は、第1面12aが基板13の上面に対して傾斜するように配置されている。つまり、金属部材15によって、第1発光素子11の第1面11aが基板13の上面に対して平行になるように配置されている。また、金属部材15によって、第2発光素子12の第1面12aが基板13の上面に対して傾斜するように配置されている。2以上の第2発光素子12は、1以上の第1発光素子11に隣接している。2以上の第2発光素子12の第1面12aと1以上の第1発光素子11の第1面11aとは、光反射部材16とともに、開口方向、つまり、光取り出し面側に向かって拡がる凹部16Aを形成している。
凹部16Aは、第1発光素子11の厚みと第2発光素子12の厚みがほぼ同じものを使用し、金属部材15の高さを変えることにより形成することができる。つまり、第1発光素子11に接続される金属部材15の高さを、第2発光素子12に接続される金属部材15の高さよりも低くする。また、第2発光素子12の一対の電極1Eに接続した複数の金属部材15のうち、第1発光素子11側の金属部材15bは、第1発光素子11の一対の電極1Eに接続した金属部材15よりも、端子14から電極1Eまでの高さが高い。
このような構成の発光装置では、光の拡散を抑え複数の発光素子が同一方向に光を出射させることができるために、光取り出し方向、つまり、発光装置の正面に対して均一性の高い光を取り出すことができる。その結果、同一方向への集光を高めることができるために、照度の向上を図ることが可能となる。また、発光素子の側方へ出射される迷光を低減することが可能となる。さらに、光反射部材16が第1発光素子11及び第2発光素子12と連続して固定しているため、第1発光素子11及び第2発光素子12から発生した熱を効率良く基板13及び外部に伝え、放熱効果を高めることができる。このような発光装置は、例えば、スマートフォン、フラッシュ用等の光源として好適に用いることができる。
【0010】
(基板13)
基板13は、表面に一対の端子14を複数有する。端子14は、基板13の表面に配置されていれば、上面又は下面のいずれに配置されていてもよい。端子14は、少なくとも基板13の上面に配置されていることが好ましい。また、端子14は、基板13の内部に形成されたビアを介して、上面と下面とに配置されていてもよい。
基板13は、発光素子の線膨張係数に近い物性を有する材料によって形成されることが好ましい。基板13は、例えば、樹脂又は繊維強化樹脂、セラミックス、ガラス等の絶縁性部材によって形成することができる。基板13は、耐熱性及び熱伝導率の高い窒化アルミニウム、窒化ケイ素を用いることが好ましい。基板13の厚みは一定でなくてもよいが、基板13の上下面が平行であることが好ましい。平行とは厳密な意味での平行を指すのではなく、10度以下は許容される。基板13の平均厚みに対して、最も薄い部分が80%以上、最も厚い部分は120%以下であることが好ましい。基板13の厚みは、例えば、0.2mm以上2mm以下が挙げられる。
端子14は、例えば、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン、パラジウム、ロジウム等の金属又は合金によって形成することができる。端子14は、これら金属又は合金の単層によって形成されていてもよいし、多層構造でもよい。端子14の厚みは一定でなくてもよく、部分的に厚い又は薄い部分があってもよいし、部分的に凹凸を形成していてもよい。端子14の厚みは、例えば、0.01mm以上0.3mm以下が挙げられる。
端子14は正負一対として、複数配置されている。端子14の基板13の表面における平面形状は、用いる発光素子の数、位置、大きさ等によって適宜設定することができる。端子14は、例えば、部分的に、幅広又は幅狭の部分があってもよい。また、部分的に、絶縁膜等によって、表面が被覆されていてもよい。
【0011】
(発光素子1)
発光素子1は、半導体積層体1Sと、一対の電極1Eとを有するものである。発光素子1は、さらに、波長変換部材及び透光部材等の透光層1T、透光性基板等を備えて構成されていてもよい。発光素子1は、光取り出し面を第1面、第1面と反対側を第2面と称する。第1面は、半導体積層体1Sの上面であってもよいし、半導体積層体1Sの上に配置された透光層1T及び/又は透光性基板の上面、例えば、波長変換部材及び/又は透光部材の上面であってもよい。第2面には、一対の電極1Eが配置されている。なかでも、発光素子1は、半導体積層体1Sの上に透光層1Tを配置して第1面が構成されているものが好ましい。
発光素子1は、平面形状が、四角形、六角形等の多角形、円形、楕円形又はこれらの組み合わせ等、種々の形状とすることができる。なかでも、四角形が好ましく、略正方形が好ましい。ここで、略は一辺の長さが全長の±10%の変動が許容されることを意味する。
複数の発光素子1は、1以上の第1発光素子11と2以上の第2発光素子12とを含む限り、それらの数は、発光装置の特性、大きさ等によって適宜設定することができる。つまり、発光素子1は、3以上であり、4、5、6、9、16等、種々の数に設定することができる。また、第1発光素子11及び第2発光素子12は、全てが同じ発光波長を有する発光素子であってもよいし、一部又は全部が異なる発光波長を有する発光素子であってもよい。なかでも、第1発光素子11及び第2発光素子12の全てが同じ発光波長を有する発光素子であることが好ましい。さらに、第1発光素子11及び第2発光素子12は、全てが同じ厚み及び平面形状を有する発光素子であってもよいし、一部又は全部が厚み及び/又は平面形状が異なる発光素子であってもよい。なかでも、第1発光素子11及び第2発光素子12の全てが同じ厚み及び平面形状を有する発光素子であることが好ましい。
【0012】
第1発光素子11は、第1面11aが基板13の上面13aに対して平行に配置されており、一対の電極1Eが基板13の上面13aに対向するように配置されている。第2発光素子12は、第1面12aが基板13の上面13aに対して傾斜して配置されており、一対の電極1Eが基板13の上面13aに対向するように配置されている。ここで、第2発光素子12の第1面12aは、言い換えると、第1発光素子11の第1面11aとは平行ではなく、第1発光素子11の第1面11aに対して傾斜していることを意味する。第2発光素子12の第1面12aにおける基板13の上面13a又は第1発光素子11の第1面11aに対する傾斜は、第2発光素子12の数によって、全てが同じでもよいし、部分的に異なっていてもよい。例えば、第2発光素子12の第1面12aは、基板13の上面13a又は第1発光素子11の第1面11aに対して、135度以上170度以下の傾斜角(
図1B中のα)、好ましくは140度以上160度以下の傾斜角を有することが挙げられる。
【0013】
2以上の第2発光素子12は、1以上の第1発光素子11に隣接して配置されている。言い換えると、第2発光素子12はいずれも、その数にかかわらず、第1発光素子11に隣接して配置されている。例えば、
図2Bに示すように、1つの第1発光素子11に隣接して、2つの第2発光素子12が配置されていてもよい。言い換えると、上面視において、2以上の第2発光素子12が、第1発光素子11を挟んで両側に配置されていてもよいし、
図2A、
図2Cにそれぞれ示すように、1つの第1発光素子11に隣接して、3以上の第2発光素子12が配置されていてもよい。
図2Dに示すように、1つの第1発光素子11Aに隣接して1つ又は1以上の第2発光素子12が配置され、別の1つの第1発光素子11Bに隣接して、1つ又は1以上の第2発光素子12が配置されていてもよい。ここでの隣接とは、行、列又は斜め方向に隣接するものを含み、上面視において、
図2A等に示すように、第2発光素子12の一辺が、第1発光素子11の一辺と平行又は略平行に、行又は列方向に、配置していてもよいし、
図2Cに示すように、第2発光素子12Aの一辺が、第1発光素子11の一辺に対して所定の角度、例えば45度回転して、斜め方向に、配置していてもよい。第1発光素子11が2以上配置している場合は、第1発光素子11同志が隣接しているか否かにかかわらず、第1発光素子11の一辺が、他の第1発光素子11の一辺に対して、平行に配置していてもよいし、回転して配置していてもよい。
【0014】
第1発光素子11及び第2発光素子12は、ランダムに配置されていてもよいが、行状(X方向)、列状(Y方向)又は行列状(XY方向)に配置されていることが好ましい。言い換えると、上面視において、2以上の第2発光素子12は、1以上の第1発光素子11に対して、行状、列状又は行列状に配置されていることが好ましい。ただし、行状、列状及び行列状の配置は、必ずしも、
図2Cに示すように、複数の発光素子の側面が直線上に配置するものでなくてもよい。
なかでも、例えば
図2Aから
図2Dに示すように、上面視において、2以上の第2発光素子12は、1つの第1発光素子11の中心又は重心を通る仮想直線に対して対称に配置されていることが好ましく、また、2以上の第2発光素子12の第1面12aは、1つの第1発光素子11の中心又は重心を通る仮想直線に対して対称に配置されていることが好ましい。
【0015】
発光素子1の半導体積層体1Sは、例えば、p側半導体層、活性層及びn側半導体層を備えている。発光素子1は、電圧が印加されることで、自ら発光する半導体素子であり、窒化物半導体などから構成される既知の半導体素子を適用できる。発光素子としては、例えば、LEDチップなどが挙げられる。半導体積層体に適用される半導体材料としては、波長変換物質(波長変換粒子)を効率良く励起でき、短波長の光を発光可能な材料である、窒化物半導体を用いることが好ましい。窒化物半導体は、主として一般式InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)で表される。このほか、InAlGaAs系半導体、InAlGaP系半導体、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、炭化珪素などを用いることもできる。発光素子の発光ピーク波長は、430nm以上490nm未満の範囲(青色領域の波長範囲)であることが好ましい。第1発光素子11と第2発光素子12とは、同じ半導体積層体によって形成されていてもよいし、第1発光素子11の一部又は全部、第2発光素子12の一部又は全部が、異なる半導体積層体によって形成されていてもよい。なかでも、第1発光素子11の全部、第2発光素子12の全部が、それぞれ同じ半導体積層体を有していることが好ましく、第1発光素子11及び第2発光素子12の全部が、同じ半導体積層体を有していることがより好ましい。
【0016】
発光素子1の一対の電極1Eは、例えば、金、銀、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル等の金属又はこれらの合金等によって形成されている。電極1Eは、これら金属又は合金の単層によって形成されていてもよいし、多層構造でもよい。
【0017】
(金属部材15)
金属部材15は、発光素子1の一対の電極1Eと、基板13の一対の端子14とをそれぞれ接続する。
金属部材15は、第1発光素子11の一対の電極1Eと、基板13の上面13aの一対の端子14とを、第1発光素子11の第1面11aと基板13の上面13aとが平行となるように接続する。そのために、
図1Bに示すように、第1発光素子11の一対の電極1Eの双方は、同じ高さの金属部材15を介して、基板13の上面13aの一対の端子14の双方にそれぞれ接続されている。言い換えると、基板13の一対の端子14と、第1発光素子11の一対の電極1Eとをそれぞれ接続した複数の金属部材15は、それぞれ、一対の端子14から一対の電極1Eまでの高さ(
図1B中、H1)が同じである。
ここで、第1発光素子11の一対の電極1Eと基板13の上面13aの端子14とを接続する金属部材15の高さH1は、例えば、10μm以上100μm以下が挙げられる。
【0018】
金属部材15は、第2発光素子12の一対の電極1Eと、基板13の上面13aの一対の端子14とを、第2発光素子12の第1面12aが、第1発光素子11の第1面1a及び/又は基板13の上面13aに対して傾斜するように接続する。そのために、
図1Cに示すように、第2発光素子12の一対の電極1Eの一方の電極1E1と他方の電極1E2とは、異なる高さの金属部材15a、15bを介して、基板13の上面13aの一方及び他方の端子14に接続されている。第2発光素子12の一対の電極1Eのいずれか一方、つまり、電極1E1又は電極1E2は、第1発光素子11の一対の電極1Eと同じ高さの金属部材15を介して基板13の上面13aの端子14とに接続されていてもよいし、
図1Bに示すように、第2発光素子12の一対の電極1E1及び1E2は、第1発光素子11の一対の電極1Eと異なる高さの金属部材15a、15bを介して基板13の上面13aの端子14とに接続されていてもよい。言い換えると、第2発光素子12の一対の電極1Eに接続した複数の金属部材15のうち、第1発光素子11側の金属部材15bは、第1発光素子11の一対の電極1Eに接続した金属部材15よりも、端子14から電極1Eまでの高さ(
図1C中、C1、D1)が高い。また、第2発光素子12の一対の電極1Eに接続した複数の金属部材15のうち、第1発光素子11に遠い側の金属部材15aは、第1発光素子11の一対の電極1Eに接続した金属部材15及び金属部材15bよりも、端子14から電極1Eまでの高さ(
図1C中、A1、B1)が高い。
【0019】
図1Cに示すように、第2発光素子12の一対の電極1E1、1E2と基板13の上面13aの端子14とをそれぞれ接続する金属部材15a、15bの高さは、第2発光素子12の第1発光素子11に対する位置、第2発光素子12の第1面12aの位置、大きさ、傾斜角度等によって適宜設定することができる。また、第2発光素子12の電極1E1に接続される金属部材15aは、一方端Aと他方端Bとで高さが異なる。第2発光素子12の電極1E2に接続される金属部材15bは、一方端Cと他方端Dとで高さが異なる。
図1Cに示すように、金属部材15aにおける高さの差(A1-B1)及び金属部材15bおける高さの差(C1-D1)は、第2発光素子12の傾斜角度αに応じて、適宜設定することができる。このように、1つの金属部材において高低差があることにより、第2発光素子12の一対の電極1E1、1E2に対して広面積で接続することができるために、発光素子の基板への実装を強固なものとすることができ、発光素子に安定的に電流供給することが可能となる。
【0020】
第2発光素子12の電極1Eに接続される金属部材15a、15bは、それぞれ、例えば、第1発光素子11の一対の電極1Eと接続される金属部材15の高さH1の50%以上300%以下の範囲内で適宜設定することができ、高さH1の100%以上250%以下の範囲内が好ましい。
2以上の第2発光素子12においては、上述した金属部材15の高さは、それぞれ同じであってもよいし、一部又は全部において異なっていてもよい。つまり、第2発光素子12に接続される金属部材15の高さは、第2発光素子12の数、配列状態、第1発光素子11に対する位置等によって、適宜設定することができる。
【0021】
例えば、
図2Bに示すように、少なくとも2つの第2発光素子12が、1つの第1発光素子11を挟んで両側に、一列で配列されている場合、左右対称となるように2つの第2発光素子12は、金属部材15の高さは同じとすることができる。つまり高さの高い方の金属部材15同士、低い高さの方の金属部材15同士の高さを同じとするものである。
図2Aに示すように、1つの第1発光素子11を挟んで、第2発光素子12が行列方向の両側に合計4つ配列されている場合、4つの第2発光素子12は、金属部材15の高さは同じとすることができる。
図2Cに示すように、1つの第1発光素子11を挟んで行列方向及び斜め方向の両側に、第2発光素子12が合計8つ配列されている場合、8つの第2発光素子12は、金属部材15の高さ、つまり1つの発光素子内の金属部材15間の高低差は同じとすることができる。さらに、
図2Dに示すように、2つの第2発光素子12が、それぞれ、第1発光素子11A、11Bに隣接して、第1発光素子11A、11B及び第2発光素子12が一列で配列されている場合、
図2Bの説明と同様、2つの第2発光素子12は、金属部材15の高さは同じとすることができる。これによって、第1発光素子11に対して、2つの第2発光素子12が対称に配置されることとなり、所定の方向への集光を実現することができる。
【0022】
このように、金属部材15の高さによって、第1発光素子11及び第2発光素子12の第1面11a、12aの位置、向き、傾斜角度等を適宜設定することができる。
言い換えると、金属部材15の高さによって、第1発光素子11の活性層を、発光装置又は発光装置を構成する基板13の中心近傍において上方に向けることができる。また、第2発光素子12の活性層を、発光装置又は基板13の中心側に向けて、傾斜させることができる。これによって、第1発光素子11の光軸と、第2発光素子12の光軸とを発光装置10の発光面側で交差させることができる。
【0023】
金属部材15は、例えば、金、銀、銅などのバンプ、銀、金、銅、白金、アルミニウム、パラジウムなどの金属粉末と樹脂バインダを含む金属ペースト、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系などの半田、低融点金属などのろう材等によって形成することができる。
【0024】
(光反射部材16)
光反射部材16は、複数の発光素子1及び複数の金属部材15を連続して固定し、基板13上に配置されている。光反射部材16は、発光素子1の第1面を露出し、第1面に隣接する側面の全て及び第2面を被覆する。上述したように、発光素子1において、半導体積層体の上に透光層等を配置して第1面が構成されている場合には、発光素子の側面、つまり半導体積層体及び透光層等の側面との全部が、光反射部材16に被覆されていることが好ましい。このように、発光素子1及び金属部材15が光反射部材16に被覆されることにより、発光素子1から発生する熱を効率良く外部に逃がすことができる。つまり、光反射部材16を設けない場合、発光素子は空気と接触している。発光素子で発生した熱は金属部材を伝って基板に伝わるが、十分に伝熱されておらず、発光素子に蓄熱されたままとなることがある。これにより発光素子の動作効率が低下したり、不灯に陥ったりするおそれがある。よって、光反射部材16を、複数の発光素子及び複数の金属部材を連続して固定することにより放熱効果を高めることができる。また、発光素子の側面に光反射部材を配置することにより、発光素子からの光を上面方向に効率良く放出することができ、迷光を低減することが可能となる。
このような光反射部材16の配置は、2以上の第2発光素子12の第1面12aと1以上の第1発光素子11の第1面11aとともに、開口方向、つまり、発光装置10の光取り出し面側に拡がる凹部16Aを構成する。言い換えると、1以上の第1発光素子11の第1面11aが、凹部16Aの底面を構成し、2以上の第2発光素子12の第1面12aが、凹部16Aの側面を構成する。光反射部材16は、底面の一部を構成してもよいし、側面の一部を構成してもよい。これによって、複数の発光素子1が出射する光を、所定方向へ集光することができる。その結果、発光装置の側方への迷光を低減することができ、光取り出し効率の向上、ひいては照度を増大させることができる。照度は目的とする所定距離における単位面積に入射する光束量で表される。この所定の距離は目的とする用途によって適宜定めるものであるが、例えば、2mから5mにおいて、この照度を高くすることができる。
光反射部材16の表面は、発光素子1の第1面とともに、平面を形成することが好ましいが、多少の湾曲、凹凸等が存在してもよい。
【0025】
光反射部材16は、各発光素子の発光ピーク波長における光反射率が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
光反射部材16の母材としては、樹脂を用いることが好ましく、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂などが挙げられる。なかでも、シリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れるため用いることが好ましい。シリコーン樹脂としては、例えば、ジメチルシリコーン樹脂、フェニル-メチルシリコーン樹脂、ジフェニルシリコーン樹脂などが挙げられる。光反射部材16は、光反射物質を含有することが好ましい。光反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、イットリア安定化ジルコニア、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化ニオブ、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及びムライト等が挙げられる。なかでも、光反射部材は、白色であることが好ましく、母材中に白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素等が挙げられる。光反射部材16における光反射物質の濃度は、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
【0026】
(透光性基板)
発光素子1は、透光性基板を有していてもよい。具体的には、発光素子1を構成する半導体積層体1Sが、透光性基板の上に形成されたものであってもよい。透光性基板としては、例えば、サファイア、窒化ガリウム、炭化珪素、ダイヤモンドなどが挙げられる。
【0027】
(透光層1T)
透光層1Tは、発光素子1の光取り出し面側に配置される場合に、発光素子1の第1面を構成する。そのために、透光層1Tは、複数の発光素子1のそれぞれの上に配置されることが好ましい。透光層1Tは、例えば、波長変換部材及び透光部材等の1以上の部材によって形成することができる。具体的には、波長変換部材の単層、発光素子側から波長変換部材と透光部材とがそれぞれ1層以上積層された積層体等が挙げられる。
透光層1Tは、透光性を有する材料によって形成することができる。ここで、「透光性」とは、各発光素子の発光ピーク波長における光透過率が、好ましくは60%以上であること、より好ましくは70%以上であること、さらに好ましくは80%以上であることを意味する。
透光層1Tの母材は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂又はこれらの変性樹脂及びハイブリッド樹脂、ガラス等を用いることができる。特に、シリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れるため、透光層の母材として用いることが好ましい。具体的なシリコーン樹脂としては、ジメチルシリコーン樹脂、フェニル-メチルシリコーン樹脂、ジフェニルシリコーン樹脂が挙げられる。
【0028】
波長変換部材は、1種又は2種以上の波長変換物質を含む単層であってもよいし、異なる波長変換物質を含む1層又は2層以上の層であってもよい。波長変換部材は、発光素子1から離隔して、透光性の接着剤等を介して又は介さずに、発光素子1の光取り出し面側に配置することができる。
波長変換物質としては、当該分野で公知の波長変換物質のいずれを用いてもよい。例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、シリケート系蛍光体(例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、LSN系蛍光体(例えば、(La,Y)3Si6N11:Ce)、BSESN系蛍光体(例えば、(Ba,Sr)2Si5N8:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si1-xAlx)F6-x:Mn、xは、0<x<1を満たす。)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する量子ドット(例えば、(Cs,FA,MA)(Pb,Sn)(F,Cl,Br,I)3、FAとMAは、それぞれホルムアミジニウムとメチルアンモニウムを表す。)、II-VI族量子ドット(例えば、CdSe)、III-V族量子ドット(例えば、InP)、又はカルコパイライト構造を有する量子ドット(例えば、(Ag,Cu)(In,Ga)(S,Se)2)等が挙げられる。
波長変換部材は、拡散材が含有されていてもよい。拡散材としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等が挙げられる。拡散材を含有する波長変換部材は、各発光素子が発する光、各発光素子により励起された波長変換物質からの光を拡散させ易くすることができ、波長変換物質の使用量を低減することが可能になる。
【0029】
透光部材は、単層であってもよいし、2層以上の層であってもよい。
透光部材は、拡散材が含有されていてもよい。透光部材は、波長変換部材の上に配置することができる。これによって、発光素子1が発光する光と、発光素子1に励起された波長変換物質が発する光とを、透光部材で効率的に混じり合わせることができる。その結果、発光装置10の色ムラを低減させることができる。また、透光部材は、波長変換部材の保護層として機能させることができる。つまり、波長変換物質が水分に弱い波長変換物質(例えば、マンガン賦活フッ化物系蛍光体)を含む場合、波長変換部材の劣化を低減することができる。
【0030】
<変形例:発光装置10A>
この発光装置10Aにおいては、
図2C及び
図3に示すように、基板13の中央に1つの第1発光素子11が配置され、1つの第1発光素子11を挟んで行列方向及び斜め方向の両側に、第2発光素子12が合計8つ配列されている点、第1発光素子11の斜め方向に隣接する4つの第2発光素子12Aが、上面視、45度回転して配置されている以外、実質的に発光装置10と同様の構成を有する。
第2発光素子12Aの第1面12aは、基板13の上面13a及び第1発光素子11の第1面11aに対する第2発光素子12の第1面12aの傾斜と同様の角度で傾斜している。このように第1発光素子と第2発光素子とを配置することで照度を高くすることができると共に、迷光を低減し、かつ、各発光素子で発生した熱を、光反射部材を介して効率良く外部に放出することができる。
【0031】
<実施形態2:光源20>
一実施形態の光源20は、
図4に示すように、上述した発光装置10と、発光装置10の基板13の最外周部に配置された壁部21と、発光装置10の上方を被覆するレンズ24と、壁部21とレンズ24とを接着する接着層23とを備える。
【0032】
(壁部21)
壁部21は、基板13の最外周部に配置されており、上部は開放されている。壁部は、発光装置10の光反射部材16と接していてもよいし、離隔して配置されていてもよい。壁部21は、内面に光を反射しない光吸収性部材を備えていてもよいし、壁部21全体が光吸収性部材によって形成されていてもよい。光吸収性部材としては、例えば、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PA66(ポリアミド)、LCP(液晶ポリマー)等に顔料やカーボンなどの光吸収剤を含有させたものが挙げられる。壁部21は、その内側に、発光装置10が配置され、発光装置10の上方に配置されるレンズ24を支持する。
【0033】
(レンズ24)
レンズ24は、発光装置10の上方を被覆するように配置されている。これにより、レンズ24は、各発光部それぞれから発せられた光をレンズ24に入射させ、入射された光を所定の方向に出射させることができる。レンズ24としては、凹レンズ、凸レンズ、下面側に同心円状に凹凸を有するフレネルレンズ等であってもよいし、それらの表面に凹凸を有するもの等、当該分野で公知のレンズのいずれを用いてもよい。さらには、各発光素子に対応するように個別のレンズ形態が一体となったレンズを用いてもよい。
レンズ24は、発光装置10と離隔して配置されることが好ましく、例えば、壁部21によって支持される。そのために、レンズ24と、壁部21とを接着する接着層23を用いることが好ましい。接着層23を構成する接着剤としては、当該分野で公知のもの、例えば、上述した樹脂等によって形成されたものを用いることができる。
【0034】
<発光装置の製造方法>
この実施形態の発光装置の製造方法は、表面に一対の端子を複数有する基板と、光取り出し面となる第1面と、前記第1面と反対側に一対の電極を有する第2面とを備える複数の発光素子と、前記一対の端子と電気的に接続される線状の導電層とを準備し(
図5のS1)、前記端子を露出し、前記導電層上に、2つの前記導電層間に又は2つの前記導電層を跨ぐように、前記基板からの高さが同じ又は高さが異なる複数のレジスト部材を形成し(
図5のS2)、前記端子のうちの2つの前記端子を跨ぐように、前記複数のレジスト部材のうちの1つの前記レジスト部材又は2つの前記レジスト部材の上に、前記第1面が前記基板の上面に平行な1以上の第1発光素子と、前記第1面が前記第1発光素子の方向に傾斜する2以上の第2発光素子とを配置し(
図5のS3)、露出した前記端子上に金属部材を形成して(
図5のS4)、前記一対の端子と前記第1発光素子の一対の電極、及び、前記一対の端子と前記第2発光素子の一対の電極をそれぞれ電気的に接続する工程を含む。これによって、第1面が基板の上面に平行な1以上の第1発光素子及び第1面が第1発光素子の方向に傾斜する2以上の第2発光素子を備える発光装置を製造することができる。
このような発光装置の製造方法では、さらに、複数の一対の端子間に配置する導電層及び一対の端子から基板の外縁に連なる導電層を除去し(
図5のS5)、言い換えると、複数の一対の端子上に配置される導電層を残して、残部の導電層を除去する工程、その後、第1発光素子、第2発光素子及び複数の金属部材を囲み、かつ第1発光素子及び第2発光素子の第1面を露出する光反射部材を基板上に形成(
図5のS6)する工程をさらに含むことが好ましい。
【0035】
(実施形態3:発光装置10の製造方法)
この実施形態では、
図1Aに示す発光装置10、つまり、基板13上に、1つの第1発光素子11が中央に配置され、第1発光素子11の行列方向にそれぞれ隣接する合計4つの第2発光素子12が行列方向に一列に配置された発光装置を、上記の製造方法に沿って製造することができる。
【0036】
(基板13等の準備:S1)
まず、複数の発光素子1を準備する。ここでは、例えば、複数の発光素子として、同じ発光ピーク波長を有する、同じ厚み及び同じ平面形状の発光素子を5つ準備することが好ましい。発光素子1は、半導体積層体1Sと、その一面に透光層1T及び他面に一対の電極1Eとを有するものであるが、透光層1Tの表面が第1面を構成しており、一対の電極1Eは、第1面と反対側の第2面に配置されているものが好ましい。
また、上面13aに一対の端子14を有する基板13を準備する。基板13は、
図6A、6Bに示すように、その上面に、得ようとする発光装置における発光素子1の配列に準じた位置に、一対の端子14が複数配置されたものを準備する。ここでは、1つの第1発光素子11を中心として、行列方向にそれぞれ隣接する第2発光素子12を合計4つ配置する発光装置10(
図1A参照)を得るために、行列方向にそれぞれ隣接するように、一対の端子14を合計5つ配置している。ここでは、例えば、基板13の中央に配置された一対の端子を端子14Aと、それ以外の一対の端子を端子14Bと称することがある。
【0037】
次いで、基板13の表面の一対の端子14と電気的に接続される線状の導電層17を準備する。そのために、まず、
図6C、6Dに示すように、基板13の表面の端子14の上に開口を有するレジスト18を形成する。このレジスト18は、基板13の外縁を被覆せずに、端子14上から基板13の外縁に連なるように線状に開口18aを有する。ここでは、1つの端子14Bのみが配置されるものが4つ、1つの端子14A、2つの端子14Bが配置されるものが2つ、合計6個の開口18aがそれぞれ平行に配置されている。
その後、
図6E、6Fに示すように、レジスト18の開口18a内に、導電性金属によって、一対の端子14上から基板13の外縁に連なる線状の導電層17を形成する。これによって、導電層17は、一対の端子14と電気的に接続される。ここで形成される導電層は、1つの端子14Bのみの上に配置されるものを導電層17Bと称し、1つの端子14A、2つの端子14Bの上に配置されるものを導電層17Aと称することがある。その後、
図6Gから6Iに示すように、レジスト18を除去する。これによって、レジスト18の開口18a内に形成された導電層17A、17Bが維持され、レジスト18上に積層された導電層17が除去される。
ここでの導電層17は、Ti、Cu又はこれらの合金等、めっき液で溶解しない金属を用いて、例えば、スパッタ法等によって形成することができる。
【0038】
(レジスト部材の形成:S2)
続いて、
図7Aから
図7Cに示すように、端子14A、14Bの上方の導電層17A、17Bをそれぞれ露出し、2つの導電層17A及び/又は17B間に又は2つの導電層17A及び/又は17Bを跨ぐように、基板13からの高さが同じ又は高さが異なる複数のレジスト部材を、例えば、複数回重ねることにより形成する。ここでは、例えば、3つの異なる高さのレジスト部材を形成するため、レジスト部材を3回形成する。
例えば、少なくとも1つの一対の端子14の間、ここでは、基板13の中央に配置された一対の端子14Aの間に第1高さの第1Aレジスト部材31Aを、第1Aレジスト部材31Aを挟んで、2つの導電層17Aを跨ぐように第1高さの第1Bレジスト部材31Bを、第1Aレジスト部材31A及び第1Bレジスト部材31Bに隣接する導電層17B上であって、端子14B上以外の領域に第1高さの第1Cレジスト部材31Cを形成する。
また、1以上の一対の端子14A、14Bの間に配置された第1高さよりも高さが高い第2高さの第2レジスト部材32を形成する。
さらに、第2レジスト部材32に隣接して、第2高さよりも高さの高い第3高さの第3レジスト部材33を形成する。ここでの第3レジスト部材33は、基板13の外周に近い2つの導電層17Bの上と、導電層17Aの基板13の外周に隣接した領域を跨ぐように形成する。
第1高さH1を100%とした場合、第2高さH2は150%以上350%以下が挙げられ、第3高さH3は第2高さH2よりも高く、かつ、300%以上600%以下が挙げられる。具体的には、第1高さH1としては、30μm以上120μm以下、第2高さH2としては、45μm以上420μm以下、第3高さH3としては、90μm以上720μm以下が挙げられる。
なお、第1Aレジスト部材31Aから第1Cレジスト部材31C、第2レジスト部材32及び第3レジスト部材33は、任意の順序で形成することができる。
レジスト部材3の形成は、当該分野で公知の方法、例えば、フォトリソグラフィ及びエッチングによって形成することができる。
【0039】
(発光素子の配置:S3)
次に、
図8Aに示すように、端子14のうちの2つの端子14を跨ぐように、複数のレジスト部材のうちの1つのレジスト部材又は2つのレジスト部材の上に、発光素子1を配置する。言い換えると、第1Aレジスト部材31Aと第1Bレジスト部材31Bとの上に第1発光素子11を配置し、少なくとも第2レジスト部材32と第3レジスト部材33との上に第2発光素子12を配置する。
これによって、第1面11aが基板13の上面に平行な1以上の第1発光素子11と、第1面12aが第1発光素子11の方向に傾斜する、言い換えると、基板13の上面に対して傾斜する、2以上の第2発光素子12とを配置することができる。
具体的には、
図8Aから8Cに示すように、第1発光素子11は、その中央部分が第1Aレジスト部材31A、両側において第1Bレジスト部材31Bで支持される位置に配置する。
図8A、8Cに示すように、第1発光素子11に対してX方向に隣接する第2発光素子12Aは、第1発光素子11に近い側が第1Cレジスト部材31Cに、第1発光素子11から遠い側が第3レジスト部材33に支持され、その中央部分が第2レジスト部材32に支持されるように配置する。また、
図8A、8Bに示すように、第1発光素子11に対してY方向に隣接する第2発光素子12Bは、第1発光素子11に近い側が第1Aレジスト部材31Aに、第1発光素子11から遠い側が第3レジスト部材33に支持され、その中央部分が第2レジスト部材32に支持されるように配置する。
【0040】
このような発光素子の配置は、例えば、基板13を温めた状態で発光素子をその上方からダイボンドすることによって行うことが好ましい。それによって、レジスト部材の高さの違いと、レジスト部材のタック性によって、第2発光素子12の第1面12aが傾斜した状態で仮固定することができる。
次いで、
図8D、8Eに示すように、第1発光素子11及び第2発光素子12の第1面11a、12aの向きが設定された金型4を、第1発光素子11及び第2発光素子12の第1面11a、12aに押し付けることにより、第1発光素子11及び第2発光素子12の第1面11a、12aの位置又は傾きを調整することが好ましい。このような金型4を第1面11a、12aに押圧した場合、発光素子1の下方にあるレジスト部材3が緩衝材となり、発光素子1に破壊、損傷を与えることなく、第1面11a、12aを任意の位置又は傾きに調整することができる。また、押圧することにより、レジスト部材のタック性によって、任意の角度を維持することができる。ここでの基板の加熱は、例えば、80℃以上120℃以下が挙げられる。
【0041】
(金属部材の形成:S4)
上述したように第1発光素子11及び第2発光素子12を任意の角度で配置した状態で、
図9A、9Bに示すように、端子14の上方の露出した導電層17上に金属部材15を形成する。
金属部材15は、導電層17に電流を流してめっきすることによって形成することができる。このような金属部材15の形成によって、一対の端子と第1発光素子の一対の電極及び一対の端子と第2発光素子の一対の電極を、それぞれ電気的に接続することができる。また、金属部材によって、第1発光素子は、第1面11aが基板13の上面に平行に、第2発光素子12は、第1面12aが第1発光素子11の方向に傾斜する、言い換えると、基板13の上面に対して傾斜する状態を固定することができる。
導電層17への電流は、例えば、外縁における導電層17にカソードを接触させることによって供給することができる。これによって、レジスト部材3で被覆されていない導電層17の上にめっきが成長する。めっきの方法は、電解めっきなど、当該分野で公知の方法によって行うことができる。
金属部材15は、電流値とめっき時間を制御することにより、その厚みと太さを調整することができる。
【0042】
一対の端子14と第1発光素子11の一対の電極1E及び一対の端子14と第2発光素子12の一対の電極1Eのそれぞれの電気的接続において、つまり、めっきは、上述した金型4を、第1発光素子11及び第2発光素子12の第1面11a、12aに押し付けて、第1面11a、12aの位置又は傾きを調整しながら行うことが好ましい。これによって、第1面11a、12aの位置又は傾きを、金属部材15によって、任意の位置又は傾きに精度よく、固定することができる。
このように、一対の端子と第1発光素子の一対の電極及び前記一対の端子と前記第2発光素子の一対の電極のそれぞれの電気的接続をした後、つまり、金属部材15を形成した後、
図9Dに示すように、レジスト部材3、つまり、第1Aレジスト部材31A、第1Bレジスト部材31B、第1Cレジスト部材31C、第2レジスト部材32及び第3レジスト部材33を除去することが好ましい。
【0043】
(導電層の除去:S5)
図10Aから10Cに示すように、複数の一対の端子14間に配置する導電層及び一対の端子14から基板13の外縁に連なる導電層を除去することが好ましい。言い換えると、複数の一対の端子14上に配置される導電層を残して、残部の導電層を除去することが好ましい。このような導電層の除去により、発光装置の短絡を回避することができる。
導電層の除去は、公知の方法、例えば、基板をエッチング液に浸漬して、導電層を溶解させる方法により行うことができる。
【0044】
(光反射部材の形成:S6)
続いて、第1発光素子11、第2発光素子12及び複数の金属部材を囲み、かつ第1発光素子11及び第2発光素子12の第1面11a、12aを露出する光反射部材16を基板13上に形成することが好ましい。そのために、
図11A及び11Bに示すように、基板13の外周に枠体5を形成することが好ましい。
その後、
図12A、12Bに示すように、枠体5を利用して、第1発光素子11、第2発光素子12及び複数の金属部材15を埋設するように光反射材料16aを注入する。
次いで、
図12Cに示すように、第1発光素子11及び第2発光素子12の第1面11a、12aに沿った形状の金型4を、第1発光素子11及び第2発光素子の第1面11a、12aに押し付けたまま、光反射材料16aを硬化させる。光反射材料16aの硬化は、例えば、基板13を150℃程度に加熱することによって行うことができる。
光反射材料16aを硬化させて、光反射部材16を形成した後、
図12Dに示すように、金型4及び枠体5を除去する。
なお、第1発光素子11及び第2発光素子12の第1面11a、12aに、金型を押し付けながら、第1発光素子11及び第2発光素子12間の隙間及び発光素子1と枠体5との隙間に光反射材料16aを注入してもよい。この場合の金型は、上面視、格子状に穴が開いたものを用いることが、光反射材料の注入に適している。
このような工程によって、精度よく、
図1Aに示す発光装置を製造することができる。
【0045】
(実施形態4:発光装置10Aの製造方法)
この実施形態では、
図3に示す発光装置10A、つまり、基板13上に、1つの第1発光素子11が中央に配置され、第1発光素子11の行列方向にそれぞれ隣接する合計4つの第2発光素子12と、第1発光素子11の斜め方向にそれぞれ隣接する合計4つの第2発光素子12とが行列及び斜め方向にそれぞれ一列に配置された発光装置について、発光装置10の製造方法と異なる点を説明する。
【0046】
(基板13等の準備:S1)
複数の発光素子1を準備する。ここでは、例えば、発光素子を9個準備する以外は、上記と同様である。
また、表面に一対の端子14を有する基板13を準備する。ここでの基板は、
図6Aに示す基板に代えて、
図13Aに示すように、1つの第1発光素子11を中心として、行列方向にそれぞれ隣接する第2発光素子12を合計4つ配置、斜め方向に、上面視、45度回転してそれぞれ隣接する第2発光素子12を合計4つ配置した発光装置を得るために、行列方向及び斜め方向にそれぞれ隣接するように、一対の端子14を合計9個配置している。
このような発光素子1の配置に準じて、
図6Gに示す導電層に代えて、
図13Bに示すように、端子14上から基板13の外縁に連なる線状の導電層17を形成する。
【0047】
(レジスト部材の形成:S2)
次いで、
図7Aに示すレジスト部材3の形成に代えて、
図13Cに示すように、3つの異なる高さのレジスト部材3を3回重ねて形成する。
例えば、基板13の中央に配置された一対の端子14Aの間に第1高さの第1Aレジスト部材31Aを、第1Aレジスト部材31Aを挟んで、2つの導電層17を跨ぐように第1高さの第1Bレジスト部材31Bを、第1Aレジスト部材31A及び第1Bレジスト部材31Bに隣接する導電層17上であって、端子14が配置されていない領域に第1高さの第1Cレジスト部材31Cを、さらに第1Cレジスト部材31Cに隣接する導電層17上であって、端子14が配置されていない領域に第1高さの第1Dレジスト部材31Dを、それぞれ形成する。
また、基板13の中央に配置された一対の端子14A以外の端子14の間に配置された第1高さよりも高さが高い第2高さの第2レジスト部材32を形成する。
さらに、第2レジスト部材32に対して基板13の外周側に隣接して、第2高さよりも高さの高い第3高さの第3レジスト部材33を、2つの導電層17跨ぐように、形成する。
【0048】
(発光素子の配置:S3)
次に、
図8Aに示す発光素子1の配置に代えて、
図13Dに示すように、基板13の中央において、第1Aレジスト部材31Aと第1Bレジスト部材31Bとの上に第1発光素子11を配置し、第1発光素子11に隣接して、少なくとも第2レジスト部材32と第3レジスト部材33との上に、8個の第2発光素子12を配置する。これによって、上述したように第1発光素子11及び第2発光素子12を任意の角度で配置することができる。
【0049】
(金属部材の形成:S4)
上述したように第1発光素子11及び第2発光素子12を任意の角度で配置した状態で、
図9A、9Bに示したのと同様に、端子14の上方の露出した導電層17上に金属部材15を形成する。
【0050】
(導電層の除去:S5)
その後、レジスト部材を除去するとともに、
図10Aに代えて、
図13Eに示すように、複数の一対の端子14間に配置する導電層及び一対の端子14から基板13の外縁に連なる導電層を除去する。
【0051】
(光反射部材の形成:S6)
続いて、
図11Aに代えて、
図13Fに示すように、基板13の外周に枠体5を形成し、光反射材料を注入、硬化して、
図3に示す発光装置を製造することができる。
【0052】
本願は、以下の発明を開示する。
(1)表面に一対の端子を複数有する基板と、
光取り出し面となる第1面と、前記第1面と反対側に一対の電極を有する第2面とを備える複数の発光素子と、
前記基板の前記一対の端子と、前記複数の発光素子の前記一対の電極とをそれぞれ接続する複数の金属部材と、
前記複数の発光素子及び前記複数の金属部材を連続して固定し、かつ前記複数の発光素子の第1面を露出して前記基板上に配置される光反射部材とを備え、
前記複数の発光素子は、
第1面が前記基板の上面に対して平行であり、かつ前記一対の電極が前記基板の上面に対向するように配置される1以上の第1発光素子と、
第1面が前記基板の上面に対して傾斜しており、かつ前記一対の電極が前記基板の上面に対向するように配置される2以上の第2発光素子とを有し、
前記2以上の第2発光素子は、前記1以上の第1発光素子に隣接しており、
前記2以上の第2発光素子の第1面と前記1以上の第1発光素子の第1面と前記光反射部材とにより開口方向に拡がる凹部を成す発光装置。
(2)前記基板の前記一対の端子と、前記第1発光素子の前記一対の電極と、をそれぞれ接続した前記複数の金属部材は、それぞれ、前記一対の端子から前記一対の電極までの高さが同じである(1)に記載の発光装置。
(3)前記2以上の第2発光素子の第1面は、前記第1発光素子の第1面に対して、135度以上170度以下の傾斜角を有する(1)又は(2)に記載の発光装置。
(4)前記2以上の第2発光素子の前記一対の電極に接続した前記複数の金属部材のうち、前記第1発光素子側の前記金属部材は、前記第1発光素子の前記一対の電極に接続した前記金属部材よりも、前記端子から前記電極までの高さが高い(1)から(3)のいずれかに記載の発光装置。
(5)上面視において、前記2以上の第2発光素子は、前記1以上の第1発光素子に対して、行状、列状又は行列状に配置されている(1)から(4)のいずれかに記載の発光装置。
(6)上面視において、前記2以上の第2発光素子は、前記第1発光素子を挟んで両側に配置されている(1)から(5)のいずれかに記載の発光装置。
(7)上面視において、前記2以上の第2発光素子は、1つの前記第1発光素子の中心又は重心を通る仮想直線に対して、対称に配置されている(1)から(6)のいずれかに記載の発光装置。
(8)上面視において、前記2以上の第2発光素子の前記第1面は、1つの前記第1発光素子の中心又は重心を通る仮想直線に対して、対称に配置されている(1)から(7)のいずれかに記載の発光装置。
(9)前記第1発光素子及び前記第2発光素子は、それぞれ、前記第1面に透光層を配置して、前記第1面が構成されている(1)から(8)のいずれかに記載の発光装置。
(10)(1)から(9)のいずれかに記載の発光装置と、
前記発光装置の前記基板の最外周部に配置された壁部と、
前記発光装置の上方を被覆するレンズと、
前記壁部と前記レンズとを接着する接着層とを備えた光源。
(11)表面に一対の端子を複数有する基板と、光取り出し面となる第1面と、前記第1面と反対側に一対の電極を有する第2面とを備える複数の発光素子と、前記一対の端子と電気的に接続される線状の導電層とを準備し、
前記端子を露出し、前記導電層上に、2つの前記導電層間に又は2つの前記導電層を跨ぐように、前記基板からの高さが同じ又は高さが異なる複数のレジスト部材を形成し、
前記端子のうちの2つの前記端子を跨ぐように、前記複数のレジスト部材のうちの1つの前記レジスト部材又は2つの前記レジスト部材の上に、前記第1面が前記基板の上面に平行な1以上の第1発光素子と、前記第1面が前記第1発光素子の方向に傾斜する2以上の第2発光素子とを配置し、
露出した前記端子上に金属部材を形成して、前記一対の端子と前記第1発光素子の一対の電極、及び、前記一対の端子と前記第2発光素子の一対の電極をそれぞれ電気的に接続し、
前記第1面が前記基板の上面に平行な1以上の前記第1発光素子及び前記第1面が前記第1発光素子の方向に傾斜する2以上の前記第2発光素子を備える発光装置を製造する発光装置の製造方法。
(12)前記複数のレジスト部材の形成において、前記基板からの高さが異なる前記複数のレジスト部材を、レジスト層の形成と該レジスト層のパターニングとを複数回行うことによって形成する(11)に記載の発光装置の製造方法。
(13)前記複数のレジスト部材の形成において、少なくとも1つの前記一対の端子の間に配置された第1高さの第1Aレジスト部材と、該第1Aレジスト部材を挟んで、かつ2つの前記導電層を跨ぐように配置された前記第1高さの第1Bレジスト部材と、前記第1Aレジスト部材及び前記第1Bレジスト部材に隣接する導電層上であって、前記端子上以外の領域に配置された第1高さの第1Cレジスト部材とを形成し、1以上の前記一対の端子の間に配置された前記第1高さよりも高さが高い第2高さの第2レジスト部材を形成し、前記第2レジスト部材に隣接して、前記第2高さよりも高さの高い第3高さの第3レジスト部材を形成し、かつ
前記第1発光素子及び前記第2発光素子の配置において、前記第1Aレジスト部材と前記第1Bレジスト部材との上に第1発光素子を配置し、少なくとも前記第2レジスト部材と前記第3レジスト部材との上に第2発光素子を配置する(11)又は(12)に記載の発光装置の製造方法。
(14)前記一対の端子と前記第1発光素子の一対の電極、及び、前記一対の端子と前記第2発光素子の一対の電極のそれぞれの電気的接続において、前記第1発光素子及び前記第2発光素子の前記第1面側に金型を押し付けて、前記第1発光素子及び前記第2発光素子の前記第1面の位置又は傾きを調整することをさらに含む(11)から(13)のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
(15)前記準備において、前記導電層は前記端子上から前記基板の外縁に連なるように前記線状の導電層を形成し、
前記一対の端子と前記第1発光素子の一対の電極、及び、前記一対の端子と前記第2発光素子の一対の電極のそれぞれの電気的接続をした後において、
前記レジスト部材を除去し、
前記導電層のうち、前記複数の一対の端子間に配置する前記導電層及び前記一対の端子から前記基板の外縁に連なる前記導電層を除去することをさらに含む(11)から(14)のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
(16)前記複数の一対の端子間に配置する前記導電層及び前記一対の端子から前記基板の外縁に連なる前記導電層を除去した後、
前記第1発光素子、前記第2発光素子及び前記複数の金属部材を囲み、かつ前記第1発光素子及び前記第2発光素子の第1面を露出する光反射部材を前記基板上に形成することをさらに含む(15)に記載の発光装置の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0053】
実施形態の発光装置は、照明、カメラのフラッシュ、車載のヘッドライト等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 発光素子
11、11A、11B 第1発光素子
11a 第1面
11b 第2面
12、12A、12B 第2発光素子
12a 第1面
12b 第2面
1E、1E1、1E2 電極
1S 半導体積層体
1T 透光層
4 金型
5 枠体
10、10A 発光装置
13 基板
13a 上面
14、14A、14B 端子
15、15a、15b 金属部材
16 光反射部材
16A 凹部
17、17A、17B 導電層
18 レジスト
18a 開口
20 光源
21 壁部
23 接着層
24 レンズ
3 レジスト部材
31A 第1Aレジスト部材
31B 第1Bレジスト部材
31C 第1Cレジスト部材
31D 第1Dレジスト部材
32 第2レジスト部材
33 第3レジスト部材